説明

新規な界面活性ポリシロキサン光開始剤

式I又はII(式中、n及びmは、互いに独立して3〜5であり;oは、10〜16であり;pは、4〜8であり;Rは、フェニル−CO−CO−Oであり;Y及びY’は、互いに独立してC〜C10アルキレン又は−[(CH−O−(CH−(式中、aは、2〜10であり、bは、0〜10であり、cは、1〜3である)であり;但し、当該メチレン基が2個の酸素原子の間にあるならば、それらは、少なくとも1である)のポリマー光開始剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な界面活性ポリシロキサン光開始剤並びに該ポリシロキサン光開始剤を使用して安定な、耐引掻性及び/又は耐薬品性コーティングを製造する方法に関する。
【0002】
国際公表WO 02/14439は、シロキサン光開始剤を使用し、表面に集めさせる、コーティングを製造する方法について記載している。
【0003】
今、特定のシロキサン化合物が、改善された完全な硬化及び耐引掻性を供することができることを見出した。
【0004】
式I又はII:
【化3】


〔式中、
n及びmは、互いに独立して3〜5であり;
oは、10〜16であり;
pは、4〜8であり;
Rは、フェニル−CO−CO−Oであり;
Y及びY’は、互いに独立してC〜C10アルキレン又は−[(CH−O−(CH−(式中、aは、2〜10であり、bは、0〜10であり、cは、1〜3である;但し、当該メチレン基が2個の酸素原子の間にあるならば、それらは、それにもかかわらず少なくとも1である)〕
のポリマー光開始剤。
【0005】
「a」は、特に2又は3であり;「b」は、特に1〜3である。
【0006】
反復単位m、n、o及びpの値は、平均された数である。換言すると、本発明は、式I又はIIのポリマー光開始剤において、式Ia又はIIa:
【化4】


のシロキサン主鎖が、上述した平均された数m、n、o及びpを有するコポリマーの混合物からなるものに関する。n及びmは、およそ4であるのが好ましい。
【0007】
〜C10アルキレンY又はY’は、線状又は枝分れアルキレン、例えばC〜C−、C〜C−、C〜C−、C〜C−、C〜Cアルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、sec−ブチレン、tert−ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン又はデシレンである。
【0008】
特に、Y又はY’は、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン又はオクチレンである。
【0009】
式I又はIIの化合物は、当分野で一般的なエステル化条件又はエステル交換条件下、式Ia又はIIaの化合物:
【化5】


をフェニルグリオキサル酸とエステル化するか又はメチルフェニルグリオキサレートとエステル交換することによって調製することができる。
【0010】
エステル化は、例えば酸又はMitsunobu(光延)系のカップリング試薬、例えばN,N’ −ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又は1,1’ −カルボニルジイミダゾール(CDI)(光延系のカップリング試薬は、当業者に良く知られておりかつ例えばProgress in the Mitsunobu reactionに記載されている。 A review.Org.Prep.Proced.Int.(1996), 28(2), 127-64又は the Mitsunobu reaction.Org.React(N.Y.)(1992), 42 335-656.
【0011】
一般的なエステル交換触媒は、例えば有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩と水酸化物との組合せからなる群より選択する。適した溶媒は、脂肪族又は芳香族炭化水素、例えばシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン又はキシレンである。エステル交換は、また、溶媒が存在しなくとも実施することができる。
【0012】
酵素エステル交換は、また、国際公表WO 03/074718に記載されているようなヒドロラーゼ、特にエステラーゼ、リパーゼ及びプロテアーゼを使用しても可能である。
【0013】
有機ケイ素基含有光開始剤は、カルボン酸又は光不安定な官能基を含有するカルボキシレートをカルビノールを末端基とする有機ケイ素化合物で、エステル化又はエステル交換反応を触媒する酵素の存在下、エステル化又はエステル交換することによって調製する。
【0014】
使用することができる酵素は、U.T.Bornscheuer, R.T.KazlauskasによりHydrolases in Organic Synthesis; Wiley-VCH, 1999, page 65-195, ISBN 3-527-30104-6に記載されているようなヒドロラーゼ、特にエステラーゼ、リパーゼ及びプロテアーゼである。
【0015】
エステラーゼの具体例は、動物から得られるもの、例えば馬の肝臓エステラーゼ、ブタの肝臓エステラーゼ、ブタの膵臓エステラーゼ、真菌エステラーゼ又は微生物、例えばBacillus subtilisもしくはPichia polimorphaからのエステラーゼ;Rhizopus sp.−エステラーゼ、Penicillium sp.−エステラーゼ又は酵母エステラーゼ又はCandida種、Alcaligene種もしくはPseudomonas種からのエステラーゼである。
【0016】
本本発明において使用するために適したリパーゼは、動物、植物及び微生物由来のものを含む。適したリパーゼは、また、細菌及び真菌の多数の菌株にも見出される。具体的な例は、ブタの膵臓リパーゼ(PPL)(G.candidum(GCL), H.lanuginosa(HLL), Rhizopus sp.(RML, ROL), Candida sp.(CAL-A, CAL-B, CCL), Aspergillus sp.(ANL), Pseudomonas sp.(PCL, PFL)Burholderia sp.(QLM))である。
【0017】
適したタンパク分解酵素の例は、スブチリシン、サーミターゼ(thermitase)、キモトリプシン、サーモリシン、パパイン、アミノアシラセン(amioacylasen)、ペニシリンアミダーゼ又はトリプシンである。適した酵素は、当業者に知られており、上述したものには限定されない。
【0018】
酵素は、それらが化学的又は物理的に付着される支持体上で、粗抽出液として、精製の形態で又は未精製もしくは精製の形態で固定化形態で使用することができる。適した支持体は、例えばシリカゲル、珪藻土、ポリアクリルアミド、Duolite(登録商標)、Celite(登録商標)、Eupergit(登録商標)(Rohm & Haas, Darmstadt,ドイツ)等である。
【0019】
酵素は、また、架橋された酵素(CLE)として使用することもでき、かかる酵素は、Altus Corp.から得ることができる。適した酵素の使い方は、良く知られておりかつ例えば、U.T.Bornscheuer, R.T.KazlauskasによりHydrolases in Organic Synthesis; Wiley-VCH, 1999, page61-64, ISBN 3-527-30104-6に、又はK, FaberによりBiotransformation in Organic Chemistry, Springer 1997, 第3版、345-357, ISBN 3-540-61688-8; H.J.G.RehmによりBiotechnology, VCH 1998, 第2版、407-411に記載されている。
【0020】
市販されている酵素(Fluka, Sigma, Novo, Amano, Roche等)、又は良く知られておりかつ例えばH.J.Rehm, G.ReedによりによりBiotechnology, VCH 1998, 第2版、page40-42に記載されている酵素が好適である。
【0021】
熱安定性の固定化リパーゼ、例えばNovozyme 435(組み換えCandidaアンタークチカリパーゼB(E.M.Anderson等、Biocat.Biotransf.1998.16, 181), (Firma NOVO Nordisk, Bagswaerd,デンマーク)又は酵素QLM,QL(メイト産業、日本)が特に好適である。
【0022】
エステラーゼ、リパーゼ及び/又はプロテアーゼ活性を有する酵素は、天然源から及び/又は当分野で知られている標準の手順を使用して微生物から、例えば発現及び増幅を経るクローニングプロセスから得ることができる。
【0023】
すなわち、本発明は、フェニルグリオキサル酸C〜C10アルキルエステルと、
式I’又はII’:
【化6】


