説明

文書管理システム及びプログラム

【課題】文書等が機密区分領域から持ち出された場合においても,文書を所在地を確認することができる文書管理システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る文書管理システム1は,ユーザ毎の警告先を記憶する警告先記憶手段(文書管理装置16のユーザDB)と,文書を検知する文書検知装置22及び当該文書を運ぶユーザを認証する個人認証装置20を備えるゲート18と,前記ゲート18の前記文書検知装置22により文書が検知された場合,前記ユーザDBに記憶されている前記個人認証装置20により認証されたユーザの警告先に対して警告を通知する警告通知手段(文書管理装置16の警告通知部66)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書を管理する文書管理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
文書のトレーサビリティは,いつ,どこで,だれが,どの文書を保持していたか,を追跡できることである。情報漏洩を防止するため,文書のトレーサビリティが確保される文書管理システムが望まれている。
【0003】
従来,文書が,ゲート等により閉じられた空間として形成された特定領域の外に持ち出された場合,この文書の現在位置を特定することは困難であった。例えば,RFID(Radio Frequency Identification)タグ等の無線チップを紙媒体に取り付けることにより紙媒体を管理するシステムでは,RFIDタグの厚みによる紙媒体への印刷の問題,RFIDタグを読み取る読取装置などの特定領域外への設置の問題,読取装置の通信距離(数m程度)の問題などにより,実用的とはいい難い状況である。
【0004】
特許文献1では,スーパーマーケットやイベント会場等の施設内にいる時に,利用者である顧客や来場者等の近くの場所に関連する情報を利用者が保有する携帯端末に配信する情報配信システムが開示されている。
特許文献2では,オフィス等で排出された機密書類の排出から処理までの過程を管理する手法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−41642号公報
【特許文献2】特開2007−42076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,文書や物品が機密区分領域から持ち出された場合,文書等の所在地がわからなくなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、文書等が機密区分領域から持ち出された場合においても,文書を所在地を確認することができる文書管理システム及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る文書管理システムは、ユーザ毎の警告先を記憶する警告先記憶手段と,文書を検知する文書検知部及び当該文書を運ぶユーザを認証するユーザ認証部を備える入退出部と,前記入退出部の前記文書検知部により文書が検知された場合,前記警告先記憶手段に記憶されている前記ユーザ認証部により認証されたユーザの警告先に対して警告を通知する警告通知手段とを有する。本発明によれば,文書等が機密区分領域から持ち出されると,文書等を持ち出したユーザに対して警告が通知されるので,ユーザに対して所在地の通知を促すことができ,文書の所在地を確認することができる。
【0009】
好適には,前記警告通知手段は,所定時間毎に,警告を通知する。本発明によれば,所在地を通知しないユーザに対して警告が所定間隔で通知され,ユーザが所在地を通知する動機付けとなるので,文書の所在地の通知をさらに促すことができる。
【0010】
好適には,前記警告通知手段は,通知した警告に対する応答が受け付けられた場合,所定時間毎に警告を通知することを解除する。本発明によれば,ユーザが警告に対して応答すれば,警告が繰り返し行われることが停止されるので,ユーザが応答を行う動機付けとなる。
【0011】
好適には,前記警告通知手段により通知される警告に対する応答には,場所情報,時刻情報及び文書情報が含まれており,前記警告通知手段により通知される警告に対する応答を受け付ける応答受付手段と,前記応答受付手段により受け付けられた応答に含まれる場所情報,時刻情報及び文書情報並びにユーザ情報を記憶する追跡情報記憶手段とをさらに有する。本発明によれば,ユーザからの応答に含まれる場所情報等が記憶されるので,機密区分領域から持ち出された文書の所在地をいつでも確認することができる。
【0012】
