説明

放射線硬化性組成物

【課題】加工特性および使用特性に優れた放射線硬化性樹脂を提供する。
【解決手段】放射線硬化性樹脂は、1つまたは2つのアロファネート基を有するアロファネート含有物質(イソシアネート基に基づいて)(樹脂の)10〜40当量%、3つまたは4つ以上のアロファネート基を有するアロファネート含有物質(樹脂の)0〜40当量%、ウレタンアクリレート(樹脂の)60〜90当量%を含んでなり、重合反応を行うことができるエチレン性不飽和基当量0.001〜0.008当量/gを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート基、アロファネート基およびラジカル重合可能なC−C二重結合を有する化合物に関する。さらに、本発明は、本発明の化合物を含む放射線硬化性配合物および被覆組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネート基を有する化合物に基づく被覆組成物はこの技術分野においてよく知られている。被覆系、例えば被覆産業の製造企業は、さまざまな要求に合う組成物を期待している。これらの要求は、加工特性および使用特性の両方に関する。
【0003】
加工特性に関して、被覆系は、非常に低い溶媒含量を低い粘度と組み合わせることが特に重要である。被覆物質を、一般的な技術、例えば噴霧によって、被覆されるべき表面に、問題なく塗布できることから、低い粘度が求められる。これらの被覆物質が溶媒を含有すると、被覆物質の加工の際に、被覆物質を塗布して乾燥する際に放出される溶媒を大気中に出ないように、技術的に複雑な手段を採用しなくてはならないという問題が生じる。
【0004】
さらに、UV照射によって、被覆組成物を備えた物品を硬化できるようにすべきである。特に、比較的低い放射線量による短時間の照射の後、さらに著しく硬度を上昇させるより長時間の照射なしに、硬度は大きく上昇しなければならない。従来技術の系で、この硬化は、非常に高い放射線量でのみ実現され、言い換えれば、現行の照射装置内で、要求される滞留時間はあまりにも長い。それ故に、非常に低い放射線量、すなわち短い暴露時間の暴露で、重合反応においてほぼ定量的に消費される基を有する硬化系が必要とされている。
【0005】
使用特性に関して、特別な要求としては、
機械的応力、例えば張力、延伸、衝撃、引っ掻きまたは摩耗に対する耐性;
湿分(例えば、水蒸気の形態)、溶媒、石油および希釈化学物質、並びに、化学的環境因子、例えば酸性雨、パンクレアチン、樹脂に対する耐性;
環境的影響、例えば温度の変動およびUV照射に対する耐性;
被覆面の高光沢;
様々な基材への良好な付着、
例えばプライマー、充填剤、色彩効果層または他の被覆で予め覆われた基材への良好な付着、およびプラスチック、木材、木質物質、紙、ガラス、セラミック、繊維製品、皮革製品または金属への良好な直接付着
が挙げられる。
【0006】
さらなる要求は、三次元基材(例えば、車体)の陰領域、木材、紙、発泡体、セラミック材料中の微細孔、放射線吸収成分(例えば、顔料、UV吸収体、充填剤)および噴霧ミストの堆積物において、被覆物質の暴露されないまたは放射線硬化できない領域を完全に硬化できることである。硬化は、空気中での貯蔵の間、または追加の加熱もしくは焼き付けによって行われる。
【0007】
米国特許第6,177,535号は、ウレタン基を有するが、遊離イソシアネート基を有さず、被覆組成物として使用される放射線硬化性プレポリマーを開示している。
【0008】
米国特許第5,300,615号および米国特許第5,128,432号は、同様に、ラジカル重合性二重結合を有し、イソシアネート基を有さないポリウレタンを開示している。
【0009】
米国特許第5,739,251号は、アルコールから生成され、β−γ−エチレン性不飽和エーテル基を有し、実質的にイソシアネート基を有さないウレタンを開示し、かつ、これらウレタンから誘導されるアロファネートを開示している。しかしながら、これらβ−γ−不飽和化合物は、高い粘度という特有の欠点を有している。
【0010】
米国特許第6,617,413号は、ブロッキングしたまたはしていないイソシアネート基、アロファネート基およびラジカル重合可能なC−C二重結合を有し、C−C二重結合は直接結合したカルボニル基によってまたはエーテル官能基中の酸素原子によって活性化されている形態である、ポリイソシアネートおよびアルコールから誘導される化合物を開示している。該化合物は、放射線硬化性組成物および物品を被覆するための被覆組成物に使用できる。
【0011】
引用したすべての従来技術において、モノマー物質に付随した毒性故に、モノマー物質は除去される。この除去によって、モノマーの除去を要しない場合に負担しないでよい加工および費用がさらに追加されることになる。
【特許文献1】米国特許第6,177,535号
【特許文献2】米国特許第5,300,615号
【特許文献3】米国特許第5,128,432号
【特許文献4】米国特許第5,739,251号
