説明

放電灯点灯装置及び照明器具

【課題】周囲温度又はランプ電力に応じてフィードバック回路の遅延時間を変更し、ジャンプ現象をより確実に抑止する。
【解決手段】マイコンIC4は、抵抗R9と可変抵抗R15によって分圧されて決定される基準値(ランプ電力の目標値)に基づいて、スイッチSW1〜SWnをオン/オフさせる。スイッチSW1〜SWnのうち、オンになったスイッチに接続されているコンデンサ(コンデンサC21〜Cn)は、コンデンサC2に並列に接続されることになる。フィードバック回路FBの遅延時間T=(抵抗R5の抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量+コンデンサC21〜Cnのうち接続されたコンデンサの容量の合計)であるから、フィードバック回路FBは、基準値に応じて遅延時間Tを最適値に変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ランプを調光可能な放電灯点灯装置において、フィードバック回路を設けることにより、急激にランプの光束が変化するジャンプ現象を抑止するものがある。しかしながら、ランプ電力が小さく、低温のときに、フィードバック回路の遅延時間が不適切であると、ジャンプ現象が発生してしまう。そこで、フィードバック回路の遅延時間をT(単位は秒)、インバータ(IV)制御集積回路(IC)の発振周波数をfとしたとき、少なくとも1/f≦T≦1/2500となるように遅延時間Tを設定する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−30887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周囲温度やランプ電力により、遅延時間Tの最適値が異なる(範囲が狭い)ため、従来技術では、ジャンプ現象を回避できない場合があるという課題があった。
【0005】
本発明は、例えば、周囲温度又はランプ電力に応じてフィードバック回路の遅延時間を変更し、ジャンプ現象をより確実に抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係る放電灯点灯装置は、
直流電源から出力される直流電圧をスイッチング素子でスイッチングすることにより高周波交流電圧に変換して当該高周波交流電圧を放電灯に印加するインバータ回路と、
前記放電灯で消費される電力に対応する電力値を検出し、検出した電力値が前記放電灯の調光制御を行うための基準値に近づくように前記スイッチング素子のスイッチング周波数を調整するフィードバック制御を行うフィードバック回路であって、前記基準値と温度センサにより測定される周囲の温度との少なくともいずれかに応じて前記フィードバック制御の遅延時間を変更するフィードバック回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一の態様によれば、放電灯点灯装置において、フィードバック回路が、放電灯のランプ電力に対応する電力値を検出し、検出した電力値が基準値に近づくようにインバータ回路のスイッチング素子のスイッチング周波数を調整するとともに、基準値と温度センサにより測定される周囲の温度との少なくともいずれかに応じてフィードバック回路の遅延時間を変更するため、ジャンプ現象をより確実に抑止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係る照明器具の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る放電灯点灯装置の構成を示す回路図である。
【図3】実施の形態2に係る放電灯点灯装置の構成を示す回路図である。
【図4】実施の形態3に係る放電灯点灯装置の構成を示す回路図である。
【図5】実施の形態4に係る放電灯点灯装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る照明器具10の構成例を示すブロック図である。
【0010】
図1において、照明器具10は、放電灯点灯装置11、放電灯点灯装置11に接続された電源端子台12及びランプソケット13を備えている。電源端子台12は、外部の商用電源14とつながる電力線15に接続されている。ランプソケット13は、ランプ16を着脱可能である。放電灯点灯装置11は、電源端子台12を介して商用電源14により給電され、ランプソケット13に取り付けられたランプ16の点灯制御及び調光制御を行う。つまり、放電灯点灯装置11は、ランプ16に電力を供給することによりランプ16を点灯させる。また、放電灯点灯装置11は、ランプ16に供給する電力を変化させることによりランプ16の調光を行う。
【0011】
図2は、本実施の形態に係る放電灯点灯装置11の構成を示す回路図である。
【0012】
