説明

改良型航空機エンジン一次ストラット構造体

【課題】本発明は、少なくとも2つの機器(10a、10b)の電気インタフェース(11a、11b)に接続することができる少なくとも1つの光バス(20)を使用して前記機器(10a、10b)間で情報を交換することができる、少なくとも1つの同時双方向電気通信バスにより情報を交換することができる。
【解決手段】少なくとも2つの機器(10a、10b)を含む航空機用アビオニクスシステムに関する。アビオニクスシステムの光バス(20)は、少なくとも1つの光ファイバー(22)を内蔵する光ケーブル(21)と、電気信号を変換する電子光学手段(41、42、45、46)を内蔵するコネクター(30)を各終端に含む、少なくとも1つの光ケーブル(21)を含む。光バス(20)は既存の機器の電気プラグに接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機に搭載されたアビオニクス機器が電気バスネットワークによる通信用として設計されている時、前記アビオニクス機器を改造する必要なく、前記機器の光通信バスネットワークを使用して接続するための手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の民間航空機はデジタル技術を大幅に取り入れている。コンピューター、あるいはマイクロプレッサー、マイクロコントローラーまたはデジタルインタフェースを具備するその他の機器のように、電子通信インタフェースを含む種々の機器は、航空機の制御、モニター、機上監視機能を行い、デジタルバス上で情報を交換する。
【0003】
最も多用されている通信バスは、コアが銅またはアルミニウムを基材とする導体金属製であるケーブルを使用する電気バスである。その場合、デジタルデータは電圧の振動として伝達される。電気バス技術、特に、コード化された情報が同じ物理的媒体上で送信されるシリアルバスは、航空機に搭載された状態で過酷な運転環境にさらされる接続手段の信頼性ゆえ妥当である。しかしながらこれらの電気バスには、比較的重量があり電磁妨害の影響を受けやすいという欠点がある。
【0004】
特に物理的および機能上のインタフェースのレベルにおいて、特に互換性についての動作上の理由から、航空機の製造者はこれらの機器の機械的および電気的インタフェースの規格を制定するようになった。
【0005】
航空業界であれば、たとえば、規格に準拠する単方向バスを用いる、航空機に搭載された機器間の通信インタフェースおよびプロトコルを詳細に定義する規格ARINC429はよく知られている。
【0006】
より詳細には、現在の物理的バスがサポートすることができる通信速度が上昇しつつ、航空的応用例に必要な信頼性条件が保持されているので、物理的バスの単純化が可能になった。したがって、規格ARINC429に準拠したシステム内で使用される通信速度が比較的低い複数の単方向バスは、100MBit/秒の高速双方向バスに置き換えることができる。これらの高速双方向バスは新しい規格に関連付けられるとともに、当然のことながら、アビオニクス機器のための新しい規格にも関連付けられている。
【0007】
これら新しい規格は、上で述べた動作上の信頼性の理由から、現在でもなお電気通信バスに関連付けられている。
【0008】
図1には、高速電気バスによって接続されている搭載電子機器のユニットについてのアーキテクチャーを示した。
【0009】
この例においては、コンピューター1a、1b、1cは、それぞれ電気通信バス4a、4b、4cにより、バス自体に到達するアドレシング信号に応じてあるバスから他のバスへ信号を移動させることができる機器である切替器に接続される。たとえばセンサーまたはアクチュエーターなど他の機器3a、3bは、それぞれ電気通信バス5a、5bを使用してコンピューター1a、1bにそれぞれ直接接続される。
【0010】
