支持ピンの移載方法
【課題】プリント基板の機種切替え等に伴って、支持テーブルに支持ピンを移載した後に、ストッカに残された支持ピンとプリント基板裏面に装着済みの電子部品とが干渉しないようにすること。
【解決手段】プリント基板P裏面に移載されて配置されるべき支持ピン12の配置データに従い、支持ピン12の移載動作が行われる。次に、移載しなかったストックエリアSA1内の未使用の支持ピン12の1本目がプリント基板P裏面に装着済みの電子部品と干渉するか否かをチェックする。初めに制御装置33は自己のRAM内に格納されたこれから生産するプリント基板Pの左端の座標(Xmin)と右端の座標(Xmax)とを読み込む。1本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、この支持ピン12のX座標はプリント基板Pの左端の座標(Xmin)と右端の座標(Xmax)との間に入っているか否かを判定する。
【解決手段】プリント基板P裏面に移載されて配置されるべき支持ピン12の配置データに従い、支持ピン12の移載動作が行われる。次に、移載しなかったストックエリアSA1内の未使用の支持ピン12の1本目がプリント基板P裏面に装着済みの電子部品と干渉するか否かをチェックする。初めに制御装置33は自己のRAM内に格納されたこれから生産するプリント基板Pの左端の座標(Xmin)と右端の座標(Xmax)とを読み込む。1本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、この支持ピン12のX座標はプリント基板Pの左端の座標(Xmin)と右端の座標(Xmax)との間に入っているか否かを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の支持ピンの移載装置は、例えば特許文献1などに開示されているが、プリント基板の機種切替え等に伴い、これから生産する新たなプリント基板に対応して、ストッカから移載部材により支持テーブルに支持ピンを移載するが、ストッカに移載されない支持ピンが残る場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−152782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
支持テーブルに支持ピンを移載した後に、ストッカに支持ピンが残った場合において、これから生産する新たなプリント基板の裏面側に既に電子部品が装着されているものにあっては、ストッカに残された支持ピンとプリント基板裏面に装着済みの電子部品が干渉すると、電子部品を破損して、このプリント基板が不良品となってしまう。
【0005】
そこで本発明は、プリント基板の機種切替え等に伴って、支持テーブルに支持ピンを移載した後に、ストッカに残された支持ピンとプリント基板裏面に装着済みの電子部品とが干渉しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが前記プリント基板裏面に装着された電子部品と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する。
【0007】
第2の発明は、プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記支持ピンの前記支持テーブルにおける配置データに従って前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが前記プリント基板の下方に位置するか否かにより装着された電子部品と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する。
【0008】
第3の発明は、プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが位置決め部におけるプリント基板と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する。
【0009】
第4の発明は、第1乃至第3の発明において、干渉すると判定されると、報知装置により干渉する旨を報知することを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、第1乃至第3の発明において、前記ストッカと前記支持テーブルとが兼用したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プリント基板の機種切替え等に伴って、支持テーブルに支持ピンを移載した後に、ストッカに残された支持ピンとプリント基板裏面に装着済みの電子部品とが干渉しないようにすることができ、電子部品を破損してプリント基板が不良品となってしまうことが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】スクリーン印刷機の概略平面図である。
【図2】スクリーン印刷機の概略正面図である。
【図3】制御ブロック図である。
【図4】バックアップテーブル上に移載前に載置されている支持ピンの配置データを示す図である。
【図5】移載されて配置されるべき支持ピンの配置データを示す図である。
【図6】移載された後の現実に配置された支持ピンの配置データを示す図である。
【図7】フローチャートを示す図である。
【図8】ストックエリアの左右部に支持ピンが収納されている移載前の状態を示すバックアップテーブルの平面図である。
【図9】移載後のバックアップテーブルの平面図である。
【図10】移載されて配置されるべき支持ピンの配置データを示す図である。
【図11】移載された後の現実に配置された支持ピンの配置データを示す図である。
【図12】支持ピンとプリント基板裏面に装着済みの電子部品とが干渉する場合のバックアップテーブルの平面図である。
【図13】右の移載吸着ノズルが下降した状態のスクリーン印刷機の概略正面図である。
【図14】バックアップテーブルが上昇した状態のスクリーン印刷機の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、プリント基板を支持する支持ピンの移載装置について、本発明の具体的な実施形態を図面を参照しながら説明するが、この移載装置をプリント基板上に電子部品を装着する電子部品装着装置や接着剤をプリント基板上に塗布する接着剤塗布装置にも適用することができるが、プリント基板上に塗布剤を塗布するスクリーン印刷機に適用して、以下説明する。
【0014】
スクリーン印刷機の概略平面図である図1及び正面図である図2において、スクリーン印刷機1はプリント基板P上に塗布剤であるクリーム半田を印刷するためのもので、装置本体上に設置された基板支持ユニット2と、この基板支持ユニット2の上方に配され水平方向に延びるY軸方向(図1に示すY方向で、スクリーン印刷機1の前後方向)に移動するための移動機構を備えたスクリーン支持ユニットにより支持されたスクリーン3と、基板支持ユニット2とスクリーン3との間に配されて基板認識用カメラ5やこの基板認識用カメラ5を挟んでプリント基板の搬送方向に沿って配設される2つの移載ヘッド6等を備える移動体4と、スクリーン3に付されたスクリーン認識マークを撮像するスクリーン認識用カメラ8と、スクリーン3の上方に配されてスキージを備えた印刷機構などを備えている。
