説明

新規光学活性ビアリールリン化合物とその製造方法

【課題】従来法ではほぼ必須の工程であった光学分割の工程を経ることなく簡便に製造できる新規な光学活性ビアリールリン化合物を提供する。
【解決手段】例えば下記製法により製造される光学活性リン化合物。


(Zは酸素、メチレン等の二価基、R’はアルキル基等、R”はアルコキシ基、脂環式基、芳香族基等を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属触媒の配位子として有用なリン化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、不斉水素化反応、不斉異性化反応、不斉ヒドロシリル化反応等の不斉反応の触媒として利用できる遷移金属錯体については数多くの報告がなされている。中でもルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム等の遷移金属に光学活性ホスフィン化合物が配位した錯体は、不斉合成反応の触媒として優れた性能を有するものとして広く知られている。このような光学活性ホスフィン化合物の中で軸不斉構造を有する光学活性ビアリールホスフィン化合物は不斉反応触媒の光学活性配位子として有用である(例えば、非特許文献1など)。このような光学活性ビアリール化合物を合成する方法としては、2つのアリールユニットのホモ又はクロスカップリングによるものが多く、また光学活性体を得るためにはカップリング後に光学分割を必要とする(例えば、特許文献1及び特許文献2など参照)。光学活性ビアリールホスフィン化合物を合成するためには、上記ホモ又はクロスカップリングによるビアリール化合物の合成の前あるいは後に該ビアリール骨格にリン原子部位を導入する必要がある(特許文献2及び特許文献3など参照)。一方、最近は新たな光学活性ビアリール化合物を合成する手法としてアルキン類を用いたエナンチオ選択的な[2+2+2]環化付加反応による方法も開発されている(非特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−16997号公報
【特許文献2】特開平10−182678号公報
【特許文献3】特表平10−501234号公報
【非特許文献1】Tetrahedron,2005,Vol.61,5405-5432
【非特許文献2】Organic Letters,2006,Vol.8,3489-3492
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、エナンチオ選択的[2+2+2]環化付加反応で軸不斉をとり得る構造を有するビアリール化合物の合成は知られているが、該ビアリール骨格にリン原子部位を導入した化合物の合成法は全く知られていない。
【0005】
また、従来のアリールユニットのカップリング法で合成されたビアリールリン化合物は、光学分割の操作が必須であり、場合によっては一方の光学異性体が不要になる可能性もある。
【0006】
そこで、比較的入手が容易な基質を用い、少ない工程数にて、高い光学純度で軸不斉構造を有する光学活性ビアリールリン化合物を合成して製造できれば、従来法ではほぼ必須の工程であった光学分割の工程を経ることなく、軸不斉光学活性体が簡便に得られる。そのような製造法を提供すること、並びにそのようにして製造できる新規なビアリールリン化合物を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者らは、上記課題について鋭意研究を重ねた結果、ジイン化合物とアルキニルリン化合物とを、ロジウム及び光学活性ビスホスフィンを含む触媒の存在下でエナンチオ選択的[2+2+2]環化付加反応させることにより、1工程で高い光学純度を有する軸不斉ビアリールリン化合物を製造し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
本発明は以下の内容を包含するものである。
[1] 下記一般式(1)で表されるリン化合物。
【化1】

(式(1)中、Rは水素原子、又は水酸基の保護基を表し、Rは、下記式(R−1)又は下記式(R−2)で示される基を表し、R、R、R及びRは同一または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基又はジアルキルアミノ基を表す。なお、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよく、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成していてもよい。)
【化2】

(式(R−1)及び式(R−2)中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zは二価基を表し、aは0又は1の整数を表す。)
[2] 軸不斉光学活性体である前項[1]記載のリン化合物。
[3] 下記一般式(3)で表される前項[1]記載のリン化合物。
【化3】

(式(3)中、Rは水素原子、又は水酸基の保護基を表し、Rは、下記式(R−1)又は下記式(R−2)で示される基を表す。)
【化4】

(式(R−1)及び式(R−2)中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zは二価基を表し、aは0又は1の整数を表す。)
[4] 軸不斉光学活性体である前項[3]記載のリン化合物。
[5] ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒を用いて、下記一般式(2−1)で表されるジイン化合物と下記一般式(3−1)で表されるアルキニルリン化合物とを反応させる前項[2]記載のリン化合物の製造方法。
【化5】

(式(2−1)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zは二価基を表す。式(3−1)中、Rは水素原子、又は水酸基の保護基を表し、R、R、R及びRは同一または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基又はジアルキルアミノ基を示す。なお、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよく、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成していてもよい。Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。aは0又は1の整数を表す。)
[6] ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒を用いて、下記一般式(2−2)で表されるジイン化合物と下記一般式(3−2)で表されるアルキニルリン化合物とを反応させる前項[2]記載のリン化合物の製造方法。
【化6】

