擦り粗面処理された不織複合布
1以上の擦り粗面処理された(例えば、サンダー仕上げされた)表面を有する不織複合布が提供される。不織複合布の柔軟性及び手触りを改善することに加えて、予期せぬことに、こうした布を擦り粗面処理することによりまた、優れた液体処理性能(例えば、吸収力、吸収速度、吸い上げ速度など)を付与できるとともに、改善された嵩及び毛細管張力を付与できることを見出した。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
家庭用及び産業用拭取材は、極性液体(例えば、水及びアルコール)及び無極性液体(例えば、油)の両方をすばやく吸収するために用いられることが多い。拭取材は、該液体を、例えば、絞るなど、圧搾によって除去しようとするまで、該液体を拭取材構造体内に保持するのに十分な吸収力をもたなければならない。さらに、拭取材は、使用中にしばしば加えられる引裂き力、引伸ばし力、及び擦り粗面処理力に耐えられるような良好な物理的強度と耐摩耗性をもたなければならない。さらに、拭取材はまた、柔らかな感触でなければならない。
従来、メルトブローン不織ウェブなどの不織布が拭取材として広く用いられてきた。メルトブローン不織ウェブは、液体を吸収し保持するのに適した繊維間毛管構造を有する。しかし、メルトブローン不織ウェブは、時には、例えば、引裂き強度及び耐磨耗性など、高耐久性拭取材として使用するのに必要な物理的性質に欠けることがある。それゆえ、メルトブローン不織ウェブは、典型的には、例えば、研磨面又は粗表面上での使用には望ましくない可能性のある不織ウェブなどの支持層にラミネートされる。スパンボンドウェブは、メルトブローン不織ウェブより太く強い繊維を含有し、例えば、引裂き強度及び耐磨耗性など、良好な物理的性質をもたらすことができる。しかし、スパンボンドウェブは、時には、拭取材の吸水特性を増強する緻密な繊維間毛管構造に不足することがある。さらに、スパンボンドウェブは、不織ウェブ内での液体の流れ又は移送を妨げる接合点をもつことが多い。
【0002】
これらの問題及びその他の問題を受けて、パルプ繊維が実質的に連続したフィラメントの不織層と水圧交絡された不織複合布が開発された。これらの布の多くは、良好なレベルの強度を有していたが、柔軟性及び手触りが適切でないことが多かった。例えば、水圧交絡は、多くの水量と高い圧力によって繊維を交絡する。残存水は、一連の乾燥カンを通して除去され得る。しかし、高水圧及び比較的高い乾燥カンの温度は、本質的に繊維を硬い構造に圧縮し又は固める。そのため、強度を顕著に低減することなく不織複合布を柔軟にしようとする技術が開発された。こうした技術の1つは、全ての目的についてその全体が本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,103,061号(Andersonら)に記載される。Andersonらは、クレープ加工のような機械的な柔軟化に供される不織複合布を対象とする。複合材を柔軟にする他の試みには、化学剤の添加、カレンダー加工及びエンボス加工が含まれていた。しかし、こうした改善にも拘わらず、不織複合布は、「布のような」感触を与えるのに必要なレベルの柔軟性及び手触りになおも欠けている。
従って、強く、柔軟であり、種々広範な拭取材用途に用いるのに良好な吸収性能も示す布が必要とされ続けている。
【発明の開示】
【0003】
本発明の1つの実施形態によれば、熱可塑性繊維を含有する不織ウェブを提供する工程を含む、布を形成する方法が開示される。不織ウェブは、ステープル繊維と交絡されて複合材を形成する。複合材は、第1の表面及び第2の表面を定める。複合材の第1の表面は擦り粗面処理されている。
本発明の別の実施形態によれば、熱可塑性の連続繊維を含有する不織ウェブを提供する工程を含む布を形成する方法が開示される。不織ウェブは、パルプ繊維と水圧交絡されて複合材を形成する。パルプ繊維は、複合材の約50重量%より多い量である。複合材は、第1の表面及び第2の表面を定める。複合材の第1の表面は擦り粗面処理されている。
【0004】
本発明のさらに別の実施形態によれば、熱可塑性ポリオレフィン繊維を含有するスパンボンドウェブを提供する工程を含む布を形成する方法が開示される。スパンボンドウェブは、パルプ繊維と水圧交絡されて複合材を形成する。パルプ繊維は、複合材の約60重量%〜約90重量%の量である。複合材は、第1の表面及び第2の表面を定める。複合材の第1の表面はサンダー仕上げされている。
本発明のさらに別の実施形態によれば、熱可塑性ポリオレフィン繊維を含有するスパンボンドウェブを含む複合布が開示される。スパンボンドウェブは、パルプ繊維と水圧交絡される。パルプ繊維は、複合布の約50重量%より多い量であり、複合布の少なくとも1つの表面は擦り粗面処理されている。一部の実施形態において、擦り粗面処理された表面は、他の点では同一の複合布の擦り粗面処理されていない表面の繊維よりも均一な方向に並んだ繊維を含有する場合がある。さらに、擦り粗面処理された表面は、他の点では同一の複合布の擦り粗面処理されていない表面よりも多くの数の露呈した繊維を含有する場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
当業者に向けられた、最良の形態を含む本発明の十分な及び本発明を可能にする開示が、添付の図面を参照しながら本明細書の残りの部分でさらに具体的に説明される。
本明細書及び図面において参照番号の反復使用は、本発明の同じ又は類似した特徴又は要素を表すことを意図したものである。
これより本発明の種々の実施形態の詳細な説明が行われ、以下にそのうちの1つ又はそれ以上の実施例が示される。各実施例は、本発明を限定するのではなく、本発明を説明する目的で与えられる。事実、本発明の範囲又は精神を逸脱することなしに、本発明に種々の修正および変形を施せることが、当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施形態の一部として図示され又は説明された特徴を、別の実施形態に用いて、更に別の実施形態を得ることができる。従って、そうした修正及び変形を、添付の請求項及びその均等物の範囲内に入るものとして網羅することを、本発明は意図されている。
【0006】
定義
ここで用いられる「不織ウェブ」という用語は、個々の繊維又は糸が相互に組み合わされているが、編成布におけるような識別可能な形態ではない構造を有するウェブを意味する。不織ウェブは、例えば、メルトブローンウェブ、スパンボンドウェブ、カーデッドウェブ、空気堆積ウェブなどを含む。
ここで用いられる「スパンボンドウェブ」という用語は、小さな直径の実質的に連続な繊維から形成される不織ウェブを意味する。繊維は、溶融した熱可塑性材料を、普通は環状の紡糸口金の複数の微細な毛細管からフィラメントとして押し出し、次いで、押し出された繊維の直径を、例えば、引き取り及び/又は他の周知のスパンボンディング機構によって、急速に減じることによって形成される。スパンボンドウェブの製造法は、例えば、Appel他による米国特許第4,340,563号、Dorschner他による米国特許第3,692,618号、Matsuki他による米国特許第3,802,817号、Kinneyによる米国特許第3,338,992号、Kinneyによる米国特許第3,341,394号、Hartmanによる米国特許第3,502,763号、Levyによる米国特許第3,502,538号、Dobo他による米国特許第3,542,615号、及び、Pike他による米国特許第5,382,400号に記述され説明されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。スパンボンド繊維は、一般に集積表面上に堆積されるときは粘着性をもたない。スパンボンド繊維は、時には約40ミクロンより小さな直径を有し、約5から約20ミクロンまでの間の直径を有することが多い。
【0007】
ここで用いられる「メルトブローンウェブ」という用語は、複数の微細な、普通は環状のダイの毛細管を通して、融解した繊維として、収束性高速気体(例えば、空気)流中に押し出された繊維から形成される不織ウェブを意味するが、その際、該気体流は融解した熱可塑性材料の繊維を細くして、それらの直径をミクロファイバーの直径にまで減じる。その後、メルトブローン繊維は高速気体流によって運ばれ、集積表面上に堆積されてランダムに分配されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。そのようなプロセスは、例えば、ブチン他による米国特許第3,849,241号において開示されており、この特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。幾つかの場合には、メルトブローン繊維は、連続又は不連続のミクロファイバーであって、一般に直径が10ミクロンより小さく、集積表面上に堆積したときには一般に粘着性をもつ。
ここに用いられる「多成分繊維」又は「コンジュゲート繊維」という用語は、少なくとも二つのポリマー成分から形成された繊維を意味する。そのような繊維は、通常別々の押出成形機から押し出されるが、一緒に紡糸されて一つの繊維を形成する。それぞれの成分のポリマーは通常は互いに異なるが、多成分繊維は類似の又は同じポリマー材料の別々の成分を含むことができる。個々の成分は、典型的には、該繊維の断面にわたって実質的に一定の位置にある区分された区域に配置され、実質的に該繊維の全長に沿って延びる。そのような繊維の配置は、例えば、並列配置、パイ型配置、又は他の任意の配置とすることができる。二成分繊維及びその製造方法は、Kaneko他による米国特許第5,108,820号、Kruege他による米国特許第4,795,668号、Pike他による米国特許第5,382,400号、Strack他による米国特許第5,336,552号、及び、Marmon他による米国特許第6,200,669号に教示されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。繊維及び該繊維を含む個別の成分もまた、Hogel他による米国特許第5,277,976号、Hillsによる米国特許第5,162,074号、Hillsによる米国特許第5,466,410号、Largman他による米国特許第5,069,970号、Largman他による米国特許第5,057,368号において記述されているような様々な形状をもつことができ、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
【0008】
ここに用いられる「平均繊維長」という用語は、フィンランド、カヤーニ所在のKajaani Oy Electronicsから入手可能な繊維分析器モデルNo.FS−100を使用して測定されたパルプ繊維の加重平均長さを意味する。試験手順によれば、パルプ試料は繊維の束又は結束が存在しないことを確実にするために浸軟液で処理される。各々のパルプ試料は熱水中に崩壊させられ、希釈しておよそ0.001%の溶液とされる。標準カヤーニ繊維分析試験手順を用いて試験するときは、個々の試験試料には、希薄溶液からおよそ50から100mlまでの分量が分取される。加重平均繊維長は、次式で表すことができる。
ここで、
k=最大の繊維長
xi=繊維長
ni=xiの長さをもつ繊維の数、及び
n=測定した繊維の総数である。
【0009】
ここに用いられる「低平均繊維長のパルプ」という用語は、相当な量の短い繊維及び非繊維粒子を含むパルプを意味する。多くの2次木質繊維パルプは、低平均繊維長のパルプと考えることができる。しかし、2次木質繊維パルプの品質は、リサイクル繊維の品質、及び、前の処理のタイプ及び量に依存するであろう。低平均繊維長のパルプは、例えば、Kajaaniの繊維分析器モデルNo.FS−100(フィンランド、カヤーニ所在のKajaani Oy Electronics社製)などの光ファイバー分析器によって測定されるように、約1.2mmより短い平均繊維長をもち得る。例えば、低平均繊維長のパルプは、約0.7から1.2mmまでの範囲の平均繊維長をもち得る。
ここに用いられる「高平均繊維長のパルプ」という用語は、比較的少量の短い繊維及び非繊維粒子を含むパルプを意味する。高平均繊維長のパルプは、典型的にはある非2次の(即ち、バージンの)繊維から形成される。選別された2次繊維パルプもまた高平均繊維長をもち得る。高平均繊維長パルプは、典型的には、例えば、Kajaaniの繊維分析器モデルNo.FS−100(フィンランド、カヤーニ所在のKajaani Oy Electronics社製)などの光ファイバー分析器によって測定されるように、約1.5mmより大きな平均繊維長をもつ。例えば、高平均繊維長パルプは、約1.5mmから約6mmまでの平均繊維長をもち得る。
【0010】
詳細な説明
一般に、本発明は、擦り粗面処理された(例えば、サンダー仕上げされた)1以上の表面を有する不織複合布を対象とする。不織複合布の柔軟性及び手触りを改善することに加えて、予期せぬことに、こうした布を擦り粗面処理することによってまた、優れた液体処理特性(例えば、吸収力、吸収速度、吸い上げ速度など)、並びに改善された嵩及び毛細管張力を付与できることを見出した。
不織複合布は、吸収性ステープル繊維及び熱可塑性繊維を含有し、種々の理由から有益である。例えば、不織複合布の熱可塑性繊維は、強度、耐久性及び油吸収特性を改善できる。また吸収性ステープル繊維は、嵩、手触り、水吸収特性を改善できる。不織複合布に使用される熱可塑性繊維及び吸収性ステープル繊維の相対量は、所望される特性に応じて変動してもよい。例えば、熱可塑性繊維は、不織複合布の約50重量%より少ない量、一部の実施形態では、不織複合布の約10重量%〜約40重量%の量であってもよい。同様に、吸収性ステープル繊維は、不織複合布の約50重量%より多い量、一部の実施形態では不織複合布の約60重量%〜約90重量%の量であってもよい。
【0011】
吸収性ステープル繊維は、種々の異なる材料から形成することができる。例えば、一実施形態においては、吸収性ステープル繊維は、非熱可塑性であり、セルロース繊維(例えば、パルプ、サーモメカニカルパルプ、合成セルロース繊維、修飾セルロース繊維、など)並びに他のタイプの非熱可塑性繊維(例えば、合成ステープル繊維)を含む。適切なセルロース繊維の供給源の幾つかの例には、加熱機械処理された、漂白及び無漂白の軟木及び堅木のパルプなどのバージン木質繊維がある。オフィス回収紙、新聞紙、褐色用紙、厚紙スクラップなどから得られる2次的又はリサイクル繊維も用いることができる。さらに、マニラ麻、亜麻、トウワタ、綿、改質綿、リンター、などの植物繊維も使用できる。加えて、例えば、レーヨン及びビスコース・レーヨンなどの合成セルロース繊維を用いることもできる。修飾セルロース繊維も使用できる。例えば、吸収性ステープル繊維は、炭素鎖に沿ったヒドロキシル基を適切なラジカル(例えば、カルボキシル、アルキル、アセテート、ナイトレートなど)に置換することによって形成されるセルロース誘導体から構成されてもよい。述べられたように、非セルロース繊維も吸収性ステープル繊維として利用できる。そのような吸収性ステープル繊維の幾つかの例には、それらに限定されはしないが、アセテート・ステープル繊維、Nomex(登録商標)ステープル繊維、Kevlar(登録商標)ステープル繊維、ポリビニルアルコール・ステープル繊維、リヨセル・ステープル繊維などがある。
吸収性ステープル繊維として利用される場合、パルプ繊維は、高平均繊維長、低平均繊維長、又はこれらを混合した長さをもつことができる。適切な高平均長のパルプ繊維は、北方針葉樹、南方広葉樹、アメリカスギ、赤杉、ツガ、マツ(例えば、南方マツ)、トウヒ(例えば、黒トウヒ)、及びそれらの組み合わせなどを含むが、それらに限定はされない。例示的な高平均繊維長の木質パルプは、Kimberly−Clark社から“Longlac 19”という商品名で入手できるものを含む。適切な低平均繊維長をもつパルプ繊維の幾つかの例には、ある種のバージン堅木パルプ、及び、例えば、新聞紙、回収された厚紙、及びオフィス排紙などの供給源からの2次(即ち、リサイクルされた)繊維パルプがあるが、それらに限定はされない。ユーカリ、カエデ、カバ、ポプラなどの堅木繊維も、低平均長パルプ繊維として用いることができる。高平均繊維長及び低平均繊維長のパルプの混合物も使用できる。例えば、混合物は重量で約50%より多い低平均繊維長のパルプ、及び、重量で約50%より少ない高平均繊維長のパルプを含むことができる。一つの例示的な混合物は、重量で75%の低平均繊維長のパルプと、重量で約25%の高平均繊維長のパルプを含む。
【0012】
述べられたように、不織複合布はまた、熱可塑性繊維を含む。熱可塑性繊維は、実質的に連続な繊維であるか、又は、ステープル繊維で約0.1ミリメートルから約25ミリメートルまでの、幾つかの実施形態においては約0.5ミリメートルから約10ミリメートルまでの、さらに幾つかの実施形態においては約0.7ミリメートルから約6ミリメートルまでの平均繊維長をもつステープル繊維とすることができる。繊維長に関らず、熱可塑性繊維は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、及びそれらの混合物又はコポリマーなどを含む、様々の異なったタイプのポリマーから形成することができるが、それらに限定はされるものではない。熱可塑性繊維はポリオレフィンを含むことが望ましく、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むことがより望ましい。適切なポリマーの組成は、色素、抗酸化剤、流動性促進剤、安定剤、芳香剤、研磨剤粒子、充填剤などに加えて、ポリマー中にブレンドされた熱可塑性エラストマーをも含むことができる。随意的に、多成分(例えば、バイオ成分)の熱可塑性繊維が利用される。例えば、多成分繊維に関する適切な配置は、並立配置及びシース・コア配置を含み、適切なシース・コア配置は偏心シース・コア及び同心シース・コア配置を含む。幾つかの実施形態においては、当技術分野では周知のことであるが、多成分繊維を形成するのに用いられるポリマーは、異なる結晶化及び/又は固化の性質を生ずるように、十分に異なった融点をもつ。多成分繊維は、約20%から約80%までの、幾つかの実施形態においては約40%から60%までの重量の低融点ポリマーを含むことができる。さらに、多成分繊維は、約80%から約20%までの、幾つかの実施形態においては約60%から40%までの重量の高融点ポリマーを含むことができる。
