説明

敷設用シートおよびこれを用いた敷設方法、並びに、路面標示材の定着方法、敷設材

【課題】舗装面、コンクリート面、木材の表面などの対象面にタイル、ブロック、セラミックス、アスファルトなどの路面標示材または舗装材を敷設するために用いられる敷設用シートおよびこれを用いた敷設方法、並びに、路面標示定着用シートを用いて、対象面に白線などの路面標示材を定着させる路面標示材の定着方法、さらに、上記の対象面に上記の路面標示材または舗装材を敷設するために用いられる敷設材を提供する。
【解決手段】本発明の敷設用シート1は、路面標示材または舗装材を対象面に敷設するために用いられる敷設用シートであって、合成樹脂発泡シート2と、合成樹脂発泡シート2の一方の面2aに設けられた表層3と、合成樹脂発泡シート2の他方の面2bに設けられた粘着層4と、を備え、表層3は合成樹脂発泡シート2の一方の面2aに固着された多数のセラミックス粒子5からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装面、コンクリート面、木材の表面などの対象面にタイル、ブロック、セラミックス、アスファルトなどの路面標示材または舗装材を敷設するために用いられる敷設用シートおよびこれを用いた敷設方法、並びに、路面標示定着用シートを用いて、対象面に白線などの路面標示材を定着させる路面標示材の定着方法、さらに、上記の対象面に上記の路面標示材または舗装材を敷設するために用いられる敷設材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転者の中には、時として、横断歩道に接近していることに気付くのが遅れる人や、交差点内に侵入していることに気付かない人がいる。このような運転者の不注意により、横断歩道や交差点における交通事故が多発している。
そこで、運転者に対して注意を喚起するためや車の徐行を促すために、特に、住宅街や学校周辺にある横断歩道の前後や見通しの悪い交差点に、カラー舗装が施されている。
【0003】
従来、舗装面にカラー舗装を施すには、石油樹脂などの熱可塑性樹脂を含む塗料を使用して、舗装面の所定位置に、この塗料を塗布し、次いで、その塗工面に塗料を埋め尽くすように赤色の顔料などで着色されたセラミックス粒子を敷き詰めた後、人力により、セラミックス粒子とともに塗料を加熱、溶融することが行われている。
【0004】
しかしながら、このような従来のカラー舗装の施工方法は、工程数が多く、施工完了までに要する時間が長いため、交差点のほぼ全域を覆うような大面積のカラー舗装を施す場合、道路を封鎖する時間が長くなり、交通に支障をきたすという問題があった。
出願人は、カラー舗装用シートに関する先行技術文献情報を知らず、上述のようにカラー舗装の実際の施工現場における実施状況を知るのみである。
【0005】
また、上述のカラー舗装の施工と同様に、路面、壁などにタイルやブロックなどの舗装材を敷設する場合も、工程数が多く、施工完了までに要する時間が長いため、舗装材を敷設する面積が大きいと、道路を封鎖する時間が長くなり、交通に支障をきたすという問題があった。
【0006】
また、アスファルト、床、コンクリートなどの舗装材からなる舗装面に白線などの路面標示材を設ける場合、舗装材に含まれる水分により、舗装面と路面標示材などとの接着力が低下し、結果として、路面標示などの耐久性が低下するという問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、舗装面、コンクリート面、木材の表面などの対象面にタイル、ブロック、セラミックス、アスファルトなどの路面標示材または舗装材を敷設するために用いられる敷設用シートおよびこれを用いた敷設方法、並びに、路面標示定着用シートを用いて、対象面に白線などの路面標示材を定着させる路面標示材の定着方法、さらに、上記の対象面に上記の路面標示材または舗装材を敷設するために用いられる敷設材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、路面標示材または舗装材を対象面に敷設するために用いられる敷設用シートであって、合成樹脂発泡シートと、当該合成樹脂発泡シートの一方の面に設けられた表層と、前記合成樹脂発泡シートの他方の面に設けられた粘着層と、を備え、前記表層は前記合成樹脂発泡シートの一方の面に固着された多数の路面標示材または舗装材からなることを特徴とする敷設用シートである。
【0009】
請求項2にかかる発明は、前記合成樹脂発泡シートは、発泡ポリスチレンまたは発泡ポリウレタンからなるものであることを特徴とする請求項1に記載の敷設用シートである。
