説明

放熱部材および放熱機構

【課題】簡易な構成で複数の光源が発する熱を適切に放散させる。
【解決手段】ヒートシンク30は、互いに対向する板状部分である第1部分30aおよび第2部分30bと、第1部分30aの端部と第2部分30bの端部との間に介在する第3部分30cと、によってコ字状に形成される。第1部分30aは、第1発光素子40Aの熱を回収するよう第1発光素子40Aが取り付けられる。第2部分30bは、第1部分30aと対向して配置され、第2発光素子40Bの熱を回収するよう第2発光素子40Bが取り付けられる。第3部分30cは、第1部分30aおよび第2部分30bから回収した熱を放散する放熱フィン30dを有する。ヒートシンク30は、ダクト24によって形成されるエアフロー領域内において、第3部分30cが第1部分30aおよび第2部分30bよりも上流側に位置するよう配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱部材および放熱機構に関し、特に、光源の熱を放散させる放熱部材および放熱機構に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子を光源として車両用前照灯に利用する技術が知られている。ここで、半導体発光素子の上方を開放した状態で半導体発光素子ユニットを囲って保持し、発光のための電力を外部の電源プラグから接点に供給する給電部を有するアタッチメントを備えた発光モジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−32661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いずれの光源も通常熱を発するため、その放熱が必要になる場合がある。特にLEDなどの半導体発光素子は熱を発するが、寿命の短縮化を回避するためこの熱の放散をどのように行うかは極めて重要である。近年、複数の発光素子を用いて配光パターンを形成する技術の開発が盛んに行われており、この場合、複数の発光素子が近接して配置される場合がある。コストや設置スペースの抑制のため、このように複数の発光素子を配置する場合においても、簡易な構成でこれらを放熱できる技術が求められている。
【0005】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡易な構成で複数の光源が発する熱を適切に放散させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の放熱部材は、第1の光源の熱を回収するよう第1の光源が取り付けられる第1部分と、第1部分と対向して配置され、第2の光源の熱を回収するよう第2の光源が取り付けられる第2部分と、第1部分および第2部分から熱を回収して放散するよう第1部分の端部と第2部分の端部との間に介在する第3部分と、を備える。
【0007】
この態様によれば、第1の光源が発する熱と第2の光源が発する熱とを第3部分で放散させることができる。このため、第1部分の熱を放散させる機構と第2部分の熱を放散させる機構とを個別に設ける必要がなくなるため、簡素な構成で第1の光源が発する熱と第2の光源が発する熱を適切に放散させることができる。
【0008】
第3部分は、第1部分および第2部分から回収した熱を放散する放熱フィンを有してもよい。
【0009】
この態様によれば、第1部分および第2部分の各々において放熱する必要性をさらに低減させることができる。このため、第1部分および第2部分に放熱フィンを設けない、または設ける場合においてもその占有体積を小さくすることができる。したがって、放熱部材のサイズを抑制することができる。
【0010】
本発明の別の態様は、放熱機構である。この放熱機構は、第1の光源の熱を回収するよう第1の光源が取り付けられる第1部分と、第1部分と対向して配置され、第2の光源の熱を回収するよう第2の光源が取り付けられる第2部分と、第1部分および第2部分から熱を回収して放散するよう第1部分の端部と第2部分の端部との間に介在する第3部分と、を有する放熱部材を備える。放熱部材は、エアフロー領域内において、第3部分が第1部分および第2部分よりも上流側に位置するよう配置される。
【0011】
この態様によれば、第3部分がエアフロー領域内で上流側に配置されるため、第1の光源が発する熱と第2の光源が発する熱とを第3部分で適切に放散させることができる。
【0012】
本発明のさらに別の態様もまた、放熱機構である。この放熱機構は、光源の熱を放散する第1放熱部材と、光源の点灯を制御する制御回路部の熱を放散する第2放熱部材と、を備える。第1放熱部材および第2放熱部材は、共通のエアフロー領域内に配置され、第2放熱部材は、第1放熱部材より上流側に配置される。
【0013】
