説明

改良された熱可塑性単層保護被膜

建造物の屋根や輸送機関等の基材への取り付け用の押し出し感圧性ゴム系接着剤裏層を備えた改良された単層防水屋根被膜であって、前記接着剤は、ポリイソブチレン及び低分子量のポリブテンと共に、25%以上のブチルゴムを含有した熱可塑性ゴムを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フールデッキや、車、トラック、列車、船等の輸送機関用の風雨に曝すことが可能な単層被膜に関し、該被膜は、引き伸ばされたシートの形態にあり、屋根への取り付け性が改良されており、曝されることがない下面上に感圧性のゴム系接着剤のコーティングを備える。
【背景技術】
【0002】
1970年から使用されている従来の単層屋根被膜又は膜は、取り付け容易性、エネルギーコストをより高くしてしまう光反射性の低さ、継ぎ目故障を引き起こす収縮、取り付け、取替え及び補修手順に時間がかかること、クラック及び柔軟性の喪失の原因となる低温への耐性が低いこと、並びに化学的攻撃に対する接着耐性が更に低いこと等の幾つかの問題点に直面している。エチレン/プロピレン/ブタジエン(EPDM)共重合体からなる単層シートを用いた従来のルーフィングは、膜の収縮に起因した漏れや継ぎ目不良に直面している。継ぎ目テープを採用して接着剤を置換することで、この状況を一部改善できるが;テープの施工は時間がかかり、補修及び置換において困難に直面する。単層のポリビニルクロライド(PVC)/可塑剤のシーティングは、EPDMよりも幾つか利点があるため、現在、ルーフィング用にEPDMよりも広く使用されている。例えば、より高価ではあるが、光反射性をより良好にするために、白色又は軽く薄い色のついた膜として利用でき、これによって、エネルギーコストを著しく節約できる。また、PVCは、有害な可能性のある多種多様の化学物質に対して高い耐性を有する。これらの利点があるものの、PVCシーティングの取り付けには、防水信頼性を確保するために、コストと時間のかかる熱溶接継ぎ目が付きまとう。更に、少数のケースでは、可塑剤の移行による問題が、システム故障をもたらす。際立って低減された収縮性、高い反射性、良好な耐候性及び改良された耐衝撃性及び耐穿刺性等を有し、それによって、単層ルーフィングの従来の故障原因に対応し最小化する上記のものよりも、エチレン/プロピレン共重合体(TPO)及び他の熱可塑性オレフィンポリマーからなるシーティングは、幾つかの利点を有する。
【0003】
屋根に対する上記シーティングの様々な取り付け方法が、採用され又は提案されている。これらの方法としては、膜を通してルーフデッキの中にネジとアンカープレートとで機械的に固定すること;所定の位置に膜を保持するために、岩やその代わりとなる砂利を敷いて膜を安定させること、並びに、芳香族成分を含み、コートされた面を接着させるのに長い硬化時間を必要とするコンタクト型接着剤で、基材と膜の双方をコートすること等が挙げられる。なお、後者の方法は、硬化プロセスの間に蒸発する有害なトルエン又はキシレンの蒸気に起因する健康被害をもたらす。
【0004】
そこで、本発明の目的は、優れた耐引裂き性、耐剥離性及び耐穿刺性、クラックを避けるための低温耐性、並びに化学的な攻撃に対する耐性等の単層ルーフィングの有利な特性を保持したまま、上記の時間のかかる手順や他の欠陥を克服することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、機械的な固定、バラストによる安定化、熱溶接、硬化時間及び時間を要する追加接着剤の硬化を解消する単層屋根被膜を提供することにある。
【0006】
本発明のその他の目的は、単層ルーフィング要素に接着した面の取り替え又は継ぎあてを容易にすることにある。
【0007】
本発明の更にその他の目的は、シリコーンの剥離裏材料ストリップから剥がした後、直ぐに使用準備ができる連続ロール状に包装された改良単層シーティングを提供することにある。
【0008】
これらの並びに他の目的及び利点は、以下の記載及び開示から明らかとなるであろう。
【発明の開示】
【0009】
本発明によれば、通常の強化又は非強化単層屋根皮膜又は膜からなるシートが提供され、該シートは、任意に、下面にアニールされた接着剤吸着材料の層を有し、膜又は接着剤吸着層の少なくとも下面の端部が、(a)約25%以上のブチルゴムを含有するゴム系ポリマー又はポリマーの混合物;(b)ポリ(イソブチレン)及び低分子量のポリブテン又は前記成分の混合物を含む感圧性接着剤でコートされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、上述されたもの、又はルーフデッキや輸送機関の被膜として有用な他の総ての単層膜を含む単層フーフィングシートを包含する。好適な膜の代表例としては、TPO、PVC、EPDM及び他の熱可塑性オレフィンポリマー等の熱可塑性ポリオレフィンが挙げられる。
【0011】
