説明

新規な2−アミノ−ピリジン誘導体及びカリウムチャネルモジュレーターとしてのその使用

本発明は、低コンダクタンスカルシウム活性化型カリウムチャネル(SKチャネル)のモジュレーターとして有用な、新規な2−アミノ−ピリジン誘導体に関する。他の態様では、本発明は、治療方法におけるこうした化合物の使用、及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低コンダクタンスカルシウム活性化型カリウムチャネル(SKチャネル)のモジュレーターとして有用な、新規な2−アミノ−ピリジン誘導体に関する。他の態様では、本発明は、治療法におけるこうした化合物の使用、及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
低コンダクタンスカルシウム活性化型カリウムチャネル(SKチャネル)の3種のサブタイプ:SK1、SK2及びSK3(ゲノム命名法を使用したKCNN1〜3に相当する)がクローン化されている。これらのチャネルの活性は、チャネルに構成的に結合したカルモジュリンを介した遊離の細胞内カルシウム([Ca2+)の濃度によって決まる。SKチャネルは、生理的な範囲で[Ca2+によって厳密に調節され、0.1μM程度までの[Ca2+では閉じているが、1μMの[Ca2+では完全に活性化される。開いた又は活性型のSKチャネルは、カリウムに選択的であるので、細胞の膜電位に過分極の影響を及ぼす。SKチャネルは、中枢神経系において広い範囲で発現される。SK1及びSK2の分布は、高度に重なり合っており、マウスの脳では新皮質、辺縁系、及び海馬の領域で発現のレベルが最も高い。対照的に、SK3チャネルは、基底核、視床、及び脳幹モノアミン作動性ニューロン、たとえば、背側縫線核、青斑核、及び腹側被蓋野において高レベルの発現を示す(Sailerら、「マウス脳における3種の低コンダクタンスCa2+活性化型カリウムチャネルサブユニットSK1、SK2及びSK3の免疫組織化学的分布の比較(Comparative immunohistochemical distribution of three small−conductance Ca2+−activated potassium channel subunits,SK1,SK2 and SK3 in mouse brain)」、Mol.Cell.Neurosci.2004年、第26巻、458〜469ページ)。SKチャネルは、骨格筋、腺細胞、肝細胞、及びTリンパ球を含めたいくつかの末梢細胞にも存在する。
【0003】
活性型SKチャネルの過分極作用は、興奮性細胞の発射パターン及び興奮性の制御において重要な役割を果たす。アパミンや、ビククリンの四級化類似体などのSKチャネル阻害剤は、興奮性を増大させることが実証されており、一方開口薬1−EBIOは、電気活性を低下させ得る。非興奮性の細胞では、電圧に非依存的な経路によるCa2+流入量の膜電位に対する感度が高く、SKチャネルの活性化によって推進力が増大するのに対し、SKチャネルの遮断薬は脱分極効果を有し、したがってカルシウムへの推進力を低下させる。
【0004】
[Ca2+と膜電位の関連付けにおいてSKチャネルが重要な役割をもつことから、SKチャネルは、新規な治療薬を開発するための興味深いターゲットである。
【0005】
SKチャネル及びSKチャネルモジュレーターについての総説は、Liegeois,J.−F.ら、「低コンダクタンスカルシウム活性化型カリウム(SK)チャネルのモジュレーション:医薬品化学の新たな挑戦(Modulation of small conductance calcium−activated potassium (SK) channels:a new challenge in medicinal chemistry)」、Current Medicinal Chemistry、2003年、第10巻、625〜647ページで見ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SKチャネルの既知のモジュレーターは、(アパミン、シラトキシン(scyllatoxin)、ツボクラリン、塩化デカリニウム、及びUCL1684のような)大きく、しばしば正に帯電した分子若しくはペプチドであること、又は効力が弱いこと(たとえば、1−EBIO及びリルゾール)を欠点としてもつ。したがって、最適化された薬理学的プロフィールを有する化合物が求められ続けている。特に、SK3チャネルモジュレーターなどの選択的なリガンドが大いに求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その第1の態様では、本発明は、式Iの2−アミノ−ピリジン誘導体、
【化1】


その互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩[式中、
は、連結基−[CR’R”]−を表し、R’及びR”は、互いに独立に、水素又はアルキルを表し、nは、0、1又は2であり、
は、連結基−[CR”’R””]−を表し、R”’及びR””は、互いに独立に、水素又はアルキルを表し、mは、0、1又は2であり、
、R、R、R、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5は、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシからなる群から選択される]を提供する。
【0008】
