説明

新規免疫治療用アリールアミド類

【課題】哺乳動物におけるTNFαのレベルを減少させる方法およびこれに有用な化合物および組成物を提供する。過剰または無制限のTNFαの産生は、数多くの疾患状態を引き起こす。例えば、TNFαは、活性化したときに白血球が骨再吸収活性を生じさせることが知られている関節炎(arthritis)などの骨再吸収疾患に関係する。
【解決手段】下式で表されるアリールアミド類:


は、腫瘍壊死因子αの阻害剤であり、悪液質、内毒素ショックやレトロウイルス複製と戦うために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物におけるTNFαのレベルを減少させる方法およびこれに有用な化合物および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
TNFαないし腫瘍壊死因子α(tumor necrosis Iactor α)は、種々の免疫刺激剤に応答する単核食細胞により主に放出されるサイトカインである。動物またはヒトに投与された場合に、これは炎症、発熱、心臓血管作用、喀血、凝血および急性感染ならびにショック状態の間にみられるのと同様な急性期の応答(phase response)を引き起こす。
【0003】
過剰または無制限のTNFαの産生は、数多くの疾患状態を引き起こす。これらとしては、内毒血症および/または毒性ショック症候群[トレーシー(Tracey)ら、ネイチャー(Nature)330巻、頁662〜664(1987年)およびヒンシャウ(Hinshaw)ら、サイキュ ショック(Circ.Shock)30巻、頁279〜292(1990年)]、悪液質[デズベ(Dezube)ら、ランセット(Lancet)335(8690)、662(1990年)]および成人呼吸窮迫症候群(Adult Respiratory Distress Syndrome)(ARDS)患者からの肺呼吸中に12,000pg/mlのTNFαの過剰な濃度が検出された成人呼吸窮迫症候群(Adult Respiratory Distress Syndrome)[ミラー(Miller)ら、ランセット(Lancet)2(8665)、頁712〜714(1989年)]が挙げられる。組換えTNFαの全身輸液によってもARDSにおいて典型的にみられる変化が生じた[フェラーリ−バリヴィエラ(Ferrai−Baliviera)ら、アーク サージ(Arch.Surg,)124(12)、頁1400〜1405(1989年)]。
【0004】
TNFαは、活性化したときに白血球が骨再吸収活性を生じさせることが知られている関節炎(arthritis)などの骨再吸収疾患に関係すると考えられ、さらにデータはTNFαがこの活性に寄与していることを示唆している[ベルトリニ(Bertolini)ら、ネイチャー(Nature)319巻、頁516〜518(1986年)およびジョンソン(Johnson)ら、エンドクリノロジー(Endocrinology)124(3)、頁1424〜1427(1989年)]。TNFαは、破骨細胞の形成及び活性化の刺激が骨芽細胞の機能の阻害と組み合わされることによってイン ビトロ(in vitro)およびイン ビボ(in vivo)で骨の吸収を刺激し、骨の形成を阻害することが分かっている。TNFαが関節炎などの数多くの骨吸収疾患に関係するものの、疾患との最も強固な関連は、腫瘍または宿主組織によるTNFαの生成と高カルシウム血症に係わる悪性疾患との関連である[カルシ ティッシュー イント(Calci.Tissue Int.)(US)46(Suppl.)、S3〜10(1990年)]。移植片対ホストの反応(Graft versus Host Reaction)において、血清中のTNFαレベルの増加は、急性異種骨髄移植が行なわれた後の主な合併症と関係を有する[ホラー(Holler)ら、ブラッド(Blood)、75(4)、頁1011〜1016(1990年)]。
【0005】
大脳マラリアは、TNFαの血中レベルが高いことに関連して起こる致命的な超急性神経症候群(hyperacute neurological syndrome)であり、最も重篤な合併症がマラリア患者に生じる。血清中のTNFαのレベルは、疾患の重篤度および急性にマラリアが発症した患者の余後と直接関連していた[グラウ(Grau)ら、エヌ イングル ジェー メド(N.Engl.J.Med.)320(24)、頁1586−1591(1989年)]。
【0006】
TNFαはまた、慢性肺炎(pulmonary inflmmatory disease)の分野でも役割を有する。シリカ粒子の沈着は、線維の反応によって生じる進行性の呼吸不全の病気である、珪肺症の原因となる。TNFαに対する抗体は、マウスにおいてシリカで誘導される肺線維症(lung fibrosis)を完全に阻止した[ピグネット(Pignet)ら、ネイチャー(Nature)344巻、頁245〜247(1990年)]。(血清における及び単離されたマクロファージにおける)高レベルのTNFαの産生が、シリカおよびアスベストで誘導された線維症の動物モデルで示された[ビッソンエット(Bissonnette)ら、インフラメーション(Inflammation)13(3)、329〜339(1989年)]。また、肺のサルコイドーシスの患者からの肺胞のマクロファージが、正常なドナーからのマクロファージに比してTNFαを大量に常時放出していることが見出された[バウマン(Baughman)ら、ジェー ラボ クリニ メド(J.Lab.Clin.Med.)115(1)、頁36〜42(1990年)]。
【0007】
TFNαはまた、再灌流(reperfusion)、いわゆる再灌流損傷(reper fusion injury)の後に起こる、炎症の応答にも関連しており、血流の損失後の組織損傷の主な原因である[ヴェッダー(Vedder)ら、ピーナス(PNAS)87巻、頁2643〜2646(1990年)]。TNFαはまた、内皮細胞の性質を変え、組織因子である凝血促進剤の活性(pro−coagulant activity)の向上や抗凝血物質であるCタンパク質経路の抑制ならびにトロンボモジュリン(thrombomodulin)の発現をダウンレギュレーションするなどの、種々の凝血促進活性を有している[シェリー(Sherry)ら、ジェー セル バイオリ(J.Cell Biol.)107巻、頁1269〜1277(1988年)]。TNFαは、TNFαを、(炎症の初期段階中の)早期の産生と共に、以下に限られないが、心筋梗塞、脈搏(stroke shock)及び循環ショック(circulatory shock)などの、様々な重要な疾患における組織の損傷のメディエイタとする炎症促進(pro−inflammatory)活性を有している。内皮細胞上の細胞間接着分子(intercellular adhesion molecule)(ICAM)または内皮性白血球接着分子(endothelial leukocyte adhesion molecule)(ELAM)などの、接着分子のTNFαにより誘導された発現が、特に重要である[ムンロ(Munro)ら、アム ジェー パス(Am.J.Path.)135(1)、頁121〜132(1989年)]。
