説明

新規なリン含有化合物並びにそれらの調製方法及び使用

【課題】難燃性硬化エポキシ樹脂の調製において使用することができる、リン含有化合物を提供する。
【解決手段】例えば下式で表される化合物が例示され、


この化合物による硬化剤、及び難燃性エポキシ樹脂の調製方法、並びにその調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、エポキシ樹脂の硬化剤として、及び難燃性硬化エポキシ樹脂の調製において使用することができる、リン含有化合物を開示する。
【背景技術】
【0002】
[0002]エポキシ樹脂は、優れた電気的性質、形状安定性、高温及び溶媒への耐性、低価格、並びに高い粘着性などの利点を有し、プリント回路基板及び集積回路のための包装材料としての使用に最も適している。しかし、一般のプラスチック材料のように、エポキシ樹脂は容易に燃焼し、したがって人命に脅威を及ぼす。したがって、世界中で電子材料の難燃性に対する厳しい規制がある。臭素含有エポキシ樹脂は、難燃性の回路基板のために特に適切である。しかし、これらの臭素含有エポキシ樹脂は、燃焼する間にテトラブロモジベンゾ−p−ダイオキシン及びテトラブロモジベンゾフランなどの腐食性及び有害物質を放出する。ハロゲン含有化合物に加えて、他のアプローチは、プラスチックの外側にさらなる非可燃性層をコーティングすることである。
【0003】
[0003]これらの難燃性化合物の中で、有機リン化合物は、高い難燃性を有する。リン含有難燃剤は、燃焼中に予めポリマー材料の脱水を促進し、炭化水素の水素が空気中の酸素と反応して水を形成することを可能にし、それによって周囲温度を燃焼温度未満に下げ、難燃効果を達成する。他方、リン含有難燃剤は、高温での加熱によって分解されてリン酸を形成し、これはポリマーの炭化を促進し、非可燃性のコークス層を形成する。さらにリン酸は、高温で脱水、エステル化され、ポリリン酸を形成し、これが燃焼物質の表面を覆い、酸素ガスがポリマーの燃焼していない内層に入ることを妨げ、揮発性分解生成物の放出を抑制する。
【0004】
[0004]リン元素をポリマーに導入する2つの方法がある。1つはリン含有エポキシ樹脂の合成であり、もう1つはリン含有硬化剤の合成である。本発明は、新規なリン含有硬化剤の合成方法を用い、エポキシ樹脂を硬化させ、難燃効果を実現する。
【0005】
[0005]リン含有反応物の中で、反応性の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)は、ベンゾキノン、オキシラン、マレイン酸、ビスマレイミド、ジアミノベンゾフェノン及びテレフタルジカルボキサルデヒドなどの電子不足化合物と反応して、求核付加反応を行うことができるために特に関心が高い。Linらは、三官能性硬化剤であるドポトリオール(dopotriol)[1]及びドポ−タ(dopo−ta)[2]の合成方法及び用途を2005年に開示し、難燃性と高いガラス転移温度とを伴うエポキシ樹脂を首尾よく得た。しかし、これらの文献においてドポトリオールの合成のために使用される原料であるロゾール酸は、高価すぎて工業的用途において費用効率が高くない。本発明は、より安価な4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)及びDOPOとフェノールとを反応させることによって、化合物A(ドポトリオール)を首尾よく合成した。さらに、本発明はまた、DHBP、4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)及び4−アミノ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン(AHBP)誘導体の合成を開示する。
【非特許文献1】[1]C.H.Lin,S.X.Cai and C.H.Lin,“Flame−Retardant Epoxy Resins with High Glass−Transition Temperatures.II.Using a Novel Hexafunctional Curing Agent:9,10−Dihydro−9−oxa−10−phosphaphenanthrene 10−yl−tris(4−aminophenyl)methane,”J.polym.Sci.Polym.Chem.,2005,43,5971.
【非特許文献2】[2]S.X.Cai and C.H.Lin,“Flame−Retardant Epoxy Resins With High Tg from a Novel Tri−functional Curing Agent:Dopotriol,”J.Polym.Sci.Polym.Chem.,2005,43,2862.
【発明の概要】
【0006】
[0006]本発明は、下記の化学式を有する新規なリン含有化合物を提供し、
【化1】


式中、
〜R10は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、フェニル、ニトロ、フェノキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から独立に選択され、
Aは、−OH又は−NHであり、
Bは、−OH又は−NHであり、
Dは、−OH、−NH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF、ハロゲン、−NHR、−NH(C=O)−R、−NH(O=C−O)−R、−NH(O=C−NH)−R
【化2】


からなる群から選択され、
Xは、酸素原子又は−NHであり、
Yは、水素、−NO、−OH、−NH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から選択され、
11〜R12は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、フェニル、ニトロ、フェノキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から独立に選択され、
ただし、
(1)Dが−OHであり、A及びBが−NHである場合、
〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、又は
(2)A、B及びDが−OHである場合、
(i)R〜R10の少なくとも1つは、C〜C10ハロ−アルキル、−CF又は−OCFであり、又は
(ii)置換基の組合せ(R、R)、(R、R)、(R、R)、(R、R)及び(R、R10)の少なくとも1つは、他の組合せと異なり、又は
(3)Dが、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から選択され、A及びBが−NHである場合、
〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、又は
(4)A、B及びDが−NHである場合、
(i)R〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、置換基の組合せ(R、R)、(R、R)、(R、R)、(R、R)及び(R、R10)の少なくとも1つは、他の組合せと異なり、又は
(ii)R〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、R〜R10の少なくとも1つは、C〜C10ハロ−アルキル、−CF又は−OCFである。
【0007】
[0007]本発明はまた、式(2)の有機リン化合物及び式(3)の化合物と式(4)の化合物とを酸触媒の存在下で反応させて、式(1)(式中、R〜R10、A、B及びDは、上記のように定義される)の化合物を形成するステップを含む、式(1)の化合物の調製方法を提供する。
【化3】

