説明

放電灯点灯装置及び照明器具

【課題】 予熱回路への通電状態の切替時の放電灯の光出力の変化が使用者に違和感を与えにくい放電灯点灯装置及び照明器具を提供する。
【解決手段】 熱陰極型の放電灯のフィラメント電極間に交流電圧を出力する点灯回路と、放電灯の各フィラメント電極の両端間にそれぞれ通電する予熱回路と、予熱回路への給電をオンオフする予熱スイッチQ3とを備える。点灯回路から放電灯への電力の出力状態が低出力状態から高出力状態に切り替えられる際、所定時間Tdをかけて調光比(放電灯への出力電力)を徐々に高くするという過渡動作が行われ、過渡動作の終了後に予熱スイッチQ3がオフされる。過渡動作の開始と同時に予熱スイッチQ3がオフされる場合に比べ、予熱スイッチQ3のオフの前後での光出力の変化が比率として小さくなるから、光出力の変化が使用者に違和感を与えにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィラメント電極を有する熱陰極型の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置として、放電灯のフィラメント電極間に交流電圧を出力することで放電灯を点灯させる点灯回路と、点灯回路に接続された放電灯の各フィラメント電極の両端間にそれぞれ通電する予熱回路と、点灯回路から予熱回路への給電をオンオフする予熱スイッチとを備えるものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、放電灯の点灯を開始させる際など放電灯の各フィラメント電極の予熱が必要な期間には予熱スイッチがオンされることで予熱回路による各フィラメント電極の予熱がなされ、予熱が不要な期間には予熱スイッチがオフされることで放電灯の各フィラメント電極や予熱回路における無駄な電力消費や電気的ストレスが避けられる。
【0003】
この種の放電灯点灯装置の一例を図5に示す。図5の放電灯点灯装置は、2本のフィラメント電極を有する熱陰極型の放電灯Laを点灯させるものであって、外部の交流電源ACから入力された交流電力を全波整流するダイオードブリッジDBと、ダイオードブリッジDBの直流出力端間に接続されたアクロスザラインコンデンサCxと、ダイオードブリッジDBの直流出力(脈流出力)を所定電圧の直流電力に変換する直流電源回路1と、直流電源回路1の出力端間に接続された2個のスイッチング素子Q1,Q2と電流検出用抵抗R1との直列回路からなるスイッチング部21と、スイッチング部21の低電圧側の出力端間に接続されるとともに放電灯Laの各フィラメント電極に接続され放電灯Laとともに共振回路を構成する共振部22と、放電灯Laの各フィラメント電極に対してそれぞれ予熱用の電流を供給する予熱回路3と、予熱回路3への通電をオンオフする予熱スイッチQ3と、直流電源回路1とスイッチング部21と予熱スイッチQ3とをそれぞれ制御する制御回路4とを備える。スイッチング部21と共振部22とは全体として周知のハーフブリッジ形のインバータ回路からなる点灯回路2を構成する。スイッチング部21の各スイッチング素子Q1,Q2と予熱スイッチQ3とはそれぞれ例えばNMOSからなる。
【0004】
詳しく説明すると、直流電源回路1は、一端がダイオードブリッジDBの高電圧側の直流出力端に接続されたインダクタL0と、インダクタL0の他端にアノードが接続されたダイオードD0と、一端がダイオードD0のカソードに接続されるとともに他端が直流電源回路の低電圧側の直流出力端に接続されたコンデンサC0と、例えばNMOSからなりダイオードD0とコンデンサC0との直列回路に対して並列に接続され制御回路4により周期的にオンオフ駆動されるスイッチング素子Q0とを備え、コンデンサC0の両端を出力端とする、周知のブーストコンバータ(昇圧チョッパ回路)である。制御回路4は、直流電源回路1の出力電圧を監視するとともに、直流電源回路1の出力電圧を一定(例えば300V)に保つようにスイッチング素子Q0のオンデューティを随時変化させる。
【0005】
共振部22は、スイッチング部21のスイッチング素子Q1,Q2間に一端が接続されたインダクタL1と、インダクタL1の他端に一端が接続されるとともに他端が直流電源回路1の低電圧側の出力端に接続された並列コンデンサCpと、一端がインダクタL1と並列コンデンサCpとの接続点に接続されるとともに他端が放電灯Laの一方のフィラメント電極の一端に接続された直列コンデンサCsと、放電灯Laの他方のフィラメント電極の一端に直列巻線側の一端が接続されるとともに分路巻線が並列コンデンサCpの両端間に接続されたオートトランスATとを備える。
