説明

新規なメラノコルチン受容体テンプレート、ペプチドおよびそれらの使用方法

本発明は、アンタゴニストおよびアゴニストの内因性リガンド残基の組合せを含有する新規なキメラなペプチドおよびテンプレートに関する。具体的には、本発明は、メラノコルチンアゴニストペプチドおよびagouti関連タンパク質(AGRP)に基づく新規なキメラなペプチドおよびそのテンプレートに関する。本発明は、メラノコルチン受容体において特異的な生物活性を有する多機能なキメラなペプチド、ならびに、様々な疾患および状態を治療するための薬物としてのそれらの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府援助
本発明は、補助金番号DK57080および同DK64250での国立衛生研究所からの補助金による政府援助によってなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
発明の分野
本発明は、アンタゴニストおよびアゴニストの内因性リガンド残基の組合せを含有する新規なキメラなペプチドおよびテンプレートに関する。具体的には、本発明は、メラノコルチンアゴニストペプチドおよびagouti関連タンパク質(AGRP)アンタゴニストペプチドに基づく新規なキメラなペプチドおよびそのテンプレート、ならびに、様々な疾患および状態を治療するための薬物としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
今日、米国成人の約2/3が、疾病管理センター(the Center for Disease Control and Prevention)によれば、太りすぎまたは肥満である。肥満は、数多くの潜在的には命を脅かす疾患(例えば、アテローム性動脈硬化、高血圧、糖尿病、卒中、肺塞栓症および癌など)に対する明らかにされた危険因子であるだけでなく、身体の健康状態にとって有害である。その上、肥満は個体の精神的健康状態に大きな影響を与え得るし、また、人が自分以外の者と社会的に交流することができることに影響を及ぼし得る。
【0004】
この問題の壊滅的な医学的結果を伴うことが、米国における医療システムに負わされた厳しい財政的負担である。医療費からの肥満およびその関連した病気の推定される経済的コスト、ならびに所得喪失は、年間680億ドルを超えることが報告されている。個人および社会に対する肥満の影響のために、多くの努力が、肥満を治療するための方法を見つけるために費やされているが、肥満の長期にわたる治療および/または予防はほとんど成功していない。
【0005】
プロオピオメラノコルチン(POMC)に由来するペプチドが食物摂取に影響を及ぼすことが知られている。いくつかの証拠は、メラノコルチン受容体(MCR)ファミリーのGタンパク質共役受容体(GPCR)(そのいくつかが脳で発現される)が、食物摂取および代謝の抑制に関与するPOMC由来ペプチドの標的であるという考えを裏付けている。
【0006】
5つの異なるMCRがこれまでに同定されており、これらは異なる組織で発現している。MC1Rは、チロシナーゼの抑制によるフェオメラニンからユーメラニンへの変換を抑制することによって毛色に影響を及ぼすExtension遺伝子座における機能変異の優性的獲得によって最初に特徴づけられた。MC1Rが主にメラノサイトで発現している。MC2Rが副腎で発現しており、ACTH受容体を表している。MC3Rが、脳、腸および胎盤で発現しており、食物摂取および熱発生の抑制に関与していると考えられる。MC4Rが脳で独自に発現しており、研究室での観測結果は、これもまた食物摂取の抑制に関与することを示唆している(Kask A. et al., 「Selective antagonist for the melanocortin-4 receptor (HS014) increases food intake in free-feeding rats」, Biochem. Biophys. Res. Commun., 245:90-93(1998)を参照のこと)。MC5Rが、白色脂肪、胎盤および外分泌腺を含む多くの組織で発現している。MC5Rノックアウトマウスでは、皮脂腺の低下した脂質産生が明らかにされる(Chen et al., 「Exocrine gland dysfunction in MC5-R-deficient mice: evidence for coordinated regulation of exocrine gland function by melanocortin peptides」, Cell, 91:789-798(1997))。
【0007】
肥満におけるMCRの関与についての証拠には、下記が含まれる。a)MC1R、MC3RおよびMC4Rのアンタゴニストを異所的に発現するagouti(Avy)マウスは肥満であること、このことは、これら3つのMCRの作用を阻止することにより、摂食亢進および代謝障害がもたらされ得ることを示している;b)MC4Rノックアウトマウス(Huszar, D. et al., 「Targeted disruption of the melanocortin-4 receptor results in obesity in mice」, Cell, 88:131-141 (1997))はagoutiマウスの表現型を繰り返す-これらのマウスは肥満である;c)齧歯類において脳室内(ICV)に注射された環状ヘプタペプチドMT-II(MC1R、MC3R、MC4RおよびMC5Rの非選択的なアゴニスト)はいくつかの動物給餌モデル(NPY、ob/ob、agouti、絶食)において食物摂取を低下させ、一方で、ICV注射されたSHU-9119(MC3RおよびMC4Rのアンタゴニスト;MC1RおよびMC5Rのアゴニスト)はこの作用を逆転させ、摂食亢進を誘導することができる;iv)NDP-MSH誘導体(HP228)によるZucker脂肪ラットの長期の腹腔内処置は、12週間の期間にわたって、MC1R、MC3R、MC4RおよびMC5Rを活性化させ、食物摂取および体重増加を弱めることが報告されている(Corcos, I. et al., 「HP228 is a potent agonist of melanocortin receptor-4 and significantly attenuates obesity and diabetes in Zucker fatty rats」, Society for Neuroscience abstracts, 23:673 (1997))。
【0008】
肥満の抑制のために標的化され得る特異的な1つだけのMCRは未だ特定されていない。しかし、証拠からは、MC4Rのシグナル伝達が、給餌行動を媒介することにおいて重要であること(Giraudo, S.Q. et al., 「Feeding effects of hypothalamic injection of melanocortin-4 receptor ligands」, Brain Research, 80:302-306 (1998))、および、MC3Rのシグナル伝達が食物摂取を低下させ、かつ、エネルギー恒常性(肥満)の調節に関係し得ることが示されている。
【0009】
agouti関連タンパク質(AGRP)は、5つのジスルフィド架橋を含有することが推定される132アミノ酸(ヒト)のペプチドであり、中枢性の脳メラノコルチン受容体(MC3RおよびMC4R)に拮抗する(Ollmann, M.M. et al., 「Antagonism of central melanocortin receptors in vitro and in vivo by agouti-related protein」, Science, 278:135-138 (1997);および、Yang, Y.K. et al., 「Characterization of Agouti-related protein binding to melanocortin receptors」, Mol. Endo., 13:148-155 (1999))。agouti(ASP)はAGRPの相同体であり、内因性Gタンパク質共役受容体(GPCR)アンタゴニストとして最初に同定された。これらのタンパク質はともに、今日までに報告されているGPCRの唯一知られている天然に存在するアンタゴニストであり、このため、それらは独自のペプチドファミリーになっている。
【0010】
agoutiペプチドの以前の構造-活性研究では、agoutiおよびAGRPの両方で保存されている3アミノ酸モチーフArg-Phe-Pheの重要性が特定されていた(例えば、Kiefer, L. et al., 「Mutations in the carboxyl terminus of the agouti protein decrease agouti inhibition of ligand binding to the melanocortin receptors」, Biochemistry, 36:2084-90 (1997)を参照のこと)。これらの研究は、agoutiおよびAGRPの両方に見出される保存されたArg-Phe-Pheモチーフがメラノコルチン受容体におけるこれら2つの分子のアンタゴニスト特性および分子的認識特性のために重要であり得ることを示唆する。
【0011】
全ての内因性メラノコルチンアゴニストは、メラノコルチン受容体の分子的認識および刺激のために重要であることが仮定される推定的なアミノ酸配列(His)/Phe-Arg-Trpを含有する。アンタゴニストArg-Phe-Pheモチーフと、内因性メラノコルチンアゴニストの保存された残基Phe-Arg-Trpとの間における相同性をさらに推測することは、Tota, M.R. et al., 「Molecular interaction of Agouti protein and Agouti-related protein with human melanocortin receptors」, Biochemistry, 38:897-904 (1999)、および、Haskell-Luevano, C. et al., 「The agouti-related protein decapeptide (Yc[CRFFNAFC]Y) possesses agonist activity at the murine melanocortin-1 receptor」, Peptides, 21:683-689 (2000)によって裏付けられたように、アンタゴニスト残基がメラノコルチン受容体とのアゴニストPhe-Arg-Trpの相互作用を模倣し得ることを意味する。
【0012】
