説明

放送受信記録装置、及び、プログラム

【課題】受信する放送信号の受信品質を用いて、2つの放送信号を切り替えて録画する場合に、記録したサイマル放送中の複数の放送データを再生する際に、記録時に分断される放送データを一貫した放送コンテンツとして再生する放送受信記録装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】地上デジタルハイビジョン放送等の主放送とワンセグ放送等の副放送を、その受信品質に応じて切り替えて録画する。そして切替録画により生じた主放送データと副放送データからなる複数の分断化された放送データについて、その符号化方式及び解像度が同一となるように変換し、一貫した放送データとして結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送信号を受信して記録できる放送受信記録装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送を受信する受信装置は、受信信号からトランスポートストリーム(TS)に復調するチューナを備え、TSから各種パケットを分離した後、デコーダがパケットから生成したデータストリームを復号化することによって、映像音声やデータを生成する。地上デジタル放送では、1つの放送局に割り当てられた周波数帯を13個のセグメントに分割し、そのうち1つのセグメントを使って基地局からワンセグ放送を抽出している。また、残りの12個のセグメントを使ってハイビジョン放送を送出している。
【0003】
このうち、ワンセグ放送は、携帯受信機向けに規格化された放送であり、受信電波のCN比(Carrier to Noise Ratio)が約7dB以上であれば放送データをほぼ正しく復号できるように、強力な誤り訂正機能が採用されている。一方、ハイビジョン放送は固定受信機向けに規格化された放送であるため、正しく復号するために最低限必要なCN比は約20dBとされている。従って、受信感度の低いアンテナ等を用いてハイビジョン放送を受信する場合、電界強度の弱いエリアでは、必要なCN比を確保できないことがある。このとき、同一の番組を放送しているワンセグ放送に切り替えて番組を表示すると、ユーザは手間無く同じ番組を続けて視聴することができ、利便性がよい。また、電界強度の弱いエリアから強いエリアに移動したときに、ワンセグ放送からフルセグ放送に自動的に切り替えて番組を表示した場合も同様である。
【0004】
特許文献1には、高ビットレートと低ビットレートの2つのデジタル放送について、EPG(電子番組表)のデータに含まれる番組に関する文字情報、開始終了時刻等を利用してサイマル放送であるかを判別し、放送信号の出力を切り替える技術が開示されている。この切り替え機能は、ワンセグ放送とハイビジョン放送がサイマル放送であること、すなわち、デジタル放送の放送局が同一の番組を送出していることが前提となっている。なぜなら、2つの放送がサイマル放送ではなく、かつ、放送の視聴中や録画中にユーザが電界強度の強弱エリアの境界を跨いでしまった場合、視聴していた番組とは異なる番組に切り替わってしまうためである。
【0005】
また、特許文献2には、デジタル放送とアナログ放送がサイマル放送であるか判別する処理において、デジタル放送波に含まれる、デジタル放送と同一の番組を送出しているアナログ放送のチャンネルの対応関係を表すチャンネルマップに基づく方法や、双方の映像、音声信号の相関度を検出して判別する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、デジタル放送とアナログ放送の両方の電子番組ガイドを用いてサイマル判別を行う方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献4には、特許文献2及び3の問題点として、デジタル放送とアナログ放送を切り替えて録画する場合には、放送データが分断化されて記録されてしまうことが記載されている。さらに、この放送データの分断化の原因として、デジタル放送とアナログ放送の切り替わりのタイミングで再生が停止してしまい、続きを視聴するためには、記録された放送データの中から続きのデータを探し出す操作が必要であることに触れている。
そこで、この操作を無くすために、主たるデジタル放送から副たるアナログ放送への切り替え、もしくはその逆の切り替えが発生した場合には、放送データの記録の過程で生成される複数の映像データストリームを記録終了後に一つの映像データストリームに結合する方法が開示されている。また、記録終了後ではなく、切り替えが発生したときに同一の映像データストリームに連続的に記録するようにする方法についても記載がある。
【0008】
しかし、上述の特許文献4に記載されている放送データ結合方法では、主たるデジタル放送と副たるアナログ放送における映像サイズや符号化方式が考慮されていない。したがって、主たる放送と副たる放送の解像度が異なる場合、分断化された録画ファイルを単純に結合すると、結合済みの録画ファイルの再生時に表示される映像の解像度が変化し、非常に見づらくなってしまう。また、主たる放送と、副たる放送の符号化方式が異なる場合において、単純に分断化された録画ファイルを結合すると、結合済みの一つの録画ファイルを再生しようとすると、Codec(Coder/Decoder:符号化/復号化アルゴリズム)や映像の解像度が異なるために、録画ファイルの再生処理が複雑になることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−49410号公報
【特許文献2】特開2001−128078号公報
【特許文献3】特開2001−309272号公報
【特許文献4】特開2005−354570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、受信する放送信号の受信品質を用いて、2つの放送信号を切り替えて録画する放送受信記録装置において、記録したサイマル放送中の複数の放送データを再生する際に、記録時に分断される放送データを一貫した放送コンテンツとして再生する放送受信記録装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る放送受信記録装置は、
第1の放送信号を受信する第1の放送受信手段と、
第2の放送信号を受信する第2の放送受信手段と、
前記第1の放送受信手段により受信された前記第1の放送信号と前記第2の放送受信手段により受信された前記第2の放送信号の受信品質を取得する受信品質取得手段と、
前記第1の放送信号による放送と前記第2の放送信号による放送とが実質的に同一であるか否かを判別するサイマル放送判別手段と、
