説明

新規化合物

【課題】感染の異なる段階、詳細には感染が確立された時に発現される可能性がある細菌の遺伝子のセットの提供。
【解決手段】(a)特定な配列で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドコードしているポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド;(b)(a)のポリヌクレオチドに相捕的なポリヌクレオチド;(c)寄託クローンのDNAに含まれる、特定な配列のポリヌクレオチド配列を含む遺伝子により発現されるのと同じ成熟ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド;および(d)ポリヌクレオチド(a)、(b)または(c)の少なくとも15個の連続した塩基を含むポリヌクレオチドからなる群より選択されるポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド、ならびにそれをコードするポリヌクレオチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規に同定されたポリヌクレオチドおよびかかるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド;かかるポリヌクレオチドおよびポリペプチドの使用、ならびにかかるポリヌクレオチドおよびポリペプチドの製造および本発明ポリヌクレオチドで形質転換された組み換え宿主細胞に関する。また本発明は、かかるポリヌクレオチドまたはポリペプチドの生合成または作用の阻害、ならびに治療におけるかかる阻害剤の使用にも関する。本発明の好ましい具体例はストレプトコッカス、詳細にはストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae)のポリペプチドおよびポリヌクレオチドを包含する。
【背景技術】
【0002】
ストレプトコッカス属(Streptococci)は医学的に重要な微生物属を形成しており、ヒトにおいて、中耳炎、肺炎および髄膜炎を包含する、いくつかの型の疾患を引き起こすことが知られている。ストレプトコッカス属の単離から100年以上も経過しているため、ストレプトコッカス・ニューモニアエは、より詳細な研究がなされた微生物の一つである。例えば、事実、DNAが遺伝物質であるという初期の見解の大部分は、この微生物を用いたGriffithならびに、Avery、MacleodおよびMcCartyの研究において述べられた。ストレプトコッカス・ニューモニアエに関する研究は膨大であるにも関わらず、この微生物の毒性に関しては多くの疑問が残されている。
【0003】
病原性に関連したある種のストレプトコッカスの因子、例えば、きょう膜多糖、ペプチドグリカン、ニューモリシン、PspA補体因子H結合成分、オートリシン、ノイラミニダーゼ、ペプチドパーメアーゼ、過酸化水素、IgA1プロテアーゼが同定されているが、それらがすべてではない。さらに、哺乳動物宿主における感染および疾病の進行中におけるかかる遺伝子の一時的発現に関してはほとんどわかっていない。細菌は感染の異なる段階、詳細には感染が確立された時に発現される可能性がある細菌の遺伝子のセットを発見することは、発症を妨害しうる新規抗微生物剤のスクリーニングおよび特徴づけに関する重要な情報を提供する。かかるアプローチは、既知蛋白についてのより十分な理解を提供することのほかに、従来認識されていなかった標的を同定するであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
細菌は感染の異なる段階、詳細には感染が確立された時に発現される可能性がある細菌の遺伝子のセットを見出すこと、それにより、発症を妨害しうる新規抗微生物剤のスクリーニングおよび特徴づけに関する重要な情報を得ることを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、本明細書記載のアミノ酸配列を含む新規蛋白、詳細にはストレプトコッカス・ニューモニアエ0100993株の蛋白またはそのフラグメント、アナログもしくは誘導体に関する。
【0006】
本発明のもう1つの態様によれば、かかるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)が提供される。
【0007】
詳細には、本発明は、本明細書記載のDNA配列を有するポリヌクレオチドを提供する。
【0008】
また本発明は、本明細書記載の配列由来のオリゴヌクレオチドであって、本明細書記載のストレプトコッカス・ニューモニアエ遺伝子が部分的または全体的に感染組織において発現されているかどうかを決定するための本明細書記載の方法においてPCRプライマーとして作用しうるオリゴヌクレオチドにも関する。かかる配列は病原体の感染段階および感染タイプの診断にも有用である。そのようにして同定された蛋白は抗微生物化合物を同定するように設計されたスクリーニングにおける標的としても有用である。
【0009】
配列表および既知アミノ酸配列または表1の項目にて確認される蛋白のごとき他の蛋白との間のアミノ酸配列相同性により、新規ポリペプチドであると同定されたポリペプチド提供することが本発明の1の目的である。
【0010】
配列表に示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することがさらなる本発明の目的である。
【0011】
本発明の特に好ましい具体例において、ポリヌクレオチドは、配列表に示す配列を含むポリペプチドまたはその変種をコードする領域を含む。
【0012】
本発明のもう1つの好ましい具体例において、配列表のアミノ酸を含む新規蛋白またはその変種がある。
【0013】
本発明のもう1つの態様によれば、治療または予防目的、詳細には遺伝学的免疫のための本発明ポリヌクレオチドの使用が提供される。配列表に示すポリヌクレオチドの天然に存在する対立遺伝子変種が特に好ましい本発明の具体例である。
【0014】
本発明のもう1つの態様によれば、かかるポリペプチドに対する阻害剤が提供され、それらは抗細菌剤として有用であり、例えば抗体を包含する。
【0015】
本発明の特定の好ましい具体例によれば、配列表記載の配列の発現の評価、疾病の治療、例えば中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎、膿胸および心内膜炎、最も詳細には例えば脳脊髄液の感染のごとき髄膜炎の治療、遺伝学的変異のアッセイ、ならびに細菌、特にストレプトコッカス・ニューモニアエ細菌に対する免疫学的応答を生起するための生物への本発明ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの投与のための、製品、組成物および方法が提供される。
【0016】
本発明のこのおよび他の態様の特定の好ましい具体例によれば、特に、厳密な条件下で本発明ポリヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドが提供される。
【0017】
本発明の特定の好ましい具体例において、本発明ポリペプチドに対する抗体が提供される。
【0018】