agoutiタンパク質のフラグメントがMC1Rアゴニストであることが報告されている(Yang, Y.K. et al., 「Functional properties of an agouti signaling protein variant and characteristics of its cognate radioligand」, Am. J. Physiol. Regul. Inter. Comp. Physiol., 281:R1877-1886 (2001))。様々なメラノコルチンアゴニストペプチド(すなわち、Ac-His-DPhe-Arg-Trp-NH2およびAc-His-Phe-Arg-Trp-NH2)がマウスのメラノコルチン受容体においてnMおよびμMの効力をそれぞれ有すること、そして、トリペプチドAc-Phe-Arg-Trp-NH2がmMC1RにおいてμMのアゴニスト活性を有することが報告されている(Haskell-Luevano, C. et al., 「Characterization of melanocortin NDP-MSH agonist peptide fragments at the mouse central and peripheral melanocortin receptors」, J. Med. Chem., 44:2247-2252 (2001))。さらなる研究では、Ac-His-Phe-Arg-Trp-NH2が、古典的なカエル皮膚バイオアッセイ法およびトカゲ皮膚バイオアッセイ法において生理学的応答(μM)を生じさせるために要求されるメラノコルチンアゴニストの最小フラグメントであることが示されている(Hruby, V.J., et al., 「alpha-Melanotropin: the minimal active sequence in the frog skin bioassay」, J. Med. Chem., 30:2126-2130 (1987);および、Castrucci, A.M.L., et al., 「Alpha-melanotropin: the minimal active sequence in the lizard skin bioassay」, Gen. Comp. Endocrinol., 73:157-163 (1989))。
【0013】
肥満の生物学、およびMCRとのその関係をよりよく理解することが必要であることを考慮して、肥満を治療または防止するための新規な薬剤、方法および組成物を特定し、開発する必要がある。
【発明の開示】
【0014】
発明の簡単な概要
本発明は、メラノコルチンアゴニストペプチドおよびagouti関連タンパク質(AGRP)に基づく新規なキメラなペプチド、ならびに、そのようなペプチドを調製するための方法を提供する。本発明のキメラなペプチドは多機能性であり、メラノコルチン受容体において特異的な生物活性を示す。
【0015】
本発明の1つの態様において、メラノコルチンアゴニストペプチドにおけるアミノ酸His/DPhe-Arg-Trpが、メラノコルチン受容体において活性である強力な多機能なキメラなペプチドを提供するためにAGRPのArg-Phe-Phe残基によって置換される。別の態様において、AGRPのArg-Phe-Phe残基がメラノコルチンアゴニストペプチドのHis/DPhe-Arg-Trpアミノ酸により置換されるキメラなペプチドが提供される。関連した態様において、本明細書において記載されるキメラなペプチドのAGRPのArg-Phe-Pheドメインは、このドメイン内で置換された天然および/または非天然のアミノ酸を含むことができる。好ましい態様において、システインアミノ酸間の内因性ジスルフィド架橋を、ラクタム架橋の形成をもたらすAGRPのアスパラギンおよびジアミノプロピオン酸の側鎖によって置換することができる。これらの態様の全てが、メラノコルチン受容体の非常に強力なアゴニストおよび/またはアンタゴニストである多機能なキメラなペプチドをもたらす。
【0016】
配列の簡単な概要
本発明による合成ペプチドは、メラノコルチンに基づくアミノ酸残基を含有するAGRP(109-118)テンプレート、もしくは、hAGRP(111-113)のArg-Phe-Pheアミノ酸を含有するメラノコルチンアゴニストテンプレートに基づくか、または、ジスルフィド架橋とは対照的にラクタム架橋を含有する上記で議論されたテンプレートもしくはペプチドのいずれかに基づく。実験および比較のために、SEQ ID NO:1(Tyr-c[Cys-Arg-Phe-DPhe-Asn-Ala-Phe-Cys]-Tyr)、SEQ ID NO:2(Tyr-c[Asp-Ala-Ala-Ala-Asn-Ala-Phe-Dpr]-Tyr)、SEQ ID NO:12(Ac-Ser-Tyr-Ser-Nle-Glu-His-Ala-Ala-Ala-Gly-Lys-Pro-Val)およびSEQ ID NO:19(Ac-Nle-c[Asp-His-Ala-Ala-Ala-Lys])のペプチドが合成された。本発明のペプチドには、下記が含まれる(アミノ末端からカルボキシ末端に):



【0017】
発明の詳細な開示
本発明は、メラノコルチン受容体において生物学的に活性である新規なキメラな多機能ペプチドに関する。本発明のペプチドは、メラノコルチン受容体に対する結合に関与するAGRPおよびメラノコルチンアゴニストドメインの同定に基づく。従って、本発明は、AGRPまたはメラノコルチンアゴニストのいずれかの結合ドメインを重複化または模倣する分子構造を有するペプチドを提供する。
【0018】
従って、本発明のキメラなペプチドはAGRPテンプレートまたはMCRアゴニストテンプレートのいずれかを有する。好ましくは、AGRPペプチドテンプレートを含有するペプチドは、対応する類似AGRPテンプレート配列の代わりに使用されている、メラノコルチンアゴニストに基づく生物活性な決定基配列を有する。または、MCRアゴニストテンプレートを含有するペプチドは、対応するメラノコルチンアゴニストテンプレート配列の代わりに使用されている、AGRPに基づく生物活性な配列を有する。関連した態様において、AGRPに基づく生物活性な配列は天然および/または非天然のアミノ酸により置換される。好ましい態様において、本発明のペプチドは、ジスルフィド架橋を置換するラクタム架橋を有することができる。
【0019】
定義
「患者」という用語により、本発明による組成物を用いた治療が施される動物(哺乳動物を含む)が記述される。開示された治療方法から恩典を受ける哺乳動物種には、類人猿、チンパンジー、オランウータン、ヒト、サル;飼育動物(例えば、ペット)、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ウサギ、ラット、マウスおよびフェレットなど;および飼育されている家畜、例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書において使用される「ペプチド」という用語は、長さが3個のアミノ酸から約700個のアミノ酸までのアミノ酸配列として定義される。
【0021】
「AGRP/MCRアゴニストペプチド」という用語は、SEQ ID NO:4〜7およびSEQ ID NO:9〜10のいずれかのアミノ酸配列を有するペプチド、ならびに、本明細書において記載される全ての関連したペプチドを示す。AGRP/MCRアゴニストペプチドは、AGRP/MCRアゴニストペプチドが調製される様式に依存して、アミノ末端のメチオニンを有してもよく、または有しなくてもよい。
【0022】
「NDP-MSH/AGRPペプチド」という用語は、SEQ ID NO:12〜18のいずれかのアミノ酸配列を有するペプチド、ならびに、本明細書において記載される全ての関連したペプチドを示す。NDP-MSH/AGRPペプチドは、NDP-MSH/AGRPペプチドが調製される様式に依存して、アミノ末端のメチオニンを有してもよく、または有しなくてもよい。
【0023】
「MTII/AGRPペプチド」という用語は、SEQ ID NO:20〜23のいずれかのアミノ酸配列を有するペプチド、ならびに、本明細書において記載される全ての関連したペプチドを示す。MTII/AGRPペプチドは、MTII/AGRPペプチドが調製される様式に依存して、アミノ末端のメチオニンを有してもよく、または有しなくてもよい。
【0024】
関連したペプチドには、対立遺伝子変化体、フラグメント、誘導体、置換変化体、欠失変化体および挿入変化体、融合ポリペプチドおよびオルソログが含まれ、それぞれのそのような関連したペプチドの各アミノ酸は、CahnらのRSシステム(Pure Applied Chemistry, 45:11-30 (1974)、およびそれにおける引用参考文献)で定義されるように、「S」および「R」の立体化学表示にそれぞれ対応する「D」(天然型)配置または「L」(非天然型)配置の天然型または非天然型のいずれかであり得る。そのような関連したペプチドは成熟ペプチド(すなわち、シグナルペプチドを有しないペプチド)であり得る。
【0025】
本明細書において使用される「AGRP/MCRアゴニストペプチド変化体」という用語、「NDP-MSH/AGRPペプチド変化体」という用語または「MTII/AGRPペプチド変化体」という用語は、SEQ ID NO:4〜7、SEQ ID NO:9〜10、SEQ ID NO:12〜18およびSEQ ID NO:20〜23に示されるAGRP/MCRアゴニストペプチド、NDP-MSH/AGRPペプチドまたはMTII/AGRPペプチドのアミノ酸配列と比較して、そのアミノ酸配列が一つまたは複数のアミノ酸配列の置換、欠失および/または付加を含有するAGRP/MCRアゴニストペプチド、NDP-MSH/AGRPペプチドまたはMTII/AGRPペプチドのいずれかをそれぞれ示す。天然型L配置のアミノ酸を含有するそのようなペプチド変化体は、SEQ ID NO:4〜7、SEQ ID NO:9〜10、SEQ ID NO:12〜18およびSEQ ID NO:20〜23に示されるようなペプチドをコードする配列からそれに応じて変化する配列を有する対応する核酸分子変化体から調製することができる。または、D配置(非天然形態)のアミノ酸を含有するそのような変化体は、本明細書において記載される標準的な方法を使用して合成的に調製することができる(Biochem. J., 219:345-373 (1984)もまた参照のこと)。
【0026】
本明細書において使用される「AGRP/MCRアゴニストペプチド誘導体」という用語、「NDP-MSH/AGRPペプチド誘導体」という用語または「MTII/AGRPペプチド誘導体」という用語は、例えば、一つまたは複数の水溶性ポリマー、N結合型もしくはO結合型の炭水化物、糖、リン酸および/または他のそのような分子の付加によって化学的に修飾されているペプチド、その変化体またはフラグメントを示す(この場合、そのような(一つまたは複数の)分子は、SEQ ID NO:4〜7、SEQ ID NO:9〜10、SEQ ID NO:12〜18およびSEQ ID NO:20〜23に示されるようなペプチドに天然では結合していない)。誘導体はさらに、SEQ ID NO:4〜7、SEQ ID NO:9〜10、SEQ ID NO:12〜18およびSEQ ID NO:20〜23に示されるようなペプチドのいずれかに天然では結合している一つまたは複数の化学基の欠失を含む。
【0027】
本明細書において使用される「AGRP/MCRアゴニスト核酸分子」という用語、「NDP-MSH/AGRP核酸分子」という用語または「MTII/AGRP核酸分子」という用語は、核酸分子を記載するために使用されるとき、SEQ ID NO:4〜7、SEQ ID NO:9〜10、SEQ ID NO:12〜18およびSEQ ID NO:20〜23に示されるようなペプチド、ならびに、その任意のフラグメント、誘導体、置換変化体、欠失変化体、挿入変化体、融合ペプチド、融合ポリペプチドおよびオルソログのいずれかをコードする核酸分子またはそのフラグメントを示す。
