説明

改良型誘導電動機

有効/無効電力式誘導電動機を提供する。この電動機は、2組の三相巻線を備えている。一方の組の巻線は、有効電力を搬送するものであって、出力巻線と称する。第2組の巻線は、無効電力を搬送するものであって、界磁巻線と称する。有効電力を搬送する出力巻線は、無効電力を搬送する界磁巻線よりも大きな電力を誘導電動機に供給する。また、有効/無効電力式誘導電動機および対応する動作モードを駆動する駆動回路も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2009年8月28日付けインド特許出願第2068/CHE/2009号に対する優先権を主張し、その全内容を本明細書中に参照として援用する。また、本願は、2009年12月24日付け米国特許出願第12/647,170号に対する優先権を主張する。
【0002】
本願は、誘導電動機および電動機駆動の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
高い出力範囲(10,000馬力超)が必要な同期電動機では、電流源負荷転流型インバータ(load commutated inverter)(LCI)を用いて回路設計を行うことが多い。これは、LCIの出力定格が高く、同期電動機の進相電源として動作可能なためである。
【0004】
高出力電動機駆動用途においては、機械の信頼性が重要となる。現在、多くの電動機駆動には電圧源インバータ(VSI)を採用しているが、VSI給電型誘導電動機(VSI fed induction motor)は故障の可能性が高いことが分かっている。
【発明の概要】
【0005】
改良型誘導電動機を提供する。例示的な一実施形態においては、当該誘導電動機が、有効電力を供給する出力巻線(power winding)と、無効電力を供給する界磁巻線(flux winding)とを備え、出力巻線が界磁巻線よりも高い比率で電力を搬送する。別の実施形態においては、界磁巻線および出力巻線によって搬送される電力の比率が0.2〜0.8の範囲である。さらに別の実施形態においては、当該改良型誘導電動機が、電流源インバータと、第1の電圧源インバータとを備え、電流源インバータが出力巻線を駆動し、電圧源インバータが界磁巻線を駆動する。また、別の実施形態においては、当該改良型誘導電動機が第2の電圧源インバータを備え、この第2の電圧源インバータが電流源インバータからの高調波を相殺するとともに、電圧源インバータと第2の電圧源インバータとが共通DCバスを共有する。別の実施形態においては、当該改良型誘導電動機が、電流源インバータと出力巻線との間にフィルタを備える。
【0006】
また、上記改良型誘導電動機の動作方法を提供する。例示的な一実施形態においては、電流源インバータの基本周波数出力を用いて誘導機を動作させるステップと、電圧源インバータを用いて界磁巻線に無効電力を供給するステップとを含む。この方法は、第2の電圧源インバータを用いて電流源インバータ出力からの高調波を除去することをさらに含む。別の実施形態においては、誘導電動機が負荷転流に使用可能となるように、電圧位相角に対して進相した電流位相角を第2の電圧源インバータが提供するとともに、電圧源インバータと第2の電圧源インバータとが共通DCバスを共有する。
【0007】
上記発明の概要はほんの一例に過ぎず、何ら限定的であることを意図するものではない。図面および以下の詳細な説明を参照すれば、上述の一例としての態様、実施形態、および特徴のほか、さらに別の態様、実施形態、および特徴が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】有効/無効電力式誘導電動機(active reactive induction motor)を駆動するCSI/VSI混合回路を有する有効/無効電力式誘導電動機駆動システムを例示した回路ブロック図である。
【図2】図1の駆動システムによって駆動可能な有効/無効電力式誘導電動機を例示した概略図である。
【図3A】誘導電動機の一実施形態を例示した概略図である。
【図3B】図3Bに示す誘導電動機の一実施形態について、無効電流である負荷電流の割合と電動機の出力定格との関係を例示したグラフである。
【図4】誘導電動機の2組の三相巻線を例示した図である。
【図5】起磁力が平衡状態にある三相巻線変圧器の一例である。
【図6A】図2に示す誘導電動機の一実施形態における第1の動作モードについて、有効巻線電流を界磁巻線電流に比較してプロットしたグラフである。
【図6B】図2に示す誘導電動機の一実施形態における第1の動作モードについて、有効巻線電圧を界磁巻線電流に比較してプロットしたグラフである。