(式中、Y及びY’は、請求項1に規定する通りであり、ZはOH又はNHである)
のOH−又はアミノを末端基とする有機ケイ素化合物とを、
エステル化、エステル交換又はアミド化反応を触媒する酵素の存在下、反応させることによって請求項1に規定する通り式I又はIIののポリマー光開始剤を製造する方法に関する。
【0024】
酵素エステル化又はエステル交換は、低い温度、特に10〜80℃、好ましくは25〜60℃で実施する。
【0025】
酵素エステル化、エステル交換又はアミド化は、溶媒を加えないか又は有機溶媒、例えばヘキサン、トルエン、ベンゼン、THF、ジエチルエーテル、メチル−tブチルエーテル、塩化メチレン等中で実施することができる。
【0026】
酵素触媒の使用量は、使用する基材及び反応条件、例えば温度、反応時間、溶媒に依存するが、使用する改変シロキサンに基づいて0.01〜20重量%、好ましくは1〜10重量%にすることができる。
【0027】
反応時間は、酵素触媒の使用する量及び活性に依存し、例えば48時間まで、好ましくは24時間までである。
【0028】
転化の度合を最大にするためには、反応の水及び/又はアルカノールを、例えば真空蒸留によって除くのが有利である。
【0029】
反応の終了後に、酵素触媒を、適当な手段、例えばろ過又はデカンテーションによって分離して除くことができ、所望ならば、任意の回数使用することができる。
【0030】
固定化された又は不溶性の酵素を使用するのが有利である。そのような方法は、全般的にW.Tischer等TIBTECH 1999, 17, 326; J.Lalonde, Curr.Opin.Drug Disk.& Develop.1998, 1(3), 271に記載されている。
【0031】
また、プロセスを適当な反応装置で連続して実施することも可能である。そのようなプロセスは、全般的にV.M.Balcao等、Enzyme Microbiol.Techn.1996, 18, 392; L.Giorno等、TIBTECH 2000, 18, 339に記載されている。
【0032】
式I及びIIの化合物を得るその他の可能性は、国際公表WO 02/14439に記載されている。
【0033】
式Ia又はIIaの化合物は、Wacker又はDegussaシロキサンの製品であり、Wacker又はDegussaから購入することができる。
【0034】
式I’又はII’ の化合物は、既知の方法によって合成することができる。例えば、調製の方法及び/又は調製するための文献例示は、Gelestカタログ「ABCR Gelet 2000」、page434-447頁に見出すことができる。
【0035】
光開始剤は、硬化すべきコーティングの表面にとりわけ集められる:換言すると、開始剤が配合物の表面に向かって特異的に配向する。
【0036】
よって、本発明は、また、下記を含む光硬化性組成も提供する:
(A)少なくとも一種のエチレン性不飽和遊離基光重合性化合物;及び
(B)式I又はIIの少なくとも一種の界面活性光開始剤;
(C)場合により熱架橋性化合物;
(D)場合により更なる添加剤;
(E)場合により更なる光開始剤。
【0037】
本発明は、更に、上に規定した通りの光硬化性組成物を基材に適用し;次いで波長が200nmからNIR(近赤外)域又はIR域に入る範囲の電磁線に曝露することによるだけか、或は波長が200nmからNIR域又はIR域に入る範囲の電磁線に曝露し、その前に、それと同時に及び/又はそれに引続いて加熱することによるかのいずれかで硬化させる、耐引掻性及び/又は耐薬品性の表面を有するコーティングを製造する方法を提供する。
【0038】
NIR−硬化
本発明による方法において用いるNIR線は、波長範囲約750nm〜約1500nm、好ましくは750nm〜1200nmの短波赤外線である。NIR線用の線源は、例えば従来のNIR線放射源を含み、これらは、市販されている(例えばAdphosから)。
【0039】
IR−硬化
本発明による方法において用いるIR線は、波長範囲約1500nm〜約3000nmの中波線及び/又は波長範囲が約3000nmを越える波が一層長い赤外線である。この種のIR線放射源は、市販されている(例えばHeraeusから)。
【0040】
UV−硬化
光化学硬化工程は、通常波長が約200nm〜約600nm、特に200nm〜450nmの光を使用して実施する。光源として、多数の最も多様なタイプがある。点源及び平型なプロジェクター(ランプカーペット)の両方が適している。例は、下記である;カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、中−、高−及び低圧水銀ランプ、場合によりハロゲン化金属をドープしたもの(ハロゲン化金属ランプ)、LED−ランプ、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマランプ、超化学線蛍光管、蛍光灯、アルゴンフィラメントランプ、電子フラッシュランプ、写真用フラッドライト、電子ビーム、及びシンクロトロン又はレーザープラズマ又はマイクロ波プラズマによって発生されるX線。
【0041】
式I及びIIの本発明の光開始剤は、純粋に光硬化性配合物において又は光硬化性及び熱硬化性配合物において使用することができる。熱硬化は、光に曝露する前に、その間に又は曝露した後に行ってよい。
【0042】
よって、本発明は、また、光硬化性配合物が、それ以上の成分として、少なくとも一種の熱架橋性化合物(C)を含み、及び配合物を、波長が200nmからNIR域又はIR域の中にわたる光に曝露し、その前に、それと同時に及び/又はそれに引続いて加熱することによって硬化させる。
【0043】
本発明によれば、式I又はIIの化合物を、エチレン性不飽和化合物又はそのような化合物を含む混合物を光重合させるための界面活性光開始剤として使用することができる。式I又はIIの化合物は、対応する配合物の表面に向けて配向を受ける。本発明によれば、式I又はIIの開始剤は、シロキサン変性樹脂成分を含む組成物において用いない、というのは、そのような組成物では、表面における集積が起こることが不可能であり;代わりに、開始剤は、配合物と相容性であり、従って容易に混和し得るからである。
【0044】
本発明は、また、エチレン性不飽和光硬化性化合物を含む光硬化性混合物に式I又はIIの界面活性光開始剤を添加することを含む、エチレン性不飽和光硬化性化合物を含むコーティングの表面に集めさせる方法も提供する。
【0045】
不飽和化合物(A)は、オレフィン性二重結合を1個以上含有することができる。それらは、低(モノマー性)又は相対的に高い(オリゴマー性)分子質量のものにすることができる。二重結合を含有するモノマーの例は、アルキルもしくはヒドロキシアルキルアクリレートもしくはメタクリレート、例えばメチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシルもしくは2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート又はエチルメタクリレートである。その他の例は、アクリルニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換された(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、例えばビニルアセテート、ビニルエーテル、例えばイソブチルビニルエーテル、スチレン、アルキルスチレン及びハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル又は塩化ビニリデンである。
【0046】
2個以上の二重結合を含有するモノマーの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール及びBisphenol Aジアクリレート、4,4’−ビス(2−アクリロイルエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート或はトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレートである。
【0047】
分子質量の比較的に高い(オリゴマー性)ポリ不飽和化合物の例は、アクリル化エポキシ樹脂及びアクリル化又はビニルエーテル−又はエポキシ-官能性ポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテルである。不飽和オリゴマーの更なる例は、一般にマレイン酸、フタル酸と一種以上のジオールとから製造され、分子量約500〜3000を有する不飽和ポリエステル樹脂である。これらに加えて、またビニルエーテルモノマー及びオリゴマー、かつまたマレエートを末端基とするオリゴマーを、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びエポキシド主鎖と使用することも可能である。WO 90/01512に記載されている通りの、ビニルエーテル基を保持するポリマーとオリゴマーとの組合せが特に適している。しかし、また、マレイン酸及びビニルエーテルで官能化されたモノマーのコポリマーも適している。
【0048】
また、遊離基重合可能な二重結合を1個以上含有する化合物も適している。これらの化合物では、遊離基重合可能な二重結合は、(メタ)アクリロイル基の形態であることが好ましい。(メタ)アクリロイル及び(メタ)アクリルは、それぞれ、ここで及び以下でアクリロイル及び/又はメタアクリロイル、並びにアクリル及び/又はメタクリルをそれぞれ意味する。分子中に少なくとも2個の重合可能な二重結合が(メタ)アクリロイル基の形態で存在することが好ましい。当該化合物は、例えば、ポリ(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル官能性オリゴマー性及び/又はポリマー性化合物を含むことができる。この化合物の数平均分子質量は、例えば300〜10000、好ましくは、800〜10000にすることができる。好ましくは遊離基重合可能な二重結合を(メタ)アクリロイル基の形態で含有する化合物は、慣例の方法により、例えばポリ(メタ)アクリレートをポリ(メタ)アクル酸と反応させることによって得ることができる。これらやその他の製造方法は、文献に記載されておりかつ当業者に知られている。
【0049】
この種の不飽和オリゴマーは、またプレポリマーと呼ぶこともできる。
【0050】
官能化されたアクリレートも適している。そのような官能化されたアクリレート及びメタクリレートポリマーの主鎖(ベースポリマー)を形成するのに通常用いる、適したモノマーの例は、アクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等である。加えて、官能性ポリマーを得るために、重合反応の間に適切な量の官能性モノマーを共重合させる。酸官能化されたアクリレート又はメタクリレートポリマーは、アクリル酸及びメタクリル酸のような酸官能性モノマーを使用して得られる。ヒドロキシ官能性アクリレート又はメタクリレートポリマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート及び3,4−ジヒドロキシブチルメタクリレートのようなヒドロキシ官能性モノマーから形成する。エポキシ官能化されたアクリレート又はメタクリレートポリマーは、グリシジルメタクリレート、2,3−エポキシブチルメタクリレート、3,4−エポキシブチルメタクリレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、10,11−エポキシウンデシルメタクリレート等のようなエポキシ官能性モノマーを使用して得られる。同様に、例えば、イソシアネート官能化されたポリマーは、例えばメタ−イソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネートのようなイソシアネート官能化されたモノマーから製造することができる。
【0051】
特に適した化合物は、例えば、エチレン性不飽和の一官能性又はポリ官能性カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドとのエステル、及びエチレン性不飽和基を鎖又は側基中に含有するポリマー、例えば不飽和ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン及びそれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタジエン及びブタジエンコポリマー、ポリイソプレン及びイソプレンコポリマー、側基中に(メタ)アクリル基を含有するポリマー及びコポリマー、並びにまたそのようなのポリマーの一種以上の混合物である。
【0052】
適した一官能性又はポリ官能性不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、マレイン酸、フマル酸、不飽和脂肪酸、例えばリノレン酸又はオレイン酸である。アクル酸及びメタクリル酸が好適である。
【0053】
しかし、また、飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸を不飽和カルボン酸との混合物で使用することも可能である。適した飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸の例は、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ヘプタンジカルボン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸等を含む。
【0054】
適したポリオールは、芳香族、特に脂肪族及び脂環式ポリオールを含む。芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、また、ノボラック及びレゾールである。ポリエポキシドの例は、上述したポリオール、特に芳香族ポリオール、及びエピクロロヒドリンをベースにしたものである。それ以上の適したポリオールは、ヒドロキシル基をポリマー鎖又は側基中に含有するポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルアルコール及びそのコポリマー又はポリヒドロキシアルキルメタクリレート又はそれらのコポリマーのようなものを含む。ヒドロキシル末端基を含有するオリゴエステルは、更に適したポリオールである。
【0055】
脂肪族及び脂環式ポリオールの例は、好ましくは炭素原子2〜12を有するアルキレンジオール、例えばエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量、好ましくは200〜1500を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス−(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びソルビトールである。
【0056】
ポリオールは、一種以上の異なる不飽和カルボン酸によって一部又は全部エステル化されていてもよく、部分エステル中の遊離ヒドロキシル基は、他のカルボン酸によって変性、例えばエーテル化又はエステル化されていることができる。
【0057】
エステルの例は、下記である:
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセロールジアクリレート及びトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、分子量200〜1500を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、又はそれらの混合物。
