説明

新規へテロアリールカルボキサミド

本発明は、式(I)の新規ヘテロアリールカルボキサミド〔式中、A、R、R、X、Y、Zおよびmが、明細書および請求項に定義した通りである〕、同様にその生理学的に許容される塩に関係している。これらの化合物は、凝固因子Xaを阻害して、薬剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)
【0002】
【化1】

【0003】
〔式中、
Aは、1個の酸素原子および1または2個の窒素原子を含有し、残りの環原子がCである、5環原子の単環芳香族環であるヘテロアリール環であり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
Xは、結合、アリーレン、ヘテロアリーレンまたはヘテロシクリレンであり、前記アリーレン、ヘテロアリーレンおよびヘテロシクリレンが、場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、−N(R’)−CO−(1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルキル)からなる群より独立して選択される1個以上の置換基により置換され、
その中で、R’が水素、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキル、−N(R’)−CO−O−(1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルキル)であり、
その中で、R’が水素、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキル、−N(R’)−CO−N(R”)(R''')であり、
その中で、R’、R”およびR'''が、独立して、水素、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキル、−C(O)−N(R’)(R”)であり、
その中で、R’およびR”が、独立して、水素、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキルであるか、またはR’およびR”が、それらが結合した窒素原子と一緒にヘテロシクリル、−NR’R”を形成して、
その中で、R’およびR”が、独立して、水素、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキルであるか、またはR’およびR”が、それらが結合した窒素原子と一緒にヘテロシクリル
【0004】
【化2】

【0005】
を形成して、
式中、
R’およびR”が、独立して、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキルであるか、またはR’およびR”が、それらが結合した窒素原子と一緒にヘテロシクリル
【0006】
【化3】

【0007】
を形成して、
式中、
R’およびR”が、独立して、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキルであるか、またはR’およびR”が、それらが結合した窒素原子と一緒にヘテロシクリル
【0008】
【化4】