(式(2−2)中、Rは水素原子、又は水酸基の保護基を表し、R、R、R及びRは同一または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基又はジアルキルアミノ基を示す。なお、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよく、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成していてもよい。Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zは二価基を表す。式(3−2)中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、aは0又は1の整数を表す。)
[7] ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒が下記一般式(4)で表される化合物である前項[5]又は[6]に記載の製造方法。
[Rh(L)(Y)]X (4)
(式(4)中、Lは下記式(5)で表される光学活性ビスホスフィンを表し、Yは非共役ジエン化合物を表し、Xはカウンターアニオンを表す。また、mは1又は2の整数を表し、nは0又は1の整数を表す。但し、m=1のとき、n=0又はn=1であり、m=2のときはn=0である。)
1011P−Q−PR1213 (5)
(式(5)中、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表し、R10とR11とで及び/又はR12とR13とで環を形成してもよい。Qは置換基を有していてもよい二価のアリーレン基又はフェロセンジイル基を表す。)
[8] ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒が、調製後即時使用されることを特徴とする前項[7]記載の製造方法。
[9] ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒を調製する際に、水素ガスを用いてオレフィン性配位子を脱離させることを特徴とする前項[7]又は[8]に記載の製造方法。
[10] 上記[2]又は[4]に記載の軸不斉光学活性リン化合物を用いる不斉合成反応。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法によれば、ジイン化合物とアルキニルリン化合物をロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒の存在下で反応させることにより、1工程でエナンチオ選択的に光学活性ビアリールリン化合物を製造することができるので、比較的入手が容易な基質を用いて簡便に光学活性ビアリールリン化合物を製造することができ、光学分割の工程を経ることなく軸不斉光学活性体を得ることができる。また、本発明に係るリン化合物は、簡便に製造ができ、金属触媒の配位子として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0011】
本発明に係るリン化合物は、上記した一般式(1)で表されるリン化合物であり、後に詳しく述べる本発明の製造方法により製造することができる。一般式(1)において、Rは水素を表し、または水酸基の保護基を表すが、Rで表される水酸基の保護基としては、アルキル基、アラルキル基、アシル基、三置換シリル基等が挙げられる。
【0012】
ここで、Rで表されるアルキル基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられる。また、これらアルキル基はアルコキシ基で置換されていてもよく、具体的なアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシエチル基、t−ブトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等が挙げられる。
【0013】
で表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、1−フェニルエチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
【0014】
で表されるアシル基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐の脂肪族アシル基、又は芳香族アシル基が挙げられ、具体例としては、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチリル基、ピバロイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、p−ニトロベンゾイル基等が挙げられる。
【0015】
で表される三置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
【0016】
一般式(1)において、Rは上記した式(R−1)又は式(R−2)で示される基を表し、式(R−1)及び式(R−2)において、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。
【0017】
ここで、Rで表されるアルキル基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられる。
【0018】
で表されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられ、具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0019】
で表されるアリール基としては、炭素数6〜18のアリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、メチル基、t−ブチル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子などが挙げられ、これら置換基は該アリール基上に複数置換されていてもよい。これら置換を有するアリール基の具体例としては、例えば、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、3,5−キシリル基、3,5−ジ−t−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、m−フルオロフェニル基等が挙げられる。
【0020】
で表されるアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基及びヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0021】
で表されるアリールオキシ基としては、炭素数6〜18のアリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。これらアリールオキシ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、メチル基、t−ブチル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子などが挙げられ、これら置換基は該アリール基上に複数置換されていてもよい。
【0022】
一般式(1)において、R、R、R及びRは同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基又はジアルキルアミノ基を表す。
【0023】
ここで、R、R、R及びRで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、t−ブチル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等の炭素数2〜10のアシルオキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、ハロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜4のハロアルキル基が挙げられ、ジアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
【0024】
なお、一般式(1)においては、R、R、R及びRのうちの二つが互いに結合して、置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよいが、かかる場合の芳香環の具体例としては、ベンゼン環、ナフチル環、アントリル環、フェナントリル環等が挙げられる。該芳香環の置換基としては、アルキル基及びハロゲン原子等が挙げられ、その具体例としては、例えば、炭素数1〜6の前記したようなアルキル基及びフッ素原子等が挙げられる。
【0025】
また、一般式(1)においては、R、R、R及びRのうちの二つが一緒になって、置換基を有していてもよいメチレン鎖を形成していてもよいが、かかる場合のメチレン鎖としては、例えば、炭素数3〜5のメチレン鎖が好ましく、具体的にはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等が挙げられる。また、該メチレン鎖の置換基としては、アルキル基及びハロゲン原子等が挙げられ、その具体例としては、例えば、炭素数1〜6の前記したようなアルキル基及びフッ素原子等が挙げられる。
【0026】
また、一般式(1)においては、R、R、R及びRのうちの二つが一緒になって、置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成していてもよいが、かかる場合の(ポリ)メチレンジオキシ基の具体例としては、例えば、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基等が挙げられる。また、該(ポリ)メチレンジオキシ基の置換基としては、アルキル基及びハロゲン原子等が挙げられ、その具体例としては、例えば、炭素数1〜6の前記したようなアルキル基及びフッ素原子等が挙げられる。
【0027】
一般式(1)において、Rは上記した式(R−1)又は式(R−2)で示される基を表し、式(R−1)及び式(R−2)において、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表すが、かかるR及びRで表されるアルキル基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等が挙げられる。
【0028】
また、R及びRで表されるアリール基としては、炭素数6〜18のアリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらアリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基及びヘキシルオキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子などが挙げられ、これら置換基は該アリール基上に複数存在していてもよい。
【0029】
式(R−1)及び式(R−2)において、Zで表される二価基としては、酸素原子、硫黄原子、メチレン鎖、NR、Si(RSi等が挙げられる。ここで、Rは、アルキル基、アリール基、アルカンスルホニル基、アリーンスルホニル基又はアシル基を表し、RSiは、アルキル基又はアリール基を表すか、Si(RSiで環を形成してもよい。
【0030】
Zで表されるメチレン鎖としては、直鎖又は分岐のメチレン鎖が挙げられ、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基、2,3−ブタンジイル基、ジフルオロメチレン基等が挙げられる。
【0031】
NRにおけるR及びSi(RSiにおけるRSiで表されるアルキル基としては、例えば直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体例としては前記したようなアルキル基が挙げられる。R及びRSiで表されるアリール基としては、炭素数6〜18のアリール基が挙げられ、具体的には前記したようなアリール基が挙げられる。
【0032】
NRにおけるRで表されるアルカンスルホニル基及びアリーンスルホニル基としては、例えばメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等が挙げられる。
【0033】
で表されるアシル基としては、炭素数2〜10の直鎖又は分岐の脂肪族アシル基、又は芳香族アシル基が挙げられ、具体例としては、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブチリル基、ピバロイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、p−ニトロベンゾイル基等が挙げられる。
【0034】
Si(RSiで形成される環としては、シロラン環、シラン環、シレパン環等が挙げられる。
【0035】
本発明においては、一般式(1)で表されるリン化合物の中でも、上記した一般式(3)で表されるリン化合物が好ましい。一般式(3)におけるそれぞれの記号の表す意味および該記号で表される基などの例は、上記で一般式(1)について説明したそれぞれの意味および例と同じである。なお、一般式(1)で表されるリン化合物の好ましい具体例としては、後述の実施例において示される光学活性ビアリールホスフィンオキシド等が挙げられる。
【0036】
また、本発明において、一般式(1)で表され、好ましくは一般式(3)で表されるリン化合物は、軸不斉光学活性体であることが好ましい。
【0037】
次に本発明のリン化合物を製造できる、軸不斉光学活性リン化合物の製造方法(単に「本発明の製造方法」ということがある)について説明する。
【0038】
本発明の軸不斉光学活性リン化合物の製造方法は、以下のスキームに記載するように、一般式(2−1)で表されるジイン化合物と一般式(3−1)で表されるアルキニルリン化合物とを、又は、一般式(2−2)で表されるジイン化合物と一般式(3−2)で表されるアルキニルリン化合物とを、ロジウム金属と光学活性ビスホスフィン化合物とを含む触媒の存在下反応させ、詳しくはエナンチオ選択的に[2+2+2]環化付加させるものである。
【0039】
【化7】