【特許文献5】米国特許第6,617,413号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、この技術分野において、モノマー除去を必要としない、イソシアネート基、アロファネート基およびラジカル重合可能なC−C二重結合を有する化合物を調製することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、1つまたは2つのアロファネート基を有するアロファネート含有物質(イソシアネート基に基づいて)(樹脂の)10〜40当量%、3つまたは4つ以上のアロファネート基を有するアロファネート含有物質(樹脂の)0〜40当量%、およびウレタンアクリレート(樹脂の)60〜90当量%を含んでなる放射線硬化性樹脂を提供する。樹脂は、重合反応を行うことができるエチレン性不飽和基当量0.001〜0.008当量/gを有する。
【0014】
本発明は、a)上記の樹脂、b)1種または2種以上の光開始剤、およびc)任意の1種または2種以上の反応性希釈剤、並びにd)任意の溶媒または溶媒混合物を含んでなる放射線硬化性被覆組成物も提供する。
【0015】
本発明は、さらに、基材を上記被覆組成物で被覆することおよび組成物を硬化するために十分な時間の間被覆基材を放射線に暴露することを含んでなる被覆生成物を製造する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施例以外で、または特記しない限り、明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などに関するあらゆる数字または表記は、すべての場合において、用語「約」によって変更されるものとして理解されうる。
【0017】
本発明は、重合を行うことができるエチレン性不飽和基を有し、1つまたは2つのアロファネート基を有するアロファネート含有物質、3つまたは4つ以上のアロファネート基を有する任意のアロファネート含有物質、並びに1種またはそれ以上のウレタンアクリレートを包含する放射線硬化性樹脂を提供する。
【0018】
本発明の放射線硬化性樹脂は、1つまたは2つのアロファネート基を有するアロファネート含有物質を、(イソシアネートおよびアロファネート基の合計に基づいて)樹脂の少なくとも10当量%、場合によって少なくとも15当量%、他の場合には少なくとも20当量%含有する。また、樹脂は、1つまたは2つのアロファネート基を有するアロファネート含有物質を、樹脂の40当量%まで、場合によって少なくとも35当量%まで、他の場合には30当量%まで含有できる。樹脂中の1つまたは2つのアロファネート基を有するアロファネート含有物質の量は、上記の量の任意の値の間にある量または範囲であってよい。
【0019】
本発明の放射線硬化性樹脂は、任意に、3または4つ以上のアロファネート基を有するアロファネート含有物質を含有できる。含まれる場合、3つまたは4つ以上のアロファネート基を有するアロファネート含有物質は、(イソシアネートおよびアロファネート基の合計に基づいて)樹脂の少なくとも1当量%、場合によって少なくとも5当量%、他の場合には少なくとも10当量%で存在できる。また、樹脂は、このアルファネート含有物質を、樹脂の40当量%まで、場合によって少なくとも30当量%まで、他の場合には20当量%まで含有できる。樹脂中の3つまたは4つ以上のアロファネート基を有するアロファネート含有物質の量は、上記の量の任意の値の間にある量または範囲であってよい。
【0020】
さらに、本発明の放射線硬化性樹脂は、ウレタンアクリレートを、(イソシアネートおよびアロファネート基の合計に基づいて)樹脂の少なくとも60当量%、場合によって少なくとも65当量%、他の場合には少なくとも70当量%の量で含有する。また、樹脂は、ウレタンアクリレートを、樹脂の90当量%まで、場合によって少なくとも80当量%まで、他の場合には75当量%まで含有できる。樹脂中のウレタンアクリレートの量は、上記の量の任意の値の間にある量または範囲であってよい。
【0021】
ここで使用される用語「ウレタンアクリレート」は、イソシアネート官能基含有物質とヒドロキシ官能(メタ)アクリレートエステルの反応生成物を意味する。望ましくは、本発明で使用されるウレタンアクリレートは、完全に反応しており、すなわち、すべての遊離イソシアネート基は、ヒドロキシ官能(メタ)アクリレートエステルとの反応により対応するウレタンに転化されている。
【0022】
さらに、本発明の放射線硬化性樹脂は、少なくとも0.001当量/g、場合によって少なくとも0.0015当量/g、他の場合には少なくとも0.002当量/gの重合反応を行うエチレン性不飽和基当量を有する。また、放射線硬化性樹脂は、0.01当量/gまで、場合によって0.008当量/gまで、他の場合には0.007当量/gまで、ある例では0.006当量/gまで、他の例で0.005当量/gまでの重合反応を行うエチレン性不飽和基当量を有する。樹脂中のエチレン性不飽和基の量は、上記の量の任意の値の間にある量または範囲であってよい。
【0023】
非限定的な例として、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)2モルおよびヒドロキシエチルアクリレート3モルに基づく樹脂は、分子量733を有し、3/733(または0.0041)当量/gとなる不飽和当量3を有する。
【0024】
本発明の態様において、上記の放射線硬化性樹脂は、NCO官能アルファネート含有物質を与えるためにA)ポリイソシアネートを、B)第1ヒドロキシ官能物質と、2:1〜15:1のNCO:OH当量比で反応させること、および該アロファネート物質を、C)第1ヒドロキシ官能物質と同じまたは異なってもよい第2ヒドロキシ官能物質と、0.75:1〜1:0.75のNCO:OH当量比で反応させることによって調製され、この場合、第1ヒドロキシ官能物質および第2ヒドロキシ官能物質の少なくとも1つが、重合反応を行うことができるエチレン性不飽和基を有する。