図2において、放電灯点灯装置11は、直流電源E、負荷回路LD、フィードバック回路FB、制御電源回路CG、インバータ(IV)制御集積回路IC2、インバータ回路IVを備える。
【0013】
直流電源Eは、例えば図1に示した電源端子台12を介して、外部の商用電源14とつながる電力線15に接続される。直流電源Eは、商用電源14の交流電圧を整流平滑して直流電圧を出力する。
【0014】
インバータ回路IVは、ハーフブリッジ式インバータであり、スイッチング素子Q2,Q3を備える。スイッチング素子Q2はMOS・FETであり、ドレインが直流電源Eに接続され、ソースがスイッチング素子Q3のドレインに接続され、ゲートがIV制御集積回路IC2のピン2に接続される。スイッチング素子Q3もMOS・FETであり、ドレインがスイッチング素子Q2のソースに接続され、ソースがフィードバック回路FBの検出抵抗R6を介して直流電源Eに接続され、ゲートがIV制御集積回路IC2のピン4に接続される。インバータ回路IVは、直流電源Eから出力される直流電圧をスイッチング素子Q2,Q3でスイッチングすることにより交流電圧に変換して出力する。
【0015】
負荷回路LDには、予熱電極F1,F2を有する放電ランプLA(例えば図1に示したランプソケット13に取り付けられるランプ16)が接続される。負荷回路LDは、バラストチョークL、カップリングコンデンサC5、始動コンデンサC6を備える。バラストチョークLは、放電ランプLAの放電電流を制限する。カップリングコンデンサC5は、バラストチョークLと放電ランプLAの予熱電極F2の間に接続される。始動コンデンサC6は、放電ランプLAの両端の予熱電極F1,F2に接続される。
【0016】
フィードバック回路FBは、IV制御集積回路IC2を介して、インバータ回路IVの発振周波数(共振周波数)を制御することにより、放電ランプLAに供給する電力を基準値(調光制御におけるランプ電力の目標値)に維持する。フィードバック回路FBの構成については後述する。
【0017】
制御電源回路CGは、起動抵抗R1、制御電源コンデンサC3、定電圧ダイオードDZを備える。起動抵抗R1は、直流電源Eに接続される。制御電源コンデンサC3は、起動抵抗R1とアースの間に接続される。定電圧ダイオードDZは、制御電源コンデンサC3の電圧を安定させる。制御電源回路CGは、直流電源Eが出力する直流電圧の降圧を行って、IV制御集積回路IC2及びフィードバック回路FBに制御電源を供給する。
【0018】
IV制御集積回路IC2は、インバータ回路IVの発振を制御する集積回路(IC)であり、ピン1〜6を有する。ピン1は、制御電源コンデンサC3と起動抵抗R1の接続点に接続された電源入力端子である。ピン2,4は、それぞれインバータ回路IVのスイッチング素子Q2,Q3の駆動電圧を出力する電圧出力端子である。ピン3は、基準電圧端子である。ピン5は、インバータ回路IVの共振周波数を決定する電流を出力する電流出力端子(主発振抵抗接続端子)である。ピン6は、フィードバック回路FBのコンデンサC4の充電、放電のための電流入出力端子である。
【0019】
フィードバック回路FBは、抵抗R2,R3、ダイオードD5、コンデンサC4、検出抵抗R6、積分回路IN、誤差増幅器EA、切り替え回路CCを備える。
【0020】
抵抗R2は、一端がIV制御集積回路IC2のピン5に接続され、他端が直流電源Eの負極に接続される。抵抗R3は、一端がIV制御集積回路IC2のピン5に接続され、他端がダイオードD5のアノードに接続される。ダイオードD5のカソードは、誤差増幅器EAに接続される。抵抗R2,R3は、IV制御集積回路IC2のピン5から流出する電流を決める。コンデンサC4は、一端がIV制御集積回路IC2のピン6に接続され、他端がグランドに接続される。検出抵抗R6は、放電ランプLAに流れる高周波電圧を検出する。積分回路INは、抵抗R5とコンデンサC8で構成され、検出抵抗R6で検出された高周波電圧を平均化する。
【0021】
誤差増幅器EAは、抵抗R9、可変抵抗R15、オペアンプIC3(演算増幅器)、コンデンサC2で構成される。抵抗R9と可変抵抗R15は、起動抵抗R1及び制御電源コンデンサC3の接続点と直流電源Eの負極の間に直列に接続される。オペアンプIC3の非反転入力端子には、抵抗R9及び可変抵抗R15の接続点が接続され、この接続点からの基準電圧が印加される。基準電圧は、前述した基準値を示す。オペアンプIC3の非反転入力端子には、マイコンIC4のピン2も接続される。オペアンプIC3の反転入力端子には、積分回路INが接続されるとともに、切り替え回路CCのスイッチSW1〜SWnが接続される。また、オペアンプIC3の反転入力端子には、コンデンサC2の一端が接続される。コンデンサC2の他端は、オペアンプIC3の出力端子と切り替え回路CCのコンデンサC21〜Cnに接続される。オペアンプIC3は、積分回路INの出力電圧を基準電圧に等しくなるように制御する。
