説明

新規なスピロ縮合キナゾリノンおよびそれらのホスホジエステラーゼ阻害剤としての使用

本発明は式(I)
【化1】


(式中、R1、R2およびmは、明細書において定義される)の化合物、それらの医薬品としての使用、それらを含有する医薬組成物、およびそれらの製法に関する。これらの化合物はホスホジエステラーゼ阻害剤として作用し、そして特にPDE−VIIを阻害する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスピロ三環式誘導体、それらの製法、およびそれらのホスホジエステラーゼ阻害剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、主要な第二メッセンジャーであるアデノシンおよびグアノシン3', 5'−サイクリック一リン酸(それぞれcAMPおよびcGMP)をそれらの相当する5'−一リン酸ヌクレオチドに加水分解することによって、種々の生物学的過程において重要な役割を果たす。従って、PDE活性の阻害によってcAMPおよびcGMPの細胞内レベルの増加が生じ、そのことは、多様な機能的反応が関与する或る種のタンパク質リン酸化経路を活性化する。
【0003】
PDE 1からPDE 11までの番号を付けられた、哺乳類のサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼの少なくとも11のイソ酵素が、一次構造、基質特異性、または補因子もしくは阻害する薬剤に対する感受性に基づいて特定されている。
【0004】
それらのホスホジエステラーゼの中で、PDE7はcAMP特異的PDEである。その生化学的および薬理学的特性は高親和性のcAMP特異的PDE(Km=0.2μM)を示しており、それは強力なcGMP選択的PDEイソ酵素阻害剤によって影響を受けるものではなかった。
【0005】
PDE7活性またはタンパク質はT細胞系、B細胞系、気道上皮(AE)細胞系、およびいくつかの胎児の組織において検出されている。
【0006】
選択的PDE7阻害によるcAMPレベルの増加は、免疫反応を介在するT細胞およびB細胞を特異的に阻害または調整するための潜在的に有望な手法であると考えられる。さらなる研究によって、細胞内cAMPレベルの上昇が炎症および免疫学的過程を調整し得ることが示されている。この選択的手法は、既知の選択的PDE阻害剤(例えばPDE3またはPDE4選択的阻害剤)に付随してそれらの使用を制限する副作用を、おそらく有しない。
【0007】
T細胞活性化におけるPDE7の機能的役割もまた開示されている;従って、選択的PDE7阻害剤はT細胞関連疾患の治療のための候補である。
【0008】
AE細胞は媒介物質、例えばアラキドン酸代謝生成物およびサイトカインを作用させることによって、炎症性気道疾患に能動的に関与する。PDE7の選択的阻害は、AE細胞関連疾患を治療するための有効な抗炎症性手法になり得る。
【0009】
B細胞はアレルギー反応における公知の主役であり、従って選択的PDE7阻害剤はB細胞関連疾患の治療のための候補である。
【0010】
従って、非常に低い濃度で有効である、すなわち好ましくはナノモル濃度の阻害剤である、選択的PDE7阻害剤の必要性が存在する。
【0011】
WO 88/01508は式
【化1】

〔式中、Rは、H、アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロゲン(halo)、シアノ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ホルミル、アルキルアミノまたはアミノであり;
Xは、−(CR4R5)a−NR6−(CR4R5)b−であり;
Rl、R2、R3、およびR5は、Hまたはアルキルであり;
R4およびR6は、H、アルキルまたはアラルキルであり;aおよびbは、0、1または2であり、そしてa+b=0、1または2であり; 近接炭素原子上のR4およびR5基は、一緒になって炭素−炭素二重結合を形成し得るものであり; そしてジェミナルのR4およびR5基は、一緒になってスピロ置換基、−(CH2)d−(式中、dは、2〜5である)を形成し得る〕の化合物;またはその薬学的に許容し得る塩を開示する。それらの化合物は強心剤として記載される。
【0012】
WO 00/66560は式
【化2】

の化合物を開示する。それらの化合物はプロゲステロン受容体調節剤として記載される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は式(I)
【化3】

〔式中、
mは、1、2または3であり、そして、
R1は、CH3、Cl、BrおよびFから選ばれ、そして、
【0014】
R2は、以下から選ばれ、
Q1−Q2−Q3−Q4、(式中、
Q1は、一重結合または直鎖もしくは分枝鎖の(C1−C6)アルキレン基であり;
Q2は、OまたはNから選ばれる1つまたは2つの複素原子を含む、飽和の4〜6員の
複素環であり;
Q3は、直鎖または分枝鎖の(C1−C6)アルキレン基であり;
Q4は、O、S、S(=O)、SO2およびNから選ばれる1〜4の複素原子を含む、4〜8員の芳香族または非芳香族の複素環であって、前述の複素環はOR、NRR'、CNおよび(C1−C6)アルキル(式中、RおよびR'は、同一または異なるものであって、そしてHおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)から選ばれる、1つまたはいくつかの、好ましくは1つの基で場合により置換され、
Q1に結合するQ2の原子は炭素原子であり、そして、
Q3に結合するQ4の原子は炭素原子である)
(C1−C6)アルキル、
該アルキル基は、OR4、COOR4、NR4R5、NRC(=O)R4、C(=O)NR4R5およびSO2NR4R5(式中、
Rは、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
R4は、(C1−C6)アルキルであって、F、CN、S(=O)R6、SO3H、SO2R6、SR7、C(=O)−NH−SO2−CH3、C(=O)R7、NR'C(=O)R7、NR'SO2R6、C(=O)NR7R8、O−C(=O)NR7R8およびSO2NR7R8(ここで、R'はHまたは(C1−C6)アルキルであり、R6は(C1−C6)アルキルであって1つまたは2つの基OR''(該R''はHおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)で場合により置換され、そしてR7およびR8は、同一または異なるものであって、そしてHおよびR6から選ばれる)から選ばれる1つまたはいくつかの、好ましくは1〜3の基で置換され;
R5は、R4、Hおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)
から選ばれる1〜3の、好ましくは1つの基で置換されるか;または、
【0015】
該アルキル基は、
1)OC(=O)R4、SR4、S(=O)R3、C(=NR9)R4、C(=NR9)−NR4R5、NR−C(=NR9)−NR4R5、NRCOOR4、NR−C(=O)−NR4R5、NR−SO2−NR4R5、NR−C(=NR9)−R4 およびNR−SO2−R3から選ばれる、1〜3の、好ましくは1つの基で置換され、そして、
2)OR4、COOR4、C(=O)−R4、NR4R5、NRC(=O)R4、C(=O)NR4R5およびSO2NR4R5から選ばれる1つまたは2つの基で場合により置換され;
ここで、
Rは、Hおよび(C1−C6)アルキルから選ばれ;
R9は、H、CN、OH、OCH3、SO2CH3、SO2NH2および(C1−C6)アルキルから選ばれ、そして、
R3は、(C1−C6)アルキルであって、非置換であるか、またはF、CN、S(=O)R6、SO3H、SO2R6、C(=O)−NH−SO2−CH3、OR7、SR7、COOR7、C(=O)R7、O−C(=O)NR7R8、NR7R8、NR'C(=O)R7、NR'SO2R6、C(=O)NR7R8およびSO2NR7R8(式中、R'はHまたは(C1−C6)アルキルであり、R6は(C1−C6)アルキルであって1つまたは2つの基OR''(該R''は、Hおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)で場合により置換され、そしてR7およびR8は、同一または異なるものであって、そしてHおよびR6から選ばれる)から選ばれる、1つまたはいくつかの、好ましくは1〜3の基で置換され;
R4およびR5は、同一または異なるものであって、そしてHおよびR3から選ばれる〕の、PDE阻害剤、好ましくはPDE7阻害剤である化合物、またはそれらのラセミ体、それらの異性体およびそれらの薬学的に許容し得る誘導体を提供する。
【0016】
これらの化合物は選択的PDE7阻害剤である。それらは種々の疾患、例えばTおよびB細胞関連疾患、自己免疫疾患、変形性関節症、関節リウマチ、多発性硬化症、骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー、癌、例えば白血病、後天性免疫不全症候群(AIDS)、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎、皮膚疾患、例えば乾癬およびアトピー性皮膚炎、糸球体腎炎、結膜炎、自己免疫性糖尿病、移植片拒絶、癲癇、筋萎縮または全身性エリテマトーデスの治療に使用し得る。
【0017】
本発明はさらに、医薬品としての式(I)の化合物に関する。
【0018】
本発明はさらに、PDE7阻害剤による治療が適切である疾患の予防または治療のための医薬品の製造のための式(I)の化合物の使用に関する。
【0019】
本発明はまた、PDE7阻害剤による治療が適切である疾患の治療方法であって、その必要性のある哺乳類に、式(I)の化合物の有効量を投与することを含む、上記の方法を提供する。
【0020】
本発明はまた、薬学的に許容し得る担体、賦形剤、希釈剤またはデリバリーシステムと共に、式(I)の化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0021】