【0006】
予熱回路3は、一端がコンデンサを介してスイッチング部21のスイッチング素子Q1,Q2の接続点に接続されるとともに他端が予熱スイッチQ3を介して直流電源回路1の低電圧側の出力端に接続された一次巻線を有するトランスTRを備える。トランスTRはそれぞれコンデンサとの直列回路として放電灯Laの一方ずつのフィラメント電極の両端間に接続された2本の二次巻線を有する。すなわち、予熱スイッチQ3がオンされている期間には、各二次巻線にそれぞれ誘導された電流が放電灯Laの各フィラメント電極に供給されることで、放電灯Laの各フィラメント電極がそれぞれ予熱される。
【0007】
制御回路4がスイッチング部21のスイッチング素子Q1,Q2を交互にオンオフ駆動すると、共振部22と放電灯Laとが構成する共振回路の共振により、上記のオンオフ駆動の周波数(以下、「動作周波数」と呼ぶ。)の交流電圧が放電灯Laに出力される。放電灯Laへの出力電圧の実効値は、上記の共振回路の共振周波数に対して動作周波数が近いほど高くなる。
【0008】
また、制御回路4にはオンオフ制御電圧Vpと出力制御電圧Vdとがそれぞれ外部から入力されており、制御回路4は、オンオフ制御電圧VpがLレベルである期間にはスイッチング部21の各スイッチング素子Q1,Q2をそれぞれオフ状態に維持することで放電灯Laへの電力の出力を停止させ、オンオフ制御電圧VpがHレベルである期間にのみスイッチング部21の各スイッチング素子Q1,Q2のオンオフ駆動を行うことで共振部22から放電灯Laに電力を出力させる。また、制御回路4は、オンオフ制御電圧VpがLレベルからHレベルに切り替わった直後には、放電灯Laの点灯を開始させるようにスイッチング部21の各スイッチング素子Q1,Q2を駆動する始動動作を行った後に、放電灯Laの点灯を維持する定常動作を開始する。始動動作は、例えば、放電灯Laにおいて放電が開始されない程度に動作周波数を上記の共振周波数に対して充分に高く(例えば95kHzに)維持して予熱回路3からの例えば700mA程度の電流により放電灯Laの各フィラメント電極を予熱するという動作を所定時間にわたって行った後、放電灯Laにおいて放電が開始される程度に動作周波数を上記の共振周波数に充分に近く(例えば75kHzに)することで放電灯Laにおいて放電及び点灯を開始させるというものである。
【0009】
始動動作の内容は出力制御電圧Vdには依存しないものとされるが、定常動作では、制御回路4は、電流検出用抵抗R1の両端電圧から推定される放電灯Laへの出力電力(有効電力)を、出力制御電圧Vdに応じた目標値とするように動作周波数を制御する。定常動作中において、出力制御電圧VdがHレベルであるときの上記の目標値は、出力制御電圧VdがLレベルであるときの上記の目標値よりも高くされる。
【0010】
さらに、制御回路4は、予熱スイッチQ3については、放電灯Laの点灯を開始させるための始動動作中にオン状態とするほか、放電灯Laの各フィラメント電極の温度を充分に高く保って放電灯Laの点灯を維持するために放電灯Laの各フィラメント電極に予熱回路3から電流を流す必要があるような程度まで放電灯Laへの出力電力を少なくする動作状態(以下、「低出力状態」と呼ぶ。)での動作中にもオン状態とする。上記の低出力状態での動作は、定常動作中に出力制御電圧VdがLレベルである期間に行われ、低出力状態での動作中の動作周波数は例えば80kHzとされる。
【0011】
逆に、上記のような電流を流す必要がないような程度まで放電灯Laへの出力電力が充分に多くされる動作状態(以下、「高出力状態」と呼ぶ。)では、予熱スイッチQ3がオンされている必要が無く、また、予熱スイッチQ3がオンされていると、予熱回路3や放電灯Laの各フィラメント電極で無駄な電力消費が発生する上に、放電灯Laの各フィラメント電極に無駄に電気的ストレスを加えて放電灯Laの寿命に悪影響を与えてしまう。そこで、制御回路4は、上記のような高出力状態での動作中には、予熱スイッチQ3をオフ状態とすることで予熱回路3への給電を停止し、上記のような無駄な電力消費や電気的ストレスの発生を防ぐ。