説明

散布作業機

【課題】走行車体1に、ホッパ18に収容された肥料或いは薬剤などの散布原料の散布量を調節できるようにした散布装置10を備え、車速の検出に基づいて散布量を自動制御する制御手段43を備えている散布作業機において、種々の肥料や薬剤の性状に関わらず、適正な散布量の散布を行えるようにする。
【解決手段】作業モードとテストモードに切換えるモード切換手段38を備え、このモード切換手段38をテストモードに切換えることにより、所定車速での散布量となるように散布量調節手段19を制御して所定時間の間、散布原料を吐出させ、この所定時間の間に吐出した吐出量を基に散布量を補正するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に肥料や薬剤などを散布する農作業用の各種の散布装置を連結して走行作業を行う散布作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
定速度のPTO動力を伝達するライブPTO動力で散布装置を駆動して薬剤や肥料の散布を行う場合、圃場全体に均一な散布を行うために、走行車体の車速に応じて散布装置による散布量を変更制御することが行われることになり、例えば、特許文献1や特許文献2に示されているように、走行車体に備えた車速センサ(回転センサ)からの検出信号に基づいて肥料や薬剤の散布装置のシャッタ開度を制御するよう構成したものが知られている。
【特許文献1】特開2004−329067号公報
【特許文献2】特開2008−161088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の散布装置によれば、走行車体の車速に応じてシャッタ開度を制御しているので、走行車体の車速に関わらず圃場に肥料や薬剤を均一散布できるようになったが、同じシャッタ開度でも肥料や薬剤の種類や性状により散布量が大きく異なるため、近年、肥料や薬剤などの散布原料の性状の違いによって複数段に選択設定できるモード切替スイッチを備え、作業者の判断によって散布量を調節できるように実施されている。
【0004】
しかし、肥料の種類、薬剤の種類やそれらの性状などの種々の条件によって、適正散布量がそれぞれ異なるので、正確な設定ができないことがある。また、作業者が散布量の補正を行うためには、作業者の勘に頼らざるを得ないため、散布が不正確となる傾向があった。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、作業者の勘に頼らないで適正な散布を行えるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔第1発明の構成〕
本第1発明は、走行車体に、ホッパとホッパに収容された肥料或いは薬剤などの散布原料を散布する散布口と散布口より散布する散布量を調節する散布量調節手段とを備えた散布装置と、走行車体の車速の検出に基づいて散布量調節手段を自動制御する制御手段を備えている散布作業機において、作業モードとテストモードに切換えるモード切換手段を備え、このモード切換手段をテストモードに切換えることにより、所定車速での散布量となるように散布量調節手段を制御して所定時間の間、散布原料を散布口より吐出させ、散布口より所定時間の間に吐出した吐出量を基に散布量を補正する散布量補正手段を備えてあることを特徴とする。
【0007】
〔第1発明の作用〕
種々の肥料や薬剤の中から選択した散布原料により散布作業を行うときに、散布原料の種類や性状に応じて単位面積当たり、つまり走行速度当たりにつき、適正な散布重量で散布作業を行うことが望ましい。
【0008】
制御手段においては、一定の条件(散布原料の種類や気温、湿度等)、所定車速での散布量及び散布口の開度等の関係が、事前に記憶されている。本第1発明によれば、テストモードを行うと、事前に設定された一定の条件(散布原料の種類や気温、湿度等)に基づいて、所定車速での散布量に対応した散布口の開度等が設定されて、散布原料が散布口から散布される(作業モード)。
【0009】