【0022】
切り替え回路CCは、オペアンプIC3の反転入力端子と出力端子に接続される。切り替え回路CCは、マイコンIC4、スイッチSW1〜SWn、コンデンサC21〜Cnで構成される。スイッチSW1〜SWnとしては、例えばマルチプレクサのような素子を用いることができる。マイコンIC4は、ピン1,2を有する。マイコンIC4のピン1には、制御電源コンデンサC3が接続される。マイコンIC4のピン1に印加される制御電源コンデンサC3の電圧が上昇し、マイコンIC4の動作電圧に達すると、マイコンIC4が動作を開始する。マイコンIC4のピン2には、オペアンプIC3の非反転入力端子接続され、基準電圧が印加される。スイッチSW1〜SWnは、マイコンIC4からの制御信号に応じてオン/オフする。コンデンサC21〜Cnは、1つずつスイッチSW1〜SWnに接続される。
【0023】
フィードバック回路FBは、放電ランプLAのランプ電力に対応する電力値を検出抵抗R6で検出する。そして、フィードバック回路FBは、検出抵抗R6で検出した電力値と放電ランプLAの調光制御を行うために予め設定される基準値(オペアンプIC3の非反転入力端子に入力される基準値)とに基づいてインバータ回路IVのスイッチング素子Q2,Q3のスイッチング周波数を調整するフィードバック制御を行う。具体的には、フィードバック回路FBは、フィードバック制御において、検出抵抗R6で検出する電力値が基準値に近づくように、オペアンプIC3を用いてスイッチング素子Q2,Q3のスイッチング周波数を調整する。これにより放電ランプLAの電力を変化させて放電ランプLAの調光制御を行うことができる。また、フィードバック回路FBは、基準値に応じてフィードバック制御の遅延時間Tを変更する。このように、本実施の形態では、フィードバック制御の遅延時間Tは、フィードバック回路FBが制御することで変更可能なもの(即ち、可変)である。フィードバック回路FBの具体的な動作については後述する。
【0024】
以下、放電灯点灯装置11の動作について説明する。
直流電源Eが投入されると、直流電源E→起動抵抗R1→制御電源コンデンサC3→直流電源Eの閉ループで駆動電流が流れ、制御電源コンデンサC3が充電される。制御電源コンデンサC3の電圧はIV制御集積回路IC2のピン1に印加される。制御電源コンデンサC3の電圧が上昇し、IV制御集積回路IC2の動作電圧に達すると、IV制御集積回路IC2が発振を開始する。この発振によりIV制御集積回路IC2のピン2とピン4からインバータ回路IVのスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3のゲートに高周波数の電圧が交互に印加される。これによってスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3が交互にオンとなる。このようにスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3が交互にオン/オフ動作し、インバータ回路IVが高周波で発振する。
【0025】
インバータ回路IVのスイッチング素子Q3がオンのときは、直流電源E→予熱電極F1→始動コンデンサC6→予熱電極F2→カップリングコンデンサC5→バラストチョークL→スイッチング素子Q3→検出抵抗R6→直流電源Eの閉ループで電流が流れる。インバータ回路IVのスイッチング素子Q2がオンのときは、カップリングコンデンサC5→予熱電極F2→始動コンデンサC6→予熱電極F1→スイッチング素子Q2→バラストチョークL→カップリングコンデンサC5の閉ループで電流が流れる。このように、インバータ回路IVにより、バラストチョークL、カップリングコンデンサC5、予熱電極F2、始動コンデンサC6、予熱電極F1の直列回路に高周波電流が流される。このとき、カップリングコンデンサC5の容量>>始動コンデンサC6の容量の関係があり、バラストチョークLと始動コンデンサC6のLC直列共振によって始動コンデンサC6に高周波高電圧が生じ、この高周波高電圧が放電ランプLAに印加される。これにより、放電ランプLAが点灯する。
【0026】
一方、このとき、検出抵抗R6に生じた高周波電圧は、フィードバック回路FBの積分回路INによって平均化される。即ち、直流電圧に変換される。この直流電圧は誤差増幅器EAのオペアンプIC3の反転入力端子に印加される。
【0027】