本発明の他の具体例において、本発明ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの結合、あるいは相互作用して、それらの活性を阻害または活性化する化合物の同定方法が提供され、該方法は、化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチドとの間の結合あるいは他の相互作用を可能にする条件下で、本発明ポリペプチドまたはポリヌクレオチドをスクリーニングすべき化合物と接触させて、化合物との結合あるいは他の相互作用を評価し(かかる結合または相互作用は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドと化合物との結合あるいは相互作用に応答して検出可能なシグナルを提供することのできる第2の化合物に関連している)、次いで、化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチドとの結合または相互作用から生じるシグナルの存在または不存在を検出することにより、化合物がポリペプチドまたはポリヌクレオチドに結合あるいは相互作用して、それらの活性を活性化または阻害するかどうかを決定することを含む。
【0019】
本発明のさらにもう1つの態様によれば、本発明ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニスト、好ましくは静細菌性または殺細菌性アゴニストおよびアンタゴニストが提供される。
【0020】
本発明のさらなる態様において、単細胞または多細胞生物に投与するための、本発明ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを含む組成物が提供される。
【0021】
開示した本発明の精神および範囲内での種々の変更および修飾は、以下の記載を読むこと、および本明細書のその他の部分を読むことにより、当業者に容易に明らかとなろう。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、細菌は感染の異なる段階、詳細には感染が確立された時に発現される可能性がある細菌の遺伝子のセットが提供され、それにより、発症を妨害しうる新規抗微生物剤のスクリーニングおよび特徴づけに関する重要な情報を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書記載の各DNA配列を抗細菌化合物の発見または開発に使用にてもよい。各配列は適当な開始コドンおよび終止コドンを伴う読み枠(ORF)を含んでいるので、発現に際し、コードされた蛋白は抗微生物剤のスクリーニングのための標的として使用できる。さらに、好ましくはコードされた蛋白のアミノ末端領域またはシャイン−ダルガーノ領域をコードしているDNA配列を用いてアンチセンス配列を構築し、目的コーディング配列の発現を制御することもできる。さらにそのうえ、本明細書開示の配列の多くはコーディング配列の上流および下流の領域も提供する。これらの配列は細菌遺伝子発現の制御のための調節エレメントの源として有用である。便利には、制限酵素の作用によりかかる配列を単離するか、あるいは化学合成によりかかる配列を合成し、ついで、プロモーター同定株に導入する。これらの株は、制限部位の下流に位置するレポーター構造遺伝子配列を有しており、活性プロモーターが挿入された場合、レポーター遺伝子が発現するであろう。
【0024】
各配列を上記のごとく使用してもよいが、本発明はさらに特に有用な標的遺伝子の同定のためのいくつかの手段を提供する。これらの方法の第1のものは、関連生物において配列合致検索用の適当なデータベースを検索することを含む。よって、相同体が存在する場合、この遺伝子のストレプトコッカス様形態はおそらく類似の役割を果たすであろう。例えば、別の生物の細胞表面蛋白に相同的であると同定されたストレプトコッカスの蛋白はワクチン候補として有用であろう。本明細書開示の配列に対して相同性が確認されるかぎり、それらをコーディング配列とともに報告する。
【0025】
近年の方法は、細菌における一時的遺伝子発現の評価に使用できるようになっており、特に、研究室的条件および感染条件における生存性について適用されている。多くの方法を用いて生存そのものに必要な遺伝子、または感染の確立/維持に必要な遺伝子を同定することができる。これらの方法の1つによる未知
ORFの同定によってその機能に関するさらなる情報が得られ、スクリーニング標的としてさらに開発すべきORFの選択が可能になる。簡単に説明すると、これらの方法は以下のものを包含する:
【0026】
1)シグナチャータグ化突然変異法(Signature Tagged Mutagenesis:STM)
この技法は、Henselら、Science269:400-403(1995)に記載されており、その内容を出典明示により本明細書の一部とする。シグナチャータグ化突然変異誘発は、所定感染モデルにおける感染の確立/維持に必要な遺伝子を同定するものである。
この技法は、種々の手段(例えばトランスポゾン)により、標的生物にランダムに突然変異を誘発し、独特なDNA配列タグを突然変異部位に非常に近接して挿入することに基づく。細菌性突然変異体および感染宿主から回収した細菌の混合集団からのタグは、増幅、放射性標識化およびハイブリダイゼーション分析により検出される。毒性を減じた突然変異体は、感染宿主から回収した細菌のプールのタグの欠如により表される。
ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae)においては、トランスポゾンシステムはあまり開発されていないので、タグ化突然変異体を作るためのより有効な方法は、その内容を出典明示により本明細書の一部とする、Morrisonら、J.Bacteriol.159:870(1984)に記載される挿入-複製突然変異法を用いる。
【0027】
2)インビボ発現法(In Vivo Expression Technology:IVET)
この技術はCamilliら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA.91:2634-2638(1994)およびMahanら、Infectious Agents and Diseases 2:263-268(1994)に記載されており、各々の内容を出典明示により本明細書の一部とする。IVETは、実験培養と比較した場合、感染において重要な役割を有する、感染中にアップレギュレーションする遺伝子を同定する。この技法により同定される配列は感染の確立/維持に重要な役割を有する。
この技法では、標的生物のランダムな染色体フラグメントは、プラスミドベクターのプロモーター不含リポーター遺伝子の上流でクローン化される。プールを宿主に導入し、感染後の種々の時間に細菌を回収し、リポーター遺伝子発現の存在を評価できる。発現したリポーター遺伝子の上流に担持される染色体フラグメントは、感染中に正常なアップレギュレーションをうけるプロモーターまたは遺伝子部分を担持するはずである。組換え酵素遺伝子の上流を配列決定すると、アップレギュレーションされた遺伝子を同定できる。
【0028】
3)引き算ディスプレイ
この技法は、その内容を出典明示により本明細書の一部とする、Chuangら、J.Bacteriol.175:2026-2036(1993)に記載されている。この方法はランダムプライムRT−PCRを用いてmRNAの存在を同定することにより、生体に発現する遺伝子を同定する。感染前および感染後のプロフィールを比較することにより、感染中にアップレギュレーションおよびダウンレギュレーションされる遺伝子を同定でき、RT−PCR生成物が配列決定され、未知ORFに適合させられる。
【0029】
4)トランスポゾン突然変異誘発による条件致死変異体の発生
この技法は、de Lorenzo,V.ら、Gene 123:17-24(1993);Neuwald,A.F.ら、Gene 125:69-73(1993)およびTakiff,H.E.ら、J.Bacteriol.174:1544-1553(1992)に記載されており(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)、発現が細胞の生存に必須である遺伝子を同定する。