【図6C】図2に示す誘導電動機の一実施形態における第1の動作モードについて、R相有効巻線電圧をR相有効巻線電流に比較してプロットしたグラフである。
【図6D】図2に示す誘導電動機の一実施形態における第1の動作モードについて、電動機位相電圧を単位ベクトルに比較してプロットしたグラフである。
【図7】図2に示す誘導電動機の一実施形態における第2の動作モードについて、有効巻線電圧を有効巻線電流に比較してプロットしたグラフである。
【図8】図2に示す有効/無効電力式誘導電動機の駆動に使用可能な駆動回路を例示した回路図である。
【図9】ターンオフ過程における図8の転流サイリスタT1の電圧波形をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本明細書の一部を成す添付の図面を参照して詳細な説明を行う。図面中、文脈上の他意がなければ、類似の符号は主として同様の構成要素を指し示すものとする。詳細な説明における一例としての実施形態、図面、および特許請求の範囲は、何ら制限を設けるものではない。本明細書に提示した主題の精神や範囲から逸脱することなく、別の実施形態を利用してもよいし、その他の変更を加えてもよい。本明細書において一般的に説明するとともに図面に示した本開示の各態様は、多種多様な構成となるように編成、置換、結合、分離、および設計が可能であり、いずれも本明細書にて明示的に検討していることが直ちに理解されるであろう。
【0010】
図1は、有効/無効電力式誘導電動機を駆動するCSI/VSI混合回路を有する有効/無効電力式誘導電動機駆動システム100を例示した回路ブロック図である。電動機駆動システム100は、三相電源102、位相制御整流器104、DC接続インダクタ106、電流源インバータ(CSI)108、LCフィルタ110、第1の電圧源インバータ(VSI)112、12パルス変圧器114、バスキャパシタ116、第2のVSI118、1組の周波数制御インダクタ120、昇圧器122、ならびに有効巻線(active winding)202、界磁巻線206、および電動機204を有する誘導電動機を備えている。
【0011】
有効巻線206は、位相制御整流器104、DC接続インダクタ106、およびCSI108を介して三相電源102に接続されている。CSI108は、有効巻線電流の基本成分(50〜60Hz)の注入に使用してもよい。一実施形態においては、サイリスタ装置を用いてCIS108を実装してもよい。また、一実施形態においては、サイリスタベースのCSI108から電動機204に有効巻線202を介して準方形波電流を注入してもよい。したがって、サイリスタベースのCIS108は、電動機204の電動機電圧の基本周波数で切り替えて、電動機204に有効電力を供給するようにしてもよい。
【0012】
界磁巻線206は、LCフィルタ110を介して第1のVSI112に接続されている。したがって、第1のVSI112は、電動機204に無効電力を供給する。一実施形態においては、界磁巻線の電圧が2.2kVであってもよい。この場合、電圧を上げるための変圧器は不要である。第1のVSI112と界磁巻線206との間のLCフィルタ110は、第1のVSI112から界磁巻線206に正弦波状の電圧信号および電流信号を提供する。また、第1のVSI112は、有効巻線の電流位相角が進相となるように、磁界軸電流を別途供給する。
【0013】
また、有効巻線202は、昇圧器122、1組の周波数制御インダクタ120、第2のVSI118、バスキャパシタ116、および12パルス変圧器114を介して三相電源102に接続されている。さらに、バスキャパシタ116と12パルス変圧器114との間およびバスキャパシタ116と第2のVSI118との間のノードが第1のVSI112に接続されている。第2のVSI118は、CSI108から注入される準方形波電流の高調波補償器として使用してもよい。第2のVSI118に注入される高調波電流を用いて、準方形波電流を正弦波状にしてもよい。有効巻線202の電流は有効巻線202の電圧に対して進相しているため、サイリスタベースのCSI108を用いた実施形態は負荷転流可能である。また、位相制御整流器104およびDC接続インダクタ106を用いて、制御されたDC接続電流を生成してもよい。本実施形態では、第2のVSI118と第1のVSI112とが共通DCバスを共有して、第2のVSI118および第1のVSI112のDCバス電圧を12パルス変圧器114が生成するようにしてもよい。別の実施形態においては、第1のVSI112または第2のVSI118の一方からの無効電流注入により電流と電圧間の位相角が得られるように、電流が対応する位相の電圧に対して進相となり、サイリスタベースのCSI108のサイリスタが負荷転流される。