【0015】
前記基板支持ユニット2は、X軸方向、水平面内での角度方向、垂直方向に移動可能な移動機構(図示せず)と、プリント基板PをX軸方向に搬送する前後一対の基板搬送コンベア11と、プリント基板Pをその下面に当接して下方から支持する支持ピン12を貯蔵すると共にプリント基板Pに合わせて適宜な位置に前記支持ピン12が配設されZ方向に移動可能なバックアップテーブル2Aと、プリント基板Pを側方から挟んで支持する固定シュート7A、可動シュート7Bとを備えている。
【0016】
前記バックアップテーブル2Aは、プリント基板を下方から支持する複数の支持ピン12をストックするストッカと、前記プリント基板Pの下面を配設された前記支持ピン12により支持する支持テーブルとを兼用している。即ち、図1に示すように、前記バックアップテーブル2Aは、支持ピン12下部が嵌合収納されて且つ側面に形成された係止鍔部12Aが上面に係止して植設される複数の支持穴13が開設され、前部の左右部が支持ピン12を貯蔵するストッカとして予め設定されたストックエリアSA1で、このストックエリアSA1を含めた全体が配設エリアである。このストックエリアSA1は、例えば左右夫々4行5列である。
【0017】
このように、ストックエリアSA1を前記バックアップテーブル2Aの前部の固定シュート7A側としたのは、プリント基板Pの最小サイズ外のエリアとし、可動シュート7Bの移動時に、残っている支持ピン12とこの可動シュート7Bとが干渉しないようにするためである。また、前記バックアップテーブル2Aの前部における左右部としたのは、プリント基板Pがバックアップテーブル2Aの左右方向の中心位置に位置決めされるため、プリント基板のサイズが小さければ、左右両端部に残された支持ピン12と干渉する可能性が減少するからである。
【0018】
次に、前記移動体4について説明すると、移動体4はY軸駆動モータ15の駆動によりネジ軸16が回転することにより、右部のナット体17がY方向に移動することにより左部のガイド体18に沿ってY方向に移動可能であると共に、X軸駆動モータ21の駆動によりネジ軸22が回転することにより、ナット体23がX方向に移動することによりガイド体26に沿ってY方向に移動可能である。
【0019】
そして、基板支持ユニット2のバックアップテーブル2A上に載置されたプリント基板Pの基板認識マークを撮像する基板認識用カメラ5や支持ピン12を移載する移載部材としての移載吸着ノズル24を有する2つの移載ヘッド6等を備える。この右の移載ヘッド6は平面視長手方向がY方向になるように、また左の移載ヘッド6は平面視長手方向がX方向になるように前記移動体4に取り付けられる。なお、前記移載吸着ノズル24は、図示しない真空源に連通して真空吸引により支持ピン12を吸引保持することができる。
【0020】
また、基板搬送コンベア11によりプリント基板Pが図1及び図2における左から右に流れるようにした場合には、右の移載吸着ノズル24に搬送されてきたプリント基板Pが当接して係止するストッパ27が取付けられる。
【0021】
各移載吸着ノズル24はシリンダー25により上下動でき、下降すると前記ストッパ27も下降して、搬送されて移動して来たプリント基板Pがこのストッパ27に当接して係止し、位置決めされることとなる。この場合、下降したストッパ27の高さレベルがプリント基板Pの搬送レベルと一致するように、移載吸着ノズル24の下降量が予め設定されている。
【0022】
また、前記移動体4には、前記ストッパ27に係止したプリント基板Pからの反射光の有無に基づいてプリント基板Pの有無を検出する基板有無検出装置としての光センサ29が取り付けられた取付板31が移載ヘッド6と基板認識カメラ5との間に固定ネジ30により着脱可能に取り付けられる。なお、前記光センサ29に代えて、その他の基板有無検出センサでもよく、例えば光電センサ、近接センサなどでもよい。
【0023】
前記光センサ29は、光を照射して、プリント基板Pがあれば反射光を受光することにより、プリント基板Pの存在を確認でき、プリント基板Pが無ければ受光できないので、プリント基板Pの不存在を確認できる。
【0024】
次に、図3に基づき、スクリーン印刷機1の制御ブロックについて説明する。先ず、33はCPU、RAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータから成る制御装置であり、この制御装置33は各駆動回路34、35、36を介して前記移動体4の移動のための前記X軸駆動モータ21、Y軸駆動モータ15及び可動シュート用駆動モータ37などを制御する。
【0025】
前記制御装置33の記憶装置としてのRAMには、支持ピン12の配置に係る配置データが格納されている。即ち、支持テーブルとしてのバックアップテーブル2A上に移載前に載置されている支持ピン12の配置データ(図4参照)、移載されて配置されるべき支持ピン12の配置データ(図5参照)、移載された後の現実に配置された支持ピン12の配置データ(図6参照)などが格納されている。この配置データの原点は固定シュート7Aの左下部であり、各配置データの座標は原点のX座標、Y座標をゼロとした座標である。
【0026】
なお、説明の便宜上、制御装置33は基板支持ユニット2のバックアップテーブル2AをX軸方向に移動させるためのテーブルX軸駆動モータ及びθ軸方向(水平面内での回転方向)に移動させるためのテーブルθ軸駆動モータ、前記スクリーン3をY軸方向に移動させるためのスクリーンY軸駆動モータ、スキージをY軸方向に移動させるためのスキージY軸駆動モータを制御するが、ここでは図示を省略する。
【0027】
40は前記制御装置33にインターフェース43を介して接続される認識処理装置で、前記スクリーン認識用カメラ8により撮像された画像や、前記基板認識用カメラ5により撮像された画像の認識処理が該認識処理装置40にて行われ、制御装置33に両者の認識処理結果が送出される。すると、制御装置33において、認識処理結果に基づいて各基板認識マークの位置と各スクリーン認識マークの位置とを相対的に位置決めさせるべき位置ズレ量を演算し、内蔵する記憶部に演算結果を格納する。従って、この位置ズレ量に基づいて、制御装置33はテーブルX軸駆動モータ及びテーブルθ軸駆動モータを制御すると共にスクリーンY軸駆動モータを制御することにより、プリント基板Pとスクリーン3の相対的な位置ズレを補正して位置決めする。
【0028】
41は部品画像や各種データ設定のための画面などを表示するモニタで、このモニタ41には入力手段としての種々のタッチパネルスイッチ42が設けられ、共にインターフェース43を介して制御装置33に接続され、作業者がタッチパネルスイッチ42を操作することにより、種々の設定を行うことができる。
