説明

放送受信装置および有料番組提供システム

【課題】視聴料の徴収を阻害することなく、視聴者にとっては、事前の視聴契約などを必要とせずに有料番組を録画することが容易となる放送受信装置および有料番組提供システムの提供を目的とする。
【解決手段】映像を表す映像情報;該映像が有料番組のものであるか否かを示す有料識別情報;および所定の通信サーバを特定するアドレス情報;の各々が、所定の形式に従って含まれている放送信号を受信する放送受信装置であって、映像を表示する表示部と、有料識別情報に基づいて、映像情報が有料番組のものであるか否かを判別する、有料判別部と、映像情報を記録する記録部と、を備え、記録部は、有料判別部により映像情報が有料番組のものであると判断された場合、映像情報に加えてアドレス情報をも記録する放送受信装置、およびこれを用いた有料番組提供システムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送信号を受信する放送受信装置およびこれを用いた有料番組提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送番組を有料で提供するサービス(有料番組提供サービス)が実施されている。このようなサービスでは、視聴料を漏れなく徴収する等のため、通常は番組提供者と視聴者との間で、事前の視聴契約がなされることが前提となっている。なお視聴契約の内容としては、例えば月々一定額の視聴料を徴収するものや、或いは視聴者が視聴を予定する番組を予め決めておき、視聴の開始に応じて視聴料を徴収するもの等が考えられる。
【特許文献1】特開2005−311571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の方法では、事前の契約によって視聴料の徴収先が判明しているため、視聴料をほぼ漏れなく徴収することが可能である。しかしこの方法では、番組提供者と視聴者の間での事前契約が前提となっているため、特に視聴者にとって不便となることが多い。
【0004】
例えば、視聴者が有料番組を録画して事後的に再生しようと考えている場合でも、上述した方法では、事前にその有料番組について視聴契約が交わされる必要がある。しかし間もなく(例えば10分後に)その有料番組が放送されるといった状況では、事前の視聴契約が間に合わず、結局その有料番組を録画・再生することができないという不便がある。
【0005】
しかし一方で、視聴者が有料番組を自由に録画・再生できるようにすると、有料番組提供者にとっては視聴料の徴収が難しくなるおそれがある。そこで本発明は、上述の問題点に鑑み、視聴料の徴収を阻害することなく、視聴者にとっては、事前の視聴契約などを必要とせずに有料番組を録画することが容易となる放送受信装置および有料番組提供システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る放送受信装置は、映像を表す映像情報;該映像が有料番組のものであるか否かを示す有料識別情報;および所定の通信サーバを特定するアドレス情報;の各々が、所定の形式に従って含まれている放送信号を受信する放送受信装置であって、前記映像を表示する表示部と、該有料識別情報に基づいて、前記映像情報が有料番組のものであるか否かを判別する、有料判別部と、前記映像情報を記録する記録部と、を備え、前記記録部は、前記有料判別部により前記映像情報が有料番組のものであると判断された場合、前記映像情報に加えて前記アドレス情報をも記録する構成(第1の構成)とする。
【0007】
本構成によれば、有料番組の録画映像(記録部に記録されている映像)を再生させるにあたり、アドレス情報を表示させることが可能となる。そのため例えばユーザに、有料番組提供者が管理する通信サーバにアクセスさせ、この通信サーバから解除鍵を入手するまで、録画映像の再生を制限することが容易となる。その結果、有料番組提供者にとっては、解除鍵と引き換えにユーザ等を特定する情報を入手し、視聴料の徴収を容易とすることが可能となる。また更に視聴者にとっては、事前の視聴契約などを行っていなくても、有料番組を録画することが可能となる。
【0008】
また上記第1の構成において、前記アドレス情報に基づいて、該アドレスを示すQRコード(登録商標)を生成するQRコード生成部と、再生開始の指示に応じて、前記記録部に記録された映像情報の映像を前記表示部に再生させる映像再生部と、前記再生させる映像が有料番組のものである場合は、所定の有料案内映像を表示させる有料案内表示部と、を備え、該有料案内表示部は、該有料案内映像に、前記QRコードを含ませる構成(第2の構成)としてもよい。
【0009】
本構成によれば、有料番組の録画映像を再生させるにあたり、アドレスを示すQRコードが表示される。そのため、ユーザがQRコードを読取り可能である通信端末を用いて、通信サーバにアクセスすることが可能となる。
【0010】
また上記第2の構成において、前記映像再生部は、前記再生させようとする映像が有料番組のものである場合は、該映像の再生を一旦保留する構成(第3の構成)としてもよい。
【0011】
本構成によれば、例えば通信サーバの保有する解除鍵が得られたときに保留が解除されるようにすることで、ユーザによる通信サーバへのアクセスを促すことが可能となる。
【0012】
また上記第2の構成において、前記有料案内表示部は、前記有料案内映像を、前記映像情報による映像の全部または一部に重ねるように表示させる構成(第4の構成)としてもよい。
【0013】
本構成によれば、例えば通信サーバの保有する解除鍵が得られたときに、有料案内映像の表示が解除されるようにすることで、ユーザによる通信サーバへのアクセスを促すことが可能となる。
【0014】
また上記第2から第4の何れかの構成において、前記有料案内表示部は、前記有料案内映像に、前記再生させようとする映像が有料番組のものであることをユーザに報知するための映像を含ませる構成(第5の構成)としてもよい。
【0015】
本構成によれば、ユーザに現状を正しく認識させ、例えば再生を実行しても視聴料がかからないといった誤解が生じることを、極力回避することが可能となる。
【0016】
また上記第2から第4の何れかの構成において、映像を表す映像情報;該映像が有料番組のものであるか否かを示す有料識別情報;所定の通信サーバを特定するアドレス情報;および該有料番組の種類を示す番組識別情報;の各々が、所定の形式に従って含まれている放送信号を受信する放送受信装置であって、前記有料案内表示部は、前記番組識別情報の内容ごとに対応した番組別案内映像を保有しており、前記有料案内映像に、該番組別案内映像をも含ませる構成(第6の構成)としてもよい。
【0017】
本構成によれば、例えば番組のタイトルや視聴料といった番組毎に異なる情報を、適切に表示させることが容易となる。そのため、再生に係る有料番組のより正確な情報を、視聴者に提供することが容易となる。
【0018】
また上記第2から第4の何れかの構成において、映像を表す映像情報;該映像が有料番組のものであるか否かを示す有料識別情報;所定の通信サーバを特定するアドレス情報;および該有料番組の種類ごとに対応した番組別案内映像を表す情報;の各々が、所定の形式に従って含まれている放送信号を受信する放送受信装置であって、前記有料案内表示部は、前記有料案内映像に、該番組別案内映像をも含ませる構成(第7の構成)としてもよい。
【0019】