本第1発明では、散布原料を散布する実際の作業(作業モード)とは別に、散布原料を吐出して計量するテストモードを備えている。この場合、テストモードでの実際の条件が前述の一定の条件と同じであれば、テストモードでの実際の散布原料の吐出量は、前述の所定車速での散布量に合致するはずであるが、テストモードでの実際の条件が前述の一定の条件と異なれば、テストモードでの実際の散布原料の吐出量が、前述の所定車速での散布量に合致しないことがある。
本第1発明によれば、前述のようにテストモードでの実際の散布原料の吐出量が前述の所定車速での散布量に合致しない場合、テストモードでの実際の散布原料の吐出量に基づいて、所定車速での散布量が補正される(例えば所定車速での散布量に対応した散布口の開度等が補正されて、所定車速での散布量が実際に散布されるようにする)。
【0010】
これにより、本第1発明によれば、散布原料を散布する実際の作業開始前に、実際に散布する散布原料を使用してテストモードを行うことによって、散布原料を散布する実際の作業に適合するように、所定車速での散布量を正確に補正することができるようになり、散布原料の種類や気温、湿度等に適合した単位面積当たりの散布量の散布を行うことができる。
【0011】
〔第1発明の効果〕
従って、本第1発明によると、散布原料に適合した単位面積当たりの散布量の散布を行うことができるので、散布原料の無駄をなくし、しかも良好な植物の育成を行うことができるようになった。
【0012】
〔第2発明の構成〕
本第2発明は、第1発明における散布量調節手段を開度調節自在なシャッタで構成したものである。
【0013】
〔第2発明の作用効果〕
本第2発明によると、散布量調節手段をシャッタで構成してあるので、ホッパ内に収容した固形肥料、固形薬剤や種子などの粉粒体の散布量を調節する手段としてシャッタを好適に利用できる点、及びシャッタ開度を調節することによって所定車速での散布量の補正が容易に行える点により、簡易な構成で、安価で生産性を向上させることができる。
【0014】
〔第3発明の構成〕
本第3の発明は、第1発明または第2発明の構成において、散布口より退避した位置に計量容器を設け、モード切換手段をテストモードに切換えると計量容器が散布口に移動し、散布原料が散布口より吐出されて所定時間経過後に散布原料の吐出が停止されると計量容器に収容された散布原料の重量が計量装置で自動計量され、計量された計量値を基に散布量を補正するとともに、モード切換手段を作業モードに切換えると計量容器が退避位置に退避するように構成してある。
【0015】
〔第3発明の作用効果〕
本第3発明の構成によると、散布作業の開始前に、走行車体を停止させた状態で、モード切換手段をテストモードに切換えると、計量容器が散布口に移動して、散布原料が散布口より吐出されて、所定時間経過後に散布原料の吐出が停止されると、計量容器に収容された散布原料の重量が計量装置で自動計量され、計量された計量値を基に散布量が補正される。そして、モード切換手段を作業モードに切換えると計量容器が退避位置に退避し、作業モードで走行を開始すると、散布量が走行速度に応じた適正な散布量に補正された状態で散布作業が行われる。
従って、本第3発明によると、モード切換手段をテストモードに切換えるだけで計量容器が散布口に移動する。そして散布原料が所定時間、計量容器に吐出され、容器に収容された吐出重量が自動計量され、これを基に散布量が補正されて適正な散布量の散布が行われるので、散布量の補正のための計量が楽に行うことができ、しかも無駄のない散布作業を行うことができる。
【0016】
〔第4発明の構成〕
本第4発明は、上記第1〜3発明のいずれか一つの構成において、散布量補正手段による補正値を基に車速に応じた散布量を演算または、マップデータより取得し、演算値または取得データを基に散布量調節手段を制御するように構成してある。
【0017】
〔第4発明の作用効果〕