その第2の態様では、本発明は、その任意の異性体若しくは任意の異性体混合物、及び薬剤として許容される塩を含めた、治療有効量の本発明の誘導体と共に、少なくとも1種の薬剤として許容される担体、賦形剤又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、SKチャネルのモジュレーションに応答する、ヒトを含めた哺乳動物の疾患、障害又は状態を治療、予防又は緩和する医薬組成物を製造するための、その任意の異性体若しくは任意の異性体混合物、及び薬剤として許容される塩を含めた、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体の使用を提供する。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、SKチャネルのモジュレーションに応答する、ヒトを含めた動物生体の疾患、障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法であって、その必要のある動物生体に、その任意の異性体若しくは任意の異性体混合物、及び薬剤として許容される塩を含めた、治療有効量の本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体を投与するステップを含む方法に関する。
【0011】
本発明の他の目的は、以下の詳細な記述及び実施例から当業者に明白となろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
2−アミノ−ピリジン誘導体
その第1の態様では、本発明は、式Iの2−アミノ−ピリジン誘導体、
【化2】


その互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩[式中、
は、連結基−[CR’R”]−を表し、R’及びR”は、互いに独立に、水素又はアルキルを表し、nは、0、1又は2であり、
は、連結基−[CR’”R””]−を表し、R”’及びR””は、互いに独立に、水素又はアルキルを表し、mは、0、1又は2であり、
、R、R、R、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5は、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択されるが、
但し、
、R、R、R、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5の少なくとも1つは、水素ではなく、及び、
nが1であり、mが1である場合、RA3及びRB3は、両方ともブロモではないか、又はRは、メチルではなく、RB2はトリフルオロメチルではない]を提供する。
【0013】
好ましい実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、Lが連結基−[CR’R”]−を表し、R’及びR”が、互いに独立に、水素又はアルキルを表し、nが、0、1又は2である式Iの化合物である。
【0014】
より好ましい実施形態では、nは0又は1である。
【0015】
別のより好ましい実施形態では、nは1又は2である。
【0016】
より一層好ましい実施形態では、nは0である。
【0017】
別のより好ましい実施形態では、nは1である。
【0018】
第3のより好ましい実施形態では、nは2である。
【0019】
さらに一層好ましい実施形態では、R’及びR”は、両方とも水素を表す。
【0020】
別の好ましい実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、Lが連結基−[CR”’R””]−を表し、R”’及びR””が、互いに独立に、水素又はアルキルを表し、mが、0、1又は2である式Iの化合物である。
【0021】
より好ましい実施形態では、mは0又は1である。
【0022】
別のより好ましい実施形態では、mは1又は2である。
【0023】
より一層好ましい実施形態では、mは0である。
【0024】
別のより好ましい実施形態では、mは1である。
【0025】
第3のより好ましい実施形態では、mは2である。
【0026】
さらに一層好ましい実施形態では、R”’及びR””は、両方とも水素を表す。
【0027】
第3の好ましい実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、R、R、R、R、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5が、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択される式Iの化合物である。
【0028】
より好ましい実施形態では、R、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択され、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5は、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択される。
【0029】
より一層好ましい実施形態では、R、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択され、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5は、互いに独立に、水素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択される。
【0030】
第4の好ましい実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、R、R、R及びRがすべて水素を表し、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5が、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択される式Iの化合物である。
【0031】