本構成によれば、例えば番組のタイトルや視聴料といった番組毎に異なる情報を、適切に表示させることが容易となる。そのため、再生に係る有料番組のより正確な情報を、視聴者に提供することが容易となる。
【0020】
また上記第6または第7の構成としてより具体的には、前記番組別案内映像は、少なくとも、前記有料番組の番組名および該有料番組の視聴料を示す映像が含まれている構成(第8の構成)としてもよい。
【0021】
また本発明に係る有料番組提供システムは、上記第3の構成に係る放送受信装置と、QRコードを読取ることが可能であり、個人または団体を特定し得る情報(「特定情報」とする)が予め記憶されている通信端末と、前記再生の保留を解除させるために必要な解除鍵を保有する通信サーバと、を有し、該通信端末が、前記放送受信装置により表示されているQRコードを読取り、前記アドレス情報により特定される通信サーバにアクセスする第1ステップと、該通信サーバが、該通信端末から前記特定情報を受信した場合にのみ、該通信端末に前記解除鍵を送信する第2ステップと、該通信端末が、前記放送受信装置に該解除鍵を送信する第3ステップと、該放送受信装置が、該解除鍵を取得したときに、前記再生の保留を解除する第4ステップと、を含む処理を行う構成(第9の構成)とする。
【0022】
本構成によれば、有料番組提供者にとっては、通信サーバを通じて特定情報を取得することにより、有料番組の視聴料徴収を容易とすることが可能となる。なお特定情報と引き換えに解除鍵が入手されるまで再生は保留されるため、ユーザに特定情報の送信を促すことが可能である。また視聴者にとっては、事前の視聴契約等がなくても、有料番組の映像情報を録画することが可能となる。
【0023】
また本発明に係る有料番組提供システムは、上記第4の構成に係る放送受信装置と、QRコードを読取ることが可能であり、個人または団体を特定し得る情報(「特定情報」とする)が予め記憶されている通信端末と、前記有料案内映像の表示を解除させるために必要な解除鍵を保有する通信サーバと、を有し、該通信端末が、前記放送受信装置により表示されているQRコードを読取り、前記アドレス情報により特定される通信サーバにアクセスする第1ステップと、該通信サーバが、該通信端末から前記特定情報を受信した場合にのみ、該通信端末に前記解除鍵を送信する第2ステップと、該通信端末が、前記放送受信装置に該解除鍵を送信する第3ステップと、該放送受信装置が、該解除鍵を取得したときに、前記有料案内の表示を解除する第4ステップと、を含む処理を行う構成(第10の構成)とする。
【0024】
本構成によれば、有料番組提供者にとっては、通信サーバを通じて特定情報を取得することにより、有料番組の視聴料徴収を容易とすることが可能となる。なお特定情報と引き換えに解除鍵が入手されるまで有料案内の表示がなされる(つまり、録画映像の完全な表示が阻害される)ため、ユーザに特定情報の送信を促すことが可能である。また視聴者にとっては、事前の視聴契約等がなくても、有料番組の映像情報を録画することが可能となる。
【0025】
また本発明に係る有料番組提供システムは、スクランブル処理のなされた映像を表す映像情報;該映像が有料番組のものであるか否かを示す有料識別情報;および所定の通信サーバを特定するアドレス情報;の各々が、所定の形式に従って含まれている放送信号を受信する請求項2に記載の放送受信装置と、QRコードを読取ることが可能であり、個人または団体を特定し得る情報(「特定情報」とする)が予め記憶されている通信端末と、前記スクランブルを解除するために必要な解除鍵を保有する通信サーバと、を有し、該通信端末が、前記放送受信装置により表示されているQRコードを読取り、前記アドレス情報により特定される通信サーバにアクセスする第1ステップと、該通信サーバが、該通信端末から前記特定情報を受信した場合にのみ、該通信端末に前記解除鍵を送信する第2ステップと、該通信端末が、前記放送受信装置に該解除鍵を送信する第3ステップと、該放送受信装置が、該解除鍵を用いて、前記スクランブルを解除する第4ステップと、を含む処理を行う構成(第11の構成)とする。
【0026】
本構成によれば、有料番組提供者にとっては、通信サーバを通じて特定情報を取得することにより、有料番組の視聴料徴収を容易とすることが可能となる。なお特定情報と引き換えに解除鍵が入手されるまで録画映像にはスクランブル処理がなされているため、ユーザに特定情報の送信を促すことが可能である。また視聴者にとっては、事前の視聴契約等がなくても、有料番組の映像情報を録画することが可能となる。
【0027】
また上記第9から第11の何れかの構成において、前記通信端末は、電話会社と通信回線の使用契約を結んでいる契約者が所有する携帯電話機であり、前記特定情報は、該契約者を特定する情報である構成(第12の構成)としてもよい。本構成によれば、有料番組提供者が、携帯電話機の契約者に対して視聴料を請求することが可能となる。
【0028】
また上記第9から第11の何れかの構成において、前記特定情報は、前記通信端末に固有のID情報である構成(第13の構成)としてもよい。本構成によれば、通信端末ごとに所有者等が予め把握されていれば、有料番組提供者が、当該所有者等に対して視聴料を請求することが可能となる。
【0029】
また上記第13の構成において、前記通信端末は、前記特定情報を前記通信サーバに送信するか否かをユーザに選択させる、選択処理を行う構成(第14の構成)としてもよい。本構成によれば、特定情報を通信サーバに送信するか否かにおいて、ユーザの意志を反映させることが可能となる。
【0030】
また上記第14の構成において、前記通信サーバは、前記第1ステップの処理がなされたとき、前記通信端末に対してソフトウェアを送信するものであり、該ソフトウェアは、該通信端末に前記選択処理を実行させるものである構成(第15の構成)としてもよい。本構成によれば、ソフトウェア処理により前記選択処理を実現できるとともに、通信端末がソフトウェアを常時保有する必要がなく、記憶容量の増大を極力抑えることが可能となる。
【0031】
また上記第15の構成において、前記ソフトウェアは、前記有料番組の視聴料の支払いに同意するか否かをユーザに選択させる処理をも、前記通信端末に実行させる構成(第16の構成)としてもよい。本構成によれば、有料番組の視聴料の支払いに同意するか否かにおいて、ユーザの意志を反映させることが可能となる。
【0032】
また上記第15または第16の構成において、前記ソフトウェアは、前記有料番組の視聴料が携帯電話会社の料金徴収サービスを利用して支払い可能であることを、ユーザに報知するための映像を、前記通信端末に表示させる構成(第17の構成)としてもよい。また上記第9から第11の何れかの構成において、前記通信サーバが取得した前記特定情報は、前記有料番組の視聴料の徴収に用いられる構成(第18の構成)としてもよい。
【0033】
なお特定情報が有料番組の視聴料の徴収に用いられる態様としては、例えば通信端末が携帯電話機である場合に、携帯電話会社の料金徴収サービスを利用して視聴料を徴収する態様、携帯電話会社と提携したクレジットサービスを利用して視聴料を徴収する態様、携帯電話会社と提携した電子マネーサービスを利用して視聴料を徴収する態様、などが挙げられる。
【0034】
また上記第9から第11の何れかの構成としてより具体的には、前記第3ステップにおける前記解除鍵の送信は、IrDAインターフェースが用いられた赤外線通信を通じてなされる構成(第19の構成)としてもよい。また、前記解除鍵は暗号化処理が施されており、前記放送受信装置は、該暗号化を解除する構成(第20の構成)としてもよい。