【0009】
を形成して、
その中で、R’が、フルオロC1−6アルキルまたは
【0010】
【化5】

【0011】
であり、
その中で、R’が、フルオロC1−6アルキルであり、
そして、前記へテロアリーレンまたはヘテロシクリレンの1または2個の炭素原子が、カルボニル基で場合により置き換えられ;
【0012】
Yは、水素、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルが、1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルキル、1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−またはジ−C1−6アルキル置換されたアミノからなる群より独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子、モノ−またはジ−C1−6アルキル置換されたアミノ−C1−6アルキルにより場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子、−SO−C1−6アルキルにより場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子、−SO−NH、−SO−NH−C1−6アルキルにより場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子、および−SO−N(C1−6アルキル)により場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子により場合により置換され、
そして、前記へテロアリールおよびヘテロシクリルの1または2個の炭素原子が、カルボニル基で場合により置き換えられ;
【0013】
Zは、アリールまたはヘテロアリールであり、前記アリールおよびヘテロアリールが、1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルキル、1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルコキシ、ハロゲン、シアノ、モノ−またはジ−C1−6アルキル置換されたアミノからなる群より独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子、モノ−またはジ−C1−6アルキル置換されたアミノ−C1−6アルキルにより場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子により場合により置換され、
そして、前記へテロアリールの1または2個の炭素原子が、カルボニル基で場合により置き換えられ;
【0014】
mは、1または2である〕
の新規ヘテロアリールカルボキサミドであるか、またはそのプロドラッグあるいはその薬学的に許容される塩である。
【0015】
さらに、本発明は、上記の化合物、医薬製剤の製造のための方法および中間体に関し、それは、そのような化合物、医薬製剤の生産のためのこれらの化合物の使用、ならびに中間体の製造のための方法を含有する。
【0016】
式(I)の化合物は、活性化合物であり、凝固因子Xaを阻害する。その結果、これらの化合物は血液凝固に影響を及ぼす。それ故に、それらはトロンビンの形成を阻害して、数ある中で、動脈および静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、不安定狭心症、心筋梗塞、冠動脈疾患、肺塞栓症、心房細動による発作(脳血栓症)、炎症および動脈硬化のような、血栓障害の治療および/または予防のために使用することができる。それらは、血栓溶解療法および再狭窄(例えば、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)または冠動脈または末梢動脈のバイパス移植術後、ならびに長期血液透析患者における血管アクセス開存性の維持中)と関連する急性血管閉鎖の処置において潜在的に利用できる。本発明のF.Xa阻害剤は、異なる作用機序を有する抗凝固剤、または血小板凝集阻害剤、または血栓溶解剤を用いる併用療法の一部を形成してもよい。その上に、これらの化合物は、腫瘍細胞に効果があり、転移を防ぐ。それ故に、それらはまた、抗腫瘍薬として使用することができる。
【0017】
因子Xaの他の阻害剤は、トロンビンの形成の阻害および関連する疾患の処置のためにあらかじめ示唆されている。しかしながら、改善された薬理学的特性(例えば、トロンビンに関して改善された選択性)を示す新規因子Xa阻害剤の必要性はまだある。
【0018】
本発明は、因子Xa阻害剤である式(I)の新規化合物を提供する。本発明の化合物は、凝固因子Xaを予想外に阻害して、また当技術分野で既に公知である他の化合物と比較して改善された薬理学的特性を示す。
【0019】
他に指示がない限り、以下の定義が、本明細書中の発明を記述するために使用される様々な用語の意義および範囲を例示および定義するために示される。
【0020】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味し、フッ素、臭素および塩素が、好ましく、そしてフッ素および塩素が、より好ましい。
【0021】
単独または他の基と一緒に用いられる、用語「C1−6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する、分枝鎖または直鎖一価アルキルラジカルを意味する。さらに、この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルとしてそのようなラジカルで例示される。C1−4アルキルは、より好ましい。
【0022】
用語「フルオロC1−6アルキル」は、1個以上、好ましくは1、2または3個のフッ素原子により置換されたC1−6アルキルを意味する。
【0023】
単独または他の基と一緒に用いられる、用語「C1−6アルコキシ」は、基R’−O−〔式中、R’がC1−6アルキルである〕を意味する。
【0024】
用語「アリール」は、フェニルまたはナフチルを意味する。
【0025】
用語「アリーレン」は、二価アリール基を意味する。
【0026】
単独または他の基と一緒に用いられる、用語「フェニレン」は、二価フェニル基を意味する。1,4−フェニレンが好ましい。
【0027】
単独または他の基と一緒に用いられる、用語「ヘテロシクリル」は、3〜8個の環原子の非芳香族の単環または二環のラジカルを意味し、その中で、1または2個の環原子が、N、O、またはS(O)から選択されるヘテロ原子であり(nが0〜2の整数である)、残りの環原子がCである。
【0028】
単独または他の基と一緒に用いられる、用語「ヘテロシクリレン」は、上記で定義したような二価へテロシクリル基を意味する。
【0029】
単独または他の基と一緒に用いられる、用語「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される1、2、または3個の環へテロ原子を含有する少なくとも1個の芳香環を有する5〜12個の環原子の単環または二環のラジカルを意味し、ヘテロアリールラジカルの結合点が芳香環上にあるという了解の下で、残りの環原子がCである。
【0030】
単独または他の基と一緒に用いられる、用語「ヘテロアリーレン」は、上記で定義したような二価へテロアリール基を意味する。
【0031】
定義が上述された化学基に対する好ましいラジカルは、実施例中に具体的に例示されているものである。
【0032】
式(I)の化合物は、薬学的に許容される酸付加塩を形成することができる。そのような薬学的に許容される塩の例は、塩酸、硫酸、亜硫酸またはリン酸のような生理学的に相溶性のある鉱酸;あるいは、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸またはサリチル酸のような有機酸を有する式(I)の化合物の塩である。用語「薬学的に許容される塩」はまた、そのような塩を意味する。上記のような酸付加塩が好ましい。
【0033】
「場合による」または「場合により」は、後で記述される事象または状況が起こるかも知れないが起こらなければならない訳ではなく、記述が、事象または状況が起こる事例およびそれが起こらない事例を含むことを意味する。例えば、「アルキル基で場合により置換されたアリール基」は、アルキルが存在しないかも知れないが存在しなければならない訳ではなく、記述が、アリール基がアルキル基で置換される状況およびアリール基がアルキル基で置換されない状況を含むことを意味する。
【0034】
「薬学的に許容される賦形剤」は、それが、一般的に安全、非毒性、かつ生物学的にもその他の点でも望ましくなく、医薬組成物を調製する際に有用である賦形剤を意味し、獣医学的使用ならびにヒトの薬学的使用に許容できる賦形剤を含む。明細書および請求項で使用されるような「薬学的に許容される賦形剤」は、1個および複数のそのような賦形剤の両方を含む。
【0035】
同じ分子式を有するが、空間中でそれらの原子の結合の性質または配列またはそれらの原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれる。空間中でそれらの原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。お互い鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオマー」と呼ばれ、お互い重ね合わせることができない鏡像であるものは、「鏡像異性体」と呼ばれる。化合物が不斉中心を有する時、例えば、炭素原子が4個の異なる基と結合する場合、鏡像異性体の一対が可能である。1個の鏡像異性体が、その不斉中心の絶対配置を特徴とすることができ、Cahn、IngoldおよびPrelogのR−およびS−配列法則により記述されるか、または分子が偏光の平面を回転する方法により記述され、そして右旋性または左旋性(すなわち、それぞれ(+)または(−)−異性体として)として指定される。キラル化合物は、どちらか個々の鏡像異性体としてか、またはその混合物として存在することができる。鏡像異性体の均等な割合を含有する混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0036】
式(I)の化合物は、1個以上の不斉中心を有することができる。指示が他にない限り、明細書および請求項中の特別な化合物の詳細または命名は、それらの個々の鏡像異性体および混合物の両方、ラセミ化合物かそうでないものを含むことを目的とする。立体化学および立体異性体の分離を測定する方法は、当技術分野でよく知られている(discussion in Chapter 4 of "Advanced Organic Chemistry", 4th edition J. March, John Wiley and Sons, New York, 1992を参照)
【0037】
本発明の最も広い定義は、前に記述されているが、式(I)の特定の化合物が好ましい。
【0038】
i) 式(I)の化合物において、
Xは、好ましくは、結合またはフェニレンであり、前記フェニレンが、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換される。
より好ましくは、Xが、ハロゲンおよびC1−6アルキルからなる群より選択される1個の置換基により場合により置換された1,4−フェニレンであり、特にXが、2−フルオロ−1,4−フェニレンである。
【0039】
ii) 式(I)の化合物において、
Yは、好ましくは、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、前記フェニル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換されて、前記ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの1または2個の炭素原子が、カルボニル基で場合により置き換えられる。
より好ましくは、Yが、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、前記ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが、6個の環原子の単環ラジカルであり、その中で、1または2個の環原子が、NおよびOから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCであり、前記へテロアリールおよびヘテロシクリルの1個の炭素原子が、カルボニル基で置き換えられる;さらにより好ましくは
Yが、ピリジル、ピラジニルまたはモルホリニルであり、前記ピリジル、ピラジニルおよびモルホリニルの1個の炭素原子が、カルボニル基で置き換えられる;そして、Yが、特に、2−オキソ−1−ピリジル、2−オキソ−1−ピラジニルまたは3−オキソ−4−モルホリニルである。
【0040】
iii) 式(I)の化合物において、
Zは、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換されたヘテロアリールである。より好ましくは、Zが、5−クロロ−2−チエニルである。
【0041】
iv) 式(I)の化合物において、
Aは、
【0042】
【化6】

