説明

放送受信装置

【課題】安定して受信できる可能性の低い周波数帯のチャンネル検索を省略することで、チャンネル検索に要する時間を効果的に短縮することができるようにする。
【解決手段】放送受信装置1は、複数の周波数帯のデジタル放送を受信するもので、これら複数の周波数帯のデジタル放送の受信周波数帯に応じて複数のアンテナ11〜13が使用可能となっている。そして放送受信装置には、複数のアンテナの状態を検出するアンテナ検出部14,15を有し、放送受信制御部21は、アンテナ検出部14,15による検出結果に応じて受信可能な周波数帯を判別し、選局対象とするチャンネルを受信可能な周波数帯のチャンネルに制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送受信装置、より詳細には、携帯電話などの受信端末に適用可能で、UHF、VHF−H、VHF−Lなどの複数の周波数帯のデジタル放送を受信可能な放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のアナログテレビジョン放送が停止され、アナログテレビジョン用の周波数帯(VHF帯)に新たに割り当てられるマルチメディア放送が開始される2011年以降の受信端末には、現在搭載されているISDB−T(ワンセグ・UHF帯)に加え、ISDB−Tmm(VHF−H帯)、ISDB−Tsb(VHF−L帯)のマルチメディア放送の受信機能が搭載されることが予想される。尚、VHF−L帯は1ch〜3chに相当し、周波数は90MHz〜108MHz、VHF−H帯は4ch〜12chに相当し、周波数は170MHz〜222MHz、UHF帯は13ch〜62chに相当し、周波数は470MHz〜770MHzである。
【0003】
これらの放送方式は共通点が多く、ユーザが放送方式を意識しない選局手段を受信端末が備える可能性が大きいが、それぞれの周波数帯の違いにより、ある時点における受信感度が、それぞれの方式で大きく異なる可能性がある。
従って、チャンネル検索(例えば、左、右キーの長押し等の操作によって、ユーザが現在受信可能な放送局を検索する機能)に要する時間が、ワンセグのみ搭載する受信端末に比べて増大するケースが発生する。これはチャンネル数の増加と、端末の状態によっては安定した受信ができない周波数帯があることに起因する。
【0004】
また、受信端末の上下キーに割り当てられることが多いUP/DOWN選局においても、受信できない周波数帯への選局を行うために、受信可能なサービスを選局するまでに要する携帯端末の操作回数が増大することがある。
【0005】
例えば、特許文献1に開示されたデジタル放送受信装置に係る技術では、チャンネルサーチを正確かつ高速に実現するために、直交復調およびAFC回路により出力される直交信号の入力信号レベルと、移動速度もしくは速度変化量に応じて決まる感度閾値とを比較し、入力信号レベルが感度閾値を超えないことを検出して次のチャンネルサーチを実行している。また、TMCCフレーム同期信号、サービス情報データ、あるいは伝送モードを監視し、所定時間内にこれら情報が一つでも検出されない場合に次のチャンネルサーチを実行する。
【0006】
さらに特許文献2に開示されたデジタル放送受信機のチャンネル検出に係る技術では、同期確立を行って所定の時間の計時を開始し、所定の時間の計時が完了する前に、受信中のチャンネルにおいて放送が行われているかの判定を行うことで、放送の有無の判定を短時間で行うことができるようにし、これにより与えられた全てのチャンネルを検索する時間も短縮できるようにすることを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−288435号公報
【特許文献2】特開2008−118196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
VHF−L帯、VHF−H帯、及びUHF帯の放送方式のように、異なる周波数帯で放送される放送波は、放送波に合ったアンテナを使用した受信が必要となる。本発明では、受信可能性の低い周波数帯では受信を試みないことによってチャンネルサーチの高速化を図ることを鋭意検討したが、上記各特許文献には、このような技術思想は何ら開示していない。
【0009】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、安定して受信できる可能性の低い周波数帯のチャンネル検索を省略することで、チャンネル検索に要する時間を効果的に短縮することができるようにした放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、複数の周波数帯のデジタル放送を受信する受信手段を備え、該複数の周波数帯のデジタル放送の受信周波数帯に応じて複数のアンテナを使用可能とした放送受信装置において、前記複数のアンテナの状態を検出するアンテナ検出手段と、該アンテナ検出手段による検出結果に応じて受信可能な周波数帯を判別し、選局対象とするチャンネルを前記受信可能な周波数帯のチャンネルに制限する制御手段とを有することを特徴としたものである。
【0011】
第2技術手段は、第1の技術手段において、ユーザの操作入力を受け付ける操作入力手段を有し、前記制御手段は、前記操作入力手段に対する所定の操作に応じてチャンネル検索を行う際に、該アンテナ検出手段による検出結果に応じて受信可能な周波数帯を判別し、チャンネル検索の対象とする周波数帯を前記受信可能な周波数帯に制限することを特徴としたものである。
【0012】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、ユーザの操作入力を受け付ける操作入力手段と、チャンネルのUPまたはDOWN選局を行うときの切替順序を予め規定したサービスリストを記憶する記憶手段とを有し、前記制御手段は、前記操作入力手段に対する所定の操作に応じてチャンネルのUPまたはDOWN選局を行う際、前記サービスリストに規定された選局順序のチャンネルの中から、前記アンテナ検出手段による検出結果に応じて、受信不可能と判断した周波数帯のチャンネルの選局をスキップすることを特徴としたものである。
【0013】