熱可塑性繊維及び吸収性ステープル繊維の他に、不織複合材料は、種々の他の材料を含むこともできる。例えば、強度及び耐磨耗性を改善するために、少量の湿潤強度をもつ樹脂及び/又は樹脂接合材を利用することができる。水素結合の程度を減じるために結合除去剤を利用することもできる。例えば、複合層の重量で約1%から約4%までの量のある種の結合除去剤を添加すると、静的及び動的擦り粗面処理係数の測定値を低減して、耐磨耗性を改善することができる。例えば、活性炭、粘土、でんぷん、高吸収性材料など、種々の他の材料も利用できる。
【0013】
幾つかの実施形態においては、例えば、熱可塑性繊維と吸収性ステープル繊維とを、当技術分野で既知の種々の交絡技術(例えば、水圧、空気、機械的など)のどれかを用いて、一体的に交絡させることによって、不織複合材料が形成される。例えば、一実施形態においては、熱可塑性繊維から形成された不織ウェブが、水圧交絡法を用いて吸収性ステープル繊維と一体的に交絡される。典型的な水圧交絡プロセスは、高圧ジェット水流を利用して、繊維及び/又はフィラメントを交絡させ、高度に交絡した強化された複合構造を形成する。水圧交絡された不織複合材料は、例えば、Evansによる米国特許第3,494,821号、Bouoltonによる米国特許第4,144,370号、Everhart他による米国特許第5,284,703号、及び、Anderson他による米国特許第6,315,864号において開示されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
図1を参照すると、例えば、不織ウェブとパルプ繊維から不織複合布を形成するのに適切な水圧交絡法の一実施形態が図示されている。図示されるように、パルプ繊維を含む繊維状スラリが、従来型の製紙ヘッドボックス12に運ばれ、そこでスルース14を通して通常の成形布又は表面16上に堆積される。パルプ繊維の懸濁液は、通常の製紙プロセスに典型的に用いられるいずれかの粘稠度を有するものとすることができる。例えば、懸濁液は、重量で約0.01から約1.5パーセントまでの水中に懸濁されたパルプ繊維を含有することができる。次いで、水がパルプ繊維の懸濁液から除去され、パルプ繊維の均一層18が形成される。
【0014】
不織ウェブ20はまた、回転供給ロール22から引出されて、スタック・ローラ28及び30によって形成されたS字ロール配列26のニップ24を通過する。不織ウェブ20を形成するために種々の方法のいずれを用いてもよい。例えば、一実施形態においては、例えばウール又は綿のカーディング・プロセスなどの通常のカーディング・プロセスを用いて、ステープル繊維を用いて不織ウェブ20を形成する。しかし、空気堆積又は湿式堆積プロセスなどの他のプロセスも、ステープル繊維ウェブを形成するために用いることができる。さらに、スパンボンド法、メルトブロー法など、メルト紡ぎプロセスによる形成物のような、実質的に連続な繊維を用いて不織ウェブ20を形成してもよい。
不織ウェブ20は、耐久性、強度、手触り、美しさ及び/又は他の性質を改善するために、接合することができる。例えば、不織ウェブ20は、熱的方法、超音波法、接着剤、及び/又は機械的方法によって接合することができる。一例として、不織ウェブ20は、多くの小さな分離した接合点をもつように点接合することができる。例示的な点接合プロセスは熱的点接合プロセスであり、一般に一つ又はそれ以上の層を、彫り込みパターンが形成されたロールと第2の接合ロールなど、加熱されたロールの間を通過させるステップを含む。彫り込みロールは、ウェブが全表面で接合しないように何らかの方法でパターン化され、第2のロールは滑らかであるか又はパターン彫り込みされたものであってもよい。その結果、刻まれたロールの種々のパターンが、美的な理由ばかりでなく機能的な理由のために開発された。例示的な接合パターンには、それらに限定はされないが、Hansen他による米国特許第3,855,046号、Levy他による米国特許第5,620,779号、Haynes他による米国特許第5,962,112号、Sayovitz他による米国特許第6,093,665号、Romano他による米国意匠特許第428,267号、及び、Brownによる米国意匠特許第390,708号に記述されているものがあり、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。例えば、幾つかの実施形態においては、不織ウェブ20は、随意的に接合して、全接合面積が約30%より小さくなるように(通常の光学顕微鏡法で測定して)、及び/又は、一様な接合密度が1平方インチ当たり約100接合点より大きくなるようにすることができる。例えば、不織ウェブは、約2%から約30%までの全接合面積、及び/又は、1平方インチ当たり約250から約500までの個数のピン接合をもつことができる。そのような全接合面積及び/又は接合密度の組み合わせは、幾つかの実施形態においては、1平方インチ当たり約100より多くのピン接合を有するピン接合パターンであって、滑らかなアンビル・ロールに完全に接触した場合に約30%より小さな全接合表面積を与えるピン接合パターンを用いて、不織ウェブ20を接合することによって達成することができる。幾つかの実施形態においては、接合パターンは、1平方インチ当たり約250から約350のピン接合を有するピン接合密度、及び/又は、滑らかなアンビル・ロールに接触した場合に約10%から約25%までの全接合面積をもつことができる。
【0015】
さらに、不織ウェブ20は、連続的なシーム又はパターンによって接合することができる。付加的な実施例として、不織ウェブ20は、シートの縁に沿って、又は、単に縁に隣接するウェブの幅又は横方向(CD)にわたって接合することができる。熱的接合法とラテックス含浸法の組み合わせなどの他の接合技術を用いることもできる。代替として、及び/又は、付加的に、樹脂、ラテックス又は接着剤を、例えば、スプレー法又はプリント法によって不織ウェブ20に塗り、乾燥させて所望の接合を生ずることができる。さらに他の適切な接合技術が、Everhart他による米国特許第5,284,703号、Anderson他による米国特許第6,103,061号、Varonaによる米国特許第6,197,404号に記載されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
再び図1に戻ると、不織ウェブ20は次に従来型の水圧交絡機の小孔をもつ交絡表面32の上に置かれ、そこでは次にパルプ繊維層18がウェブ20の上に置かれる。必須のことではないが、通常、パルプ繊維層18は不織ウェブ20と水圧交絡マニホルド34の間に配置されることが望ましい。パルプ繊維層18及び不織ウェブ20は、一つ又はそれ以上の水圧交絡マニホルド34の下を通過させ、流体ジェットで処理してパルプ繊維層18を不織ウェブ20の繊維に交絡させ、それらを不織ウェブ20中に又はその中を押しやって不織複合布36を形成する。あるいは、水圧交絡は、パルプ繊維層18及び不織ウェブ20が、湿式堆積を行ったのと同じ有小孔スクリーン(例えば、メッシュ布)上にあるときに行うことができる。本発明はまた、乾燥されたパルプ繊維層18を不織ウェブ20上に重ね、乾燥シートを特定の粘稠度まで再水和し、次いで再水和シートを水圧交絡させることを企図する。水圧交絡は、パルプ繊維層18が高度に水で飽和されているときに行ってもよい。例えば、パルプ繊維層18は、水圧交絡の直前に、重量で約90%までの水を含んでもよい。或いは、パルプ繊維層18は、空気堆積又は乾燥堆積層であってもよい。
【0016】
水圧交絡は、例えば、Everhart他による米国特許第5,284,703号、及びEvansによる米国特許第3,485,706号に記載されているような通常の水圧交絡装置を用いて達成することができ、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。水圧交絡は、例えば、水のような任意の適切な作動流体を用いて行うことができる。作動流体は、流体を一連の個々の孔又はオリフィスに均等に分配するマニホルドを通して流れる。これらの孔又はオリフィスは、直径が約0.003インチから約0.015インチまでとすることができ、一つ又はそれ以上の列に整列させて、各列に、例えば1インチ当たり30から100までの任意の数のオリフィスが並ぶようにすることができる。例えば、直径0.007インチのオリフィス、1インチ当たり30個の孔、及び1列の孔列を有するストリップを備えた、ノースカロライナ州Charlotte所在のFleissner,Inc.製のマニホルドを利用することができる。しかし、多くの他のマニホルド構成及び組み合わせを用い得ることも理解すべきである。例えば、単一のマニホルドを用いてもよく、又は幾つかのマニホルドを連続して配置してもよい。さらに、必須ではないが、水圧交絡中に典型的に用いられる流体圧力は、約1000から約3000psigまでの範囲、幾つかの実施形態においては、約1200から約1800psigまでの範囲に及ぶ。例えば、上記圧力の高圧力域で加工処理する場合には、不織複合材料36は、1分当たり約1000フィート(fpm)にまで及ぶ速度で加工処理することができる。
流体は、約40×40から約100×100までのメッシュサイズを有する単一平面メッシュのような有孔表面によって支持されるパルプ繊維層18及び不織ウェブ20に衝撃を与えることができる。有孔表面は、約50×50から約200×200までのメッシュサイズを有する多プライメッシュであってもよい。多くの水ジェット処理工程において典型的であるように、真空スロット38は、水圧ニードリング・マニホルドの直下に、又は交絡マニホルドの下流側にある有孔交絡面32の下に配置して、過剰な水が水圧交絡された不織複合材料36から抜き取られるようにすることができる。
【0017】
何れかの特定の動作理論に拘束されるものではないが、不織ウェブ20上にあるパルプ繊維層18に直接衝突する作動流体の円柱状ジェットは、該パルプ繊維を、該不織ウェブ20内の繊維のマトリックス又はネットワークの中に押し流し、また、その中を部分的に通過させるように働くものと考えられる。流体ジェット及びパルプ繊維層18が不織ウェブ20と相互作用する場合、層18のパルプ繊維は、該不織ウェブ20の繊維と交絡され、また相互に交絡される。幾つかの実施形態においては、そのような交絡は「側面性」を有する材料を生ずることができ、ここで、一つの表面は優位な量の熱可塑性繊維をもち、該材料をより滑らかで、よりプラスティック様の感触にし、一方、もう一つの表面は優位な量のパルプ繊維を含み、該材料をより柔らかく、より粘稠な感触にする。換言すれば、層18のパルプ繊維は不織ウェブ20のマトリックスを通して及びその中に押し流されるが、該パルプ繊維の多くは、依然として材料36の表面又はその近くに留まる。従って、この表面は該不織ウェブ20のパルプ繊維の大部分を有し、もう一方の表面は、該不織ウェブ20の熱可塑性繊維の大部分を有する。
流体ジェット処理後、次に、得られた不織複合布36は、乾燥工程(例えば、圧縮性、非圧縮性などの)に移送することができる。材料を水圧ニードリングベルトから乾燥工程に移送するために、差動速度ピックアップロールを用いることができる。或いは、従来型の真空タイプのピックアップ及び移送布を用いてもよい。所望であれば、不織複合布36を、乾燥工程に移送する前に、湿式クレープ加工してもよい。布36の非圧縮乾燥は、例えば、従来型の貫流式乾燥装置42を利用して達成することができる。貫流式乾燥機42は、通気孔46と、通気孔46を通して吹き出される高温空気を受けるための外側フード48とを組み合わせてもつ外側回転シリンダ44とすることができる。貫流式乾燥機のベルト50は、不織複合布36を、該貫流式乾燥機の外側シリンダ44の上部部分の上に運ぶ。貫流式乾燥機42の外側シリンダ44中の通気孔46を通過させられる加熱空気は、不織複合布36から水を除去する。貫流式乾燥機42によって不織複合布36中を通過させられる空気の温度は、約200°Fから約500°Fまでに及ぶことができる。他の有用な貫流式乾燥方法及び装置は、例えば、Niksによる米国特許第2,666,369号、及びShawによる米国特許第3,821,068号に見出すことができ、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
【0018】
水圧交絡された不織複合布に加えて、不織複合布は、熱可塑性繊維と吸収性ステープル繊維のブレンドを含有することもできる。例えば、不織複合布は、形成中の不織ウェブに吸収性ステープル繊維がそれを通して加えられるシュートの近傍に、少なくとも一つのメルトブロー用ダイヘッドが配置される処理工程によって形成することのできる「コフォーム」材料とすることができる。そのようなコフォーム材料の数例は、Anderson他による米国特許第4,100,324号、Everhart他による米国特許第5,284,703号、及び、Georger他による米国特許第5,350,624号に開示されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
それが形成される様式に関係なく、複合布は、その特定の特性を向上させるために本発明に従って擦り粗面処理仕上げプロセスに供される。種々の周知の擦り粗面処理仕上げプロセスを、一般に行うことができ、それにはサンダー仕上げ、毛羽立てなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、いくつかの好適なサンダー仕上げプロセスは、全ての目的についてそれらの全体が本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,269,525号(Dischlerら)、米国特許第6,260,247号(Dischlerら)、米国特許第6,112,381号(Dischlerら)、米国特許第5,662,515号(Evensen)、米国特許第5,564,971号(Evensen)、米国特許第5,531,636号(Bissen)、米国特許第5,752,300号(Dischlerら)、米国特許第5,815,896号(Dischlerら)、米国特許第4,512,065号(Otto)、米国特許第4,468,844号(Otto)、及び米国特許第4,316,928号(Otto)に記載されている。本発明に使用するのに好適なサンダーの一部の例としては、ニューヨーク、GloversvilleのCurtin−Hebert Co.Inc.から入手可能な450シリーズ、620シリーズ及び710シリーズMicrogrinderが挙げられる。
【0019】
例示の目的のためだけに、好適な擦り粗面処理システム100の1つの実施形態を図2に示す。示されるように、擦り粗面処理システム100は、2つのピンチロール83を含み、それらを通って複合布36が供給される。駆動ロール85は、所望の方向へピンチロール83を動かす。複合布36は、ピンチロール83を通過した後に、擦り粗面処理ロール80と圧力ロール82との間を通る。擦り粗面処理ロール80の表面81の少なくとも一部は、サンドペーパー又はサンダー仕上げクロスのような擦り粗面処理材料で覆われているので、圧力ロール82が複合布36の表面90を擦り粗面処理ロール80の表面81に対して押し当てたときに擦り粗面処理が生じる。一般的に言えば、擦り粗面処理ロール80は、反時計周り又は時計周り方向のいずれかに回転する。この様式にて、擦り粗面処理ロール80は、複合布36の表面90に所望の擦り粗面処理作用を付与できる。擦り粗面処理ロール80は、擦り粗面処理を最適化するために複合布36とは反対の方向に回転してもよい。すなわち、擦り粗面処理ロール80は、複合布36との接触点にて擦り粗面処理表面81の接線方向が、移動する布36の直線方向と反対となるように回転してもよい。例示された実施形態において、例えば、ロールの回転方向は時計周りであり、布の移動方向は左から右である。
擦り粗面処理システム80はまた排気システム88を含んでいてもよく、それは擦り粗面処理が所望のレベルになった後、真空力を使用して、複合布36の表面90に残ったくずを除去する。圧力ロール82の表面を清掃するためにブラシロール92を利用してもよい。一旦擦り粗面処理されたら、次いで複合布36は、駆動ロール89によって作動されるピンチロール87を介してサンダーを離れる。
【0020】
上述したように、複合布36は、1つの表面がステープル繊維(例えばパルプ繊維)の大半を有する「一面性」を有するものであってもよい。1つの実施形態において、擦り粗面処理された複合布36の表面90は、ステープル繊維の大半を含有してもよい。さらに、表面90は、不織ウェブの熱可塑性繊維の大半を含有するものであってもよい。本発明者らは、驚くべきことに、柔軟性及び手触りを改善するだけでなく、1以上の面を擦り粗面処理することによってもまた布の他の物理的特性、例えば嵩、吸収速度、吸い上げ速度及び吸収力を向上できることを見出した。理論に束縛されることを意図しないが、擦り粗面処理面は、その面が接触する表面繊維を梳き、毛羽立て及び/又は起毛させる。結果として、繊維は機械的に再配置され、複合材のマトリックスからある程度引き出される。これらの起毛された繊維は、例えばパルプ繊維及び/又は熱可塑性繊維であってもよい。いずれにしても、表面の繊維はより均一な外観を示し、布の手触りを向上させ、より「布様」の材料を生み出す。
