説明

新規イミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体、この調製方法、この医薬としての使用、医薬組成物、および新規用途、特にMET阻害剤としての用途

本発明は、医薬としての、特にMET阻害剤としての、式(I)の新規生成物に関し、


式中:Raは、H、Hal、アリール、またはヘテロアリールを表し、これらは場合により置換され;Rbは、H、Rc、−COORc−CO−Rc、または−CO−NRcRdを表し;式中、Rcは、アルキル、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールを表し、これらは全て場合により置換され;Rdは、H、alk、またはシクロアルキル基を表す;であり、全ての可能な異性体の形で、ならびにこの塩として存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規イミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体、この調製方法、得られる新規中間体、医薬としてのこれらの使用、これらを含有する医薬組成物、およびこのようなイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体の新規用途に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、タンパク質、特にキナーゼの活性の調節を介した抗癌活性を有する新規イミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体に関する。
【背景技術】
【0003】
今まで、化学療法に用いられる市販の化合物の多くは、細胞毒性剤であり、副作用および患者の許容度の点で大きな問題をもたらしている。こうした副作用は、もし用いられる医薬が健康な細胞を除く癌細胞に選択的に作用するならば、限定的なものである。従って、化学療法の副作用を制限する解決策の一つとして、癌細胞で主に発現し、健康な細胞ではほとんどまたはまったく発現しない代謝経路またはそうした代謝経路の構成要素に作用する医薬を用いることが考えられる。プロテインキナーゼは、タンパク質の特定の残基(チロシン、セリン、およびトレオニン残基など)のヒドロキシル基のリン酸化を触媒する酵素のファミリーである。そうしたリン酸化は、タンパク質の機能を大幅に修飾することができる。従って、プロテインキナーゼは、特に代謝、細胞増殖、細胞接着および運動性、細胞分化もしくは細胞生存をはじめとする非常に多様な細胞のプロセスを調節するのに重要な役割りを果たし、プロテインキナーゼのなかには、細胞周期イベントの開始、進行、および完了に中心的な役割りを果たすものもある。
【0004】
プロテインキナーゼの活性が関与する様々な細胞機能のうち、特定のプロセスが特定の疾患を治療するうえで魅力的な標的を表す。例として、特に血管新生および細胞周期、ならびに細胞増殖の制御が挙げられるが、これらにおいてプロテインキナーゼは中心的な役割りを果たし得る。これらのプロセスは、固形腫瘍の増殖ならびにその他の疾患でも特に必須である。特に、そうしたキナーゼを阻害する分子は癌で観察されるような望ましくない細胞増殖を制限することができ、アルツハイマー病や神経細胞アポトーシスなどの神経変性疾患を、予防、調節、または治療するのに役割りを果たし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主題は、プロテインキナーゼ阻害活性を有する新規誘導体である。従って、本発明の生成物は、特に、プロテインキナーゼの阻害により調節され得る疾患の予防または治療に用いることができる。
【0006】
本発明の生成物は、特に、キナーゼ活性の調節を介して、抗癌活性を示す。活性の調節が求められるキナーゼの中で、METおよびMETタンパク質の変異体が好ましい。
【0007】
本発明はまた、ヒトの治療用医薬を調製するための前記誘導体の使用にも関する。
【0008】
従って、本発明の目的の1つは、特にキナーゼに作用することによる抗癌活性を有する組成物を提供することである。活性の調節が求められるキナーゼの中で、METが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以下の薬理学に関するセクションでは、生化学試験および細胞株において、本出願の生成物が、特にMETの自己リン酸化活性および細胞増殖(細胞の成長がMETまたはこの変異形に依存するもの)を阻害することが示される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
MET、即ち肝細胞増殖因子受容体は、特に上皮細胞および内皮細胞で発現する、チロシンキナーゼ活性を有する受容体である。HGF(肝細胞増殖因子)は、METの特異的リガンドとして記載される。HGFは、間葉細胞で分泌されて、MET受容体を活性化し、この受容体は同種二量体を形成する。続いて、受容体は、チロシンを触媒ドメインY1230、Y1234、およびY1235で自己リン酸化する。
【0011】
HGFがMETを刺激すると、細胞増殖、散乱(または分散)および運動、アポトーシス抵抗、浸潤、および血管新生が誘導される。
【0012】
METおよび同様にHGFは、多くのヒト腫瘍および様々な癌で過剰発現することが見出されている。METは、胃腫瘍および神経膠芽腫で増幅されることも見出されている。MET遺伝子の多くの点変異(many point mutation)は、腫瘍で、特にキナーゼドメイン、これだけでなく膜近傍ドメインおよびSEMAドメインでも記載されている。過剰発現、増幅、または変異は、受容体の恒常的活性化およびこの機能の異常調節を引き起こす。
【0013】
従って、本発明は、特に、METプロテインキナーゼおよびこの変異体の新規阻害剤に関し、この阻害剤は、特に腫瘍治療で、抗増殖性および転移抑制治療に用いることができる。
【0014】
本発明は、METプロテインキナーゼおよびこの変異体の新規阻害剤にも関し、この阻害剤は、特に腫瘍の、血管新生抑制治療に用いることができる。
【0015】
本発明の主題は、以下の式(I)の生成物:
【0016】
【化1】

式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、アリール基およびヘテロアリール基は以下に示すとおりに場合により置換され;
Rbは、水素原子、Rc基、−COORc基、もしくは−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基、シクロアルキル基、へテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、これらの基は全て以下に示すとおりに場合により置換され;
Rdは、水素原子またはアルキル基もしくはシクロアルキル基を表し;
上記で定義されるアルキル基、シクロアルキル基、へテロシクロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基は全て、ハロゲン原子および以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、CN、CF3、−NR1R2、−COOH、−COOalk、−CONR1R2、−NR1COR2、COR1、オキソ、およびへテロシクロアルキルから選択される1つ以上の基で場合により置換され:置換基自体もハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、CN、CF3、−NR3R4、COOH、−COOalk、−CONR3R4、−NR3COR4、−COR3、およびオキソ基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
アルキル基およびシクロアルキル基は、アリール基またはヘテロアリール基でも場合により置換され、これらの置換基自体も、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、およびNR3R4基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基は、アルキル基で場合により置換され、この置換基自体もハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、およびNR3R4基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
NR1R2は:R1およびR2は同一であるか異なっていて、R1およびR2の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R1およびR2のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基は以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR3R4、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され:これらの置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;または、R1およびR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
NR3R4は;R3およびR4は同一であるか異なっていて、R3およびR4の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R3およびR4のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基は以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され:これらの置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;または、R3およびR4は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
R1およびR2またはR3およびR4がそれぞれ、これらが結合した窒素原子と一緒になって形成できる環式基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、オキソ、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基、ならびにアルキル、フェニル、CH−フェニル、およびヘテロアリール基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され:後者の、アルキル、フェニル、およびヘテロアリール基はこれら自体がハロゲン原子および以下の基、即ちヒドロキシル、炭素原子を1から4個含有するアルキルおよびアルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
上記のアルキル(alk)基およびアルコキシ基は全て、炭素原子を1から6個含有し;
であり、前記式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する。
【0017】
本発明の主題は、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物であり、式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基を表し、アリール基およびヘテロアリール基は以下に示すとおりに場合により置換され;
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基、またはシクロアルキル基を表し、両者とも以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR1R2、へテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択される1つ以上の基で場合により置換され:これらの置換基自体も以下に示されるとおりに場合により置換され;
Rdは、水素原子またはアルキル基を表し;
上記で定義されるアルキル基、シクロアルキル基、へテロシクロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基は全て、ハロゲン原子および以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、−NR1R2、−COOH、−COOalk、−CONR1R2、アルキル、およびへテロシクロアルキルから選択される1つ以上の基で場合により置換され:この置換基自体もハロゲン原子、およびアルキル、COOH、−COOalk、および−CONR3R4基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
NR1R2は:R1およびR2は同一であるか異なっていて、R1およびR2の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R1およびR2のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基は以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR3R4、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され:これらの置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;または、R1およびR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
NR3R4は;R3およびR4は同一であるか異なっていて、R3およびR4の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R3およびR4のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基は以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、これらの置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;または、R3およびR4は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
R1およびR2またはR3およびR4がそれぞれ、これらが結合した窒素原子と一緒になって形成できる環式基は、ハロゲン原子、ヒドロキシルおよびアルコキシ基、ならびにアルキル、フェニル、およびCH−フェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、このうち、アルキル基またはフェニル基は、これら自体がハロゲン原子、およびアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され;
上記のアルキル(alk)基またはアルコキシ基は全て、炭素原子を1から6個含有し;
前記式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する。
【0018】
従って、本発明の主題は、式(I)の生成物:
【0019】
【化2】

