説明

改良型積載用歯構成を備えた輸送容器

メモリディスクの輸送容器はカセットを含み、カセットは開放上端と及び開放底と、開放上端を覆う上カバーと、底を覆う底カバーとを有する、本体部は対向側壁及び対向端壁を有する。2個の側壁は各々、垂直な上部と、内方に収束する底部とを備える。この側壁は、基板を垂直方向に位置決めし且つ間隔をあけた配列で保持するために切欠を画定する、内方に対向する長手状歯即ちスペーサを有する。各歯は開放上端から開放底まで連続すると共に、各歯は側壁の垂直上部に上垂直部を、また側壁底部に収束下部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板搬送装置、及び基板が間隔をあけた配列で保持される容器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ及び半導体産業では、コンピュータハードドライブ用メモリディスクの保管及び輸送が必要とされる。
ここでは以下において「基板」とされるメモリディスク又は他のウェハを保管及び輸送する際には、常に破損、及び/又は基板への損傷の発生或いは加工及び製造工程の中断の可能性が存在する。多くの種類の基板搬送装置は、基板を相互に間隔をあけるために、側壁から内方に延在するスペーサ即ち「歯」を有する。歯は概してその長さに沿って均一な断面を有する。メモリディスク用輸送容器10は一般的に、切り取り部分を有する図7に示すように、カセット12即ち本体部と、上カバー14と、底カバー16とを含む。本体部は対向側壁20,22と、対向端壁24,26を有する。対向側壁は基板を垂直方向に位置決めし且つ間隔をあけた配列で保持するために、内方に対向する歯30即ちスペーサを有する。カセットは搬送装置の洗浄に適応すると共に基板へ接近できるように、開放上端32及び開放底34を有する。端壁はハードディスクの中心に位置する孔への接近が可能となるように、U字型の開口40を有する。上カバーは開放上端並びに端壁のU字型開口を覆うように構成される。この搬送装置は特許文献1及び特許文献2に示されている。これら2特許は参照によりここに組み入れられる。
【特許文献1】米国特許第4,557,382号明細書
【特許文献2】米国特許第5,253,755号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の基板搬送装置を使用する際に経験する問題点の一つには、基板が常に搬送装置の切欠に完全に積載されているとは限らないということがある。これはとりわけ、特許文献1及び2に記載されているようなハードディスク輸送容器の場合に当てはまる。切欠は側壁のリブ即ち歯によって画定されており、ディスクを垂直方向に受け入れると共に、ディスクが相互に接触しないように隔離させる。しかしながらディスクは時として、切欠を離隔させる歯の上端上に載って完全に切欠にはめ込まれず、また隣のディスクと接触することもある。その結果、ディスクは損傷を受け、或いは加工を妨げることになる。この問題を回避すると共に、このような構成体を製造するために既存の工具への変更の費用及び支出を最小限にするような構成体が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
好適な実施形態において、メモリディスクの輸送容器は、開放上端と、開放底と、開放上端を被覆する上カバーと、底を被覆する底カバーとを有するカセット即ち本体部を含む。本体部は対向側壁及び対向端壁を有する。2個の側壁は各々、垂直上部及び内方収束底部を有する。この側壁は基板を垂直方向に位置決めし且つ間隔をあけた配列で保持するために切欠を画定する、内方に対向する長手状歯即ちスペーサを有する。各歯は開放上端から開放底まで連続しており、また各歯は側壁の垂直上部において上垂直部を有すると共に、側壁の底部において収束下部を有する。各歯の収束下部は側壁底部の収束部分の後に続く。各歯の収束下部は上部における歯の構成と異なるように構成されており、ディスクの受け入れ性能が向上して、切欠に完全に受け入れられるのではなく、ディスクが歯の上端上にひっかかって載ってしまう等による切欠へのディスクの不完全な受け入れが最小化し或いは排除される。好適な実施形態は、ディスクを夫々の切欠内へより良好に案内するために、開放底に近接する各歯の上に増大した案内面を有する。これにより、より大きな受
け入れ部分が得られるように、各切欠が効果的に幅広になる。特定の実施形態では、ウェハの整列を改善するために、下収束部において側壁に対してより高い歯の高さを備える。特定の実施形態は同じ位置において、各歯の下収束部により大きい或いはより先鋭なテーパを備える。特定の実施形態は、ディスクが歯の上端上に載ってしまう可能性を最小化するために、各歯の上部に比較してより低い収束部に減少直径先端を設ける。特定の実施形態は、各歯の上部及び下部の接合点における比較的幅の広い先端から、開放底部の直ぐ近接するところでの最も先鋭な先端への連続的且つ平滑な移行を備える。特定の実施形態は、各歯上の上部及び下部の接合点における平坦な先端から、開放底部に直ぐ近接するところでの丸形狭小先端への移行を備える。特定の実施形態は、各歯の上部間の接合点から開始するディスクの円周と同心である歯高さ側面を備え、次に歯は開放底に接近するにつれて減少する半径を有する。他の実施形態はこれら特徴の組み合わせを備える。