【0035】
また本発明に係る有料番組提供システムは、有料番組の映像信号を放送する放送局と、前記映像信号を受信して記録するとともに、該映像信号に基づいて映像を表示する放送受信装置と、通信機器との通信が可能な通信サーバと、を有した有料番組提供システムであって、前記放送受信装置は、該映像の表示を所定の手法で制限する制限部と、所定の解除鍵を取得することで前記制限を解除する解除部と、を有し、前記通信サーバは、該解除鍵を、前記通信機器に送信する構成(第21の構成)とする。
【0036】
本構成によれば、視聴者にとっては、事前の視聴契約等がなくても、放送受信装置を用いて有料番組を記録することが可能である。また通信サーバを有する有料番組提供者にとっては、視聴者等が有する通信機器への解除鍵の送信と引き換えに、視聴料の徴収先を特定する情報を入手することが容易となる。
【0037】
また上記第21の構成としてより具体的には、前記制限部は、前記映像の表示を保留する第1手法、または、前記映像の全部または一部に他の映像を重ねて表示させる第2手法により前記制限を実行し、前記解除手段は、前記第1手法により前記制限がなされている場合は、前記保留を解除し、前記第2手法により前記制限がなされている場合は、前記他の映像を非表示とすることで、前記制限を解除する構成(第22の構成)としてもよい。
【発明の効果】
【0038】
上述の通り、本発明に係る放送受信装置および有料番組提供システムによれば、有料番組の録画映像(記録部に記録されている映像)を再生させるにあたり、アドレス情報を表示させることが可能となる。そのため例えばユーザに、有料番組提供者が管理する通信サーバにアクセスさせ、この通信サーバから解除鍵を入手するまで、録画映像の再生を制限することが容易となる。その結果、有料番組提供者にとっては、解除鍵と引き換えにユーザ等を特定する情報を入手し、視聴料の徴収を容易とすることが可能となる。また更に視聴者にとっては、事前の視聴契約などを行っていなくても、有料番組を録画することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の実施形態として、以下、実施例1から実施例3の各々を挙げて説明する。
【0040】
[実施例1]
本発明の実施例1として、有料番組提供システムを挙げて説明する。本有料番組提供システムの構成概略を、図1に示す。本図に示すように、有料番組提供システム1は、テレビ放送局2、テレビ放送受信装置3、携帯電話機4、通信サーバ5、および電話会社6からなっている。なおテレビ放送受信装置3と携帯電話機4は、ユーザにより所持されることが想定されている。
【0041】
まずテレビ放送局2について説明する。テレビ放送局2は、番組提供者の作成した番組の内容に係る情報(映像データ等)を、例えばRF信号を用いて、データストリームとして放送する。ここでデータストリームのデータ構造について、図2を参照しながら説明する。
【0042】
図2に示すように、データストリーム10は、同期信号11、データ識別フラグ12、制御データ13、同期信号14、データ識別フラグ15、および映像音声データ16から構成されている。同期信号11および14は、それぞれデータの開始を示している。またデータ識別フラグ12は、制御データ13が後続することを示しており、データ識別フラグ15は、映像音声データ16が後続することを示している。
【0043】
そして制御データ13は、種々の制御に関する情報である。具体的には、図2に示すように、有料フラグ13A、認証用サイトアドレス13B、通知画像選定情報13C、番組識別情報13D、およびその他の制御データ13Eを有している。
【0044】
この有料フラグ13Aは、当該放送中の番組が有料番組であるか否かを示している。また認証用サイトアドレス13Bは、当該有料番組を視聴するにあたって認証手続を行うための認証用サイト(ウェブページ)にアクセスためのアドレスを示している。なおこの認証用サイトは、通信サーバ5により提供されている。
【0045】
また通知画像選定情報13Cは、テレビ放送受信装置3において有料番組案内を表示させる際に利用されるものであり、例えば有料番組における視聴料の設定金額ごとに異なるものである。また番組識別情報13Dは、放送中の番組の種類を識別させるための情報であり、後述するように、通信サーバ5が番組の種類を判断する際に利用される。なお有料番組でない放送信号の場合は、認証用サイトアドレス13B、通知画像選定情報13C、および番組識別情報13Dをダミーデータとしておいても良い。
【0046】
映像音声データ16は、番組の内容に係る映像および音声のデータである。なお当該テレビ放送がアナログ放送であっても、垂直帰線期間の走査線にデータ信号を重ねることによって、上述した制御データを送信することが可能である。つまりデジタル放送であるかアナログ放送であるかを問わず、上述したデータストリーム10に相当するものを放送することは可能である。
【0047】
次にテレビ放送受信装置(以下、単に「受信装置」と称す)3について説明する。受信装置3は、テレビ放送局2から送信されるテレビ放送を受信し、番組に係るデータの記録や再生等が可能となっている。この受信装置3の構成について、図3を参照しながら以下に説明する。
【0048】
図3に示すように、受信装置3は、アンテナ32、RF受信回路33、復調回路34、映像信号処理回路35、システム制御回路36、映像表示部37、IrDAインターフェース38、および記録部39などから構成されている。
【0049】
RF受信回路33は、アンテナ32を通じて取得されたRF信号(テレビ放送の信号)を受信して、後段の回路に伝送する。なおRF受信回路33は、チューナ回路を備えており、ユーザにより選局されたチャンネルの信号のみが伝送されることとなる。
【0050】
復調回路34は、RF受信回路33から伝送された信号に基づいて、映像データおよび音声データ(映像音声データ16に基づくもの)や、制御データ13を抽出する。この抽出処理は、先述したデータストリーム中の同期信号やデータ識別フラグが参照されてなされる。そして映像データおよび音声データは後段の記録部39へ、制御データ13はシステム制御回路36および記録部39へと伝送される。なおこれらの処理は、放送信号がデジタル放送のものであるかアナログ放送のものであるかを問わず、実行可能となっている。
【0051】
映像信号処理回路35は、記録部39あるいはシステム制御回路36から入力された映像データに基づいて、映像表示部37に映像を表示させる。また映像表示部37はブラウン管や液晶ディスプレイ等の映像表示装置を備えている。
【0052】
システム制御回路36は、入力される制御データ13等に基づいて、種々の制御を実行する。特に、記録部39に記録されている有料番組のテレビ放送の情報が再生されようとしているとき(有料フラグ13Aの内容により認識される)は、入力される認証用サイトアドレス13Bおよび番組識別情報13Dに基づいて、これらの情報の内容が符号化されたQRコード(登録商標、以下同様)17を生成し、映像信号処理回路35へ伝送する。なおこれらの処理は、無料番組の受信に関しては不要であるため、有料フラグ13Aにより有料番組を受信していると認められる場合にのみ、実行されるようにしておいてもよい。
【0053】