全二重方式と呼ばれる同時双方向電気通信バスは、通常、2つペアの電気導線すなわち4軸ケーブルで構成され、各対は1つの通信方向に専用である。通常、各ペアはツイストされ、このようにして構成されたケーブルは、外部からの電磁ストレスからケーブルを保護したり、ケーブルから発せられる可能性の電磁放射線から外部環境を保護するためのシールドを含む。これらのケーブルは40g/mから50g/m程度の単位長さ質量を有する。ケーブルは、必要に応じてオスまたはメスの4つの電気接点を含みコネクターの金属構造にシールドが再び装着されるコネクターをその各終端に具備する。企画ARINC600(2003年7月15日付けの暫定版の附則20の追補14を参照のこと)は、そのような4軸型コネクターの電気的特性および機械的特性について記載している。これらの4電気接点型コネクターに関しては、送信専用の2つの接点には通常Tx+およびTx−の符号がふられ、受信専用の2つの接点には通常Rx+およびRx−の符号がふられる。記号+および−はバスが極性を有していること、およびコネクターをバスの電気ケーブル上に実装する際、この極性を守らなければならないことを示している。
【0011】
また、送信する情報を、光ファイバー内を伝播することができる光信号に変換することも可能である。光通信バスは、単位長さあたり質量、情報送信速度、電磁放射に対する無感応性に関して有利であるが、光リンクの結合に関する課題や、現状では大部分が電気通信バスとともに作動するようになっている現状の機器の技術のため、民間輸送航空機の分野ではまだ広く使われていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、機器が電気通信バスで動作するように設計されている航空機に、これらのバスに接続され、電気通信バスに対応する規格を今後もまだ数年満たさなければならない機器の既存の設計は問題視することなく、光通信バスにより通信できる可能性を付与すること、すなわち、特に質量および電磁妨害に対する無感応性に関する技術を利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のため、単数または複数の同時双方向電気通信バスを使用して情報を交換するよう設計された2つまたは複数の機器を含む本発明による航空機用アビオニクスシステム内で、少なくとも1つの電気バスが、終端コネクターが前記機器の電気インタフェース上に接続できる少なくとも1つの光バスに置き換えられる。
【0014】
本アビオニクスシステムの好ましい実施形態においては、光バスは、少なくとも1つの光ファイバーを含む少なくとも1つの光ケーブルと、電気信号を光信号に変換するための手段と光信号を電気信号に変換するための手段とを内蔵するコネクターを各終端に含む。
【0015】
光ケーブルのコネクターは、ある機器に接続されるようになっているコネクターの終端に、電気信号の2つの送信電気接点と、2つの受信電気接点とを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態においては、コネクターに内蔵された信号変換電子光学手段には、コネクターの外部のエネルギー発生源に接続することができる少なくとも1つの電線によって電源が供給される。電子光学変換手段のアースは、航空機のアースに接続された第2の電線によるか、好ましくはコネクターのハウジングの構造によって行うことができる。
【0017】
別の実施形態においては、コネクターに内蔵された信号変換電子光学手段には、コネクターの送信または受信電気接点のうちの1つに印加される電圧が供給される。この場合、好ましくは、アビオニクス機器は、機器のバスのプラグのレベルにおいて、選択した送信または受信接点に対し、電子光学手段への電源供給に必要な電圧を印加するが、他の接点は、電気通信バスが接続され、電源供給に用いられる接点に対面する接点に前記電源電圧を印加するようになった時にこの電圧の影響から保護される。このような予防策により、アビオニクスシステムは、2つの機器間のリンク上で電気通信バスまたは光通信バスを分け隔てなく使用することができる。
【0018】
本発明は、少なくとも1つの光ファイバーを内蔵する光ケーブルと、少なくとも1つの光ファイバーの所望する位置決めを行うことにより光ケーブルをコネクターに固設するため光ケーブルの維持手段、電気信号を波長λ1の光信号に変換する電子光学手段、波長λ2の光信号を電気信号に変換する電子光学手段、4軸型電気バス用の電気接点に幾何学的にも電気的にも適合する電気接点を含むコネクターを光ケーブルの第1端に含み、少なくとも1つの光ファイバーの所望する位置決めを行うことにより光ケーブルをコネクターに固設するため光ケーブルの維持手段、電気信号を波長λ2の光信号に変換する電子光学手段、波長λ1の光信号を電気信号に変換する電子光学手段、4軸型電気バス用の電気接点に幾何学的にも電気的にも適合する電気接点を含むコネクターを光ケーブルの第2端に含む、航空機のアビオニクス機器間におけるデジタル形式のデータの通信のための同時双方向バスにも関する。