【0043】
である。より好ましくは、Aが、
【0044】
【化7】

【0045】
である。
【0046】
v) 式(I)の化合物において、
mが、好ましくは1である。
【0047】
vi) 式(I)の化合物において、
が、好ましくは水素である。
【0048】
vii) 式(I)の化合物において、
が、好ましくは水素である。
【0049】
viii) 本発明の特に好ましい化合物は:
3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド、
3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピラジン−1−イル)−フェニル]−アミド、
3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[2−フルオロ−4−(3−オキソ−モルホリン−4−イル)−フェニル]−アミド、または
3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[4−(3−オキソ−モルホリン−4−イル)−フェニル]−アミド
である。
【0050】
本発明の化合物は、例えば、下記に記述した一般的合成手順により調製することができる。
【0051】
一般的合成手順
略語
BOP:ベンゾトリアゾリル−N−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムへキサフルオロホスファート
BOP−Cl:ビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスフィン酸クロリド
CDI:カルボニルジイミダゾール
DCC:N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIC:N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMA:N,N−ジメチルアセトアミド
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
EDC:N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミド塩酸塩
EEDQ:N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムへキサフルオロホスファート
HBTU:O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムへキサフルオロホスファート
HOBt:N−ヒドロキシベンゾトリアゾール
NMP:N−メチルピロリドン
PyBOP:ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジンホスホニウムへキサフルオロホスファート
PyBrOP:ブロム−トリピロリジノホスホニウムへキサフルオロホスファート
TBTU:O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート
THF:テトラヒドロフラン
【0052】
一般的手順
【0053】
【化8】

