説明

新規のS−ニトロソグルタチオンレダクターゼ阻害剤

本発明は、S−ニトロソグルタチオンレダクターゼ(GSNOR)の阻害剤、そのようなGSNOR阻害剤を含んでなる医薬組成物、及びそれらを作製して使用する方法へ向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、新規化合物、そのような化合物を含んでなる医薬組成物、及びそれらを作製して使用する方法へ向けられる。これらの化合物は、S−ニトロソグルタチオンレダクターゼ(GSNOR)の阻害剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
[0002] 一酸化窒素という化合物は、NOという化学式の気体である。NOは、生体系において知られている数少ない気体シグナル伝達分子の1つであり、様々な生体イベントを制御するのに重要な役割を担っている。例えば、内皮は、NOを使用して、細動脈壁の周囲にある平滑筋へ弛緩するシグナルを伝達して、血管拡張と低酸素組織への血流増加をもたらす。NOは、平滑筋増殖、血小板機能、及び神経伝達を調節することにも関与して、宿主防御においてある役割を担っている。NOはきわめて反応性で、数秒の存続時間を有するが、膜を通って自由に拡散することも、多くの分子標的へ結合することもできる。これらの特性により、NOは、隣接細胞間と細胞内部の生体イベントを制御することが可能な理想のシグナル伝達分子となっている。
【0003】
[0003] NOは、フリーラジカルの気体であり、それにより反応性で不安定となるので、NOは、in vivo で短命で、生理学的条件下では3〜5秒の半減期を有する。酸素の存在時に、NOは、チオールと結合して、S−ニトロソチオール(SNO)と呼ばれる安定なNO付加物の生物学的に重要な群を産生することができる。この安定したNOのプールは、生理活性NOの供給源として作用すると仮定されて、細胞のホメオスタシスにおけるNOの中心性があるとすれば、それ自体として、健康や病気において決定的に重要であるらしい(Stamler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 7674-7677 (1992))。タンパク質−SNOは、心臓血管、呼吸、代謝、胃腸、免疫、及び中枢神経系の機能において広汎な役割を担う(Foster et al., Trends in Molecular Medicine, 9(4); 160-168 (2003))。生体系において最も研究されているSNOの1つは、S−ニトロソグルタチオン(GSNO)であり(Gaston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10957-10961 (1993))、効率的なトランスニトロソ化剤であって、細胞内の他のS−ニトロソ化タンパク質と平衡状態を維持しているらしい(Liu et al., Nature, 410; 490-494 (2001))ので、NOシグナル伝達において新興の主要な調節因子である。NO−SNO連続性におけるこのきわめて重要な位置があるとすれば、GSNOは、NO調節が薬理学的に正当化されるときに考慮すべき療法上有望な標的を提供する。
【0004】
[0004] NOホメオスタシスと細胞SNOレベルの主要な調節因子としてのGSNOのこの理解の観点から、一酸化窒素シンターゼ(NOS)酵素によるNOラジカルの産生より下流で生じる、GSNO及びSNOタンパク質の内因性の産生を検証することに諸研究が集中してきた。より最近になって、利用可能なGSNOの濃度と、必然的に利用可能なNOとSNOを制御するのに重要な役割を担う、GSNOの酵素的異化についての理解が増してきた。
【0005】
[0005] このGSNO異化反応の理解にとって重要なことに、研究者は、最近、高度に保存されたS−ニトロソグルタチオンレダクターゼ(GSNOR)を同定した(Jensen et al., Biochem J., 331: 659-668 (1998); Liu et al., (2001))。GSNORは、グルタチオン依存型ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(GS−FDH)、アルコールデヒドロゲナーゼ3(ADH−3)(Uotila and Koivusalo,「補酵素と補因子(Coenzymes and Cofactors)」D. Dolphin 監修、517-551 頁(ニューヨーク、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ、1989))、及びアルコールデヒドロゲナーゼ5(ADH−5)としても知られている。重要にも、GSNORは、他の基質よりもGSNOに対してより大きな活性を示し(Jensen et al., 1998; Liu et al., 2001)、細菌、植物、及び動物において重要なタンパク質及びペプチド脱ニトロソ化活性に媒介するようである。GSNORは、真核生物において主要なGSNO代謝酵素であるらしい(Liu et al., 2001)。従って、GSNOR活性が低いか又は非存在である生体コンパートメント(例、気道被覆液)では、GSNOが蓄積する可能性がある(Gaston et al., 1993)。
【0006】
[0006] GSNORが欠乏している酵母では、この酵素の基質ではないS−ニトロシル化タンパク質が蓄積するが、このことは、GSNOがSNO−タンパク質と平衡して存在することを強く示唆する(Liu et al., 2001)。GSNOと、従ってSNO−タンパク質の周囲レベルに対する正確な酵素的制御があることは、生理学的要求を超過してNOが産生されるニトロソ化ストレスに抗する保護を含めて、一群の生理学的及び病理学的機能にわたって、GSNO/GSNORが種々の役割を担い得るとする可能性を提起する。実際、GSNOは、呼吸の促進(Lipton et al., Nature, 413:171-174 (2001))から、嚢胞性線維症の膜貫通調節因子の調節(Zaman et al., Biochem Biophys Res Commun, 284:65-70 (2001))、血管緊張、血栓症、及び血小板機能の調節(de Belder et al., Cardiovasc Res. 1994 May; 28(5):691-4 (1994);Z. Kaposzta, A et al., Circulation; 106 (24): 3057-3062, 2002)、並びに宿主防御(de Jesus-Berrios et al., Curr. Biol., 13: 1963-1968 (2003))に及ぶ生理学的プロセスへの関与が特に示唆されている。他の研究は、GSNORが in vitro(Liu et al., 2001)と in vivo(de Jesus-Berrios et al., (2003))の両方で酵母細胞をニトロソ化ストレスに対して保護することを見出した。
【0007】
[0007] まとめると、これまでのデータは、GSNOが、GSNOを異化して、必然的に、生体系において利用可能なSNO及びNOを低下させる、酵素:S−ニトロソグルタチオンレダクターゼ(GSNOR)の主要な生理学的リガンドであることを示唆している(Liu et al., 2001)、(Liu et al., Cell, 116(4), 617-628 (2004))、及び(Que et al., Science, 308, (5728): 1618-1621 (2005))。それ自体として、この酵素は、局所及び全身の生理活性NOを調節することに中心的な役割を担っている。NOバイオアベイラビリティの混乱は、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、血栓症、喘息、胃腸障害、炎症、及び癌が含まれる数多くの疾患状態の病理発生に関連付けられてきたので、GSNOR活性を調節する薬剤は、NO不均衡に関連した疾患を治療するための候補療法剤となる。
【0008】
[0008] 一酸化窒素(NO)、S−ニトロソグルタチオン(GSNO)、及びS−ニトロソグルタチオンレダクターゼ(GSNOR)は、正常な肺の生理を調節して、肺の病態生理の原因になる。正常な条件下では、NOとGSNOが正常な肺の生理を維持して、その抗炎症及び気管支拡張作用を介して機能する。喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような肺疾患におけるこれらメディエーターのより低下したレベルは、GSNOR酵素活性のアップレギュレーションを介して生じる可能性がある。これらのNO及びGSNOのより低下したレベルと、それにより低下した抗炎症能力は、肺疾患の原因となる重要なイベントであって、潜在的には、GSNOR阻害を介して逆転させることができる。
【0009】
[0009] クローン病及び潰瘍性大腸炎が含まれる炎症性腸疾患(IBD)は、NO、GSNO、及びGSNORが影響を及ぼす可能性がある、胃腸(GI)管の慢性炎症障害である。正常な条件の下で、NOとGSNOは、抗炎症作用と腸上皮細胞壁の維持を介して正常な腸の生理を維持するように機能する。IBDでは、GSNO及びNOの抑制レベルが明白であり、GSNOR活性のアップレギュレーションにより生じる可能性がある。これらメディエーターの低下レベルは、上皮の緊密な結合を維持することに関与するタンパク質の調節不全による上皮壁の破壊を介したIBDの病態生理の原因となる。管腔からの微生物のエントリーの続発を伴う、この上皮壁の機能不全と、低下したNO及びGSNOの存在下での抗炎症能力の全般的な低下は、IBD進行における重要なイベントであるが、これは潜在的に、GSNORに標的指向することによって影響を受ける可能性がある。
【0010】
[0010] 現在、当該技術分野では、増加したNO合成及び/又は増加したNO生理活性に関連する医学的状態への診断薬、予防法、改善手段、及び治療法への大きなニーズがある。さらに、他のNO関連障害を予防する、改善する、又は逆転させるための新規な化合物、組成物、及び方法への有意なニーズがある。本発明は、上記のニーズを満足させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Stamler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 7674-7677 (1992)
【非特許文献2】Foster et al., Trends in Molecular Medicine, 9(4); 160-168 (2003)
【非特許文献3】Gaston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10957-10961 (1993)
【非特許文献4】Liu et al., Nature, 410; 490-494 (2001)
【非特許文献5】Jensen et al., Biochem J., 331: 659-668 (1998)
【非特許文献6】Uotila and Koivusalo,「補酵素と補因子(Coenzymes and Cofactors)」D. Dolphin 監修、517-551 頁(ニューヨーク、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ、1989)
【非特許文献7】Lipton et al., Nature, 413:171-174 (2001)
【非特許文献8】Zaman et al., Biochem Biophys Res Commun, 284:65-70 (2001)
【非特許文献9】de Belder et al., Cardiovasc Res. 1994 May; 28(5):691-4 (1994);
【非特許文献10】Z. Kaposzta, A et al., Circulation; 106 (24): 3057-3062, 2002)
【非特許文献11】de Jesus-Berrios et al., Curr. Biol., 13: 1963-1968 (2003)
【非特許文献12】Liu et al., Cell, 116(4), 617-628 (2004)
【非特許文献13】Que et al., Science, 308, (5728): 1618-1621 (2005)
【発明の概要】
【0012】
[0011] 本発明は、新規化合物(式I)を提供する。これらの化合物は、S−ニトロソグルタチオンレダクターゼ(「GSNOR」)阻害剤として有用である。本発明には、記載の化合物の医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝産物、及び立体異性体が含まれる。また本発明に含まれるのは、少なくとも1つの本発明の化合物と少なくとも1つの医薬的に許容される担体を含んでなる医薬組成物である。
【0013】
[0012] 本発明の組成物は、どの好適な医薬的に許容される剤形でも製造することができる。
[0013] 本発明は、GSNORを阻害することを必要とする被検者においてそれをするための方法を提供する。そのような方法は、少なくとも1つのGSNOR阻害剤又はその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝産物、又は立体異性体を少なくとも1つの医薬的に許容される担体と組み合わせて含んでなる医薬組成物の治療有効量を投与することを含む。GSNOR阻害剤は、本発明による新規化合物であっても、GSNORの阻害剤であることがこれまで知られていなかった既知の化合物であってもよい。
【0014】
[0014] 本発明はまた、NOドナー療法によって改善される障害を治療することを必要とする被検者においてそれをする方法を提供する。そのような方法は、少なくとも1つのGSNOR阻害剤、又はその医薬的に許容される塩、そのプロドラッグ、その代謝産物、又は立体異性体を少なくとも1つの医薬的に許容される担体と組み合わせて含んでなる医薬組成物の治療有効量を投与することを含む。GSNOR阻害剤は、本発明による新規化合物であっても、GSNORの阻害剤であることがこれまで知られていなかった既知の化合物であってもよい。
【0015】
[0015] 本発明はまた、細胞増殖性障害を治療することを必要とする被検者においてそれをする方法を提供する。そのような方法は、少なくとも1つのGSNOR阻害剤、又はその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝産物、又は立体異性体を少なくとも1つの医薬的に許容される担体と組み合わせて含んでなる医薬組成物の治療有効量を投与することを含む。GSNOR阻害剤は、本発明による新規化合物であっても、GSNORの阻害剤であることがこれまで知られていなかった既知の化合物であってもよい。
【0016】
[0016] 本発明の方法には、1以上の第二の活性薬剤での投与が含まれる。そのような投与は、連続的であっても、組合せ組成物においてであってもよい。
[0017] 本発明の実施又は検証には、本明細書での記載に類似しているか又は同等である方法及び材料を使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書に言及するすべての公的に利用可能な出版物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。抵触がある場合は、種々の定義を含めて、本明細書が基準となる。
【0017】
[0018] 以上の要約と以下の詳細な記載はともに例示的で説明的なものであり、特許請求されるような組成物及び方法のさらなる詳細を提供することを企図している。当業者には、以下の詳細な記載から、他の目的、利点、及び新規の特徴が容易に明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0019] A.発明の概説
[0020] 最近まで、S−ニトロソグルタチオンレダクターゼ(GSNOR)は、ホルムアルデヒドグルタチオン付加物、S−ヒドロキシメチルグルタチオンを酸化することが知られていた。これまでGSNORは、様々な細菌、酵母、植物、及び動物において確認されて、十分に保存されている。大腸菌(E. oli)、パン酵母(S. cerevisiae)、及びマウスマクロファージからのこのタンパク質は、60%以上のアミノ酸配列同一性を共有する。GSNORの活性(即ち、NADHが必須補因子として存在するときのGSNOの分解)は、大腸菌、マウスマクロファージ、マウス内皮細胞、マウス平滑筋細胞、酵母、及びヒトのヒーラ細胞、上皮細胞、及び単球細胞において検出されてきた。ヒトGSNORのヌクレオチド及びアミノ酸配列の情報は、米国立生物工学情報センター(NCBI)データベースより、登録番号M29872,NM_000671の項目で入手することができる。マウスGSNORのヌクレオチド及びアミノ酸配列の情報は、NCBIデータベースより、登録番号NM_007410の項目で入手することができる。このヌクレオチド配列では、開始部位と終結部位に下線が施されている。CDSは、コーディング配列を明示する。SNPは、一塩基多型を明示する。他の関連したGSNORのヌクレオチド及びアミノ酸の配列は、他の種のそれを含めて、米国特許出願:2005/0014697に見出すことができる。
【0019】
[0021] 本発明により、GSNORは、in vitro と in vivo で、S−ニトロソグルタチオン(GSNO)及びタンパク質S−ニトロソチオール(SNO)を代謝して、少量のNOドナー化合物の細胞内レベルを制御してタンパク質のニトロシル化が中毒レベルに達することを防ぐことによって、NO生理活性を調節するように機能することが示された。
【0020】
[0022] このことに基づけば、この酵素の阻害により、NOドナー療法が適用される疾患において生理活性が増強され、病理学的に増殖している細胞の増殖が阻害され、そしてそのことが有益である疾患においてNO生理活性が高められることになる。
【0021】
[0023] 本発明は、GSNORの強力な阻害剤である医薬品を提供する。特に、提供されるのは、以下に図示される構造(式I):
【0022】
【化1】

【0023】
[式中:
Xは、O及びSからなる群より選択され;
Yは、O及びSからなる群より選択され;
Zは、Z、Z、Z、及びZからなる群より選択され、ここで
は、
【0024】
【化2】

【0025】
であり、Zは、
【0026】
【化3】

【0027】
であり、Zは、
【0028】
【化4】

【0029】
であり、そしてZは、
【0030】
【化5】

【0031】
である、但し、X又はYの少なくとも1つがSであるとき、Zは、Zだけである;
は、水素、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)ハロアルキル、未置換アリール(C−C)アルキル、置換アリール(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、置換又は未置換アリール、及び置換又は未置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲン、シアノ、及び(C−C)アルコキシからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ、シアノ、及びN,N−ジメチルアミノからなる群より選択され;
は、テトラゾール、オキサジアゾロン、チアジアゾロン、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択され;そして
は、カルボキシ、テトラゾール、オキサジアゾロン、チアジアゾロン、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択される]を有する類似体、又はその医薬的に許容される塩、立体異性体、プロドラッグ、又は代謝産物である。
【0032】
[0024] さらに、本明細書に記載の組成物のいずれにおいても、1以上の化合物又は化合物の亜属が特別に除外される可能性がある。
[0025] 本文脈で使用するように、「類似体」という用語は、中央の環系を保持する式Iの化合物と同様の化学構造及び機能を有する化合物を意味する。
【0033】
[0026] 本発明のいくつかの類似体は、配置異性体、幾何異性体、及び配座異性体が含まれる、様々な立体異性型でも存在し得て、並びに、様々な互変異性型、特に水素原子の付加点が異なるものでも存在し得る。本明細書に使用するように、「立体異性体」という用語には、化合物の互変異性型を含めて、化合物のそのような異性型が含まれると企図される。
【0034】
[0027] 不斉中心を有する例示の化合物は、様々なエナンチオマー及びジアステレオマーの形態で存在することができる。化合物は、光学異性体又はジアステレオマーの形態で存在することができる。従って、本発明には、その光学異性体、ジアステレオマー、及びそれらの混合物(ラセミ混合物が含まれる)の形態の化合物が含まれる。
【0035】
[0028] 図示した構造とその構造へ付与される名称との間に矛盾があるならば、図示した構造が基準となることを銘記されたい。さらに、ある構造又は構造の一部の立体化学が、例えば、実線、楔形線、又は破線で示されていなければ、その構造又は構造の一部には、記載の化合物のすべての立体異性体が含まれると解釈されるべきである。
【0036】
[0029] B.S−ニトロソグルタチオンレダクターゼ阻害剤
[0030] 1.本発明の化合物
[0031] その側面の1つにおいて、本発明は、式I:
【0037】
【化6】

【0038】
[式中:
Xは、O及びSからなる群より選択され;
Yは、O及びSからなる群より選択され;
Zは、Z、Z、Z、及びZからなる群より選択され、ここで
は、
【0039】
【化7】