【0040】
スキーム中にも記載されている一般式(2−1)、(2−2)、(3−1)及び(3−2)におけるR、R、R、R、R、R、R、R、Z及びaの記号の表す意味および該記号で表される基などの例は、上記で一般式(1)について説明したそれぞれの意味および例と同じである。
【0041】
本発明の製造方法で用いられるロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒について説明する。
【0042】
本発明に用いられる触媒成分の一つであるロジウム金属のロジウム源としては、ロジウム化合物が用いられ、好ましいロジウム化合物としては、オレフィン性配位子が配位したロジウム(I)の錯体が挙げられる。具体的なロジウム(I)錯体としては、[Rh(cod)]X、[Rh(nbd)]X、[RhCl(エチレン)、[RhCl(cod)]、[RhCl(nbd)]等が挙げられる。前記錯体化学式中、Xはカウンターアニオンを表し、codは1,5−シクロオクタジエン、nbdはノルボルナジエンを表す。
【0043】
本発明に用いられる触媒成分のもう一つである光学活性ビスホスフィンとしては、例えば下記の一般式(5)で表されるものが挙げられる。
1011P−Q−PR1213 (5)
(式中、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表し、R10とR11とで及び/又はR12とR13とで環を形成してもよい。Qは置換基を有していてもよい二価のアリーレン基又はフェロセンジイル基を表す。)
【0044】
上記式中、R10、R11、R12及びR13で表される、置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらアリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基等が挙げられる。
【0045】
アリール基の置換基としてのアルキル基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基等が挙げられる。
【0046】
アリール基の置換基としてのアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐状の、例えば炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基及びt−ブトキシ基等が挙げられる。
【0047】
アリール基の置換基としてのアリール基としては、例えば炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。
【0048】
アリール基の置換基としての複素環基としては、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられ、脂肪族複素環基としては、例えば炭素数2〜14で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、5〜8員、好ましくは5又は6員の単環、多環又は縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、2−オキソピロリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチエニル基等が挙げられる。一方、芳香族複素環基としては、例えば炭素数2〜15で、ヘテロ原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、5〜8員、好ましくは5又は6員の単環式、多環式又は縮合環式のヘテロアリール基が挙げられ、具体的にはフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
【0049】
また、R10、R11、R12及びR13で表される、置換基を有していてもよいシクロアルキル基としては、5員環又は6員環のシクロアルキル基が挙げられ、好ましいシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらシクロアルキル基の環上においては、前記アリール基の置換基として挙げたようなアルキル基又はアルコキシ基等の置換基で、1乃至2以上置換されていてもよい。
【0050】
また、R10とR11及び/又はR12とR13とで形成してもよい環としては、R10、R11、R12及びR13が結合しているリン原子を含めた環として、四員環、五員環又は六員環の環が挙げられる。具体的な環としては、ホスフェタン環、ホスホラン環、ホスファン環、2,4−ジメチルホスフェタン環、2,4−ジエチルホスフェタン環、2,5−ジメチルホスホラン環、2,5−ジエチルホスホラン環、2,6−ジメチルホスファン環、2,6−ジエチルホスファン環等が挙げられ、これらの環は光学活性体でもよい。
【0051】
また、Qで表される、置換基を有していてもよい二価のアリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ビナフタレンジイル基等が挙げられる。フェニレン基としては、o又はm−フェニレン基が挙げられ、該フェニレン基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基及びt−ブトキシ基等のアルコキシ基;水酸基、アミノ基又は置換アミノ基等で置換されていてもよい。ビフェニルジイル基及びビナフタレンジイル基としては、1,1’−ビアリール−2,2’−ジイル型の構造を有するものが好ましく、該ビフェニルジイル基及びビナフタレンジイル基は、前記したようなアルキル基、アルコキシ基、例えばメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基等のアルキレンジオキシ基、水酸基、アミノ基、置換アミノ基等で置換されていてもよい。また、フェロセンジイル基も置換基を有していてもよく、置換基としては、前記したようなアルキル基、アルコキシ基、アルキレンジオキシ基、水酸基、アミノ基、置換アミノ基等が挙げられる。
【0052】
一般式(5)で表される光学活性ビスホスフィンの具体例としては、例えば公知のビスホスフィン類が挙げられ、その内の一つとして下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0053】
【化8】

(式中、R14及びR15は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基を示すか、またはシクロペンチル基もしくはシクロヘキシル基を示す。)
【0054】
上記R14及びR15における、フェニル基の置換基としてのアルキル基としては、例えば、メチル基、t−ブチル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、フェニル基の置換基としてのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、フェニル基の置換基としてのハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられる。
【0055】
14及びR15の具体例としては、例えば、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、3,5−キシリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0056】
また、一般式(6)で表される化合物の基本骨格であるビナフチル環は、置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、例えばメチル基、t−ブチル基等のアルキル基;メトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基及びトリフェニルシリル基等のトリアリールシリル基が挙げられる。
【0057】
また、R1011P−Q−PR1213で表される光学活性ビスホスフィンの他の具体例としては、下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
【0058】
【化9】