【0025】
本発明の特別な態様において、第1ヒドロキシ官能物質および/または第2ヒドロキシ官能物質は、約200〜約2000の数平均分子量を有し、式:
【化1】

[式中、nは1〜5の整数であり、
は、水素またはメチルであり、
は、2〜10個、場合によって2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基または置換アルキレン基(1〜12個、場合によって1〜8個、他の場合には1〜4個の炭素原子を有する1つまたは2つ以上のアルキル基で置換されうる)を示し、
は、3〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基(1〜12個、場合によって1〜8個、他の場合には1〜4個の炭素原子を有する1つまたは2つ以上のアルキル基で置換されうる)を示す。]
で示される1種または2種以上のヒドロキシ官能ラクトンエステル(メタ)アクリレートを包含する。
【0026】
本発明の態様において、第1ヒドロキシ官能物質および/または第2ヒドロキシ官能物質は、式:
【化2】

[式中、RおよびRは上記のとおりである。]
で示される1種または2種以上のヒドロキシ官能(メタ)アクリレートを包含する。
【0027】
ここで使用される用語「(メタ)アクリレート」および「(メタ)アクリル」は、アクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体の両方を含んで意味し、例えば、しばしばアクリレートおよびメタアクリレートと呼ばれる対応するアルキルエステルは、用語「(メタ)アクリレート」に包含される。
【0028】
本発明の特別な態様において、第1ヒドロキシ官能物質が、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステルおよび/またはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステルを含むことができ、第2ヒドロキシ官能物質は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびその組み合わせからなる群から選択される物質を含んでなる。本発明において使用できるそのようなヒドロキシ官能物質の非限定的な例は、TONETM M-100(UCAR Coatings Resins, コネチカット州ダンベリー)である。
【0029】
あらゆる適したポリイソシアネートが本発明で使用できる。適したポリイソシアネートは、構造R(NCO)で示されるポリイソシアネートであり、Rは、4〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基または7〜15個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素基を示すが、これらに限定されない。
【0030】
本発明の特別な態様において、ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、イソシアヌレート、トリイソシアネート、ウレトジオンジイソシアネートおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0031】
本発明は、
a)上記の樹脂、
b)1種または2種以上の光開始剤、および
c)任意の1種または2種以上の反応性希釈剤、並びに
d)任意の溶媒または溶媒混合物
を含む放射線硬化性被覆組成物も提供する。
【0032】
本発明の放射線硬化性樹脂は、放射線硬化性被覆組成物中に、同被覆組成物の重量に基づいて少なくとも15重量%、ある場合には少なくとも20重量%、他の場合には少なくとも25重量%の量で含まれる。また、放射線硬化性樹脂は、放射線硬化性組成物中に、同被覆組成物の重量に基づいて、97重量%まで、ある場合には95重量%まで、他の場合には90重量%まで、ある状況では85重量%まで、他の状況では80重量%まで、ある例では75重量%までの量で含まれる。放射線硬化性樹脂は、放射線硬化性組成物中に上記の量の任意の値の間にある量または範囲で含まれる。
【0033】
光開始剤は、放射線硬化性被覆組成物中に、放射線硬化性被覆組成物の重量に基づいて少なくとも0.1重量%、ある例では少なくとも1重量%、他の例では少なくとも3重量%、ある場合には少なくとも3.5重量%、他の場合には少なくとも4重量%の量で含まれる。また、光開始剤は、放射線硬化性組成物中に、放射線硬化性被覆組成物の重量に基づいて、7重量%まで、ある場合には6重量%まで、他の場合には5重量%までで含まれる。光開始剤は、放射線硬化性組成物中に上記の量の任意の値の間にある量または範囲で含まれる。
【0034】