【0014】
誘導電動機200の電動機204の速度制御のため、速度制御装置を用いて所要のトルク基準を生成することができる。そして、このトルク基準を用いることにより所要の有効巻線電流が判定可能であるとともに、界磁制御装置の出力を用いて所要の界磁巻線電流が判定可能である。
【0015】
有効巻線202および界磁巻線206の両者を有する上述の誘導電動機駆動システム100の動作に対して、有効巻線を1組だけ有する電動機システムでは、有効電力と無効電力および高調波の両者を供給するのに単一のVSIドライバが必要である。その結果、単一のVSIが高い周波数で動作して損失が大きくなる可能性がある。したがって、第1のVSI112から無効電力を供給すれば、第2のVSI118は低い周波数で動作するため、有効電力と無効電力および高調波の両者を供給するのに単一のVSIを使用する場合と比べて損失は小さくなる可能性がある。
【0016】
図1の誘導電動機駆動システム100は、複数の動作モードを有していてもよい。第1のモードでは、第2のVSI118からの無効電流注入によって、有効巻線電流と有効巻線電圧間の位相角を調整することができる。このモードでは、電動機の漏れ電圧降下により、有効巻線の電流が電動機電圧よりもわずかな角度だけ遅れる。この第1のモードでは、電動機の終端電圧に対してCSI108の基本電流が位相角βだけ進相している。
【0017】
図2は、図1の電動機駆動システム100によって駆動可能な2組の三相巻線を有する有効/無効電力式誘導電動機200を例示した概略図である。図1と関連して、巻線A1、B1、C1は誘導電動機200の界磁巻線206を表しており、巻線A2、B2、C2は誘導電動機200の有効巻線202を表している。以下の説明においては、「有効巻線」が有効電力を搬送する巻線であり、「界磁巻線」が無効電力を搬送する巻線である。
【0018】
一実施形態において、有効/無効電力式誘導電動機200の有効電力は有効巻線202から得られ、無効電力は界磁巻線206から得られる。一実施形態において、無効電力は、有効/無効電力式誘導電動機200からの全電力のおよそ15%を占める。一実施形態においては、界磁巻線206の電流に対して界磁巻線206の電圧が位相角90°だけ進角している一方、有効巻線202の電圧と電流は同位相である。一実施形態において、有効巻線202の電圧および界磁巻線206の電圧は同位相であってもよい。一実施形態においては、界磁巻線が全電力の一部(15%前後)を作り出すようにしてもよく、この場合、界磁巻線の電圧定格は出力巻線の電圧定格を下回っていてもよい。別の実施形態においては、界磁巻線の電圧が2.2kVであり、有効巻線の電圧が11kVであってもよい。
【0019】
図2の有効/無効電力式誘導電動機200の概念と利点は、図3A、図3B、図4、および図5に関する以下の説明により理解が深められる。図3Aは、三相入力302および電動機304を有する誘導電動機300の一実施形態を例示した概略図である。電動機304は、三相入力302によって駆動され、有効電力306および無効電力308を出力する。ワット(W)で測定される有効電力は、電動機の回転子に機械的に伝達される電力である。一方の無効電力は、電動機の磁流から生成され、キロボルトアンペア(kVA)で測定される。無効電力は電動機の磁化には必要であるが、回転子には電力を供給しない。図3Bは、図3Aに示す誘導電動機300等の無効電流である負荷電流の割合と誘導電動機の出力定格との関係を例示したグラフである。図3Bに示すように、無効電流の必要量は、電動機の出力定格の増加に伴って減少する。
【0020】
図4は、誘導電動機の2つの三相巻線を例示した図である。図2に示す有効/無効電力式誘導電動機200と同様に、一方の巻線が有効電力を搬送し、他方の巻線が無効電力を搬送するようにしてもよい。図示のように、一方の三相巻線がR1、B1、Y1巻線を備え、他方の三相巻線がR1’、B1’、Y1’巻線を備えている。これら2つの三相巻線はともに、誘導電動機の固定子に搭載してもよい。また、界磁巻線および出力巻線は、両者間に空隙が生じないように位置決めしてもよい。2つの巻線は、それぞれの方向に位相シフトが生じないように同軸上であってもよい。回転子は、標準的なかご形電動機の回転子であってもよい。また、両三相巻線が非接地中性点(isolated neutral)を有し、両者間に0°の空隙を設けてもよい。前述の通り、出力巻線の電圧定格は界磁巻線より高くてもよい。また、界磁巻線および出力巻線の電流定格は、それぞれのkVA定格により決まるものであってもよい。さらに、出力巻線が最上層を占有し、界磁巻線が最下層を占有してもよい。これら2つの三相巻線は、全節巻きでも短節巻きでもよい。