【0019】
光バスの電気コネクターの単数または複数の接点からコネクターの電子光学変換手段に電源が供給される実施形態を実施するために、本発明は、機器の外部の電子光変換手段のための電源電圧が、電気通信バス上での信号の送信専用のプラグの2つの電気接点のうちの少なくとも1つにおけるデジタル信号に重畳されること、およびプラグの受信専用の電気接点に到達するデジタル信号が、電子光変換手段の電源電圧と同じ特性の電圧に重畳されるか否かに関わらず、機器によって正常に受信されるようにするための手段を含むことを特徴とする、4軸型同時双方向デジタル通信電気バス用の少なくとも1つのプラグを含むアビオニクス機器にも関する。
【0020】
同様に本発明は、機器の外部の電子光変換手段のための電源電圧が、電気通信バスからの信号の受信専用のプラグの2つの電気接点のうちの少なくとも1つにおいて生成されること、および送信専用のプラグの電気接点上に送信されたデジタル信号が、これらの送信接点またはこれらの接点のうちの1つが、電子光変換手段の電源電圧と同じ特性の電圧に重畳されるか否かに関わらず、機器によって正常に送信されるようにするための手段を含むことを特徴とする、4軸型同時双方向デジタル通信電気バス用の少なくとも1つのプラグを含むアビオニクス機器にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0022】
本発明によるアビオニクスシステムは、航空機に搭載され少なくとも1つの光デジタルバス20を使用して通信バスネットワークを介して情報を交換する少なくとも2つの機器ユニット10a、10bを含む。
【0023】
これらの機器10a、10bは、たとえば航空機およびそのシステムの制御、ミッション遂行あるいは監視に関する多少複雑な作業を実行するコンピューター、センサーまたはセンサーの測定値の収集装置、アクチュエーター、電子スイッチまたは電子ルーターのように通信バスネットワークに固有な機器など、デジタル情報の送信および/または受信することができる任意の種類のものにすることができる。
【0024】
想定するこれら全ての機器10a、10bは、単数または複数の他の機器との情報の交換を行うため、少なくとも1つの双方向電気通信バスに接続するための少なくとも11つの4軸型電気接点を含む少なくとも1つのバス接続インタフェース11a、11bを有する。
【0025】
アビオニクスシステムの本アーキテクチャーにおいては、電気通信バスによりこれらの機器10a、10bが接続されるよう設計されるインタフェース11a、11bにも関わらず、終端にコネクター30a、30bを具備し、終端が、機器10a、10bの4軸用電気プラグと適合する電気結合プラグを含む光ケーブル21を含む光通信バス20を使用して、機器10a、10b間で情報を交換するための少なくとも1つの結合が作製される。
【0026】
コネクター30の電気結合プラグは、アビオニクス機器10からの情報の送信専用の2つの接点32aおよび32b、ならびにアビオニクス機器による情報の受信専用の2つの接点33a、33bを含む。コンピューター10のプラグの送信接点に接続されるようになっている一対の接点32a、32bについて電気信号から光信号への変換を行い、コンピューター10のプラグの受信接点に接続されるようになっている一対の接点33a、33bについて光信号から電気信号への変換を行うために、光通信バス20の各端に実装された各コネクター30は、電気から光への変換45、あるいは光から電気への変換46を行うよう構成された電気光学コンポーネントを含む。そのような電気光学コンポーネントは、光ファイバーによるデータ送信システムの作製に関して既知のものである。この場合、電子機器内に設置された光ファイバーの接続は、光コネクターを使用して機器上で行う。電気から光および光から電気という2つの変換機能を組み込んだ電気光学コンポーネントも存在するが、これは、ほとんど場所がなく1本の光ファイバーが双方向の通信をサポートしている時には有用である。
【0027】
機能上、コネクター30は3つのゾーンを含む:
− 幾何学形状的かつ電気的に4軸バス型と同一であって当該アビオニクス機器10にとって必要とされる設計に適合する電気カップリングを使用して電子機器10と協動するようになっている第1終端ゾーン31、