上記膜は、例えば、ジョイントや水切りの周りの細かい施工のために大きな柔軟性が必要な場合を除いて、強度を付与するために、熱可塑性ポリマー中に埋め込まれるスクリムを含んでもよい。該スクリムは、一般に、ポリエステルや、例えば、ナイロン、オーロン繊維等の他の繊維材料又は織布から構成される。
【0012】
更に、強化又は非強化膜は、接着層及び膜層の間の結合を更に強くするために、その下面にアニールされた接着剤吸着シートを備えることができる。好適な接着剤吸着シートは、セルロース系材料や、例えば、ナイロン又はオーロン繊維等の合成材料からなる、フェルト、フリース、又はランダム繊維又は繊維織物から構成される。
【0013】
本発明の単層シートは、熱可塑性膜又は接着剤吸着層の下面の端部の少なくとも外側の縁にコートされた感圧性の高分子接着剤又は接着剤混合物からなる1〜50ミルのアンダーコート層、好ましくは3〜30ミルのアンダーコート層によって、屋根基材に取り付けられる。好適な感圧性接着剤は、硬化を行うことなく結合するものであり、(b)ポリ(イソブチレン)及び(c)ポリ(ブテン)と混合された、(a)25wt%以上のブチルゴムを含有する感圧性でゴム系の熱可塑性ポリマー、或いは(a)の混合物が挙げられる。成分(a)としては、SB、SBS、SIS、SEBS等の公知の熱可塑性ゴムが挙げられる。ブチルゴムと、数平均分子量が約70,000〜約400,000のポリ(イソブチレン)と、数平均分子量が約700〜約2,700のポリブテンとをほぼ等量含む感圧性接着剤混合物が好ましい。例えば、EXXON/MOBILから提供されているEXXPRO等のブチルゴム約32〜34wt%と、例えば、EXXON/MOBILから提供されているVISTONEX等のポリイソブチレン約32〜34wt%と、例えば、BP AMOCOから提供されているINDOPOL等のポリブテン約30〜36wt%とを含む混合物が最も好ましい。接着剤混合物は、更に、膜の重量、その用途に付随する気候条件に応じて3%以下の希釈剤又は増粘剤を含んでもよい。
【0014】
また、上記接着剤は、酸化防止剤及び/又は、例えば、EXXON/MOBILから提供されているESCOREVZ等の、例えば、C6〜C12の炭化水素又はゴムの粘着付与剤を少量、即ち、5%未満含んでもよい。
【0015】
接着剤吸着層を含む強化された又は強化されていない単層膜の厚さは、約25〜約60ミルの間で変化でき、約40〜約50ミルの間が好ましい。本発明の感圧性接着剤で処理された膜の全体の厚さは、約45〜約75ミルの間であり、約55〜約65ミルの間が最も好ましい。
【0016】
連続ロールとして包装される場合、上記膜は、接着剤の面を覆うクラフト紙又はシリコーン処理された剥離シートに面し、剥離材料は、屋根に取り付ける前に簡単に剥がされる。この膜の取り付けは、機械的に固定することを要さず、接着剤の硬化時間が不要で、バラストが不要で、外来の接着性化学物質を必要としないため、大いに簡素化されている。膜を基材に迅速に取り付け及び瞬間的に結合させるために、サイズに合わせてシートを単にカットし、剥離シートを剥がし取り、膜を屋根の上に配置し、その上、膜構造体中のあらゆる継ぎ目をヒートシールする。
【0017】
上記の改良された単層膜は、250 lbf(ポンド力)を超える優れた耐穿刺性;124×140 lbf以上の優れた引裂き強度及び45 lbsを超える優れた剥離強度を示す。加えて、該膜は、低温及び氷結温度である程度の柔軟性を保持したまま、良好な耐薬品性を有する。更に、上記感圧性コーティングは、基材の凸凹、並びに、屋根の隅棟や溝等の様々な屋根の領域に上記膜を適合させることができる。
【0018】
本発明を一般的に記載し、本発明の単層膜を備える好適実施態様及び比較を示す以下の例を参照するが;これらの例は、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきものではない。
【0019】
実施例1
平均分子量100,00のポリイソブチレンと、平均分子量約1,000のポリブテンと、30wt%のブチルゴムを含む熱可塑性スチレン/ブタジエン/スチレンポリマーとを、等しい部数で糊調合槽中に押出し、220℃で0.5時間撹拌して、広げることが可能な感圧性接着剤を形成した。単層ポリビニルクロライド膜の下面に約50ミルの厚さで接着剤をコートし、機械的に固定する必要がなく、風による持ち上げに対して抵抗力のある、単層ルーフデッキ被膜を形成した。
【0020】
実施例2
単層膜中にガラスマットのスクリムを埋め込み、該ガラスマットのスクリムで単層膜を補強した以外は、上記の手順を繰り返した。得られた製品は、ルーフデッキに塗布した場合に、風による持ち上げに対して良好な抵抗力を示した。
【0021】
実施例3
コーティング工程において単層膜によって吸い上げられる感圧性接着剤の量を増やすために、単層膜が下面にフェルト繊維からなる接着剤吸着層を有する以外は、実施例1を再度繰り返し、75ミルの接着性アンダーコートを形成した。この製品も、ルーフデッキ上に取り付けた場合に、風による持ち上げに対して優れた抵抗力を示した。
【0022】