【0029】
次に、プリント基板Pの機種切替え等に伴って、新たなプリント基板Pの生産の前に、支持ピン12の移載動作が行われるが、その際の支持ピン12の干渉チェックについて、図7のフローチャートに基づき説明する。なお、図8、図9及び図10に示すバックアップテーブル2Aの支持穴13は、千鳥状にバックアップテーブル2A全域に亘って形成されており、図1に形成された支持穴13とは異なる配列となっている。
【0030】
先ず、支持ピン12は、図8に示すように、バックアップテーブル2AのストックエリアSA1の左右部に夫々10本ずつ配置されており、この移載前の支持ピン12の配置データは図4に示されている。そして、モニタ41に表示されたタッチパネルスイッチ42を押圧操作して、これから生産するプリント基板Pを選択して、支持ピン12の移載動作のための操作をすると、移載されて配置されるべき支持ピン12の配置データ(図5)に従い、支持ピン12の移載動作が行われる(ステップS1)。
【0031】
この場合、移動体4をY軸駆動モータ15及びX軸駆動モータ21により平面方向に移動させて、両移載ヘッド6に設けられた移載吸着ノズル24を昇降させながら、バックアップテーブル2AのストックエリアSA1から支持ピン12を抜いては、必要な位置の支持穴13に差込み動作をして、支持ピン12を移載する。
【0032】
次に、未使用ピン、即ち移載しなかったストックエリアSA1内の未使用の支持ピン12がプリント基板P裏面に装着済みの電子部品と干渉するか否かをチェックするために、先ず1本目を選択する(ステップS2)。次のステップS3において、制御装置33は自己のRAM内に格納されたこれから生産するプリント基板Pの左端の座標(Xmin)(図9参照)と右端の座標(Xmax)(図9参照)とを読み込む。
【0033】
そして、図5のプリント基板P裏面に移載されて配置されるべき支持ピン12の配置データと、図6の移載された後の現実に配置された支持ピン12の配置データとを比較した場合における支持ピン12の本数の差である5本、即ち図6におけるNo.1、No.2、No.3、No.19、No.20の5本、即ちストックエリアSA1内の左部に残された未使用の支持ピン12の本数である3本と右部に残された未使用の支持ピン12の本数である2本の合計した5本(未使用の支持ピン12の本数N=5、図9参照)について、干渉のチェックが行われるが、この5本と未使用の支持ピン12の1本目(n=1)とを制御装置33は比較し、nがN以下か否かを判定する(ステップS4)。
【0034】
そして、n(「1」)とN(「5」)とを比較して、制御装置33は5本以下と判定するので、ステップS5において1本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、ステップS6においてこの1本目の未使用の支持ピン12のX座標(No.1のX座標は「1」)はプリント基板Pの左端の座標(Xmin=「7」)と右端の座標(Xmax=「19」)との間に入っているか否かを判定する。
【0035】
従って、1本目の未使用の支持ピン12のX座標がプリント基板Pの左端の座標と右端の座標との間に入っていないと制御装置33が判定するので、ステップS7において「n=1」に「1」を加えてステップS4に戻る。そして、「n=2」とされるので、この「n=2」と「N=5」とを比較して、nがN以下か否かを判定する。
【0036】
そして、n(「2」)とN(「5」)とを比較して制御装置33は5本以下と判定するので、ステップS5において2本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、ステップS6においてこの2本目の未使用の支持ピン12のX座標(No.2のX座標は「1」)はプリント基板Pの左端の座標(Xmin=「7」)と右端の座標(Xmax=「19」)との間に入っているか否かを判定する。
【0037】
従って、2本目の未使用の支持ピン12のX座標がプリント基板Pの左端の座標と右端の座標との間に入っていないと制御装置33が判定するので、ステップS7において「n=2」に「1」を加えてステップS4に戻る。そして、「n=3」とされるので、この「n=3」と「N=5」とを比較して、nがN以下か否かを判定する。
【0038】
そして、n(「3」)とN(「5」)とを比較して制御装置33は5本以下と判定するので、ステップS5において3本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、ステップS6においてこの3本目の未使用の支持ピン12のX座標(No.3のX座標は「2」)はプリント基板Pの左端の座標(Xmin=「7」)と右端の座標(Xmax=「19」)との間に入っているか否かを判定する。
【0039】
従って、3本目の未使用の支持ピン12のX座標がプリント基板Pの左端の座標と右端の座標との間に入っていないと制御装置33が判定するので、ステップS7において「n=3」に「1」を加えてステップS4に戻る。そして、「n=4」とされるので、この「n=4」と「N=5」とを比較して、nがN以下か否かを判定する。
【0040】
そして、n(「4」)とN(「5」)とを比較して制御装置33は5本以下と判定するので、ステップS5において4本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、ステップS6においてこの4本目の未使用の支持ピン12のX座標(No.19のX座標は「27」)はプリント基板Pの左端の座標(Xmin=「7」)と右端の座標(Xmax=「19」)との間に入っているか否かを判定する。
【0041】
従って、4本目の未使用の支持ピン12のX座標がプリント基板Pの左端の座標と右端の座標との間に入っていないと制御装置33が判定するので、ステップS7において「n=4」に「1」を加えてステップS4に戻る。そして、「n=5」とされるので、この「n=5」と「N=5」とを比較して、nがN以下か否かを判定する。
【0042】
そして、n(「5」)とN(「5」)とを比較して制御装置33は5本以下と判定するので、ステップS5において5本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、ステップS6においてこの5本目の未使用の支持ピン12のX座標(No.20のX座標は「27」)はプリント基板Pの左端の座標(Xmin=「7」)と右端の座標(Xmax=「19」)との間に入っているか否かを判定する。
【0043】
従って、5本目の未使用の支持ピン12のX座標がプリント基板Pの左端の座標と右端の座標との間に入っていないと制御装置33が判定するので、ステップS7において「n=4」に「1」を加えてステップS4に戻る。そして、「n=6」とされるので、この「n=6」と「N=5」とを比較して、nがN以下か否かを判定する。
【0044】