【0008】
[0008]本発明はまた、式(1)の化合物又はこれらの混合物を含む硬化剤を提供する。本発明はまた、エポキシ樹脂及び上記の硬化剤を含む難燃性エポキシ樹脂及びそれらの調製方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】化合物AのH及び13C NMRスペクトルを示す。
【図1B】化合物AのH及び13C NMRスペクトルを示す。
【図2】化合物Aの31P NMRスペクトルである。
【図3A】化合物DのH及び13C NMRスペクトルを示す。
【図3B】化合物DのH及び13C NMRスペクトルを示す。
【図4】化合物Dの31P NMRスペクトルである。
【図5】DGEBA系硬化生成物のDSC曲線を示す。
【図6】CNE系硬化生成物のDSC曲線を示す。
【図7】DGEBA系硬化生成物のDMA曲線を示す。
【図8】CNE系硬化生成物のDMA曲線を示す。
【発明の詳細な説明】
【0010】
[0017]本発明は、エポキシ樹脂の硬化剤として使用することができ、難燃性のエポキシ樹脂の調製においてさらに使用することのできる、一連の新規なリン含有化合物を対象とする。
【0011】
[0018]本発明は、下記の化学式を有するリン含有化合物を提供し、
【化4】


式中、
〜R10は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、フェニル、ニトロ、フェノキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から独立に選択され、
Aは、−OH又は−NHであり、
Bは、−OH又は−NHであり、
Dは、−OH、−NH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF、ハロゲン、−NHR、−NH(C=O)−R、−NH(O=C−O)−R、−NH(O=C−NH)−R
【化5】


からなる群から選択され、
Xは、酸素原子又は−NHであり、
Yは、水素、−NO、−OH、−NH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から選択され、
11〜R12は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、フェニル、ニトロ、フェノキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から独立に選択され、
ただし、
(1)Dが−OHであり、A及びBが−NHである場合、
〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、又は
(2)A、B及びDが−OHである場合、
(i)R〜R10の少なくとも1つは、C〜C10ハロ−アルキル、−CF又は−OCFであり、又は
(ii)置換基の組合せ(R、R)、(R、R)、(R、R)、(R、R)及び(R、R10)の少なくとも1つは、他の組合せと異なり、又は
(3)Dが、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から選択され、A及びBが−NHである場合、
〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、又は
(4)A、B及びDが−NHである場合、
(i)R〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、置換基の組合せ(R、R)、(R、R)、(R、R)、(R、R)及び(R、R10)の少なくとも1つは、他の組合せと異なり、又は
(ii)R〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、R〜R10の少なくとも1つは、C〜C10ハロ−アルキル、−CF又は−OCFである。
【0012】
[0019]A、B及びDが−OHであり、R〜Rが独立に水素であり、R10が−CHである場合、式(1)の化合物は、
【化6】


の構造式を有することができ、式中、一実施形態では、R10は、ベンゼン環の3位の炭素に結合している。
【0013】
[0020]A、B及びDが−OHであり、R〜Rが独立に水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(1)の化合物は、
【化7】


の構造式を有することができ、式中、一実施形態では、R及びR10は、ベンゼン環の3位及び5位の炭素に結合している。
【0014】
[0021]A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜R10が独立に水素である場合、式(1)の化合物は、
【化8】


の構造式を有することができる。
【0015】
[0022]A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜Rが独立に水素であり、R10が−CHである場合、式(1)の化合物は、
【化9】


の構造式を有することができ、式中、一実施形態では、R10は、ベンゼン環の3位の炭素に結合している。
【0016】
[0023]A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜Rが独立に水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(1)の化合物は、
【化10】


の構造式を有することができ、式中、一実施形態では、R及びR10は、ベンゼン環の3位及び5位の炭素に結合している。
【0017】
[0024]本発明は、式(2)の有機リン化合物及び式(3)の化合物と式(4)の化合物とを酸触媒の存在下で反応させて、式(1)(式中、R〜R10、A、B及びDは、上記のように定義される)の化合物を形成させるステップを含む、式(1)の化合物の調製方法を提供する。
【化11】

【0018】
[0025]上記の方法の一実施形態では、A、B及びDが−OHであり、R〜R10が水素である場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)は、式(4)のフェノールと酸触媒の存在下で反応して、式(A)の化合物を形成する。
【化12】