【0058】
適した成分(A)は、また、同一の又は異なる不飽和カルボン酸と、アミノ基を好ましくは2〜6個、特に2〜4個有する芳香族、脂環式及び脂肪族ポリアミンとのアミドも含む。そのようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−又は1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3又は1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジ−(β−アミノエトキシ)−又はジ−(β−アミノプロポキシ)−エタンである。更なる適したポリアミンは、ことによると追加のアミノ基を側鎖中に含有するポリマー及びコポリマー、並びにアミノ末端基を有するオリゴアミドである。そのような不飽和アミドの例は、下記である:メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレート、及びN−[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミド。
【0059】
適した不飽和ポリエステル及びポリアミドは、例えばマレイン酸とジオール又はジアミンとから誘導される。マレイン酸は、一部他のジカルボン酸によって置換されていてもよい。それらは、エチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンと一緒に用いてもよい。ポリエステル及びポリアミドは、また、ジカルボン酸とエチレン性不飽和ジオール又はジアミンとから、特に比較的に長い鎖のもの、例えば炭素原子6〜20を有するものから誘導してもよい。ポリウレタンの例は、飽和又は不飽和ジイソシアネートと不飽和又は飽和ジオールとからそれぞれ合成したものである。
【0060】
ポリブタジエン及びポリイソプレン及びそれらのコポリマーは、知られている。適したコモノマーの例は、オレフィン、例えばエチレン、プロペン、ブテン、ヘキセン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン又は塩化ビニルである。(メタ)アクリレート基を側鎖中に含有するポリマーも同様に知られている。それらは、例えば、ノボラックベースのエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物、ビニルアルコール又は(メタ)アクリル酸でエステル化されている、そのヒドロキシアルキル誘導体のホモポリマー又はコポリマー、或はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでエステル化された(メタ)アクリレートのホモポリマー及びコポリマーを含むことができる。
【0061】
光重合性化合物(A)は、単独で用いても又は任意の所望の混合物で使用してもよい。ポリオール(メタ)アクリレートの混合物を使用するのが好ましい。
【0062】
また、本発明の組成物に、光重合性化合物が液状又は粘稠な物質である時に特に適切なバインダーを加えることも可能である。バインダーの量は、総括の固形分を基準にして、例えば重量により5〜95%、好ましくは10〜90%、特に40〜90%にすることができる。バインダーの選定は、使用の分野並びにその分野について要求される性質、例えば水性及び有機溶媒系における展開可能性、基材への接着性、及び酸素官能性のようなものに応じて行う。
【0063】
不飽和化合物は、また、非光重合性フィルム形成性成分との混合物で使用してもよい。これらは、例えば物理的乾燥性ポリマー又はそれらの有機溶媒溶液、例えばニトロセルロース又はセルロースアセトブチレートにすることができる。しかし、それらは、また、化学的及び/又は熱的硬化性樹脂、例えばポリイソシアネート、ポリエポキシド又はメラミン樹脂にすることもできる。メラミン樹脂とは、メラミンの縮合物(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)ばかりでなく、またメラミン誘導体のものも意味する。通常、成分は、熱可塑性又は熱硬化性樹脂、主に熱硬化性樹脂に基づくフィルム形成性バインダーを含む。それらの例は、アルキド、アクリル系、ポリエステル、フェノール系、メラミン、エポキシ及びポリウレタン樹脂及びそれらの混合物である。熱硬化性樹脂の追加の使用は、光重合し及びまた熱架橋の両方をすることができる混成系として知られているものにおいて使用するために重要である。
【0064】
成分(A)は、例えば下記を含むコーティング組成物を含むことができる:
(A1)1個以上の遊離基重合可能な二重結合を含有し、かつ付加反応及び/又は縮合反応の意味で反応性である、更なる他の官能基を少なくとも1個含有する化合物(例は、上述した)、
(A2)1個以上の遊離基重合可能な二重結合を含有し、かつ付加反応及び/又は縮合反応の意味で反応性である、更なる他の官能基を少なくとも1個含有する化合物(付加反応性官能基は、成分(A1)の付加反応性官能基を補足し又は付加反応性官能基の方に反応性である)、
(A3)場合により、遊離基重合可能な二重結合に加えて存在する、成分(A1)又は成分(A2)からの官能基の方に付加反応及び/又は縮合反応の意味で反応性である官能基を少なくとも1個含有する、少なくとも一種のモノマー性、オリゴマー性及び/又はポリマー性化合物。
【0065】
成分(A2)は、各々の場合において、成分(A1)の方に反応性であり又は成分(A1)を補足する基を保有する。この状況では、各々の場合において、異なる種類の官能基が1つの成分中に存在することが可能である。成分(A3)中に、遊離基重合可能な二重結合に加えて存在する、付加反応及び/又は縮合反応の意味で反応性でありかつ(A1)又は(A2)の官能基と反応することができる官能基を含有する更なる利用可能な成分が存在する。成分(A3)は、遊離基重合可能な二重結合を含有しない。(A1)、(A2)、(A3)のそのような組合せの例は、WO 99/55785に見出すことができる。適した反応性官能基の例は、例えばヒドロキシル、イソシアネート、エポキシド、無水物、カルボキシル、チオール又はブロックトアミノ基から選ばれる。例は、上述した。
【0066】
成分(C)の構成物質は、例えば当分野で慣例の熱硬化性コーティング系構成物質である。よって、成分(C)は、二種以上の構成物質を含むことができる。
【0067】
成分(C)の例は、α,β−不飽和酸及びそれらの誘導体に由来するオリゴマー及び/又はポリマー;例はポリアクリレート及びポリメタクリレート、並びにブチルアクリレートを用いて耐衝撃性改良されたポリアクリロニトリル、ポリアクリロアミド及びポリメチルメタクリレートである。成分(C)の更なる例は、ウレタン、一方で遊離のヒドロキシル基又はチオール基及び他方で脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートを含有するポリエーテル、ポリエステル及びポリアクリレートに由来するポリウレタン、並びにまたそれらの前駆物質である。よって、成分(C)は、また、例えば置換されたアクリレート、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレートに由来する架橋可能なアクリル系樹脂も含む。また、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート及びエポキシ樹脂で架橋される、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂及びそれらの変性物が、成分(C)の構成物質になることも可能である。
【0068】
成分(C)は、通常、例えば熱可塑性又は熱硬化性樹脂、主に熱硬化性樹脂をベースにしたフィルム形成性バインダーを含む。それらの例は、アルキド、アクリル系、ポリエステル、フェノール系、メラミン、エポキシ及びポリウレタン樹脂及びこれらの混合物である。
これらの例は、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、A18巻、pp.368-426, VCH, Weinheim 1991に記載されている。
【0069】
成分(C)は、常温硬化性又は熱硬化性バインダーであり、硬化用触媒を添加することが好都合である場合がある。バインダーの硬化を促進する適した触媒の例は、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、 A18巻、VCH Verlagsgesellscaft, Weinheim 1991に記載されている。
【0070】
成分(C)として適した具体的なバインダーの例は、下記である:
1.常温−又は熱架橋性アルキド、アクリレート、ポリエステル、エポキシ又はメラミン樹脂又はそのような樹脂の混合物をベースにし、硬化用触媒を添加した又は添加しない塗料;
2.ヒドロキシル含有アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂及び脂肪族又は芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースにした2成分ポリウレタン塗料;
3.熱する過程で脱ブロックされるブロックトイソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースにした1成分ポリウレタン塗料;適宜に、メラミン樹脂も加えることができる。
4.脂肪族又は芳香族ウレタン又はポリウレタン及びヒドロキシル含有アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂をベースにした1成分ポリウレタン塗料;
5.ウレタン構造中に遊離アミン基を有する脂肪族又は芳香族ウレタンアクリレート又はポリウレタンアクリレート及びメラミン樹脂又はポリエーテル樹脂をベースにし、硬化用触媒を添加した又は添加しない1成分ポリウレタン塗料;
6.(ポリ)ケチミン及び脂肪族又は芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースにした2成分塗料;
7.(ポリ)ケチミン及び不飽和アクリレート樹脂又はポリアセトアセテート樹脂又はメタクリルアミドグリコレートメチルエステルをベースにした2成分塗料;
8.カルボキシル−又はアミノ−含有ポリアクリレート及びポリエポキシドをベースにした2成分塗料;
9.無水物基を含有するアクリレート樹脂及びポリヒドロキシ又はポリアミノ成分をベースにした2成分塗料;
10.アクリレート含有無水物及びポリエポキシドをベースにした2成分塗料;
11.(ポリ)オキサゾリン及び無水物基を含有するアクリレート樹脂、又は不飽和アクリレート樹脂又は脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレートもしくはポリイソシアネートをベースにした2成分塗料;
12.不飽和ポリアクリレート及びポリマロネートをベースにした2成分塗料;
13.エーテル化メラミン樹脂と組み合わせた熱可塑性アクリレート樹脂又は外部架橋性アクリレート樹脂をベースにした熱可塑性ポリアクリレート塗料;
14.(メタ)アクリロイル基及び遊離イソシアネート基を含有するウレタン(メタ)アクリレート及び一種以上のイソシアネート反応性化合物、例えば非エステル化又はエステル化ポリオールをベースにした塗料系。そのような系は、例えばEP 928800に公表されている。
【0071】
中でも成分(C)に用いることができるようなブロックトイソシアネートは、例えばOrganischer Metallschuntz: Entwicklung und Anwendung von Beschichtungsstoffen [Organic Protection of Metals: Development and Application of Coating Materials], page 159-160、Vincentz Verlag, Hannover(1993)に記載されている。これらは、反応性の高いNCO基が、特定のラジカル、例えば第一級アルコール、フェノール、アセトアセテート、ε−カプロラクタム、フタルイミド、イミダゾール、オキシム又はアミンとの反応によって「ブロックされる」化合物である。ブロックトイソシアネートは、液体系でかつまたヒドロキシル基の存在において安定である。加熱時に、ブロッキング剤が排除され、NCO基が曝露される。
【0072】
1成分(1K)系及び2成分(2K)系の両方を成分(C)として用いることができる。そのような系の例は、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry A18巻、Paints and Coatings, page 404-407、VCH Verlagsgesellscaft mbH, Weinheim(1991)に記載されている。
【0073】
組成物は、配合物を、例えばバインダー/架橋剤比を変えることによって特別に適合させることによって最適化することができる。そのような手段は、コーティング技術の当業者に良く知られている。
【0074】
本発明の硬化方法では、成分(C)は、アクリレート/メラミン(及びメラミン誘導体)、2−成分ポリウレタン、1−成分ポリウレタン、2−成分エポキシ/カルボキシ又は1−成分エポキシ/カルボキシをベースにした混合物であるのが好ましい。これらの系の混合物も可能であり、例は、メラミン(又はその誘導体)を1−成分ポリウレタンに加えることである。
【0075】
成分(C)は、ポリアクリレートとメラミンとを又はメラミン誘導体をベースにしたバインダーが好ましい。また、ポリアクリレートポリオール及び/又はポリエステルポリオールと非ブロックトポリイソシアネート又はポリイソシアネレートとをベースにした系も好ましい。
【0076】
成分(C)は、更に、エチレン性不飽和結合を含有するモノマー性及び/又はオリゴマー化合物(プレポリマー)であって、加えて成分(C)のバインダー及び/又は架橋剤の置換基と反応することができるOH,SH,NH,COOH,エポキシ又はNCO基(C=1)を少なくとも1個以上含有するものを含むことができる。適用しかつ熱硬化した後に、エチレン性不飽和結合は、UV線によって、架橋された高分子のマス形態に転換される。そのような成分(C)の例は、例えば、上述した刊行物Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5版、A18巻、pages 451-453に、又はS.Urano, K.Aoki, N.Tsuboniva及びR.MizuguchiによりProgress in Organic Coatings, 20(1992), 471-486に、又はH.Terashima及びO.IsozakiによりJOCCA 1992(6), 222に記載されている。
【0077】
(C1)は、例えばOH含有不飽和アクリレート、例えばヒドロキシエチル又はヒドロキシブチルアクリレートさもないとグリシジルアクリレートにすることができる。成分(C1)は、エチレン性不飽和二重結合かつまた遊離のOH,COOH,NH,エポキシ又はNCO基が存在するならば、任意の所望の構造(例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、等の単位)のものでよい。
【0078】
(C1)は、また、例えばエポキシ官能性オリゴマーとアクリル酸又はメタクリル酸とを反応させることによっても得ることができる。ビニル性二重結合を含有するOH−官能性オリゴマーの代表的な例は、下記:
【化7】