好適には,場所を識別する場所識別情報を記憶する場所記憶手段をさらに有し,前記追跡情報記憶手段は,場所情報として,前記場所記憶手段に記憶されている場所識別情報を記憶する。本発明によれば,文書が機密区分領域の内部であって場所識別情報により識別される場所に格納されている場合においても,文書の所在地を確認することができる。
【0013】
好適には,前記文書検知部は,大バルクハウゼン効果により,文書を検知する。本発明によれば,文書が機密区分領域から持ち出されたことを,簡易に検知することができる。
【0014】
好適には,前記文書検知部は,警告に対する応答の送信先情報が埋め込まれた文書を検知する。本発明によれば,ユーザが警告に対して応答を行う場合,文書に埋め込まれた送信先情報を用いて簡易な操作で応答を行うことができるので,応答が行われる確率を高くすることができる。
【0015】
本発明に係るプログラムは,コンピュータと,ユーザ毎の警告先を記憶する警告先記憶手段と,文書を検知する文書検知部及び当該文書を運ぶユーザを認証するユーザ認証部を備える入退出部とを含む文書管理システムにおいて,前記入退出部の前記文書検知部により出力される検知信号を受け付ける検知信号受付ステップと,前記検知信号が受け付けられた場合,前記ユーザ認証部により認証されたユーザ情報を受け付けるユーザ情報受付ステップと,前記受け付けられたユーザ情報に基づいて,前記警告先記憶手段に記憶されている当該ユーザの警告先に対して警告を通知する警告通知ステップとを前記文書管理システムのコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、文書等が機密区分領域から持ち出された場合においても,文書を所在地を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は,本発明の実施形態に係る文書管理システム1の構成を示す図である。
図1に示すように,本実施形態に係る文書管理システム1は,ネットワーク28を介して接続された画像形成装置10,文書管理装置16,保管庫24及びゲート18を含む。ネットワーク28は,例えばLAN(Local Area Network)により構成されている。したがって,画像形成装置10,文書管理装置16,保管庫24及びゲート18は,データをネットワーク28を介して送受信する。なお,ネットワーク28は,有線であってもよいし,無線であってもよい。また,画像形成装置10や保管庫24は,複数,含まれてもよい。
【0018】
画像形成装置10は,例えばコピー機や複合機であり,印刷(プリント)機能,複写(コピー)機能,読取(スキャン)機能及びファクシミリ送受信機能を有する。画像形成装置10は,後述するようにして構成される機密区分領域に配置されている。画像形成装置10は,認証装置12及び検知センサ14を備える。
【0019】
認証装置12は,非接触方式のICカード等の認証カードに格納されている個人情報(例えば,ユーザIDなど)を読み取ることにより、認証カードを保持する個人の認証を行う。個人の認証が認証装置12により行われると,画像形成装置10は,印刷処理を行って用紙を出力する。したがって,誰が,いつ,印刷処理等を行ったかが識別可能となる。
【0020】
検知センサ14は,用紙に含まれる磁性材料を検知するセンサである。検知センサ14は,例えば挟み込みアンテナであり,大バルクハウゼン効果により,発生された磁界の変化を検知する。より具体的には,検知センサ14は,大バルクハウゼン効果を示す磁性ワイヤーなどの磁性材料が漉き込まれた用紙(検知対象用紙)に画像が形成される場合,検知対象用紙に含まれる磁性材料が生じる磁化反転を検知する。なお,検知対象用紙は,リモート用紙とも呼ばれる。
【0021】
画像形成装置10は,用紙に画像を形成する際,光学的に読み取り可能な符号画像を用紙に印刷する。符号画像は,例えば,バーコード,QRコードなどの2次元コードにより実現される。符号画像には,画像形成装置10により出力される文書を識別する識別子(ID),当該用紙が検知対象用紙であるか否かを示す情報,及び文書管理装置16のメールアドレスが含まれている。文書管理装置16のメールアドレスは,後述する警告に対する応答の送信先情報として用いられる。符号画像には,画像形成装置10を識別する識別子,画像形成装置10が設置されている場所など,画像形成装置10に関する情報が含まれてもよい。
【0022】
ゲート18(入退出部)は,閉じられた空間である機密区分領域と,それ以外の領域とを隔てる位置に設けられている。例えば,ゲート18は,建物,部屋,オフィス,店舗などの出入口に設けられている。したがって、機密区分領域に入る場合又は機密区分領域から出る場合、ユーザはゲート18を通過する。ゲート18は,個人認証装置20及び文書検知装置22を備える。