本第4発明によると、走行車体の車速に応じた散布量を演算するか、マップデータにより取得して、これを基に散布量調節手段が制御されるので、走行車体の車速に応じた精度のよい散布を自動的に行うことができるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1に、本発明に係る農用トラクタ(散布作業機の一例)の側面図が示されている。この農用トラクタは、前輪2および後輪3が駆動される走行車体1の前部に配設したボンネット4の後部に操向ハンドル5を設け、操向ハンドル5の後方に運転席6を配置し、走行機体1の後部にトップリンク7及びロアリンク8からなる3点リンク機構9を介して散布装置の一例である肥料散布装置10を昇降自在に連結し、走行車体1から取り出したPTO動力で肥料散布装置10を駆動する散布機仕様に構成されている。
【0019】
図2に、この農用トラクタの伝動系の概略図が示されている。機体前部のボンネット4内に搭載されたエンジン11の出力は、主クラッチ12を介して静油圧式無段変速装置(HST)からなる主変速装置13に伝達され、主変速装置13からの変速動力がギヤ式の副変速機構14で複数段に変速された後、主推進車輪である後輪3と操向用の前輪2に伝達される。主変速装置13に入力されたエンジン動力の一部が、変速されることなくPTOクラッチ15を経てPTO軸16からライブPTO動力として取り出され、肥料散布装置10の繰出し機構17に軸伝達されるようになっている。
【0020】
肥料散布装置10には、ホッパ18を備えるとともに、ホッパ18の下部に設けた繰出し機構17に散布量調節手段としてのシャッタ19を備え、ホッパ18からシャッタ19を介し下方に繰出された肥料を散布口20より圃場に散布するように構成している。
【0021】
シャッタ19はホッパ18からの肥料落下量を調節して散布量を調整するもので、シャッタ19を電動アクチュエータとしてのステッピングモータ26に連係させてステッピングモータ26の正逆駆動でシャッタ19の開度を大小に調節すると共に、シャッタ19の開度をポテンショメータを利用したシャッタ開度センサ27で検出するように構成している。
【0022】
図3に示すように、操向ハンドル5を有する運転操作コラム28の上面にタッチパネル式液晶ディスプレイによるモニタ29を配設している。モニタ29の液晶画面30はタッチ式の電源スイッチ31、シャッタ19を開閉するシャッタ開スイッチ32及びシャッタ閉スイッチ33、設定及び解除スイッチ34、単位面積(例えば10a)当りの散布重量(シャッタ19の開度)を設定する増量スイッチ35及び減量スイッチ36、散布原料の粒状を設定するタイプ設定スイッチ37、作業モードとテストモードに切換えるモード切換手段としてのモード切換スイッチ38、単位面積当たりの散布重量を表示する散布重量表示部39、並びにシャッタ19の開度(散布量)状態をグラフで表示させるシャッタ開度表示メータ40を設けている。
【0023】
電源スイッチ31はこれを1回タッチすると「入り」となって液晶画面30全体が明るくなり、再度タッチすると「切り」となって液晶画面全体30が暗くなり、電源スイッチ31をタッチする毎に入り切り動作が繰り返される。シャッタ開スイッチ32はこれをタッチするとこれの表示ランプ(赤)が点灯してシャッタ19が設定値まで開き、シャッタ閉スイッチ33はこれをタッチするとこれの表示ランプ(赤)が点灯するとともにシャッタ開スイッチ32の表示ランプ(赤)が消灯し、シャッタ19が全閉するよう動作する。設定及び解除スイッチ34は設定ボタン34aをタッチすると設定した単位面積当りの散布重量を決定し、解除ボタン34bをタッチすると作業前の単位面積当りの散布重量に戻り、増量スイッチ35及び減量スイッチ36をタッチすると単位面積当りの散布重量を増減することができ、これに関連して散布重量表示部39に単位面積当りの散布重量が表示される。
【0024】