この場合、n(「6」)がN(「5」)以下でないと判定されるので、ステップS8において、制御装置33により支持ピン12の干渉があったか否かが判定される。以上の場合には、支持ピン12が干渉する旨が制御装置33のRAMに格納されておらず、ストックエリアSA1内に残された支持ピン12とプリント基板P裏面に装着済みの電子部品とが干渉することがなかったと判定されるので、終了する。
【0045】
次に、図12の点線で囲ったように、左右端部の5本の未使用の支持ピン12がプリント基板P裏面に装着済みの電子部品とが干渉する場合について、図10乃至図12に基づいて説明する。
【0046】
先ず、図10は移載されて配置されるべき支持ピンの配置データを示し、図11は移載された後の現実に配置された支持ピンの配置データを示す。図10のプリント基板P裏面に移載されて配置されるべき支持ピン12の配置データと、図6の移載された後の現実に配置された支持ピン12の配置データとを比較した場合における支持ピン12の本数の差である5本、即ち図11におけるNo.1、No.2、No.3、No.19、No.20の5本、即ちストックエリアSA1内の左部に残された未使用の支持ピン12の本数である3本と右部に残された未使用の支持ピン12の本数である2本の合計した5本(図12の点線で囲われた5本)について、干渉のチェックが行われる。
【0047】
即ち、左右端部の5本の未使用の支持ピン12のX座標がそれぞれプリント基板Pの左端の座標(Xmin=0.5)と右端の座標(Xmax=27.5)との間に入っているか否かを判定された際に(ステップS6)、この5本の座標(01,01)、(01,02)、(02,03)、(27,01)、(27,03)に基づいて、入っていると判定された場合には、これらの支持ピン12はプリント基板P裏面に装着済みの電子部品と干渉する或いは干渉する虞があるので、夫々干渉する旨が制御装置33のRAMに格納される(ステップS11)。
【0048】
従って、この格納がされた場合には、ステップS8において、制御装置33により支持ピン12の干渉があったか否かが判定された際に、左右部の5本の支持ピン12が干渉するので、「干渉する支持ピン有り」と判定される。この場合、制御装置33は報知装置としてのモニタ41に、例えば「プリント基板裏面の装着済みの電子部品と干渉する可能性があります。以下の支持ピンを取り除いて下さい。座標(01,01)、(01,02)、(02,03)、(27,01)、(27,03)」と表示させ、報知する(ステップS9)。この場合、報知装置としてモニタ41に限らず、その他のブザー又は音声により報知するものでもよい。
【0049】
この報知を受けた作業管理者は、干渉する支持ピン12をバックアップテーブル2Aから抜く(ステップS10)。そして、作業者はこの抜き取り後に、モニタ41に表示されたタッチパネルスイッチ42を押圧操作して、これらの干渉する支持ピン12が確実に抜き取られたかを基板認識カメラ40、その他の確認装置でチェックして、確認する。この場合、抜き取られていなければ、抜き取り動作を行う。
【0050】
以上のように、プリント基板Pの機種切替え等に伴って、バックアップテーブル2Aに支持ピン12を移載した後に、ストックエリアSA1に残された支持ピン12とプリント基板P裏面に装着済みの電子部品とが干渉しないようにすることができる。
【0051】
そして、以上のようなプリント基板裏面の装着済みの電子部品と支持ピン12とが干渉するかのチェックを行って、干渉しないことを確認した後、印刷動作に移るが、以下スクリーン印刷機の動作を説明する。
【0052】
先ず、上流側から受け継がれたプリント基板Pは基板搬送コンベア11により図1及び図2における左から右に流れるので、ストッパ27が固定された右の移載吸着ノズル24はシリンダー25により下降しており(図13参照)、搬送されて移動して来たプリント基板Pがこのストッパ27に当接して係止し、位置決めされることとなる。
【0053】
このとき、前記光センサ29がプリント基板Pを検出すると、このプリント基板Pを固定シュート7A及び可動シュート7Bが側方から挟んで支持したまま、バックアップテーブル2Aが上昇して、プリント基板Pは複数の支持ピン12により水平に支持される(図2、図13、図14では、便宜上1本のみ図示してある。)。この場合、支持ピン12とプリント基板P裏面に装着済みの電子部品とは干渉することなく、プリント基板Pを複数の支持ピン12により水平に支持することができる。
【0054】
そして、スクリーン認識用カメラ8によりスクリーン3に付されたスクリーン認識マークを撮像すると共に基板認識用カメラ5によりプリント基板Pに付された基板認識マークが撮像されて、認識処理装置40がこれらの画像を認識処理し、制御装置33に両者の認識処理結果が送出される。すると、制御装置33において、認識処理結果に基づいて各基板認識マークの位置と各スクリーン認識マークの位置とを相対的に位置決めさせるべき位置ズレ量を演算し、内蔵するRAMに演算結果を格納すると共に、この位置ズレ量に基づいて、制御装置33は前記基板支持ユニット2のX軸駆動モータ及びテーブルθ軸駆動モータを制御すると共にスクリーン3のY軸駆動モータを制御することにより、プリント基板Pとスクリーン3の相対的な位置ズレを補正して位置決めする。
【0055】
そして、更に基板支持ユニット2を上昇させて、支持ピン12により支持された状態のプリント基板Pをスクリーン3の下面に密着させ、印刷機構を動作させて、スキージ(図示せず)がクリーム半田をスクリーン3の印刷パターン孔を介してプリント基板P上に印刷が行われ、印刷終了後に基板支持ユニット2が下降して、バックアップテーブル2Aから下流に搬送される。
【0056】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0057】
2A バックアップテーブル
2 基板支持ユニット
3 スクリーン
4 移動体
6 移載ヘッド
11 基板搬送コンベア
12 支持ピン
24 移載吸着ノズル
33 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の支持ピンの移載装置は、例えば特許文献1などに開示されているが、プリント基板の機種切替え等に伴い、これから生産する新たなプリント基板に対応して、ストッカから移載部材により支持テーブルに支持ピンを移載するが、ストッカに移載されない支持ピンが残る場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−152782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
支持テーブルに支持ピンを移載した後に、ストッカに支持ピンが残った場合において、これから生産する新たなプリント基板の裏面側に既に電子部品が装着されているものにあっては、ストッカに残された支持ピンとプリント基板裏面に装着済みの電子部品が干渉すると、電子部品を破損して、このプリント基板が不良品となってしまう。
【0005】
