説明

放射線検出器

【課題】低エネルギー(例えば200eV)電子を検出する放射線検出器の製造方法を提供する。
【解決手段】走査型電子顕微鏡等に適した検出器は、p‐拡散層に接続された純ホウ素の薄い層をもつPINフォトダイオードで、そのホウ素層は、アルミニウム・グリッドをもつ電極に接続され、そのホウ素層と電極との間の各々の位置において低い電気抵抗の経路を形成する。そのホウ素層に損傷を与えず、ホウ素層上にアルミニウム・グリッドを形成するため、ホウ素層をアルミニウム層で完全に覆い、そのアルミニウム層の一部分をドライ・エッチングによって除去するが、ホウ素層の露出される部分に薄いアルミニウム層を残す。その後、ホウ素層の露出される部分から完全にアルミニウムを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線感受性を示す表面を有する放射線検出器を製造する方法に関し、当該方法は:
・nドープ平面及び該nドープ平面に形成された真性層を有する平面状基板を供給するステップ;
・該真性層に、ホウ素を含む層を重ねることによって、p+型拡散層及びホウ素を含む最上層を形成するステップ;
・そのホウ素において導電性材料のグリッドを形成し、該グリッドの少なくとも一部分は最上層において形成され、該グリッドは、その最上層の一部分を露出したままに残す一方、その最上層に電気接続され、第1電極を形成する、ステップ;及び
・そのnドープ平面に接続された第2電極を形成するステップ;
を含む。
【0002】
そのような放射線検出器は、特許文献1から知られている。
【背景技術】
【0003】
粒子‐光学装置において、エネルギーイオン又は電子などの粒子のビームが、サンプルを照射する。後方散乱電子(BSE)を含む二次放射線の結果として、二次電子(SE)、光子、及び衝突イオンの場合は二次イオン、がそのサンプルから現れる。この出現する放射線は、そのサンプルに関する情報を得るのに使用される。
【0004】
一例として、走査型電子顕微鏡(SEM)において、例えば、200eVと30eVの間のエネルギーを持つ電子がサンプルに集中させられる。これらのエネルギーは、絶対限度ではないことが知られている:100eVほど低い又はそれよりも低いエネルギーを持つSEM及び50keVまでも高いエネルギーを持つSEMが知られている。その衝突するビームは、そのサンプル上を走査し、各走査位置に対してSE及びBSEを生成する。BSEは、通常、元のエネルギーの大部分の量のエネルギーを有する一方、SEは、50eV未満のエネルギーを有し、それらSEの過半数は、そのサンプルを出るときには、5eV未満のエネルギーを有する。SEの検出は、しばしば、よく知られたEverhat-Thornley検出器(ET検出器)で行われる。ET検出器は、電界を用いてSEを集め、低エネルギーの電子が、それらが例えば10keVまで加速される検出器にドリフトし、蛍光スクリーンに衝突するようにする。このスクリーンの光が、次に、光電子倍増管で検出され、衝突電子の量に正比例した信号をもたらす。
【0005】
はるかに高いエネルギーを有するBSEは、ET検出器にドリフトしないため、その検出器によって効果的に集められず、その検出器は、そのサンプルからの小さな立体角内においてのみ見える。従って、BSEには、それらの電子が真性層において検出される四象限P-I-Nダイオードなどの固体検出器が、しばしば使用される。数keVのエネルギーを持つ電子は、そのダイオードに衝突し、そのフォトダイオードにおいて多数の電子正孔対を生成する。それらは後に検出される。例えば20mmの直径を持つダイオードは、通常、サンプルの5mm未満の高さで搭載され、例えばπ/2ステラジアンの開口角内で見られる。
【0006】
そのようなフォトダイオードの欠点は、BSEのエネルギーが、例えば主要ビームの低エネルギーによって低い場合、BSEはダイオードの表面の中のいわゆるデッドゾーン(dead zone)を通り、正孔及び電子が電極によって集められ、信号を形成するように分割されるアクティブ・ボリューム(active volμme)である空乏層の中へと貫通しない。言い換えれば:空乏層がその表面から除去された場合、電子正孔対の多くは検出されない。
【0007】
その検出器にサンプルに関してバイアスをかけることによって、電子がそのサンプルから現れるのに用いるエネルギーは、それらが検出器に到達するのに用いるエネルギーとは異なる可能性があることが知られている。
【0008】
さらに、そのような検出器は、また、透過型電子顕微鏡(TEM)においても使用され、例えば50keVと400keVの間のエネルギーを持つ電子がサンプルを照射する。TEMによって検出される後方散乱電子は、そのサンプルが照射されるエネルギーの大部分のエネルギーを通常有する。
【0009】
薄いデッドゾーン、及び表面のすぐ下にアクティブ・ボリューム(空乏層)を持つフォトダイオードに対する需要が存在する。
【0010】
薄いデッドゾーンを有するダイオードの例が、特許文献1において記載されている。
【0011】
本出願の一実施形態において、ダイオードの形における放射線検出器が開示され、その検出器はシリコン基板上に形成される。そのnドープされた基板は、例えば、その上に形成された、エピタキシャル層の形における真性層を持つ表面を有し、その真性層の上部に純粋なホウ素層を有し、結果として、ホウ化シリコン(BxSi1-x)の層がそのホウ素の層と真性層との間に形成され、ホウ素がそのホウ化シリコン層と真性層との間における添加材料である、p+型拡散層が形成される。空乏層は、従って、nドープ基板とp+拡散層との間に形成される。その拡散層は、1‐10nmまで薄くてもよく、ホウ素層は、1‐20nmの間の薄さである。