上記の高出力状態での動作は、定常動作中に出力制御電圧VdがHレベルである期間に行われ、高出力状態での動作中の動作周波数は例えば55kHzとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−19142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、上記の低出力状態と高出力状態との相互の切替時に、図6や図7に示すように、所定の時間(例えば2.5秒)をかけて、放電灯Laの定格電力(例えば100W)に対する放電灯Laへの出力電力の比(以下、「調光比」と呼ぶ。)を徐々に変化させるという過渡動作を行うことを考える。放電灯Laの光束は上記の調光比にほぼ正比例する。図6及び図7の例において、低出力状態の調光比は10%とされ、高出力状態の調光比は100%とされていて、図6は高出力状態から低出力状態への切替を示し、図7は低出力状態から高出力状態への切替を示している。また、図6及び図7の例では過渡動作の開始と同時に予熱スイッチQ3のオンオフ切替が行われている。
【0014】
ところで、予熱スイッチQ3のオンオフが切り替えられると、予熱回路3における電力消費の有無も切り替わることにより、放電灯Laへの出力電力も変化する。例えば、図6の例では予熱スイッチQ3のオン制御に伴って調光比が100%から98%に低下し、図7の例では予熱スイッチQ3のオフ制御に伴って調光比が10%から15%に上昇している。
【0015】
上記のような予熱スイッチQ3のオンオフ切替に伴う調光比の変化(すなわち放電灯Laの光出力の変化)の幅は、図6の例であれば変化前の数値に対する比率として2%であるから比較的に目立たないが、図7の例だと変化前の数値に対する比率として50%と大きくなるから比較的に目立ち、使用者に違和感を与える可能性がある。
【0016】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、予熱回路への通電状態の切替時の放電灯の光出力の変化が使用者に違和感を与えにくい放電灯点灯装置及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1の発明は、フィラメント電極を有する熱陰極型の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置であって、放電灯のフィラメント電極間に交流電圧を出力することで放電灯を点灯させる点灯回路と、点灯回路に接続された放電灯の各フィラメント電極の両端間にそれぞれ通電する予熱回路と、点灯回路から予熱回路への給電をオンオフする予熱スイッチと、点灯回路と予熱スイッチとをそれぞれ制御する制御回路とを備え、制御回路は、外部から入力される出力制御信号に応じて、予熱スイッチをオフ状態にしても放電灯の維持が可能な程度に点灯回路から放電灯への出力電力が多い高出力状態と、高出力状態よりも点灯回路から放電灯への出力電力が少なく予熱スイッチがオン状態に維持される必要がある低出力状態との間で制御状態を切り替えるものであって、低出力状態から高出力状態に切り替える際には、点灯回路から放電灯への出力電力を徐々に増加させる過渡動作を行い、過渡動作の開始時から所定の保留時間が経過したときに予熱スイッチをオフ制御することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、低出力状態から高出力状態への切替時に、過渡動作の開始と同時に予熱スイッチがオフ制御される場合に比べ、予熱スイッチのオフ制御の前後での放電灯の光出力の変化が比率として小さくなるから、使用者に違和感を与えにくい。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制御回路は、高出力状態から低出力状態に切り替える際、放電灯への出力電力を徐々に減少させる過渡動作を行い、低出力状態から高出力状態に切り替える際には、高出力状態から低出力状態に切り替える際よりも、過渡動作の開始後に予熱スイッチのオンオフを切り替えるまでの時間を長くすることを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、過渡動作の継続時間は2秒以上であって、制御回路は、予熱スイッチのオフ制御を、点灯回路から放電灯への出力電力が高出力状態での出力電力の90%以上であるときに行うことを特徴とす。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、制御回路は、外部からの入力に応じて放電灯の点灯を開始させる際、予熱スイッチをオン状態に維持するとともに点灯回路に対して放電灯の点灯を開始させるための制御であって出力制御信号に依存しない制御を行う始動動作により放電灯の点灯を開始させた後に、出力制御信号に応じて高出力状態と低出力状態とのいずれかに移行するものであって、少なくとも始動動作が終了するまでは予熱スイッチをオフ制御しないことを特徴とする。