本発明において、少なくとも一部の硬化は、化学線によって行い、そのために、エチレン性不飽和二重結合の重合を開始させることができる少なくとも1つの光開始剤が、放射線硬化性被覆組成物に含まれる。使用できる適した光開始剤は、3級アミンを組み合わせたベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたはそれら混合物が挙げられるが、これらに限定されない。更に、開始剤(タイプII)、例えば、ベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、例えば、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノンおよびα−ヒドロキシアルキルフェノンも適している。本発明の態様において、UVまたは可視光によって活性化される光開始剤が使用される。
【0035】
反応性希釈剤は、放射線硬化性被覆組成物中に要すれば含まれてよく、使用される場合、放射線硬化性被覆組成物の重量に基づいて少なくとも1重量%、ある場合には少なくとも5重量%、他の場合には少なくとも10重量%の量で含まれる。また、反応性希釈剤は、放射線硬化性組成物中に、放射線硬化性被覆組成物の重量に基づいて、25重量%まで、ある場合には20重量%まで、他の場合には15重量%までの量で含まれてよい。反応性希釈剤は、上記の量の任意の値の間にある量または範囲で放射線硬化性組成物中に含まれる。
【0036】
あらゆる適した反応性希釈剤c)を、本発明の放射線硬化性組成物で使用することができる。適した反応性希釈剤の非限定的な例としては、アクリル酸またはメタクリル酸、ある場合ではアクリル酸と一官能または多官能アルコールとのエステル;アルコール、例えば異性体ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールおよびデカノール、並びに脂環式アルコール、例えばイソボルノール、シクロヘキサノールおよびアルキル化シクロヘキサノール、ジシクロペンタノール、芳香脂肪族アルコール、例えばフェノキシエタノールおよびノニルフェニルエタノールおよびテトラヒドロフルフリルアルコール;そのようなアルコールのアルコキシル化誘導体;二価アルコール、例えばエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサン−1,6−ジオール、2−エチルヘキサンジオールおよびトリプロピレングリコールおよびこれらアルコールのアルコキシル化誘導体が挙げられる。本発明のある態様では、二価アルコールは、ヘキサン−1,6−ジオール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールである。ある場合に、三価アルコール、例えばグリセロールまたはトリメチロールプロパンまたはそれらのアルコキシル化誘導体を使用できる。同様に、四価アルコール、例えばペンタエリスリトールまたはそのアルコキシル化誘導体が使用できる。本発明の特別な態様では、反応性希釈剤は、アルキルモノ−、ジ−、トリ−およびテトラ(メタ)アクリレート、特にアルキルが1〜8個の炭素原子からなるアルキル基であるアルキルモノ−、ジ−、トリ−およびテトラ(メタ)アクリレートから選択される。
【0037】
溶媒または溶媒混合物は、放射線硬化性被覆組成物中に要すれば含まれてよく、使用される場合、放射線硬化性被覆組成物の重量に基づいて少なくとも1重量%、ある場合には少なくとも5重量%、他の場合には少なくとも10重量%、ある例では少なくとも20重量%、他の例では少なくとも25重量%の量で含まれる。また、溶媒または溶媒混合物は、放射線硬化性組成物中に、放射線硬化性被覆組成物の重量に基づいて、70重量%まで、ある場合には60重量%まで、他の場合には50重量%までの量で含まれてよい。溶媒または溶媒混合物は、上記の量の任意の値の間にある量または範囲で放射線硬化性組成物中に含まれる。
【0038】
放射線硬化性被覆組成物で使用できる適した溶媒は、組成物中に存在する官能基に不活性である溶媒である。適した溶媒の非限定的な例は、塗料産業で使用される溶媒、例えば炭化水素、ケトンおよびエステル、例えばトルエン、キシレン、イソオクタン、アセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミドを包含する。本発明の態様において、溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエンおよび酢酸のC−C−アルキルエステル、例えば酢酸エチルまたは酢酸ブチルを包含する。
【0039】
本発明は、上記被覆組成物で基材を被覆することおよび組成物を硬化するために十分な時間の間被覆基材を化学線に暴露することを含んでなる被覆物品を製造する方法も提供する。ここで使用される用語「化学線」は、電磁線、電離放射線であり、電子線に限定されず、UV線および可視光を含む。
【0040】
あらゆる適した形態の化学線が本発明の方法での放射線として使用できる。本発明の好ましい態様において、放射線はUV線である。特別な態様において、放射線は、少なくとも300nm、ある場合で約320〜約450nmの波長を有する。
【0041】
本発明のある態様において、電子線を、UV線のかわりに使用でき、この場合、通常、光開始剤を必要としない。電子線は、この技術分野において知られており、一般に熱放射によって発生し、電位差によって加速される。次いで、高エネルギー電子は、チタンホイルを通過し、硬化させる本発明の組成物に導かれる。
【0042】
本発明の他の態様において、ラジカルの化学源も使用できる。化学的ラジカル源の非限定的な例は、過酸化物およびアゾ化合物を包含する。促進剤も使用でき、非限定的な例として、銅塩を過酸化物化学物質と共に促進剤として使用できる。