【0012】
このような場合において、真性層は、しばしば、望まれる空乏層の幅(キャパシタンス)によってnドープされていることが知られている。そのnドープの値は、1012cm-3まで高いが、さらに高くてもよい。導電性グリッドが、ホウ素層に形成され、それによって、正孔を集める電極を形成する。その基板は、第2電極に接続され、電子を集める。そのホウ素層及びホウ化シリコンの層は、例えばそれぞれが3‐5nmで薄いことから、例えば200eVと40keV(又はTEMの場合400keV)の間のエネルギーを持つ電子は、検出されるように真性層の中へ入る。
【0013】
さらに、ホウ素層の上部に、その装置を汚染から保護するための保護層が形成されることが開示される。当該保護層は、10‐200nmのエネルギーを持つ光子の電磁放射線には透明であり、例えば、炭素の堆積物を取り除くための、例えば水素プラズマによるクリーニングに対して抵抗性を持つことから、SiO2であってよい。
【0014】
周知の特許文献1は、「絶縁層(例えば酸化物層)を使用せずに金属グリッドを設けるためのプロセスフローがある。」と記載しているが、そのようなプロセスを開示していない。さらに具体的には、例えば5nm以下などの数ナノメートルのみの厚さを持つホウ素層の上に、そのホウ素層に損傷を与えずにグリッドを供給するためのプロセスフローを開示していない。
【0015】
該開示では、例えばSiO2の保護層が金属グリッドを形成する前にホウ素の上に配置される実施形態が、示されているだけである。これは、該周知の出願の、例えば、保護層の上にある金属グリッドの重なりが示されている図3から明らかである。言い換えれば:ホウ素層のアルミニウム・グリッドに接触している部分は、そのホウ素層の上のアルミニウム・グリッドの突起よりも小さい。
【0016】
これは、周知の欧州特許出願の図6に示された、グリッドが、露出されたホウ素層を保護層で覆う(任意の)ステップの前に形成されるプロセスフローとは、対照的である。どのプロセスがホウ素層を部分的にのみ覆うために使用されるかは、さらに開示されていない。
【0017】
SiO2の保護層は、光子を短い波長で検出するときには許容できるが、そのような光子に対するSiO2の透明度が高いため、保護層の追加によって、電子が空乏層の中に入ってくる前に、横断される材料に厚みが加わる。従って、検出される電子の最低エネルギーが上昇する。また、粒子光学装置においても、汚染が大きな役割を果たし、例えばプラズマを用いたクリーニングがよく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許出願第2,009,705号明細書
【特許文献2】米国特許第4,238,760号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
低いエネルギーを持つ電子の検出に対応できる検出器を形成するためのプロセスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このために、そのような検出器を形成する方法において、導電性材料のグリッドは、最上層を導電性材料の層で完全に覆い、次に、導電性材料の層の一部分をエッチングすることによって除去することにより形成される。そのエッチングは、ドライ・エッチングの第1ステップを有し、そのドライ・エッチングのステップは、グリッドを定義するが、ホウ素層の露出される部分に導電性材料の薄い層を残す。その第1ステップの次に、ウェット・エッチングの第2ステップが続き、そのウェット・エッチングのステップは、ホウ素層の露出される部分から導電性材料を完全に除去する。
【0021】
発明者は、表面をプラズマに露出させるなどのよく知られたドライ・エッチング・プロセスは、よく定義されたエッチング速度を用いるエッチング法であることを認識している。しかし、エッチング停止を使用せずには、ドライ・エッチングは、ホウ素層に損傷をもたらす。薄いホウ素層において、これは、穴が生じる原因となる可能性がある。これは、ホウ素が、無機物質を除去するために使用されるドライ・エッチング法に対してあまり抵抗性がないため、わずか2、3ナノメートルの厚さの層がドライ・エッチングによって損傷するという事実に起因する。エッチング停止の使用も、追加のプロセス・ステップを含み、ホウ素層の露出される部分に残留物をもたらす可能性があることから、魅力的ではない。
【0022】
例えば、3nmから10nmの厚さを持つホウ素層、さらに望ましくは1nmと5nmの間の厚さを持つホウ素層などの薄いホウ素層は、空乏層がその表面に近いことから望ましく、例えば、検出器が、低エネルギー電子などを検出することが可能になる。
【0023】
本発明は、薄められたHF(例えば0.55%HF)に基板を浸すなどのウェット・エッチングは、高感度をもたらすエッチング法であるという見識に基づく:例えば、アルミニウムは、ホウ素(毎分1nm未満のエッチング速度を有する)よりもはるかに高いエッチング速度(毎分100nmの範囲にある)を示す。
【0024】
ウェット・エッチングの欠点は、等方性であるということであり、従って、1ミクロン範囲(0.1μm‐10μm)において線幅を正確に作成するために使用することは出来ないということである。ウェット・エッチングの代替は、ドライ・エッチングである。しかし、ドライ・エッチングは、例えば、アルミニウムとホウ素との間などでほとんど又は全く選択性を示さない。従って、それは、ホウ素層が損傷を受けずにアルミニウム層を完全にエッチングすることに適さない。
