説明

新しい多置換1,1−ピリジルオキシ−シクロプロパンアミン化合物、これらの製造方法及びこれらを含む薬剤組成物

【課題】α4β2型の中枢ニコチン性受容体のアゴニストによる大脳の老化に伴なう神経病、気分障害、疼痛及びタバコ離脱症状の治療薬の提供。
【解決手段】式(I)(式中、nは、1〜6の整数を表し、R及びRは、水素原子、(C−C)アルキル基又はアリール−(C−C)アルキル基を表し、R及びRは、水素原子又は(C−C)アルキル基を表し、R及びRは、水素原子、又は(C−C)アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、シアノ、ニトロ、(C−C)アシル、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)トリハロアルキル、(C−C)トリハロアルコキシ又は場合により置換されているアミノ基を表す。)で示される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい多置換1,1−ピリジルオキシシクロプロパンアミン化合物、これらの製造方法及びこれらを含む薬剤組成物に関する。
【0002】
本発明の化合物は、α4β2型の中枢ニコチン性受容体とのその特異的相互作用のため、薬理学的観点から特に有益であり、大脳の老化に伴う神経病の、気分障害の、疼痛の及びタバコ離脱症状の処置において用途がある。
【0003】
出生時平均余命の延長による人口高齢化によって、加齢に関連する神経病の、そして特にアルツハイマー病の発症が大幅に増加している。大脳の老化の、そして特に加齢に関連する神経病の主要な臨床症状は、痴呆に至ることのある、記憶及び認識機能における欠損である。種々の神経伝達物質の中で、アセチルコリンが、記憶機能において大きな役割を演じていること、及びある種の神経変性疾患では、又は大脳の老化の場合には不適性な活性化が存在するとき、大規模なコリン作動性ニューロン経路の破壊があることは広く証明されている。この理由から、数多くの治療的アプローチは、アセチルコリンエステラーゼの阻害により神経伝達物質の破壊を防止することを目指すか、又は欠損のある神経伝達物質の代替物を提供しようとつとめてきた。後者の場合に、提案されるコリン作動性アゴニストは、ムスカリン型のものであり、そしてこれは、シナプス後M1受容体に対して特異的である。
【0004】
アルツハイマー病に伴うコリン作動性障害は、ムスカリン性受容体を持つニューロンよりもニコチン性受容体を持つニューロンに影響を及ぼすことが最近になって証明されている(Schroderら, 「アルツハイマー病:治療方策(Alzheimer disease: therapeutic strategies)」, Birkhauser Boston, 1994, 181-185)。更に、数多くの研究により、ニコチンは、記憶促進性を持つこと(Prog. Neuropsychopharmacol., 1992, 16, 181-191)及びこのような性質は、注意及び覚醒の能力に対して(Psychopharmacol., 1995, 118, 195-205)と同じくらい多く記憶機能に対して(Psychopharmacol., 1996, 123, 88-97)発揮されることが証明されている。更に、ニコチンは、グルタミン酸のような興奮毒性剤に関して神経保護作用を発揮する(Brain Res., 1994, 644, 181-187)。
【0005】
これら全ての知見は、喫煙者におけるアルツハイマー病及びパーキンソン病の発症の低さを示してきた疫学的研究に間違いなく関連するものであろう。更に、幾つかの研究は、鬱病、不安又は統合失調症の状態のような気分障害の処置におけるニコチンの有用性を証明している。最後に、ニコチンが鎮痛性を持つことが証明されている。ニコチンの全ての治療特性及びまた他のニコチン様物質について記述される治療特性は、構造的にも薬理学的にも末梢受容体(筋及び神経節)とは異なる、中枢受容体に対する活性に基づく。α4β2型の中枢受容体は、中枢神経系において最もよく描写されており、そして大多数のニコチンの治療作用に関係している(Life Sci., 1995, 56, 545-570)。
【0006】
Synlett., 1999, 7, 1053-1054;J. Med. Chem., 1985, 28(12), 1953-1957及び1980, 23(3), 339-341;1970, 13(5), 820-826;1972, 15(10), 1003-1006;J. Am. Chem. Soc., 1987, 109(13), 4036-4046のような幾つかの文献、あるいはDE 36 08 727、EP 124,208又はWO 94/10158のような幾つかの特許又は特許出願は、1,1−又は1,2−二置換シクロプロパン部分を含む化合物を記述及び特許請求している。これらの参考文献のいずれも、これらの化合物が、ニコチン性受容体、特にα4β2型の中枢ニコチン性受容体に対して特異的な薬理学的活性を有することを記述も示唆もしていないため、この活性は、出願人により記述される化合物の新規な性質である。特許出願EP 1,170,281は、ニコチン性リガンドである、1,1−及び1,2−二置換シクロプロパン化合物を記述している。
【0007】
よって本発明の化合物は、新しく、かつ中枢受容体のサブタイプα4β2の強力な選択的ニコチン性リガンドに相当する。したがってこれらは、大脳の老化及び神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、コルサコフ病並びに前頭葉及び皮質下痴呆など)に伴う記憶の欠損の処置において、また気分障害、トゥーレット症候群、注意欠陥多動症候群、タバコ離脱症状及び疼痛の処置のために有用である。
【0008】
更に具体的には、本発明は、式(I):
【0009】
【化36】

【0010】
[式中、
nは、1〜6の整数を表し、
1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ他と独立に、水素原子、直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルキル基又はアリール−(C1−C6)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖であっても分岐していてもよい)を表し、
3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ他と独立に、水素原子、又は直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルキル基を表すが、ここで、2個の基R3及びR4の少なくとも一方は、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル基を表し、
5及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ他と独立に、水素原子、又は直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルコキシ、シアノ、ニトロ、直鎖若しくは分岐の(C2−C6)アシル、直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルコキシカルボニル、直鎖若しくは分岐の(C1−C6)トリハロアルキル又は直鎖若しくは分岐の(C1−C6)トリハロアルコキシ基、又は場合により1個若しくは2個の直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルキル基により置換されているアミノ基を表す(ただし、
アリール基とは、それぞれが場合により、ハロゲン原子、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルコキシ、直鎖又は分岐の(C2−C7)アシル、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルコキシカルボニル、直鎖又は分岐の(C1−C6)トリハロアルキル及び直鎖又は分岐の(C1−C6)トリハロアルコキシ基、及び場合により1個又は2個の直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル基により置換されているアミノ基から選択される、1個以上の同一であるか又は異なる基によって置換されている、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル又はインデニル基であると解釈される)]で示される化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、あるいは薬剤学的に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩に関する。
【0011】
本発明の好ましい化合物は、nが1の値をとる整数である化合物である。
【0012】
本発明により好ましい置換基R1及びR2は、水素原子及び直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル基である。
【0013】
更に好ましくは、本発明により好ましい置換基R1及びR2は、水素原子及びメチル基である。
【0014】
本発明により好ましい置換基R3及びR4は、水素原子及びメチル基である。
【0015】
本発明により好ましい置換基R5及びR6は、水素原子及びハロゲン原子である。
【0016】
有利には、本発明の好ましい化合物は、R5がハロゲン原子を表し、そしてR6が水素原子を表す化合物である。
【0017】
更に有利には、本発明の好ましい化合物は、R5が水素原子を表し、そしてR6がハロゲン原子を表す化合物である。
【0018】
化合物の名称に先行する(1S,2S),(1R,2R)という表記は、得られた生成物が、ラセミ混合物であり、よって両方の立体配置があり得ることを意味する。
【0019】
例えば、(1S,2S),(1R,2R)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミンは、ラセミ混合物である得られた生成物が、(1S,2S)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン及び(1R,2R)−2−エチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミンを含むことを意味する。
【0020】
化合物の名称に先行する(R又はS)という表記は、得られた生成物が、光学的に純粋な鏡像異性体であることを意味する。(−)及び/又は(+)の存在は、旋光度の記号を示している。
【0021】
化合物の名称に先行する(R,S)という表記は、得られた生成物が、ラセミ混合物であり、よって両方の立体配置があり得ることを意味する。
【0022】
化合物の名称に先行する(1S,2S)−又は(1R,2R)という表記は、得られた生成物が、光学的に純粋な鏡像異性体であることを意味する。(−)及び/又は(+)の存在は、旋光度の記号を示している。
【0023】
例えば、(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩は、光学的に純粋な鏡像異性体である得られた生成物が、(1S,2S)−(−)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩又は(1R,2R)−(−)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩であることを意味する。
【0024】
α及びβ鏡像異性体は、問題のラセミ混合物の光学的に純粋な鏡像異性体であると解釈される。
【0025】
特に有利には、本発明の好ましい化合物は、以下である:
(1S,2S),(1R,2R)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S),(1R,2R)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S),(1R,2R)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン
(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−メチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−メチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−メチルシクロプロパンアミン
(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,N,2−トリメチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,N,2−トリメチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,N,2−トリメチルシクロプロパンアミン
(1S,2R),(1R,2S)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2R)−又は(1R,2S)−(+)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2R)−又は(1R,2S)−(−)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2R),(1R,2S)−1−{[(5−ブロモ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン
(1S,2R),(1R,2S)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2R),(1R,2S)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(R,S)−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(R又はS)−(+)−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(R又はS)−(−)−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン。
【0026】
好ましい化合物の異性体、並びに薬剤学的に許容しうる酸又は塩基との付加塩は、本発明の不可欠な一部を形成する。
【0027】
薬剤学的に許容しうる酸としては、何ら限定を意味することなく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、ホスホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ショウノウ酸などに言及することができる。
【0028】
薬剤学的に許容しうる塩基としては、何ら限定を意味することなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、tert−ブチルアミンなどに言及することができる。
【0029】
本発明はまた、式(I)の化合物の製造方法であって、出発物質として式(II):
【0030】
【化37】

【0031】
[式中、Rは、エトキシカルボニル、シアノ及びイソシアノから選択される基を表し、そしてR'は、メチル及び2−ブロモプロピルから選択される基を表す]で示される化合物を使用すること、そしてこの式(II)の化合物をヨウ化トリメチルスルホキソニウムと、ジメチルスルホキシド中で水素化ナトリウムの存在下で反応させることにより、式(III):
【0032】
【化38】

【0033】
[式中、Rは、上記と同義であり、そしてR3、R4及びnは、式(I)と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(III)の化合物を、Rがエトキシカルボニル基を表すとき、エタノール中で水酸化ナトリウムの存在下に置くことにより、式(IV):
【0034】
【化39】