【0021】
図4に示す2つの三相巻線の動作原理は、起磁力(MMF)が平衡状態にある三相巻線変圧器と類似している。図5は、MMFが平衡状態にある三相巻線変圧器500の一例である。この三相巻線変圧器は、第1組の巻線502、第2組の巻線504、第3第2組の巻線508、および強磁性コア506を備えている。本実施形態においては、第1組の巻線502が無効電力を搬送する界磁巻線、第2組の巻線504が有効電力を搬送する有効巻線、第3組の巻線508が回転子巻線である。
【0022】
図5に示すMMFが平衡状態にある構成では、回転子巻線508により誘起されたMMFと有効電力巻線504により誘起された同等正反対のMMFとが完全な平衡状態にある。図5に示すように、φは界磁巻線により誘起された磁束であり、φ’は有効巻線により誘起された磁束であり、φ’’は回転子巻線により誘起された磁束である。磁束φは以下のように定義可能である。
【0023】
【数1】

【0024】
変圧器を全磁束にて動作させるには、φを一定に保つ。これは、積N1×is1を一定に保つことで実現してもよい。3つの各巻線の巻数は、界磁巻線502による誘起電圧と正比例するため、電動機のkVA必要量は一定に保たれていてもよい。したがって、誘導電動機の電圧定格および電流定格はともに、界磁巻線502の巻数を調整することによって設計可能である。
【0025】
図6Aおよび図6Bは、上記第1のモードにおける図1の有効/無効電力式誘導電動機システム100の動作を示したさまざまな波形のグラフである。図6Aは、図2に示す誘導電動機の一実施形態における第1の動作モードについて、有効巻線電流602を界磁巻線電流604に比較してプロットしたグラフである。図6Bは、図2に示す誘導電動機の一実施形態における第1の動作モードについて、有効巻線電圧622を界磁巻線電流624に比較してプロットしたグラフである。図6Cは、図2に示す誘導電動機の一実施形態における第1の動作モードについて、R相有効巻線電圧652をR相有効巻線電流654に比較してプロットしたグラフである。図6Dは、図2に示す誘導電動機の一実施形態における第1の動作モードについて、電動機位相電圧672を単位ベクトル674に比較してプロットしたグラフである。単位ベクトル674は、CSIによって生成される位相電流の基本成分と同相である単位振幅の正弦波である。
【0026】
第2のモードにおいては、図1の誘導電動機駆動システム100の第1のVSI112からの無効電流注入によって、有効巻線電流と有効巻線電圧間の位相角が調整可能である。図7は、図4に示す誘導電動機の一実施形態における第2の動作モードについて、有効巻線電圧704を有効巻線電流702に比較してプロットしたグラフである。このモードでは、有効巻線電圧704に対して有効巻線702からの有効巻線電流が位相角βだけ進相している。この付加的な位相角βは、第2のVSI118がもたらすものである。このような第2のモードでは、電動機の終端電圧に対してCSI108の基本電流も角度βだけ進相している。
【0027】
図8は、図2に示す有効/無効電力式誘導電動機200の駆動に使用可能な駆動回路800を例示した回路図である。駆動回路800は、図1の誘導電動機駆動システム100の一実施形態の一部を示すものであって、三相電源102、位相制御整流器、DC接続インダクタ106、CSI108、有効巻線202、界磁巻線206、および電動機204を備えている。また、CSI108の実装例も示しており、サイリスタ802、804、806、808、810、812を備えている。
【0028】
図8に示すCSI108の実施形態においては、サイリスタ802、804、806のアノードがDC接続インダクタ106に接続された共通ノードを共有している。そして、サイリスタ802、804、806のカソードがサイリスタ808、810、812のアノードにそれぞれ接続されている。サイリスタ808、810、812のカソードは、基準信号に接続された共通ノードを共有している。サイリスタ802、804、806およびサイリスタ808、810、812が共有する3つのノードは、有効巻線402に対して三相入力A2、B2、C2をそれぞれ供給している。
【0029】