【0025】
発明者は、ドライ・エッチング・ステップを第1ステップとして使用し、ホウ素層に薄い層が残っている間にドライ・エッチングを終了し、次に、ホウ素層に損傷を与えずに導電性材料の残っている薄い層を除去するには十分な選択性を示すウェット・エッチングを第2ステップとして使用することによって、ドライ・エッチング及びウェット・エッチングの必要な特徴を巧妙に組み合わせたエッチング法を生成した。
【0026】
発明者は、従って、最初に、導電性グリッドを定義するが、ホウ素層の露出される部分に薄い層を残す第1ステップであるドライ・エッチング・ステップを行い、それに続いてその部分を露出するウェット・エッチングを第2ステップとして行うことによって、ホウ素層が、全ての導電性材料を除去し、グリッドの寸法をドライ・エッチングによって定義される寸法に非常に近いままに残す一方、ホウ素層は損傷を受けないで維持されることを発見した。
【0027】
真性層は、nドープ基板に形成されてもよく、あるいは、その基板のnドープ層に形成されてもよいことが知られている。
【0028】
「ホウ素層」と呼ばれる箇所は幅広く解釈されるべきであり、これは、過度のホウ素を含む層も含む。重要であるのは、その層が過度のホウ素を含み、良い導電性を示す点である。添加(故意に添加されるか、又は汚染物質としてのいずれか一方)は、例えば、30%までの量を構成する炭素、酸素又は窒素であってよい。
【0029】
さらに多くの添加量では、導電性ホウ素層は、分離しているホウ素化合物の中において導電性アイランドに分割する可能性があることから、望まれる導電層に至らないということである。
【0030】
さらに、ガリウムなどの他の物質も添加されてよいことである。
【0031】
添加は、50%の窒素及び50%ホウ素など、50%まで添加されるとしても、それは、例えば窒化ホウ素などの層が形成されることは暗示しない。なぜならば、50/50%混合物の結晶学的形態は、結晶(crystal)とは異なるからである。
【0032】
本発明による方法の実施形態において、検出器は、最上層の少なくとも露出された部分に形成された窒化ホウ素、炭化ホウ素、酸化ホウ素又はそれらの混合物の保護層を含み、該保護層は、5ナノメートル未満、さらに具体的には3ナノメートル未満の厚さを有する。
【0033】
該検出器に対する、例えばプラズマ・クリーニングによる損傷を防ぐために、最上層の露出部分は、低エネルギーの粒子が検出されるように、望ましくは、薄いとともに低いZの材料で作成された保護層で覆われる。その保護層は、また、電子などの放射線を空乏領域(「アクティブ」領域)に通過させるように、薄くあるべきである。ホウ素及び軽元素を含む保護層を使用することによって、薄く、例えば電子に対して低い散乱係数を示す保護層が形成され得る。また、ホウ素化合物の、化学耐性及び機械的特性などの保護特性も、非常に良い。
【0034】
ホウ素又はホウ素の一部分は、最上層から生じてもよい。
【0035】
ホウ素化合物は、一般的に、良い電気アイソレーター(isolator)であることも注目されている。これは、低エネルギー粒子を検出する場合に、例えば、それらが検出器からはね返されることから、問題を提起するかもしれない。しかし、わずか数ナノメートルの厚さによって、その電荷は、保護層を通ってホウ素層へ通り抜ける。このプロセスにおいて、保護層は、最上層及び導電性グリッドの両方を覆ってもよいことが注目されている。
【0036】
本発明による方法のもう1つの実施形態において、最上層の露出された部分にウェット・エッチングを施す前に、貫通孔が基板に形成され、その貫通孔の内部は、その最上層の露出部分にウェット・エッチングを施す前又は後に導電層で覆われる。
【0037】
この実施形態は、検出器がサンプルと粒子のビームを生成する粒子‐光学カラム(colμmn)との間に搭載され、貫通孔がその粒子のビームを通過させる、SEMなどの粒子‐光学装置において使用するための検出器を製造するのに役立つ。
【0038】
製造の視点から、裏側から放射線感受性を示す側に向けて貫通孔をエッチングするのが最も容易であることが知られている。
【0039】
その貫通孔は、一定の直径を有する必要はないことが述べられる:多くの応用において、貫通孔が放射線感受性を示す側で最も小さい直径を有することが望まれる。それは、先細くなる穴として、又は1つ又はそれ以上の段を有する円筒形として形成されてもよい。
【0040】
貫通孔の内部を導電層で覆うことによって、この層は、その貫通孔の内部の充電を防ぐために固定された電位に接続されてもよい。この固定された電位は、第2電極と同じ電位であってもよく、あるいは、わずかに異なる電位であってもよい。その内部の第2電極への接続は、検出器において(例えば、その電極の裏側及び貫通孔の内部を1つの連続的なメタライゼーション(metallization)によって覆う)されてもよく、あるいは、2つを一緒に配線することによってされてもよい。
【0041】
検出器は、貫通孔の長さを最小にするためにバック・エッチングによって局地的に薄くしてもよい。その孔には、粒子ビームがその孔を通り抜けるときに充電効果を防ぐために短い長さが望まれる。このバック・エッチングは、選択的エッチングであってもよく、それは、基板(その一部分)を真性層まで又はその近くまでエッチングすることに至り、ウエハー材料の最小の厚さが残るようにする。
【0042】
その孔は、非点収差又は非円形孔に付随する孔を通り抜けるビームにおける他の光学的効果(いわゆる、多極効果)を防ぐために、円形孔であるのが望ましい。