【0019】
[0026]上記の方法の一実施形態では、A、B及びDが−OHであり、R〜Rが水素であり、R10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)は、式(4)の2−クレゾールと酸触媒の存在下で反応して、式(B)の化合物を形成する。
【0020】
[0027]上記の方法の一実施形態では、A、B及びDが−OHであり、R〜Rが水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)は、式(4)の2,6−ジメチルフェノールと酸触媒の存在下で反応して、式(C)の化合物を形成する。
【0021】
[0028]上記の方法の一実施形態では、A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜R10が水素である場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)は、式(4)のアニリンと酸触媒の存在下で反応して、式(D)の化合物を形成する。
【0022】
[0029]上記の方法の一実施形態では、A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜Rが水素であり、R10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)は、式(4)のo−トルイジンと酸触媒の存在下で反応して、式(E)の化合物を形成する。
【0023】
[0030]上記の方法の一実施形態では、A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜Rが水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)は、式(4)の2,6−ジメチルアニリンと酸触媒の存在下で反応して、式(F)の化合物を形成する。
【0024】
[0031]上記の方法の一実施形態では、A及びBが−NHであり、Dが−OHであり、R〜R10が水素である場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)は、式(4)のフェノールと酸触媒の存在下で反応して、式(G)の化合物を形成する。
【化13】

【0025】
[0032]上記の方法の一実施形態では、A及びBが−NHであり、Dが−OHであり、R〜Rが水素であり、R10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)は、式(4)の2−クレゾールと酸触媒の存在下で反応して、式(H)
【化14】


の化合物を形成し、式中、一実施形態では、R10は、ベンゼン環の3位の炭素に結合している。
【0026】
[0033]上記の方法の一実施形態では、A及びBが−NHであり、Dが−OHであり、R〜Rが水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)は、式(4)の2,6−ジメチルフェノールと酸触媒の存在下で反応して、式(I)
【化15】


の化合物を形成し、式中、一実施形態では、R及びR10は、ベンゼン環の3位及び5位の炭素に結合している。
【0027】
[0034]上記の方法の一実施形態では、A、B及びDが−NHであり、R〜R10が水素である場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)は、式(4)のアニリンと酸触媒の存在下で反応して、式(J)の化合物を形成する。
【化16】

【0028】
[0035]上記の方法の一実施形態では、A、B及びDが−NHであり、R〜Rが水素であり、R10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)は、式(4)のo−トルイジンと酸触媒の存在下で反応して、式(K)
【化17】


の化合物を形成し、式中、一実施形態では、R10は、ベンゼン環の3位の炭素に結合している。
【0029】
[0036]上記の方法の一実施形態では、A、B及びDが−NHであり、R〜Rが水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)は、式(4)の2,6−ジメチルアニリンと酸触媒の存在下で反応して、式(L)
【化18】


の化合物を形成し、式中、一実施形態では、R及びR10は、ベンゼン環の3位及び5位の炭素に結合している。
【0030】
[0037]上記の方法の一実施形態では、R〜R10が水素であり、Aが−NHであり、B及びDが−OHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4−アミノ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン(AHBP)は、式(4)のフェノールと酸触媒の存在下で反応して、式(D’)の化合物を形成する。
【化19】

【0031】
[0038]この構造においてリンに結合した炭素の化学結合の回転によって、式(D’)の化合物は、式(D)の化合物として表すことができる。
【0032】
[0039]上記の方法の一実施形態では、R〜R10が水素であり、A及びDが−NHであり、Bが−OHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4−アミノ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン(AHBP)は、式(4)のアニリンと酸触媒の存在下で反応して、式(G’)の化合物を形成する。
【化20】

【0033】
[0040]同様に、この構造においてリンに結合した炭素の化学結合の回転によって、式(G’)の化合物は、式(G)の化合物として表すことができる。
【0034】
[0041]本発明の方法において使用される酸触媒は、プロトン酸及びルイス酸からなる群から選択される。
【0035】
[0042]本発明の方法において使用される酸触媒は、酢酸、p−トルエンスルホン酸(PTSA)、メタンスルホン酸、カルマガイト、硫酸、オルタニル酸、3−ピリジンスルホン酸、スルファニル酸、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、フッ化水素(HF)、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、硝酸(HNO)、リン酸(HPO)、塩化アルミニウム(AlCl)、フッ化ホウ素(BF)、臭化第二鉄(FeBr)、塩化第二鉄(FeCl)、塩化ホウ素(BCl)、及び塩化チタン(TiCl)からなる群から選択される。
【0036】
[0043]上記の方法において使用される酸触媒の量は、有機リン化合物の量の0.1重量%〜30重量%である。
【0037】
[0044]本発明は、式(1)の化合物又はこれらの混合物を含む硬化剤を提供する。
【0038】
[0045]本発明は、エポキシ樹脂及び上記の硬化剤を含む難燃性エポキシ樹脂を提供し、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、DGEBA)又はo−クレゾールホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂(CNE)でよい。
【0039】
[0046]本発明は、1:0.1〜1:1の相当比率のエポキシ樹脂と上記の硬化剤とを均一に混合し、硬化させ、硬化難燃性エポキシ樹脂を得るステップを含む、難燃性エポキシ樹脂の調製方法を提供する。
【0040】
[0047]上記のような難燃性エポキシ樹脂の調製方法の一実施形態では、使用されるエポキシ樹脂は、DGEBA及びCNEである。
【0041】
[0048]下記の実施形態は、本発明をさらに例示するために使用するが、本発明の範囲の限定を意図するものではない。本発明の趣旨から逸脱することない当業者による任意の修正及び変更は、本発明の範囲内であろう。
【0042】
[0049]上記の本発明の特定の実施形態はスキーム1によって表すことができ、下記に例示する。
【化21】