この技法では、一方向または両方向でトランスポゾンから外側へ転写する、調節可能なプロモーターを担持するトランスポゾンを生じる。これらのトランスポゾンを標的生物にランダムに挿入し、続いてプロモーター活性のインデューサーの存在下で挿入突然変異体を単離すると、発現が細胞の生存に必須である遺伝子のコーディング領域とプロモーターとを分離するインサートが回収されることが確認される。このインサートは生存できないので、引き続いてインデューサー不含のレプリカ平板法でかかるインサートを同定する。トランスポゾンに隣接する領域の配列決定により挿入部位を同定し、分断された遺伝子を同定する。インデューサー不存在下での成長中の細胞の過程/形態の変化を正確にモニターし、遺伝子の可能な機能に関する情報を得る。このようなモニター観察には、フローサイトメトリー(細胞分割、溶解、酸化還元能、DNA複製)、DNA、RNA、蛋白、脂質、ペプチドグリカンへの放射性化学的標識前駆体の取り込み、既知の細胞性ストレスに反応するリポーター酵素遺伝子融合物のモニター等がある。
【0030】
5)化学的突然変異法による条件致死突然変異体の発生
この技法は、出典明示により本明細書の一部とする、Beckwith,J.Methods in Enzymology204:3-18(1991)に記載されている。この技法では標的生物のランダム化学的突然変異を誘発し、生理学的温度(許容温度)とは異なる温度で増殖させ、続いてレプリカ平板法を行い、異なる温度(例えばts同定のためには42℃、cs同定のためには25℃)で成長させ、その時成長できなかった単離物(条件付き突然変異体)を同定する。前記のように、非許容温度での増殖における変化を正確にモニターし、突然変異遺伝子の機能に関する情報を得る。標的生物からのライブラリーにより条件致死突然変異を相補し、および相補遺伝子を配列決定することにより、未知ORFと適合させることができる。
【0031】
6)RT−PCR
ストレプトコッカス・ニューモニアエのメッセンジャーRNAを、細菌感染した組織、例えば48時間ネズミ・肺感染の組織から単離し、ランダムヘキサヌクレオチドでプライムしたRNAサンプルの逆転写により、続いて遺伝子特異的プライマー対でのPCRにより、mRNA種の各々の量を評価する。得られた
PCR生成物の定量化により特定のmRNA種の存在および量を決定し、感染した組織に転写された細菌遺伝子に関する情報を得る。遺伝子転写の分析は、感染の種々の時間で実施でき、細菌による発病における遺伝子制御に関する詳細な知識を得ることができ、遺伝子産物が新規な抗菌物質をスクリーニングする標的に相当することが明快に理解できるようになる。用いたPCRプライマーの遺伝子特異的特性のために、細菌性mRNA調製物は遊離の哺乳動物RNAである必要はないことが理解されるべきである。これにより研究者は、感染組織から簡単かつ迅速にRNAを調製して、細菌中で非常に短時間しか生育できない(半減期2分程度)細菌性mRNA種を得ることができる。最適には、TRIゾール(ギブコ−BRL)を非常に短時間存在させ、機械的に破壊することにより、細菌性
mRNAを感染ネズミ肺組織から調製し、続いてTRIゾール試薬の製造者の指示に従ってプロセッシングし、DNAase処理して夾雑DNAを除去する。好ましくは、適宜標識した配列特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いてノーザンをプロービングすることにより検出されるようなスタフィロコッカス・アウレウスの16SリボソームRNA、好ましくはスタフィロコッカス・アウレウスの16SリボソームRNAの最大量を得る条件を見出すことによりプロセッシングが最適化される。典型的には、最適には8から25サイクルで終了するPCR反応における各PCRプライマー対には5’色素標識プライマーを用いる。PCR生成物は6%ポリアクリルアミドゲルで分離し、GeneScanner(ABI製)を用いて検出および定量する。
【0032】
これらの方法のそれぞれは、個々の適用により長所または短所を有するかもしれない。当業者は個々の目的を考慮して最も適当な方法を選択するであろう。例えば、いくつかの遺伝子は感染に必須であると認識されるかもしれないが、実際には感染の開始に必要であり、そのため、それらの生成物は確立され慢性化した感染を治療するように開発される抗細菌剤をとしては比較的魅力に乏しい標的であるかもしれない。
【0033】
本発明のORFに適用する場合、これらの技法を用いると、感染中に発現する細菌性蛋白の種類、抗細菌治療に利用できる阻害物質の直接的同定が可能になる。
【0034】
ストレプトコッカス・ニューモニアエ0100993株を含有する寄託物は、ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・リミテッド(NCIMBという)、23ストリート、マッカードライブ、アベルディーンAB21RY、スコットランドに1996年4月11日寄託し、NCIMB受託番号40794が付与された。1996年4月17日に、イー・コリ(E. coli)中のストレプトコッカス・ニューモニアエ0100993DNAライブラリーをNCIMBに同様に寄託し、受託番号40800を付与された。
【0035】
当該分野で知られた合成化学的手法により、あるいは本明細書開示の特定の配列から構築されたプローブを用いてDNA調合物を探索することによりストレプトコッカス・ニューモニアエ0100993株から本明細書開示のヌクレオチド配列を得ることができる。別法として、細菌遺伝子源からの配列のPCRによるクローニングプロセスにおいて、開示配列由来のオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして作用させることもできる。かかる配列は病原体の感染段階および感染タイプの診断にも有用であることが認識される。
【0036】
蛋白をコードしている本発明ポリヌクレオチド配列を得るために、イー・コリ(E.coli)またはいくつかの他の適切な宿主におけるストレプトコッカス・ニューモニアエ0100993の染色体DNAのクローンの典型的なライブラリーを、部分的配列に由来する、好ましくは17量体またはそれ以上の長さの放射性標識化オリゴヌクレオチドを用いてプローブする。プローブのDNAに同一であるDNAを担持するクローンは厳密な条件を用いて区別できる。元の配列から設計した配列決定プライマーを用いてこのように同定した個々のクローンを配列決定することにより、両方向で配列が伸長できるようになり、全遺伝子配列を決定できる。便利には、このような配列決定はプラスミドクローンから調製した変性二本鎖DNAを用いて実施する。適切な技法については、Maniatis,T.、Fitsch,F.F.およびSambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記載されている(Screening By Hybridization 1.90およびSequencing Denatured Double-Stranded DNA Templates 13.70参照)。
【0037】
本発明のポリヌクレオチドはRNAの形態、または例えばcDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含むDNAの形態であってもよい。DNAは二本鎖または一本鎖のいずれであってもよく、1本鎖の場合、コーディング鎖または非コーディング鎖(アンチセンス鎖)であってよい。ポリペプチドをコードするコーディング配列は、本明細書に示すポリヌクレオチドのコーディング配列と同一であってもよい。さらに、それは、遺伝暗号の縮重の結果、異なる配列を有するポリヌクレオチドであってもよい。
【0038】
本発明は、本明細書記載の推定アミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体をコードする、上記ポリヌクレオチドの変種を包含する。核酸塩基に関する標準記号A、G、C、T/Uに加えて、また「N」なる語を、本発明の特定のポリヌクレオチドを記載するのに用いることができる。「N」は、隣接するヌクレオチド位置と一緒になって作用する場合、正確な読み枠を読中で読まれる場合で、Nがそのような読み枠において未成熟終止コドンを形成する効果を有する塩基でありえない場合を除き、4種のDNA塩基またはRNA塩基のいずれかがDNAまたはRNA配列のその指定位置にあることを意味する。