【0043】
本発明による方法のさらにもう1つの実施形態において、グリッドの導電性材料は、Al、Ti、TiN、Co、Mo、Pd、Pt、W、Aμ、Ni、Cr、Cμ及び/又はCを含む。
【0044】
アルミニウム・グリッドが備えられた検出器の試験的シリーズが生産されたことから、該方法でアルミニウムの互換性、さらに具体的にはエッチング法の互換性を示した。
【0045】
また、炭素が軽材料であることから、それを導電層に対する材料として使用することが予測されている。よく知られているように、炭素(及びそれほどではないにせよアルミニウム)などの低いZの材料は、高いZの材料に比較してX線量子の吸収はほとんど示さない。
【0046】
本発明による方法のさらにもう1つの実施形態において、真性層が、1μm、さらに厳密には10μm、最も厳密には40μmを越えて上回る厚さを有し、その結果として、検出器のキャパシタンスが、それぞれ100×NpF、より厳密には10×NpF、最も厳密には2.5×NpFよりも小さい表面積Nmm2を示す。
【0047】
真性層の厚さは、第1電極と第2電極との間のキャパシタンスを決定する。それは、そのプレート・キャパシタンスのプレート距離であるからであり、第1電極及び第2電極がプレートである。そのキャパシタンスは、次に、公式C=εr・εo・A/dから導かれ、εrは、プレート間の材料の比誘電率であり(シリコンではεr=12.85)、εoは、真空の誘電率であり(8.854pF/m)、Aはプレートの表面積であり(m2)、dは距離である(m)。1μmの厚さのシリコン真性層に対して、これは、100pF/mm2に相当し、10μmの厚さに対して10pF/mm2、及び40μmの厚さに対して2.5pF/mm2である。半導体技術において、1μmを越える厚さを持つ真性層は、ほとんど使用されない。しかし、粒子を検出するとき、電極間において小さいキャパシタンスを有することが有益である:誘導電流は、かなり小さい:250eVの電子は、シリコンにおいて、最大69電子正孔対(1つの電子正孔対を生産するのに3.6eVが必要であることから)を生成し、それは約69×1.6×10-19Cの電荷をもたらす。この電荷で小型のキャパシタを充電するときでも、非常に小さい電圧だけが生成される:キャパシタが10pFであると推定すると、電圧はたったの約1μVである。電流によって誘導される電圧は、キャパシタンスに正比例する。従って、比較的大きい出力電圧が検出される粒子毎に生成され得るように、低いキャパシタンスが望まれることから、より高いSN比を与える。
【0048】
本発明による方法のさらにもう1つの実施形態において、真性層は、エピタキシャル層である。
【0049】
ウエハーにおけるエピタキシャル成長は、基板上に真性層を形成するための良く知れ渡った方法である。
【0050】
真性層は、nドープ基板を片側から精製し、不純物を所定の領域及び/又はウエハーへ一掃(それらを拡散させる)することによって、その基板上に形成されてもよいことが知られている。該所定の領域は、高エネルギーnインプラントによって形成される。該基板は、例えば、スウェーデンのPartilleにおけるSiTek Electro Optics ABによって生産されている。
【0051】
本発明による方法のさらにもう1つの実施形態において、ホウ素層が形成される間及びその後に、その基板の温度が750℃、さらに厳密には700℃、最も厳密には600℃よりも低く維持される。その温度を750℃、さらに厳密には700℃、最も厳密には600℃よりも低く維持することによって、半導体材料におけるホウ素の可動性を無視することが可能であることから、薄いp+型拡散層が生成され得る。その温度が700℃よりも高いとき、純粋なホウ素層は、半導体の中へと拡散し、より厚みのあるp+型拡散層を生じさせ、より厚みのあるデッドゾーン及び表面からさらに除去される空乏層、及び、従って検出される粒子よりも高い最小エネルギーをもたらす。
【0052】
本発明による方法のさらにもう1つの実施形態において、多数の検出器が基板上に形成され、それらの検出器は、隣接して又は互いに重なり合って配置される。
【0053】
1つの基板の表面に数個の検出器を、例えば4つの検出器を貫通孔の周りの4つの区分に配置することによって形成することにより、位置敏感検出が達成できる。そのような検出器の位置敏感検出は、サンプルにおける方向性効果の結果である。当業者に知られているように、これは、トポグラフィー又は結晶学的効果の結果であるかもしれない。後方散乱電子の散乱角も、サンプルの元素組成に関する情報を与えることも知られている。
【0054】
望ましくは、検出器は、その表面を可能な限り覆うように、互いに隣接して配置される。
【0055】
検出器は、また、その表面から異なった距離において形成されてもよく、従って表面検出器及びいわゆる埋め込み検出器を形成する。その埋め込み検出器は、より高エネルギーの粒子及び/又はX線量子などのより大きい侵入度を持つ放射線を検出するために使用されてもよい一方、最上部の検出器(薄いホウ素層及び薄いp+型拡散層を持つ)は、低い侵入度を持つ放射線を検出するために使用される。
【0056】
また、最上部の検出器は、大きい侵入度を持つ放射線も検出するが、埋め込み検出器は、大きい侵入度だけを持つ放射線の信号を生成するということが知られている。
【0057】
望ましくは、そのような堆積された検出器は、2つの検出器の直接ボンディングによって作成されるが、埋め込み検出器を最初に形成し、次に、最上部の検出器をその上に形成することも可能である。
【0058】