またシステム制御回路36は、図9に示すような有料番組の案内用の画像(QRコード17の部分を除く)を、複数種類記憶している。なお当該画像を複数種類設けているのは、有料番組の種類によって視聴料等が異なるため、これに対応するためである。そして更に放送信号の受信時においては、復調回路34から伝送される有料フラグ13Aに基づいて、受信中の番組が有料番組のものであるか否かを判断する。その結果、有料番組のものであると判断された場合は、映像データや音声データに加えて、制御データ13が記録部39に記録されるよう制御する。
【0054】
IrDAインターフェース38は、携帯電話機4等と赤外線通信(IrDA通信)を実行するために設けられたインターフェースである。後述する通り受信装置3は、IrDAインターフェース38を介して、鍵情報を、携帯電話機4から受取ることが可能となっている。
【0055】
記録部39は、例えばハードディスク(HD)レコーダやDVDレコーダ等により構成されており、復調回路34から伝送される映像データおよび音声データを記録(録画)する。また上述した通り、有料番組に係る映像データや音声データが記録される場合は、これらに対応する制御データ13も同時に記録されることとなる。
【0056】
また図示していないが、受信装置3は、映像音声データ16の音声データに基づいて音声を出力させるための、音声出力装置をも備えている。以上の構成により受信装置3は、受信された放送番組が有料番組であるか否かを問わず、その映像データや音声データが(有料番組である場合には、制御データ13も)記録部39に記録される。そして事後的に、これらの記録されたデータを再生することが可能となっている。
【0057】
次に、携帯電話機4について説明する。ここでの携帯電話機4は、図4に示すように、制御部41、撮像部42、記憶部43、デコード処理部44、通信部45、操作部46、IrDAインターフェース47、および表示部48等を備えている。
【0058】
制御部41は、演算制御装置を備えており、携帯電話機4における各装置の動作を制御する。撮像部42は、CCDやCMOS等の撮像素子を備えており、レンズを介して結像する光学像の情報を取得することができる。これにより、受信装置3の映像表示部に表示されたQRコードの情報を取得することが可能である。
【0059】
記憶部43は、RAM等により構成されており、撮像部42により取得された画像データ、通信部45を介して受信した各種データ、および携帯電話機4自身のID情報等を記憶する。なおこのID情報は、その携帯電話機に割り当てられた固有の情報であり、当該携帯電話機やその所有者を特定し得る情報や、携帯電話機4の所有者と通信回線使用契約を交わしている電話会社を特定し得る情報等を含んでいてもよい。デコード処理部44は、記憶部43に記憶されているQRコードにデコード処理を施し、取得されたアドレスの情報などを記憶部43に戻す。
【0060】
通信部45は、アンテナを備えており、通信サーバ5をはじめとする通信装置との間で無線通信(RF信号の送受信)を行う。また操作部46は、例えばボタンスイッチを備えており、かかるボタンの操作を通じて、ユーザの意思を反映させた種々の指示情報を取得する。IrDAインターフェース47は、赤外線通信(IrDA通信)を実行するためのインターフェースであり、受信装置3におけるIrDAインターフェース38に対応している。また表示部48はディスプレイを備えており、種々の画面表示を行う。
【0061】
以上の構成により携帯電話機4は、受信装置3が表示するQRコードの情報を取得するとともに、このアドレスにより接続される通信サーバ5との通信を行うことが可能である。
【0062】
次に、通信サーバ5について説明する。通信サーバ5は、図5に示すように、通信部51、制御部52、および記憶部53等を備えているものであり、有料番組の提供者などにより管理されている。通信部51は、携帯電話機4をはじめとする通信装置との間で無線通信(RF信号の送受信)を実行する。制御部52は、通信サーバ5の各装置を制御する。
【0063】
また記憶部53は、携帯電話機4等からのアクセスがあった場合に、ID情報と引き換えに鍵情報を送信するための認証用サイトを提供するための情報、有料番組の内容や視聴料に関する情報、および受信装置3における有料番組の録画再生の保留を解除するための鍵情報などが、予め記憶されている。また通信端末4からID情報などが送信されてきた場合には、これらを記憶する。
【0064】
なお電話会社6は、携帯電話機に係る通信サービスを提供しているものであり、携帯電話機4の所有者との間で、通信サービスに関する契約を予め結んでいるものである。電話会社6は、当該所有者に携帯電話機4に係る通信サービス等を提供する代わりに、例えば銀行口座からの引き落としを通じて通信料を徴収するようにしている。
【0065】
次に、以上に説明した有料番組提供システム1において、放送信号に含まれる情報が受信装置3内の記録部39に格納されるまでの処理の流れを、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0066】
受信装置3は、通常の動作時において、テレビ番組の録画開始の指示を待機している(ステップS1)。なお録画開始の指示は、例えばユーザによる所定のボタン操作やリモコン操作によるものや、予め設定された録画開始時刻が到来した時とするものなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0067】
そして録画開始の指示がなされたら(ステップS1のY)、受信装置3は、テレビ放送局2が放送している放送信号を受信するとともに(ステップS2)、この放送信号が有料番組のものであるか否かを判断する(ステップS3)。この判断は先述の通り、放送信号に含まれている有料フラグ13Aに基づいて実行される。
【0068】
その結果、有料番組のものであると判断された場合は(ステップS3のY)、受信装置3は、放送信号に含まれている映像音声データ16に加え、制御データ13をも、記録部39に記録(録画)させる(ステップS4)。なお同時期に受信された映像音声データ16と制御データ13は、互いにリンクして記録される。つまり、記録された映像音声データが再生される場合に、その映像音声データ16に対応する制御データ13が読み出し可能とされている。
【0069】
一方、有料番組のものでないと判断された場合は(ステップS3のN)、放送信号に含まれている映像音声データ16だけを記録部39に記録させるようにし、制御データ13は記録されない(ステップS5)。なお処理負担がやや増大するが、ステップS5の処理において、制御データ13をも記録させるようにしても構わない。
【0070】
以上のステップS2からS5までの処理は、録画終了の指示(例えばユーザによる所定のボタン操作等)がなされるまで継続される、かかる指示がなされれば、ステップS1の処理に戻る(ステップS6)。これにより、有料番組の録画においては、映像音声データだけでなく、制御データ13も同時に記録されることになる。
【0071】
次に、有料番組提供システム1において、記録部39に記録されている番組情報(録画情報)の再生に関する処理の流れを、図7および図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0072】
受信装置3は、通常の動作時において、録画情報の再生指示を待機している(ステップS7)。なお録画開始の指示は、例えばユーザによる所定のボタン操作やリモコン操作によるものや、予め設定された再生開始時刻が到来した時とするものなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0073】