【0039】
よって、本発明は、本明細書の推定アミノ酸配列により特徴づけられるのと同じポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ならびにポリペプチドのフラグメント、誘導体またはアナログをコードするかかるポリヌクレオチドの変種を包含する。かかるヌクレオチド変種は欠失変種、置換変種および付加もしくは挿入変種を包含する。
【0040】
ポリヌクレオチドは、本明細書開示のDNA配列により特徴づけられるコーディング配列の天然に存在する対立遺伝子変種であるコーディング配列を有していてもよい。当該分野において知られているように、対立遺伝子変種は、1個またはそれ以上のヌクレオチドが置換、欠失または付加されていてもよいポリヌクレオチド配列の別形態であり、コードされているポリペプチドの機能を実質的に変化させないものである。
【0041】
成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドのコーディング配列のみを含むものであってもよく、あるいは成熟ポリペプチドのコーディング配列ならびにリーダー配列または分泌配列またはプロ蛋白配列のごときさらなるコーディング配列を含むものであってもよい。
【0042】
用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、ポリペプチドのコーディング配列のみを含むポリヌクレオチド、ならびにさらなるコーディング配列および/または非コーディング配列を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0043】
それゆえ、本発明は、成熟ポリペプチドのコーディング配列が、宿主細胞からのポリペプチドの発現および分泌を促進するポリヌクレオチド配列(例えば、細胞からのポリペプチドの輸送を制御する分泌配列として機能するリーダー配列)にフレーム中で融合していてもよいポリヌクレオチドを包含する。リーダー配列を有するポリペプチドはプレ蛋白であり、宿主細胞により開裂されてポリペプチドの成熟形態を生じる。ポリヌクレオチドはプロ蛋白をコードしていてもよく、プロ蛋白は成熟蛋白とさらなる5’アミノ酸残基とからなる。プロ配列を有する成熟蛋白が開裂されると活性成熟蛋白が残る。
【0044】
よって、例えば、本発明ポリヌクレオチドは成熟蛋白をコードしていてもよく、あるいはプロ配列を有する蛋白またはプロ配列およびプレ配列(リーダー配列)の両方を有する蛋白をコードしていてもよい。さらに、本明細書記載のアミノ酸配列はNH−末端にメチオニンが示されている。しかしながら、ペプチドの翻訳御修飾の間にこの残基が欠失されうることが理解される。したがって、本発明は、本明明細書開示の各蛋白のメチオニン含有およびメチオニン不含アミノ末端変種の両方の使用を企図する。
【0045】
本発明ポリヌクレオチドは、遺伝子の5’または3’末端のいずれかにおいて、本発明ポリペプチドの精製を可能にするマーカー配列にフレーム中で融合したコーディング配列を有していてもよい。マーカー配列は、pQEシリーズのベクター(Qiagen Inc.により市販)により提供されるヘキサ−ヒスチジンタグであってもよく、該タグは細菌宿主の場合にマーカーに融合したポリペプチドの精製を可能にする。
【0046】
さらに本発明は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%の同一性が配列間にある場合に上記配列にハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドに関する。本発明は、特に、厳密な条件下で上記ポリヌクレオチドにハイブリダイゼーションするストレプトコッカスのポリヌクレオチドに関する。本明細書で用いる「厳密な条件」および「厳密なハイブリダイゼーション条件」なる用語は、配列間の同一性が少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%である場合のみに起こるハイブリダイゼーションを意味する。厳密なハイブリダイゼーション条件の例としては、50%ホルムアミド、5xSSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハーツ溶液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの変性し、剪断されたサケ精子DNAを含有する溶液中、42℃で一晩インキュベーションし、続いて約65℃で0.1xSSC中でフィルターを洗浄するものである。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は周知であり、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)、とりわけその第11章に実例が示されている。
【0047】
また本発明は、厳密な条件下で配列表のポリヌクレオチドまたはそのフラグメントのポリヌクレオチド配列を有するプローブを用いて配列表のポリヌクレオチドからなる群より選択されるポリヌクレオチド配列についての完全遺伝子を含む適当なライブラリーをスクリーニングし、次いで、該DNA配列を単離することにより得られるポリヌクレオチド配列を必須としてなるポリヌクレオチドを提供する。かかるポリヌクレオチドを得るのに有用なフラグメントは、例えば、本明細書のいずれかの場所に記載のプローブおよびプライマーを包含する。
【0048】
当該分野にて周知であるように「同一性」は、配列を比較して測定されるような、二つまたはそれ以上のポリペプチド配列間または二つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該分野において、「同一性」とはまた、時には、かかる配列の2つの鎖の間の合致により決定されるような2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の関連性の程度をも意味する。「同一性」および「類似性」はともに既知方法により容易に算出できる(Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.編、オックスフォード・ユニバーシティー・プレス、ニューヨーク、1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.編、アカデミック・プレス、ニューヨーク、1993年;Computer Analysis of Sequence Data,パートI,Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編、ヒューマナ・プレス、ニュージャージー、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.、アカデミック・プレス、1987年;およびSequence Analysis Primer,Gribskov,M.およびDevereux,J.編、Mストックトン・プレス、ニューヨーク、1991年;およびCarillo,H.,およびLipman,D.,SIAM J., Applied Math., 48:1073(1988)があるがこれらに限らない)。同一性を決定するための好ましい方法は、試験する2つの配列間で最も良く適合するように設計される。同一性および類似性を測定する方法は、公に利用できるコンピュータープログラムに集成されている。二つの配列間の同一性および類似性を測定する好ましいコンピュータープログラム法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら、核酸s Research 12(1):387(1984)、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.215:403−410(1990)))を包含するが、これらに限定されるものではない。BLAST XプログラムはNCBIおよび他のソースから公に利用できる(BLAST Manual, Altschul, S., et al., NCBI NLM NIH Bethesda, MD 20894; Altschul, S., et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990))。