【0040】
であり、Zは、
【0041】
【化8】

【0042】
であり、Zは、
【0043】
【化9】

【0044】
であり、そしてZは、
【0045】
【化10】

【0046】
である、但し、X又はYの少なくとも1つがSであるとき、Zは、Zだけである;
は、水素、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)ハロアルキル、未置換アリール(C−C)アルキル、置換アリール(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、置換又は未置換アリール、及び置換又は未置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲン、シアノ、及び(C−C)アルコキシからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ、シアノ、及びN,N−ジメチルアミノからなる群より選択され;
は、テトラゾール、オキサジアゾロン、チアジアゾロン、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択され;そして
は、カルボキシ、テトラゾール、オキサジアゾロン、チアジアゾロン、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択される]に示す構造を有する化合物、又はその医薬的に許容される塩、立体異性体、プロドラッグ、又は代謝産物を提供する。
【0047】
[0032] 本発明のさらなる側面では、Rが、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択され;そして
は、カルボキシ、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択される。
【0048】
[0033] 本発明のさらなる側面では、Rが、水素、CF、CFH、CFCH、CFCHCH、メチル、イソプロピル、イソブチル、シクロペンチル、CHOCH、SCH、ベンジル、4−カルボキシベンジル、チオフェン−2−イル、及びチオフェン−3−イルからなる群より選択され;
は、水素、フルオロ、クロロ、メトキシ、及びシアノからなる群より選択され;そして
は、水素、フルオロ、クロロ、メチル、CF、メトキシ、シアノ、及びN,N−ジメチルアミノからなる群より選択される。
【0049】
[0034] 本発明のさらなる側面では、Rが、水素、CF、CFH、メチル、及び4−カルボキシベンジルからなる群より選択され;
は、水素及びフルオロからなる群より選択され;
は、水素、フルオロ、クロロ、及びメチルからなる群より選択され;
は、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択され;そして
は、カルボキシ、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択される。
【0050】
[0035] 本発明のさらなる側面では、Rが、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択され;そして
は、カルボキシ、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択される。
【0051】
[0036] 本発明のさらなる側面では、Xが、O及びSからなる群より選択される。本発明の別の側面では、XがOである。本発明のなお別の側面では、XがSである。
[0037] 本発明のさらなる側面では、Yが、O及びSからなる群より選択される。本発明の別の側面では、YがOである。本発明のなお別の側面では、YがSである。
【0052】
[0038] 本発明のさらなる側面では、式Iの好適な化合物に、限定されないが:
3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン;
5−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)チオフェン−2−カルボン酸;
(トランス)−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸;
(シス)−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸;
3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−2−(ジフルオロメチル)−7−ヒドロキシ−4H−クロメン−4−オン;
3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−メチル−4H−クロメン−4−オン;
4−(2−(4−カルボキシベンジル)−7−ヒドロキシ−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸;
4−(7−ヒドロキシ−2−メチル−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸;
3−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン;
4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)−N−(メチルスルホニル)ベンズアミド;
3−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン;
3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−メチル−4H−チオクロメン−4−オン;
5−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)チオフェン−3−カルボン酸;
3−((トランス)−4−(1H−テトラゾール−5−イル)シクロヘキシル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン;
N−ヒドロキシ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンズアミド;
3−(2−クロロ−4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン;
3−(3−クロロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン;
3−(3−フルオロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン;
3−(3−クロロ−4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン;及び
3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−4H−クロメン−4−オン;及び
5−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンが含まれる。
【0053】
[0039] さらなる態様において、化合物:3−フルオロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸は、本発明の化合物である。
【0054】
[0040] さらなる態様において、化合物:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)−3−メチル安息香酸は、本発明の化合物である。
【0055】
[0041] さらなる態様において、化合物:4−(8−フルオロ−7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸は、本発明の化合物である。
【0056】
[0042] Rが、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルであるZの例には、それぞれ、
【0057】
【化11】

【0058】
が含まれる。
[0043] Rが、カルボキシ、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルであるZの例には、それぞれ
【0059】
【化12】