埋め込み検出器は、フォトダイオードに関して知られており、異なる深さでの検出器は、異なる波長で異なった反応を示すことが知られている。
【0059】
本発明のさらにもう1つの実施形態において、ホウ素を含む層を重ねるステップは、ホウ素70%、より厳密には90%、最も厳密には99%よりも多い量のホウ素を重ねるステップである。前述したように、最上層は、純粋なホウ素層である必要はないことから、真性層上に重ねる材料は、純粋である必要は無い。特に、窒素、炭素又は酸素の量は、しばしば重ねる間に存在するように、その形成される層が導電性である限り許容される。それらの汚染物質は、妨害される電子が可能な限り少ないように、低いZの汚染物質であるのが望ましい。
【0060】
本発明のさらにもう1つの態様において、導電性材料の層は、導電性材料の均一層である。
【0061】
導電性材料の層を重ねるとき、それ自体は、少なくとも2つの材料の層を含み、最上層に最も近い1つは停止層としての働きをしてよい。しかし、ここで示される方法は、均一の材料が、主にホウ素を含む最上層に損傷を与えずにグリッドの中にプロセスされることを明確に可能にする。本発明は、ここで、対応する参照符号が対応する部分を示す図によって明確化される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に従って多数の検出器を含むセンサーの断面を示す概略図である。
【図2】多数の検出器を持つセンサーを示す概略図である。
【図3】検出器を製造するステップを示す概略図である。
【図4】検出器を備えたSEMを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0063】
図1は、本発明に従って、多数の検出器を含むセンサーの断面を概略的に示す。
【0064】
それは、対称的な円形軸102を示すセンサー100を示す。そのセンサーは、2つの検出器104及び106を示し、各々は、放射線に敏感な領域を有する。それらの検出器は、環状の検出器であってもよいが、各環帯は、例えば3つの120度の区分、又は4つの90度の区分などにさらに分割されてもよく、各区分は、個別の検出器を形成してよい。
【0065】
該センサーは、n型基板108を含み、その片側は、背後電極110を形成するように金属化される。その基板の他方の側において、エピタキシャル層116の形における真性層が、例えば40μmの厚さで形成される。エピタキシャル層の上部はホウ素層が重ねられ、それによってホウ化シリコン層120のp+型拡散層が形成される。放射線に敏感な領域を取り囲み、pドープの(ホウ素でドープされた)境界線122が形成される。該検出器は、nドープ・インプラント領域124、例えばリンのインプラント領域によって、互いから電気的に絶縁され、それらの間には、pインプラント領域122が形成し、p-n-pバリアが検出器間に形成される。そのエピタキシャル層の一部分は、二酸化シリコンの層126によって覆われ、その上にアルミニウム・トラック(track)130が検出器の信号を輸送するために形成される。それらのアルミニウムのトラックは、ホウ素層上に形成された導電性グリッド128又はそのホウ素層の境界に接続される。センサーは、さらに、貫通孔112を示す。その貫通孔の内部は、金属層114で覆われ、背後電極110に電気接続される。
【0066】
nドープ基板108において、典型的な体積低効率の1‐10Ω・cmを持つ真性層が、シリコンのエピタキシャル層116の形において成長させられる。発明者は、2つの理由から、例えば40μmの厚いエピタキシャル層を好む:電極間のキャパシタンスは従って小さく、比較的大きい信号をもたらし、検出器は、及びX線光子及び、例えばサンプルから現れる蛍光光などとともに低エネルギー電子などの小さい侵入度を持つ放射線も検出するのに使用することができる。
【0067】
真性層の上部に、ホウ素層118が重ねられる。これは、純粋且つ不定形のホウ素層である。望ましくは、このホウ素層は、電子がそのホウ素層の中を容易に移動でき、空乏層(アクティブ・ボリューム)に到達できるように、10nm、より望ましくは5nm、最も望ましくは3nmよりも薄い厚みを持つ薄い層である。ホウ素層が、エピタキシャル層上に形成されることから、ホウ化シリコン層120がそのホウ素層とエピタキシャル層との間に形成される。基板は、金属化された裏側110を有し、電極を形成する。望ましくは、この電極は、センサーにおける全ての検出器に対する共通電極である。アルミニウム・グリッド128は、各検出器に対して特有である。ここで、各検出器の信号は、共通電極110と、例えば検出器106に特有である電極128など、特有の電極との間に誘導される電流/電圧を測定することによって検出されてもよい。
【0068】
アルミニウム・グリッドは、ホウ素層と接触しており、電気絶縁体126上に形成されたアルミニウム・トラック130を通してコレクション・パッドに送られる。アルミニウム・グリッド128は、検出器の境界線上においてのみ存在してもよいが、ホウ素層の上にグリッドを形成してもよく、それによって、如何なる所定の位置の表面抵抗もアルミニウム・トラック130に大幅に下げる。
【0069】
各検出器は、p+拡散層、真性層及びnドープ基板によって形成された、いわゆるP-I-Nダイオードである。従って、真性層における正孔はいずれも、p+層へ移動し、真性層における如何なる電子もnドープ基板へ移動する。真性層において生成された電子/正孔対は、第1電極と第2電極との間に電流を誘導する。そのような電子/正孔対は、衝突電子によって生成され、電子/正孔対の数は、電子がその真性層に入るのに用いるエネルギーに正比例し、電子/正孔対を形成するのに必要とされるエネルギーに反比例する。