第4の技術手段は、第1の技術手段において、ユーザの操作入力を受け付ける操作入力手段と、前記操作入力手段の操作キーに対応付けたチャンネルを予め規定したサービスリストを記憶する記憶手段とを有し、前記制御手段は、前記操作入力手段の操作キーの操作に応じてチャンネル選局を行う際、前記サービスリストに規定されたチャンネルの中から、前記アンテナ検出手段による検出結果に応じて、受信不可能と判断した周波数帯のチャンネルの選局を行わないことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、安定して受信できる可能性の低い周波数帯のチャンネル検索を省略することで、チャンネル検索に要する時間を効果的に短縮することができるようにした放送受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る受信装置の第1の実施形態を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明による受信装置における受信可能チャンネル検索処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明による受信装置における受信可能チャンネル検索処理の一例を説明するための他のフローチャートである。
【図4】ISDB−Tチャンネル検索処理の詳細な処理例を説明するためのフローチャートである。
【図5】アンテナ状態判断処理の詳細な処理例を説明するためのフローチャートである。
【図6】ISDB−Tabチャンネル検索処理の詳細な処理例を説明するためのフローチャートである。
【図7】ISDB−Tabチャンネル検索処理の詳細な処理例を説明するための他のフローチャートである。
【図8】本発明による放送受信装置の第2の実施形態の選局処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】選局に使用するサービスリストの一例を示す図である。
【図10】図8のサービス提示処理をより詳細に説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
VHF−L帯、VHF−H帯、及びUHF帯は、その周波数の違いにより、放送波を受信するために放送受信装置に要求されるアンテナの長さも異なる。放送受信装置では、一般に1/4波長のアンテナが基本となるため、VHF−L帯用には70〜80cm程度、VHF−H帯用には30〜40cm程度、UHF帯用には、10cm程度の長さのアンテナが必要となる。
【0017】
放送受信装置として携帯電話等の携帯端末を考えた場合、VHF−L帯受信のためにはイヤホンアンテナ接続が不可欠になると予想され、VHF−H帯受信のためには、イヤホンアンテナがない場合にはホイップアンテナを伸ばすことが必要となる。UHF帯は、現在の携帯電話で実現されているように内蔵アンテナで受信可能である。
【0018】
本発明では、このような各周波数帯で必要とされるアンテナの物理的な違いを利用し、放送受信装置のアンテナの状態により、受信対象とする周波数帯を限定することで、チャンネル検索に要する時間を短縮する。また、UP/DOWN選局時に受信可能性の低いサービスへの選局をスキップする。例えばイヤホンアンテナが挿入されていない場合は、VHF−L帯をチャンネル検索範囲から除外する(検索しない)ことにより、全体の検索時間を短縮する。イヤホンアンテナを接続せずに、ホイップアンテナを伸ばした状態で、UHF62chから上方向に検索する場合、ワンセグで使用されるUHFは62チャンネルまでしかないため、通常、次に検索するチャンネルはVHFの1チャンネルになるが、本発明では、VHF−L帯の検索を除外し、VHF−H帯の最小チャンネルから受信可能チャンネルを検索することで、受信可能性のあるVHF−H帯のチャンネルが検索されるまでの時間を短縮する。以下に本発明に係る実施形態を添付の図面を参照しながらより具体的に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る受信装置の第1の実施形態を説明するためのブロック図で、本発明に係る放送受信装置を携帯電話に適用した例を示すものである。
放送受信装置1には、第1〜第2アンテナの3つのアンテナが設けられる。第1アンテナ11は、放送波受信用のイヤホンアンテナである。イヤホンアンテナの構成例としては、イヤホンアンテナを放送受信装置1のコネクタに接続して使用する形態と、未使用時には放送受信装置1の筐体内にイヤホンアンテナを格納しておき、使用時に筐体からイヤホンアンテナを引き出して使用する形態とがある。
【0020】
第1アンテナ検出部14は、アンテナの状態を検出するもので、上記のコネクタにイヤホンアンテナを接続する構成の場合には、第1アンテナ検出部14でイヤホンアンテナが接続されたことを検出する。また、上記の使用時に筐体からイヤホンアンテナを引き出して使用する構成の場合には、第1アンテナ検出部14では、イヤホンアンテナが筐体内に格納されている状態か、引き出されて使用可能な状態かを検出する。第1アンテナ11が使用可能な状態であるときには、VHF−L帯、VHF−H帯、及びUHF帯の全ての放送波が受信可能である。UHF受信の場合は、アンテナ経路を切り換えて第3アンテナ13を使用する場合もある。
【0021】
第2アンテナ12は、放送波受信用のホイップアンテナである。ホイップアンテナは、受信装置の筐体に格納された状態と、筐体から外部に伸ばされて使用される状態とをとることができる。第2アンテナ検出部15は、ホイップアンテナが筐体から引き出され、使用可能状態であることを検出する。
第2アンテナ12を放送受信装置1の筐体から引き出して使用するときには、ISDB−Tmmの放送周波数帯であるVHF−H帯は受信可能だが、ISDB−Tsbの放送周波数帯であるVHF−L帯の受信は困難となる。UHF受信の場合は、アンテナ経路を切り換えて第3アンテナ13を使用する場合もある。
【0022】
第3アンテナ13は、UHF帯受信用のアンテナである。第3アンテナ13は、放送受信装置1の筐体の内部アンテナとなるため、第1アンテナ11及び第2アンテナ12のように使用可能な状態であるか否かの判定は不要となる。
【0023】