【0054】
スキーム1において、A、R、R、X、Y、Zおよびmは前に定義した通りであり、Rはメチルまたはエチルである。
【0055】
アミンIIおよび酸Z−COOHを、EDC、DIC、DCC、CDI、TBTU、HBTU、EEDQ、HOBt、HATU、PyBOP、PyBrOP、BOPまたはBOP−Clのようなアミドカップリング試薬の存在下、NEt、ヒューニッヒ塩基またはN−メチルモルホリンのような塩基の存在下、温度−20℃〜120℃で、ジクロロメタン、DMF、アセトニトリル、THF、NMP、DMAのような適切な溶媒中、2種の成分を反応させることによりカップリングすることができる。アミドIIを、0.5−120時間、−20℃〜120℃で反応後に得た。代わりに、酸Z−COOHを対応している酸クロリドまたは無水物に、塩化オキサル、チオニルクロリド、イソブチルカルバモイルクロリドまたは関連した試薬およびNEt、ヒューニッヒ塩基、N−メチルモルホリンなどのような塩基を用いて変換、ならびにアミンIIで反応を行って、アミドIIIを得た。好ましい条件は、室温で、18時間、DMF中にBOPおよびDIPEAを伴う。
【0056】
エステルIIIのけん化を行って、酸IVを得ることは、それを、MeOH、EtOH、THF、1,4−ジオキサン、水、またはそれらの混合物のような適切な溶媒、およびLiOH、NaOH、KOH、NaCO、KCOまたはCsCOのような塩基に溶解することにより達成される。好ましい条件は、EtOH/HO中のNaOHである。
【0057】
酸IVおよびアミンHN(R)(X−Y)は、アミドIIIの調製に記述されるようにカップリングすることができる。好ましい条件は、室温で、18時間、アセトニトリル/DMF中のBOP−ClおよびDIPEAである。
【0058】
代わりに、エステルIIIは、HN(R)(X−Y)がアニリンの時、アミドI’に直接反応させることができる。そのようなアニリンは、室温で、トルエンまたはジオキサンのような溶媒中のAlMeで予備活性化させて、続けて、高温(通常90℃)で、エステルIIIで処理して、アミドI’を得た。
【0059】
出発物質は、どちらも市販品であり、化学文献において別名で知られているか、または当技術分野でよく知られている方法にしたがって調製してもよい。
【0060】
上記の通り、式(I)の化合物は活性化合物であり、凝固因子Xaを阻害する。その結果として、これらの化合物は、この因子および血漿血液凝固により誘発される両方の血小板活性に影響を及ぼす。それ故に、それらはトロンビンの形成を阻害して、数ある中で、動脈および静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、不安定狭心症、心筋梗塞、冠動脈疾患、肺塞栓症、心房細動による発作(脳血栓症)、炎症および動脈硬化のような、血栓障害の治療および/または予防のために使用することができる。本発明の化合物はまた、血栓溶解療法および再狭窄(例えば、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)または冠動脈または末梢動脈のバイパス移植術後、ならびに長期血液透析患者における血管アクセス開存性の維持中)と関連する急性血管閉鎖の処置において使用することができる。本発明のF.Xa阻害剤は、異なる作用機序を有する抗凝固剤、または血小板凝集阻害剤、または血栓溶解剤を用いる併用療法の一部を形成してもよい。その上に、これらの化合物は、腫瘍細胞に効果があり、転移を防ぐ。それ故に、それらはまた、抗腫瘍薬として使用することができる。
【0061】
血栓障害、特に動脈および深部静脈血栓症の予防および治療は、好ましい適応症である。
【0062】
その上に、本発明はまた、上記に定義したような化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関連する。
【0063】
同様に、本発明は、治療的に活性物質として、特に疾患の治療および/または予防のための治療的に活性物質として使用するための上記のような化合物を包含し、それらは、凝固因子Xaに関連し、特に血栓障害、動脈血栓症、静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞性疾患、不安定狭心症、心筋梗塞、冠動脈疾患、肺塞栓症、心房細動による発作、炎症、動脈硬化、血栓溶解療法もしくは再狭窄に関連する急性血管閉鎖、および/または腫瘍の治療および予防のための治療的に活性物質として関連する。
【0064】
他の好ましい実施態様において、本発明は、凝固因子Xaに関連する疾患の治療的および/または予防的な処置のため、特に、血栓障害、動脈血栓症、静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞性疾患、不安定狭心症、心筋梗塞、冠動脈疾患、肺塞栓症、心房細動による発作、炎症、動脈硬化、血栓溶解療法もしくは再狭窄に関連する急性血管閉鎖、および/または腫瘍の治療的および/または予防的な処置のための方法に関連し、その方法は、ヒトまたは動物に対して上記に定義したような化合物を投与することを特徴とする。
【0065】
本発明はまた、凝固因子Xaに関連する疾患の治療的および/または予防的な処置のため、特に、血栓障害、動脈血栓症、静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞性疾患、不安定狭心症、心筋梗塞、冠動脈疾患、肺塞栓症、心房細動による発作、炎症、動脈硬化、血栓溶解療法もしくは再狭窄に関連する急性血管閉鎖、および/または腫瘍の治療的および/または予防的な処置のための上記に定義されたような化合物の使用を包含する。
【0066】
本発明はまた、凝固因子Xaに関連する疾患の治療的および/または予防的な処置のため、特に、血栓障害、動脈血栓症、静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞性疾患、不安定狭心症、心筋梗塞、冠動脈疾患、肺塞栓症、心房細動による発作、炎症、動脈硬化、血栓溶解療法もしくは再狭窄に関連する急性血管閉鎖、および/または腫瘍の治療的および/または予防的な処置のための薬剤を調製するための上記のような化合物の使用に関連する。そのような薬剤は、上記のような化合物を含む。
【0067】
本発明はまた、式(I)の化合物を製造するための方法および中間体、ならびに中間体を製造するための方法に関連する。
【0068】
本発明の化合物による凝固因子Xaの阻害は、本明細書中で記述されるような発色ペプチド基質の助けで立証することができる。
【0069】
因子Xa活性を、以下の条件を使用して最終容量150μl中のマイクロタイタープレートにおいて分光光度法で測定した:ヒト因子Xa(Enzyme Research Laboratories)の阻害を、200nMで、発色基質S−2222(Chromogenix AB, Molndal, スウェーデン)を使用して酵素濃度3nMで試験した。酵素および基質の反応速度を、時間および酵素濃度の両方を用いて線形にした。阻害剤をDMSOに溶解して、100μMまでの様々な濃度で試験した。阻害剤をHEPES 100mM、NaCl 140mM、PEG 6000 0.1%およびTween 80 0.02%、pH7.8からなるHNPT緩衝液を使用して希釈した。ヒト因子XaによるS−2222の開裂を、405nmで、5分間、室温で続けて行った。反応の速度を、自動読取機により、7時点(1分)に対する線形回帰フィットの傾斜から測定した。各々の阻害剤濃度に対する初期速度を、線形回帰フィット(mOD/分)により線形相において少なくとも4時点の傾斜により測定した。見かけの解離定数Kを、あらかじめ測定された(K=IC50/(1+S/K))、IC50およびそれぞれのKに基づくChengおよびPrusoff[Cheng, Y. C.; Prusoff, W. H. Relationship between the inhibition constant (Ki) and the concentration of the inhibitor that causes 50 percent inhibition (IC50) of an enzyme reaction. Biochem. Pharmacol. 1973, 22, 3099-3108.]にしたがって計算した。使用した基質に対するKを、0.5〜15倍Kに及ぶ少なくとも5基質濃度を用いる試験の条件下で測定した[Lottenberg R, Hall JA, Blinder M, Binder EP, Jackson CM., The action of thrombin on peptide p-nitroanilide substrates. Substrate selectivity and examination of hydrolysis under different reaction conditions. Biochim Biophys Acta. 1983 Feb 15; 742(3):539-57]。Eadie[Eadie G.S. The inhibition of cholinesterase by physostigmine and prostigmine. J. Biol. Chem. 1942, 146, 85-93.]にしたがって、S−2222に対するKが613μMに達した。
【0070】
さらに、低分子量基質の活性は、「プロトロンビン時間」(PT)凝固試験を特徴付けることができる。基質を、DMSO中の10mM溶液として調製して、その後、同じ溶媒中の所望の希釈にした。その後、ヒト血漿0.25ml(クエン酸ナトリウム108mMの1/10容量を用いて抗凝固させた全血から得た)を、計器固有の試料容器に入れた。いずれの場合にも、次に、基質希釈系列の各希釈の5μlを、提供された血漿を用いて混合した。この血漿/阻害剤の混合物を、37℃で2分間インキュベートした。その後、半自動機器(ACL, Automated Coagulation Laboratory (Instrument Laboratory))に、測定容器中に、血漿/阻害剤の混合物50μlを、ピペットで取った。凝固反応を、Dade(登録商標)Innovin(登録商標)0.1ml(カルシウム緩衝液および合成リン脂質と組み合わされた組み換えヒト組織因子、Dade Behring, Inc., Cat. B4212-50)を加えて開始した。フィブリン架橋する時間を、ACLから写真光学的に測定した。PT凝固時間の倍加をもたらす阻害濃度を、指数回帰に対するデータをフィットすること(XLfit)により測定した。
【0071】
その上に、本発明の化合物を、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を特徴付けることができる。この凝固試験は、例えば、ACL 300凝固システム(Instrumentation Laboratory)自動分析器で実行することができる。基質を、DMSO中の10mM溶液として調製して、その後、同じ溶媒中の所望の希釈にした。試験を、Dade(登録商標)Actin(登録商標)FS活性化PTT試薬(エラグ酸1.0×10−4M、安定剤および防腐剤中の精製した大豆リン脂質、Dade Behring, Inc., Cat. B4218-100)を用いて実施した。その後、ヒト血漿0.25ml分割量(クエン酸ナトリウム108mMの1/10容量を用いて抗凝固させた全血から得た)に、少なくとも6濃度中の試験化合物5μlを混ぜる。4℃で、溶媒中の阻害剤1/50容量を含有する血漿50μlを、37℃で、3分間、Dade(登録商標)Actin(登録商標)FS活性化PTT試薬でインキュベートして、次に、水中のCaCl.2HO 25mM 50μlを37℃で加えた。フィブリン架橋するまでの時間を、ACLから写真光学的に測定した。APPT凝固時間の倍加をもたらす阻害濃度を、指数回帰に対するデータをフィットすること(XLfit)により測定した。
【0072】
本発明の活性化合物のK値が、好ましくは、約0.001〜50μM、特に約0.001〜1μMに達する。PT値は、好ましくは、約0.5〜100μM、特に約0.5〜10μMに達する。aPTT値は、好ましくは、約0.5〜100μM、特に約0.5〜10μMに達する。
【0073】
【表1】