【0008】
さらに、TNFαがHIV−1の活性化などのレトロウィルスの複製の強力な活性化因子であることが現在知られている[デュー(Duh)ら、プロシーディングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Proc.Nat.Acad.Sci.)86巻、頁5974〜5978(1989年);ポール(Poll)ら、プロシーディングス オブ ナショナル アカデミー サイエンス(Proc.Nat.Acad.Sci.)87巻、頁782〜785(1990年);モント(Monto)ら、ブラッド(Blood)79巻、頁2670(1990年);クラウス(Clouse)ら、ジャーナル オブ イムノロジー(J.Immunol.)142巻、頁431〜438(1989年);ポール(Poll)ら、エイズ レス ヒュマ レトロウィルス(AIDS Res.Hum.Retrovirus)頁191〜197(1992年)]。エイズ(AIDS)は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)のTリンパ球への感染によって生じる。HIVは、少なくとも三つのタイプないし菌株が、すなわちHIV−1、HIV−2及びHIV−3が同定されている。HIV感染の結果、T細胞が仲介する免疫性が侵され、感染した人は重篤な日和見感染および/または異常な新生物が現われる。Tリンパ球へのHIVの侵入は、Tリンパ球の活性化を必要とする。HIV−1、HIV−2などの他のウィルスは、T細胞の活性化後にTリンパ球に感染し、このようなウィルスタンパク質の発現および/または複製は、このようなT細胞の活性化により仲介または維持される。一度活性化Tリンパ球がHIVで感染されると、このTリンパ球はHIV遺伝子の発現および/またはHIVの複製ができるように活性化状態を維持し続けなければならない。サイトカイン類、特にTNFαは、Tリンパ球の活性化を維持する役割を担うことにより、活性化されたT細胞が仲介するHIVタンパク質の発現および/またはウィルスの複製に関係がある。したがって、HIVに感染した患者においてサイトカイン、特にTNFαの産生を防止(prevention)または阻害(inhibition)することによるなどのサイトカイン活性の干渉によって、HIV感染により生じるTリンパ球の維持の制限が促進される。
【0009】
単核細胞、マクロファージ、およびクッパー細胞や膠細胞などの関連する細胞も、また、HIV感染の維持にかかわっている。これらの細胞は、T細胞のように、ウィルスの複製を標的としており、ウィルスの複製のレベルは細胞の活性化状態に依存している[ローゼンベルグ(Rosenberg)ら,ザ イムノパソジェネシス オブ エッチアイブイ インフェクション,アドバンセス イン イムノロジー(The Immunopathogenesis of HIV Infection,Advances in Immunology)57(1989)]。TNFαなどのサイトカイン類は、単核細胞および/またはマクロファージにおけるHIVの複製を活性化することが示されている[ポリ(Poli)ら、プロシーディングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Proc.Nat.Acad.Sci.)87巻、頁782〜784(1990年)]。したがって、サイトカインの産生または活性の防止ないし阻害は、T細胞に関して前述したように、HIVの進行を制限するのを助ける。さらなる研究によって、イン ビトロ(in vitro)におけるHIVの活性化の共通因子としてTNFαが同定され、さらに、細胞の細胞形質において発見された核の調節タンパク質を経由した作用の明確な機構が得られた[オズボーン(Osborn)ら、ピーナス(PNAS)86巻、頁2336〜2340(1989年)]。この証拠から、TNFα合成の抑制が、転写及びウィルスの産生を減少させることによる、HIV感染における抗ウィルス効果を有することが示唆される。
【0010】
T細胞及びマクロファージ系における潜在HIV(latent HIV)のAIDSウィルスの複製は、TNFαにより誘発される[フォルクス(Folks)ら、ピーナス(PNAS)86巻、頁2365〜2368(1989年)]。ウィルスが誘導する活性に関する分子機構が、TNFαが細胞の細胞質中に見出された遺伝子調節タンパク質(NFκB)を活性化することができることから示唆され、この調節タンパク質はウィルスの調節遺伝子配列(LTR)への結合によってHIVの複製を促進する[オズボーン(Osborn)ら、ピーナス(PNAS)86巻、頁2336〜2340(1989年)]。AIDSが関連する悪液質におけるTNFαは、血清中のTNFαの上昇および患者からの抹消血の単核細胞における高レベルの任意のTNFαの産生により示唆される[ウライト(Wright)ら、ジャーナル オブ イムノロジー(J.Immunol.)141(1)、頁99〜104(1988年)]。
【0011】
TNFαは、前記と同様の理由により、サイトメガロウィルス(CMV)、インフルエンザウィルス、アデノウィルス及びヘルペス科のウィルスなどの、他のウィルスによる感染に種々の役割で関連している。
【0012】
したがって、TNFαの産生または作用を防止または阻害することは、数多くの炎症性、感染性、免疫性または悪性疾患に対する有力な治療法であると予測される。これらとしては、敗血症性ショック、敗血症、内毒素性ショック、乏血性ショック(hemodynamic shock)、及び敗血症候群(sepsis syndrome)、後乏血性再潅流障害(post ischemic reperfusion injury)、マラリア、ミコバクテリア感染症、髄膜炎、乾癬、うっ血性心不全、線維症(fibrotic disease)、悪液質、移植片の拒絶反応(graft rejection)、癌、自己免疫疾患、AIDSにおける日和見感染、慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、その他の関節炎症、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、結節性紅斑らい(ENL in leprosy)、放射線による障害(radiation damage)および高酸素による肺胞の損傷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。TNFαの影響を抑制するための努力は、デキサメタゾンやプレドニゾロンなどのステロイド剤の使用からポリクローナル及びモノクローナル抗体の使用までなされてきた[ビュートラー(Beutler)ら、サイエンス(Science)234巻、頁470〜474(1985年);WO 92/11383号]。