そこで本発明は、プリント基板の機種切替え等に伴って、支持テーブルに支持ピンを移載した後に、ストッカに残された支持ピンとプリント基板裏面に装着済みの電子部品とが干渉しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが前記プリント基板裏面に装着された電子部品と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する。
【0007】
第2の発明は、プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記支持ピンの前記支持テーブルにおける配置データに従って前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが前記プリント基板の下方に位置するか否かにより装着された電子部品と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する。
【0008】
第3の発明は、プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが位置決め部におけるプリント基板と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する。
【0009】
第4の発明は、第1乃至第3の発明において、干渉すると判定されると、報知装置により干渉する旨を報知することを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、第1乃至第3の発明において、前記ストッカと前記支持テーブルとが兼用したものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プリント基板の機種切替え等に伴って、支持テーブルに支持ピンを移載した後に、ストッカに残された支持ピンとプリント基板裏面に装着済みの電子部品とが干渉しないようにすることができ、電子部品を破損してプリント基板が不良品となってしまうことが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】スクリーン印刷機の概略平面図である。
【図2】スクリーン印刷機の概略正面図である。
【図3】制御ブロック図である。
【図4】バックアップテーブル上に移載前に載置されている支持ピンの配置データを示す図である。
【図5】移載されて配置されるべき支持ピンの配置データを示す図である。
【図6】移載された後の現実に配置された支持ピンの配置データを示す図である。
【図7】フローチャートを示す図である。
【図8】ストックエリアの左右部に支持ピンが収納されている移載前の状態を示すバックアップテーブルの平面図である。
【図9】移載後のバックアップテーブルの平面図である。
【図10】移載されて配置されるべき支持ピンの配置データを示す図である。
【図11】移載された後の現実に配置された支持ピンの配置データを示す図である。
【図12】支持ピンとプリント基板裏面に装着済みの電子部品とが干渉する場合のバックアップテーブルの平面図である。
【図13】右の移載吸着ノズルが下降した状態のスクリーン印刷機の概略正面図である。
【図14】バックアップテーブルが上昇した状態のスクリーン印刷機の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、プリント基板を支持する支持ピンの移載装置について、本発明の具体的な実施形態を図面を参照しながら説明するが、この移載装置をプリント基板上に電子部品を装着する電子部品装着装置や接着剤をプリント基板上に塗布する接着剤塗布装置にも適用することができるが、プリント基板上に塗布剤を塗布するスクリーン印刷機に適用して、以下説明する。
【0014】
スクリーン印刷機の概略平面図である図1及び正面図である図2において、スクリーン印刷機1はプリント基板P上に塗布剤であるクリーム半田を印刷するためのもので、装置本体上に設置された基板支持ユニット2と、この基板支持ユニット2の上方に配され水平方向に延びるY軸方向(図1に示すY方向で、スクリーン印刷機1の前後方向)に移動するための移動機構を備えたスクリーン支持ユニットにより支持されたスクリーン3と、基板支持ユニット2とスクリーン3との間に配されて基板認識用カメラ5やこの基板認識用カメラ5を挟んでプリント基板の搬送方向に沿って配設される2つの移載ヘッド6等を備える移動体4と、スクリーン3に付されたスクリーン認識マークを撮像するスクリーン認識用カメラ8と、スクリーン3の上方に配されてスキージを備えた印刷機構などを備えている。
【0015】
前記基板支持ユニット2は、X軸方向、水平面内での角度方向、垂直方向に移動可能な移動機構(図示せず)と、プリント基板PをX軸方向に搬送する前後一対の基板搬送コンベア11と、プリント基板Pをその下面に当接して下方から支持する支持ピン12を貯蔵すると共にプリント基板Pに合わせて適宜な位置に前記支持ピン12が配設されZ方向に移動可能なバックアップテーブル2Aと、プリント基板Pを側方から挟んで支持する固定シュート7A、可動シュート7Bとを備えている。
【0016】
前記バックアップテーブル2Aは、プリント基板を下方から支持する複数の支持ピン12をストックするストッカと、前記プリント基板Pの下面を配設された前記支持ピン12により支持する支持テーブルとを兼用している。即ち、図1に示すように、前記バックアップテーブル2Aは、支持ピン12下部が嵌合収納されて且つ側面に形成された係止鍔部12Aが上面に係止して植設される複数の支持穴13が開設され、前部の左右部が支持ピン12を貯蔵するストッカとして予め設定されたストックエリアSA1で、このストックエリアSA1を含めた全体が配設エリアである。このストックエリアSA1は、例えば左右夫々4行5列である。
【0017】
このように、ストックエリアSA1を前記バックアップテーブル2Aの前部の固定シュート7A側としたのは、プリント基板Pの最小サイズ外のエリアとし、可動シュート7Bの移動時に、残っている支持ピン12とこの可動シュート7Bとが干渉しないようにするためである。また、前記バックアップテーブル2Aの前部における左右部としたのは、プリント基板Pがバックアップテーブル2Aの左右方向の中心位置に位置決めされるため、プリント基板のサイズが小さければ、左右両端部に残された支持ピン12と干渉する可能性が減少するからである。
【0018】
次に、前記移動体4について説明すると、移動体4はY軸駆動モータ15の駆動によりネジ軸16が回転することにより、右部のナット体17がY方向に移動することにより左部のガイド体18に沿ってY方向に移動可能であると共に、X軸駆動モータ21の駆動によりネジ軸22が回転することにより、ナット体23がX方向に移動することによりガイド体26に沿ってY方向に移動可能である。
【0019】