【0049】
一例として、配列表のポリヌクレオチドからなる群より選択される対照ヌクレオチド配列に対して、例えば少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを挙げると、そのポリヌクレオチド配列が対照ヌクレオチド酸配列のヌクレオチド100個ごとに5個までのヌクレオチドの変化を含みうることを除き、そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は対照配列と同一である。言い換えると、対照酸配列に対して少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリペプチドを得るためには、対照配列中の5%までのヌクレオチドが欠失または別のヌクレオチドと置換されていてもよく、あるいは対照配列中の全ヌクレオチドのうち5%までの数のヌクレオチドが対照配列に挿入されたものであってもよい。対照配列のこれらの変異は、対照ヌクレオチド配列の5’または3’末端位置に存在していてもよく、あるいはそれらの末端位置の間のいずれかの位置に存在していてもよく、対照配列のヌクレオチドに散在していてもよく、あるいは対照配列内の1個またはそれ以上の一連の群となっていてもよい。
【0050】
同様に、配列表のアミノ酸からなる群より選択される対照アミノ酸配列に対して少なくとも例えば95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを例に挙げると、そのポリペプチド配列が対照アミノ酸配列のアミノ酸100個ごとに5個までのアミノ酸の変化を含みうることを除き、そのポリペプチドのアミノ酸配列は対照配列と同一である。言い換えると、対照アミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、対照配列中のアミノ酸の5%までが欠失または他のアミノ酸と置換していてもよく、あるいは対照配列中の全アミノ酸のうち5%までの数のアミノ酸が対照配列中に挿入されたものであってもよい。対照配列におけるこれらの変化は、対照アミノ酸配列のアミノまたはカルボキシ末端位置に存在してもよく、あるいはそれらの末端間のいずれかの位置に存在してもよく、対照配列中に散在していてもよく、あるいは対照配列内で1個またはそれ以上の一連の群をなしていてもよい。
【0051】
寄託物とは、特許手続き上の微生物寄託の国際承認に関するブダペスト条約の基づいて維持されているものをいう。これらの寄託物は当業者の便宜のためののみ提供され、35U.S.C.112条のもとに要求されるような、寄託が実施可能要件であることを承認するものではない。寄託物を製造、使用または販売するためにはライセンスが必要であるが、そのようなライセンスはここでは賦与されていない。
【0052】
用語「フラグメント」、「誘導体」および「アナログ」は、本明細書の「推定アミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドについていう場合、かかるポリペプチドと本質的に同じ生物学的機能または活性を保持するポリペプチドを意味するよって、アナログは、プロ蛋白部分を開裂して活性成熟ポリペプチド生じさせることにより活性化されうるプロ蛋白を包含する。
【0053】
本発明ポリペプチドは組み換えポリペプチド、天然ポリペプチドまたは合成ポリペプチドであってもよく、好ましくは組み換えポリペプチドである。
【0054】
本明細書の推定アミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドのフラグメント、誘導体またはアナログは、(i)1またはそれ以上のアミノ酸残基が保存的または非保存的アミノ酸残基(好ましくは保存的アミノ酸残基)により置換されたもので、かかる置換アミノ酸残基は遺伝暗号によりコードされたものであってもなくてもよい、または(ii)1またはそれ以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、または(iii)成熟ポリペプチドが別の化合物、例えばポリペプチドの半減期を長くする化合物(例えばポリエチレングリコール)と融合したもの、または(iv)付加アミノ酸がリーダーもしくは分泌配列、または成熟ポリペプチドもしくはプロ蛋白配列の精製に用いられる配列などの成熟ポリペプチドと融合したものであってもよい。かかるフラグメント、誘導体およびアナログは、本明細書の教示より当業者に明らかであると考えられる。
【0055】
本発明ポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、好ましくは単離形態で提供され、好ましくは均一に精製される。
【0056】
「単離」とは、元の環境(例えば、天然物の場合、その本来の環境)から取り出されたことを意味する。例えば、生体に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離」されていないが、その天然状態で共存する物質から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されている。かかるポリヌクレオチドはベクターの一部であってもよく、そして/あるいはかかるポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部であってもよく、かるベクターまたは組成物はその天然環境の一部分でないという点で、やはり単離されたものである。
【0057】
また本発明は、本発明ポリヌクレオチドを含むベクター、本発明ベクターを用いて遺伝子操作された宿主細胞、ならびに組み換え法による本発明ポリペプチドの製造に関する。
【0058】
それゆえ、本発明のさらなる態様によれば、宿主中でポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを発現させ、発現生成物を回収することにより、組み換え法による本発明ポリペプチドの製造方法が提供される。別法として、本発明ポリペプチドを慣用的ペプチド合成装置により合成的に得ることもできる。
【0059】
本発明ベクターを用いて宿主細胞を遺伝子操作(トランスダクションまたは形質転換またはトランスフェクション)する。本発明ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ等の形態であってよい。プロモーター活性化、形質転換体選択または遺伝子増幅に適するように修飾された慣用的な栄養培地中で、遺伝子操作された宿主細胞を培養することができる。温度、pH等の培養条件は、選択された宿主株での発現にかつて用いられたものであり、当業者に明かである。
【0060】
適当な発現ベクターは、染色体、非染色体および合成DNA配列、例えば、細菌プラスミド;ファージDNA;バキュロウイルス;酵母プラスミド;プラスミドおよびファージDNAの組み合わせに由来するベクターを包含する。しかしながら、宿主中で複製可能で生存可能である限り、他のいずれもベクターを用いてもよい。
【0061】