CSI108の本実施形態等において使用するサイリスタをターンオフするには、サイリスタに負電圧を印加して負荷電流を保持電流未満とする必要がある。転流過程においては、負荷の位相電圧に対して線路電流が進相している場合に、負電圧が出力サイリスタに自動的に印加され、サイリスタが滑らかにターンオフされる。CSI508の本実施形態においては、サイリスタ802が出力サイリスタであり、サイリスタ804が入力サイリスタである。サイリスタ804がターンオンされると、入力A2とB2間の電圧が出力サイリスタ802に印加される。電動機204が進相角βで動作している状態では、tの時間にわたって負電圧が出力サイリスタ802に印加される。ここで、tは以下のように定義される。
【0030】
【数2】


図9は、ターンオフ過程における出力サイリスタ802にかかる電圧波形を示す。図9は、ターンオフ過程における図8の転流サイリスタT1の電圧波形をプロットしたグラフである。
【0031】
本開示内容は、さまざまな態様の一例として意図される本願に記載した上記特定の実施形態に関して限定されるものではない。当業者には明らかなように、その精神と範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形が可能である。当業者にとっては、本明細書に列挙した方法や装置のほか、本開示内容の範囲内における機能的に同等な方法および装置についても、上記説明から明らかである。このような修正および変形についても、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。本開示内容は、添付の特許請求の範囲に権利付与された同等物のすべての範囲と並んで、そのような特許請求の範囲の用語のみによって制限される。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、何ら制限を設けるものではないことが理解されよう。
【0032】
本明細書における実質的にすべての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。さまざまな単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0033】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(たとえば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(たとえば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは複数の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(たとえば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(たとえば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。
【0034】
さらに、「A、BおよびC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B、またはC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上如何なる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0035】
書面による明細の提供等の如何なる目的においても、当業者には当然のことながら、本明細書に開示するすべての範囲は、考え得る如何なる小範囲およびその小範囲の組合せをも網羅する。記載の如何なる範囲も、少なくとも同等の2つ、3つ、4つ、5つ、10個等に分割されている同じ範囲を十分に記述して有効化するものと容易に認識可能である。一例としては、本明細書に記載の各範囲を上中下等の3つに容易に分割可能であるが、これには限定されない。また、当業者には当然のことながら、「以下(up to)」「少なくとも(at least)」「大なり(greater than)」「小なり(less than)」等のすべての表現は、その数値自体を含むとともに、上述のように後で小範囲に分割可能な範囲を表している。最後に、当業者には当然のことながら、各範囲には個々の要素が含まれる。したがって、たとえば1〜3つのセルを有するグループは、セルを1つ、2つ、または3つ有するグループを表している。同様に、1〜5つのセルを有するグループは、セルを1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ有するグループを表しており、それ以上についても同様である。
【0036】
本明細書においてはさまざまな態様および実施形態を開示したが、誘導機が発電機であることができるなどのような、その他の態様および実施形態についても当業者には明らかである。本明細書に開示のさまざまな態様および実施形態は、例示を目的としたものであって、何ら制限を設けることを意図するものではない。真の範囲と精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効電力を供給する出力巻線と、