【0035】
[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(IV)の化合物を、トルエン中でアジ化ジフェニルホスホリル及びtert−ブタノールと、トリエチルアミンの存在下で反応させることにより、式(V):
【0036】
【化40】

【0037】
[式中、R3、R4及びnは、上記と同義であり、そしてBocは、tert−ブトキシカルボニル基を表す]で示される化合物を得ること、そしてこの式(V)の化合物を、式(VI):
【0038】
【化41】

【0039】
[式中、R'1は、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル及びアリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は、直鎖であっても分岐していてもよい)から選択される基を表し、そしてL1は、有機化学において通例の脱離基を表す]で示される化合物と、ジメチルホルムアミド中でカリウムtert−ブタノラートの存在下で反応させることにより、式(VII):
【0040】
【化42】

【0041】
[式中、R3、R4、R'1、Boc及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、ここで、
式(V)及び(VII)の化合物の全体は、式(VIII):
【0042】
【化43】

【0043】
[式中、R3、R4、Boc及びnは、上記と同義であり、そしてR1は、式(I)と同義である]で示される化合物を構成するが、
この式(VIII)の化合物を、無水溶媒中で還元剤の存在下に置くことにより、式(IX):
【0044】
【化44】

【0045】
[式中、R3、R4、Boc、n及びR1は、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(IX)の化合物を、エーテル中でトリフェニルホスフィン及びテトラブロモメタンと反応させることにより、式(X):
【0046】
【化45】

【0047】
[式中、R3、R4、Boc、n及びR1は、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(X)の化合物を式(XI):
【0048】
【化46】

【0049】
[式中、R5及びR6は、式(I)と同義である]で示される化合物と、ブタノン中で炭酸セシウムの存在下で反応させることにより、式(XII):
【0050】
【化47】

【0051】
[式中、R3、R4、R5、R6、R1、n及びBocは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XII)の化合物を、ジオキサン中で塩酸の存在下に置くことにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/a):
【0052】
【化48】

【0053】
[式中、R1、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(I/a)の化合物を、ギ酸及びホルムアルデヒド水溶液で処理することにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/b):
【0054】
【化49】

【0055】
[式中、R1、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、又は
式(I/a)の化合物を式(XIII):
【0056】
【化50】

【0057】
[式中、L1は、上記と同義であり、そしてR'2は、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル及びアリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は、直鎖であっても分岐していてもよい)から選択される基を表す]で示される化合物と、式(V)の化合物と同じ条件下で反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/c):
【0058】
【化51】

【0059】
[式中、R1、R3、R4、R5、R6、n及びR'2は、上記と同義である]で示される化合物を得ること、又は
式(VIII)の化合物を、ギ酸及びホルムアルデヒド水溶液で処理することにより、式(XIV):
【0060】
【化52】

【0061】
[式中、R'1、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得るか、又は
式(VIII)の化合物を、連続して
−ジオキサン中で塩酸で、そして次に
−上記と同義の式(XIII)の化合物で、式(V)の化合物と同じ条件下で処理することにより、式(XV):
【0062】
【化53】

【0063】
[式中、R'1、R'2、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XIV)及び(XV)の化合物を、無水溶媒中で還元剤の存在下に置くことにより、式(XVI):
【0064】
【化54】

【0065】
[式中、R'1、R'2、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XVI)の化合物を、式(XVII):
【0066】
【化55】

【0067】
[式中、R5及びR6は、上記と同義であり、そしてHalは、臭素又はフッ素原子を表す]で示される化合物と、DMSO中でカリウムtert−ブタノラートの存在下で反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/d):
【0068】
【化56】

【0069】
[式中、R'1、R'2、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(I/d)の化合物を、R'1がベンジル基を表すとき、エタノール中で水酸化パラジウムの存在下で塩酸と反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/e):
【0070】
【化57】

【0071】
[式中、R'2、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、又は
式(VIII)の化合物を、連続して
−エタノール中で塩酸で、そして次に
−炭酸水素ナトリウム水溶液で処理することにより、式(XVIII):
【0072】
【化58】

【0073】
[式中、R1、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XVIII)の化合物を塩化ベンゾイルと、テトラヒドロフラン中でトリエチルアミンの存在下で反応させることにより、式(XIX):
【0074】
【化59】

【0075】
[式中、R1、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XIX)の化合物を、無水溶媒中で還元剤の存在下に置くことにより、式(XX):
【0076】
【化60】

【0077】
[式中、R1、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XX)の化合物を、式(XVI)の化合物と同じ反応条件に付すことにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/f):
【0078】
【化61】

【0079】
[式中、R1、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(I/f)の化合物を、式(I/d)の化合物と同じ反応条件に付すことにより、式(I)の化合物の具体例である、上記と同義の式(I/a)の化合物を得ること、又は
式(IX)の化合物を、R1が水素原子を表すとき、ジオキサン中で塩酸と反応させることにより、式(XXI):
【0080】
【化62】

【0081】
[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XXI)の化合物を、式(XVI)の化合物と同じ反応条件に付すことにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/g):
【0082】
【化63】

【0083】
[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物[ここで、式(I/g)の化合物は、置換基R3又はR4の一方(これは、アルキル基を表すが、もう一方の置換基R3又はR4は、水素原子を表す)に対して(CH2nのcis立体化学を有する]を得ること、あるいは
式(III)の化合物を、Rがイソシアノ基を表すとき、エーテル中で水素化アルミニウムリチウムと反応させることにより、式(XXII):
【0084】
【化64】

【0085】
[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XXII)の化合物を、上記と同義の式(XVII)の化合物と、式(XVI)の化合物と同じ条件下で反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/h):
【0086】
【化65】

【0087】
[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、又は
式(III)の化合物を、Rがシアノ基を表すとき、テトラヒドロフラン中で水素化ホウ素ナトリウムと反応させることにより、式(XXIII):
【0088】
【化66】

【0089】
[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XXIII)の化合物を、式(XVI)の化合物と同じ反応条件に付すことにより、式(XXIV):
【0090】
【化67】

【0091】
[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XXIV)の化合物を、エタノール中で過酸化水素及び水酸化リチウムの水溶液の存在下に置くことにより、式(XXV):
【0092】
【化68】

【0093】
[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XXV)の化合物を、水中で臭素及び水酸化カリウムと反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/i):
【0094】
【化69】

【0095】
[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物[ここで、式(I/i)の化合物は、置換基R3又はR4の一方(これは、アルキルラジカルを表すが、もう一方の置換基R3又はR4は、水素原子を表す)に対してNH2のcis立体化学を有する]を得ること、そして
この式(I/i)の化合物を、式(I/a)の化合物と同じ反応条件に付すことにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/j):
【0096】
【化70】

【0097】
[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、ここで、
式(I/a)〜(I/j)の化合物の全体は、本発明の化合物の全体を構成しており、適宜、これらを従来の精製法により精製すること、これらを従来の分離法により様々な異性体に分離してもよいこと、そして適宜、これらを薬剤学的に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩に変換することを特徴とする方法に関する。
【0098】
式(II)、(VI)、(XI)、(XIII)及び(XVII)の化合物は、市販の製品であるか、又は当業者には周知の有機合成の従来法により得られる。
【0099】
本発明の1つの実施態様では、置換基R3又はR4の一方が、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキルを表し、そしてもう一方の置換基R3又はR4が、水素原子を表す場合に、式(I/1):
【0100】
【化71】

【0101】
[式中、R3は、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル基を表し、R4は、水素原子を表し、そしてR1、R2、R5、R6及びnは、式(I)と同義である]で示される、アルキル基を表す置換基R3又はR4に対して(CH2nのcis立体化学を有する式(I)の化合物は、式(III/1):
【0102】
【化72】

【0103】
[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物から出発して、これをエタノール中で水酸化ナトリウムの存在下に置くことにより、式(IV/1):
【0104】
【化73】

【0105】
[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(IV/1)の化合物を、トルエン中でアジ化ジフェニルホスホリル及びtert−ブタノールと、トリエチルアミンの存在下で反応させることにより、式(V/1):
【0106】
【化74】

【0107】
[式中、R3、R4、n及びBocは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そしてこの式(V/1)の化合物を、上記と同義の式(VI)の化合物と、ジメチルホルムアミド中でカリウムtert−ブタノラートの存在下で反応させることにより、式(VI/1):
【0108】
【化75】

【0109】
[式中、R3、R4、n、R'1及びBocは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、ここで、
式(V/1)及び(VI/1)の化合物の全体は、式(VII/1):
【0110】
【化76】

【0111】
[式中、R1、R3、R4、n及びBocは、上記と同義である]で示される化合物を構成するが、
この式(VII/1)の化合物を、ギ酸及びホルムアルデヒド水溶液で処理することにより、式(VIII/1):
【0112】
【化77】

【0113】
[式中、R1、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、又は
式(VII/1)の化合物を、連続して、ジオキサン中で塩酸で、次に上記と同義の式(XIII)の化合物で、ジメチルホルムアミド中でカリウムtert−ブタノラートの存在下で処理することにより、式(IX/1):
【0114】
【化78】

【0115】
[式中、R1、R3、R4、n及びR'2は、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(VII/1)、(VIII/1)及び(IX/1)の化合物を、無水溶媒中で還元剤の存在下に置くことにより、式(X/1):
【0116】
【化79】

【0117】
[式中、R"2は、Boc又はCH3基を表し、そしてR'2及びR1、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(X/1)の化合物を、R"2がBoc基を表すとき、ジオキサン中で塩酸の存在下に置くことにより、式(XI/1):
【0118】
【化80】

【0119】
[式中、R1、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、ここで、
式(X/1)及び(XI/1)の化合物は、式(XII/1):
【0120】
【化81】

【0121】
[式中、R1、R2、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を構成するが、
この式(XII/1)の化合物を、上記と同義の式(XVII)の化合物と、DMSO中でカリウムtert−ブタノラートの存在下で反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/a1):
【0122】
【化82】

【0123】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(I/a1)の化合物を、キラルHPLCにより精製し、そして次に塩酸のエタノール溶液を用いて塩に変換することにより、2つの対応する(−)及び(+)異性体の塩素化塩を得ること、又は
式(X/1)の化合物を、エーテル中でトリフェニルホスフィン及びテトラブロモメタンの存在下に置くことにより、式(XIII/1):
【0124】
【化83】