【0043】
[0050]実施例1
[0051]化合物Aの合成
[0052]下記のステップによってDHBP及びDOPOとフェノールとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Aを合成した。26.75g(0.125モル)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)、27.00g(0.125モル)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)、100gのフェノール及び1.10gの硫酸を、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、500mlの熱水に1滴ずつ加え、撹拌し、生成物、すなわち化合物Aが沈殿した。
【0044】
[0053]吸引濾過後、濾過ケーキを多量の熱水で洗浄し、濾過により分離し、真空オーブン中で110℃にて乾燥させ、54.50gの化合物Aを得た。収率は86%、M.P.は294℃であった。
【0045】
[0054]化合物AのH NMR及び13C NMRスペクトル、並びに31P NMRスペクトルを、各々図1A、1B、及び2に示す。分析結果は、このように得られた生成物が化合物Aであることを示す。
【0046】
[0055]実施例2
[0056]化合物Bの合成
[0057]下記のステップによってDHBP及びDOPOと2−クレゾールとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Bを合成した。21.40g(0.1モル)のDHBP、21.60g(0.1モル)のDOPO、100gの2−クレゾール及び1.10gの硫酸を、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、100mlのトルエンに1滴ずつ加え、撹拌し、オレンジ色の粘性生成物が沈殿した。トルエンの除去後、粘性生成物をエタノールに溶解し、エタノール溶液を脱イオン水に一滴ずつ加えることによって生成物が沈殿した。
【0047】
[0058]濾過及び分離後、濾過ケーキを真空オーブン中で100℃にて乾燥させ、35.00gのオレンジ色の固体化合物Bを得た。収率は67%、M.P.は284℃であった。
【0048】
[0059]実施例3
[0060]化合物Cの合成
[0061]下記のステップによってDHBP及びDOPOと2,6−ジメチルフェノールとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Cを合成した。21.40g(0.1モル)のDHBP、21.60g(0.1モル)のDOPO、100gの2,6−ジメチルフェノール及び1.1gの硫酸を、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、100mlのトルエンに1滴ずつ加え、撹拌し、オレンジ色の粘性生成物が沈殿した。トルエンの除去後、粘性生成物をエタノールに溶解し、エタノール溶液を脱イオン水に一滴ずつ加えることによって生成物が沈殿した。
【0049】
[0062]濾過及び分離後、濾過ケーキを真空オーブン中で100℃にて乾燥させ、40.00gの有機固体化合物Cを得た。収率は75%、M.P.は291℃であった。
【0050】
[0063]実施例4
[0064]化合物Dの合成
[0065]下記のステップによってDHBP及びDOPOとアニリンとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Dを合成した。21.40g(0.1モル)のDHBP、21.60g(0.1モル)のDOPO、100gのアニリン及び4.30gのp−トルエンスルホン酸(PTSA)を、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、100mlのアセトニトリルに1滴ずつ加え、撹拌し、黄色の固体、すなわち化合物Dが沈殿した。
【0051】
[0066]濾過及び分離後、生成物を、加熱したアセトニトリルで洗浄した。吸引濾過後、濾過ケーキを真空オーブン中で100℃にて乾燥させ、34.00gの白色固体化合物Dを得た。収率は68%、M.P.は300℃であった。
【0052】
[0067]化合物DのH NMR及び13C NMRスペクトル、並びに31P NMRスペクトルを、各々図3A、3B、及び4に示す。
【0053】
[0068]実施例5
[0069]化合物Eの合成
[0070]下記のステップによってDHBP及びDOPOとo−トルイジンとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Eを合成した。21.40g(0.1モル)のDHBP、21.60g(0.1モル)のDOPO、100gのo−トルイジン及び4.30gのp−トルエンスルホン酸(PTSA)を、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、100mlのトルエンに1滴ずつ加えた、撹拌し、茶色の粘性生成物が沈殿した。トルエンの除去後、粘性生成物をエタノールに溶解し、エタノール溶液を脱イオン水に一滴ずつ加えることによって生成物が沈殿した。
【0054】
[0071]濾過及び分離後、生成物を、加熱したアセトニトリルで洗浄した。吸引濾過後、濾過ケーキを真空オーブン中で100℃にて乾燥させ、37.00gの薄紫色の固体化合物Eを得た。収率は72%、M.P.は283℃であった。
【0055】
[0072]実施例6
[0073]化合物Fの合成
[0074]下記のステップによってDHBP及びDOPOと2,6−ジメチルアニリンとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Fを合成した。21.40g(0.1モル)のDHBP、21.60g(0.1モル)のDOPO、100gの2,6−ジメチルアニリン及び4.30gのp−トルエンスルホン酸(PTSA)を、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、100mlのトルエンに1滴ずつ加え、撹拌し、茶色の粘性生成物が沈殿した。トルエンの除去後、粘性生成物をエタノールに溶解し、エタノール溶液を脱イオン水に一滴ずつ加えることによって生成物が沈殿した。
【0056】
[0075]濾過及び分離後、生成物を、加熱したアセトニトリルで洗浄した。吸引濾過後、濾過ケーキを真空オーブン中で100℃にて乾燥させ、27.00gの淡黄色の固体化合物Fを得た。収率は50%、M.P.は292℃であった。
【0057】
[0076]実施例7
[0077]化合物Gの合成
[0078]下記のステップによってDABP及びDOPOとフェノールとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Gを合成した。26.53g(0.125モル)のDABP、27.00g(0.125モル)のDOPO、25.00gのフェノール及び1.10gの硫酸を、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、500mlの熱水に1滴ずつ加え、撹拌し、オレンジ色の固体、すなわち化合物Gが沈殿した。
【0058】
[0079]濾過及び分離後、次いで濾過ケーキを多量の熱水で洗浄した。吸引濾過後、ケーキを真空オーブン中で110℃にて乾燥させ、45.40gの化合物Gを得た。収率は72%、M.P.は298℃であった。
【0059】
[0080]実施例8
[0081]化合物Hの合成