【0074】
式(I)の化合物および/またはそれらの薬学的に許容される塩は、薬剤として、例えば、経腸、非経口または局所投与の医薬製剤の形態で使用することができる。それらは、例えば、経口的に、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬および軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤または懸濁剤の剤形で、経腸的に、例えば坐剤の剤形で、非経口的に、例えば注射剤または懸濁剤または注入剤の剤形で、あるいは局所的に、例えば軟膏、クリーム剤または油剤の剤形で投与することができる。経口投与が好ましい。
【0075】
医薬製剤の生産は、記載された式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に許容される塩を、場合により他の治療上有用な物質と組み合わせて、適切な、非毒性で、不活性な、治療上適合性のある固体または液体担体材料、および所望であれば、通常の医薬佐剤と一緒にガレヌス製剤の投与形態にする、当業者に周知である方法により実施することができる。
【0076】
適切な担体材料は、無機担体材料のみならず、有機担体材料でもある。したがって、例えば、乳糖、トウモロコシデンプンまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩を、錠剤、コーティング錠、糖衣錠および硬ゼラチンカプセル剤の担体材料として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤に適切な担体材料は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、ならびに半固形および液状ポリオールである(しかし活性物質の性質によっては、軟ゼラチンカプセル剤の場合には、担体を必要としないこともある)。液剤およびシロップ剤の生産に適切な担体材料は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖である。注射剤に適切な担体材料は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロールおよび植物油である。坐剤に適切な担体材料は、例えば、天然油または硬化油、ロウ、脂肪、および半液体または液体ポリオールである。局所用製剤に適切な担体材料は、グリセリド、半合成および合成グリセリド、硬化油、液体ロウ、流動パラフィン、液体脂肪アルコール、ステロール、ポリエチレングリコールおよびセルロース誘導体である。
【0077】
通常の安定剤、防腐剤、湿潤剤および乳化剤、稠度向上剤、風味向上剤、浸透圧を変更する塩、緩衝物質、可溶化剤、着色剤およびマスキング剤、ならびに酸化防止剤が医薬佐剤として考慮される。
【0078】
式(I)の化合物の用量は、抑制されるべき疾患、患者の年齢および個別の状態、ならびに投与形態に応じて広範囲に変更でき、当然それぞれの特定の症例における個別の要件に適合されるであろう。成人患者では、約1〜約1000mg、特に約1〜約300mgの1日量が考慮される。疾患の重篤度および正確な薬物動態学的プロファイルに応じて、化合物を、1または複数回の一日投与量、例えば、1〜3単位の投与量で投与することができる。
【0079】
医薬製剤は、好都合には、式(I)の化合物を約1〜500mg、好ましくは1〜100mg含有する。
【0080】
下記の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために役立つ。しかし、それらはいかなる方法においても本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0081】
実施例
実施例1
1A
【0082】
【化9】