式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、アリール基とヘテロアリール基は以下に示すとおりに場合により置換され;
Rbは、水素原子、Rc基、−COORc基、もしくは−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基、シクロアルキル基、へテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、これらの基は全て以下に示すとおりに場合により置換され;
Rdは、水素原子またはアルキル基もしくはシクロアルキル基を表し;
上記で定義されるアルキル基、シクロアルキル基、へテロシクロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基は全て、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルコキシ、CN、CF、−NR1R2、−COOH、−COOalk、−CONR1R2、および−NR1COR2基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
アルキル基は、アリール基またはヘテロアリール基でも場合により置換され、これらの置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、およびNR3R4基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
シクロアルキル基、へテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基も、アルキル基で場合により置換され、この置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、およびNR3R4基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
NR1R2は以下のとおりであり:R1とR2は同一であるか異なっていて、R1とR2の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R1とR2のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基はヒドロキシル、アルコキシ、NR3R4、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、これらの置換基自体、場合により置換され;または、R1とR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
NR3R4は以下のとおりであり;R3とR4は同一であるか異なっていて、R3とR4の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R3とR4のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基はヒドロキシル、アルコキシ、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、これらの置換基自体、場合により置換され;または、R3とR4は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
R1とR2またはR3とR4がそれぞれ、これらが結合した窒素原子と一緒になって形成できる環式基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、オキソ、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基、ならびにアルキル、フェニル、CH−フェニル、およびヘテロアリール基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、後者のうち、アルキル、フェニル、およびヘテロアリール基はこれら自体がハロゲン原子および以下の基、即ちヒドロキシル、炭素原子を1から4個含有するアルキルとアルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
上記のアルキル(alk)基またはアルコキシ基は全て、炭素原子を1から6個含有し;
であり、前記式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する。
【0020】
本発明の主題は、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物であり、式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基を表し、アリール基とヘテロアリール基は以下に示すとおりに場合により置換され;
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、両者ともヒドロキシル、アルコキシ、NR1R2、へテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリール基から選択される1つ以上の基で場合により置換され、これらの置換基自体も以下に示されるとおりに場合により置換され;
Rdは、水素原子またはアルキル基を表し;
上記で定義されるアルキル基、シクロアルキル基、へテロシクロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基は全て、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルコキシ、−NR1R2、−COOH、−COOalk、および−CONR1R2基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
NR1R2は以下のとおりであり:R1とR2は同一であるか異なっていて、R1とR2の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R1とR2のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基はヒドロキシル、アルコキシ、NR3R4、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、これらの置換基自体、場合により置換され;または、R1とR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
NR3R4は以下のとおりであり;R3とR4は同一であるか異なっていて、R3とR4の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R3とR4のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基はヒドロキシル、アルコキシ、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、これらの置換基自体、場合により置換され;または、R3とR4は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
R1とR2またはR3とR4がそれぞれ、これらが結合した窒素原子と一緒になって形成できる環式基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、およびアルコキシ基、ならびにアルキル、フェニル、およびCH−フェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、後者のうち、アルキルまたはフェニル基は、これら自体がハロゲン原子、およびアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され;
上記のアルキル(alk)基またはアルコキシ基は全て、炭素原子を1から6個含有し;
前記式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する。
【0021】
本発明の主題は、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物であり、式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、またはフェニル基もしくはピラゾリル基を表し、これらの基は、ハロゲン原子および以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、−NR1R2、−COOH、−COOalk、−CONR1R2、アルキル、およびへテロシクロアルキルから選択される1つ以上の基で場合により置換され、この置換基自体、ハロゲン原子、およびアルキル、COOH、−COOalk、および−CONR3R4基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、両者とも以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR1R2、およびフェニルから選択される1つ以上の基で場合により置換され、この置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
Rdは、水素原子またはアルキル基を表し;
NR1R2は:R1およびR2は同一であるか異なっていて、R1およびR2の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R1およびR2のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基は以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR3R4、およびフェニルから選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、この置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;または、R1およびR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、四員環から七員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される別の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
NR3R4は;R3およびR4は同一であるか異なってもよく、水素原子またはアルキル基を表し、アルキル基はヒドロキシル、およびアルコキシ基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され;または、R3およびR4は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、四員環から七員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される別の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
R1およびR2またはR3およびR4がそれぞれ、これらが結合した窒素原子と一緒になって形成できる環式基は、上記で定義されるとおり、1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され:
上記のアルキル(alk)基またはアルコキシ基は全て、炭素原子を1から4個含有し;
前記式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩および無機塩基および有機塩基付加塩として存在する。
【0022】
本発明の主題は、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物であり、式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、またはフェニル基もしくはピラゾリル基を表し、これらの基は、ハロゲン原子および以下の基、即ちアルキルおよびへテロシクロアルキルから選択される1つ以上の基で場合により置換され、この置換基自体、ハロゲン原子、およびアルキルおよび−COOalk基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、これらの基はヒドロキシル、アルコキシ、およびNR1R2基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
Rdは、水素原子を表し;
NR1R2は:R1およびR2は同一であるか異なってもよく、水素原子またはアルキル基を表し、アルキル基はヒドロキシル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され;または、R1およびR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、四員環から七員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される別の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はアルキル、フェニル、または−CH−フェニル基で場合により置換され、これらの置換基はこれ自体、ハロゲン原子、およびアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され;
上記のアルキル(alk)基またはアルコキシ基は全て、炭素原子を1から4個含有し;
前記式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する。
【0023】
本発明の主題は、上記または本明細書中以下で定義されるとおりの式(I)の生成物であり、式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、またはフェニル基を表し、フェニル基は以下で示されるとおりに場合により置換され;
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、両者とも以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR1R2、およびフェニルから選択される1つ以上の基で場合により置換され、この置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
Rdは、水素原子またはアルキル基を表し;
NR1R2は以下のとおりであり:R1とR2は同一であるか異なっていて、R1とR2の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R1とR2のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基は以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR3R4、およびフェニルから選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、これらの置換基自体、場合により置換され;または、R1とR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、四員環から七員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される別の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
NR3R4は以下のとおりであり;R3とR4は同一であるか異なってもよく、水素原子またはアルキル基を表し、アルキル基はヒドロキシルおよびアルコキシ基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され:;または、R3とR4は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、四員環から七員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される別の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
R1とR2またはR3とR4がそれぞれ、これらが結合した窒素原子と一緒になって形成できる環式基は、上記で定義されるとおり、1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され:
上記のアルキル基またはアルコキシ基は全て、炭素原子を1から4個含有し;
前記式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する。
【0024】
本発明の主題は、上記または以下で定義されるとおりの式(I)の生成物であり、式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、またはフェニル基を表し、フェニル基はハロゲン原子で場合により置換され;
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、これらの基はヒドロキシル、アルコキシ、およびNR1R2基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
Rdは、水素原子を表し;
NR1R2は以下のとおりであり:R1とR2は同一であるか異なってもよく、水素原子またはアルキル基を表し、アルキル基はヒドロキシル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され;または、R1とR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、四員環から七員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される別の複素原子を含有する環式基を形成し、この基は以下の基、即ちアルキル、フェニル、または−CH−フェニル基で場合により置換され、これらの置換基はこれ自体、ハロゲン原子、およびアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され;
上記のアルキル(alk)基またはアルコキシ基は全て、炭素原子を1から4個含有し;
前記式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する。
【0025】
式(I)の生成物および以下の文章において:
「アルキル(またはalk)基」という用語は、直鎖、および適切な場合は分岐鎖の、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ならびにヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基、ならびにこれらの直鎖または分岐鎖の位置異性体を示す。上記のうち、炭素原子を1から6個、より好ましくは1から4個含有するアルキル基が好ましい。
【0026】
「アルコキシ基」という用語は、直鎖、および適切な場合は分岐鎖の、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、直鎖、第二級、または第三級の、ブトキシ基、ペントキシ基、またはヘキソキシ基、ならびにこれらの直鎖または分岐鎖の位置異性体を示す。上記のうち、炭素原子を1から4個含むアルコキシ基が好ましい。
【0027】
「ハロゲン原子」という用語は、塩素、臭素、ヨウ素、またはフッ素原子を示し、好ましくは塩素、臭素、またはフッ素原子を示す;
「シクロアルキル基」という用語は、炭素原子を3から10個含有する飽和炭素環基を示し、従って特に、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基を示し、より詳細にはシクロプロピル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基を示す。
【0028】
従って、「へテロシクロアルキル基」という用語は、単環式または二環式の、三員環から十員環で、1つ以上の複素原子が間に入った炭素環基を示し、1つ以上の複素原子は同一であっても異なっていてもよく、酸素、窒素、または硫黄原子から選択される。例として、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ホモモルホリニル基、アジリジニル(aziridyl)基、アゼチジニル基、ピペラジニル基、ピペリジル基、ホモピペラジニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロピラニル(tetrahydropyran)基、オキソジヒドロピリダジニル基、およびオキセタニル基が挙げられるが、これらの基は全て場合により置換される。特に、例として、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ホモモルホリニル基、ピペラジニル基、ピペリジル基、ホモピペラジニル基、およびピロリジニル基が挙げられる;
「アリール」および「ヘテロアリール」という用語は、それぞれ、最大で十二員環の、単環式または二環式の、不飽和または部分不飽和の、炭素環基および複素環基を示し、これらの基は場合により−C(O)員環を含有することができ、複素環基は、O、N、またはSから選択される1つ以上の同一または異なってもよい複素原子を含有し、Nについては、可能ならば、場合により置換される;
従って、「アリール基」という用語は、六員環から十二員環の、単環式または二環式の基、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、インデニル基、フルオレニル基、およびアントラセニル基、より詳細にはフェニル基およびナフチル基、さらにより詳細にはフェニル基を示す。−C(O)員環を含有する炭素環基とは、例えばテトラロン基であることが強調される。
【0029】
従って、「ヘテロアリール基」という用語は、五員環から十二員環を含有する、単環式または二環式の基を示す。単環式ヘテロアリール基として、例えば、チエニル(2−チエニルおよび3−チエニルなど)、フリル(2−フリルまたは3−フリルなど)、ピラニル、ピロリル、ピロリニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル(2−ピリジル、3−ピリジル、および4−ピリジルなど)、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ジアゾリル、チアジアゾリル、チアトリアゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル(3−イソオキサゾリルまたは4−イソオキサゾリルなど)、フラザニル、またはテトラゾリルが挙げられ、これらの基は、遊離形であっても塩の形であってもよく、全て場合により置換される。これらの基のうち、より詳細には以下の基が挙げられる:チエニル(2−チエニルおよび3−チエニルなど)、フリル(2−フリルなど)、ピロリル、ピロリニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピリダジニル、これらの基は全て場合により置換される。二環式ヘテロアリール基として、例えば、以下の基が挙げられる:ベンゾチエニル(3−ベンゾチエニルなど)、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、ジヒドロキノリル、キノロン、テトラロン、アダマンチル(adamentyl)、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ジヒドロベンゾフラン、エチレンジオキシフェニル、チアントレニル、ベンゾピロリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、チオナフチル、インドリル、アザインドリル、インダゾリル、プリニル、チエノピラゾリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロシクロペンタピラゾリル、ジヒドロフロピラゾリル、テトラヒドロピロロピラゾリル、オキソテトラヒドロピロロピラゾリル、テトラヒドロピラノピラゾリル、テトラヒドロピリジノピラゾリル、およびオキソジヒドロピリジノピラゾリル、これらの基は全て場合により置換される。
【0030】
ヘテロアリールまたは二環式基の例として、より詳細には、ピリミジニル基、ピリジル基、ピロリル基、アザインドリル基、インダゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾチアゾリル基、またはベンゾイミダゾリル基を挙げることができ、これらは上記に記載されるとおり、1つ以上の同一または異なってもよい置換基で場合により置換される。
【0031】
式(I)の生成物のカルボキシル基(単数または複数)は、当業者に既知である様々な基で塩形成またはエステル化されてもよく、このような基として、例えば、以下が挙げられる:
塩形成化合物の中では、無機塩基として、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、およびアンモニウムの等価物など、および有機塩基として、例えば、メチルアミン、プロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、エタノールアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、モルホリン、ベンジルアミン、プロカイン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、およびN−メチルグルカミンなど、
エステル化化合物の中では、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、またはベンジルオキシカルボニルなど)を形成するためのアルキル基があり、これらのアルキル基は、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルキルチオ、アミノ、およびアリール基から選択される基で置換することができる(例えば、クロロメチル基、ヒドロキシプロピル基、メトキシメチル基、プロピオニルオキシメチル基、メチルチオメチル基、ジメチルアミノエチル基、ベンジル基、およびフェネチル基など)。
【0032】
式(I)の生成物の無機酸または有機酸付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、プロピオン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グリオキシル酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、アルキルモノスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、またはプロパンスルホン酸など)、アルキルジスルホン酸(例えば、メタンジスルホン酸およびα,β−エタンジスルホン酸など)、アリールモノスルホン酸(ベンゼンスルホン酸など)およびアリールジスルホン酸で形成された塩が可能である。
【0033】
次いで思い起こしてほしいのは、立体異性を、同一の構造式を有するが様々な基が空間的に異なって配置されているという化合物の異性として、この最も広い意味で定義することができるということである。特に、例えば一置換シクロヘキサン(この置換基は、アキシアル配置またはエクアトリアル配置が可能である。)およびエタン誘導体の可能な多様な回転配座である。しかしながら、二重結合または環で固定された置換基の様々な空間的配置による、別の種類の立体異性体も存在し、こうした異性は、幾何異性またはcis−trans異性と呼ばれることが多い。立体異性体という用語は、本出願において、この最も広い意味で用いられ、従って、上記の化合物全てに関係する。
【0034】
NR1R2またはNR3R4が上記で定義されるとおりに環を形成する場合、このようなアミノ化環は、特に、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、アゼピニル基、モルホリニル基、ホモモルホリニル基、ピペラジニル基、またはホモピペラジニル基から選択することができ、これらの基はこれ自体、上記または以下で示されるとおりに場合により置換される:例えば、1つ以上のハロゲン原子、およびアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、フェニル、およびCH−フェニル基から選択される同一または異なってもよい基により、これらのアルキルおよびフェニル基自体、ハロゲン原子、およびアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基により場合により置換される。
【0035】
NR1R2またはNR3R4環は、より詳細には、ピロリジニル基およびモルホリノ基(これらの基は1つまたは2つのアルキル基で場合により置換される。)またはピペラジニル基から選択することができ、第二の窒素原子をアルキル、フェニル、またはCH−フェニルで場合により置換することができ、これらの置換基自体、ハロゲン原子、およびアルキル、ヒドロキシル、およびアルコキシ基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基により場合により置換される。
【0036】
本発明の主題は、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物であり、式中:
Raは、水素原子、またはフェニルもしくはピラゾリル基を表し、これらの基は、ハロゲン原子および以下の基、即ちアルキルおよびピペリジニルから選択される1つ以上の基により場合により置換され、この置換基自体、−COOalkで場合により置換され;
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、シクロプロピル基またはアルキル基を表し、これらの基は、アルコキシ基またはNR1R2基で場合により置換され:
Rdは、水素原子を表し;
NR1R2は:R1およびR2は同一であるか異なってもよく、水素原子またはアルキル基を表し;または、R1およびR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、モルホリニル基を形成し;
上記のアルキル基またはアルコキシ基は、炭素原子を1から4個含有し;
式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する。
【0037】
本発明の主題は、上記または以下で定義されるとおりの式(I)の生成物であり、式中:
Raは、水素原子またはフェニル基を表し、この基は、ハロゲン原子で場合により置換され:
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、シクロプロピル基またはアルキル基を表し、これらの基は、アルコキシ基またはNR1R2基で場合により置換され:
Rdは、水素原子を表し;
NR1R2は以下のとおりであり:R1とR2は同一であるか異なってもよく、水素原子またはアルキル基を表し;または、R1とR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、モルホリニル基を形成し;
上記のアルキル基またはアルコキシ基は、炭素原子を1から4個含有し;
前記式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する。
【0038】
本発明の主題は、より詳細には、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物であり、以下の式に相当するもの:
N−{[6−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)スルファニル]−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル}シクロプロパンカルボキサミド
6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン
N−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)アセトアミド
1−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−3−(2−メトキシエチル)尿素
1−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−3−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]尿素
N−(6−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
tert−ブチル4−{4−[3−({2−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−1,3−ベンゾチアゾール−6−イル}スルファニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル]−1H−ピラゾール−1−イル}ピペリジン−1−カルボキシラート
N−[6−({6−[1−(ピペリジン−4−イル)1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル}スルファニル)−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または有機塩基および無機塩基付加塩である。
【0039】
本発明の別の主題は、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物を調製する任意の方法である。
【0040】
本発明の生成物は、従来の有機化学の方法に基づいて調製することができる。
【0041】
式(I)の化合物の調製
以下のスキーム1、スキーム2、およびスキーム3は、式(I)の生成物を調製するのに用いられる方法の例示である。例示であるので、これらのスキームは、特許請求の範囲の化合物調製方法に関して、本発明の範囲の制限になり得ない。
【0042】
従って、上記に定義されるとおりの本発明の式(I)の生成物は、特に、以下のスキーム1、スキーム2、およびスキーム3に記載される方法に従って調製することができる。
【0043】
従って、本発明の主題は、以下に定義されるとおりのスキーム1に従った式(I)の生成物の調製方法でもある。
【0044】
従って、本発明の主題は、以下に定義されるとおりのスキーム2に従った式(I)の生成物の調製方法でもある。
【0045】
従って、本発明の主題は、以下に定義されるとおりのスキーム3に従った式(I)の生成物の調製方法でもある。
【0046】
【化3】