(式中、R16及びR17は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基を示す。R18、R19、R20、R21、R22及びR23は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基又はジアルキルアミノ基を示し、R18、R19及びR20のうちの二つで置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成していてもよく、R21、R22及びR23のうちの二つで置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成していてもよい。また、R20とR23とで置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成していてもよい。ただし、R20とR23は水素原子ではない。)
【0059】
上記R16及びR17における、フェニル基の置換基としてのアルキル基としては、例えば、メチル基、t−ブチル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、フェニル基の置換基としてのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、フェニル基の置換基としてのハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、これら置換基は該フェニル基上に複数置換していてもよい。R16及びR17の具体例としては、例えば、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、3,5−キシリル基、3,5−ジ−t−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、m−フルオロフェニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0060】
また、R18〜R23で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、t−ブチル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、t−ブトキシ基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等の炭素数2〜10のアシルオキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が挙げられ、ハロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜4のハロアルキル基が挙げられ、ジアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
【0061】
18、R19及びR20のうちの二つで置換基を有していてもよいメチレン鎖を形成する場合、並びにR21、R22及びR23のうちの二つで置換基を有していてもよいメチレン鎖を形成する場合のメチレン鎖としては、例えば、炭素数3〜5のメチレン鎖が好ましく、具体的にはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等が挙げられる。また、該置換基を有していてもよいメチレン鎖における置換基としては、アルキル基及びハロゲン原子等が挙げられ、その具体例としては、例えば、炭素数1〜6の前記したようなアルキル基及びフッ素原子等が挙げられる。
【0062】
また、R18、R19及びR20のうちの二つで置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成する場合、並びにR21、R22及びR23の内の二つで置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成する場合の(ポリ)メチレンジオキシ基の具体例としては、例えば、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基等が挙げられる。また、該(ポリ)メチレンジオキシ基に置換する置換基としては、アルキル基及びハロゲン原子等が挙げられ、その具体例としては、例えば、炭素数1〜6の前記したようなアルキル基及びフッ素原子等が挙げられる。
【0063】
一般式(6)及び(7)で示される光学活性ビスホスフィン化合物の具体例としては、例えば2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(p−トリル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(m−トリル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(3,5−キシリル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(p−t−ブチルフェニル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(p−メトキシフェニル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(シクロペンチル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[ジ(シクロヘキシル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1、1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−m−トリルホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1、1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1、1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−p−ターシャリーブチルフェニルホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−p−メトキシフェニルホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−p−クロロフェニルホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−1,1’−ビナフチル、((4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5’−ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)(以下、segphosという)、(4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5’−ジイル)ビス(ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン)、((4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5’−ジイル)ビス(ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン)、((4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5’−ジイル)ビス(ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン)、((4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5’−ジイル)ビス(ジシクロヘキシルホスフィン)、((4,4’−ビ−1,3−ベンゾジオキソール)−5、5’−ジイル)ビス(ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィン)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−4,4’,6,6’−テトラメチル−5,5’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジ−p−メトキシフェニルホスフィノ)−4,4’,6,6’−テトラメチル−5,5’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−4,4’,6,6’−テトラ(トリフルオロメチル)−5,5’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−4,6−ジ(トリフルオロメチル)−4’,6’−ジメチル−5’−メトキシ−1,1’−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−ジフェニルホスフィノ−4,4’,6,6’−テトラメチル−5,5’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−6,6’−ジメチル−1,1−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−4,4’,6,6’−テトラメチル−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−3,3’,6,6’−テトラメチル−1,1’−ビフェニル)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−4,4’−ジフルオロ−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジ−o−トリルホスフィノ)−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジ−m−フルオロフェニルホスフィノ)−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、1,11−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5,7−ジヒドロベンゾ[c,e]オキセピン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−6,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5,5’,6,6’−テトラメトキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−6,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサメトキシ−1,1’−ビフェニル、1,2−ビス(2,5−ジメチルホスホラノ)ベンゼン、1,2−ビス(2,5−ジエチルホスホラノ)ベンゼン、1,2−ビス(2,5−ジイソプロピルホスホラノ)ベンゼン、1−(2,5−ジメチルホスホラノ)−2−(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,1’−ビス(2,4−ジエチルホスフォタノ)フェロセン等が挙げられる。
【0064】
それら以外にも、本発明で用いることのできる光学活性ビスホスフィン化合物の具体例としては、例えば、N,N−ジメチル−1−[1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルアミン、2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1−シクロヘキシル−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、2,3−O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス[(o−メトキシフェニル)フェニルホスフィノ]エタン、1,2−ビス(2,5−ジメチルホスホラノ)エタン、5,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2−ノルボルネン、N,N’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−N,N’−ビス(1−フェニルエチル)エチレンジアミン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、2,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン等が挙げられる。
【0065】
本発明で用いられる触媒は、触媒成分として上記で説明したようなロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒であり、例えば、下記一般式(4)で表される化合物である。
[Rh(L)(Y)]X (4)
(式(4)中、LはR1011P−Q−PR1213で表される光学活性ビスホスフィンを表し、Yは非共役ジエン化合物を表し、Xはカウンターアニオンを表す。また、mは1又は2の整数を表し、nは0又は1の整数を表す。但し、m=1のとき、n=0又はn=1であり、m=2のときはn=0である。R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表し、R10とR11とで及び/又はR12とR13とで環を形成してもよい。Qは置換基を有していてもよい二価のアリーレン基又はフェロセンジイル基を表す。)
【0066】
上記式中、Lで表されるR1011P−Q−PR1213なる光学活性ビスホスフィンについては、前述した通りである。
【0067】
続いて、本発明で用いられるロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒の例である一般式(4)で表される化合物について、さらに詳しく説明する。
【0068】
一般式(4)において、Yで表される非共役ジエン化合物としては、環状でも非環状でもよく、非共役ジエン化合物が環状非共役ジエン化合物である場合には、単環状、多環状、縮環状、架橋環状のいずれであってもよい。また、非共役ジエン化合物は、置換基で置換された非共役ジエン化合物、即ち置換非共役ジエン化合物でもよく、該置換基は、本発明の製造方法に悪影響を与えない置換基であれば特に限定されない。好ましい非共役ジエン化合物としては、例えば、1,5−シクロオクタジエン、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−2,5−ジエン、1,5−ヘキサジエン等が挙げられる。
【0069】
一般式(4)において、Xで表されるカウンターアニオンとしては、例えばBF、ClO、CFSO(以下、OTfと略記する)、PF、SbF、B(3,5−(CF及びBPh等が挙げられる。
【0070】
本発明で用いられる、一般式(4)で表される化合物は、例えば、下記スキーム1に示すように、不活性ガス雰囲気下、公知の方法で得られるか、又は市販されているロジウム−オレフィン配位錯体に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、トルエン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中で、例えば前記のLで表される光学活性ビスホスフィンを反応させた後、MX(Mは一価の金属陽イオンを示し、Xは前記と同じ意味を表す。)でカウンターアニオンの交換反応を行う(これによりスキーム1中の(A)又は(B)の化合物が得られる)ことにより、あるいは更に水素ガスを作用させてオレフィン性配位子を脱離させる(これによりスキーム1中の(C)の化合物が得られる)ことにより得ることができる。なお、化学式中のCODは、1,5−シクロオクタジエンを示す(以下同様)。
【0071】
スキーム1
【化10】