【0125】
[式中、R1、R3、R4、R"2及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XIII/1)の化合物を、上記と同義の式(XI)の化合物と、ブタノン中で炭酸セシウムの存在下で反応させることにより、式(XIV/1):
【0126】
【化84】

【0127】
[式中、R1、R3、R4、R5、R6、R"2及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XIV/1)の化合物を、R"2がBoc基を表すとき、ジオキサン中で塩酸の存在下に置くことにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/b1):
【0128】
【化85】

【0129】
[式中、R1、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(I/b1)の化合物を、式(I/a1)の化合物と同じ条件下で精製すること、ここで、
式(I/a1)及び(I/b1)の化合物は、R1及び/又はR2が水素原子を表すとき、場合により精製の前にギ酸及びホルムアルデヒド水溶液で処理することにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/c1)、(I/c'1)及び(I/c"1):
【0130】
【化86】

【0131】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ることができるが、
この式(I/c1)、(I/c'1)及び(I/c"1)の化合物は、式(I/a1)の化合物と同じ条件下で精製することにより、調製することができる。
【0132】
本発明の別の実施態様では、置換基R3又はR4の一方が、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキルを表し、そしてもう一方の置換基R3又はR4が、水素原子を表す場合に、式(I/2):
【0133】
【化87】

【0134】
[式中、R3は、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル基を表し、R4は、水素原子を表し、そしてR1、R2、R5、R6及びnは、式(I)と同義である]で示される、アルキル基を表す置換基R3又はR4に対してNR12のcis立体化学を有する式(I)の化合物は、式(II/2):
【0135】
【化88】

【0136】
[式中、Raは、シアノ又はイソシアノ基を表し、そしてR3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物から出発して、
これを、Raがイソシアノ基を表すとき、無水溶媒中で還元剤の存在下に置くことにより、式(III/2):
【0137】
【化89】

【0138】
[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そしてこの式(III/2)の化合物を、上記と同義の式(XVII)の化合物と、無水溶媒中で強塩基の存在下で反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/a2):
【0139】
【化90】

【0140】
[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、又は
式(II/2)の化合物を、Raがシアノ基を表すとき、水/テトラヒドロフラン混合物中で水素化ホウ素ナトリウムの存在下に置くことにより、式(IV/2):
【0141】
【化91】

【0142】
[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そしてこの式(IV/2)の化合物を、上記と同義の式(XVII)の化合物と、無水溶媒中で強塩基の存在下で反応させることにより、式(V/2):
【0143】
【化92】

【0144】
[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そしてこの式(V/2)の化合物を、エタノール中で水酸化リチウム及び過酸化水素の存在下に置くことにより、式(VI/2):
【0145】
【化93】

【0146】
[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そしてこの式(VI/2)の化合物を、水中で水酸化カリウム及び臭素の存在下に置くことにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/b2):
【0147】
【化94】

【0148】
[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そしてこの式(I/a2)及び(I/b2)の化合物を式(I/a1)の化合物と同じ条件下で精製すること、ここで、
式(I/a2)及び(I/b2)の化合物は、場合により式(I/c1)、(I/c'1)及び(I/c"1)の化合物と同じ条件下で処理することにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/c2):
【0149】
【化95】