請求項3にかかる発明は、テープ状もしくはシート状をなしていることを特徴とする請求項1または2に記載の敷設用シートである。
【0010】
請求項4にかかる発明は、対象面に熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布し、当該塗料の塗布面に、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の敷設用シートをその粘着層を介して貼着し、転圧した後、前記敷設用シートを加熱することにより、前記対象面に前記敷設用シートを定着させることを特徴とする敷設方法である。
【0011】
請求項5にかかる発明は、合成樹脂発泡シート、および、当該合成樹脂発泡シートの一方の面に設けられた粘着層からなる路面標示定着用シートを用いて、対象面に路面標示材を定着させる方法であって、対象面に熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布し、当該塗料の塗布面に、前記路面標示定着用シートを、その粘着層を介して貼着し、転圧した後、前記合成樹脂発泡シート上に前記路面標示材を塗工し、次いで、前記合成樹脂発泡シートおよび前記路面標示材を加熱することにより、前記対象面に前記路面標示材を定着させることを特徴とする路面標示材の定着方法である。
【0012】
請求項6にかかる発明は、路面標示材または舗装材を対象面に敷設するために用いられる敷設材であって、糸状の接着材からなる接着層と、該接着層の一方の面に設けられた表層と、を備え、前記表層は前記接着層の一方の面に固着された多数の路面標示材または舗装材からなることを特徴とする敷設材である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の敷設用シートによれば、路面標示材または舗装材を対象面に敷設するために用いられる敷設用シートであって、合成樹脂発泡シートと、当該合成樹脂発泡シートの一方の面に設けられた表層と、前記合成樹脂発泡シートの他方の面に設けられた粘着層と、を備え、前記表層は前記合成樹脂発泡シートの一方の面に固着された多数の路面標示材または舗装材からなるものであるので、ばらばらのセラミックス粒子、タイル、ブロックなどの路面標示材または舗装材を一括して、舗装面などの対象面に敷設することができるから、工程数および施工完了までに要する時間を大幅に短縮して、容易に任意の舗装を施すことができる。また、路面標示材または舗装材としてアスファルトを用いた場合、合成樹脂発泡シートの一方の面に、このアスファルトを均一な厚みとなるように固着した敷設用シートを構成すれば、従来の施工方法よりも、アスファルトの敷設における工程数および施工完了までに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0014】
本発明の敷設方法によれば、対象面に熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布し、当該塗料の塗布面に、本発明の敷設用シートをその粘着層を介して貼着し、転圧した後、前記敷設用シートを加熱することにより、前記対象面に前記敷設用シートを定着させる方法であるので、工程数および施工完了までに要する時間を大幅に短縮して、その表面に着色されたセラミックス粒子が敷き詰められたカラー舗装、表面にタイルやブロックが敷き詰められた路面標示または舗装、アスファルトが敷設された路面標示または舗装を施すことができる。したがって、これらの路面標示材または舗装材を敷設する際に道路を封鎖する時間を短縮することができるので、交通に及ぼす影響を少なくすることができる。
【0015】
本発明の路面標示材の定着方法によれば、合成樹脂発泡シート、および、当該合成樹脂発泡シートの一方の面に設けられた粘着層からなる路面標示定着用シートを用いて、対象面に路面標示材を定着させる方法であって、対象面に熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布し、当該塗料の塗布面に、前記路面標示定着用シートを、その粘着層を介して貼着し、転圧した後、前記合成樹脂発泡シート上に前記路面標示材を塗工し、次いで、前記合成樹脂発泡シートおよび前記路面標示材を加熱することにより、前記対象面に前記路面標示材を定着させる方法であるので、舗装材に含まれる水分を、この路面標示定着用シートにより遮断し、舗装材に含まれる水分によって舗装面と路面標示材との接着力が低下するのを防止し、強固に舗装面に路面標示材を定着させることができる。