− 機器10から発信された電気信号を光通信バス20に送信するための光信号45に変換し、光信号を、機器10向けの光通信バス20からの受信のための電気信号46に変換する電子工学手段、ならびに動作を行うための電子光学コンポーネント45および46に結合されたそれぞれの電子回路41および42を含む中間ゾーン40、
− 光ケーブル21に接続されること、すなわちコネクター30と光ケーブル21との間に機械的結合を確保し、光信号を送信する単数または複数の光ファイバーの位置決めを保証することができるコネクター30上の第1ゾーン31とは反対側の第2終端ゾーン50、
【0028】
コネクター30の第1終端ゾーン31は、想定されるアビオニクス機器が期待する電気インタフェースの設計に適合するとともに、特にその幾何学形状上、アビオニクス機器10を受け入れるラック12を、通常クレードルの後ろに固定されるリセプタクル13に取り付けるか、アビオニクス機器が直接取り付けを行えるようになっている場合には同機器のインタフェース11上に直接取り付けることができるようになっていなければならない。
【0029】
コネクター10の中間ゾーン40はコネクター30の電子光学部分を含む。好ましくは、4軸電気ケーブル用コネクターの既存のハウジングのサイズに適合するできるだけ小型の電子光学コンポーネントを使用するが、電子コンポーネントおよび電子光学コンポーネントの統合に関する制約上必要であれば、たとえば、機器10を支持するラック12の後部のリセプタクル13上またはこの機器自体の上にコネクター30を取り付けることができなくならないよう注意しながらこのゾーン40を長くするなど、従来の4軸型コネクターの幾何学的形状に対しこのゾーンの幾何学的形状を変えるのが望ましい。
【0030】
電子光変換装置は以下のものを含む:
− 少なくとも1つの電子回路41、42
− 前記少なくとも1つの電子回路41、42への電気接点32a、32b、33a、33bの電気接続43、44
− 前記少なくとも1つの電子回路41、42の送信コンポーネント41に電気的に接続された少なくとも1つの、光信号から電気信号への変換コンポーネント45(たとえば発光ダイオード、レーザーダイオード・・・)
− 前記少なくとも1つの電子回路41、42の受信コンポーネント42に電気的に接続された少なくとも1つの、電気信号から光信号への変換コンポーネント46(たとえばトランジスター・・・)
【0031】
本発明の特定の実施形態においては、たとえば信号の増幅器または整形回路など、電気信号の処理手段は、たとえば送信信号の品質を向上させるために、コネクター30内に取り付けられる。これらの手段は電子回路41、42から分離することも、電子回路に内蔵させることも可能である。
【0032】
光通信バス20は同時に双方向にできるものでなくてはならないので、送信時および受信時における信号は、従来の4軸電気バスの場合は個別の電気導線ペアを通過するが、光ケーブル21の単数または複数の光ファイバー22上を送信されるのが有利である。送信時の光信号と受信時の光信号とを区別するために、受信時の光信号は、各送信方向について異なる波長λ1およびλ2の光信号を使用して送信するのが好ましいが、これは、選択した波長に適した光信号の送信コンポーネント45および受信コンポーネント46を使用するか、選択した波長だけを通し送信コンポーネント45および受信コンポーネント46に結合された図示しないフィルターを使用することにより得られる。
【0033】
たとえば光通信の分野においては既知の電子光学コンポーネントおよび光ファイバーを使用する場合、各方向に送信される信号の良好な分離を得るために、信号は、光ファイバーに沿った方向においては1310ナノメートルを中心とする波長で送信され、反対方向においては850ナノメートルを中心とする波長で送信される。
【0034】