【0070】
従って、真性層は、また、アクティブ層としても呼ばれる。
【0071】
1つの衝突電子が、保護層(非表示)に入ることによって検出器に入る瞬間と、それが真性層へ入る瞬間との間のエネルギーの減少を最小限にするために、ホウ素層及び拡散層は、可能な限り薄い。検出器が保護層(非表示)によって覆われている場合、この層も薄くあるべきであり、望ましくは、散乱を最小限にするように低いZの材料だけを含む。
【0072】
作業中に、電子のビームは、センサーの裏側から貫通孔を通り、放射線感受側に配置されたサンプルまで軸に沿って方向付けられる。そのサンプルで、例えば二次電子(SE)及び後方散乱電子(BSE)が、解放される。SEは、しばしば、衝突電子によって、50eV未満のエネルギーを持つサンプルから現れる電子として定義される一方、BSEは、50eVを越えるエネルギーを持つサンプルから現れる電子として定義される。望ましくは、センサーは、SEがセンサーに加速され、従って、そのセンサーにおける検出器に加速されるように、そのサンプルに関してわずかにプラスの電位にある(サンプルにバイアスをかける又はセンサーにバイアスをかけるかの何れか一方による)。SEは、それらが軸から半径方向のエネルギーをほとんど持たないことから、その軸にかなり近く検出される一方、BSEは、まず第1に半径方向のエネルギーをしばしば持っていることから、その軸からさらに遠く離された検出器によって検出される。
【0073】
SEMにおいて走査透過型電子顕微鏡法を実施することにおいて、その中央の穴は必要ではない。対照的に、この穴は、透過電子に「盲目」であるセンサーの領域を表わすのみである。しかし、透過型電子顕微鏡(TEM)において走査透過型電子顕微鏡法を実施する場合は、所定の角度よりも大きい角度で偏向(散乱)された電子を検出する必要がしばしばある一方、より小さい角度で散乱した電子は、貫通孔を通過してTEMの結像光学系によって結像される。
【0074】
図2は、多数の検出器を持つセンサーを概略的に示す。
【0075】
センサー100は、軸102の周りの貫通孔112を示し、その軸は、その図に垂直である。そのセンサーは、環状検出器104及び環状検出器106を検出器104の周りに示す。環状検出器106の周りに配置された多数の検出器202-i(i=1...4)が、一緒に環帯を形成する。同様に、4つの検出器204-iが一緒に検出器202-iの周りに環帯を形成する。センサーは、さらに、各検出器の信号を検出するための多数の接続パッド206-j(j=0...センサー上の検出器の数、パッドの1つは、裏側に形成され共通電極に接続されている)を示す。各接続パッドは、対応する検出器にトラック208-jによって接続されている。前述したように、後方散乱電子は、さらに軸から離れた検出器によって検出される。これらの検出器は、4つの90度の区分に分割される。ここで、サンプルの局所的な情報は、対応する区分において誘導された信号を比較することによって、及び異なる環帯からの信号を比較することによって決定され得る。
【0076】
後方散乱電子もまた、二次電子よりもエネルギーを有することから、これらの電子の全てのエネルギーが検出器のアクティブ領域に放散されるという条件で、より多くの電子正孔対を生成することが知られている:nドープ基板に生成される電子正孔対のいずれも再結合するため、検出されない。
【0077】
検出器は、(放射線感受性)表面から異なった距離でも結合できることが知られている。これは、例えば、2つのセンサーをお互いに直接ボンディングすることによって、あるいは、本発明に従って検出器を、いわゆる埋め込み検出器をすでに含む基板の上部に形成することによってなされる。それらの検出器は、PINボンディングPIN又はPINボンディングNIP構造を形成し得る。埋め込み検出器は、異なった侵入度で放射線を検出するのに使用することができる。埋め込み検出器のそれ自体における使用は、例えば、それらの検出器が異なる波長を持つ光に対して異なる反応を示す、特許文献2において知られている。
【0078】
図3は、検出器を製造するためのステップを概略的に示す。
【0079】
ステップ300において、nドープされたシリコン基板が提供される。これらの基板は、容易に入手可能である。
【0080】
ステップ301において、真性層がその基板の前方側に、例えばその基板にエピタキシャル層を成長させることによって、形成される。この内容に関して、「前方側」は、そのセンサーの放射線に敏感な側として解釈されるべきである。該センサーの望ましい実施形態において、これは、例えば10μmを超える厚さの厚い層である。
【0081】
真性層が上にあるnドープ・シリコン基板は、容易に入手可能であるが、これらは、例えば10μmを越える厚さを示さないことが知られている。
【0082】
検出領域は、望ましくは、表面絶縁層において定義されるべきであることが述べられる。
【0083】
ステップ302において、数ナノメートルの厚さを持つホウ素を含む最上層が、真性層の上に形成される。その最上層は、不定形のホウ素層であってよいが、ホウ素及び炭素、窒素又は酸素又はそれらの混合物など、他の低Zの元素を含む導電層であってもよい。最上層を重ねる間に、ホウ化シリコンのp+型拡散層も、真性層と最上層との間に形成される。
【0084】
ステップ303において、最上層は、アルミニウムなどの導電性材料で完全に覆われる。この導電性材料は、最上層と端子との間で低い抵抗の接触をさせるために使用されることから、最上層の後ろまで延びる。
【0085】