【0047】
上記のスキーム1において、置換基Raおよび置換基Rbは、上記に示した意味を有する。
【0048】
式中RaおよびRbが同じ意味を有する化合物(I)は、式中Rb=Hである化合物(I)から得ることができる。
【0049】
【化4】

【0050】
より詳細には、式中Rb=CORc(Rcは上記で定義したとおり)である化合物(I)は、例えば、以下:
例えば、溶媒(ピリジンなど)の存在下、20℃の領域の温度で、式Rc−COClの酸クロリドを反応させる、
例えば、溶媒(ピリジンなど)の存在下、20℃の領域の温度で、式Rc−CO−O−CO−Rcの酸無水物を反応させる、
例えば、D.DesMarteau et al.(Chem.Lett.,2000,9,1052)に記載される条件下、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドの存在下、および塩基(トリエチルアミンなど)の存在下、20℃から溶媒の還流温度の間の温度で、式Rc−COOHのカルボン酸を反応させる
ことにより得ることができる。
【0051】
【化5】

【0052】
より詳細には、式中Rb=CO−O−Rc(Rcは上記で定義したとおり)である化合物(I)は、例えば、溶媒(テトラヒドロフランなど)中、塩基(炭酸水素ナトリウム)の存在下、またはピリジン中、20℃の領域の温度で、クロロ炭酸塩Rc−O−COX(X=Cl)を、式中Rb=Hである化合物(I)と反応させることにより得ることができる。
【0053】
【化6】

【0054】
より詳細には、式中Rb=CON(Rc)Rd(RcおよびRdは上記で定義したとおり)である化合物(I)は、例えば、非プロトン性溶媒(テトラヒドロフランなど)の存在下、20℃の領域の温度で、R=フェニルであるカルバマート(D)を、アミンRc(Rd)NH(RcおよびRdは上記で定義したとおり)と反応させることにより得ることができる。
【0055】
カルバマート(D)は、例えば、溶媒(テトラヒドロフランなど)中、塩基(炭酸水素ナトリウムなど)の存在下、またはピリジン中、20℃の領域の温度で、クロロ炭酸塩R−O−COX(X=Cl)を、式中Rb=Hである化合物(I)と反応させることにより得ることができる。
【0056】
【化7】

【0057】
より詳細には、式中Rb=Rc(Rcは上記で定義したとおり)である化合物(I)は、例えば、以下のようにして得ることができる:
式中R=t−ブチルであるカルバマート(E)を、当業者の常法に従って、例えば、溶媒(ジクロロメタンなど)中、20℃の領域の温度で、トリフルオロ酢酸で脱保護することにより
特許EP0408437またはR.A Glennon et al.(Journal of Medicinal Chemistry,1981,24,766−769)に記載の方法を利用して、式中Rb=Hである化合物(I)から。
【0058】
カルバマート(E)は、例えば、溶媒(N,N−ジメチルホルムアミドなど)の存在下、塩基(水素化ナトリウムなど)の存在下、20℃から90℃の温度で、式中R=t−ブチルであるカルバマート(D)を、ハライドRc−X(Rcは上記で定義したとおり)と反応させることにより得ることができる。
【0059】
式中Rb=Hである化合物(I)は、当業者の常法に従って、例えば、H.Masaichi et al.(Journal of Medicinal Chemistry,2007,50(18),4453−4470)に記載の方法を利用して、酸(酢酸など)の存在下、20℃から溶媒の還流温度で、チオシアン酸カリウムおよび臭素で反応させることにより、化合物(C)を環化させて得ることができる。
【0060】
化合物(C)は、当業者の常法に従って、例えば、溶媒(エタノールなど)中、20℃から溶媒の還流温度で、酸(塩酸など)を用いて、化合物(B)のアセトアミド官能基を加水分解することにより得ることができる。
【0061】
化合物(B)は、例えば、R.Varala et al.(Chemistry Letters,2004,33(12),1614−1615)およびM.Winn et al.(Journal of Medicinal Chemistry,2001,44,4393−4403)に記載される条件下、塩基(炭酸カリウムなど)の存在下、溶媒(ジメチルスルホキシドなど)中、20℃から溶媒の還流温度で、化合物(A)(Raは上記で定義したとおり)を、N−(4−スルファニルフェニル)アセトアミド(市販品)とカップリングすることにより得ることができる。このような反応は、マイクロ波照射下で行なうこともできる。
【0062】
化合物(B)は、上記のとおりの化合物(A)を他の4−アミノチオフェノール誘導体(4−NHR)Ph−SH、例えばアミン官能基が自由な誘導体((4−NH)Ph−SH、市販品)またはアミン官能基がt−ブチルオキシカルボニル基で保護された(4−NHR)Ph−SH誘導体((4−NHCOtBu)Ph−SH、既知の化合物)とカップリングすることによっても得ることができる。
【0063】
【化8】

【0064】
化合物(A)は、市販品(Ra=H)であるか、当業者の常法に従って、例えば、E.S.Hand et al.(Journal of Organic Chemistry,1980,45,3738−3745)に記載される条件下、または溶媒(エタノールなど)中、20℃から溶媒の還流温度で、臭素を用いて、化合物(A1)を臭素化することで調製されるかのいずれかである。
【0065】
化合物(A1)は、市販品(Ra=H)であるか、C.Enguehard et al.,(Helvetica Chimica Acta(2001),84,3610−3614)に記載される反応を利用し、例えば、以下とのカップリング反応を用いて、6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン(既知化合物、この調製はC.Enguehard et al.,Helvetica Chimica Acta(2001),84,3610−3614に記載される。)から調製することができるかのいずれかであり:
溶媒(ジメチルスルホキシドまたはジオキサンなど)中、80℃の領域の温度で、炭酸水素ナトリウムおよびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下、式Ra−B(OH)のボロン酸を用いる、
溶媒(例えば、1,2−ジメトキシエタンなど)中、塩基(1N水酸化ナトリウムなど)の存在下、80℃の領域の温度で、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下、ボロン酸エステルRa−B(OR)を用いる。
【0066】
【化9】

【0067】
上記のスキーム2において、置換基Ra、置換基Rc、および置換基Rdは、上記で示された意味を有する。
【0068】
式中Raが上記と同じ意味を有し、Rb=Hである化合物(I)は、化合物(A)(Raは上記で定義したとおり)と化合物(H)(RcおよびRdは上記で定義したとおり)で、化合物(B)の調製について上記で記載したとおりにカップリング反応を行なうことにより得ることができる。
【0069】
式中RcおよびRdが上記と同じ意味を有する化合物(H)は、例えば、溶媒(エタノールなど)中、20℃から溶媒の還流温度で、炭酸水素ナトリウムまたはリン酸二水素カリウムの存在下、化合物(G)をDL−ジチオトレイトールで還元することにより得ることができる。
【0070】
式中RcおよびRdが上記と同じ意味を有する化合物(G)は、例えば、化合物(F)から、化合物(I)(Rb=CO−N(Rc)Rdである。)の調製について上記で記載したとおりにして、得ることができる。
【0071】
化合物(F)は、チオシアン酸2−アミノ−1,3−ベンゾチアゾール−6−イル(市販品)から、化合物(D)の調製について上記で記載したとおりにして、得ることができる。
【0072】
【化10】