本発明の範囲から逸脱することなく、組成物(a)、(b)及び(c)、又は(a)の部分のみを、他の感圧性接着成分で全部又は一部置き換えることが可能であるが、それらの濃度によっては、かかる置き換えによって、本発明の背景技術の欄で述べた前記不都合の一つ以上を被ることがある。かかる感圧性の代用接着剤としては、アクリル系ポリマー及びポリウレタンが挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層の熱可塑性屋根被覆膜において、該膜の下面に高分子感圧性接着剤が厚さ約45〜約75ミルの層としてコートされていることを特徴とする単層熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項2】
前記感圧性接着剤が、(a)25wt%以上のブチルゴムを含有する熱可塑性のゴム系ポリマー及び該ゴム系ポリマーの混合物と;(b)数平均分子量が約40,000〜400,000のポリイソブチレンと;(c)数平均分子量が約700〜2,500のポリブテンとの高分子混合物を含み、任意に(d)増粘剤、希釈剤、酸化防止剤及びゴムの粘着付与剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項3】
前記接着剤が、ブチルゴム系ポリマーと、ポリ(イソブチレン)と、ポリ(ブテン)とをほぼ等しい割合で含むことを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項4】
前記接着剤が、約32〜約34wt%のブチルゴム系ポリマーと、約32〜約34wt%のポリ(イソブチレン)と、約30〜約36wt%のポリ(ブテン)とを含むことを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項5】
前記単層膜が、ランダム繊維又は繊維織物のスクリムで補強されていることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項6】
前記単層膜が、補強されていないことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項7】
前記感圧性接着剤の混合物が、約3wt%以下の増粘剤又は希釈剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項8】
前記感圧性接着剤の混合物が、約5wt%以下の酸化防止剤又はゴムの粘着付与剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項9】
前記ゴム系ポリマーが、スチレン/ブタジエンのポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレンのポリマー、スチレン/イソプレン/スチレンのポリマー及びスチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンのポリマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項10】
前記単層膜と前記感圧性接着剤のコーティングとの間の、前記単層膜の下面に、接着剤吸着層がアニールされていることを特徴とする請求項5又は6に記載の熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項11】
前記膜の厚さが約25〜約60ミルであって、該膜の上にコートされた前記感圧性接着剤の厚さが約1〜約50ミルであることを特徴とする請求項1,2、5及び6のいずれかに記載の熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項12】
前記接着剤の自由面がクラフト紙又はシリコーン処理された剥離シートで覆われており、且つ一巻きの層材料として包装されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性屋根被覆膜。
【請求項13】
前記感圧性接着剤の(a)、(b)及び(c)の部分又は(a)の部分のみが、アクリレートポリマー及びポリウレタン並びにそれらの混合物からなる群から選択される感圧性接着剤で置き換えられていることを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性屋根被覆膜。

【公表番号】特表2006−518411(P2006−518411A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502913(P2006−502913)
【出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/001590
【国際公開番号】WO2004/070132
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(501093848)ビルディング マテリアルズ インヴェストメント コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】