本発明はまた、式(I)の化合物の製法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は式(I)
【化4】

(式中、R1、R2およびmは、上述の定義の通りである)を有する、PDE7阻害剤である化合物を提供する。
【0023】
式(I)の化合物の好ましい群は、R2が、(C1−C6)アルキルであって、該アルキル基は、OR4、COOR4、NR4R5、NRC(=O)R4、C(=O)NR4R5およびSO2NR4R5〔式中、
Rは、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
R4は、(C1−C6)アルキルであって、S(=O)R6、SO2R6、NR'C(=O)R7、NR'SO2R6、C(=O)NR7R8、O−C(=O)NR7R8およびSO2NR7R8(ここで、R6は(C1−C6)アルキルであり、そしてR'、R7およびR8は、同一または異なるものであって、そしてHおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)から選ばれる1〜3の基で置換され;
R5は、R4、Hおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる〕
から選ばれる1つの基で置換される化合物の群である。
【0024】
好ましくは、R2は(C1−C4)アルキルであって、該アルキル基は、1つの基NR4R5またはC(=O)NR4R5〔式中、
R4は、(C1−C6)アルキルであって、S(=O)CH3、NHC(=O)CH3およびC(=O)NR7R8(式中、R7およびR8は、同一または異なるものであって、そしてHおよびメチルから選ばれる)から選ばれる1つの基で置換され;
R5は、Hおよびメチルから選ばれる〕で置換される。
【0025】
式(I)の化合物の別の好ましい群は、R2が(C1−C6)アルキルであって、
該アルキル基は、
1)OC(=O)R4、SR4、S(=O)R3、NRCOOR4、NR−C(=O)−NR4R5、NR−SO2−NR4R5およびNR−SO2−R3から選ばれる、1〜3の、好ましくは1つの基で置換され、そして、
2)OHまたはOCH3で場合により置換され;
ここで、
Rは、HおよびCH3から選ばれ;
R3は、(C1−C6)アルキルであって、非置換であるか、またはF、CN、S(=O)R6、SO3H、SO2R6、C(=O)−NH−SO2−CH3、OR7、SR7、COOR7、C(=O)R7、O−C(=O)NR7R8、NR7R8、NR'C(=O)R7、NR'SO2R6、C(=O)NR7R8およびSO2NR7R8(式中、R6は(C1−C6)アルキルであって、そしてR'、R7およびR8は、同一または異なるものであって、そしてHおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)から選ばれる、1〜3の基で置換され;
R4およびR5は、同一または異なるものであって、そしてHおよびR3から選ばれる、
化合物の群である。
【0026】
好ましくは、R2は(C1−C6)アルキルであって、S(=O)R3〔式中、R3は、(C1−C6)アルキルであって、S(=O)R6、SO2R6、NR7R8、OR7、NR'C(=O)R7、NR'SO2R7、C(=O)NR7R8およびO−C(=O)NR7R8(ここで、R6は(C1−C6)アルキルであって、そしてR'、R7およびR8は、同一または異なるものであって、そしてHおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)から選ばれる、1〜3の基で場合により置換される〕で置換されるものである。
【0027】
好ましくは、R2は(C1−C6)アルキルであって、S(=O)R3(式中、R3は(C1−C6)アルキル、好ましくはメチルである)で置換されるものである。
【0028】
式(I)の化合物の別の好ましい群は、R2がQ1−Q2−Q3−Q4(式中、
Q1は、一重結合または直鎖もしくは分枝鎖の(C1−C6)アルキレン基であり;
Q2は、1つの窒素原子を含む飽和の4〜6員の複素環であり;
Q3は、直鎖の(C1−C4)アルキレン基であり;
Q4は、1〜4の窒素原子を含む、5または6員の芳香族複素環であって、該複素環は1つのメチルで場合により置換され、
Q1に結合するQ2の原子は炭素原子であり、そして、
Q3に結合するQ4の原子は炭素原子である)
である化合物の群である。
【0029】
好ましくは、R2はQ1−Q2−Q3−Q4(式中、
Q1は、一重結合であり;
Q2は、1つの窒素原子を含む飽和の4〜6員の複素環、好ましくはアゼチジンであり;
Q3は、−CH2−であり;
Q4は、2つの窒素原子を含む5員の芳香族複素環であって、該複素環は1つのメチルで場合により置換され、
Q1に結合するQ2の原子は炭素原子であり、そして、
Q3に結合するQ4の原子は炭素原子である)である。
【0030】
上述の化合物の各群において、以下の置換基はさらに好ましい。
R1はClまたはFである。
mは2である。
好ましくは、R1はClまたはFであり、そしてmは2である。
【0031】
以下の化合物は特に好ましい:
5'−(2−[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]エトキシ)−8'−クロロ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン;
8'−クロロ−5'−([メチルスルフィニル]メトキシ)−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン;
5'−(2−{[2−(アセチルアミノ)エチル]アミノ}エトキシ)−8'−クロロ−1'H−スピ
ロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン;
8'−フルオロ−5'−[3−(メチルスルフィニル)プロポキシ]−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン;
8'−フルオロ−5'−([メチルスルフィニル]メトキシ)−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン、および、
8'−フルオロ−5'−{[1−(1H−ピラゾール−3−イルメチル)アゼチジン−3−イル]オキシ}1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン。
【0032】
後述および前述の文章において:
「直鎖または分枝鎖の(C1−C6)アルキレン基」という語は、1〜6の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の炭素原子鎖を表す。かかる(C1−C6)アルキレンの例はメチレン、エチレン、イソプロピレン、第三級ブチレン等である。
【0033】
「(C1−C6)アルキル」という語は、1〜6の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の炭素原子鎖を表す。「(C1−C6)アルキル」の例はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、第三級ブチル等である。
【0034】
「窒素または酸素から選ばれる1つまたは2つの複素原子を含む、飽和の4〜6員の複素環」の例は、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリンおよびピペラジンである。
【0035】
好ましい「1つの窒素原子または1つの酸素原子を含む、飽和の4〜6員の複素環」はアゼチジンである。
【0036】
「O、S、S(=O)、SO2およびNから選ばれる1〜4の複素原子を含む、4〜8員の芳香族または非芳香族の複素環」の例は、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリンおよびピペラジンである。
【0037】
好ましくは前述の複素環は5または6員の芳香族であって、そして1または2の窒素原子を含む。かかる基の例はピリジル、ピラゾリルおよびイミダゾリルである。
【0038】
本発明において利用する化合物は、式(I)の化合物の薬学的に許容し得る誘導体、例えば溶媒和物、水和物、薬学的に許容し得る塩および多形(異なる結晶格子の種類)を含む。
【0039】
式(I)の化合物の薬学的に許容し得る塩は、塩基性部分を有する塩および酸性部分を有する塩を含む。
【0040】
塩基性部分を有する式(I)の化合物の薬学的に許容し得る塩という語句は、無毒性の無機酸または有機酸から形成し得る式(I)の化合物の付加塩、例えば臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、安息香酸塩、フマル酸塩およびトルエンスルホン酸塩等を表すと理解されるべきである。誘導体(I)の種々の第四級アンモニウム塩もまた、本発明の化合物のこの分類に含まれる。加えて、酸性部分を有する式(I)の化合物の薬学的に許容し得る塩という語句は、無毒性の無機塩基または有機塩基、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属(ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム)の水酸化物、アミン(ジベンジルエチレンジアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ベンジルアミン等)、または他には水酸化第四級アンモニウム、例えば水酸化テトラメチルアンモニウムから形成し得る式(I)の化合物の通常の塩を表すと理解される(“Pharmaceutical salts" Berge S. M.ら (1997) J. Pharm. Sci. 66: 1-19もまた参照されたい。これは参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0041】