λ1が、たとえば光バス20のコネクター30aに相当する波長のように、ある終端に送信される信号に相当する波長、すなわち光ファイバー22内に投入された光信号を送信するよう光コンポーネント45aが適合化された波長である場合、この例においてコネクター30bに相当する光ファイバー20の他方の端において光信号を受信する光コンポーネント46bはこの波長λ1に適合させなければならない。また、光バス20の第1端においてコネクター30aに結合された受信光学コンポーネント45bが適合しなければならない波長でもある波長λ2で光信号を送信するには、光バスのこの他方の端に、コネクター30bに結合された光コンポーネント45bを適合させなければならない。このように、ネットワークの各光バス20、すなわち、4軸型の電気接点に対し終端を有する2つのコネクター30a、30bの間に光ケーブル21を含む要素については、2つのコネクター間で送信および受信波長が反転している限りにおいては、光バス20の各端にあるコネクター30aおよび30bは異なる。したがって、送信および受信機能を行う電気光学コンポーネント45および46の特性はこの反転を考慮するよう適合化される。電気接続部を含む終端31は、バスの行き先によって同一ものか異なるものにすることができる光通信バス20の両端に取り付けられたコネクター30a、30b上で、4軸プラグの極性の条件を満たさなければならないが、その幾何学的側面を考慮しない場合、送信信号の通信方向によって光学特性が異なるため、コネクター30aおよび30bは相補形でなければならない。
【0035】
実際には、オスコネクターまたはメスコネクターのどちらかを両端に具備する光通信バス20を作製する必要性を満たすためには、少なくとも4種類のコネクターを持ち、4軸型電気通信バスを本発明による光通信バスに交換することが必要である。このようなコネクターとは以下の通りである:
− MAモデル: 波長λ1の信号を送信し波長λ2の信号を受信するオスコネクター、
− FAモデル: 波長λ1の信号を送信し波長λ2の信号を受信するメスコネクター、
− MBモデル: 波長λ2の信号を送信し波長λ1の信号を受信するオスコネクター、
− FBモデル: 波長λ2の信号を送信し波長λ1の信号を受信するメスコネクター、
【0036】
本発明による光通信バス20は、バスが使用される通信バスネットワークのニーズに応じてxおよびyがMまたはFであるxA−yBタイプのコネクター形式の組み合せに従うことにより、オス−オス端、オス−メス端、またはメス−メス端でコネクター30a、30bの組み合せが作製される。
【0037】
同じ光通信バス20の終端に、光学的動作において同一なコネクター30a、30bを取り付けるリスクを制限するために、安全性および品質管理の目的から、取り付け先のリセプタクル13へのコネクターの取り付けに支障をきたすようなリスクがないよう、光学的動作において対向する2種類のコネクター30a、30bは、たとえばコネクター30の一部分の形を変えるか、コネクター30a、30bのボディー上のカラーコードまたは目印47a、47bで区別される。光通信バス20の内部の光学的動作におけるこのような非対称性にもかかわらず、バス20は機能面において優先的な方向は有しておらず、電気インタフェースが適合しかつ機械的手段により光通信バス20の取り付け方向に何ら制限が課されない場合には、バスがデータ送信を行う2つの機器10a、10bの間においてバスがどちらの方向に接続されても、バスは同じように動作する。
【0038】
光通信バス20の別の態様は、コネクター30に内蔵された電子ユニットのコンポーネントの電源に関するものである。電気信号から光信号またはその逆の変換を行うのに現在用いられているコンポーネントは通常、低電圧(数ボルト)の直流電源を必要とする。したがって、コネクター20、ならびに中間ゾーン40に内蔵された電子回路にそのような電源を供給することが必要である。この電源はたとえば、図示はしないが、コネクター20に内蔵された電子ユニットのニーズに適合した電圧発生源に接続された一本の電源供給電線34を使用して作製される。たとえば、電源供給電線34は、リセプタクル13または同等のリセプタクルのハウジングに挿入することができる電気接点35をその自由端に具備し、前記ハウジングは、求める電圧が得られる電気接点に相当する。通常、アビオニクスシステムの設計者は、航空機の発電装置から所望の電圧を供給するために接点を配置することができる予約自由スペースのコネクターおよび電気接点をリセプタクル上に設ける。いったんコネクター30が接続された時、航空機のアースに接続されるコネクター30のハウジング36のアースにより電流の戻りが確保される。コネクター30のハウジングの質量による電流の戻りを所望しない場合あるいはそれが不可能な場合、コネクター30に対向する終端が航空機のアースに接続された第2の電線37が設けられる。コネクター30に内蔵された電子ユニットの作動に必要な電圧が、当該電子機器10の作動に必要な電圧のうちの1つである場合、この電圧は通常、ラック12の底部のリセプタクル13の接点で得られる。