前記サイマル放送判別手段により実質的に同一であると判別された場合、前記受信品質取得手段により取得された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号の受信品質に基づいて、前記第1の放送受信手段により受信された前記第1の放送信号と前記第2の放送受信手段により受信された前記第2の放送信号のうち少なくとも何れか1つを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を互いに共通の符号化方式に変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を連続的に再生可能な放送データとなるように結合する結合手段と、
前記結合手段により結合された放送データを記憶する記憶手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
前記変換手段は、前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を、前記第1の放送信号又は前記第2の放送信号のうち何れか一方の符号化方式に変換してもよい。
【0013】
前記変換手段は、前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を互いに共通の解像度に変換してもよい。
【0014】
前記変換手段は、前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を、前記第1の放送信号の解像度と前記第2の放送信号の解像度との間にある任意の解像度に変換してもよい。
【0015】
前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を記憶する放送信号記憶手段をさらに備え、
前記変換手段は、前記放送信号記憶手段に記憶された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を互いに共通の符号化方式に変換してもよい。
【0016】
前記選択手段は、前記受信品質取得手段により取得された前記第1の放送信号の受信品質が所定の値を超えたと判別した場合に前記第1の放送信号を選択し、超えていないと判別した場合に前記第2の放送信号を選択してもよい。
【0017】
前記第1の放送信号は、デジタルハイビジョン放送の放送信号であり、
前記第2の放送信号は、ワンセグ放送の放送信号であってもよい。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
第1の放送信号を受信する第1の放送受信手段と、
第2の放送信号を受信する第2の放送受信手段と、
前記第1の放送受信手段により受信された前記第1の放送信号と前記第2の放送受信手段により受信された前記第2の放送信号の受信品質を取得する受信品質取得手段と、
前記第1の放送信号による放送と前記第2の放送信号による放送とが実質的に同一であるか否かを判別するサイマル放送判別手段と、
前記サイマル放送判別手段により実質的に同一であると判別された場合、前記受信品質取得手段により取得された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号の受信品質に基づいて、前記第1の放送受信手段により受信された前記第1の放送信号と前記第2の放送受信手段により受信された前記第2の放送信号のうち少なくとも何れか1つを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を互いに共通の符号化方式に変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を連続的に再生可能な放送データとなるように結合する結合手段と、
前記結合手段により結合された放送データを記憶する記憶手段と、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、受信する放送信号の受信品質を用いて、2つの放送信号を切り替えて録画する放送受信記録装置において、記録したサイマル放送中の複数の放送データを再生する際に、記録時に分断される放送データを一貫した放送コンテンツとして再生する放送受信記録装置及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図2に示した制御部によって実現される機能を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る放送受信記録装置の構成を示すブロック図である。
【図3】主放送及び副放送の電波を受信可能なエリアを示す図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る主放送を録画する際の切替録画処理のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態1に係る受信品質と録画される放送データの時間推移を示す図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る放送データの録画状態とサイマル放送時における結合後の放送データを示す図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る主放送を録画する際の切替録画処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態1)
以下、本発明に係る実施形態1について図1乃至図6を用いて説明する。
【0022】
まず、図2は、本発明の実施形態1に係る放送受信記録装置を携帯電話端末1に適用した場合の構成の一例である。但し、適用先は携帯電話端末に限られず、ポータブル型テレビやノートパソコン等の携帯端末でもよい。
【0023】
また、本実施形態に係る携帯電話端末1は、主放送と副放送を受信し、切り替えて録画する。ここで本実施形態では、主放送とは例えば高品質の地上デジタルハイビジョン放送等を指し、副放送とは主放送よりも品質に低いワンセグメント地上デジタル放送(いわゆる、ワンセグ放送)等のことを指す。図3に示すように、基地局21から主放送及び副放送が送出されている場合、電界強度が強いエリア22では両方の放送を受信品質が良好な状態で受信できるのに対し、電界強度の弱いエリア23では副放送のみが受信品質が良好な状態で受信可能となる。このような電界強度の弱いエリア23では、主放送の代替として副放送が利用される。
【0024】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る携帯電話端末1は、制御110、記憶部120、主放送受信部130、副放送受信部140、通信部150、操作部160、表示部170、音声出力部180を備える。