【0028】
本明細書において使用される「生物学的に活性な」という用語は、メラノコルチン受容体における機能的(アゴニストおよび/またはアンタゴニスト)な薬理学的応答を生じさせるペプチドを示す。
【0029】
それぞれのアミノ酸について、さらなる保存的置換はそのアミノ酸の「ホモログ」を含むが、この場合、「ホモログ」は、メチレン基(CH2)がその側鎖のβ位において側鎖に挿入されているアミノ酸である。そのようなホモログの例には、ホモフェニルアラニン、ホモアルギニン、ホモセリンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
「オルソログ」という用語は、SEQ ID NO:4〜7、SEQ ID NO:9〜10、SEQ ID NO:12〜18およびSEQ ID NO:20〜23のいずれかのペプチドが得られた生物種とは異なる生物種から得られる、AGRP/MCRアゴニストペプチド、NDP-MSH/AGRPペプチドまたはMTII/AGRPペプチドにそれぞれ対応するAGRP/MCRアゴニストペプチド、NDP-MSH/AGRPペプチドまたはMTII/AGRPペプチドのいずれかを示す。
【0031】
従って、一般に、別途指定されない限り、アミノ酸および使用される保護基を示すために使用される略語はIUPAC-IUB生化学命名法委員会の勧告に基づく(Biochemistry, 11:1726-1732 (1972))。本発明の化合物を定義するために使用される命名法は、European Journal of Biochemistry, 138:9-37 (1984)に発表されたIUPACによって指定される命名法である。本明細書において開示されるいくつかのアミノ酸に関して、それらの構造および略語が図2に示される。
【0032】
治療組成物および投与
AGRP/MCRアゴニストペプチド、NDP-MSH/AGRPペプチドまたはMTII/AGRPペプチドの治療組成物は本発明の範囲内である。そのような組成物は、治療有効量のペプチドまたはフラグメント、変化体もしくは誘導体を薬学的に許容されるキャリアとの混合で含むことができる。任意で、ペプチドは酸塩形態で配合することができる。キャリア物質は、注射用水、好ましくは、哺乳動物に対する投与のための溶液において一般的な他の物質(例えば、アルミナ、レシチン、d-α-トコフェロール、ポリエチレングリコール、界面活性剤、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミンなど)、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸およびソルビン酸カリウムなど)が補充された注射用水であり得る。
【0033】
典型的には、AGRP/MCRアゴニストペプチド、NDP-MSH/AGRPペプチドまたはMTII/AGRPペプチドの治療化合物は、精製されたペプチド、フラグメント、変化体または誘導体を、任意でその塩形態で、一つまたは複数の生理学的に許容されるキャリア、賦形剤または希釈剤と一緒に含む組成物の形態で投与される。
【0034】
本発明のペプチドの薬学的に許容される塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、および、他のそのような薬学的に許容される塩が含まれる。
【0035】
中性の緩衝化された生理的食塩水、または、血清アルブミンと混合された生理的食塩水が例示的な適切なキャリアである。好ましくは、製造物は、適切な賦形剤(例えば、スクロース)を使用して凍結乾燥物として配合される。他の標準的なキャリア、希釈剤および賦形剤を所望に応じて含めることができる。他の例示的な組成物は、pHが約7.0〜8.5であるトリス緩衝剤、または、pHが約4.0〜5.5である酢酸塩緩衝剤を含み、これらはソルビトールまたはその好適な代用物をさらに含むことができる。
【0036】
AGRP/MCRアゴニストペプチド組成物、NDP-MSH/AGRPペプチド組成物またはMTII/AGRPペプチド組成物はどれも非経口投与により投与することができる。または、そのような組成物は静脈内または皮下に投与することができる。全身投与されるとき、本発明において使用される治療組成物は、パイロジェンを含まない、非経口投与に許容される水溶液の形態であり得る。そのような薬学的に許容されるタンパク質溶液の調製は、pH、等張性、安定性などに対する十分な考慮を伴って、当技術分野の技術の範囲内である。
【0037】
本発明を実施するために有用なAGRP/MCRアゴニストペプチド組成物、NDP-MSH/AGRPペプチド組成物またはMTII/AGRPペプチド組成物のいずれかの治療配合物を、所望の純度を有する選択された組成物を、任意で生理学的に許容されるキャリア、賦形剤または安定化剤(Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, A. R. Gennaro, ed., Mack Publishing Company (1990))と混合することによって、凍結乾燥ケークまたは水溶液の形態で、貯蔵のために調製することができる。許容されるキャリア、賦形剤または安定化剤は被投与者に対して無毒であり、かつ、好ましくは、用いられる投薬量および濃度において不活性であり、これらには、緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩または他の有機酸塩など;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸など;低分子量のポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンなど;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなど;単糖、二糖および他の炭水化物(これらには、グルコース、マンノースまたはデキストリンが含まれる);キレート化剤、例えば、EDTAなど;糖アルコール、例えば、マンニトールまたはソルビトールなど;塩形成対イオン、例えば、ナトリウムなど;および/または非イオン性界面活性剤、例えば、Tween、プルロニクスまたはポリエチレングリコール(PEG)などが含まれる。
【0038】
治療的に用いられる本発明の(一つまたは複数の)ペプチド組成物の有効量は、例えば、治療目的(例えば、AGRP/MCRアゴニストペプチドが使用されている適応など)、投与経路および患者の状態に依存する。従って、最適な治療効果を得るために要求されるように、治療専門家が投薬量を決定し、また、投与経路を変更することが必要である。典型的な1日投薬量は、上記で述べられた要因に依存して、約0.01mg/kgから最大約1000mg/kgまで変化し得る。典型的には、臨床医は、組成物を、所望の効果を達成する投薬量が達せられるまで投与する。従って、組成物は、単回投薬として、あるいは、時間をおいて2回またはそれ以上の投薬(これは同じ量のペプチドを含有してもよく、または含有しなくてもよい)として、あるいは、埋め込みデバイスまたはカテーテルによる連続注入として投与することができる。
【0039】
インビボ投与のために使用される本発明のペプチド組成物は無菌でなければならない。これは、無菌ろ過メンブランによるろ過によって容易に達成される。組成物が凍結乾燥されるとき、これらの方法を使用する滅菌化を凍結乾燥および再構成の前または後のいずれかで行うことができる。非経口投与用の組成物は通常、凍結乾燥形態または溶液で保存される。
【0040】
治療組成物は一般に、無菌操作口を有する容器(例えば、静脈内用溶液バッグ)、または、皮下注射針によって突き通すことができる栓を有するバイアルに入れられる。
【0041】
組成物の投与経路は、知られている様々な方法に従って、すなわち、経口的であるか、あるいは、静脈内経路、腹腔内経路、脳内(実質内)経路、脳室内経路、筋肉内経路、眼内経路、動脈内経路または病巣内経路による注射または注入であるか、鼻腔内であるか、あるいは、カテーテルの使用を任意で伴い得る持続放出システムまたは埋め込みデバイスによってである。所望される場合、組成物は、注入、ボーラス注射によって、または埋め込みデバイスによって連続的に投与することができる。
【0042】
または、あるいは加えて、組成物は、本発明のペプチドを吸収しているメンブラン、スポンジまたは他の適切な材料を使用して、選択された領域への埋め込みによって局所的に投与することができる。
【0043】
埋め込みデバイスが使用される場合、デバイスは任意の好適な組織または器官に埋め込むことができ、AGRP/MCRアゴニストペプチド、NDP-MSH/AGRPペプチドまたはMTII/AGRPペプチドの送達を、ボーラスによって、または連続投与によって、または、カテーテル使用の連続注入によってデバイスを介して直接的に行うことができる。
【0044】
本発明によれば、AGRP/MCRアゴニストペプチド、NDP-MSH/AGRPペプチドまたはMTII/AGRPペプチドを持続放出配合物または持続放出調製物で投与することができる。持続放出調製物の好適な例には、形状化品の形態での半透過性ポリマーマトリックス(すなわち、フィルム)、またはマイクロカプセルが含まれる。持続放出マトリックスには、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、欧州特許第58,481号)、L-グルタミン酸およびγ-L-グルタミン酸エチルの共重合体(Sidman et al., Biopolymers, 22:547-556 (1983))、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)(Langer et al., J. Biomed. Mater. Res., 15:167-277 (1981)、および、Langer, Chem. Tech., 12:98-105 (1982))、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.、前記)、またはポリ-D(-)-3-ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133,988号)が含まれる。持続放出組成物にはまた、当分野で知られているいくつかの方法のいずれか(すなわち、Eppstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:3688-3692 (1985);欧州特許第36,676号;欧州特許第88,046号;欧州特許第143,949号)によって調製され得るリポソームが含まれ得る。
【0045】
AGRP/MCRアゴニストペプチド、NDP-MSH/AGRPペプチドまたはMTII/AGRPペプチド、そのフラグメント、変化体および誘導体は単独で用いることができ、または、他の薬学的組成物との組合せで用いることができる。本発明のペプチド、フラグメント、変化体および誘導体は、治療されている適応について適切であるようなサイトカイン、ホルモン、増殖因子、抗生物質、抗炎症剤および/または化学療法剤との組合せで使用することができる。