【0013】
核因子κB(nuclear factor κB)(NFKB)は、多面転写活性化因子(pleiotropic transcriptional activator)である(レナルド(Lenardo)ら、セル(Cell)1989年、58巻、頁227〜29)。NFκBは、種々の疾患および炎症状態における転写活性化因子として考えられており、TNFαなどの(これに限定されるものではないが)サイトカインレベルを調節し、HIVの転写の活性化因子でもあると考えられている[ドバイボ(Dbaibo)ら、ジェー バイオル ケム(J.Biol.Chem.)1933年、頁17762〜66;デュー(Duh)ら、プロシーディングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Proc.Nat.Acad.Sci.)1989年、86巻、頁5974〜78;バケレリー(Bachelerie)ら、ネイチャー(Nature)1991年、350巻、頁709〜12;ボスワズ(Boswas)ら、ジェー アクワイアード イミュン デフィシエンシー シンドローム(J.Acquired Immune Deficiency Syndrome)1993年、6巻、頁778〜786;スズキ(Suzuki)ら、バイオケム アンド バイオフィズ レス コミュン(Biochem.And Biophys.Res.Comm.)1993年、193巻、頁277〜83;Suzuki ら,Biochem,And Biophys,Res.Comm.1992,189,1709−15;スズキ(Suzuki)ら、バイオケム モル バイオ イント(Biochem.Mol.Bio.Int.)1993年、31(4)、頁693〜700;シャコフ(Shakhov)ら、1990年、171巻、頁35〜47;およびスタール(Staal)ら、プロシーディングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Proc.Nat.Acad.Sci.)1990年、87巻、頁9943〜47]。したがって、NFκBの結合の阻害は、サイトカイン遺伝子の転写を調節でき、このようなモジュレーションや他の機構により多くの疾患の状態を有効に阻害できる。本発明の化合物は、核内のNFκBの作用を阻害し、これにより慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、その他の関節炎症、敗血症性ショック、敗血症、内毒素性ショック、移植片対ホストの疾患(graft versus host disease)、るいそう、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、結節性紅斑らい、HIV、AIDS、及びAIDSにおける日和見感染などの(こられに限定されるものではないが)様々な病気の治療に有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
TNFαおよびNFκBのレベルは、相互的フィードバックループ(reciprocal feedback loop)の影響を受ける。前記のように、本発明の化合物は、TNFαおよびNFκBの両者のレベルに影響を与える。しかしながら、どのようにして本発明の化合物がTNFαまたはNFκBまたはその両者のレベルを調節するかは現時点では不明である。
【0015】
本発明は、より詳細に後述される、あるクラスの非ポリペプチドイミド類がTNFαの作用を阻害するようなことを発見したことに基づく。
【0016】
そこで本発明の目的は、哺乳動物のTNFαのレベルを低減する方法にある。
【0017】
また、本発明の目的は、哺乳動物のTNFα活性化レトロウイルスの複製を阻害する方法に関する。
【0018】
さらに、本発明の目的は、有効量の化合物を含む製薬組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、下記式で表される有効量の化合物を投与することを特徴とする哺乳動物のTNFαのレベルを低減する方法に関する。
【0020】
また、本発明は、下記式で表される有効量の化合物を投与することを特徴とする哺乳動物のTNFα活性化レトロウイルスの複製を阻害する方法に関する。
【0021】
さらに、本発明は、下記式で表される有効量の化合物(ただし、Arは2つのメトキシ基で置換されてなるフェニル基である。)を投与することを特徴とする哺乳動物のTNFα活性化レトロウイルスの複製を阻害する方法に関する。
【0022】
本発明は、またTNFαを阻害するために、一度または複数回の投与で、下記式で表される有効量の化合物を含む製薬組成物に関する。
【0023】
本発明は、さらにTNFαを阻害するために、一度または複数回の投与で、下記式で表される有効量の化合物ただし、Arは2つのメトキシ基で置換されてなるフェニル基である。)を含む製薬組成物に関する。
【0024】
本発明で用いられる化合物は、次式で表される:
【0025】
【化1】

【0026】
ここで、Arは、(i)直鎖、分岐または環式の、炭素数1〜12の非置換アルキル基;(ii)直鎖、分岐または環式の、炭素数1〜12の置換アルキル基;(iii)フェニル基;(iv)1以上の置換基で置換されたフェニル基、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ(carbethoxy)基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる、(v)複素環基または(vi)1以上の置換基で置換された複素環基、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる;
Rは、−H、炭素数1〜10のアルキル基、CHOH、CHCHOHまたはCHCOZ ここで、Zは炭素数1〜10のアルコキシ、ベンジルオキシまたはN HR ここで、RはHまたは炭素数1〜10のアルキル;および
Yは、i)フェニル基または複素環基、それは、非置換又は1以上の置換基で置換されている、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる、又はii)ナフチル基である。