一般的に、制御回路部よりも光源の方が発熱量が大きい。この態様によれば、光源の熱で温められたエアが制御回路部の熱を放散させるための第2放熱部材周辺を通過する事態を回避できる。このため、制御回路部の熱を適切に放散させることができる。
【0014】
本発明のさらに別の態様もまた、放熱機構である。この放熱機構は、光源の熱を放散する第1放熱部材と、光源の点灯を制御する制御回路部の熱を放散する第2放熱部材と、第1放熱部材および第2放熱部材が共通のエアフロー領域内に配置されるようエアフロー領域を画定する区画部材と、を備える。第2放熱部材は、エアフロー領域内において第1放熱部材より下流側に配置され、区画部材は、第2放熱部材より上流側且つ第1放熱部材より下流側の個所に、エアフロー領域の外部から内部にエアを採り込む開口部を有する。
【0015】
この態様によれば、光源の放熱のため温められたエアだけでなく、エアフロー領域外部からのエアが制御回路部の放熱のための第2放熱部材周辺を通過させるよう、エアフロー領域外部からエアを採り込むことができる。このため、制御回路部の放熱のための第2放熱部材が光源の放熱のための第1放熱部材よりもエアフロー下流側に設けられた場合においても、制御回路部の熱を適切に放散させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な構成で複数の光源が発する熱を適切に放散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は、第1の実施形態に係る車両用前照灯の右側面図であり、(b)は、(a)の視点Pから車両用前照灯に含まれる灯具を見た図である。
【図2】(a)は、第2の実施形態に係る車両用前照灯の右側面図であり、(b)は、(a)の視点Qから車両用前照灯を見た図である。
【図3】第3の実施形態に係る車両用前照灯の右側面図である。
【図4】(a)は、発光モジュールの正面図、(b)は、発光モジュールの左側面図、(c)は、発光モジュールの裏面図である。
【図5】発光モジュールと第3の実施形態に係るエアフローユニットとを詳細に示す断面図である。
【図6】発光モジュールと第4の実施形態に係るエアフローユニットとを詳細に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1(a)は、第1の実施形態に係る車両用前照灯10の右側面図であり、図1(b)は、図1(a)の視点Pから車両用前照灯10に含まれる灯具12を見た図である。車両用前照灯10は、水平線付近に水平方向に伸びるカットオフラインを形成するためのシェード(図示せず)を有しており、いわゆるロービーム用配光パターンを形成するロービーム用光源として機能する。なお、車両用前照灯10がこれに限られないことは勿論であり、車両用前照灯10がハイビーム用配光パターンを形成するハイビーム光源として機能してもよい。
【0020】
車両用前照灯10は、灯具12および投影レンズ14を有する。投影レンズ14は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、その後側焦点面上に形成される光源像を反転像として灯具前方に投影する。
【0021】
灯具12は、発光装置20、ファン22、およびダクト24を有する。発光装置20は、ヒートシンク30、2つの発光モジュール32、および2つのリフレクタ34を有する。
【0022】
発光モジュール32は、発光素子40、放熱基板42、および制御回路基板44を有する。発光素子40は、半導体発光素子であるLEDによって構成される。以下、2つの発光モジュール32の発光素子40を、それぞれ必要に応じて第1発光素子40Aおよび第2発光素子40Bという。
【0023】
なお、発光素子40がLED以外の発光素子によって構成されていてもよく、また、発光素子40に代えて放電灯や白熱灯など他の光源が用いられてもよい。放熱基板42は、例えばアルミニウムなど熱伝導性の高い材料によって形成されている。制御回路基板44は、発光素子40の点灯を制御する。発光素子40および制御回路基板44は、ともに同一の放熱基板42上に実装されており、共に一体的に着脱可能に構成されている。なお、発光素子40が実装される放熱基板と制御回路基板44が実装される放熱基板とが別体に構成されていてもよい。
【0024】
ヒートシンク30は、アルミニウムなど熱伝導性の高い材料によって形成されており、放熱部材として機能する。ヒートシンク30は、それぞれ矩形の外形を有する3つの板状部分の端部を一体的に連結してコ字状に形成されている。以下、この3つの板状部分のうち互いに対向する2つの部分を第1部分30aおよび第2部分30bという。また、第1部分30aの端部と第2部分30bの端部との間に介在する部分を第3部分30cという。
【0025】