図4に示すように、圃場への単位面積当たりの散布量に関連させて走行速度に対する単位時間当たりの散布量を示すマップデータや単位時間当たりの散布量とシャッタ開度との関係を示すデータ、各種演算式などを読取るデータ読取装置41、シャッタ19の開度を検出する開度センサ27、副変速機構14の副変速軸の伝動下手に位置する最終変速軸の回転数を検出する車速センサとしての回転センサ42、モニタ29の電源スイッチ31、シャッタ開スイッチ32、シャッタ閉スイッチ33、設定及び解除スイッチ34、増量スイッチ35、減量スイッチ36、タイプ設定スイッチ37及びモード切換スイッチ38を制御装置43に入力系として接続すると共に、ステッピングモータ26、モニタ29の散布重量表示部39及びシャッタ開度表示メータ40を制御装置43に出力系として接続し、回転センサ42の検出や各スイッチ31〜38の操作に基づいたステッピングモータ26の駆動制御や液晶画面による表示を行うように構成している。
【0025】
制御装置43には、実際のシャッタ開度を検出するフィードバックセンサ44、警報ランプなどの警報器45、主変速装置13における変速操作具(ペダルあるいはレバー)の変速操作方向から後進変速状態を検知する後進検出センサ46が接続されている。
【0026】
次に作業モードについて説明する。
作業モードを設定すると、作業者は肥料の種類等に基づいて、増量及び減量スイッチ35,36を操作して、単位面積当たりの散布重量を設定する。制御装置43において、一定の条件でのシャッタ開度(単位面積当たりの散布重量)、走行車体1の車速、シャッタ19の実際の開度、散布口20からの実際の散布量等が、マップデータとして格納されているので、前述のように単位面積当たりの散布重量を設定すると、単位面積当たりの散布重量に対応したシャッタ19の開度がマップデータから導き出される。
【0027】
これにより、作業モードにおいて、単位面積当たりの散布重量に対応したシャッタ19の開度に基づいて、肥料の散布が行われるのであり、回転センサ42で検出される走行車体1の車速の変化に応じてシャッタ19の開度が開及び閉側に制御(操作)されて、走行車体1の車速の変化に関係なく、単位面積当たりの散布重量が散布される。この作業モード中において、増量及び減量スイッチ35,36を操作して単位面積当たりの散布重量を変更することが可能であり、前述と同様に、変更された単位面積当たりの散布重量に対応したシャッタ19の開度がマップデータから導き出される。
【0028】
作業中に後進操作し、後進検出センサ46で走行機体の後進状態が検出されると肥料の散布が停止され、警報ランプ45が表示され、前進操作すると作業が再開される。肥料の散布作業を停止するときは、シャッタ閉スイッチ33を操作して肥料の供給を停止する。
【0029】
タイプ設定スイッチ37は、初期設定はオフで、押し操作を繰り返すと順次、粒、砂、粉、オフが繰り返し、対応する一つの表示箇所の表示ランプ(赤)だけが点灯し、他の表示ランプは消灯する。粒(粒状肥料)は化成肥料等、砂(砂状肥料)はようりん等、粉(粉状肥料)は苦土石灰等の場合に対応し、オフが点灯すると初期設定値が得られる。
【0030】
前述のように、増量及び減量スイッチ35,36により単位面積当たりの散布重量を設定した状態において、作業者が肥料(散布原料)の状態を目視して判断し、タイプ設定スイッチ37を押し操作することにより、単位面積当たりの散布重量に対応したシャッタ19の開度を手動で複数段階に補正することができる。
この場合、例えばタイプ設定スイッチ37を押し操作して「粒」を設定すると、単位面積当たりの散布重量に対応したシャッタ19の開度が少し開側に補正される。これは肥料の粒が大きいと、肥料のブリッジが発生し易く、シャッタ19の開度のわりに肥料が出にくい状態(シャッタ19の開度のわりに実際の散布量が少ない状態)になると考えられるからである。逆にタイプ設定スイッチ37を押し操作して「粉」を設定すると、単位面積当たりの散布重量に対応したシャッタ19の開度が少し閉側に補正される。これは肥料の粒が小さいと、シャッタ19の開度のわりに肥料が出やすい状態(シャッタ19の開度のわりに実際の散布量が多い状態)になると考えられるからである。
【0031】
前述のように、増量及び減量スイッチ35,36により単位面積当たりの散布重量
を設定した状態において、タイプ設定スイッチ37を押し操作することにより単位面
積当たりの散布重量に対応したシャッタ19の開度を手動で補正する状態に対し、こ