擦り粗面処理される表面の特性に関係なく、複合布36の特性が擦り粗面処理プロセスによって改質される程度は、擦り粗面処理材料の大きさ、ロールの接触力及び接触頻度などのような種々の異なる因子に左右される。例えば、擦り粗面処理ロール80を覆うために使用される擦り粗面処理材料の種類は、所望の擦り粗面処理レベルを達成するために選択的に変更されてもよい。例えば、擦り粗面処理材料は、固い擦り粗面処理粒子、例えばダイアモンド、金属及び/又はケイ素の炭化物、ホウ化物、窒化物を埋め込んだマトリックスから形成されてもよい。1つの実施形態において、ダイアモンド擦り粗面処理粒子は、例えば全ての目的についてその全体が本明細書に参考として組み込まれる米国特許第4,608,128号(Farmer)に記載されるように、めっき金属マトリックス(例えば、ニッケル又はクロム)内に埋め込まれる。より小さい粒径を有する擦り粗面処理粒子は、より大きい粒径を有するものに比べてより小さい程度に表面を擦り粗面処理する傾向にある。そのため、より大きい粒径の使用は、より重い布にはより好適な場合がある。しかし、粒径が大き過ぎる擦り粗面処理粒子は、複合布36をその特定の物理的特性を破壊する程度にまで擦り粗面処理する場合がある。こうした懸念のバランスを取るために、擦り粗面処理粒子の平均粒径は、約1〜約1000ミクロン、一部の実施形態では約20〜約200ミクロン、一部の実施形態では約30〜約100ミクロンの範囲とすることができる。
【0021】
同様に、擦り粗面処理ロール80の接触力が大きく及び/又は接触頻度が高いとまた、より大きい擦り粗面処理レベルを生じる場合がある。種々の因子がロール接触力及び頻度に影響を与え得る。例えば、擦り粗面処理ロール80に対する複合布36の線速度は、線速度が速くなるにつれて、一般により高い擦り粗面処理レベルに対応するように変動してもよい。大部分の実施形態では、複合布36の線速度は、毎分約100〜約4000フィート、一部の実施形態では毎分約500〜約3400フィート、一部の実施形態では毎分約1500フィート〜約3000フィートの範囲である。さらに、擦り粗面処理ロール80は、通常、毎分約100〜約8,000回転(rpm)、一部の実施形態では約500〜約6,000rpm、一部の実施形態では約1,000〜約4,000rpmの速度で回転する。所望により、複合布36と擦り粗面処理ロール80との間に速度の差異をつけて、擦り粗面処理プロセスを改善する。
圧力ロール82と擦り粗面処理ロール80との距離(すなわち「ギャップ」)も、擦り粗面処理レベルに影響する場合があり、より小さい距離は、一般により大きい擦り粗面処理レベルを生じ得る。例えば、圧力ロール82と擦り粗面処理ロール80との距離は、一部の実施形態では、約0.001インチ〜約0.1インチ、一部の実施形態では約0.01インチ〜約0.05インチ、一部の実施形態では約0.01インチ〜約0.02インチの範囲であってもよい。
【0022】
上述した1以上の特性は、所望の表面擦り粗面処理レベルを達成するために選択的に変更されてもよい。例えば、非常に大きい粒径を有する擦り粗面処理粒子が使用される場合、複合布36の物理的特性を壊すことなく、特定の擦り粗面処理レベルを達成するために擦り粗面処理ロール80の回転速度が比較的遅くなるように選択されるのが望ましい場合がある。さらに、複合布36はまた、所望の結果を達成するために複数の擦り粗面処理ロール80と接触してもよい。特定の効果を達成するために、様々な擦り粗面処理ロール80に関して様々な粒径を様々な順序で使用してもよい。例えば、複合布36はより大きい粒径(粗い)を有する擦り粗面処理ロールで前処理されて、布表面を後続の擦り粗面処理ロールによってより小さい粒径(細かい)により容易に変更できるようにするのが望ましい場合がある。さらに、複数の擦り粗面処理ロールがまた、複合布36の複数の表面を擦り粗面処理するために使用されてもよい。例えば、1つの実施形態において、複合布36の表面91は、表面90の擦り粗面処理の前、後及び/又は同時に擦り粗面処理ロール内で擦り粗面処理されてもよい。
本発明は、擦り粗面処理粒子で覆われたロールに限定されず、布表面を擦り粗面処理するための他のいかなる技術をも含むことができることを理解すべきである。例えば、固定バーを使用して所望の擦り粗面処理レベルを付与してもよい。これらのバーは、スチールのような種々の材料から形成され、擦り粗面処理表面を有するように構成されてもよい。図3〜図5を参照すると、固定バーを用いて複合布136を擦り粗面処理するための方法の種々の実施形態が例示されている。図3では、例えば、示された方向に移動する複合布136の表面153は、ロール160から繰り出され、ロール162に巻かれるときに固定バー150によって擦り粗面処理される。固定バー150は、擦り粗面処理表面を本来有していてもよく、又は擦り粗面処理粒子を含有する基材でバー150を包むなどして擦り粗面処理表面が提供されてもよい。図示されないが、種々の引張りロールなどが、固定バー150を横断するときに複合布136をガイドしてもよい。図4及び図5は、複数の固定バー150が使用されて複合布136を擦り粗面処理する同様の実施形態を例示する。図4では、複合布136の表面153は、単一の固定バー150で擦り粗面処理され、表面151は3つの他の固定バー150を用いて擦り粗面処理される。同様に、図5において、複合布136の各表面151及び153は、2つのブレーカーバーを用いて擦り粗面処理される。
【0023】
別の実施形態において、複合布36は、均一に間隔をあけて配置されたワイヤで覆われるロールとその表面を接触させることによって毛羽立てられてもよい。ワイヤは、普通は細かい可撓性のワイヤである。ワイヤを支持基材に埋め込み、その結果それらの先端部がごくわずかに突き出るのが有利な場合がある。こうした支持基材は、圧縮性材料、例えば発泡体、ゴム、軟質ゴム、フェルトなどから形成されてもよく、その結果衝突中に圧縮されてもよい。圧縮の程度は、そのワイヤ先端部が表面から突き出す程度、つまり毛羽立てワイヤ先端部が複合布36に入り込む程度を決める。ワイヤの存在以外、こうした毛羽立てロールは、他の点で図2に関して示された擦り粗面処理ロール80と同様であってもよい。
複合布36の擦り粗面処理前又は後に、複合布36に選択された特性を付与するために、他の仕上げ工程及び/又は後処理プロセスを使用するのが望ましい場合もある。例えば、複合布36は、伸びを向上させ、及び/又は均一な外観及び/又は特定の感触特性を付与するために、カレンダロールによってわずかに圧力がかけられ、又はその他の手法で処理されてもよい。或いは又はそれに加えて、種々の化学的後処理剤、例えば接着剤又は染料を複合布36に添加してもよい。利用されてもよい追加の後処理剤は、全ての目的についてその全体が本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,853,859号(Levyら)に記載される。さらに、複合布36の擦り粗面処理された表面は、擦り粗面処理プロセスの間に遊離した繊維を除去するために吸引されてもよい。
【0024】
本発明の複合布は、特に拭取材として有用である。該拭取材は、1平方メートル当たり約20グラム(gsm)から約300gsmまでの、幾つかの実施形態においては、約30gsmから200gsmまでの、さらに幾つかの実施形態においては、50gsmから150gsmまでの坪量をもつ。より低い坪量の製品は典型的には軽負荷拭取材としての使用に適し、一方、より高い坪量の製品は工業用拭取材として適している。拭取材はまた、種々の拭取り作業に対して任意の大きさとすることができる。拭取材はまた、約8センチメートルから約100センチメートルまでの、幾つかの実施形態においては約10から約50センチメートルまでの、さらに幾つかの実施形態においては約20センチメートルから約25センチメートルまでの幅をもつことができる。さらに、拭取材は、約10センチメートルから約200センチメートルまでの、幾つかの実施形態においては約20センチメートルから約100センチメートルまでの、さらに幾つかの実施形態においては約35センチメートルから約45センチメートルまでの長さをもつことができる。
必要なら、拭取材は、水、無水ハンドクレンザーなどの液体、又は任意の他の適切な液体を用いてウエット・タイプとすることができる。該液体は、防腐剤、難燃剤、界面活性剤、皮膚軟化薬、湿潤剤、などを含有することができる。一実施形態においては、例えば、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる、Clark他による米国特許出願公報第2003/0194932号に記載されているような無菌化処理を施すことができる。該液体は、噴霧法、浸し法、浸潤法、含浸法、ブラシ塗り法など、当技術分野で既知の任意の適切な方法で加えることができる。拭取材に加えられる液体の量は、複合布の性質、拭取材を保管するのに用いられる容器の型、該液体の性質、及び所望の拭取材の最終用途によって、変えることができる。一般に、各々の拭取材は、拭取材の乾燥質量ベースで、約150から約600重量%までの、幾つかの実施形態においては、約300から約500重量%までの液体を含有する。
【0025】
一実施形態においては、拭取材は、連続したミシン目の入ったロールの形で提供される。ミシン目は、脆弱ラインを与え、それにより拭取材がより容易に分離される。例えば、一実施形態においては、高さ6”のロールが、v字型に折りたたまれた12”幅の拭取材を含む。該ロールは12インチ毎にミシン目が入れられて、12”×12”の拭取材を形成する。もう一つの実施形態においては、拭取材は個々の拭取材の積重ねとして提供される。拭取材は、ロール、箱、タブ、柔軟性梱包材料などを含むが、それらに限定はされない、様々な形態、材料、及び/又は容器内に梱包することができる。例えば、一実施形態においては、拭取材は、選択的に再封可能な容器(例えば、円筒状の)中に縦に挿入することができる。適切な容器の幾つかの例には、剛性タブ、フィルムパウチなどがある。拭取材を保持するのに適切な容器の一つの具体例は、容器の頂上部分に再封可能な気密性の蓋(例えばポリプロピレン製の)が取り付けられた剛性の円筒状のタブ(例えばポリエチレン製の)である。この蓋は、初めはキャップの真下に位置する開口部を覆うヒンジ付きのキャップをもつ。該開口部は、密閉容器の内部からの拭取材の通過を可能にし、それにより個々の拭取材は、拭取材をつかんで各ロールのシームを引き離すことによって取り出すことができる。蓋の開口部は、拭取材を容器から取り出す際に各拭取材から余分な液体を除去するのに十分な圧力を与えるのに適切な大きさとする。
拭取材を供給するための他の適切な拭取材ディスペンサ、容器、及びシステムは、Buczwinski他による米国特許第5,785,179号、Zanderによる米国特許第5,964,351号、Zanderによる米国特許第6,030,331号、Haynes他による米国特許第6,158,614号、Huang他による米国特許第6,269,969号、Huang他による米国特許第6,269,970号、及び、Newman他による米国特許第6,273,359号に記載されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
本発明は、次の実施例を参照すればより理解されるであろう。
【0026】
試験方法
次の試験方法は実施例で利用される。
嵩:布の嵩はその厚さに対応する。実施例では、TAPPI試験方法T402「紙、板、パルプハンドシート及び関連製品のための標準状態及び試験雰囲気」又はT411om−89「紙、板紙及び組み合わせた板の厚さ(キャリパー)」(スタックされたシートについては留意3)に従って嵩を測定した。T411om−89を実行するために使用されるマイクロメーターは、57.2ミリメートルのアンビル直径及び2キロパスカルのアンビル圧力を有するEmveco Model 200A Electronic Microgage(オレゴン州NewberryのEmveco,Inc.製)とすることができる。
【0027】
グラブ引張り強度:グラブ引張り試験は、一方向性応力を受けた際の布の破壊強度の計量法である。この試験は当技術分野で既知であり、連邦試験法標準191Aの方法5100の仕様に適合するものである。その結果は、破壊に要するポンド値で表される。高い数字ほど強い布を示す。グラブ引張り試験は、二つのクランプを使用し、その各々は、試料に接触する仕上げ面をそれぞれが有する二つのジョーをもつ。該クランプは、同じ平面内で、通常垂直に、3インチ(76mm)だけ離れて材料を掴み、所定の伸張速度で離れてゆく。グラブ引張り強度の値は、4インチ(102mm)かける6インチ(152mm)の試料サイズを用いて、1インチ(25mm)かける1インチのサイズのジョー仕上げ面、及び一定の伸張速度300mm/minによって得られる。試料はクランプのジョーより広く、布中の隣接する繊維によって与えられる付加的な強度と組み合わさった、クランプされた幅内の繊維の有効強度の典型値が得られる。例えば、ノースカロライナ州、Cary所在のSintec Corporationから入手可能なSintec 2 テスター、マサチューセッツ州、Canton所在のInstron Corporationから入手可能なInstronモデルTM,又は、ペンシルバニア州、Philadelphia所在のThwing−Albert Instrument Co.から入手可能なThwing−Albert モデルINTELLECT IIに、試験片がクランプされる。このことは、実際の使用における布の応力条件を綿密にシミュレートする。結果は、3つの試験片の平均値として報告され、該試験片を用いて、前後方向(CD)又は機械方向(MD)において行うことができる。
水取り込み速度:水取り込み速度は、材料表面上の存在量に対して試料が液体を完全にウェブ内に吸収するのに要する秒単位の時間である。具体的には、水の取り込みは、ASTM No.2410に従って、0.5立方センチメートルの水を、ピペットを用いて材料表面上に放出することによって測定される。4つの0.5立方センチメートルの水滴を(1面当たり2滴)各材料表面に加える。4滴の水が材料中に(z方向)吸込まれる平均時間を記録する。秒単位で測定され、より短い吸収時間は、より早い取り込み速度を示す。試験は、73.4°±3.6°F及び50%±5%の相対湿度において行われる。
【0028】
油取り込み速度:油の取り込み速度は、試料が所定量の油を吸込むのに要する秒単位の時間である。潤滑油の取り込みは、水に関して上述したのと同じ方法で測定されるが、但し、4滴(1面当たり2滴)の各々に対して0.1立方センチメートルの油が使用される。
吸収力:吸収力は、ある時間の間に液体(例えば、水又は潤滑油)を吸収する材料の能力を表し、飽和点において材料が保持する液体の総量に関係する。吸収力は、工業及び施設用タオル、及び拭取り紙に関する連邦規格No.UU−T−595Cに従って測定される。具体的には、吸収力は、液体の吸収によって生ずる試料の重量増加によって決められ、以下の式を用いて、吸収された液体の重量を試料の重量で割ったものとして%で表される。
吸収力=[(飽和した試料の重量−試料の重量)/試料の重量]]×100
テーバ耐磨耗性:テーバ耐磨耗性は、制御された回転擦り粗面処理作用によってもたらされた布の破壊に関する耐摩耗性を測定するものである。耐摩耗性は、ここで別記されていることを除いて、連邦試験法標準No.191Aである方法5306に従って測定される。試験片を擦り粗面処理するのに単一のホイールだけを用いる。擦り粗面処理ヘッド上にゴム製ホイール(No.H−18)、及び各アーム上に500グラムの釣合重りを有するテーバ標準擦り粗面処理機(モデルNo.E−140−15の試験片ホルダーを備えたモデルNo.504)の試験片プラットホームに、12.7×12.7cmの試験片がクランプされる。破壊強度の損失は、耐摩耗性を決定する基準としては用いない。結果は、破損時の擦り粗面処理サイクルで得られ、報告されるが、その際、布中に0.5cmの穴が生じた時点で損傷が起こったと判断した。
【0029】
ドレープ剛性:「ドレープ剛性」試験は、材料の曲げに対する抵抗力を測定するものである。曲げの長さは、材料の重量と剛性の間の相互作用の尺度であり、材料がそれ自体の重量で曲がる仕方によって、換言すれば、複合材料のそれ自体の重量下におけるカンチレバー曲げの原理を利用することによって示されるものである。一般に、試料を1分当たり4.75インチ(12cm/min)の速度でその長さ方向に平行の方向に滑らせて、その前縁が水平表面の端から突き出るようにする。試料の先端がそれ自体の重量によって下がり、その先端とプラットホームの端を結ぶ直線が水平方向に対して41.50°の角度を成す点まで下がったときの、張出し部分の長さを測定した。張出し部分が長いほど、試料の曲がるのが遅くなる。従って、より高い数値は、より堅い複合材を示す。この方法は、ASTM標準試験D1388の仕様に適合するものである。ドレープ剛性は、インチ単位で測定され、試験片の張出し部分が41.50°の勾配に達したときの試験片張出し部分の長さの半分である。試験試料は次のように準備した。試料は、1インチ(2.54cm)幅及び6インチ(15.24cm)の長さを有する長方形の片に切り分けた。各試料の試験片は、機械方向及び前後方向において試験した。ニューヨーク州Amityville所在のTesting Machines Inc.から入手可能なFRL−カンチレバー曲げ試験器、モデル79−10などの、適切なドレープ曲げ剛性試験器を用いて試験を行った。