そして録画再生の指示があったら(ステップS7のY)、その指示に係る録画情報、すなわちこれから再生されようとしている録画情報が、有料番組のものであるか否かを判断する(ステップS8)。この判断は、当該録画情報に付随して制御データ13も記録されているか否か、あるいは、この制御データ13における有料フラグ13Aの状態に基づいてなされる。
【0074】
その結果、有料番組のものでないと判断されたら(ステップS8のN)、録画の再生を実行する(ステップS9)。これによりユーザは、受信装置3によって、予め録画していた番組(有料番組を除く)を自由に視聴することが可能となる。その後、再生停止の指示(例えばユーザによる所定のボタン操作等)がなされるまで再生が継続され、かかる指示がなされればステップS7の処理に戻る(ステップS10)。
【0075】
一方、有料番組のものであると判断されたら(ステップS8のY)、受信装置3は録画の再生に先立ち、所定の有料案内映像を表示させる(ステップS11)。この表示がなされている間は、録画の再生は一旦保留される。これにより、有料番組の録画再生に一定の制限が加えられることになる。なおこの有料案内映像は、認証用サイトアドレス13Bおよび番組識別情報13Dの内容が符号化されたQRコード17が映し出されるものである。
【0076】
ここで有料案内映像が表示されている状態の一例を、図9に示す。このように有料番組案内はQRコード17だけでなく、予め受信装置3に記憶されている複数の有料番組の案内用の通知画像(再生させようとする映像が有料番組のものであること、番組名、および視聴料などをユーザに通知するための画像)の何れかが、同時に表示される。何れの通知画像を表示させるかは、記録部39に記録されている通知画像選定情報13Cによって決定される。また有料案内映像を表示させている間、受信装置3は、録画再生の保留を解除するための鍵情報の入力を待機する(ステップS12)。
【0077】
なお受信装置3がQRコード17を生成する処理としては、有料番組の録画を再生する時に、記録部39に記憶されている制御データ13に基づいてQRコード17を生成する(つまり、録画を再生する段階でQRコード17を生成する)処理を採用してもよく、また、有料番組が受信されて記録部39に記録される段階でQRコード17を生成しておき、このQRコード17も、有料番組の映像データ等とともに記録部39に記録しておく(つまり録画の再生に先立ち、予めQRコード17を生成して記録しておく)処理を採用しても良い。
【0078】
一方、携帯電話機4では、通信サーバ5からの鍵情報の受信(ステップS21)や、撮像部42を通じたQRコード17の入力(ステップS23)を待機している。この状態で、ユーザがステップS11にて表示されているQRコード17を携帯電話機4に取り込むと(ステップS23のY)、携帯電話機4はQRコード17の内容をデコードし、得られたアドレスに基づいて通信サーバ(ウェブページ)にアクセスする(ステップS24)。
【0079】
なおステップS23からS24へ移行する際に、例えば携帯電話機4に、図10に示すような表示を行わせ、認証サイトへのアクセスの許否をユーザに選択させるようにしてもよい。ここでアクセスが拒否された場合は、QRコード17のデータを破棄するとともに、ステップS21の処理に戻る。
【0080】
そしてステップS24の後、携帯電話機4は、自身に割り当てられているID情報を通信サーバ5に送信するとともに、携帯電話機4(あるいは携帯電話機4に対応するメールサーバ等)へ鍵情報を送信するように、通信サーバ5へ要求する(ステップS25)。
【0081】
なおステップS24からS25へ移行する際に、通信サーバ5は、例えば携帯電話機4に図11に示すような表示を行わせ、ユーザにおける視聴料支払い等の意志の有無を確認するようにしてもよい。ここで視聴料支払いの意志や有料番組を視聴する意志がない場合は、ステップS25の処理に進まないこととする。
【0082】
また一方、通信サーバ5は、携帯電話機4による鍵情報送信の要求の有無を監視している(ステップS31)。そこでステップS25に係る要求があった場合は(ステップS31のY)、携帯電話機4のID情報を取得するとともに、鍵情報を携帯電話機4(あるいは携帯電話機4に対応するメールサーバ等)に送信する(ステップS32)。なお通信サーバ5は、携帯電話機4のID情報を正常に取得できた場合にのみ、鍵情報を送信することとする。
【0083】
ステップS32により鍵情報が送信されてきたら(ステップS21のY)、携帯電話機4はその鍵情報を受信する(ステップS22)。このとき携帯電話機4は、例えば図12に示すような表示を行い、現在の状態をユーザに報知するようにしてもよい。さらにその後図13に示すような表示を行い、ユーザに、受信装置3への鍵情報の送信を促すこととしてもよい。
【0084】
また、携帯電話機4に図11の表示を行わせ、有料番組の視聴料の支払いに同意するか否かをユーザに選択させる処理を実行するプログラムを、予め通信サーバ5に記憶させておき、携帯電話機4からのアクセスがあったときに、このプログラムを携帯電話機4側に送信させるようにしておいてもよい。またこのプログラムは、携帯電話機4のID情報を通信サーバ5に送信するか否かをユーザに選択させる処理や、有料番組の視聴料が電話会社6の料金徴収サービスを利用して支払い可能であることをユーザに報知するための映像を表示する処理などを、携帯電話機4に実行させるものとしても良い。
【0085】
携帯電話機4が鍵情報を取得した状態で、IrDAインターフェースを介して、受信装置3に適正な鍵情報が入力されると(ステップS12のY)、受信装置3は、有料案内映像の表示を停止し、録画再生の保留は解除させる(ステップS13)。
【0086】
なおステップS12の処理においては、送信されてきた鍵情報が適正であるか否かが、判断される。なおこの判断は、例えば、受信装置3が予め保有している情報と一致するか否かの判断を通じてなされる。この結果、鍵情報が適正でないと判断された場合には、ステップS13の処理には進まず、引き続き鍵情報の入力を待機することとする。
【0087】
ステップS13の処理がなされることにより、ユーザは受信装置3を通じて、予め録画していた有料番組を制限なく視聴することが可能となる。その後、再生停止の指示(例えばユーザによる所定のボタン操作等)がなされるまで再生が継続され、かかる指示がなされればステップS7の処理に戻る(ステップS14)。
【0088】
なお有料番組提供者は、携帯電話機4から取得したID情報に基づいて、携帯電話機4に係る通信契約がなされている電話会社6に対して、有料番組の視聴料を請求する。電話会社6は、かかる請求に応じて、有料番組提供者への視聴料の支払いを代行する一方、視聴者(当該ID情報により特定される携帯電話機4についての契約者)の銀行口座から視聴料相当分を引き落とすこととする。このように携帯電話機4のID情報は、有料番組の視聴料の徴収に用いられる。
【0089】
また有料番組提供者が視聴料を徴収する方法としては、上述したものの他、例えば電話会社6の提携先によるクレジットサービスを利用して視聴料を徴収する(ユーザが視聴料を支払う)方法や、電話会社6の提携先による電子マネーサービスを利用して視聴料を徴収する(ユーザが視聴料を支払う)方法などを採用しても良い。
【0090】