【0073】
上記のスキーム3において、置換基Raおよび置換基Rcは、上記で示された意味を有する。
【0074】
式中Raが上記と同じ意味を有し、Rb=CORcである化合物(I)は、化合物(A)(Raは上記で定義したとおり)と化合物(K)(Rcは上記で定義したとおり)で、化合物(B)の調製について上記で記載したとおりにカップリング反応を行なうことにより得ることができる。
【0075】
式中Rcが上記と同じ意味を有する化合物(K)は、例えば、溶媒(エタノールなど)中、20℃から溶媒の還流温度で、炭酸水素ナトリウムまたはリン酸二水素カリウムの存在下、化合物(J)をDL−ジチオトレイトールで還元することにより得ることができる。
【0076】
式中Rcが上記と同じ意味を有する化合物(J)は、チオシアン酸2−アミノ−1,3−ベンゾチアゾール−6−イル(市販品)から、化合物(I)(Rb=Hである。)から化合物(I)(Rb=CORcである。)を調製するのに上記で記載したとおりにして、得ることができる。
【0077】
式(A)、式(A1)、式(A2)、式(F)、式(G)、式(J)、および式(K)の出発物質の中には、既知のものもあるし、市販のものもあるし、当業者に既知の常法に従って、例えば市販品から得られるものもある。
【0078】
上記の本発明によるプロセスを実行するために、副反応を回避する目的で、アミノ官能基、カルボキシル官能基、およびアルコール官能基用保護基を導入する必要があるかもしれないことが、当業者に理解される。
【0079】
反応性官能基の保護の、あくまでも例として、以下を挙げることができる:
ヒドロキシル基は、例えば、アルキル基(tert−ブチル、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、ベンジル、またはアセチルなど)により、保護することができる、
アミノ基は、例えば、アセチル基、トリチル基、ベンジル基、tert−ブトキシカルボニル(BOC)基、ベンジルオキシカルボニル基、フタルイミド基、またはその他ペプチド化学で既知の基により、保護することができる。
【0080】
酸官能基は、例えば、容易に開裂できるエステル(ベンジルエステルおよびtert−ブチルエステルなど)またはペプチド化学で既知のエステルで形成したエステルの形で、保護することができる。
【0081】
使用可能な様々な保護基の一覧は、当業者に既知の教科書、および例えば、特許BF2499995に見出すことができる。
【0082】
所望でありまた必要であるならば、上記に示される方法によりこうして得られる中間体生成物または式(I)の生成物を当業者に既知の1つ以上の変換反応にかけて、他の中間体または他の式(I)の生成物を得ることが可能であることを強調すべきかもしれない。反応は例えば以下のものである:
a)酸官能基のエステル化反応、
b)エステル官能基の鹸化反応による酸官能基の生成、
c)遊離またはエステル化したカルボキシル官能基の還元反応によるアルコール官能基の生成、
d)アルコキシ官能基を変換してヒドロキシル官能基を得る、またはヒドロキシル官能基を変換してアルコキシ官能基を得る反応、
e)反応性官能基に結合してこれを保護していた保護基を外す反応、
f)無機または有機の酸または塩基と塩形成させて対応する塩を得る反応、
g)ラセミ形を分離して異性体が分離された生成物を得る反応、
こうして得られる前記式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で存在する。
【0083】
反応a)からg)は、当業者に既知である通常条件下、例えば、以下で示される条件下で行なうことができる。
【0084】
a)上記の生成物は、所望であれば、可能なカルボキシル官能基で、エステル化反応を行なうことができ、このエステル化反応は当業者に既知の常法に従って行なうことができる。
【0085】
b)上記の生成物でエステル官能基を酸官能基にする変換として可能なものは、所望であれば、当業者に既知の常法に従って行なうことができ、特に、例えば、アルコール媒体(例えば、メタノールなど)中、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いた、または塩酸または硫酸を用いた、酸加水分解またはアルカリ加水分解が挙げられる。
鹸化反応は、例えば、溶媒(メタノールもしくはエタノール、ジオキサン、またはジメトキシエタンなど)中、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの存在下、当業者に既知の常法に従って行なうことができる。
【0086】
c)上記の生成物の可能な遊離またはエステル化したカルボキシル官能基は、所望であれば、当業者に既知の常法により、還元してアルコール官能基にすることができる。可能なエステル化したカルボキシル官能基は、所望であれば、当業者に既知の常法により、特に、溶媒(例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサンまたはエチルエーテルなど)中、水素化リチウムアルミニウムで還元してアルコール官能基にすることができる。
上記の生成物の可能な遊離カルボキシル官能基は、所望であれば、特に、水素化ホウ素で還元してアルコール官能基にすることができる。
【0087】
d)上記の生成物の可能なアルコキシ官能基(特に、メトキシなど)は、所望であれば、当業者に既知の通常条件下、例えば、溶媒(塩化メチレンなど)中三臭化ボロンを用いて、ピリジン塩酸塩または臭化水素酸塩を用いて、または水もしくはトリフルオロ酢酸を還流させた中で臭化水素酸または塩酸を用いて、ヒドロキシル官能基に変換することができる。
【0088】
e)保護基、例えば上記に記載したものなどの除去は、当業者に既知の通常条件下、特に、酸(塩酸、ベンゼンスルホン酸またはpara−トルエンスルホン酸、ギ酸、またはトリフルオロ酢酸など)を用いて行なわれる酸加水分解を介して、または触媒水素化を介して、行なうことができる。
フタルイミド基は、ヒドラジンで除去することができる。
【0089】
f)上記の生成物は、所望であれば、当業者に既知の常法に従って、例えば、無機酸または有機酸を用いて、または無機塩基または有機塩基を用いて塩形成反応を行なうことができる。このような塩形成反応は、例えば、アルコール(エタノールまたはメタノールなど)中、塩酸、または酒石酸、クエン酸またはメタンスルホン酸の存在下、行なうことができる。
【0090】
g)可能な光学活性形の上記の生成物は、当業者に既知の常法に従って、ラセミ混合物の分離により調製することができる。
【0091】
上記で定義されるとおりの式(I)の生成物およびこれらの酸付加塩は、特に、上記のとおりのキナーゼ阻害性を有するおかげで有利な薬理学的性質を示す。
【0092】
本発明の生成物は、特に、腫瘍を治療するのに用いることができる。
【0093】
従って、本発明の生成物は、現在用いられる抗腫瘍剤の治療効果の向上も可能である。
【0094】
こうした性質は、本発明の生成物の治療的使用を正当化するものであり、本発明の主題は、特に、医薬としての上記で定義されるとおりの式(I)の生成物であり、前記式(I)の生成物は、全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の医薬的に許容される無機酸および有機酸付加塩または医薬的に許容される有機塩基または無機塩基付加塩として存在する。
【0095】
本発明の主題は、より詳細には、医薬としての、以下の式に相当する生成物:
N−{[6−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)スルファニル]−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル}シクロプロパンカルボキサミド
6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン
N−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)アセトアミド
1−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−3−(2−メトキシエチル)尿素
1−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−3−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]尿素
N−(6−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
4−{4−[3−({2−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−1,3−ベンゾチアゾール−6−イル}スルファニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル]−1H−ピラゾール−1−イル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
N−[6−({6−[1−(ピペリジン−4−イル)1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル}スルファニル)−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
ならびに前記式(I)の生成物の医薬的に許容される無機酸および有機酸付加塩または医薬的に許容される有機塩基または無機塩基付加塩である。
【0096】
本発明はまた、活性成分として、少なくとも1種の上記で定義されるとおりの式(I)の生成物またはこの生成物の医薬的に許容される塩またはこの生成物のプロドラッグ、ならびに適切な場合は、医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物に関する。
【0097】
従って、本発明は、活性成分として、少なくとも1種の上記で定義されるとおりの医薬を含有する医薬組成物を包含する。
【0098】
本発明のこのような医薬組成物はまた、適切な場合は、他の有糸分裂阻害薬、特にタキソール、シスプラチン、DNA挿入剤などを主体とするものも活性成分として含有することができる。
【0099】
こうした医薬組成物は、経口で、非経口で、または皮膚および粘膜への局所的塗布により、または静脈内もしくは筋肉内注射により投与することができる。
【0100】
こうした組成物は、固形であっても液状であってもよく、ヒト用医薬で通常用いられる剤形(例えば、単純な錠剤または糖衣錠、丸剤、ロゼンジ、ゲルカプセル剤、ドロップ、顆粒、注射用製剤、軟膏、クリーム、またはゲルなど)の任意のものが可能である。こうした剤形は常法に従って調製される。活性成分は、組成物において、こうした医薬組成物に通常用いられる賦形剤(タルク、アラビアゴム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、カカオバター、水性または非水性担体、動物または植物由来の脂肪物質、パラフィン誘導体、グリコール、様々な湿潤剤、分散または乳化剤、および保存料など)に組込むことができる。
【0101】
通常の用量は、用いられる製品、治療される個体、および問題の症状に依存して様々であるが、例えば、成人で一日あたり0.05から5g、好ましくは一日あたり0.1から2gが可能である。
【0102】
本発明の主題は、プロテインキナーゼの活性を阻害するのに用いる医薬を調製するための、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物またはこの生成物の医薬的に許容される塩の使用でもある。
【0103】
本発明の主題は、プロテインキナーゼの活性の調節不全を特徴とする疾患の治療用または予防用医薬を調製するための、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物の使用でもある。
【0104】
このような医薬は、特に、哺乳類での疾患の治療用または予防用であり得る。
【0105】
本発明の主題は、上記で定義される使用でもあり、使用においてプロテインキナーゼはプロテインチロシンキナーゼである。
【0106】
本発明の主題は、上記で定義される使用でもあり、使用においてプロテインチロシンキナーゼはMETまたはこの変異型である。
【0107】
本発明の主題は、上記で定義される使用でもあり、使用においてプロテインキナーゼは細胞培養物に存在する。
【0108】
本発明の主題は、上記で定義される使用でもあり、使用においてプロテインキナーゼは哺乳類に存在する。
【0109】
本発明の主題は、特に、制御不能の増殖が伴う疾患の予防用または治療用医薬を製造するための、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物の使用である。
【0110】
本発明の主題は、特に、以下の群、即ち血管増殖障害、線維性障害、メサンギウム細胞増殖障害、代謝障害、アレルギー、喘息、血栓症、神経系疾患、網膜症、乾癬、リウマチ様関節炎、糖尿病、筋変性、および癌から選択される疾患の治療用または予防用医薬を調製するための、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物の使用である。
【0111】
従って、本発明の主題は、より詳細には、腫瘍科疾患の治療用または予防用、特に癌治療用の医薬を調製するための、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物の使用である。
【0112】
こうした癌の中で、固形腫瘍または液性腫瘍の治療および細胞毒性剤が効かない癌の治療が対象となる。
【0113】
記載される本発明の生成物は、特に、原発腫瘍および/または転移の治療に、特に胃癌、肝臓癌、腎臓癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、および肺(NSCLCおよびSCLC)癌、神経膠芽腫、甲状腺癌、膀胱癌、または乳癌、黒色腫、リンパ系または骨髄系造血器腫瘍、肉腫、脳腫瘍、喉頭癌、またはリンパ系腫瘍、骨癌、および膵臓癌の治療に用いることができる。
【0114】
本発明の主題は、癌化学療法用の医薬を調製するための、上記で定義されるとおりの式(I)の生成物の使用でもある。
【0115】
癌化学療法用のそうした医薬は、単独または組み合わせて用いることができる。
【0116】
本出願の生成物は、特に、単独で、または化学療法もしくは放射線治療と組み合わせて、または例えば他の治療薬と組み合わせて投与することができる。
【0117】
このような治療薬として、現在使用されている抗腫瘍剤が可能である。
【0118】
キナーゼ阻害剤として、ブチロラクトン、フラボピリドール、および2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−6−ベンジルアミノ−9−メチルプリン(オロモウシンとしても既知)が挙げられる。
【0119】
本発明の主題は、新規工業用生成物としての、上記で定義され以下に再記するとおりの式(A)、式(B)、式(C)、式(D)、式(E)、式(F)、式(G)、式(H)、式(J)、および式(K)の合成中間体である:
【0120】
【化11】