【0072】
本発明で用いられる、一般式(4)で表される化合物は、また、下記スキーム2に示すように、予めカウンターアニオンの交換反応を行ったロジウム−ビスオレフィン錯体にLで表される光学活性ビスホスフィンを反応させることにより、あるいは更に水素ガスでオレフィン性配位子を脱離させることによっても得ることができる。
【0073】
スキーム2
【化11】

【0074】
スキーム1及びスキーム2に示されるようなロジウム−オレフィン配位錯体の中心金属モル数に対しての、Lで表される光学活性ビスホスフィンの添加量は、ビスホスフィンの一部が酸化を受ける場合があるので、1.0〜2.4倍モル、より好ましくは1.05〜2.2倍モルであることが望ましい。
【0075】
本発明において、一般式(4)で表される化合物を触媒として調製する際に用いられるロジウム−オレフィン配位錯体としては、オレフィン配位子の選択によって種々の錯体を取り扱うことが可能であるが、入手の容易性より、1,5−シクロオクタジエンのロジウム錯体である[Rh(COD)Cl] や、ノルボルナジエンのロジウム錯体である
[Rh(NBD)Cl] が特に好ましい。なお、化学式中のNBDは、2,5−ノルボルナジエンを示す(以下同様)。
【0076】
また、カウンターアニオン交換反応においては、MXとして例えば銀塩(AgX)を用いて行うことが、取り扱いの面で好ましい。
【0077】
なお、一般式(4)で表される化合物における触媒活性種は[Rh(L)]Xであるが、その前駆体である化合物、例えば前記スキームに記載の(A)の化合物[Rh(L)(COD)]Xも本発明の製造法において用いることができる。
【0078】
例えば前記スキームに記載の(A)、(B)及び(C)の化合物などの一般式(4)で表される化合物は、触媒として調製後は、特に精製することなく本発明の製造法に用いることができる。さらにいえば、本発明の製造方法においては、ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒を調製後即時使用することができ、具体的には、ロジウム化合物と光学活性ビスホスフィンとを反応させて該触媒を調製し、続いて上記ジイン化合物とアルキニルリン化合物とを加えればよい。
【0079】
本発明の製造方法において用いられる反応溶媒としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に制限は無いが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、例えばtert−ブタノール等の非求核性のアルコール類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類及び例えばジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。これら反応溶媒は、夫々単独で用いてもよく、二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
【0080】
本発明の製造方法において、ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒の、ロジウム金属換算での使用量としては、反応基質の式(3−1)又は(3−2)のアルキニルリン化合物に対し、通常1〜5mol%程度で充分である。
【0081】
本発明の製造方法における、上記したジイン化合物とアルキニルリン化合物とを反応させる際の反応温度としては、使用する基質により自ずから異なるが、通常−20℃〜100℃、好ましくは0℃〜50℃の範囲である。また、反応時間としては、使用する基質により自ずから異なるが、通常30分〜30時間、好ましくは1時間〜20時間である。なお、反応は、窒素又はアルゴン等の不活性ガス中で行うことが好ましい。
【0082】
なお、式(1)又は(3)で表わされるリン化合物において、式(R−1)又は(R−2)で示される基の中のaが0である化合物は、対応するaが1である化合物を常法(例えば還元反応などの方法)に付することによって容易に製造できる。
【0083】
該反応終了後は、濾過やシリカゲルカラムクロマトグラフィー等、この種分野で通常行われる後処理操作を行い、結晶化、蒸留、各種クロマトグラフィー等の精製法を単独又は適宜組み合わせることにより目的の光学活性リン化合物を得ることができる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
なお、光学純度は光学活性カラムを用いてHPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて測定した。
【0085】
(実施例1〜12)光学活性ビアリールホスフィンオキシドの製造
【化12】

(スキーム中の*は軸不斉であることを表す。)
【0086】
上記反応式(Meはメチル基を表す。以下同じ。)に従い、光学活性ビアリールホスフィンオキシドを製造した。すなわち、まず、アルゴン雰囲気下、シュレンク管に(R)−H−BINAP(0.010mmol)、[Rh(COD)]BF(0.010mmol)及び塩化メチレン1.0mLを加え、5分間撹拌後、シュレンク管中に水素ガスを導入して1時間撹拌した。続いて、反応液を減圧濃縮して乾固し、塩化メチレン1.0mLを加えた。この溶液に上記反応式に示したジイン化合物(0.20〜0.60mmol)及びモノイン化合物(0.20mmol)の塩化メチレン2mL溶液を加え、室温で1時間撹拌した。次いで、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより目的物を得た。なお、各実施例における反応式中でZ、R’及びR’’により表される基の種類(Etはエチル基、Tsはトシル基すなわちp−トルエンスルホニル基、Cyはシクロヘキシル、MOMはメトキシメチル、Bnはベンジル、Phはフェニル基を表す。以下同じ。)、並びに結果を以下の表1に示す。また、(R)−H−BINAPの構造式を下記に示す。
【0087】
【化13】

【0088】
【表1】

【0089】
(実施例13)光学活性ビアリールホスフィンオキシドの製造
【化14】

(スキーム中の*は軸不斉であることを表す。)
【0090】
上記反応式に従い、光学活性ビアリールホスフィンオキシドを製造した。すなわち、まず、アルゴン雰囲気下、シュレンク管に(R)−BINAP(0.010mmol)、[Rh(COD)]BF(0.010mmol)及び塩化メチレン1.0mLを加え、5分間撹拌後、シュレンク管中に水素ガスを導入して1時間撹拌した。続いて、反応液を減圧濃縮して乾固し、塩化メチレン0.4mLを加えた。この溶液にジイン化合物(0.20mmol)及びモノイン化合物(0.20mmol)の塩化メチレン1.0mL溶液を加え、室温で1時間撹拌した。次いで、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより目的物を得た。収率96%、光学純度96%eeで旋光性は(−)であった。なお、(R)−BINAPの構造式を下記に示す。
【化15】