なお電話会社6の提携先によるクレジットサービスや電子マネーサービスに関する契約は、ユーザにとっては、携帯電話の使用契約と同時申し込めることが多い。また、かかるクレジットサービスや電子マネーサービスに関する契約を済ませておくことにより、ユーザは、有料番組の録画再生のみならず種々の料金支払いに関しても、従来のようにテレビ番組視聴のための専用の契約を交わす必要なく実現可能である。
【0091】
以上に説明した一連の処理により、視聴者は、番組提供者との視聴契約等を事前に行うことなく、受信装置3に有料番組を録画しておくことが可能となっている。そのため有料番組提供システム1によれば、例えば事前の視聴契約のために有料放送の録画が間に合わないといった不便が解消される。
【0092】
そして視聴者がこの有料番組を視聴するためには、主に、携帯電話機4により受信装置3からQRコードを読み取る処理、携帯電話機4により通信サーバ5にアクセスして鍵情報を取得する処理、および鍵情報を受信装置3に入力する処理を経るだけで足りる。そのため視聴者にとっては、ごく簡単な操作を行うだけで、有料番組を視聴することが可能となっている。
【0093】
また有料番組提供者の側から見ると、視聴者が使用している携帯電話機4のID情報を取得することができるために、事前に視聴者との番組視聴契約などがなされていなくても、容易に視聴料を徴収することができる。つまりID情報により、有料番組の視聴者や、当該視聴者が契約している電話会社6を特定することが可能であるため、事後的にでも、容易に視聴料を徴収することが可能である。
【0094】
なお本実施例の受信装置3では、有料番組の録画再生に制限を加える処理として、適正な鍵情報が入力されるまで録画再生を保留することとしているが、その代わりに、もしくはこれに加えて、有料番組の映像データにスクランブルを施しておき、適正な鍵情報が入力されることにより当該スクランブルを解除するようにしてもよい。例えば、当該映像データに適正な鍵情報を用いたデコード処理を施すことで、スクランブルが解除するものが考えられる。またその他にも、録画再生を保留することとせず、有料番組に係る映像の全部または一部に重ねるように先述した有料案内映像を表示させることとし、鍵情報が入力された時点で、有料案内映像の表示を解除するようにしても良い。
【0095】
また本実施例では、通信サーバ5が携帯電話機4からID情報を取得するものとしたが、ID情報の代わりに、個人や団体を特定し得る他の情報としてもよい。例えば、携帯電話機の所有者(通信回線の使用契約者)の名前や住所、或いは加入者番号など、所有者を特定し得る情報を予め携帯電話機4に記憶させておき、これらの情報を通信サーバ5が取得するようにしても良い。これにより有料番組提供者にとっては、かかる所有者に視聴料を請求することが容易となる。
【0096】
[実施例2]
次に本発明の実施例2について説明する。なお本実施例は、テレビ放送局2から送信されるストリームデータの内容、ならびに、受信装置3における有料番組案内の表示に関する事項を除いては、基本的に実施例1と同様の構成であるため、重複する説明は省略する。
【0097】
本実施例におけるストリームデータの内容を図14に示す。このようにストリームデータ10については、通知画像選定情報13Cの代わりに有料案内表示データ13Fが挿入されている点で、実施例1のものとは異なっている。この有料案内表示データ13Fは、実施例1における有料番組案内を表示させるデータに相当するものである。
【0098】
つまり実施例1では、予め受信装置3が通知画像(有料番組案内のうちQRコード17を除く部分)のデータを複数しており、通知画像選定情報13Cの内容に応じて、そのうちの何れかを表示させることとしていたが、本実施例では、この通知画像のデータそのものを、テレビ放送局2から受信するものとしている。
【0099】
そのため本実施例では、実施例1に比べてストリームデータ10に占める制御データ13の割合が増大することとなるが、有料番組案内の内容の自由度を向上させることが可能となる。その結果、番組の内容・種類に応じて、より正確かつ詳細な有料番組案内を表示させることが可能となる。
【0100】
[実施例3]
次に本発明の実施例3について説明する。なお本実施例は、鍵情報に暗号化処理を施す点を除いては、基本的に実施例1と同様の構成であるため、重複する説明は省略する。
【0101】
本実施例では、携帯電話機4から受信装置3へ赤外線通信を利用して送信される鍵情報について、公開鍵暗号の手法を応用した暗号化処理を採用している。なお公開鍵暗号の手法とは、互いにペアとなる公開鍵と秘密鍵を用いるものであり、公開鍵で暗号化された情報を復号するには、これに対応する秘密鍵が必要であることを利用するものである。公開鍵暗号の手法としては、例えば素因数分解の困難性を利用したRSA方式などがある。
【0102】
以下、図15のフローチャートを参照しながら、本実施例における処理の内容について説明する。まず番組提供者は、ペアとなる公開鍵(以下、適宜「Kpu」とする)と秘密鍵(以下、適宜「Kpr」とする)、および実施例1で説明した、有料番組の録画再生の制限を解除するための鍵情報(以下、適宜「Ks」とする)を作成しておく。そして当該Kpuをテレビ放送局2に提供し、KprとKsを通信サーバ5に記憶させる(ステップS41)。
【0103】
これを受けテレビ放送局2は、制御データ13の中にKpuを含めて放送する(ステップS51)。一方通信サーバ5は、携帯電話機4からKprとKsの送信要求があるか否かを監視し(S61)、要求がある場合は、KprとKsを当該携帯電話機に送信する(ステップS62)。なおステップS61は実施例1でのステップS31に、S62はS32に相当している。
【0104】
また受信装置3では、テレビ放送局2からKpuが受信されたら(ステップS72)、セッション鍵(乱数)が生成される(ステップS73)。そして受信装置3は、Kpuでセッション鍵を暗号化するとともに(ステップS74)、この暗号化されたセッション鍵をQRコード17に組み込むこととする(ステップS75)。
【0105】
この暗号化されたセッション鍵は、撮像部42を通じてQRコードが読み込まれることにより、携帯電話機4によって取得される(ステップS81のY)。そしてその後、通信サーバ5にアクセスしたときに、KprとKsの送信を要求することとする(ステップS82)。これにより先述した通り、通信サーバ5はKprとKsを携帯電話機4に送信する(ステップS62)。なおステップS81は実施例1でのステップS23に、S82はS25に相当している。
【0106】
ここで携帯電話機4と通信サーバ5との間における通信(ステップS82、およびS62)については、SSL[Secure Socket Layer]を用いることにより、通信の安全性を高めている。なおこれらの通信において、通信サーバ5が、携帯電話機のID情報を取得しておくことは、実施例1の場合と同様である。
【0107】
ステップS62の処理がなされた時点で、携帯電話機4は、Kprにより暗号化されたセッション鍵、Kpu、およびKsを取得していることになる。そこで携帯電話機4は、まずKpuを用いて、セッション鍵に施されている暗号化処理を解除(復号)する(ステップS84)。そしてその後、復号されたセッション鍵を用いて、Ksに対して暗号化処理を施す(ステップS85)。
【0108】