【0083】
室温、アルゴン雰囲気下で、エタノール(40ml)中のN−Boc−2−アミノ−アセトニトリル(4.32g)の撹拌した溶液に、HO(10ml)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.92g)および炭酸カリウム(3.82g)を加えた。混合物(清澄な溶液にすぐに変わる)を加熱し還流して、撹拌を2日間続けた。混合物を室温に冷却して、エタノールを減圧下で除去した。
褐色の残留物をHOで希釈して、EtOAcで抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過して、濃縮した。粗(N−ヒドロキシカルバムイミドイルメチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(3.74g)を、さらに精製しないで次の工程で使用した。白色の固体。MS 190.4([M+H]
【0084】
1B
【0085】
【化10】

【0086】
室温、アルゴン雰囲気下で、エタノール(25ml)中の(N−ヒドロキシカルバムイミドイルメチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.73g)の撹拌した溶液に、NaOEt(290mg)、シュウ酸ジエチル(7.80g)および予備乾燥させた粉末のモレキュラーシーブ4Å(5.5g)を加えた。混合物を加熱し還流して、撹拌を5時間続けた。混合物を室温に冷却して、濾過した。ケーク(cake)をエタノールで洗浄した。濾液を濃縮した。残留物をCHClに取り、飽和NaHCO水溶液、2N HCl、HOおよびブラインで洗浄して、MgSO4上で乾燥させ、濾過して、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して(シリカゲル;勾配:シクロヘキサン−>シクロヘキサン/EtOAc 1:1)、オフホワイトの固体として3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−メチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(1.6g)を得た。MS 294.3([M+H]
【0087】
1C
【0088】
【化11】

【0089】
ジオキサン中の4M HCl溶液(12ml)中の3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ−メチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(660mg)の溶液を、室温、アルゴン雰囲気下で4時間撹拌した。混合物を濃縮した。粗3−アミノメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸エチルエステル二塩酸塩(562mg)を、さらに精製しないで次の反応工程で使用した。明黄色のガム状物。MS 172.3([M+H]
【0090】
1D
【0091】
【化12】

【0092】
室温、アルゴン雰囲気下で、DMF(10ml)中の3−アミノメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸エチルエステル二塩酸塩(555mg)の撹拌した溶液に、N−エチルジイソプロピルアミン(1.82ml)、5−クロロ−2−チオフェンカルボン酸(565mg)およびBOP(1.54mg)を加えた。混合物を一晩撹拌し、次にEtOAcで希釈して、HOで洗浄した。水相をEtOAcおよびブラインで逆抽出して、MgSO上で乾燥させ、濾過して、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して(シリカゲル;勾配:シクロヘキサン−>シクロヘキサン/EtOAc 1:1)、オフホワイトの固体として3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(586mg)を得た。MS 316.0([M+H]
【0093】
1E
【0094】
【化13】

【0095】
室温、アルゴン雰囲気下で、ジオキサン(4ml)中の1−(4−アミノ−3−フルオロ−フェニル)−1H−ピリジン−2−オン(259mg;CAS 536747−52−1、C.F.Biggeら、特許出願WO 2003045912にしたがって調製した)の撹拌した懸濁液に、トリメチルアルミニウム(0.63ml;ヘプタン中2M溶液)を加えて−−>発泡。混合物を室温で2時間撹拌した。次に、ジオキサン(4ml)中の3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(100mg)の溶液を加えた。混合物を一晩、100℃に加熱した。混合物を室温に冷却して、HO(0.8ml)を加えた(−−>バブリング)。15分撹拌後、MgSOを加えて、撹拌をさらに15分間続けた。次に、混合物を濾過して、ケークをジクロロメタンで洗浄した。濾液を濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して(シリカゲル;勾配:CHCl−>CHCl/MeOH 9:1)、明黄色の固体として3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミドを得た。474.1([M+H]
【0096】
実施例2
【0097】
【化14】

【0098】
実施例1Eと同様に、3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(実施例1D)を、5−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−チアゾロ[5,4]ピリジン−2−イルアミン(CAS 17899−48−8)と反応させて、3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸(5−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イル)−アミドを得た。黄色の固体。MS 439.3([M+H]
【0099】
実施例3
【0100】
【化15】

【0101】
実施例1Eと同様に、3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(実施例1D)を、1−(4−アミノ−3−フルオロ−フェニル)−ピラジン−2−オン(CAS 863015−77−4)と反応させて、3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピラジン−1−イル)−フェニル]−アミドを得た。黄色の固体。MS 475.0([M+H]
【0102】
実施例4
【0103】
【化16】