アンテナ切替部16は、第1アンテナ検出部14、及び第2アンテナ検出部15の検出結果に従って、放送受信制御部21が放送受信に使用するアンテナを第1アンテナ11〜第3アンテナ13から選択する。チューナー部17は、ISDB−T、ISDB−Tmm、ISDB−Tsb方式の放送受信に対応したチューナーである。第1及び第2アンテナ検出部14、15は本発明のアンテナ検出手段に相当する。
【0024】
マルチメディアデコーダ23は、放送受信制御部21の制御に従って、チューナー部17から入力されたTS(トランスポートストリーム)から映像・音声成分を分離し、デコードを行う。マルチメディアデコーダ23では、ISDB−T、ISDB−Tmm、及びISDB−Tsbのそれぞれの方式の映像符号化フォーマット、及び音声符号化フォーマットのデータをデコード可能である。また、マルチメディアデコーダ23は、放送受信制御部21から指示されたPIDのパケットを放送受信制御部21に出力する機能を有する。PIDは、TSを構成する各パケットの識別子であって、TSパケットヘッダに含まれ13ビットでパケット種別を識別するものである。
【0025】
放送受信制御部21は、放送受信動作全般の制御を行うもので、本発明の制御手段に相当する。例えばアンテナ検出部14,15からの検出情報に応じてアンテナ切替部16を制御し、使用するアンテナを選択する。
また、放送受信制御部21は、所望のチャンネルの映像・音声等をユーザに提示するためにチューナー部17、及びマルチメディアデコーダ23を制御する。また、マルチメディアデコーダ23に対し、解析対象のPSI/SIのPIDを指示し、マルチメディアデコーダが出力するパケットからセクションを構築、解析する。PSI/SIは、TSに含まれる、選局等に使用されるTSの情報を持ったデータ列であり、PSI(Program Specific Information=番組特定情報)とSI(Service Information=サービス情報)がある。また、上記セクションは、TSで伝送できる形式のひとつであって、番組情報等の管理情報を伝送するものである。セクションは、ひとつ以上のパケットから組み立てられる。
【0026】
メモリ18は、放送受信制御部21が使用するメモリ(記憶手段)である。メモリ18には、受信可能サービスのリストや放送波スキャンの結果が記憶される。
キー入力部29は、ユーザによるキー操作を検出するもので、本発明の操作入力部に相当する。本発明に関わるチャンネル検索やUP/DOWN選局のユーザ操作は、キー入力部29から通信機能制御部22と放送受信制御部21に通知される。表示部24は、放送受信装置1が受信した放送映像やデータ放送を表示し、またユーザに提供する情報を表示する液晶表示パネルなどの表示画面である。
【0027】
第4アンテナ19は、携帯電話の通信用のアンテナであって、無線部20は、第4アンテナ19を介した携帯電話の通信用の無線部である。通信機能制御部22は、電話機能を含む携帯電話の通信機能を制御する。また、音声符号化部27は、通話時にマイク28から入力された音声を符号化する。音声複合部25は、通話時の音声をスピーカ26に出力する。スピーカ26からは、通話時の音声や、受信した放送の音声が出力される。
【0028】
図2及び図3は、本発明による受信装置における受信可能チャンネル検索処理の一例を説明するためのフローチャートである。
放送受信装置1は、ユーザの指示に従ってチャンネル検索処理を開始する。ここでは例えば、キー入力部29に入力された情報が、チャンネル検索開始を指示する情報であった場合に、放送受信制御部21がチャンネル検索処理を開始する。以下の処理は、主に放送受信制御部21の制御処理によって実行される。
【0029】
チャンネル検索処理が開始されると、まずそのチャンネル検索処理の開始時点で受信中の放送方式(ISDB−T、ISDB−Tsb、ISDB−Tmmのいずれか)により、以降の処理を分岐する(ステップS1)。
ここで受信中の放送方式がISDB−T(UHF帯)であった場合、放送受信制御部21は、受信中のチャンネルがUHF帯の最高周波数のチャンネル(62ch)であるかどうかを判別する(ステップS9)。そして最高周波数チャンネルであれば、ステップS3へ進み、受信中の放送方式がISDB−Tsb(VHF−L帯)であった場合の処理に移行する。
【0030】
受信中のチャンネルが最高周波数のチャンネルでない場合には、放送受信制御部21は、必要に応じてアンテナ切替部16を制御してアンテナ切替を行い(ステップS10)、ISDB−Tチャンネル検索処理を行う(ステップS11)。この場合、UHF受信中からのUHFのチャンネル検索であり、アンテナ経路が第3アンテナになっているため、ステップS10ではアンテナ切替は行われない。
【0031】
ステップS11のISDB−Tチャンネル検索処理の詳細な処理例を図4を参照しながら説明する。チャンネル検索処理は、あるチャンネル受信中の状態から起動されるため、この処理が開始される時点で、放送受信制御部21は、チューナー部17から出力されるTS中に含まれるNIT及びPMTを抽出し、解析可能な状態となっている。NIT(Network Information Table)は、TSに含まれるPSIの一種で、TS名やTSに含まれるサービスの情報等が記載される。またPMT(Program Map Table)は、TSに含まれるPSIの一種で、番組を構成する各ESのPIDを指定する。
【0032】
尚、NIT、PMTの抽出処理は、本実施形態では放送受信制御部21がマルチメディアデコーダ23にフィルタリングするPIDを指定し(NITのPIDは0x0010、ワンセグのプライマリサービスのPMTのPIDは0x1FC8)、マルチメディアデコーダ23から入力される各PIDのパケットからセクションを構築する処理となる。尚、上記のプライマリサービスは、TSに複数のサービスが含まれるとき、当該TSを受信時に最初にユーザに提示されるサービスである。
【0033】
チャンネル検索処理開始時点で、ユーザがプライマリサービス以外のサービスを視聴していた場合、放送受信制御部21は、フィルタリング対象のPMTのPIDを0x1FC8に変更する(ステップS21)。そして、現在受信中のチャンネルがISDB−Tのチャンネル(UHF帯)であった場合(ステップS22−YES)、放送受信制御部21は、受信中のチャンネルに1加算したチャンネルの周波数を、受信周波数としてチューナー部17に設定する(ステップS23)。