【0091】
(実施例14〜18)光学活性ビアリールホスフィンオキシドの製造
【化16】

【0092】
上記反応式に従い、光学活性ビアリールホスフィンオキシドを製造した。すなわち、まず、アルゴン雰囲気下、シュレンク管に(R)−H−BINAP(0.010mmol)、[Rh(COD)]BF(0.010mmol)及び塩化メチレン1.0mLを加え、5分間撹拌後、シュレンク管中に水素ガスを導入して1時間撹拌した。続いて、反応液を減圧濃縮して乾固し、塩化メチレン1.0mLを加えた。この溶液にジイン化合物(0.30〜0.60mmol)及びモノイン化合物(0.20mmol)の塩化メチレン2mL溶液を加え、室温で1時間撹拌した。次いで、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより目的物を得た。その結果を以下の表2に示す。
【0093】
【表2】

【0094】
(実施例19〜23)光学活性ビアリールホスフィンオキシドの製造
【化17】

【0095】
上記反応式に従い、光学活性ビアリールホスフィンオキシドを製造した。すなわち、まず、アルゴン雰囲気下、シュレンク管に光学活性ビスホスフィン(0.010mmol)、[Rh(COD)]BF(0.010mmol)及び塩化メチレン1.0mLを加え、5分間撹拌後、シュレンク管中に水素ガスを導入して1時間撹拌した。続いて、反応液を減圧濃縮して乾固し、塩化メチレン1.0mLを加えた。この溶液にジイン化合物(0.30mmol)及びモノイン化合物(0.20mmol)の塩化メチレン2mL溶液を加え、室温で16時間撹拌した。次いで、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより目的物を得た。その結果を以下の表3に示す。
なお、表中の光学活性ビスホスフィンの構造は以下のとおりである。
【0096】
【化18】

【0097】
【表3】

【0098】
(実施例24)(−)-1-[6-(ジフェニルフォスフィノ)-4,7-ジメチルインダン-5-イル]-2-メトキシナフタレンの合成
【化19】

(−)-1-[6-(ジフェニルホスフィノイル)-4,7-ジメチルインダン-5-イル]-2-メトキシナフタレン (800mg, 1.59mmol, 97%ee)をフラスコに仕込み窒素置換した。このナフタレン化合物をキシレン(40mL)に溶解して得られる溶液に、トリエチルアミン(4.4mL, 31.8mmol)を加え4℃に冷却した。さらに、トリクロロシラン(800μL, 7.95mmol)を滴下し冷却して、30分攪拌した後、室温にして15分攪拌した。これをさらに110℃に加熱して3時間攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却した後ジエチルエーテル(60mL)と飽和重曹水(800μL)を加え30分攪拌した。この反応混合物をセライトろ過し、ろ液を硫酸ナトリウムで乾燥した後、シリカゲルを加えて減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し標題化合物(744mg, 96%,97%ee)を得た。
Mp 166℃; [α]D25 -37.3°(c 1.00, CH2Cl2, 97%ee); 1H-NMR (CD2Cl2, 300 MHz) 7.90-7.80(m,2H), 7.36-7.10(m,14H), 3.50(s,3H), 3.03(t,J = 7.4Hz, 2H),2.93(t,J = 8.0Hz, 2H), 2.17(d quint, J = 7.3, 2.7, 2H), 1.77(s,3H), 1.75(s,3H); 31P-NMR (CD2Cl2, 121 MHz) δ-11.0 (s)
【0099】
(実施例25)(−)-5- (ジフェニルフォスフィノ)-6-(2-メトキシナフタレン-1-イル)-4,7-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフランの合成
【化20】

(−)-5-(ジフェニルフォスフィノイル)-6-(2-メトキシナフタレン-1-イル)-4,7-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン (800mg, 1.59mmol, 92%ee)をフラスコに仕込み窒素置換した。このナフタレン化合物をキシレン(40mL)に溶解し得られる溶液に、トリエチルアミン(4.4mL, 31.8mmol)を加え4℃に冷却した。さらにトリクロロシラン(800μL, 7.95mmol)を滴下し冷却したまま30分攪拌した後、室温にして15分攪拌した。この反応混合物をさらに110℃に加熱して3時間攪拌した。これを室温まで冷却した後ジエチルエーテル(60mL)と飽和重曹水(800μL)を加え30分攪拌した。この反応混合物をセライトろ過し、ろ液を硫酸ナトリウムで乾燥した後、シリカゲルを加えて減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し標題化合物(694mg, 89%,92%ee)を得た。
Mp 159℃; [α]D25 -39.0°(c 1.00, CH2Cl2, 92%ee); 1H-NMR (CD2Cl2, 300 MHz) δ7.91-7.79(m,2H), 7.35-7.10(m,14H), 5.22(s,2H), 5.12(s,2H), 3.50(s,3H), 1.73(s,3H), 1.68(s,3H); 31P-NMR (CD2Cl2, 121 MHz) δ-11.9 (s)
以下、本実施例により得られたリン化合物の構造と物性データを示す。
【0100】
(−)−[6−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−4,7−ジメチル−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−5−イル]ホスホン酸ジエチルエステル
【化21】

【0101】

【0102】
(−)−[6−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−4,7−ジメチル−インダン−5−イル]ホスホン酸ジエチルエステル
【化22】

【0103】

【0104】
(+)−[6−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−4,7−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル]ホスホン酸ジエチルエステル
【化23】

【0105】

【0106】
(−)−[6−(2−メトキシメトキシナフタレン−1−イル)−4,7−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル]ホスホン酸ジエチルエステル
【化24】

【0107】

【0108】
(−)−[6−(2−ベンジルオキシナフタレン−1−イル)−4,7−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル]ホスホン酸ジエチルエステル
【化25】

【0109】

【0110】
(−)−5−(ジフェニルホスフィノイル)−6−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−4,7−ジメチル−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン
【化26】

【0111】

【0112】
(−)−1−[6−(ジフェニルホスフィノイル)−4,7−ジメチルインダン−5−イル]−2−メトキシナフタレン
【化27】

【0113】

【0114】
(S)−(+)−5−(ジシクロヘキシルホスフィノイル)−6−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−4,7−ジメチル−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン
【化28】