[0082]下記のステップによってDABP及びDOPOと2−クレゾールとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Hを合成した。26.53g(0.125モル)のDABP、27.00g(0.125モル)のDOPO、100gの2−クレゾール及び1.10gの硫酸を、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、100mlのトルエンに1滴ずつ加え、撹拌し、茶色の粘性生成物が沈殿した。トルエンの除去後、粘性生成物をエタノールに溶解し、エタノール溶液を脱イオン水に一滴ずつ加えることによって生成物が沈殿した。
【0060】
[0083]濾過及び分離後、濾過ケーキを真空オーブン中で100℃にて乾燥させ、33.70gのピンク色の固体化合物Hを得た。収率は65%、M.P.は287℃であった。
【0061】
[0084]実施例9
[0085]化合物Iの合成
[0086]下記のステップによってDABP及びDOPOと2,6−ジメチルフェノールとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Iを合成した。26.53g(0.125モル)のDABP、27.00g(0.125モル)のDOPO、100gの2,6−ジメチルフェノール及び1.10gの硫酸を、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、100mlのトルエンに1滴ずつ加え、撹拌し、茶色の粘性生成物が沈殿した。トルエンの除去後、粘性生成物をエタノールに溶解し、エタノール溶液を脱イオン水に一滴ずつ加えることによって生成物が沈殿した。
【0062】
[0087]濾過及び分離後、濾過ケーキを真空オーブン中で100℃にて乾燥させ、40.40gの紫色の固体化合物Iを得た。収率は76%、M.P.は293℃であった。
【0063】
[0088]実施例10
[0089]化合物Jの合成
[0090]下記のステップによってDABP及びDOPOとアニリンとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Jを合成した。26.53g(0.125モル)のDABP、27.00g(0.125モル)のDOPO、100.00gのアニリン及び4.30gのPTSAを、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、100mlのアセトニトリルに1滴ずつ加え、撹拌し、薄紫色の固体、すなわち化合物Jが沈殿した。
【0064】
[0091]濾過及び分離後、生成物を、加熱したアセトニトリルで洗浄した。吸引濾過後、生成物を真空オーブン中で100℃にて乾燥させ、29.00gの化合物Jを得た。収率は57%、M.P.は330℃であった。
【0065】
[0092]実施例11
[0093]化合物Kの合成
[0094]下記のステップによってDABP及びDOPOとo−トルイジンとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Kを合成した。26.53g(0.125モル)のDABP、27.00g(0.125モル)のDOPO、100.00gのo−トルイジン及び4.30gのPTSAを、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、100mlのトルエンに1滴ずつ加え、撹拌し、茶色の粘性生成物が沈殿した。トルエンの除去後、粘性生成物をエタノールに溶解し、エタノール溶液を脱イオン水に一滴ずつ加えることによって生成物が沈殿した。
【0066】
[0095]濾過及び分離後、生成物を、加熱したアセトニトリルで洗浄した。吸引濾過後、生成物を真空オーブン中で100℃にて乾燥させ、32.00gの化合物Kを得た。収率は62%、M.P.は323℃であった。
【0067】
[0096]実施例12
[0097]化合物Lの合成
[0098]下記のステップによってDABP及びDOPOと2,6−ジメチルアニリンとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Lを合成した。26.53g(0.1モル)のDABP、21.60g(0.1モル)のDOPO、100.00gの2,6−ジメチルアニリン及び4.30gのPTSAを、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した、このように得られた混合物を、100mlのトルエンに1滴ずつ加え、撹拌し、茶色の粘性生成物が沈殿した。トルエンの除去後、粘性生成物をエタノールに溶解し、エタノール溶液を脱イオン水に一滴ずつ加えることによって生成物が沈殿した。
【0068】
[0099]濾過及び分離後、生成物を、加熱したアセトニトリルで洗浄した。吸引濾過後、生成物を真空オーブン中で100℃にて乾燥させ、27.60gの化合物Lを得た。収率は52%、M.P.は329℃であった。
【0069】
[00100]実施例13
[00101]化合物Dの合成
[00102]下記のステップによってAHBP及びDOPOとフェノールとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Dもまた合成した。21.30g(0.1モル)のAHBP、21.60g(0.1モル)のDOPO、100.00gのフェノール及び0.86gの硫酸を、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、100mlのアセトニトリルに1滴ずつ加え、撹拌し、黄色の固体、すなわち化合物Dが沈殿した。
【0070】
[00103]吸引濾過後、濾過ケーキを、加熱したアセトニトリルで洗浄した。濾過及び分離後、濾過ケーキを真空オーブン中で100℃にて乾燥させ、30.00gの白色固体化合物Dを得た。収率は60%、M.P.は300℃であった。
【0071】
[00104]DMSO−D6溶液中の生成物のH及び13C NMRスペクトルは、図3A及び3Bにおいて示されているものに完全に合致し、これは生成物が確かに化合物Dであることを示す。
【0072】
[00105]実施例14
[00106]化合物Gの合成
[00107]下記のステップによってAHBP及びDOPOとアニリンとを酸触媒の存在下で反応させることによって、化合物Gをまた合成した。21.30g(0.1モル)のAHBP、21.60g(0.1モル)のDOPO、25.00gのアニリン及び4.32gのHSOを、温度指示計を備えた1L三つ口反応器に加えた。反応温度を130℃に上げ、反応を12時間維持した。このように得られた混合物を、500mlの熱水に1滴ずつ加え、撹拌し、オレンジ色の固体、すなわち化合物Gが沈殿した。
【0073】
[00108]濾過及び分離後、濾過ケーキを多量の熱水で洗浄した。吸引濾過後、濾過ケーキを真空オーブン中で110℃にて乾燥させ、41.62gの化合物Gを得た。収率は66%、M.P.は298℃であった。
【0074】
[00109]実施例15
[00110]難燃性エポキシ樹脂の調製及び分析
[00111]上記の合成例から得た化合物A、化合物B、及び化合物Eを、エポキシ樹脂であるビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)及びo−クレゾールホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂(CNE)のための硬化剤として使用した。それらを1:1の相当比率で均一に混合して、硬化させ、硬化難燃性エポキシ樹脂を得た。硬化剤の効果を下記の分析及び試験において比較した。試料は、表1において示す通りである。
【0075】
【表1】