【0027】
上記式において、Arは、2つのメトキシ基で置換されてなるフェニル基であることが好ましい。
【0028】
上記式において、Rは、CHCOCHであることが好ましい。
【0029】
上記式において、Yは、フェニル基、ナフチル基、またはピリジル基であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
最初の好適なサブクラスは化合物であり、ここで、Arは2つのメトキシ基で置換されたフェニル基、RはCHCOCH;およびYはフェニル環、非置換または1つのアミノ基で置換されている。
【0031】
本発明の代表的な化合物は、次に挙げられる:
N−ベンゾイル−3−アミノ−3−(3´,4´−ジメトキシフェニル)プロパンアミド、
N−ベンゾイル−3−アミノ−3−(3´,4´−ジエトキシフェニル)プロパンアミド、
N−ベンゾイル−3−アミノ−3−(3´,4´−ジエチルフェニル)プロパンアミド、
N−ベンゾイル−3−アミノ−3−シクロヘキシルプロパンアミド、
N−(3´´−アミノベンゾイル)−3−アミノ−3−(3´−,4´−−ジエトキシフェニル)プロパンアミド、
メチルN−ベンゾイル−3−アミノ−3−(3´,4´−ジエトキシフェニル)プロパノエート、
メチルN−(3´´−アミノベンゾイル)−3−アミノ−3−(3´,4´−ジエトキシフェニル)プロパノエート、
メチルN−(3´´−メトキシベンゾイル)−3−アミノ−3−(3´,4´−ジエトキシフェニル)プロパノエート、
メチルN−(4´´−メトキシベンゾイル)−3−アミノ−3−(3´,4´−ジエトキシフェニル)プロパノエート、
N−(3´´−メトキシベンゾイル)−3−アミノ−3−(3´,4´−ジエトキシフェニル)プロパンアミド、
N−(4´´−メトキシベンゾイル)−3−アミノ−3−(3´,4´−ジエトキシフェニル)プロパンアミド、
メチルN−ベンゾイル−3−アミノ−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)プロパノエート、
メチルN−ベンゾイル−3−アミノ−3−(4−アセチルフェニル)プロパノエート。
【0032】
ここで使用されるアルキルは、一価の飽和の分岐ないし直鎖の炭化水素鎖を示す。他に記載がなければ、かかる鎖は、1〜18の炭素を含み得る。かかるアルキル基の代表例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。「低級」で修飾されるときは、アルキル基は炭素を1〜6含むであろう。同様の考えは、「アルカン」や「アルコキシ」などの誘導体にも適用される。
【0033】
本発明の化合物は、適任の専門家の監督下では、TNFαの望ましくない作用を阻害するために用いることができる。かかる化合物は、単独であるいは抗生物質、ステロイドなどの他の治療用薬剤と共に、治療を必要とする哺乳動物に、経口、経腸(rectally)、または非経口的に投与できる。経口投与の形態としては、錠剤、カプセル、糖剤、及び同様の形状の圧縮された薬剤の形態(compressed pharmaceutical form)が含まれる。20〜100mg/mlを含む等張生理食塩水(isotonic salinesolution)が、筋肉内、鞘内、静脈内及び動脈内経路による投与などの非経口投与用に用いられる。鞘内の投与は、ココア油などの従来の担体を配合した坐薬を使用することにより行うことができる。
【0034】
投与管理(regimen)は、患者の特殊な適応症、年齢、体重、及び通常の体の状態、さらには目的とする応答性によって決定されなければならないが、一般的には、投与量は、約1〜約500mg/日であり、一日に一回若しくは複数回の投与が必要である。通常、初期の処置管理は、本発明の化合物によって他のTNFαが仲介する病気の状態に対するTNFα活性が有効に妨げられることが知られている処置管理と同様でよい。処置された人は、T細胞数及びT4/T8の割合および/または逆転写酵素若しくはウィルスタンパク質の量などのウィルス血症の程度を、および/または悪液質若しくは筋肉の退化などの問題に関連したサイトカインが介する病気の進行を定期的に調べられる。通常の処置管理の後に直ちに効果が表われない場合には、例えば、1週間に50%の割合で、サイトカイン活性を阻害する薬剤の投与量を増やす。
【0035】
本発明の化合物は、また、ヘルペスウィルスによって引き起こされる感染症、あるいはウィルス性結膜炎などの、ウィルスによる感染症などの、過剰なTNFαの生産が仲介または悪化させる極在的な病気の症状の治療または予防にそれぞれ局所的に使用することもできる。
【0036】
本発明の化合物は、さらに、TNFαの産生を防止(prevention)または阻害(inhibition)する必要のあるヒト以外の哺乳動物の獣医学的な治療にも使用できる。動物を治療または予防のために処置されるTNFαが仲介する病気としては、上記したような病気の状態(state)があるが、特にウィルスによる感染症が挙げられる。その例としては、ネコの免疫不全ウイルス(feline immunodeficiency virus)、ウマ伝染性貧血ウィルス(equine infectious anaemia virus)、ヤギ関節炎ウィルス(caprine arthritis virus)、ビスナウイルス(visna virus)、及びレトロウィルス(maedi virus)、さらには他のレンチウィルス(lentivirus)が挙げられる。
【0037】
上記化合物によってはキラリティの核(center)を有するものもあり、これらは光学異性体として存在する。これらの異性体のラセミ化合物及び個々の異性体自体は、両方とも、さらには、キラリティの核(chiralcenter)が2つ存在する際にはジアステレオマーは、本発明の概念に含まれる。ラセミ化合物はそのまま用いることができ、またはキラル吸収剤(chiral absorbent)を用いたクロマトグラフィーなどにより機械的に個々の異性体に分離できる。または、個々の異性体を、キラル状(chiral form)に調製してもよく、または樟脳−10−スルホン酸(10−camphorsulfonic acid)、樟脳酸、α−ブロモ樟脳酸(alpha−bromocamphoric acid)、メトキシ酢酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸(diacetyltartaric acid)、リンゴ酸、ピロリドン−5−カルボン酸の各鏡像異性体などの、キラル酸(chiral acid)と塩を形成し、さらに、分解した塩基の1つまたは両方を除去し、必要であれば上記工程を繰り返すことによって、混合物から化学的に分離し、実質的に他を含まない(すなわち、95%超の光学純度(opticalpurity)を有する形態で)一方または両方を得てもよい。