【0022】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、点灯回路に対する放電灯の接続の有無を判定する無負荷判定回路を備え、制御回路は、点灯回路に対して放電灯が接続されていないとの判定が無負荷判定回路によってされている期間には点灯回路から放電灯への電力の出力を停止させるとともに、無負荷判定回路の判定結果が、点灯回路に対して放電灯が接続されていないとの判定から、点灯回路に対して放電灯が接続されているとの判定に切り替わったときに始動動作を開始するものであって、制御回路は、無負荷判定回路の判定結果の切り替わりにより始動動作を開始した場合であっても、少なくとも始動動作が終了するまでは予熱スイッチをオフ制御しないことを特徴とする。
【0023】
請求項6の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置と、放電灯点灯装置に接続された放電灯及び放電灯点灯装置をそれぞれ保持する器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、制御回路は、低出力状態から高出力状態に切り替える際には、点灯回路から放電灯への出力電力を徐々に増加させる過渡動作の開始時から所定の保留時間が経過したときに予熱スイッチをオフ制御するので、低出力状態から高出力状態への切替時に、過渡動作の開始と同時に予熱スイッチがオフ制御される場合に比べ、予熱スイッチのオフ制御の前後での放電灯の光出力の変化が比率として小さくなるから、使用者に違和感を与えにくい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態において低出力状態から高出力状態への移行時の出力制御電圧Vdと予熱スイッチQ3のオンオフ状態と調光比との時間変化を示す説明図である。
【図2】同上において始動時に出力制御電圧VdがLレベルの場合について出力制御電圧Vdと予熱スイッチQ3のオンオフ状態と調光比との時間変化を示す説明図である。
【図3】同上において始動時に出力制御電圧VdがHレベルの場合について出力制御電圧Vdと予熱スイッチQ3のオンオフ状態と調光比との時間変化を示す説明図である。
【図4】同上を用いた照明器具の一例を示す分解斜視図である。
【図5】放電灯点灯装置の一例を示す回路ブロック図である。
【図6】同上において高出力状態から低出力状態への移行時の出力制御電圧Vdと予熱スイッチQ3のオンオフ状態と調光比との時間変化を示す説明図である。
【図7】従来例において低出力状態から高出力状態への移行時の出力制御電圧Vdと予熱スイッチQ3のオンオフ状態と調光比との時間変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
本実施形態の基本構成は図5で説明した従来例と共通であるので、共通する部分については説明を省略する。
【0028】
本実施形態では、高出力状態から低出力状態への切替時には図6と同様に過渡動作の開始と同時に予熱スイッチQ3がオン制御されるが、低出力状態から高出力状態への切替時には、図1に示すように、過渡動作の終了以後に予熱スイッチQ3がオフ制御される。具体的には例えば、出力制御電圧VdがLレベルからHレベルに変化したときに開始される過渡動作の継続時間Tdが2.5秒の場合、出力制御電圧VdがLレベルからHレベルに変化してから予熱スイッチQ3がオフ制御されるまでの時間Tqdは3秒とされ、つまり過渡動作の終了後に0.5秒が経過した時点で予熱スイッチQ3がオフ制御される。
【0029】
上記構成によれば、過渡動作の開始と同時に予熱スイッチQ3がオフ制御される場合に比べ、予熱スイッチQ3のオフ制御の前後での放電灯Laの光出力の変化が比率として小さくなるから、使用者に違和感を与えにくい。
【0030】