【0005】
本発明の特徴及び利点としては、切欠内へ挿入されるディスク或いは基板の位置決めにおいて、より高い誤差余裕分がある。
本発明の特徴及び利点としては、カセットへ挿入されるディスクの不完全な受け入れ及び誤配置が最小化され或いは排除される。
【0006】
本発明の特徴及び利点としては、歯形成部分において、成形物から付加された鋼材を最初に或いは専ら取り除くことにより、既存のプラスチック製品が改良され得る。
本発明の特徴及び利点としては、本発明の構成をカセットに加えることにより、他の性能特性が影響を受けず、或いは最小限の影響のみを受ける。
【0007】
本発明の特徴及び利点としては、より幅の広い切欠とより大きい案内部分を開放底に近接する領域のみに利用し、歯の垂直部には利用しないことによって、改善された機能が達成される一方で、費用及び重量が最小化される。歯の垂直部が開放底における歯の全歯断面を有さないことにより、より少ないプラスチックが使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1から図5は、メモリディスク輸送容器のカセットとして構成された基板搬送装置の様々な図を示す。カセットは一般的にはディスク輸送容器の一部であり、図7の従来技術に示すように、上端カバー及び底カバーを備える。カセットはU字型開放54を備えた2個の側壁43と、開放上端56と、開放底57と、垂直上部85及び収束下部86を備えた2個の側壁82,84と、外面87と、図5及び図6に詳細に示すように、リブ即ち歯102によって画定される切欠100とを有する。歯は一般的に丸形部として構成される先端104,106を有する。丸形部104,106が、各歯上において歯の全長に延在する平坦部即ちフラッタ上端108を概して有する従来の手法と区別されることを強調するために、図6では明確となるように陰影が付けられている。これは、従来の歯パターンを備えた成形品から本発明の成形品への変換の可能性を示す。陰影部によって示される成形品の付加的な金属部分は、収束下部に改良型歯断面を形成するために取り除かれる。
【0009】
図4、図4a、図4b及び図4cを参照すると、先端104は導入面間の距離が最大にされるように、歯が開放底に接近するにつれて鋭利になっており、受け入れ部分118が増加させられている。受け入れ部分118は基板が搬送装置に積載され得るように、基板の端縁を受け入れる。各歯は開放上端から開放底まで連続し、各歯は側壁の垂直上部において上垂直部158を有すると共に、側壁の底部86において収束下部159を有する。各歯の収束下部は、側壁底部の収束に続いて起こる。
【0010】
図5及び図67を参照すると、屈曲角度と呼ばれる角度120は、歯の上端即ち先端に接する線と、歯上部132の側面と接する線との交差によって画定されると共に、好適には約60度である。
【0011】
図面に示すように、上端は丸形又は湾曲形であり、或いは側壁の歯と係合するウェハが屈曲させられて、先端の上端上に載せられることがないように突部を有する。歯側面155の屈曲角度は、側壁と接触した基板が切欠へ向けられるように選択される。屈曲角度の例としては、例えば45度よりも大きく且つ90度未満、またその間の値或いは範囲である。
【0012】
幾つかの実施形態において、例えば図1から図6に示すような側壁の別の態様は、歯外面が歯基部へ向けて下方に延在し始める歯上端間の距離dであり、例えば45度よりも大きい。この距離は有利には、挿入の間に基板が側壁と接触しなくなるように、開放底へ向けて増加させられる。基板が受け入れられる側壁上端の狭小点から、搬送装置本体付近のより広い基部まで先細になるように側壁にテーパを作ることによって、距離の増加は達成される。
【0013】
幾つかの実施形態において、図4、図4a、図4b及び図4cに示すような側壁の別の態様は、従来の側壁と相対する歯の高さである。基板搬送装置の底付近において歯の高さを増加させることによって、より大きなテーパが付加され得ると共に、基板の切欠内への案内性が改善される。
【0014】
ディスク輸送容器は従来では、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂が射出成形されている。このようなディスク輸送容器に一般的に共通な更なる詳細については、米国特許第4,557,382号及び第5,253,755号を参照せよ、これら2特許は参照によりここに組み入れられる。
【0015】
ディスク輸送容器の好適な実施形態についてここに説明してきたが、多くの変更及び変形が為され得ると共に、本発明の範囲は開示された特定の実施形態ではなく請求の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】カセットを示す斜視図。
【図2】図1のカセットを示す端面図。
【図3】カセットを示す側面図。
【図4】ディスクを所定位置に備えたカセットを示す断面図。
【図4a】図4の4a−4a線における断面図。
【図4b】図4の4b−4b線における断面図。
【図4c】図4の4c−4c線における断面図。
【図5】図1においてAにて示したの部分の拡大斜視図。
【図6】カセット底開放における歯を示す部分拡大斜視図。