【0115】

【0116】
(+)−1−[6−(ジシクロヘキシルホスフィノイル)−4,7−ジメチルインダン−5−イル]−2−メトキシナフタレン
【化29】

【0117】

【0118】
(−)−[6−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−7−メチル−4−フェニル−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−イル]ホスホン酸ジエチルエステル
【化30】

【0119】

【0120】
(−)−[6−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−4−フェニル−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−イル]ホスホン酸ジエチルエステル
【化31】

【0121】

【0122】
(+)−[6−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−4−メチル−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−イル]ホスホン酸ジエチルエステル
【化32】

【0123】

【0124】
(−)−[6−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−7−メチル−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−イル]ホスホン酸ジエチルエステル
【化33】

【0125】

【0126】
(−)−5−(ジフェニルホスフィノイル)−6−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−4−フェニル−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン
【化34】

【0127】

【0128】
(−)−5−(ジフェニルホスフィノイル)−6−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−4−メチル−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン
【化35】

【0129】

【0130】
(−)−6−(ジフェニルホスフィノイル)−5−(2−メトキシナフタレン−1−イル)−4−メチル−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン
【化36】

【0131】

【0132】
(実施例26) スチレンのヒドロシリル化
【化37】

【0133】
(−)-1-[6-(ジフェニルフォスフィノ)-4,7-ジメチルインダン-5-イル]-2-メトキシナフタレン (26.6mg, 0.0547mmol, 97%ee)とアリルパラジウムクロリド ダイマー(5.0mg, 0.0137mmol)をフラスコに仕込み窒素置換した。ここにトルエン(1mL)を加えて溶解し30℃にて30分攪拌した。調製した錯体を4つ口フラスコに移し、トルエン(26.3mL)及びスチレン(3.1mL= 2.85g, 27.3mmol)を加え、15分攪拌した。ここにHSiCl3(4.44g, 32.3mmol)のトルエン(27.3mL)溶液を1時間かけて滴下した後、15時間攪拌した。リービッヒ冷却管を装着してHSiCl3及びトルエンを回収した後、減圧蒸留することで目的のシリル体4.3g(17.7mmol, 65%)を得た。
沸点120〜123℃/20torr。
【0134】
ナスフラスコにKF(6.2g、106.2mmol)及びKHCO3(21.3g, 212.4mmol)を仕込み、MeOH-THF(1:1, 85mL)に懸濁し氷冷した。ここへ上記で得られたシリル体4.2g(17.7mmol)を滴下し氷冷のまま1時間、室温にてさらに1時間攪拌した。続いて氷冷しH2O2(30%水溶液、17.7mL)を滴下した後、バスをつけたまま一晩攪拌した。氷冷しNa2S2O3・5H2O(22.0g, 88.5mmol)を加えて氷冷のまま1時間、室温にてさらに1時間攪拌した。反応液をセライトろ過して減圧濃縮した。濃縮残渣をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣を減圧蒸留することでsec-フェネチルアルコール1.6g(12.9mmol, 73%)を得た。
沸点104℃/20torr。
得られたアルコールの光学純度は60%eeで(S)-体であった。
光学純度測定条件:
カラム; Chirasil-Dex CB
注入口温度; 250℃, 検出器温度; 250℃, オーブン; 115℃
【0135】
(実施例27) スチレンのヒドロシリル化
(−)-5- (ジフェニルフォスフィノ)-6-(2-メトキシナフタレン-1-イル)-4,7-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン (26.7mg, 0.0547mmol, 92%ee)とアリルパラジウムクロリド ダイマー(5.0mg, 0.0137mmol)をフラスコに仕込み窒素置換した。ここにトルエン(1mL)を加えて溶解し30℃にて30分攪拌した。調製した錯体を4つ口フラスコに移し、トルエン(26.3mL)及びスチレン(3.1mL= 2.85g, 27.3mmol)を加え、15分攪拌した。ここにHSiCl3(4.44g, 32.3mmol)のトルエン(27.3mL)溶液を1時間かけて滴下した後、15時間攪拌した。リービッヒ冷却管を装着してHSiCl3及びトルエンを回収した後、減圧蒸留することで目的のシリル体4.2g(17.5mmol, 64%)を得た。
沸点120〜123℃/20torr。
【0136】
ナスフラスコにKF(5.5g、94.2mmol)及びKHCO3(18.9g, 188.4mmol)を仕込み、MeOH-THF(1:1, 75mL)に懸濁し氷冷した。ここへ得られたシリル体3.8g(15.7mmol)を滴下し氷冷のまま1時間、室温にてさらに1時間攪拌した。続いて氷冷しH2O2(30%水溶液、15.7mL)を滴下した後、バスをつけたまま一晩攪拌した。氷冷しNa2S2O3・5H2O(19.5g, 78.6mmol)を加えて氷冷のまま1時間、室温にてさらに1時間攪拌した。反応液をセライトろ過して減圧濃縮した。濃縮残渣をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣を減圧蒸留することでsec-フェネチルアルコール1.4g(11.5mmol, 73%)を得た。
沸点104℃/20torr。
得られたアルコールの光学純度は58%eeで(S)-体であった。
【0137】
(実施例28) 1-オクテンのヒドロシリル化
【化38】