【0150】
[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ることができるが、
この式(I/c2)の化合物を、式(I/a1)の化合物と同じ条件下で精製することにより、調製することができる。
【0151】
一般に、本発明の化合物の異性体は、鏡像異性体及びジアステレオ異性体のような光学異性体であると解釈される。更には、純粋な鏡像異性体形の本発明の化合物は、鏡像異性体の混合物から出発して、放出することができるラセミ体分離剤とこれを反応させること(該分離剤は、それ自体純粋な鏡像異性体の形である)により分離することができるが、これによって対応するジアステレオ異性体を得ることができる。次にこのジアステレオ異性体を、結晶化又はクロマトグラフィーのような、当業者には周知の分離法により分離し、そして次に有機化学の従来法を用いて分離剤を除去することにより、純粋な鏡像異性体が得られる。
【0152】
ジアステレオ異性体の混合物の形で存在する本発明の化合物は、クロマトグラフィーのような従来の分離法を用いて純粋な形で単離される。
【0153】
ある具体例では、本発明の化合物の製造方法により、一方の鏡像異性体又はジアステレオ異性体がもう一方よりも目立って多く生成することがある。
【0154】
ニコチン性リガンドとしてのその薬理学的性質、及び受容体サブタイプα4β2に対するその選択性により、本発明の化合物は、大脳の老化及び神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、コルサコフ病、並びに前頭葉及び皮質下痴呆など)に伴う記憶の欠損の処置において、また気分障害、トゥーレット症候群、注意欠陥多動症候群、タバコ離脱症状及び疼痛の処置のために有用である。
【0155】
本発明はまた、活性成分として少なくとも1つの式(I)の化合物、その異性体、又は薬剤学的に許容しうる酸若しくは塩基とのその付加塩を、単独で、又は1つ以上の薬剤学的に許容しうる不活性で非毒性の賦形剤若しくは担体と組合せて含む、薬剤組成物に関する。
【0156】
本発明の薬剤組成物としては、特に、経口、非経口(静脈内、筋肉内又は皮下)、経皮(per- or trans-cutaneous)、膣内、直腸内、鼻内、舌下、口腔内、眼内又は呼吸器内投与に適しているものに言及することができる。
【0157】
非経口注射用の本発明の薬剤組成物は、特に、水性及び非水性の無菌溶液、分散液、懸濁液及び乳濁液を、また注射用溶液又は分散液を再構成するための無菌粉末をも含む。
【0158】
固形の経口投与用の本発明の薬剤組成物は、特に、錠剤又は糖衣錠、舌下錠、サシェ剤、ゼラチンカプセル剤及び顆粒剤を含み、そして液状の経口、鼻内、口腔内又は眼内投与用のものは、特に、乳剤、液剤、懸濁剤、滴剤、シロップ剤及びエーロゾル剤を含む。
【0159】
直腸内又は膣内投与用の薬剤組成物は、好ましくは坐剤であり、そして経皮投与用のものは、特に、粉剤、エーロゾル剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤及びパッチ剤を含む。
【0160】
本明細書に前述の薬剤組成物は、本発明を例示しているが、本発明を何ら限定するものではない。
【0161】
薬剤学的に許容しうる不活性で非毒性の賦形剤又は担体としては、非限定例として、希釈剤、溶媒、保存料、湿潤剤、乳化剤、分散剤、結合剤、膨潤剤、崩壊剤、遅延剤、滑沢剤、吸収剤、懸濁剤、着色料、香味料などに言及することができる。
【0162】
有用な用量は、患者の年齢と体重、使用される投与経路と薬剤組成、疾患の性質と重篤度、及び任意の併用療法の適用により変化する。用量は、1日に1回以上の投与で1mg〜500mgの範囲である。
【0163】
以下の実施例は、本発明を例示しているが、本発明を何ら限定するものではない。
【0164】
使用される出発物質は、既知であるか、又は既知の操作により調製される生成物である。種々の調製法により、本発明の化合物の調製において有用な合成中間体が得られる。
【0165】
「実施例」及び「調製」に記述される化合物の構造は、通常の分光光度法(赤外線、核磁気共鳴、質量分析・・・)により求めた。
【0166】
融点は、コフラー(Kofler)のホットプレートか顕微鏡下のホットプレートのいずれかを用いて測定した。化合物が塩の形であるとき、与えられた融点及び元素微量分析は、塩の形の生成物に当てはまる。
【0167】
調製1:
(1S,2S),(1R,2R)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−メチルシクロプロパンカルボン酸エチル
工程1: 2−メチル−1,1−シクロプロパンジカルボン酸ジエチル
ジメチルスルホキシド400cm3中のヨウ化トリメチルスルホキソニウム50.6gの溶液に、一気に油中60%水素化ナトリウム8.84gを加えた。この反応混合物を2時間撹拌し、次にジメチルスルホキシド200cm3中のエチリデンマロン酸ジエチル43.3gの溶液を15分間かけて滴下により加えた。16時間撹拌後、氷と1N塩酸100cm3との混合物を加え、次にこの反応混合物をエーテル(3×200cm3)で抽出した。合わせた有機相を塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を留去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/シクロヘキサン:75/25)により、目的生成物37.5gを単離することができた。
【0168】
工程2: (1R,2S),(1S,2R)−1−(エトキシカルボニル)−2−メチルシクロプロパンカルボン酸
1N水酸化ナトリウム溶液195cm3を、エタノール400cm3中の上記工程1で得られた化合物37.5gの溶液に滴下により加えた。この反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。エタノールの留去と、塩化ナトリウム水溶液50cm3での希釈後、残留水相をエーテル(2×50cm3)で洗浄し、次に4N塩酸48cm3で酸性にした。この反応混合物を再びエーテル(2×100cm3)で抽出して、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を留去することにより、目的生成物29.4gを得た。
ジアステレオ異性体比:95/5
【0169】
工程3: (1S,2S),(1R,2R)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−メチルシクロプロパンカルボン酸エチル
不活性雰囲気下で周囲温度で、トルエン30cm3中のアジ化ジフェニルホスホリル22cm3の溶液を、トルエン150cm3中の上記工程2で得られた化合物17.2g、トリエチルアミン13cm3及びtert−ブタノール27cm3の溶液に滴下により加えた。次にこの反応混合物を撹拌しながら85℃で16時間加熱した。冷却した反応混合物を炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、次に塩化ナトリウム溶液で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去して、シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/シクロヘキサン:75/25、次いでジクロロメタン/テトラヒドロフラン:98/2)後に、目的生成物14.03gを得た。
【0170】
調製2:
(1S,2S),(1R,2R)−1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルシクロプロピルカルバミン酸tert−ブチル
テトラヒドロフラン中の2M水素化ホウ素リチウム41cm3を、テトラヒドロフラン40cm3中の調製1の生成物10gの溶液に滴下により加えた。この溶液を周囲温度で20時間撹拌した。氷浴中で冷却して、水20cm3で加水分解後、反応混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、次にテトラヒドロフランを留去した。得られた残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン、次にジクロロメタン/メタノール:95/5)に付すことにより、目的生成物7.2gを得ることができた。
【0171】
調製3:
[(1R,2S),(1S,2R)−2−メチル−1−(メチルアミノ)シクロプロピル]メタノール
工程1: (1R,2S),(1S,2R)−1−イソシアノ−2−メチルシクロプロパンカルボン酸エチル
イソシアン酸エチル2.5g、1,2−ジブロモプロパン2.3cm3、ジメチルスルホキシド25cm3及びエーテル60cm3の溶液を、1時間かけて、エーテル20cm3中の油中60%水素化ナトリウム1.93gの懸濁液に滴下により加えた。2時間還流後、反応混合物を冷却して、氷水50cm3とエーテル50cm3との混合物中に注ぎ入れた。水相を分離して、再度エーテル(3×40cm3)で抽出した。合わせた有機相を塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を留去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/テトラヒドロフラン:97/3)により、目的生成物4.88gを得ることができた。
ジアステレオ異性体比:90/10。
【0172】
工程2: [(1R,2S),(1S,2R)−2−メチル−1−(メチルアミノ)シクロプロピル]メタノール
エーテル85cm3中の上記工程1で得られた化合物4.88gの溶液を、エーテル250cm3中の水素化アルミニウムリチウム3.73gの懸濁液に滴下により加えた。この反応混合物を4時間還流し、次に周囲温度で16時間撹拌した。反応混合物を氷浴中で冷却し、次に水を含んだ硫酸ナトリウムを加えた。2時間撹拌後、無機物を濾去して、エーテル相を硫酸ナトリウムで乾燥し、次に溶媒を留去することにより、目的生成物2.75gを得た。
ジアステレオ異性体比:90/10。
【0173】
実施例1:
(1S,2S),(1R,2R)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン塩酸塩
工程1:(1S,2S),(1R,2R)−1−[ベンジル(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−メチルシクロプロパンカルボン酸エチル
カリウムtert−ブタノラート21.5gを、周囲温度で、ジメチルホルムアミド400cm3中の調製1の化合物39gの溶液に加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次に臭化ベンジル35.9gを30分間かけて加えた。16時間撹拌後、ジメチルホルムアミドを留去した。残渣をエーテル400cm3中に取った。得られた有機相を連続して塩化リチウ溶液及び炭酸ナトリウムの溶液で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、留去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン、次にジクロロメタン/ブタノン:95/5)により、目的生成物41.4gを得た。
【0174】
工程2:(1S,2S),(1R,2R)−1−[ベンジル(メチル)アミノ]−2−メチルシクロプロパンカルボン酸エチル
ギ酸410cm3及び37%ホルムアルデヒド水溶液410cm3中の上記工程1で得た化合物41.2gの溶液を2時間30分還流した。次に、反応混合物を濃縮し、エーテル及び炭酸ナトリウム水溶液の混合物中に取った。濾過により不溶性物質を除去し、水相を分離し、再度エーテルで抽出した。合わせたエーテル相を硫酸ナトリウムで乾燥し、次に濃縮した。残渣をシクロヘキサン200cm3中に取った。濾過により少量の不溶性物質を除去し、シクロヘキサンを留去した後、目的生成物30gを得た。
【0175】
工程3:{(1S,2S),(1R,2R)−1−[ベンジル(メチル)アミノ]−2−メチルシクロプロピル}メタノール
エーテル150cm3中の上記工程2で得た化合物29.7gの溶液を、エーテル300cm3中の水素化アルミニウムリチウム4.55gの懸濁液に滴下により加えた。反応混合物を20時間撹拌し、次に氷浴中で冷却し、その後水で含浸させた硫酸ナトリウムを加えた。2時間撹拌後、無機物を濾去し、エーテル相を硫酸ナトリウムで乾燥し、次に留去して目的生成物24gを得た。
【0176】
工程4:{(1S,2S),(1R,2R)−N−ベンジル−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)]メチル}シクロプロパンアミン
80cm3の反応器中で、カリウムtert−ブタノラート2.4gを、ジメチルスルホキシド40ml中の上記工程3で得た化合物4g及び3−フルオロピリジン6cm3の溶液に加えた。反応混合物を、単一モード高周波レンジ中で120℃にて8分間加熱した。全操作を2回繰り返した。3個の合わせたサンプルを炭酸ナトリウム水溶液600cm3に注ぎ入れた。反応混合物をエーテルで3回抽出した。合わせたエーテル相を炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、目的生成物16.3gを得た。
【0177】
工程5:(1S,2S),(1R,2R)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)]メチル]シクロプロパンアミン塩酸塩
1N塩酸溶液28.4cm3を、エタノール120cm3中の上記工程4で得た化合物4gの溶液に加えた。反応混合物を、水酸化パラジウム(20%担持炭)1gの存在下、大気圧下で、周囲温度にて2時間水素化した。触媒を濾去し、溶媒を留去した。残渣をエタノールに取り、再度濃縮して、目的生成物3.6gを得た。
質量分析法(ESI):m/z=193.1Th[M+H]
融点(cap):188〜190℃(エタノールから再結晶化)
【0178】
工程6:実施例1の化合物の鏡像異性体の分離
実施例1の化合物3.5gを、Chiralpack ADカラムでクロマトグラフィー(エタノール、ジエチルアミン)に付し、エタノール性塩酸溶液を使用して塩に転化し、結晶化した後、第1鏡像異性体αの二塩酸塩2g及び第2鏡像異性体βの二塩酸塩2.1gを得た。
【0179】
実施例2(α鏡像異性体)
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
質量分析法(EI):m/z=192Th(M
融点(cap):174〜176℃
旋光度:[α]D19.7:−19.46°(c=0.01g/cm3、エタノール)
【0180】
実施例3(β鏡像異性体)
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)]メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
質量分析法(CI)(NH3:m/z=193Th[M+H]
融点(cap):174〜176℃
旋光度:[α]D19.7:+17°(c=0.01g/cm3、エタノール)
【0181】
実施例4:
(1S,2S),(1R,2R)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
工程1:[(1S,2S),(1R,2R)−1−アミノ−2−メチルシクロプロピル]メタノール塩酸塩
ジオキサン中の4N塩酸溶液20cm3を、エタノール20cm3中の調製2の化合物7gの溶液に加えた。20時間撹拌後、溶媒を留去した。ジオキサン20cm3及びエーテル150cm3を残渣に加え、20時間撹拌後、目的の塩酸塩を濾取し、乾燥して、目的生成物4.6gを得た。
【0182】
工程2:(1S,2S),(1R,2R)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
カリウムtert−ブタノラート12.5gを、ジメチルスルホキシド75cm3中の上記工程1で得た生成物4.5gの溶液に加えた。30分間撹拌後、3−フルオロピリジン22cm3を加え、撹拌を6時間続けた。反応混合物を炭酸ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:95/5)により、目的生成物3.2gを得ることができた。
【0183】
工程3:実施例4の化合物の鏡像異性体の分離
実施例4の化合物3.15gを、Chiralpack ADカラムでクロマトグラフィー(メタノール、ジエチルアミン)に付し、ジオキサン中の4N塩酸溶液を使用して塩に転化し、結晶化した後、第1鏡像異性体αの二塩酸塩1.75g及び第2鏡像異性体βの二塩酸塩1.7gを得た。
【0184】
実施例5(α鏡像異性体)
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=179.1Th([M+H]
融点:<75℃(ガム)
旋光度:[α]D20:−23.14°(c=0.01054g/cm3、エタノール)
【0185】
実施例6(β鏡像異性体)