熟練した当業者に想起され得るような、本発明の化合物のプロドラッグの使用(Bundgaard, ら, Acta Pharm. Suec., 1987; 24: 233-246を参照)もまた意図されるものである。
【0042】
本発明の化合物の一般的製法
本発明はまた、式(I)の上述の化合物の製法に関するものであり、前述の製法は以下の工程を含む:
(1) 式
【化5】

(式中、R1およびmは、上述の定義の通りである)の化合物1aを、式R2−LG(式中、R2は、本発明の概要における定義の通りであり、そしてLGは、脱離基、例えばクロリド、ブロミド、ヨージド、トリフレート、メシレート、トシレートまたはノシレートである)の化合物と、塩基の存在下で反応させて、式(I)
【化6】

(式中、R1、R2およびmは、上述の定義の通りである)の化合物を得て;
(2) 該式(I)の化合物を単離する。
【0043】
医薬組成物
本発明の化合物は、治療する症状の特性および重症度に妥当な組成物の形で投与する。ヒトにおける1日量は通常、生成物1mg〜1gであり、これは1回またはそれ以上の個々の用量で服用し得る。該組成物は、意図される投与経路に適合する形、例えば錠剤、コーティング錠剤、カプセル剤、含嗽剤、エーロゾル剤、吸入用散剤、坐剤、浣腸剤、泡剤(例えば直腸用泡剤)、ゲル剤または懸濁剤に調製する。これらの組成物は、熟練した当業者に熟知の方法によって製造され、そして有効成分(本発明の化合物)を0.5〜60質量%、ならびに有効成分および意図される組成物の物理的形態に妥当かつ適合する製剤学的ビヒクルまたは担体を40〜99.5質量%含有する。
【0044】
固体の形態の製剤は散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤を含む。固体の担体は、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、滑沢剤、沈殿防止剤、結合剤または錠剤崩壊剤としても作用し得る、1つまたはそれ以上の物質であり得る;それはまた封入
材にもなり得る。散剤において担体は、微細に分割した有効成分と混合する、微細に分割した固体である。錠剤において有効成分は、必要な結合特性を有する担体と適当な割合で混合し、所望する形および大きさに圧縮する。散剤、錠剤、カシェ剤、またはカプセル剤のための被包性形態は、好ましくは有効成分を5%〜約70%含有する。適当な担体は炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、乳糖、砂糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、トラガカントガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂等である。
【0045】
錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に適当な固体の剤形として使用できる。薬剤は(妥当なバルブ付き加圧容器中または計量型バルブ付き無加圧容器中のいずれかの)噴霧剤として送達することができる。
【0046】
液体の形態の製剤は液剤、懸濁剤および乳剤を含む。
【0047】
有効成分の滅菌水または水−プロピレングリコールの溶液を、非経口投与に適当な液状製剤の例として挙げ得る。液状製剤はまた、ポリエチレングリコール水溶液中に処方してもよい。
【0048】
経口投与用の水性液剤は、有効成分を水中に溶解し、所望に応じて適当な着色剤、矯味矯臭剤、安定剤および粘稠化剤を加えることによって製造し得る。経口使用のための水性懸濁剤は、微細に分割した有効成分を、粘稠材料、例えば天然または合成のガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および医薬処方の分野に既知の他の沈殿防止剤と共に、水中に分散させることによって製造し得る。
【0049】
坐剤製剤を製造するには、低融点ワックス、例えば脂肪酸グリセリドおよびカカオ脂の混合物を最初に融解し、有効成分を、例えば撹拌によってその中に分散させる。次いでその融解した均一な混合物を、好都合な大きさの型に注入し、冷却しそして凝固させる。浣腸剤は、直腸投与に適する液剤を製造する既知の手法に従って得られる。泡剤は既知の方法に従って製造する(これらの泡剤は、薬剤、例えば直腸結腸炎の治療のための5−ASAを投与するために用いるものと非常に類似したものであってよい)。
【0050】
該医薬品は投薬単位形態であるのが好ましい。かかる形態において該製剤は、妥当な量の薬剤を含有する単位用量に分割される。投薬単位形態は包装した製剤であり得るし、その包装は製剤、例えば包装した錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の散剤の個々の量を含有する。投薬単位形態はまた、1つのカプセル剤、カシェ剤もしくは錠剤それ自体であり得るか、または適当数の、いずれかのそれらの包装形態であり得る。
【0051】
使用
本発明の化合物はPDE阻害剤、そして特にPDE7阻害剤である。これらの化合物は低いIC50値、通常は5μM以下、好ましくは1μM未満、そしてさらには100nM未満を有する。
【0052】
本発明に従って、本発明の化合物は選択的PDE7阻害剤であることが示されている。「選択的PDE7阻害剤」は、PDE7とは異なるPDEに対するIC50と比べて、少なくとも5倍低いPDE7に対するIC50、そして好ましくは、PDE7とは異なるPDEに対するIC50値と比べて、少なくとも10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍または100 倍低いPDE7に対するIC50を有する化合物を表す。
【0053】
PDE7とは異なるPDEは好ましくは、PDE1、PDE3、PDE4またはPDE5から選ばれるPDEを表す。
【0054】
特に本発明に従って、本発明の化合物は、そしてより特には、本明細書中の実施例として記載される化合物の群は、PDE7とは異なるPDE、特にPDE1、PDE3、PDE4またはPDE5に対するそれらのIC50値に比べて、大抵の場合100倍低い、酵素PDE7に対するIC50値を有することが示されている。
【0055】
本発明の化合物は、それらが細胞内cAMPレベルの増加による炎症および免疫学的過程を調整し得ることから、種々の疾患の治療に使用し得る。
【0056】
治療し得る疾患の例としては、TおよびB細胞関連疾患、自己免疫疾患、変形性関節症、関節リウマチ、多発性硬化症、骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、癌、例えば白血病、後天性免疫不全症候群(AIDS)、アレルギー、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎、皮膚疾患、例えば乾癬およびアトピー性皮膚炎、糸球体腎炎、結膜炎、自己免疫性糖尿病、移植片拒絶、癲癇、筋萎縮または全身性エリテマトーデスがある。本発明の化合物は特に、喘息、アレルギー、アトピー性皮膚炎、骨粗鬆症 および癌、例えば白血病の治療に有効である。
【0057】
本発明の化合物の合成方法
スキーム1
【化7】

【0058】
スキーム1において、R1、R2およびmは、本発明の概要における定義の通りであり、そしてLGは、脱離基、例えばクロリド、ブロミド、ヨージド、トリフレート、メシレート、トシレートまたはノシレートである。
【0059】
化合物1aは、PCT/EP02/03594に開示される方法を用いて製造し得る。
【0060】
化合物1aを適当な溶媒中、塩基の存在下でR2−LGと反応させて、O−置換キナゾリノンを得る。種々の溶媒、操作条件および塩基を用い得るし、そしてそれらは熟練者によって容易に決定され得る。例えば、溶媒としてジメチルホルムアミド中、塩基として炭酸カリウム、炭酸セシウムまたは水素化ナトリウムを用い得るが、これらに制限されない。
【実施例】
【0061】
合成例
中間体の製造
中間体aの製造
8'−クロロ−5'−([メチルチオ]メトキシ)−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
ジメチルホルムアミド (6mL)中の、PCT/EP02/03594の実施例63に開示される方法に従
って製造し得る8'−クロロ−5'−ヒドロキシ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン(6g, 2.25ミリモル) の溶液に、炭酸カリウム (0.776g, 5.6ミリモル)およびクロロメチルメチルスルフィド(0.26mL, 2.7ミリモル)を加えた。その混合物を封管中100℃で3日間撹拌した。ジメチルホルムアミドを真空中で蒸発除去した。
残留物に水を加え、水層を酢酸エチルで2回抽出した。
【0062】
合一した酢酸エチル層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過しそして真空中で濃縮した。その粗製化合物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(ヘプタンで固定しそしてジクロロメタン中0.5%〜2%メタノールで溶離した)によって精製して、中間体aを固体として得た(0.3g, 41%)。
純度=93.45%
1H NMR[(CD3)2SO]δ7.95 (br s, 1H, NH), 7.26 (d, J=8.8 Hz, 1H, CH), 7.02 (br s, 1H, NH), 6.69 (d, J=9.1 Hz, 1H, CH), 5.30 (s, 2H, CH2), 2.47-2.54 (m, 2H), 2.25
(s, 3H, CH3), 1.70-1.87(m, 2H), 1.56-1.67(m, 3H), 1.40-1.54(m, 2H), 1.21-1.30(m, 1H).