【0023】
個人認証装置20(ユーザ認証部)は,上記の認証カードに格納されている個人情報を無線で読み取る。個人認証装置20が,読み取った個人情報が通過権限を有するものであると確認すると,図示しない扉が開かれ,ゲート18は通過可能な状態になる。ユーザがゲート18を通過すると,図示しない通過検知センサなどによりユーザが通過したことが確認され,扉が閉じられ,ゲート18は通過不可能な状態になる。このようにして,個人認証装置20は,機密文書を運ぶユーザを認証する。なお,個人認証装置20は,指紋,静脈,目の虹彩など,生体情報を用いて個人の認証を行ってもよい。
【0024】
文書検知装置22は,所定の強度の振動磁界を発生し,この振動磁界により形成される監視領域に入る文書を検知する。具体的には,文書検知装置22は,検知センサ14と同様に,図示しない検知コイルを有し、この検知コイルにより、検知対象用紙が磁界に入ることにより生じる磁化反転を検知する。即ち、文書検知装置22は、大バルクハウゼン効果により,機密文書(検知対象用紙を含む文書)を検知する。したがって,ユーザが機密文書を持ってゲート18を通過すると,機密文書を機密区分領域から持ち出したユーザを特定することが可能となる。
【0025】
保管庫24は,文書を保管するための容器であり,機密区分領域に設けられている。保管庫24は,検知対象用紙に付された符号画像を光学的に読み取る読取装置26を備える。読取装置26は,例えば,バーコードリーダやQRコードリーダである。符号画像が読取装置26により読み取られることにより,保管庫24に保管されている文書を特定することが可能となる。
【0026】
文書管理装置16は,画像形成装置10,保管庫の読取装置26並びにゲート18の個人認証装置及び文書検知装置22から送信されるデータを受信して記憶する。また,文書管理装置16は,後述する携帯電話等の移動端末装置やパーソナルコンピュータ等の端末装置から送信されるデータを受信して記憶する。より具体的には,文書管理装置16は,機密文書の所在地を確認するための情報を管理する。なお,文書管理装置16に記憶される情報については,後で詳述する。
【0027】
図2は,文書管理装置16のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように,文書管理装置16は,CPU30、メモリ32、ハードディスク駆動装置等の記憶装置34,ネットワーク28を介してデータ通信を行う通信インタフェース(IF)36,キーボードやマウス等の入力装置38及び液晶ディスプレイ等の表示装置40を有する。これらの構成要素は,データの入出力が互いに可能に接続されている。
【0028】
図3は,文書管理装置16により管理される情報を示す図であって,図3(A)は,ユーザDB52に格納される情報を例示し,図3(B)は,場所DB54に格納される情報を例示し,図3(C)は,文書DB56に格納される情報を例示する。ユーザDB52,場所DB54及び文書DB56は,メモリ32及び記憶装置34の少なくともいずれかにより実現される。
【0029】
図3(A)に示すように,ユーザDB52(警告先記憶手段)は,各ユーザのユーザ情報を記憶する。ユーザ情報には,ユーザを一意に識別するユーザID,氏名,電話番号及び電子メールアドレスが含まれている。電話番号及び電子メールアドレスは,ユーザの警告先情報として扱われる。電子メールアドレスは,当該ユーザが保持する携帯電話などの移動端末装置に対して送信可能なメールアドレスである。ユーザDB52には,ユーザ情報が予め格納されている。
【0030】
したがって,ユーザIDが取得されると,当該ユーザIDにより識別されるユーザの警告先情報を特定することができる。なお,ユーザ情報に含まれる項目は例示であり,他の項目が含まれてもよい。また,電子メールアドレスは,パーソナルコンピュータなどの端末装置に対して送信可能なメールアドレスであってもよい。
【0031】
図3(B)に示すように,場所DB54(場所記憶手段)は,場所を識別する場所識別情報(場所情報)を記憶する。場所情報には,場所を一意に識別する場所ID及び場所名が含まれている。例えば,場所DB54に格納される場所情報は,画像形成装置10や保管庫24に関する情報である。場所DB54には,場所情報が予め格納されている。
【0032】
図3(C)に示すように,文書DB56は,各機密文書の文書情報を記憶する。文書情報には,一意に識別する文書ID,文書名及び大バルクハウゼン効果の有無情報が含まれている。文書IDは,画像形成装置10による印刷時に用紙に印刷される符号画像に含まれる情報である。大バルクハウゼン効果の有無情報は,当該文書が検知対象用紙に印刷されたものであるか否かを示す情報である。