であり、これは、CH=CHCOOHと、式:
【化8】


とを反応させることによって得られる。
【0079】
成分(C1)を調製するための可能性の一つは、また、例えばエポキシ基を1個だけ含有しかつ分子中の別の部位に遊離のOH基を保有するオリゴマーの反応である。
【0080】
UV架橋性及び熱架橋性配合物における成分(A)対(C)の比は、決定的なものではない。「二重硬化」系は、当業者に良く知られており、従って、当業者には、特定の所望の用途のためのUV−架橋可能な成分及び熱架橋可能な成分の最適な割合は良く知られている。例えば、組成物は、成分(A)と(C)を、比5:95〜95:5、20:80〜80:20又は30:70〜70:30、例えば40:60〜60:40で含むことができる。
【0081】
「二重硬化」系、すなわちUV−硬化可能な成分及び熱硬化可能な成分の両方を含有する系は、中でも米国特許第5,922,473号、第6〜10欄に見出すことができる。
【0082】
本発明の方法において使用する組成物に、溶媒又は水を加えることも可能である。組成物を溶媒を用いないで使用する場合には、それらは、例えば粉末コーティング配合物を含む。適した溶媒は、当業者に知られておりかつ特にコーティング技術において通例の溶媒である。例は、ケトン、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノンのような;芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン又はテトラメチルベンゼン;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルのようなグリコールエーテル;エチルアセテートのようなエステル;ヘキサン、オクタン、デカンのような脂肪族炭化水素;又は石油エーテルのような溶媒のような種々の有機溶媒である。
【0083】
本発明は、また、成分(A)として、少なくとも一種のエチレン性不飽和の光重合性化合物を水中のエマルション又は溶液で含む組成物も提供する。そのような放射線硬化性水性プレポリマー分散液は、数多くの変型で市販されている。それらは、水及びその中に分散された少なくとも一種のプレポリマーを含むと理解される。これらの系における水の濃度は、例えば重量により5〜80、特に30〜60%である。放射線硬化性水性プレポリマー又はプレポリマー混合物は、例えば重量により95〜20、特に70〜40%の濃度で存在する。これらの組成物において、水及びプレポリマーについて述べた百分率の合計は、各々の場合において100である;補助剤及び添加剤は、意図する使用に応じて異なる残余の量である。
【0084】
水中に分散状態のかつまたしばしば溶液状態の放射線硬化性フィルム形成性プレポリマーは、一官能価の又は多官能価のエチレン性不飽和プレポリマーを含み、かかるプレポリマーは、それら自体水性プレポリマー分散液用に知られており、遊離基によって開始させることができ、重合可能な二重結合含量、例えば0.01〜100モル/プレポリマー100gを有しかつまた平均分子量、例えば少なくとも400、特に500〜10000を有する。しかし、意図する用途に応じて、分子量が一層高いプレポリマーも適切である場合もある。例えば、重合可能なC−C二重結合を含有しかつ酸価が10以下のポリエステル、重合可能なC−C二重結合を含有するポリエーテル、分子当たり少なくとも2個のエポキシド基を含有するポリエポキシドと、少なくとも一種のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とのヒドロキル含有反応生成物、また、例えばEP 012339に記載されている通りのα,β−エチレン性不飽和アクリルラジカルを含有するアクリル系コポリマーを使用する。更なる適したプレポリマーの例は、EP 033896に記載されている重合可能なプレポリマーを含み、該プレポリマーは、平均分子量少なくとも600、カルボキシル基含量0.2〜15%及び重合可能なC−C二重結合含量0.01〜0.8モル/プレポリマー100gを有する重合可能なプレポリマーのチオエーテル付加物である。特定のアルキル(メタ)アクリレートをベースにしたその他の適した水性分散液は、EP 041125に記載されており;ウレタンアクリレートを含む適した水分散性の放射線硬化性プレポリマーは、例えばDE 2936039に挙げられている。
【0085】
更なる添加として、これらの放射線硬化性水性プレポリマー分散液は、分散助剤、乳化剤、酸化防止剤、光安定剤、染料、顔料、例えばタルク、石膏、シリカ、ルチル、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化鉄、反応促進剤、均染剤、滑剤、湿潤剤、増粘剤、艶消剤、消泡剤、及びコーティング技術において慣例のその他の補助剤を含むことができる。適した分散助剤は、極性基を含有する高分子質量の水溶性有機化合物、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン又はセルロースエーテルを含む。使用することができる乳化剤は、非イオン系乳化剤を含み、また可能であればイオン系乳化剤も含む。
【0086】
本発明の化合物及びそれらの混合物は、また放射線硬化性粉末コーティング又は粉末スラリー材料用遊離基光開始剤又は光開始系として使用してもよい。粉末コーティング材料は、固体樹脂並びに反応性二重結合を含有するモノマー、例えばマレエート、ビニルエーテル、アクリレート、アクリルアミド及びこれらの混合物をベースにすることができる。遊離基UV−硬化性粉末コーティング材料は、M.Wittig及びTh.Gohmannによる論文“Radiation Curing of Powder Coating”, Conference Proceedings, Radtech Europe 1993に記載されている通りに、不飽和ポリエステル樹脂と、固体アクリルアミド(例えば、メチルアクリルアミドグリコレートメチルエステル)及び本発明の遊離基光開始剤とを混合することによって配合することができる。粉末コーティング材料は、また、DE 4228514及びEP 636669に記載されている通りに、バインダーを含んでいてもよい。EP 636669に記載されている粉末コーティング配合物は、例えば、(a)(半)結晶性もしくは非晶質不飽和ポリエステル、不飽和ポリアクリレート又はこれらと不飽和ポリエステルとの混合物の群からの不飽和樹脂、特にマレイン酸又はフマル酸に由来するものが好ましい;(b)ビニルエーテル−官能基、ビニルエステル−官能基又は(メタ)アクリレート官能基を含有するオリゴマー性又はポリマー性架橋剤、特にジビニルエーテル−官能化されたウレタンのようなビニルエーテルオリゴマーが好ましい;(c)光開始剤を含有する。
【0087】
UV−硬化性粉末コーティング材料は、また、白色又は着色顔料を含んでいてもよい。例えば、好ましくは、良好な隠蔽力を所有する硬化粉末コーティングを得るために、ルチル型二酸化チタンを50重量%までの濃度で使用してもよい。その手法は、静電又は摩擦(tribostatic)吹付によって粉末を、基材、例えば金属又は木材に適用し、粉末を加熱することによって溶融させ、平滑な膜が形成した後に、コーティングを、例えば中圧水銀ランプ、ハロゲン化金属ランプ又はキセノンランプを使用して、紫外線及び/又は可視光線で放射線硬化することを伴うのが普通である。放射線硬化性粉末コーティング材料が、熱硬化性のそれらの対応物に勝る特別の利点は、平滑な、高光沢のコーティングの形成を確実にするために、粉末粒子を溶融した後の流動時間を選択的に延長することができることである。放射線硬化性粉末コーティング材料は、熱硬化系と異なり、相対的に低い温度で溶融するような方法で耐用年数が短縮されることの望まない作用を持たないような形で配合することができる。この理由で、それらは、また、木材又はプラスチックスのような熱に敏感な基材用コーティングとしても適している。
【0088】
粉末コーティング材料は、金属(ビヒクルコーティング)の場合のように、熱に敏感な基材に適用すべきでないが、本発明の光開始剤を用いて二重硬化粉末コーティング配合物を提供することも可能である。当業者には、そのような配合物を知られており;それらは、熱的に及びUVの両方で硬化される。この種の配合物は、例えば米国特許第5,922,473号に挙げられている。
【0089】
粉末コーティング配合物は、本発明の光開始剤の他に、UV吸収剤も含んでよい。適切な例を後で下記に掲記する。
【0090】
光重合可能な混合物は、光開始剤の他に、種々の添加剤(D)を含むことができる。これらの例は、熱反応抑制剤であり、これらは、早すぎる期重合を防止することを意図するものであり、例えばヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、p−メトキシフェノール、β−ナフトール又は立体障害フェノール、例えば2,6−ジ(t−ブチル)−p−クレゾールである。暗所保存安定性を増大させるために、銅化合物、例えば銅ナフテネート、銅ステアレート又は銅オクトエート、リン化合物、例えばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィット又はトリベンジルホスフィット、四級アンモニウム化合物、例えばテトラメチルアンモニウムクロリド又はトリメチルベンジルアンモニウムクロリド、又はヒドロキシルアミン誘導体、例えばN−ジエチルヒドロキシルアミンを使用することが可能である。重合の過程で大気酸素を除く目的で、パラフィン又は同様のワックス様物質を加えることが可能であり、これらの物質は、ポリマーへの溶解性が低いため、重合の開始時に、表面に移動し、そこでそれらは、透明な表面層を形成して空気の進入を防ぐ。同様に、酸素不透過性層を適用することが可能である。加えることができる光安定剤は、UV吸収剤、例えばヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、オキサルミド又はヒドロキシフェニル−s−トリアジンタイプのものを含む。これらの化合物は、立体障害アミン(HALS)を使用して又は使用しないで、個々に又は混合物で使用してもよい。
【0091】
UV吸収剤及び光安定剤の例は、下記である:
1.2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2−2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール];2−[3’−tert−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとフェニレングリーコル300とのエステル交換生成物;[R−CHCH−COO−CHCH−(式中、R=3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル]ベンゾトリアゾール;2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)−フェニル]ベンゾトリアゾール。
【0092】
2.ヒドロキシベンゾフェノン、例えば4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクチルオキシ、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2’,4’−トリヒドロキシ及び2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体。
【0093】
3.置換された及び未置換の安息香酸のエステル、例えば4−tert−ブチル−フェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレソルシノール、ビス(4−tert−ブチル−ベンゾイル)レソルシノール、ベンゾイルレソルシノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート。
【0094】
4.アシレート、例えばエチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチルα−カルボメトキシシンナメート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチルα−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメート及びN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン。
【0095】
5.立体障害アミン、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物、N,N’− ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの線状又は環状縮合物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、1,1’−( 1,2−エタンジイル− ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペリジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート、N,N’− ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの線状又は環状縮合物、2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2− ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物、