【0043】
ラジカルの化学源として使用できる過酸化物の非限定的な例としては、ケトンパーオキシド(例えば、メチルエチルケトンパーオキシド)、ジアシルパーオキシド(非限定的な例としてベンゾイルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドおよびコハク酸過酸化物)、ジアルキルパーオキシド(非限定的な例としてジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ(t−アミル)パーオキシド)およびジ(t−ブチル)パーオキシド)、ジパーオキシケタール(非限定的な例として1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)−シクロヘキサン、3,3−ジ(t−アミルパーオキシ)ブタン酸エチル、および3,3−ジ(t-ブチルパーオキシ)酪酸エチル、t−ブチルパーオキシエステル(非限定的な例としてt−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオクタエートおよび2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン)およびヒドロパーオキシド(非限定的な例としてクメンパーオキシドおよびt−ヒドロパーオキシド)が挙げられるが、これらに限定されない。過酸化物の選択は、加工および硬化の際の温度によって通常決定される。
【0044】
ラジカルの化学源として使用できるアゾ化合物の非限定的な例は、既知のラジカル開始剤に限定されず、脂肪族アゾ化合物、例えばアゾジイソブチロニトリル、アゾ−ビス−2−メチルバレロニトリル、1,1’−アゾ−ビス−1−シクロヘキサンニトリルおよび2,2’−アゾ−ビス−イソ酪酸アルキルが挙げられる。アゾ化合物の選択は、加工および硬化の際の温度によって通常決定される。
【0045】
所望により、UV吸収剤および/またはHALS安定剤を被覆組成物に含ませることができる。そのような剤の適した例は、TinuvinTM 400 (Ciba Spezialitaetenchemie GmbH、ドイツ、Lampertheim)、ベンゾトリアゾール、例えば、TinuvinTM 622 (Ciba Spezialitaetenchemie GmbH、ドイツ、Lampertheim)またはシュウ酸ジアニリド(例えば、SanduvorTM 3206 (Clariant、スイス、Muttenz)が挙げられるが、これらに限定されず、樹脂固形分に基づいて0.5〜3.5重量%で添加される。市販の適したHALS安定剤としては、TinuvinTM 292またはTinuvinTM 123 (Ciba Spezialitaetenchemie GmbH、ドイツ、Lampertheim)またはSanduvorTM 3258 (Clariant、スイス、Muttenz)が挙げられる。HALS安定剤は、樹脂固形分に基づいて0.5〜2.5重量%で使用できる。
【0046】
さらに、被覆組成物は、添加剤、例えば顔料、染料、充填剤、均展剤および脱蔵剤を含むことができる。
さらに、NCO/OH反応を促進させるためのウレタン化学で既知の触媒が、被覆組成物に存在できる。非限定的な例として、錫塩または亜鉛塩または有機錫化合物、錫石鹸および/または亜鉛石鹸、例えばオクタン酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキシド、または3級アミン、例えば、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)が挙げられる。
【0047】
本発明の被覆組成物の被覆すべき物質への塗布は、被覆技術において既知の一般的な方法、例えば噴霧、ナイフ塗布、ロール塗装、注入塗装、浸漬塗装、スピン塗装、ブラッシングまたは噴射によって、または印刷技術、例えばスクリーン、グラビア、フレキソ印刷またはオフセット印刷によって、または転写方法によって行う。
【0048】
適した基材は、例えば、金属(特に、ワイヤエナメル、コイル塗装、缶塗装または容器塗装に使用される金属)、プラスチック(特にフィルムの形態、特にABS、AMMA、ASA、CA、CAB、EP、UF、CF、MF、MPF、PF、PAN、PA、PE、HDPE、LDPE、LLDPE、UHMWPE、PET、PMMA、PP、PS、SB、PUR、PVC、RF、SAN、PBT、PPE、POM、PUR−RIM、SMC、BMC、PP−EPDMおよびUP(DIN7728T1に従った略称))、紙、皮革、繊維製品、フエルト、ガラス、木材、木製材料、コルク、無機結合基材、例えば木製ボードおよびファイバーセメントスラブ、電子組み立て部品または無機物質基材である。さまざまな上記の物質からなる基材を被覆することまたは既に被覆された基材、例えば車両、航空機または船舶およびそれらの部分、特に車両ボディまたは外装品を被覆することも可能である。また、例えば、フィルムを製造するために、基材に被覆組成物を一時的に塗布し、次いで、部分的または全体的に硬化し、所望により、再び被覆組成物を脱離することも可能である。
硬化のために、存在する溶媒を蒸発分離によって部分的または完全に除去することもできる。
【0049】