【0025】
制御部110は、マイクロプロセッサ等から構成され、後述する記憶部120に格納された動作プログラムに従って、携帯電話端末1の全体の動作を制御する。例えば、主放送受信部130又は副放送受信部140で受信した放送の映像を表示部170に表示させ、音声を音声出力部180に出力させる。また、制御部110は、受信された放送データの記録方法を制御する。
【0026】
制御部110は、記憶部120に格納されている動作プログラムを実行することで、図1に示すような機能が実現される。図1に示すように、制御部110は、受信品質測定部111、サイマル放送判別部112、記録制御部113、放送データ変換部114、放送データ結合部115、計時部116などとして機能する。
【0027】
受信品質測定部111は、主放送受信部130及び副放送受信部140が受信している放送の受信品質を測定し、測定結果を記録制御部113に送る。ここで受信品質は、搬送波と雑音の比であるCN比(Carrier to Noise Rate)やBER(Bit Error Rate)、PER(Packet Error Rate)等によって表わされるが、これらの表現方法に限定されるものではない。なお、主放送受信部130及び副放送受信部140がそれぞれ別のものとして構成される場合等には、主放送受信部130から主放送のCN比、副放送受信部140から副放送のCN比といったようにそれぞれの放送についての受信品質を取得してもよい。
【0028】
サイマル放送判別部112は、主放送受信部130及び副放送受信部140が受信している放送が同一のものかどうかを判別し、判別結果を記録制御部113に送る。判別方法としては、通信部150によりインターネットを介して外部のEPG(電子番組表)サイトから取得した主放送と副放送の番組情報の類似度を算出し、算出された類似度が所定の値よりも大きい場合にはサイマル放送であるとする方法がある。また、ある時点における主放送受信部130により受信された放送信号と副放送受信部140により受信された放送信号との相関度を算出するといった方法があるが、特に限定されるものではない。
【0029】
記録制御部113は、受信品質測定部111の測定結果やサイマル放送判別部112の判別結果、操作部160からの操作信号に基づいて、受信・録画する放送を選択し、記憶部120に放送データを記録する。また、必要ならば、放送データ変換部114に放送データの符号変換を指示し、放送データ結合部115に放送データの結合を指示する。例えば、記録された放送データを副放送データの符号化方式及び解像度に統一する場合には、副放送データの変換は行わず、主放送データのみを変換するように放送データ変換部に指示する。また、例えばユーザが主放送の録画を希望する場合に、主放送と副放送の切り替えが行われず、主放送データのみが記憶部120に記録された場合には、変換及び結合の必要はないため、記録制御部113は、放送データ変換部114及び放送データ結合部115に指示をしない。
【0030】
放送データ変換部114は、主放送と副放送を切り替えて録画したことにより分断化されて記憶部120に記録された複数の放送データの互いの符号化方式や解像度が同一となるように放送データを変換する。放送データ変換部114は、ソフトウェア、ハードウェアのどちらで構成されてもよい。なお、ここで使用する「解像度」とは表示に用いられる総画素数を示し、例えば地上デジタルハイビジョン放送であれば1440×1080、ワンセグ放送であれば320×240(最大)である。また、放送データ変換部114は、必要に応じて主放送受信部130、副放送受信部140が持つ復調信号の復号、分離機能を使用する。また、放送データ変換部114は、復調信号に対して符号化を行ってもよい。この符号化処理は、復号化処理を行わずに符号方式を変換するトランスコード処理であっても、復号化処理を行ってから新たに符号化を行うエンコード処理であってもどちらでもよい。
【0031】
放送データ結合部115は、放送データ変換部114により同一の符号化方式・解像度を有することとなった複数の分断化された放送データを、一貫した放送コンテンツとして再生できる放送データとして結合し、記憶部120に記録する。
【0032】
計時部116は、現在時刻を計時する。記録制御部113は、放送データの記録開始時刻や終了時刻を計時部116から取得し、記憶部120に記憶する。さらに、ユーザにより録画の予約が行われている場合には、記録制御部113は、計時部116から取得した時刻と記憶部120に記憶されている録画開始時刻とが一致した場合に、録画を開始する。
【0033】
図2に戻って、記憶部120は、例えば携帯電話に内蔵されるメモリや取り外し可能な外部メモリ等から構成され、例えば制御部110の動作制御用プログラムや、受信された放送データ等を記憶する。
【0034】
主放送受信部130は、アンテナ131等を介して受信した主放送の放送波の復調・復号を行う回路や、視聴するチャンネルを選択するための選局回路(チューナ)から構成される。
【0035】
副放送受信部140は、アンテナ141等を介して受信した副放送の放送波の復調・復号を行う回路や、視聴するチャンネルを選択するための選局回路(チューナ)から構成される。副放送受信部140のチューナとして、ワンセグのみ受信可能なワンセグチューナを用いてもよいが、フルセグチューナを用いて、ワンセグ放送である副放送のみを抽出してもよい。
【0036】
無線通信基地局を介して、通話音声や各種のデータ等を送受信する。例えば、通信部150は外部のEPGサイトから番組情報等を取得する。
【0037】
操作部160は、キーボードやボタン、切替スイッチ等から構成され、ユーザの操作に応じて操作信号を制御部110に入力する。
【0038】
表示部170は、液晶や有機EL等の表示パネルとドライバ回路等から構成され、制御部110の制御により、放送データの映像を表示する。
【0039】
音声出力部180は、DAC(Digital to Analog Converter)、スピーカやイヤホン等で構成され、受信中の放送データ、又は記録された放送データの音声信号をDA変換し、スピーカ等から出力する。
【0040】
上述したように構成される本実施形態に係る携帯電話端末1は、図3に示すような電界強度の強いエリア22では主放送及び副放送を良好な状態で受信及び録画が可能である。また、電界強度の弱いエリア23では副放送を良好な状態で受信及び録画が可能である。そこで、以下では電界強度の強いエリア22と電界強度の弱いエリア23との間を移動するユーザが本実施形態に係る携帯電話端末1を用いて主放送を録画する場合の主放送と副放送の切替録画処理の概要について説明する。図4は、ユーザが録画したい番組が、主放送である場合の切替録画処理のフローチャートである。この切替録画処理は、ユーザ操作による操作部160からの主放送の録画開始を示す操作信号の受信や、予約録画の開始時刻が来たことにより開始する。