【0016】
本発明の敷設材によれば、路面標示材または舗装材を対象面に敷設するために用いられる敷設材であって、糸状の接着材からなる接着層と、該接着層の一方の面に設けられた表層と、を備え、前記表層は前記接着層の一方の面に固着された多数の路面標示材または舗装材からものであるので、ばらばらのセラミックス粒子、タイル、ブロックなどの路面標示材または舗装材を一括して、舗装面などの対象面に敷設することができるから、工程数および施工完了までに要する時間を大幅に短縮して、容易に任意の舗装を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の敷設用シートおよびこれを用いた敷設方法、並びに、路面標示材の定着方法、敷設材の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0018】
(敷設用シート)
図1は、本発明の敷設用シートの一実施形態を示す概略斜視図である。
この実施形態の敷設用シート1は、合成樹脂発泡シート2と、この合成樹脂発泡シート2の一方の面2aに設けられた表層3と、合成樹脂発泡シート2の他方の面2bに設けられた粘着層4とから概略構成され、積層構造をなすシートである。
また、表層3は、合成樹脂発泡シート2の一方の面2aに固着された無数のセラミックス粒子5から構成されている。さらに、このセラミックス粒子5は、顔料などにより着色されたものである。
【0019】
合成樹脂発泡シート2は、合成樹脂発泡体からなる厚み2mm〜10mm程度の白色の発泡シートであって、この例では長尺のテープ状をなしている。
合成樹脂発泡体としては、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリ塩化ビニル、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体の発泡体または炭化水素系樹脂の発泡体から選択されるものが挙げられるが、これらの中でも、舗装面が不陸であっても、容易にカラー舗装の施工を行うことができる点などから、軟質で、かつ、発泡倍率が3〜5倍の発泡ポリスチレンまたは発泡ポリウレタンが好ましい。
【0020】
表層3は、セラミックス粒子5と、これを合成樹脂発泡シート2に固着するバインダ樹脂とから構成されている。この表層3は、合成樹脂発泡シート2の一方の面2aに、セラミックス粒子5、および、ポリマーエマルジョンなどのバインダ樹脂を含むスラリーを塗布した後、このスラリーを加熱して、合成樹脂発泡シート2に固着して形成されたものである。
この表層3の厚みは、1mm〜5mm程度である。
また、表層3の表面には、無数のセラミックス粒子5の存在によって、微細な凹凸が形成されている。
【0021】
セラミックス粒子5は、平均粒径が0.5mm〜2mm程度の粒子であり、その材質は特に限定されず、カラー舗装に要求される色調、摩擦力などに応じて適宜選択される。
また、このセラミックス粒子5の色調は、特に限定されず、カラー舗装の施工場所(横断歩道、交差点、歩道、路側帯など)などに応じて適宜調整される。例えば、舗装道路の横断歩道の前後や交差点にカラー舗装を施工する場合、セラミックス粒子5の色調を赤色、黄色などの認識し易い色とする。
【0022】
粘着層4は、ポリイソブチレン、天然ゴム、アクリル樹脂などの主剤と、ロジン、クマロン樹脂などの粘着性付与剤と、フタル酸エステル、ヒマシ油などの可塑剤とを含む、通常の粘着剤から構成されている。この粘着層4は、合成樹脂発泡シート2の他方の面2bに、上記の粘着剤を塗布して形成されたものである。
この粘着層4の厚みは、0.2mm〜1mm程度である。
また、敷設用シート1の取扱性を高めるために、粘着層4の粘着面(合成樹脂発泡シート2と接している面とは反対の面)に、剥離紙を設けてもよい。
【0023】
このような敷設用シート1は、その厚みが3mm〜10mm程度、幅が5cm〜30cm程度、長さが3m〜100m程度のテープ状をなしており、通常はロール状に巻回された状態となっている。
なお、本発明の敷設用シートの形態は、テープ状に限定されるものではなく、施工の対象となる舗装面の形状や寸法などに応じて裁断されたシート状のものであってもよい。
また、合成樹脂発泡シート2と粘着層4の代わりに、合成樹脂発泡シート2をなす合成樹脂発泡体を溶剤に溶かして、施工の対象となる舗装面に塗布して樹脂の塗膜を形成し、その塗膜の表面にセラミックス粒子5を敷設してもよい。
【0024】
次に、敷設用シート1の製造方法を説明する。