【0046】
細胞をメンブランでカプセル化するために使用される様々な方法を当業者は熟知しており、カプセル化細胞の調製および患者におけるその埋め込みを、過度な実験を伴うことなく達成することができる。すなわち、米国特許第4,892,538号、同第5,011,472号および同第5,106,627号を参照のこと。生細胞をカプセル化するためのシステムがWO 91/10425(Aebischer et al.)に記載される。様々な他の持続送達手段または制御送達手段(例えば、リポソームキャリア、生体侵食性の粒子またはビーズなど)を組み立てるための技術もまた当業者には知られており、そのような技術が、例えば、米国特許第5,653,975号(Baetge et al., CytoTherapeutics, Inc.)に記載される。細胞は、カプセル化を伴って、またはカプセル化を伴うことなく、患者の適する身体組織または身体器官に埋め込むことができる。
【0047】
上記で議論されたように、単離された細胞集団(例えば、脳細胞および/またはニューロンなど)を本発明の一つまたは複数のペプチド、変化体、誘導体および/またはフラグメントで治療することが望ましい場合がある。これは、AGRP/ASPペプチド、変化体、誘導体またはフラグメントが、細胞膜に対して透過性である形態にある場合に、単離された細胞をAGRP/ASPペプチド、変化体、誘導体またはフラグメントに直接暴露することによって達成することができる。
【0048】
下記の実施例は、例示目的のためだけに意図されており、いかなる点においても本発明の範囲を限定するとして解釈してはならない。
【0049】
略語
本明細書において使用される「Boc」という略語はtert-ブチルオキシカルボニルを示す。
【0050】
本明細書において使用される「DCM」という略語はジクロロメタンを示す。
【0051】
本明細書において使用される「Dde」という略語は(1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル)を示す。
【0052】
本明細書において使用される「DIPEA」という略語はジイソプロピルエチルアミンを示す。
【0053】
本明細書において使用される「DMF」という略語はジメチルホルムアミドを示す。
【0054】
本明細書において使用される「DMSO」という略語はジメチルスルホキシドを示す。
【0055】
本明細書において使用される「EtOAc」という略語はMeOH/酢酸エチルを示す。
【0056】
本明細書において使用される「Fmoc」という略語は9-フルオレニルメチルオキシカルボニルを示す。
【0057】
本明細書において使用される「HOBt」という略語はN-ヒドロキシベンゾトリアゾールを示す。
【0058】
本明細書において使用される「MBHA」という略語はメチルベンズヒドリルアミンを示す。
【0059】
本明細書において使用される「PyBOP」という略語はベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートを示す。
【0060】
本明細書において使用される「SPPS」という略語は固相ペプチド合成を示す。
【0061】
本明細書において使用される「tBu」という略語はtert-ブチル基を示す。
【0062】
本明細書において使用される「TFA」という略語はトリフルオロ酢酸を示す。
【0063】
本明細書において使用される「TRH」という略語は甲状腺ホルモン放出ホルモンを示す。
【0064】
下記の実施例は、本発明を実施するための手順を例示する。これらの実施例は限定として解釈してはならない。別途示されない限り、全ての百分率は重量比であり、全ての溶媒混合割合は体積比である。
【0065】
実施例1-ジスルフィド架橋ペプチドまたは環化ペプチドの合成
当業者によって理解されるように、ジスルフィド架橋ペプチドまたは環化ペプチドは、Carpino, L. A. and Han, G. Y., 「The 9-Fluorenylmethyoxycarbonsy Amino-Protecting Group」, J. Org. Chem., 37:3404-3409 (1972);および、Chang, C. and Meienhofer, J., 「Solid-phase peptide synthesis using mild base cleavage of N alpha-fluorenylmethyloxycarbonylamino acids, exemplified by a synthesis of dihydrosomatostatin」, Int. J. Pept. Protein Res., 11:246-249 (1978)において記載されるような標準的なFmoc方法論を使用して合成することができる。標準的なFmoc方法論を自動合成機または半自動合成機(Advance ChemTech 440MOSまたはLabTech, Louisville, KY)において行うことができる。Fmoc-Ser(tBu)、Fmoc-Tyr(tBu)、Fmoc-Nle、Fmoc-Glu(OtBu)、Fmoc-His(Trt)、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-DPhe、Fmoc-Trp(Boc)、Fmoc-Gly、Fmoc-Lys(Boc)、Fmoc-Pro、Fmoc-ValおよびFmoc-Pheのアミノ酸は全て市販されている。全ての試薬はACS規格またはそれ以上であった。
【0066】
本発明のペプチドを市販のrink-amide-MBHA樹脂(0.40meq/gの置換)において組み立てた。合成を、粗いTeflonフリットを有する40ウエルのTeflon反応ブロックを使用して行った。約200mgの樹脂(0.08mmol)を各反応ブロックウエルに加えた。樹脂を、ジメチルホルムアミド(DMF)中で2時間膨潤させ、DMFにおける25%ピペリジンを5分間使用し、その後、500rpmでの20分間の25%ピペリジン中でのインキュベーションを行うことによって脱保護した。Kaiser, E. et al., 「Cold Test for Detection of Free Terminal Amino Groups in the Solid-Phase Synthesis of Peptides」, Anal. Biochem., 34:595-598 (1970)に記載されるような「Kaiser試験」を樹脂に適用して、陽性の結果を得た。陽性のKaiser試験により、樹脂におけるフリーのアミノ基が示される。
【0067】
成長途中のペプチド鎖を、下記の一般的なアミノ酸サイクルを使用してアミド樹脂に加えた:500μLのDMFを各反応ウエルに加え、「フリットを湿らし」、C末端から始まる3倍過剰のアミノ酸(DMFにおける0.5MのHOBtを含有する0.5Mアミノ酸溶液の500μL)を加え、その後、DMFにおける0.5MのDICの500μLを加え、反応ウエルの体積を、DMFを使用して3mLにする。このカップリング反応液を500rpmで1時間混合し、その後、正の窒素ガス圧によって反応ブロックを空にする。第2のカップリング反応を、500μLのDMFを各反応容器に加え、続いて、500μLのそれぞれのアミノ酸(3倍過剰)、500μLの0.5M HBTU、400μLの1M DIEAを加え、反応ウエルの体積をDMFにより3mLにし、500rpmで1時間混合することによって行う。第2のカップリングサイクルの後、反応ブロックを空にし、樹脂-Nα-保護ペプチドをDMFにより洗浄する(4.5mL、5回)。Nα-Fmoc脱保護を、DMFにおける25%ピペリジンの4mLを加え、500rpmで5分間混合し、その後、500rpmでの20分間の脱保護を行うことによって行う。反応ウエルを4.5mLのDMFにより洗浄し、その次のカップリングサイクルを上記のように行う。
【0068】
アミノ酸側鎖の脱保護および樹脂からのアミド-ペプチドの切断を、ペプチド樹脂を3mLの切断カクテル(95%のTFA、2.5%の水、2.5%のトリイソプロピルシラン)と500rpmで3時間インキュベーションすることによって行った。切断生成物を、窒素ガス加圧下、反応ブロックから、7mLの回収バイアルを含有する切断ブロックに空けた。樹脂を1.5mLの切断カクテルにより500rpmで5分間洗浄し、前の切断溶液に加えた。ペプチドを、事前に重量測定された50mLの円錐形チューブに移し、(50mLまでの)冷(4℃)無水エチルエーテルにより沈殿させた。綿毛状ペプチドを2000rpmでの3分間の遠心分離(スウィング式バケットローターを使用するSorval Super T21高速遠心分離機)によってペレット化し、エーテルをデカンテーションして除き、ペプチドを冷無水エチルエーテルで1回洗浄し、ペレット化した。粗ペプチドを48時間真空乾燥した。粗ペプチドの収率は理論収率の60%〜90%の範囲であった。粗ペプチドの7mg〜15mgのサンプルを、フォトダイオードアレイ検出器および半調製用RP-HPLC C18結合シリカカラム(Vydac 218TP1010、1.0×25cm)を伴うShimadzuクロマトグラフィーシステムを使用するRP-HPLCによって精製し、凍結乾燥した。精製ペプチドは>95%の純度(分析RP-HPLCによって測定されたとき)であり、正しい分子量を有していた。
【0069】
上記で合成されたペプチドのジスルフィド架橋環化を、知られている方法に従って、例えば、Haskell-Luevano, C. et al., 「The agouti-related protein decapeptide (Yc[CRFFNAFC]Y) possesses agonist activity at the murine melanocortin-1 receptor」, Peptides, 21:683-689 (2000);および、Haskell-Luevano, C. et al., 「Design, synthesis, biology, and conformations of bicyclic alpha-melanotropin analogues」, J. Med. Chem., 38:1736-1750 (1995)において記載される方法などに従って溶液中で行った。
【0070】
粗生成物の線状ペプチド(これは上記実施例1において合成された)を20mLの水および3mLのメタノールに溶解する。200mLの0.01Mフェリシアン化カリウムと、10mLの飽和酢酸アンモニウムと、20mLのアセトニトリルと、10mLの水とからなる酸化溶液を数滴の濃水酸化アンモニウムによりpH=8.5に調節した。ペプチド溶液を50mLのシリンジに取り、シリンジポンプによって1.5mL/hの速度で酸化溶液に移した。移動が完了したとき、pHを氷酢酸により4.5に調節した。Amberlite樹脂(IRA-68、HCL形態)を混合物を加え、45分間混合し続けた。Amberlite樹脂をろ過により除き、ペプチドを含有する溶液を濃縮し、凍結乾燥し、RP-HPLCによって精製した。
【0071】