【0096】
Tinuvin 152(2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)
2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2− ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−と4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの混合物、N,N’− ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、1,2− ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンと、4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合生成物(CAS Reg.No.[136504−96−6];N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシル−スクシンイミド、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシル−スクシンイミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4.5]デカン、7,7,9,9−テトラメチル−1−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4.5]デカンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、1,1−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)−2−(4−メトキシフェニル)エタン、N,N’ −ビス−ホルミル−N,N’ −ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、4−メトキシ−メチレン−マロン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ヒドロキシピペリジンとのジエステル、ポリ[メチルプロピル−3−オキシ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)シロキサン、マレイン酸無水物−α−オレフィン−コポリマーと1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジン又は1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジンとの反応生成物。
【0097】
6.オキサミド、例えば4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’− ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’ −ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エトキサニリド及びそれと2−エトキシ−2’−エチル−5,4’− ジ−tert−ブトキサニリドとの混合物、o−及びp−メトキシ−二置換されたオキサニリドの混合物並びにo−及びp−エトキシ−二置換されたオキサニリドの混合物。
7.2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば2,4−ビス(4−フェニルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]−1,3,5−トリアジン;2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシ−プロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシ−プロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシ−プロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0098】
8.ホスフィット及びホスホニット、例えば、トリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリスリトールジホスフィット、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィット、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィット、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィット、ビス(2,4,6−トリス(tert−ブチル)フェニルペンタエリスリトールジホスフィット、トリステアリルソルビトールトリホスフィット、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホニット、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12H−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスフィット、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12−メチル−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、2,2’,2”−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’,5,5’− テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスフィット]、2−エチルヘキシル(3,3’,5,5’− テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスフィット)、5−ブチル−5−エチル−2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノキシ]−1,3,2−ジオキサホスフィラン。
【0099】
加えて、当分野で慣例の添加剤、例えば帯電防止剤、流動性向上剤及び定着剤を使用することが可能である。
【0100】
本発明の化合物の界面活性により、これらの化合物を単独でか又はそれ以上の慣例の流動性向上剤と組み合わせてのいずれかで、流動性向上剤として使用することも可能である。
【0101】
本発明は、加えて、式I又はIIの化合物の、単独で又はそれ以上の慣例の流動性向上剤と組み合わせての、流動性向上剤としての使用を提供する。
【0102】
DIN55945は、レベリングを、「未だ液状のコーティング自体がその適用の過程で発生するむらを補正する多かれ少なかれ顕著な能力」と定義している(J.Bieleman, Lackadditive [Additive for Coatings], VCH Weinheim 1998、6章を参照)。コーティング材料のレベリングは、それの流動挙動及びそれの表面張力に大きく依存する。流動性向上剤は、湿潤コーティングが、粘度及び/又は表面張力を低減させることによって、均一に展開する膜となるのを助成する物質である。粉末コーティング材料の場合、流動性向上剤は、また、溶融粘度及びガラス転移温度も下げかつさらなる脱蔵効果も有する。流動性向上剤は、コーティングの総括的外観を悪くするレベリング欠陥又は表面欠陥を除くために使用する。レベリング欠陥又は表面欠陥は、ユズ肌作用、構造の形成、へこみ、フィッシュアイ、延伸への感応性、基材湿潤問題、はけ目、流れ、こま切れ(bittiness)、ピンホール、等を含む。流動性向上剤としての本発明の化合物の使用は、表面張力を低減させることを可能にする。表面張力は、表面上の液体の滴の周縁の角度を求める(接触角測定)ことによって計算することができる。
【0103】
光重合を促進するために、アミン、例えばトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、エチル−p−ジメチルアミノベンゾエート、又はミヒラーケトンをそれ以上の添加剤(D)として加えることが可能である。アミンの効果は、ベンゾフェノンタイプの芳香族ケトンを加えることによって高めることができる。酸素スキャベンジャーとして使用することができるアミンの例は、EP−A339841に記載されている通りの置換されたN,N−ジアルキルアニリンである。それ以上の促進剤、共開始剤及び自動酸化剤(autoxidizer)は、例えばEP438123及びGB2180358に記載されている通りのチオール、チオエーテル、ジスルフィド及びホスフィンである。
【0104】
当分野において慣例の連鎖移動試薬を本発明の組成物に加えることも可能である。例は、メルカプタン、アミン及びベンゾチアゾールである。
【0105】
光重合は、更に、光増感剤をそれ以上の添加剤(D)として加えることによって促進することができ、光増感剤は、スペクトル感度をシフトさせ又は広げる。これらの光増感剤は、特に、芳香族カルボニル化合物、例えばベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、及びまた特にイソプロピルチオキサントン、アントラキノン誘導体及び3−アシルクマリン誘導体、テルフェニル、スチリルケトン、及びまた3−(アロイルメチレン)チアゾリン、カンホルキノン、及びまたエオシン染料、ローダミン染料及びエリトロシン染料である。
【0106】
上に示したアミンは、例えば、また、光増感剤と見なすこともできる。
【0107】
硬化プロセス、特に着色された(例えば二酸化チタンで)組成物の硬化プロセスは、また、熱条件下で遊離基を形成する成分、例えばEP245639に記載されている通りの、例えばアゾ化合物、例えば2,2’− アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾスルフィド、ペンタアザジエン又はペルオキシ化合物、例えばヒドロペルオキシド又はペルオキシカーボネート、例えばt−ブチルヒドロペルオキシドである追加の添加剤(D)を加えることによっても促進することができる。
【0108】
それ以上の添加剤(D)として、組成物は、また、例えば光還元性染料、例えば、キサンテン、ベンゾキサンテン、ベンゾチオキサンテン、チアジン、ピロニン、ポルフィリン又はアクリジン染料、及び/又は放射線劈開性トリハロメチル化合物も含んでよい。同様の組成物は、例えばEP445624に記載されている。
【0109】
更なる一般的な添加剤(D)意図する使用に応じ、蛍光増白剤、充填剤、例えば、カオリン、タルク、バライト、石膏、チョークもしくはシリカ系(silicatic)充填剤、顔料、染料、湿潤剤又は流動性向上剤を含む。
【0110】
厚くかつ着色されたコーティングを硬化させるために、例えば米国特許第5,013,768号に記載されている通りの、ガラスマイクロビーズ又は微粉砕グラスファイバーを加えるのが適している。
【0111】
配合物は、また、染料及び/又は白色もしくは着色顔料も含んでよい。意図する用途に応じて、有機及び無機の両方の顔料を用いてよい。そのような添加は、当業者に知られており;いくつかの例は、例えばルチル又はアナターゼ型の二酸化チタン顔料、カーボンブラック、酸化亜鉛、例えば亜鉛華、酸化鉄、例えば黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、クロムイエロー、クロムグリーン、ニッケルチタンイエロー、群青、コバルトブルー、ビスマスバナデート、カドミウムイエロー又はカドミウムレッドである。有機顔料の例は、モノアゾもしくはジスアゾ顔料、及びまたそれらの金属複合体、フタロシアニン顔料、多環式顔料、例えばペリレン、アントラキノン、チオインジゴ、キナクリドン又はトリフェニルメタン顔料、及びまたジケトピロロピロール、イソインドリノン、例えばテトラクロロイソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、ベンズイミダゾロン及びキノフタロン顔料である。
【0112】
顔料は、配合物中に個々に用いても混合物で用いてもよい。顔料は、意図する使用に応じて、当分野で通例の量で、例えば総括質量に基づいて1〜60重量%、又は10〜30重量%の量で配合物に加える。
【0113】
配合物は、また、例えば非常に広範囲のクラスからの有機染料も含んでよい。例は、アゾ染料、メチン染料、アントラキノン染料又は金属複合体染料である。通例の濃度は、例えば総括質量に基づいて0.1〜20%、特に1〜5%である。
【0114】
添加剤の選定は、用途のそれぞれの分野によりかつこの分野について所望される性質によって左右される。上記の添加剤(D)は、当分野で通例のものであり、よって当分野で通例の量で使用する。
【0115】
更なる光開始剤(E)
例は、下記である:
【化9】