【0039】
本発明の特定の実施形態においては、光通信バス20の終端コネクター30を接続しなければならないアビオニクス機器10のコネクターの少なくとも1つの電気接点に電圧が重畳されるよう、アビオニクス機器10a、10bが改造される。有利には、アビオニクス機器10の当該コネクターの電気接点と、通常、機器10のアースに接続されたこのコネクターのアースとの間に電源電圧が印加される。また、アビオニクス機器10の当該コネクターの電気接点のうちの2つの間に電源電圧を印加することも可能である。通信バス上で送信される情報の搬送信号の周波数に対し直流であるか準直流であるそのような電圧は、送信するデジタル信号の品質には影響がなく、アビオニクス機器10の内部電源により、光通信バス20の終端コネクター30に内蔵された電子回路41、42に電源を直接供給することができる。この実施形態により、機器の10の支持ラック12のリセプタクル13のレベルにおいて追加的電気配線をする必要がなくなる。
【0040】
アビオニクス機器10によるコネクター30への電源供給がもっぱらコネクター30の1つまたは2つの送信接点32a、32b、あるいは1つまたは2つの受信接点33a、33bにより行われる時、送信接点にするか受信接点にするかの選択は先験的に任意であるが、アビオニクス機器が、本発明による光通信バスでも、光通信バスに取って替えられる従来の4軸電気通信バスとでも同じように動作するよう、信号と電源との間の分離手段を設けるのが有利である。コネクター30aの電源電圧が、通信バスの終端にある機器10aにより、ある接点、選択によりたとえば送信接点32a、に印加されると、従来の4軸電気通信バスにより2つの機器10a、10bが接続された時、この電圧は第2機器10bの別の接点、すなわち例として示した選択では受信接点33aに到達し、前記接点は、本発明によるコネクター30の内部電子ユニットに電源を供給するために改造されたアビオニクス機器10に内蔵された前記分離手段に結合される。これらの分離手段は、電気通信バスの他方の終端に接続されたアビオニクス機器からの電圧をアビオニクス機器10のプラグの電気接点に印加することによって前記アビオニクスの作動が妨害されないよう、信号と電源電圧とを分離するものである。そのような手段はたとえば、電源電圧の準直流成分を阻止し高周波信号を通すキャパシタンスを使用して作製することができる。
【0041】
コネクター30の第2終端ゾーン50は、中間ゾーンの電子光学コンポーネント45、46の光信号の送受信光ウィンドウ51と光ファイバー22のアラインメントを確保することにより光ケーブル21をコネクター30の終端に維持する役割を有する。この実装方法はきわめて高い精度および品質が必要であり、その作製は光ファイバーを通る信号の送信品質に依存する。送信品質、および送信品質が維持される時間に大きな影響を及ぼす基準としては、光接続部の透明度を下げる可能性のある埃、油分、その他の要素がないこと、光ファイバーの終端の直角度および研磨、電気光学コンポーネントに対するファイバーの芯出しがある。良好な送信品質が得られる光ケーブルの終端の実装方法は、継手の機械的強度および実装部の防水性の問題の把握も含め、既知である。本発明によるバスにより、航空機内に光バス20を実装するタイミングに光接続が行われる時に同品質を得るには工業的に実現がきわめて困難さらには不可能な手段を使用して、必要な品質を得る全条件が保証される専用の工場において実装作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
したがって、本発明による通信バス20を使用するアビオニクスアーキテクチャーにより、特別な脆弱性をきたすことなく、電気接点上で、全ての継手ならびに接続および接続解除作業が行われる。航空機の運用者はいかなる時も、光バスが使用されていることを考慮する必要がなく、特に、光コネクターを使用することによって必要となる保守作業のための特別な条件を用意する必要がない。したがって航空機のメンテナンス要員は、既存の電気バスの保守に必要なトレーニングおよび資格以外にトレーニングや特別な資格を取得する必要がない。
【0043】