【0063】
中間体bの製造
8'−クロロ−5'−(2−ヨードエトキシ)−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2' (3'H)−オン
無水ジメチルホルムアミド(15mL)中の、PCT/EP02/03594の実施例78に開示される方法に従って製造し得る8'−クロロ−5'−(2−ヒドロキシエトキシ)−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン(0.6g, 1.93ミリモル)の溶液に、ヨウ素(2.9g, 11.4ミリモル)およびトリフェニルホスフィン(3g, 11.4ミリモル)を窒素雰囲気下で加えた。その混合物を室温で1日間暗所中で撹拌した。次いで、ジメチルホルムアミドを蒸発除去し、その残留物をジクロロメタンとNa2S2O4の飽和溶液との間で分配した。その有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して中間体bを得た。
【0064】
中間体cの製造
8'−フルオロ−5'−ヒドロキシ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
アセトン (4.3L)中の2,6−ジブロモ−4−フルオロフェノール (214.5g, 0.794モル)の撹拌した溶液に、炭酸カリウム (120.6g, 0.874モル)およびヨウ化メチル (54.4mL, 0.874モル)を室温で加えた。その混合物を1.5時間加熱還流し、25℃に冷却しそして濾過した後、濾過ケークをジクロロメタン(2×1.5L)で洗浄した。その濾液を真空中40℃で濃縮した。粗製生成物をジクロロメタン(1L)中に30分間25℃でスラリー化し、濾過した後、真空中40℃で濃縮して1, 3−ジブロモ−5−フルオロ−2−メトキシベンゼンを灰白色の結晶性固体として得た(223.3g, 98.9%)。
1H NMR[(CD3)2SO]δ7.71 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 3.80 (s, 3H).
【0065】
濃H2SO4の撹拌した溶液(740mL)に、1, 3−ジブロモ−5−フルオロ−2−メトキシベンゼン (223.3g, 0.786モル)を0〜5℃で加えた。温度を0〜5℃に維持しながら、濃H2SO4
(740mL)中の発煙硝酸(90%, 38mL, 0.815モル)の溶液を滴下して加えた。その反応混合物を3〜5℃で2時間撹拌し、氷 (2.2kg)中にクエンチした後、ジクロロメタン (3×2L)で抽出した。その合一したジクロロメタン抽出物を飽和NaHCO3水溶液 (2×2L)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過した後、濾過ケークをDCM (3×400mL)で洗浄した。濾液を真空中40℃で濃縮して、1, 3−ジブロモ−5−フルオロ−2−メトキシ−4−ニトロベンゼンを淡橙黄色の結晶性固体として得た(244.9g, 95%)。
1H NMR [(CD3)2SO]δ8.25 (d, J= 9.4 Hz, 1H), 3.85 (s, 3H).
【0066】
2.0Lの加圧反応器に10% Pd/C (50%湿性ペースト、10g)を装入した。その触媒に、エタノール(無水グレード、1.5L)中の1, 5−ジブロモ−3−フルオロ−6−メトキシ−5−ニトロベンゼン(50g,0.152モル)の溶液をN2下で加えた。撹拌した反応混合物を真空パージ、続いてN2パージに3サイクル付した。その反応混合物を、4バールの圧力でH2を投入する前に排気した。反応混合物を排気した後、7バールの圧力に到達するまでH2を投入し
た。内部圧力を7バールに維持するためにH2を周期的に投入しながら、その反応混合物を25℃で48時間撹拌した(24時間後に触媒を交換したことに留意されたい)。反応が完了に到達した後、2つのグラスマイクロファイバー製パッドを通してN2雰囲気下で濾過することによって触媒を除去し、そして濾液を減圧下45℃で濃縮乾固した。生成した暗橙黄色の固体を水(500mL)中に溶解し、得られた溶液のpHを、NaOH水溶液(1N, 400mL)を用いて12超に調整した。生成した褐色懸濁液を第三級−ブチルメチルエーテル (2×1L)で抽出した。その合一した有機抽出物を水(500mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し
た後、真空中40℃で濃縮して、2−フルオロ−5−メトキシアニリン(18.0g, 84%)を褐色固体として得た。
1H NMR [(CD3)2SO]δ6.87 (dd, J= 11.1, 8.7 Hz, 1H), 6.33 (dd, J= 7.7, 3.2 Hz, 1H), 6.05 (dt, J= 8.7, 3.2 Hz, 1H), 5.11 (br s, 2H), 3.65 (s, OCH3, 3H); MS (ES) m/z 183 (M+CH3CN+H)+.
【0067】
酢酸 (99mL)および水 (177mL)中の2−フルオロ−5−メトキシアニリン(35.15g, 249ミリモル)の撹拌した溶液に、水(170mL)中のシアン酸カリウム (40g, 0.49モル)をN2下35℃で20分間で加えた。その混合物を40℃で20分間そして18〜20℃で2時間撹拌し、次いで水(500mL)中にクエンチした。粗製生成物を濾過し、水 (1.2L)、ヘプタン(50mL)で洗浄した後、第三級−ブチルメチルエーテル(100mL)および酢酸エチル(5mL)の混合物中に外界温度で5分間スラリー化した。その生成物を濾過し、第三級−ブチルメチルエーテル (30mL)で洗浄した後、真空中40℃で乾燥して、N−(2−フルオロ−5−メトキシフェニル) 尿素 (31.75g, 69%)を淡褐色の固体として得た。
1H NMR[(CD3)2SO]δ8.19 (br s,1H), 7.67 (dd, 1H), 6.95 (dd, 1H), 6.31 (dd, 1H), 6.08 (br s, 2H), 3.55 (s, 3H).