Gelboリント:所与のサンプルに関するリントの量をGelboリント試験に従って測定した。Gelboリント試験は、連続的な屈曲及びねじれ運動に供される場合に布から放出される粒子の相対数を測定する。それは、INDA試験方法160.1−92に従って行われる。サンプルを屈曲チャンバに置く。サンプルを屈曲したときに、レーザー粒子カウンターにてカウントするために毎分1立方フィートにて空気をチャンバから抜き出す。粒子カウンターは、粒子の大きさに対応するチャネルを用いて特定粒径(例えば、25ミクロン)未満又はそれを超える大きさによって粒子をカウントする。結果は、10回の連続30秒間にわたってカウントされた粒子総数として、10回のカウント期間のうちの1回で得られた最大濃度、又は10回のカウント期間の平均として報告されてもよい。試験は、材料のリント発生の可能性を示す。
【実施例】
【0030】
実施例1
Wypall(登録商標)X80Red拭取材及びWypall(登録商標)X80Blue Steel拭取材(Kimberly−Clark Corporationから市販)を用意した。拭取材は、実質的に米国特許第5,284,703号(Everhartら)に従って不織複合材から形成した。特に、拭取材は1平方メートルあたり125グラム(gsm)の坪量を有し、北方針葉樹クラフト繊維と水圧交絡されたスパンボンドポリプロピレンウェブ(22.7gsm)から形成した。
図2に示される装置と実質的に同様であるニューヨーク、GloversvilleのCurtin−Hebert Co.Inc.から得られた620シリーズマイクログリンダーを用いて、種々の条件で拭取材を擦り粗面処理した。特に各拭取材をそのパルプ面にてまず擦り粗面処理し、種々の特性を試験した(1パス)。その後、拭取材のスパンボンド面を同一の擦り粗面処理条件を用いて擦り粗面処理した(2パス)。各パスの擦り粗面処理ロールは、サンプルの横方向に0.25インチ振動し、ロールが繊維で詰まらず、溝がロールに埋まらないことを確実にした。
各パスの擦り粗面処理条件を以下の表1に示す。
【0031】
擦り粗面処理した後、次いで種々の拭取材特性を試験した。本発明に従って擦り粗面処理されていない対照サンプルも試験した。表2はWypall(登録商標)X80Red拭取材について得られた結果を示し、表3はWypall(登録商標)X80Steel Blue拭取材について得られた結果を示す。
【0032】
【0033】
示されるように、擦り粗面処理されたサンプルの種々の特性は、擦り粗面処理されていない対照サンプルに比べて改善されていた。例えば、擦り粗面処理されたサンプルは、対照サンプルよりも約35〜67%高い潤滑油吸収力を有していた。擦り粗面処理されたサンプルはまた、対照サンプルより約20〜35%高い水吸収力を有していた。さらに、擦り粗面処理されたサンプルは、一般に、対照サンプルより低いドレープ剛性を有していた。
擦り粗面処理されていないWypall(登録商標)Red拭取材の対照サンプルのSEM写真を図6(パルプ面)、図7(45度アングル)及び図8(スパンボンド面)に示す。対照サンプルは、両面で繊維が共に絡み合い、詰っていることがわかった。
0.014インチのギャップ及び毎分17フィートの線速度で擦り粗面処理されたWypall(登録商標)Red拭取材のSEM写真を図9(パルプ面、1パス)及び図10(スパンボンド面、2パス)に示す。図9からわかるように、対照サンプルに比べて表面繊維は露呈した繊維の数が多い。同様に、図10は、大きさがより均一で、同じ方向に並んだ繊維を有する擦り粗面処理されたサンプルを示す。繊維はまた、下層のスパンボンドウェブの露呈した熱結合点の、より多くの面積を覆う。
【0034】
実施例2
Kimberly−Clark Corporationから市販されるWypall(登録商標)X80Blue Steel拭取材を用意した。拭取材は、米国特許第5,284,703号(Everhartら)に実質的に従って不織複合材から形成した。特に、拭取材は1平方メートルあたり125グラム(gsm)の坪量を有し、北方針葉樹クラフトパルプと水圧交絡されたスパンボンドポリプロピレンウェブ(22.7gsm)から形成した。
図2に示されるサンダーと実質的に同様であるニューヨーク、GloversvilleのCurtin−Hebert Co.Inc.から得られた620シリーズマイクログリンダーを用いて、種々の条件で拭取材を擦り粗面処理した。特に各サンプルをそのパルプ面にてまず擦り粗面処理し(1パス)、種々の特性を試験した。その後、サンプルの1つをそのスパンボンド面にて同一の擦り粗面処理条件を用いて擦り粗面処理した(2パス)。各パスの擦り粗面処理ロールは、サンプルの横方向に0.25インチ振動し、ロールが繊維で詰まらず、溝がロールに埋まらないことを確実にした。
【0035】
各パスの擦り粗面処理条件を以下の表4に示す。
【0036】
ギャップ、すなわち擦り粗面処理ロールと圧力ロールとの間の距離は、0.014から0.024インチに変動させた。擦り粗面処理した後、次いで種々の拭取材特性を試験した。実施例1の対照のWypall(登録商標)Steel Blueサンプル(表5にてサンプル1と示される)も試験し、サンプル2〜6と比較した。表5は、Wypall(登録商標)X80Steel Blue拭取材から得られた結果を示す。
示されるように、擦り粗面処理されたサンプルの種々の特性は、擦り粗面処理されていない対照サンプルに比べて改善された。さらに、示されるように、より大きいギャップ距離は、一般に、強度の低下が少なかった。一方、より小さいギャップ距離は、液体吸収力及び取り込み速度のような特定特性においてより大きい影響を与えた。図11は、サンプル4のSEM写真(45度アングル)である。図11に示される擦り粗面処理されたサンプルの表面繊維は、均一な方向(サンダー仕上げ方向)に並んでいる。
【0037】
実施例3
14個の拭取材サンプルを用意した。サンプル1〜13は、1プライ拭取材であったが、サンプル14は2プライ拭取材(2つのプライを共に糊付けした)であった。
単一プライ拭取材は、Kimberly−Clark Corporationから市販されているWypall(登録商標)X80Red拭取材であった。Wypall(登録商標)X80Red拭取材は、実質的に米国特許第5,284,703号(Everhartら)に従って製造された不織複合材である。特に、拭取材は、1平方メートルあたり125グラム(gsm)の坪量を有し、北方針葉樹クラフト繊維と水圧交絡されたスパンボンドポリプロピレンウェブ(22.7gsm)から形成される。
2プライ拭取材のそれぞれのプライは、Kimberly−Clark Corporationから市販されているWypall(登録商標)X60拭取材であった。Wypall(登録商標)X60拭取材は、米国特許第5,284,703号(Everhartら)に実質的に従って製造された不織複合材である。特に、1平方メートルあたり64グラム(gsm)の坪量を有し、北方針葉樹クラフト繊維と水圧交絡されたスパンボンドポリプロピレンウェブ(11.3gsm)から形成される。
【0038】
14個全ての拭取材サンプルを種々の条件で擦り粗面処理した。サンプル1〜3は、固定ブレーカーバーを用いて擦り粗面処理した。特にサンプル1のパルプ面を図3に示す様式にてスチールブレーカーバーを用いて擦り粗面処理した。特に、ブレーカーバーには、グリットサイズが60(平均粒径254ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけた。サンプル2は、図5に示す様式の2つの固定スチールブレーカーバーを用いて擦り粗面処理した。特に、サンプルの上方面151(スパンボンド面)と接触するブレーカーバーには、グリットサイズが60(平均粒径254ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけ、一方でサンプルの下方面153(パルプ面)と接触するブレーカーバーは、グリットサイズが220(平均粒径63ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけた。サンプル3は図4に示す様式で擦り粗面処理した。特に、サンプルの上方面151(スパンボンド面)と接触するブレーカーバーは、グリットサイズが60(平均粒径254ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけ、一方でサンプルの下方面153(パルプ面)と接触するブレーカーバーには、グリットサイズが220(平均粒径63ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけた。
サンプル4〜6は、サウスカロライナ州SimpsonvilleのECC Card Clothing,Inc.から得られたワイヤカーディングブラシ又はフィレットを有する毛羽立てロールを用いて擦り粗面処理した。特に、サンプル4〜5のワイヤブラシは、0.0285インチのピン高さを有し、ピンが3プライの1.5インチ幅のゴムベルトに組み込まれていた。サンプル6のワイヤブラシは、同じゴムベルトにて0.0410インチのピン高さの僅かに傾いたピンを有していた。両方の組のブラシは、6×3×11構成を有していたが、ここで「6」は1インチあたりの列の数を示し、「3」はステープルをベルト材料に取り付けるために使用されるワイヤ又はステープルアンカーの数を示し、「11」は1インチあたりのワイヤ又はステープルの反復数を示す。
【0039】
毛羽立てロールを、別個の電気的に駆動される繰り出しスタンドに取り付け、サンプルが繰り出し機と電力巻き取り機との間で張力のかかった状態で巻かれるように、サンプルの表面に対して配置した。ロールは、サンプルの移動方向とは逆方向に毎分1800フィートの速度で回転した。擦り粗面処理の間に発生する塵、粒子などを取り除くために、クイックドラフト吸引装置をサンプル表面の近くに配置した。
サンプル7〜13を、サンドペーパーを巻きつけたロールを用いて擦り粗面処理した。サンプル7〜8、10、12及び14に関してはパルプ面だけを擦り粗面処理した。サンプル9、11及び13に関しては両面を擦り粗面処理した。サンドペーパーロールは、3インチの外側直径を有する標準紙コアから形成した。ロールを長さ10.5インチに切断し、グリットサイズ60(平均粒径254ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけた。サンプル7及び9〜14は、長さ方向に巻きつけて単一の継ぎ目を形成した。サンプル8は、0.5インチ離間されたそれぞれ2インチのストリップの状態で巻きつけた。ロールは、別個の電気的に駆動される繰り出しスタンドに取り付け、サンプルが繰り出し機と電力巻き取り機との間で張力のかかった状態で巻かれるように、サンプルの表面に対して配置した。ロールは、サンプルの移動方向とは逆方向に毎分1800フィートの速度で回転した。擦り粗面処理の間に発生する塵、粒子などを取り除くために、クイックドラフト吸引装置をサンプル表面の近くに配置した。
擦り粗面処理条件を以下の表6に要約する。
【0040】
次いで特定サンプルのいくつかの特性を試験し、擦り粗面処理されていない対照サンプルと比較した。結果を以下の表7に示す。
【0041】
示されるように、本発明に従って形成された擦り粗面処理サンプルは、優れた物理的特性を達成した。例えば、試験された擦り粗面処理サンプルの各々は、対照サンプルよりも大きい油吸収力を有していた。
本発明はその特定の実施形態に関して詳細に説明したが、当業者は、前述したものを理解する上で、こうした実施形態の変更、変形及び均等物を容易に着想できることを理解する。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲として想定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の1つの実施形態に従って水圧交絡された複合布を形成するためのプロセスの概略図である。
【図2】本発明の1つの実施形態に従って複合布を擦り粗面処理するためのプロセスの概略図である。
【図3】本発明の別の実施形態に従って複合布を擦り粗面処理するためのプロセスの概略図である。
【図4】本発明の別の実施形態に従って複合布を擦り粗面処理するためのプロセスの概略図である。
【図5】本発明の別の実施形態に従って複合布を擦り粗面処理するためのプロセスの概略図である。
【図6】実施例1の対照Wypall(登録商標)X80Red拭取材サンプルのパルプ面のSEM写真である。
【図7】実施例1の対照Wypall(登録商標)X80Red拭取材サンプルのパルプ面のSEM写真(45度断面)である。
【図8】実施例1の対照Wypall(登録商標)X80Red拭取材サンプルのスパンボンド面のSEM写真である。
【図9】実施例1の擦り粗面処理されたWypall(登録商標)X80Red拭取材サンプル(1パス)のパルプ面のSEM写真であり、ここでギャップは0.014インチであり、線速度は毎分17フィートであった。
【図10】実施例1の擦り粗面処理されたWypall(登録商標)X80Red拭取材サンプルのスパンボンド面のSEM写真(2パス)であり、ここでギャップは0.014インチであり、線速度は毎分17フィートであった。
【図11】実施例2のサンプル4のSEM写真(45度断面)である。
【背景技術】
【0001】
家庭用及び産業用拭取材は、極性液体(例えば、水及びアルコール)及び無極性液体(例えば、油)の両方をすばやく吸収するために用いられることが多い。拭取材は、該液体を、例えば、絞るなど、圧搾によって除去しようとするまで、該液体を拭取材構造体内に保持するのに十分な吸収力をもたなければならない。さらに、拭取材は、使用中にしばしば加えられる引裂き力、引伸ばし力、及び擦り粗面処理力に耐えられるような良好な物理的強度と耐摩耗性をもたなければならない。さらに、拭取材はまた、柔らかな感触でなければならない。
従来、メルトブローン不織ウェブなどの不織布が拭取材として広く用いられてきた。メルトブローン不織ウェブは、液体を吸収し保持するのに適した繊維間毛管構造を有する。しかし、メルトブローン不織ウェブは、時には、例えば、引裂き強度及び耐磨耗性など、高耐久性拭取材として使用するのに必要な物理的性質に欠けることがある。それゆえ、メルトブローン不織ウェブは、典型的には、例えば、研磨面又は粗表面上での使用には望ましくない可能性のある不織ウェブなどの支持層にラミネートされる。スパンボンドウェブは、メルトブローン不織ウェブより太く強い繊維を含有し、例えば、引裂き強度及び耐磨耗性など、良好な物理的性質をもたらすことができる。しかし、スパンボンドウェブは、時には、拭取材の吸水特性を増強する緻密な繊維間毛管構造に不足することがある。さらに、スパンボンドウェブは、不織ウェブ内での液体の流れ又は移送を妨げる接合点をもつことが多い。
【0002】
これらの問題及びその他の問題を受けて、パルプ繊維が実質的に連続したフィラメントの不織層と水圧交絡された不織複合布が開発された。これらの布の多くは、良好なレベルの強度を有していたが、柔軟性及び手触りが適切でないことが多かった。例えば、水圧交絡は、多くの水量と高い圧力によって繊維を交絡する。残存水は、一連の乾燥カンを通して除去され得る。しかし、高水圧及び比較的高い乾燥カンの温度は、本質的に繊維を硬い構造に圧縮し又は固める。そのため、強度を顕著に低減することなく不織複合布を柔軟にしようとする技術が開発された。こうした技術の1つは、全ての目的についてその全体が本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,103,061号(Andersonら)に記載される。Andersonらは、クレープ加工のような機械的な柔軟化に供される不織複合布を対象とする。複合材を柔軟にする他の試みには、化学剤の添加、カレンダー加工及びエンボス加工が含まれていた。しかし、こうした改善にも拘わらず、不織複合布は、「布のような」感触を与えるのに必要なレベルの柔軟性及び手触りになおも欠けている。
従って、強く、柔軟であり、種々広範な拭取材用途に用いるのに良好な吸収性能も示す布が必要とされ続けている。
【発明の開示】
【0003】
本発明の1つの実施形態によれば、熱可塑性繊維を含有する不織ウェブを提供する工程を含む、布を形成する方法が開示される。不織ウェブは、ステープル繊維と交絡されて複合材を形成する。複合材は、第1の表面及び第2の表面を定める。複合材の第1の表面は擦り粗面処理されている。
本発明の別の実施形態によれば、熱可塑性の連続繊維を含有する不織ウェブを提供する工程を含む布を形成する方法が開示される。不織ウェブは、パルプ繊維と水圧交絡されて複合材を形成する。パルプ繊維は、複合材の約50重量%より多い量である。複合材は、第1の表面及び第2の表面を定める。複合材の第1の表面は擦り粗面処理されている。
【0004】
本発明のさらに別の実施形態によれば、熱可塑性ポリオレフィン繊維を含有するスパンボンドウェブを提供する工程を含む布を形成する方法が開示される。スパンボンドウェブは、パルプ繊維と水圧交絡されて複合材を形成する。パルプ繊維は、複合材の約60重量%〜約90重量%の量である。複合材は、第1の表面及び第2の表面を定める。複合材の第1の表面はサンダー仕上げされている。
本発明のさらに別の実施形態によれば、熱可塑性ポリオレフィン繊維を含有するスパンボンドウェブを含む複合布が開示される。スパンボンドウェブは、パルプ繊維と水圧交絡される。パルプ繊維は、複合布の約50重量%より多い量であり、複合布の少なくとも1つの表面は擦り粗面処理されている。一部の実施形態において、擦り粗面処理された表面は、他の点では同一の複合布の擦り粗面処理されていない表面の繊維よりも均一な方向に並んだ繊維を含有する場合がある。さらに、擦り粗面処理された表面は、他の点では同一の複合布の擦り粗面処理されていない表面よりも多くの数の露呈した繊維を含有する場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