種々の方法により適当なDNA配列をベクターに挿入することができる。一般的には、当該分野で知られた方法により、DNA配列を適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入する。
【0062】
発現ベクター中のDNA配列は、mRNA合成を指令する適当な発現調節配列(プロモーター)に作動可能に連結される。かかるプロモーターの典型例として、は、LTRまたはSV40プロモーター、イー・コリ(E. coli)のlacまたはtrp、ラムダファージのPプロモーター、ならびに原核細胞または真核細胞またはそれらのウイルスにおいて遺伝子発現を制御することが知られている他のプロモーターが挙げられる。さらに発現ベクターは、翻訳開始のためのリボソーム結合部位および転写ターミネーターを含む。ベクターは発現増幅のための適当な配列を含んでいてもよい。
【0063】
さらに、好ましくは、発現ベクターは、形質転換宿主細胞の選択のための表現型を付与する1またはそれ以上の選択可能マーカーを含み、マーカーは、例えば、真核細胞培養にはジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性であり、イー・コリにおいてはテトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性である。
【0064】
プロモーター、リボソーム結合部位(細菌での発現の場合)、そして所望によりオペレーター(本明細書では、まとめて「制御エレメント」という)の制御下に遺伝子を置くことができ、その結果、この発現構築物を含むベクターにより形質転換された宿主細胞中で、所望蛋白をコードするDNA配列がRNAに転写される。コーディング配列はシグナルまたはリーダー配列を含んでいても、いなくてもよい。例えば、イー・コリのtacプロモーターまたはプロテインA遺伝子(spa)プロモーターおよびシグナル配列を用いて本発明ポリペプチドを発現させることができる。リーダー配列は、翻訳御プロセッシングにおいて細菌宿主により除去されうる。例えば、米国特許第4431739号、第4425437号、第4338397号参照。CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターまたは選択可能マーカーを有する他のベクターを用いて所望遺伝子からプロモーター領域を選択することができる。2種の適当なベクターはpKK232−8およびpCM7である。lacI、lacZ、T3、T7、gpt、ラムダPR、PLおよびtrp等を特に挙げておく。真核プロモーターはCMV即時初期、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルス由来のLTRs、およびマウスメタロチオネイン−Iを包含する。適当なベクターおよびプロモーターの選択は当業者のレベル内のことである。
【0065】
制御配列のほかに、宿主細胞の増殖に関連して蛋白配列の発現を調節可能な調節配列を付加することが望ましいかもしれない。調節配列は当業者に知られており、例としては、調節化合物の存在などの化学的または物理的刺激に応じて遺伝子発現をオンまたはオフにするもの等が挙げられる。他のタイプの調節エレメント、例えば、エンハンサー配列がベクター中に存在してもよい。
【0066】
特定のコーディング配列が適当な調節配列とともにベクター中に存在するように発現ベクターを構築し、制御配列に対するコーディング配列の位置および方向は、コーディング配列が制御配列の「制御」下で転写されるようなものとする(すなわち、制御配列のところでDNA分子に結合するRNAポリメラーゼがコーディング配列を転写するようにする)。コーディング配列の修飾はこの目的の達成にとり望ましいかもしれない。例えば、いくつかの場合、配列を修飾して適当な方向で、すなわち読み枠を維持するように制御配列に結合させることが必要であるかもしれない。上記クローニングベクターのごときベクター中に挿入する前に制御配列および他の調節配列をコーディング配列に連結してもよい。別法として、コーディング配列を、すでに制御配列および適当な制限部位を有する発現ベクター中に直接クローンしてもよい。
【0067】
一般的には、組み換え発現ベクターは複製開始点および宿主細胞の形質転換を可能にする選択可能マーカー、例えばイー・コリのアンピシリン耐性遺伝子およびエス・セレビシアエ(S. cerevisiae)のTRP1遺伝子ならびに下流構造遺伝子の直接転写のための高発現遺伝子由来のプロモーターを含むであろう。翻訳開始および終結配列ならびに好ましくはペリプラスム空間または細胞外培地中に翻蛋白を直接分泌させうるリーダー配列とともに異種構造配列を集合させて適当な配置とする。所望により、異種配列は、所望特性を付与する、例えば安定化させ、あるいは発現組み換え生成物の精製を容易にするN−末端同定ペプチドを含む融合蛋白をコードしていてもよい。
【0068】
適当な上記DNA配列ならびに適当なプロモーターまたは制御配列を含むベクターを用いて適当な宿主を形質転換して、宿主に蛋白を発現させてもよい。
【0069】
より詳細には、本発明は、上でおおまかに説明した1またはそれ以上の配列を含む組み換え構築物をも包含する。構築物は、プラスミドもしくはウイルスベクターのごときベクターを含み、ベクター中に本発明配列が順方向または逆方向に挿入されている。この具体例の好ましい態様において、構築物はさらに調節配列(例えば当該配列に作動可能に連結されたプロモーターを包含)を含む。多数の適当なベクターおよびプロモーターが当業者に知られており、市販されている。例えば、下記ベクターがある。細菌ベクター:pET3ベクター(Stratagene)、pQE70、pQE60、pQE−9(Qiagen)、pbs、pD10、phargescript、psiX174、pbluescript SK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、(Stratagene)、ptrc99a、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)。真核細胞ベクター:pBlueBacIII(Invitrogen)、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)。しかしながら、宿主中で複製可能で生存可能である限り、他のプラスミドまたはベクターを用いてもよい。
【0070】
クローニング用の組み換えDNAベクターおよびそれらが形質転換可能な宿主細胞の例は、バクテリオファージλ(イー・コリ)、pBR322(イー・コリ)、pACYC177(イー・コリ)、pKT230(グラム陰性細菌)、pGV1106(グラム陰性細菌)、pLAFR1(グラム陰性細菌)、pME290(非イー・コリグラム陰性細菌)、pHV14(イー・コリおよびバチルス・ズブチリス)、pBD9(バチルス)、pIJ61(ストレプトミセス)、pUC6(ストレプトミセス)、YIp5(サッカロミセス)、バキュロウイルス昆虫細胞系、YCp19(サッカロミセス)。一般的には、"DNA Cloning": Vols. I & II, Glover et al. ed. IRL Press Oxford (1985)(1987)およびT. Maniatis et al. "Molecular Cloning" Cold Spring Harbor Laboratory (1982)参照。
【0071】
いくつかの場合、宿主細胞からのポリペプチドの分泌、その後の分泌シグナルの開裂を引き起こす配列を付加することが好ましいかもしれない。
【0072】
適当なプロモーターの制御下でポリペプチドを宿主細胞中で発現させることができる。無細胞翻訳系を用い、本発明DNA構築物由来のRNAを用いてかかる蛋白を得てもよい。原核細胞および真核細胞に使用する適当なクローニングおよび発現ベクターはSambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor, N. Y., (1989)により記載されており、これを参照により本明細書に記載されているものとみなす。