【0034】
一方、現在受信中のチャンネルがISDB−Tのチャンネル(UHF帯)でない場合、つまりISDB−T以外の放送方式受信中の場合(ステップS22−NO)、放送受信制御部21は、ISDB−T方式の放送の最小チャンネル(13ch)の周波数を受信周波数としてチューナー部17に設定する(ステップS27)。
【0035】
放送受信制御部21は、チューナー部17に受信周波数を設定した後、一定時間(例:100ms)毎に、チューナーから情報を取得し、当該周波数における物理波の有無、有効なNITの有無、有効なPMTの有無を監視する(ステップS24、S25、S26)。
【0036】
物理波の有無の判断は、一般的に、受信機の同期、復調用の信号としてOFDM信号に挿入されるSP検出等により行われ、判断に要する時間は数十〜百数十msである。
また、有効なNITの有無の判断は、物理波確認後に、放送受信制御部がNITパケットを受信してNITセクションを構築し、解析を行い、NITにワンセグサービスの記載があるか否かで判断する。物理波確認後に判断に要する時間は、放送局により異なるNITの再送周期によって決定するが、一般的には1秒以内である。
有効なPMTの有無の判断は、NIT確認後に、放送受信制御部21がPMTパケットを受信してPMTセクションを構築し、解析を行い、PMTに有効なES(Elementary Steam:音声/映像/字幕等の符号化されたデータ)の記載があるか否かで判断する。NIT確認後に判断に要する時間は、放送局により異なるPMTの再送周期によって決定するが、一般的には200ms以内である。
【0037】
上記のステップS24〜S26のそれぞれの処理において、当該周波数で有効なPMTが検出できない(物理波がない、NITを受信できない、PMTを受信できない)場合には、最大ch(62ch)の受信中か否かを判別し(ステップS28)、最大chの受信中でなければステップS23に戻る。つまり、最高周波数のチャンネルまで上記の処理を繰り返す。
【0038】
放送受信制御部21は、上記処理中に有効なPMTを検出した場合(ステップS26−YES)、または、最高周波数のチャンネルで有効なPMTが検出できなかった場合(ステップS28−YES)に、ISDB−Tチャンネル検索処理を終了する。
尚、ワンセグのプライマリサービスのPMTのPIDは0x1FC8で固定のため、上記処理においてNITの検出は省略可能である。
【0039】
図2、図3のフローチャートに戻って説明する。ステップS11のISDB−Tチャンネル検索処理において上記図4に示すような検索処理を行った結果、有効なPMTを検出してチャンネル検索処理が終了した場合に、つまり受信可能なサービスを検出した場合には(ステップS12−YES)、映像・音声等の提示を行い(ステップS8)、チャンネル検索が終了する。
【0040】
ステップS8では、放送受信制御部21が、マルチメディアデコーダ23に映像ESのPID、音声ESのPID、PCR(Program Clock Reference)のPIDを指定することにより、マルチメディアデコーダ23が、指定されたPIDのパケットから映像・音声をデコードし、デコードした映像・音声をそれぞれ表示部24とスピーカ26へ出力する。PCRは、番組基準クロックであって、受信機で、映像・音声・字幕などの提示時刻情報を持つESの提示タイミングの基準となる。
尚、サービスによっては、音声のみ、もしくは映像のみの場合もあるが、この場合マルチメディアデコーダ23は、存在するESのみをデコードして出力することになる。
【0041】
ステップS11のISDB−Tチャンネル検索処理において、最高周波数のチャンネルまで有効なPMTを検出できなかった場合は、ステップS3に進み、受信中の放送方式がISDB−Tsb(VHF−L帯)であった場合の処理に移行する。
【0042】
次に、上記ステップS1で、受信中の放送方式がISDB−Tsb(VHF−L帯)であった場合、放送受信制御部21は、受信中の周波数が最高周波数のチャンネル(VHF3ch)の最高周波数のセグメントであるかどうかを判別する(ステップS2)。セグメントは、OFDMセグメントを指し、データキャリアに制御信号を付加した伝送信号の基本帯域、およびフレーム構成された信号である。ISDB−T方式(地上デジタルテレビ)の場合は、1つのチャンネルは13セグメントから成り、ワンセグはそのうちひとつのセグメントを使用してサービスを伝送する。ISDB−Tsb、ISDB−Tmm方式では1つのサービスが複数のセグメントを使用する場合がある。
ここで最高周波数のセグメントを受信中である場合には、ステップS14に進み、受信中の放送方式がISDB−Tmm(VHF−H帯)であった場合の処理に移行する。一方、受信中のチャンネルが最高周波数のチャンネルの最高周波数のセグメントでない場合は、アンテナ状態判断処理を行う(ステップS3)。
【0043】
上記で「最高周波数のセグメント」としているが、放送受信制御部21がチューナー部17から取得するTMCC情報、PSIデータ解析によって得られる情報等から、現在受信中のサービスが使用するセグメント数を判断することができる。ここで現在受信中のサービスのセグメント数が複数で、それより上の周波数のセグメントがISDB−Tsb放送方式の帯域外となる場合は、現在受信中のセグメントが最高周波数より小さい周波数のセグメントであっても、上記の「最高周波数のセグメント」とみなして処理を行う。
【0044】
上記ステップS3のアンテナ状態判断処理の詳細な処理例を図5を参照しながら説明する。放送受信制御部21は、第1アンテナ(イヤホンアンテナ)11が使用可能であるか否かの状態情報を第1アンテナ検出部14より取得し(ステップS31)、第1アンテナ11が使用可能であれば(ステップS32−YES)、受信可能周波数帯をVHF−L、VHF−H、UHFとして、アンテナ判断処理を終了する。また、第1アンテナ11が使用不可であれば(ステップS32−NO)、放送受信制御部21は、第2アンテナ(ホイップアンテナ)12が使用可能状態であるか否かの情報を第2アンテナ検出部15より取得し(ステップS33)、第2アンテナ12として用いられるホイップアンテナが伸張されていて使用可能状態であれば(ステップS34−YES)、受信可能周波数帯をVHF−H、UHFとして(ステップS37)、アンテナ判断処理を終了する。