当業者に向けられた、最良の形態を含む本発明の十分な及び本発明を可能にする開示が、添付の図面を参照しながら本明細書の残りの部分でさらに具体的に説明される。
本明細書及び図面において参照番号の反復使用は、本発明の同じ又は類似した特徴又は要素を表すことを意図したものである。
これより本発明の種々の実施形態の詳細な説明が行われ、以下にそのうちの1つ又はそれ以上の実施例が示される。各実施例は、本発明を限定するのではなく、本発明を説明する目的で与えられる。事実、本発明の範囲又は精神を逸脱することなしに、本発明に種々の修正および変形を施せることが、当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施形態の一部として図示され又は説明された特徴を、別の実施形態に用いて、更に別の実施形態を得ることができる。従って、そうした修正及び変形を、添付の請求項及びその均等物の範囲内に入るものとして網羅することを、本発明は意図されている。
【0006】
定義
ここで用いられる「不織ウェブ」という用語は、個々の繊維又は糸が相互に組み合わされているが、編成布におけるような識別可能な形態ではない構造を有するウェブを意味する。不織ウェブは、例えば、メルトブローンウェブ、スパンボンドウェブ、カーデッドウェブ、空気堆積ウェブなどを含む。
ここで用いられる「スパンボンドウェブ」という用語は、小さな直径の実質的に連続な繊維から形成される不織ウェブを意味する。繊維は、溶融した熱可塑性材料を、普通は環状の紡糸口金の複数の微細な毛細管からフィラメントとして押し出し、次いで、押し出された繊維の直径を、例えば、引き取り及び/又は他の周知のスパンボンディング機構によって、急速に減じることによって形成される。スパンボンドウェブの製造法は、例えば、Appel他による米国特許第4,340,563号、Dorschner他による米国特許第3,692,618号、Matsuki他による米国特許第3,802,817号、Kinneyによる米国特許第3,338,992号、Kinneyによる米国特許第3,341,394号、Hartmanによる米国特許第3,502,763号、Levyによる米国特許第3,502,538号、Dobo他による米国特許第3,542,615号、及び、Pike他による米国特許第5,382,400号に記述され説明されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。スパンボンド繊維は、一般に集積表面上に堆積されるときは粘着性をもたない。スパンボンド繊維は、時には約40ミクロンより小さな直径を有し、約5から約20ミクロンまでの間の直径を有することが多い。
【0007】
ここで用いられる「メルトブローンウェブ」という用語は、複数の微細な、普通は環状のダイの毛細管を通して、融解した繊維として、収束性高速気体(例えば、空気)流中に押し出された繊維から形成される不織ウェブを意味するが、その際、該気体流は融解した熱可塑性材料の繊維を細くして、それらの直径をミクロファイバーの直径にまで減じる。その後、メルトブローン繊維は高速気体流によって運ばれ、集積表面上に堆積されてランダムに分配されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。そのようなプロセスは、例えば、ブチン他による米国特許第3,849,241号において開示されており、この特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。幾つかの場合には、メルトブローン繊維は、連続又は不連続のミクロファイバーであって、一般に直径が10ミクロンより小さく、集積表面上に堆積したときには一般に粘着性をもつ。
ここに用いられる「多成分繊維」又は「コンジュゲート繊維」という用語は、少なくとも二つのポリマー成分から形成された繊維を意味する。そのような繊維は、通常別々の押出成形機から押し出されるが、一緒に紡糸されて一つの繊維を形成する。それぞれの成分のポリマーは通常は互いに異なるが、多成分繊維は類似の又は同じポリマー材料の別々の成分を含むことができる。個々の成分は、典型的には、該繊維の断面にわたって実質的に一定の位置にある区分された区域に配置され、実質的に該繊維の全長に沿って延びる。そのような繊維の配置は、例えば、並列配置、パイ型配置、又は他の任意の配置とすることができる。二成分繊維及びその製造方法は、Kaneko他による米国特許第5,108,820号、Kruege他による米国特許第4,795,668号、Pike他による米国特許第5,382,400号、Strack他による米国特許第5,336,552号、及び、Marmon他による米国特許第6,200,669号に教示されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。繊維及び該繊維を含む個別の成分もまた、Hogel他による米国特許第5,277,976号、Hillsによる米国特許第5,162,074号、Hillsによる米国特許第5,466,410号、Largman他による米国特許第5,069,970号、Largman他による米国特許第5,057,368号において記述されているような様々な形状をもつことができ、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
【0008】
ここに用いられる「平均繊維長」という用語は、フィンランド、カヤーニ所在のKajaani Oy Electronicsから入手可能な繊維分析器モデルNo.FS−100を使用して測定されたパルプ繊維の加重平均長さを意味する。試験手順によれば、パルプ試料は繊維の束又は結束が存在しないことを確実にするために浸軟液で処理される。各々のパルプ試料は熱水中に崩壊させられ、希釈しておよそ0.001%の溶液とされる。標準カヤーニ繊維分析試験手順を用いて試験するときは、個々の試験試料には、希薄溶液からおよそ50から100mlまでの分量が分取される。加重平均繊維長は、次式で表すことができる。
ここで、
k=最大の繊維長
xi=繊維長
ni=xiの長さをもつ繊維の数、及び
n=測定した繊維の総数である。
【0009】
ここに用いられる「低平均繊維長のパルプ」という用語は、相当な量の短い繊維及び非繊維粒子を含むパルプを意味する。多くの2次木質繊維パルプは、低平均繊維長のパルプと考えることができる。しかし、2次木質繊維パルプの品質は、リサイクル繊維の品質、及び、前の処理のタイプ及び量に依存するであろう。低平均繊維長のパルプは、例えば、Kajaaniの繊維分析器モデルNo.FS−100(フィンランド、カヤーニ所在のKajaani Oy Electronics社製)などの光ファイバー分析器によって測定されるように、約1.2mmより短い平均繊維長をもち得る。例えば、低平均繊維長のパルプは、約0.7から1.2mmまでの範囲の平均繊維長をもち得る。
ここに用いられる「高平均繊維長のパルプ」という用語は、比較的少量の短い繊維及び非繊維粒子を含むパルプを意味する。高平均繊維長のパルプは、典型的にはある非2次の(即ち、バージンの)繊維から形成される。選別された2次繊維パルプもまた高平均繊維長をもち得る。高平均繊維長パルプは、典型的には、例えば、Kajaaniの繊維分析器モデルNo.FS−100(フィンランド、カヤーニ所在のKajaani Oy Electronics社製)などの光ファイバー分析器によって測定されるように、約1.5mmより大きな平均繊維長をもつ。例えば、高平均繊維長パルプは、約1.5mmから約6mmまでの平均繊維長をもち得る。
【0010】
詳細な説明
一般に、本発明は、擦り粗面処理された(例えば、サンダー仕上げされた)1以上の表面を有する不織複合布を対象とする。不織複合布の柔軟性及び手触りを改善することに加えて、予期せぬことに、こうした布を擦り粗面処理することによってまた、優れた液体処理特性(例えば、吸収力、吸収速度、吸い上げ速度など)、並びに改善された嵩及び毛細管張力を付与できることを見出した。
不織複合布は、吸収性ステープル繊維及び熱可塑性繊維を含有し、種々の理由から有益である。例えば、不織複合布の熱可塑性繊維は、強度、耐久性及び油吸収特性を改善できる。また吸収性ステープル繊維は、嵩、手触り、水吸収特性を改善できる。不織複合布に使用される熱可塑性繊維及び吸収性ステープル繊維の相対量は、所望される特性に応じて変動してもよい。例えば、熱可塑性繊維は、不織複合布の約50重量%より少ない量、一部の実施形態では、不織複合布の約10重量%〜約40重量%の量であってもよい。同様に、吸収性ステープル繊維は、不織複合布の約50重量%より多い量、一部の実施形態では不織複合布の約60重量%〜約90重量%の量であってもよい。
【0011】
吸収性ステープル繊維は、種々の異なる材料から形成することができる。例えば、一実施形態においては、吸収性ステープル繊維は、非熱可塑性であり、セルロース繊維(例えば、パルプ、サーモメカニカルパルプ、合成セルロース繊維、修飾セルロース繊維、など)並びに他のタイプの非熱可塑性繊維(例えば、合成ステープル繊維)を含む。適切なセルロース繊維の供給源の幾つかの例には、加熱機械処理された、漂白及び無漂白の軟木及び堅木のパルプなどのバージン木質繊維がある。オフィス回収紙、新聞紙、褐色用紙、厚紙スクラップなどから得られる2次的又はリサイクル繊維も用いることができる。さらに、マニラ麻、亜麻、トウワタ、綿、改質綿、リンター、などの植物繊維も使用できる。加えて、例えば、レーヨン及びビスコース・レーヨンなどの合成セルロース繊維を用いることもできる。修飾セルロース繊維も使用できる。例えば、吸収性ステープル繊維は、炭素鎖に沿ったヒドロキシル基を適切なラジカル(例えば、カルボキシル、アルキル、アセテート、ナイトレートなど)に置換することによって形成されるセルロース誘導体から構成されてもよい。述べられたように、非セルロース繊維も吸収性ステープル繊維として利用できる。そのような吸収性ステープル繊維の幾つかの例には、それらに限定されはしないが、アセテート・ステープル繊維、Nomex(登録商標)ステープル繊維、Kevlar(登録商標)ステープル繊維、ポリビニルアルコール・ステープル繊維、リヨセル・ステープル繊維などがある。
吸収性ステープル繊維として利用される場合、パルプ繊維は、高平均繊維長、低平均繊維長、又はこれらを混合した長さをもつことができる。適切な高平均長のパルプ繊維は、北方針葉樹、南方広葉樹、アメリカスギ、赤杉、ツガ、マツ(例えば、南方マツ)、トウヒ(例えば、黒トウヒ)、及びそれらの組み合わせなどを含むが、それらに限定はされない。例示的な高平均繊維長の木質パルプは、Kimberly−Clark社から“Longlac 19”という商品名で入手できるものを含む。適切な低平均繊維長をもつパルプ繊維の幾つかの例には、ある種のバージン堅木パルプ、及び、例えば、新聞紙、回収された厚紙、及びオフィス排紙などの供給源からの2次(即ち、リサイクルされた)繊維パルプがあるが、それらに限定はされない。ユーカリ、カエデ、カバ、ポプラなどの堅木繊維も、低平均長パルプ繊維として用いることができる。高平均繊維長及び低平均繊維長のパルプの混合物も使用できる。例えば、混合物は重量で約50%より多い低平均繊維長のパルプ、及び、重量で約50%より少ない高平均繊維長のパルプを含むことができる。一つの例示的な混合物は、重量で75%の低平均繊維長のパルプと、重量で約25%の高平均繊維長のパルプを含む。
【0012】
述べられたように、不織複合布はまた、熱可塑性繊維を含む。熱可塑性繊維は、実質的に連続な繊維であるか、又は、ステープル繊維で約0.1ミリメートルから約25ミリメートルまでの、幾つかの実施形態においては約0.5ミリメートルから約10ミリメートルまでの、さらに幾つかの実施形態においては約0.7ミリメートルから約6ミリメートルまでの平均繊維長をもつステープル繊維とすることができる。繊維長に関らず、熱可塑性繊維は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、及びそれらの混合物又はコポリマーなどを含む、様々の異なったタイプのポリマーから形成することができるが、それらに限定はされるものではない。熱可塑性繊維はポリオレフィンを含むことが望ましく、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むことがより望ましい。適切なポリマーの組成は、色素、抗酸化剤、流動性促進剤、安定剤、芳香剤、研磨剤粒子、充填剤などに加えて、ポリマー中にブレンドされた熱可塑性エラストマーをも含むことができる。随意的に、多成分(例えば、バイオ成分)の熱可塑性繊維が利用される。例えば、多成分繊維に関する適切な配置は、並立配置及びシース・コア配置を含み、適切なシース・コア配置は偏心シース・コア及び同心シース・コア配置を含む。幾つかの実施形態においては、当技術分野では周知のことであるが、多成分繊維を形成するのに用いられるポリマーは、異なる結晶化及び/又は固化の性質を生ずるように、十分に異なった融点をもつ。多成分繊維は、約20%から約80%までの、幾つかの実施形態においては約40%から60%までの重量の低融点ポリマーを含むことができる。さらに、多成分繊維は、約80%から約20%までの、幾つかの実施形態においては約60%から40%までの重量の高融点ポリマーを含むことができる。
熱可塑性繊維及び吸収性ステープル繊維の他に、不織複合材料は、種々の他の材料を含むこともできる。例えば、強度及び耐磨耗性を改善するために、少量の湿潤強度をもつ樹脂及び/又は樹脂接合材を利用することができる。水素結合の程度を減じるために結合除去剤を利用することもできる。例えば、複合層の重量で約1%から約4%までの量のある種の結合除去剤を添加すると、静的及び動的擦り粗面処理係数の測定値を低減して、耐磨耗性を改善することができる。例えば、活性炭、粘土、でんぷん、高吸収性材料など、種々の他の材料も利用できる。
【0013】
幾つかの実施形態においては、例えば、熱可塑性繊維と吸収性ステープル繊維とを、当技術分野で既知の種々の交絡技術(例えば、水圧、空気、機械的など)のどれかを用いて、一体的に交絡させることによって、不織複合材料が形成される。例えば、一実施形態においては、熱可塑性繊維から形成された不織ウェブが、水圧交絡法を用いて吸収性ステープル繊維と一体的に交絡される。典型的な水圧交絡プロセスは、高圧ジェット水流を利用して、繊維及び/又はフィラメントを交絡させ、高度に交絡した強化された複合構造を形成する。水圧交絡された不織複合材料は、例えば、Evansによる米国特許第3,494,821号、Bouoltonによる米国特許第4,144,370号、Everhart他による米国特許第5,284,703号、及び、Anderson他による米国特許第6,315,864号において開示されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
図1を参照すると、例えば、不織ウェブとパルプ繊維から不織複合布を形成するのに適切な水圧交絡法の一実施形態が図示されている。図示されるように、パルプ繊維を含む繊維状スラリが、従来型の製紙ヘッドボックス12に運ばれ、そこでスルース14を通して通常の成形布又は表面16上に堆積される。パルプ繊維の懸濁液は、通常の製紙プロセスに典型的に用いられるいずれかの粘稠度を有するものとすることができる。例えば、懸濁液は、重量で約0.01から約1.5パーセントまでの水中に懸濁されたパルプ繊維を含有することができる。次いで、水がパルプ繊維の懸濁液から除去され、パルプ繊維の均一層18が形成される。
【0014】
不織ウェブ20はまた、回転供給ロール22から引出されて、スタック・ローラ28及び30によって形成されたS字ロール配列26のニップ24を通過する。不織ウェブ20を形成するために種々の方法のいずれを用いてもよい。例えば、一実施形態においては、例えばウール又は綿のカーディング・プロセスなどの通常のカーディング・プロセスを用いて、ステープル繊維を用いて不織ウェブ20を形成する。しかし、空気堆積又は湿式堆積プロセスなどの他のプロセスも、ステープル繊維ウェブを形成するために用いることができる。さらに、スパンボンド法、メルトブロー法など、メルト紡ぎプロセスによる形成物のような、実質的に連続な繊維を用いて不織ウェブ20を形成してもよい。
不織ウェブ20は、耐久性、強度、手触り、美しさ及び/又は他の性質を改善するために、接合することができる。例えば、不織ウェブ20は、熱的方法、超音波法、接着剤、及び/又は機械的方法によって接合することができる。一例として、不織ウェブ20は、多くの小さな分離した接合点をもつように点接合することができる。例示的な点接合プロセスは熱的点接合プロセスであり、一般に一つ又はそれ以上の層を、彫り込みパターンが形成されたロールと第2の接合ロールなど、加熱されたロールの間を通過させるステップを含む。彫り込みロールは、ウェブが全表面で接合しないように何らかの方法でパターン化され、第2のロールは滑らかであるか又はパターン彫り込みされたものであってもよい。その結果、刻まれたロールの種々のパターンが、美的な理由ばかりでなく機能的な理由のために開発された。例示的な接合パターンには、それらに限定はされないが、Hansen他による米国特許第3,855,046号、Levy他による米国特許第5,620,779号、Haynes他による米国特許第5,962,112号、Sayovitz他による米国特許第6,093,665号、Romano他による米国意匠特許第428,267号、及び、Brownによる米国意匠特許第390,708号に記述されているものがあり、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。例えば、幾つかの実施形態においては、不織ウェブ20は、随意的に接合して、全接合面積が約30%より小さくなるように(通常の光学顕微鏡法で測定して)、及び/又は、一様な接合密度が1平方インチ当たり約100接合点より大きくなるようにすることができる。例えば、不織ウェブは、約2%から約30%までの全接合面積、及び/又は、1平方インチ当たり約250から約500までの個数のピン接合をもつことができる。そのような全接合面積及び/又は接合密度の組み合わせは、幾つかの実施形態においては、1平方インチ当たり約100より多くのピン接合を有するピン接合パターンであって、滑らかなアンビル・ロールに完全に接触した場合に約30%より小さな全接合表面積を与えるピン接合パターンを用いて、不織ウェブ20を接合することによって達成することができる。幾つかの実施形態においては、接合パターンは、1平方インチ当たり約250から約350のピン接合を有するピン接合密度、及び/又は、滑らかなアンビル・ロールに接触した場合に約10%から約25%までの全接合面積をもつことができる。