【0121】
上記で定義されるとおり、式中、Ra、Rb、Rc、およびRdは上記で示される定義を有し、Rはt−ブチルまたはフェニル基を表す。
【0122】
以下の実施例は、式(I)の生成物であるが、本発明を例示するものであって制限するものではない。
【0123】
実験の部
本発明の化合物の命名は、ソフトウェアACDLABS version10.0で行なった。
【0124】
使用したマイクロ波オーブンは、Biotage、Initiator(登録商標)2.0マイクロ波装置、最大400W、2450MHzである。
【0125】
400MHzでのH NMRスペクトルおよび500MHzでのH NMRスペクトルは、Bruker Avance DRX−400またはBruker Avance DPX−500分光計で測定し、溶媒d−ジメチルスルホキシド(DMSO−d)中の化学シフト(δppm)は温度303Kでの2.5ppmを参照とした。
【0126】
質量スペクトル(MS)は、方法Aまたは方法Bにより測定した:
方法A:
Waters UPLC−SQD装置;イオン化:ポジティブおよび/またはネガティブモードエレクトロスプレー(ES+/−);クロマトグラフィー条件:カラム:Acquity BEH C18 1.7μm−2.1×50mm;溶媒A:HO(0.1%ギ酸)B:CHCN(0.1%ギ酸);カラム温度:50℃;流速:1ml/分;勾配(2分):0.8分間でBを5%から50%へ;1.2分時:Bが100%;1.85分時:Bが100%;1.95:Bが5%;滞留時間=Tr(分)。
【0127】
方法B:
Waters ZQ装置;イオン化:ポジティブおよび/またはネガティブモードエレクトロスプレー(ES+/−);クロマトグラフィー条件:カラム:XBridge C18 2.5μm−3×50mm;溶媒:A:HO(0.1%ギ酸)B:CHCN(0.1%ギ酸);カラム温度:70℃;流速:0.9ml/分;勾配(7分):5.3分間でBを5%から100%へ、5.5分時:Bが100%;6.3分時:Bが5%;滞留時間=Tr(分)。
【実施例】
【0128】
(実施例1)
N−{[6−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)スルファニル]−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル}シクロプロパンカルボキサミド
【0129】
(実施例1a)
N−{[6−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)スルファニル]−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル}シクロプロパンカルボキサミド
この化合物は以下のようにして調製することができる:
6−[イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル]−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン85mgとピリジン2mlの溶液に、シクロプロパンカルボニルクロリド330μlを滴加する。反応媒体を、20℃の温度領域で16時間撹拌し、次いで水60mlに注ぐ。沈殿が生じるので、これをろ別し、水20ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlで洗浄し、スピンフィルターで液切りし、乾燥させる。単離した固体をイソプロパノール3mlに取り、還流させる。温度を20℃の領域に戻してから、固体をろ別し、イソプロパノール1mlで2回、ジエチルエーテル3mlで2回洗浄し、スピンフィルターで液切りし、乾燥させる。こうして、N−{[6−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)スルファニル]−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル}シクロプロパンカルボキサミド55mgをベージュ色固体として得る。
融点>260℃(Koflerベンチ)。
MS:方法A;[M+H]:m/z=367[M−H]:m/z=365;Tr=0.59分。
H NMR(500MHz、DMSO−d)δppm0.88−1.11(m,4H)1.96(m,1H)7.06(m,1H)7.15(dd,J=8.5,1.7Hz,1H)7.43(m,1H)7.61(d,J=8.5Hz,1H)7.73(d,J=8.5Hz,1H)7.83(幅広いs,1H)8.08(s,1H)8.42(d,J=7.1Hz,1H)12.59(幅広いm,1H)。
【0130】
(実施例1b)
6−[イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)スルファニル]−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン
この化合物は以下のようにして調製することができる:
3−ブロモイミダゾ[1,2−a]ピリジン(市販品)104mg、1−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]−3−(6−スルファニル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)尿素171mg、炭酸カリウム140mg、およびジメチルスルホキシド2mlをガラス管に入れて密閉する。反応媒体を190℃で10分間マイクロ波加熱する。温度を20℃に戻してから、反応媒体を氷水50mlに注ぎ、ジクロロメタン25mlで3回抽出する。抽出有機相を1つにまとめて、硫酸マグネシウムで脱水させ、ろ過し、減圧下濃縮して乾燥させる。エバポレーションの残渣を、アルゴン圧下で、シリカゲル(溶離液:ジクロロメタン/メタノールを9/1)のクロマトグラフィーにかけ、固体の単離に成功し、固体をジイソプロピルエーテル2mlに加えて不要分を溶解し、ろ過し、ジイソプロピルエーテル2mlで2回洗浄し、乾燥させる。こうして、6−[イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル]−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン19mgをクリーム色固体として得る。
融点=226℃(Koflerベンチ)。
MS:方法A;[M+H]:m/z=299、[M+2H]2+:m/z=150(ベースピーク);[M+CH3CN+2H]2+:m/z=170;Tr=0.37分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm7.02−7.10(m,2H)7.22(d,J=8.3Hz,1H)7.37−7.44(m,1H)7.51(幅広いs,2H)7.58(d,J=2.0Hz,1H)7.70(d,J=9.0Hz,1H)8.03(s,1H)8.44(d,J=6.8Hz,1H)。
【0131】
(実施例1c)
1−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]−3−(6−スルファニル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)尿素
この化合物は以下のようにして調製することができる:
チオシアン酸2−({[2−(モルホリン−4−イル)エチル]カルバモイル}アミノ)−1,3−ベンゾチアゾール−6−イル900mgをエタノール35mlに加えた懸濁液に、20℃で、リン酸二水素カリウム11mgを水2.3mlに加えた溶液を加え、続いてDL−ジチオトレイトール1.1gを加える。白色懸濁液を18時間還流しながら撹拌する。反応混合物を20℃に冷却し、次いで水30mlを加えて、得られた混合物を15分間撹拌する。沈殿が生じるので、これをスピンフィルターで液切りし、次いで大量の水で洗浄する。こうして、1−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]−3−(6−スルファニル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)尿素633mgを白色固体として得る。
MS:方法B;[M+H]:m/z=339;[M−H]:m/z=337;Tr=2.31分。
【0132】
(実施例1d)
2−({[2−(モルホリン−4−イル)エチル]カルバモイル}アミノ)−1,3−ベンゾチアゾール−6−イルチオシアナート
この化合物は以下のようにして調製することができる:
フェニル(6−チオシアナト−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)カルバマート1gをテトラヒドロフラン30mlに加えた溶液に、20℃で、2−モルホリン−4−イルエタンアミン0.44mlを加える。反応媒体を20℃で24時間撹拌し続け、次いで減圧下エバポレートして濃縮する。得られる残渣を、Merck70gカートリッジ(固体成膜(solid deposit);ジクロロメタンからジクロロメタン/メタノール90/10への勾配溶出)のクロマトグラフィーにかける。こうして、2−({[2−(モルホリン−4−イル)エチル]カルバモイル}アミノ)−1,3−ベンゾチアゾール−6−イルチオシアナート902mgを無色発泡物として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=364;Tr=0.99分。
【0133】
(実施例1e)
フェニル(6−チオシアナト−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)カルバマート
この化合物は以下のようにして調製することができる:
2−アミノ−1,3−ベンゾチアゾール−6−イルチオシアナート(市販品)2.5gをテトラヒドロフラン94mlに加えた溶液に、20℃で、クロロ炭酸フェニル7.5g、次いで炭酸水素ナトリウム4.05g、および水9.4mlを加える。反応媒体を20℃で20時間撹拌し、次いで酢酸エチル150mlで2回抽出する。有機相を1つにまとめ、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで3回洗浄する。得られる有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、次いで減圧下濃縮して乾燥させる。こうして得られる残渣を水50mlにとり、注いで得られる生成物を、スピンフィルターで液切りし、20℃で減圧乾燥させる。こうして、フェニル(6−チオシアナト−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)カルバマート3.45gを淡黄色固体として得る。
MS:方法B;[M+H]:m/z=328;[M−H]:m/z=326;Tr=3.89分。
【0134】
(実施例2)
6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン
【0135】
(実施例2a)
6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン
この化合物は以下のようにして調製することができる:
4−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}アニリン170mgを氷酢酸10mlに加えた溶液に、チオシアン酸カリウム197mgを一度に加える。約20分間撹拌してから、臭素0.026mlを氷酢酸1mlに希釈したものを、温度を20℃付近に保ちながら、滴加する。反応混合物を約18時間20℃の温度領域で撹拌し、次いで水30mlに注ぐ。10N水酸化ナトリウムを加えてpHを11付近にする。水相をジクロロメタン10mlで2回抽出し、こうして得られる有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過し、減圧下エバポレートして濃縮する。こうして、6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン164mgを黄色固体として得る。
融点:258℃(Koflerベンチ)。
MS:方法A;[M+H]:m/z=391;[M+H]:m/z=393;[M+2H]2+:m/z=197;[M+CHCN+2H]2+:m/z=217(ベースピーク);Tr=0.70分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm7.12(dd,J=8.3,2.1Hz,1H)7.23(d,J=8.3Hz,1H)7.31(t,J=8.4Hz,2H)7.50(幅広いs,2H)7.64(d,J=1.7Hz,1H)7.68−7.75(m,3H)7.80(dd,J=9.3,1Hz,1H)8.07(s,1H)8.56(幅広いs,1H)。
【0136】
(実施例2b)
4−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}アニリン
この化合物は以下のようにして調製することができる:
N−(4−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}フェニル)アセトアミド200mg、エタノール15ml、および塩酸(37体積%)1mlの溶液を、6時間還流させる。次いで、塩酸(37体積%)0.5mlを加え、反応媒体を再び5時間還流させ、次いで20℃の温度領域で18時間撹拌する。次いで、反応媒体を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlに注ぎ、水相をジクロロメタン20mlで3回抽出する。有機相を水10mlで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過し、減圧下エバポレートして濃縮する。こうして、4−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}アニリン173mgをベージュ色固体として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=336;Tr=0.70分。
【0137】
(実施例2c)
N−(4−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}フェニル)アセトアミド
この化合物は以下のようにして調製することができる:
3−ブロモ−6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン3.7g、N−(4−スルファニルフェニル)アセトアミド(市販品)3.2g、炭酸カリウム4.4g、およびジメチルスルホキシド62mlをガラス管に入れて密閉する。反応媒体を190℃で15分間マイクロ波加熱する。温度を20℃の領域に戻してから、反応媒体を氷水800mlに注ぎ、酢酸エチル250mlで2回抽出する。抽出有機相を1つにまとめて、硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過し、減圧下濃縮して乾燥させる。エバポレーションの残渣を、アルゴン圧下で、シリカゲル(溶離液:酢酸エチル/メタノールを97/3)のクロマトグラフィーにかけ、固体の単離に成功し、この固体をジイソプロピルエーテルに加えて不要分を溶解する。こうして、N−(4−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}フェニル)アセトアミド700mgを褐色固体として得る。
MS:方法B;[M+H]:m/z=378;[M−H]:m/z=376;[M+HCOH−H]:m/z=422;Tr=3.25分。
【0138】
(実施例2d)
3−ブロモ−6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
この化合物は以下のようにして調製することができる:
6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン3.61gをエタノール65mlに加えた溶液に、臭素1mlを水40mlに加えた溶液を滴加する。20℃の温度領域で2.5時間撹拌してから、反応媒体を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、水相を酢酸エチル20mlで3回抽出する。有機相を減圧下エバポレートして濃縮する。こうして、3−ブロモ−6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン3.1gを赤色固体として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=291;Tr=0.71分。
【0139】
(実施例2e)
6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
この化合物は以下のようにして調製することができる:
6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン3.44g、ジオキサン110ml、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム132mg、および炭酸水素ナトリウム2.1gを水65mlに溶かしたものを混合し、これに4−フルオロフェニルボロン酸1.76gを加える。反応媒体を90℃で1.5時間加熱する。次いで、4−フルオロフェニルボロン酸0.3gを加え反応媒体を再び80℃で1時間加熱する。冷却してから、反応媒体を水350mlに注ぎ、酢酸エチル150mlを加える。水相を酢酸エチル100mlで2回抽出し、有機相を1つにまとめて、硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過し、減圧下でエバポレートして濃縮する。こうして、6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン3gを赤色固体として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=213;Tr=0.42分。
【0140】
(実施例2f)
6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン
この化合物は、C.Enguehard et al.Helvetica Chimica Acta(2001),84,3610−3614に記載されるとおりに調製することができる。
【0141】
(実施例3)
N−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
この化合物は以下のようにして調製することができる:
6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン130mgとピリジン3mlの懸濁液に、シクロプロパンカルボニルクロリド0.033mlを加える。20℃の温度領域で一晩撹拌後、シクロプロパンカルボニルクロリド0.037mlを加える。20℃の温度領域で一晩撹拌後、水10mlを加え、生じた沈殿をスピンフィルターで液切りし、水10mlで3回、エタノール10mlで3回洗浄し、オーブン中減圧下50℃で乾燥させる。こうしてN−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド119mgを白色固体として得る。
融点:265℃(Buchi)。
MS:方法A;[M+H]:m/z=461;[M−H]:m/z=459;Tr=0.91分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.84−1.03(m,4H)1.89−2.03(m,1H)7.20(d,J=8.5Hz,1H)7.30(t,J=8.5Hz,2H)7.61(d,J=8.5Hz,1H)7.69(m,2H)7.75(d,J=9.8Hz,1H)7.82(d,J=9.8Hz,1H)7.88(s,1H)8.12(s,1H)8.55(s,1H)12.59(m,1H)。
【0142】
(実施例4)
N−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)アセトアミド
この化合物は以下のようにして調製することができる:
6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン56mg、ピリジン1.2ml、および無水酢酸1.2mlを混合した溶液を2時間還流する。次いで、反応媒体を減圧下でエバポレートして濃縮し、固体残渣をメタノール2mlに取り、スピンフィルターで液切りし、メタノール1mlで3回洗浄し、乾燥させる。こうして、N−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)アセトアミド18mgを褐色固体として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=435;[M−H]:m/z=433;Tr=0.80分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm2.17(s,3H)7.21(dd,J=8.7,1.1Hz,1H)7.30(t,J=8.7Hz,2H)7.62(d,J=8.3Hz,1H)7.65−7.73(m,2H)7.73−7.78(m,1H)7.80−7.86(m,1H)7.88(s,1H)8.12(s,1H)8.55(s,1H)12.30(br.s.,1H)。
【0143】
(実施例5)
1−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−3−(2−メトキシエチル)尿素
【0144】
(実施例5a)
1−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−3−(2−メトキシエチル)尿素
この化合物は以下のようにして調製することができる:
フェニル(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)カルバマート0.1gをテトラヒドロフラン3mlに加えた懸濁液に、2−メトキシエタンアミン18.6μlを加える。20℃の温度領域で5時間撹拌してから、2−メトキシエタンアミン18μlをテトラヒドロフラン2mlに溶解したものを加え、反応混合物を20℃の温度領域で一晩撹拌する。沈殿が生じるので、これをスピンフィルターで液切りし、メタノール3mlで2回洗浄し、乾燥させる。こうして、1−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−3−(2−メトキシエチル)尿素70mg0.13gを白色固体として得る。
融点>260℃(Koflerベンチ)
MS:方法A;[M+H]:m/z=494;[M−H]:m/z=492;Tr=0.82分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm2.48−2.53(m部分遮蔽,2H)3.27(幅広いs,3H)3.40(m,2H)6.80(m,1H)7.16(幅広いd,J=8.5Hz,1H)7.30(t,J=8.4Hz,2H)7.51(d,J=8.5Hz,1H)7.67−7.77(m,3H)7.80−7.85(m,2H)8.11(s,1H)8.56(幅広いs,1H)10.60(幅広いm,1H)。
【0145】
(実施例5b)
フェニル(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)カルバマート
この化合物は以下のようにして調製することができる:
6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン200mgをテトラヒドロフラン5mlに加えた懸濁液に、クロロ炭酸フェニル0.257mlを加え、次いで炭酸水素ナトリウム171mgを水0.5mlに加えたものを加える。混合物を20℃の温度領域で約24時間撹拌する。次いで、クロロ炭酸フェニル0.15mlおよび炭酸水素ナトリウム0.1gを水0.3mlに加えたものを加える。2時間撹拌してから、さらにクロロ炭酸フェニル0.05mlおよび炭酸水素ナトリウム0.05gを水0.3mlに加えたものを加える。2時間撹拌してから、反応媒体を水10mlに注ぎ、生じた沈殿をスピンフィルターで液切りし、水5mlで2回、続いて酢酸エチル5mlで2回洗浄し、風乾する。こうして、フェニル(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)カルバマート138mgを白色粉末として得る。
MS:方法B;[M+H]:m/z=513;[M−H]:m/z=511;Tr=4.25分。
【0146】
(実施例6)
1−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−3−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]尿素
この化合物は、実施例5aのとおりに調製することができるが、ただしフェニル(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)カルバマート0.15g、2−(モルホリン−4−イル)エタンアミン46μl、およびテトラヒドロフラン5mlを用いる。こうして、1−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−3−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]尿素42mgを白色粉末として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=549;[M−H]:m/z=547;Tr=0.65分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm2.39(m,6H)3.31(m,2H)3.54−3.61(m部分遮蔽,4H)6.71−6.78(m,1H)7.18(幅広いd,J=8.5Hz,1H)7.30(t,J=8.4Hz,2H)7.50(d,J=8.5Hz,1H)7.66−7.76(m,3H)7.82(m,2H)8.10(s,1H)8.55(幅広いs,1H)10.60(幅広いm,1H)。
【0147】
(実施例7)
N−(6−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【0148】
(実施例7a)
N−(6−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
この化合物は、実施例1bのとおりに調製することができるが、ただし3−ブロモ−6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン0.57g、(6−スルファニル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド0.618g、炭酸カリウム0.852g、およびジメチルスルホキシド5mlを用いる。こうして、N−(6−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド0.28gを淡黄色固体として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=447;[M−H]:m/z=445;Tr=0.64分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.90−0.96(m,4H)1.88−2.01(m,1H)3.85(s,3H)7.22(dd,J=8.4,1.5Hz,1H)7.62(d,J=8.4Hz,1H)7.67(dd,J=9.0,1.5Hz,1H)7.75(d,J=9.0Hz,1H)7.88−7.92(m,2H)8.04(s,1H)8.23(s,1H)8.53(s,1H)12.59(br.s.,1H)。
【0149】
(実施例7b)
(6−スルファニル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
この化合物は以下のようにして調製することができる:
(6−チオシアナト−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド2gとエタノール70mlの懸濁液に、20℃で、リン酸二水素カリウム33.6mgを水8mlに加えた溶液を加え、続いてDL−ジチオトレイトール3.2gを加える。反応媒体を5時間還流撹拌し、それから20℃の温度領域に戻す。次いで、水400mlを加え、生じた沈殿を焼結ガラスフィルターでろ別し、水で十分に洗浄し、スピンフィルターで液切りし、乾燥させる。こうして、(6−スルファニル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド1.5gを淡黄色固体として得る。
MS:方法B;[M+H]:m/z=251;[M−H]:m/z=249;Tr=3.77分。
【0150】
(実施例7c)
(6−チオシアナト−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
この化合物は以下のようにして調製することができる:
2−アミノ−1,3−ベンゾチアゾール−6−イルチオシアナート(市販品)10gとピリジン100mlの溶液に、温度を20℃の領域に保ちながら、シクロプロパンカルボニルクロリド5.3mlを加える。反応媒体を4時間撹拌し、それから水500mlを加える。沈殿が生じるので、これを焼結ガラスでろ別し、水で十分に洗浄し、スピンフィルターで液切りし、乾燥させる。こうして、(6−チオシアナト−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド13gを淡黄色固体として得る。前記化合物は、その後の工程にこのまま用いる。
【0151】
(実施例7d)
3−ブロモ−6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
この化合物は、実施例2dのとおりに調製することができるが、ただし6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン1.5g、臭素0.46ml、水20ml、およびエタノール30mlを用いる。こうして、3−ブロモ−6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン1.72gをクリーム色固体として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=277;Tr=0.35分。