【0045】
ステップS34で、ホイップアンテナが使用不可の状態であれば、イヤホンアンテナもホイップアンテナも使用不可であるため、受信可能周波数帯をUHFとして(ステップS35)、アンテナ判断処理を終了する。
【0046】
図2,図3のフローチャートに戻って説明する。ステップS3のアンテナ状態判断処理により、受信可能周波数帯に応じて処理を変更する(ステップS4)。ここで受信可能周波数帯がUHFのみと判断された場合、放送受信制御部21は、アンテナ切替部16を制御してアンテナ経路を第3アンテナ(内蔵アンテナ)13に切り替え(ステップS10)、ISDB−Tチャンネル検索処理に移行する(ステップS11)。この場合ISDB−Tsbのチャンネル検索、ISDB−Tmmのチャンネル検索が省略される。
【0047】
ステップS4で受信可能周波数帯がVHF−Hと判断された場合、放送受信制御部21は、アンテナ切替部16を制御してアンテナ経路を第2アンテナ(ホイップアンテナ)12に切り替え(ステップS16)、ISDB−Tmmチャンネル検索処理に移行する(ステップS17)。この場合ISDB−Tsbのチャンネル検索が省略される。
さらに、ステップS4で、VHF−Lが受信可能と判断された場合、放送受信制御部21は、アンテナ切替部16を制御してアンテナ経路を第1アンテナ(イヤホンアンテナ)11に切り替え(ステップS5)、下記に示すISDB−Tsbチャンネル検索処理を行う。
【0048】
上記ステップS6のISDB−Tabチャンネル検索処理の詳細な処理例を図6及び図7を参照しながら説明する。チャンネル検索処理は、あるチャンネル受信中の状態から起動されるため、この処理が開始される時点で、放送受信制御部21は、チューナー部17から出力されるTS中に含まれるNITを抽出、解析可能な状態となっている。
ここで放送受信制御部21は、PATのPIDフィルタが開始されていない場合(受信中のチャンネルがISDB−Tであった場合)には、そのPIDフィルタを開始する(ステップS41)。尚、PAT(Program Association Table)は、TSに含まれるPSI(番組特定情報)の一種で、サービスIDに対応するPMTのPIDが記載されるものである。
【0049】
現在受信中のチャンネルがISDB−Tsbのチャンネル(VHF−L帯)であった場合(ステップS42−YES)、放送受信制御部21は、受信周波数をチューナー部17に設定する(ステップS43)。設定する受信周波数は、現在受信中のサービスが1セグメントを使用したサービスの場合には、現在受信中のセグメントのひとつ上のセグメントの周波数とする。また、現在受信中のサービスのセグメント数が3セグメントの場合は、現在受信中のサービスが使用する3つのセグメントのひとつ上のセグメントの周波数とする。
【0050】
また、現在受信中のチャンネルがISDB−Tsbのチャンネル(VHF−L帯)でない場合、つまりISDB−Tsb以外の放送方式で受信中の場合(ステップS42−NO)、放送受信制御部21は、ISDB−Tsb方式の放送の最小チャンネル(1ch)の最低周波数のセグメントの周波数を受信周波数としてチューナー部17に設定する(ステップS51)。
【0051】
チューナー部17に受信周波数を設定した後、放送受信制御部21は、一定時間(例:100ms)毎に、チューナー部17から情報を取得し、当該周波数における物理波の有無、有効なNITの有無、有効なPATの有無、有効なPMTの有無を監視する。物理波及びNITの有無の判断は、ISDB−Tチャンネル検索処理の場合と同様である(ステップS44〜S45)。ステップS45でNITが検出された場合、放送受信制御部がNITのサービス記述子記載の情報等より、当該TSに含まれるサービスがダウンロードサービスのみか否かを判断する(ステップS46)。
【0052】
ダウンロードサービスのみの場合は、当該セグメントにおいて映像・音声をユーザに提示することができないため、ステップS52に進み、次のセグメントの処理を行う。
また、放送受信制御部がNIT解析により、映像または音声またはデータ放送が含まれるサービスと判断した場合は(ステップS46−NO)、PATの受信を試み(ステップS47)、PATが受信できた場合は、PATの記載内容から受信対象サービスのPMTのPIDを取得し(ステップS48)、マルチメディアデコーダ23にそのPIDを設定してPIDフィルタフィルタを開始する(ステップS49)。
【0053】
有効なPMTの有無の判断は、上記ISDB−Tチャンネル検索処理の場合と同様である(ステップS50)。
NIT確認後に要する時間は、PAT受信までの時間+PATを解析しPMTのPIDフィルタを開始するまでの時間+PMT受信までに要する時間となり、一般的には数100msである。
【0054】
上記の処理において当該周波数で有効なPMTが検出できない場合、つまり物理波がない場合(ステップS44―NO)、NITを受信できない場合(ステップS45―NO)、NIを受信できたが当該セグメント放送がダウンロードサービスのみの場合(ステップS46−YES)、PATを受信できない場合(ステップS47−NO)、及びPMTを受信できない場合(ステップS50−NO)は、最高周波数のセグメントまで、上記の処理を繰り返す。ここでは、PMTのPIDフィルタを開始していた場合には、次の周波数のセグメントを受信する前にPIDフィルタを停止する(ステップS52)そして、ISDB−Tsbの最大chの最高周波数のセグメントを受信中でなく(ステップS53−NO)、当該chの最高周波数セグメントを受信中でない場合には(ステップS54−NO)、ステップS43に戻って受信周波数を受信中のセグメント+1とする。
【0055】
また、ステップS54で最高周波数のセグメントを受信中の場合には、受信周波数を受信中のch+1のチャンネルの最低周波数のセグメントの周波数とし(ステップS55)、ステップS44に戻って当該周波数における物理波の有無、有効なNITの有無、有効なPATの有無、有効なPMTの有無を監視する。