(式中、
65、R66及びR67は、互いに独立して、水素、C〜C−アルキル、C〜C−ハロゲンアルキル、C〜C−アルコキシ、塩素又はN(C〜C−アルキル)であり;
68は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−ハロゲンアルキル、フェニル、N(C〜C−アルキル)、COOCH、式:
【化10】

nは、2〜10である)
のベンゾフェノンである。
【0116】
例は、下記である:
Lambertiから入手し得るESACURE TZT(登録商標)、(2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの混合物)。
ベンゾフェノン、Darocur(登録商標)BP。
【0117】
下記式のアルファ−ヒドロキシケトン、アルファ−アルコキシケトン又はアルファアミノシケトン:
【化11】


(式中、
29は、水素又はC〜C18−アルコキシであり;
30は、水素、C〜C18−アルキル、C〜C18−アルコキシ、−OCHCH−OR47、モルホリノ、SCH、下記の基である:
【化12】


a、b及びcは、1〜3であり;
nは、2〜10であり;
及びGは、互いに独立に、ポリマー構造の末端基、好ましくは水素又はメチルであり;
47は、水素、
【化13】


であり;
31は、ヒドロキシ、C〜C16−アルコキシ、モルホリノ、ジメチルアミノ又は−O(CHCHO)−C〜C16−アルキルであり;
32及びR33は、互いに独立して、水素、C〜C−アルキル、C〜C16−アルコキシ又は−O(CHCHO)−C〜C16−アルキル;又は未置換のフェニルもしくはベンジル;又はC〜C12−アルキルで置換されたフェニルもしくはベンジルであり;或はR32及びR33は、それらが結合される炭素原子と一緒に、シクロヘキシル環を形成し;mは、1〜20であり;
但し、R31、R32及びR33は、すべてが一緒に、C〜C16−アルコキシ又は−O(CHCHO)−C〜C16−アルキルになることはない。
【0118】
例は、下記である:
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE(登録商標)184)又はIRGACURE(登録商標)500(IRGACURE(登録商標)184とベンゾフェノンとの混合物);
2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)907);
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(IRGACURE(登録商標)369);
1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)2959);
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE(登録商標)651);
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)1173)。
2−ジメチルアミノ−1−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン;(IRGACURE(登録商標)379)
2−ベンジル−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−ブタン−1−オン;
2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロプロピオニル)−フェノキシ]−フェニル}−2−ジメチル−プロパン−1−オン。
【0119】
アルファ−ヒドロキシケトンの別の例は、下記式の化合物である:
【化14】


例えば、Fratelli LambertiからのESACURE KIP、2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロプロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン。
【0120】
Irgacure-及びDarocur-製品は、Ciba Specialty Chemical Inc.から入手し得る。
【0121】
式;
【化15】


(式中、
40及びR41は、互いに独立して、未置換のC〜C20−アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリル;或はハロゲン、C〜C12−アルキル、C〜C12−アルコキシ、C〜C12−アルキルチオ又はNR5253で置換されたC〜C20−アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;或はR40及びR41は、互いに独立して、−(CO)R42であり、
ここで、
52及びR53は、互いに独立して、水素、未置換のC〜C12−アルキル又はOHもしくはSHで置換されたC〜C12−アルキルであり、それによりアルキル鎖は、1〜4個の酸素原子によって中断されることができ;或はR52及びR53は、互いに独立して、C〜C12−アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニルであり、
42は、未置換のシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリル或はハロゲン、C〜C−アルキル及び/又はC〜C−アルコキシで置換されたシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;或はR42は、S原子又はN原子を有する5員又は6員の複素環式環である)
アシルホスフィンオキシド。
【0122】
例は、下記である:
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド IRGACURE(登録商標)819;
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド;Darocur(登録商標)TPO;
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド。
【0123】
式;
【化16】


(式中、
43及びR44は、互いに独立して、場合によりC〜C18−アルキル、C〜C18−アルコキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル又はハロゲンで−、二−、もしくは三置換されたシクロペンタジエニルであり;
45及びR46は、Ti−C結合に対してオルト位に少なくとも1個のF−又はCF−置換基を有しかつ少なくともそれ以上の置換基を有するフェニルであり、それ以上の置換基は、未置換のピロリニルもしくはポリオキサアルキル又は1個もしくは2個のC〜C12−アルキル、ジ(C〜C12−アルキル)アミノメチル、モルホリノメチル、C〜C−アルケニル、メトキシメチル、エトキシメチル、トリメチルシリル、ホルミル、メトキシ又はフェニルで置換されたピロリニルもしくはポリオキサアルキルであり;或は
45及びR46は、下記:
【化17】


であり;ここで、
は、O、S又はNR51であり、R51は、C〜C−アルキル、フェニル又はシクロフェニルであり;
48、R49及びR50は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C〜C12−アルケニル、C〜C12−アルコキシ、1〜4個の酸素によって中断されたC〜C12−アルコキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、未置換のフェニルもしくはビフェニル又はC〜C−アルコキシ、ハロゲン、フェニルチオもしくはC〜C−アルキルチオで置換されたフェニルもしくはビフェニルあり、
但し、R48及びR50は、両方とも水素になることはなく、かつ残基:
【化18】


に関しては、少なくとも1個の置換基R48又はR50は、C〜C12−アルコキシ又は1〜4個の酸素原子によって中断されたC〜C12−アルコキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシである)
チタノセン。
【0124】
例は、下記である:
ビス(エータ.5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタン IRGACURE(登録商標)784;
ビス(2,6−ジフルオロフェニル)ビス[(1,2,3,4,5−エータ)−1−メチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル]−チタン IRGACURE(登録商標)727.
【0125】
式;
【化19】


(式中、
54は、水素、C〜C12−アルキル、酸素原子によって中断されかつOHで置換されたC〜C12−アルキル又は下記の基:
【化20】


であり;
55、R56、R57、R58及びR59は、互いに独立して、水素、未置換のC〜C12−アルキル又はOH、C〜C−アルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲンもしくはCNで置換されたC〜C12−アルキルであり;それによりアルキル鎖は、1個以上の酸素によって中断されることができ;或はR55、R56、R57、R58及びR59は、互いに独立して、C〜C−アルコキシ、C〜C12−アルキルチオ又はNR5253であり;
52及びR53は、互いに独立して、水素、未置換のC〜C12−アルキル又はOHもしくはSHで置換されたC〜C12−アルキルであり、それによりアルキル鎖は、1〜4個の酸素によって中断されることができ;或はR52及びR53は、互いに独立して、C〜C12−アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニルであり;
は、場合により1個以上の酸素によって中断されるC〜C12−アルキレンである)
フェニルグリオキサレート。
【0126】
例は、オキソ−フェニル−酢酸2−[2−(2−オキソ−フェニル−アセトキシ)−エトキシ]−エチルエステル。(IRGACURE(登録商標)754)である。
【0127】
界面活性光開始剤
WO 02/48204に記載されている通りの式:
【化21】


(式中、
は、メチル又は−O−Si(CHであり;
は、メチル又は−Si(CHであり;
Yは、−(CH--(CH−O−、−(CH−O−(CH−又は−(CH−O−(CH−O−であり;
a及びbは、互いに独立して1〜10であり
nは、1〜10の数であり;
mは、0〜25の数であり;
pは、0〜25の数である)
界面活性ベンゾフェノン。
【0128】
例は、下記である:
【化22】

【0129】
EP1072326に記載されている通りの式:
【化23】


(式中、
は、メチル又は−O−Si(CHであり;
は、メチル又は−Si(CHであり;
Yは、−(CH--(CH−O−、−(CH−O−(CH−又は−(CH−O−(CH−O−であり;
a及びbは、互いに独立して1〜10であり
nは、1〜10の数であり;
mは、0〜25の数であり;
pは、0〜25の数である)
シロキサン−変性ヒドロキシ−ケトン。
【0130】
例は、下記である:
【化24】