【0038】
上記化合物によるTNFαの産生の防止または阻害は、好都合に、抗TNFα抗体を用いてアッセイできる。例えば、プレート(ヌンク イムノプレート(Nunc Immunoplate)を、4℃で12〜14時間、5μg/mlの精製ウサギ抗TNFα抗体で処理する。次に、このプレートを、5mg/mlのBSAを含むPBS/0.05%ツィーン(Tween)で25℃において2時間ブロックする。洗浄後、100μlの未知物質及びコントロールを添加し、プレートを4℃で12〜14時間インキュベートする。このプレートを洗浄し、ペルオキシダーゼ(西洋ワサビ)とマウス抗TNFαモノクローナル抗体との複合体(conjugate)を用いて検定し、0.012%過酸化水素を含むリン酸−クエン酸緩衝液(phosphate−citrate buffer)に溶解したo−フェニレンジアミンで発色させ、492nmで読み取る。
【0039】
化合物は、イミド類の調製法として一般に公知の方法で調製できる。一般的な反応機構には、次式で示されるように、置換アミンまたはアンモニアと置換ベンゾイルクロリドの反応が含まれる:
【0040】
【化2】

【実施例】
【0041】
次の実施例は、本発明の特性をさらに代表するために役立つが、添付の請求の範囲で規定される範囲を限定するように構成するものではないのである。
【0042】
(実施例1 メチルN−ベンゾイル−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート)
氷バスで冷却、撹拌された、15mlのテトラハイドロフラン中のメチル3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート塩化水素(0.689g、2.50mmol)とトリエチルアミン(0.7ml、5mmol)の懸濁液に、0.3mlの塩化ベンゾイル(2.6mmol)を加えた。冷却用バスを15分後に取り除き、混合物をさらに45分間撹拌した。反応混合物を、その後、15mlの塩水と15mlの水で希釈し、その後、一部真空で濃縮してテトラハイドロフランを除去した。反応スラリーを濾過し、固形物を空気乾燥し、その後、真空で乾燥(60℃、<1mm)して白粉末として0.86gの生成物(100%)を得た:H NMR(dmso−d,250MHz)δ8.84(d,J=8.3Hz,1H,NH),7.83(m,2H,Ar),7.60−7.35(m,3H,Ar),7.06(s,1H,Ar),6.90(m,2H,Ar),5.50−5.30(m,1H,CHN),3.75(s,3H,OCH),3.72(s,3H,OCH),3.46(s,3H,COCH),3.05−2.75(m,2H,CH);13C NMR(dmso−d)δ170.8,165.6,148.6,147.9,134.9,134.5,131.2,128.3,127.3,118.5,111.6,110.6,55.5,55.5,51.4,49.7,40.6.分析.計算値C1921NO.理論値C,66.46;H、6.16;N,4.08.実測値C、66.22;H,6.05;N,3.98。
【0043】
(実施例2 メチルN−(3−ニトロベンゾイル)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート)
氷バスで冷却、撹拌された、10mlのテトラハイドロフラン中のメチル3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート塩化水素(1.38g,5.00mmol)とトリエチルアミン(1.5ml,10.8mmol)の懸濁液に、一時に、3−ニトロベンゾイルクロリド(0.928g,5.00mmol)を加えた。粘性のスラリーが生じた。
【0044】
15分後に冷却用のバスを除去し、混合物を10mlのテトラハイドロフランで希釈し、混合物をさらに撹拌した。反応混合物を50mlの水で希釈し、その後、真空で一部濃縮してテトラハイドロフランを除去した。反応スラリーを濾過し、固形物を多量の水で洗浄、空気乾燥し、さらに真空で乾燥(60℃、<1mm)してオフホワイト粉末として1.85g(95%)の生成物を得た:H NMR(CDCl,250MHz)δ8.63(t,J=1.9Hz,1H),8.35(m,1H,Ar),8.20(m,1H,Ar),7.77(d,J=8Hz,1H,NH),7.63(t,J=8.0Hz,1H),6.95−6.75(m,3H,Ar),5.86(m,1H,CHCO),3.85(s,3H,OCH),3.84(s,3H,OCH),3.68(s,3H,COCH),3.01(m,2H,CH);13C NMR(CDCl)δ172.0,164.1,149.1,148.6,148.2,135.8,133.1,132.7,129.8,126.1,122.0,118,2,111.2,109.9,55.9,55.8,52.0,50.2,39.5。
【0045】
(実施例3 メチルN−(3−アミノベンゾイル)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート)
150mlの酢酸エチルと75mlのメタノールとの混合物(混合物を徐々に加熱して固形物のすべてを溶解させ、その後、室温に冷却させる)中のメチルN−(3−ニトロベンゾイル)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート(1.25g,3.22mmol)の溶液に、0.25gの10%Pd/Cを加えた。混合物を、その後、パータイプシェーカー(Parr Type Shaker)上で60Psi のHで2.5時間処理した。
【0046】
反応の進行を、TLC(1/9酢酸エチル/塩化メチレン、UV)でモニターし、2.5時間後に完了した。反応混合物を、セライト(celite)で濾過して触媒を除去した。濾液を真空で乾燥して、所定の生成物1.07g(93%)を真空乾燥(60℃、<1mm)で提供できる白色固形物を得た:H NMR(dmso−d,250MHz)δ8.60(d,J=8.5Hz,1H,NH),7.15−6.8(m,6H,Ar),6,67(m,1H,Ar),5.40(m,1H,CHCO),5.24(m,2H,ArNH),3.75(s,3H,OCH),3.72(s,3H,OCH),3.56(s,3H,COCH),2.95(dd,J=8.9,15.4Hz,1H),2.81(dd,J=6.3,15.4Hz,1H);13C NMR(dmso−d)δ170.9,166.4,148.6,148.6,147.8,135.6,135.1,128.6,118.5,116.4,114.4,112.8,111.6,110.6,55.5,55.5,51.4,49.6,40.7。