より好ましい実施形態では、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5の1つは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択され、残りのRA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5はすべて、水素を表す。
【0032】
より一層好ましい実施形態では、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5の2つは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択され、残りのRA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5はすべて、水素を表す。
【0033】
さらにまたより好ましい実施形態では、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5の4つは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択され、残りのRA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5はすべて、水素を表す。
【0034】
さらに一層好ましい実施形態では、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5の4つは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシからなる群から選択され、残りのRA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5はすべて、水素を表す。
【0035】
さらにより好ましい実施形態では、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5の4つは、ハロを表し、残りのRA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5はすべて、水素を表す。
【0036】
さらにまたより好ましい実施形態では、RA2、RA3、RB2及びRB3は、ハロを表しRA1、RA4、RA5、RB1、RB4及びRB5はすべて、水素を表す。
【0037】
最も好ましい実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、
(3,4−ジフルオロベンジル)−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)−1H−ピリジン−2−イリデン、又は
[1−(3,4−ジフルオロベンジル)−1H−ピリジン−2−イリデン]−(3,4−ジフルオロフェニル)アミン、
又はこれらの薬剤として許容される塩である。
【0038】
上述のような実施形態の2つ以上のどんな組合せも、本発明の範囲内とみなす。
【0039】
置換基の定義
本発明では、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを表す。
【0040】
本発明では、アルキル基とは、一価の飽和した直線状又は分枝状炭化水素鎖を意味する。炭化水素鎖は、1〜6個の炭素原子を含むことが好ましく(C1〜6−アルキル)、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルがこれに含まれる。好ましい実施形態では、アルキルは、ブチル、イソブチル、s−ブチル及びt−ブチルを含めたC1〜4−アルキル基を表す。本発明の別の好ましい実施形態では、アルキルは、C1〜3−アルキル基を表し、特に、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルでよい。
【0041】
アルコキシはO−アルキルであり、アルキルは上で規定したとおりである。
【0042】
薬剤として許容される塩
本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、目的の投与に適するどんな形態で提供してもよい。適切な形態としては、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体の薬剤として(すなわち生理的に)許容される塩、及びプレドラッグ若しくはプロドラッグ形態が挙げられる。
【0043】
薬剤として許容される付加塩の例には、限定するものではないが、非毒性の無機及び有機の酸付加塩、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩(aconate)、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩などが含まれる。このような塩は、当業界でよく知られており、記述されている手順によって生成することができる。
【0044】
本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体の薬剤として許容されるカチオン性の塩の例には、限定するものではないが、アニオン性の基を含む本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、コリン、リジニウム、及びアンモニウム塩などが含まれる。このようなカチオン性の塩は、当業界でよく知られ、記述されている手順によって生成することができる。
【0045】
本発明では、N含有化合物の「オニウム塩」も、薬剤として許容される塩として企図する。好ましい「オニウム塩」としては、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が挙げられる。
【0046】
本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体のプレドラッグ又はプロドラッグ形態の例には、本発明による物質の適切なプロドラッグの例が含まれ、親化合物の1つ又は複数の反応性の基又は誘導体化され得る基が改変された化合物が挙げられる。特に重要なのは、カルボキシル基、ヒドロキシ基又はアミノ基が改変された化合物である。適切な誘導体の例は、エステル又はアミドである。