【0138】
(−)-1-[6-(ジフェニルフォスフィノ)-4,7-ジメチルインダン-5-イル]-2-メトキシナフタレン (26.6mg, 0.0547mmol、97%ee)とアリルパラジウムクロリド ダイマー(5.0mg, 0.0137mmol)をフラスコに仕込み窒素置換した。ここへトルエン(1mL)を加えて溶解し30℃にて30分攪拌した後、バス温設定を40℃とし、トルエン(3mL)及び1-オクテン(3.1g, 27.3mmol)を加え、30分攪拌した。ここにHSiCl3(4.44g, 32.3mmol)を滴下した後、24時間攪拌した。反応液を分析したところ2-トリクロロシリルオクタン/1-トリクロロシリルオクタン = 76/24であった。リービッヒ冷却管を装着しHSiCl3及びトルエンを回収した後、減圧蒸留することでシリル体1.6g(6.6mmol, 24%, 2-トリクロロシリルオクタン/1-トリクロロシリルオクタン = 77/23)を得た。
沸点120〜123℃/25torr。
【0139】
ナスフラスコにKF(1.9g、32.7mmol)及びKHCO3(6.4g, 63.9mmol)を仕込み、MeOH-THF(1:1, 26mL)に懸濁し氷冷した。ここへ上記で得られたシリル体1.3g(5.3mmol)を滴下し氷冷のまま1時間、室温にてさらに1時間攪拌した。続いて氷冷しH2O2(30%水溶液、5.3mL)を滴下した後、バスをつけたまま一晩攪拌した。氷冷しNa2S2O3・5H2O(6.6g, 26.6mmol)を加えて氷冷のまま1時間、室温にてさらに1時間攪拌した。反応液をセライトろ過して減圧濃縮した。濃縮残渣をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することでオクタノール410mg(3.4mmol, 59%、2-オクタノール/1-オクタノール = 71/29)を得た。
得られた2-オクタノールの光学純度は94%eeで(R)-体であった。
光学純度測定条件(ベンゾイル化後に分析):
カラム; CHIRALPAK AD-H
【0140】
(実施例29) 1-オクテンのヒドロシリル化
(−)-5- (ジフェニルフォスフィノ)-6-(2-メトキシナフタレン-1-イル)-4,7-ジメチル-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン (26.7mg, 0.0547mmol, 92%ee) とアリルパラジウムクロリド ダイマー(5.0mg, 0.0137mmol)をフラスコに仕込み窒素置換した。ここへトルエン(1mL)を加えて溶解し30℃にて30分攪拌した後、バス温設定を40℃とし、トルエン( 3mL)及び1-オクテン(3.1g, 27.3mmol)を加え、30分攪拌した。ここにHSiCl3(4.44g, 32.3mmol)を滴下した後、24時間攪拌した。反応液を分析したところ2-トリクロロシリルオクタン/1-トリクロロシリルオクタン = 76/24であった。リービッヒ冷却管を装着しHSiCl3及びトルエンを回収した後、減圧蒸留することで目的のシリル体1.7g(6.9mmol, 25%, 2-トリクロロシリルオクタン/1-トリクロロシリルオクタン = 80/20)を得た。
沸点120〜123℃/25torr。
【0141】
ナスフラスコにKF(2.0g、34.4mmol)及びKHCO3(6.9g, 68.9mmol)を仕込み、MeOH-THF(1:1, 28mL)に懸濁し氷冷した。ここへ得られたシリル体1.4g(5.8mmol)を滴下し氷冷のまま1時間、室温にてさらに1時間攪拌した。続いて氷冷しH2O2(30%水溶液、5.8mL)を滴下した後、バスをつけたまま一晩攪拌した。氷冷しNa2S2O3・5H2O(7.2g, 29.0mmol)を加えて氷冷のまま1時間、室温にてさらに1時間攪拌した。反応液をセライトろ過して減圧濃縮した。濃縮残渣をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することでオクタノール460mg(3.8mmol, 61%、2-オクタノール/1-オクタノール = 71/29)を得た。
得られた2-オクタノールの光学純度は85%eeで(R)-体であった。
但し、上記において、Acはアセチル基を、THFはテトラヒドロフランを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるリン化合物。
【化1】

(式(1)中、Rは水素原子、又は水酸基の保護基を表し、Rは、下記式(R−1)又は下記式(R−2)で示される基を表し、R、R、R及びRは同一または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基又はジアルキルアミノ基を表す。なお、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよく、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成していてもよい。)
【化2】

(式(R−1)及び式(R−2)中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zは二価基を表し、aは0又は1の整数を表す。)
【請求項2】
軸不斉光学活性体である請求項1記載のリン化合物。
【請求項3】
下記一般式(3)で表される請求項1記載のリン化合物。
【化3】

(式(3)中、Rは水素原子、又は水酸基の保護基を表し、Rは、下記式(R−1)又は下記式(R−2)で示される基を表す。)
【化4】

(式(R−1)及び式(R−2)中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zは二価基を表し、aは0又は1の整数を表す。)
【請求項4】
軸不斉光学活性体である請求項3記載のリン化合物。
【請求項5】
ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒を用いて、下記一般式(2−1)で表されるジイン化合物と下記一般式(3−1)で表されるアルキニルリン化合物とを反応させる請求項2記載のリン化合物の製造方法。
【化5】

(式(2−1)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zは二価基を表す。式(3−1)中、Rは水素原子、又は水酸基の保護基を表し、R、R、R及びRは同一または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基又はジアルキルアミノ基を示す。なお、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよく、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成していてもよい。Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。aは0又は1の整数を表す。)
【請求項6】
ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒を用いて、下記一般式(2−2)で表されるジイン化合物と下記一般式(3−2)で表されるアルキニルリン化合物とを反応させる請求項2記載のリン化合物の製造方法。
【化6】

(式(2−2)中、Rは水素原子、又は水酸基の保護基を表し、R、R、R及びRは同一または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基又はジアルキルアミノ基を示す。なお、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよい芳香環を形成していてもよく、R、R、R及びRのうちの二つで置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい(ポリ)メチレンジオキシ基を形成していてもよい。Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zは二価基を表す。式(3−2)中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、aは0又は1の整数を表す。)
【請求項7】
ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒が下記一般式(4)で表される化合物である請求項5又は6に記載の製造方法。
[Rh(L)(Y)]X (4)
(式(4)中、Lは下記式(5)で表される光学活性ビスホスフィンを表し、Yは非共役ジエン化合物を表し、Xはカウンターアニオンを表す。また、mは1又は2の整数を表し、nは0又は1の整数を表す。但し、m=1のとき、n=0又はn=1であり、m=2のときはn=0である。)
1011P−Q−PR1213 (5)
(式(5)中、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表し、R10とR11とで及び/又はR12とR13とで環を形成してもよい。Qは置換基を有していてもよい二価のアリーレン基又はフェロセンジイル基を表す。)
【請求項8】
ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒が、調製後即時使用されることを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
ロジウム金属と光学活性ビスホスフィンとを含む触媒を調製する際に、水素ガスを用いてオレフィン性配位子を脱離させることを特徴とする請求項7又は8に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項2又は請求項4に記載の軸不斉光学活性リン化合物を用いる不斉合成反応。

【公開番号】特開2008−169201(P2008−169201A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316471(P2007−316471)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】