【0015】
さらに、不織ウェブ20は、連続的なシーム又はパターンによって接合することができる。付加的な実施例として、不織ウェブ20は、シートの縁に沿って、又は、単に縁に隣接するウェブの幅又は横方向(CD)にわたって接合することができる。熱的接合法とラテックス含浸法の組み合わせなどの他の接合技術を用いることもできる。代替として、及び/又は、付加的に、樹脂、ラテックス又は接着剤を、例えば、スプレー法又はプリント法によって不織ウェブ20に塗り、乾燥させて所望の接合を生ずることができる。さらに他の適切な接合技術が、Everhart他による米国特許第5,284,703号、Anderson他による米国特許第6,103,061号、Varonaによる米国特許第6,197,404号に記載されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
再び図1に戻ると、不織ウェブ20は次に従来型の水圧交絡機の小孔をもつ交絡表面32の上に置かれ、そこでは次にパルプ繊維層18がウェブ20の上に置かれる。必須のことではないが、通常、パルプ繊維層18は不織ウェブ20と水圧交絡マニホルド34の間に配置されることが望ましい。パルプ繊維層18及び不織ウェブ20は、一つ又はそれ以上の水圧交絡マニホルド34の下を通過させ、流体ジェットで処理してパルプ繊維層18を不織ウェブ20の繊維に交絡させ、それらを不織ウェブ20中に又はその中を押しやって不織複合布36を形成する。あるいは、水圧交絡は、パルプ繊維層18及び不織ウェブ20が、湿式堆積を行ったのと同じ有小孔スクリーン(例えば、メッシュ布)上にあるときに行うことができる。本発明はまた、乾燥されたパルプ繊維層18を不織ウェブ20上に重ね、乾燥シートを特定の粘稠度まで再水和し、次いで再水和シートを水圧交絡させることを企図する。水圧交絡は、パルプ繊維層18が高度に水で飽和されているときに行ってもよい。例えば、パルプ繊維層18は、水圧交絡の直前に、重量で約90%までの水を含んでもよい。或いは、パルプ繊維層18は、空気堆積又は乾燥堆積層であってもよい。
【0016】
水圧交絡は、例えば、Everhart他による米国特許第5,284,703号、及びEvansによる米国特許第3,485,706号に記載されているような通常の水圧交絡装置を用いて達成することができ、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。水圧交絡は、例えば、水のような任意の適切な作動流体を用いて行うことができる。作動流体は、流体を一連の個々の孔又はオリフィスに均等に分配するマニホルドを通して流れる。これらの孔又はオリフィスは、直径が約0.003インチから約0.015インチまでとすることができ、一つ又はそれ以上の列に整列させて、各列に、例えば1インチ当たり30から100までの任意の数のオリフィスが並ぶようにすることができる。例えば、直径0.007インチのオリフィス、1インチ当たり30個の孔、及び1列の孔列を有するストリップを備えた、ノースカロライナ州Charlotte所在のFleissner,Inc.製のマニホルドを利用することができる。しかし、多くの他のマニホルド構成及び組み合わせを用い得ることも理解すべきである。例えば、単一のマニホルドを用いてもよく、又は幾つかのマニホルドを連続して配置してもよい。さらに、必須ではないが、水圧交絡中に典型的に用いられる流体圧力は、約1000から約3000psigまでの範囲、幾つかの実施形態においては、約1200から約1800psigまでの範囲に及ぶ。例えば、上記圧力の高圧力域で加工処理する場合には、不織複合材料36は、1分当たり約1000フィート(fpm)にまで及ぶ速度で加工処理することができる。
流体は、約40×40から約100×100までのメッシュサイズを有する単一平面メッシュのような有孔表面によって支持されるパルプ繊維層18及び不織ウェブ20に衝撃を与えることができる。有孔表面は、約50×50から約200×200までのメッシュサイズを有する多プライメッシュであってもよい。多くの水ジェット処理工程において典型的であるように、真空スロット38は、水圧ニードリング・マニホルドの直下に、又は交絡マニホルドの下流側にある有孔交絡面32の下に配置して、過剰な水が水圧交絡された不織複合材料36から抜き取られるようにすることができる。
【0017】
何れかの特定の動作理論に拘束されるものではないが、不織ウェブ20上にあるパルプ繊維層18に直接衝突する作動流体の円柱状ジェットは、該パルプ繊維を、該不織ウェブ20内の繊維のマトリックス又はネットワークの中に押し流し、また、その中を部分的に通過させるように働くものと考えられる。流体ジェット及びパルプ繊維層18が不織ウェブ20と相互作用する場合、層18のパルプ繊維は、該不織ウェブ20の繊維と交絡され、また相互に交絡される。幾つかの実施形態においては、そのような交絡は「側面性」を有する材料を生ずることができ、ここで、一つの表面は優位な量の熱可塑性繊維をもち、該材料をより滑らかで、よりプラスティック様の感触にし、一方、もう一つの表面は優位な量のパルプ繊維を含み、該材料をより柔らかく、より粘稠な感触にする。換言すれば、層18のパルプ繊維は不織ウェブ20のマトリックスを通して及びその中に押し流されるが、該パルプ繊維の多くは、依然として材料36の表面又はその近くに留まる。従って、この表面は該不織ウェブ20のパルプ繊維の大部分を有し、もう一方の表面は、該不織ウェブ20の熱可塑性繊維の大部分を有する。
流体ジェット処理後、次に、得られた不織複合布36は、乾燥工程(例えば、圧縮性、非圧縮性などの)に移送することができる。材料を水圧ニードリングベルトから乾燥工程に移送するために、差動速度ピックアップロールを用いることができる。或いは、従来型の真空タイプのピックアップ及び移送布を用いてもよい。所望であれば、不織複合布36を、乾燥工程に移送する前に、湿式クレープ加工してもよい。布36の非圧縮乾燥は、例えば、従来型の貫流式乾燥装置42を利用して達成することができる。貫流式乾燥機42は、通気孔46と、通気孔46を通して吹き出される高温空気を受けるための外側フード48とを組み合わせてもつ外側回転シリンダ44とすることができる。貫流式乾燥機のベルト50は、不織複合布36を、該貫流式乾燥機の外側シリンダ44の上部部分の上に運ぶ。貫流式乾燥機42の外側シリンダ44中の通気孔46を通過させられる加熱空気は、不織複合布36から水を除去する。貫流式乾燥機42によって不織複合布36中を通過させられる空気の温度は、約200°Fから約500°Fまでに及ぶことができる。他の有用な貫流式乾燥方法及び装置は、例えば、Niksによる米国特許第2,666,369号、及びShawによる米国特許第3,821,068号に見出すことができ、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
【0018】
水圧交絡された不織複合布に加えて、不織複合布は、熱可塑性繊維と吸収性ステープル繊維のブレンドを含有することもできる。例えば、不織複合布は、形成中の不織ウェブに吸収性ステープル繊維がそれを通して加えられるシュートの近傍に、少なくとも一つのメルトブロー用ダイヘッドが配置される処理工程によって形成することのできる「コフォーム」材料とすることができる。そのようなコフォーム材料の数例は、Anderson他による米国特許第4,100,324号、Everhart他による米国特許第5,284,703号、及び、Georger他による米国特許第5,350,624号に開示されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
それが形成される様式に関係なく、複合布は、その特定の特性を向上させるために本発明に従って擦り粗面処理仕上げプロセスに供される。種々の周知の擦り粗面処理仕上げプロセスを、一般に行うことができ、それにはサンダー仕上げ、毛羽立てなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、いくつかの好適なサンダー仕上げプロセスは、全ての目的についてそれらの全体が本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,269,525号(Dischlerら)、米国特許第6,260,247号(Dischlerら)、米国特許第6,112,381号(Dischlerら)、米国特許第5,662,515号(Evensen)、米国特許第5,564,971号(Evensen)、米国特許第5,531,636号(Bissen)、米国特許第5,752,300号(Dischlerら)、米国特許第5,815,896号(Dischlerら)、米国特許第4,512,065号(Otto)、米国特許第4,468,844号(Otto)、及び米国特許第4,316,928号(Otto)に記載されている。本発明に使用するのに好適なサンダーの一部の例としては、ニューヨーク、GloversvilleのCurtin−Hebert Co.Inc.から入手可能な450シリーズ、620シリーズ及び710シリーズMicrogrinderが挙げられる。
【0019】
例示の目的のためだけに、好適な擦り粗面処理システム100の1つの実施形態を図2に示す。示されるように、擦り粗面処理システム100は、2つのピンチロール83を含み、それらを通って複合布36が供給される。駆動ロール85は、所望の方向へピンチロール83を動かす。複合布36は、ピンチロール83を通過した後に、擦り粗面処理ロール80と圧力ロール82との間を通る。擦り粗面処理ロール80の表面81の少なくとも一部は、サンドペーパー又はサンダー仕上げクロスのような擦り粗面処理材料で覆われているので、圧力ロール82が複合布36の表面90を擦り粗面処理ロール80の表面81に対して押し当てたときに擦り粗面処理が生じる。一般的に言えば、擦り粗面処理ロール80は、反時計周り又は時計周り方向のいずれかに回転する。この様式にて、擦り粗面処理ロール80は、複合布36の表面90に所望の擦り粗面処理作用を付与できる。擦り粗面処理ロール80は、擦り粗面処理を最適化するために複合布36とは反対の方向に回転してもよい。すなわち、擦り粗面処理ロール80は、複合布36との接触点にて擦り粗面処理表面81の接線方向が、移動する布36の直線方向と反対となるように回転してもよい。例示された実施形態において、例えば、ロールの回転方向は時計周りであり、布の移動方向は左から右である。
擦り粗面処理システム80はまた排気システム88を含んでいてもよく、それは擦り粗面処理が所望のレベルになった後、真空力を使用して、複合布36の表面90に残ったくずを除去する。圧力ロール82の表面を清掃するためにブラシロール92を利用してもよい。一旦擦り粗面処理されたら、次いで複合布36は、駆動ロール89によって作動されるピンチロール87を介してサンダーを離れる。
【0020】
上述したように、複合布36は、1つの表面がステープル繊維(例えばパルプ繊維)の大半を有する「一面性」を有するものであってもよい。1つの実施形態において、擦り粗面処理された複合布36の表面90は、ステープル繊維の大半を含有してもよい。さらに、表面90は、不織ウェブの熱可塑性繊維の大半を含有するものであってもよい。本発明者らは、驚くべきことに、柔軟性及び手触りを改善するだけでなく、1以上の面を擦り粗面処理することによってもまた布の他の物理的特性、例えば嵩、吸収速度、吸い上げ速度及び吸収力を向上できることを見出した。理論に束縛されることを意図しないが、擦り粗面処理面は、その面が接触する表面繊維を梳き、毛羽立て及び/又は起毛させる。結果として、繊維は機械的に再配置され、複合材のマトリックスからある程度引き出される。これらの起毛された繊維は、例えばパルプ繊維及び/又は熱可塑性繊維であってもよい。いずれにしても、表面の繊維はより均一な外観を示し、布の手触りを向上させ、より「布様」の材料を生み出す。
擦り粗面処理される表面の特性に関係なく、複合布36の特性が擦り粗面処理プロセスによって改質される程度は、擦り粗面処理材料の大きさ、ロールの接触力及び接触頻度などのような種々の異なる因子に左右される。例えば、擦り粗面処理ロール80を覆うために使用される擦り粗面処理材料の種類は、所望の擦り粗面処理レベルを達成するために選択的に変更されてもよい。例えば、擦り粗面処理材料は、固い擦り粗面処理粒子、例えばダイアモンド、金属及び/又はケイ素の炭化物、ホウ化物、窒化物を埋め込んだマトリックスから形成されてもよい。1つの実施形態において、ダイアモンド擦り粗面処理粒子は、例えば全ての目的についてその全体が本明細書に参考として組み込まれる米国特許第4,608,128号(Farmer)に記載されるように、めっき金属マトリックス(例えば、ニッケル又はクロム)内に埋め込まれる。より小さい粒径を有する擦り粗面処理粒子は、より大きい粒径を有するものに比べてより小さい程度に表面を擦り粗面処理する傾向にある。そのため、より大きい粒径の使用は、より重い布にはより好適な場合がある。しかし、粒径が大き過ぎる擦り粗面処理粒子は、複合布36をその特定の物理的特性を破壊する程度にまで擦り粗面処理する場合がある。こうした懸念のバランスを取るために、擦り粗面処理粒子の平均粒径は、約1〜約1000ミクロン、一部の実施形態では約20〜約200ミクロン、一部の実施形態では約30〜約100ミクロンの範囲とすることができる。
【0021】
同様に、擦り粗面処理ロール80の接触力が大きく及び/又は接触頻度が高いとまた、より大きい擦り粗面処理レベルを生じる場合がある。種々の因子がロール接触力及び頻度に影響を与え得る。例えば、擦り粗面処理ロール80に対する複合布36の線速度は、線速度が速くなるにつれて、一般により高い擦り粗面処理レベルに対応するように変動してもよい。大部分の実施形態では、複合布36の線速度は、毎分約100〜約4000フィート、一部の実施形態では毎分約500〜約3400フィート、一部の実施形態では毎分約1500フィート〜約3000フィートの範囲である。さらに、擦り粗面処理ロール80は、通常、毎分約100〜約8,000回転(rpm)、一部の実施形態では約500〜約6,000rpm、一部の実施形態では約1,000〜約4,000rpmの速度で回転する。所望により、複合布36と擦り粗面処理ロール80との間に速度の差異をつけて、擦り粗面処理プロセスを改善する。
圧力ロール82と擦り粗面処理ロール80との距離(すなわち「ギャップ」)も、擦り粗面処理レベルに影響する場合があり、より小さい距離は、一般により大きい擦り粗面処理レベルを生じ得る。例えば、圧力ロール82と擦り粗面処理ロール80との距離は、一部の実施形態では、約0.001インチ〜約0.1インチ、一部の実施形態では約0.01インチ〜約0.05インチ、一部の実施形態では約0.01インチ〜約0.02インチの範囲であってもよい。
【0022】
上述した1以上の特性は、所望の表面擦り粗面処理レベルを達成するために選択的に変更されてもよい。例えば、非常に大きい粒径を有する擦り粗面処理粒子が使用される場合、複合布36の物理的特性を壊すことなく、特定の擦り粗面処理レベルを達成するために擦り粗面処理ロール80の回転速度が比較的遅くなるように選択されるのが望ましい場合がある。さらに、複合布36はまた、所望の結果を達成するために複数の擦り粗面処理ロール80と接触してもよい。特定の効果を達成するために、様々な擦り粗面処理ロール80に関して様々な粒径を様々な順序で使用してもよい。例えば、複合布36はより大きい粒径(粗い)を有する擦り粗面処理ロールで前処理されて、布表面を後続の擦り粗面処理ロールによってより小さい粒径(細かい)により容易に変更できるようにするのが望ましい場合がある。さらに、複数の擦り粗面処理ロールがまた、複合布36の複数の表面を擦り粗面処理するために使用されてもよい。例えば、1つの実施形態において、複合布36の表面91は、表面90の擦り粗面処理の前、後及び/又は同時に擦り粗面処理ロール内で擦り粗面処理されてもよい。
本発明は、擦り粗面処理粒子で覆われたロールに限定されず、布表面を擦り粗面処理するための他のいかなる技術をも含むことができることを理解すべきである。例えば、固定バーを使用して所望の擦り粗面処理レベルを付与してもよい。これらのバーは、スチールのような種々の材料から形成され、擦り粗面処理表面を有するように構成されてもよい。図3〜図5を参照すると、固定バーを用いて複合布136を擦り粗面処理するための方法の種々の実施形態が例示されている。図3では、例えば、示された方向に移動する複合布136の表面153は、ロール160から繰り出され、ロール162に巻かれるときに固定バー150によって擦り粗面処理される。固定バー150は、擦り粗面処理表面を本来有していてもよく、又は擦り粗面処理粒子を含有する基材でバー150を包むなどして擦り粗面処理表面が提供されてもよい。図示されないが、種々の引張りロールなどが、固定バー150を横断するときに複合布136をガイドしてもよい。図4及び図5は、複数の固定バー150が使用されて複合布136を擦り粗面処理する同様の実施形態を例示する。図4では、複合布136の表面153は、単一の固定バー150で擦り粗面処理され、表面151は3つの他の固定バー150を用いて擦り粗面処理される。同様に、図5において、複合布136の各表面151及び153は、2つのブレーカーバーを用いて擦り粗面処理される。