【0047】
本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、水やエタノールなどの薬剤として許容される溶媒と一緒に、可溶性又は不溶性の形態で提供することができる。可溶性形態には、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などの水和した形態も含めることができる。一般に、可溶性形態は、本発明の目的では不溶性形態に等しいとみなす。
【0048】
立体異性体
当業者ならば、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体が、1個又は複数のキラル中心を含む場合もあり、そのような化合物が異性体の形で存在することは理解されよう。
【0049】
また、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、(+)型及び(−)型並びにラセミ体(±)の鏡像異性体として存在する場合もある。こうした異性体のラセミ体及び個々の異性体それ自体は、本発明の範囲内である。
【0050】
本発明は、このようなすべての異性体、及びラセミ混合物を含めたそのどんな混合物をも包含する。
【0051】
ラセミ体は、既知の方法及び技術によって光学対掌体に分割することができる。異性体の塩を分離する一つの方法は、光学活性のある酸を使用し、塩基での処理によって、光学活性のあるアミン化合物を遊離させることによるものである。ラセミ体を光学対掌体に分割する別の方法は、光学活性のある基材でのクロマトグラフィーによるものである。すなわち、本発明のラセミ化合物は、たとえば、たとえばd−又はl−(酒石酸、マンデル酸、又はカンファースルホン酸)塩を分別結晶して、その光学対掌体に分割することができる。
【0052】
本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、本発明の化学化合物を、(+)又は(−)フェニルアラニン、(+)又は(−)フェニルグリシン、(+)又は(−)カンファン酸から誘導されるものなど、光学活性のある活性化型カルボン酸と反応させてジアステレオ異性体のアミドを生成することによって、又は本発明の化学化合物を光学活性のあるクロロギ酸などと反応させてジアステレオ異性体のカルバミン酸塩を生成することによって分割することもできる。
【0053】
光学異性体を分割するその他の方法は、当業界で知られている。そのような方法には、Jaques J、Collet A、及びWilen Sによる「鏡像異性体、ラセミ化合物、及び分割(Enantiomers,Racemates,and Resolutions)」、John Wiley and Sons、米国ニューヨーク(1981年)に記載されているものが含まれる。
【0054】
光学活性のある化合物は、光学活性のある出発材料から調製することもできる。
【0055】
標識化合物
本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、その標識形態又は未標識形態で使用することができる。本発明では、標識化合物は、原子質量又は質量数が自然界で通常見られる原子質量又は質量数と異なる原子によって置換されている1個又は複数の原子を有する。標識化によって、前記化合物の定量的な検出が容易になる。
【0056】
本発明の標識化合物は、様々な診断法における診断用ツール、放射性トレーサー、又はモニター用薬剤として、またin vivo受容体イメージングに有用となり得る。
【0057】
本発明の標識された異性体は、少なくとも1個の放射性核種を標識として含むことが好ましい。ポジトロン放出放射性核種はすべて、利用候補である。本発明では、放射性核種は、H(ジュウテリウム)、H(トリチウム)、11C、13C、14C、131I、125I、123I及び18Fから選択されることが好ましい。
【0058】
本発明の標識された異性体を検出する物理的な方法は、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、単一光子画像処理コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴法(MRS)、核磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ体軸X線断層撮影法(CAT)、又はこれらの組合せから選択することができる。
【0059】
調製方法
本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、従来の化学合成法、たとえば、作業実施例に記載の方法によって調製することができる。本出願に記載の方法のための出発材料は、知られており、又は従来の方法によって市販の化学薬品から容易に調製することができる。
【0060】
また、ある本発明の化合物を、従来の方法を使用して別の本発明の化合物に変換することもできる。
【0061】
本明細書に記載の反応の最終生成物は、従来の技術によって、たとえば抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどによって単離することができる。
【0062】
生物活性