【0152】
(実施例7e)
6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
この化合物は、実施例2eのとおりに調製することができるが、ただし6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン3g、ジメチルホルムアミド27ml、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム125mg、炭酸水素ナトリウム1.4gを水18mlに溶解したもの、および(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ボロン酸2.7gを用いる。こうして、6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン1.5gを得る。
MS:方法B;[M+H]:m/z=199;Tr=0.5分。
【0153】
(実施例8)
N−(6−{[6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【0154】
(実施例8a)
N−(6−{[6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
この化合物は、実施例1bのとおりに調製することができるが、ただし3−ブロモ−6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン0.331g、(6−スルファニル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド0.252g、炭酸カリウム0.278g、およびジメチルスルホキシド3.3mlを用いる。こうして、N−(6−{[6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド0.025gをクリーム色固体として得る。
MS:方法B;[M+H]:m/z=433;[M−H]:m/z=431;Tr=2.82分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.88−1.00(m,4H)1.93−2.03(m,1H)7.50(dd,J=8.5,2.0Hz,1H)7.69(d,J=8.5Hz,1H)8.03(d,J=9.5Hz,1H)8.08(d,J=2Hz,1H)8.25(d,J=9.5Hz,1H)8.30(s,2H)8.66(s,1H)8.86(s,1H)12.66(s,1H)。
【0155】
(実施例8b)
3−ブロモ−6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
この化合物は、実施例2dのとおりに調製することができるが、ただし6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン0.789g、臭素0.263ml、水10ml、およびエタノール16mlを用いる。こうして、3−ブロモ−6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン1gを褐色固体として得る。
MS:方法B;[M+H]:m/z=263;[M−H]:m/z=261;Tr=0.81分。
【0156】
(実施例8c)
6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
この化合物は、実施例2eのとおりに調製することができるが、ただし6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン2g、ジメチルホルムアミド18ml、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム85mg、炭酸水素ナトリウム0.84gを水12mlに溶解したもの、および(1H−ピラゾール−4−イル)ボロン酸0.96gを用いる。こうして、6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン0.789gを得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=185;Tr=0.16分。
【0157】
(実施例9)
N−(6−{[6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【0158】
(実施例9a)
N−(6−{[6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
この化合物は、実施例1bのとおりに調製することができるが、ただし3−ブロモ−6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン0.9g、(6−スルファニル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド0.9g、炭酸カリウム0.910g、およびジメチルスルホキシド9mlを用いる。こうしてN−(6−{[6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド0.168gを黄色固体として得る。
融点>260℃(Koflerベンチ)
MS:方法B;[M+H]:m/z=461;[M−H]:m/z=459;Tr=3.91分
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.89−0.95(m,4H)1.93−1.98(m,1H)7.19−7.26(m,2H)7.47−7.57(m,3H)7.62(d,J=8.8Hz,1H)7.79(dd,J=9.3,2.0Hz,1H)7.84(d,J=9.3Hz,1H)7.90(d,J=1.5Hz,1H)8.13(s,1H)8.63(s,1H)12.59(br.s.,1H)。
【0159】
(実施例9b)
3−ブロモ−6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
この化合物は、実施例2dのとおりに調製することができるが、ただし6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン1.7g、臭素0.42ml、水20ml、およびエタノール35mlを用いる。こうして、3−ブロモ−6−(3−フルオロフェニル))イミダゾ[1,2−a]ピリジン1gを褐色固体として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=291;Tr=0.74分。
【0160】
(実施例9c)
6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
この化合物は、実施例2eのとおりに調製することができるが、ただし6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン2g、ジメチルホルムアミド35ml、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム83mg、炭酸水素ナトリウム1.64gを水23mlに溶解したもの、および3−フルオロフェニルボロン酸1.23gを用いる。こうして、6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン1.7gを得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=213;Tr=0.41分。
【0161】
(実施例10)
N−(6−{[6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【0162】
(実施例10a)
N−(6−{[6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
この化合物は、実施例1bのとおりに調製することができるが、ただし3−ブロモ−6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン1.22g、(6−スルファニル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド1.03g、炭酸カリウム1.3g、およびジメチルスルホキシド9mlを用いる。こうしてN−(6−{[6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド0.32gを黄色固体として得る。
融点>260℃(Koflerベンチ)
MS:方法A;[M+H]:m/z=473;[M−H]:m/z=475;Tr=0.99分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.89−0.97(m,4H)1.92−2.00(m,1H)2.26(s,3H)7.22(dd,J=8.3,1.5Hz,1H)7.33−7.42(m,2H)7.47(d,J=10.7Hz,1H)7.62(d,J=8.3Hz,1H)7.77(dd,J=9.3,1Hz,1H)7.82(d,J=9.3Hz,1H)7.90(d,J=1.5Hz,1H)8.12(s,1H)8.58(s,1H)12.60(br.s.,1H)。
【0163】
(実施例10b)
3−ブロモ−6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
この化合物は、実施例2dのとおりに調製することができるが、ただし6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン1.7g、臭素0.37ml、水15ml、およびエタノール30mlを用いる。こうして、3−ブロモ−6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン1.22gを灰色固体として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=305;Tr=0.86分。
【0164】
(実施例10c)
6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
この化合物は、実施例2eのとおりに調製することができるが、ただし6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン2.1g、ジメチルホルムアミド30ml、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム85mg、炭酸水素ナトリウム1.73gを水23mlに溶解したもの、および(3−フルオロ−4−メチル)フェニルボロン酸1.38gを用いる。こうして、6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン1.7gを褐色固体として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=227;Tr=0.52分。
【0165】
(実施例11)
tert−ブチル4−{4−[3−({2−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−1,3−ベンゾチアゾール−6−イル}スルファニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル]−1H−ピラゾール−1−イル}ピペリジン−1−カルボキシラート
【0166】
(実施例11a)
tert−ブチル4−{4−[3−({2−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−1,3−ベンゾチアゾール−6−イル}スルファニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル]−1H−ピラゾール−1−イル}ピペリジン−1−カルボキシラート
この化合物は以下のようにして調製することができる:
tert−ブチル4−[4−(3−ブロモイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート340mg、(6−スルファニル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド210mg、N,N−ジイソプロピルエチルアミン250μl、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)104mg、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン132mg、および1,4−ジオキサン10mlをガラス管に入れて密閉する。反応媒体にアルゴンを5分間吹き込んでから、反応媒体を160℃で25分間マイクロ波加熱する。温度を20℃の領域に戻してから、反応媒体を、ジクロロメタン/メタノールの混合物を体積比95/5で混合したもの25mlで希釈し、次いで有機相を蒸留水30mlで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過し、減圧下濃縮して乾燥させる。エバポレーションの残渣を、アルゴン圧下で、シリカゲル(溶離液:ジクロロメタン/メタノールを体積比96/4)のクロマトグラフィーにかける。こうしてtert−ブチル4−{4−[3−({2−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−1,3−ベンゾチアゾール−6−イル}スルファニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル]−1H−ピラゾール−1−イル}ピペリジン−1−カルボン酸217mgを白色固体として得る。
融点:247℃(Koflerベンチ)
MS:方法A;[M+H]:m/z=616;[M−H]:m/z=445;Tr=0.91分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.83−1.02(m,4H);1.42(s,9H);1.69−1.85(m,2H);1.88−2.09(m,3H);2.80−3.01(m,2H);4.04(d,J=14.4Hz,2H);4.27−4.43(m,1H);7.21(dd,J=2.0および8.6Hz,1H);7.62(d,J=8.3Hz,1H);7.70(dd,J=1.7および9.3Hz,1H);7.75(dd,J=1.0および9.3Hz,1H);7.90(d,J=2.0Hz,1H);7.95(s,1H);8.03(s,1H);8.38(s,1H);8.57(dd,J=1.0および1.7Hz,1H);12.59(幅広いs,1H)。
【0167】
(実施例11b)
tert−ブチル4−[4−(3−ブロモイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート
この化合物は以下のようにして調製することができる:
tert−ブチル4−[4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート860mg、クロロホルム80ml、およびN−ブロモスクシンイミド417mgを混合し、一晩還流させる。反応媒体を20℃の温度領域に冷却し、次いで減圧下でエバポレートして濃縮する。単離した残渣を、アルゴン圧下で、シリカゲル(溶離液:酢酸エチル/メタノールを体積比80/20)のクロマトグラフィーにかける。こうしてtert−ブチル4−[4−(3−ブロモイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート1.046gを、琥珀色ガム状物として得る。これはこのままその後の工程に用いる。
MS:方法A;[M+H]:m/z=446;Tr=0.76分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm:0.83−1.02(m,4H);1.42(s,9H);1.69−1.85(m,2H);1.88−2.09(m,3H);2.80−3.01(m,2H);4.04(d,J=14.4Hz,2H);4.27−4.43(m,1H);7.21(dd,J=2.0および8.6Hz,1H);7.62(d,J=8.3Hz,1H);7,70(dd,J=1.7および9.3Hz,1H);7.75(dd,J=1.0および9.3Hz,1H);7.90(d,J=2.0Hz,1H);7.95(s,1H);8.03(s,1H);8.38(s,1H);8.57(dd,J=1.0および1.7Hz,1H);12.59(幅広いs,1H)。
【0168】
(実施例11c)
tert−ブチル4−[4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボキシラート
この化合物は以下のようにして調製することができる:
6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン塩酸塩1.1g、1,2−ジメトキシエタン45ml、水酸化ナトリウム(1N水溶液)3.2ml、およびtert−ブチル4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ピラゾール−1−イル]−ピペリジン−1−カルボキシラートを混合して溶液にし、20℃の温度領域で30分間撹拌する。次いで、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム138mgを加え、反応媒体を30分間65℃に加熱し、次いで20℃の温度領域で16時間撹拌する。次いで、反応媒体を蒸留水450mlに注ぎ、ジクロロメタン60mlで4回抽出する。抽出有機相を1つにまとめ、蒸留水60mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮して乾燥させる。得られる残渣を、アルゴン圧下で、シリカゲル(溶離液:ジクロロメタン/メタノールを体積比96/4)のクロマトグラフィーにかける。こうして、tert−ブチル4−[4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピペリジン−1−カルボン酸865mgを黄色油状物として得る。
MS:方法A;[M+H]:m/z=368;Tr=0.60分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm:1.43(s,9H);1,81(qd,J=4.3および12.2Hz,2H);2.05(dd,J=2.0および12.0Hz,2H);2.88−3.00(m,2H);4.02−4.06(m,2H);4.34−4.44(m,1H);7.45−7.52(m,1H);7.53−7.60(m,2H);7.86(s,1H);7,90(s,1H);8.29(s,1H);8.80(s,1H)。
【0169】
(実施例11d)
tert−ブチル4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ピラゾール−1−イル]−ピペリジン−1−カルボキシラート
この化合物は、特許WO200/066187の34頁に記載されるとおりに調製することができる。
【0170】
(実施例12)
N−[6−({6−[1−(ピペリジン−4−イル)1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル}スルファニル)−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
この化合物は以下のようにして調製することができる:
tert−ブチル4−{4−[3−({2−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−1,3−ベンゾチアゾール−6−イル}スルファニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル]−1H−ピラゾール−1−イル}ピペリジン−1−カルボキシラート176mgおよび1,4−ジオキサンに加えた塩酸(4M溶液)2.6mlを混合し、20℃の温度領域で16時間撹拌する。次いで、反応媒体を減圧下エバポレートして乾固するまで濃縮し、単離した固体をイソプロピルエーテル5mlに加えて不要分を溶解し、焼結ガラスでろ過し、イソプロピルエーテル5mlで3回洗浄し、スピンフィルターで液切りし、減圧下で乾燥させる。固体を再びアセトン5mlに取り5分間処理して不要分を溶解し、それからろ過し、アセトン5mlで2回洗浄し、スピンフィルターで液切りし、減圧下で乾燥させる。こうして、N−[6−({6−[1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル}スルファニル)−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド160mgをベージュ色固体として得る。
融点:230℃粘性(Koflerベンチ)。
MS:方法A;[M+H]:m/z=516;[M−H]:m/z=514;Tr=0.51分。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm:0.87−0.99(m,4H);1.93−2.04(m,1H);2.08−2.29(m,4H);3.00−3.15(m,2H);3.34−3.43(m,J=13.7Hz,2H);4.44−4.57(m,1H);7.42(dd,J=2.1および8.4Hz,1H);7.67(d,J=8.6Hz,1H);7.94−8.04(m,2H);8.10−8.17(m,2H);8.50(s,1H);8.54(s,1H);8.73−8.89(m,2H);8.96−9.09(m,1H);12.65(s,1H)。
【0171】
(実施例13)
医薬組成物
以下の配合を有する錠剤を調製した:
実施例1の生成物 0.2g
完成した錠剤について賦形剤 1g
(賦形剤の詳細:ラクトース、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム)。
実施例1は、薬学的調製の実施例と受け止められ、この調製は、所望であれば、本出願の実施例の他の生成物とともに行なうことが可能である。
【0172】
薬理学の部
実験プロトコル
I)MET、細胞質領域の発現および精製
バキュロウイルスでの発現:
pFastBac(lnvitrogen)のHis−Tev−MET(956−1390)組換えDNAを、昆虫細胞に形質移入し、ウイルス増幅を数回行なった後、最終的なバキュロウイルスストックを対象のタンパク質発現について試験する。
組換えウイルスで感染させてから27℃で72時間後、SF21培養細胞を遠心分離で収穫し、細胞ペレットを−80℃で貯蔵する。
【0173】
精製:
細胞ペレットを、溶解緩衝液(緩衝液A[50mMのHEPES(pH7.5)、250mMのNaCl、10%グリセロール、1mMのTECP]+プロテアーゼ阻害剤のカクテル、Roche Diagnostics、EDTAなし、ref1873580)に再懸濁させ、4℃で撹拌して混合物を均一にし、それから「Dounce」型装置で機械的に溶解する。
遠心分離後、溶解物上清をニッケルキレート樹脂(His−Trap 6 Fast Flow(登録商標)、GE HealthCare)とともに、4℃で2時間温置する。20倍体積の緩衝液Aで洗浄した後、懸濁液をカラムに充填し、緩衝液B(緩衝液A+290mMのイミダゾール)で勾配をつけてタンパク質を溶出させる。
電気泳動で分析(SDS PAGE)する目的で、対象のタンパク質を含有する画分を1つにまとめて、限外濾過(10kDaでカットオフ)で濃縮し、緩衝液Aで平衡にした排除クロマトグラフィーカラム(Superdex(登録商標)200、GE HealthCare)に注入して乗せる。
ヒスチジンタグを酵素で切断した後、タンパク質を、緩衝液Aで平衡にした新たなIMACニッケルキレートクロマトグラフィーカラム(His−Trap 6 Fast Flow(登録商標)、GE HealthCare)に注入して乗せる。緩衝液Bで勾配をつけて溶出した画分で、電気泳動(SDS PAGE)にかけて対象のタンパク質を含有していたものを、最終的に集めて−80℃で貯蔵する。
自己リン酸化したタンパク質の産生のため、上記の画分に2mMのATP、2mMのMgCl、および4mMのNaVOを添加して、室温で1時間温置する。5mMのEDTAで反応を止めた後、反応混合物を、あらかじめ緩衝液A+4mMのNaVOで平衡にしたHiPrep脱塩カラム(GE HealthCare)に注入して乗せ、対象のタンパク質を含有する画分(SDS PAGE分析)を1つにまとめて−80℃で貯蔵する。リン酸化の割合を質量分析(LC−MS)およびペプチドマッピングで検証する。
【0174】
II)試験Aおよび試験B
A)試験A:96ウェルフォーマットでのHTRF METアッセイ
最終濃度5nMのMETを、10mMのMOPS緩衝液(pH7.4)、1mMのDTT、0.01%Tween20に試験分子を加えた(最終濃度範囲0.17nMから10μM、DMSO最終濃度3%)最終体積50μlの酵素反応液中、温置する。1μg/mlのpoly−(GAT)、10μMのATP、および5mMのMgClの最終濃度になるように基質溶液を用いて反応を開始する。室温で10分間温置後、1ウェルあたりストレプトアビジン61SAXLB(Cis−Bio Int.)80ngおよび抗ホスホチロシンMab PT66−ユウロピウムクリプテート18ngが存在し最終溶液の濃度が50mMのHepes(pH7.5)、500mMのフッ化カリウム、0.1%BSA、および133mmEDTAとなるようにした混合物30μlを用いて反応を停止する。室温で2時間温置後、TRACE/HTRF技法の読み取り機で2つの波長620nmおよび665nmで読み取りを行ない、665/620比から阻害割合を計算する。
実験の部の実施例としての式(I)の生成物についてのこの試験Aから、IC50は500nM未満、特に100nM未満であるという結果が得られる。
【0175】
B)試験B:METの自己リン酸化の阻害;ELISA技法(pppY1230、1234、1235)
a)細胞溶解液:MKN45細胞を96ウェルプレート(細胞コートBDポリリシン)に、RPMI培地200μl+10%FCS+1%L−グルタミン中20000個の細胞/ウェルで播種する。インキュベーター中24時間放置して付着させる。
播種の翌日、細胞を、生成物を6種類の濃度で用いて2つ組で1時間処理する。少なくとも3つの対照ウェルを同じ最終量のDMSOで処理する。
生成物の希釈液:純粋なDMSO中10mMで貯蔵し、純粋なDMSO中濃度の変化幅3で10mMから30μMまでの範囲で、途中の希釈液を培養液で1/50にし、そこから10μlを取って直接細胞に添加する(200μl):最終範囲は10000から30nM。
温置終了後、上清を注意深く除去し、PBS200μlですすぐ。次いで、氷上のウェルに、溶解緩衝液100μlを直接入れ、4℃で30分間温置する。溶解緩衝液:10mMのTrisHCI(pH7.4)、100mMのNaCl、1mMのEDTA、1mMのEGTA、1%のTriton X−100、10%のグリセロール、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコール酸塩、20mMのNaF、2mMのNaVO、1mMのPMSF、および抗プロテアーゼカクテル。
溶解液100μlを、V底ポリプロピレンプレートに移し、直ちにELISAを行なうか、そうでなければプレートを−80℃で冷凍する。
【0176】
b)ホスホMET ELISA BioSourceキットKHO0281
キットのプレートの各ウェルに、キットの希釈緩衝液70μl+細胞溶解液30μlまたはブランク用の溶解緩衝液30μlを加える。室温で穏やかに震盪しながら2時間温置する。
ウェルを、キットの洗浄緩衝液400μlで4回すすぐ。抗ホスホMET抗体100μlとともに室温で1時間温置する。
ウェルを、キットの洗浄緩衝液400μlで4回すすぐ。抗ウサギHRP抗体100μlとともに室温で30分間温置する(色素原単独のウェルを除く。)。
ウェルを、キットの洗浄緩衝液400μlで4回すすぐ。色素原100μlを加え、暗中室温で30分間温置する。
停止溶液100μlで反応を停止する。プレートを、Wallac Victorプレート読み取り機で、遅延時間なしで450nMで0.1秒読取る。
【0177】
C)試験C:14C−チミジンパルスによる細胞増殖の測定
細胞を180μlでCytostar96ウェルプレートに播種し、37℃で4時間5%CO下に置く:HCT116細胞は、1ウェルあたりDMEM培地+10%ウシ胎児血清+1%L−グルタミン中に2500個の細胞となる割合、およびMKN45細胞は、1ウェルあたりRPMI培地+10%ウシ胎児血清+1%L−グルタミン中7500個の細胞となる割合。4時間温置後、ELISA用に記載される希釈法に従って、生成物を20倍濃度の溶液10μlとして添加する。生成物は、10000nMから0.3nMまで増加幅3で、10種類の濃度で2つ組で試験する。
処理の72時間後、14C−チミジン10μlを10μCi/mlで添加し、1ウェルあたり0.1μCiとする。パルスの24時間後および処理の96時間後に、14C−チミジン取り込みをMicro−Beta装置(Perkin−Elmer)で測定する。
アッセイの工程は全て、BIOMEK2000またはTECANステーションで自動化されている。
実験の部の実施例としての式(I)の生成物についてのこの試験Bから、IC50は10μM未満、特に1μM未満であるという結果が得られる。
【0178】
実験の部の実施例としての生成物について得られた結果を、以下の薬理結果表にまとめる、表中以下のとおり:
試験Aについて、記号+は500nM未満に、記号++は100nM未満に対応。
試験Bについて、記号+は500nM超、記号++は100nM未満に対応。
試験Cについて、記号+は10μM未満、記号++は1μM未満に対応。
【0179】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):の生成物
【化1】