【0023】
別の実施形態において、複合布36は、均一に間隔をあけて配置されたワイヤで覆われるロールとその表面を接触させることによって毛羽立てられてもよい。ワイヤは、普通は細かい可撓性のワイヤである。ワイヤを支持基材に埋め込み、その結果それらの先端部がごくわずかに突き出るのが有利な場合がある。こうした支持基材は、圧縮性材料、例えば発泡体、ゴム、軟質ゴム、フェルトなどから形成されてもよく、その結果衝突中に圧縮されてもよい。圧縮の程度は、そのワイヤ先端部が表面から突き出す程度、つまり毛羽立てワイヤ先端部が複合布36に入り込む程度を決める。ワイヤの存在以外、こうした毛羽立てロールは、他の点で図2に関して示された擦り粗面処理ロール80と同様であってもよい。
複合布36の擦り粗面処理前又は後に、複合布36に選択された特性を付与するために、他の仕上げ工程及び/又は後処理プロセスを使用するのが望ましい場合もある。例えば、複合布36は、伸びを向上させ、及び/又は均一な外観及び/又は特定の感触特性を付与するために、カレンダロールによってわずかに圧力がかけられ、又はその他の手法で処理されてもよい。或いは又はそれに加えて、種々の化学的後処理剤、例えば接着剤又は染料を複合布36に添加してもよい。利用されてもよい追加の後処理剤は、全ての目的についてその全体が本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,853,859号(Levyら)に記載される。さらに、複合布36の擦り粗面処理された表面は、擦り粗面処理プロセスの間に遊離した繊維を除去するために吸引されてもよい。
【0024】
本発明の複合布は、特に拭取材として有用である。該拭取材は、1平方メートル当たり約20グラム(gsm)から約300gsmまでの、幾つかの実施形態においては、約30gsmから200gsmまでの、さらに幾つかの実施形態においては、50gsmから150gsmまでの坪量をもつ。より低い坪量の製品は典型的には軽負荷拭取材としての使用に適し、一方、より高い坪量の製品は工業用拭取材として適している。拭取材はまた、種々の拭取り作業に対して任意の大きさとすることができる。拭取材はまた、約8センチメートルから約100センチメートルまでの、幾つかの実施形態においては約10から約50センチメートルまでの、さらに幾つかの実施形態においては約20センチメートルから約25センチメートルまでの幅をもつことができる。さらに、拭取材は、約10センチメートルから約200センチメートルまでの、幾つかの実施形態においては約20センチメートルから約100センチメートルまでの、さらに幾つかの実施形態においては約35センチメートルから約45センチメートルまでの長さをもつことができる。
必要なら、拭取材は、水、無水ハンドクレンザーなどの液体、又は任意の他の適切な液体を用いてウエット・タイプとすることができる。該液体は、防腐剤、難燃剤、界面活性剤、皮膚軟化薬、湿潤剤、などを含有することができる。一実施形態においては、例えば、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる、Clark他による米国特許出願公報第2003/0194932号に記載されているような無菌化処理を施すことができる。該液体は、噴霧法、浸し法、浸潤法、含浸法、ブラシ塗り法など、当技術分野で既知の任意の適切な方法で加えることができる。拭取材に加えられる液体の量は、複合布の性質、拭取材を保管するのに用いられる容器の型、該液体の性質、及び所望の拭取材の最終用途によって、変えることができる。一般に、各々の拭取材は、拭取材の乾燥質量ベースで、約150から約600重量%までの、幾つかの実施形態においては、約300から約500重量%までの液体を含有する。
【0025】
一実施形態においては、拭取材は、連続したミシン目の入ったロールの形で提供される。ミシン目は、脆弱ラインを与え、それにより拭取材がより容易に分離される。例えば、一実施形態においては、高さ6”のロールが、v字型に折りたたまれた12”幅の拭取材を含む。該ロールは12インチ毎にミシン目が入れられて、12”×12”の拭取材を形成する。もう一つの実施形態においては、拭取材は個々の拭取材の積重ねとして提供される。拭取材は、ロール、箱、タブ、柔軟性梱包材料などを含むが、それらに限定はされない、様々な形態、材料、及び/又は容器内に梱包することができる。例えば、一実施形態においては、拭取材は、選択的に再封可能な容器(例えば、円筒状の)中に縦に挿入することができる。適切な容器の幾つかの例には、剛性タブ、フィルムパウチなどがある。拭取材を保持するのに適切な容器の一つの具体例は、容器の頂上部分に再封可能な気密性の蓋(例えばポリプロピレン製の)が取り付けられた剛性の円筒状のタブ(例えばポリエチレン製の)である。この蓋は、初めはキャップの真下に位置する開口部を覆うヒンジ付きのキャップをもつ。該開口部は、密閉容器の内部からの拭取材の通過を可能にし、それにより個々の拭取材は、拭取材をつかんで各ロールのシームを引き離すことによって取り出すことができる。蓋の開口部は、拭取材を容器から取り出す際に各拭取材から余分な液体を除去するのに十分な圧力を与えるのに適切な大きさとする。
拭取材を供給するための他の適切な拭取材ディスペンサ、容器、及びシステムは、Buczwinski他による米国特許第5,785,179号、Zanderによる米国特許第5,964,351号、Zanderによる米国特許第6,030,331号、Haynes他による米国特許第6,158,614号、Huang他による米国特許第6,269,969号、Huang他による米国特許第6,269,970号、及び、Newman他による米国特許第6,273,359号に記載されており、これらの特許は、全ての目的に関してその全体が引用によりここに組み入れられる。
本発明は、次の実施例を参照すればより理解されるであろう。
【0026】
試験方法
次の試験方法は実施例で利用される。
嵩:布の嵩はその厚さに対応する。実施例では、TAPPI試験方法T402「紙、板、パルプハンドシート及び関連製品のための標準状態及び試験雰囲気」又はT411om−89「紙、板紙及び組み合わせた板の厚さ(キャリパー)」(スタックされたシートについては留意3)に従って嵩を測定した。T411om−89を実行するために使用されるマイクロメーターは、57.2ミリメートルのアンビル直径及び2キロパスカルのアンビル圧力を有するEmveco Model 200A Electronic Microgage(オレゴン州NewberryのEmveco,Inc.製)とすることができる。
【0027】
グラブ引張り強度:グラブ引張り試験は、一方向性応力を受けた際の布の破壊強度の計量法である。この試験は当技術分野で既知であり、連邦試験法標準191Aの方法5100の仕様に適合するものである。その結果は、破壊に要するポンド値で表される。高い数字ほど強い布を示す。グラブ引張り試験は、二つのクランプを使用し、その各々は、試料に接触する仕上げ面をそれぞれが有する二つのジョーをもつ。該クランプは、同じ平面内で、通常垂直に、3インチ(76mm)だけ離れて材料を掴み、所定の伸張速度で離れてゆく。グラブ引張り強度の値は、4インチ(102mm)かける6インチ(152mm)の試料サイズを用いて、1インチ(25mm)かける1インチのサイズのジョー仕上げ面、及び一定の伸張速度300mm/minによって得られる。試料はクランプのジョーより広く、布中の隣接する繊維によって与えられる付加的な強度と組み合わさった、クランプされた幅内の繊維の有効強度の典型値が得られる。例えば、ノースカロライナ州、Cary所在のSintec Corporationから入手可能なSintec 2 テスター、マサチューセッツ州、Canton所在のInstron Corporationから入手可能なInstronモデルTM,又は、ペンシルバニア州、Philadelphia所在のThwing−Albert Instrument Co.から入手可能なThwing−Albert モデルINTELLECT IIに、試験片がクランプされる。このことは、実際の使用における布の応力条件を綿密にシミュレートする。結果は、3つの試験片の平均値として報告され、該試験片を用いて、前後方向(CD)又は機械方向(MD)において行うことができる。
水取り込み速度:水取り込み速度は、材料表面上の存在量に対して試料が液体を完全にウェブ内に吸収するのに要する秒単位の時間である。具体的には、水の取り込みは、ASTM No.2410に従って、0.5立方センチメートルの水を、ピペットを用いて材料表面上に放出することによって測定される。4つの0.5立方センチメートルの水滴を(1面当たり2滴)各材料表面に加える。4滴の水が材料中に(z方向)吸込まれる平均時間を記録する。秒単位で測定され、より短い吸収時間は、より早い取り込み速度を示す。試験は、73.4°±3.6°F及び50%±5%の相対湿度において行われる。
【0028】
油取り込み速度:油の取り込み速度は、試料が所定量の油を吸込むのに要する秒単位の時間である。潤滑油の取り込みは、水に関して上述したのと同じ方法で測定されるが、但し、4滴(1面当たり2滴)の各々に対して0.1立方センチメートルの油が使用される。
吸収力:吸収力は、ある時間の間に液体(例えば、水又は潤滑油)を吸収する材料の能力を表し、飽和点において材料が保持する液体の総量に関係する。吸収力は、工業及び施設用タオル、及び拭取り紙に関する連邦規格No.UU−T−595Cに従って測定される。具体的には、吸収力は、液体の吸収によって生ずる試料の重量増加によって決められ、以下の式を用いて、吸収された液体の重量を試料の重量で割ったものとして%で表される。
吸収力=[(飽和した試料の重量−試料の重量)/試料の重量]]×100
テーバ耐磨耗性:テーバ耐磨耗性は、制御された回転擦り粗面処理作用によってもたらされた布の破壊に関する耐摩耗性を測定するものである。耐摩耗性は、ここで別記されていることを除いて、連邦試験法標準No.191Aである方法5306に従って測定される。試験片を擦り粗面処理するのに単一のホイールだけを用いる。擦り粗面処理ヘッド上にゴム製ホイール(No.H−18)、及び各アーム上に500グラムの釣合重りを有するテーバ標準擦り粗面処理機(モデルNo.E−140−15の試験片ホルダーを備えたモデルNo.504)の試験片プラットホームに、12.7×12.7cmの試験片がクランプされる。破壊強度の損失は、耐摩耗性を決定する基準としては用いない。結果は、破損時の擦り粗面処理サイクルで得られ、報告されるが、その際、布中に0.5cmの穴が生じた時点で損傷が起こったと判断した。
【0029】
ドレープ剛性:「ドレープ剛性」試験は、材料の曲げに対する抵抗力を測定するものである。曲げの長さは、材料の重量と剛性の間の相互作用の尺度であり、材料がそれ自体の重量で曲がる仕方によって、換言すれば、複合材料のそれ自体の重量下におけるカンチレバー曲げの原理を利用することによって示されるものである。一般に、試料を1分当たり4.75インチ(12cm/min)の速度でその長さ方向に平行の方向に滑らせて、その前縁が水平表面の端から突き出るようにする。試料の先端がそれ自体の重量によって下がり、その先端とプラットホームの端を結ぶ直線が水平方向に対して41.50°の角度を成す点まで下がったときの、張出し部分の長さを測定した。張出し部分が長いほど、試料の曲がるのが遅くなる。従って、より高い数値は、より堅い複合材を示す。この方法は、ASTM標準試験D1388の仕様に適合するものである。ドレープ剛性は、インチ単位で測定され、試験片の張出し部分が41.50°の勾配に達したときの試験片張出し部分の長さの半分である。試験試料は次のように準備した。試料は、1インチ(2.54cm)幅及び6インチ(15.24cm)の長さを有する長方形の片に切り分けた。各試料の試験片は、機械方向及び前後方向において試験した。ニューヨーク州Amityville所在のTesting Machines Inc.から入手可能なFRL−カンチレバー曲げ試験器、モデル79−10などの、適切なドレープ曲げ剛性試験器を用いて試験を行った。
Gelboリント:所与のサンプルに関するリントの量をGelboリント試験に従って測定した。Gelboリント試験は、連続的な屈曲及びねじれ運動に供される場合に布から放出される粒子の相対数を測定する。それは、INDA試験方法160.1−92に従って行われる。サンプルを屈曲チャンバに置く。サンプルを屈曲したときに、レーザー粒子カウンターにてカウントするために毎分1立方フィートにて空気をチャンバから抜き出す。粒子カウンターは、粒子の大きさに対応するチャネルを用いて特定粒径(例えば、25ミクロン)未満又はそれを超える大きさによって粒子をカウントする。結果は、10回の連続30秒間にわたってカウントされた粒子総数として、10回のカウント期間のうちの1回で得られた最大濃度、又は10回のカウント期間の平均として報告されてもよい。試験は、材料のリント発生の可能性を示す。
【実施例】
【0030】
実施例1
Wypall(登録商標)X80Red拭取材及びWypall(登録商標)X80Blue Steel拭取材(Kimberly−Clark Corporationから市販)を用意した。拭取材は、実質的に米国特許第5,284,703号(Everhartら)に従って不織複合材から形成した。特に、拭取材は1平方メートルあたり125グラム(gsm)の坪量を有し、北方針葉樹クラフト繊維と水圧交絡されたスパンボンドポリプロピレンウェブ(22.7gsm)から形成した。
図2に示される装置と実質的に同様であるニューヨーク、GloversvilleのCurtin−Hebert Co.Inc.から得られた620シリーズマイクログリンダーを用いて、種々の条件で拭取材を擦り粗面処理した。特に各拭取材をそのパルプ面にてまず擦り粗面処理し、種々の特性を試験した(1パス)。その後、拭取材のスパンボンド面を同一の擦り粗面処理条件を用いて擦り粗面処理した(2パス)。各パスの擦り粗面処理ロールは、サンプルの横方向に0.25インチ振動し、ロールが繊維で詰まらず、溝がロールに埋まらないことを確実にした。
各パスの擦り粗面処理条件を以下の表1に示す。
【0031】
擦り粗面処理した後、次いで種々の拭取材特性を試験した。本発明に従って擦り粗面処理されていない対照サンプルも試験した。表2はWypall(登録商標)X80Red拭取材について得られた結果を示し、表3はWypall(登録商標)X80Steel Blue拭取材について得られた結果を示す。
【0032】
【0033】
示されるように、擦り粗面処理されたサンプルの種々の特性は、擦り粗面処理されていない対照サンプルに比べて改善されていた。例えば、擦り粗面処理されたサンプルは、対照サンプルよりも約35〜67%高い潤滑油吸収力を有していた。擦り粗面処理されたサンプルはまた、対照サンプルより約20〜35%高い水吸収力を有していた。さらに、擦り粗面処理されたサンプルは、一般に、対照サンプルより低いドレープ剛性を有していた。
擦り粗面処理されていないWypall(登録商標)Red拭取材の対照サンプルのSEM写真を図6(パルプ面)、図7(45度アングル)及び図8(スパンボンド面)に示す。対照サンプルは、両面で繊維が共に絡み合い、詰っていることがわかった。
0.014インチのギャップ及び毎分17フィートの線速度で擦り粗面処理されたWypall(登録商標)Red拭取材のSEM写真を図9(パルプ面、1パス)及び図10(スパンボンド面、2パス)に示す。図9からわかるように、対照サンプルに比べて表面繊維は露呈した繊維の数が多い。同様に、図10は、大きさがより均一で、同じ方向に並んだ繊維を有する擦り粗面処理されたサンプルを示す。繊維はまた、下層のスパンボンドウェブの露呈した熱結合点の、より多くの面積を覆う。
【0034】
実施例2
Kimberly−Clark Corporationから市販されるWypall(登録商標)X80Blue Steel拭取材を用意した。拭取材は、米国特許第5,284,703号(Everhartら)に実質的に従って不織複合材から形成した。特に、拭取材は1平方メートルあたり125グラム(gsm)の坪量を有し、北方針葉樹クラフトパルプと水圧交絡されたスパンボンドポリプロピレンウェブ(22.7gsm)から形成した。
図2に示されるサンダーと実質的に同様であるニューヨーク、GloversvilleのCurtin−Hebert Co.Inc.から得られた620シリーズマイクログリンダーを用いて、種々の条件で拭取材を擦り粗面処理した。特に各サンプルをそのパルプ面にてまず擦り粗面処理し(1パス)、種々の特性を試験した。その後、サンプルの1つをそのスパンボンド面にて同一の擦り粗面処理条件を用いて擦り粗面処理した(2パス)。各パスの擦り粗面処理ロールは、サンプルの横方向に0.25インチ振動し、ロールが繊維で詰まらず、溝がロールに埋まらないことを確実にした。
【0035】
各パスの擦り粗面処理条件を以下の表4に示す。
【0036】
ギャップ、すなわち擦り粗面処理ロールと圧力ロールとの間の距離は、0.014から0.024インチに変動させた。擦り粗面処理した後、次いで種々の拭取材特性を試験した。実施例1の対照のWypall(登録商標)Steel Blueサンプル(表5にてサンプル1と示される)も試験し、サンプル2〜6と比較した。表5は、Wypall(登録商標)X80Steel Blue拭取材から得られた結果を示す。