【0041】
まず、記録制御部113は、記憶部120にアクセスし、主放送受信部130により受信し、復調・復号された放送データの記録を開始する(ステップS101)。また、記録制御部113は、記憶部120にアクセスし、計時部116から取得した現在時刻を主放送の録画開始時刻として記録するとともに、録画フラグに1を設定する。
【0042】
次に、記録制御部113は、録画フラグが1か否か、すなわち現在記録している放送データが主放送の放送データであるか否かを判別する(ステップS102)。
【0043】
録画フラグが1であると判別した場合(ステップS102;Yes)、記録制御部113は、受信品質測定部111からの主放送の受信品質の測定結果に基づいて、主放送が受信できるか否かを判別する(ステップS103)。なお、本実施形態において「主放送が受信可能」とは、主放送がその受信品質が良好な状態で受信可能であることをいい、具体的には、例えば受信品質測定部111から受信した主放送の受信品質が所定の基準値以下である場合には記録制御部113は「主放送が受信可能」であると判別し、所定の基準値未満である場合には「主放送が受信可能」でないと判別する。
主放送が受信できると判別された場合(ステップS103;Yes)、記録制御部113はステップS102に戻り主放送の録画を継続させる。
【0044】
主放送が受信できないと判別された場合(ステップS103;No)、記録制御部113は、受信品質測定部111からの副放送の受信品質の測定結果に基づいて、副放送が受信できるか否かを判別する(ステップS104)。なお、本実施形態において「副放送が受信可能」とは、副放送がその受信品質が良好な状態で受信可能であることをいい、具体的には、例えば受信品質測定部111から受信した副放送の受信品質が所定の基準値以下である場合には記録制御部113は「副放送が受信可能」であると判別し、所定の基準値未満である場合には「副放送が受信可能」でないと判別する。
副放送の受信ができないと判別された場合(ステップS104;No)、主放送及び副放送の何れも受信できない状態であるため、記録制御部113はステップS102に戻り受信可能となるまで上述の処理を繰り返す。
【0045】
副放送の受信ができると判別された場合(ステップS104;Yes)、サイマル放送判別部112は、主放送と副放送がサイマル放送であるか否かを判別する(ステップS105)。ここで、主放送と副放送がサイマル放送でないと判別された場合(ステップS105;No)、ステップS102に戻り上述の処理を繰り返す。
【0046】
主放送と副放送がサイマル放送であると判断された場合(ステップS105;Yes)、記録制御部113は、録画する放送データの出力源を切り替え、る(ステップS106)。例えば、現在主放送受信部130からの主放送の放送データを記録している場合、記録制御部113は主放送の放送データの記録を停止し、副放送受信部140からの副放送の放送データの記録を開始する。また、現在副放送受信部140からの副放送の放送データを記録している場合、記録制御部113は副放送の放送データの記録を停止し、主放送受信部130からの主放送の放送データの記録を開始する。また、副放送の放送データの記録を開始した場合、記録制御部113は、記憶部120にアクセスして、計時部116から取得した現在時刻を主放送の録画停止時刻及び副放送の録画開始時刻として記録するとともに、録画フラグを0に設定する。また、主放送の放送データの記録を開始した場合、記憶部120にアクセスして、計時部116から取得した現在時刻を副放送の録画停止時刻及び主放送の録画開始時刻として記録するとともに、録画フラグを1に設定する。
【0047】
また、ステップS102において録画フラグが1でないと判別した場合(ステップS102;No)、すなわち副放送を記録中である場合、記録制御部113は受信品質測定部111からの主放送の受信品質の測定結果に基づいて、主放送が受信できるか否かを判別する(ステップS107)。主放送の受信ができないと判別された場合(ステップS107;No)、記録制御部113はステップS102に戻り受信可能となるまで上述の処理を繰り返す。
【0048】
一方、主放送の受信ができると判別された場合は(ステップS107;Yes)、ステップS105に進み、サイマル放送判別部112は、主放送と副放送がサイマル放送であるか否かを判別する。
【0049】
以上の処理をユーザ操作による操作部160からの主放送の録画停止を示す操作信号を記録制御部113が受信したことや、予約録画の終了時刻が来たこと等の録画終了要件が成立するまで繰り返す。なお、主放送及び副放送の何れも受信できない場合、記録制御部113はそのまま録画を継続するのではなく、受信可能となるまで録画を停止してもよい。
【0050】
録画終了要件が成立した場合、記録制御部113は記憶部120への放送データの記録を停止する(ステップS108)。
【0051】
そして、放送データ変換部114は、必要に応じて記憶部120に記録された主放送の放送データ及び副放送の放送データの符号化方式及び解像度が同一となるように、放送データの変換を行う(ステップS109)。具体的には、所定の番組の録画をした場合に記憶部120に記憶された主放送データ及び副放送データからなる複数の放送データについて、副放送データの符号化方式及び解像度に統一する場合には、副放送データの変換は行わず、主放送の符号化方式及び解像度を副放送のものに変換する。
【0052】
そして、放送データ結合部115は、放送データ変換部114により同一の符号化方式及び解像度を有することとなった複数の放送データを一貫した放送コンテンツとして再生できる放送データとして結合し、記憶部120に記録する(ステップS110)。そして、切替録画処理を終了する。
【0053】
次に、切替録画処理のうち、録画終了要件が成立するまでの処理の時間推移の一例を図5に示す。図5の上部にあるグラフは、受信した主放送及び副放送のCN比の時間推移を示す一例である。閾値C0は、副放送を問題なく受信、復調、復号化できるCN比の数値を示す。一方、閾値C1は主放送を問題なく受信、復調、復号化できるCN比の数値を示す。図5の下部にある図は、受信品質を表すCN比の値に基づいて、携帯端末装置1が切り替えて録画する放送データを矩形で示している。図5中の主放送の放送データ32aは、副放送の放送データ31aよりその矩形の高さが大きくなるように表すことで、解像度の高低を矩形の高さの差で模式的に表現している。