なお、予熱スイッチQ3のオフ制御のタイミングは過渡動作の開始よりも後であれば上記に限られないが、予熱スイッチQ3のオフ制御は調光比が90%以上(すなわち、放電灯Laへの出力電力が高出力状態での出力電力に対して90%以上)であるようなタイミングで行われることが望ましい。
【0031】
ところで、本実施形態において、オンオフ制御電圧VpがLレベルからHレベルに切り替わったときに制御回路4が開始する始動動作PPは、図2及び図3に示すように、所定時間にわたり放電灯Laにおいて放電が開始されない程度にフィラメント電極間の電圧が低くなるように動作周波数を維持し予熱回路3により放電灯Laの各フィラメント電極をそれぞれ予熱する先行予熱動作PP1と、先行予熱動作PP1の後に開始されて所定時間にわたり放電灯Laにおいて放電の開始及び維持が可能な程度までフィラメント電極間の電圧を高くするように動作周波数を制御する放電開始動作PP2と、放電開始動作PP2の後に開始されて所定時間にわたり調光比を100%よりも高くする定常移行動作PP3とからなる。先行予熱動作PP1の継続時間と放電開始動作PP2との継続時間はそれぞれ例えば1秒とされ、定常移行動作PP3の継続時間は例えば0.5秒とされる。そして、出力制御電圧Vdに基いて動作周波数を制御する定常動作は、上記一連の動作PP1〜PP3からなる始動動作PPの終了時に開始される。
【0032】
図2に示すように始動動作PPの終了時点で出力制御電圧VdがLレベルであった場合、始動動作PPの終了後にも予熱スイッチQ3はオン状態に維持され、始動動作PPの終了後は、予熱スイッチQ3がオン状態で動作周波数を高出力状態と同等とした場合の調光比(図では98%)から、低出力状態の調光比(図では10%)まで連続的に徐々に光出力が低下される。
【0033】
一方、図3に示すように始動動作PPの終了時点で出力制御電圧VdがHレベルであった場合、予熱スイッチQ3のオフ制御は、始動動作PPの終了後に例えば0.5秒が経過した時点で行われる。つまり、上記の場合、始動動作PPが開始されてから予熱スイッチQ3がオフ制御されるまでの時間Tqpは、始動動作PPの継続時間(2.5秒)よりも長い3秒となる。なお、予熱スイッチQ3のオフ制御のタイミングは上記に限られず、始動動作PPの終了のタイミング以後であればいつでもよい。
【0034】
なお、点灯回路2に対する放電灯Laの接続の有無を判定する無負荷判定回路(図示せず)を追加してもよい。すなわち、制御回路4は、点灯回路2に対して放電灯Laが接続されていないとの判定が無負荷判定回路によってされている期間には点灯回路2から放電灯Laへの電力の出力を停止させるとともに、無負荷判定回路の判定結果が、点灯回路2に対して放電灯Laが接続されていないとの判定から、点灯回路2に対して放電灯Laが接続されているとの判定に切り替わったときに、制御回路4が始動動作PPを開始する。この場合において、上記のような無負荷判定回路の判定結果の切り替わりにより開始される始動動作PPでも、図2及び図3と同様の動作とすることができる。上記のような無負荷判定回路は周知技術で実現可能であるので、図示並びに詳細な説明は省略する。
【0035】
上記各種の放電灯点灯装置は、図4に示すような照明器具5に用いることができる。図4の照明器具5は、ダイオードブリッジDBと直流電源回路1と点灯回路2と予熱回路3と制御回路4との各回路部品をそれぞれ収納及び保持するとともに点灯回路2と予熱回路3とに接続された環形状の放電灯Laを保持して天井面等の取付面(図示せず)に固定される器具本体51と、透光性を有する材料からなり放電灯Laが収納される空間を器具本体51との間に構成する形で器具本体51に対して着脱自在に結合するセード52とからなる。さらに、器具本体51には、受信装置と常夜灯装置とが一体化された外付ブロック53と、放電灯Laに設けられてそれぞれフィラメント電極に電気的に接続された端子ピンが破線矢印A1で示すように挿入接続されるソケット54とがそれぞれ保持されている。上記の外付ブロック53において、受信装置はリモコン装置(図示せず)から送信された赤外光を媒体とするワイヤレス信号を受信するとともに受信されたワイヤレス信号に応じたオンオフ制御電圧Vpと出力制御電圧Vdとを制御回路4に入力するものであり、常夜灯装置は例えばLEDからなる常夜灯と制御回路4に制御されて常夜灯に点灯用の電力を供給する常夜灯点灯回路とからなるものである。交流電源ACとダイオードブリッジDBとの電気的な接続は矢印A2で示すように接続されるコネクタ55を用いて達成される。上記のような照明器具5は周知技術で実現可能であるので、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0036】