【0060】
が含まれる。
[0044] ある置換基への結合が環中の2つの原子を連結する結合に交差するように示されるとき、このときそのような置換基は、環中のどの原子へも結合してよい。置換基が、所与の式の化合物の残り部分へそのような置換基が結合する原子を示さずに収載されるとき、このときそのような置換基は、そのような置換基中のどの原子を介しても結合してよい。置換基及び/又は可変基(variables)の組合せは、そのような組合せが安定な化合物をもたらしさえすれば、許容される。
【0061】
[0045] 本明細書に記載の化合物は、不斉中心を有する場合がある。不斉的に置換された原子を含有する本発明の化合物は、光学活性型又はラセミ型で単離され得る。当該技術分野では、ラセミ型の分割によるか又は光学活性の出発材料からの合成によるといった、光学活性型を製造する方法がよく知られている。本明細書に記載の化合物には、オレフィン、C=N二重結合、等の多くの幾何異性体も存在し得て、本発明では、そのようなすべての安定な異性体が考慮される。本発明の化合物のシス及びトランス幾何異性体が記載されて、異性体の混合物として、又は分離した異性型として単離され得る。特定の立体化学又は異性型が具体的に示されなければ、ある構造のすべてのキラル、ジアステレオマー、ラセミ、及び幾何異性型が企図される。示されるか又は記載される化合物のすべての互変異性体も、本発明の一部であるとみなされる。
【0062】
[0046] 他に示さなければ、そのような非対称性より生じる異性体(例、すべてのエナンチオマー及びジアステレオマー)が本発明の範囲内に含まれると理解されたい。そのような異性体は、模範的な分離技術によって、そして立体化学的に制御された合成によって、実質的に純粋な形態で入手することができる。さらに、本出願において考察される構造と他の化合物及び部分には、それらのすべての互変異性体も含まれる。アルケンには、E又はZのいずれかのジオメトリーを適宜含めることができる。
【0063】
[0047] 2.代表的な化合物
[0048] 下記に提供する実施例は、本発明の代表的な新規類似体を収載する。各化合物を製造するために使用し得る合成法については、実施例25に記載される中間体を参照にして、実施例1〜24に詳しく記載する。実施例1〜22には、各化合物の裏付けとなる質量分析法データ及び/又はプロトンNMRデータも含まれる。実施例26に記載のアッセイによってGSNOR阻害剤の活性を定量して、実施例1〜22についてのIC50値を入手した。実施例1〜22のGSNOR阻害化合物は、約1μM未満のIC50を有した。実施例1〜3、5〜6、8〜9、11〜12、14、16〜22のGSNOR阻害化合物は、約0.1μM未満のIC50を有した。
【0064】
[0049] C.定義
[0050] 本明細書に使用するように、「約」は、当業者によって理解されて、それが使用される文脈に依ってある程度変化する可能性がある。それが使用される文脈があっても、当業者に明らかでないこの用語の使用があるならば、「約」は、その特定用語のプラス又はマイナス10%までを意味するものである。
【0065】
[0051] 「アシル」という用語には、直鎖又は分岐鎖の低級アルキル残基が付いたアセチル残基(CHCO−)又はカルボニル基を含有する化合物及び部分が含まれる。
[0052] 本明細書に使用する「アルキル」という用語は、指定数の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を意味する。例えば、(C−C)アルキルには、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、及びネオヘキシルが含まれることになる。アルキル基は、未置換であっても、本明細書に記載のような1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0066】
[0053] 本明細書に使用する「アルケニル」という用語は、指定数の炭素原子と少なくとも1つの二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の不飽和炭化水素を意味する。(C−C)アルケニル基の例には、限定されないが、エチレン、プロピレン、1−ブチレン、2−ブチレン、イソブチレン、sec−ブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、イソペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、イソヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、3−ヘプテン、イソヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、及びイソオクテンが含まれる。アルケニル基は、未置換であっても、本明細書に記載のような1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0067】
[0054] 本明細書に使用する「アルキニル」という用語は、指定数の炭素原子と少なくとも1つの三重結合を有する直鎖又は分岐鎖の不飽和炭化水素を意味する。(C−C)アルキニル基の例には、限定されないが、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、1−ヘプチン、2−ヘプチン、3−ヘプチン、1−オクチン、2−オクチン、3−オクチン、及び4−オクチンが含まれる。アルキニル基は、未置換であっても、本明細書に記載のような1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0068】
[0055] 本明細書に使用する「アルコキシ」という用語は、指定数の炭素原子を有する−O−アルキル基を意味する。例えば、(C−C)アルコキシ基には、−O−メチル、−O−エチル、−O−プロピル、−O−イソプロピル、−O−ブチル、−O−sec−ブチル、−O−tert−ブチル、−O−ペンチル、−O−イソペンチル、−O−ネオペンチル、−O−ヘキシル、−O−イソヘキシル、及び−O−ネオヘキシルが含まれる。
【0069】
[0056] 本明細書に使用する「アミノアルキル」という用語は、C−Cアルキル基の水素原子の1以上が式:−N(Rのアミンに置き換わっているアルキル基(典型的には、1〜6の炭素原子)を意味し、ここでRのそれぞれの出現は、独立して、−H又は(C−C)アルキルである。アミノアルキル基の例には、限定されないが、−CHNH、−CHCHNH−、−CHCHCHNH、−CHCHCHCHNH、−CHCHCHCHCHNH、−CHCHCHCHCHCHNH、−CHCHCHN(CH、t−ブチルアミノメチル、イソプロピルアミノメチル、等が含まれる。
【0070】
[0057] 本明細書に使用する「アリール」という用語は、5〜14員の単環式、二環式、又は三環式の芳香族環系を意味する。アリール基の例には、フェニル及びナフチルが含まれる。アリール基は、未置換であっても、本明細書で以下に記載のような1以上の置換基で置換されていてもよい。アリール基の例には、フェニル、又は、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジンのようなアリール複素環、等が含まれる。
【0071】
[0058] 本明細書に使用するように、「生理活性」という用語は、生理学的又は病態生理学的プロセスに影響を及ぼし得る1以上の細胞又は細胞外プロセス(例えば、結合、シグナル伝達、等による)に対する効果を示す。
【0072】
[0059] 「カルボニル」という用語には、酸素原子へ二重結合で結合した炭素を含有する化合物及び部分が含まれる。カルボニルを含有する部分の例には、限定されないが、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物、等が含まれる。
【0073】
[0060] 「カルボキシ」又は「カルボキシル」という用語は、−COOH基又はカルボン酸を意味する。
[0061] 「C−C」という用語は、「m」個の炭素原子〜「n」個の炭素原子を意味する。例えば、「C−C」という用語は、1〜6の炭素原子(C、C、C、C、C又はC)を意味する。「C−C」という用語には、2〜6の炭素原子(C、C、C、C又はC)が含まれる。「C−C」という用語には、3〜6の炭素原子(C、C、C又はC)が含まれる。
【0074】
[0062] 本明細書に使用する「シクロアルキル」という用語は、3〜14員の飽和又は不飽和で非芳香族の単環式、二環式、又は三環式の炭化水素環系を意味する。この群に含まれるのは、ベンゼン環へ縮合したシクロアルキル基である。代表的なシクロアルキル基には、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、1,3−シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,4−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、1,3−シクロオクタジエニル、1,4−シクロオクタジエニル、1,3,5−シクロオクタトリエニル、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレン、ヘキサヒドロナフタレン、オクタヒドロインデン、ヘキサヒドロインデン、テトラヒドロインデン、デカヒドロベンゾシクロヘプテン、オクタヒドロベンゾシクロヘプテン、ヘキサヒドロベンゾシクロヘプテン、テトラヒドロベンゾシクロヘプテン、ドデカヒドロヘプタレン、デカヒドロヘプタレン、オクタヒドロヘプタレン、ヘキサヒドロヘプタレン、テトラヒドロヘプタレン、(1s,3s)−ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.]ウンデカン、ビシクロ[4.2.2]デカン、及びビシクロ[4.3.1]デカンが含まれる。シクロアルキル基は、未置換であっても、本明細書で以下に記載のような1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0075】
[0063] 「ハロゲン」という用語には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素、等が含まれる。
[0064] 本明細書に使用する「ハロアルキル」という用語は、C−Cアルキル基の水素原子の1以上が、同じであっても異なっていてもよいハロゲン原子に置き換わっているC−Cアルキル基を意味する。ハロアルキル基の例には、限定されないが、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピル、ペンタクロロエチル、及び1,1,1−トリフルオロ−2−ブロモ−2−クロロエチルが含まれる。
【0076】
[0065] 「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体で、又は別の用語との組合せにおいて、他に述べなければ、炭素原子と、O、N及びSからなる群より選択される1〜3のヘテロ原子からなる、安定した直鎖又は分岐鎖のアルキル又はその組合せを意味して、そしてここで窒素原子とイオウ原子は、酸化されていてもよく、そして窒素ヘテロ原子は、四級化していてもよい。ヘテロ原子(複数)のO、N及びSは、ヘテロアルキル基のどの位置にも配置され得る。例には、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、及び−CH−CH=N−OCHが含まれる。2つまでのヘテロ原子が連続的であり得る(例えば、−CH−NH−OCH)。ヘテロアルキル基に言及するのに(C−C)のような接頭語が使用される場合、炭素の数(この例では、2〜8)には、ヘテロ原子も同様に含まれることになる。例えば、C−ヘテロアルキル基には、例えば、−CHOH(1つの炭素原子と炭素原子に置き換わった1つのヘテロ原子)と−CHSHが含まれることになる。
【0077】
[0066] ヘテロ原子が酸素であるヘテロアルキル基の定義をさらに例示すれば、ヘテロアルキル基は、オキシアルキル基であり得る。例えば、(C−C)オキシアルキルには、例えば、−CH−O−CH(2つの炭素原子と、炭素原子に置き換わった1つの酸素があるC−オキシアルキル基)、−CHCHCHCHOH、−OCHCHOCHCHOH、−OCHCH(OH)CHOH、等が含まれることになる。
【0078】
[0067] 本明細書に使用するように、「アリールアルキル」は、−アルキル−アリール基を意味し、ここでアリールアルキル基は、確定された化学構造へそのアルキル基を介して共有結合する。アリールアルキル基の例は、ベンジル基(−CH−C)である。アリールアルキル基は、置換されていてもよい、即ち、アリール基及び/又はアルキル基は、本明細書に開示されるように置換される可能性がある。
【0079】
[0068] 本明細書に使用する「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素、及びイオウより選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有して、少なくとも1つの炭素原子を含有する5〜14員の芳香族の複素環を意味して、単環式、二環式、及び三環式の環系が含まれる。代表的なヘテロアリールは、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チエニル、ベンゾチエニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ピリミジル、アゼピニル、オキセピニル、キノキサリニル、及びオキサゾリルである。ヘテロアリール基は、未置換であっても、本明細書で以下に記載のような1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0080】
[0069] 本明細書に使用するように、「ヘテロ原子」という用語には、酸素(O)、窒素(N)、及びイオウ(S)が含まれることになる。
[0070] 本明細書に使用するように、「複素環」という用語は、飽和、不飽和、又は芳香族のいずれかであり、窒素、酸素、及びイオウより独立して選択される1〜4のヘテロ原子を含有する3〜14員の環系を意味して、そしてここで窒素及びイオウのヘテロ原子は、酸化されていてもよく、そして窒素ヘテロ原子は、四級化していてもよく、単環式、二環式、及び三環式の環系が含まれる。二環式及び三環式の環系には、ベンゼン環へ縮合した複素環又はヘテロアリールを含めてよい。複素環は、化学的に許容される場合、どのヘテロ原子又は炭素原子を介しても付くことができる。複素環には、上記に定義したようなヘテロアリールが含まれる。代表的な複素環の例には、限定されないが、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、アジリニル、ジアジリジニル、ジアジリニル、オキサジリジニル、アゼチジニル、アゼチジノニル、オキセタニル、チエタニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリル、オキサジニル、チアジニル、ジアジニル、ジオキサニル、トリアジニル、テトラジニル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピロリジニル、イソオキサゾリル、フラニル、フラザニル、ピリジニル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、チエニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、プリニル、インドリル、イソキノリニル、キノリニル、及びキナゾリニルが含まれる。複素環基は、未置換であっても、本明細書で以下に記載のような1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0081】
[0071] 「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体で、又は他の用語との組合せにおいて、他に述べなければ、「ヘテロアルキル」の環式バージョンを表す。さらに、ヘテロ原子には、その複素環が分子の残り部分へ付く位置を占める可能性がある。ヘテロシクロアルキルの例には、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、等が含まれる。
【0082】
[0072] 本明細書に使用する「ヒドロキシアルキル」という用語は、指定数の炭素原子を有して、該アルキル基中の水素原子の1以上が−OH基に置き換わっているアルキル基を意味する。ヒドロキシアルキル基の例には、限定されないが、−CHOH、−CHCHOH、−CHCHCHOH、−CHCHCHCHOH、−CHCHCHCHCHOH、−CHCHCHCHCHCHOH、及びこれらの分岐鎖バージョンが含まれる。
【0083】
[0073] 「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」という用語には、−OH又は−Oのある基が含まれる。
[0074] 本明細書に使用するように、N−オキシド又はアミンオキシドは、1つの酸素原子の窒素原子への付加によって三級アミンより誘導される化合物、R−Oを意味する。拡大解釈すると、この用語には、一級及び二級アミンの類似の誘導体が含まれる。
【0084】
[0075] 本明細書に使用するように、そして他に示さなければ、「立体異性体」という用語は、化合物の他の立体異性体を実質的に含まない、該化合物の1つの立体異性体を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する立体異性体的に純粋な化合物は、該化合物の対掌エナンチオマーを実質的に含まない。2つのキラル中心を有する立体異性体的に純粋な化合物は、該化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。いくつかの態様において、立体異性体的に純粋な化合物は、該化合物の約80重量%以上の1つの立体異性体と該化合物の約20重量%未満の他の立体異性体、例えば、該化合物の約90重量%以上の1つの立体異性体と該化合物の約10重量%未満の他の立体異性体、又は該化合物の約95重量%以上の1つの立体異性体と該化合物の約5重量%未満の他の立体異性体、又は該化合物の約97重量%以上の1つの立体異性体と該化合物の約3重量%未満の他の立体異性体を含む。
【0085】
[0076] 本明細書に使用するように、「タンパク質」は、「ペプチド」、「ポリペプチド」、又は「ペプチド断片」と同義で使用される。「精製された」ポリペプチド、タンパク質、ペプチド、又はペプチド断片は、細胞材料又は、そのアミノ酸配列が得られる細胞、組織、又は無細胞供給源からの他の混在タンパク質を実質的に含まないか、又は化学的に合成されるときは、化学前駆体又は他の化学品を実質的に含まない。
【0086】
[0077] 本明細書に使用するように、「調節する」は、ペプチド又はポリペプチドのレベルの増加又は減少、あるいはペプチド又はポリペプチドの安定性又は活性を増加又は減少させることを意味することになる。「阻害する」という用語は、ペプチド又はポリペプチドのレベルの減少、あるいはペプチド又はポリペプチドの安定性又は活性の減少を意味することになる。好ましい態様において、調節されるか又は阻害されるペプチドは、S−ニトロソグルタチオン(GSNO)又はタンパク質S−ニトロソチオール(SNO)である。
【0087】
[0078] 本明細書に使用するように、「一酸化窒素」及び「NO」という用語には、無電荷の一酸化窒素と有電荷の一酸化窒素の種が含まれ、特に、ニトロソニウムイオン(NO)とニトロキシルイオン(NO)が含まれる。一酸化窒素の反応型は、気体の一酸化窒素によって提供され得る。構造:X−NO(ここでXは、一酸化窒素を放出、送達、又は移送する部分であり、yは1又は2である)を有する化合物には、一酸化窒素をその企図される作用部位へその企図される目的のために活性な形態で提供するありとあらゆるそのような化合物が含まれる。
【0088】
[0079] 本明細書に利用するように、「医薬的に許容される」という用語は、動物、より特別にはヒトでの使用のために、連邦又は州政府の規制当局によって承認されているか又は米国薬局方又は他の一般的に認知されている薬局方に収載されていることを意味する。「担体」という用語は、治療薬剤とともに投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又は媒体を意味して、限定されないが、水及び油剤のような無菌の液剤が含まれる。
【0089】
[0080] 本発明の化合物の「医薬的に許容される塩」又は「塩」は、イオン結合を含有して、典型的には、酸又は塩基のいずれかと開示化合物を反応させることによって生成される、被検者への投与に適した、開示化合物の生成物である。医薬的に許容される塩には、限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、アリールアルキルスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、及び酒石酸塩が含まれる酸付加塩;Li、Na、Kのようなアルカリ金属カチオン、Mg又はCaのようなアルカリ土類金属の塩、又は有機アミン塩を含めることができる。
【0090】
[0081] 「医薬組成物」は、被検者への投与に適した形態で開示化合物を含んでなる製剤である。本発明の医薬組成物は、好ましくは、その企図される投与経路と適合するように製剤化される。投与経路の例には、限定されないが、経口及び非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、吸入、局所、経皮、経粘膜、及び直腸の投与が含まれる。
【0091】
[0082] 本明細書に使用する「置換(された)」という用語は、指定される原子上の1以上の水素が、示される群からの選択物に置き換わっていることを意味するが、但し、指定される原子の通常の原子価を超えず、そしてその置換は安定した化合物をもたらすものとする。置換基がケト(即ち、=O)であるときは、原子上の2つの水素が置き換わる。環の二重結合は、本明細書に使用するように、2つの隣接した環原子の間で形成される二重結合(例、C=C、C=N、又はN=N)である。
【0092】
[0083] アルキル、ヘテロアルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニルと呼ばれる基への置換基は、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロ、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’’’C(O)NR’R’’、−NR’’’SONR’R’’、−NR’’CO’、−NHC(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NHC(NH)=NR’、−S(O)R’、−SO’、−SONR’R’’、−NR’’SO’、−CN、及び−NOが含まれる様々な基より、0〜3に及ぶ数で選択することができて、0、1、又は2の置換基を有するこれらの基は、例示である。
【0093】
[0084] R’、R’’、及びR’’’は、それぞれ独立して、水素、未置換(C−C)アルキル、未置換ヘテロ(C−C)アルキル、未置換アリール、並びに、−ハロ、未置換アルキル、未置換アルコキシ、未置換チオアルコキシ、及び未置換アリール(C−C)アルキルより選択される1〜3の置換基で置換されたアリールを意味する。R’とR’’が同じ窒素原子へ付くとき、それらは、該窒素原子と組み合って、5、6又は7員環を形成することができる。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニル又は4−モルホリニルを表すことができる。
【0094】
[0085] 典型的には、アルキル又はヘテロアルキル基は、0〜3の置換基を有するものであり、2以下の置換基を有するこれらの基は、本発明の例示である。アルキル又はヘテロアルキル残基は、未置換であってもモノ置換であってもよい。いくつかの態様において、アルキル又はヘテロアルキル残基は、未置換であろう。
【0095】
[0086] アルキル及びヘテロアルキル残基の例示の置換基には、限定されないが、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロ、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’’’C(O)NR’R’’、−NR’’’SONR’R’’、−NR’’CO’、−NHC(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NHC(NH)=NR’、−S(O)R’、−SO’、−SONR’R’’、−NR’’SO’、−CN、及び−NO(ここでR’、R’’及びR’’’は、上記に定義される通りである)が含まれる。典型的な置換基は、−OR’、=O、−NR’R’’、−ハロ、−OC(O)R’、−CO’、−C(O)NR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’’CO’、−NR’’’SONR’R’’、−SO’、−SONR’R’’、−NR’’SO’、−CN、及び−NOより選択され得る。
【0096】
[0087] 同様に、アリール及びヘテロアリール基の置換基は、多様であり、−ハロ、−OR’、−OC(O)R’、−NR’R’’、−SR’、−R’、−CN、−NO、−CO’、−C(O)NR’R’’、−C(O)R’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’’CO’、−NR’’’C(O)NR’R’’、−NR’’’SONR’R’’、−NHC(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、−SO’、−SONR’R’’、−NR’’SO’、−N、−CH(Ph)、ペルフルオロアルコキシ、及びペルフルオロ(C−C)アルキルより、0〜芳香族環系上の自由原子価の総数に及ぶ数において選択される。
【0097】
[0088] R’、R’’及びR’’’は、水素、未置換(C−C)アルキル、未置換ヘテロ(C−C)アルキル、未置換アリール、未置換ヘテロアリール、未置換アリール(C−C)アルキル、及び未置換アリールオキシ(C−C)アルキルより独立して選択される。典型的には、アリール又はヘテロアリール基は、0〜3の置換基を有するものであり、2以下の置換基を有するこれらの基は、本発明の例示である。本発明の1つの態様において、アリール又はヘテロアリール基は、未置換又はモノ置換であろう。別の態様において、アリール又はヘテロアリール基は、未置換であろう。
【0098】
[0089] 本明細書に記載のアリール又はヘテロアリール基中のアリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、式:−T−C(O)−(CH−U−(ここでTとUは、独立して、−NH−、−O−、−CH−、又は単結合であり、qは0〜2の整数である)の置換基に置き換わってもよい。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、式:−J−(CH−K−(ここでJとKは、独立して、−CH−、−O−、−NH−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’又は単結合であり、rは1〜3の整数である)の置換基に置き換わってもよい。このように形成される新しい環の単結合の1つは、二重結合に置き換わってもよい。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは、式:−(CH−X−(CH−(ここでsとtは、独立して、0〜3の整数であり、そしてXは、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、又は−S(O)NR’−である)の置換基に置き換わってもよい。−NR’−及び−S(O)NR’−中の置換基:R’は、水素又は未置換(C−C)アルキルより選択される。
【0099】
[0090] 「安定な化合物」と「安定な構造」は、反応混合物からの有用な純度の度合いまでの単離と、有効な治療薬剤への製剤化に耐えるほどに十分に頑丈である化合物を示すものである。
【0100】
[0091] 本明細書に使用するように、「治療有効量」という用語は、一般に、本明細書に記載のように予防、抑制、又は治療されるべき障害の少なくとも1つの症状を改善するのに必要な量を意味する。「治療有効量」という句は、本発明のGSNOR阻害剤に関する場合、そのような治療を必要とする有意数の被検者においてGSNOR阻害剤が投与されるための特定の薬理学的応答をもたらすGSNOR阻害剤の投与量を意味する。特別な例において特別な被検者へ投与されるGSNOR阻害剤の治療有効量は、たとえそのような投与量が当業者によって治療有効量であるとみなされるとしても、本明細書に記載の状態/疾患を治療するのにいつでも有効であるわけではないことが重要である。
【0101】
[0092] 「生体試料」という用語には、限定されないが、血液(例、血清、血漿、又は全血)、尿、唾液、汗、母乳、膣分泌物、精液、毛包、皮膚、歯、骨、爪、又は他の分泌物、体液、組織、又は細胞の試料が含まれる。本発明によれば、生体試料中のGSNORのレベルは、米国特許出願公開公報番号2005/0014697に記載の方法によって定量することができる。
【0102】
[0093] D.医薬組成物
[0094] 本発明には、本明細書に記載の少なくとも1つの本発明の化合物と少なくとも1つの医薬的に許容される担体を含んでなる医薬組成物が含まれる。好適な担体については、参照により本明細書に組み込まれる「レミントン:科学と実践(Remington: The Science and Practice)」第20版(出版元:リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス)に記載されている。本発明による医薬組成物は、本発明の化合物ではない1以上の活性薬剤も含んでよい。
【0103】
[0095] 本発明の医薬組成物は、本明細書に記載の新規化合物を含み得て、該医薬組成物は、GSNOR阻害剤の活性を有することがこれまで知られていなかった既知の化合物、又はその組合せを含むことができる。
【0104】
[0096] 本発明の化合物は、限定されないが、注射可能な剤形、分散液剤、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏剤、クリーム剤、凍結乾燥製剤、乾燥散剤、錠剤、カプセル剤、制御放出製剤、迅速融解製剤、遅延放出製剤、延長放出製剤、パルス放出製剤、即時放出及び制御放出混合製剤、等が含まれる、どの医薬的に許容される剤形でも利用することができる。具体的には、本明細書に記載の本発明の化合物は:(a)経口、肺、静脈内、動脈内、鞘内、関節内、直腸、眼、結腸、非経口、槽内、膣内、腹腔内、局所、頬内、経鼻、及び局部投与からなる群より選択される投与用に;(b)分散液剤、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏剤、クリーム剤、錠剤、サシェ剤、及びカプセル剤からなる群より選択される剤形へ;(c)凍結乾燥製剤、乾燥散剤、迅速融解製剤、制御放出製剤、遅延放出製剤、延長放出製剤、パルス放出製剤、並びに即時放出及び制御放出混合製剤からなる群より選択される剤形へ;又は(d)これらのあらゆる組合せへ製剤化することができる。
【0105】
[0097] 呼吸器感染症では、吸入製剤を使用して、高い局所濃度を達成することができる。吸入に適した製剤には、上気道及び下気道の細菌感染症を治療するために吸入器又はネブライザーによって被感染患者の気管支内腔又は鼻腔へ分散させることが可能である、乾燥散剤又はエアゾール化又は気化させた溶液剤、分散液剤、又は懸濁液剤が含まれる。
【0106】
[0098] 非経口、皮内、又は皮下の適用に使用される溶液剤又は懸濁液剤は、以下の成分の1以上を含むことができる:(1)注射用水、生理食塩水溶液、不揮発油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒のような無菌希釈剤;(2)ベンジルアルコール又はメチルパラベンのような抗菌剤;(3)アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;(4)エチレンジアミン四酢酸のようなキレート形成剤;(5)酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩のような緩衝剤;及び(5)塩化ナトリウム又はデキストロースのような浸透圧の調整用の薬剤。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムのような酸又は塩基で調整することができる。非経口調製品は、ガラス又はプラスチックで作製される、アンプル、使い捨てシリンジ、又は多用量バイアルに密封することができる。
【0107】
[0099] 注射可能な使用に適した医薬組成物は、無菌水溶液剤(水溶性である場合)、又は無菌の注射可能な溶液剤又は分散液剤の用時調製用の分散剤及び無菌散剤を含み得る。静脈内投与に好適な担体には、生理食塩水溶液、静菌水、Cremophor EL(BASF、ニュージャージー州パルシッパニー)、又はリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が含まれる。すべての事例において、組成物は、無菌でなければならず、容易な注入可能性(syringability)が存在する程度まで流動的であるべきである。医薬組成物は、製造及び保存の条件下で安定であるべきで、細菌及び真菌のような微生物の汚染作用に抗して保存されるべきである。
【0108】
[00100] 担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール、等)、及びこれらの好適な混合物を含んでなる、溶媒又は分散溶媒であり得る。適正な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用によって、(分散液の場合は)必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール、等によって達成することができる。多くの場合において、等張剤、例えば、糖類、マンニトール又はソルビトールのようなポリアルコール、及び塩化ナトリウムのような無機塩類を組成物に含めることが好ましいであろう。注射可能な組成物の長期化吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。
【0109】
[00101] 無菌の注射可能な溶液剤は、必要とされる量の活性試薬を、必要に応じて、上記に列挙した成分の1つ又は組合せとともに適正な溶媒に取り込むこと、それに続く濾過滅菌によって調製することができる。一般に、分散液剤は、基本の分散媒体と他の必要とされるあらゆる成分を含有する無菌担体へ少なくとも1つの本発明の化合物を取り込むことによって調製する。無菌の注射可能な溶液剤の調製用の無菌散剤の場合、例示の調製法には、真空乾燥と凍結乾燥が含まれ、そのいずれも、先に無菌濾過したその溶液より、本発明の化合物+所望される追加成分の散剤を産生する。
【0110】
[00102] 一般に、経口組成物には、不活性希釈剤又は食用担体が含まれる。それらは、例えば、ゼラチンカプセルに被包するか又は錠剤へ圧縮することができる。経口療法上の投与の目的では、本発明の化合物を賦形剤とともに取り込んで、錠剤、トローチ剤、又はカプセル剤の形態で使用することができる。経口組成物はまた、洗口液としての使用のための液状担体を使用して調製し得て、ここでは液状担体中の化合物が経口的に適用されて口中で転がされて喀痰されるか、又は嚥下される。この組成物の一部として、医薬的に適合した結合剤、及び/又はアジュバント材料を含めることができる。
【0111】
[00103] 吸入による投与では、化合物は、好適なデバイス由来の好適な推進剤(例、二酸化炭素のような気体、噴霧化液剤、又は乾燥散剤)を含有する加圧容器又はディスペンサーからのエアゾールスプレー剤の形態で送達される。経粘膜又は経皮投与では、浸透すべきバリアに適正な浸透剤を製剤中に使用する。当該技術分野では、そのような浸透剤が一般的に知られていて、例えば、経粘膜投与用には、洗浄剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、鼻腔スプレー剤又は坐剤の使用により達成することができる。経皮投与では、活性試薬を、当該技術分野で一般的に知られているような軟膏剤、軟膏、ゲル剤、又はクリーム剤へ製剤化する。この試薬はまた、坐剤(例えば、ココア脂や他のグリセリドのような慣用の坐剤基剤とともに)又は直腸送達用の停留浣腸剤の形態で調製することができる。
【0112】
[00104] 1つの態様において、本発明の化合物は、身体からの速やかな消失に抗して保護する担体とともに調製される。例えば、インプラントやマイクロカプセル化送達システムが含まれる、制御放出製剤を使用することができる。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸のような生分解性、生体適合性のポリマーを使用することができる。このような製剤の製造の方法は、当業者に明らかであろう。
【0113】
[00105] リポソーム懸濁液剤(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体が付いた、被感染細胞へ標的指向されるリポソーム剤が含まれる)も医薬的に許容される担体として使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるように、当業者に知られた方法に従って製造することができる。
【0114】
[00106] さらに、本発明の化合物の懸濁液剤は、適正な油性の注射懸濁液剤として調製してよい。好適な脂溶性の溶媒又は担体には、ゴマ油のような脂肪オイル、又はオレイン酸エチル、トリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、又はリポソームが含まれる。非脂質ポリカチオン性アミノポリマーも送達用に使用してよい。この懸濁液剤には、化合物の溶解性を高めて高濃度溶液剤の調製を可能にするのに適した安定化剤又は薬剤を含めてもよい。
【0115】
[00107] 経口又は非経口の組成物を単位剤形で製剤化することは、投与の容易さと投与量の均一性のために特に有利である。本明細書に使用する単位剤形は、治療される被検者への単位投与量として適した、物理的に別個の単位を意味して、各単位は、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の本発明の化合物を必要とされる医薬担体とともに含有する。本発明の単位剤形への仕様は、本発明の化合物の独自の特徴と達成すべき特別な治療効果、並びに、そのような活性薬剤を個体の治療のために調合することの当該技術分野に固有の限界によって支配されて、直接的に依存する。
【0116】
[00108] 少なくとも1つの本発明の化合物を含んでなる、本発明による医薬組成物は、1以上の医薬賦形剤を含むことができる。そのような賦形剤の例には、限定されないが、結合剤、充填剤、滑沢剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、及び他の賦形剤が含まれる。そのような賦形剤は、当該技術分野で知られている。例示の賦形剤には、以下が含まれる:(1)様々なセルロース及び架橋ポリビニルピロリドン、Avicel(登録商標)PH101及びAvicel(登録商標)PH102のような微結晶性セルロース、珪化微結晶性セルロース(ProSolv SMCCTM)、トラガカントゴム、及びゼラチンが含まれる、結合剤;(2)様々なデンプン、乳糖、乳糖一水和物、及び無水乳糖のような充填剤;(3)アルギン酸、Primogel、コーンスターチ、軽度架橋ポリビニルピロリドン、ジャガイモデンプン、とうもろこしデンプン、及び加工デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、及びこれらの混合物のような崩壊剤;(4)圧縮される散剤の流動可能性に作用する薬剤が含まれる滑沢剤。ステアリン酸マグネシウム、Aerosil(登録商標)200のようなコロイド状二酸化シリコン、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、及びシリカゲルが含まれる;(5)コロイド状二酸化シリコンのような滑り剤;(6)ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸とその塩、ブチルパラベンのような他のパラヒドロキシ安息香酸エステル、エチル又はベンジルアルコールのようなアルコール類、フェノールのようなフェノール性化合物、又は塩化ベンザルコニウムのような四級化合物といった、保存剤;(7)微結晶性セルロース、乳糖、二塩基性リン酸カルシウム、サッカライド、及び/又は上記のいずれもの混合物といった医薬的に許容される不活性充填剤のような希釈剤;希釈剤の例には、Avicel(登録商標)PH101及びAvicel(登録商標)PH102のような微結晶性セルロース;乳糖一水和物、無水乳糖、及びPharmatose(登録商標)DCL21のような乳糖;Emcompress(登録商標)のような二塩基性リン酸カルシウム;マンニトール;デンプン;ソルビトール;ショ糖;及びブドウ糖が含まれる;(8)ショ糖、サッカリンショ糖、キシリトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテーム、及びアセスルフェームのような、あらゆる天然又は人工甘味料が含まれる、甘味剤;(9)ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジフレーバリング、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバー、フルーツフレーバー、等のような香味剤;並びに(10)有機酸と炭酸塩又は重炭酸塩のような発泡性のカップルが含まれる、発泡剤。好適な有機酸には、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、及びアルギン酸と無水物、及び酸塩が含まれる。好適な炭酸塩及び重炭酸塩には、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸ナトリウム、炭酸L−リジン、及び炭酸アルギニンが含まれる。あるいは、発泡性カップルの重炭酸ナトリウム成分だけが存在してよい。
【0117】
[00109] E.本発明の組成物を含んでなるキット
[00110] 本発明には、本発明の組成物を含んでなるキットも含まれる。そのようなキットは、例えば、(1)少なくとも1つの本発明の化合物;及び(2)溶媒又は溶液のような、少なくとも1つの医薬的に許容される担体を含むことができる。追加のキット成分には、例えば:(1)安定化剤、緩衝剤、等のような、本明細書において明確化した医薬的に許容される賦形剤のあらゆるもの、(2)キット成分を保持及び/又は混合するための少なくとも1つの容器、バイアル、又は同様の器具;及び(3)吸入器、ネブライザー、シリンジ、等のような送達器具が含まれてもよい。
【0118】
[00111] F. 本発明の化合物を製造する方法
[00112] 本発明の化合物は、既知の合成の方法論を使用して、又は既知の合成の方法論の変更により、容易に合成することができる。当業者に容易に認められるように、以下に記載の方法論は、多様な置換基を有する類似体の合成を可能にする。以下の実施例のセクションにおいて、例示の合成法を記載する。
【0119】
[00113] 必要とされるならば、当該技術分野で知られた定型的な手段によって、エナンチオマー及びジアステレオマーのさらなる精製及び分離を達成することができる。このように、例えば、化合物のエナンチオマーの分離は、キラルHPLCと関連のクロマトグラフィー技術の使用によって達成することができる。ジアステレオマーも同様に分離することができる。しかしながら、いくつかの事例では、例えば、制御された沈殿化又は結晶化によるように、ジアステレオマーを物理的に単純に分離させることができる。
【0120】
[00114] 本発明の方法は、本明細書に記載のように行なわれるとき、簡便にも、当該技術分野で定型的に利用できる温度で実施することができる。1つの態様において、この方法は、約25℃〜約110℃の範囲の温度で実施する。別の態様において、温度は、約40℃〜約100℃の範囲にある。なお別の態様において、温度は、約50℃〜約95℃の範囲にある。
【0121】
[00115] 塩基を必要とする合成工程は、簡便な有機又は無機塩基を使用して行う。典型的には、この塩基は、求核性ではない。このように、1つの態様において、塩基は、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、アルコキシド、ジシラザンの塩、及び三級アミンより選択される。
【0122】
[00116] 本発明の方法は、本明細書に記載のように実施されるとき、反応体の性質及び量と反応温度に依存して、数分後〜数時間後に実質的には完了している可能性がある。反応が実質的に完了しているときの決定は、簡便には、例えば、HPLC、LCMS、TLC、及びH NMRのような、当該技術分野で知られた通常の技術によって評価することができる。
【0123】
[00117] G.治療の方法
[00118] 本発明には、開示される化合物の1以上の使用を通して医学的状態を予防するか又は治療する(例えば、その1以上の症状を軽減する)方法が含まれる。この方法は、本発明の化合物の治療有効量を必要とする患者へそれを投与することを含む。本発明の組成物は、予防療法へも使用することができる。
【0124】
[00119] 本発明による治療の方法に使用される本発明の化合物は、(1)本明細書に記載の新規化合物、又はその医薬的に許容される塩、そのプロドラッグ、その代謝産物、又はその立体異性体;(2)本発明に先立って知られていたが、GSNOR阻害剤であることは知られていなかった化合物、又はその医薬的に許容される塩、そのプロドラッグ、その代謝産物、又はその立体異性体;又は(3)本発明に先立って知られていて、GSNOR阻害剤であることが知られていたが、本明細書に記載の治療の方法に有用であることは知られていなかった化合物、又はその医薬的に許容される塩、そのプロドラッグ、その代謝産物、又はその立体異性体であり得る。
【0125】
[00120] 患者は、どの動物、家畜動物、酪農動物、野生動物でもよく、限定されないが、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、及びウシと、好ましくはヒト患者が含まれる。本明細書に使用されるように、「患者」及び「被検者」という用語は、交換可能的に使用してよい。
【0126】
[00121] 本明細書に使用されるように、「治療すること」は、疾患、状態、又は障害を克服する目的のための患者の管理及び看護について記載して、症状又は合併症の発現を予防するための本発明の化合物の投与、症状又は合併症を軽減すること、又は疾患、状態、又は障害を消失させることが含まれる。より具体的には、「治療すること」には、疾患(障害)状態の少なくとも1つの有害な症状又は影響、疾患の進行、疾患の原因体(例、細菌又はウイルス)、又は他の異常な状態を逆転させること、弱めること、軽減すること、最小化すること、抑制すること、又は休止させることが含まれる。治療は、症状及び/又は病態が改善する間は続けられる。
【0127】
[00122] 一般に、投与量、即ち治療有効量は、治療される被検者の体重1kgにつき、1日あたり、1μg〜10gの範囲に及び、そしてしばしば、10μg〜1g又は10μg〜100mgの範囲に及ぶ。
【0128】
[00123] H.GSNORの使用
[00124] 有害なほどに高いレベルのGSNOR又はGSNOR活性がある被検者において、調節は、例えば、GSNOR機能を壊すか又はダウンレギュレートする、又はGSNORレベルを減少させる開示化合物の1以上を投与することによって達成され得る。これらの化合物は、抗GSNOR抗体又は抗体断片、GSNORアンチセンス、iRNA、又は低分子のような他のGSNOR阻害剤、又は他の阻害剤とともに、単独で、又は本明細書に詳しく記載されるような他の薬剤と組み合わせて投与してよい。
【0129】
[00125] 本発明は、NOドナー療法によって改善される障害に罹患した被検者を治療する方法を提供する。このような方法は、治療有効量のGSNOR阻害剤を被検者へ投与することを含む。
【0130】
[00126] 障害には、肺及び気道中の低酸素血症及び/又は平滑筋狭窄及び/又は肺感染及び/又は肺炎症及び/又は肺損傷に関連した肺の障害(例、肺性高血圧、ARDS、喘息、肺炎、肺線維症/間質性肺疾患、嚢胞性線維症、COPD);心臓血管系疾患及び心疾患(例、高血圧症、虚血性冠症候群、アテローム性動脈硬化症、心不全、緑内障);血管新生を特徴とする疾患(例、冠動脈疾患);血栓症発生のリスクがある障害;再狭窄発生のリスクがある障害;炎症性疾患(例、AIDS関連認知症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、大腸炎、及び乾癬);機能性腸障害(例、過敏性腸症候群(IBS));アポトーシス発生のリスクがある疾患(例、心不全、アテローム性動脈硬化症、神経変性障害、関節炎、及び肝損傷(虚血性又はアルコール性));インポテンツ;睡眠時無呼吸;糖尿病性創傷治癒;皮膚感染症;乾癬の治療;食物への渇望に応じた摂食に起因する肥満;卒中;再灌流損傷(例、心臓又は肺における外傷性筋肉損傷、又は圧挫損傷);並びに後続の虚血性イベントに抗するNO保護への心臓又は脳のプレコンディショニングが有益である障害、中枢神経系(CNS)障害(例、不安症、うつ病、精神病、統合失調症);及び細菌によって引き起こされる感染症(例えば、中でも、結核、クロストリジウム・ディフィシル感染症)を含めることができる。
【0131】
[00127] 1つの態様において、本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩、又はそのプロドラッグ、立体異性体、又は代謝産物は、NOドナーと組み合わせて投与することができる。NOドナーは、一酸化窒素又は関連レドックス種を供与して、より一般的には、一酸化窒素の生理活性、即ち、一酸化窒素を用いて確認される活性、例えば、血管弛緩、又は受容体タンパク質(例、rasタンパク質、アドレナリン作用性受容体、NFκB)の刺激又は阻害を提供する。S−ニトロソ、O−ニトロソ、C−ニトロソ、及びN−ニトロソ化合物とそのニトロ誘導体、及び金属NO錯体が含まれるが、他のNO生理活性産生化合物も除外されない、本発明に有用なNOドナーについては、参照により本明細書に組み込まれる「一酸化窒素研究の方法(Methods in Nitric Oxide Research)」Feelisch et al.監修、71〜115 頁(J.S.,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ、ニューヨーク、1996)に記載されている。ニトロソが三級炭素へ付いているC−ニトロソ化合物である、本発明に有用であるNOドナーには、米国特許第6,359,182号とWO02/34705に記載されるものが含まれる。S−ニトロソ化合物の例には、本発明に有用なS−ニトロソチオールを含めて、例えば、S−ニトロソグルタチオン、S−ニトロソ−N−アセチルペニシラミン、S−ニトロソ−システインとそのエチルエステル、S−ニトロソシステイニルグリシン、S−ニトロソ−γ−メチル−L−ホモシステイン、S−ニトロソ−L−ホモシステイン、S−ニトロソ−γ−チオ−L−ロイシン、S−ニトロソ−δ−チオ−L−ロイシン、及びS−ニトロソアルブミンが含まれる。本発明に有用な他のNOドナーの例は、ナトリウムニトロプルシド(ニプリド)、亜硝酸エチル、イソソルビド、ニトログリセリン、モルシドミンであるSIN 1、フロキサミン、N−ヒドロキシ(N−ニトロサミン)、及びNO又は疎水性NOドナーで飽和されたペルフルオロカーボンである。
【0132】
[00128] 既知のNO放出剤、アムロジピンのR(+)エナンチオマー(Zhang et al., J. Cardiovas. Pharm. 39: 208-214 (2002))とGSNOR阻害剤の組合せも、本発明の態様である。
【0133】
[00129] 本発明はまた、病理学的に増殖する細胞に罹患した被検者を治療する方法を提供し、ここで該方法は、GSNORの阻害剤の治療有効量を前記被検者へ投与することを含む。GSNORの阻害剤は、医薬的に許容される担体との組合せにおける、上記に定義されるような化合物、又はその医薬的に許容される塩、又はそのプロドラッグ又は代謝産物又は立体異性体である。治療は、症状及び/又は病態が改善する間は続けられる。
【0134】
[00130] 別の態様において、病理学的に増殖する細胞は、病理学的に増殖する微生物であり得る。関与する微生物は、該微生物がニトロソ化ストレスから保護されるようにGSNORが発現されるもの、又は該微生物に感染された宿主細胞がこの酵素を発現することによってニトロソ化ストレスから保護されるものであり得る。「病理学的に増殖する微生物」という用語は、本明細書において、病理学的微生物を意味するために使用されて、限定されないが、病理学的細菌、病理学的ウイルス、病理学的クラミジア、病理学的原生動物、病理学的リケッチア、病理学的真菌、及び病理学的マイコプラズマが含まれる。適用可能な微生物に関するさらなる詳細は、米国特許第6,057,367号のカラム11及び12に説明されている。「病理学的微生物に感染された宿主細胞」という用語には、病理学的ウイルスに感染された哺乳動物細胞だけでなく、細胞内の細菌又は原生動物を含有する哺乳動物細胞(例、結核菌、ライ菌(ライ病)、又は腸チフス菌(腸チフス)を含有するマクロファージ)も含まれる。
【0135】
[00131] 別の態様において、病理学的に増殖する細胞は、病理学的蠕虫であり得る。「病理学的蠕虫」という用語は、本明細書において、病理学的線虫、病理学的吸虫、及び病理学的条虫を意味するために使用される。適用可能な蠕虫に関するさらなる詳細は、米国特許第6,057,367号のカラム12に説明されている。
【0136】
[00132] 別の態様において、病理学的に増殖する細胞は、病理学的に増殖する哺乳動物細胞であり得る。本明細書に使用される「病理学的に増殖する哺乳動物細胞」という用語は、前記哺乳動物において、その哺乳動物又はその臓器に有害な効果を引き起こすほどに大きさ又は数が増大する、哺乳動物の細胞を意味する。この用語には、例えば、病理学的に増殖するか又は拡大して再狭窄を引き起こす細胞、病理学的に増殖するか又は拡大して良性前立腺肥大を引き起こす細胞、病理学的に増殖して心筋肥大を引き起こす細胞、及び関節炎の滑膜細胞のように炎症部位で増殖する細胞、又は細胞増殖性障害に関連した細胞が含まれる。
【0137】
[00133] 本明細書に使用されるように、「細胞増殖性障害」という用語は、細胞の非調節及び/又は異常な増殖が癌性又は非癌性であり得る望まれない状態又は疾患(例えば、乾癬状態)の発症をもたらし得る状態を意味する。本明細書に使用されるように、「乾癬状態」という用語は、角化細胞の過剰増殖、炎症性の細胞浸潤、及びサイトカインの変化が関与する障害を意味する。細胞増殖性障害は、前癌状態又は癌であり得る。癌は、原発性癌又は転移性癌、又はその両方であり得る。
【0138】
[00134] 本明細書に使用されるように、「癌」という用語には、肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腺癌、扁平上皮癌、肉腫、悪性膠腫、横紋筋肉腫、肝細胞癌、頭頚部癌、悪性メラノーマ、非メラノーマ皮膚癌のような固形腫瘍、並びに、白血病、小児白血病及びリンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキン病、リンパ球及び皮膚起源のリンパ腫、急性及び慢性白血病(急性リンパ芽球性、急性骨髄芽球性、又は慢性骨髄芽球性白血病のような)、形質細胞性新生物、リンパ性新生物、及びAIDSに関連した癌のような、造血系腫瘍及び/又は悪性腫瘍が含まれる。
【0139】
[00135] 乾癬状態に加えて、本発明の組成物を使用して治療され得る増殖性疾患の種類は、表皮及び類皮嚢胞、脂肪腫、腺腫、毛細及び皮膚血管腫、リンパ管腫、母斑病変、奇形腫、腎腫、筋線維腫症、骨形成性腫瘍、及び他の形成異常塊、等である。1つの態様において、増殖性疾患には、形成異常と類似の障害が含まれる。
【0140】
[00136] 1つの態様において、癌を治療することは、腫瘍サイズの低下、腫瘍数の減少、腫瘍増殖の遅延、原発腫瘍部位から離れた他の組織又は臓器における転移性病巣の減少、患者生存率の改善、又は患者の生命の質の改善、又は上記の少なくとも2つを含む。
【0141】
[00137] 別の態様において、細胞増殖性障害を治療することは、細胞増殖の速度の低下、増殖性細胞の比率の低下、細胞増殖の領域又は範囲の大きさの減少、又は異常な外観又は形態を有する細胞の数又は比率の減少、又は上記の少なくとも2つを含む。
【0142】
[00138] なお別の態様において、本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩、そのプロドラッグ、その立体異性体、又はその代謝産物は、第二の化学療法剤と組み合わせて投与することができる。さらなる態様において、第二の化学療法剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エクセメスタン、レトロゾール、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、ゲンシタビン、araC、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、エポチロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノニビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、イマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、マレイン酸スニチニブ、トラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブ、及びベバシズマブからなる群より選択される。
【0143】
[00139] 1つの態様において、本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩、そのプロドラッグ、その立体異性体、又はその代謝産物は、ニトロソ化又は酸化ストレスをかける薬剤と組み合わせて投与することができる。本発明のGSNOR阻害剤との組合せ療法においてニトロソ化ストレスを選択的にかけて病理学的に増殖する細胞の増殖を阻害する薬剤とその投与量及び投与経路には、本明細書に組み込まれる米国特許第6,057,367号に開示されるものが含まれる。本発明のGSNOR阻害剤との組合せ療法において酸化ストレスをかける補助薬剤(即ち、GSH(グルタチオン)に対するGSSG(酸化グルタチオン)の比、又はNAD(P)Hに対するNAD(P)の比を高める薬剤、又はチオバルビツール酸誘導体を増加させる薬剤)には、例えば,L−ブチオニン−S−スルホキシミン(BSO)、グルタチオンレダクターゼ阻害剤(例、BCNU)、ミトコンドリア呼吸の阻害剤又は脱共役剤、及び反応性酸素種(ROS)を高める薬物(例、アドリアマイシン)が標準の投与経路での標準投与量で含まれる。
【0144】
[00140] GSNOR阻害剤は、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例、ロリプラム、シロミラスト、ロフルミラスト、Viagra(登録商標)(クエン酸シルデニフィル)、Cialis(登録商標)(タダラフィル)、Levitra(登録商標)(バルデニフィル)、等)、β−アゴニスト、ステロイド、又はロイコトリエンアンタゴニスト(LTD4)とも同時投与してよい。当業者は、改善すべき障害に依って、適正な治療有効量を容易に決定することができる。
【0145】
[00141] GSNOR阻害剤は、β−アドレナリン作用性のシグナル伝達を改善するための手段として使用してよい。特に、GSNORの阻害剤は、単独で、又はβ−アゴニストとの組合せにおいて、心不全、又は高血圧症及び喘息のような他の血管系障害を治療するか又はそれらに対して保護するために使用し得る。GSNOR阻害剤はまた、平滑筋(例、気道及び血管)弛緩をもたらすGs G−タンパク質を増強することによって、並びに、Gq G−タンパク質を減弱させて、それにより平滑筋収縮を(例えば、気道及び血管において)妨げることによって、Gタンパク質共役受容体(GPCR)を調節するために使用することができる。
【0146】
[00142] NOドナー療法によって改善される障害に罹患した被検者の治療のための治療有効量とは、治療される障害の改善を引き起こすか又はその障害に関連したリスクに対して保護する、in vivo でのGSNOR阻害量である。例えば、喘息では、治療有効量は、気管支拡張に有効な量であり;嚢胞性線維症では、治療有効量は、気道閉塞改善に有効な量であり;ARDSでは、治療有効量は、低酸素血症改善に有効な量であり;心疾患では、治療有効量は、アンギナ緩和又は血管新生誘導に有効な量であり;高血圧症では、治療有効量は、血圧低下に有効な量であり;虚血性冠動脈障害では、治療有効量は、血流増加に有効な量であり;アテローム性動脈硬化症では、治療有効量は、内皮機能不全の逆転に有効な量であり;緑内障では、治療有効量は、眼内圧低下に有効な量であり;血管新生を特徴とする疾患では、治療有効量は、血管新生阻害に有効な量であり;血栓症発生のリスクがある障害では、治療有効量は、血栓症予防に有効な量であり;再狭窄発生のリスクがある障害では、治療有効量は、再狭窄阻害に有効な量であり;慢性炎症性疾患では、治療有効量は、炎症抑制に有効な量であり;アポトーシス発生のリスクがある障害では、治療有効量は、アポトーシス予防に有効な量であり;インポテンスでは、治療有効量は、勃起の達成又は持続に有効な量であり;肥満では、治療有効量は、満腹感を引き起こすのに有効な量であり;卒中では、治療有効量は、血流増加又はTIA保護に有効な量であり;再灌流損傷では、治療有効量は、機能向上に有効な量であり;そして心臓及び脳のプレコンディショニングでは、治療有効量は、細胞保護に有効な量(例えば、トリポニン又はCPKによって測定されるような)である。
【0147】
[00143] 病理学的に増殖する細胞に罹患した被検者の治療のための治療有効量は、抗増殖に有効な量である、in vivo でのGSNOR阻害量を意味する。本明細書に使用される、このような抗増殖に有効な量は、少なくとも約20%、少なくとも約10%、少なくとも約5%、又は少なくとも約1%の増殖速度の抑制を引き起こす量を意味する。
【0148】
[00144] I.器具中での使用
[00145] 本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩、又はそのプロドラッグ又は代謝産物又は立体異性体は、そのような化合物の存在が有益であり得る状況において、様々な器具へ適用することができる。そのような器具は、どのデバイス又は容器であってもよい(例えば、患者への埋め込みに先立って外科用メッシュ又は心臓血管ステントをコートするのに本発明の化合物を使用し得る埋め込みデバイス)。本発明の化合物はまた、in vitro アッセイ目的又は細胞を培養するための様々な器具へ適用することができる。
【0149】
[00146] 本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩、又はそのプロドラッグ、立体異性体、又は代謝産物はまた、抗体、天然リガンド、等のような、本発明の化合物への結合パートナーの開発、単離、又は精製のための薬剤として使用することができる。当業者は、本発明の化合物に関連した使用を容易に決定することができる。
【実施例】
【0150】
[00147] 以下の実施例は、本発明を例解するために示す。しかしながら、本発明は、これらの実施例に記載される特定の条件又は詳細に限定されないことを理解されたい。本出願を通して、米国特許が含まれる公的に利用可能な文書へのありとあらゆる参考文献が参照により具体的に組み込まれる。
【0151】
[00148] 実施例1〜24は、GSNOR阻害剤として有用な本発明の代表的な新規類似体を収載する。各化合物を製造するために使用し得る合成法については、実施例1〜24に記載する。実施例1〜22には、裏付けとなる質量分析法データ及び/又はプロトンNMRデータも含まれる。対応する中間体の合成の詳細は、実施例25に詳しく記載する。
【0152】
実施例1:3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン
【0153】
【化13】