本発明の態様において、放射線硬化は、高エネルギー線、言い換えればUV線または日光、例えば波長200〜700nmの光の照射によって、または高エネルギー電子(電子線150〜300keV)の照射によって行う。使用できる光またはUV光の放射線源として、高圧または中圧水銀ランプ(例えば、他の元素、例えばガリウムまたは鉄でドープすることによって変性された水銀ランプ)、レーザー、パルスランプ(UV閃光ランプの名称で既知である)、ハロゲンランプが挙げられ、エキシマエミッターも同様に使用できる。それらのデザインの固有の部分として、または特殊フィルターおよび/または反射体の使用によって、エミッターは、UVスペクトルの部分を放出しないに、備え付けられていてよい。
【0050】
例えば、職業衛生上の理由から、例えばUV−CまたはUV−CおよびUV−Bに帰属する放射線は除去されてよい。エミッターを静置状態で設置し、被照射物質を機械的装置によって放射源を通過して移動させてよく、またはエミッターを移動させ、被照射物質は硬化の間静置したままでもよい。UV硬化の間に架橋するために通常十分な量である放射線量は、80〜5000mJ/cmである。
【0051】
照射は、所望により、酸素の不存在下、例えば不活性ガス雰囲気または酸素減少雰囲気下で行うことができる。適した不活性ガスは、好ましくは、窒素、二酸化炭素、希ガスまたは燃焼ガスである。さらに、照射は、放射線を通す媒体で被覆物を覆うことによって行ってよい。そのような媒体の例は、ポリマーフィルム、ガラスまたは液体、例えば水である。
【0052】
放射線量および硬化条件に依存して、使用する開始剤の種類および濃度を、当業者に既知の方法で、変えることができる。
【0053】
被覆組成物の塗布膜の厚さ(硬化前)は、一般に0.5〜5000μm、ある場合には5〜1000μm、他の場合には15〜200μmである。溶媒を使用する場合、溶媒を、塗布後で硬化前に、技術分野で既知の一般的な方法で除去することができる。
【0054】
本発明を下記の実施例によってさらに説明する。以下の実施例は本発明の単なる例示であって、本発明を限定するものではない。特記しない限り、全てのパーセントは重量%である。
【実施例】
【0055】
原料
PCHEA-TONETM M-100(2−ヒドロキシエチルアクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステル(UCAR Coatings Resins, コネチカット州ダンベリー)。ヒドロキシ当量=344。
HPA=ヒドロキシプロピルアクリレート。ヒドロキシ当量=130.1。
【0056】
[実施例1]
アクリル化アロファネートの製造
攪拌機、ヒーター、滴下漏斗および酸素注入管を備えた3L丸底フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート1275.0g(15.18当量)、ヒドロキシエチルアクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステル(PCHEA)468.6g(1.36当量)およびブチル化ヒドロキシトルエン安定剤0.85gを添加した。混合物を、空気中で均一になるまで攪拌し、80℃まで加熱し、オクタン酸亜鉛触媒1.49g(22%Zn)を添加した。次いで、反応混合物を100℃に加熱し、この温度で3時間半保ち、この時点で、イソシアネートは29.55%NCOとなったことを、電位差滴定で確認した。塩化ベンゾイル0.7gを添加し、亜鉛触媒を失活させた。粘度は、25℃で20mPa・秒未満であった。
【0057】
[実施例2]
アクリル化アロファネートのHPA/PCHEA付加物の製造
攪拌機、ヒーター、滴下漏斗および酸素注入管を備えた500mL丸底フラスコに、実施例1のアクリル化アロファネート94.1g(0.66当量)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)43.5g(0.33当量)、PCHEA113.9g(0.33当量)およびブチル化ヒドロキシトルエン安定剤1.25gを添加した。混合物を、均一になるまで攪拌し、ジブチル錫ジラウレート触媒0.06gを添加した。次いで、反応混合物を60℃まで加熱し、この温度で6時間保ち、イソシアネートが存在しないことを、IRスペクトルで確認した。粘度は、25℃で2600mPa・秒であり、密度は、9.3lbs/galであった。
【0058】
処方、硬化方法および試験
樹脂を、光開始剤DAROCURETM 4625(Ciba Specialty Chemicals Corp.(ニューヨーク州タリタウン))5phr(重量)および光開始剤IRGACURETM 184(Ciba Specialty Chemicals Corp.)1phr(重量)と組み合わせた。配合物を均一になるまで混合し、酢酸ブチルで85%固形分まで希釈した。MEK往復摩擦評価のための冷間圧延スチルパネルおよび振子型硬度評価のためのガラスパネル上に、配合物から、4ミル湿潤フィルム厚の延展棒を用いて、フィルムを形成した。すべてのパネルを延展後30秒間フラッシュし、H&S AUTOSHOTTM 400A Low Intensity UVA lamp(H & S Autoshot Manufacturing Co.、カナダ、オンタリオ州ジョージタウン)を用い、10インチのランプ距離で2分間硬化した。
【0059】