IV制御集積回路IC2の発振周波数は、コンデンサC4の容量と、IV制御集積回路IC2のピン5から抵抗R2,R3に流出する電流で決定される。この電流が大きいほど、IV制御集積回路IC2の発振周波数は高くなる。IV制御集積回路IC2のピン5から抵抗R3に流れる電流はオペアンプIC3の出力電圧の変化に応じて変化するため、オペアンプIC3の出力電圧を調節することによりIV制御集積回路IC2の発振周波数を制御することができる。そのため、IV制御集積回路IC2の発振周波数の制御は、積分回路INの出力電圧がオペアンプIC3の非反転入力端子の基準電圧に等しくなるように、オペアンプIC3の出力電圧が調節されることにより行われる。この結果、検出抵抗R6を流れる高周波電流の平均値、即ち、放電ランプLAと放電ランプLAの予熱電極F1,F2で消費される電力の和である負荷電力(ランプ電力に対応する電力値)が一定に保たれる。
【0028】
フィードバック回路FBの主要な遅延要素は、積分回路INの抵抗R5及びコンデンサC8と、誤差増幅器EAのコンデンサC2であり、フィードバック回路FBの遅延時間Tの目安は、T=(抵抗R5の抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量)となる。例えば、抵抗R5の抵抗=9.1kΩ、コンデンサC8の容量=100nF、コンデンサC2の容量=1.22nFとすると、遅延時間T=9.1kΩ×(100nF+1.22nF)=約900μs(マイクロ秒)となる。
【0029】
前述したように、フィードバック回路FBは、負荷電力を、オペアンプIC3の非反転入力端子に印加される基準電圧で設定される電力(基準値)になるように制御している。この負荷電力を変化させる(放電ランプLAを調光する)には、例えば、可変抵抗R15の抵抗値を変化させて、オペアンプIC3の基準電圧を変更すればよい。なお、放電灯点灯装置11は、可変抵抗R15の抵抗値によって基準値を設定する代わりに、他の要素を用いて基準値を設定するように構成されていてもよい。例えば、マイコンIC4からオペアンプIC3の非反転入力端子に基準電圧を印加するようにしてもよい。
【0030】
放電ランプLAの明るさが急に変化するジャンプ現象は、放電ランプLAの電流あるいは電力が急激に変化することによって発生する。ある蛍光ランプでジャンプ現象が発生する際に、このような電気特性の変化にかかる時間は約1000μsである。この時間は、前述した例のようにフィードバック回路FBの遅延時間Tが約900μsであるとすると、遅延時間Tに近いことになる。このような場合、フィードバック回路FBは、蛍光ランプでジャンプ現象を発生させる負荷電力の急激な変化を抑えることができない。つまり、フィードバック回路FBは、一定の負荷電力を維持できない(負荷電力を基準電圧で設定される電力に制御できない)。しかも、一旦ジャンプ現象が発生してしまうと、蛍光ランプの特性が大きく変化するため、フィードバック回路FBは負荷電力をジャンプ現象の発生前の状態に戻すことができない。
【0031】
放電ランプLAでジャンプ現象が発生する際に、上記のように電気特性が変化するのにかかる時間は、周囲温度やランプ電力により異なる。したがって、周囲温度や基準値により、フィードバック回路FBの遅延時間Tの最大許容値が異なってくる。つまり、周囲温度や基準値により、最適な遅延時間Tが異なる(最適な遅延時間Tの範囲が狭くなる)。そのため、周囲温度や基準値により、遅延時間Tを最適化しないと、ジャンプ現象を回避できないことがある。なお、遅延時間Tの最小許容値は、放電ランプLAのエミレス点灯により過大なランプ電力が消費される場合等を考慮して設定される。
【0032】
本実施の形態では、切り替え回路CCが基準値を検出し、検出した基準値に応じてフィードバック回路FBの遅延時間Tを変更する。つまり、フィードバック回路FBの遅延時間Tは、切り替え回路CCが制御することで変更可能なもの(即ち、可変)である。
【0033】
具体的には、マイコンIC4は、抵抗R9と可変抵抗R15によって分圧されて決定される基準値をピン2から入力する。そして、マイコンIC4は、入力した基準値に基づいて、出力端子S1〜Snから、スイッチSW1〜SWnをオン/オフさせるH/Lの電圧信号を出力する。なお、マイコンIC4は、複数の基準値と、各基準値に対応する遅延時間Tの値(放電ランプLAの特性に合わせて事前に決定される最適値)の組み合わせを、基準値ごとに予め記憶装置に記憶しているものとする。そして、マイコンIC4は、ピン2から入力した基準値に対応する遅延時間Tの値を記憶装置から読み出し、遅延時間Tを、読み出した値になるように制御するソフトウェアを実装しているものとする。つまり、本実施の形態では、マイコンIC4が、基準値と、遅延時間Tの許容範囲との対応関係を定義した定義データを予め記憶する記憶装置を備えている。そして、フィードバック回路FBは、この記憶装置から定義データを読み取り、読み取った定義データに基づいて遅延時間Tを変更する。
【0034】
スイッチSW1〜SWnのうち、オンになったスイッチに接続されているコンデンサ(コンデンサC21〜Cn)は、コンデンサC2に並列に接続されることになる。したがって、フィードバック回路FBの遅延時間Tを、T=(抵抗R5の抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量+コンデンサC21〜Cnのうち接続されたコンデンサの容量の合計)とすることができる。