【0154】
[00149] 合成:工程1:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾニトリルの合成。4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)ベンズアミド(中間体A)(300mg,1.08ミリモル)及びトリエチルアミン(TEA)(0.6ml,4.32ミリモル)のDCM(6ml)溶液へTFAA(1.2ml,8.64ミリモル)を0℃で滴下した。この混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、この混合物を1N HCl溶液(5ml)、飽和NaHCO(5ml)、及び塩水(5ml)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮して分取用TLC(PE(石油エーテル):EtOAc=3:1)によって精製して、生成物(66mg,19.5%)を黄色のオイルとして得た。MS (ESI): m/z 332.1 [M+1]+
【0155】
[00150] 工程2:3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オンの合成。4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾニトリル(50mg,0.15ミリモル)のトルエン(2ml)溶液へTMSN(296mg,2.72ミリモル)とBuSnO(10mg,0.045ミリモル)を室温で加えた。この混合物を一晩還流させた。揮発物質を減圧下に除去した。残渣を分取用HPLCによって精製して、実施例1で望まれる生成物(19.4mg,34.6%)を黄色の粉末として得た。
【0156】
[00151] データ:1H NMR (MeOH-d4 500 MHz TMS): 8.12 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.02 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.52 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.02 (dd, J = 1.5 Hz, J = 8.5 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 1.5 Hz, 1H); MS (ESI): m/z 375.0 [M+1]+
【0157】
実施例2:5−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)チオフェン−2−カルボン酸
【0158】
【化14】