【0104】
実施例1Eと同様に、3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(実施例1D)を、4−(4−アミノ−3−フルオロ−フェニル)−モルホリン−3−オン(CAS 742073−22−9)と反応させて、3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[2−フルオロ−4−(3−オキソ−モルホリン−4−イル)−フェニル]−アミドを得た。明黄色の固体。MS 480.0([M+H]
【0105】
実施例5
【0106】
【化17】

【0107】
実施例1Eと同様に、3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(実施例1D)を、4−(4−アミノ−3−フルオロ−フェニル)−モルホリン−3−オン(CAS 438056−69−0)と反応させて、3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[4−(3−オキソ−モルホリン−4−イル)−フェニル]−アミドを得た。明黄色の固体。MS 462.0([M+H]
【0108】
実施例A
下記の成分を含有するフィルムコーティング錠は常法により製造することができる:
成分 1錠当たり
核:
式(I)の化合物 10.0mg 200.0mg
微晶質セルロース 23.5mg 43.5mg
含水乳糖 60.0mg 70.0mg
ポビドンK30 12.5mg 15.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.5mg 17.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg 4.5mg
(核重量) 120.0mg 350.0mg
フィルムコート:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 3.5mg 7.0mg
ポリエチレングリコール6000 0.8mg 1.6mg
タルク 1.3mg 2.6mg
酸化鉄(黄色) 0.8mg 1.6mg
二酸化チタン 0.8mg 1.6mg
【0109】
活性成分を篩にかけ、微晶質セルロースと混合し、混合物をポリビニルピロリドンの水溶液で造粒する。顆粒をデンプングリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムと混合し、圧縮して、それぞれ120または350mgの核を得る。上記のフィルムコートの水溶液/懸濁液を核に塗布する。
【0110】
実施例B
下記の成分を含有するカプセル剤は、常法により製造することができる:
成分 1カプセル当たり
式(I)の化合物 25.0mg
乳糖 150.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
タルク 5.0mg
【0111】
成分を篩にかけ、混合し、サイズ2のカプセルに充填する。
【0112】
実施例C
注射液は下記の組成を有することができる:
式(I)の化合物 3.0mg
ポリエチレングリコール 400 150.0mg
酢酸 適量 pH5.0にする量
注射用水 全量を1.0mlにする量
【0113】
活性成分を、ポリエチレングリコール400および注射用水(部分)の混合物に溶解した。pHを、酢酸を加えて5.0に調整した。容量を、残りの水を加えて1.0mlに調整した。溶液を濾過し、適切な過多量を使用してバイアルに充填して、滅菌した。
【0114】
実施例D
下記の成分を含有するソフトゼラチンカプセル剤は常法により製造することができる:
カプセル内容物
式(I)の化合物 5.0mg
黄ろう 8.0mg
硬化大豆油 8.0mg
部分的硬化植物油 34.0mg
大豆油 110.0mg
カプセル剤の重量 165.0mg
ゼラチンカプセル
ゼラチン 75.0mg
グリセロール85% 32.0mg
Karion 83 8.0mg(乾物)
二酸化チタン 0.4mg
酸化鉄黄 1.1mg
【0115】
活性成分を、温かく溶融している他の成分に溶解し、混合物を適切な大きさのソフトゼラチンカプセルに充填する。充填されたソフトゼラチンカプセルを、通常の手順にしたがって処理する。
【0116】
実施例E
下記の成分を含有するサッシェは常法により製造することができる:
式(I)の化合物 50.0mg
乳糖、微細粉末 1015.0mg
微晶質セルロース(AVICEL PH 102) 1400.0mg
カルボキシメチルセルロースナトリウム 14.0mg
ポリビニルピロリドンK 30 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 10.0mg
風味添加剤 1.0mg
【0117】
活性成分を、乳糖、微晶質セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムと混合し、水中のポリビニルピロリドンの混合物と共に造粒する。顆粒をステアリン酸マグネシウムおよび風味添加剤と混合し、サッシェに充填する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化18】


〔式中、
Aは、1個の酸素原子および1または2個の窒素原子を含有し、残りの環原子がCである、5環原子の単環芳香族環であるヘテロアリール環であり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
Xは、結合、アリーレン、ヘテロアリーレンまたはヘテロシクリレンであり、前記アリーレン、ヘテロアリーレンおよびヘテロシクリレンが、場合により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、−N(R’)−CO−(1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルキル)からなる群より独立して選択される1個以上の置換基により置換され、
その中で、R’が水素、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキル、−N(R’)−CO−O−(1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルキル)であり、
その中で、R’が水素、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキル、−N(R’)−CO−N(R”)(R''')であり、
その中で、R’、R”およびR'''が独立して水素、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキル、−C(O)−N(R’)(R”)であり、
その中で、R’およびR”が独立して水素、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキルであるか、またはR’およびR”が、それらが結合した窒素原子と一緒にヘテロシクリル、−NR’R”を形成し、
その中で、R’およびR”が独立して水素、C1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキルであるか、またはR’およびR”が、それらが結合した窒素原子と一緒にヘテロシクリル、
【化19】


を形成して、
式中、
R’およびR”は独立してC1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキルであるか、またはR’およびR”が、それらが結合した窒素原子と一緒にヘテロシクリル、
【化20】