そして、基板支持ユニット2のバックアップテーブル2A上に載置されたプリント基板Pの基板認識マークを撮像する基板認識用カメラ5や支持ピン12を移載する移載部材としての移載吸着ノズル24を有する2つの移載ヘッド6等を備える。この右の移載ヘッド6は平面視長手方向がY方向になるように、また左の移載ヘッド6は平面視長手方向がX方向になるように前記移動体4に取り付けられる。なお、前記移載吸着ノズル24は、図示しない真空源に連通して真空吸引により支持ピン12を吸引保持することができる。
【0020】
また、基板搬送コンベア11によりプリント基板Pが図1及び図2における左から右に流れるようにした場合には、右の移載吸着ノズル24に搬送されてきたプリント基板Pが当接して係止するストッパ27が取付けられる。
【0021】
各移載吸着ノズル24はシリンダー25により上下動でき、下降すると前記ストッパ27も下降して、搬送されて移動して来たプリント基板Pがこのストッパ27に当接して係止し、位置決めされることとなる。この場合、下降したストッパ27の高さレベルがプリント基板Pの搬送レベルと一致するように、移載吸着ノズル24の下降量が予め設定されている。
【0022】
また、前記移動体4には、前記ストッパ27に係止したプリント基板Pからの反射光の有無に基づいてプリント基板Pの有無を検出する基板有無検出装置としての光センサ29が取り付けられた取付板31が移載ヘッド6と基板認識カメラ5との間に固定ネジ30により着脱可能に取り付けられる。なお、前記光センサ29に代えて、その他の基板有無検出センサでもよく、例えば光電センサ、近接センサなどでもよい。
【0023】
前記光センサ29は、光を照射して、プリント基板Pがあれば反射光を受光することにより、プリント基板Pの存在を確認でき、プリント基板Pが無ければ受光できないので、プリント基板Pの不存在を確認できる。
【0024】
次に、図3に基づき、スクリーン印刷機1の制御ブロックについて説明する。先ず、33はCPU、RAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータから成る制御装置であり、この制御装置33は各駆動回路34、35、36を介して前記移動体4の移動のための前記X軸駆動モータ21、Y軸駆動モータ15及び可動シュート用駆動モータ37などを制御する。
【0025】
前記制御装置33の記憶装置としてのRAMには、支持ピン12の配置に係る配置データが格納されている。即ち、支持テーブルとしてのバックアップテーブル2A上に移載前に載置されている支持ピン12の配置データ(図4参照)、移載されて配置されるべき支持ピン12の配置データ(図5参照)、移載された後の現実に配置された支持ピン12の配置データ(図6参照)などが格納されている。この配置データの原点は固定シュート7Aの左下部であり、各配置データの座標は原点のX座標、Y座標をゼロとした座標である。
【0026】
なお、説明の便宜上、制御装置33は基板支持ユニット2のバックアップテーブル2AをX軸方向に移動させるためのテーブルX軸駆動モータ及びθ軸方向(水平面内での回転方向)に移動させるためのテーブルθ軸駆動モータ、前記スクリーン3をY軸方向に移動させるためのスクリーンY軸駆動モータ、スキージをY軸方向に移動させるためのスキージY軸駆動モータを制御するが、ここでは図示を省略する。
【0027】
40は前記制御装置33にインターフェース43を介して接続される認識処理装置で、前記スクリーン認識用カメラ8により撮像された画像や、前記基板認識用カメラ5により撮像された画像の認識処理が該認識処理装置40にて行われ、制御装置33に両者の認識処理結果が送出される。すると、制御装置33において、認識処理結果に基づいて各基板認識マークの位置と各スクリーン認識マークの位置とを相対的に位置決めさせるべき位置ズレ量を演算し、内蔵する記憶部に演算結果を格納する。従って、この位置ズレ量に基づいて、制御装置33はテーブルX軸駆動モータ及びテーブルθ軸駆動モータを制御すると共にスクリーンY軸駆動モータを制御することにより、プリント基板Pとスクリーン3の相対的な位置ズレを補正して位置決めする。
【0028】
41は部品画像や各種データ設定のための画面などを表示するモニタで、このモニタ41には入力手段としての種々のタッチパネルスイッチ42が設けられ、共にインターフェース43を介して制御装置33に接続され、作業者がタッチパネルスイッチ42を操作することにより、種々の設定を行うことができる。
【0029】
次に、プリント基板Pの機種切替え等に伴って、新たなプリント基板Pの生産の前に、支持ピン12の移載動作が行われるが、その際の支持ピン12の干渉チェックについて、図7のフローチャートに基づき説明する。なお、図8、図9及び図10に示すバックアップテーブル2Aの支持穴13は、千鳥状にバックアップテーブル2A全域に亘って形成されており、図1に形成された支持穴13とは異なる配列となっている。
【0030】
先ず、支持ピン12は、図8に示すように、バックアップテーブル2AのストックエリアSA1の左右部に夫々10本ずつ配置されており、この移載前の支持ピン12の配置データは図4に示されている。そして、モニタ41に表示されたタッチパネルスイッチ42を押圧操作して、これから生産するプリント基板Pを選択して、支持ピン12の移載動作のための操作をすると、移載されて配置されるべき支持ピン12の配置データ(図5)に従い、支持ピン12の移載動作が行われる(ステップS1)。
【0031】
この場合、移動体4をY軸駆動モータ15及びX軸駆動モータ21により平面方向に移動させて、両移載ヘッド6に設けられた移載吸着ノズル24を昇降させながら、バックアップテーブル2AのストックエリアSA1から支持ピン12を抜いては、必要な位置の支持穴13に差込み動作をして、支持ピン12を移載する。
【0032】
次に、未使用ピン、即ち移載しなかったストックエリアSA1内の未使用の支持ピン12がプリント基板P裏面に装着済みの電子部品と干渉するか否かをチェックするために、先ず1本目を選択する(ステップS2)。次のステップS3において、制御装置33は自己のRAM内に格納されたこれから生産するプリント基板Pの左端の座標(Xmin)(図9参照)と右端の座標(Xmax)(図9参照)とを読み込む。
【0033】
そして、図5のプリント基板P裏面に移載されて配置されるべき支持ピン12の配置データと、図6の移載された後の現実に配置された支持ピン12の配置データとを比較した場合における支持ピン12の本数の差である5本、即ち図6におけるNo.1、No.2、No.3、No.19、No.20の5本、即ちストックエリアSA1内の左部に残された未使用の支持ピン12の本数である3本と右部に残された未使用の支持ピン12の本数である2本の合計した5本(未使用の支持ピン12の本数N=5、図9参照)について、干渉のチェックが行われるが、この5本と未使用の支持ピン12の1本目(n=1)とを制御装置33は比較し、nがN以下か否かを判定する(ステップS4)。
【0034】