【0073】
適当な宿主株の形質転換および適当な細胞密度までの宿主細胞の増殖の後、適当な手段(例えば、温度シフトまたは化学的誘導)により選択プロモーターを誘導し、さらなる期間細胞を培養する。
【0074】
典型的には、遠心分離により細胞を集め、物理的または化学的手段により細胞を破壊し、ついで、得られた粗抽出物をさらなる精製のためにとっておく。
【0075】
凍結溶解繰り返し、超音波処理、機械的破壊、あるいは細胞溶解剤の使用を包含する慣用的方法により、蛋白発現に使用される微生物細胞を破壊することができ、かかる方法は当業者によく知られている。
【0076】
選択した発現系および宿主にもよるが、上記発現ベクターにより形質転換した宿主細胞を目的ポリペプチドが発現される条件下で増殖させることにより本発明ポリペプチドを製造してもよい。ついで、ポリペプチドを宿主細胞から単離し、精製する。発現系がポリペプチドを増殖培地中に分泌する場合、ポリペプチドを培地から直接精製することができる。ポリペプチドが分泌されない場合、ポリペプチドを細胞溶解物から単離するか、あるいは細胞膜フラクションから回収する。ポリペプチドが細胞表面に局在化する場合、細胞全体または単離細胞膜を所望遺伝子産物のアッセイ可能ソースとして使用することができる。イー・コリのごとき細菌宿主において発現されたポリペプチドは封入体からの単離および再生を必要とするかもしれない。成熟蛋白が不溶性生成物の過剰発現を導く非常に疎水性の領域を有する場合、疎水性領域が欠失された末端切断蛋白を発現させることが望ましいかもしれない。適当な増殖条件および回収方法の選択は当業者のなしうるところである。
【0077】
硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを包含する方法により、ポリペプチドを組み換え細胞培養物から回収し、精製することができる。天然蛋白の立体配置を完成させることにおいて、必要に応じて蛋白再生工程を用いることができる。最後に、高品質液体クロマトグラフィー(HPLC)を最終精製工程に用いてもよい。
【0078】
組み換え製造方法に用いる宿主にもよるが、本発明ポリペプチドは糖鎖付加されていてもよく、あるいはされていなくてもよい。本発明ポリペプチドは、最初のメチオニンアミノ酸残基を含んでいてもよい。
【0079】
「レプリコン」は、DNA複製の自律的単位として機能する、すなわち、自分自身の制御下で複製可能な遺伝学的エレメント(例えば、プラスミド、染色体、ウイルス)である。
【0080】
「ベクター」は、プラスミド、ファージ、またはコスミドのごときレプリコンであり、それに別のDNAセグメントを結合させて結合セグメントを複製させてもよい。
【0081】
「2本鎖DNA分子」は、弛緩ならびにスーパーコイル状の2本鎖ヘリックスとなったデオキシリボヌクレオチド(塩基アデニン、グアニン、チミン、またはシトシン)のポリマー形態をいう。この用語は分子の1次および2次構造についてのみ用い、個々の3次元形態を限定しない。よって、この用語は、とりわけ直鎖状DNA分子(例えば、制限フラグメント)、ウイルス、プラスミド、および染色体に見いだされる2本鎖DNAを包含する。特定の2本鎖DNA分子についていう場合、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAに対して相同的な配列を有する鎖)を5’から3’方向に従来通り示すことにより本明細書に配列を記載する。
【0082】
DNA「コーディング配列」または「特定蛋白をコードしているヌクレオチド配列」は、適当な調節配列の制御下に置いた場合、ポリペプチドにまで転写され翻訳されるDNA配列である。
【0083】
「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼを結合でき、下流(3’方向)コーディング配列の転写を開始しうるDNA調節領域である。本発明を定義する目的で、プロモーター配列はその3’末端においてコーディング配列の翻訳開始コドン(例えば、ATG)に結合しており、コーディング配列の5’方向に伸長し、バックグラウンド以上の検出レベルでの転写を開始させるに必要な最小数の塩基またはエレメントを含むものとする。転写開始部位(便利には、ヌクレアーゼS1でのマッピングにより決定される)、ならびにRNAポリメラーゼの結合に関与する蛋白結合ドメイン(コンセンサス配列)がプロモーター配列中に見いだされるであろう。真核プロモーターは、しばしば(常にではない)、TATAボックスおよびCATボックスを含むであろう。原核プロモーターは−10および−35コンセンサス配列を含む。
【0084】
DNA「制御配列」は、プロモーター配列、リボソーム結合部位、ポリアデニレーションシグナル、転写終結配列、上流調節ドメイン、エンハンサー等を総称し、それらはまとまって宿主細胞においてコーディング配列の発現(すなわち、転写および翻訳)を引き起こす。
【0085】
RNAポリメラーゼがプロモーター配列に結合し、コーディング配列をmRNAに転写し、ついで、mRNAがコーディング配列によりコードされたポリペプチドにまで翻訳される場合、制御配列はコーディング配列の「発現を指令」するという。
【0086】
「宿主細胞」は、外来DNA配列により形質転換またはトランスフェクションされた、あるいは形質転換またはトランスフェクションされうる細胞である。
【0087】
かかる外来DNAが細胞膜内に導入された場合、外来DNAにより細胞は「形質転換」されたという。外来DNAは染色体中に組み込まれて(共有結合して)細胞のゲノムを形成していてもよく、あるいはしていなくてもよい。例えば、原核細胞および酵母においては、外来DNAはプラスミドのごときエピソームエレントとして維持されうる。真核細胞については、安定に形質転換またはトランスフェクションされた細胞は、その中で外来DNAが染色体中に組み込まれるようになり、その結果、染色体複製により外来DNAは娘細胞に遺伝される。真核細胞が外来DNAを含有する娘細胞の集団を含む細胞系またはクローンを確立する能力によりこの安定性が示される。
【0088】
「クローン」は、有糸分裂により単一の細胞または共通の祖先に由来する細胞の集団である。「細胞系」は、何世代にもわたってインビトロで安定に増殖しうる1次細胞のクローンである。
【0089】
DNA構築物の「異種」領域は、天然において他の分子に結合した状態では見いだされない別のDNA分子に含まれた、あるいは結合したDNAの同定可能なセグメントである。
【0090】
本発明はまた診断試薬として使用するための本発明のポリヌクレオチドの使用にも関する。真核生物とりわけ哺乳動物、特にヒトにおける本発明ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの検出は、疾患の診断のための診断法を提供する。本発明ポリヌクレオチドを含む生物に感染した真核生物(本明細書において「個体」とも称する)とりわけ哺乳動物、特にヒトを種々の方法によりDNAレベルで検出できる。
【0091】