無効電力を供給する界磁巻線と、を備え、
前記出力巻線が前記界磁巻線よりも高い比率で電力を搬送する、誘導電動機。
【請求項2】
前記界磁巻線および前記出力巻線によって搬送される電力の比率が0.2〜0.8の範囲である、請求項1に記載の誘導電動機。
【請求項3】
電流源インバータと、
第1の電圧源インバータと、をさらに備え、
前記電流源インバータが前記出力巻線を駆動し、電圧源インバータが前記界磁巻線を駆動する、請求項1または2に記載の誘導電動機。
【請求項4】
前記電流源インバータがサイリスタを用いて実装される、請求項3に記載の誘導電動機。
【請求項5】
第2の電圧源インバータをさらに備え、
前記第2の電圧源インバータが前記電流源インバータからの高調波を相殺する、請求項3に記載の誘導電動機。
【請求項6】
前記電流源インバータと前記出力巻線との間にフィルタをさらに備えた、請求項3に記載の誘導電動機。
【請求項7】
前記電圧源インバータと前記第2の電圧源インバータとが共通DCバスを共有する、請求項3に記載の誘導電動機。
【請求項8】
a)電流源インバータの基本周波数出力を用いて誘導機の出力巻線を駆動し、
b)電圧源インバータを用いて1組の界磁巻線に無効電力を供給する、
ことを含む、誘導電動機の動作方法。
【請求項9】
前記出力巻線の駆動によって有効電力が供給され、当該出力巻線が前記界磁巻線よりも高い比率で電力を搬送する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記界磁巻線および前記出力巻線によって搬送される電力の比率が0.2〜0.8の範囲である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第2の電圧源インバータを用いて前記電流源インバータ出力からの高調波を除去することをさらに含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記誘導電動機が負荷転流可能となるように、電圧位相角に対して進相した電流位相角を前記第2の電圧源インバータが提供する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電圧源インバータと前記第2の電圧源インバータとが共通DCバスを共有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
電流源インバータの基本周波数出力からの有効電力を搬送する出力巻線と、
電圧源インバータからの無効電力を搬送する界磁巻線と、を備え
前記出力巻線が前記界磁巻線よりも高い比率で電力を搬送する、誘導電動機。
【請求項15】
前記界磁巻線および前記出力巻線によって搬送される電力の比率が0.2〜0.8の範囲である、請求項14に記載の誘導電動機。
【請求項16】
前記電流源インバータがサイリスタを用いて実装される、請求項14に記載の誘導電動機。
【請求項17】
第2の電圧源インバータをさらに備え、
前記第2の電圧源インバータが前記電流源インバータからの高調波を相殺する、請求項14〜16のいずれか1項に記載の誘導電動機。
【請求項18】
当該誘導電動機が負荷転流可能となるように、電圧位相角に対して進相した電流位相角を前記第2の電圧源インバータが提供する、請求項17に記載の誘導電動機。
【請求項19】
前記電流源インバータと前記出力巻線との間にフィルタをさらに備えた、請求項14〜16のいずれか1項に記載の誘導電動機。
【請求項20】
前記電圧源インバータと前記第2の電圧源インバータとが共通DCバスを共有する、請求項17に記載の誘導電動機。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−503598(P2013−503598A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526151(P2012−526151)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053664
【国際公開番号】WO2011/024095
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(505292720)インディアン インスティテュート オブ サイエンス (9)
【氏名又は名称原語表記】INDIAN INSTITUTE OF SCIENCE
【Fターム(参考)】