【0068】
ポリリン酸(20g)の撹拌した溶液に、N−(2−フルオロ−5−メトキシフェニル) 尿素(900mg, 4.89ミリモル)を100℃で5分間で加え、続いてシクロヘキサノン (719mg, 7.33 ミリモル)をN2下で1回で加えた。その混合物を100℃で2時間撹拌し、35℃に冷却した後、水 (400mL)中にクエンチした。粗製生成物を濾過した後、水(100mL)で洗浄した。単離した固体を第三級−ブチルメチルエーテル (8mL)および酢酸エチル (4mL)の混合物中に50℃で10 分間スラリー化し、濾過し、第三級−ブチルメチルエーテル(10mL)で洗浄した後、真空中40℃で乾燥して、8'−フルオロ−5'−メトキシ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン(900mg, 70%)を淡褐色の固体として得た。純度(97.3%)。
1H NMR[(CD3)2SO]δ8.92 (br s, 1H), 7.04 (見かけの t, J= 9.5 Hz, 1H), 6.86 (br s, 1H), 6.54 (dd, J = 9.1, 4.2 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 2.36-2.44 (ddd, J = 13.5, 13.5, 4.4 Hz, 2H), 1.72-1.86(m, 2H), 1.52-1.65(m, 3H), 1.40-1.50(m, 2H), 1.12-1.24(m, 1H);
13C NMR[(CD3)2SO]δ153.39, 153.37, 151.65, 145.75, 143.15, 126.87, 126.71, 116.3, 114.78, 114.57, 105.37, 105.29, 57.95, 56.77, 36.24, 25.45, 20.49 ;
MS (ES+) m/z 265.1(M+H)+.
【0069】
DCM (250mL)中の8'−フルオロ−5'−メトキシ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン (2.34g, 8.84ミリモル)の撹拌した溶液に、三臭化ホウ素(11.07g, 44.2ミリモル)をN2下0〜5度で20分間で滴下して加えた。その混合物を5℃で10分間撹拌した後、徐々に外界温度に加温した。撹拌を外界温度で18時間続けた後、さらにBBr3(5g, 20ミリモル)を加えた。混合物をさらに24 時間撹拌しながら放置した後、飽和NaHCO3溶液 (500mL)を用いて10℃で30分間クエンチした。その混合物を外界温度で1時間撹拌した後、水層をジクロロメタンから分離しそして酢酸エチル(2×500mL)で抽出した。有機層を飽和NaHCO3溶液 (200mL)、水 (300mL)で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥し、濾過した後、真空中40℃で濃縮して粗製生成物を得た。その粗製物質を第三級−ブチルメチルエーテル(l0mL)中で18〜20℃で5分間スラリー化し、濾過した後、真空中40℃で乾燥して、8'−フルオロ−5'−ヒドロキシ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン(1.5g, 68%)を淡褐色の固体として得た。純度 (99.9%)。
1H NMR [(CD3)2SO]δ9.60 (br s, 1H), 8.80 (br s, 1H), 6.86 (dd, J = 10.0, 8.9 Hz, 1H), 6.82 (br s, 1H), 6.31 (dd, J= 8.9, 4.5 Hz, 1H), 2.50-2.60 (m, 2H), 1.71-1.85 (m, 2H), 1.50-1.64 (m, 3H), 1.40-1.50 (m, 2H) および1.10-1.23 (m, 1H);
MS (ES+) m/z 251. 1 (M+H)+.
【0070】
中間体dの製造
3−(メチルチオ)プロピルメタンスルホネート
ジクロロメタン(50mL)およびトリエチルアミン (3.2 mL, 23.28 ミリモル)中の3−メチルチオ−1−プロパノール (2 mL, 19.4 ミリモル)の溶液に、塩化メタンスルホニル(1.8
mL, 23.28 ミリモル)を窒素雰囲気下0℃で滴下して加えた。その混合物を撹拌した後、室温に1時間で加温し、そして室温で2.5時間撹拌した。ジクロロメタンを減圧下で除去して粗製中間体dを得た。
【0071】
中間体eの製造
8'−フルオロ−5'−[3−(メチルチオ)プロポキシ]−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
無水ジメチルホルムアミド(4mL)中の中間体c(0.5g,2ミリモル)の溶液に、炭酸カリウム (0.331g, 2.4ミリモル)および中間体d(2.4ミリモル)を加えた。その混合物を封管中100℃で21.5時間撹拌した。炭酸カリウム (0.331g, 2.4ミリモル)および中間体d (2.4ミリモル)を加えた後、混合物を100℃で3日間撹拌した。ジメチルホルムアミドを蒸発させた後、残留物をジクロロメタンおよび水の間で分配した。その水層をジクロロメタンで2回抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した後、減圧下で濃縮した。残留物を、シリカゲルのケークを通して、0〜3%メタノールを含有するジクロロメタンの勾配で溶離させて精製した。残留物をエチルエーテル中に磨砕し、濾過した後、真空下で乾燥し、中間体eを得た(0.22g, 32.5%)。
1H NMR[(CD3)2SO]δ8.85 (br s, 1H, NH), 7.01 (dd, J= 10.1, 9.1 Hz, 1H, CH), 6.83(br s, 1H, NH), 6.52 (dd, J= 9.1, 4.1 Hz, 1H, CH), 4.03 (t, J= 6.0 Hz, 2H, CH2), 2.67 (t, J= 7.3 Hz, 2H, CH2), 2.40-2.55 (m, 2H), 2.07 (s, 3H, CH3), 1.98-2.07 (m, 2H), 1.73-1.87(m, 2H), 1.54-1.69(m, 3H), 1.40-1.51(m, 2H), 1.10-1.25(m, 1H).
【0072】
中間体fの製造
8'−フルオロ−5'−([メチルチオ]メトキシ)−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
無水ジメチルホルムアミド (6mL)中の中間体c (0.6g, 2.4ミリモル)の溶液に、炭酸カリウム (0.795g, 6ミリモル)およびクロロメチルメチルスルフィド (0.242mL, 2.8ミリモル)を加えた。その混合物を封管中100℃で28時間撹拌した。さらにクロロメチルメチルスルフィド (0.242mL, 2.8ミリモル)を混合物中に加えた後、100℃で24時間撹拌した。ジメチルホルムアミドを蒸発させた後、残留物をジクロロメタンおよび水の間で分配した。その水層をジクロロメタンで2回抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した後、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルのケークを通して、0〜3%メタノールを含有するジクロロメタンの勾配で溶離させて精製して、中間体fを得た(0.5g, 81%)。
1H NMR[ (CD3)2SO]δ8.95 (br s, 1H, NH), 7.05 (t, 1H, CH), 6.86 (br s, 1H, NH), 6.56 (dd, 1H, CH), 5.28 (s, 2H, CH2), 2.40-2.50(m, 2H), 2.25 (s, 3H, CH3), 1.70-1.88(m, 2H), 1.55-1.68(m, 3H), 1.38-1.55(m, 2H), 1.10-1.29(m, 1H).
【0073】
中間体gの製造
5'−[(1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−イル)オキシ]−8'−フルオロ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
無水ジメチルホルムアミド(25mL)中の中間体c(3.15g, 12.58ミリモル)の溶液に、1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−イルメタンスルホネート (8g, 25.17ミリモル)および炭酸カリウム (7g, 50.34ミリモル)を加えた。その混合物をアルゴン下100℃で48時間撹拌した。ジメチルホルムアミドを蒸発させた後、残留物をジクロロメタンおよび水の間で分配した。その水層を酢酸エチルで2回抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した後、減圧下で濃縮した。粗製化合物を、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル、ジクロロメタン中0%〜1%メタノールで溶離)によって精製して、中間体gを得た(3g, 50%)。
1H NMR [CDCl3]δ7.34-7.45 (m, 4H), 7.12-7.32 (m, 6H), 6.76-6. 86 (m, 2H, NHおよびCH), 6.08 (dd, 1H, CH), 5.51 (br s, 1H, NH), 4.78 (m, 1H, CH), 4.40 (s, 1H, CH), 3.70 (m, 2H, CH2), 3.09 (m, 2H, CH2), 2.50-2.60 (m, 2H), 1.63-1.86 (m, 5H), 1.45-1.60 (m, 2H), 1.18-1.34 (m, 1H).