第1の実施形態では、第1部分30aと第2部分30bとが平行となり、第1部分30aおよび第2部分30bと第3部分30cとが垂直となるよう形成されている。なお、ヒートシンク30の形状がこれに限られないことは勿論であり、例えば第1部分30aと第2部分30bとが平行でなくてもよい。また、第1部分30aまたは第2部分30bと第3部分30cとが垂直でなくてもよい。さらに、第1部分30a、第2部分30b、または第2部分30bが矩形以外の他の形状の外形を有していてもよく、また、湾曲した板状やブロック状などに形成されていてもよい。
【0026】
第1部分30aは、第1の光源である第1発光素子40Aの熱を回収するよう第1発光素子40Aを含む発光モジュール32が取り付けられる。発光モジュール32は、第1発光素子40Aが第1部分30aの略中央に位置するよう、第1部分30aのうち第2部分30bに対向する面に取り付けられる。
【0027】
第2部分30bは、第2の光源である第2発光素子40Bの熱を回収するよう第2発光素子40Bを含む発光モジュール32が取り付けられる。発光モジュール32は、第2発光素子40Bが第2部分30bの略中央に位置するよう、第2部分30bのうち第1部分30aに対向する面に取り付けられる。こうして第1発光素子40Aと第2発光素子40Bとは、互いに対向するようそれぞれ第1部分30aおよび第2部分30bに取り付けられる。
【0028】
発光装置20は、第1部分30a、第2部分30b、および第3部分30cが灯具光軸と平行、すなわち車両前後方向に延在するよう配置される。このとき、ヒートシンク30のコ字の開口が下方を向くように配置される。
【0029】
2つのリフレクタ34は、それぞれ第1発光素子40Aおよび第2発光素子40Bに対向して配置される。したがって、2つのリフレクタ34は、互いに背中合わせとなるよう、コ字状のヒートシンク30の内部に配置される。リフレクタ34は、対向する発光素子40が発する光を投影レンズ14に向けて反射するよう配置される。投影レンズ14は、リフレクタ34によって反射された光のうち、投影レンズ14の後方焦点面に表された光源像の反転像を車両前方に投影して配光パターンを形成する。このためリフレクタ34および投影レンズ14は、発光素子40が発した光を集光して配光パターンを形成する光学部材として機能する。
【0030】
ダクト24は、エアフロー領域を画定する区画部材として機能する。なお、ダクト24に代えて、板状部材や、車両本体の部材などによってエアフロー領域が画定されてもよい。ダクト24は、ヒートシンク30のコ字状の外面を覆うよう、コ字状に設けられている。ダクト24の内側はすべて開口部となっており、この開口部の形状がヒートシンク30のコ字状の外面と同一形状となっている。ダクト24の内側の開口部にヒートシンク30のコ字状の外面が嵌め合わされ、両者が互いに固定される。
【0031】
ダクト24の端部は開口しており、これがエア排出口として機能する。ダクト24の3つの平らな部分のうち、互いに対向する2つの部分のそれぞれの端部に介在する部分には、ファン22からのエアを通すためのファン用開口部が設けられている。ファン22は、このファン用開口部にエアの吹出面が嵌め合わされ、ダクト24に固定される。こうして、ファン22から吹き出されたエアは、図1(b)に示す矢印にしたがって進むエアフローを形成する。
【0032】
第3部分30cは、第1部分30aおよび第2部分30bから熱を回収して放散する機能を有する。この機能を適切に発揮すべく、ヒートシンク30は、このエアフロー領域内において、第3部分30cが第1部分30aおよび第2部分30bよりも上流側に位置するよう配置される。これにより、第3部分30cにおいて、第1発光素子40Aおよび第2発光素子40Bから回収した熱を効果的に放散することができる。
【0033】
さらに、第3部分30cは、第1部分30aおよび第2部分30bから回収した熱を放散する放熱フィン30dを有する。これにより、第1部分30aおよび第2部分30bから回収した熱を効率的に放散できる。放熱フィン30dは、ダクト24内のエアフローと平行に延在するよう形成される。具体的には、放熱フィン30dは、第1部分30aの端部から第2部分30bの端部に向かって複数のフィンが平行となるよう延在する。これにより、エアの円滑な流れを実現でき、冷却効果をさらに高めることができる。
【0034】
以上により、第3部分30cにエアを吹き付けるファン22を1つ設けることで、第1発光素子40Aおよび第2発光素子40Bの双方の熱を適切に放散させることができる。このため、簡素な構成で複数の発光素子の熱を適切に放散させることができ、コストおよびサイズを抑制することができる。
【0035】