【0035】
つまり、本実施の形態では、フィードバック回路FBは、ランプ電力を設定するための基準値に応じて、フィードバック回路FBの遅延時間Tを、T=(抵抗R5の抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量)、T=(抵抗R5の抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量+コンデンサC21の容量)、T=(抵抗R5の抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量+コンデンサC21の容量+コンデンサC22の容量)、・・・といったように変化させることができる。このように、本実施の形態によれば、基準値に応じて、フィードバック回路FBの遅延時間Tを最適化することで、ジャンプ現象を回避することができる。
【0036】
上記のように、本実施の形態では、フィードバック回路FBは、インピーダンス素子として、オペアンプIC3に並列接続される複数のコンデンサ(コンデンサC21〜Cn)を具備しており、それぞれのコンデンサ(コンデンサC21〜Cn)を選択的に導通させることにより遅延時間Tを可変にしているが、他の方法により遅延時間Tを可変にしてもよい。また、本実施の形態では、フィードバック回路FBは、コンデンサ(コンデンサC21〜Cn)を用いて遅延時間Tを変更するが、他のインピーダンス素子を用いて遅延時間Tを変更してもよい。例えば、後述する実施の形態3では、フィードバック回路FBは、抵抗を用いて遅延時間Tを変更する。
【0037】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0038】
図3は、本実施の形態に係る放電灯点灯装置11の構成を示す回路図である。
【0039】
図3において、フィードバック回路FBの切り替え回路CCは、サーミスタP(温度センサの例)を備える。サーミスタPは、マイコンIC4に接続される。
【0040】
本実施の形態では、フィードバック回路FBは、温度センサ(サーミスタP)により測定される周囲の温度に応じてフィードバック制御の遅延時間Tを調整する。つまり、本実施の形態では、切り替え回路CCが周囲温度を検出し、検出した周囲温度に応じてフィードバック回路FBの遅延時間Tを変更する。
【0041】
具体的には、マイコンIC4は、サーミスタPによって感知された温度のデータを入力する。そして、マイコンIC4は、入力した温度のデータに基づいて、出力端子S1〜Snから、スイッチSW1〜SWnをオン/オフさせるH/Lの電圧信号を出力する。なお、マイコンIC4は、複数の温度と、各温度に対応する遅延時間Tの値(放電ランプLAの特性に合わせて事前に決定される最適値)の組み合わせを、温度ごとに予め記憶装置に記憶しているものとする。そして、マイコンIC4は、入力した温度に対応する遅延時間Tの値を記憶装置から読み出し、遅延時間Tを、読み出した値になるように制御するソフトウェアを実装しているものとする。つまり、本実施の形態では、マイコンIC4が、周囲の温度と、遅延時間Tの許容範囲との対応関係を定義した定義データを予め記憶する記憶装置を備えている。そして、フィードバック回路FBは、この記憶装置から定義データを読み取り、読み取った定義データに基づいて遅延時間Tを変更する。
【0042】
実施の形態1と同様に、スイッチSW1〜SWnのうち、オンになったスイッチに接続されているコンデンサ(コンデンサC21〜Cn)は、コンデンサC2に並列に接続されることになる。したがって、フィードバック回路FBの遅延時間Tを、T=(抵抗R5の抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量+コンデンサC21〜Cnのうち接続されたコンデンサの容量の合計)とすることができる。
【0043】
つまり、本実施の形態では、フィードバック回路FBは、周囲温度に応じて、フィードバック回路FBの遅延時間Tを、T=(抵抗R5の抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量)、T=(抵抗R5の抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量+コンデンサC21の容量)、T=(抵抗R5の抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量+コンデンサC21の容量+コンデンサC22の容量)、・・・といったように変化させることができる。このように、本実施の形態によれば、周囲温度に応じて、フィードバック回路FBの遅延時間Tを最適化することで、ジャンプ現象を回避することができる。