【0074】
中間体hの製造
5'−(アゼチジン−3−イルオキシ)−8'−フルオロ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
無水メタノール (50mL)中の中間体g(1.86g, 3.94ミリモル)の溶液に、Pd(OH)2を20%
(0.634g)で加えた。その混合物を真空に付した後、水素を加えた。混合物を2日間撹拌し、次いで、メタノールを溶離液として用いたセライトのケークを通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタン中に磨砕し、濾過した後、真空下で乾燥して中間体hを得た(0.95g, 78.8%)。
1H NMR[(CD3)2SO]δ8.88 (br s, 1H, NH), 6.98 (dd, J= 9.1, 9.1 Hz, 1H, CH), 6.85 (br s, 1H, NH), 6.72 (dd, J= 9.1, 4.0 Hz, 1H, CH), 4.95(m, 1H, CH), 3.74-3.84(m, 2H, CH2), 3.47-3.57(m, 2H, CH2), 2.52-2.59(m, 2H), 1.72-1.87(m, 2H), 1.54-1.69(m, 3H), 1.42-1.53(m, 2H), 1.10-1.27(m, 1H).
【0075】
製造例
実施例1
5'−(2−[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ] エトキシ)−8'−クロロ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
式(I):R1=Cl、R2=−CH2−CH2−NH−CH2−CO−NH2、m=2
エタノール (20mL)中の、PCT/EP02/03594の実施例98に開示される方法に従って製造し得る8'−クロロ−5'−2−[(2−メトキシ−2−オキソエチル)アミノ] エトキシ)−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン(1.0g, 2.52ミリモル)の撹拌した懸濁液に、濃アンモニア水(30 mL, 580ミリモル)を室温で加えた。生成した混合物を60℃で2.25時間撹拌した。濃アンモニア水(15 mL, 290ミリモル)のアリコートをさらに加えた後、混合物を60℃で3.75時間撹拌した。その溶液を真空下45℃で蒸発させた後、エタノール (40mL)を用いて共沸乾燥して、灰白色の固体残留物を得た。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル50g、ジクロロメタン中10%メタノールを用いて溶離)によって精製して、真空中50℃で乾燥後、標題化合物 (0.35g, 4.5ミリモル, 37.8%)を白色固体として得た(純度99.5%)。
1H NMR[(CD3)2SO]δ7.98 (br s, 1H, NH), 7.29 (br s, 1H, NH), 7.26 (d,J= 9.0 Hz, 1H), 7.08 (br s, 1H, NH), 7.03 (br s, 1H, NH), 6.64 (d, J= 9.0 Hz, 1H), 4.02 (t, J= 5.5 Hz, 2H), 3.12 (s, 2H), 2.90 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 2.52 (m, 2H), 2.27 (br s, 1H, NH), 1.72-1.83 (m, 2H), 1.55-1.60 (m, 3H), 1.44-1.48 (m, 2H), 1.21 (m, 1H);
13C NMR (CDC13)δ174.12, 155.56, 151.35, 134.58, 129.38, 116.32, 110.78, 107.93,
69.03, 58.14, 52.69, 49.01, 36.18, 25.45, 20.59 ;
MS (LC-MS) m/z 369.2(M37Cl+H)+, 367.2(M35Cl+H)+.
【0076】
実施例2
8'−クロロ−5'−([メチルスルフィニル]メトキシ)−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
式(I):R1=Cl、R2=CH2−SO−CH3、m=2
メタノール (20mL)および水 (5mL)中の中間体a(0.3g, 0.92ミリモル)の溶液に、オキソン(0.368g, 0.6ミリモル)およびNaHCO3 (0.302mg, 3.59ミリモル)を0℃で加えた。その混合物を1時間0℃で、そして1時間室温で撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタンおよび水中に取った。その有機層を分配させた後、水層をジクロロメタンで2回抽出した。合一した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、圧力真空下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン中1%〜2%メタノールを用いたシリカゲル(l0g)上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た(0.13g, 41%)。
純度= 98.8%
1H NMR[(CD3)2SO]δ8.08 (br s, 1H, NH), 7.31 (d, J= 9.0 Hz, 1H, CH), 7.06 (br s,
1H, NH), 6.82 (d, J=9.0 Hz, 1H, CH), 5.29 (d, J=10.35 Hz, 1H, CH2), 5.07 (d, J= 10.35 Hz, 1H, CH2), 2.65 (s, 3H, CH3), 2.42-2.54 (m, 2H), 1.72-1.87 (m, 2H),
1.56-1.67 (m, 3H), 1.40-1.54 (m, 2H), 1.20-1.32 (m, 1H)
【0077】
実施例3
5'−(2−{[2−(アセチルアミノ)エチル]アミノ}エトキシ)−8'−クロロ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
式(I) : R1=Cl、R2=CH2−CH2−NH−CH2−CH2−NH−CO−CH3、m=2
エタノール (3mL)中の中間体b(0.276ミリモル)の溶液に、トリエチルアミン(0.15mL,
1.08ミリモル)およびN−アセチルエチレンジアミン (0.033g, 0.323ミリモル)を加えた。その混合物を封管中70℃で2日間撹拌した。エタノールを蒸発除去した後、残留物を酢酸エチルおよび塩酸水溶液の間で分配した。水層を酢酸エチルで洗浄し、水酸化ナトリウムの溶液で塩基性化した後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した後、減圧下で濃縮した。その粗製化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル5g、ジクロロメタン中2%〜5%メタノール(1%アンモニアを含む)を用いて溶離)によって精製した。その化合物をジエチルエーテルで洗浄し、濾過した後、真空下で乾燥して、標題化合物を得た (8mg, 2工程で9%)。
純度 = 98.95%
1H NMR [(CD3)2SO]δ7.92 (br s, 1H, NH), 7.79 (br s, 1H, NH), 7.24 (d, J= 9.2 Hz, 1H, CH), 7.00 (br s, 1H, NH), 6.63 (d, J= 8.8 Hz, 1H, CH), 4.01 (t, J= 5.5 Hz, 2H, CH2), 3.10 (q, J= 6.0 Hz, 2H, CH2), 2.92 (t, J= 4.4 Hz, 2H, CH2), 2.60 (m, 2H, CH2), 1.75 (s, 3H, CH3), 1.71-1.83 (m, 3H), 1.58-1.67 (m, 3H), 1.40-1.58
(m, 3H), 1.18-1.15 (m, 1H).
【0078】
実施例4
8'−フルオロ−5'−[3−(メチルスルフィニル)プロポキシ]−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
式(I):R1=F、R2=CH2−CH2−CH2−SO−CH3、m=2
メタノール (10mL)および水 (2.5mL)中の中間体e(0.1g, 0.29ミリモル)の溶液に、オキソン(0.118g, 0.192ミリモル)およびNaHCO3 (0.097g, 1.152ミリモル)を0℃で加え
た。その混合物を3時間撹拌した後、室温に2時間で加温した。メタノールを蒸発させた後、残留物をジクロロメタンおよび水の間で分配した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した後、減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー (シリカゲル5g、ジクロロメタン中1%〜2%メタノール(1%アンモニ
アを含む)を用いて溶離)によって精製して、標題化合物を得た(0.025g, 24%)。
純度 = 95.19%
1H NMR[(CD3)2SO]δ8.86 (br s, 1H, NH), 7.03 (dd, J= 8,8 Hz, 1H, CH), 6.82 (br s, 1H, NH), 6.52 (dd, J= 8,4Hz, 1H, CH), 4.07 (t, J= 6 Hz, 2H, CH2), 2.88-2.97(m, 1H, CH2), 2.77-2.86(m, 1H, CH2), 2.56 (s, 3H, CH3), 2.40-2.51(m, 2H), 2.13(m, 2H), 1.72-1.86(m, 2H), 1.56-1.66(m, 3H), 1.42-1.52(m, 2H), 1.12-1.25(m, 1H).