【0076】
[00112]熱的性質分析
[00113]図5は、DGEBAを異なる硬化剤と均一に混合した後の硬化DGEBAのガラス転移温度曲線の重複を示している。図6は、CNEを異なる硬化剤と均一に混合した後の硬化CNEのガラス転移温度曲線の重複を示している。表2及び表3は、DSCによって測定した、上記のエポキシ樹脂混合物の異なる硬化温度でのガラス転移温度を示している。硬化エポキシ樹脂のガラス転移温度は次の順序であることを見出すことができる。B−DGEBA>J−DGEBA>D−DGEBA(I)>J−DGEBA(I)>A−DGEBA(I)。この結果は、硬化促進剤(イミダゾール)の添加は、硬化エポキシ樹脂のガラス転移温度に殆ど影響を及ぼさないことを示している。さらに、化合物D及び化合物Jを硬化剤として有する硬化エポキシ樹脂は、より高いガラス転移温度を有する。これは、化合物D及び化合物Jは、架橋部位をより提供し、架橋密度を増加させるためである。したがって、硬化エポキシ樹脂は、より高いガラス転移温度を有する。
【0077】
[00114]さらに、比較によって、硬化エポキシ樹脂のガラス転移温度は次の順序であることを示す。D−CNE>D−CNE(I)>J−CNE>J−CNE(I)。硬化促進剤の添加の有無が殆ど影響を及ぼさないことを、分析結果は示している。D系硬化エポキシ樹脂のガラス転移温度は、J系硬化エポキシ樹脂のガラス転移温度より高い。これは、化合物Jが架橋の間の立体障害によって影響を受ける場合があるためであり、この立体障害は架橋構造の伸張を妨げ、それによってガラス転移温度を低下させる。表2の結果は、A及びJ系硬化エポキシ樹脂は、220℃の硬化温度で最も高いガラス転移温度を有し、240℃の硬化温度で、ガラス転移温度を低下させる僅かな開裂現象を有することを示している。D−DGEBAは、180℃の硬化温度で最も高いガラス転移温度を有する。D−DGEBA(I)は、硬化促進剤の添加によって140℃の硬化温度で最も高いガラス転移温度を達成することができる。D系硬化エポキシ樹脂は、A及びJ系硬化エポキシ樹脂よりも速い硬化速度を有することを分析結果は示している。D系エポキシ樹脂は、より低い硬化温度で最も高いガラス転移温度を達成することができる。また、表3は、D−CNE(I)は、220℃の硬化温度で最も高いガラス転移温度を達成することができるのみならず、他も240℃の硬化温度で最も高いガラス転移温度を達成することができることを示している。
【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
[00115]動的機械分析
[00116]図7及び図8は、各々DGEBA系及びCNE系のDMA分析結果を示している。DMAデータを、表4及び表5に要約した。分析結果は、DGEBA系硬化エポキシ樹脂の貯蔵弾性率が次の順番であることを示す。J−DGEBA(I)>D−DGEBA(I)>J−DGEBA>D−DGEBA>A−DGEBA(I)。CNE系硬化エポキシ樹脂の貯蔵弾性率は、次の順番である。J−CNE(I)>J−CNE>D−CNE>D−CNE(I)。D−CNE及びD−CNE(I)の貯蔵弾性率の間に差異は殆どなかったが、硬化促進剤を加えた他の硬化エポキシ樹脂は、より高い貯蔵弾性率を有する。さらに、化合物Jを加えた硬化エポキシ樹脂は、最も大きい貯蔵弾性率を有し、化合物Dを加えた硬化エポキシ樹脂は、第2に大きい貯蔵弾性率を有し、化合物Aを加えた硬化エポキシ樹脂は、最も小さい貯蔵弾性率を有する。化合物A及び化合物DはOH基を有し、化合物がエポキシ樹脂を架橋させ、硬化した後、OH基はより柔らかいエーテルとなることが推定される。したがって、硬化エポキシ樹脂の貯蔵弾性率は減少する。tanδ値の分析によって同じ結果を得ることができる。柔らかい架橋構造は、分子に対して容易に動くため、tanδ高さはより大きい。tanδによって測定したガラス転移温度とDSCによって測定したガラス転移温度との間に殆ど差異はない。
【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
[00117]UL−94試験
[00118]UL−94は難燃性を試験する方法であり、ポリマー試料は2つの燃焼過程に各10秒間曝されなくてはならない。第1の燃焼後、炎を消し、ポリマーの自己消炎性に必要な時間(t)を記録する。試験中にポリマーのドリッピングが起こる場合、試料が冷却した後第2の燃焼を行い、ポリマーの自己消炎性に必要な時間(t)及びドリッピングを記録する。t及びtの合計が10秒未満であり、ドリッピングがない場合、難燃性についての工業規格によってV0グレードと分類される。t及びtの合計が10〜30秒である場合、V1グレードと分類される。
【0084】
[00119]1%、1.5%、及び1.8%のリン含量を有するDGEBA及びCNEを各々調製するために、2種の硬化剤、化合物D及びDDS(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)を使用した。150℃で融解し、均一に撹拌した後、混合物を循環オーブン内に置いたアルミニウム型に注ぎ、そこで硬化のために温度を220℃まで段階的に上げた。硬化した試料をUL−94難燃性試験にかけた。表6は、UL−94試験の結果を示す。硬化エポキシ樹脂の難燃性はリン含量の増加に伴い増加し、リン含量が1.5%である場合V0グレードを達成することができることを表6から見出すことができる。
【0085】
【表6】