さらに、アビオニクス機器10は電気通信バスネットワークおよび本発明による光通信バスネットワークに完全に適合しているので、機器の型式に関する間違いのリスクはなく、2種類のバスを具備する飛行機を使用する航空会社は、各飛行機に搭載された通信バスの種類に応じて2種類の機器ファミリーを管理する必要がない。
【0044】
改造された電子機器を使用してコネクターの接点によりコネクター30の内部電子ユニットに電源を供給する実施形態を実施すると、アビオニクス機器10のリセプタクル13の配線に手を加える必要なく、たとえば保守作業中に、電気通信バスを本発明による光通信バスに、あるいはその逆に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】電気通信バスネットワークの先行技術を示す図である。
【図2】本発明による通信バスネットワークのアーキテクチャーの例を示す図である。
【図3】アビオニクス機器ならびにそれらの電気接続手段の詳細図であり、詳細(a)は電気接点側のコネクターの端面図である。
【図4】本発明による光バス用の電気コネクターの詳細図(部分断面図)である。
【図5】4軸型電気接続部を有する光バスの図(部分断面図)である。
【符号の説明】
【0046】
10,10a,10b アビオニクス機器
11a,11b インタフェース
12 支持ラック
13 リセプタクル
20 光通信バス
21 光ケーブル
22 光ファイバー
30,30a,30b コネクター
31 第1終端ゾーン
32a,32b 送信接点
33a,33b 受信接点
34 電源供給電線
35 電気接点
36 ハウジング
37 電線
40 中間ゾーン
41,42 電子回路
43,44 電気接続
45,46 コンポーネント
47a,47b 目印
50 第2終端ゾーン
51 送受信光ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの機器(10a、10b)の電気インタフェース(11a、11b)に接続することができる少なくとも1つの光バス(20)を使用して前記機器(10a、10b)間で情報が交換されることを特徴とする、少なくとも1つの同時双方向電気通信バスにより情報を交換することができる少なくとも2つの機器(10a、10b)を含む航空機用アビオニクスシステム。
【請求項2】
光バス(20)が:
− 少なくとも1つの光ファイバー(22)を含む少なくとも1つの光ケーブル(21)と、
− 電気信号を光信号に変換するための手段(41、42、45、46)と光信号を電気信号に変換するための手段とを内蔵するコネクター(30)を各終端に
含むことを特徴とする請求項1に記載のアビオニクスシステム。
【請求項3】
ある機器に接続されるようになっているコネクター(30)の終端(31)が、電気信号の送信専用の2つの電気接点(32a、32b)と、電気信号の受信専用の2つの電気接点(33a、33b)とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のアビオニクスシステム。
【請求項4】
電気信号を光信号に、あるいは光信号を電気信号に変換するためにコネクター(30)に内蔵された手段(41、42、45、46)が、コネクター(30)の外部のエネルギー発生源に接続することができる少なくとも1つの電線(34)によって電源が供給される電子コンポーネント(41、42)を含むことを特徴とする請求項2または3に記載のアビオニクスシステム。
【請求項5】
電気信号を光信号に、あるいは光信号を電気信号に変換するためにコネクター(30)に内蔵された手段(41、42、45、46)が、コネクター(30)の電気接点(32a、32b、33a、33b)のうちの少なくとも1つによって電源が供給される電子コンポーネント(41、42)を含むことを特徴とする請求項2または3に記載のアビオニクスシステム。
【請求項6】
信号を変換するためにコネクター(30)に内蔵された手段(41、42、45、46)に電源が供給される少なくとも1つの電気接点が情報の送信専用の電気接点(32a、32b)のうちの1つであることを特徴とする請求項5に記載のアビオニクスシステム。
【請求項7】
信号を変換するためにコネクター(30)に内蔵された手段(41、42、45、46)に電源が供給される少なくとも1つの電気接点が情報の受信専用の電気接点(33a、33b)のうちの1つであることを特徴とする請求項5に記載のアビオニクスシステム。