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=179.1Th([M+H]
融点:<75℃(ガム)
旋光度:[α]D20:+22.14°(c=0.01055g/cm3、エタノール)
【0186】
実施例7:
(1S,2S),(1R,2R)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
工程1:[(1S,2S),(1R,2R)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
ギ酸40cm3及び37%ホルムアルデヒド水溶液40cm3中の実施例4の化合物3.6gの溶液を4時間還流した。反応混合物を炭酸ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、次に濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:97/3)に付し、目的生成物2.6gを得ることができた。
【0187】
工程2:実施例7の化合物の鏡像異性体の分離
実施例7の化合物3.9gを、Chiralpack ADカラムでクロマトグラフィー(メタノール、アセトニトリル、ジエチルアミン)に付し、ジオキサン中の4N塩酸を使用して塩に転化した後、第1鏡像異性体αの二塩酸塩2.3g及び第2鏡像異性体βの二塩酸塩2.3gを得た。
【0188】
実施例8(α鏡像異性体)
(1S,2S),(1R,2R)−(+)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=201.7Th([M+H]
融点(cap):171〜173℃
旋光度:[α]D20:+15.79°(c=0.01014g/cm3、エタノール)
【0189】
実施例9(β鏡像異性体)
(1S,2S),(1R,2R)−(−)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=207.1Th([M+H]
融点(cap):172〜173℃
旋光度:[α]D20:−16.64°(c=0.01016g/cm3、エタノール)
【0190】
実施例10
(1S,2S),(1R,2R)−1−{[6−クロロ−3−ピリジニル]オキシ}メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン
工程1:[(1S,2S),(1R,2R)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−2−メチル−シクロプロパンカルボン酸エチル
カリウムtert−ブタノラート5.5gを、周囲温度で、ジメチルホルムアミド175cm3中の調製1の化合物11.3gの溶液に加えた。反応混合物を45分間撹拌し、次にヨウ化メチル3.2cm3を滴下により加えた。16時間撹拌後、炭酸ナトリウム水溶液200cm3を加え、反応混合物をエーテルで3回抽出した。合わせた有機相を塩化リチウム溶液で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、留去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/シクロヘキサン:75/25)により、目的生成物9.17gを得ることができた。
【0191】
工程2:(1S,2S),(1R,2R)−1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルシクロプロピル(メチル)−カルバミン酸tert−ブチル
テトラヒドロフラン中の2M水素化ホウ素リチウム65cm3を、テトラヒドロフラン45cm3中の上記工程1で得た化合物10gの溶液に滴下により加えた。溶液を60℃で3日間撹拌した。氷浴中で冷却し、水100cm3で加水分解した後、反応混合物をエーテルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、留去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/テトラヒドロフラン:97/3)により、目的生成物5.26gを得ることができた。
【0192】
工程3:(1S,2S),(1R,2R)−1−(ブロモメチル)−2−メチルシクロプロピル(メチル)−カルバミン酸tert−ブチル
トリフェニルホスフィン2.42g、次にテトラブロモメタン3.05gを、連続してエーテル48cm3中の上記工程2で得た化合物2gの溶液に加えた。20時間撹拌後、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/シクロヘキサン:75/25)により、目的生成物1.85gを得ることができた。
【0193】
工程4:(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−メチルシクロプロピル(メチル)−カルバミン酸tert−ブチル
炭酸セシウム12.4gを、ブタノン100cm3中の上記工程3で得た化合物5.3g及び6−クロロピリジン−3−オール4.9gの溶液に加えた。20時間還流後、無機塩を濾取し、ブタノンを留去した。残渣を酢酸エチルに取り、得られた有機相を炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ブタノン:95/5)により、目的生成物4gを得ることができた。
【0194】
工程5:(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン
ジオキサン中の4N塩酸溶液15cm3を、ジオキサン15cm3中の上記工程4で得た化合物4gの溶液に加えた。20時間撹拌後、反応混合物をエーテルで希釈し、次に目的生成物の塩酸塩3.5gを濾取した。塩酸塩を炭酸ナトリウム水溶液に取った。ジクロロメタンで抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した後、目的生成物2.5gを得た。
【0195】
工程6:実施例10の化合物の鏡像異性体の分離
実施例10の化合物4.5gを、Chiralpack ADカラムでクロマトグラフィー(メタノール/ジエチルアミン:1000/1)に付し、ジオキサン中の4N塩酸を使用して塩に転化し、結晶化した後、第1鏡像異性体αの二塩酸塩2.35g及び第2鏡像異性体βの二塩酸塩2.2gを得た。
【0196】
実施例11(α鏡像異性体)
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=227.1Th([M+H]
融点(cap):185〜190℃
旋光度:[α]D20:−13.90°(c=0.01079g/cm3、メタノール)
【0197】
実施例12(β鏡像異性体)
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=227.1Th([M+H]
融点(cap):188〜192℃
旋光度:[α]D20:+15.13°(c=0.01062g/cm3、メタノール)
【0198】
実施例13
(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−メチルシクロプロパンアミン
工程1:(1S,2S),(1R,2R)−1−(ブロモメチル)−2−メチルシクロプロピルカルバミン酸tert−ブチル
標記化合物を、実施例10の工程2の化合物を調製2の化合物に代え、実施例10の工程3の手順に従って得た。
【0199】
工程2:(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−シクロプロピルカルバミン酸tert−ブチル
標記化合物を、実施例10の工程3の化合物を上記工程1の化合物に代え、実施例10の工程4の手順に従って得た。
【0200】
工程3:(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−メチルシクロプロパンアミン
標記化合物を、実施例10の工程4の化合物を上記工程2の化合物に代え、実施例10の工程5の手順に従って得た。
【0201】
工程4:実施例13の化合物の鏡像異性体の分離
実施例13の化合物2gを、Chiralpack ADカラムでクロマトグラフィー(イソプロパノール/ジエチルアミン)に付し、ジオキサン中の4N塩酸溶液を使用して塩に転化し、結晶化した後、第1鏡像異性体αの塩酸塩1.05g及び第2鏡像異性体βの塩酸塩1.1gを得た。
【0202】
実施例14(α鏡像異性体)
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−メチルシクロプロパンアミン塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=213.1Th([M+H]
融点(cap):183〜186℃
旋光度:[α]D20:−15.89°(c=0.0101g/cm3、メタノール)
【0203】
実施例15(β鏡像異性体)
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−メチルシクロプロパンアミン塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=213.1Th([M+H]
融点(cap):183〜186℃
旋光度:[α]D20:+16.49°(c=0.01015g/cm3、メタノール)
【0204】
実施例16
(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,N,2−トリメチルシクロプロパンアミン
工程1:(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,N,2−トリメチルシクロプロパンアミン
標記化合物を、実施例4の化合物を実施例10の化合物に代え、実施例7の工程1の手順に従って得た。
【0205】
工程2:実施例16の化合物の鏡像異性体の分離
実施例16の化合物2.4gを、Chiralpack ADカラムでクロマトグラフィー(イソプロパノール/ジエチルアミン:100/1)に付し、ジオキサン中の4N塩酸溶液を使用して塩に転化し、結晶化した後、第1鏡像異性体αの塩酸塩1.1g及び第2鏡像異性体βの塩酸塩1.05gを得た。
【0206】
実施例17(α鏡像異性体)
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,N,2−トリメチルシクロプロパンアミン塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=241.1Th([M+H]
融点(cap):136〜138℃
旋光度:[α]D20:+12.64°(c=0.01055g/cm3、メタノール)
【0207】
実施例18(α鏡像異性体)
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,N,2−トリメチルシクロプロパンアミン塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=241.1Th([M+H]
融点(cap):136〜138℃
旋光度:[α]D20:−11.23°(c=0.01055g/cm3、メタノール)
【0208】
実施例19
(1S,2R),(1R,2S)−N,2−ジメチル−1−[3−ピリジニルオキシ]メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
工程1:(1S,2R),(1R,2S)−N,2−ジメチル−1−[3−ピリジニルオキシ]メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
カリウムtert−ブタノラート2.6g及び3−フルオロピリジン9.2cm3を、ジメチルスルホキシド75cm3中の調製3の化合物2.25gの溶液に加えた。反応混合物を、1000Wマルチモード高周波レンジの最大出力の30%で90秒間加熱した。冷却後、反応混合物を塩化ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機相を塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、留去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム)に付し、非塩型生成物2.46gを単一のジアステレオ異性体の形態で得た。ジオキサン中の4N塩酸を使用して化合物を塩に転化し、結晶化した後、目的化合物1.22gを得た。
質量分析法(ESI):m/z=193.1Th([M+H]
融点(cap):189〜191℃
【0209】
工程2:実施例19の化合物の鏡像異性体の分離
実施例19の化合物1.8gを、Chiralpack ADカラムでクロマトグラフィー(エタノール/アセトニトリル/ジエチルアミン:150/850/1)に付し、ジオキサン中の4N塩酸溶液を使用して塩に転化し、結晶化した後、第1鏡像異性体αの塩酸塩0.54g及び第2鏡像異性体βの塩酸塩0.58gを得た。
【0210】
実施例20(α鏡像異性体)
(1S,2R)−又は(1R,2S)−(+)−N,2−ジメチル−1−[3−ピリジニルオキシ]メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=193.1Th([M+H]
融点(cap):69〜72℃
旋光度:[α]D20:+30.04°(c=0.01084g/cm3、エタノール)
【0211】
実施例21(α鏡像異性体)
(1S,2R)−又は(1R,2S)−(−)−N,2−ジメチル−1−[3−ピリジニルオキシ]メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
質量分析法(ESI):m/z=193.1Th([M+H]
融点(cap):71〜74℃
旋光度:[α]D20:−31.24°(c=0.00961g/cm3、エタノール)
【0212】
実施例22
(1S,2R),(1R,2S)−1−{[(5−ブロモ−3−ピリジニル)オキシ]メチル]−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン二塩酸塩
油中の60%水素化ナトリウム1.7gをジメチルホルムアミド160cm3中の調製3の化合物4.6gに加えた。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌し、次に3,5−ジブロモピリジン10.2gを滴下により加えた。反応混合物を60℃で16時間加熱し、次にジメチルホルムアミドを留去した。残渣をエーテル300cm3に取った。有機相を塩化リチウム水溶液で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:96/4)に付し、非塩型化合物4.86gを得ることができた。ジオキサン中の4N塩酸溶液1cm3を使用してエタノール中の化合物0.43gを塩に転化した後、溶媒を留去し、残渣をエタノールから再結晶化させて、目的化合物0.35gを得た。
質量分析法(ESI):m/z=271.1Th([M+H]
融点(cap):157〜159℃
【0213】
実施例23
(1S,2R),(1R,2S)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
工程1:(2E)−2−シアノ−2−ブテン酸エチル
ピペリジン2cm3を酢酸80cm3中のシアノ酢酸エチル64cm3及びアセトアルデヒド34cm3の溶液に滴下して加えた。周囲温度で20時間撹拌後、反応混合物を水200cm3で希釈し、エーテル(3×200cm3)で抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、留去した。得られた残渣を減圧下(97℃/10torr)で蒸留して、目的生成物40.44gを得ることができた。
ジアステレオ異性体比 E/Z:96/4
【0214】
工程2:(1S,2S)(1R,2R)−1−シアノ−2−メチルシクロプロパンカルボン酸エチル
油中の60%水素化ナトリウム1.92gをジメチルスルホキシド120cm3中のヨウ化トリメチルスルホキソニウム17.6gの溶液に一気に加えた。反応混合物を2時間撹拌し、次にジメチルスルホキシド60cm3中の上記工程1で得た化合物10gの溶液を滴下により加えた。16時間撹拌後、反応混合物を氷及び1N塩酸の混合物に注ぎ、次にエーテル(3×200cm3)で抽出した。合わせた有機相を塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、留去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/テトラヒドロフラン:97/3)に付し、目的生成物7.15gを単離することができた。
【0215】
工程3:(1S,2S)(1R,2R)−1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルシクロプロパンカルボニトリル
テトラヒドロフラン20cm3中の工程2で得た化合物2gの溶液を、テトラヒドロフラン80cm3及び水5cm3中の水素化ホウ素ナトリウム4.92gの溶液に滴下により加えた。次に、溶液を50℃で7時間、その後周囲温度で一晩撹拌した。メタノール100cm3を注意深く加え、次に反応混合物を濃縮した。手順をもう一度繰り返し、次に残渣を炭酸水素ナトリウム100cm3に取り、ジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタンでの2回目の抽出の後、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、留去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/テトラヒドロフラン:97/3)に付し、目的生成物1.71gを得ることができた。
【0216】
工程4:(1S,2S)(1R,2R)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンカルボニトリル
カリウムtert−ブタノラート2.4gを、ジメチルスルホキシド15cm3中の上記工程3の生成物0.56gの溶液に加えた。均質化した後、3−フルオロピリジン2.2cm3を加え、反応混合物を80℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を塩化ナトリウム水溶液40cm3で希釈し、酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機相を塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、留去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/テトラヒドロフラン:97/3)に付し、目的生成物0.71gを得ることができた。
【0217】
工程5:(1R,2S)(1S,2R)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンカルボキサミド
エタノール10cm3中の上記工程4で得た生成物1g、50%過酸化水素水溶液3.8cm3及び水酸化リチウム0.32gの混合物を周囲温度で45分間、次に45℃で75分間撹拌した。反応混合物を濾過し、不溶性物質をジクロロメタンで洗浄した。濾液を濃縮し、シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム:95/4/1)に付し、目的生成物0.94gを得ることができた。
【0218】
工程6:(1S,2R)(1R,2S)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
臭素0.25cm3を水10cm3中の水酸化カリウム1.64gの溶液に加えた。溶液を0℃に冷却し、工程5で調製した生成物1gを一気に加えた。反応混合物を周囲温度で15分間、次に75℃で45分間激しく撹拌した。冷却後、反応混合物を塩化ナトリウム水溶液30cm3で希釈し、酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、留去した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム:95/4/1)に付し、非塩型生成物0.59gを得ることができた。ジオキサン中の4N塩酸溶液を使用して化合物1.18gを塩に転化し、エタノールから再結晶化させた後、目的化合物1.41gを得た。
質量分析法(ESI):m/z=179Th([M+H]
融点(cap):188〜190℃
【0219】
実施例24
(1S,2R),(1R,2S)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
標記化合物を、実施例4の化合物を実施例23の化合物に代え、実施例7の工程1の手順に従って得た。化合物0.88gを、ジオキサン中の4N塩酸溶液を使用して塩に転化した後、溶媒を留去し、残渣をエタノールから再結晶化して、目的生成物0.98gを得た。
質量分析法(ESI):m/z=207.1Th([M+H]
融点(cap):196〜200℃
【0220】
実施例25
(R,S)−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
工程1:2−(2−メチルプロピリデン)マロン酸ジエチル
2−メチルプロパナール69.80g、マロン酸ジエチル77.30g、安息香酸2.06g、ピペリジン2.47cm3及びトルエン100cm3の混合物を15時間撹拌還流した。冷却後、トルエン100cm3を加えた。溶液を、連続して蒸留水100cm3で2回、1M塩酸100cm3で2回及び飽和炭酸ナトリウム水溶液100cm3で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を減圧下(117℃/10torr)で希釈して、目的生成物93.44gを無色の油状物の形態で得た。
【0221】
工程2:2−(2−ブロモ−2−メチルプロピリデン)マロン酸ジエチル
N−ブロモスクシンイミド56.04gを四塩化炭素300cm3中の上記工程1で得た化合物64.20gの溶液に加えた。反応混合物を2時間還流した。周囲温度に冷却後、混合物を濾過し、濃縮して、目的生成物89.8gを得た。
【0222】
工程3:2,2−ジメチル−1,1−シクロプロパンジカルボン酸ジエチル
エタノール90cm3中の上記工程2で得た化合物87.70gの溶液を、エタノール300cm3中の水素化ホウ素ナトリウム24.3gに滴下により加えた。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次に40℃で1時間30分加熱した。溶媒を留去し、残渣を蒸留水200cm3に取り、ジクロロメタン(3×200cm3)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、目的生成物63.0gを得た。
【0223】
工程4:1−(エトキシカルボニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸
1N水酸化ナトリウム270cm3を、30分間かけて、エタノール600cm3中の上記工程3で得た化合物59.2gの溶液に周囲温度で加えた。反応混合物を周囲温度で20時間撹拌し、次にエタノールを留去した。残留水相をエーテルで2回抽出し、次に37%塩酸25cm3で酸性化し、塩化ナトリウムで飽和させ、再びエーテルで6回抽出した。合わせたエーテル相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、目的生成物41.2gを得た。
【0224】
工程5:1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エチル
不活性雰囲気下及び周囲温度で、トルエン30cm3中のアジ化ジフェニルホスホリル29.20gの溶液を、トルエン150cm3中の上記工程4で得た化合物19.77g、トリエチルアミン15.2cm3及びtert−ブタノール23.6gの溶液に滴下により加えた。次に、反応混合物を85℃で20時間撹拌しながら加熱した。冷却後、反応混合物を炭酸ナトリウム水溶液70cm3で洗浄した。水相をトルエン100cm3で3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/テトラヒドロフラン:98/2)に付し、目的生成物12.75gを得ることができた。
【0225】
工程6:1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エチル
カリウムtert−ブタノラート16.6gを、1時間かけて、ジメチルホルムアミド240cm3中の上記工程5で得た化合物24.1gの溶液に撹拌しながら加えた。反応混合物を周囲温度で30分間撹拌し、次にヨウ化メチル20.0gを滴下により加えた。混合物を周囲温度で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、残渣をエーテル300cm3に取った。有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液40cm3及び塩化リチウム水溶液(2×20cm3)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン)に付し、目的生成物17.6gを得ることができた。
【0226】
工程7:2,2−ジメチル−1−(メチルアミノ)シクロプロパンカルボン酸エチル
エタノール中の8.7N塩酸270cm3を、エタノール60cm3中の上記工程6で得た化合物18.06gの5℃に冷却した溶液に滴下により加えた。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次に濃縮乾固した。残渣をエタノールに取り、次に再度連続して3回濃縮乾固した。炭酸水素ナトリウム水溶液を、得られた塩酸塩に加え、水相をジクロロメタンで5回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、次に濃縮した。目的生成物10.94gを単離した。
【0227】
工程8:1−[ベンゾイル(メチル)アミノ]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エチル
テトラヒドロフラン40cm3中の塩化ベンゾイル9.88gの溶液を、テトラヒドロフラン170cm3中の上記工程7で得た化合物10.94g及びトリエチルアミン7.76gの5℃に冷却した溶液に滴下により加えた。反応混合物を5℃で45分間、次に周囲温度で2時間撹拌した。形成された白色の沈殿物を濾取し、THFで洗浄した。濾液を濃縮乾固した。得られた残渣をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。分離後、水相をジクロロメタンで4回抽出した。次に、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/テトラヒドロフラン:95/5)に付し、目的生成物16.07gを得ることができた。
【0228】
工程9:{1−[ベンジル(メチル)アミノ]−2,2−ジメチルシクロプロピル}メタノール
テトラヒドロフラン130cm3中の上記工程8で得た化合物16.07gの溶液を、テトラヒドロフラン350cm3中の水素化アルミニウムリチウム4.44gの懸濁液に滴下により加えた。混合物を4時間還流した。次に、それを5℃に冷却し、その後蒸留水4.5cm3、4N水酸化ナトリウム4.5cm3及び蒸留水15cm3で加水分解した。周囲温度で30分間撹拌後、沈殿物を濾去し、テトラヒドロフランですすいだ。濾液を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固した。シリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン(100)〜ジクロロメタン/テトラヒドロフラン:95/5)に付し、目的生成物11.9gを単離することができた。
【0229】
工程10:N−ベンジル−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
カリウムtert−ブタノラート1.86gを、ジメチルスルホキシド96cm3中の上記工程9で得た生成物3.2gの溶液に加えた。数秒間撹拌後、3−フルオロピリジン6.3cm3を加えた。反応混合物を1000Wマルチモード高周波レンジ中で2分間還流した。冷却後、反応混合物を飽和塩化ナトリウム水溶液300cm3に注ぎ、次にエーテルで6回抽出した。合わせた有機相を塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、留去した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(ジクロロメタン)に付し、目的生成物3.83gを得ることができた。
【0230】
工程11:(R,S)−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)]メチル]シクロプロパンアミン二塩酸塩
1N塩酸を8.8cm3をエタノール40cm3中の上記工程10で得た化合物1.35gの溶液に加えた。反応混合物を、水酸化パラジウム(20%担持炭)0.27gの存在下、大気圧下で、周囲温度にて5時間水素化した。触媒を濾取し、溶媒を留去した。残渣を飽和炭酸ナトリウム水溶液30cm3に取り、次にエーテルで抽出した。エーテル相を硫酸ナトリウムで乾燥し、次に濃縮乾固した。エーテル中の4N塩酸溶液20cm3を残渣に加え、形成された塩酸塩を濾取した。乾燥後、目的化合物0.79gを得た。
質量分析法(ESI):m/z=207.1Th([M+H]
融点(cap):86〜88℃
【0231】
工程12:実施例25の化合物の鏡像異性体の分離
実施例25の工程10で得たラセミ生成物2.80gの鏡像異性体の分離を、Chiracel OJカラムのキラルクロマトグラフィー(エタノール)により実施した。第1鏡像異性体α1.43g及び第2鏡像異性体β1.37gをこのようにして単離した。
【0232】
α鏡像異性体
(R又はS)−(+)−N−ベンジル−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン或いは(R又はS)−(−)−N−ベンジル−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
β鏡像異性体
(R又はS)−(+)−N−ベンジル−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン或いは(R又はS)−(−)−N−ベンジル−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
鏡像異性体比率(α鏡像異性体):97.2/2.8
鏡像異性体比率(β鏡像異性体):99.1/0.9
【0233】
実施例26(α鏡像異性体)
(R又はS)−(+)−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミンジフマラート
実施例25の工程12で得たα鏡像異性体の脱ベンジル化を、実施例25の工程11に記載の手順に従って実施した。α鏡像異性体1.4gのフマラートを、フマル酸1.5当量の存在下、エタノール中の塩基を溶解することにより得た。溶液を濃縮乾固し、次にエーテルに取った。フマラート0.83gを濾過及び乾燥により得た。
質量分析法(ESI):m/z=207.1Th([M+H]
融点(cap):124〜127℃
旋光度:[α]D20:+13.5°(c=0.01249g/cm3、CH3OH)
【0234】
実施例27(β鏡像異性体)
(R又はS)−(−)−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミンジフマラート
標記化合物を、α鏡像異性体をβ鏡像異性体に代え、実施例27の手順に従って得た。
質量分析法(ESI):m/z=207.1Th([M+H]
融点(cap):115〜118℃
旋光度:[α]D20:−14.1°(c=0.0099g/cm3、CH3OH)
【0235】
本発明化合物の薬理学的試験
実施例A: シビレエイの電気器官のニコチン性受容体への[125I]−α−ブンガロトキシンの結合の置換
J. Pharmacol. Exp. Ther., 1994, 271; 624-631に記述される方法により行った本試験は、「筋」型のニコチン性受容体に対する本発明化合物の親和性を評価することを目的とした。
【0236】
シビレエイの電気器官の膜(1〜5μg/ml)を、0.01% BSAを含むクレブス緩衝液(トリス−HCl 50mM、KCl 5mM、MgCl2 1mM、CaCl2 2mM、NaCl 100mM、pH7.4)中で、一連の濃度(0.01〜10μM)の本発明の各化合物(DMSO中の10mM原液から出発して希釈)の存在下で、[125I]−α−ブンガロトキシン(比放射能:7.4TBq/mmol:0.2nM)の存在下でインキュベートした(1時間、22℃);最終容量:500μl。非特異結合は、α−ブンガロトキシン(1μM)の存在下で膜をインキュベートすることにより求めた。
【0237】
結果は、10μMの濃度までは、本発明の全ての化合物が「筋」型のニコチン性受容体に対する有意な親和性を持たないことを示した(Ki>10-5M)。
【0238】
実施例B: IMR32細胞のニコチン性受容体への[3H]−エピバチジンの結合の置換
Molec. Pharmacol., 1995, 48; 280-287に記述される手法により行った本試験は、「神経節」型のニコチン性受容体(American Soc. Neuroscience, 2000, 26, 138)に対する本発明の化合物の親和性を測定することを目的とした。
【0239】
IMR−32神経芽腫細胞の膜(250μg/ml)を、リン酸緩衝液(NaH2PO4 20mM、pH7.4)中で、一連の濃度(0.01〜10μM)の本発明の各化合物(DMSO中の10mM原液から出発して希釈)及び(±)−[3H]−エピバチジン(比放射能:2464GBq/mmol:1.5nM)の存在下でインキュベートした(2時間、20℃);最終容量:250μl。非特異結合は、300μMの(−)ニコチンの存在下で膜をインキュベートすることにより求めた。