実施例2-環状ラクタム架橋を含有するペプチドの合成
本発明に従って、環状ラクタム架橋を含有するペプチドを、自動合成機(Advanced ChemTech 440MOS、Louisville、KY)において、Merrifield, R. B., 「Solid Phase Synthesis. II. The Synthesis of Bradykinin」, J. Am. Chem. Soc., 86:304-305 (1964)、および、Stewart, J. M. and Young, J. D., Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed., Pierce Chemical Co., Rockford, Illinois (1964)において記載されるような標準的なBoc方法論を使用して調製することができる。Boc-Tyr(2ClBzl)、Boc-ジアミノプロピオン酸[Dpr(Fmoc)]、Boc-Asp(OFm)、Boc-Arg(Tos)、Boc-Phe、Boc-His(Bom)、Boc-DPhe、Boc-Trp(CHO)、Boc-AsnおよびBoc-Alaのアミノ酸は市販されている。ペプチドを市販のpMBHA樹脂(0.28meq/gの置換)において組み立てた。全ての試薬はACS規格またはそれ以上であった。
【0072】
合成を、粗いTeflonフリットを有する市販の40ウエルのTeflon反応ブロックを使用して行った。約200mgの樹脂(0.08mmol)を各反応ブロックウエルに加えた。反応体積の制限により、各ペプチドを2つの別個の反応ウエルで合成することができる。樹脂を、5mLのジメチルホルアミド(DMF)中で2時間膨潤させ、4mLの50%トリフルオロ酢酸(TFA)、ジクロロメタン(DCM)における2%アニソールを使用して3分間脱保護し、その後、500rpmで20分間インキュベーションし、DCMにより洗浄した(4.5mL、2分、500rpm、3回)。ペプチド樹脂塩を、DCMにおける10%ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)の4mLの添加(3分、500rpm、2回)によって中和し、その後、DCM洗浄(4.5mL、2分、500rpm、4回)を行った。フリーのアミノ酸基を、Kaiser試験を使用して樹脂上において確認した。
【0073】
成長途中のペプチド鎖を、下記の一般的なアミノ酸サイクルを使用してアミド樹脂に加えた:500μLのDMFを各反応ウエルに加え、「フリットを湿らし」、C末端から始まる3倍過剰のアミノ酸[DMFでの0.5MのN-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)における0.5M溶液の400μM]を加え、その後、DMFにおける0.5MのN,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)の400μLを加え、反応ウエルの体積を、DMFを使用して3mLにする。このカップリング反応液を500rpmで1時間混合し、その後、正の窒素ガス圧によって反応ブロックを空にする。第2のカップリング反応を、500μLのDMFをそれぞれの反応容器に加え、続いて、400μLのそれぞれのアミノ酸(3倍過剰)、400μLの0.5M O-ベンゾトリアゾリル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)、300μLの1M DIEAを加え、反応ウエルの体積をDMFにより3mLにし、500rpmで1時間混合することによって行う。第2のカップリングサイクルの後、反応ブロックを空にし、樹脂-Nα-保護ペプチドをDCMにより洗浄する(4.5mL、4回)。Nα-Boc脱保護を、DCMにおける50%TFA、2%アニソールの4mLを加え、500rpmで5分間混合し、その後、20分での20分間の脱保護を行うことによって行う。反応ウエルを4.5mLのDCMにより洗浄し(4回)、10% DIEAにより中和し(3分、500rpm、2回)、その後、DCM洗浄(4.5mL、2分、500rpm、4回)を行い、その次のカップリングサイクルを上記のように行う。
【0074】
Fmoc保護基およびOFm保護基を、DMFにおける25%ピペリジンの4.5mLによる処理(500rpmで20分)によってDprおよびAspからそれぞれ除き、陽性のKaiser試験結果が得られる。Aspアミノ酸とDprアミノ酸との間でのラクタム架橋を、5倍過剰のベンジオトリアゾリルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)および6倍過剰のDIEAをカップリング剤として使用し、500rpmで混合して形成させる。ラクタム架橋が室温で約3日後に形成された(陰性のKaiser試験)。残っているアミノ酸側鎖の脱保護および樹脂からのアミド-ペプチドの切断を、ペプチド樹脂を無水フッ化水素(HF、5mL、0℃、1hr)およびスカベンジャーとしての5% m-クレゾール、5%チオアニソールとインキュベーションすることによって行った。
【0075】
反応が完了し、HFを留去した後、ペプチドをエーテル沈殿し(50mLで1回)、50mLの冷(4℃)無水エチルエーテルにより洗浄する。ペプチドを、粗いフリットガラスフィルターを使用してろ過し、氷酢酸に溶解し、凍結し、凍結乾燥する。粗ペプチドの収率は理論収率の60%〜90%の範囲であった。粗ペプチドの40mgのサンプルを、フォトダイオードアレイ検出器および半調製用逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)C18結合シリカカラム(Vydac 218TP1010、1.0×25cm)を伴うShimadzuクロマトグラフィーシステムを使用するRP-HPLCによって精製し、凍結乾燥した。精製ペプチドは>95%の純度(分析RP-HPLCによって測定されたとき)であり、正しい分子量を有していた。
【0076】
実施例3-アッセイ法
細胞培養およびトランスフェクションのために、HEK-293細胞を、10%ウシ胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)において維持し、トランスフェクションの1日前に1×106細胞/100mmディッシュ〜2×106細胞/100mmディッシュで接種した。pCDNA3発現ベクターにおけるメラノコルチン受容体DNA(20μg)を、リン酸カルシウム法を使用してトランスフェクションした。安定な受容体集団を、その後のバイオアッセイ分析のためにG418選抜(1mg/mL)を使用して得た。
【0077】
機能的バイオアッセイ法
機能的バイオアッセイ研究において、マウスのMC1受容体、MC3受容体、MC4受容体およびMC5受容体を安定的に発現するHEK-293細胞を、Haskell-Luevano, C. et al., 「Characterization of melanocortin NDP-MSH agonist peptide fragments at the mouse central and peripheral melanocortin receptors」, J. Med. Chem., 44:2247-2252 (2001);Haskell-Luevano, C. et al., 「Structure activity studies of the melanocortin-4 receptor by in vitro mutagenesis: identification of agouti-related protein (AGRP), melanocortin agonist and synthetic peptide antagonist interaction determinants」, Biochemistry, 40:6164-6179 (2001);および、Chen, W. et al., 「A colorimteric assay for measuring activation of Gs- and Gq-coupled signaling pathways」, Anal. Biochem., 226:349-354 (1995)において以前に記載されたように、4μgのCRE/β-ガラクトシダーゼレポーター遺伝子でトランスフェクションした。5,000個〜15,000個のトランスフェクション後の細胞を96ウエルPrimeraプレート(Falcon)に置床し、一晩インキュベーションした。トランスフェクション後48時間で、細胞を、アッセイ培地(0.1mg/mLのBSAおよび0.1mMのイソブチルメチルキサンチンを含有するDMEM)において100μLのペプチド(10-4M〜10-12M)またはフォルスコリン(10-4M)対照により6時間にわたって刺激した。アッセイ培地を吸引し、50μLの溶解緩衝液(250mMのトリス-HCl(pH=8.0)および0.1%のTriton X-100)を加えた。プレートを-80℃で一晩貯蔵した。
【0078】
翌日、細胞溶解物を含有するプレートを解凍した。10μLのアリコートを、相対的なタンパク質の測定のために各ウエルから取り、別の96ウエルプレートに移した。細胞溶解プレートに、0.5%のBSAを含む40μLのリン酸塩緩衝化生理的食塩水を各ウエルに加えた。続いて、150μLの基質緩衝液(60mMのリン酸ナトリウム、1mMのMgCl2、10mMのKCl、5mMのβ-メルカプトエタノール、200mg/100mLのONPG)を各ウエルに加え、プレートを37℃でインキュベーションした。
【0079】
サンプルの吸光度(OD405)を、96ウエルプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して測定した。相対的なタンパク質を、200μLの1:5希釈のBio Rad G250タンパク質色素:水を以前に採取された10μLの細胞溶解物サンプルに加えることによって測定した。OD595を96ウエルプレートリーダー(Molecular Devices)で測定した。データ点を、相対的タンパク質含有量および受容体非依存性フォルスコリン刺激の両方に対して正規化した。これらの化合物のアンタゴニスト特性を、これらのリガンドがMTIIアゴニスト(Bachem)を10μMまでの濃度で用量依存的な様式で競合的に追い出す能力によって評価した。pA2値を、Schild, H.O., 「pA, A New Scale for the Measurement of Drug Antagonism」, Brit. J. Pharmacol., 2:189-206 (1947)において記載されるSchild解析法を使用して得た。
【0080】
結合アッセイ法