【0047】
(実施例4 メチルN−(4−ニトロベンゾイル)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート)
氷バスで冷却、撹拌された、25mlのテトラハイドロフラン中のメチル3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート塩化水素(1.38g、5.00mmol)とトリエチルアミン(1.5ml,10.8mmol)の懸濁液に、一時に、4−ニトロベンゾイルクロリド(0.928g,5.00mmol)を加えた。15分後、冷却用バスを除去し、反応混合物を45分間撹拌した。反応混合物を、その後、50mlの水で希釈した。反応スラリーを濾過し、固形物を水で洗浄し、空気乾燥し、その後、真空で乾燥し(60℃、<1mm)て、黄色粉末として、1.86g(94%)の生成物を得た:H NMR(CDCl/TMS,250MHz)δ8.27(d,J=8.8Hz,2H),7.98(d,J=8.8Hz,2H),7.77(d,J=8.1Hz,1H,NH),6.95−6.75(m,3H,Ar),5.55(m,1H,CH),3.86&3.85(2s,6H,2OCH),3.68(s,3H,COCH),3.00(m,2H,CH);13C NMR(CDCl/TMS)δ172.2,164.4,149.6,149.1,148.7,139.7,132.6,128.2,123.8,118.1,111.2,109.9,55.9,55.8,52.0,50.0,39.3。
【0048】
(実施例5 メチルN−(4−アミノベンゾイル)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート)
100mlの酢酸エチルと50mlのメタノールとの混合物(混合物を徐々に暖めて固形物のすべてを溶解し、その後、室温に冷却する)中のメチルN−(3−ニトロゼンゾイル)−3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート(1.25g,3.22mmol)の溶液に、0.25gの10%pd/Cを加えた。混合物を、その後、パータイプシェカー上において60psi のHで2.5時間処理した。反応の進行を、TLC(1/9酢酸エチル/塩化メチレン、UV)でモニターし、2.5時間後完了させた。反応混合物をセライトで濾過して触媒を除去した。濾液を真空で濃縮して、所定の生成物1.10g(96%)を提供するように真空で乾燥した(60℃、<1mm)白色固形物を得た:H NMR(dmso−d,250MHz)δ8.32(d,J=8.5Hz,1H,NH),7.57(d,J=8.6Hz,1H,Ar),7.03(s,1H,Ar),6.88(m,2H,Ar),6.54(d,J=8.6,2H,Ar),5.62(s,2H,NH),5.38(m,1H,CHCO),3.74(s,3H,OCH),3.71(s,3H,OCH),3.56(s,3H,COCH),2.94(dd,J=8.8,15.3Hz,1H),2.80(dd,J=6.5,15.3,1H);13C NMR(dmso−d)δ170.9,165.5,151.7,148.5,147.8,135.4,128.8,121.1,118.5,112.5,111.6,110.6,55.5,55.5,51.3,49.4,40.8。
【0049】
(実施例6 メチルN−(3−メトキシベンゾイル)−3−アミノ−3−(3´,4´−ジメトキシフェニル)プロピオネート)
氷バスで撹拌された、20mlの無水テトラハイドロフラン中のメチル3−アミノ−3−(3´,4´−ジメトキシフェニルプロピオネート塩化水素(0.689g,2.50mmol)と0.7mlのトリエチルアミンの懸濁液に、3−メトキシベンゾイルクロリド(2.5mmol)を注射器で加えた。30分後、反応混合物を室温まで暖めて1時間撹拌した。反応混合物をその後、20mlの水で処理した。そのテトラハンドロフランを真空で除去し、得られる混合物をメチレンクロリド(25mlで2回)で抽出した。組合わせた抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、コントラクト(contract)して粘性油を得た。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、1.4/8.6酢酸エチル/ヘキサン)で精製して浅い緑色の固形物(ワックス)として、0.5g(56%)を得た:融点123.5−125℃;H NMR(CDCl/TMS)δ8.96(d,J=7.9,1H),8.19(m,1H),7.45(m,1H),7.12−6.68(m,5H),5.59(m,1H),4.00(s,3H,OCH),3.87(s,3H,OCH),3,85(s,3H,OCH),3.63(s,3H,OCH),2.96(m,2H,CH13C NMR(CDCl/TMS)δ171.6,164.4,157.6,148.9,148.2,133.8,132.8,132.3,121.3,121.2,118.1,111.3,111.2,109.9,55.8,55.8,51.6,49.7,40.4;TLC(2/8酢酸エチル/ヘキサン、UV)R=0.26.分析.計算値C2023NO.理論値C,64.33;H,6.21;N,3.75.実測値C,64.31;H,6.25;N,3.63。
【0050】
(実施例7 メチルN−ニコチノイル−3−アミノ−3−(3´,4´−ジメトキシフェニル)プロピオネート)
冷却(0℃)、撹拌した、20mlのテトラハイドロフラン中の3−アミノ−3−(3´,4´−ジメトキシフェニル)プロピオネート塩化水素(1.38g,5.0mmol)とトリエチルアミン(1.5ml、10.8mmol)の懸濁液に、ニコチノイルクロリド塩化水素(0.89g,5.0mmol)を加えた。粘性のスラリーを15分間撹拌し、その後、室温に暖め、撹拌を2時間続けた。反応混合物を20mlの水で処理すると褐色の溶液となった。テトラハンドロフランを真空で除去し、水性層をメチレンクロリド(3回、25ml)で抽出した。組合わせた抽出液を硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空で濃縮して油、それは一夜で固形化する、を得た。白色固形物を真空(60℃、<1mm)で乾燥し、0.52g(30%)の粗生成物を得た。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、5%メタノール/塩化メチレン)で精製し、真空(60℃、<1mm)で乾燥し、白色固形物として、0.38g(22%)の生成物を得た:H NMR(CDCl)δ9.10−9.00(m,1H),8.80−8.69(m,1H),8.19−8.08(m,1H),7.65−7.31(m,2H),6.96−6.76(m,3H),5.64−5.50(m,1H),3.87(s,3H),3.86(s,3H),3.67(s,3H),3.14−2.37(m,2H).13C NMR(CDCl)δ172.1,164.6,152.4,149.2,148.7,148.1,135.0,132.8,129.9,123.5,118.1,111.3,111.2,109.9,109.8,55.9,52.0,49.8,39.5.HPLC99.47%。