2 点灯回路
3 予熱回路
4 制御回路
5 照明器具
51 器具本体
La 放電灯
Vd 出力制御電圧(請求項における出力制御信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメント電極を有する熱陰極型の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置であって、
放電灯のフィラメント電極間に交流電圧を出力することで放電灯を点灯させる点灯回路と、
点灯回路に接続された放電灯の各フィラメント電極の両端間にそれぞれ通電する予熱回路と、
点灯回路から予熱回路への給電をオンオフする予熱スイッチと、
点灯回路と予熱スイッチとをそれぞれ制御する制御回路とを備え、
制御回路は、外部から入力される出力制御信号に応じて、予熱スイッチをオフ状態にしても放電灯の維持が可能な程度に点灯回路から放電灯への出力電力が多い高出力状態と、高出力状態よりも点灯回路から放電灯への出力電力が少なく予熱スイッチがオン状態に維持される必要がある低出力状態との間で制御状態を切り替えるものであって、低出力状態から高出力状態に切り替える際には、点灯回路から放電灯への出力電力を徐々に増加させる過渡動作を行い、過渡動作の開始時から所定の保留時間が経過したときに予熱スイッチをオフ制御することを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
制御回路は、高出力状態から低出力状態に切り替える際、放電灯への出力電力を徐々に減少させる過渡動作を行い、
低出力状態から高出力状態に切り替える際には、高出力状態から低出力状態に切り替える際よりも、過渡動作の開始後に予熱スイッチのオンオフを切り替えるまでの時間を長くすることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
過渡動作の継続時間は2秒以上であって、
制御回路は、予熱スイッチのオフ制御を、点灯回路から放電灯への出力電力が高出力状態での出力電力の90%以上であるときに行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
制御回路は、外部からの入力に応じて放電灯の点灯を開始させる際、予熱スイッチをオン状態に維持するとともに点灯回路に対して放電灯の点灯を開始させるための制御であって出力制御信号に依存しない制御を行う始動動作により放電灯の点灯を開始させた後に、出力制御信号に応じて高出力状態と低出力状態とのいずれかに移行するものであって、少なくとも始動動作が終了するまでは予熱スイッチをオフ制御しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
点灯回路に対する放電灯の接続の有無を判定する無負荷判定回路を備え、
制御回路は、点灯回路に対して放電灯が接続されていないとの判定が無負荷判定回路によってされている期間には点灯回路から放電灯への電力の出力を停止させるとともに、無負荷判定回路の判定結果が、点灯回路に対して放電灯が接続されていないとの判定から、点灯回路に対して放電灯が接続されているとの判定に切り替わったときに始動動作を開始するものであって、
制御回路は、無負荷判定回路の判定結果の切り替わりにより始動動作を開始した場合であっても、少なくとも始動動作が終了するまでは予熱スイッチをオフ制御しないことを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置と、放電灯点灯装置に接続された放電灯及び放電灯点灯装置をそれぞれ保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−113764(P2011−113764A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268077(P2009−268077)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】