ステップ304において、最上層を覆うアルミニウム層の一部分が除去され、アルミニウムの薄い層だけがその最上層に残る。ほぼ全てのアルミニウムは、このステップで除去されるが、最上層は露出されないことから、ドライ・エッチングによって損傷を受けない。ここの方法では、残っているアルミニウムは、裏ウエア処理(任意)の間に検出器表面を保護する。
【0086】
任意のステップ305において、貫通孔が、センサーが、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)において使用できるように、荷電粒子のビームを通すために基板において形成される。
【0087】
任意のステップ306において、貫通孔の内部が、充電を防ぐために金属化される。
【0088】
ステップ307において、電極が裏側に形成される。
【0089】
ステップ308において、残っているアルミニウム層が、ウェット・エッチングによって開かれ、それによって、最上層を露出する。ホウ素は、例えばアルミニウムよりも、ウェット・エッチングに耐性があるため、‐ホウ素を含む‐最上層に対する損傷が最小限に抑えられる。
【0090】
任意のステップ309において、例えば、窒化ホウ素又は炭化ホウ素の保護層が、最上層に形成される。その最上層は、大気に露出されることによって大きく変化しない。
【0091】
ステップ302(最上層を重ねる)の後に、保護層を重ねてもよい。さらに、その保護層が十分に薄い場合、それの抵抗率(最上層とグリッドとの間において)は、量子効果によって左右されることが知られており、従って、バルク・ホウ素化合物の絶縁特性は、それとは関係ない。
【0092】
ステップ307のドライ・エッチング及びステップ308のウェット・エッチングを組み合わせることによって、ドライ・エッチングによる低いアンダー・エッチングが、ウェット・エッチングの選択性に組み合わせられる。その結果、高い制御性及び良いパターンの定義を持つプロセスが得られる。
【0093】
図4は、検出器を備えたSEMを概略的に示す。
【0094】
図4は、SEM400などの、SEMカラム402が備えられた粒子‐光学装置を示す。SEMカラムは、電子ビーム404を生成する。そのSEMカラムは、真空チャンバー406に搭載され、その真空チャンバーは、サンプル410を支えるためのサンプル・ステージ408を含む。当業者に知られているように、その真空チャンバーは、真空ポンプ(非表示)によって真空化される。サンプル・ステージ又は少なくともそのサンプルは、接地に関して電源422によってある電位にバイアスがかけられ(フロートされる(floated))てもよい。そのSEMカラムは、外部のソース412、電子をサンプルに集中させるためのレンズ414、416、及び偏向ユニット418を含む。該装置は、さらに、二次電子を検出するためにEverhart-Thornley検出器420などの標準のSE検出器が備えられ、本発明によるセンサー100が備えられる。センサー100は、ビーム404を通すための貫通孔112を示す。該装置は、さらに、偏向ユニット418、レンズ及び検出器420及び100をとりわけ制御し、検出器から集められた情報を表示ユニット426に表示するためのコントローラ424を含む。
【0095】
ビーム404でサンプル410上を走査することによって、二次電子及び後方散乱電子などの放射線が、そのサンプルから現れる。二次電子は、Everhart-Thornley検出器404へドリフトし、そこで検出される。後方散乱電子は、センサー100によって検出される。
【0096】
この放射線は、位置に敏感(散乱によって)であるため、取得される情報も位置に敏感である。
【0097】
センサー/検出器の何れか一方又は2つ又はそれ以上のセンサー/検出器の組み合わせからの信号は、コントローラ424によって処理されて表示される。その処理は、組み合わせ、統合、減算、疑似着色、輪郭強調及び他の当業者に知られている処理を含んでもよい。また、例えば粒子解析などに使用される自動認識処理も、この処理に含まれてよい。
【0098】
センサー/検出器の組み合わせは、例えばセンサー100における検出器であってもよいが、また、センサー100及び検出器420からの信号の組み合わせであってもよい。電源422は、そのカラムに関してそのサンプルのバイアスをかけるために使用されてもよい。それによって、二次電子は、検出されるのに十分なエネルギーでセンサー100に向かって加速される。これは、検出器420を余分にする。
【0099】
光、X線の検出、二光束(例えば、サンプルの結像のための電子ビーム及びサンプルの加工のためのイオンビーム)の使用、そのサンプルでの制御環境の使用(例えば、環境SEMによって使用されるような、数mbarの圧力又はエッチングもしくは前駆ガスなどのガスを入れることによる)、その他の多くの改良形及び代替形が当業者に知られているが、それらに限定されない。
【0100】
本発明は、シリコン・ウエハによって説明されているが、ゲルマニウムまたはGaAsうウエハーなどの異なる半導体も使用されてよいことが知られている。ゲルマニウム・ウエハーは、より低いバンド・ギャップによって高い信号を生成するという利益を有し、所定のエネルギーを持つ衝突電子に対してさらに多くの電子正孔対をもたらし、一方GaAsウエハーは、室温においてより低い漏洩(暗電流)を示す。
【符号の説明】
【0101】
100…放射線検出器
104…放射線感受性表面
106…放射線感受性表面
108…nドープ平面
110…第2電極
112…貫通孔
114…導電層
116…真性層
118…ホウ素層
120…p+型拡散層