【0086】
[00120]下記の特許請求の範囲は、本発明の適切な範囲を規定するために使用する。本発明の開示に基づいて当業者によって行われる任意の明らかな変形形態もまた、本発明の適切な範囲内に当たるべきであることを認識されたい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、
〜R10は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、フェニル、ニトロ、フェノキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から独立に選択され、
Aは、−OH又は−NHであり、
Bは、−OH又は−NHであり、
Dは、−OH、−NH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF、ハロゲン、−NHR、−NH(C=O)−R、−NH(O=C−O)−R、−NH(O=C−NH)−R
【化2】

からなる群から選択され、
Xは、酸素原子又は−NHであり、
Yは、水素、−NO、−OH、−NH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から選択され、
11〜R12は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、フェニル、ニトロ、フェノキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から独立に選択され、
ただし、
(1)Dが−OHであり、A及びBが−NHである場合、
〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、又は
(2)A、B及びDが−OHである場合、
(i)R〜R10の少なくとも1つは、C〜C10ハロ−アルキル、−CF又は−OCFであり、又は
(ii)組合せ(R、R)、(R、R)、(R、R)、(R、R)及び(R、R10)の少なくとも1つは、他の組合せと異なり、又は
(3)Dが、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜C10ハロ−アルキル、C〜C環状アルキル、−CF、−OCF及びハロゲンからなる群から選択され、A及びBが−NHである場合、
〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、又は
(4)A、B及びDが−NHである場合、
(i)R〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、組合せ(R、R)、(R、R)、(R、R)、(R、R)及び(R、R10)の少なくとも1つは、他の組合せと異なり、又は
(ii)R〜R10の少なくとも1つは、フェニル、ニトロ又はフェノキシであり、R〜R10の少なくとも1つは、C〜C10ハロ−アルキル、−CF又は−OCFである)のリン含有化合物。
【請求項2】
(a)A、B及びDが−OHであり、R〜Rが独立に水素であり、R10が−CHである場合、式(1)の化合物は、式(B)
【化3】


を有し、又は
(b)A、B及びDが−OHであり、R〜Rが独立に水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(1)の化合物は、式(C)
【化4】

を有し、又は
(c)A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜R10が独立に水素である場合、式(1)の化合物は、式(D)
【化5】

を有し、又は
(d)A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜Rが独立に水素であり、R10が−CHである場合、式(1)の化合物は、式(E)
【化6】

を有し、又は
(e)A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜Rが独立に水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(1)の化合物は、式(F)
【化7】

を有する、請求項1に記載の式(1)の化合物。
【請求項3】
式(2)の有機リン化合物及び式(3)の化合物と式(4)の化合物とを酸触媒の存在下で反応させて、式(1)の化合物を形成させるステップを含む、請求項1に記載の式(1)の化合物の調製方法
【化8】

(式中、R〜R10、A、B及びDは、請求項1に記載の通りである)。
【請求項4】
(a)A、B及びDが−OHであり、R〜R10が水素である場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)と式(4)のフェノールとを酸触媒の存在下で反応させて、式(A)
【化9】