【0079】
実施例5
8'−フルオロ−5'−([メチルスルフィニル]メトキシ)−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
式(I) : R1=F、R2=CH2−SO−CH3、m=2
メタノール (25 mL)および水 (7mL)中の中間体e (0.5g, 1.6ミリモル)の溶液に、オキソン (0.644g,1ミリモル)およびNaHCO3(0.528g, 6.28ミリモル)を0℃で加えた後、その混合物を1.25 時間撹拌した。混合物を室温に3.5 時間で加温した。メタノールを蒸発させた後、残留物をジクロロメタンおよび水の間で分配した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した後、減圧下で濃縮した。その粗製物質を、1回目のカラムクロマトグラフィー (シリカゲル10g、ジクロロメタン中1%メタノール(1%アンモニアを含む)を用いて溶離)によって精製し、続いて2回目のカラムクロマトグラフィー (シリカゲル10g、ジクロロメタン中1%〜5%メタノールを用いて溶離)によって精製して標題化合物を得た(0.090g,17%)。
純度 =100%
1H NMR [(CD3)2SO]δ8.98 (br s, 1H, NH), 7.08 (dd,J= 9.6, 9.6 Hz, 1H, CH), 6.86 (br s, 1H, NH), 6.72 (dd, J= 9.1, 4.8 Hz, 1H, CH), 5.26 (d, J= 10.1 Hz, 1H, CH2), 5.03 (d, J= 10.7 Hz, 1H, CH2), 2.64 (s, 3H, CH3), 2.40-2.48(m, 2H), 1.72-1.86(m, 2H), 1.54-1.66(m, 3H), 1.41-1.51(m, 2H), 1.17-1.31(m, 1H)
【0080】
実施例6
8'−フルオロ−5'−{[1−(1H−ピラゾール−3−イルメチル)アゼチジン−3−イル]オキシ}1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
式 (I):R1=F、R2=アゼチジン−CH2−3−ピラゾール、m=2
1,2−ジクロロエタン(8mL)、トリエチルアミン (0.364mL, 2.62ミリモル)および氷酢酸 (0.15mL, 2.62ミリモル)中の中間体h (0.4g, 1.31ミリモル) の懸濁液に、ピラゾール−3−カルボキシアルデヒド (0.378g, 3.93ミリモル)を0℃で加えた。生成した混合物を5分間撹拌し、次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.378g, 5.24ミリモル)を加える前に0℃に冷却した。混合物を室温で1日間撹拌した後、NaHCO3の飽和溶液でpH=7〜8に塩基性化した。沈殿物を濾過し、水で洗浄した後、ジクロロメタン/メタノール(50/50)で結晶化して標題化合物を得た(0.12g, 24%)。
純度=97.7%
1H NMR[(CD3)2SO]δ12.56 (br s, 1H, NH), 8.87 (br s, 1H, NH), 7.62 (br s, 1H, NH), 6.96 (dd, J= 9.6, 9.6 Hz, 1H, CH), 6.83 (br s, 1H, NH), 6.24 (dd, J= 4,4 Hz, 1H, CH), 6.12 (d, J = 2.2 Hz, 1H, CH), 4.76(m, 1H, CH), 3.69 (t, J= 6.6 Hz, 2H, CH2), 3.60 (s, 2H, CH2), 3.04 (t, J= 6.6 Hz, 2H, CH2), 2.36-2.48 (m, 2H), 1.69-1.86(m, 2H), 1.59-1.68(m, 1H), 1.51-1.59(m, 2H), 1.42-1.51 (m, 2H), 1.05-1.22(m, 1H)
【0081】
生物学的結果
サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼを阻害する本発明の化合物の能力を、それらのIC50(酵素活性を50%に阻害するのに必要な濃度)を測定することによって評価した。
PDE1C、PDE3A、PDE4B2、PDE7A1、PDE7BおよびPDE11Aをクローン化し、そしてバキュロ
ウイルス発現システムを用いて昆虫細胞Sf21において発現させて、細胞培養上清を酵素源として直接使用した。
次いで、様々な種類のPDEに関する酵素活性の測定を、W. J. Thompsonら, 1979, Advances in Cyclic Nucleotide Research, 第10巻: 69-92, G. Brookerら編, Raven Press, NY を改変した手法に従って行なった。
使用した基質は、PDE1およびPDE11に対してはトリチウム標識cGMP (16 Ci/ミリモル)、そしてPDE3、PDE4およびPDE7に対してはトリチウム標識cAMP (35 Ci/ミリモル)であった。基質濃度はPDE1、PDE11に対しては28nM、そしてPDE3、PDE4およびPDE7に対しては13nMであった。
SPAケイ酸イットリウムビーズ(アマシャム)を加えて、酵素反応を30分後に停止させた。
実施例1〜6に関してIC50(μM)を決定し、そしてそれらは1μM未満であることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
mは、1、2または3であり、そして、
R1は、CH3、Cl、BrおよびFから選ばれ、そして、
R2は、以下から選ばれ、
Q1−Q2−Q3−Q4、(式中、
Q1は、一重結合または直鎖もしくは分枝鎖の(C1−C6)アルキレン基であり;
Q2は、OまたはNから選ばれる1つまたは2つの複素原子を含む、飽和の4〜6員の複素環であり;
Q3は、直鎖または分枝鎖の(C1−C6)アルキレン基であり;
Q4は、O、S、S(=O)、SO2およびNから選ばれる1〜4の複素原子を含む、4〜8員の芳香族または非芳香族の複素環であって、該複素環はOR、NRR'、CNおよび(C1−C6)アルキル(式中、RおよびR'は、同一または異なるものであって、そしてHおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)から選ばれる1つまたはいくつかの基で場合により置換され、
Q1に結合するQ2の原子は炭素原子であり、そして、
Q3に結合するQ4の原子は炭素原子である)
(C1−C6)アルキル、
該アルキル基は、OR4、COOR4、NR4R5、NRC(=O)R4、C(=O)NR4R5およびSO2NR4R5(式中、
Rは、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
R4は、(C1−C6)アルキルであって、F、CN、S(=O)R6、SO3H、SO2R6、SR7、C(=O)−NH−SO2−CH3、C(=O)R7、NR'C(=O)R7、NR'SO2R6、C(=O)NR7R8、O−C(=O)NR7R8およびSO2NR7R8(ここで、R'はHまたは(C1−C6)アルキルであり、R6は(C1−C6)アルキルであって1つまたは2つの基OR''(該R''はHおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)で場合により置換され、そしてR7およびR8は、同一または異なるものであって、そしてHおよびR6から選ばれる)から選ばれる1つまたはいくつかの、好ましくは1〜3の基で置換され;
R5は、R4、Hおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)
から選ばれる1〜3の、好ましくは1つの基で置換されるか;または、
該アルキル基は、
1)OC(=O)R4、SR4、S(=O)R3、C(=NR9)R4、C(=NR9)−NR4R5、NR−C(=NR9)−NR4R5、NRCOOR4、NR−C(=O)−NR4R5、NR−SO2−NR4R5、NR−C(=NR9)−R4およびNR−SO2−R3から選ばれる、1〜3の、好ましくは1つの基で置換され、そして、
2)OR4、COOR4、C(=O)−R4、NR4R5、NRC(=O)R4、C(=O)NR4R5およびSO2NR4R5から選ばれる1つまたは2つの基で場合により置換され;
ここで、
Rは、Hおよび(C1−C6)アルキルから選ばれ;
R9は、H、CN、OH、OCH3、SO2CH3、SO2NH2および(C1−C6)アルキルから選ばれ、そして、
R3は、(C1−C6)アルキルであって、非置換であるか、またはF、CN、S(=O)R6、SO3H、SO2R6、C(=O)−NH−SO2−CH3、OR7、SR7、COOR7、C(=O)R7、O−C(=O)NR7R8、NR7R8、NR'C(=O)R7、NR'SO2R6、C(=O)NR7R8およびSO2NR7R8(式中、R'はHまたは(C1−C6)アルキルであり、R6は(C1−C6)アルキルであって1つまたは2つの基OR''(該R''はHおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)で場合により置換され、そしてR7およびR8は、同一または異なるものであって、そしてHおよびR6から選ばれる)から選ばれる、1つまたはいくつかの、好ましくは1〜3の基で置換され;