式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、アリール基およびヘテロアリール基は以下に示すとおりに場合により置換され;
Rbは、水素原子、Rc基、−COORc基、もしくは−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基、シクロアルキル基、へテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、これらの基は全て以下に示すとおりに場合により置換され;
Rdは、水素原子またはアルキル基もしくはシクロアルキル基を表し;
上記で定義されるアルキル基、シクロアルキル基、へテロシクロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基は全て、ハロゲン原子および以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、CN、CF3、−NR1R2、−COOH、−COOalk、−CONR1R2、−NR1COR2、COR1、オキソ、およびへテロシクロアルキルから選択される1つ以上の基で場合により置換され、この置換基自体も以下の基、即ちハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、CN、CF3、−NR3R4、COOH、−COOalk、−CONR3R4、−NR3COR4、−COR3、およびオキソ基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
アルキル基およびシクロアルキル基は、アリール基またはヘテロアリール基でも場合により置換され、これらの置換基自体も、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、およびNR3R4基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基は、アルキル基で場合により置換され、この置換基自体もハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、およびNR3R4基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
NR1R2は:R1およびR2は同一であるか異なっていて、R1およびR2の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R1およびR2のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基は以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR3R4、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、これらの置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;または、R1およびR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
NR3R4は;R3およびR4は同一であるか異なっていて、R3およびR4の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R3およびR4のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基は以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、これらの置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;または、R3およびR4は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
R1およびR2またはR3およびR4がそれぞれ、これらが結合した窒素原子と一緒になって形成できる環式基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、オキソ、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基、ならびにアルキル、フェニル、CH−フェニル、およびヘテロアリール基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、後者の、アルキル、フェニル、およびヘテロアリール基はこれら自体がハロゲン原子および以下の基、即ちヒドロキシル、炭素原子を1から4個含有するアルキルおよびアルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
上記のアルキル(alk)基およびアルコキシ基は全て、炭素原子を1から6個含有する;
全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する、式(I)の生成物。
【請求項2】
式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、またはアリール基、もしくはヘテロアリール基を表し、アリール基およびヘテロアリール基は以下に示すとおりに場合により置換され;
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基、またはシクロアルキル基を表し、両者とも以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR1R2、へテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択される1つ以上の基で場合により置換され、これらの置換基自体も以下に示されるとおりに場合により置換され;
Rdは、水素原子またはアルキル基を表し;
上記で定義されるアルキル基、シクロアルキル基、へテロシクロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基は全て、ハロゲン原子および以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、−NR1R2、−COOH、−COOalk、−CONR1R2、アルキル、およびへテロシクロアルキルから選択される1つ以上の基で場合により置換され、この置換基自体もハロゲン原子、およびアルキル、COOH、−COOalk、および−CONR3R4基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
NR1R2は:R1およびR2は同一であるか異なっていて、R1およびR2の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R1およびR2のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基は以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR3R4、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、これらの置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;または、R1およびR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
NR3R4は;R3およびR4は同一であるか異なっていて、R3およびR4の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R3およびR4のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基は以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、へテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびフェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、これらの置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;または、R3およびR4は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、三員環から十員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される1つ以上の他の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
R1およびR2またはR3およびR4がそれぞれ、これらが結合した窒素原子と一緒になって形成できる環式基は、ハロゲン原子、ヒドロキシルおよびアルコキシ基、ならびにアルキル、フェニル、およびCH−フェニル基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、このうち、アルキル基およびフェニル基は、これら自体がハロゲン原子、およびアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され;
上記のアルキル(alk)基またはアルコキシ基は全て、炭素原子を1から6個含有する;
請求項1に記載の式(I)の生成物であって全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する、生成物。
【請求項3】
式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、またはフェニル基もしくはピラゾリル基を表し、これらの基は、ハロゲン原子および以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、−NR1R2、−COOH、−COOalk、−CONR1R2、アルキル、およびへテロシクロアルキルから選択される1つ以上の基で場合により置換され、この置換基自体、ハロゲン原子、およびアルキル、COOH、−COOalk、および−CONR3R4基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、両者とも以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR1R2、およびフェニルから選択される1つ以上の基で場合により置換され、この置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
Rdは、水素原子またはアルキル基を表し;
NR1R2は:R1およびR2は同一であるか異なっていて、R1およびR2の片方は水素原子またはアルキル基を表し、R1およびR2のもう片方は水素原子、またはシクロアルキル基もしくはアルキル基を表し、これらの基は以下の基、即ちヒドロキシル、アルコキシ、NR3R4、またはフェニルから選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され、この置換基自体、ハロゲン原子、およびヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;または、R1およびR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、四員環から七員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される別の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
NR3R4は;R3およびR4は同一であるか異なってもよく、水素原子またはアルキル基を表し、アルキル基はヒドロキシル、またはアルコキシ基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され;または、R3およびR4は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、四員環から七員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される別の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はNHが可能な場合はこれも含めて、場合により置換され;
R1およびR2またはR3およびR4がそれぞれ、これらが結合した窒素原子と一緒になって形成できる環式基は、請求項1および2のいずれかで定義されるとおり、1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され:
上記のアルキル(alk)基またはアルコキシ基は全て、炭素原子を1から4個含有する;
請求項1または2に記載の式(I)の生成物であって全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する、生成物。
【請求項4】
式中:
Raは、水素原子、ハロゲン原子、またはフェニル基もしくはピラゾリル基を表し、これらの基は、ハロゲン原子および以下の基、即ちアルキルおよびへテロシクロアルキルから選択される1つ以上の基で場合により置換され、この置換基自体、ハロゲン原子、およびアルキルおよび−COOalk基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、アルキル基またはシクロアルキル基を表し、これらの基はヒドロキシル、アルコキシ、およびNR1R2基から選択される1つ以上の基で場合により置換され;
Rdは、水素原子を表し;
NR1R2は:R1およびR2は同一であるか異なってもよく、水素原子またはアルキル基を表し、アルキル基はヒドロキシル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され;または、R1およびR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、四員環から七員環で場合によりO、S、N、およびNHから選択される別の複素原子を含有する環式基を形成し、この基はアルキル、フェニル、または−CH−フェニル基で場合により置換され、これらの基はこれ自体、ハロゲン原子、およびアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、NH、NHalk、およびN(alk)基から選択される1つ以上の同一または異なってもよい基で場合により置換され;
上記のアルキル(alk)基またはアルコキシ基は全て、炭素原子を1から4個含有する;
請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の生成物であって全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する、生成物。
【請求項5】
式中:
Raは、水素原子、またはフェニルもしくはピラゾリル基を表し、これらの基は、ハロゲン原子および以下の基、即ちアルキルおよびピペリジニルから選択される1つ以上の基により場合により置換され、この置換基自体、−COOalkで場合により置換され;
Rbは、水素原子、−CO−Rc基、または−CO−NRcRd基を表し;
式中、Rcは、シクロプロピル基またはアルキル基を表し、これらの基は、アルコキシ基またはNR1R2基で場合により置換され:
Rdは、水素原子を表し;
NR1R2は:R1およびR2は同一であるか異なってもよく、水素原子またはアルキル基を表し;または、R1およびR2は、これらが結合した窒素原子と一緒になって、モルホリニル基を形成し;
上記のアルキル基またはアルコキシ基は、炭素原子を1から4個含有する;
請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の生成物であって全ての可能な、ラセミ体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体の形で、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩として存在する、生成物。
【請求項6】
以下の式:
N−{[6−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)スルファニル]−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル}シクロプロパンカルボキサミド
6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン
N−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)アセトアミド
1−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−3−(2−メトキシエチル)尿素
1−(6−{[6−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−3−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]尿素
N−(6−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−(1H−ピラゾール−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
N−(6−{[6−((3−フルオロ−4−メチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]スルファニル}−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
tert−ブチル4−{4−[3−({2−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−1,3−ベンゾチアゾール−6−イル}スルファニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル]−1H−ピラゾール−1−イル}ピペリジン−1−カルボキシラート
N−[6−({6−[1−(ピペリジン−4−イル)1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル}スルファニル)−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル]シクロプロパンカルボキサミド
に相当するもの、ならびに前記式(I)の生成物の無機酸および有機酸付加塩または無機塩基および有機塩基付加塩である、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の生成物。
【請求項7】
以下に定義されるとおりのスキーム1:
【化2】