の状態とは別にテストモードが備えられている。以下、テストモードについて説明す
る。
【0032】
肥料散布前に、作業者が散布口20に肥料受け(図示せず)(袋もしくは箱)を取り付ける。エンジン11を始動して液晶画面30の電源スイッチ31を入れ、モード切換スイッチ38をテストモードに切換え(モード切換スイッチ38をテストモードに切換えるとモード切換スイッチ38の操作部分が赤く点灯し、作業モードに切換えると消灯する)、増量及び減量スイッチ35,36を操作して、散布重量表示部39に肥料受けに表示された重量を表示させ(肥料受けに表示された重量を単位面積当たりの散布重量として設定(入力)する)、シャッタ開スイッチ32を操作する。
【0033】
これにより、図5に示すように、シャッタ開スイッチ32を操作した時点からシャッタ19が自動的に開き始めて、t0時間後に単位面積当たりの散布重量に対応したシャッタ19の開度に操作され、所定時間(T−t0−t1)の間だけシャッタ19が、単位面積当たりの散布重量に対応したシャッタ19の開度に維持される。シャッタ開スイッチ32を操作した時点から所定時間(T−t1)が経過すると、シャッタ19が自動的に閉じ始めて、シャッタ開スイッチ32を操作した時点から所定時間(T)の経過後に、シャッタ19が閉じる。
【0034】
この間、散布口20から吐出された肥料が肥料受けに回収されるので、作業者は肥料受けを取り外し、肥料受けに回収された肥料の重量を計量器(図示せず)により計量して、計量された重量Qを制御装置43に入力する(例えば増量及び減量スイッチ35,36を操作して、散布重量表示部39に重量Qと同じ数値を表示させると、制御装置43は散布重量表示部39に表示された数値を重量Qとして取り込む)。
【0035】
制御装置43に重量Qが入力されると、制御装置43において単位時間当たりの散布量Mが下記の演算式によって演算される。
M=Q/(T−(t0+t1)/2)
制御装置43において、一定の条件でのシャッタ開度(単位面積当たりの散布重量)、走行車体1の車速、シャッタ19の実際の開度、散布口20からの実際の散布量等が、マップデータとして格納されているので、肥料受けに表示された重量を単位面積当たりの散布重量として設定すると、シャッタ19の開度(所定車速での散布量)がマップデータから導き出される。
【0036】
これにより、制御装置43において、単位時間当たりの散布量Mと、シャッタ19の開度(所定車速での散布量)とが比較される。単位時間当たりの散布量Mとシャッタ19の開度(所定車速での散布量)とが合致していると、補正値は設定されない。単位時間当たりの散布量Mとシャッタ19の開度(所定車速での散布量)とが合致していないと、単位時間当たりの散布量Mとシャッタ19の開度(所定車速での散布量)との差に基づいて、補正値が設定される。
【0037】
以上のようにしてテストモードにおいて補正値が設定された後に、テストモードから作業モードを設定する。作業モードにおいて、増量及び減量スイッチ35,36により単位面積当たりの散布重量に対応したシャッタ19の開度を設定して作業を開始すると、補正値に基づいて、シャッタ19の開度(所定車速での散布量)が自動的に制御(補正)されて(タイプ設定スイッチ37を操作する必要はない)、増量及び減量スイッチ35,36により設定された単位面積当たりの散布重量となるように、肥料が均一に散布される。
【0038】
[別の実施形態]
(1)上記の実施の形態では、タイプ設定スイッチ37を設けているが、このタイプ設定スイッチ37を廃止して、テストモードだけを備えるように構成してもよい。
【0039】
(2)図6に示すように、散布口20より退避した位置に計量容器48及び計量装置51を備え(図6の二点鎖線の位置参照)、計量容器48及び計量装置51を駆動する電動モータ50を備えるように構成してもよい。
これにより、テストモードを設定すると、電動モータ50により計量容器48及び計量装置51が、散布口20の位置に自動的に移動操作されて停止し(図6の実線の位置参照)、前述の[発明を実施するための最良の形態]に記載のテストモードが自動的に行われる。この場合、散布口20から吐出された肥料が計量容器48に回収されると、計量容器48に回収された肥料の重量が計量装置51により自動的に計量されて、制御装置43に自動的に入力される。