まず、長尺、広幅の合成樹脂発泡シート2を用意し、この合成樹脂発泡シート2の一方の面2aに、セラミックス粒子5とバインダ樹脂を含むスラリーを塗布する。
次いで、このスラリーが塗布された合成樹脂発泡シート2を加熱して、合成樹脂発泡シート2の一方の面2aに表層3を形成する。
次いで、合成樹脂発泡シート2の他方の面2bに、粘着剤を塗布して粘着層4を形成し、合成樹脂発泡シート2、表層3および粘着層4からなる積層体を得る。
次いで、スリッターにより、この積層体を所望の幅に裁断して敷設用シート1を形成した後、巻き取られる。あるいは、スリッターにより、この積層体を所望の平面形状に裁断してもよい。
【0025】
この実施形態の敷設用シート1によれば、ばらばらのセラミックス粒子5を一括して、舗装面などの対象面に敷設することができるから、工程数および施工完了までに要する時間を大幅に短縮して、容易に任意の色調のカラー舗装を施すことができる。
【0026】
なお、この実施形態では、表層3がセラミックス粒子5からなる舗装材である場合を例示したが、本発明の敷設用シートはこれに限定されない。本発明の敷設用シートにあっては、表層としては、各種のタイルやブロック、アスファルトなどからなる路面標示材または舗装材を用いることもできる。
【0027】
路面標示材または舗装材としてタイルやブロックを用いる場合、合成樹脂発泡シートの一方の面に、これらの路面標示材または舗装材を隙間なく、あるいは、所定の位置に固着した敷設用シートを構成することにより、ばらばらのタイルやブロックを一括して、対象面に所定の配置に敷設することができる。
例えば、図2に示すように、合成樹脂発泡シート12の一方の面12aに、所定の間隔をおいて整列させた状態にて、4つのタイル13を固着して敷設用シート10を構成してもよい。
【0028】
また、路面標示材または舗装材としてアスファルトを用いる場合、合成樹脂発泡シートの一方の面に、このアスファルトを均一な厚みとなるように固着した敷設用シートを構成することにより、従来の施工方法よりも、アスファルトの敷設における工程数および施工完了までに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0029】
(路面標示材または舗装材の敷設方法)
本発明の敷設方法の一実施形態として、上記の敷設用シート1を用いた場合について説明する。
まず、舗装後の道路表面(横断歩道、交差点、歩道、路側帯などの表面)の所定位置に、石油樹脂などの熱可塑性樹脂を含む塗料(接着剤)を塗布する。
次いで、上記の塗料の塗布面に、粘着層4を介して敷設用シート1を貼着し、転圧ローラーなどにより軽く転圧して、道路表面に敷設用シート1を仮固定する。
【0030】
次いで、敷設用シート1に、プロパンバーナーなどの火炎を吹き付け、道路表面に敷設用シート1を加熱する(焼き付ける)ことにより、カラー舗装を完了する。
この火炎の吹き付けによる敷設用シート1の焼き付けによって、敷設用シート1の合成樹脂発泡シート2、表層3のバインダ樹脂、および、粘着層4が容易に燃焼し、道路表面には、セラミックス粒子5のみが燃焼かすとして残る。そして、火炎により、先に道路表面に塗布しておいた塗料(接着剤)が溶融し、この接着剤により、残ったセラミックス粒子5が道路表面に固着される。
【0031】
この実施形態の敷設方法によれば、上記の敷設用シート1を用いるので、形成されたカラー舗装の表面は、セラミックス粒子5が無数に敷き詰められた表層3から構成されるから、赤色や黄色に着色されたセラミックス粒子5により、横断歩道、交差点、歩道、路側帯などの表面の視認性が高くなる。また、カラー舗装の表面には、セラミックス粒子5による微細な凹凸が形成され、この凹凸によって良好な滑り止め効果が得られる。
【0032】
なお、この実施形態では、表層3がセラミックス粒子5からなる舗装材である場合を例示したが、本発明の敷設方法はこれに限定されない。本発明の敷設方法にあっては、表層が、各種のタイルやブロック、アスファルトなどからなる路面標示材または舗装材である敷設用シートを用いることもできる。
路面標示材または舗装材がタイルやブロックからなる敷設用シートを用いることにより、ばらばらのタイルやブロックを一括して、対象面に所定の配置に敷設することができる。また、対象面にタイルやブロックを配置する工程を省くことができるから、これらの路面標示材または舗装材の敷設における工程数および施工完了までに要する時間を大幅に短縮することができる。