放送受信制御部21は、上記処理中に有効なPMTを検出した場合(ステップS50−YES)、または、最高周波数のセグメントで有効なPMTが検出できなかった場合(ステップS53−NO)に、ISDB−Tsbチャンネル検索処理を終了する。
【0056】
図2,図3のフローチャートに戻って説明する。ステップS6で上記のようなISDB−Tsbチャンネル検索処理を行った後、そのチャンネル検索処理の終了時の状態に応じて、以降の処理は次のように分岐する。
ISDB―Tsbチャンネル検索処理において、有効なPMTを検出して受信可能なサービスがあった場合には(ステップS7−YES)、映像・音声等の提示を行い(ステップS8)、チャンネル検索を終了する。ステップS8の処理は前述したとおりである。
【0057】
また、ステップS6で最高周波数のセグメントまで有効なPMTを検出できなかった場合は、ステップS14に進み、受信中の放送方式がISDB−Tmm(VHF−H帯)であった場合の処理に移行する。
【0058】
次に、上記ステップS1で、受信中の放送方式がISDB−Tmm(VHF−H帯)であった場合、放送受信制御部21は、受信中の周波数が最高周波数のチャンネルの最高周波数のセグメントか否かを判別し(ステップS13)、最高周波数のチャンネルの最高周波数のセグメントである場合には、ステップS10に進み、受信中の放送方式がISDB−T(UHF帯)であった場合の処理に移行する。
【0059】
一方、受信中のチャンネルが最高周波数のチャンネルの最高周波数のセグメントでない場合は、アンテナ状態判断処理を行う(ステップS14)。アンテナ状態判断処理は、ステップS3で説明した図5に示す処理と同様の処理である。
また、上記では「最高周波数のセグメント」を判別すこととしているが、放送受信制御部12がチューナー部17から取得するTMCC情報、およびPSIデータ解析によって得られる情報等から、現在受信中のサービスが使用するセグメント数が判断できる。そして現在受信中のサービスのセグメント数が複数で、それより上の周波数のセグメントがISDB−Tmm放送方式の帯域外となる場合は、現在受信中のセグメントが最高周波数より小さい周波数のセグメントであっても、上記の「最高周波数のセグメント」とみなして処理を行う。
【0060】
ステップS15では、ステップS14のアンテナ状態判断処理の結果に応じてその後の処理を分岐する。ここでアンテナ状態判断処理により、受信可能周波数帯がUHFのみと判断された場合、ステップS10に進む。ステップS10では、放送受信制御部21はアンテナ切替部16を制御してアンテナ経路を第3アンテナ(内蔵アンテナ)に切り替え、ISDB−Tチャンネル検索処理に移行する。この場合、ISDB−Tmmのチャンネル検索が省略される。
【0061】
また、アンテナ状態判断処理により、受信可能周波数帯がVHF−Hと判断された場合、放送受信制御部21は、アンテナ切替部16を制御してアンテナ経路を第2アンテナ(ホイップアンテナ)11に切り替え(ステップS16)、ISDB−Tmmチャンネル検索処理に移行する(ステップS17)。
【0062】
ステップS17のISDB−Tmmチャンネル検索処理は、図5で説明したISDB−Tsbのチャンネル検索処理と基本的に同様の処理となる。ISDB−Tsb検索処理では、サービスが使用するセグメントが3つの場合の可能性があるが、ISDB−Tmmでは1つのサービスが使用する複数セグメント数が3以外の可能性もある。従って、放送受信制御部21がチューナー部17に設定する受信対象のセグメントの周波数(現在受信中のセグメントのひとつ上のセグメントの周波数)は、現在受信中のサービスのセグメント数がnセグメントの場合は、現在受信中のサービスが使用するn個のセグメントの1つ上のセグメントの周波数となる。
【0063】
ステップS17のISDB−Tmmチャンネル検索処理終了時の状態により、以降の処理は次のように分岐する。ISDB−Tmmチャンネル検索処理により有効なPMTを検出して受信可能なサービスがある場合には、映像・音声等の提示を行い(ステップS8)、チャンネル検索が終了する。ステップS8の処理は前述したとおりである。
【0064】
また、ISDB−Tmmチャンネル検索処理により、最高周波数のセグメントまで有効なPMTを検出できなかった場合は、ステップS10に進んで受信中の放送方式がISDB−T(UHF帯)であった場合の処理に移行する。
【0065】
上記の動作例では、+方向(受信周波数が高い方向)へのチャンネル検索処理を説明しているが、−方向(受信周波数が低い方向)へのチャンネル検索処理も同様の動作となる。この場合、受信周波数帯はUHF→ISDB−Tmm→ISDB−Tsb→UHF・・・の順に検索し、各周波数帯における受信チャンネル、受信セグメントも周波数の高いチャンネル、セグメントから低いほうへ検索処理を行う。
【0066】
また、上記の動作例では、チューナー部17に設定する周波数は、単純に増加方向、減少方向で設定するものとしているが、同一放送方式内において、全チャンネルあるいは全セグメントを受信できれば、検索時のチャンネルやセグメントの順番は、単純増加・単純減少である必要はない。例えばユーザの受信位置(地域)により、放送波が存在する可能性のあるチャンネルやセグメントが予想できる場合は、受信可能性の高いチャンネル・セグメントから先に検索することもできる。
【0067】
また、上記の処理を放送波スキャン時間の短縮のために適用することができる。ユーザが受信地域における受信可能放送局のリストを得るために、放送波のスキャンを行う場合がある。このような放送波スキャンの処理は、チャンネル検索とほぼ同じ処理で実現できる。放送波スキャンでは、チャンネル検索処理で行っているPMTの取得と映像・音声の提示は行わず、ISDB−Tの全チャンネル、ISDB−Tsb、ISDB−Tmmの全セグメントにおいてNITの取得を試み、有効なNITが検出できたチャンネル、セグメントをメモリに登録する。この場合も、端末のアンテナの状態により、受信対象の放送方式を制限することで、全体のスキャン時間を短縮できる。
【0068】