【図7】カセット、上端カバー及び底カバーを備えた従来技術のディスク輸送容器を示す正面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリディスクを輸送するためのディスク輸送容器であって、該輸送容器は対向側壁と、対向端壁と、開放上端と、開放底とを有するカセットと、
前記開放上端を被覆する上カバーと、
前記底を被覆する底カバーとを含み、
前記カセットの2個の側壁は各々が垂直上部及び内方収束下部を有し、該側壁は、基板を垂直方向に位置決めし且つ間隔をあけた配列で保持するために切欠を画定する、複数の内方に対向する長手状歯を有し、各歯は前記開放上端に近接するところから前記開放底に近接するところまで連続しており、各歯は前記側壁の垂直上部において上部を有すると共に、前記側壁の収束底部において収束下部を有し、断面において各歯は先端を有し、該先端の先鋭は該開放底へ向けて増加すると共に、該開放底に直ぐ近接するところで最大の先鋭度を備える
ことを特徴とするディスク輸送容器。
【請求項2】
断面において各歯は長さを有し、該歯の長さは開放底において最大に増加することを特徴とする請求項1のディスク輸送容器。
【請求項3】
各側壁の複数の歯はディスク受け入れ切欠を画定する複数の近接対を含み、各切欠は幅を有し、各切欠の幅は該歯が前記開放底に接近するにつれて増加することを特徴とする請求項1のディスク輸送容器。
【請求項4】
ディスク輸送容器をより信頼性のあるディスク受け入れカセットに変換する方法であって、該カセットは開放上端と、開放底と、該開放上端から該開放底へ連続的に延在する複数の歯を備えた一対の側壁とを含み、
底開口に直ぐ近接するカセット歯部分に対応する成形部から鋼材を取り除く工程と、これにより該歯は伸長されると共に、該歯が該開放底へ接近するにつれて前記先端は鋭利にされ、
プラスチックを前記成形物内に射出する工程と
を含むことを特徴とするディスク輸送容器。
【請求項5】
メモリディスク輸送用ディスク輸送容器であって、該輸送容器は対向側壁と、対向端壁と、開放上端と、開放底とを有するカセットと、
前記開放上端を被覆する上カバーと、
前記底部を被覆する底カバーとを含み、
前記カセットの2個の側壁は各々垂直上部及び内方収束底部を有し、該側壁は基板を垂直方向に位置決めし且つ間隔をあけた配列で保持するために切欠を画定する、複数の内方に対向する長手状歯を有し、各歯は前記開放上端に近接するところから前記開放底に近接するところまで連続しており、各歯は前記側壁の垂直上部において上部を有すると共に、該側壁の前記収束底部において収束下部を有し、該歯は複数の切欠を画定し、且つ該歯は該歯が前記開放底に接近するにつれて該切欠を拡張させるように構成されることにより、挿入の間にディスクへ拡大受け取り部分を提供する
ことを特徴とするディスク輸送容器。
【請求項6】
メモリディスク輸送用ディスク輸送容器であって、該輸送容器は対向側壁と、対向端壁と、開放上端と、開放底とを有するカセットと、
前記開放上端を被覆する上カバーと、
前記底部を被覆する底カバーとを含み、
前記カセットの2個の側壁は各々垂直上部及び内方収束底部を有し、該側壁は前記基板を垂直に位置決めすると共に間隔をあけた配列で保持するために切欠を画定する、内方に
対向した複数の長手状歯を有し、各歯は前記開放上端に近接するところから前記開放底部に近接するところまで連続し、各歯は前記側壁の垂直上部において上部を有すると共に、該側壁の前記収束底部において収束下部を有し、各歯は各歯の上部と各歯の下側収束部の交差点で始まるディスク円周と同心である歯半径高さ断面を有し、次に歯が該開放底に接近するにつれて減少する半径に対応する増加高さ断面を有する
ことを特徴とするディスク輸送容器。
【請求項7】
メモリディスク輸送用ディスク輸送容器であって、該輸送容器は対向側壁と、対向端壁と、開放上端と、開放底とを有するカセットと、
前記開放上端を被覆する上カバーと、
前記底を被覆する底カバーとを有し、
前記カセットの2個の側壁は垂直上部及び内方収束底部を有し、該側壁は基板を垂直方向に位置決めすると共に間隔のあいた配列で保持するために切欠を画定する、複数の内方に対向した長手状歯を有し、各歯は前記開放上端に近接するところから前記開放底に近接するところまで連続しており、各歯は前記側壁の垂直上部において上部を有すると共に、該側壁の前記収束底部において収束下部を有し、断面において各歯は先端を有し、該先端を画定する半径は該開放底へ向けて減少すると共に該開放底に近接したところで最小半径となる
ことを特徴とするディスク輸送容器。
【請求項8】
各側壁の複数の歯はディスク受け入れ切欠を画定する複数の近接対を含み、各切欠は幅を有し、各切欠の幅は該歯が前記開放底に接近するにつれて増加することを特徴とする請求項7のディスク輸送容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−508210(P2007−508210A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534464(P2006−534464)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/033641
【国際公開番号】WO2005/036609
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】