【0054】
図5の上部のグラフと下部の図の関係を時間軸に沿って説明する。ここでは、理解を容易にするため、主放送及び副放送のCN比の値と閾値C0、C1を用いた単純なアルゴリズムで主放送及び副放送の切替を行っているが、放送種別の切替アルゴリズムはこれに限られず、主放送と副放送の放送データの録画切替が行われるものであれば、具体的なアルゴリズムは特に問わない。例えば、主放送信号及び副放送信号が合成された状態の放送信号のCN比と主放送を問題なく受信、復調、復号化できる所定のCN比との大小関係、又は副放送を問題なく受信、復調、復号化できる所定のCN比との大小関係により主放送又は副放送の受信の可否を判別し、その結果に基づいて切り替えてもよい。また、ここでは主放送及び副放送のどちらも受信不可能である場合、受信可能となるまで録画を停止するものとし、主放送の放送データの録画中は副放送の放送データの録画は停止しているものとする。
【0055】
まず、グラフの原点である時刻0において、ユーザ操作等により切替録画処理が開始されたとする。時刻0から時刻t1において、主放送のCN比は閾値C1を越えておらず、また副放送のCN比も閾値C0を越えていない。すなわち、主放送も副放送のどちらも受信不可能であるため、携帯端末装置1は録画を停止している状態である(主放送及び副放送のどちらの放送データも録画されていない)。
【0056】
続いて、時刻t1から時刻t2においては副放送のCN比の値が閾値C0を越えているが、主放送のCN比は閾値C1を越えていないため、副放送は受信可能であるが、主放送は受信不可能な状態である。従って、携帯端末装置1は時刻t1にて副放送の放送データの記録を開始し、放送データ31aを記録する。
【0057】
続いて、時刻t2から時刻t3においては主放送のCN比の値が閾値C1を越えているため、主放送が受信可能な状態である。従って、携帯端末装置1は時刻t2にて副放送の放送データの記録を停止するとともに、主放送の放送データの記録を開始し、放送データ32aを記録する。
【0058】
続いて、時刻t3から時刻t4においては副放送のCN比の値が閾値C0を越えているが、主放送のCN比は閾値C1を越えていないため、副放送は受信可能であるが、主放送は受信不可能な状態である。従って、携帯端末装置1は時刻t3にて主放送の放送データの記録を停止するとともに、副放送の放送データの記録を開始し、放送データ31bを記録する。
【0059】
続いて、時刻t4から時刻t5において、主放送のCN比は閾値C1を越えておらず、また副放送のCN比も閾値C0を越えていない。すなわち、主放送も副放送のどちらも受信不可能であるため、携帯端末装置1は時刻t4にて副放送の放送データの記録を停止する。従って、時刻t4から時刻t5においては、主放送及び副放送のどちらの放送データも録画されていない。
【0060】
続いて、時刻t5から時刻t6においては副放送のCN比の値が閾値C0を越えているが、主放送のCN比の値は閾値C1を越えていないため、副放送は受信可能であるが、主放送は受信不可能な状態である。従って、携帯端末装置1は時刻t5にて副放送の放送データの記録を開始し、放送データ31cを記録する。
【0061】
続いて、時刻t6以降では、主放送のCN比の値が閾値C1を越えているため、主放送が受信可能な状態である。従って、携帯端末装置1は時刻t6にて副放送の放送データの記録を停止するとともに、主放送の放送データの記録を開始し、放送データ32bを記録する。
【0062】
このように主放送と副放送を切り替えながら録画を行うと、主放送の放送データ32a、32b、副放送の放送データ31a、31b、31cのように、分断化された放送データが記録される。そこで、一貫した放送データとして再生できるように分断化された放送データを結合する方法を説明する。
【0063】
まず、時刻t2に注目して、主放送と副放送を切り替えながら録画する際の問題点を説明する。時刻t2の直前では、副放送の放送データ31aを記録しており、時刻t2において主放送の放送データ32aを録画するように切り替える。このとき、副放送は放送映像例33aで示すように低解像度であり、主放送は放送映像例33bで示すように高解像度であり、それぞれ解像度が異なる。したがって、放送映像例33aと放送映像例33bを単純に結合すると、再生時の時刻t2において解像度が突然高くなる。また、この解像度の移行は時刻t2に限らず、主放送から副放送に切り替わる時刻t3、副放送から主放送に切り替わる時刻t6についても同様である。このような解像度の移行が頻繁に実行されると、ユーザは映像を視聴し辛くなる。
【0064】
そこで、ユーザが録画コンテンツを視聴する際に、解像度の移行が生じないようにするため、主放送の放送データと副放送の放送データを図6に示すように結合する。
【0065】
図6は、サイマル放送判別部112の判別結果がサイマル放送である場合における主放送及び副放送の結合方法を表した図である。
図6(a)は、主放送と副放送を切り替えて録画した場合において、放送データが分断化した状態を示したものであり、図5の下部と同一のものである。
図6(b)は、主放送の放送データと副放送の放送データを単純に結合した場合の放送データの状態を表したものである。前述のように、主放送の放送データ及び副放送の放送データの解像度が異なるため、時刻t2、t3、t6では表示中に解像度が移行する。なお、時刻t4から時刻t5にかけては、主放送の放送データ及び副放送の放送データともに記録されていないため、この区間は結合時に省略してもよい。また、黒い画面等で補間してもよい。
図6(c)は、主放送の放送データの解像度を副放送の解像度に統一し、主放送データと副放送データをそれぞれの録画開始時刻及び録画停止時刻に基づいて結合した場合の録画データの状態を表したものである。図6(c)では、例えば副放送の解像度に統一した場合を示しているが、これに限られず、主放送の解像度に統一したり、主放送と副放送の解像度の間にある値も統一したり、任意の値に統一することができる。また、ユーザが統一したい解像度を操作部160を用いて選択できるようにしてもよい。これにより、放送データの表示中に解像度が移行することはない。なお、時刻t4から時刻t5の結合方法は図6(b)で説明した方法と同様である。
【0066】
また、主放送の放送データと副放送の放送データの符号化方式が異なる場合は、ある統一した符号化方式に変換してもよい。採用する符号化方式は、主放送の放送データの符号化方式、副放送の放送データの符号化方式に限らず、それら以外の符号化方式に統一してもよい。また、ユーザが統一したい符号化方式を操作部160を用いて選択できるようにしてもよい。