【0044】
上記のように、本実施の形態では、フィードバック回路FBは、温度センサであるサーミスタPを用いて遅延時間Tを変更するが、他の温度センサを用いて周囲の温度を測定し、その温度に応じて、他のインピーダンス素子を用いて遅延時間Tを変更してもよい。
【0045】
実施の形態3.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0046】
図4は、本実施の形態に係る放電灯点灯装置11の構成を示す回路図である。
【0047】
図4において、フィードバック回路FBの切り替え回路CCは、マイコンIC4、スイッチSW1〜SWn、抵抗R51〜Rnで構成される。スイッチSW1〜SWnとしては、例えばマルチプレクサのような素子を用いることができる。マイコンIC4は、ピン1,2を有する。マイコンIC4のピン1には、制御電源コンデンサC3が接続される。マイコンIC4のピン1に印加される制御電源コンデンサC3の電圧が上昇し、マイコンIC4の動作電圧に達すると、マイコンIC4が動作を開始する。マイコンIC4のピン2には、オペアンプIC3の非反転入力端子接続され、基準電圧が印加される。スイッチSW1〜SWnは、マイコンIC4からの制御信号に応じてオン/オフする。抵抗R51〜Rnは、1つずつスイッチSW1〜SWnに接続される。
【0048】
本実施の形態では、実施の形態1と同様に、切り替え回路CCが基準値を検出し、検出した基準値に応じてフィードバック回路FBの遅延時間Tを変更する。
【0049】
具体的には、マイコンIC4は、抵抗R9と可変抵抗R15によって分圧されて決定される基準値をピン2から入力する。そして、マイコンIC4は、入力した基準値に基づいて、出力端子S1〜Snから、スイッチSW1〜SWnをオン/オフさせるH/Lの電圧信号を出力する。
【0050】
スイッチSW1〜SWnのうち、オンになったスイッチに接続されている抵抗(抵抗R51〜Rn)は、積分回路INの抵抗R5に並列に接続されることになる。したがって、フィードバック回路FBの遅延時間Tを、T=(抵抗R5と抵抗R51〜Rnのうち接続された抵抗の並列接続による合成抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量)とすることができる。
【0051】
つまり、本実施の形態では、フィードバック回路FBは、ランプ電力を設定するための基準値に応じて、フィードバック回路FBの遅延時間Tを、T=(抵抗R5の抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量)、T=(抵抗R5と抵抗R51の並列接続による合成抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量)、T=(抵抗R5と抵抗R51と抵抗R52の並列接続による合成抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量)、・・・といったように変化させることができる。このように、本実施の形態によれば、基準値に応じて、フィードバック回路FBの遅延時間Tを最適化することで、ジャンプ現象を回避することができる。
【0052】
なお、本実施の形態においても、実施の形態2と同様のサーミスタPを設けることにより、切り替え回路CCが周囲温度に応じてフィードバック回路FBの遅延時間Tを変更するように構成することができる。
【0053】
実施の形態4.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0054】
図5は、本実施の形態に係る放電灯点灯装置11の構成を示す回路図である。
【0055】
図5において、フィードバック回路FBは、抵抗R2,R3、ダイオードD5、コンデンサC4、検出抵抗R6、積分回路IN、誤差増幅器EAを備える。抵抗R2,R3、ダイオードD5、コンデンサC4、検出抵抗R6、誤差増幅器EAは、実施の形態1のものと同様である。積分回路INは、抵抗R5とコンデンサC8とサーミスタRT(温度センサの例)で構成され、検出抵抗R6で検出された高周波電圧を平均化する。サーミスタRTは、抵抗R5と並列に接続される。なお、サーミスタRTは、放電灯点灯装置11の回路上ではなく、外部に位置していてもよい。
【0056】