【0040】
(3)散布量と車速とのマップデータを格納しておき、マップデータより車速に応じて得られる単位時間当たりの散布量を基にシャッタ開度(散布量調節手段)を制御するようにしてもよい。
【0041】
(4)上記実施の態様では、散布原料として固形肥料を用い、散布量調節手段としてシャッタ19を利用したが、シャッタ19と併用して、又は単独で繰出し機構の回転を電動モータで制御し、回転数の制御によって繰出し機構による散布原料の繰出し量を制御するように構成してもよい。
又、散布原料として液体肥料や液体薬剤を用い、散布量調節手段として可変バルブを用い、可変バルブを制御装置43で制御して流量を調節するようにしてもよい。
【0042】
(5)シャッタ19を散布量調節手段と、モード切換スイッチ38をモード切換手段と、制御装置43を制御手段と、それぞれ総称する。
【0043】
(6)散布装置10としては、肥料散布装置の他、圃場に肥料や種子や石灰を散布する施肥装置、播種装置、ライムソワ(石灰散布)等でもよく、圃場に液状の肥料を散布するブームスプレーヤ等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】散布装置を備えたトラクタの側面図
【図2】トラクタの伝動系統を示すブロック図
【図3】モニタの説明図
【図4】制御系のブロック図
【図5】テストモードでの散布量を示すグラフ
【図6】散布装置の部分側面図
【符号の説明】
【0045】
1 走行車体
10 散布装置(肥料散布装置)
13 ホッパ
19 散布量調節手段(シャッタ)
20 散布口
38 モード切換手段(モード切換スイッチ)
43 制御手段(制御装置)
48 計量容器(肥料受け)
52 散布量補正手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体に、ホッパと前記ホッパに収容された肥料或いは薬剤などの散布原料を散布する散布口と前記散布口より散布する散布量を調節する散布量調節手段とを備えた散布装置と、前記走行車体の車速の検出に基づいて前記散布量調節手段を自動制御する制御手段を備えている散布作業機において、作業モードとテストモードに切換えるモード切換手段を備え、このモード切換手段をテストモードに切換えることにより、所定車速での散布量となるように前記散布量調節手段を制御して所定時間の間、散布原料を前記散布口より吐出させ、前記散布口より前記所定時間の間に吐出した吐出量を基に散布量を補正する散布量補正手段を備えてあることを特徴とする散布作業機。
【請求項2】
前記散布量調節手段は開度調節自在なシャッタである請求項1記載の散布作業機。
【請求項3】
前記散布口より退避した位置に計量容器を設け、前記モード切換手段をテストモードに切換えると前記計量容器が散布口に移動し、散布原料が散布口より吐出されて前記所定時間経過後に散布原料の吐出が停止されると前記計量容器に収容された散布原料の重量が計量装置で自動計量され、計量された計量値を基に散布量を補正するとともに、前記モード切換手段を作業モードに切換えると計量容器が退避位置に退避するように構成してある請求項1または2記載の散布作業機。
【請求項4】
前記散布量補正手段による散布量の補正値を基に車速に応じた散布量を演算または、マップデータより取得し、演算値または取得データを基に前記散布量調節手段を制御するように構成してある請求項1〜3のいずれか一項に記載の散布作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−81824(P2010−81824A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252335(P2008−252335)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】