【0159】
[00152] 合成:工程1:5−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)チオフェン−2−カルボン酸メチルの合成。中間体Bより出発し、実施例1の工程1に記載の手順に従った。MS (ESI): m/z 371.0 [M+1]+
【0160】
[00153] 工程2:5−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)チオフェン−2−カルボン酸の合成。5−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)チオフェン−2−カルボン酸メチル(295mg,0.80ミリモル)のジオキサン(1.5ml)溶液へ濃HCl(1.5ml)を加えた。この反応混合物を70℃で24時間撹拌し、室温へ冷やして、遠心分離させた。沈殿を水(2mlx2)、DCM(2mlx2)で濯いで真空で乾燥させて、実施例2で望まれる生成物(216.1mg,76.3%)を灰色の粉末として得た。
【0161】
[00154] データ:1H NMR (MeOD-d4 500 MHz TMS): 8.04 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.78 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 7.13 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.04 (dd, J = 2.0 Hz, J = 8.5 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 2.0 Hz, 1H); MS (ESI): m/z 357.0 [M+1]+
【0162】
実施例3:(トランス)−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸
【0163】
【化15】

【0164】
[00155] 合成:工程1:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸エチルの合成。中間体Cより出発し、実施例1の工程1に記載の手順に従って、ここでは、粗生成物を後処理も精製もせずに直接使用した。MS (ESI): m/z385.1[M+1]+
【0165】
[00156] 工程2:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸エチル(450mg,1.1ミリモル)のジオキサン(3ml)溶液へ濃HCl(3ml)を加えた。この溶液を75℃で一晩撹拌した。この混合物を真空で濃縮して黄色の固形物を得て、これを分取用HPLCによって精製して、純粋なトランス異性体、実施例3で望まれる生成物(100mg,24%)を得た。
【0166】
[00157] データ:1H NMR (MeOH-d4 500 MHz TMS): δ 7.97 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.97 (dd, J = 2.0, 8.5 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 2.71 (t, J = 12.0 Hz, 1H), 2.38-2.48 (m, 3H), 2.05-2.14 (m, 2H), 1.65-1.68 (m, 2H), 1.44-1.53 (m, 2H); MS (ESI): m/z357.0[M+1]+
【0167】
実施例4:(シス)−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸
【0168】
【化16】

【0169】
[00158] 合成:詳細は実施例3を参照のこと。分取用HPLCにより、64mg,15.3%の純粋なシス異性体、実施例4で望まれる生成物を得た。
[00159] データ:1H NMR (MeOH-d4 500 MHz TMS): δ 7.93 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.95 (dd, J = 2.5, 9.0 Hz, 1H), 6.83 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 2.77-2.71 (m, 2H), 2.50-2.58 (m, 2H), 2.33 (s, 2H), 1.55-1.62 (m, 2H), 1.45-1.47 (m, 2H); MS (ESI): m/z 357.0 [M+1]+
【0170】
実施例5:3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−2−(ジフルオロメチル)−7−ヒドロキシ−4H−クロメン−4−オン
【0171】
【化17】

【0172】
[00160] 合成:中間体Dと無水ジフルオロ酢酸より出発し、実施例1の工程1に記載の手順に従った。
[00161] データ:1H NMR (MeOH-d4 500 MHz TMS): δ 8.18 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.07 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.03 (dd, J = 2.5 Hz, J = 9.0 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.56 (t, J = 2.0 Hz, 1H); MS (ESI): m/z 357.0 [M+1]+
【0173】
実施例6:3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−メチル−4H−クロメン−4−オン
【0174】
【化18】

【0175】
[00162] 合成:中間体Dと無水酢酸より出発し、実施例1の工程1に記載の手順に従った。この粗生成物を分取用HPLCによって精製して、実施例6を得た。
[00163] データ:1H NMR (DMSO-d6 500 MHz TMS): δ 10.84 (s, 1 H), 8.09 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.90 (d, J = 9.0 Hz ,1H), 7.53 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.93 (dd, J = 2.5 Hz, J = 8.5 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 2.29 (s, 3H); MS (ESI): m/z 321.0 [M+1]+
【0176】
実施例7:4−(2−(4−カルボキシベンジル)−7−ヒドロキシ−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸
【0177】
【化19】

【0178】
[00164] 合成:工程1:4−(7−メトキシ−2−(4−(メトキシカルボニル)ベンジル)−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸メチルの合成。中間体E(4−(2−(3−メトキシフェニルチオ)−2−オキソエチル)安息香酸メチル)(500mg,1.58ミリモル)へ三塩化アルミニウム(253mg,1.9ミリモル)を加えて、この混合物を130℃で1時間加熱した。室温へ冷やした後で、この反応混合物をEtOAc(50ml)に溶かして、氷状の1N HCl(25mlx2)、水(25ml)、及び塩水(25ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して、真空で濃縮した。残渣を Combi-Flash(40gシリカゲル、溶出液:PE:EtOAc=10:0〜1:1の勾配による、40ml/分、30分、全溶媒量:1.2L)によって精製して、生成物(160mg,21%)を黄色の固形物として得た。MS (ESI): m/z475.1 [M+1]+
【0179】
[00165] 工程2:4−(2−(4−カルボキシベンジル)−7−ヒドロキシ−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸(実施例7)の合成。4−(7−メトキシ−2−(4−(メトキシカルボニル)ベンジル)−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸メチル(105mg,0.23ミリモル)の乾燥DCM(3ml)溶液へBBr(0.2ml,2.23ミリモル)を0℃で撹拌しながら加えた。この混合物を室温で40時間撹拌して、氷状の1N HCl溶液(1ml)へ撹拌しながら注いだ。揮発物質を蒸発させて残渣を分取用TLC(PE:EtOAc=1:1)によって精製して、実施例7で望まれる生成物(15mg,16%)をピンク色の固形物として得た。
【0180】
[00166] データ:1H NMR (MeOH-d4 500 MHz TMS): δ 8.30 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 8.08 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.91 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.18 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.053 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.049 (s, 1H), 4.01 (s, 2H); MS (ESI): m/z 433.0 [M+1]+
【0181】
実施例8:4−(7−ヒドロキシ−2−メチル−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸
【0182】
【化20】

【0183】
[00167] 合成:工程1:4−(7−メトキシ−2−メチル−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸メチルの合成:中間体F(4−(2−(2−(アセチルチオ)−4−メトキシフェニル)−2−オキソエチル)安息香酸メチル)(600mg,1.674ミリモル)のアセトン(12ml)溶液へKCO(386mg,3.348ミリモル)を室温で加えた。この混合物を3時間撹拌し、濾過して、濃縮した。残渣を Combi-Flash(40gシリカゲル、PE/EtOAc=10/0より開始して、3/1までの勾配、40ml/分、40分、全溶媒量:1.6L)によって精製して、生成物(400mg,70%)を黄色の固形物として得た。MS (ESI): m/z341.0 [M+1]+
【0184】
[00168] 工程2:4−(7−ヒドロキシ−2−メチル−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸(実施例8)の合成:4−(7−メトキシ−2−メチル−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸メチル(200mg,0.588ミリモル)のDCM(10ml)溶液へBBr(0.83ml,8.813ミリモル)を室温で加えて、20時間撹拌した。この混合物を氷状の1N HCl(50ml)へ撹拌しながら注いで、沈殿を濾過によって採取して粗生成物を得て、これを分取用HPLCによって精製して、実施例8で望まれる生成物(57.3mg,31%)を黄色の固形物として得た。
【0185】
[00169] データ:1H NMR (DMSO-d6 500 MHz TMS): δ 13.00 (brs, 1H), 10.76 (brs, 1H), 8.16 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.32 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.03-7.08 (m, 2H), 2.17 (s, 3H); MS (ESI): m/z313.0 [M+1]+
【0186】
実施例9:3−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン
【0187】
【化21】

【0188】
[00170] 合成:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾニトリル(合成については、実施例1、工程1を参照のこと)(200mg,0.60ミリモル)及び塩酸ヒドロキシルアミン(218mg,3.13ミリモル)の無水エタノール(2ml)溶液へトリエチルアミン(0.7ml)を滴下した。生じる混合物を5時間加熱して還流させた。揮発物質を蒸発させて、残渣を無水THF(2ml)に溶かした。CDI(296mg,1.83ミリモル)を加えて、この懸濁液を一晩加熱して還流させた。揮発物質を蒸発させて、残渣を分取用TLC(純粋なEtOAc)と分取用HPLCによって精製して、実施例9で望まれる生成物(35mg,15%)を白色の固形物として得た。
【0189】
[00171] データ:1H NMR (MeOH-d4500 MHz TMS): δ 8.04 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.04 (dd, J = 2.5 Hz, J = 8.5 Hz, 1H), 6.87 (d, J = 2.5 Hz, 1H); MS (ESI): m/z 391.0 [M+1]+
【0190】
実施例10:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)−N−(メチルスルホニル)ベンズアミド
【0191】
【化22】

【0192】
[00172] 合成:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸(合成については、PCT/US2010/024035に記載されている)(100mg,0.28ミリモル)のTHF(10ml)溶液へCDI(139mg,0.86ミリモル)を室温で加えた。この混合物を2時間撹拌した。MeSONH(280mg,2.86ミリモル)を1分量で加えて、続いてDBU(394mg,2.86ミリモル)を加えた。この混合物を4時間撹拌して、1N HCl(30ml)と酢酸エチル(100ml)の間で分配した。有機相を分離させ、塩水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮して、酸の出発材料が混在した、所望の生成物を得た。この混合物は、精製するのが難しかったので、この酸混在物を0℃でのMeOH(4ml)中のSOCl(91mg,0.77ミリモル)での処置によってメチルエステルへ変換した。この添加が完了したとき、この混合物を3日間撹拌した。揮発物質を減圧下に除去して残渣を分取用HPLCによって精製して、実施例10で望まれる生成物(25mg,20.5%)を白色の粉末として得た。
【0193】
[00173] データ:1H NMR (MeOH-d4 500 MHz TMS): δ 8.04 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.00 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.04 (dd, J = 2.0 Hz, J = 9.0 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 3.41 (s, 1H); MS (ESI): m/z 428.0 [M+1]+
【0194】
実施例11:3−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン
【0195】
【化23】

【0196】
[00174] 合成:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾニトリル(合成については、実施例1、工程1を参照のこと)(250mg,0.76ミリモル)及び塩酸ヒドロキシルアミン(105mg,1.51ミリモル)の無水エタノール(2ml)溶液へトリエチルアミン(0.5ml)を滴下した。生じる混合物を2時間加熱して還流させた。揮発物質を蒸発させて、残渣を無水THF(5ml)に溶かした。TCDI(202mg,1.13ミリモル)を加えて、この懸濁液を室温で2時間撹拌し、EtOAc(50ml)と水(20ml)の間で分配した。有機相を分離させ、無水NaSOで乾燥させ、濾過して、濃縮した。残渣をTHF(5ml)に溶かし、BF−EtOを加えて、室温で2時間撹拌した。1N HClでの後処理に次いで、揮発物質を蒸発させて残渣を分取用HPLCによって精製して、実施例11で望まれる生成物(17.5mg,5%)を白色の固形物として得た。
【0197】
[00175] データ:1HNMR (MeOD 500 MHz TMS): δ 8.04 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 8.01 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.45 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.04 (dd, J = 1.5, 8.5 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 1.5 Hz, 1H); MS (ESI): m/z 406.9 [M+1]+
【0198】
実施例12:3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−メチル−4H−チオクロメン−4−オン
【0199】
【化24】

【0200】
[00176] 合成:工程1:4−(7−メトキシ−2−メチル−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)ベンゾニトリルの合成:DMF(4ml)中の中間体G(664mg,2ミリモル)、4−シアノフェニルボロン酸(294mg,2ミリモル)、及びTEA(1.4ml,10ミリモル)の混合物へPd(dppf)Cl(146mg,0.2ミリモル)を加えて、生じる混合物を窒素下に85℃まで18時間加熱した。この混合物を室温へ冷やしてから、1N HCl(20ml)と酢酸エチル(50ml)の間で分配した。有機相を分離させ、塩水(10ml)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させて濃縮してから、カラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=5/1)によって精製して、生成物(310mg,54%)を黄色の固形物として得た。
【0201】
[00177] 工程2:4−(7−ヒドロキシ−2−メチル−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)ベンゾニトリルの合成:上記の生成物(310mg,1.0ミリモル)のDCM(3ml)溶液へBBr(1ml,10ミリモル)を注意深く加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。生じる混合物を氷状の水(5ml)へ注ぎ、酢酸エチル(3mlx3)で抽出した。合わせた有機相を塩水(3ml)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させて、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=3/1)による精製によって、生成物(120mg,40%)を黄色の粉末として得た。
【0202】
[00178] 工程3:実施例12の合成:次いで、上記の生成物より、実施例1、工程2に記載の方法に従って、このテトラゾールを収率65%で製造した。
[00179] データ:1HNMR (DMSO-d6 500 MHz TMS): δ 10.78 (s, 1H), 8.17 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 8.08 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.43 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.08 (s, 1H), 7.04 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 2.07 (s,3H); MS (ESI): m/z 337.0 [M+1]+
【0203】
実施例13:5−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)チオフェン−3−カルボン酸
【0204】
【化25】

【0205】
[00180] 合成:工程1:5−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)チオフェン−3−カルボン酸メチルの合成:中間体Hが出発材料である、実施例1、工程1に記載の手順に従って、この粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物を収率43%で得た。
【0206】
[00181] 工程2:5−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)チオフェン−3−カルボン酸の合成:実施例3、工程2に記載の加水分解手順に従って、生成物を収率65%で得た。
【0207】
[00182] データ:1H NMR (MeOD-d4 500 MHz TMS): 8.42 (s, 1H), 8.05 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.05 (dd, J = 2.5, 9.0 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 2.0 Hz, 1H); MS (ESI): m/z 357.0 [M+1]+
【0208】
実施例14:3−((トランス)−4−(1H−テトラゾール−5−イル)シクロヘキシル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン
【0209】
【化26】

【0210】
[00183] 合成:工程1:(トランス)−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)シクロヘキサンカルボキサミドの合成:(トランス)−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸(実施例3)(1.0g)のDCM(25ml)溶液へ塩化オキサリル(6.5ml,84.27ミリモル)を室温で滴下した(3滴のDMFを加えた)。激しいガスの発生を観察した。30分間撹拌後、上記の溶液へNHO(25%,9ml)を加えた。60分間撹拌後、酢酸エチル(50ml)を加えた。有機層を濃縮してカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=1/1)によって精製して、所望の生成物(0.81g,収率:81%)を白色の固形物として得た。
【0211】
[00184] 工程2:(トランス)−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)シクロヘキサンカルボニトリルの合成:上記の生成物(0.81g)とTEA(3.5ml)のDCM(8.0ml)溶液へTFAA(2.7g)を室温で滴下した。この混合物を2時間撹拌した。揮発物質を真空で蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=5/1)によって精製して、生成物(0.72g,74%)を黄色の固形物として得た。
【0212】
[00185] 工程3:3−((トランス)−4−(1H−テトラゾール−5−イル)シクロヘキシル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オンの合成:上記の生成物より、実施例1、工程2に記載の方法に従って、このテトラゾールを収率59%で製造した。
【0213】
[00186] データ:1H NMR (MeOD-d4 500 MHz TMS): 7.87 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.86 (dd, J = 2.0 Hz, J = 9.0 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 2.5 Hz, 2H), 3.08-3.03 (m, 1H) , 2.72 (t, J = 12.5 Hz, 1H), 2.53-2.45 (m, 2H), 2.12 (d, J = 12.0 Hz, 2H), 1.67-1.54 (m, 4H); MS (ESI): m/z 381.1 [M+1]+
【0214】
実施例15:N−ヒドロキシ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンズアミド
【0215】
【化27】

【0216】
[00187] 合成:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸(合成については、PCT/US2010/024035に記載されている)(130mg,0.4ミリモル)及びDMF(0.5ml)のDCM(25ml)溶液へ塩化オキサリル(140mg,1.1ミリモル)を室温で滴下した。激しいガスの発生を観察した。30分間撹拌後、THF(2ml)及び水(0.5ml)中の塩酸ヒドロキシルアミン(0.29g,0.5ミリモル)及びTEA(0.12ml,0.9ミリモル)の混合物へ上記の溶液を加えた。1時間撹拌後、この反応混合物をEtOAcで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、蒸発させた。残渣をアセトンより再結晶させて白色の粉末(120mg)を得て、これを分取用HPLCによって精製して、実施例15で望まれる生成物(48mg,収率:33%)を淡黄色の粉末として得た。
【0217】
[00188] データ: 1H NMR (DMSO-d6 500 MHz TMS): 11.31 (s, 1H), 9.14 (s, 1H), 7.92 (t, J = 4.5 Hz, 1H), 7.80 (s, 2H) , 7.36 (d, J = 3.5 Hz, 2H), 7.01 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 6.94 (s, 1H); MS (ESI): m/z 366.0 [M+1]+
【0218】
実施例16:3−フルオロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸
【0219】
【化28】

【0220】
[00189] 合成:工程1:3−フルオロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸メチルの合成:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)−3−フルオロ安息香酸メチル(中間体I)(6g,19.7ミリモル)のDCM(60ml)及びTEA(24ml,190ミリモル)溶液へTFAA(13ml,95ミリモル)を滴下した。この混合物を室温で15時間撹拌した。次いで、この溶液を1N HCl溶液(50ml)と水(50ml)で洗浄し;有機層をNaSOで乾燥させ、濾過して蒸発させて、粗生成物(6g,79.7%)を得た。
【0221】
[00190] 工程2:上記からの粗生成物(6g,15.7ミリモル)のジオキサン(60ml)溶液へ濃HCl(30ml)を加えた。この混合物を90℃で15時間撹拌した。次いで、この溶液をEtOAc(100mlx5)によって抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濾過して蒸発させて、粗生成物を得た。この粗生成物をEtOAc/PE=3/1(50ml)により再結晶させて、実施例16で望まれる生成物(4.5g,77.9%)を固形物として得た。
【0222】
[00191] データ:1H NMR (DMSO-d6500 MHz TMS): δ 13.44 (brs, 1H), 11.31 (brs, 1H), 7.98 (d, J = 9.0 Hz,1H), 7.89 (dd, J = 1.5 Hz, 7.5 Hz,1H), 7.81 (dd, J = 1.0 Hz, 9.5 Hz, 1H), 7.56 (t, J = 8.0 Hz,1H), 7.09 (dd, J = 2.0 Hz, 8.5 Hz, 1H); 7.03 (d, J = 2.0 Hz, 1H); MS (ESI): m/z 369.0 [M+1]+
【0223】
実施例17:3−(2−クロロ−4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン
【0224】
【化29】