暗号化処理のなされたKsが、赤外線通信により受信装置3へ送信されると(ステップS71のY)、受信装置3は暗号化を解除してKsを取得し、以降、Ksを用いて有料番組の録画再生に係る制限を解除する(ステップS76)。なおセッション鍵は受信装置3自身が生成したものであるため、受信装置3と携帯電話機4の間で符号化・復号処理の方式を整合させておけば、受信装置3においてKsに係る暗号化の解除は可能である。またセッション鍵については、受信装置3内部で毎回(例えば、セッション鍵の送信・受信が1セット実行される度に)発生し直すようにしておけば、より安全性を向上させることができる。なおステップS71は実施例1でのステップS12に、S76はS13に相当している。
【0109】
以上により、携帯電話機4から受信装置3へ、赤外線通信を通じて鍵情報を送信する際、鍵情報はセッション鍵により暗号化されているため、例えば学習リモコンなどの使用による鍵情報の不正入手を、防止することが可能となっている。またQRコードに組み込まれるセッション鍵についても、Kpuにより暗号化されているため、不正取得の防止が可能となっている。なお上述した処理の流れについての概要を、図16に示しておく。
【0110】
[まとめ]
以上までに説明した本発明の実施形態の構成内容について、その概要を図17に簡潔に示しておく。このように本有料番組提供システム1によれば、受信装置3は所定の鍵情報が入力された場合にのみ、有料番組の録画映像の再生に対する制限(再生を保留すること、録画映像の全部または一部に他の映像を重ねて表示すること、もしくは、録画映像にスクランブル処理が施されていること)を解除する。また通信サーバ5は、ID情報等を送信してきた携帯電話機4等へ、鍵情報を送信することとしている。
【0111】
そのため、通信サーバ5を管理する有料番組の提供者はかかるID情報等を取得することにより、容易に視聴者の特定等を行うことができる。また鍵情報の送信はID情報等の受信と引き換えにしているため、ユーザにID情報等の送信を促すことが可能となっている。また視聴者にとっては、有料番組提供者との事前の視聴契約がなくても、取り急ぎ有料番組を録画することが可能となっている。
【0112】
以上の通り、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。また各実施例の内容は、矛盾の無い限り、互いに組み合わせて実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、放送により有料番組を提供するシステム等の分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施形態に係る有料番組提供システムの構成概略図である。
【図2】本発明の実施例1などにおける、ストリームデータの構成概略図である。
【図3】本発明の実施形態におけるテレビ放送受信装置の構成図である。
【図4】本発明の実施形態における携帯電話機の構成図である。
【図5】本発明の実施形態における通信サーバの構成図である。
【図6】放送信号に含まれる情報を記録(録画)する処理の流れ図である。
【図7】本発明の実施形態に係る、録画再生に関する処理の流れ図である。
【図8】本発明の実施形態に係る、録画再生に関する処理の流れ図である。
【図9】本発明の実施形態に係る、テレビ放送受信装置の画面表示を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る、携帯電話機の画面表示を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る、携帯電話機の画面表示を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る、携帯電話機の画面表示を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る、携帯電話機の画面表示を示す図である。
【図14】本発明の実施例2における、ストリームデータの構成概略図である。
【図15】本発明の実施形態に係る鍵情報の暗号化に関する処理の流れ図である。
【図16】本発明の実施形態に係る鍵情報の暗号化に関する説明図である。
【図17】本発明の実施形態における、有料番組提供システムの説明図である。
【符号の説明】
【0115】
1 有料番組提供システム
2 テレビ放送局
3 テレビ放送受信装置
4 携帯電話機(通信端末)
5 通信サーバ
6 電話会社
10 ストリームデータ
11 同期信号
12 データ識別フラグ(制御データが後続することを示す)
13 制御データ
13A 有料フラグ(有料識別情報)
13B 認証用サイトアドレス(アドレス情報)
13C 通知画像選定情報
13D 番組識別情報
13F 有料案内表示データ(通知画像の情報)
14 同期信号
15 データ識別フラグ(映像データが後続することを示す)
16 映像音声データ
17 QRコード
32 アンテナ
33 RF受信回路
34 復調回路
35 映像信号処理回路
36 システム制御回路
37 映像表示部
38 IrDAインターフェース(赤外線通信手段)
39 記録部
41 制御部
42 撮像部
43 記憶部
44 デコード処理部
45 通信部
46 操作部
47 IrDAインターフェース(赤外線通信手段)
48 表示部
51 通信部
52 制御部
53 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表す映像情報;該映像が有料番組のものであるか否かを示す有料識別情報;および所定の通信サーバを特定するアドレス情報;の各々が、所定の形式に従って含まれている放送信号を受信する放送受信装置であって、
前記映像を表示する表示部と、
該有料識別情報に基づいて、前記映像情報が有料番組のものであるか否かを判別する、有料判別部と、
前記映像情報を記録する記録部と、を備え、
前記記録部は、
前記有料判別部により前記映像情報が有料番組のものであると判断された場合、前記映像情報に加えて前記アドレス情報をも記録することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記アドレス情報に基づいて、該アドレスを示すQRコード(登録商標)を生成するQRコード生成部と、
再生開始の指示に応じて、前記記録部に記録された映像情報の映像を前記表示部に再生させる映像再生部と、
前記再生させる映像が有料番組のものである場合は、所定の有料案内映像を表示させる有料案内表示部と、を備え、
該有料案内表示部は、
該有料案内映像に、前記QRコードを含ませることを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記映像再生部は、
前記再生させようとする映像が有料番組のものである場合は、該映像の再生を一旦保留することを特徴とする請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記有料案内表示部は、
前記有料案内映像を、前記映像情報による映像の全部または一部に重ねるように表示させることを特徴とする請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記有料案内表示部は、
前記有料案内映像に、前記再生させようとする映像が有料番組のものであることをユーザに報知するための映像を含ませることを特徴とする請求項2から請求項4の何れかに記載の放送受信装置。
【請求項6】