(式中、置換基Raおよび置換基Rbは、請求項1から6のいずれか一項に示される意味を有する。)
による、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の生成物の調製方法。
【請求項8】
以下に定義されるとおりのスキーム2:
【化3】

(式中、置換基Ra、置換基Rc、および置換基Rdは、請求項1から6のいずれか一項に示される意味を有する。)
による、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の生成物の調製方法。
【請求項9】
以下に定義されるとおりのスキーム3:
【化4】

(式中、置換基Ra、置換基Rc、および置換基Rdは、請求項1から6のいずれか一項に示される意味を有する。)
による、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の生成物の調製方法。
【請求項10】
医薬としての、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の生成物、ならびに前記式(I)の生成物の医薬的に許容される無機酸および有機酸付加塩または医薬的に許容される無機塩基または有機塩基付加塩。
【請求項11】
医薬としての、請求項6に記載の式(I)の生成物、ならびに前記式(I)の生成物の医薬的に許容される無機酸および有機酸付加塩または医薬的に許容される無機塩基または有機塩基付加塩。
【請求項12】
活性成分として、少なくとも1種の請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の生成物、またはこの生成物の医薬的に許容される塩またはこの生成物のプロドラッグ、ならびに医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物。
【請求項13】
METプロテインキナーゼおよびこの変異型の活性を阻害するのに用いる医薬を調製するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の生成物またはこの生成物の医薬的に許容される塩の使用。
【請求項14】
プロテインキナーゼは細胞培養物に存在する、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
以下の群、血管増殖障害、線維性障害、「メサンギウム」細胞増殖障害、代謝障害、アレルギー、喘息、血栓症、神経系疾患、網膜症、乾癬、リウマチ様関節炎、糖尿病、筋変性、および癌から選択される疾患の治療用または予防用医薬を調製するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の生成物の使用。
【請求項16】
癌治療用の医薬を調製するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の生成物の使用。
【請求項17】
固形腫瘍または液性腫瘍の治療のための、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
細胞毒性剤が効かない癌の治療のための、請求項16または17に記載の使用。
【請求項19】
原発腫瘍および/または転移の治療、特に胃癌、肝臓癌、腎臓癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌および肺(NSCLCおよびSCLC)癌、神経膠芽腫、甲状腺癌、膀胱癌、または乳癌、黒色腫、リンパ系または骨髄系造血器腫瘍、肉腫、脳腫瘍、喉頭癌、リンパ系腫瘍、骨癌、および膵臓癌の治療のための、請求項16から18の一項以上に記載の使用。
【請求項20】
癌化学療法用医薬を調製するための、請求項1から6に記載の式(I)の生成物の使用。
【請求項21】
癌化学療法に単独でまたは組み合わせて用いる医薬を調製するための、請求項1から6に記載の式(I)の生成物の使用。
【請求項22】
キナーゼ阻害剤としての、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の生成物。
【請求項23】
MET阻害剤としての、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の生成物。
【請求項24】
新規工業用生成物としての、請求項7から9に記載され、および以下に再記するとおり:
【化5】

(式中、Ra、Rb、Rc、およびRdは請求項1から6のいずれか一項に記載の定義を有し、ならびにRはt−ブチルまたはフェニル基を表す。)
である、式(A)、式(B)、式(C)、式(D)、式(E)、式(F)、式(G)、式(H)、式(J)、および式(K)の合成中間体。

【公表番号】特表2011−528338(P2011−528338A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517979(P2011−517979)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051407
【国際公開番号】WO2010/007317
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】