例えば第1部分30aおよび第2部分30bに、それぞれ第1発光素子40Aおよび第2発光素子40Bの熱を放散させるための放熱フィンを設ける場合、放熱フィンの高さによって灯具12の左右方向の幅が大きくなり、灯具12のサイズの抑制が困難となる。また、ダクト24がコ字状に形成されているため、エアフロー経路を急激に曲げる必要が生じる。このため、このような放熱フィンを第1部分30aおよび第2部分30bに設けた場合においても、その放熱フィンにエアが到達するまでの間にエアの流速が減少し、適切に熱を放散できない可能性がある。このように第3部分30cをエアフロー上流側に配置することで、第1部分30aおよび第2部分30bにおける放熱フィンの高さを抑えることができる。このため、灯具12の幅を抑制することができる。
【0036】
第1の実施形態では、第1部分30aおよび第2部分30bには放熱フィンが設けられておらず、第3部分30cにのみ放熱フィンが設けられている。なお、第1部分30aまたは第2部分30bに放熱フィンが設けられてもよい。このとき、第1部分30aまたは第2部分30bに設けられた放熱フィンは、第3部分30cに設けられた放熱フィン30dの高さよりも低くなるよう形成されてもよい。
【0037】
また、第1部分30aおよび第2部分30bは、発光モジュール32の発光素子40に対向する個所から先端にかけては、樹脂材料など放熱性材料よりは熱伝導率は低いが安価な材料によって形成されてもよい。このように第3部分30cに放熱フィン30dを設けることで第1部分30aおよび第2部分30bに高い放熱性能が求められないため、発光素子40の熱を回収できる範囲でその長さや体積を削減することができる。このため、ヒートシンク30に要するコストを低減することができる。
【0038】
車両用前照灯10は車両に搭載されるため、車両の走行によって生じるエアフローや、ラジエターのファンなど他のエアフロー発生装置によって生じるエアフローも存在する。このため、発光装置20がこのようなエアフロー領域に配置されることで、ファン22が削除されてもよく、また、ダクト24が削除されてもよい。このときもヒートシンク30は、このエアフロー領域内において、第3部分30cが第1部分30aおよび第2部分30bよりも上流側に位置するよう配置される。このようにファン22を削除することで、ファン22を定期的に交換する必要がなくなるため、保守性を向上させることができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図2(a)は、第2の実施形態に係る車両用前照灯60の右側面図であり、図2(b)は、図2(a)の視点Qから車両用前照灯60を見た図である。以下、第1の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
車両用前照灯60は、投影レンズ14および灯具62を有する。灯具62は、発光装置63、ファン22、およびダクト64を有する。発光装置63は、ヒートシンク30、2つの発光モジュール32、および2つのリフレクタ34を有する。
【0041】
第2の実施形態においても、第1部分30aは、第1の光源である第1発光素子40Aの熱を回収するよう第1発光素子40Aを含む発光モジュール32が取り付けられる。発光モジュール32は、第1発光素子40Aが第1部分30aの略中央に位置するよう、第1部分30aのうち第2部分30bに対向する面に取り付けられる。
【0042】
また、第2部分30bは、第2の光源である第2発光素子40Bの熱を回収するよう第2発光素子40Bを含む発光モジュール32が取り付けられる。発光モジュール32は、第2発光素子40Bが第2部分30bの略中央に位置するよう、第2部分30bのうち第1部分30aに対向する面に取り付けられる。
【0043】
発光装置63は、第1部分30aおよび第2部分30bが灯具光軸と平行となり、第3部分30cが灯具光軸と垂直となるよう配置される。このとき、ヒートシンク30のコ字の開口が車両前方を向くように配置される。
【0044】
第2の実施形態においても、2つのリフレクタ34は、それぞれ第1発光素子40Aおよび第2発光素子40Bに対向し、互いに背中合わせとなるよう、コ字状のヒートシンク30の内部に配置される。2つのリフレクタ34は、それぞれ対向する発光素子40が発する光を投影レンズ14に向けて反射するよう配置される。
【0045】
ダクト64は、エアフロー領域を画定する区画部材として機能する。第2の実施形態においても、ダクト64は、ヒートシンク30のコ字状の外面を覆うようコ字状に形成されている。ダクト64の内側のうちヒートシンク30が嵌め込まれる部分はすべて開口部となっており、この開口部の形状がヒートシンク30のコ字状の外面と同一形状となっている。ダクト64の内側の開口部にヒートシンク30のコ字状の外面が嵌め合わされ、両者が互いに固定される。
【0046】
コ字状のダクト64のうち互いに対向する側部64aは、それぞれ第1部分30aおよび第2部分30bよりも長く形成されている。このため、側部64aの先端は投影レンズ14の後方面に近い位置まで延在する。また、この側部64aは、先端近傍の内側の面にエアの排出口64bが設けられている。ダクト64のうち、2つの側部64aのそれぞれの端部に介在する部分には、ファン22からのエアを通すためのファン用開口部が設けられている。ファン22は、このファン用開口部にエアの吹出面が嵌め合わされ、ダクト64に固定される。こうして、ファン22から吹き出されたエアは、図2(b)に示す矢印にしたがって進むエアフローを形成する。