R4およびR5は、同一または異なるものであって、そしてHおよびR3から選ばれる〕の化合物、またはそれらのラセミ体、それらの異性体およびそれらの薬学的に許容し得る誘導体。
【請求項2】
R2が(C1−C6)アルキルであって、該アルキル基が、OR4、COOR4、NR4R5、NRC(=O)R4、C(=O)NR4R5およびSO2NR4R5〔式中、
Rは、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
R4は、(C1−C6)アルキルであって、S(=O)R6、SO2R6、NR'C(=O)R7、NR'SO2R6、C(=O)NR7R8、O−C(=O)NR7R8およびSO2NR7R8(ここで、R6は(C1−C6)アルキルであり、そしてR'、R7およびR8は、同一または異なるものであって、そしてHおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)から選ばれる1〜3の基で置換され;
R5は、R4、Hおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる〕
から選ばれる1つの基で置換される、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
R2が(C1−C4)アルキルであって、該アルキル基が、1つの基NR4R5またはC(=O)NR4R5〔式中、
R4は、(C1−C6)アルキルであって、S(=O)CH3、NHC(=O)CH3およびC(=O)NR7R8(式中、R7およびR8は、同一または異なるものであって、そしてHおよびメチルから選ばれる)から選ばれる1つの基で置換され;
R5は、Hおよびメチルから選ばれる〕
で置換される、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
R2が(C1−C6)アルキルであって、
該アルキル基が
1)OC(=O)R4、SR4、S(=O)R3、NRCOOR4、NR−C(=O)−NR4R5、NR−SO2−NR4R5およびNR−SO2−R3から選ばれる、1〜3の、好ましくは1つの基で置換され、そして、
2)OHまたはOCH3で場合により置換され;
ここで、
Rは、HおよびCH3から選ばれ;
R3は、(C1−C6)アルキルであって、F、CN、S(=O)R6、SO3H、SO2R6、C(=O)−NH−SO2−CH3、OR7、SR7、COOR7、C(=O)R7、O−C(=O)NR7R8、NR7R8、NR'C(=O)R7、NR'SO2R6、C(=O)NR7R8およびSO2NR7R8(式中、R6は(C1−C6)アルキルであって、そしてR'、R7およびR8は、同一または異なるものであって、そしてHおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)から選ばれる、1〜3の基で置換されるか、または置換されないものであり;
R4およびR5は、同一または異なるものであって、そしてHおよびR3から選ばれる、
請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
R2が(C1−C6)アルキルであって、S(=O)R3〔式中、R3は、(C1−C6)アルキルであって、S(=O)R6、SO2R6、NR7R8、OR7、NR'C(=O)R7、NR'SO2R7、C(=O)NR7R8およびO−C(=O)NR7R8(ここで、R6は(C1−C6)アルキルであって、そしてR'、R7およびR8は、同一または異
なるものであって、そしてHおよび(C1−C6)アルキルから選ばれる)から選ばれる、1〜3の基で場合により置換される〕で置換される、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
R2が(C1−C6)アルキルであって、S(=O)R3(式中、R3は(C1−C6)アルキル、好ましくはメチルである)で置換される、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
R2がQ1−Q2−Q3−Q4
(式中、
Q1は、一重結合または直鎖もしくは分枝鎖の(C1−C6)アルキレン基であり;
Q2は、1つの窒素原子を含む飽和の4〜6員の複素環であり;
Q3は、直鎖の(C1−C4)アルキレン基であり;
Q4は、1〜4の窒素原子を含む、5または6員の芳香族複素環であって、該複素環は1つのメチルで場合により置換され、
Q1に結合するQ2の原子は炭素原子であり、そして、
Q3に結合するQ4の原子は炭素原子である)
である、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
R2がQ1−Q2−Q3−Q4
(式中、
Q1は、一重結合であり;
Q2は、1つの窒素原子を含む飽和の4〜6員の複素環、好ましくはアゼチジンであり;
Q3は、−CH2−であり;
Q4は、2つの窒素原子を含む5員の芳香族複素環であって、該複素環は1つのメチルで場合により置換され、
Q1に結合するQ2の原子は炭素原子であり、そして、
Q3に結合するQ4の原子は炭素原子である)
である、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
R1がClおよびFから選ばれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
mが2である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
5'−(2−[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]エトキシ)−8'−クロロ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン;
8'−クロロ−5'−([メチルスルフィニル]メトキシ)−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン;
5'−(2−{[2−(アセチルアミノ)エチル]アミノ}エトキシ)−8'−クロロ−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン;
8'−フルオロ−5'−[3−(メチルスルフィニル)プロポキシ]−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン;
8'−フルオロ−5'−([メチルスルフィニル]メトキシ)−1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン、および、
8'−フルオロ−5'−{[1−(1H−ピラゾール−3−イルメチル)アゼチジン−3−イル]オキシ}1'H−スピロ[シクロヘキサン−1,4'−キナゾリン]−2'(3'H)−オン
から選ばれる化合物。
【請求項12】
医薬品としての、請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
PDE7阻害剤による治療が適切である疾患の予防または治療用医薬品の製造のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
疾患がT細胞関連疾患、自己免疫疾患、変形性関節症、関節リウマチ、多発性硬化症、骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、癌、例えば白血病、後天性免疫不全症候群(A
IDS)、アレルギー、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎、皮膚疾患、例えば乾癬およびアトピー性皮膚炎、糸球体腎炎、結膜炎、自己免疫性糖尿病、移植片拒絶、癲癇、筋萎縮または全身性エリテマトーデスから選ばれる、請求項13記載の使用。
【請求項15】
疾患が喘息、アレルギーおよびアトピー性皮膚炎から選ばれる、請求項13記載の使用。
【請求項16】
疾患が骨粗鬆症である、請求項13記載の使用。
【請求項17】
疾患が癌である、請求項13記載の使用。
【請求項18】
PDE7阻害剤による治療が適切である疾患の治療が必要な哺乳類に、請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の有効量を投与することを含む、該疾患の治療方法。
【請求項19】
薬学的に許容し得る担体、賦形剤、希釈剤またはデリバリーシステムと共に、請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を含有する医薬組成物。

【公表番号】特表2006−501277(P2006−501277A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537412(P2004−537412)
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【国際出願番号】PCT/IB2003/003965
【国際公開番号】WO2004/026818
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(391011308)ワーナー−ランバート・カンパニー、リミテッド、ライアビリティ、カンパニー (37)
【氏名又は名称原語表記】WARNER−LAMBERT COMPANYLLC
【Fターム(参考)】