結合アッセイ法では、125I-NDP-MSHを、Yang, et al., 「Characterization of Agouti-related protein binding to melanocortin receptors」, Mol. Endo., 13:148-155 (1999))によって以前に記載されたような改変クロラミンT法を使用して調製した。50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)を反応緩衝液として使用して、125I-Na(0.5mCi、Amersham Life Sciences, Inc., Arlington Heights, IL)を5mLの緩衝液における20mgのNDP-MSH(Bachem, Torrance, CA)に加えた。反応を開始させるために、クロラミンT(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)の2.4mg/ml溶液の10mLを穏やかな撹拌とともに15秒間加えた。この反応を、メタ重亜硫酸ナトリウム(Sigma Chemical Co.)の4.8mg/ml溶液の50mLを穏やかな撹拌とともに20秒間加えることによって停止させた。
【0081】
その後、反応混合物を200mLの10%ウシ血清アルブミンにより希釈し、得られた混合物を、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)をカラム溶出液として使用するサイズ排除クロマトグラフィーによる分離のためにBio-Gel P2(Bio-Rad Labs, Hercules, CA)カラム(1.0×30cm Econocolumn、Bio-Rad Labs)に載せた。15個の滴下画分(約500mL)を、500mLの1%BSAを含有するガラスチューブに集めた。その後、各画分を、最大125I取り込み画分を明らかにするために、RIA AIDソフトウエア(Robert Maciel Associates, Inc., Arlington, MA)を有するApex Automatic Gamma Counter(ICN Micromedic Systems Model 28023, Huntsville, AL)で計数した。
【0082】
受容体結合研究
実験の1日前に、0.1×106細胞/ウエル〜0.3×106細胞/ウエルのHEK-293細胞(上記のように調製および維持される)をPrimera 24ウエルプレート(Falcon)に置床した。ペプチド(10-5M)およびNDP-MSH(10-6M〜10-12M)を使用して、125Iで放射能標識されたNDP-MSH(100,000cpm/ウエル)を競合的に追い出した。NDP-MSHの用量応答曲線(10-6M〜10-12M)およびIC50値を得て、非線形最小二乗分析(Bowen, W. P. and Jerman, J. C., 「Nonlinear regression using spreadsheets」, TiPS, 16:413-417 (1995)を参照のこと)およびPRISMプログラム(v3.0、GraphPad Inc.)によって分析した。アゴニストまたはアンタゴニストの薬理学を機能的アッセイ法において有しなかったペプチドを、10-5Mの濃度で125I-NDP-MSH(100,000cpm/ウエル)を競合的に追い出すそれらの能力について調べた。パーセント総特異的結合を、10-6MのNDP-MSHおよびNDP-MSH用量応答曲線を対照としてを使用して得られた非特異的な値に基づいて決定した。標準偏差誤差を、3つの独立した実験からの平均パーセント特異的結合値から、PRISMプログラム(v3.0、GraphPad Inc.)を使用して得る。
【0083】
データ分析
データ分析のために、EC50値およびpA2値は、三通り、四通りまたはそれ以上の独立した実験で行われた重複実験の平均値を表す。EC50およびpA2の推定値、ならびにそれらの関連する標準誤差を、PRISMプログラム(v3.0、GraphPad Inc.)を使用してデータを非線形最小二乗分析に近似することによって決定した。
【0084】
本発明のペプチド(すなわち、SEQ ID NO:3〜7、SEQ ID NO:9〜10、SEQ ID NO:12〜18およびSEQ ID NO:20〜43)を、実施例1および実施例2において上記に記載されたように、標準的な手法を使用して合成し、半調製的逆相高圧液体クロマトグラフィーを使用して均一に精製した。表1には、マウスメラノコルチン受容体(mMC1R、mMC3R、mMC4RおよびmMC5R)における本発明のペプチドのアゴニストEC50値およびアンタゴニストpA2値がまとめられている。表1に示される誤差は、少なくとも3つの独立した実験から決定された平均値の標準誤差を表す。アンタゴニストpA2値は、Schild分析およびアゴニストMTIIを使用して決定された。「>100,000」の値は、その化合物が試験されたが、100μMまでの濃度でアゴニスト特性またはアンタゴニスト特性を有しなかったことを示す。わずかなアゴニストは、いくらかの刺激応答が100μMの濃度で観測されたが、EC50値を決定するために十分ではなかったことを意味する。
【0085】
(表1)マウスメラノコルチン受容体における本発明のキメラペプチドの薬理学的結果



【0086】
実施例4-AGRP/MCRアゴニストペプチド
本発明に従って、hAGRP(109-118)デカペプチドテンプレートが、hAGRP(111-113)Arg-Phe-Pheアンタゴニストアミノ酸をメラノコルチンアゴニストPhe-Arg-Trp残基で体系的に置換するために利用された(表1)。SEQ ID NO:1によって表されるペプチドについては、ジスルフィド架橋を含有するhAGRP(109-118)デカペプチドテンプレートのPhe113をD-アミノ酸に反転させた。SEQ ID NO:2〜11では、ラクタム架橋が、ジスルフィド架橋と類似する環サイズを維持しながら、薬理学的違いをもたらすかどうかを明らかにするために、ジスルフィド架橋が側鎖のラクタム架橋(Asp-Dpr)で置換された。
【0087】
SEQ ID NO:2は、Arg-Phe-PheのhAGRPアンタゴニストアミノ酸をAla-Ala-Alaで置換して対照として合成された。SEQ ID NO:2のペプチドは、100μMまでの濃度でメラノコルチン受容体においてアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性を有しておらず、10μMの濃度でリガンドの25%の結合を超えて、放射能標識された125I-NDP-MSHを競合的に追い出すことができなかった。
【0088】
SEQ ID NO:3はジスルフィド架橋の代わりにラクタム架橋を含有する。hAGRP(109-118)をSEQ ID NO:3と比較することにより、ほぼ等しい効力の薬理学が、ラクタム架橋がアンタゴニスト効力の1/8の低下をもたらしたmMC4Rを除いて、mMC1Rにおいて実験誤差の範囲内でもたらされ、また、μMでのアンタゴニスト薬理学がmMC3Rにおいて検出可能であった。
【0089】
Phe-Arg-Trp配列およびTrp-Arg-Phe配列の両方が置換によりhAGRP(109-118)デカペプチドに入れられた。SEQ ID NO:4およびSEQ ID NO:6(両方ともL-Phe立体配置を含有する)の比較では、μMでのmMC1Rアゴニスト活性がもたらされ、一方、SEQ ID NO:4は十分なアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性をmMC3R〜mMC5Rにおいて有しておらず、また、SEQ ID NO:6はμMでの十分なアゴニスト活性をmMC4RおよびmMC5Rにおいてもたらし、一方、mMC3Rにおいてわずかなアゴニスト活性を有するだけであった。
【0090】
アゴニストメラノコルチンペプチドの以前の研究では、α-MSHのPhe7のDPhe7へのキラリティー反転は10倍〜100倍の増大した効力をもたらしたことが確認されていた。従って、アゴニスト活性における何らかの増大を評価するために、SEQ ID NO:5では、Trp-Arg-DPheアミノ酸がhAGRPの111位〜113位において代わりに使用され、SEQ ID NO:7では、DPhe-Arg-Trp残基がAGRPのArg-Phe-Phe(111-113)位置において代わりに使用された。メラノコルチンに基づくアゴニストについての以前の観測結果と一致して、D-Phe立体配置を含有するSEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:7は一般に、ほんのわずかなアゴニスト活性が100μMまでの濃度で観測されただけであったmMC3Rにおける場合を除いて、対応するL型ジアステレオ異性ペプチドと比較して、増大したアゴニスト効力をもたらした。
【0091】
α-MSHおよびNDP-MSHのテンプレートを使用したメラノコルチンアゴニストペプチドの切断研究では、His6アミノ酸(α-MSHでの番号づけ)を含むことにより、著しい増大したアゴニスト効力がメラノコルチン受容体において生じたという観測結果がもたらされていた。hAGRP(109-118)テンプレートのアゴニストリガンド効力を増強することに対する影響を調べるために、メラノコルチンアゴニストの推定されるメッセージ配列(His-Phe-Arg-Trp)のHis6アミノ酸をラクタム修飾のhAGRP(109-118)デカペプチドテンプレートに挿入して、SEQ ID NO:8のペプチドを作製した。SEQ ID NO:8およびSEQ ID NO:3を比較することにおいて、AGRP(109-118)テンプレートへのHis残基の挿入は、1/8に低下したmMC1Rアゴニスト効力をもたらし、しかし、アンタゴニスト活性がmMC3受容体およびmMC4受容体において存在せず、また、SEQ ID NO:8は50%未満の特異的な結合でこれらの受容体(mMC3RおよびmMC4R)に結合した。
【0092】
SEQ ID NO:8のHis-Arg-Phe-Pheモチーフの代わりにHis残基(His-Phe-Arg-Trp)の置換は、SEQ ID NO:9によって表されるペプチドの生成をもたらした。SEQ ID NO:9はnMでの十分なアゴニスト効力を全ての調べられたメラノコルチン受容体において有する。
【0093】
SEQ ID NO:10は、アゴニストHis-DPhe-Arg-Trp配列をAGRPアンタゴニストテンプレートにおいて含有しており、mMC4Rにおいて、SEQ ID NO:10がα-MSHよりも約30倍強力であったことを除いて、mMC1RおよびmMC3R〜mMC5Rにおける亜nM(sub nM)でのアゴニスト効力を、これらの受容体におけるα-MSHの実験誤差範囲内でもたらしていた。
【0094】
メラノコルチンアゴニストNDP-MSHのN末端のAc-Ser-Tyr-Ser-Nleアミノ酸およびC末端のLys-Pro-Val-NH2アミノ酸をラクタム架橋hAGRP(109-118)デカペプチドのそれぞれのペプチド末端において代わりに使用して、SEQ ID NO:11のペプチドを得た。SEQ ID NO:11は、N末端およびC末端のアゴニストアミノ酸伸長を有しなかったSEQ ID NO:3とほぼ等しい効力のメラノコルチン受容体薬理学をもたらした。このことは、hAGRPアンタゴニストの中央「コア」残基の109〜118領域により、メラノコルチン受容体の効力および薬理学が決定されるという仮説を裏付けている。
【0095】