【0047】
このように、第2の実施形態では、発光素子40が発した熱を冷却することで温められたエアが、排出口64bから投影レンズ14の後方面周辺に排出される。これにより、投影レンズ14の結露による曇りを抑制することができる。
【0048】
なお、第2の実施形態においても、走行によるエアフローや、ラジエターのファンなど他のエアフロー発生装置によって生じるエアフロー領域に配置されることで、ファン22が削除されてもよく、また、ダクト64が削除されてもよい。このときもヒートシンク30は、このエアフロー領域内において、第3部分30cが第1部分30aおよび第2部分30bよりも上流側に位置するよう配置される。
【0049】
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態に係る車両用前照灯100の右側面図である。車両用前照灯100は、投影レンズ14、発光モジュール102、エアフローユニット104、リフレクタ116、およびシェード118を有する。図3は、発光モジュール102以外は灯具光軸を含む鉛直面による断面を示している。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
発光モジュール102は、発光素子106を有する。発光素子106は、半導体発光素子であるLEDによって構成される。なお、発光素子106がLED以外の発光素子によって構成されていてもよく、また、発光素子106に代えて放電灯や白熱灯など他の光源が用いられてもよい。
【0051】
発光モジュール102は、発光素子106の主光軸が鉛直上方に向くように配置される。なお、発光素子106の主光軸とは、発光素子106の上面である主発光面の中心を通過する主発光面と垂直な軸をいう。したがって発光モジュール102は、車両用前照灯10の灯具光軸と、発光素子106の主光軸とが直交するように配置される。
【0052】
リフレクタ116は、発光素子106が発した光を反射して集光する反射面116aを有する。リフレクタ116は、反射面116aが発光素子106に対向するよう発光素子106の上方に配置される。
【0053】
シェード118は、シェード部118aおよびダミー部118bを有する。シェード部118aは、灯具光軸を含む平面を有しロービーム用配光パターンの水平線付近のカットオフラインを形成する。なお、シェード部118aの形状は公知であるため説明を省略する。ダミー部118bは、外部から認識可能な意匠面を構成する意匠部材として機能する。
【0054】
エアフローユニット104は、ダクト110およびファン108を有する。ダクト110、エアフロー領域を画定する区画部材として機能する。ダクト110は、ファン108によって生じるエアの流れを利用したエアフロー領域を確定する。
【0055】
図4(a)は、発光モジュール102の正面図、図4(b)は、発光モジュール102の左側面図、図4(c)は、発光モジュール102の裏面図である。発光モジュール102は、アタッチメントユニット130、パッケージ134、および第1ヒートシンク132を有する。
【0056】
第1ヒートシンク132は、アルミニウムなど熱伝導率の高い放熱材料によって形成されており、放熱部材として機能する。第1ヒートシンク132は、下部に放熱フィン132aを有し、光源である発光素子106が発する熱を放散させる。第1ヒートシンク132は、アタッチメント140の下面に取り付けられる。
【0057】
アタッチメントユニット130は、アタッチメント140、制御回路基板142、および第2ヒートシンク144を有する。アタッチメント140は、樹脂によって形成される。アタッチメント140には、発光素子106を露出させるための開口部と、発光素子106の点灯を制御する制御回路基板142を収容すべく下方に凹んだ回路収容部とを有する。制御回路基板142は、この回路収容部に取り付けられる。
【0058】
制御回路基板142は、発光素子106の点灯を制御する。制御回路基板142は、プリント配線基板と、当該プリント配線基板に実装される電気部品や素子と、によって構成される。制御回路基板142は、発光モジュール102が車両用前照灯100に装着されたときに発光素子106よりも灯具後方に位置するよう配置される。なお、制御回路基板142は、発光モジュール102が車両用前照灯100に装着されたときに発光素子106よりも灯具前方に位置するよう配置されてもよい。
【0059】