【0131】
WO 02/48203に記載されている通りの式:
【化25】


(式中、
Rは、H又はC〜Cアルキルであり;
は、メチル又は−O−Si(CHであり;
は、メチル又は−Si(CHであり;
Yは、−(CH--(CH−O−、−(CH−O−(CH−又は−(CH−O−(CH−O−であり;
a及びbは、互いに独立して1〜10であり
nは、1〜10の数であり;
mは、0〜25の数であり;
pは、0〜25の数である)
界面活性ベンジルジアルキルケタール(BDK)又はベンゾイン。
【0132】
例は、下記である:
【化26】

【0133】
WO 02/14439に記載されている通りの式:
【化27】


(式中、
は、メチル又は−O−Si(CHであり;
は、メチル又は−Si(CHであり;
Yは、−(CH−(CH−O−、−(CH−O−(CH−又は−(CH−O−(CH−O−であり;
a及びbは、互いに独立して1〜10であり
nは、1〜10の数であり;
mは、0〜25の数であり;
pは、0〜25の数である)
エステル基を経てシロキサンで変性されたモノマー性及びダイマー性アリールグリオキサル酸エステル。
【0134】
例は、下記である:
【化28】

【0135】
WO 02/14326に記載されている通りの式:
【化29】


(式中、
Rは、C〜Cアルキルであり;
は、メチル又は−O−Si(CHであり;
は、メチル又は−Si(CHであり;
Yは、−(CH--(CH−O−、−(CH−O−(CH−又は−(CH−O−(CH−O−であり;
a及びbは、互いに独立して1〜10であり
nは、1〜10の数であり;
mは、0〜25の数であり;
pは、0〜25の数である)
芳香族基を経てシロキサンで変性されたモノマー性及びダイマー性アリールグリオキサル酸エステル。
【0136】
例は、下記である:
【化30】

【0137】
WO 02/48202に記載されている通りの長鎖アルキル変性されたヒドロキシ−ケトンは、例えば1−(4−ドコシロキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン:
【化31】

【0138】
WO 02/40602に記載されている通りのフッ素化された変性されたヒドロキシケトンは、例えばヘプタフルオロ酪酸1−(4−ドコシロキシベンゾイル)−1−メチルエチルエステル:
【化32】


光開始剤の更なるの例は、Lambertiから入手し得るEsacure 1001 1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン:
【化33】

【0139】
その他の知られている光開始剤(E)は、例えば下記との混合物である:カンホルキノン、アセトフェノン、4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテル及びベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタール、例えばEP126541に記載されている通りのペルエステル、例えばベンゾフェノンテトラカルボン酸ペルエステル、ハロメチルトリアジン、例えば2−[2−(4−メトキシフェニル)−ビニル]−4,6−ビストリクロロメチル[1,3,5]トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチル[1,3,5]トリアジン、2−メチル−4,6−ビストリクロロメチル[1,3,5]トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系、例えばオルト−クロロ−ヘキサフェニルビスイミダゾールを2−メルカプトベンゾチアゾールと一緒に、フェロセニウム化合物又はボレート光開始剤。
【0140】
本発明の光開始剤を混成系、すなわちラジカル及びカチオンの両方で硬化させることができる系に採用する場合には、式I又はIIの遊離基硬化剤及び任意のそれ以上のラジカル硬化剤に加えて、カチオン光開始剤、例えばベンゾイルペルオキシド(その他の適したペルオキシドは、米国特許第4,950,581号、19欄、17〜25行に記載されている)、例えば米国特許第4,950,581号、18欄、60行〜19欄、10行に記載されている通りの芳香族スルホニウム、ホスホニウム又はインドニウム塩を使用する。
【0141】
光重合性組成物は、光開始剤を、組成物に基づいて0.05〜15重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量で適当に含有する。上述した光開始剤の量は、加える光開始剤のすべての合計に基づき、それらの混合物を使用するならばすなわち光開始剤(B)及び光開始剤(B)+(E)の両方に基づく。
【0142】
所定の場合には、二種以上の光開始剤の混合物を使用するのが有利になるかもしれない。光重合性組成物は、種々の目的に;例えば、印刷インキとして、クリヤーコート材料、好ましくは自動車のベースコート上のクリヤーコートとして;白色ペイントとして或は木材又は金属用有彩色着色されたペイントとして;例えば粉末コーティング材料として、木材、布、紙、セラミック、ガラス、プラスチック、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン又はセルロースアセテート用に;特にフィルム形態でコーティング材料として;建物は道路の標示用日光硬化性コーティングとして;写真による複製技術用に、ホログラフィー記録材料用に、画像記録技術用に又は有機溶媒により又は水性アルカリを使用して現像することができる印刷板を製造するために;スクリーン印刷用マスクを製造するために;歯科用充填コンパウンドとして;接着剤(感圧接着剤を含む)として;積層用樹脂として;液状及び乾燥フィルムの形態の両方のエッチレジストもしくは恒久的レジストとして;光構造性(photostructurable)誘電体として;電子回路用はんだレジストとして;任意のタイプのカラーフィルターを製造するためのレジストとして;プラズマディスプレイ及びエレクトロルミネッセントディスプレーの製造プロセスにおける構造体を製造するために;光スイッチ、光学格子(干渉グリッド)を製造するために;例えば米国特許第4,575,330号に記載されている通りの、マス硬化(透明な金型におけるUV硬化)もしくは光造形法プロセスによる三次元品を製造するために;複合材料(例えば、適宜グラスファイバー及び/又はその他のファイバー及びその他の補助剤を含有してもよいスチレン系ポリエステル)、並びにゲルコート及び高膜厚組成物を製造するために;電子部品を塗被又はシールするために;或は光学ファイバー用コーティングとして使用することができる。組成物は、その上に、光学レンズ、例えばコンタクトレンズ又はFresnelレンズを製造するために、かつまた医療用器具、助剤又は移植片を製造するために適している。
【0143】
組成物は、また、例えばDE1970064及びEP678534に記載されている通りの、サーモトロピック性を有するゲルを製造するのに用いてよい。
【0144】
式I又はIIの化合物は、加えて、エマルション、ビーズ又は懸濁重合用開始剤として或は液晶性モノマー及びオリゴマーの秩序の状態を固定するための重合における開始剤として或は染料を有機材料上に固定するための開始剤として用いてもよい。
【0145】
本発明の光硬化性組成物は、例えば全ての種類の基材、例えば木材、布、紙、セラミック、ガラス、プラスチック、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン又はセルロースアセテート、特にフィルムの形態で、かつまた金属であるもの用に、例えばAl、Cu、Ni、Fe、Zn、Mg又はCo及びGaAs、Si又はSiOの基材であって、それらに保護コート又は−イメージ通りの曝露により−像を適用すべきもの用コーティング材料として適している。
【0146】
基材は、液体組成物、溶液又は懸濁液を基材に適用することによってコーティングすることができる。溶媒の選定及び濃度は、主に組成物の性質及びコーティング技術によって左右される。溶媒は、不活性であるべきである、すなわち溶媒は、成分との化学反応に何ら参加すべきでなくかつコーティングした後の乾燥の過程で再び除くことができるべきである。適した溶媒の例は、ケトン、エーテル及びエステル、例えばメチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタン、エチルアセテート、n−チルアセテート及びエチル3−エトキシプロピオネートである。
【0147】
配合物を基材に、既知のコーティング技法によって、例えばスピンコーティング、浸漬、ナイフコーティング、フローコーティング技法、はけ塗り、吹付、特に静電吹付による、及びリバースロールコーティング、かつまた電気泳動塗装によって均一に適用する。また、感光性層を暫定的可撓性支持体に適用し、次いで積層を経て層転写によって、最終の基材に適用することも可能である。
【0148】
適用(コート厚さ)及び基材(コート支持体)の性質は、所望の適用の分野に依存する。乾燥フィルム厚さは、約0.1μm〜100μmよりも厚い値を包含するのが普通である。
【0149】
光硬化の使用のそれ以上の分野は、例えば金属シート及びチューブ、カン又はビンクロージャーのコーティングのように、金属コーティング、及びまたポリマーコーティング、例えばPVCベースの壁又は床材上の光硬化のものである。
【0150】
紙コーティングの光硬化の例は、ラベル、レコードジャケット又はブックカバーの無色のニスである。
【0151】
本発明の組成物の感光性は、通常200nm〜約600nm(UV領域)の範囲である。適した放射は、例えば日光又は人工源からの光中に存在する。従って、採用する光源は、多数の広範囲のタイプを含む。点源及びアレー(ランプカーペット)の両方が適している。例は、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、中−、高−及び低圧水銀ランプ、可能ならばハロゲン化金属をドープしたもの(金属−ハロゲンランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマランプ、超化学線蛍光管、蛍光ランプ、アルゴン白熱ランプフラッシュライト、写真用フラッドランプ、発光ダイオード(LED)、電子ビーム及びレーザープラズマ又はマイクロ波プラズマによって発生されるX線である。ランプと露光すべき基材との間隔は、意図する用途並びにランプのタイプ及び出力に応じて、例えば2〜150cmの間で変えることができる。
【0152】
すでに述べた通りに、本発明のプロセスにおける硬化は、単に電磁線に曝露することによって行うことができる。しかし、硬化すべき配合物の組成に応じて、放射曝露の前、その間又はその後の熱硬化が適切である。
【0153】
熱硬化は、当業者に知られている方法に従って行う。硬化は、通常、オーブン、例えば強制通風オーブン中で、熱盤上で、或はNIRランプ又はIRランプを使用した放射によって実施する。補助剤を用いない室温における硬化も、使用するバインダー系に応じて、同様に可能である。硬化温度は、通常、室温〜150℃、例えば25〜150℃又は50〜150℃である。粉末コーティング材料又はコイルコーティング材料の場合には、硬化温度も一層高く、例えば350℃までにすることができる。
【0154】
配合物が熱硬化性成分(C)を含む場合に、熱乾燥用触媒又は硬化用触媒を配合物に追加の添加剤(D)として加えることが本発明に従って更に可能である。可能な乾燥用触媒、又は熱硬化用触媒の例は、オルガノ金属化合物、アミン及び/又はホスフィンである。オルガノ金属化合物、例えば、金属カルボキシレート、特に金属Pb、Mn、Co、Zn、Hf、Zr又はCuのもの、或は金属キレート、特に金属Al、Ti、Hf又はZrのもの、或はオルガノ金属化合物、例えばオルガノスズ化合物である。金属カルボキシレートの例は、Pb、Mn又はZnのステアレート、Co、Zn又はCuのオクトエート、Mn及びCoのナフテネート或は対応するリノレート又はタレートである。金属キレートの例は、アセチルアセトン、エチルアセチルアセテート、サリチルアルデヒド、サリチルアルアルドキシム、o−ヒドロキシアセトフェノン又はエチルトリフルアセチルアセテートのアルミニウム、チタン又はジルコニウムキレート及びこれらの金属のアルコキシドである。オルガノスズ化合物の例は、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズジオクトエートである。アミンの例は、特に、第三アミン、例えばトリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン又はジアザビシクロオクン(トリエチレンジアミン)及びまたそれらの塩である。更なる例は、四級アンモニウム塩、例えばトリメチルベンジルアンモニウムクロリドである。硬化用触媒として、ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィンを使用することも可能である。適した触媒は、なお、例えばJ.Bieleman, Lackadditive[Additive for Coatings], Wiley-VCH Verlag GmbH, Weinheim, 1998, page 244-247に記載されている。例は、スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸又はジノニルナフタレンジスルホン酸である。例えば、潜在的な又はブロックトスルホン酸であって、酸のブロッキングがイオノゲン性でも又は非イオノゲン性でもよいものを使用することも可能である。
【0155】
そのような触媒は、当業者に知られておりかつ当分野で通例の濃度で使用する。
【0156】
本発明の組成物は、顔料添加及び顔料非添加塗料並びにワニス、粉末コーティング材料、ゲルコート、複合材料、グラスファイバー、インキ又はインキジェットインキを製造するために使用するのが好ましい。
【0157】
本発明は、同様に、少なくとも一面が上記した通りの組成物がコーティングされているコーティングされた基材も提供する。
【0158】
下記の例は、本発明を例示するものである。
【実施例】
【0159】
例1
【化34】