MEK往復摩擦は、数枚のチーズクロスで覆った2ポンド丸頭ハンマーを使用して行った。チーズクロスには、MEKを浸み込ませた。MEK湿潤ハンマーを、表面に対して90度の角度になるように、被覆表面においた。下向きの圧力を与えないで、ハンマーを、被覆の約4インチ長のエリアにかけて前後に動かした。1回の前後の動きを、1往復摩擦として数えた。各25往復摩擦後にMEKで布を浸した。ハンマーが基材を破壊しパネル表面に達したときを、終点とした。
【0060】
振子型硬度は、(現在取り下げられている)ASTMD4366−95(Test Method A)(ケーニッヒ硬度計を用いる振り子減衰試験による有機被覆の硬度のための標準的な試験方法)を用いて測定した。
【0061】
【表1】

【0062】
これらデータは、アロファネート含有物質、残留モノマーポリイソシアネートおよび重合を行うことができるエチレン性不飽和基を含む本発明の放射線硬化性樹脂から形成された被覆フィルムは、優れた溶媒耐性および強靱特性を有することを示している。
【0063】
本発明を例示するために前記に詳しく説明したが、そのような説明は例示するものにすぎず、特許請求の範囲によって限定される以外は、本発明の意図および範囲を逸脱せずに当業者によってそれらに変更を加えうると理解されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは2つのアロファネート基を有するアロファネート含有物質(イソシアネート基に基づいて)(樹脂の)10〜40当量%、
3つまたは4つ以上のアロファネート基を有するアロファネート含有物質(樹脂の)0〜40当量%、
ウレタンアクリレート(樹脂の)60〜90当量%
を含んでなり、
樹脂が、重合反応を行うことができるエチレン性不飽和基当量0.001〜0.008当量/gを有する放射線硬化性樹脂。
【請求項2】
NCO官能アルファネート含有物質を与えるために、
A)ポリイソシアネートを、
B)第1ヒドロキシ官能物質と、2:1〜15:1のNCO:OH当量比で反応させること、および
該アロファネート物質を、
C)第1ヒドロキシ官能物質と同じまたは異なってもよい第2ヒドロキシ官能物質と、
0.75:1〜1:0.75のNCO:OH当量比で反応させること
によって調製され、
第1ヒドロキシ官能物質および第2ヒドロキシ官能物質の少なくとも1つが、重合反応を行うことができるエチレン性不飽和基を有する請求項1に記載の放射線硬化性樹脂。
【請求項3】
第1ヒドロキシ官能物質および/または第2ヒドロキシ官能物質が、約200〜約2000の数平均分子量を有し、式:
【化1】

[式中、nは1〜5の整数であり、
は、水素またはメチルであり、
は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン基または置換アルキレン基(1〜12個の炭素原子を有する1つまたは2つ以上のアルキル基で置換されうる)を示し、
は、3〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基(1〜12個の炭素原子を有する1つまたは2つ以上のアルキル基で置換されうる)を示す。]
で示される1種または2種以上のヒドロキシ官能ラクトンエステル(メタ)アクリレートを含んでなる請求項2に記載の放射線硬化性樹脂。
【請求項4】
第1ヒドロキシ官能物質および/または第2ヒドロキシ官能物質が、式:
【化2】

[式中、Rは、水素またはメチルであり、
は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン基または置換アルキレン基(1〜12個の炭素原子を有する1つまたは2つ以上のアルキル基で置換されうる)を示す。]
で示される1種または2種以上のヒドロキシ官能(メタ)アクリレートを含んでなる請求項2に記載の放射線硬化性樹脂。
【請求項5】
第1ヒドロキシ官能物質が、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステルおよび/またはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステルを含んでなり、第2ヒドロキシ官能物質が、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含んでなる請求項2に記載の放射線硬化性樹脂。
【請求項6】
ポリイソシアネートが、構造R(NCO)で示されるポリイソシアネートであり、Rは、4〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基または7〜15個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素基を示す請求項2に記載の放射線硬化性樹脂。
【請求項7】
ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、イソシアヌレート、トリイソシアネート、ウレトジオンジイソシアネートおよびそれらの混合物からなら群から選択される請求項2に記載の放射線硬化性樹脂。
【請求項8】
a)請求項1に記載の樹脂、
b)1種または2種以上の光開始剤、および
c)任意の1種または2種以上の反応性希釈剤、並びに
d)任意の溶媒または溶媒混合物
を含んでなる放射線硬化性被覆組成物。
【請求項9】