【0240】
結果は、10μMの濃度までは、本発明の全ての化合物が「神経節」型のニコチン性受容体に対する有意な親和性を持たないことを示した(Ki>10-5M)。
【0241】
実施例C: ラット脳のムスカリン性受容体への[3H]−オキソトレモリン−Mの結合の置換
Naumyn-Schmiedeberg's Arch. Pharmacol., 2001, 363, 429-438に記述される方法により行った本試験は、ムスカリン性受容体に対する本発明化合物の親和性を測定することを目的とした。
【0242】
ラット脳の膜(250μg/ml)を、リン酸緩衝液(NaH2PO4 20mM、pH7.4)中で、一連の濃度(0.01〜10μM)の本発明の各化合物(DMSO中の10mM原液から出発して希釈)及び[3H]−オキソトレモリン−M(比放射能:3174GBq/mmol:2nM)の存在下でインキュベートした(2時間、20℃);最終容量:250μl。特異結合は、アトロピン(1μM)の存在下で膜をインキュベートすることにより求めた。ムスカリン性受容体に対する本発明化合物の親和性は、Kiの測定により特性決定した。
【0243】
結果は、10μMの濃度までは、本発明の全ての化合物がムスカリン性受容体に対する親和性を持たないことを示した(Ki>10-5M)。
【0244】
実施例D: ラット脳の「α7型」ニコチン性受容体への[125I]−α−ブンガロトキシンの結合の置換
Molec. Pharmacol., 1986, 30; 427-436に記述される方法により行った本試験は、α7型中枢ニコチン性受容体に対する本発明化合物の親和性を測定することを目的とした。
【0245】
ラット脳の膜(1000μg/ml)を、0.05% BSAを含むクレブス緩衝液(トリス−HCl 50mM、KCl 5mM、MgCl2 1mM、CaCl2 2mM、NaCl 100mM、pH7.4)中で、一連の濃度(0.01〜10μM)の本発明の各化合物(DMSO中の10mM原液から出発して希釈)及び[125I]−α−ブンガロトキシン(比放射能:7.4TBq/mmol:1nM)の存在下でインキュベートした(5時間、37℃);最終容量:500μl。非特異結合は、α−ブンガロトキシン(1μM)の存在下で膜をインキュベートすることにより求めた。
【0246】
α7型ニコチン性受容体に対する本発明化合物の親和性は、Kiの測定により特性決定した。
【0247】
結果は、10μMの濃度までは、本発明の全ての化合物がα7型中枢ニコチン性受容体に対する親和性を持たないことを示した(Ki>10-5M)。
【0248】
実施例E: ラット脳の「α4β2型」ニコチン性受容体への[3H]−シチシンの結合の置換
Molec. Pharmacol., 1990, 39; 9-12に記述される手法により行った本試験は、α4β2型中枢ニコチン性受容体に対する本発明化合物の親和性を測定することを目的とした。
【0249】
ラット大脳の膜(250μg/ml)を、リン酸緩衝液(NaH2PO4 20mM、pH7.4)中で、一連の濃度(0.01〜10μM)の本発明の各化合物(DMSO中の10mM原液から出発して希釈)及び[3H]−シチシン(比放射能:1184GBq/mmol:2nM)の存在下でインキュベートした(2時間、20℃);最終容量:250μl。非特異結合は、10μMの(−)ニコチンの存在下で膜をインキュベートすることにより求めた。α4β2型中枢ニコチン性受容体に対する本発明の化合物の親和性は、Kiの測定により特性決定した。
【0250】
得られた結果は、本発明化合物がα4β2型中枢ニコチン性受容体に対する強い親和性を持つことを示した。即ち、実施例2化合物は6.9×10-8MのKiを有する。
【0251】
これらの結果、また実施例A〜Dで得られた結果は、本発明の化合物が、α4β2型受容体に特異的である強力な中枢ニコチン性リガンドであることを示している。
【0252】
実施例F: 覚醒ウィスターラットにおける皮質内微小透析法によるアセチルコリンの放出のインビボ測定
ニコチン及びニコチン様アゴニストの全身性投与は、インビボで脳の種々の領域においてアセチルコリンの増大を引き起こす(Neurochem. Res., 1996, 21, 1181-1186;Eur. J. Pharmacol., 1998, 351, 181-188;Br. J. Pharmacol., 1999, 127, 1486-1494)。微小透析プローブを、オスのウィスターラットの正中前頭前皮質に埋め込んだ。移植した6又は7日後、ラットが自由に動けるようにしながら、プローブをリンガー液(NaCl 147mM、KCl 2.7mM、CaCl2 1.2mM、MgCl2 1mM、ネオスチグミン20nM)で1μl/分の流量で灌流した。飼育場所で2時間後、試験下の生成物を腹腔内経路により投与した。対照ラットの一群には、生成物用に使用した溶媒を投与した。次に透析液(30μl)を30分毎に4時間回収することにより、電流滴定で検出するHPLCを用いてアセチルコリンの皮質シナプス外濃度を測定した。結果は、アセチルコリン/透析液のpgとして表し、時間をかけて測定を繰り返して、2因子(処置×時間)を用いる分散分析により群間の比較を行った。
【0253】
得られた結果は、本発明化合物が、インビボで1〜10mg/kg(IP)の範囲の用量で用量依存的にアセチルコリンの皮質放出を増大させることを示しており、このことは、本発明化合物のα4β2アゴニスト特性を示した。即ち、実施例2の化合物は、3mg/kg(IP)の用量で投与の1時間後、覚醒ウィスターラットの前頭前皮質においてアセチルコリンの放出の+86%の増大を誘導した。
【0254】
実施例G: NMRIマウスにおけるフェニル−p−ベンゾキノン(PBQ)により誘導される腹部収縮
PBQのアルコール溶液の腹腔内投与は、マウスにおいて腹部痙攣を引き起こす(Proc. Soc. Exp. Biol., 1957, 95, 729-731)。この痙攣は、後肢の伸展を伴う腹部筋組織の反復収縮を特徴とする。大抵の鎮痛剤が、これらの腹部痙攣に拮抗する(Brit. J. Pharmacol. Chem., 1968, 32, 295-310)。t=0分に、マウスを秤量して試験化合物をIP経路により投与した。対照マウスの一群には、化合物用に使用した溶媒を投与した。t=30分に、PBQのアルコール溶液(0.2%)をIP経路により0.25ml/マウスの容量で投与した。PBQの投与直後に、マウスをプレキシガラスのシリンダー(長さ=19.5cm;内径=5cm)に入れた。t=35分〜t=45分まで、マウスの反応を観察して、実験者はマウス1匹当たりの腹部痙攣の総回数を書き留めた。結果は、有効用量の試験化合物での、対照マウスで測定した腹部痙攣の回数の阻害百分率として表した。
【0255】
得られた結果は、10mg/kg(IP)の有効用量について70%程度の阻害を示したが、これは、本発明化合物が鎮痛性を有することを証明している。即ち、10mg/kg(IP)の用量で投与した実施例15の化合物は、マウスへのPBQの投与に起因する腹部収縮の回数を減少させた(−69%)。
【0256】
実施例H: ウィスターラットにおける社会認識
最初に1982年に報告された(J. Comp. Physiol., 1982, 96, 1000-1006)、社会認識試験は、新しい化合物の記憶認識作用を試験するため、その後多方面の著者により提案されている(Psychopharmacology, 1987, 91, 363-368;Psychopharmacology, 1989, 97, 262-268)。本試験は、ラットの嗅覚記憶の自然な表現及びその忘れやすい自然な傾向に基づいており、成体ラットによる幼体同属ラットの認識によって記銘の評価ができる。ランダムに取りだした幼体ラット(21日齢)を、成体ラットを収容しているケージに5分間入れた。ビデオ装置を活用して、実験者は、成体ラットの社会認識挙動を観察して、その全持続時間を測定した。次に幼体ラットを成体ラットのケージから取りだして、2回目の導入まで自分のケージに入れておいた。成体ラットに、試験下の化合物を腹腔内経路によって投与し、2時間後、これを再び幼体ラットの存在下(5分)に置いた。次に社会認識挙動を再び観察して、その持続時間を測定した。評価基準は、秒で表した、2回の遭遇の「認識」時間の差(T2−T1)である。
【0257】
得られた結果は、1〜10mg/kg(IP)の範囲の用量で−22s〜−38sの範囲の差(T2−T1)を示したが、このことは、本発明化合物が、低用量であっても記銘を非常に大きく増強することを示している。即ち、実施例2の化合物は、10mg/kg(IP)の用量で38sの差(T2−T1)を誘導した。
【0258】
実施例I: それぞれ10mgの活性成分を含む1000錠の錠剤のための薬剤組成物
実施例2の化合物 10g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10g
コムギデンプン 15g
乳糖 90g
ステアリン酸マグネシウム 2g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
nは、1〜6の整数を表し、
1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ他と独立に、水素原子、直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルキル基又はアリール−(C1−C6)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖であっても分岐していてもよい)を表し、
3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ他と独立に、水素原子、又は直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルキル基を表すが、ここで、2個の基R3及びR4の少なくとも一方は、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル基を表し、
5及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ他と独立に、水素原子、又は直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルコキシ、シアノ、ニトロ、直鎖若しくは分岐の(C2−C6)アシル、直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルコキシカルボニル、直鎖若しくは分岐の(C1−C6)トリハロアルキル又は直鎖若しくは分岐の(C1−C6)トリハロアルコキシ基、又は場合により1個若しくは2個の直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルキル基により置換されているアミノ基を表す(ただし、
アリール基とは、それぞれが場合により、ハロゲン原子、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルコキシ、直鎖又は分岐の(C2−C7)アシル、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルコキシカルボニル、直鎖又は分岐の(C1−C6)トリハロアルキル及び直鎖又は分岐の(C1−C6)トリハロアルコキシ基、及び場合により1個又は2個の直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル基により置換されているアミノ基から選択される、1個以上の同一であるか又は異なる基によって置換されている、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル又はインデニル基であると解釈される)]で示される化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、あるいは薬剤学的に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項2】
nが、1の値をとる整数であることを特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、あるいは薬剤学的に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項3】
1及びR2が、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は直鎖若しくは分岐の(C1−C6)アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、あるいは薬剤学的に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項4】
3及びR4が、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はメチル基を表すことを特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、あるいは薬剤学的に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項5】
5及びR6が、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はハロゲン原子を表すことを特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、あるいは薬剤学的に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項6】
(1S,2S),(1R,2R)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S),(1R,2R)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S),(1R,2R)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン
(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−メチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−メチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−2−メチルシクロプロパンアミン
(1S,2S),(1R,2R)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,N,2−トリメチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(+)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,N,2−トリメチルシクロプロパンアミン
(1S,2S)−又は(1R,2R)−(−)−1−{[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,N,2−トリメチルシクロプロパンアミン
(1S,2R),(1R,2S)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2R)−又は(1R,2S)−(+)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2R)−又は(1R,2S)−(−)−N,2−ジメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2R),(1R,2S)−1−{[(5−ブロモ−3−ピリジニル)オキシ]メチル}−N,2−ジメチルシクロプロパンアミン
(1S,2R),(1R,2S)−2−メチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(1S,2R),(1R,2S)−N,N,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(R,S)−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(R又はS)−(+)−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
(R又はS)−(−)−N,2,2−トリメチル−1−[(3−ピリジニルオキシ)メチル]シクロプロパンアミン
である、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、あるいは薬剤学的に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩。
【請求項7】
請求項1記載の式(I)の化合物の製造方法であって、出発物質として式(II):
【化2】