また、路面標示材または舗装材がアスファルトからなる敷設用シートを用いることにより、従来の施工方法のように、対象面にアスファルトを塗布する工程と、塗布したアスファルトの表面を平らになるように均す工程とを省くことができるから、アスファルトの敷設における工程数および施工完了までに要する時間を大幅に短縮することができる。
また、合成樹脂発泡シート2と粘着層4の代わりに、合成樹脂発泡シート2をなす合成樹脂発泡体を溶剤に溶かして、施工の対象となる舗装面に塗布して樹脂の塗膜を形成し、その塗膜の表面にセラミックス粒子5を敷設してもよい。
【0033】
(路面標示材の定着方法)
本発明の路面標示材の定着方法は、合成樹脂発泡シート、および、この合成樹脂発泡シートの一方の面に設けられた粘着層からなる路面標示定着用シート、すなわち、上記の敷設用シート1において、セラミックス粒子5からなる表層3が設けられていないシートを用いて、対象面に路面標示材を定着させる方法であって、対象面に熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布し、その塗料の塗布面に、路面標示定着用シートを、その粘着層を介して貼着し、転圧した後、路面標示定着用シートを構成する合成樹脂発泡シート上に路面標示材を塗工し、次いで、合成樹脂発泡シートおよび路面標示材を加熱することにより、対象面に路面標示材を定着させる方法である。
【0034】
ここでは、路面標示材としては、一般的に、舗装面に白線などの路面標示を設ける際に用いられる塗料が用いられる。
【0035】
本発明の路面標示材の定着方法によれば、路面標示定着用シートを介して、対象面に路面標示材を定着させるので、舗装材に含まれる水分を、この路面標示定着用シートにより遮断し、舗装材に含まれる水分によって舗装面と路面標示材との接着力が低下するのを防止し、強固に舗装面に路面標示材を定着させることができる。
なお、合成樹脂発泡シートと粘着層の代わりに、合成樹脂発泡シートをなす合成樹脂発泡体を溶剤に溶かして、施工の対象となる舗装面に塗布して樹脂の塗膜を形成し、その塗膜の表面に路面標示材を敷設してもよい。
【0036】
(敷設材)
図3は、本発明の敷設材の一実施形態を示す概略平面図である。
この実施形態の敷設材20は、糸状の接着材21からなる接着層22と、この接着層22の一方の面22aに設けられ、表層をなすタイル23とから概略構成されている。
【0037】
接着層22は、糸状の接着材21が規則的または不規則に束ねられて層状または塊状をなしている。
また、糸状の接着材21は、糸状の合成樹脂発泡体(芯材)の表面に粘着層を設けたものである。
合成樹脂発泡体としては、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリ塩化ビニル、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体の発泡体または炭化水素系樹脂の発泡体から選択されるものが挙げられるが、これらの中でも、舗装面が不陸であっても、容易にカラー舗装の施工を行うことができる点などから、軟質で、かつ、発泡倍率が3〜5倍の発泡ポリスチレンまたは発泡ポリウレタンが好ましい。
【0038】
接着材21の粘着層は、ポリイソブチレン、天然ゴム、アクリル樹脂などの主剤と、ロジン、クマロン樹脂などの粘着性付与剤と、フタル酸エステル、ヒマシ油などの可塑剤とを含む、通常の粘着剤から構成されている。
また、敷設材20の取扱性を高めるために、接着材21の粘着面(タイル23と接している面とは反対の面)に、剥離紙を設けてもよい。
【0039】
この実施形態の敷設材20によれば、ばらばらのタイル23を一括して、舗装面などの対象面に敷設することができるから、工程数および施工完了までに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0040】
なお、この実施形態では、表層がタイル23からなる場合を例示したが、本発明の敷設材はこれに限定されない。本発明の敷設材にあっては、表層としては、各種のタイルやブロック、アスファルトなどからなる路面標示材または舗装材を用いることもできる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0042】
「実施例」
合成樹脂発泡シートとして、厚み3mmの白色の発泡ポリスチレンシート(発泡倍率3倍)を用い、この一方の面に、平均粒径1mm〜2mmのセラミックス粒子とエチレン・酢酸ビニルエマルジョンとを含むスラリーを塗布した後、加熱して、厚み2mm〜3mmのセラミックスからなる表層を形成した。