本実施の形態では、周囲温度に応じて、サーミスタRTの抵抗値が変化することで、サーミスタRTと抵抗R5の並列接続による合成抵抗値が変化する。フィードバック回路FBの遅延時間Tは、T=(抵抗R5とサーミスタRTの並列接続による合成抵抗)×(コンデンサC8の容量+コンデンサC2の容量)である。そのため、サーミスタRTは、周囲温度に応じて、上記の式において遅延時間Tが周囲温度に対応する最適値(放電ランプLAの特性に合わせて事前に決定される最適値)になるように抵抗値を変化させるものとする。このように、本実施の形態によれば、周囲温度に応じて、フィードバック回路FBの遅延時間Tを最適化することで、ジャンプ現象を回避することができる。特に、本実施の形態では、安価な回路にて、使用温度範囲、全光から調光まで、各々のランプ電力に応じ、適切なフィードバック回路FBの遅延時間Tに変更することで、放電ランプLAを広範囲に渡って連続的に安定して点灯させることができ、ジャンプ現象を回避することができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらのうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【符号の説明】
【0058】
10 照明器具、11 放電灯点灯装置、12 電源端子台、13 ランプソケット、14 商用電源、15 電力線、16 ランプ、C2,C4,C8,C21〜Cn コンデンサ、C3 制御電源コンデンサ、C5 カップリングコンデンサ、C6 始動コンデンサ、CC 切り替え回路、CG 制御電源回路、D5 ダイオード、DZ 定電圧ダイオード、E 直流電源、EA 誤差増幅器、F1,F2 予熱電極、FB フィードバック回路、IC2 IV制御集積回路、IC3 オペアンプ、IC4 マイコン、IN 積分回路、IV インバータ回路、L バラストチョーク、LA 放電ランプ、LD 負荷回路、P サーミスタ、Q2,Q3 スイッチング素子、R1 起動抵抗、R2,R3,R5,R9,R51〜Rn 抵抗、R6 検出抵抗、R15 可変抵抗、RT サーミスタ、SW1〜SWn スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から出力される直流電圧をスイッチング素子でスイッチングすることにより高周波交流電圧に変換して当該高周波交流電圧を放電灯に印加するインバータ回路と、
前記放電灯で消費される電力に対応する電力値を検出し、検出した電力値が前記放電灯の調光制御を行うための基準値に近づくように前記スイッチング素子のスイッチング周波数を調整するフィードバック制御を行うフィードバック回路であって、前記基準値と温度センサにより測定される周囲の温度との少なくともいずれかに応じて前記フィードバック制御の遅延時間を変更するフィードバック回路とを備えることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記フィードバック回路は、インピーダンス素子を用いて前記遅延時間を変更することを特徴とする請求項1に記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記フィードバック回路は、検出する電力値を前記基準値に近づけるように前記フィードバック制御を行うオペアンプ(演算増幅器)を具備するとともに、前記インピーダンス素子として、前記オペアンプに接続される複数のインピーダンス素子を具備し、それぞれのインピーダンス素子を選択的に導通させることにより前記遅延時間を変更することを特徴とする請求項2に記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
それぞれのインピーダンス素子は、抵抗又はコンデンサであることを特徴とする請求項3に記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記フィードバック回路は、前記インピーダンス素子としてサーミスタを具備し、前記サーミスタにより測定される温度に応じて前記遅延時間を変更することを特徴とする請求項2に記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
前記基準値と前記温度センサにより測定される温度との少なくともいずれかと、前記遅延時間の許容範囲との対応関係を定義した定義データを予め記憶する記憶装置を備え、
前記フィードバック回路は、前記記憶装置から前記定義データを読み取り、読み取った定義データに基づいて前記遅延時間を変更することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれかに記載の放電灯点灯装置と、
前記放電灯点灯装置に接続され、外部からの電力線に接続される電源端子台と、
前記放電灯点灯装置に接続され、前記放電灯が取り付けられるランプソケットとを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−108481(P2011−108481A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261985(P2009−261985)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】