[式中、Rは、エトキシカルボニル、シアノ及びイソシアノから選択される基を表し、そしてR'は、メチル及び2−ブロモプロピルから選択される基を表す]で示される化合物を使用すること、そしてこの式(II)の化合物をヨウ化トリメチルスルホキソニウムと、ジメチルスルホキシド中で水素化ナトリウムの存在下で反応させることにより、式(III):
【化3】


[式中、Rは、上記と同義であり、そしてR3、R4及びnは、式(I)と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(III)の化合物を、Rがエトキシカルボニル基を表すとき、エタノール中で水酸化ナトリウムの存在下に置くことにより、式(IV):
【化4】


[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(IV)の化合物を、トルエン中でアジ化ジフェニルホスホリル及びtert−ブタノールと、トリエチルアミンの存在下で反応させることにより、式(V):
【化5】


[式中、R3、R4及びnは、上記と同義であり、そしてBocは、tert−ブトキシカルボニル基を表す]で示される化合物を得ること、そしてこの式(V)の化合物を、式(VI):
【化6】


[式中、R'1は、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル及びアリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は、直鎖であっても分岐していてもよい)から選択される基を表し、そしてL1は、有機化学において通例の脱離基を表す]で示される化合物と、ジメチルホルムアミド中でカリウムtert−ブタノラートの存在下で反応させることにより、式(VII):
【化7】


[式中、R3、R4、R'1、Boc及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、ここで、
式(V)及び(VII)の化合物の全体は、式(VIII):
【化8】


[式中、R3、R4、Boc及びnは、上記と同義であり、そしてR1は、式(I)と同義である]で示される化合物を構成するが、
この式(VIII)の化合物を、無水溶媒中で還元剤の存在下に置くことにより、式(IX):
【化9】


[式中、R3、R4、Boc、n及びR1は、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(IX)の化合物を、エーテル中でトリフェニルホスフィン及びテトラブロモメタンと反応させることにより、式(X):
【化10】


[式中、R3、R4、Boc、n及びR1は、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(X)の化合物を式(XI):
【化11】


[式中、R5及びR6は、式(I)と同義である]で示される化合物と、ブタノン中で炭酸セシウムの存在下で反応させることにより、式(XII):
【化12】


[式中、R3、R4、R5、R6、R1、n及びBocは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XII)の化合物を、ジオキサン中で塩酸の存在下に置くことにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/a):
【化13】


[式中、R1、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(I/a)の化合物を、ギ酸及びホルムアルデヒド水溶液で処理することにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/b):
【化14】


[式中、R1、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、又は
式(I/a)の化合物を式(XIII):
【化15】


[式中、L1は、上記と同義であり、そしてR'2は、直鎖又は分岐の(C1−C6)アルキル及びアリール−(C1−C6)アルキル(ここで、アルキル部分は、直鎖であっても分岐していてもよい)から選択される基を表す]で示される化合物と、式(V)の化合物と同じ条件下で反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/c):
【化16】


[式中、R1、R3、R4、R5、R6、n及びR'2は、上記と同義である]で示される化合物を得ること、又は
式(VIII)の化合物を、ギ酸及びホルムアルデヒド水溶液で処理することにより、式(XIV):
【化17】


[式中、R'1、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得るか、又は
式(VIII)の化合物を、連続して
−ジオキサン中で塩酸で、そして次に
−上記と同義の式(XIII)の化合物で、式(V)の化合物と同じ条件下で処理することにより、式(XV):
【化18】


[式中、R'1、R'2、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XIV)及び(XV)の化合物を、無水溶媒中で還元剤の存在下に置くことにより、式(XVI):
【化19】


[式中、R'1、R'2、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XVI)の化合物を、式(XVII):
【化20】


[式中、R5及びR6は、上記と同義であり、そしてHalは、臭素又はフッ素原子を表す]で示される化合物と、DMSO中でカリウムtert−ブタノラートの存在下で反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/d):
【化21】


[式中、R'1、R'2、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(I/d)の化合物を、R'1がベンジル基を表すとき、エタノール中で水酸化パラジウムの存在下で塩酸と反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/e):
【化22】


[式中、R'2、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、又は
式(VIII)の化合物を、連続して
−エタノール中で塩酸で、そして次に
−炭酸水素ナトリウム水溶液で処理することにより、式(XVIII):
【化23】


[式中、R1、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XVIII)の化合物を塩化ベンゾイルと、テトラヒドロフラン中でトリエチルアミンの存在下で反応させることにより、式(XIX):
【化24】


[式中、R1、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XIX)の化合物を、無水溶媒中で還元剤の存在下に置くことにより、式(XX):
【化25】


[式中、R1、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XX)の化合物を、式(XVI)の化合物と同じ反応条件に付すことにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/f):
【化26】


[式中、R1、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(I/f)の化合物を、式(I/d)の化合物と同じ反応条件に付すことにより、式(I)の化合物の具体例である、上記と同義の式(I/a)の化合物を得ること、又は
式(IX)の化合物を、R1が水素原子を表すとき、ジオキサン中で塩酸と反応させることにより、式(XXI):
【化27】


[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XXI)の化合物を、式(XVI)の化合物と同じ反応条件に付すことにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/g):
【化28】


[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物[ここで、式(I/g)の化合物は、置換基R3又はR4の一方(これは、アルキル基を表すが、もう一方の置換基R3又はR4は、水素原子を表す)に対して(CH2nのcis立体化学を有する]を得ること、あるいは
式(III)の化合物を、Rがイソシアノ基を表すとき、エーテル中で水素化アルミニウムリチウムと反応させることにより、式(XXII):
【化29】


[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XXII)の化合物を、上記と同義の式(XVII)の化合物と、式(XVI)の化合物と同じ条件下で反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/h):
【化30】


[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、又は
式(III)の化合物を、Rがシアノ基を表すとき、テトラヒドロフラン中で水素化ホウ素ナトリウムと反応させることにより、式(XXIII):
【化31】


[式中、R3、R4及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XXIII)の化合物を、式(XVI)の化合物と同じ反応条件に付すことにより、式(XXIV):
【化32】


[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XXIV)の化合物を、エタノール中で過酸化水素及び水酸化リチウムの水溶液の存在下に置くことにより、式(XXV):
【化33】


[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、そして
この式(XXV)の化合物を、水中で臭素及び水酸化カリウムと反応させることにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/i):
【化34】


[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物[ここで、式(I/i)の化合物は、置換基R3又はR4の一方(これは、アルキル基を表すが、もう一方の置換基R3又はR4は、水素原子を表す)に対してNH2のcis立体化学を有する]を得ること、そして
この式(I/i)の化合物を、式(I/a)の化合物と同じ反応条件に付すことにより、式(I)の化合物の具体例である、式(I/j):
【化35】


[式中、R3、R4、R5、R6及びnは、上記と同義である]で示される化合物を得ること、ここで、
式(I/a)〜(I/j)の化合物の全体は、本発明の化合物の全体を構成しており、適宜、これらを精製法により精製すること、これらを分離法により様々な異性体に分離してもよいこと、そして適宜、これらを薬剤学的に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩に変換することを特徴とする方法。
【請求項8】
活性成分として、少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物を、単独で、又は1つ以上の薬剤学的に許容しうる不活性で非毒性の賦形剤若しくは担体と組合せて含む、薬剤組成物。
【請求項9】
α4β2受容体の特異的ニコチン性リガンドとして使用するための、少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか1項記載の活性成分を含む、請求項8記載の薬剤組成物。
【請求項10】
大脳の老化及び神経変性疾患に伴う記憶の欠損の処置における使用のための、並びにまた気分障害、トゥーレット症候群、注意欠陥多動症候群、タバコ離脱症状及び疼痛の処置のための、少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか1項記載の活性成分を含む、請求項8記載の薬剤組成物。
【請求項11】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、コルサコフ病、又は前頭葉及び皮質下痴呆に伴う記憶の欠損の処置における使用のための、少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか1項記載の活性成分を含む、請求項8記載の薬剤組成物。

【公開番号】特開2007−77135(P2007−77135A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−206041(P2006−206041)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】