【0033】
画像形成装置10は,文書を出力する毎に,文書情報を文書管理装置16に対して送信する。したがって,文書DB56には,画像形成装置10が文書を出力する毎に,当該文書の文書情報が格納される。
【0034】
図4は,文書管理装置16により管理される追跡DB58に格納される情報を例示する図である。追跡DB58は,ユーザDB52等と同様に,記憶装置34等により実現される。
図4に示すように,追跡DB58(追跡情報記憶手段)は,機密文書の所在地を確認するための追跡情報を記憶する。追跡情報には,ユーザID,文書ID,タイムスタンプ及び場所情報が含まれる。ユーザIDは,ユーザDB52(図3)に格納されているユーザ情報のユーザIDに対応する。文書IDは,文書DB56に格納されている文書情報の文書IDに対応する。
【0035】
場所情報は,当該文書が存在する場所を示す。場所情報が,場所DB54に格納されている場所IDである場合,文書は,場所IDに示される場所(保管庫24)に保管されているか,又は場所IDに示される場所(画像形成装置10)で印刷されている。場所情報が「N.A.」である追跡情報は,文書の所在地の確認が行われている最中であることを示す。
【0036】
場所情報が,場所DB54に格納されている場所IDではない場合(例えば,後述する中継地を示す場所情報である場合),追跡情報は,文書の所在地が確認され,文書が当該中継地の所定範囲内に存在する可能性が高いことを示す。図4の例では,「loc1」「loc2」「loc3」が,中継地を示す場所情報である。中継地を示す場所情報の代わりに,緯度経度情報が用いられてもよい。タイムスタンプは,文書が当該場所に存在すること(又は,中継地の所定範囲内に存在すること)が確認された時刻を示す。
【0037】
図5は,文書管理装置16上で動作する文書管理プログラム50の機能構成を示すブロック図である。
図5に示すように,文書管理プログラム50は,ユーザDB52,場所DB54,文書DB56(図3),追跡DB58(図4),検知信号受付部60,ユーザID取得部62,警告先取得部64,警告通知部66,応答受付部68及び追跡情報登録部70を有する。文書管理プログラム50は,文書管理装置16のメモリ32にロードされ,CPU30により実行される。
【0038】
文書管理プログラム50において,検知信号受付部60は,ゲート18の文書検知装置22から出力される検知信号を受け付け,ユーザID取得部62に対してユーザIDの取得を命令する命令信号を出力する。
【0039】
ユーザID取得部62は,検知信号受付部60から出力される命令信号を入力すると,ゲート18の個人認証装置20により認証された個人のユーザIDを取得する。ユーザID取得部62は,個人認証装置20から出力される個人情報を受け付けてもよいし,個人認証装置20に保持されている個人情報を読み出してもよい。
【0040】
警告先取得部64は,ユーザID取得部62により取得されたユーザIDを受け付け,このユーザIDに基づいてユーザDB52を参照し,当該ユーザの警告先情報を取得する。警告先取得部64は,当該ユーザの警告先情報を警告通知部66に対して出力する。
【0041】
警告通知部66は,警告先取得部64から出力された警告先情報を受け付け,当該警告先に対して警告を通知する。より具体的には,警告通知部66は,警告先情報としての電子メールアドレスに対して,文書の所在を送信する旨の警告メールを送信する。警告通知部66は,所定時間毎に,このような警告を通知する。また,警告通知部66は,後述する応答受付部68から出力される,通知した警告に対する応答が受け付けられた旨の応答確認信号を受け付けた場合,所定時間毎に警告を通知することを解除する。
【0042】
応答受付部68は,警告通知部66により通知された警告に対する応答を受け付けた場合,応答確認信号を警告通知部66に対して出力する。より具体的には,応答受付部68は,警告メールに対する応答メールを受け付けた場合,応答確認信号を警告通知部66に対して出力し,応答メールの内容を追跡情報登録部70に対して出力する。
【0043】
応答メールは,例えば,移動端末装置から送信されたメールである。応答メールには,ユーザID,移動端末装置の電話番号,送信元メールアドレス,送信時刻,文書ID,位置情報(例えば,中継地情報,GPS機能により取得される緯度経度情報など)が含まれる。文書IDは,検知対象用紙に印刷された符号画像が,移動端末装置に備えられているカメラにより撮像されることにより取得され応答メールに含まれることが可能である。また,撮像された符号画像から文書管理装置16のメールアドレスが取得され,応答メールの送信先アドレスとして用いられる。