本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、SKチャネルをモジュレートする能力をin vitroで試験することができる。機能的なモジュレーションは、化合物によって誘発されるSK電流の変化を、Strobaekら、「HEK293細胞中で発現される低コンダクタンスCa2+活性化型Kチャネルの薬理学的特徴付け(Pharmacological characterization of small−conductance Ca2+−activated K channels expressed in HEK293 cells)」、British Journal of Pharmacology(2000年)、第129巻、991〜999ページに記載されているようなパッチクランプ技術によって測定して求めることができる。この種類の測定から、示した化合物の効力を、たとえば、遮断薬/阻害剤についてはK又はIC50値、開口薬/活性化因子についてはEC50値として求めることができる。他のパッチクランプ形態から、また様々な細胞系において内発的に発現されるチャネルからも同様のデータを得ることができる。
【0063】
一実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、SK1及びSK2よりもSK3に対して選択性を示す。別の実施形態では、本発明の化合物は、正のSK3チャネルモジュレーターなどの正のSKチャネルモジュレーターである。さらに別の実施形態では、本発明の化合物は、マイナスのSK3チャネルモジュレーターなどのマイナスのモジュレーターである。特別な実施形態では、本発明の化合物は、SK3チャネル遮断薬などのSKチャネル遮断薬である。
【0064】
パッチクランプ実験で認められた活性によれば、本発明の化合物は、SKチャネルのモジュレーションに応答する、ヒトを含めた哺乳動物の疾患、障害又は状態の治療、予防又は緩和に有用であるとみなされる。
【0065】
特別な実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、欠神発作、年齢に関連した記憶喪失、アルツハイマー病、狭心症、不整脈、喘息、不安、失調、注意欠陥、禿頭症、双極性障害、膀胱過剰興奮性、膀胱流出路閉塞、膀胱攣縮、脳腫瘍、脳虚血、慢性閉塞性肺疾患、癌、心臓血管障害、認知機能不全、大腸炎、便秘、痙攣、冠動脈攣縮、冠動脈性心疾患、嚢胞性線維症、認知症、うつ病、II型糖尿病、月経困難症、てんかん、消化器障害、胃食道逆流障害、消化管運動性低下障害、消化管運動不全、聴覚損失、高インスリン血症、高血圧、免疫抑制、炎症性腸疾患、炎症性疼痛、間欠性跛行、過敏性大腸症候群、虚血、虚血性心疾患、学習欠陥、男性勃起不全、躁うつ病、記憶障害、偏頭痛、気分障害、運動ニューロン疾患、筋波動症、筋緊張性ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、ナルコレプシー、神経因性疼痛、疼痛、パーキンソン病、多発性嚢胞腎、術後腸閉塞、早産、精神病、精神病性障害、腎臓障害、レイノー病、鼻漏、分泌性下痢、てんかん発作、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、痙縮、睡眠障害、発作、外傷性脳損傷、三叉神経痛、尿失禁、泌尿生殖器障害、血管攣縮、視力喪失及び口内乾燥の治療、予防又は緩和に有用であるとみなされる。より好ましい実施形態では、本発明の化合物は、うつ病、仮性痴呆、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、記憶障害、記憶喪失、注意欠陥多動性障害、肥満、不安、摂食障害、パーキンソン病、パーキンソニズム、認知症、加齢認知症、老年認知症、後天性免疫不全症候群認知症複合疾患、加齢における記憶障害、対人恐怖、薬物嗜癖、薬物乱用、コカイン乱用、タバコ乱用、アルコール中毒、疼痛、偏頭痛、過食症、月経前症候群、黄体期遅発症候群、外傷後症候群、慢性疲労症候群、早漏、勃起困難、拒食症、睡眠障害、自閉症、無言症、抜毛癖、ナルコレプシー、ジル・ド・ラ・トゥレット病、炎症性腸疾患又は過敏性大腸症候群の治療、予防又は緩和に有用であるとみなされる。
【0066】
別のより好ましい実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、うつ病、仮性痴呆、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、記憶障害、注意欠陥多動性障害、肥満、不安、摂食障害又はパーキンソン病の治療、予防又は緩和に有用であるとみなされる。
【0067】
第3のより好ましい実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、呼吸器疾患、尿失禁、勃起不全、不安、てんかん、精神病、統合失調症、双極性障害、うつ病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病又は疼痛の治療、予防又は緩和に有用であるとみなされる。
【0068】
第4のより好ましい実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、精神病、統合失調症、双極性障害、うつ病、てんかん、パーキンソン病又は疼痛の治療、予防又は緩和に有用であるとみなされる。
【0069】
第5のより好ましい実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、疼痛、軽度、中程度又は重症の疼痛;急性、慢性又は反復性の特徴の疼痛;偏頭痛によって引き起こされる疼痛;術後痛、幻肢痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、慢性頭痛、中枢性疼痛;糖尿病性ニューロパチー、治療後神経痛又は末梢神経損傷に関連する疼痛の治療、予防又は緩和に有用であるとみなされる。
【0070】
最も好ましい実施形態では、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、統合失調症、うつ病又はパーキンソン病の治療、予防又は緩和に有用であるとみなされる。
【0071】