示されるように、擦り粗面処理されたサンプルの種々の特性は、擦り粗面処理されていない対照サンプルに比べて改善された。さらに、示されるように、より大きいギャップ距離は、一般に、強度の低下が少なかった。一方、より小さいギャップ距離は、液体吸収力及び取り込み速度のような特定特性においてより大きい影響を与えた。図11は、サンプル4のSEM写真(45度アングル)である。図11に示される擦り粗面処理されたサンプルの表面繊維は、均一な方向(サンダー仕上げ方向)に並んでいる。
【0037】
実施例3
14個の拭取材サンプルを用意した。サンプル1〜13は、1プライ拭取材であったが、サンプル14は2プライ拭取材(2つのプライを共に糊付けした)であった。
単一プライ拭取材は、Kimberly−Clark Corporationから市販されているWypall(登録商標)X80Red拭取材であった。Wypall(登録商標)X80Red拭取材は、実質的に米国特許第5,284,703号(Everhartら)に従って製造された不織複合材である。特に、拭取材は、1平方メートルあたり125グラム(gsm)の坪量を有し、北方針葉樹クラフト繊維と水圧交絡されたスパンボンドポリプロピレンウェブ(22.7gsm)から形成される。
2プライ拭取材のそれぞれのプライは、Kimberly−Clark Corporationから市販されているWypall(登録商標)X60拭取材であった。Wypall(登録商標)X60拭取材は、米国特許第5,284,703号(Everhartら)に実質的に従って製造された不織複合材である。特に、1平方メートルあたり64グラム(gsm)の坪量を有し、北方針葉樹クラフト繊維と水圧交絡されたスパンボンドポリプロピレンウェブ(11.3gsm)から形成される。
【0038】
14個全ての拭取材サンプルを種々の条件で擦り粗面処理した。サンプル1〜3は、固定ブレーカーバーを用いて擦り粗面処理した。特にサンプル1のパルプ面を図3に示す様式にてスチールブレーカーバーを用いて擦り粗面処理した。特に、ブレーカーバーには、グリットサイズが60(平均粒径254ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけた。サンプル2は、図5に示す様式の2つの固定スチールブレーカーバーを用いて擦り粗面処理した。特に、サンプルの上方面151(スパンボンド面)と接触するブレーカーバーには、グリットサイズが60(平均粒径254ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけ、一方でサンプルの下方面153(パルプ面)と接触するブレーカーバーは、グリットサイズが220(平均粒径63ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけた。サンプル3は図4に示す様式で擦り粗面処理した。特に、サンプルの上方面151(スパンボンド面)と接触するブレーカーバーは、グリットサイズが60(平均粒径254ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけ、一方でサンプルの下方面153(パルプ面)と接触するブレーカーバーには、グリットサイズが220(平均粒径63ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけた。
サンプル4〜6は、サウスカロライナ州SimpsonvilleのECC Card Clothing,Inc.から得られたワイヤカーディングブラシ又はフィレットを有する毛羽立てロールを用いて擦り粗面処理した。特に、サンプル4〜5のワイヤブラシは、0.0285インチのピン高さを有し、ピンが3プライの1.5インチ幅のゴムベルトに組み込まれていた。サンプル6のワイヤブラシは、同じゴムベルトにて0.0410インチのピン高さの僅かに傾いたピンを有していた。両方の組のブラシは、6×3×11構成を有していたが、ここで「6」は1インチあたりの列の数を示し、「3」はステープルをベルト材料に取り付けるために使用されるワイヤ又はステープルアンカーの数を示し、「11」は1インチあたりのワイヤ又はステープルの反復数を示す。
【0039】
毛羽立てロールを、別個の電気的に駆動される繰り出しスタンドに取り付け、サンプルが繰り出し機と電力巻き取り機との間で張力のかかった状態で巻かれるように、サンプルの表面に対して配置した。ロールは、サンプルの移動方向とは逆方向に毎分1800フィートの速度で回転した。擦り粗面処理の間に発生する塵、粒子などを取り除くために、クイックドラフト吸引装置をサンプル表面の近くに配置した。
サンプル7〜13を、サンドペーパーを巻きつけたロールを用いて擦り粗面処理した。サンプル7〜8、10、12及び14に関してはパルプ面だけを擦り粗面処理した。サンプル9、11及び13に関しては両面を擦り粗面処理した。サンドペーパーロールは、3インチの外側直径を有する標準紙コアから形成した。ロールを長さ10.5インチに切断し、グリットサイズ60(平均粒径254ミクロン)のサンドペーパーを巻きつけた。サンプル7及び9〜14は、長さ方向に巻きつけて単一の継ぎ目を形成した。サンプル8は、0.5インチ離間されたそれぞれ2インチのストリップの状態で巻きつけた。ロールは、別個の電気的に駆動される繰り出しスタンドに取り付け、サンプルが繰り出し機と電力巻き取り機との間で張力のかかった状態で巻かれるように、サンプルの表面に対して配置した。ロールは、サンプルの移動方向とは逆方向に毎分1800フィートの速度で回転した。擦り粗面処理の間に発生する塵、粒子などを取り除くために、クイックドラフト吸引装置をサンプル表面の近くに配置した。
擦り粗面処理条件を以下の表6に要約する。
【0040】
次いで特定サンプルのいくつかの特性を試験し、擦り粗面処理されていない対照サンプルと比較した。結果を以下の表7に示す。
【0041】
示されるように、本発明に従って形成された擦り粗面処理サンプルは、優れた物理的特性を達成した。例えば、試験された擦り粗面処理サンプルの各々は、対照サンプルよりも大きい油吸収力を有していた。
本発明はその特定の実施形態に関して詳細に説明したが、当業者は、前述したものを理解する上で、こうした実施形態の変更、変形及び均等物を容易に着想できることを理解する。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲として想定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の1つの実施形態に従って水圧交絡された複合布を形成するためのプロセスの概略図である。
【図2】本発明の1つの実施形態に従って複合布を擦り粗面処理するためのプロセスの概略図である。
【図3】本発明の別の実施形態に従って複合布を擦り粗面処理するためのプロセスの概略図である。
【図4】本発明の別の実施形態に従って複合布を擦り粗面処理するためのプロセスの概略図である。
【図5】本発明の別の実施形態に従って複合布を擦り粗面処理するためのプロセスの概略図である。
【図6】実施例1の対照Wypall(登録商標)X80Red拭取材サンプルのパルプ面のSEM写真である。
【図7】実施例1の対照Wypall(登録商標)X80Red拭取材サンプルのパルプ面のSEM写真(45度断面)である。
【図8】実施例1の対照Wypall(登録商標)X80Red拭取材サンプルのスパンボンド面のSEM写真である。
【図9】実施例1の擦り粗面処理されたWypall(登録商標)X80Red拭取材サンプル(1パス)のパルプ面のSEM写真であり、ここでギャップは0.014インチであり、線速度は毎分17フィートであった。
【図10】実施例1の擦り粗面処理されたWypall(登録商標)X80Red拭取材サンプルのスパンボンド面のSEM写真(2パス)であり、ここでギャップは0.014インチであり、線速度は毎分17フィートであった。
【図11】実施例2のサンプル4のSEM写真(45度断面)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布を形成する方法であって、
熱可塑性繊維を含有する不織ウェブを用意し、
前記不織ウェブを吸収性ステープル繊維と交絡して、第1の表面及び第2の表面を定める複合材を形成し、
前記複合材の前記第1の表面を擦り粗面処理する、
ステップを含む方法。
【請求項2】
前記熱可塑性繊維が連続している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不織ウェブがスパンボンドウェブである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スパンボンドウェブがポリオレフィン繊維を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記吸収性ステープル繊維がパルプ繊維を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記吸収性ステープル繊維が、前記複合材の約50重量%より多い、好ましくは約60重量%〜約90重量%の量である、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記不織ウェブが前記吸収性ステープル繊維と水圧交絡される、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記擦り粗面処理が、前記複合材の前記第1の表面と、擦り粗面処理粒子、毛羽立てワイヤ、又はこれらの組み合わせとを接触させることによって行われる、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記擦り粗面処理粒子が、約1〜約1000ミクロン、好ましくは20〜約200ミクロン、好ましくは約30〜約100ミクロンの平均粒径を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記擦り粗面処理が、前記複合材の前記第1の表面と固定ロールとを接触させることによって行われる、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記擦り粗面処理が、前記複合材の前記第1の表面と、時計回り又は反時計周り方向に回転するロールとを接触させることによって行われる、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複合材が前記ロールに対して直線方向に移動する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複合材が、毎分約100〜約4000フィート、好ましくは毎分約1500〜約3000フィートの線速度で移動する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ロールが、前記複合材が移動している方向とは逆の方向に回転する、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ロールが、毎分約500〜約6000回転、好ましくは毎分約1000〜約4000回転の速度で回転する、請求項11〜請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記複合材の前記第2の表面を擦り粗面処理するステップをさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
熱可塑性ポリオレフィン繊維を含有するスパンボンドウェブを含む複合布であって、前記スパンボンドウェブがパルプ繊維と水圧交絡され、前記パルプ繊維が前記複合布の約50重量%より多い量であり、前記複合布の少なくとも1つの表面が擦り粗面処理されることを特徴とする複合布。
【請求項18】
前記擦り粗面処理された表面が、他の点では同一の複合布の擦り粗面処理されていない表面の繊維より均一な方向に並んだ繊維を含有する、請求項17に記載の複合布。
【請求項19】
前記擦り粗面処理された表面が、他の点では同一の複合布の擦り粗面処理されていない表面より多くの数の露呈繊維を含有する、請求項17又は18に記載の複合布。
【請求項20】
前記擦り粗面処理された表面が、前記パルプ繊維の大半を又は前記熱可塑性ポリオレフィン繊維の大半を含有する、請求項17〜19のいずれか1項に記載の複合布。
【請求項1】
布を形成する方法であって、
熱可塑性繊維を含有する不織ウェブを用意し、
前記不織ウェブを吸収性ステープル繊維と交絡して、第1の表面及び第2の表面を定める複合材を形成し、
前記複合材の前記第1の表面を擦り粗面処理する、
ステップを含む方法。
【請求項2】
前記熱可塑性繊維が連続している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不織ウェブがスパンボンドウェブである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スパンボンドウェブがポリオレフィン繊維を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記吸収性ステープル繊維がパルプ繊維を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記吸収性ステープル繊維が、前記複合材の約50重量%より多い、好ましくは約60重量%〜約90重量%の量である、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記不織ウェブが前記吸収性ステープル繊維と水圧交絡される、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記擦り粗面処理が、前記複合材の前記第1の表面と、擦り粗面処理粒子、毛羽立てワイヤ、又はこれらの組み合わせとを接触させることによって行われる、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記擦り粗面処理粒子が、約1〜約1000ミクロン、好ましくは20〜約200ミクロン、好ましくは約30〜約100ミクロンの平均粒径を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記擦り粗面処理が、前記複合材の前記第1の表面と固定ロールとを接触させることによって行われる、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記擦り粗面処理が、前記複合材の前記第1の表面と、時計回り又は反時計周り方向に回転するロールとを接触させることによって行われる、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複合材が前記ロールに対して直線方向に移動する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複合材が、毎分約100〜約4000フィート、好ましくは毎分約1500〜約3000フィートの線速度で移動する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ロールが、前記複合材が移動している方向とは逆の方向に回転する、請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ロールが、毎分約500〜約6000回転、好ましくは毎分約1000〜約4000回転の速度で回転する、請求項11〜請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記複合材の前記第2の表面を擦り粗面処理するステップをさらに含む、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
熱可塑性ポリオレフィン繊維を含有するスパンボンドウェブを含む複合布であって、前記スパンボンドウェブがパルプ繊維と水圧交絡され、前記パルプ繊維が前記複合布の約50重量%より多い量であり、前記複合布の少なくとも1つの表面が擦り粗面処理されることを特徴とする複合布。
【請求項18】
前記擦り粗面処理された表面が、他の点では同一の複合布の擦り粗面処理されていない表面の繊維より均一な方向に並んだ繊維を含有する、請求項17に記載の複合布。
【請求項19】
前記擦り粗面処理された表面が、他の点では同一の複合布の擦り粗面処理されていない表面より多くの数の露呈繊維を含有する、請求項17又は18に記載の複合布。
【請求項20】
前記擦り粗面処理された表面が、前記パルプ繊維の大半を又は前記熱可塑性ポリオレフィン繊維の大半を含有する、請求項17〜19のいずれか1項に記載の複合布。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−516364(P2007−516364A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546947(P2006−546947)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019857
【国際公開番号】WO2005/068701
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019857
【国際公開番号】WO2005/068701
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】
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