【0225】
[00192] 工程1:3−クロロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸(合成については、PCT/US2010/024035に記載されている)より出発し、実施例14の記載と同じ3工程手順に従うことによって、所望の生成物を合成した。
【0226】
[00193] データ:1H NMR (MeOD-d4 500 MHz TMS): 8.22 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.07 (dd, J = 1.5 Hz, J = 8.0 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 9.0 Hz, 1H) 7.43 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.04 (dd, J = 2.5 Hz, J = 9.0 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 2.5 Hz, 1H); MS (ESI): m/z 409.0 [M+1]+
【0227】
実施例18:3−(3−クロロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン
【0228】
【化30】

【0229】
[00194] 工程1及び2:3−クロロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾニトリルの合成:3−クロロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸(合成については、PCT/US2010/024035に記載されている)より出発し、実施例14の最初の2工程に記載の手順に従った。
【0230】
[00195] 工程3:3−クロロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾニトリル(0.3g,0.8ミリモル)をEtOH(5ml)に溶かして、氷浴で冷やした。ヒドロキシアミンHCl塩(46mg,0.85当量)とTEA(0.11ml,1当量)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去して、残渣(0.4g)を無水THF(5ml)に懸濁させた。CDI(0.24g,1.5当量)とTEA(0.13ml)の添加の後で、懸濁した溶液を50℃で一晩撹拌して加熱した。THFの除去後、この混合物を水(15ml)に懸濁させて、pHを8へ調整した。水層をEtOAc(10mlx2)で抽出した。次いで、水層を約2のpHへ酸性化して、EtOAc(15mlx4)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄して、無水NaSOで乾燥させた。溶媒の除去後、この粗生成物を分取用HPLCによって精製して、実施例18で望まれる生成物(44mg,10%)を黄褐色の固形物として得た。
【0231】
[00196] データ:1H NMR (MeOH-d4 500 MHz TMS): 8.04 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.84 (dd, J = 1.5 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 2.0 Hz, 8.5 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 2.0 Hz,1H); MS (ESI): m/z 425 [M+1]+
【0232】
実施例19:3−(3−フルオロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン
【0233】
【化31】

【0234】
[00197] 合成:3−フルオロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸(実施例16)より出発し、実施例14の最初の2工程に従って3−フルオロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾニトリルを製造してから、実施例18の工程3に従って、実施例19で望まれる生成物へ変換した。
【0235】
[00198] データ:1H NMR (MeOH-d4 500 MHz TMS): 8.06 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.75 (dd, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz, 2H), 7.70 (dd, J = 2 Hz, 10.0 Hz, 1H), 7.54 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 2.5 Hz, 9.0 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 2.0 Hz,1H); MS (ESI): m/z 409 [M+1]+
【0236】
実施例20:3−(3−クロロ−4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン
【0237】
【化32】

【0238】
[00199] 合成:2−クロロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸(合成については、PCT/US2010/024035に記載されている)より出発し、実施例14の最初の2工程に従って2−クロロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾニトリルを製造してから、実施例1、工程2に記載の手順に従って、実施例20で望まれる生成物へ変換した。
【0239】
[00200] データ:1H NMR (MeOD-d4 500 MHz TMS): 8.07 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.95 (d, J = 8.0 Hz 1H) , 7.65 (s, 1H), 7.48 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 2.0 Hz, J = 9.0 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 2.0 Hz, 1H) ; MS (ESI): m/z 409.0 [M+1]+
【0240】
実施例21:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)−3−メチル安息香酸
【0241】
【化33】

【0242】
[00201] 合成:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)−3−メチル安息香酸メチル(中間体J)より出発し、実施例16の記載に類似した2工程手順に従うことによって、所望の生成物を合成した。
【0243】
[00202] データ:1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz):δ13.02(brs, 1H), 11.21 (brs, 1H), 7.95 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 3 Hz, 1H), 7.80 (dd, J = 3, 9 hz, 1H), 7.30 (d, J = 9 Hz, 1H), 7.04 (dd, J = 3, 9 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 3 Hz, 1H), 2.13 (s, 3H); MS (ESI): m/z365.1 [M+H+]+
【0244】
実施例22:3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−4H−クロメン−4−オン
【0245】
【化34】

【0246】
[00203] 工程1:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−4H−クロメン−3−イル)ベンゾニトリルの合成:中間体K(200mg,0.79ミリモル)の無水DMF(6.0ml)溶液へBF−EtO(0.8ml)を0〜10℃で滴下した。この添加が完了したときに、この混合物をそのまま室温まで0.5時間温め、90℃まで加熱した。MsCl(1.6ml)を1分量で加えて、5時間撹拌した。この混合物をEtOAc(50ml)と1N HCl(50ml)の間で分配した。有機相を分離させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮して淡黄色の固形物を得て、これをDCM(5ml)より再結晶させて、生成物(120mg,58%)を黄色の固形物として得た。MS (ESI): m/z 263.9 [M+1]+
【0247】
[00204] 工程2:3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−4H−クロメン−4−オンの合成:実施例1の工程2に記載の手順に従って、ここでは生成物をDCM(10ml)より2回再結晶させて、実施例22で望まれる生成物(60mg,43%)を白色の固形物として得た。
【0248】
[00205] データ:1HNMR (DMSO-d4 500 MHz TMS): δ 10.89 (s, 1H), 8.54 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.08 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.01 (m, 1H), 7.79 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.98 (dd, J = 2.5, 8.0 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 2.0 Hz, 1H); MS (ESI): m/z 307.1 [M+1]+
【0249】
実施例23:5−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン
【0250】
【化35】

【0251】
[00206] 合成:実施例23は、以下の3工程手順に従って製造することができる:
[00207] 工程1:2−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾイル)ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルの合成:DCM及びDMF(1:1)中の4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸(合成については、PCT/US2010/024035に記載されている)(1当量)、EDCI(1当量)、及びBocNHNH(1当量)の混合物を25℃で一晩撹拌し、水系/EtOAcでの後処理を続けた。必要ならば、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる精製により、生成物を得る。
【0252】
[00208] 工程2:4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾヒドラジドの合成:2−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾイル)ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルをHCl/MeOHで一晩処理する。溶媒を減圧下に除去して、生成物を得る。
【0253】
[00209] 工程3:5−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンの合成:DCM中の4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンゾヒドラジド(1当量)及びCDI(10当量)を一晩還流させる。水系/EtOAcでの後処理に続く分取用HPLCによる精製によって、実施例23で望まれる生成物を得ることができる。
【0254】
実施例24:4−(8−フルオロ−7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸
【0255】
【化36】