【0044】
追跡情報登録部70は,文書の追跡情報を追跡DB58に格納する。より具体的には,追跡情報登録部70は,保管庫24の読取装置26から送信される読取情報を受け付けた場合,読取装置26により符号画像を読み取られた機密文書が,読取装置26が備えられた保管庫24に,当該時刻に保管されたことを示す情報を格納する。即ち,追跡情報登録部70は,文書ID,タイムスタンプ,場所情報を格納する。なお,機密文書が保管庫に保管された場合,ユーザIDは,「N.A.」とする。
【0045】
追跡情報登録部70は,画像形成装置10が用紙に印刷した場合も同様に,文書の追跡情報を追跡DB58に格納する。この場合,追跡情報の場所情報として,画像形成装置10を示す場所ID(図3(B))が格納される。
【0046】
追跡情報登録部70は,機密文書がゲート18から外部に持ち出されたこと示す情報をゲート18から受け付けた場合,機密文書を持ち出したユーザに対応するユーザIDを含む追跡情報を追跡DB58に格納する。この場合,追跡情報の文書IDには機密文書の所在地を確認している最中である情報(例えば,「リクエスト中」)が格納され,タイムスタンプ及び場所情報は「N.A.」とする。
【0047】
追跡情報登録部70は,応答受付部68から応答メールの内容を受け付けると,当該文書に関する追跡情報を追跡DB58に格納する。より具体的には,追跡情報登録部70は,応答メールに含まれるユーザIDを含み,文書IDがリクエスト中である追跡情報を更新する。ここで,追跡情報登録部70は,追跡情報に含まれる文書ID,タイムスタンプ及び場所情報を,応答メールに含まれる文書ID,送信時刻及び位置情報にそれぞれ更新する。
【0048】
図6は,本発明の実施形態に係る文書管理システム1により実行される所在地確認処理(S10)のフローチャートを示す。
図6に示すように,ステップ100(S100)において,文書管理装置16は,ゲート18の文書検知装置22から検知信号を受け付けたか否かを判定する。即ち,機密文書がゲート18を介して機密区分領域から外部に持ち出されたか否かを判定する。文書管理装置16は,検知信号を受け付けた場合にはS102の処理に進み,そうでない場合にはS100の処理に戻る。
【0049】
ステップ102(S102)において,文書管理プログラム50(図5)の検知信号受付部60は,命令信号をユーザID取得部62に対して出力する。ユーザID取得部62は,ゲート18の個人認証装置20から当該文書を持ち出した個人のユーザIDを取得し,警告先取得部64に対して出力する。
ステップ104(S104)において,警告先取得部64は,ユーザDB52を参照し,当該ユーザIDに対応する警告先情報を取得し,警告通知部66に対して出力する。
【0050】
ステップ106(S106)において,警告通知部66は,所定時間(例えば,2時間)経過後,警告先情報としての電子メールアドレスに対して,警告を通知する。警告メールには,例えば,「あなたは機密文書を持ち出しました。登録をお願いします。登録がない場合,無断持ち出し扱いになります」というメッセージが含まれている。
【0051】
ステップ108(S108)において,警告通知部66は,当該警告に対する応答確認信号を応答受付部68から受け付けたか否かを判定する。文書管理プログラム50は,警告通知部66が応答確認信号を受け付けた場合にはS110の処理に進み,そうでない場合にはS106の処理に戻る。
【0052】
ステップ110(S110)において,応答受付部68は,応答メールの内容を追跡情報登録部70に対して出力する。追跡情報登録部70は,当該応答メールの内容に基づいて,追跡DB58に格納されている追跡情報であって当該応答メールに対応する追跡情報を更新する。また,応答メールが受け付けられたことにより,警告通知部66が警告を通知することが解除される。
【0053】
文書管理装置16は,所定回数,警告を通知したにもかかわらず,応答メールを受信しない場合,その旨を文書管理システム1の管理者に対して通知してもよい。例えば,文書管理装置16は,当該ユーザが文書を持ち出したことを示す電子メールを,管理者のメールアドレスに対して送信する。
【0054】
警告部通知部66は,応答メールが受け付けられた以降においても,所定時間毎(例えば,1日毎)に,警告を通知してもよい。これにより,S106〜S110の処理が再び実行されるので,ユーザが機密文書を保持したまま場所を移動した場合においても,機密文書の所在地が確認可能となる。
【0055】