樹脂が、NCO官能アルファネート含有物質を与えるために
A)ポリイソシアネートを、
B)第1ヒドロキシ官能物質と、2:1〜15:1のNCO:OH当量比で反応させること、および
該アロファネート物質を、
C)第1ヒドロキシ官能物質と同じまたは異なってもよい第2ヒドロキシ官能物質と、
0.75:1〜1:0.75のNCO:OH当量比で、反応させること
によって調製され、
第1ヒドロキシ官能物質および第2ヒドロキシ官能物質の少なくとも1つが、重合反応を行うことができるエチレン性不飽和基を有する請求項8に記載の放射線硬化性被覆組成物。
【請求項10】
ポリイソシアネートが、構造R(NCO)で示されるポリイソシアネートであり、Rは、4〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基または7〜15個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素基を示す請求項9に記載の放射線硬化性被覆組成物。
【請求項11】
ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、イソシアヌレート、トリイソシアネート、ウレトジオンジイソシアネートおよびそれらの混合物からなら群から選択される請求項9に記載の放射線硬化性被覆組成物。
【請求項12】
第1ヒドロキシ官能物質および/または第2ヒドロキシ官能物質が、約200〜約2000の数平均分子量を有し、式:
【化3】

[式中、nは1〜5の整数であり、
は、水素またはメチルであり、
は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン基または置換アルキレン基(1〜12個の炭素原子を有する1つまたは2つ以上のアルキル基で置換されうる)を示し、
は、3〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基(1〜12個の炭素原子を有する1つまたは2つ以上のアルキル基で置換されうる)を示す。]
で示される1種または2種以上のヒドロキシ官能ラクトンエステル(メタ)アクリレートを含んでなる請求項9に記載の放射線硬化性被覆組成物。
【請求項13】
第1ヒドロキシ官能物質および/または第2ヒドロキシ官能物質が、式:
【化4】

[式中、Rは、水素またはメチルであり、
は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン基または置換アルキレン基(1〜12個の炭素原子を有する1つまたは2つ以上のアルキル基で置換されうる)を示す。]
で示される1種または2種以上のヒドロキシ官能(メタ)アクリレートを含んでなる請求項9に記載の放射線硬化性被覆組成物。
【請求項14】
第1ヒドロキシ官能物質が、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステルおよび/またはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステルを含んでなり、第2ヒドロキシ官能物質は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含んでなる請求項9に記載の放射線硬化性被覆組成物。
【請求項15】
反応性希釈剤が、アルキル基が1〜8個の炭素原子を有するアルキルモノ−、ジ−、トリ−およびテトラ(メタ)アクリレートからなる群から選択される請求項9に記載の放射線硬化性被覆組成物。
【請求項16】
a)約15〜約97重量%、
b)約3〜約7重量%、
c)約0〜約25重量%、および
d)約0〜約70重量%を、
成分a)、b)およびc)並びにd)の合計重量パーセントが100%になるように、含んでなる請求項8に記載の放射線硬化性被覆組成物。
【請求項17】
反応性希釈剤c)が、アルキルモノ−、ジ−、トリ−およびテトラ(メタ)アクリレートからなる群から選択される請求項8に記載の放射線被覆組成物。
【請求項18】
さらに、ラジカル化学源を含んでなる請求項8に記載の放射線硬化性被覆組成物。
【請求項19】
ラジカル化学源として、過酸化物および/またはアゾ化合物を含んでなる請求項18に記載の放射線硬化性被覆組成物。
【請求項20】
さらに、1種または2種以上の促進剤を含んでなる請求項18に記載の放射線硬化性被覆組成物。
【請求項21】
基材を請求項8に記載の被覆組成物で被覆することおよび組成物を硬化するために十分な時間の間被覆基材を放射線に暴露することを含んでなる被覆物品を製造する方法。
【請求項22】
該放射線が、紫外線である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
該放射線が、少なくとも300nmの波長を有する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
該放射線が、約320nm〜約450nmの波長を有する請求項23に記載の方法。

【公開番号】特開2006−169527(P2006−169527A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360317(P2005−360317)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】