本発明に従って、天然アミノ酸および/または非天然アミノ酸を、hAGRP(111-113)Arg-Phe-Pheアミノ酸を置換するために利用されたメラノコルチンアゴニストPhe-Arg-Trp残基内で代わりに使用して、SEQ ID NO:24〜43のペプチドを得た。SEQ ID NO:28〜30は、アンタゴニスト活性をmMC3Rにおいてもたらし、アゴニスト活性をmMC4受容体およびmMC5受容体においてもたらした。
【0096】
実施例5-NDP-MSH/AGRPペプチド
本発明に従って、線状トリデカペプチドNDP-MSHアゴニストテンプレートを、DPhe-Arg-Trpアミノ酸がhAGRP(111-113)Arg-Phe-Phe残基で置換された基礎として使用した。SEQ ID NO:12のペプチドを、アゴニストDPhe-Arg-Trp残基がAla-Ala-Alaで置換されている対照ペプチドとして合成した。SEQ ID NO:12は、100μMまでの濃度でアゴニスト活性の完全な喪失をもたらし、25%より多くのMC3RまたはMC4Rに結合することができなかった。従って、SEQ ID NO:12の対照ペプチドの生物活性により、DPhe-Arg-Trp残基がメラノコルチン受容体活性のために重要であることが確認される。
【0097】
SEQ ID NO:13のペプチドは、Phe-Phe-Arg配向でhAGRP残基により置換されたNDP-MSH線状トリデカペプチドテンプレート、およびHis6残基(α-MSHでの番号付け)の欠失を有する。SEQ ID NO:13はMC3受容体〜MC5受容体において100μMまででアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性の喪失をもたらしたが、MC1Rにおいて部分的なアゴニストであった。
【0098】
対照的に、SEQ ID NO:14のペプチドは、HIS6アミノ酸と、Phe-Phe-Arg配向でのAGRP残基とを含有する。SEQ ID NO:14は、MC1R、MC3RおよびMC4Rにおいて部分的なアゴニスト活性をもたらしたが、アンタゴニスト活性をもたらさず、MC4Rにおける結合または活性がほとんど観測できなかった。
【0099】
hAGRP(111-113)残基をNDP-MSHテンプレートにArg-Phe-Pheで取り込むことにより、SEQ ID NO:15のペプチドを得た。SEQ ID NO:15のペプチドはnMでのメラノコルチン受容体アゴニスト効力を有する。
【0100】
これらの結果、および、hAGRP(109-118)テンプレートについて上記で示された結果から、hAGRP(111-113)Arg-Phe-Pheアンタゴニスト残基は、線状配列と類似するトポグラフィー的配向でアゴニストPhe-Arg-Trpアミノ酸を模倣することが明らかにされる。以前に議論されたように、メラノコルチンアゴニストPhe7(α-MSHでの番号付け)のD配置へのキラリティー反転により、増強されたメラノコルチン受容体効力を有するリガンドがもたらされたことが十分に立証されている。
【0101】
hAGRP(112-113)のどのPhe残基が、推定されるリガンド-受容体相互作用に関してメラノコルチンアゴニストPhe7アミノ酸に対応するかを相関させるために、SEQ ID NO:15のペプチドにおけるhAGRP(112-113)Arg-Phe-Phe残基の体系的な立体化学的反転により、SEQ ID NO:16〜18を得た。一般に、SEQ ID NO:16〜18について、NDP-MSHテンプレートにおけるArg-Phe-Phe残基の立体化学的反転は、SEQ ID NO:15と比較したとき、SEQ ID NO:17を除いて、メラノコルチン受容体活性の劇的な低下をもたらしていた。
【0102】
hAGRPのPhe112残基に推定的に対応するDPheを含有するSEQ ID NO:17(NDP-MSH線状テンプレート)は、SEQ ID NO:15と比較して、mMC1Rアゴニスト効力の8倍の増大をもたらしただけであり、また、1/13に低下したmMC3Rアゴニスト効力、100μMの濃度における十分なmMC4Rアゴニストからほんのわずかなアゴニストへの転換、および、等しい効力のmMC5Rアゴニスト効力をもたらした。
【0103】
実施例6-MTII/AGRPペプチド
本発明に従って、環状ヘプタペプチドMTIIアゴニストテンプレートを、DPhe-Arg-Trpアミノ酸が、SEQ ID NO:20〜23のペプチドを合成するためにhAGRP(111-113)Arg-Phe-Phe残基で置換された基礎として使用した。SEQ ID NO:19のペプチドを、SEQ ID NO:20〜23のペプチドに対する対照として、MTIIのDPhe-Arg-Trp残基をAla-Ala-Alaにより置換して合成した。
【0104】
SEQ ID NO:20のペプチドに関して、環状MTIIのDPhe-Arg-Trpアミノ酸配列をhAGRP(111-113)Arg-Phe-Phe残基により置換した。SEQ ID NO:20は、MC3受容体〜MC5受容体における十分なアゴニスト活性の喪失をもたらし、MC1RにおいてμMでの部分的アゴニスト活性を有しただけであった。
【0105】
SEQ ID NO:20のhAGRP(111-113)Arg-Phe-Phe残基の立体化学的反転により、DArg-Phe-PheがMTIIペプチドテンプレートに組み込まれたSEQ ID NO:21のペプチドが得られた。SEQ ID NO:21のペプチドは、メラノコルチン受容体において100μMまでの濃度で十分なアゴニスト応答を生じさせる能力を失っていた。
【0106】
しかしながら、hAGRPのPhe112残基に推定的に対応するDPheを含有するSEQ ID NO:22(MTII環状テンプレート)は、対応するL-Phe異性体を有するペプチド(SEQ ID NO:20)をmMC1Rの部分的アゴニストからnMでの十分なアゴニストへ転換することをもたらし、μMでの十分なアゴニスト活性をmMC3受容体〜mMC5受容体において有するリガンドをもたらした。
【0107】
これらの結果は、アンタゴニストhAGRP Phe112が、一般的なメラノコルチン受容体アゴニスト効力の点で、環状hAGRP(109-118)ペプチドテンプレートおよびMTIIペプチドテンプレートにおいて受容体とのメラノコルチンアゴニストDPhe7相互作用を模倣し得ることを示唆している。この後者の推定は、実験的に確認されることが残っているが、今回が、hAGRPのPhe112アンタゴニスト残基が、推定されるリガンド-mMC4R相互作用の点で、メラノコルチンアゴニストPhe7アミノ酸とトポグラフィー的に相関し得ることを示唆する最初の実験的証拠である。
【0108】
SEQ ID NO:23のペプチドは、MTIIペプチドテンプレートにおいてDPhe-Arg-Trpアミノ酸の代わりに使用されたArg-Phe-DPheモチーフを含有する。SEQ ID NO:23は、わずかなアゴニスト活性を100μMでMC3RおよびMC5Rにおいて明らかにしたが、μMでのMC1Rアゴニストであった。
【0109】
実施例7-メラノコルチン受容体選択的リガンド
脳において発現する中枢性のMC3受容体およびMC4受容体は、ノックアウトマウスの使用およびインビボ給餌研究によって体重およびエネルギーの恒常性の生理学的役割と関連している(Fan, W. et al., 「Role of melanocortinergic neurons in feeding and the agouti obesity syndrome」, Nature, 385:165-168 (1997);Huszar, D. et al., 「Targeted disruption of the melanocortin-4 receptor results in obesity in mice」, Cell, 88:131-141 (1997);Butler, A.A. et al., 「A unique metabolic syndrome causes obesity in the melanocortin-3 receptor-dificient mouse」, Endocrinology, 141:3518-21 (2000);および、Chen, A.S. et al., 「Inactivation of the mouse melanocortin-3 receptor results in increased fat mass and reduced lean body mass」, Nat Genet., 26:97-102 (2001)を参照のこと)。MC3受容体mRNAおよびMC4受容体mRNAの脳のいくつかの領域における神経解剖学的重複のために、また、エネルギー恒常性経路の複雑性のために、これらのメラノコルチン受容体イソ型のいずれかに対して選択的なメラノコルチンリガンドがインビボ研究のためには望ましい。
【0110】
本発明において、SEQ ID NO:7のペプチド(Tyr-c[Asp-DPhe-Arg-Trp-Asn-Ala-Phe-DPr]-Tyr-NH2)は、ほんのわずかなmMC3Rアゴニストであるリガンドをもたらした(mMC3Rアンタゴニストではなく、10μMの濃度で25%よりも大きい特異的結合でmMC3Rにおいて結合せず、しかし、450nMのアゴニストEC50値をmMC4Rにおいて有しており、これにより、MC3Rに対して200倍を超えるMC4R選択的な化合物をもたらしている)。
【0111】
SEQ ID NO:17のペプチド(Ac-Ser-Tyr-Ser-Nle-Glu-His-Arg-DPhe-Phe-Gly-Lys-Pro-Val-NH2)は、mMC5RにおけるnMでの大きいアゴニスト活性、mMC3RにおけるμMでのアゴニスト活性、および、mMC4Rにおけるほんのわずかなアゴニスト活性を有する、nMでの強力なmMC1Rアゴニストをもたらした(アンタゴニストではなく、10μMの濃度で25%よりも大きい特異的な結合でmMC4Rに結合しない)。従って、SEQ ID NO:17は、MC3Rに対して850倍MC1R選択的で、MC3Rに対して16倍を超えてMC4R選択的で、かつ、MC5Rに対して62倍MC1R選択的なペプチドである。
【0112】
本明細書において参照または引用される全ての特許、特許出願、仮特許出願および刊行物は、全ての図および表を含めて、それらが本明細書の明示的な教示と矛盾しない程度に、それらの全体が参照により組み入れられる。
【0113】
本明細書において記載される実施例および態様は例示目的のためだけであること、および、それらを考慮した様々な改変または変化が当業者に示唆され、かつ、そのような改変または変化は本出願の精神および範囲に含まれるべきであることを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】いくつかのメラノコルチンアゴニストおよびAGRPアンタゴニストのアミノ酸配列のまとめである。
【図2】本明細書において記載されるアミノ酸およびそれらの略語の例示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AGRP(109-118)テンプレート、および、類似テンプレート配列の代わりに使用されている、メラノコルチンアゴニストに基づく生物活性な決定基配列を含み、