また,ユーザ毎に,文書の持ち出し権限が設定されてもよい。持ち出し権限には,複数のセキュリティレベルのいずれかが設定される。したがって,追跡DB58に追跡情報が登録された場合,当該文書が当該ユーザにより持ち出し可能であるか否かが判定可能となり,当該文書が当該ユーザにとって持ち出し不可である場合には,所定の対応を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係る文書管理システム1の構成を示す図である。
【図2】文書管理装置16のハードウェア構成を示す図である。
【図3】文書管理装置16により管理される情報を示す図であって,図3(A)は,ユーザDB52に格納される情報を例示し,図3(B)は,場所DB54に格納される情報を例示し,図3(C)は,文書DB56に格納される情報を例示する。
【図4】文書管理装置16により管理される追跡DB58に格納される情報を例示する図である。
【図5】文書管理装置16上で動作する文書管理プログラム50の機能構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る文書管理システム1により実行される所在地確認処理(S10)のフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0057】
1 文書管理システム
10 画像形成装置
12 認証装置
14 検知センサ
16 文書管理装置
18 ゲート
20 個人認証装置
22 文書検知装置
24 保管庫
26 読取装置
28 ネットワーク
30 CPU
32 メモリ
34 記憶装置
50 文書管理プログラム
52 ユーザDB
54 場所DB
56 文書DB
58 追跡DB
60 検知信号受付部
62 取得部
64 警告先取得部
66 警告通知部
68 応答受付部
70 追跡情報登録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ毎の警告先を記憶する警告先記憶手段と,
文書を検知する文書検知部及び当該文書を運ぶユーザを認証するユーザ認証部を備える入退出部と,
前記入退出部の前記文書検知部により文書が検知された場合,前記警告先記憶手段に記憶されている前記ユーザ認証部により認証されたユーザの警告先に対して警告を通知する警告通知手段と
を有する文書管理システム。
【請求項2】
前記警告通知手段は,所定時間毎に,警告を通知する
請求項1に記載の文書管理システム。
【請求項3】
前記警告通知手段は,通知した警告に対する応答が受け付けられた場合,所定時間毎に警告を通知することを解除する
請求項2に記載の文書管理システム。
【請求項4】
前記警告通知手段により通知される警告に対する応答には,場所情報,時刻情報及び文書情報が含まれており,
前記警告通知手段により通知される警告に対する応答を受け付ける応答受付手段と,
前記応答受付手段により受け付けられた応答に含まれる場所情報,時刻情報及び文書情報並びにユーザ情報を記憶する追跡情報記憶手段と
をさらに有する
請求項1乃至3のいずれかに記載の文書管理システム。
【請求項5】
場所を識別する場所識別情報を記憶する場所記憶手段をさらに有し,
前記追跡情報記憶手段は,場所情報として,前記場所記憶手段に記憶されている場所識別情報を記憶する
請求項4に記載の文書管理システム。
【請求項6】
前記文書検知部は,大バルクハウゼン効果により,文書を検知する
請求項1乃至5のいずれかに記載の文書管理システム。
【請求項7】
前記文書検知部は,警告に対する応答の送信先情報が埋め込まれた文書を検知する
請求項1乃至6のいずれかに記載の文書管理システム。
【請求項8】
コンピュータと,ユーザ毎の警告先を記憶する警告先記憶手段と,文書を検知する文書検知部及び当該文書を運ぶユーザを認証するユーザ認証部を備える入退出部とを含む文書管理システムにおいて,
前記入退出部の前記文書検知部により出力される検知信号を受け付ける検知信号受付ステップと,
前記検知信号が受け付けられた場合,前記ユーザ認証部により認証されたユーザ情報を受け付けるユーザ情報受付ステップと,
前記受け付けられたユーザ情報に基づいて,前記警告先記憶手段に記憶されている当該ユーザの警告先に対して警告を通知する警告通知ステップと
を前記文書管理システムのコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−211591(P2009−211591A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55883(P2008−55883)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】