第2ヒートシンク144は、アルミニウムなど熱伝導率の高い放熱材料によって形成されており、放熱部材として機能する。第2ヒートシンク144は、放熱フィン144aを有し、発光素子106の点灯を制御する制御回路基板142の熱を放散する。第2ヒートシンク144もまた、アタッチメント140の下面に取り付けられる。
【0060】
第3の実施形態では、アタッチメント140を第1ヒートシンク132に取り付ける前に、アタッチメント140に制御回路基板142およびカバー126が予め取り付けられ、アタッチメントユニット130として第1ヒートシンク132に取り付けられる。こうしてアタッチメント140と制御回路基板142とが一体的に第1ヒートシンク132に装着され、同時に、第1ヒートシンク132との間にパッケージ134が挟持され装着される。
【0061】
図4(b)および図4(c)に示すように、第1ヒートシンク132の放熱フィン132aおよび第2ヒートシンク144の放熱フィン144aは、略同一の高さを有し、上下方向において同じ位置に配置されている。また、放熱フィン132aおよび放熱フィン144aは、灯具光軸と平行な方向に平行に延在するよう設けられている。したがって灯具光軸と平行なエアフローを形成することで、放熱フィン132aおよび放熱フィン144aから同時に熱を放散することができる。
【0062】
ここで、例えば放熱フィン132aおよび放熱フィン144aを、例えば中央のフィンを端のフィンよりも長くなるよう形成すると、短い部分は送風抵抗が少なく流れやすくなり、中央のフィンよりも端のフィン周辺にエアが多く流れる虞がある。放熱フィン132aおよび放熱フィン144aは、中央のフィンによる放熱が発光素子106や制御回路基板142の温度低下により効果がある。このためこのように中央のフィン周辺のエアの流れが減少すると、発光素子106や制御回路基板142の放熱機能も低下する虞がある。
【0063】
このため、図4(c)に示すように、放熱フィン132aはすべて均一な長さに形成されており、放熱フィン144aもすべて均一な長さに形成されている。これにより、放熱フィン132aおよび放熱フィン144a周辺におけるエアフローの均一化を実現でき、発光素子106および制御回路基板142を効果的に冷却できる。
【0064】
図4(c)に示すように、第1ヒートシンク132には、第2ヒートシンク144の放熱フィン144aを挿入するための開口部132bが設けられている。放熱フィン144aは、この開口部132bに挿入される。このとき第2ヒートシンク144は、第1ヒートシンク132に非接触となるよう構成される。
【0065】
図5は、発光モジュール102と第3の実施形態に係るエアフローユニット104とを詳細に示す断面図である。上述のように、発光素子106は第1ヒートシンク132に取り付けられる。第1ヒートシンク132には、発光素子106を制御回路基板142よりも発光素子106の主光軸方向に突出させるための突部132cが設けられている。突部132cと放熱フィン132aとは放熱性材料により一体的に形成されているため、発光素子106の熱は、突部132cを通じて放熱フィン132aで主に放散される。また、上述のように、制御回路基板142は第2ヒートシンク144に取り付けられる。したがって制御回路基板142の熱は、放熱フィン144aで主に放散される。
【0066】
ダクト110およびファン108によって、エアフローF1が形成される。このときダクト110によって、エアフローF1形成のためのエアフロー領域が画定される。第1ヒートシンク132の放熱フィン132aおよび第2ヒートシンク144の放熱フィン144aは、ダクト110によって画定される共通のエアフロー領域内に配置される。
【0067】
ここで、制御回路基板142よりも発光素子106の方が一般的に発熱量が大きい。このため、発光素子106の放熱に用いられる放熱フィン132aを通過したエアは温められ温度が上昇する。したがって、放熱フィン132aの次に放熱フィン144aにエアが通過するよう放熱フィン132aおよび放熱フィン144aをエアフロー領域内に配置すると、温度が上昇したエアが放熱フィン144a周辺を通過することになる。この場合、制御回路基板142の適切な放熱が困難となる虞がある。
【0068】
このため、第3の実施形態では、第2ヒートシンク144の放熱フィン144aは、第1ヒートシンク132の放熱フィン132aよりエアフローF1の上流側に配置される。これにより、温められる前のエアを放熱フィン144a周辺に通過させることができ、制御回路基板142を適切に放熱できる。また、制御回路基板142の発熱量が比較的小さいため、放熱フィン144aを通過した後においてもエアの温度上昇は少ない。このため、発光素子106もまた適切に放熱できる。
【0069】
(第4の実施形態)