a)メラノコルチンアゴニストに基づく生物活性な決定基配列が、
i)Trp-Arg-Phe;
ii)Trp-Arg-DPhe;
iii)Phe-Arg-Trp;
iv)DPhe-Arg-Trp;
v)His-Phe-Arg-Trp;および
vi)His-DPhe-Arg-Trp
からなる群より選択される、メラノコルチン受容体において生物学的に活性なペプチド。
【請求項2】
SEQ ID NO:4〜7、SEQ ID NO:9およびSEQ ID NO:10のいずれかである、請求項1記載のペプチド。
【請求項3】
メラノコルチンアゴニストに基づく生物活性な決定基配列が、配列内で置換された少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項1記載のペプチド。
【請求項4】
アミノ酸が、Ala;Atc;Bip;Lys;Nal(1');Nal(2');(pI)Phe;およびTicからなる群より選択される、請求項3記載のペプチド。
【請求項5】
SEQ ID NO:24〜43のいずれかである、請求項4記載のペプチド。
【請求項6】
AGRP(109-118)テンプレートのジスルフィド架橋の代わりに使用されるラクタム架橋をさらに含む、請求項1記載のペプチド。
【請求項7】
SEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:11のいずれかである、請求項6記載のペプチド。
【請求項8】
第2および第3の生物活性な決定基配列をN末端およびC末端にそれぞれさらに含み、N末端での第2の生物活性な決定基配列がSer-Tyr-Ser-Nleのアミノ酸残基であり、かつ、C末端での第3の生物活性な決定基配列がLys-Pro-Valのアミノ酸残基である、請求項6記載のペプチド。
【請求項9】
NDP-MSHの線状トリデカペプチドテンプレート、および、類似テンプレート配列の代わりに使用されている、hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列を含み、
a)hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列が、
i)Arg-Phe-Phe;
ii)Phe-Phe-Arg;
iii)DArg-Phe-Phe;
iv)Arg-DPhe-Phe;および
v)Arg-Phe-DPhe
からなる群より選択される、メラノコルチン受容体において生物学的に活性なペプチド。
【請求項10】
SEQ ID NO:13〜18のいずれかである、請求項9記載のペプチド。
【請求項11】
環状のMTIIヘプタペプチドテンプレート、および、類似テンプレート配列の代わりに使用されている、hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列を含み、
a)hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列が、
i)Arg-Phe-Phe;
ii)Phe-Phe-Arg;
iii)DArg-Phe-Phe;
iv)Arg-DPhe-Phe;および
v)Arg-Phe-DPhe
からなる群より選択される、メラノコルチン受容体において生物学的に活性なペプチド。
【請求項12】
SEQ ID NO:20〜23のいずれかである、請求項11記載のペプチド。
【請求項13】
AGRP(109-118)テンプレート、および、類似テンプレート配列の代わりに使用されている、メラノコルチンアゴニストに基づく生物活性な決定基配列を含み、
a)メラノコルチンアゴニストに基づく生物活性な決定基配列が、
i)Trp-Arg-Phe;
ii)Trp-Arg-DPhe;
iii)Phe-Arg-Trp;
iv)DPhe-Arg-Trp;
v)His-Phe-Arg-Trp;および
vi)His-DPhe-Arg-Trp
からなる群より選択される、メラノコルチン受容体において生物学的に活性なペプチドと、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤とを含む薬学的組成物。
【請求項14】
ペプチドが、SEQ ID NO:4〜7、SEQ ID NO:9およびSEQ ID NO:10のいずれかである、請求項13記載の薬学的組成物。
【請求項15】
メラノコルチンアゴニストに基づく生物活性な決定基配列が、配列内で置換された少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項13記載の薬学的組成物。
【請求項16】
アミノ酸が、Ala;Atc;Bip;Lys;Nal(1');Nal(2');(pI)Phe;およびTicからなる群より選択される、請求項15記載の薬学的組成物。
【請求項17】
ペプチドがSEQ ID NO:24〜43のいずれかである、請求項16記載の薬学的組成物。
【請求項18】
ペプチドが、AGRP(109〜118)テンプレートのジスルフィド架橋の代わりに使用されるラクタム架橋をさらに含む、請求項13記載の薬学的組成物。
【請求項19】
ペプチドがSEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:11のいずれかである、請求項18記載の薬学的組成物。
【請求項20】
ペプチドが第2および第3の生物活性な決定基配列をN末端およびC末端にそれぞれさらに含み、N末端での第2の生物活性な決定基配列がSer-Tyr-Ser-Nleのアミノ酸残基であり、かつ、C末端での第3の生物活性な決定基配列がLys-Pro-Valのアミノ酸残基である、請求項18記載の薬学的組成物。
【請求項21】
NDP-MSHの線状トリデカペプチドテンプレート、および、類似テンプレート配列の代わりに使用されている、hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列を含み、
a)hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列が、
i)Arg-Phe-Phe;
ii)Phe-Phe-Arg;
iii)DArg-Phe-Phe;
iv)Arg-DPhe-Phe;および
v)Arg-Phe-DPhe
からなる群より選択される、メラノコルチン受容体において生物学的に活性なペプチドと、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤とを含む薬学的組成物。
【請求項22】
ペプチドがSEQ ID NO:13〜18のいずれかである、請求項21記載の薬学的組成物。
【請求項23】
環状のMTIIヘプタペプチドテンプレート、および、類似テンプレート配列の代わりに使用されている、hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列を含み、
a)hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列が、
i)Arg-Phe-Phe;
ii)Phe-Phe-Arg;
iii)DArg-Phe-Phe;
iv)Arg-DPhe-Phe;および
v)Arg-Phe-DPhe
からなる群より選択される、メラノコルチン受容体において生物学的に活性なペプチドと、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤とを含む薬学的組成物。
【請求項24】
ペプチドがSEQ ID NO:20〜23のいずれかである、請求項23記載の薬学的組成物。
【請求項25】
メラノコルチン受容体によって調節される状態を患者において治療するための方法であって、下記の工程を含む方法:
AGRP(109〜118)テンプレート、および、類似テンプレート配列の代わりに使用されている、メラノコルチンアゴニストに基づく生物活性な決定基配列を含み、
a)メラノコルチンアゴニストに基づく生物活性な決定基配列が、
i)Trp-Arg-Phe;
ii)Trp-Arg-DPhe;
iii)Phe-Arg-Trp;
iv)DPhe-Arg-Trp;
v)His-Phe-Arg-Trp;および
vi)His-DPhe-Arg-Trp
からなる群より選択される、メラノコルチン受容体において生物学的に活性なペプチドと、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤とを含む薬学的組成物を患者に投与する工程。
【請求項26】
メラノコルチン受容体によって調節される状態を患者において治療するための方法であって、下記の工程を含む方法:
NDP-MSHの線状トリデカペプチドテンプレート、および、類似テンプレート配列の代わりに使用されている、hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列を含み、
a)hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列が、
i)Arg-Phe-Phe;
ii)Phe-Phe-Arg;
iii)DArg-Phe-Phe;
iv)Arg-DPhe-Phe;および
v)Arg-Phe-DPhe
からなる群より選択される、メラノコルチン受容体において生物学的に活性なペプチドと、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤とを含む薬学的組成物を患者に投与する工程。
【請求項27】
メラノコルチン受容体によって調節される状態を患者において治療するための方法であって、下記の工程を含む方法:
環状のMTIIヘプタペプチドテンプレート、および、類似テンプレート配列の代わりに使用されている、hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列を含み、
a)hAGRP(111-113)の生物活性な決定基配列が、
i)Arg-Phe-Phe;
ii)Phe-Phe-Arg;
iii)DArg-Phe-Phe;
iv)Arg-DPhe-Phe;および
v)Arg-Phe-DPhe
からなる群より選択される、メラノコルチン受容体において生物学的に活性なペプチドと、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤とを含む薬学的組成物を患者に投与する工程。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−537976(P2007−537976A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517632(P2006−517632)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/020329
【国際公開番号】WO2005/000877
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(591184345)ユニバーシティ・オブ・フロリダ (4)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF FLORIDA
【Fターム(参考)】