LAR−861(Degussa)6.01g(OH21.0mモル)、メチルフェニルグリオキサレート4.9ml(5.7g、34mモル)及びリチウムアセテート二水和物0.34g(3.3mモル)を100mlフラスコに入れる。混合物を真空(250mバール)下で120℃に4日間加熱する。トルエン40mlを加え、スラリーをろ過する。揮発分を真空で除きかつ残留するメチルエステルを真空蒸留して、わずかに黄色の油を得る。収量、8.27g。
【0160】
H NMRは、OH基のエステルへの転化率およそ83%を示す。H NMR(CDCl,300MHz,ppm):7.96,7.58,7.45,4.31,3.56,1.70,1.47(未反応のCHCHOH),1.30,0.45,−0.03。
【0161】
例2
【化35】


SD2(Wacker Chemie)242.4g(OH0.22モル)、メチルフェニルグリオキサレート158.9g(0.968モル)及びリチウムアセテート二水和物9.0g(0.088モル)を1.5リッター反応装置に入れる。混合物を真空(30mバール)下で100℃に22時間加熱する。トルエン250mlを加え、生成物をろ過する。トルエン及び過剰のメチルエステルを真空で蒸留して、わずかに黄色の油を得る。収量、329.8g(95%)。
【0162】
H NMRは、OH基のエステルへの転化率およそ90%を示す。H NMR(CDCl,300MHz,ppm):7.95,7.58,7.43,4.46,3.67,3.37,1.55,0.44,0.01。
【0163】
例3
【化36】


SD2(Wacker Chemie)4.41g(OH16.0mモル)、メチルフェニルグリオキサレート2.90g(17.7mモル)及びNovo435酵素[組み換えCandidaアンタークチカリパーゼB(E.M.Anderson等、Biocat.Biotransf.1998.16, 181), Firma NOVO Nordisk, Bagsewaerd,デンマーク]0.44gを100mlフラスコに入れる。混合物を真空(30mバール)下で50℃に3日間加熱する。トルエン10mlを加え、生成物をろ過する。トルエン及び過剰のメチルエステルを真空で蒸留して、わずかに黄色の油を得る。収量、5.05g(80%)。
【0164】
H NMRは、OH基のエステルへの転化率およそ84%を示す。分析は、例2からの生成物に同一である。
【0165】
応用例
例A1 UV−硬化性クリアーコート、二重硬化系
【0166】
【表1】


IRGACURE819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド
Tinuvin400:2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンとの混合物
Tinuvin292:メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート
【0167】
成分C及び表1において述べる光開始剤及び光安定剤を成分Aに良く溶解する。それに続く成分Bを加えて良く均質化する。
【0168】
混合物を白色コイル−コートアルミニウムに加え、室温で5分間風乾させ、120℃の熱盤によって10分間加熱する。次いで、UV−プロセッサー(2×120W/cm)水銀中圧ランプをベルト速度5m/分で使用して、照射を実施する。厚さおよそ40μmを有する不粘着性の乾燥フィルムが得られる。
【0169】
硬化後45分して、Konig(DIN53157)に従う振り子硬度を測定する。コーティングの表面エネルギーを、Krussからの接触角測定システムG10を使用して、静止水接触角(q)を測定することによって求める。振り子硬度の値が高い程、硬化される表面は一層硬くなる。接触角が大きい程、防湿性及び耐引掻性は、良好になる。加えて、光沢を、DIN67 530に従って測定する。20°における光沢値が高い程、表面特性は、良好になる。結果を表1に示す。
【0170】
比較化合物は、WO02/14439の例24である。
【0171】
【化37】

【0172】
【表2】

【0173】
例A2
UV−硬化
【0174】
【表3】

【0175】
混合物を白色コイル−コートアルミニウムに加える。照射を、UV−プロセッサー(2×120W/cm)水銀中圧ランプをベルト速度5m/分で使用して、実施する。厚さおよそ40μmを有する不粘着性の乾燥フィルムが得られる。
【0176】
硬化後45分して、Konig(DIN53157)に従う振り子硬度を測定する。コーティングの表面エネルギーを、Krussからの接触角測定システムG10を使用して、静止水接触角(q)を測定することによって求める。振り子硬度の値が高い程、硬化される表面は一層硬くなる。接触角が大きい程、防湿性及び耐引掻性は、良好になる。加えて、光沢を、DIN67 530に従って測定する。20°における光沢値が高い程、表面特性は、良好になる。結果を表2に示す。
【0177】
比較化合物は、WO02/14439の例24である。
【0178】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I又はII:
【化1】


〔式中、
n及びmは、互いに独立して3〜5であり;
oは、10〜16であり;
pは、4〜8であり;
Rは、フェニル−CO−CO−Oであり;
Y及びY’は、互いに独立してC〜C10アルキレン又は−[(CH−O−(CH−(式中、aは、2〜10であり、bは、0〜10であり、cは、1〜3である;但し、当該メチレン基が2個の酸素原子の間にあるならば、それらは、それにもかかわらず少なくとも1である)〕
のポリマー光開始剤。
【請求項2】
フェニルグリオキサル酸C〜Cアルキルエステルと、
式I’又はII’:
【化2】


(式中、Y及びY’は、請求項1に規定する通りであり、Zは、OH又はNHである)
のOH−又はアミノを末端基とする有機ケイ素化合物とを、
エステル化、エステル交換又はアミド化反応を触媒する酵素の存在下、反応させることによって請求項1記載の式I又はIIのポリマー光開始剤を製造する方法。
【請求項3】
(A)少なくとも一種のエチレン性不飽和遊離基光重合性化合物;及び
(B)式I又はIIの少なくとも一種の界面活性光開始剤;
(C)場合により熱架橋性化合物;
(D)場合により更なる添加剤;
(E)場合により更なる光開始剤
を含む光硬化性組成物。
【請求項4】
成分(A)及び(B)、又は(A)、(B)及び(C)に加えて、更なる添加剤(D)及び/又は追加の光開始剤(E)を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
請求項3又は4の光硬化性組成物を基材に適用し;次いで波長が200nmからNIR(近赤外)域又はIR域に入る範囲の電磁線に曝露することによるだけか、或は波長が200nmからNIR域又はIR域に入る範囲の電磁線に曝露し、その前に、それと同時に及び/又はそれに引続いて加熱することによるかのいずれかで配合物を硬化させる、耐引掻性及び/又は耐薬品性の表面を有するコーティングを製造する方法。
【請求項6】
エチレン性不飽和光硬化性化合物を含む光硬化性混合物に式I又はIIの界面活性光開始剤を添加することを含む、エチレン性不飽和光硬化性化合物を含むコーティングの表面に、光開始剤を集めさせる方法。
【請求項7】
エチレン性不飽和化合物又はそのような化合物を含む混合物を光重合させるための界面活性光開始剤としての、請求項1記載の式I又はIIの化合物の使用。
【請求項8】
顔料添加及び顔料非添加塗料並びにワニス、粉末コーティング材料又は粉末スラリー材料、ゲルコート、複合材料、グラスファイバーコーティング、インキ或はインキジェットインキを製造するための、請求項3又は4記載の組成物の使用。
【請求項9】
少なくとも一つの表面に請求項3又は4記載の組成物がコーティングされているコーティングされた基材。

【公表番号】特表2007−526923(P2007−526923A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508308(P2006−508308)
【出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050952
【国際公開番号】WO2004/108799
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】