なお、上記の実施形態において、端末のアンテナ状態を判断する方法としては、アンテナ経路を各アンテナに切り換えて、チューナー部17から得たCNやBERの情報により各アンテナの状態を判断する方法や、放送受信制御部21が判断できるアンテナ状態検出のための機構を端末に設ける方法がある。後者のアンテナ状態検出のための機構を設ける方法の場合、イヤホンアンテナが挿入されるコネクタに、放送受信制御部21がイヤホンアンテナの挿入を検知できる端子を設ける方法がある。また、ホイップアンテナの状態検出方法については、例えば特開2001−339474号公報に開示されている。
【0069】
次に、本発明に係るマルチメディア放送受信機の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態では、端末のアンテナ状態により受信対象の周波数帯を制限することで、UP/DOWN選局時に受信可能性の低いチャンネルへの選局をスキップし、少ない端末操作で受信可能なサービスへの選局を行う。
本実施形態のマルチメディア放送受信装置も図1に示すブッロク図の構成を有する。図1の構成は、上記のように本発明に係るメディア放送受信装置を携帯電話に適用した構成例を示すものである。
【0070】
図8は、本発明による放送受信装置の第2の実施形態の選局処理を説明するためのフローチャートである。本実施形態の処理により、UP/DOWN選局時に受信可能なサービス提示までの端末操作回数を低減する。ここでは、ユーザによるキー入力部29への指示に従って、放送受信制御部21がUP/DOWN選局処理を開始する。
【0071】
放送受信制御部21は、UP/DOWN選局処理を開始すると、映像・音声出力中であれば現在提示中の映像・音声の出力を停止する(ステップS61)。また、現在受信中のサービスのPMTのPIDフィルタを停止する(ステップS62)。
次に放送受信制御部21は、メモリ18に記憶されたサービスリストを参照し、次に選局対象候補とすべきサービスの情報を取得する(ステップS63)。
【0072】
ここで、サービスリストとは図9に例を示すように、ユーザが受信を行う地域で受信可能な、各放送方式の放送局名、サービス名、サービスID、リモコンキー番号、当該サービスが放送される物理チャンネルおよびセグメント番号、当該サービスが占有するセグメント数等が記載されるリストである。上記のサービスIDは、各サービスを識別するために割り当てられた16ビットの識別子である。また、リモコンキー番号は、NITに記載されるワンタッチキー選局のための番号である。ここでは、チャンネル選局を行うときの切替順序が予め規定される。サービスリストは受信端末内に予め用意される場合と、放送波スキャンにより作成される場合とがある。
【0073】
UP/DOWN選局時には、放送受信制御部21がサービスリストの物理チャンネルとセグメント番号から、次に選局対象とするサービスを決定する。例えばサービスL1を視聴中にUP選局指示があったとき、次の選局対象候補はサービスA1、サービスA1を視聴中にUP選局指示があったとき、次の選局対象候補はサービスA2となる。尚、この例では、UP/DOWN選局は、同じチャンネル内においてはセグメント番号順としているが、セグメント番号の順番が受信周波数の大小の関係と一致しない場合もある。このような場合、UP/DOWN選局時に受信周波数の大小により、次の選局候補を選択してもよい。
【0074】
図8のフローチャートに戻って説明する。放送受信制御部21は、ステップS63でサービスリストから次の選局対象候補の情報取得後、アンテナ状態判断処理を実行する(ステップS64)。このアンテナ状態判断処理では、上記第1の実施形態の図4に示す処理を同様の処理を行う。そして、アンテナ状態判断処理により、上記の選局対象候補のサービスの受信可能性を判断する(ステップS65)。ここでアンテナ状態により受信困難と判断された場合、放送受信制御部は再度サービスリストを参照し(ステップS63)、受信可能性のあるサービスを次の受信対象とする。例えば図7のサービスリストのサービスL1を視聴中にUP選局があり、アンテナ状態判断処理により、ISDB−Tsb方式は受信困難と判断された場合は、ISDB−TmmのサービスE1を受信対象とし、アンテナ切替処理に進む。
【0075】
図8において、アンテナ状態判断処理により、次の選局対象候補が受信可能と判断された場合は、アンテナ切替処理に進む(ステップS66)。アンテナ切り替え処理は、放送受信制御部21が、現在使用しているアンテナが受信対象サービスの放送波帯に最適なアンテナでない場合に、最適なアンテナに切り換える処理である。
次に放送受信制御部21は、チューナー部17に対し、受信周波数、受信帯域(受信セグメント幅)の設定を行う(ステップS67)。放送受信制御部21はチューナーの設定を行った後、サービス提示処理を行う(ステップS68)。これによりUP/DOWN選局処理が終了する。
【0076】
図10は、上記図8のサービス提示処理をより詳細に説明するためのフローチャートである。サービス提示処理においては、放送受信制御部21は、対象サービスのPMTのPIDが固定の場合(ワンセグの場合)(ステップS71―YES)、PMTのPIDフィルタを開始する(ステップS72)。対象サービスのPMTのPIDが固定ではない場合(ステップS71―NO)、PATのPIDフィルタを開始し、PAT受信後、対象サービスのPMTのPID値を取得し(ステップS73〜S74)、PIDフィルタを開始する(ステップS75)。そして一定時間内にPMTを検出できたか否かを判別し、PMTを検出できた場合には、映像・音声の提示を行う(ステップS77)。
【0077】
ステップS73で一定時間以内にPATが受信できない場合、およびステップS76で一定時間内にPMTが受信できない場合は、受信不可を示すメッセージを表示して(ステップS78)、サービス提示処理を終了する。
尚、ステップS78の受信不可メッセージ表示後もユーザ操作がない場合、放送受信制御部21は、PAT、PMTの監視は続け、PMT受信ができた場合は映像・音声の提示を行う。
【0078】
ステップS77の映像・音声の提示は、放送受信制御部21が、マルチメディアデコーダ23に映像ESのPID、音声ESのPID、PCRのPIDを指定することにより、マルチメディアデコーダ23が、指定されたPIDのパケットから映像・音声をデコードし、デコードした映像・音声をそれぞれ表示部24とスピーカ26へ出力する。尚、サービスによっては、音声のみ、もしくは映像のみの場合もあるが、この場合マルチメディアデコーダ23は、存在するESのみをデコードして出力することになる。