【0067】
このように、主放送が受信できない場合、サイマル放送であるか否かを判定した後にサイマル放送である場合には副放送に切り替えて録画し、サイマル放送でない場合には副放送に切り替えずに主放送のまま録画を行うことによって、主放送を録画したいユーザが録画していた番組と異なる番組へ切り替わることを防ぎ、かつサイマル放送である場合には代替的に録画された副放送により、途切れることなく放送コンテンツを録画することが可能である。さらに、主放送と副放送とを切り替えて録画した際に生じた複数の分断化された放送データを、同一の解像度、同一の符号化方式に変換した後に結合することで、一貫した放送コンテンツとして再生可能であり、かつ視聴者が放送の切り替えを意識しにくく見やすい表示を行うことが可能である。
【0068】
(実施形態2)
次に、本発明に係る実施形態2について説明する。実施形態1では録画終了要件成立後に録画を停止し、放送データの変換を行うが、実施形態2では放送データの記録中に放送データの変換を行う。ここで、実施形態2における携帯電話端末1の構成は、実施形態1におけるものと同様であるため、その説明を省略する。
【0069】
次に、主放送を録画する場合の主放送と副放送の切替処理の概要について説明する。図7は、ユーザが録画したい番組が、主放送である場合の切替録画処理のフローチャートである。この切替録画処理は、ユーザ操作による操作部160からの主放送の録画開始を示す操作信号の受信や、予約録画の開始時刻が来たことにより開始する。
【0070】
まず、サイマル放送判別部112は、主放送と副放送がサイマル放送であるか否かを判別する(ステップS201)。
【0071】
サイマル放送であると判別した場合(ステップS201;Yes)、記録制御部113は、主放送受信部130により受信し、復調・復号された放送データを放送データ変換部114へ送る。そして、放送データ変換部140は、主放送の放送データの符号化方式及び解像度が例えば予め記憶部120に記憶された所定の符号化方式及び解像度となるように、放送データの変換を行い、変換後の放送データを記憶部120に記録する(ステップS202)。以下、受信した放送データを直接放送データ変換部140に送って変換した後に記憶部120に記憶させる処理を「トランスコード録画」と呼ぶ。また、記録制御部113は、記憶部120にアクセスし、計時部116から取得した現在時刻を主放送の録画開始時刻として記録するとともに、録画フラグに1、サイマルフラグに1を設定する。
【0072】
サイマル放送でないと判別した場合(ステップS201;No)、記録制御部113は、主放送受信部130により受信し、復調・復号された放送データの記憶部120への記録を開始する(ステップS203)。また、記録制御部113は、記憶部120にアクセスし、録画フラグに1、サイマルフラグに0を設定する。
【0073】
次に、記録制御部113は、録画フラグが1か否か、すなわち現在記録している放送データが主放送の放送データであるか否か判別する(ステップS204)。
【0074】
録画フラグが1であると判別した場合(ステップS204;Yes)、記録制御部113は操作部111から主放送の録画実行の操作信号を受信した制御部110は、受信品質測定部111からの主放送の受信品質の測定結果に基づいて、主放送が受信できるか否かを判別する(ステップS205)。主放送が受信できると判別された場合(ステップS205;Yes)、記録制御部113はステップS204に戻り主放送の録画を継続させる。なお、主放送及び副放送の受信可能の可否の判別については、実施形態1と同様に行うことが可能であるため、その説明を省略する。
【0075】
主放送が受信できないと判別された場合(ステップS205;No)、記録制御部113は、受信品質測定部111からの副放送の受信品質の測定結果に基づいて、副放送が受信できるか否かを判別する(ステップS206)。副放送の受信ができないと判別された場合(ステップS206;No)、主放送及び副放送の何れも受信できない状態であるため、記録制御部113はステップS204に戻り受信可能となるまで上述の処理を繰り返す。
【0076】
副放送の受信ができると判別された場合(ステップS206;Yes)、記録制御部113は、サイマルフラグが1か否か、すなわち主放送と副放送がサイマル放送であるか否かを判別する(ステップS207)。ここで、主放送と副放送がサイマル放送でないと判別された場合(ステップS207;No)、ステップS204に戻り上述の処理を繰り返す。
【0077】
主放送と副放送がサイマル放送であると判断された場合(ステップS207;Yes)、記録制御部113は、録画する放送データの出力源を切り替える(ステップS208)。例えば、現在主放送受信部130からの主放送の放送データをトランスコード録画している場合、記録制御部113は主放送の放送データの記録を停止し、副放送受信部140からの副放送の放送データのトランスコード録画を開始する。このとき、放送データ変換部140は、主放送の放送データの符号化方式及び解像度と同一の符号化方式及び解像度となるように、副放送の放送データの変換を行い、変換後の放送データを記憶部120に記録する。また、現在副放送受信部140からの副放送の放送データをトランスコード録画している場合、記録制御部113は副放送の放送データの記録を停止し、主放送受信部130からの主放送の放送データのトランスコード録画を開始する。また、副放送の放送データのトランスコード録画を開始した場合、計時部116から取得した現在時刻を主放送の録画停止時刻及び副放送の録画開始時刻として記録するとともに、録画フラグを0に設定する。また、主放送の放送データのトランスコード録画を開始した場合、計時部116から取得した現在時刻を副放送の録画停止時刻及び主放送の録画開始時刻として記録するとともに、録画フラグを1に設定する。なお、主放送データ及び副放送データの符号化方式及び解像度の変換については、実施形態1と同様に行うことが可能であるため、その説明を省略する。
【0078】
また、ステップS204において録画フラグが1でないと判別した場合(ステップS204;No)、すなわち副放送を記録中である場合、記録制御部113は受信品質測定部111からの主放送の受信品質の測定結果に基づいて、主放送が受信できるか否かを判別する(ステップS209)。主放送の受信ができないと判別された場合(ステップS209;No)、記録制御部113はステップS204に戻り受信可能となるまで上述の処理を繰り返す。
【0079】
一方、主放送の受信ができると判別された場合は(ステップS209;Yes)、再度、サイマル放送判別部112は、主放送と副放送がサイマル放送であるか否かを判別する(ステップS210)。このように再度サイマル放送の判別を行うのは、主放送が受信可能となった場合に、すでにサイマル放送の状況が変化し、サイマル放送でなくなっている可能性があるからである。