そして、n(「1」)とN(「5」)とを比較して、制御装置33は5本以下と判定するので、ステップS5において1本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、ステップS6においてこの1本目の未使用の支持ピン12のX座標(No.1のX座標は「1」)はプリント基板Pの左端の座標(Xmin=「7」)と右端の座標(Xmax=「19」)との間に入っているか否かを判定する。
【0035】
従って、1本目の未使用の支持ピン12のX座標がプリント基板Pの左端の座標と右端の座標との間に入っていないと制御装置33が判定するので、ステップS7において「n=1」に「1」を加えてステップS4に戻る。そして、「n=2」とされるので、この「n=2」と「N=5」とを比較して、nがN以下か否かを判定する。
【0036】
そして、n(「2」)とN(「5」)とを比較して制御装置33は5本以下と判定するので、ステップS5において2本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、ステップS6においてこの2本目の未使用の支持ピン12のX座標(No.2のX座標は「1」)はプリント基板Pの左端の座標(Xmin=「7」)と右端の座標(Xmax=「19」)との間に入っているか否かを判定する。
【0037】
従って、2本目の未使用の支持ピン12のX座標がプリント基板Pの左端の座標と右端の座標との間に入っていないと制御装置33が判定するので、ステップS7において「n=2」に「1」を加えてステップS4に戻る。そして、「n=3」とされるので、この「n=3」と「N=5」とを比較して、nがN以下か否かを判定する。
【0038】
そして、n(「3」)とN(「5」)とを比較して制御装置33は5本以下と判定するので、ステップS5において3本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、ステップS6においてこの3本目の未使用の支持ピン12のX座標(No.3のX座標は「2」)はプリント基板Pの左端の座標(Xmin=「7」)と右端の座標(Xmax=「19」)との間に入っているか否かを判定する。
【0039】
従って、3本目の未使用の支持ピン12のX座標がプリント基板Pの左端の座標と右端の座標との間に入っていないと制御装置33が判定するので、ステップS7において「n=3」に「1」を加えてステップS4に戻る。そして、「n=4」とされるので、この「n=4」と「N=5」とを比較して、nがN以下か否かを判定する。
【0040】
そして、n(「4」)とN(「5」)とを比較して制御装置33は5本以下と判定するので、ステップS5において4本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、ステップS6においてこの4本目の未使用の支持ピン12のX座標(No.19のX座標は「27」)はプリント基板Pの左端の座標(Xmin=「7」)と右端の座標(Xmax=「19」)との間に入っているか否かを判定する。
【0041】
従って、4本目の未使用の支持ピン12のX座標がプリント基板Pの左端の座標と右端の座標との間に入っていないと制御装置33が判定するので、ステップS7において「n=4」に「1」を加えてステップS4に戻る。そして、「n=5」とされるので、この「n=5」と「N=5」とを比較して、nがN以下か否かを判定する。
【0042】
そして、n(「5」)とN(「5」)とを比較して制御装置33は5本以下と判定するので、ステップS5において5本目の未使用の支持ピン12のX座標を読み込んで、ステップS6においてこの5本目の未使用の支持ピン12のX座標(No.20のX座標は「27」)はプリント基板Pの左端の座標(Xmin=「7」)と右端の座標(Xmax=「19」)との間に入っているか否かを判定する。
【0043】
従って、5本目の未使用の支持ピン12のX座標がプリント基板Pの左端の座標と右端の座標との間に入っていないと制御装置33が判定するので、ステップS7において「n=4」に「1」を加えてステップS4に戻る。そして、「n=6」とされるので、この「n=6」と「N=5」とを比較して、nがN以下か否かを判定する。
【0044】
この場合、n(「6」)がN(「5」)以下でないと判定されるので、ステップS8において、制御装置33により支持ピン12の干渉があったか否かが判定される。以上の場合には、支持ピン12が干渉する旨が制御装置33のRAMに格納されておらず、ストックエリアSA1内に残された支持ピン12とプリント基板P裏面に装着済みの電子部品とが干渉することがなかったと判定されるので、終了する。
【0045】
次に、図12の点線で囲ったように、左右端部の5本の未使用の支持ピン12がプリント基板P裏面に装着済みの電子部品とが干渉する場合について、図10乃至図12に基づいて説明する。
【0046】
先ず、図10は移載されて配置されるべき支持ピンの配置データを示し、図11は移載された後の現実に配置された支持ピンの配置データを示す。図10のプリント基板P裏面に移載されて配置されるべき支持ピン12の配置データと、図6の移載された後の現実に配置された支持ピン12の配置データとを比較した場合における支持ピン12の本数の差である5本、即ち図11におけるNo.1、No.2、No.3、No.19、No.20の5本、即ちストックエリアSA1内の左部に残された未使用の支持ピン12の本数である3本と右部に残された未使用の支持ピン12の本数である2本の合計した5本(図12の点線で囲われた5本)について、干渉のチェックが行われる。
【0047】
即ち、左右端部の5本の未使用の支持ピン12のX座標がそれぞれプリント基板Pの左端の座標(Xmin=0.5)と右端の座標(Xmax=27.5)との間に入っているか否かを判定された際に(ステップS6)、この5本の座標(01,01)、(01,02)、(02,03)、(27,01)、(27,03)に基づいて、入っていると判定された場合には、これらの支持ピン12はプリント基板P裏面に装着済みの電子部品と干渉する或いは干渉する虞があるので、夫々干渉する旨が制御装置33のRAMに格納される(ステップS11)。
【0048】
従って、この格納がされた場合には、ステップS8において、制御装置33により支持ピン12の干渉があったか否かが判定された際に、左右部の5本の支持ピン12が干渉するので、「干渉する支持ピン有り」と判定される。この場合、制御装置33は報知装置としてのモニタ41に、例えば「プリント基板裏面の装着済みの電子部品と干渉する可能性があります。以下の支持ピンを取り除いて下さい。座標(01,01)、(01,02)、(02,03)、(27,01)、(27,03)」と表示させ、報知する(ステップS9)。この場合、報知装置としてモニタ41に限らず、その他のブザー又は音声により報知するものでもよい。
【0049】
この報知を受けた作業管理者は、干渉する支持ピン12をバックアップテーブル2Aから抜く(ステップS10)。そして、作業者はこの抜き取り後に、モニタ41に表示されたタッチパネルスイッチ42を押圧操作して、これらの干渉する支持ピン12が確実に抜き取られたかを基板認識カメラ40、その他の確認装置でチェックして、確認する。この場合、抜き取られていなければ、抜き取り動作を行う。