【0079】
上記のように、受信中のチャンネル周波数の直近の受信可能周波数の放送局を選局するUP/DOWN選局時に、サービスリストに登録されているサービスのうち、安定して受信できる可能性の低い周波数帯の放送局のサービスをスキップして選局を行うことにより、受信可能なサービスを視聴するまでの端末の操作回数が少なくて済むようになる。
【0080】
上記の処理は、数字キー選局時の選局対象放送方式の制限に用いることもできる。
数字キー押下によるワンタッチ選局を行う場合も、アンテナ状態を判断し、視聴可能性の高いサービスを優先的に選局することで、選局後に受信不可となる頻度を低減し、ユーザに迅速な放送サービスの提示を行うことができる。特に視聴したい番組がなく、ザッピングを行って視聴する番組を探す状況にあるユーザにとって有用である。これは例えば以下のような動作となる。
【0081】
図9のサービスリストを持つ放送受信装置で放送受信中に、例えばユーザが「2」キーを押下したときに、アンテナ検出部14,15の検出結果に従って放送受信制御部21がVHF−L帯の受信不可と判断した場合、サービスJ1を選局対象とする。このとき、再度の「2」キーの押下によりサービスF1を選局してもよい。また、サービスF1を選局するかサービスJ1を選局するかは、ユーザの操作で優先順位を付与できるようにしてもよいし、常に固定としてもよい。
【0082】
また、第2の実施形態では、選局時にアンテナ状態により、選局対象放送方式を制限する例を示したが、この処理では放送受信装置の受信機能起動時にも適用することができる。通常の放送受信装置では、放送受信機能起動時に最初に選択される放送は前回終了時に視聴していたサービスだが、本発明が適用された放送受信装置では、放送受信機能起動時にも、アンテナ状態を判断し、受信困難と判断される放送方式を選局せずに、受信可能性の高い放送方式を選局する。例えば図9のサービスリストを持つ受信端末がサービスB1を最後に視聴して放送受信機能を終了し、次回放送受信機能起動時に、ISDB−Tsb、ISDB−Tmmの受信不可状態で起動した場合、サービスJ1を起動時に最初に選局対象とする。
【0083】
また、上記実施例1、2では放送方式により使用可能なアンテナ形状が異なる例として、ISDB−T(ワンセグ)、ISDB−Tsb、ISDB−Tmmを挙げているが、これらの放送方式以外の放送方式に適用することも可能である。また、放送方式は2つ以上であれば本発明は適用可能である。
また、上記実施例では、異なる放送方式受信のために最適なアンテナを1つに限定しているが、例えば端末が折り畳まれたり、表示部が回転あるいはスライドして形状が変化することにより、変化した形状に対応して最適なアンテナが変わる場合、放送受信制御部21がアンテナ状態の判断を行う際に、端末の形状に応じた判断を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…放送受信装置、11…第1アンテナ、12…第2アンテナ、13…第3アンテナ、14…第1アンテナ検出部、15…第2アンテナ検出部、16…アンテナ切替部、17…チューナー部、18…メモリ、19…第4アンテナ、20…無線部、21…放送受信制御部、22…通信機能制御部、23…マルチメディアデコーダ、24…表示部、25…音声複合部、26…スピーカ、27…音声符号化部、28…マイク、29…キー入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数帯のデジタル放送を受信する受信手段を備え、該複数の周波数帯のデジタル放送の受信周波数帯に応じて複数のアンテナを使用可能とした放送受信装置において、
前記複数のアンテナの状態を検出するアンテナ検出手段と、
該アンテナ検出手段による検出結果に応じて受信可能な周波数帯を判別し、選局対象とするチャンネルを前記受信可能な周波数帯のチャンネルに制限する制御手段とを有することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放送受信装置において、
ユーザの操作入力を受け付ける操作入力手段を有し、
前記制御手段は、前記操作入力手段に対する所定の操作に応じてチャンネル検索を行う際に、該アンテナ検出手段による検出結果に応じて受信可能な周波数帯を判別し、チャンネル検索の対象とする周波数帯を前記受信可能な周波数帯に制限することを特徴とする放送受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の放送受信装置において、
ユーザの操作入力を受け付ける操作入力手段と、
チャンネルのUPまたはDOWN選局を行うときの切替順序を予め規定したサービスリストを記憶する記憶手段とを有し、
前記制御手段は、前記操作入力手段に対する所定の操作に応じてチャンネルのUPまたはDOWN選局を行う際、前記サービスリストに規定された選局順序のチャンネルの中から、前記アンテナ検出手段による検出結果に応じて、受信不可能と判断した周波数帯のチャンネルの選局をスキップすることを特徴とする受信端末装置。
【請求項4】
請求項1に記載の放送受信装置において、
ユーザの操作入力を受け付ける操作入力手段と、
前記操作入力手段の操作キーに対応付けたチャンネルを予め規定したサービスリストを記憶する記憶手段とを有し、
前記制御手段は、前記操作入力手段の操作キーの操作に応じてチャンネル選局を行う際、前記サービスリストに規定されたチャンネルのなかから、前記アンテナ検出手段による検出結果に応じて、受信不可能と判断した周波数帯のチャンネルの選局を行わないことを特徴とする放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−176652(P2011−176652A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39635(P2010−39635)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】