現時点では、活性医薬成分(API)の適切な投与量は、厳密な投与方式、投与が行われる形態、考えられている適応症、対象、特に関わる対象の体重、さらに担当の医師又は獣医師の好み及び経験に応じてではあるが、1日約0.1〜約1000mgのAPI、より好ましくは1日約10〜約500mgのAPI、最も好ましくは1日約30〜約100mgのAPIの範囲内であると考えられる。
【0072】
本発明の好ましい2−アミノ−ピリジン誘導体は、マイクロモル下及びマイクロモル範囲、すなわち1μM未満〜約100μMで生物活性を示す。
【0073】
医薬組成物
別の態様では、本発明は、治療有効量の本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体を含む新規な医薬組成物を提供する。
【0074】
治療において使用するための本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体は、未加工の化学化合物の形で投与することもできるが、活性成分を、1種又は複数の佐剤、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤、及び/又は他の通例の医薬添加剤と共に医薬組成物にして、任意選択で生理学的に許容される塩の形で導入することが好ましい。
【0075】
好ましい実施形態では、本発明は、本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体又は薬剤として許容されるその塩若しくは誘導体と共に、1種又は複数の薬剤として許容される担体、及び任意選択で、当業界で知られ、使用されている他の治療成分及び/又は予防成分を含む医薬組成物を提供する。担体は、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントにとって有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0076】
本発明の医薬組成物は、所望の治療に適する好都合などんな経路によって投与してもよい。好ましい投与経路には、特に錠剤、カプセル剤、糖衣錠、粉末又は液体形態での経口投与、並びに非経口投与、特に皮膚、皮下、筋肉内又は静脈内注射が含まれる。本発明の医薬組成物は、所望の製剤に相応しい標準の方法及び従来の技術を使用することにより当業者によって調製することができる。所望時には、活性成分を持続放出させるように適合させた組成物を使用することもできる。
【0077】
製剤及び投与の技術についてのこれ以上の詳細は、「レミントン薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」(Maack Publishing Co.、ペンシルヴェニア州イーストン)の最新版で見ることができる。
【0078】
実際の投与量は、治療対象となる疾患の性質及び重症度に応じて決まり、医師の裁量の範囲内であり、本発明の特定の状況に合わせた投与量の漸増によって様々に変更して、所望の治療効果を生み出すことができる。しかし、現在のところ、個々の用量あたり約0.1〜約500mg、好ましくは約1〜約100mg、最も好ましくは約1〜約10mgの活性成分を含有する医薬組成物が治療処置に適すると考えられる。
【0079】
活性成分は、1日あたり1回又は数回で投与することができる。ある場合では、静脈内で0.1μg/kg、経口で1μg/kg程度の少ない投与量で満足な結果を得ることができる。投与量範囲の上限は、現在のところ、静脈内で約10mg/kg及び経口で100mg/kgであると考えられる。好ましい範囲は、静脈内で約0.1μg/kg〜約10mg/kg/日、経口で約1μg/kg〜約100mg/kg/日である。
【0080】
治療方法
別の態様では、本発明は、SKチャネルのモジュレーションに応答する、ヒトを含めた動物生体の疾患、障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法であって、ヒトを含めたその必要のある動物生体に、有効量の本発明の2−アミノ−ピリジン誘導体を投与することを含む方法を提供する。
【0081】
現時点では、適切な投与量範囲は、例によって、厳密な投与方式、投与が行われる形態、その投与が割り当てられる適応症、関わる対象、関わる対象の体重、さらに担当の医師又は獣医師の好み及び経験に応じて、毎日0.1〜1000ミリグラム、毎日10〜500ミリグラム、特に毎日30〜100ミリグラムであると考えられる。
【実施例】
【0082】
本発明を以下の実施例に即してさらに例示するが、実施例は、いかなる点でも、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【0083】
一般:各手順は、本発明の化合物を調製するのに使用した一般的な手順を表す。用いる略語は以下のとおりである。
Ac:アセチル
Boc:t−ブチルオキシカルボニル
DME:1,2−ジメトキシエタン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
Et:エチル
eq:当量
HR−MS:高分解能質量分析
LC−MS:液体クロマトグラフィー質量分析
MW:マイクロ波
rt:室温
TEA:トリエチルアミン
【0084】
手順A
第1のステップでは、閉じたバイアルにおいて、2−フルオロピリジン、必要なアミン(1.5当量)及びTEA(1当量)を、アセトニトリルに溶解させ(N中)、MW照射を使用して0.5〜4時間かけて170〜225℃に加熱した。室温に冷却した後、飽和NaHCO水溶液を加え、混合物をEtOAcで抽出した。有機相を合わせて乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮して、粗生成物を得、これを分取LC−MS又はカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望のN−置換2−アミノピリジンを得た。
【0085】