【0051】
(実施例8 メチルN−アセチル−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート)
氷バスで冷却、撹拌した、30mlのテトラハイドロフラン中のメチル3−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオネート塩化水素(1.97g,7.14mmol)とトリエチルアミン(2.15ml,15.43mmol)の懸濁液に、塩化アセチル(0.51ml,7.14mmol)を加えた。15分後冷却用バスを除き、混合物をさらに2時間撹拌した。反応混合物を水(25ml)で希釈し、その後、真空で部分的に濃縮しテトラハイドロフランを除いた。残りの水性混合物を塩化メチレン(3回、20ml)で抽出し、組合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥した。塩化メチレンを真空で除去して、オレンジ油として、粗生成物1.40gを得た。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、5%メタノール/塩化メチレン)で精製して、後程固形化される油、少量の不純物として、1.22gの生成物を得、固形物をヘキサン/酢酸エチルから再結晶した。白色固形物を真空(60℃、<1mm)で乾燥して白色固形物の生成物0.81g(41%)を得た:H NMR(CDCL)δ6.92−6.79(m,3H),6.56−6.39(m,1H),5.45−5.03(m,1H),3.87(s,3H),3.86(s,3H),3.63(s,3H),3.02−2.75(m,2H),2.02(s,3H);13C NMR(CDCl)δ171.7,169.2,149.1,148.5,133.1,118.1,111.2,110.2,55,9,51.8,49.4,39.7,23.4;HPLC98.63%。
【0052】
(実施例9)
それぞれ活性成分を50mgづつ含有する錠剤は、以下のように調製することができる:
組成(1000錠用)
活性成分 50.0g
ラクトース 50.7g
小麦スターチ 7.5g
ポリエチレングリコール6000 5.0g
タルク 5.0g
ステアリン酸マグネシウム 1.8g
脱イオン水 適当十分量(q.s.)
固形成分は、まず、0.6mmメッシュ幅の篩を通される。活性成分、ラクトース、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび半分量のスターチが次いで混合される。もう半分のスターチは40mlの水中に懸濁され、この懸濁液を水100ml中のポリエチレングリコールの沸騰溶液に添加する。得られたペーストを上記粉状物質に添加し、混合物を顆粒状にするが、必要に応じて水を添加してもよい。この顆粒を一晩35℃にて乾燥し、1.2mmメッシュ幅の篩に通され、圧縮されて、両側が凹状とされた約6mm直径の錠剤が形成される。
【0053】
(実施例10)
それぞれ活性成分を100mgづつ含有する錠剤は、以下のように調製することができる:
組成(1000錠用)
活性成分 100.0g
ラクトース 100.0g
小麦スターチ 47.0g
ステアリン酸マグネシウム 3.0g
全ての固形成分は、まず、0.6mmメッシュ幅の篩を通される。活性成分、ラクトース、ステアリン酸マグネシウムおよび半分量のスターチが次いで混合される。もう半分のスターチは40mlの水中に懸濁され、この懸濁液を沸騰水100mlに添加する。得られたペーストを上記粉状物質に添加し、混合物を顆粒状にするが、必要に応じて水を添加してもよい。この顆粒を一晩35℃にて乾燥し、1.2mmメッシュ幅の篩を通し、圧縮して、両側が凹状である約6mm直径の錠剤を形成する。
【0054】
(実施例11)
それぞれ活性成分を75mgづつ含有する咀嚼用錠剤(tablet for chewing)は、以下のように調製することができる:
組成(1000錠用)
活性成分 75.0g
マンニトール 230.0g
ラクトース 150.0g
タルク 21.0g
グリシン 12.5g
ステアリン酸 10.0g
サッカリン 1.5g
5%ゼラチン溶液 適当十分量
全ての固形成分は、まず、0.25mmメッシュ幅の篩を通される。マンニトールとラクトースとを混合し、ゼラチン溶液の添加によって顆粒状にし、2mmメッシュ幅の篩を通し、50℃で乾燥し、再度1.7mmメッシュ幅の篩を通す。活性成分、グリシンおよびサッカリンを注意深く混合し、マンニトール、ラクトース顆粒、ステアリン酸およびタルクを添加し、全体を十分に混合し、圧縮して、両側が凹状とされかつ上部側に割り溝を有する約10mm直径の錠剤を形成する。
【0055】
(実施例12)
それぞれ活性成分を10mgづつ含有する錠剤は、以下のように調製することができる:
組成(1000錠用)
活性成分 10.0g
ラクトース 328.5g
コーンスターチ 17.5g
ポリエチレングリコール6000 5.0g
タルク 25.0g
ステアリン酸マグネシウム 4.0g
脱イオン水 適当十分量
固形成分は、まず、0.6mmメッシュ幅の篩を通される。次に、活性成分、ラクトース、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび半分量のスターチを十分混合する。もう半分のスターチを65mlの水中に懸濁して、この懸濁液を水260ml中のポリエチレングリコールの沸騰溶液に添加する。得られたペーストを上記粉状物質に添加して、全体を混合して、顆粒状にするが、必要に応じて水を添加してもよい。この顆粒を一晩35℃にて乾燥し、1.2mmメッシュ幅の篩を通し、圧縮して、両側が凹状とされかつ上部側に割り溝を有する約10mm直径の錠剤を形成する。
【0056】
(実施例13)
それぞれ活性成分を100mgづつ含有するゼラチン乾燥充填カプセル(gelatin dry−filled capsule)は、以下のように調製することができる:
組成(1000カプセル用)
活性成分 100.0g