の化合物を形成させるステップと、
(b)A、B及びDが−OHであり、R〜Rが水素であり、R10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)と式(4)の2−クレゾールとを酸触媒の存在下で反応させて、式(B)の化合物を形成させるステップと、
(c)A、B及びDが−OHであり、R〜Rが水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)と式(4)の2,6−ジメチルフェノールとを酸触媒の存在下で反応させて、式(C)の化合物を形成させるステップと、
(d)A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜R10が水素である場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)と式(4)のアニリンとを酸触媒の存在下で反応させて、式(D)の化合物を形成させるステップと、
(e)A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜Rが水素であり、R10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)と式(4)のo−トルイジンとを酸触媒の存在下で反応させて、式(E)の化合物を形成させるステップと、
(f)A及びBが−OHであり、Dが−NHであり、R〜Rが水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)と式(4)の2,6−ジメチルアニリンとを酸触媒の存在下で反応させて、式(F)の化合物を形成させるステップと、
(g)A及びBが−NHであり、Dが−OHであり、R〜R10が水素である場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)と式(4)のフェノールとを酸触媒の存在下で反応させて、式(G)
【化10】


の化合物を形成させるステップと、
(h)A及びBが−NHであり、Dが−OHであり、R〜Rが水素であり、R10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)と式(4)の2−クレゾールとを酸触媒の存在下で反応させて、式(H)
【化11】

の化合物を形成させるステップと、
(i)A及びBが−NHであり、Dが−OHであり、R〜Rが水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)と式(4)の2,6−ジメチルフェノールとを酸触媒の存在下で反応させて、式(I)
【化12】

の化合物を形成させるステップと、
(j)A、B及びDが−NHであり、R〜R10が水素である場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)と式(4)のアニリンとを酸触媒の存在下で反応させて、式(J)
【化13】

の化合物を形成させるステップと、
(k)A、B及びDが−NHであり、R〜Rが水素であり、R10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)と式(4)のo−トルイジンとを酸触媒の存在下で反応させて、式(K)
【化14】

の化合物を形成させるステップと、
(l)A、B及びDが−NHであり、R〜Rが水素であり、R及びR10が−CHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4,4’−ジアミノベンゾフェノン(DABP)と式(4)の2,6−ジメチルアニリンとを酸触媒の存在下で反応させて、式(L)
【化15】


の化合物を形成させるステップと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
〜R10が水素であり、
(a)Aが−NHであり、B及びDが−OHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4−アミノ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン(AHBP)と式(4)のフェノールとを酸触媒の存在下で反応させて、式(D)の化合物を形成させるステップと、
(b)A及びDが−NHであり、Bが−OHである場合、式(2)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)及び式(3)の4−アミノ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン(AHBP)と式(4)のアニリンとを酸触媒の存在下で反応させて、式(G)の化合物を形成させるステップと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記酸触媒が、プロトン酸及びルイス酸からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記酸触媒が、プロトン酸及びルイス酸からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記酸触媒が、プロトン酸及びルイス酸からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記酸触媒が、酢酸、p−トルエンスルホン酸(PTSA)、メタンスルホン酸、カルマガイト、硫酸、オルタニル酸、3−ピリジンスルホン酸、スルファニル酸、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、フッ化水素(HF)、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、硝酸(HNO)、リン酸(HPO)、塩化アルミニウム(AlCl)、フッ化ホウ素(BF)、臭化第二鉄(FeBr)、塩化第二鉄(FeCl)、塩化ホウ素(BCl)、及び塩化チタン(TiCl)からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記酸触媒が、酢酸、p−トルエンスルホン酸(PTSA)、メタンスルホン酸、カルマガイト、硫酸、オルタニル酸、3−ピリジンスルホン酸、スルファニル酸、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、フッ化水素(HF)、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、硝酸(HNO)、リン酸(HPO)、塩化アルミニウム(AlCl)、フッ化ホウ素(BF)、臭化第二鉄(FeBr)、塩化第二鉄(FeCl)、塩化ホウ素(BCl)、及び塩化チタン(TiCl)からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記酸触媒が、酢酸、p−トルエンスルホン酸(PTSA)、メタンスルホン酸、カルマガイト、硫酸、オルタニル酸、3−ピリジンスルホン酸、スルファニル酸、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、フッ化水素(HF)、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、硝酸(HNO)、リン酸(HPO)、塩化アルミニウム(AlCl)、フッ化ホウ素(BF)、臭化第二鉄(FeBr)、塩化第二鉄(FeCl)、塩化ホウ素(BCl)、及び塩化チタン(TiCl)からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
使用される前記酸触媒の量が、前記有機リン化合物の量の0.1重量%〜30重量%である、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
使用される前記酸触媒の量が、前記有機リン化合物の量の0.1重量%〜30重量%である、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
使用される前記酸触媒の量が、前記有機リン化合物の量の0.1重量%〜30重量%である、請求項5に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物又はこれらの混合物を含む硬化剤。
【請求項16】
エポキシ樹脂及び請求項15に記載の硬化剤を含む難燃性エポキシ樹脂。
【請求項17】
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)又はo−クレゾールホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂(CNE)である、請求項16に記載の難燃性エポキシ樹脂。
【請求項18】
1:0.1〜1:1の相当比率でエポキシ樹脂及び請求項15に記載の硬化剤を均一に混合し、硬化させて硬化難燃性エポキシ樹脂を得るステップを含む、エポキシ樹脂及び請求項15に記載の硬化剤を含む難燃性エポキシ樹脂の調製方法。
【請求項19】
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)又はo−クレゾールホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂(CNE)である、請求項18に記載の方法。


【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−263363(P2009−263363A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−97219(P2009−97219)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(509104584)長春人造樹脂廠股▲分▼有限公司 (2)
【出願人】(506187511)國立中興大學 (12)
【Fターム(参考)】