【0050】
以上のように、プリント基板Pの機種切替え等に伴って、バックアップテーブル2Aに支持ピン12を移載した後に、ストックエリアSA1に残された支持ピン12とプリント基板P裏面に装着済みの電子部品とが干渉しないようにすることができる。
【0051】
そして、以上のようなプリント基板裏面の装着済みの電子部品と支持ピン12とが干渉するかのチェックを行って、干渉しないことを確認した後、印刷動作に移るが、以下スクリーン印刷機の動作を説明する。
【0052】
先ず、上流側から受け継がれたプリント基板Pは基板搬送コンベア11により図1及び図2における左から右に流れるので、ストッパ27が固定された右の移載吸着ノズル24はシリンダー25により下降しており(図13参照)、搬送されて移動して来たプリント基板Pがこのストッパ27に当接して係止し、位置決めされることとなる。
【0053】
このとき、前記光センサ29がプリント基板Pを検出すると、このプリント基板Pを固定シュート7A及び可動シュート7Bが側方から挟んで支持したまま、バックアップテーブル2Aが上昇して、プリント基板Pは複数の支持ピン12により水平に支持される(図2、図13、図14では、便宜上1本のみ図示してある。)。この場合、支持ピン12とプリント基板P裏面に装着済みの電子部品とは干渉することなく、プリント基板Pを複数の支持ピン12により水平に支持することができる。
【0054】
そして、スクリーン認識用カメラ8によりスクリーン3に付されたスクリーン認識マークを撮像すると共に基板認識用カメラ5によりプリント基板Pに付された基板認識マークが撮像されて、認識処理装置40がこれらの画像を認識処理し、制御装置33に両者の認識処理結果が送出される。すると、制御装置33において、認識処理結果に基づいて各基板認識マークの位置と各スクリーン認識マークの位置とを相対的に位置決めさせるべき位置ズレ量を演算し、内蔵するRAMに演算結果を格納すると共に、この位置ズレ量に基づいて、制御装置33は前記基板支持ユニット2のX軸駆動モータ及びテーブルθ軸駆動モータを制御すると共にスクリーン3のY軸駆動モータを制御することにより、プリント基板Pとスクリーン3の相対的な位置ズレを補正して位置決めする。
【0055】
そして、更に基板支持ユニット2を上昇させて、支持ピン12により支持された状態のプリント基板Pをスクリーン3の下面に密着させ、印刷機構を動作させて、スキージ(図示せず)がクリーム半田をスクリーン3の印刷パターン孔を介してプリント基板P上に印刷が行われ、印刷終了後に基板支持ユニット2が下降して、バックアップテーブル2Aから下流に搬送される。
【0056】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0057】
2A バックアップテーブル
2 基板支持ユニット
3 スクリーン
4 移動体
6 移載ヘッド
11 基板搬送コンベア
12 支持ピン
24 移載吸着ノズル
33 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが前記プリント基板裏面に装着された電子部品と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する支持ピンの移載方法。
【請求項2】
プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記支持ピンの前記支持テーブルにおける配置データに従って前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが前記プリント基板の下方に位置するか否かにより装着された電子部品と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する支持ピンの移載方法。
【請求項3】
プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが位置決め部におけるプリント基板と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する支持ピンの移載方法。
【請求項4】
干渉すると判定されると、報知装置により干渉する旨を報知することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の支持ピンの移載方法。
【請求項5】
前記ストッカと前記支持テーブルとが兼用したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の支持ピンの移載方法。
【請求項1】
プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが前記プリント基板裏面に装着された電子部品と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する支持ピンの移載方法。
【請求項2】
プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記支持ピンの前記支持テーブルにおける配置データに従って前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが前記プリント基板の下方に位置するか否かにより装着された電子部品と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する支持ピンの移載方法。
【請求項3】
プリント基板下面を支持する支持ピンをストッカから移載部材により支持テーブルに移載する支持ピンの移載方法において、
前記移載部材により前記支持ピンを前記ストッカから前記支持テーブルに移載し、
この支持ピンの前記支持テーブルへの移載後に前記ストッカに残された支持ピンが位置決め部におけるプリント基板と干渉するか否かを判定する
ことを特徴する支持ピンの移載方法。
【請求項4】
干渉すると判定されると、報知装置により干渉する旨を報知することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の支持ピンの移載方法。
【請求項5】
前記ストッカと前記支持テーブルとが兼用したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の支持ピンの移載方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−278269(P2010−278269A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129722(P2009−129722)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】
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