【0080】
サイマル放送であると判別した場合(ステップS210;Yes)、記録制御部113は、記憶部120にアクセスし、サイマルフラグに1を設定する(ステップS211)。その後、ステップS208に進む。
【0081】
サイマル放送でないと判別した場合(ステップS210;No)、記録制御部113は、記憶部120にアクセスし、サイマルフラグに0を設定する(ステップS212)。その後、ステップS204に進む。
【0082】
以上の処理をユーザ操作による操作部160からの主放送の録画停止を示す操作信号の受信や、予約録画の終了時刻が来たこと等の録画終了要件が成立するまで繰り返す。なお、主放送及び副放送の何れも受信できない場合、記録制御部113はそのまま録画を継続するのではなく、受信可能となるまで録画を停止してもよい。
【0083】
録画終了要件が成立した場合、記録制御部113は記憶部120への放送データの録画を停止する(ステップS213)。
【0084】
そして、放送データ結合部115は、同一の符号化方式及び解像度を有する記憶部120に記憶された複数の放送データを一貫した放送コンテンツとして再生できる放送データとして結合し、記憶部120に記録する(ステップS214)。そして、切替録画処理を終了する。なお、主放送データ及び副放送データの結合については、実施形態1と同様に行うことが可能であるため、その説明を省略する。
【0085】
このように、サイマル放送である場合には主放送をトランスコード録画し、主放送が受信できない場合には副放送をトランスコード録画し、サイマル放送でない場合には副放送に切り替えずに主放送のまま通常の録画を行うことによって、主放送を録画したいユーザが録画していた番組と異なる番組へ切り替わることを防ぎ、かつサイマル放送である場合には代替的に録画された副放送により、途切れることなく放送コンテンツを録画することが可能である。さらに、主放送と副放送とをトランスコード録画し、複数の分断化された放送データを結合することで、一貫した放送コンテンツとして再生可能であり、かつ視聴者が放送の切り替えを意識しにくく見やすい表示を行うことが可能である。
【0086】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0087】
本発明の実施形態1及び実施形態2では、ユーザが主放送を録画したい場合の切替録画処理について説明したが、例えばユーザが副放送の録画を希望する場合であって、主放送と副放送がサイマル放送である場合に、より高画質の主放送を優先的に録画し、主放送で受信できない部分については副放送として録画することを希望する場合においても、上述した切替録画処理を用いてもよい。
具体的には、ユーザ操作による操作部160からの副放送の録画開始を示す操作信号の受信や、副放送の予約録画の開始時刻が来たことにより切替録画処理が開始される。そして、記録制御部113は、副放送受信部140により受信し、復調・復号された放送データの記憶部105への記録を開始する。また、記録制御部113は、記憶部120にアクセスし、録画フラグに0を設定する。この後、図4のステップS102以降と同様の処理を行えばよい。
なお、ユーザが副放送の録画を希望するが、主放送への切替を希望しない場合には、受信可能か否か、及びサイマル放送か否かの判別を行わずに、継続的に副放送の受信・録画を行ってもよい。
【0088】
本発明の実施形態1及び実施形態2では、サイマル放送である場合に切替録画処理を行い、符号化方式等の変換及び分断化された放送データの結合を行った。しかし、サイマル放送でない場合に記録された主放送データや副放送データについては、どちらか一方の放送データのみが記録されている状態であるため、符号化方式の変換を行わなくてもよい。また、サイマル放送でない場合に記録された主放送データや副放送データについて、分断化された主放送データ同士の結合、分断化された副放送データ同士の結合を行ってもよい。
【0089】
本発明の実施形態1及び実施形態2では、図1や図3に示すように、主放送受信部130及び副放送受信部140が、それぞれ別々に構成されているが、1つの放送受信部として一体に構成されてもよい。具体的には、主放送と副放送を両方受信可能なフルセグチューナを用いて、受信した放送信号から主放送データ及び副放送データをそれぞれ抽出することにより可能である。
【0090】
本発明の実施形態1及び実施形態2では、主放送と副放送の切り替えの際に、一方の録画を停止してから他方の録画を開始している。しかし、録画を停止せずに、主放送データ及び副放送データの両方を同時に録画してもよい。この場合には、両方の受信品質を監視し、所定の基準値よりも大きくなった時刻及び小さくなった時刻を記憶部120に記憶しておき、録画を終了してから記憶された時刻に基づいて良好に受信及び録画された放送データを切り出し、結合してもよい。
【0091】
また、本発明の実施形態2では、主放送及び副放送の両方についてトランスコード録画を行ったが、どちらか一方の放送データの符号化方式及び解像度に統一する場合、その放送データはトランスコード録画しなくてもよい。具体的には、副放送データの符号化方式及び解像度に統一する場合には、副放送データについてはトランスコード録画せずにそのまま録画し、主放送データについてのみトランスコード録画を行ってもよい。
【0092】
また、本発明の実施形態1及び実施形態2では、主放送及び副放送の両方がデジタル放送である場合について述べたが、両放送がデジタル放送でなくてもよく、例えば、副放送がアナログ放送であってもよい。この場合、副放送受信部140のチューナとしてアナログ放送用のチューナを用いればよい。
【0093】
なお、本発明の実施形態1及び実施形態2にかかる携帯電話端末1により実行される切替録画処理は、コンピュータによって実現することもできる。例えば、携帯電話端末1の記憶部120に記憶されているプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical disk)等のコンピュー読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する装置を構成することができる。
【0094】
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するようにしてもよい。
【0095】
また、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