図6は、発光モジュール102と第4の実施形態に係るエアフローユニット200とを詳細に示す断面図である。第4の実施形態に係る車両用前照灯は、エアフローユニット104に代えてエアフローユニット200が設けられた以外は、第3の実施形態に係る車両用前照灯100と同様に構成される。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
エアフローユニット200は、ファン108およびダクト202を有する。ダクト202は、エアフロー領域を画定する区画部材として機能する。ダクト202およびファン108によって、エアフローF2が形成される。このときダクト202によって、エアフローF1形成のためのエアフロー領域が画定される。第1ヒートシンク132の放熱フィン132aおよび第2ヒートシンク144の放熱フィン144aは、ダクト202によって画定される共通のエアフロー領域内に配置される。
【0071】
第4の実施形態では、第2ヒートシンク144の放熱フィン144aは、第1ヒートシンク132の放熱フィン132aよりエアフロー下流側に配置される。しかし、上述のように発光素子106の発熱量が大きいため、このままでは温められたエアが放熱フィン144a周辺を通過することになり、制御回路基板142を適切に放熱することが困難となる。
【0072】
このため第4の実施形態では、ダクト202に開口部202aが設けられている。開口部202aは、放熱フィン144aよりエアフロー上流側且つ放熱フィン132aよりエアフロー下流側の個所に、ダクト202の外部からダクト202内部のエアフロー領域にエアを採り込む。このように開口部202aを設けることで、開口部202aからダクト202内部のエアフロー領域内部に進入するエアフローF3を形成することができ、放熱フィン144a周辺を通過するエアの温度を抑制することができる。
【0073】
なお、開口部202aには、開口部202aの上流側の縁部からダクト202の内部に傾斜して延在するガイド202bが設けられている。このようにガイド202bを設けることで、開口部202aから逆に外部に排出されるエアの発生を抑制でき、エアフローF3を適切に形成することができる。
【0074】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0075】
10 車両用前照灯、 12 灯具、 20 発光装置、 22 ファン、 24 ダクト、 30 ヒートシンク、 30a 第1部分、 30b 第2部分、 30c 第3部分、 30d 放熱フィン、 32 発光モジュール、 40A 第1発光素子、 40B 第2発光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源の熱を回収するよう第1の光源が取り付けられる第1部分と、
第1部分と対向して配置され、第2の光源の熱を回収するよう第2の光源が取り付けられる第2部分と、
第1部分および第2部分から熱を回収して放散するよう第1部分の端部と第2部分の端部との間に介在する第3部分と、
を備えることを特徴とする放熱部材。
【請求項2】
第3部分は、第1部分および第2部分から回収した熱を放散する放熱フィンを有することを特徴とする請求項1に記載の放熱部材。
【請求項3】
第1の光源の熱を回収するよう第1の光源が取り付けられる第1部分と、
第1部分と対向して配置され、第2の光源の熱を回収するよう第2の光源が取り付けられる第2部分と、
第1部分および第2部分から熱を回収して放散するよう第1部分の端部と第2部分の端部との間に介在する第3部分と、
を有する放熱部材を備え、
前記放熱部材は、エアフロー領域内において、第3部分が第1部分および第2部分よりも上流側に位置するよう配置されることを特徴とする放熱機構。
【請求項4】
光源の熱を放散する第1放熱部材と、
前記光源の点灯を制御する制御回路部の熱を放散する第2放熱部材と、
を備え、
第1放熱部材および第2放熱部材は、共通のエアフロー領域内に配置され、
第2放熱部材は、第1放熱部材より上流側に配置されることを特徴とする放熱機構。
【請求項5】
光源の熱を放散する第1放熱部材と、
前記光源の点灯を制御する制御回路部の熱を放散する第2放熱部材と、
第1放熱部材および第2放熱部材が共通のエアフロー領域内に配置されるよう前記エアフロー領域を画定する区画部材と、
を備え、
第2放熱部材は、前記エアフロー領域内において第1放熱部材より下流側に配置され、
前記区画部材は、第2放熱部材より上流側且つ第1放熱部材より下流側の個所に、前記エアフロー領域の外部から内部にエアを採り込む開口部を有することを特徴とする放熱機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−16681(P2013−16681A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149018(P2011−149018)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】