【請求項8】
機器(10)のうちの少なくとも1つが、コネクター(30)に内蔵されている信号変換手段(41、42、45、46)にエネルギーを供給することができる電源を含み、前記電源が、光バス(20)のコネクター(30)接続される少なくとも1つの機器のプラグの少なくとも1つの信号送信電気接点に接続されることを特徴とする請求項6に記載のアビオニクスシステム。
【請求項9】
機器(10)のうちの少なくとも1つが、コネクター(30)に内蔵されている信号変換手段(41、42、45、46)にエネルギーを供給することができる電源を含み、前記電源が、光バス(20)のコネクター(30)接続される少なくとも1つの機器のプラグの少なくとも1つの信号受信電気接点に接続されることを特徴とする請求項7に記載のアビオニクスシステム。
【請求項10】
機器のうちの少なくとも1つ(10a)が、前記機器のプラグの電気接点を、他方の機器(10b)によって発生する電圧の存在に対し機能上無感応にするための手段を含み、通信バスの電気接続インタフェース(11a)の少なくとも1つのプラグ上で、電気通信バスまたは光通信バス(20)を区別なく使用することが可能なことを特徴とする請求項5から9のいずれか1項に記載のアビオニクスシステム。
【請求項11】
− 少なくとも1つの光ファイバー(22)を内蔵する光ケーブル(21)と、
・ 少なくとも1つの光ファイバー(22)の所望する位置決めを行うことにより光ケーブル(21)をコネクター(30)に固設するため光ケーブル(21)の維持手段、
・ 電気信号を波長λ1の光信号に変換する電子光学手段(41a、45a)、
・ 波長λ2の光信号を電気信号に変換する電子光学手段(42a、46a)、
・ 4軸型電気バス用の電気接点に幾何学的にも電気的にも適合する電気接点(32a、32b、33a、33b)、
を含むコネクター(30a)を光ケーブル(21)の第1端に、
・ 少なくとも1つの光ファイバー(22)の所望する位置決めを行うことにより光ケーブル(21)をコネクター(30)に固設するため光ケーブル(21)の維持手段、
・ 電気信号を波長λ2の光信号に変換する電子光学手段(41b、45b)、
・ 波長λ1の光信号を電気信号に変換する電子光学手段(42b、46b)、
・ 4軸型電気バス用の電気接点に幾何学的にも電気的にも適合する電気接点(32a、32b、33a、33b)、
を含むコネクター(30)を光ケーブル(21)の第2端に、
含むことを特徴とする航空機のアビオニクス機器間におけるデジタル形式のデータの通信のための同時双方向バス(20)。
【請求項12】
機器の外部の電子光変換手段のための電源電圧が、電気通信バス上での信号の送信専用のプラグの2つの電気接点のうちの少なくとも1つにおけるデジタル信号に重畳されること、およびプラグの受信専用の電気接点に到達するデジタル信号が、電子光変換手段の電源電圧と同じ特性の電圧に重畳されるか否かに関わらず、機器によって正常に受信されるようにするための手段を含むことを特徴とする4軸型同時双方向デジタル通信電気バス用の少なくとも1つのプラグを含むアビオニクス機器(10)。
【請求項13】
機器の外部の電子光変換手段のための電源電圧が、電気通信バスからの信号の受信専用のプラグの2つの電気接点のうちの少なくとも1つにおいて生成されること、および送信専用のプラグの電気接点上に送信されたデジタル信号が、これらの送信接点またはこれらの接点のうちの1つが、電子光変換手段の電源電圧と同じ特性の電圧に重畳されるか否かに関わらず、機器によって正常に送信されるようにするための手段を含むことを特徴とする4軸型同時双方向デジタル通信電気バス用の少なくとも1つのプラグを含むアビオニクス機器(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−505899(P2009−505899A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528563(P2008−528563)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050825
【国際公開番号】WO2007/026102
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)
【Fターム(参考)】