第2のステップでは、閉じたバイアルにおいて、N−置換2−アミノピリジン及び必要なハロゲン化物(1.5当量)をアセトニトリルに溶解させ(N中)、MW照射を使用して60〜180分間かけて120〜170℃に加熱した。室温に冷却した後、粗生成物を塩基水溶液での後処理後によって単離しその後分取LC−MSによって、或いはカラムクロマトグラフィー及び/又は再結晶によって精製して、所望のN,N’−二置換2−アミノピリジンを得ることができた。
【0086】
手順Aの例である(3,4−ジフルオロベンジル)−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)−1H−ピリジン−2−イリデンの調製をスキーム1に示す。
【0087】
スキーム1
【化3】

【0088】
手順B
標準の方法を使用して、置換アニリンのNを、ホルミル、Boc、又は同様のアミド若しくはカルバマート保護基で保護した。その後、このNが保護されたアニリン誘導体をDMFに溶解させ(N中)、0℃に冷却し、NaH(1.1当量)を加えた。室温で30分間撹拌した後、反応混合物に2−フルオロピリジンを加え、70℃で1〜3日間撹拌を続けた。室温に冷却した後、飽和NaHCO水溶液を加え、混合物をEtOAcで抽出した。有機相を合わせて乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮して、粗生成物を得、これを分取LC−MS又はカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望のN−保護N−フェニル−2−アミノピリジンを得た。標準の方法を使用してN保護基を除去する反応ステップの後、得られるフェニル−ピリジン−2−イル−アミンを、閉じたバイアルにおいてアセトニトリルに溶解させ(N中)、必要なハロゲン化物を加えてN−アルキル化した。次いで、MW照射を使用して、反応混合物を30〜720分間かけて100〜150℃に加熱した。室温に冷却した後、粗生成物を、塩基水溶液での後処理後に単離し、その後分取LC−MSによって、或いはカラムクロマトグラフィー及び/又は再結晶によって精製して、所望のN,N’−二置換2−アミノピリジンを得ることができた。
【0089】
手順Bの例である[1−(3,4−ジフルオロベンジル)−1H−ピリジン−2−イリデン]−(3,4−ジフルオロフェニル)アミンの調製をスキーム2に示す。
【0090】
スキーム2
【化4】

【0091】
(実施例1)
(3,4−ジフルオロベンジル)−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)−1H−ピリジン−2−イリデン(化合物1)
表題化合物は、2−フルオロピリジン、3,4−ジフルオロベンジルアミン及び臭化3,4−ジフルオロベンジルから、手順Aに記載のとおりに2ステップで調製した。第2のステップに従って、粗生成物を分取LC−MSによって精製して、表題化合物をギ酸塩(オフホワイトのゴム状物)として得た。MS(ES)m/z 347([M+1],100)、H NMR(DMSO−d6)δ4.53(s,2H)、5.48(s,2H)、6.72〜7.18(m,5H)、7.33〜7.53(m,3H)、7.75〜7.83(m,1H)、8.12〜8.18(m,1H)、8.22(s,1H)。
【0092】
(実施例2)
[1−(3,4−ジフルオロベンジル)−1H−ピリジン−2−イリデン]−(3,4−ジフルオロフェニル)アミン(化合物2)
表題化合物は、3,4−ジフルオロアニリン、2−フルオロピリジン及び臭化3,4−ジフルオロベンジルから、手順Bに記載のとおりに4ステップで調製した。粗生成物を分取LC−MSによって精製して、表題化合物を遊離塩基(黄色がかった固体)として得た。MS(ES)m/z 333([M+1],100)、HR−MS:333.1008([M+1],C1813、計算値:333.101485)。
【0093】
生物活性
本発明の化合物の生物活性は、たとえばWO2007/110363の実施例16に記載されているような、当業界で知られている標準の方法によって求めることができるが、その方法では、低コンダクタンスCa2+活性化型カリウムチャネル(SKチャネル、サブタイプ3)からのイオン電流を、ホールセル配置のパッチクランプ技術を使用して記録する。
【0094】
SK3阻害剤では、ベースライン電流を初期電流の50%に減少させるのに必要な濃度であると定義されるK値を推定する。このアッセイでは、本発明の化合物は、低マイクロモルの範囲のK値を示し、好ましい化合物は、その強いSK3阻害特性の指標であるマイクロモル下の範囲(すなわち1μM未満)のK値を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの2−アミノ−ピリジン誘導体
【化1】


その互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩[式中、
は、連結基−[CR’R”]−を表し、
R’及びR”は、互いに独立に、水素又はアルキルを表し、
nは、0、1又は2であり、
は、連結基−[CR”’R””]−を表し、
R”’及びR””は、互いに独立に、水素又はアルキルを表し、
mは、0、1又は2であり、
、R、R、R、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5は、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択されるが、
但し、
、R、R、R、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5の少なくとも1つは、水素ではなく、及び、
nが1であり、mが1である場合、
A3及びRB3は、両方ともブロモではないか、又は
は、メチルではなく、RB2はトリフルオロメチルではない]。
【請求項2】
が連結基−[CR’R”]−を表し、