122…pインプラント領域
124…nドープ・インプラント領域
126…二酸化シリコン層
128…アルミニウム・グリッド
130…アルミニウム・トラック
202-1…検出器
202-2…検出器
202-3…検出器
202-4…検出器
204-1…検出器
204-2…検出器
204-3…検出器
204-4…検出器
206-j…接続パッド
208-j…トラック
400…SEM
402…SEMカラム
404…電子ビーム
406…真空チャンバー
408…サンプル・ステージ
410…サンプル
412…電子ソース
414…レンズ
416…レンズ
418…偏向ユニット
420…Everhart-Thornley検出器
422…電源
424…コントローラ
426…表示ユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線感受性表面を有する放射線検出器を製造する方法であり:
・nドープ平面及び該nドープ平面に形成された真性層を有する平面状基板を供給するステップ;
・該真性層の上に、ホウ素を含む層を重ねることによって、p+型拡散層及びホウ素を含む最上層を形成するステップ;
・導電性材料のグリッドを形成するステップであり、該グリッドの少なくとも一部分は、前記最上層において形成され、該グリッドは該最上層を露出したままに残す一方、該最上層に電気接続され、第1電極を形成する、ステップ;及び
・前記nドープ平面に接続された第2電極を形成するステップ;
を含み、
前記導電性材料のグリッドは、
・前記最上層を導電性材料の層で完全に覆い、次に、該導電性材料の層の一部分をエッチングによって除去し、該エッチングは、ドライ・エッチングの第1ステップを含み、該ドライ・エッチングのステップは、前記グリッドを定義するが、前記最上層の露出される部分に導電性材料の薄い層を残し、次にウェット・エッチングの第2ステップが続き、該ウェット・エッチングのステップは、前記最上層の露出される部分から前記導電性の層を完全に除去する、ステップ;
によって形成されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記検出器は、少なくとも前記最上層の露出された部分に形成された、窒化ホウ素、炭化ホウ素、酸化ホウ素、又はそれらの混合物の保護層を有し、該保護層は、10ナノメートル未満、より具体的には5ナノメートル未満、最も具体的には3ナノメートル未満の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最上層の露出された部分をウェット・エッチングするステップの前に、貫通孔が前記基板において形成され、該最上層の露出された部分をウェット・エッチングする前又は後に、前記貫通孔の内部が導電層によって覆われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記導電性材料のグリッドは、Al、Ti、TiN、Co、Mo、Pd、Pt、W、Au、Ni、Cr、Cu及び/又はCのグループからの材料を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記真性層は、1μmを超える、より具体的には10μmを越える、最も具体的には40μmを越える厚さを有し、結果として、前記検出器のキャパシタンスの表面積Nmm2は、それぞれ、100×NpF未満、より具体的には10×NpF未満、最も具体的には2.5×NpF未満である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記真性層はエピタキシャル層である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ホウ素層を形成する間及び後に、その温度が750℃未満、より具体的には700℃未満、最も具体的には600℃未満で維持される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
多数の検出器が前記基板上に形成され、該検出器は、隣接して又は互いに重なり合って配置される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記のホウ素を含む層を重ねるステップは、70%よりも高い、より望ましくは90%よりも高い、最も望ましくは99%よりも高い純度のホウ素を重ねるステップである、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ホウ素を含む層を重ねるステップが、炭素、窒素又は酸素、又はそれらの混合物を重ねるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記導電性材料の層は、導電性材料の均一層である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−145292(P2011−145292A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−4116(P2011−4116)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(501233536)エフ イー アイ カンパニ (87)
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
【住所又は居所原語表記】7451 NW Evergreen Parkway, Hillsboro, OR 97124−5830 USA
【Fターム(参考)】