また、発泡ポリスチレンシートの他方の面に、天然ゴム系粘着剤を塗布して、厚み0.5mmの粘着層を形成し、発泡ポリスチレンシート、表層および粘着層からなる積層体を得た。
さらに、この積層体を裁断して、幅15cmのテープ状のカラー舗装の敷設用シートを作製した。
【0043】
次いで、アスファルト舗装道路の交差点の舗装面に、石油樹脂を含む塗料を塗布した。
次いで、この塗料の塗布面に、粘着層を介して、上記の敷設用シートを貼着し、転圧ローラーにより軽く転圧して、舗装面に敷設用シートを仮固定した。
次いで、敷設用シートに、プロパンバーナーの火炎を吹き付け、舗装面に敷設用シートを焼き付けることにより、敷設用シートの合成樹脂発泡シート、セラミックスからなる表層のバインダ樹脂、および、粘着層を燃焼させるとともに、舗装面に塗布しておいた塗料を溶融させることにより、舗装面にセラミックス粒子を固着させ、カラー舗装を完了した。
施工が完了したカラー舗装の上を自動車で走行したところ、セラミックス粒子の剥離が見られず、舗装面にセラミックス粒子が強固に固着していることを確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の敷設用シートの一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の敷設用シートの他の実施形態を示す概略平面図である。
【図3】本発明の敷設材の一実施形態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,10・・・敷設用シート、2,12・・・合成樹脂発泡シート、3・・・表層、4・・・粘着層、5・・・セラミックス粒子、13・・・ブロック、20・・・敷設材、21・・・接着材、22・・・接着層、23・・・タイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面標示材または舗装材を対象面に敷設するために用いられる敷設用シートであって、
合成樹脂発泡シートと、当該合成樹脂発泡シートの一方の面に設けられた表層と、前記合成樹脂発泡シートの他方の面に設けられた粘着層と、を備え、
前記表層は前記合成樹脂発泡シートの一方の面に固着された多数の路面標示材または舗装材からなることを特徴とする敷設用シート。
【請求項2】
前記合成樹脂発泡シートは、発泡ポリスチレンまたは発泡ポリウレタンからなるものであることを特徴とする請求項1に記載の敷設用シート。
【請求項3】
テープ状もしくはシート状をなしていることを特徴とする請求項1または2に記載の敷設用シート。
【請求項4】
対象面に熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布し、当該塗料の塗布面に、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の敷設用シートをその粘着層を介して貼着し、転圧した後、前記敷設用シートを加熱することにより、前記対象面に前記敷設用シートを定着させることを特徴とする敷設方法。
【請求項5】
合成樹脂発泡シート、および、当該合成樹脂発泡シートの一方の面に設けられた粘着層からなる路面標示定着用シートを用いて、対象面に路面標示材を定着させる方法であって、
対象面に熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布し、当該塗料の塗布面に、前記路面標示定着用シートを、その粘着層を介して貼着し、転圧した後、前記合成樹脂発泡シート上に前記路面標示材を塗工し、次いで、前記合成樹脂発泡シートおよび前記路面標示材を加熱することにより、前記対象面に前記路面標示材を定着させることを特徴とする路面標示材の定着方法。
【請求項6】
路面標示材または舗装材を対象面に敷設するために用いられる敷設材であって、
糸状の接着材からなる接着層と、該接着層の一方の面に設けられた表層と、を備え、
前記表層は前記接着層の一方の面に固着された多数の路面標示材または舗装材からなることを特徴とする敷設材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−65461(P2010−65461A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233248(P2008−233248)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(503242442)株式会社サンエイ企画 (1)
【Fターム(参考)】