【0256】
[00210] 合成:4−(2−(3−フルオロ−2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)安息香酸メチル(中間体L)より出発し、実施例16に記載の2工程手順に従って、実施例24で望まれる生成物を製造することができる。
【0257】
実施例25:中間体の合成
[00211] 上記の実施例において言及される中間体は、下記に記載のように合成することができる。
【0258】
[00212] 中間体A:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)ベンズアミド
[00213] 工程1:2−(4−(メトキシカルボニル)フェニル)酢酸の合成。2−(4−ブロモフェニル)酢酸(91.3g,0.42モル、1.0当量)のMeOH(1.5L)溶液へ乾燥TEA(85.8g,0.85モル、2.0当量)とPd(dppf)Cl(3.43g,4.2ミリモル、1%)を加えた。この溶液をCOガス(4MPa)下に120℃で16時間加熱した。次いで、これを濾過して、真空で濃縮した。残渣を500mlのEtOAcと1Lの水に溶かした。この混合物を飽和NaHCOによってpH=7.5へ中和して、分離させた。無機相をEtOAc(500mlx3)で抽出し、1N HClでpH=5へ酸性化した。濾過と真空での乾燥によって、62.8gの生成物(白色の固形物、収率76%)を得た。MS (ESI): m/z 195.1 [M+1]+
【0259】
[00214] 工程2:4−(2−(2,4−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチル)安息香酸メチルの合成。2−(4−(メトキシカルボニル)フェニル)酢酸(15g,77.3ミリモル)及びDMF(1滴)の無水DCM(150ml)溶液へ塩化オキサリル(33ml,386.0ミリモル)を撹拌しながら0〜5℃で滴下した。この添加が完了した後で、この混合物を室温で2時間撹拌した。TLC(PE/EtOAc=3/1,MeOHで止める)が反応の完了したことを示し、揮発物質を蒸発させて、残渣をDCM(20ml)で希釈した。
【0260】
[00215] 三塩化アルミニウム(16.5g,123.7ミリモル)の無水DCM(80ml)懸濁液へ1,3−ジメトキシベンゼン(21.3g,154.6ミリモル)に続いて上記の塩化アシル溶液を5℃で加えた。この混合物を室温で一晩撹拌し、氷状の1N HCl(200ml)へ注意深く注いで、EtOAc(150mlx3)で抽出した。合わせた有機層を塩水(200ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮して茶褐色のオイルを得て、これをシリカゲルカラム(PE/EtOAc=5/1)によって精製して、生成物(12g,49.6%)を黄色の固形物として得た。MS (ESI): m/z 315.1 [M+1]+
【0261】
[00216] 工程3:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)安息香酸エチルの合成。4−(2−(2,4−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチル)安息香酸メチル(55g,141.6ミリモル)のDCM(600ml)溶液へBBr(164ml,1.7モル)を−10℃で滴下した。この添加が完了したとき、この混合物を室温で一晩撹拌して、撹拌しながら砕氷(700g)へ注いだ。揮発物質を蒸発させて黄色の固形物を得て、これを高真空で乾燥させて、無水エタノール(500ml)に溶かした。この溶液へ塩化チオニル(80ml)を0〜10℃で滴下した。この添加が完了したとき、生じる混合物を3時間加熱して還流させた。揮発物質を蒸発させて、残渣をEtOAc(600ml)と飽和炭酸ナトリウム(200ml)の間で分配した。有機相を分離させ、塩水(200ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮して茶褐色のスラリーを得て、これをカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=3/1)によって精製して、生成物(24.5g,58%)を黄色の固形物として得た。1H NMR (CDCl3 500 MHz TMS): δ 12.58 (s, 1H), 8.01 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.69 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.05 (brs, 1H), 6.41 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.37 (s, 1H), 4.38 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 4.26 (s, 2H), 1.38 (t, J = 7 Hz, 3H). MS (ESI): m/z 301.1 [M+1]+
【0262】
[00217] 工程4:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)安息香酸の合成。4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)安息香酸エチル(2g,6.7ミリモル)の1,4−ジオキサン(10ml)溶液へ濃HCl(10ml)を加えた。この反応混合物を70℃で一晩撹拌した。揮発物質を減圧下に除去した。残渣を水(20ml)で溶かして、EtOAc(20mlx2)で抽出した。合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して、生成物(1.5g,83.3%)を茶褐色の固形物として得た。MS (ESI): m/z 273.1 [M+1]+
【0263】
[00218] 工程5:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)ベンズアミドの合成。4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)安息香酸(1.5g,5.5ミリモル)のDCM(20ml)溶液へ塩化オキサリル(4.7ml,55ミリモル)と1滴のDMFを加えた。この混合物を室温で3時間撹拌してから、この混合物を一晩還流させた。この混合物を濃縮乾固させた。残渣をTHF(20ml)に溶かした。次いで、それをNH・HO水溶液(25%,60ml)へ室温で滴下した。この混合物を室温で2時間撹拌した。揮発物質を減圧下に除去した.残渣をEtOAc(30mlx3)で抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させて濃縮して、生成物(300mg,20.1%)を茶褐色の固形物として得た。MS (ESI): m/z 272.1[M+1] +
【0264】
[00219] 中間体B:5−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)チオフェン−2−カルボン酸メチル
[00220] 工程1:2−(5−ブロモチオフェン−2−イル)酢酸の合成。2−(チオフェン−2−イル)酢酸(2g,14ミリモル)のHOAc(10ml)溶液へ臭素(2.25g,14ミリモル)を10〜20℃で30分間滴下した。この混合物をそのまま室温へ3時間温めた。次いで、これを水(100ml)で希釈し、無水炭酸ナトリウムでpH=5へ中和して、EtOAc(100mlx3)で抽出した。NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して、粗生成物を茶褐色のオイルとして得た。MS (ESI): m/z 220.9 [M+1]+
【0265】
[00221] 工程2:2−(5−(メトキシカルボニル)チオフェン−2−イル)酢酸の合成:2−(5−ブロモチオフェン−2−イル)酢酸(2.5g,11.4ミリモル)のMeOH(110ml)溶液へTEA(5ml,34.1ミリモル)とPd(dppf)Cl(769mg,1.1ミリモル)を加えて、生じる混合物をCO(4MPa)下に120℃で20時間加熱した。真空で濃縮して、残渣を Combi-Flash(80gシリカゲル、PE/EtOAc=10:0より開始して、1:3までの勾配、60ml/分、60分、全溶媒量:3.6L)によって精製して、生成物(1.3g,58%)を淡色の固形物として得た。MS (ESI): m/z 198.0 [M+1]+
【0266】
[00222] 工程3:5−(2−(2,4−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチル)チオフェン−2−カルボン酸メチルの合成。2−(5−(メトキシカルボニル)チオフェン−2−イル)酢酸より出発し、中間体Aの工程2に記載の手順に従って製造した。
【0267】
[00223] 工程4:5−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)チオフェン−2−カルボン酸メチルの合成。5−(2−(2,4−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチル)チオフェン−2−カルボン酸メチル(460mg,1.44ミリモル)のDCM(5ml)溶液へAlCl(5.7g,43ミリモル)を加えた。この混合物を室温で2日間撹拌した。水(15ml)を0℃で注意深く加えて、この混合物をEtOAc(20mlx3)で抽出した。合わせた有機相を塩水(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して分取用TLC(PE/EtOAc=3/1)によって精製して、中間体B(260mg,61.9%)を橙色の粉末として得た。MS (ESI): m/z 293.0 [M+1]+
【0268】
[00224] 中間体C:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)シクロヘキサンカルボン酸エチル。
[00225] 工程1:4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチリデン)シクロヘキサンカルボン酸エチルの合成。無水塩化リチウム(1.9g,45ミリモル)のMeCN(100ml)懸濁液へ2−(ジエトキシホスホリル)酢酸tert−ブチル(7.6g,30ミリモル)を室温で加えた。この混合物を30分間撹拌した。TEA(6.4ml,45ミリモル)を加えて、この混合物をさらに30分間撹拌した。4−オキソシクロヘキサンカルボン酸エチル(5.1g,30ミリモル)を加えて、この混合物を一晩撹拌した。沈殿を濾過して除き、濾液を濃縮して茶褐色のオイルを得て、これをシリカゲルカラム(PE:EtOAc=10:1)によって精製して、生成物(5g,62%)を得た。
【0269】
[00226] 工程2:2−(4−(エトキシカルボニル)シクロヘキシリデン)酢酸の合成。4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチリデン)シクロヘキサンカルボン酸エチル(5.3g,21ミリモル)のCHCl(30ml)溶液へTFA(30ml)を加えた。この溶液を室温で一晩撹拌した。この溶液を真空で濃縮して6gの生成物を無色のオイルとして得て、これをさらに精製せずに次の工程に直接使用した。
【0270】
[00227] 工程3:2−(4−(エトキシカルボニル)シクロヘキシル)酢酸の合成。2−(4−(エトキシカルボニル)シクロヘキシリデン)酢酸(6.0g,28.3ミリモル)のEtOH(50ml)溶液へ10% Pd/C(306mg)をゆっくり加えた。この溶液を一晩水素化した。触媒を濾過して除いた。濾液を真空で濃縮して、2.5g(42%)の生成物を無色のオイルとして得た。
【0271】
[00228] 工程4:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)シクロヘキサンカルボン酸エチル(中間体C)の合成。2−(4−(エトキシカルボニル)シクロヘキシル)酢酸(700mg,11.6ミリモル)のBF−EtO(10ml)溶液へレゾルシノール(1.5g,14.0ミリモル)を加えた。この溶液を85℃で一晩撹拌し、NaCO溶液(2N,20ml)へ注ぎ、EtOAc(30mlx3)で抽出し、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して濃縮して3gの黄色のオイルを得て、これをシリカゲルカラム(PE/EtOAc=3/1)によって精製して、400mgの中間体Cを得た。MS (ESI): m/z307.1[M+1]+
【0272】
[00229] 中間体D:2−(4−(2H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)エタノン
[00230] 工程1:2−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)エタノンの合成。2−(4−ブロモフェニル)酢酸より出発し、中間体Cの工程4に従って、生成物(20g,27.9%)を橙色の粉末として得た。MS (ESI): m/z 307.0, 309.0 [M+1]+, [M+3]+
【0273】
[00231] 工程2:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)ベンゾニトリルの合成。DMF(50ml)中の2−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)エタノン(5g,16.3ミリモル)及びCuCN(5.8g,65.4ミリモル)の混合物を窒素下に150℃で6時間撹拌した。この混合物へ水(100ml)とEtOAc(100ml)を加えた。沈殿を濾過して除いて、濾液を塩水(100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮して黒ずんだオイルを得て、これを Combiflash(PE/EtOAc=3/1)によって精製して、生成物(1.5g,36.6%)を黄色の粉末として得た。MS (ESI): m/z 254.1 [M+1]+
【0274】
[00232] 工程3:2−(4−(2H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)エタノンの合成。4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)ベンゾニトリル(1.2g,4.7ミリモル)のトルエン(15ml)溶液へTMSN(9.3g,85.4ミリモル)とBuSnO(309mg,1.41ミリモル)を室温で加えた。この混合物を一晩加熱して還流させた。揮発物質を減圧下に除去して残渣を Combiflash(EtOAc/HOAc=50/1)によって精製して、中間体D(550mg,39.6%)を黄色の粉末として得た。1H NMR (DMSO-d6 500 MHz TMS): δ 12.41 (s, 1H), 10.72 (s, 1H), 7.99-7.96 (m, 3H), 7.51 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.42 (dd, J = 2.0 Hz, J = 9.0 Hz, 1H), 6.27 (d, J = 2.5 Hz ,1H), 4.44 (s, 2H); MS (ESI): m/z 297.0 [M+1]+
【0275】
[00233] 中間体E:4−(2−(3−メトキシフェニルチオ)−2−オキソエチル)安息香酸メチル
[00234] 2−(4−(メトキシカルボニル)フェニル)酢酸(合成については、中間体A、工程1を参照のこと)(3.88g,20ミリモル)の乾燥DCM(50ml)溶液へ塩化オキサリル(8.4ml,100ミリモル)を室温で撹拌しながら滴下した。この混合物を室温で2時間撹拌した。TLC(PE:EtOAc=3:1,MeOHで止める)によって、反応が完了していることが示された。この混合物を濃縮して4−(2−クロロ−2−オキソエチル)安息香酸メチル(4.5g)を黄色のオイルとして得て、これを次の工程に直接使用した。
【0276】
[00235] 三塩化アルミニウム(2.93g,21.96ミリモル)の乾燥CS(50ml)懸濁液へ3−メトキシベンゼンチオール(3.1g,21.96ミリモル)に続いて4−(2−クロロ−2−オキソエチル)安息香酸メチル(4.5g,粗製、21.16ミリモル)の乾燥CS(5ml)溶液を0〜5℃で加えた。この混合物を室温で一晩撹拌して、氷状の1N HCl(200ml)へ注意深く注いで、EtOAc(100mlx3)で抽出した。合わせた有機層を水(100mlx2)と塩水(100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過して、濃縮した。残渣をCombi-Flash(80gシリカゲル、PE/EtOAc=10/0より開始して、1/1までの勾配、50ml/分、40分、全溶媒量:2.0L)によって精製して、中間体E(2.7g,43%)を黄色の固形物として得た。1H NMR (DMSO-d6 500 MHz TMS): δ 7.95 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.37 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.02-7.04 (m, 1H), 6.97-6.98 (m, 2H), 4.18 (s, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.76 (s, 3H); MS (ESI): m/z317.1 [M+1]+
【0277】
[00236] 中間体F:4−(2−(2−(アセチルチオ)−4−メトキシフェニル)−2−オキソエチル)安息香酸メチル
[00237] 工程1:S−3−メトキシフェニルエタンチオエートの合成。3−メトキシベンゼンチオール(5g,35.66ミリモル)及びTEA(7.45ml,53.49ミリモル)のDCM(60ml)溶液へAcO(4g,39.23ミリモル)を室温で加えて、3時間撹拌した。この反応混合物を1N HCl(50mlx2)、水(50mlx2)、及び塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮して、生成物(6.5g,100%)を黄色の固形物として得た。MS (ESI): m/z 183.1 [M+1]+
【0278】
[00238] 工程2:4−(2−クロロ−2−オキソエチル)安息香酸メチルの合成。2−(4−(メトキシカルボニル)フェニル)酢酸(合成については、中間体A、工程1を参照のこと)(5g,25.75ミリモル)のDCM(60ml)溶液へ塩化オキサリル(6.6ml,77.25ミリモル)を室温で滴下して、この混合物を4時間撹拌した。濃縮によって生成物(6g,109%)を金色のオイルとして得て、これを次の工程に直接使用した。
【0279】
[00239] 工程3:4−(2−(2−(アセチルチオ)−4−メトキシフェニル)−2−オキソエチル)安息香酸メチル(中間体F)の合成。三塩化アルミニウム(9.9g,74.08ミリモル)のDCM(100ml)懸濁液へS−3−メトキシフェニルエタンチオエート(工程1)(4.5g,30.57ミリモル)に続いて4−(2−クロロ−2−オキソエチル)安息香酸メチル(工程2)(4.5g,粗製、24.69ミリモル)のDCM(20ml)溶液を0〜5℃で加えた。この混合物を室温で3日間撹拌した。この混合物を氷状の1N HCl(200ml)へ注意深く注いで、EtOAc(50mlx2)で抽出した。合わせた有機層を水(100mlx2)と塩水(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=15/1〜10/1)によって精製して、中間体F(1.8g,14%)を黄色の固形物として得た。MS (ESI): m/z359.0 [M+1]+
【0280】
[00240] 中間体G:3−ヨード−7−メトキシ−2−メチル−4H−チオクロメン−4−オン
[00241] 工程1:7−メトキシ−2−メチル−4H−チオクロメン−4−オンの合成:PPA(200g)中の3−メトキシベンゼンチオール(24g,28.5ミリモル)の混合物へアセト酢酸エチル(22.8g,28.5ミリモル)を窒素下に室温で加えた。次いで、この反応混合物を激しく撹拌しながら110℃まで5時間加熱して、氷水(100ml)へ注いだ。生じる混合物を酢酸エチル(500mlx3)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、濃縮してからシリカゲルカラム(PE/EtOAc=10/1)によって精製して、所望の生成物(2g,4%)を黄色の固形物として得た。
【0281】
[00242] 工程2:3−ヨード−7−メトキシ−2−メチル−4H−チオクロメン−4−オンの合成:7−メトキシ−2−メチル−4H−チオクロメン−4−オン(500mg,2.42ミリモル)及びヨウ素(620mg,2.42ミリモル)の無水アセトニトリル(10ml)溶液へCAN(1.5g,2.70ミリモル)を室温で加えた。次いで、この混合物を窒素下に5時間撹拌した。揮発物質を真空で蒸発させて、残渣を酢酸エチル(20ml)と飽和Na(20ml)の間で分配した。有機相を分離させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮して黄色の固形物を入手し、これをメタノール(5ml)より再結晶させて、中間体G(620mg,77%)を淡黄色の固形物として得た。1HNMR (CDCl3 500 MHz ): δ 8.46 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 2.5, 9.5 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 3.90 (s, Hz 3H), 2.61 (s, Hz 3H)。
【0282】
[00243] 中間体H:5−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)チオフェン−3−カルボン酸メチル
[00244] 工程1:2−(4−ブロモチオフェン−2−イル)酢酸メチルの合成:2−(チオフェン−2−イル)酢酸メチル(5g,32ミリモル)及び無水AlCl(10.7g,80ミリモル)のCHCl(50ml)溶液へ臭素(1.8ml,34ミリモル)を0〜5℃で30分にわたり滴下した。この添加が完了したとき、この混合物をそのまま室温へ一晩温めた。次いで、これを氷状の水(50ml)へ注ぎ、EtOAc(30mlx3)で抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、濾過して濃縮した。カラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10/1)による精製によって、生成物(3.1g,41%)を淡黄色のオイルとして得た。
【0283】
[00245] 工程2:5−(2−メトキシ−2−オキソエチル)チオフェン−3−カルボン酸メチルの合成:上記の生成物(3.1g,13.4ミリモル)のMeOH(110ml)溶液へTEA(10ml,67.0ミリモル)とPd(dppf)Cl(976mg,1.4ミリモル)を加えて、生じる混合物をCO(4MPa)下に120℃で20時間加熱した。濃縮して、残渣を酢酸エチル(50ml)と1N HCl(20ml)の間で分配した。有機相を分離させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮して、生成物を得た。
【0284】
[00246] 工程3:2−(4−(メトキシカルボニル)チオフェン−2−イル)酢酸の合成:上記の生成物(2.8g,13.1ミリモル)のTHF/HO(15/15ml)溶液へ水酸化リチウム一水和物(490mg,11.7ミリモル)を室温で、3分量で加えた。この混合物を2日間撹拌して、PE(10ml)で抽出した。水相を分離させ、1N HClでpH=5へ酸性化し、EtOAc(30mlx3)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮して、粗生成物を得た。
【0285】
[00247] 工程4:中間体Hの合成:上記の生成物(450mg,2.3モル)とレゾルシノール(248mg,2.3モル)の混合物へBF−EtO(2ml)を加えて、この混合物を95℃で一晩撹拌した。この混合物をpH=10まで飽和炭酸ナトリウム(10ml)へ注いで、酢酸エチル(20mlx3)で抽出した。合わせた有機相を分離させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮して黄色のオイルを得て、これをカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=3/1)によって精製して、中間体H(95mg,15%)を黄色の固形物として得た。MS (ESI): m/z 292.9 [M+1]+
【0286】
[00248] 中間体I:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)−3−フルオロ安息香酸メチル
[00249] 工程1:3−フルオロ−4−メチル安息香酸メチルの合成:3−フルオロ−4−メチル安息香酸(20g,130ミリモル)の塩化チオニル(80ml)溶液を2時間加熱して還流させて(TLCは、出発材料がないことを示した)、揮発物質を蒸発させた。残渣へMeOH(100ml)を0℃で撹拌しながら滴下した。この混合物を室温で1時間撹拌した。この反応物を濃縮して、EtOAcで希釈して、塩水で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過して蒸発させて、生成物(21g,96%)を白色の固形物として得て、さらに精製せずに次の工程に使用した。
【0287】
[00250] 工程2:4−(ブロモメチル)−3−フルオロ安息香酸メチルの合成:上記の生成物(21g,125ミリモル)のCCl(200ml)溶液へNBS(20g,113ミリモル)及び過酸化ベンゾイル(1.5g,6ミリモル)の混合物を加えた。生じる溶液を5時間還流させた。次いで、溶媒を蒸発させて、残渣をDCM(300ml)に溶かして、HO(200mlx3)で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過して蒸発させて、粗生成物(18g,64.7%)を無色のオイルとして得た。
【0288】
[00251] 工程3:4−(シアノメチル)−3−フルオロ安息香酸メチルの合成:4−(ブロモメチル)−3−フルオロ安息香酸メチル(18g,73ミリモル)のMeOH(150ml)溶液へNaCN(7.2g,146ミリモル)のHO(40ml)溶液を加えた。この混合物を65℃で5時間撹拌した。ほとんどのMeOHを蒸発させて、追加の水を加えて、EtOAc(200mlx3)によって抽出し、無水NaSOで乾燥させ、濾過して蒸発させて、粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=50/1〜10/1)による精製によって、生成物(8g,63.8%)を得た。
【0289】
[00252] 工程4:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)−3−フルオロ安息香酸メチルの合成:4−(シアノメチル)−3−フルオロ安息香酸メチル(8g,41ミリモル)及びレゾルシノール(6.8g,62ミリモル)のBF−EtO(100ml)溶液へHClを0℃で15分間泡立てた。この混合物を75℃で16時間撹拌した。次いで、HO(100ml)を加えて、この溶液を95℃で16時間加熱した。この混合物を室温へ冷やして、NaCOによって中和して、EtOAc(100mlx3)で抽出した。有機層を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、濾過して蒸発させて、粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10/1〜3/1)による精製によって、中間体I(6g,48%)を白色の固形物として得た。
【0290】
[00253] 中間体J:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)−3−メチル安息香酸メチル
[00254] 工程1:4−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−3−メチル安息香酸メチルの合成:4−ブロモ−3−メチル安息香酸メチル(1.5g,6.55ミリモル)、3−オキソブタン酸メチル(0.99g,8.51ミリモル)、及びKPO(4.17g,19.6ミリモル)をPd(OAc)(15mg)及びジtert−ブチル(2’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(39mg)と混合して、トルエン(25ml)で希釈した。生じる混合物を単に真空により脱気して、アルゴンを入れた。次いで、これを90℃で24時間、そして110℃で5時間加熱した。EtOAcでの水系後処理の後で、所望の生成物:4−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−3−メチル安息香酸メチル(366mg,25%)をEtOAc/ヘキサン(1/3)で溶出させるカラムクロマトグラフィーによって、オイルとして単離した。
【0291】
[00255] 工程2:2−(4−(メトキシカルボニル)−2−メチルフェニル)酢酸の合成:4−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−3−メチル安息香酸メチル(366mg)をMeOH(10ml)とHO(2ml)に懸濁させて、LiOH(48mg)で3日にわたり処理した。この反応混合物を1N HClで酸性化した後で、生成物をEtOAcで抽出した。真空での蒸発及び乾燥によって、所望の生成物(295mg)を得た。
【0292】
[00256] 工程3:中間体Jの合成:2−(4−(メトキシカルボニル)−2−メチルフェニル)酢酸(295mg)をBFEtO中のレゾルシノール(190mg)で、90℃で一晩処理した。酢酸エチルでの水系後処理とカラム精製の後で、所望の生成物(296mg)をオイルとして単離した。
【0293】
[00257] 中間体K:4−(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)ベンゾニトリル
[00258] 合成:DMF(50ml)中の2−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)エタノン(工程1,中間体D)(5g,16.3ミリモル)及びCuCN(5.8g,65.4ミリモル)の混合物を窒素の保護下に150℃で6時間撹拌した。この混合物へ水(100ml)とEtOAc(100ml)を加えた。沈殿を濾過して除いて濾液を塩水(100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮して黒色のオイルを得て、これを Combiflash(PE/EtOAc=3/1)によって精製して、中間体K(1.5g,36.6%)を黄色の粉末として得た。
【0294】
[00259] 中間体L:4−(2−(3−フルオロ−2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−オキソエチル)安息香酸メチル
[00260] 中間体Lは、2−(4−(メトキシカルボニル)フェニル)酢酸(合成については、PCT/US2010/024035に記載されている)と2−フルオロベンゼン−1,3−ジオール(市販されている)より出発し、中間体K,工程3に記載の手順に従って製造することができる。
【0295】
実施例26:GSNORアッセイ
[00261] 様々な化合物について、GSNOR活性を阻害するその能力を in vitro で試験した。実施例1〜22のGSNOR阻害化合物は、約1μM未満のIC50を有した。実施例1〜3、5〜6、8〜9、11〜12、14、16〜22のGSNOR阻害化合物は、約0.1μM未満のIC50を有した。
【0296】
[00262] GSNORの発現及び精製については、Biochemistry 2000, 39, 10720-10729 に記載されている。
[00263] GSNORの発酵処理:100μg/mlのアンピシリンを含有する2XYT培地中のGSNORグリセロールストックの穿刺物より、37℃で一晩のインキュベーション後にプレ培養物を増殖させた。次いで、アンピシリンを含有する新鮮な2XYT(4L)へ細胞を加えて、37℃で0.6〜0.9のOD(A600)にまで増殖させた後で誘導した。20℃で一晩のインキュベーションにおいて、GSNOR発現を0.1%アラビノースで誘導した。
【0297】
[00264] GSNORの精製:大腸菌細胞ペーストを窒素キャビテーションによって溶解させて、澄明化した溶解物をAKTA FPLC(アマーシャム・ファルマシア)でのNiアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。このカラムを、20mMトリス(pH8.0)/250mM NaClにおいて0〜500mMのイミダゾール勾配で溶出させた。Smt−GSNOR融合物を含有する溶出GSNOR画分をUlp−1で、4℃で一晩消化させてアフィニティータグを外してから、同じ条件下にNiカラムで再操作した。GSNORをフロースルー画分に回収して、結晶解析のためには、20mMトリス(pH8.0)、1mM DTT、10μM ZnSO中のQ−セファロース及びヘパリンフロースルークロマトグラフィーによってさらに精製する。
【0298】
[00265] GSNORアッセイ:GSNO溶液と酵素/NADH溶液は、それぞれの日に用時作製する。これらの溶液は、濾過して、そのまま室温へ温める。GSNO溶液:100mM NaPO(pH7.4)、0.480mM GSNO。396μLのGSNO溶液に続いて、DMSO中の試験化合物(又は、完全な反応対照ではDMSOのみ)の8μLをキュベットへ加えて、ピペット先端で混合する。試験すべき化合物は、100% DMSO中10mMのストック濃度で作製する。2倍の連続希釈を100% DMSOで行う。アッセイ液中のDMSOの最終濃度が1%となるように、各希釈液の8μLをアッセイ液へ加える。試験する化合物の濃度は、100〜0.003μMの範囲に及ぶ。酵素/NADH溶液:100mM NaPO(pH7.4)、0.600mM NADH、1.0μg/mL GSNOレダクターゼ。396μLの酵素/NADH溶液を先のキュベットへ加えて、この反応を開始させる。キュベットを Cary 3E UV/可視分光光度計に入れて、340nm吸光度/分の変化を25℃で3分間記録する。アッセイは、各化合物濃度について同一3検体で行う。SigmaPlot の酵素反応速度分析モジュールでの標準曲線解析を使用して、各化合物のIC50を計算する。
【0299】
[00266] 最終アッセイ条件:100mM NaPO(pH7.4)、0.240mM GSNO、0.300mM NADH、0.5μg/mL GSNOレダクターゼ、及び1% DMSO。最終容量:800μL/キュベット。
【0300】
実施例27.実験喘息におけるGSNORiの効力
[00267] 実験喘息モデル
[00268] 卵白アルブミン(OVA)誘発喘息のマウスモデルを使用して、GSNOR阻害剤について、メタコリン(MCh)誘発性気管支収縮/気道過敏反応に対する効力をスクリーニングした。これは、ヒトの喘息に類似した急性アレルギー喘息の表現型を提示する、広く使用されていて、十分に特徴づけられたモデルである。OVA感作と気道チャレンジの後に、そしてMChでのチャレンジに先立ってGSNOR阻害剤を投与するプロトコールを使用して、GSNOR阻害剤の効力を評価した。全身プレチスモグラフィー(Penh;Buxco)を使用して、増加用量のMChでのチャレンジに応じた気管支収縮応答を評価した。肺炎症の尺度として気管支肺胞洗浄液(BALF)への好酸球浸潤物の量も定量した。GSNOR阻害剤の効果を担体と陽性対照としてのコンビベント(吸入;IH)と比較した。
【0301】
[00269] 材料と方法
[00270] アレルゲン感作及びチャレンジのプロトコール
[00271] PBS中のOVA(500μg/ml)を等量の蒸留水中10%(w/v)硫酸アルミニウムカリウムと混合して、10N NaOHを使用してpH6.5へ調整後、室温で60分間インキュベートした。750xgで5分間の遠心分離後、OVA/ミョウバンペレットを蒸留水中の元の容量へ再懸濁させた。0日目に、ミョウバンと複合させた100μg OVA(生理食塩水中500μg/mLの0.2mL)の腹腔内(IP)注射液をマウスに与えた。生理食塩水中のケタミン及びキシラジン(それぞれ、0.44及び6.3mg/mL)の0.2mL混合物のIP注射によってマウスを麻酔して、ボード上に背臥位で置いた。各動物の舌の裏側に250マイクログラム(2.5mg/mlの100μl)のOVA(8日目)と125μg(2.5mg/mlの50μl)のOVA(15、18、及び21日目)を入れた。
【0302】
[00272] 肺機能検査(Penh)
[00273] 有意識で自由に動き、自発的に呼吸するマウスにおける最後のOVAチャレンジから24時間後に、Buxco チャンバ(ノースカロライナ州ウィルミントン)を使用する全身プレチスモグラフィーで、メタコリンへの in vivo 気道反応性を測定した。超音波ネブライザーによって産生する、エアゾール化した生理食塩水又は増加用量のメタコリン(5、20、及び50mg/mL)でマウスを2分間チャレンジした。気管支収縮の度合いは、同一マウスの気道抵抗性、インピーダンス、及び胸腔内圧の測定値と相関する、無次元の計算値である向上休止(Penh)として表した。それぞれの噴霧化チャレンジ後4分間のPenh読取り値を取って、平均化した。Penhは、以下のように計算する:Penh=[(T/T−1)x(PEF/PIF)](ここでTは無効化時間であり、Tは弛緩時間であり、PEFはピーク呼気流量であり、PIFはピーク吸気流量x0.67係数である)。最大値からユーザー定義の最大値百分率へ変化させるボックス圧力の時間が弛緩時間を表す。T測定は、最大ボックス圧力で始めて、40%で終える。
【0303】
[00274] BALF中の好酸球浸潤
[00275] 気道過敏反応性の測定の後で、マウスを心臓穿刺によって失血させてから、両肺より、又は左肺を主気管支で結紮後に右肺より、BALFを採取した。0.05mLアリコートより全BALF細胞を計数し、残る体液を4℃、200xgで10分間遠心分離させた。細胞ペレットを10% BSA含有生理食塩水に再懸濁させて、スライドガラス上に塗抹標本を作製した。好酸球を0.05%エオジン水溶液と蒸留水中5%アセトンで5分間染色し、蒸留水で濯いで、0.07%メチレンブルーで対比染色した。あるいは、好酸球と他の白血球をDiffQuickで染色した。
【0304】
[00276] GSNOR阻害剤と対照
[00277] GSNOR阻害剤をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(pH7.4)又は0.5(w/v)%カルボキシメチルセルロースにおいて0.00005〜3mg/mLに及ぶ濃度で戻した。GSNOR阻害剤を静脈内(IV)又は経口ガバージュのいずれかにより単回用量又は多重用量(10mL/kg)としてマウスへ投与した。投薬は、MChチャレンジの30分〜24時間前に実施した。GSNOR阻害剤の効果を、同じやり方で投薬した担体と比較した。
【0305】
[00278] すべての試験において、陽性対照としてコンビベント(Combivent)を使用した。コンビベント(ベーリンガー・インゲルハイム)は、その生成物が供給される吸入デバイスを使用して肺へ投与したが、マウスへの投与には、ピペット先端を使用して適用した。コンビベントは、MChチャレンジの48時間、24時間、及び1時間前に投与した。コンビベントのそれぞれのパフ(又は用量)は、18μgの臭化イパトロピウム(IpBr)と103μgの硫酸アルブテロール、又はほぼ0.9mg/kgのIpBrと5mg/kgのアルブテロールの用量を提供する。
【0306】
[00279] 統計分析
[00280] ベースライン、生理食塩水、及び増加用量のMChチャレンジに対するPenhの曲線下面積値を、GraphPad Prism 5.0(カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して計算して、それぞれの(IV又は経口投与)担体対照のパーセントとして表した。片側ANOVA、ダンネット(Dunnetts)又はボンフェローニ(Bonferroni)事後検定又はt検定(JMP 8.0,SAS研究所、ノースカロライナ州キャリー、又はマイクロソフト・エクセル)を使用して、各試験内の処置群とそれぞれの担体対照群の間の統計学的な差を計算した。処置群とそれぞれの担体対照群の間のp値が0.05未満であれば、有意に差があるとみなした。
【0307】
[00281] 結果
[00282] 喘息のOVAモデルにおいて、実施例3の化合物は、評価の24時間前に10mg/kgの単回経口用量で投与するとき、PenhのAUCとBALFへの好酸球浸潤を担体対照に対してそれぞれ43%と42%減少させた(p<0.05)。別の試験では、実施例3の化合物は、評価の48時間、24時間、及び1時間前に10mg/kgの3回の経口用量で投与するとき、BALF中の好酸球浸潤を担体対照に対して12%減少させた。
【0308】
[00283] 喘息のOVAモデルにおいて、実施例1の化合物は、評価の24時間前に10mg/kgの単回経口用量で投与するとき、PenhのAUCとBALFへの好酸球浸潤を担体対照に対してそれぞれ20%〜39%(p<0.05)と0〜31%減少させた。実施例1の化合物は、評価の24時間前に10mg/kgの単回IV用量で投与するとき、PenhのAUCを担体対照に対して有意に39%減少させた。
【0309】
[00284] 喘息のOVAモデルにおいて、実施例9の化合物は、評価の24時間前に10mg/kgの単回経口用量で投与するとき、PenhのAUCとBALFへの好酸球浸潤を担体対照に対してそれぞれ18%と82%減少させた。
【0310】
[00285] 喘息のOVAモデルにおいて、実施例16の化合物は、評価の48時間、24時間、及び1時間前に3回の10mg/kgの経口用量で投与するとき、BALF中の好酸球浸潤を担体対照に対して有意に(p<0.05)36%減少させた。
【0311】
実施例28:マウス薬物動態(PK)試験
[00286] 実験モデル
[00287] マウスを使用して、本発明の化合物の薬物動態を決定した。この種は、経口(PO)と静脈内(IV)の両方で試験品を投与することによって化合物のバイオアベイラビリティを評価するのに広く使用されている。IV又はPO投与のいずれかにより、雄性BALB/cにおいてピーク活性の時点で血漿曝露を評価することによって、本発明の化合物の効力を比較した。
【0312】
[00288] 材料と方法
[00289] 本発明の化合物のIV投与
[00290] 本発明の化合物をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)/10% Solutol(HS15)の澄明な溶液に戻し、0.2mg/mLの濃度を得て、マウスへ単回IV用量(2mg/kg)として投与した。動物に外側尾静脈より投薬した。イソフルラン麻酔下での心臓穿刺によって指定の時点(0.083、0.25、0.5、1、2、4、8、16、24時間)で血液試料(各動物で1mLまでの血液)を採取した。血液は、Li−ヘパリンを含有する試験管へ採取した。この血液試料を氷上に保存して、採取からほぼ30分以内に遠心分離させた。ラベルを付けたポリプロピレン管へ血漿を移して、LC/MS/MSによって分析するまで、−70℃で冷凍した。
【0313】
[00291] 本発明の化合物のPO投与
[00292] 本発明の化合物を40%プロピレングリコール/40%炭酸プロピレン/20%の5%ショ糖の澄明な溶液へ戻し、2mg/mLの濃度を得て、マウスへ単回経口用量(10mg/kg)としてガバージュにより投与した。イソフルラン麻酔下での心臓穿刺によって投薬後0.25、0.5、1、2、4、8、12、16、20、及び24時間で血液試料を採取した。血液は、Li−ヘパリンを含有する試験管へ採取した。この血液試料を氷上に保存して、採取からほぼ30分以内に遠心分離させた。ラベルを付けたポリプロピレン管へ血漿を移して、LC/MS/MSによって分析するまで、−70℃で冷凍した。
【0314】
[00293] LC/MS/MS分析
[00294] 各時点での血漿試料について、LC−MS/MSを使用して、1ng/mLの定量下限(LLOQ)で分析した。血漿を分析して各試料中の本発明の化合物の量を定量して、本発明の各化合物について、関連するマトリックスにおいて回帰曲線を作成した。
【0315】
[00295] IV投与とPO投与の両方についてPK変数を計算するためにWinNonlin分析を使用した:
IV部分のPK変数−AUClast;AUCINF;T1/2;Cl;Vss;Cmax;MRT
PO部分のPK定数−AUClast;AUCINF;T1/2;Cmax;Cl,MRT。
【0316】
[00296] 上記のPK変数に加えて、バイオアベイラビリティ(%F)を計算した。
[00297] 結果
[00298] 実施例1、3、9、及び12の化合物は、約4〜41%の経口バイオアベイラビリティを有した。実施例16の化合物は、約44%の経口バイオアベイラビリティを有した。比較対照化合物の4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)安息香酸(PCT/US2010/024035を参照のこと)は、約17%の経口バイオアベイラビリティを有した。この比較対照化合物は、実施例16より約3倍速く消失する(Cl)。
【0317】
実施例29:実験炎症性腸疾患(IBD)におけるGSNOR阻害剤の効力
[00299] モデルの概説
[00300] マウスのデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性IBDの急性及び慢性モデルを使用して、この疾患に対するGSNORiの効力を探究した。急性及び慢性DSS誘発IBDは、このヒト疾患で観察されるものに似た結腸中の病理学的変化を誘発する、広く使用されてよく特徴付けられたモデルである。このモデルとヒトの疾患では、結腸の陰窩内の上皮細胞が破壊されて、上皮壁の機能不全と続発する組織炎症、浮腫、及び潰瘍形成をもたらす。GSNORi療法は、s−ニトロソグルタチオン(GSNO)レベルを回復させることによってIBDに益して、それにより上皮壁の機能不全を予防するか又は逆転させる可能性がある。
【0318】
[00301] 急性予防モデル
[00302] 雄性C57B1/6マウス(各群N=8〜10匹のマウス)への飲料水中のDSSの6連日間の投与によって、実験IBDを誘発した。DSS曝露の2日前より開始して、その2日後まで継続する10日間、GSNORiを0.1〜10mg/kg/日の用量で経口投薬した。DSS曝露から2日後に、スコア=0(正常組織)〜スコア=4(潰瘍性の組織傷害と顕著な病理学的変化)の範囲に及ぶ5点尺度を使用して、内視鏡検査と組織病理学により盲検形式でGSNORiの効果を評価した。炎症経路に関与する循環サイトカインのレベルも評価した。GSNORiの効果を担体処置対照と比較した。本試験ではコルチコステロイドのプレドニンを陽性対照として使用して、経口投薬により3mg/kg/日で連日投与した。無処置マウス(N=5)も正常組織対照として評価した。
【0319】
[00303] 慢性処置モデル
[00304] 雄性C57B1/6マウス(各群N=10〜12匹のマウス)への飲料水中のDSSの6連日間の投与によって、実験IBDを誘発した。DSS曝露の中止後1日目より開始して14日間、GSNORiを10mg/kg/日の用量で経口投薬した。GSNORi投薬の7日後と14日後に内視鏡検査により、そしてGSNORi投薬の14日後に組織病理学により、スコア=0(正常組織)〜スコア=4(潰瘍性の組織傷害と顕著な病理学的変化)の範囲に及ぶ5点尺度を使用して、盲検形式でGSNORiの効果を評価した。炎症経路に関与する循環サイトカインのレベルも評価した。GSNORiの効果を担体処置対照と比較した。本試験ではコルチコステロイドのプレドニンを陽性対照として使用して、経口投薬により3mg/kg/日で連日投与した。無処置マウス(N=5)も正常組織対照として評価した。
【0320】
[00305] 結果
[00306] 急性DSS誘発IBDのマウスモデルにおいて、実施例3の化合物は、結腸損傷を減弱させた。内視鏡検査評価により重篤な結腸損傷スコアを呈するマウスのパーセントは、予防投薬レジメンを使用する0.1又は1mg/kg/日の実施例3の化合物での10連日間の経口処置後、担体対照に対してそれぞれ38%又は25%減少した。病理学評価により重篤な結腸損傷スコアを呈するマウスのパーセントは、0.1又は1mg/kg/日の実施例3の化合物での10日間の経口処置後、担体対照に対してそれぞれ12%又は33%減少した。
【0321】
[00307] 急性DSS誘発IBDのマウスモデルにおいて、実施例1の化合物は、結腸損傷を減弱させた。内視鏡検査又は組織病理学の評価により重篤な結腸損傷スコアを呈するマウスのパーセントは、予防投薬レジメンを使用する10mg/kg/日の実施例1の化合物での10連日間の経口処置後、担体対照に対してそれぞれ75%又は17%減少した。
【0322】
[00308] 急性DSS誘発IBDのマウスモデルにおいて、実施例16の化合物は、結腸損傷を減弱させた。内視鏡検査又は組織病理学の評価により重篤な結腸損傷スコアを呈するマウスのパーセントは、予防投薬レジメンを使用する10mg/kg/日での実施例16の化合物での10連日間の経口処置後、担体対照に対してそれぞれ58%又は15%減少した。
【0323】
実施例30:実験慢性閉塞性肺疾患(COPD)におけるGSNOR阻害剤の効力
[00309] 短期間のタバコ煙COPDモデル
[00310] 短期間(4日又は11日)のタバコ煙への曝露によって誘発される慢性閉塞性肺疾患(COPD)のマウスモデルにおいてGSNOR阻害剤の効力を評価した。気管支肺胞洗浄液(BALF)中への炎症性細胞の浸潤と炎症及び組織代謝回転/修復に関与するケモカインのBALFレベルを測定して、COPDの発症及び進行に関連したいくつかの初期イベントに対するGSNOR阻害剤の影響を評価した。
【0324】
[00311] モデルの概説
[00312] マウスの急性(4日)及び亜慢性(11日)タバコ煙誘発COPDモデルを使用して、COPDに抗するGSNOR阻害剤の効力を探究した。動物をタバコ煙へ曝露すると、ヒト疾患と同じ原因体によって損傷が誘発されて、気道閉塞、気胞拡大、及びこれらの病理における炎症反応の関与が含まれる、ヒト疾患への類似性が損傷によって明示される、COPDのモデルがもたらされる。動物モデルでは、肺病理の変化が明白になるのは、タバコ煙への延長された(数ヶ月)期間の後なので、慢性モデルは、有効なスクリーニングツールとして不向きである。より最近になって、短期間(2週間又は2週未満)の煙曝露後に炎症反応を探究するマウスのモデルがCOPDに抗する新規治療薬剤の効力と作用機序をスクリーニングするためのツールとして利用されてきた。COPDの発症及び進行における炎症の重要な役割により、これらの短期モデルは、新規治療薬剤の効力の初期テストに適している。
【0325】
[00313] 急性(4日)煙曝露モデル:雌性C57Bl/6マウス(各群N=8匹)を、全身曝露チャンバを使用して、タバコ煙へ曝露した。マウスを、6本の連続したタバコ(Kentucky 3R4F,フィルター無し)からの4サイクル(サイクル間には30分の無煙時間を入れる)の煙へ4連日間、毎日曝露した。GSNOR阻害剤を、煙曝露の2日前より始めて、曝露後1日続けて7日間、10mg/kg/日の経口投薬により毎日投与した。最後の煙曝露からほぼ24時間後に、BALF中の全細胞数、白血球数、及び白血球百分率を光学顕微鏡法により定量して、BALFケモカインのレベルをELISAにより定量することによって、GSNOR阻害剤の効果を評価した。GSNOR阻害剤の効果を担体処置対照と比較した。PDE4阻害剤のロフルミラストを本試験の陽性対照として使用した。無処置マウスの群(N=8)を空気へ曝露して、本試験の陰性対照として使用した。
【0326】
[00314] 亜慢性(11日)煙曝露モデル:雌性C57Bl/6マウス(各群N=10匹)を、フィルター無しのマールボロ(Marlboro)100 シガレットより発生するタバコ煙へ曝露した。曝露時間は、試験1日目に25分、試験2日目に35分、そして試験3〜11日目に45分であった。毎日の煙曝露の1時間前にGSNOR阻害剤を投与した。GSNOR阻害剤は、1〜10mg/kg/日で11日間、経口で投薬した。最後の曝露から24時間後に、BALF中の全細胞数と白血球百分率を光学顕微鏡法により定量することによって、GSNOR阻害剤の効果を評価した。GSNOR阻害剤の効果を担体処置対照と比較して、タバコ煙に誘発されるBALF細胞数増加の阻害パーセントとして表した。ロフルミラストを本試験の陽性対照として使用して、5mg/kg/日で投薬した。無処置マウスの群(N=10)を空気へ曝露して、本試験の陰性対照として担体を投薬した。
【0327】
[00315] 結果:
[00316] 実施例3の化合物は、BALF細胞浸潤液及びBALF炎症性ケモカインにおける煙誘発性の変化を減弱させた。実施例3は、急性4日煙モデルにおいて10mg/kg/日で7日間経口投薬するとき、BALF中の全細胞、白血球、マクロファージ、好中球、及び好酸球の煙誘発性の増加を担体処置対照に比較して完全に(100%)そして有意に(p<0.05)阻害した。実施例3のこれらの効果は、ロフルミラストで観測されるものと同等であるか又はより大きかった。実施例3はまた、BALFケモカインを無処置マウスで観測されるレベルの方へ回復させた。亜慢性11日モデルにおいて、実施例3の化合物は、10mg/kg/日で11日間経口投薬するとき、BALF中の全細胞(p<0.05)、マクロファージ(p<0.05)、好中球、好酸球、及びリンパ球の煙誘発性の増加をそれぞれ26%、28%、25%、57%、及び24%阻害した。
【0328】
[00317] 実施例16の化合物は、亜慢性11日モデルにおいて1mg/kg/日で11日間経口投薬するとき、BALF中の全細胞、マクロファージ、好中球、及びリンパ球の煙誘発性の増加をそれぞれ53%、44%、68%、及び62%、有意に(p<0.05)阻害した。実施例16の効果は、ロフルミラストのそれと同等であった。
【0329】
[00318] 当業者には、本発明の精神又は範囲より逸脱することなく、本発明の方法及び組成物において様々な変更態様(modifications)及び変形態様(variations)を作製し得ることが明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
Xは、O及びSからなる群より選択され;
Yは、O及びSからなる群より選択され;
Zは、Z、Z、Z、及びZからなる群より選択され、ここで
は、
【化2】