を形成して、
式中、
R’およびR”は独立してC1−6アルキルまたはフルオロC1−6アルキルであるか、またはR’およびR”が、それらが結合した窒素原子と一緒にヘテロシクリル、
【化21】


を形成して、
その中で、R’はフルオロC1−6アルキルまたは
【化22】


であり、
その中で、R’はフルオロC1−6アルキルであり、
そして、前記へテロアリーレンまたはヘテロシクリレンの1または2個の炭素原子が、カルボニル基で場合により置き換えられ;
Yは、水素、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、前記アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルが、1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルキル、1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−またはジ−C1−6アルキル置換されたアミノからなる群より独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子、モノ−またはジ−C1−6アルキル置換されたアミノ−C1−6アルキルにより場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子、−SO−C1−6アルキルにより場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子、−SO−NH、−SO−NH−C1−6アルキルにより場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子、および−SO−N(C1−6アルキル)により場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子により場合により置換され、
そして、前記へテロアリールおよびヘテロシクリルの1または2個の炭素原子が、カルボニル基で場合により置き換えられ;
Zは、アリールまたはヘテロアリールであり、前記アリールおよびヘテロアリールが、1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルキル、1個以上のフッ素原子により場合により置換されたC1−6アルコキシ、ハロゲン、シアノ、モノ−またはジ−C1−6アルキル置換されたアミノからなる群より独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子、モノ−またはジ−C1−6アルキル置換されたアミノ−C1−6アルキルにより場合により置換され、
その中で、C1−6アルキルが、1個以上のフッ素原子により場合により置換され、
そして、前記へテロアリールの1または2個の炭素原子が、カルボニル基で場合により置き換えられ;
mは、1または2である〕
の化合物であるか、またはそのプロドラッグあるいはその薬学的に許容される塩であって;
ここで、
特に指示がない限り、
用語「アリール」は、フェニルまたはナフチルを意味し;
用語「ヘテロシクリル」は、3〜8環原子の非芳香族単環または二環のラジカルを意味し、その中で、1または2環原子がN、O、またはS(O)n(ここで、nが0〜2の整数である)から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCであり;
用語「ヘテロアリール」は、N、O、およびSから選択される、1、2、または3個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、少なくとも1個の芳香環を有する5〜12個の環原子の単環または二環のラジカルを意味する、
化合物。
【請求項2】
Xが、結合またはフェニレンであり、前記フェニレンが、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換され;
Yが、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、前記フェニル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換され、そして前記ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの1または2個の炭素原子が、場合によりカルボニル基で置き換えられる、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Xが、ハロゲンおよびC1−6アルキルからなる群より選択される1個の置換基により場合により置換された1,4−フェニレンである、
請求項1または2のいずれか1項記載の化合物。
【請求項4】
Xが、2−フルオロ−1,4−フェニレンである
請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
Yが、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、前記ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが6環原子の単環ラジカルであり、その中で、1または2個の環原子がNおよびOより選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCであり、そして前記ヘテロアリールおよびヘテロシクリルの1個の炭素原子がカルボニル基で置き換えられる、
請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
Yが、ピリジル、ピラジニルまたはモルホリニルであり、前記ピリジル、ピラジニルおよびモルホリニルの1個の炭素原子がカルボニル基で置き換えられる、
請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
Yが、2−オキソ−1−ピリジル、2−オキソ−1−ピラジニルまたは3−オキソ−4−モルホリニルである、
請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
Zが、C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換されたヘテロアリールである、
請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
Zが、5−クロロ−2−チエニルである
請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
Aが、
【化23】


である、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
Aが、
【化24】


である、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
mが1である、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
が水素である、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
が水素である、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド、
3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピラジン−1−イル)−フェニル]−アミド、
3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[2−フルオロ−4−(3−オキソ−モルホリン−4−イル)−フェニル]−アミドまたは
3−{[(5−クロロ−チオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−カルボン酸[4−(3−オキソ−モルホリン−4−イル)−フェニル]−アミドである、
請求項1記載の化合物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項記載の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項17】
式(I)
【化25】


〔式中、
A、R、X、Y、Zおよびmが、請求項1に定義した通りである〕
の化合物の製造方法であって、
式(IV)
【化26】


の化合物を、
式(V)
【化27】


の化合物とカップリングさせることを行う工程
を含む製造方法。
【請求項18】
治療活性物質として使用される、請求項1〜15のいずれか1項記載の化合物。
【請求項19】
凝固因子Xaに関連する疾患の治療および/または予防のための治療活性物質として使用される、請求項1〜15のいずれか1項記載の化合物。
【請求項20】
凝固因子Xaに関連する疾患の治療的および/または予防的な処置のための薬剤を製造するための、請求項1〜15のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項21】
疾患が、血栓障害、動脈血栓症、静脈血栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞性疾患、不安定狭心症、心筋梗塞、冠動脈疾患、肺塞栓症、心房細動による発作、炎症、動脈硬化、血栓溶解療法もしくは再狭窄に関連する急性血管閉鎖、および/または腫瘍である、請求項19記載の使用。
【請求項22】
上文に定義したような本発明は、特に、新しい化合物、中間体、薬剤、使用および方法に関連する。

【公表番号】特表2010−507613(P2010−507613A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533786(P2009−533786)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060928
【国際公開番号】WO2008/049747
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】