さらに、プログラムの全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、その処理に関する情報をコンピュータが通信ネットワークを介して送受信しながらプログラムを実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0096】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロード等してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…携帯電話端末、110…制御部、111…受信品質測定部、112…サイマル放送判別部、113…記録制御部、114…放送データ変換部、115…放送データ結合部、116…計時部、120…記憶部、130…主放送受信部、131…アンテナ、140…副放送受信部、141…アンテナ、150…通信部、160…操作部、170…表示部、180…音声出力部、21…基地局、22…電界強度の強いエリア、23…電界強度の弱いエリア、31a、31b、31c…副放送データ、32a、32b…主放送データ、33a…副放送の放送映像例、33b…主放送の放送映像例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の放送信号を受信する第1の放送受信手段と、
第2の放送信号を受信する第2の放送受信手段と、
前記第1の放送受信手段により受信された前記第1の放送信号と前記第2の放送受信手段により受信された前記第2の放送信号の受信品質を取得する受信品質取得手段と、
前記第1の放送信号による放送と前記第2の放送信号による放送とが実質的に同一であるか否かを判別するサイマル放送判別手段と、
前記サイマル放送判別手段により実質的に同一であると判別された場合、前記受信品質取得手段により取得された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号の受信品質に基づいて、前記第1の放送受信手段により受信された前記第1の放送信号と前記第2の放送受信手段により受信された前記第2の放送信号のうち少なくとも何れか1つを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を互いに共通の符号化方式に変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を連続的に再生可能な放送データとなるように結合する結合手段と、
前記結合手段により結合された放送データを記憶する記憶手段と、
を備えることを特徴とする放送受信記録装置。
【請求項2】
前記変換手段は、前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を、前記第1の放送信号又は前記第2の放送信号のうち何れか一方の符号化方式に変換する、
ことを特徴とする請求項1に記載の放送受信記録装置。
【請求項3】
前記変換手段は、前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を互いに共通の解像度に変換する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の放送受信記録装置。
【請求項4】
前記変換手段は、前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を、前記第1の放送信号の解像度と前記第2の放送信号の解像度との間にある任意の解像度に変換する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放送受信記録装置。
【請求項5】
前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を記憶する放送信号記憶手段をさらに備え、
前記変換手段は、前記放送信号記憶手段に記憶された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を互いに共通の符号化方式に変換する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放送受信記録装置。
【請求項6】
前記選択手段は、前記受信品質取得手段により取得された第1の放送信号の受信品質が所定の値を超えたと判別した場合に第1の放送信号を選択し、超えていないと判別した場合に第2の放送信号を選択する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放送受信記録装置。
【請求項7】
前記第1の放送信号は、デジタルハイビジョン放送の放送信号であり、
前記第2の放送信号は、ワンセグ放送の放送信号である、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放送受信記録装置。
【請求項8】
コンピュータを、
第1の放送信号を受信する第1の放送受信手段と、
第2の放送信号を受信する第2の放送受信手段と、
前記第1の放送受信手段により受信された前記第1の放送信号と前記第2の放送受信手段により受信された前記第2の放送信号の受信品質を取得する受信品質取得手段と、
前記第1の放送信号による放送と前記第2の放送信号による放送とが実質的に同一であるか否かを判別するサイマル放送判別手段と、
前記サイマル放送判別手段により実質的に同一であると判別された場合、前記受信品質取得手段により取得された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号の受信品質に基づいて、前記第1の放送受信手段により受信された前記第1の放送信号と前記第2の放送受信手段により受信された前記第2の放送信号のうち少なくとも何れか1つを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を互いに共通の符号化方式に変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された前記第1の放送信号と前記第2の放送信号を連続的に再生可能な放送データとなるように結合する結合手段と、
前記結合手段により結合された放送データを記憶する記憶手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−283621(P2010−283621A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135556(P2009−135556)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】