R’及びR”が、互いに独立に、水素又はアルキルを表し、
nが、0、1又は2である、
請求項1に記載の2−アミノ−ピリジン誘導体、その互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩。
【請求項3】
が連結基−[CR”’R””]−を表し、
R”’及びR””が、互いに独立に、水素又はアルキルを表し、
mが、0、1又は2である、
請求項1又は2に記載の2−アミノ−ピリジン誘導体、その互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩。
【請求項4】
、R、R、R、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5が、互いに独立に水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択される、
請求項1から3までのいずれか一項に記載の2−アミノ−ピリジン誘導体、その互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩。
【請求項5】
、R、R、Rがすべて、水素を表し、
A1、RA2、RA3、RA4、RA5、RB1、RB2、RB3、RB4及びRB5が、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ及びアルコキシからなる群から選択される、
請求項4に記載の2−アミノ−ピリジン誘導体、その互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩。
【請求項6】
(3,4−ジフルオロベンジル)−[1−(3,4−ジフルオロベンジル)−1H−ピリジン−2−イリデン、又は
[1−(3,4−ジフルオロベンジル)−1H−ピリジン−2−イリデン]−(3,4−ジフルオロフェニル)アミン、
その互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩。
【請求項7】
治療有効量の請求項1から6までのいずれか一項に記載の2−アミノ−ピリジン誘導体、又はその互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩、又はこれらのプロドラッグと共に、少なくとも1種の薬剤として許容される担体、賦形剤、又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項8】
医薬として使用するための、請求項1から6までのいずれか一項に記載の2−アミノ−ピリジン誘導体、又はその互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩。
【請求項9】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の2−アミノ−ピリジン誘導体、又はその互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩の、医薬の製造のための使用。
【請求項10】
SKチャネルのモジュレーションに応答する、ヒトを含めた哺乳動物の疾患、障害又は状態を治療、予防又は緩和する医薬組成物を製造するための、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
SKチャネルのモジュレーションに応答する疾患、障害又は状態が、欠神発作、年齢に関連した記憶喪失、アルツハイマー病、狭心症、不整脈、喘息、不安、失調、注意欠陥、禿頭症、双極性障害、膀胱過剰興奮性、膀胱流出路閉塞、膀胱攣縮、脳腫瘍、脳虚血、慢性閉塞性肺疾患、癌、心臓血管障害、認知機能不全、大腸炎、便秘、痙攣、冠動脈攣縮、冠動脈性心疾患、嚢胞性線維症、認知症、うつ病、II型糖尿病、月経困難症、てんかん、消化器障害、胃食道逆流障害、消化管運動性低下障害、消化管運動不全、聴覚損失、高インスリン血症、高血圧、免疫抑制、炎症性腸疾患、炎症性疼痛、間欠性跛行、過敏性大腸症候群、虚血、虚血性心疾患、学習欠陥、男性勃起不全、躁うつ病、記憶障害、偏頭痛、気分障害、運動ニューロン疾患、筋波動症、筋緊張性ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、ナルコレプシー、神経因性疼痛、疼痛、パーキンソン病、多発性嚢胞腎、術後腸閉塞、早産、精神病、精神病性障害、腎臓障害、レイノー病、鼻漏、分泌性下痢、てんかん発作、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、痙縮、睡眠障害、発作、外傷性脳損傷、三叉神経痛、尿失禁、泌尿生殖器障害、血管攣縮、視力喪失、又は口内乾燥である、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
SKチャネルのモジュレーションに応答する、ヒトを含めた動物生体の疾患、障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法であって、その必要のある動物生体に、請求項1から6までのいずれか一項に記載の治療有効量の2−アミノ−ピリジン誘導体、又はその互変異性体のいずれか、又はその異性体のいずれか若しくはその異性体の任意の混合物、又はこれらの薬剤として許容される塩を投与するステップを含む上記方法。


【公表番号】特表2010−509250(P2010−509250A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535568(P2009−535568)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/DK2007/000498
【国際公開番号】WO2008/058537
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】