であり、Zは、
【化3】

であり、Zは、
【化4】

であり、そしてZは、
【化5】

である、但し、X又はYの少なくとも1つがSであるとき、Zは、Zだけである;
は、水素、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)ハロアルキル、未置換アリール(C−C)アルキル、置換アリール(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、置換又は未置換アリール、及び置換又は未置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲン、シアノ、及び(C−C)アルコキシからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲン、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ、シアノ、及びN,N−ジメチルアミノからなる群より選択され;
は、テトラゾール、オキサジアゾロン、チアジアゾロン、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択され;そして
は、カルボキシ、テトラゾール、オキサジアゾロン、チアジアゾロン、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択される]の化合物。
【請求項2】
が、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択され;そして
は、カルボキシ、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3(2H)−オン−5−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択される、請求項1の化合物。
【請求項3】
が、水素、CF、CFH、CFCH、CFCHCH、メチル、イソプロピル、イソブチル、シクロペンチル、CHOCH、SCH、ベンジル、4−カルボキシベンジル、チオフェン−2−イル、及びチオフェン−3−イルからなる群より選択され;
は、水素、フルオロ、クロロ、メトキシ、及びシアノからなる群より選択され;そして
は、水素、フルオロ、クロロ、メチル、CF、メトキシ、シアノ、及びN,N−ジメチルアミノからなる群より選択される、請求項1の化合物。
【請求項4】
が、水素、CF、CFH、メチル、及び4−カルボキシベンジルからなる群より選択され;
は、水素及びフルオロからなる群より選択され;
は、水素、フルオロ、クロロ、及びメチルからなる群より選択され;
は、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択され;そして
は、カルボキシ、テトラゾール、1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン−5−イル、メチルスルホニルカルバモイル、及びN−ヒドロキシカルバモイルからなる群より選択される、請求項1の化合物。
【請求項5】
3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン;
5−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)チオフェン−2−カルボン酸;
(トランス)−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸;
(シス)−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)シクロヘキサンカルボン酸;
3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−2−(ジフルオロメチル)−7−ヒドロキシ−4H−クロメン−4−オン;
3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−メチル−4H−クロメン−4−オン;
4−(2−(4−カルボキシベンジル)−7−ヒドロキシ−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸;
4−(7−ヒドロキシ−2−メチル−4−オキソ−4H−チオクロメン−3−イル)安息香酸;
3−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン;
4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)−N−(メチルスルホニル)ベンズアミド;
3−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−チアジアゾール−5(4H)−オン;
3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−メチル−4H−チオクロメン−4−オン;
5−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)チオフェン−3−カルボン酸;
3−((トランス)−4−(1H−テトラゾール−5−イル)シクロヘキシル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン;
N−ヒドロキシ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)ベンズアミド;
3−(2−クロロ−4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン;
3−(3−クロロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン;
3−(3−フルオロ−4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5(4H)−オン;
3−(3−クロロ−4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン;及び
3−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル)−7−ヒドロキシ−4H−クロメン−4−オン;及び
5−(4−(7−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−3−イル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンからなる群より選択される、請求項1の化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれにも記載の化合物の治療有効量を医薬的に許容される担体又は賦形剤と一緒に含んでなる医薬組成物。
【請求項7】
疾患又は状態の治療を必要とする患者へ請求項1〜5のいずれにも定義される式Iの化合物の治療有効量を投与することを含む、その治療の方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれにも定義される式Iの化合物を作製する方法。

【公表番号】特表2013−519680(P2013−519680A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552997(P2012−552997)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2011/024353
【国際公開番号】WO2011/100433
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(511038606)エヌサーティー・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】