微結晶セルロース 30.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 2.0g
ステアリン酸マグネシウム 8.0g
ラウリル硫酸ナトリウムを0.2mmメッシュ幅の篩を通して、活性成分中へと添加し、この2成分を10分間十分に混合する。次に、微結晶セルロースを0.9mmメッシュ幅の篩を通して添加し、これら全部を再度10分間十分に混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを0.8mm幅の篩を通して添加して、さらに3分間混合した後、混合物をサイズ0(伸長された)のゼラチン乾燥充填カプセル中にそれぞれ140mgづつ挿入した。
【0057】
(実施例14)
0.2%注射ないし注入用溶液は、例えば、以下のように調製することができる:
活性成分 5.0g
塩化ナトリウム 22.5g
リン酸緩衝液(pH7.4) 300.0g
脱ミネラル水 2500.0mlまで
活性成分を1000mlの水に溶解し、ミクロフィルターで瀘過する。緩衝溶液を添加して、全量を水で2500mlとする。投与量の単位形態(dosage unit form)を調製するために、1.0または2.5ml毎の分量をガラスアンプル中に入れる(それぞれ2.0または5.0mgの活性成分を含有する)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式で表される有効量の化合物を投与することを特徴とする哺乳動物のTNFαのレベルを低減する方法:
【化1】

ここで、Arは、(i)直鎖、分岐または環式の、炭素数1〜12の非置換アルキル基;(ii)直鎖、分岐または環式の、炭素数1〜12の置換アルキル基;(iii)フェニル基;(iv)1以上の置換基で置換されたフェニル基、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ(carbethoxy)基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる、(v)複素環基または(vi)1以上の置換基で置換された複素環基、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる;
Rは、−H、炭素数1〜10のアルキル基、CHOH、CHCHOHまたはCHCOZ ここで、Zは炭素数1〜10のアルコキシ、ベンジルオキシまたはN HR ここで、RはHまたは炭素数1〜10のアルキル;および
Yは、i)フェニル基または複素環基、それは、非置換又は1以上の置換基で置換されている、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる、又はii)ナフチル基である。
【請求項2】
次式で表される化合物:
【化2】

(ここで、Arは、(i)直鎖、分岐または環式の、炭素数1〜12の非置換アルキル基;(ii)直鎖、分岐または環式の、炭素数1〜12の置換アルキル基;(iii)フェニル基;(iv)1以上の置換基で置換されたフェニル基、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ(carbethoxy)基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる、(v)複素環基または(vi)1以上の置換基で置換された複素環基、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる;
Rは、−H、炭素数1〜10のアルキル基、−CHOH、−CHCHOHまたは−CHCOZ ここで、Zは炭素数1〜10のアルコキシ、ベンジルオキシまたはN HR ここで、RはHまたは炭素数1〜10のアルキル;および
Yは、i)フェニル基または複素環基、それは、非置換又は1以上の置換基で置換されている、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる、又はii)ナフチル基である。)の有効量を投与することを特徴とする哺乳動物のTNFα活性化レトロウイルスの複製を阻害する方法。
【請求項3】
前記Arは、2つのメトキシ基で置換されてなるフェニル基であることを特徴とする請求項2に記載の哺乳動物のTNFα活性化レトロウイルスの複製を阻害する方法。
【請求項4】
TNFαを阻害するために、一度または複数回の投与で、下式で表される有効量の化合物を含む製薬組成物:
【化3】

(ここで、Arは、(i)直鎖、分岐または環式の、炭素数1〜12の非置換アルキル基;(ii)直鎖、分岐または環式の、炭素数1〜12の置換アルキル基;(iii)フェニル基;(iv)1以上の置換基で置換されたフェニル基、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ(carbethoxy)基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる、(v)複素環基または(vi)1以上の置換基で置換された複素環基、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる;
Rは、−H、炭素数1〜10のアルキル基、−CHOH、−CHCHOHまたは−CHCOZ ここで、Zは炭素数1〜10のアルコキシ、ベンジルオキシまたはN HR ここで、RはHまたは炭素数1〜10のアルキル;および
Yは、i)フェニル基または複素環基、それは、非置換又は1以上の置換基で置換されている、ここで、置換基は、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、カルベトキシ基、カルボメトキシ基、カルボプロポキシ基、アセチル基、カルバモイル基、アセトキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基およびハロゲンよりなる群から独立に選ばれる、又はii)ナフチル基である。)。
【請求項5】
前記Arは、2つのメトキシ基で置換されてなるフェニル基である請求項4記載の製薬組成物。

【公開番号】特開2008−19269(P2008−19269A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234561(P2007−234561)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【分割の表示】特願平8−520979の分割
【原出願日】平成7年11月20日(1995.11.20)
【出願人】(500026935)セルジーン コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】