映像を表す映像情報;該映像が有料番組のものであるか否かを示す有料識別情報;所定の通信サーバを特定するアドレス情報;および該有料番組の種類を示す番組識別情報;の各々が、所定の形式に従って含まれている放送信号を受信する放送受信装置であって、
前記有料案内表示部は、
前記番組識別情報の内容ごとに対応した番組別案内映像を保有しており、
前記有料案内映像に、該番組別案内映像をも含ませることを特徴とする請求項2から請求項4の何れかに記載の放送受信装置。
【請求項7】
映像を表す映像情報;該映像が有料番組のものであるか否かを示す有料識別情報;所定の通信サーバを特定するアドレス情報;および該有料番組の種類ごとに対応した番組別案内映像を表す情報;の各々が、所定の形式に従って含まれている放送信号を受信する放送受信装置であって、
前記有料案内表示部は、
前記有料案内映像に、該番組別案内映像をも含ませることを特徴とする請求項2から請求項4の何れかに記載の放送受信装置。
【請求項8】
前記番組別案内映像は、
少なくとも、前記有料番組の番組名および該有料番組の視聴料を示す映像が含まれていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の放送受信装置。
【請求項9】
請求項3に記載の放送受信装置と、
QRコードを読取ることが可能であり、個人または団体を特定し得る情報(「特定情報」とする)が予め記憶されている通信端末と、
前記再生の保留を解除させるために必要な解除鍵を保有する通信サーバと、を有し、
該通信端末が、前記放送受信装置により表示されているQRコードを読取り、前記アドレス情報により特定される通信サーバにアクセスする第1ステップと、
該通信サーバが、該通信端末から前記特定情報を受信した場合にのみ、該通信端末に前記解除鍵を送信する第2ステップと、
該通信端末が、前記放送受信装置に該解除鍵を送信する第3ステップと、
該放送受信装置が、該解除鍵を取得したときに、前記再生の保留を解除する第4ステップと、
を含む処理を行うことを特徴とする有料番組提供システム。
【請求項10】
請求項4に記載の放送受信装置と、
QRコードを読取ることが可能であり、個人または団体を特定し得る情報(「特定情報」とする)が予め記憶されている通信端末と、
前記有料案内映像の表示を解除させるために必要な解除鍵を保有する通信サーバと、を有し、
該通信端末が、前記放送受信装置により表示されているQRコードを読取り、前記アドレス情報により特定される通信サーバにアクセスする第1ステップと、
該通信サーバが、該通信端末から前記特定情報を受信した場合にのみ、該通信端末に前記解除鍵を送信する第2ステップと、
該通信端末が、前記放送受信装置に該解除鍵を送信する第3ステップと、
該放送受信装置が、該解除鍵を取得したときに、前記有料案内の表示を解除する第4ステップと、
を含む処理を行うことを特徴とする有料番組提供システム。
【請求項11】
スクランブル処理のなされた映像を表す映像情報;該映像が有料番組のものであるか否かを示す有料識別情報;および所定の通信サーバを特定するアドレス情報;の各々が、所定の形式に従って含まれている放送信号を受信する請求項2に記載の放送受信装置と、
QRコードを読取ることが可能であり、個人または団体を特定し得る情報(「特定情報」とする)が予め記憶されている通信端末と、
前記スクランブルを解除するために必要な解除鍵を保有する通信サーバと、を有し、
該通信端末が、前記放送受信装置により表示されているQRコードを読取り、前記アドレス情報により特定される通信サーバにアクセスする第1ステップと、
該通信サーバが、該通信端末から前記特定情報を受信した場合にのみ、該通信端末に前記解除鍵を送信する第2ステップと、
該通信端末が、前記放送受信装置に該解除鍵を送信する第3ステップと、
該放送受信装置が、該解除鍵を用いて、前記スクランブルを解除する第4ステップと、
を含む処理を行うことを特徴とする有料番組提供システム。
【請求項12】
前記通信端末は、
電話会社と通信回線の使用契約を結んでいる契約者が所有する携帯電話機であり、
前記特定情報は、
該契約者を特定する情報であることを特徴とする請求項9から請求項11の何れかに記載の有料番組提供システム。
【請求項13】
前記特定情報は、
前記通信端末に固有のID情報であることを特徴とする請求項9から請求項11の何れかに記載の有料番組提供システム。
【請求項14】
前記通信端末は、
前記特定情報を前記通信サーバに送信するか否かをユーザに選択させる、選択処理を行うことを特徴とする請求項9から請求項11の何れかに記載の有料番組提供システム。
【請求項15】
前記通信サーバは、
前記第1ステップの処理がなされたとき、前記通信端末に対してソフトウェアを送信するものであり、
該ソフトウェアは、該通信端末に前記選択処理を実行させるものであることを特徴とする請求項14に記載の有料番組提供システム。
【請求項16】
前記ソフトウェアは、
前記有料番組の視聴料の支払いに同意するか否かをユーザに選択させる処理をも、前記通信端末に実行させることを特徴とする請求項15に記載の有料番組提供システム。
【請求項17】
前記ソフトウェアは、
前記有料番組の視聴料が携帯電話会社の料金徴収サービスを利用して支払い可能であることを、ユーザに報知するための映像を、前記通信端末に表示させることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の有料番組提供システム。
【請求項18】
前記通信サーバが取得した前記特定情報は、
前記有料番組の視聴料の徴収に用いられることを特徴とする請求項9から請求項11の何れかに記載の有料番組提供システム。
【請求項19】
前記第3ステップにおける前記解除鍵の送信は、
IrDAインターフェースが用いられた赤外線通信を通じてなされることを特徴とする請求項9から請求項11の何れかに記載の有料番組提供システム。
【請求項20】
前記解除鍵は暗号化処理が施されており、
前記放送受信装置は、
該暗号化を解除することを特徴とする請求項9から請求項11の何れかに記載の有料番組提供システム。
【請求項21】
有料番組の映像信号を放送する放送局と、
前記映像信号を受信して記録するとともに、該映像信号に基づいて映像を表示する放送受信装置と、
通信機器との通信が可能な通信サーバと、
を有した有料番組提供システムであって、
前記放送受信装置は、
該映像の表示を所定の手法で制限する制限部と、
所定の解除鍵を取得することで前記制限を解除する解除部と、を有し、
前記通信サーバは、
該解除鍵を、前記通信機器に送信することを特徴とする有料番組提供システム。
【請求項22】
前記制限部は、
前記映像の表示を保留する第1手法、または、前記映像の全部または一部に他の映像を重ねて表示させる第2手法により前記制限を実行し、
前記解除手段は、
前記第1手法により前記制限がなされている場合は、前記保留を解除し、
前記第2手法により前記制限がなされている場合は、前記他の映像を非表示とすることで、前記制限を解除することを特徴とする請求項21に記載の有料番組提供システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−33411(P2009−33411A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194476(P2007−194476)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】