診断用の核酸は、感染した個体の細胞および組織、例えば骨、血液、筋肉、軟骨および皮膚より得ることができる。ゲノムDNAを直接検出に使用してもよく、あるいは分析の前にPCRもしくはその他の増幅法を用いることにより酵素的に増幅できる。RNAまたはcDNAもまた同じ方法で用いることができる。増幅法を用いると、真核生物とりわけ哺乳動物、特にヒトに存在する原核生物株を、原核生物遺伝子の遺伝子型の分析により特徴づけすることができる。対照配列の遺伝子型と比較した場合の増幅産物の大きさの変化により、欠失および挿入を検出できる。点突然変異は、増幅DNAを標識下本発明ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズさせることにより同定できる。完全に対合した配列はRNアーゼ消化により、または融解温度の差により、誤対合二重らせんから区別できる。変性剤含有または不含ゲル中のDNAフラグメントの電気泳動の移動度の変化を検出することにより、または直接的なDNAの配列決定により、DNA配列の差を検出してもよい。例えばMeyersら、Science,230:1242(1985)参照。また、特異的な位置での配列の変化を、ヌクレアーゼ保護アッセイ、例えばRNアーゼおよびS1保護または化学的切断法によって明らかにしてもよい。例えばCottonら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 85:4397-4401 (1985)参照。
【0092】
本発明の遺伝子の突然変異または多型性を担持する細胞を、種々の技術により、DNAレベルで、例えばセロタイピングすることにより検出してもよい。例えば、RT−PCRを用いて突然変異を検出することができる。RT−PCRは自動検出系、例えばGeneScan等と組み合わせて用いるのがとりわけ好ましい。RNAまたはcDNAを同じ目的でPCRまたはRT−PCRに用いてもよい。例を挙げると、本発明ポリペプチドをコードする核酸に相補的なPCRプライマーは、突然変異を同定および分析するのに用いることができる。これらのプライマーを用いて、感染個体から単離された遺伝子を増幅して、ついで、DNA配列を調べるための種々の技法に該遺伝子を供してもよい。このようにして、DNA配列における突然変異を検出し、感染の診断および感染性物質のセロタイピングおよび/または分類に使用することができる。
【0093】
本発明はまた、疾患、好ましくは細菌感染、より好ましくはストレプトコッカス・ニューモニアエによる感染のような疾病の診断方法を提供し、該方法は、配列表に示す配列を有するポリヌクレオチドの発現レベルの上昇を個体由来の試料から検出することを特徴とする。本発明ポリヌクレオチドの発現の増加または低下は、ポリヌクレオチドの定量法として当該分野でよく知られたいずれかの方法、例えば増幅、PCR、RT−PCR、RNアーゼ保護、ノーザンブロッティングおよびその他のハイブリダイゼーション法を用いて測定できる。
【0094】
さらに、正常対照組織サンプルと比較して、本発明ポリペプチドの過剰発現を検出するための本発明診断アッセイを用いて、例えば感染の存在を検出してもよい。宿主由来のサンプル中の本発明ポリペプチドのレベルを決定するために用いることができるアッセイ技法は、当業者に周知である。かかるアッセイ法には、ラジオイムノアッセイ、競争結合アッセイ、ウェスタンブロット分析およびELISAアッセイ等がある。
【0095】
本発明のさらなる態様において、治療または予防目的での本発明ポリペプチドの使用、例えば抗微生物剤またはワクチンとしての使用が提供される。
【0096】
本発明のもう1つの態様によれば、治療または予防目的での、特に遺伝学的免疫のための本発明ポリヌクレオチドの使用が提供される。
【0097】
本発明のさらにもう1つの態様によれば、抗細菌剤として有用な、かかるポリペプチドの阻害剤が提供される。詳細には、かかるポリペプチドに対する抗体が提供される。
【0098】
本発明ポリペプチドを用いて、例えば、細胞、無細胞調合物、化学ライブラリー、および天然産物混合物中における小型分子基質およびリガンドの結合を評価してもよい。これらの基質およびリガンドは天然基質およびリガンドであってもよく、構造上または機能上の模倣物であってもよい。例えば、Coligan et al.,Current Protocols in Immunology 1(2):Chapter 5 (1991)参照。
【0099】
また本発明は、本発明ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの作用を増強(アゴニスト)または阻害(アンタゴニスト)する化合物、詳細には、静菌性および/または殺菌性化合物を同定するための、化合物のスクリーニング方法をも提供する。該スクリーニング方法は高処理量の方法である。例えば、アゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングするために、本発明ポリペプチドおよびこのようなポリペプチドの標識基質またはリガンドを含む、合成反応混合物、膜、細胞表面膜もしくは細胞壁のごとき細胞コンパートメント、またはそれらのいずれかの調製物を、本発明ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストとなりうる候補分子の存在下または不在下でインキュベーションする。候補分子が本発明ポリペプチドにアゴナイズまたはアンタゴナイズする能力は、標識化リガンドの結合の低下またはこのような基質からの生成物の産生の低下に反映される。結合しても影響を及ぼさない分子、すなわち本発明ポリペプチドの効果を誘導しない分子は、最も良好なアンタゴニストである可能性がある。結合性が良好で、基質からの生成物の生成速度を高める分子はアゴニストである。基質からの生成物の生成速度またはレベルはリポーターシステムを用いることにより強調できる。この点に関して有用なリポーターシステムには、生成物に転換される比色測定用標識化基質、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド活性の変化に応答するリポーター遺伝子、および当該分野で周知の結合アッセイ等があるが、これらに限定するものではない。
【0100】
本発明アンタゴニストのアッセイのもう1つの例は競争アッセイであり、競争阻害アッセイに適した条件下で、かかるポリペプチドおよび潜在的アンタゴニストを、ポリペプチド結合分子、組換えポリペプチド結合分子、天然基質もしくはリガンド、または基質もしくはリガンド模倣物と混合する。例えば放射活性または比色測定用化合物により本発明ポリペプチドを標識し、結合分子に結合した、または生成物に変換されたポリペプチド分子の数を正確に決定して、潜在的なアンタゴニストの効果を評価できる。
【0101】
潜在的アンタゴニストには、本発明ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに結合し、そのことによりその活性を阻害し消失させる小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドおよび抗体などがある。また、潜在的アンタゴニストは、密接に関連した蛋白または抗体のごとき小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドであって、潜在的アンタゴニストは結合分子の同じ部位に結合するが、本発明ポリペプチドの活性を誘導せず、それゆえかかるポリペプチドを結合から排除することによりかかるポリペプチドの作用を妨害するものである。
【0102】
潜在的アンタゴニストには、ポリペプチドの結合部位に結合し、およびそれを占領し、それにより細胞性結合分子への結合を妨害して、正常の生物学的活性を妨害する小型分子等がある。小型分子の例としては、小型有機分子、ペプチド、ペプチド様分子等があるが、これらに限定するものではない。その他の潜在的アンタゴニストにはアンチセンス分子等がある(これらの分子についての記載に関してはOkano,J.,Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxy-nucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press, Boca Raton, FL (1988)参照)。好ましい潜在的アンタゴニストには、本発明ポリペプチド関連化合物および本発明ポリペプチド変種等がある。
【0103】
本明細書に示す各DNA配列を、抗細菌化合物の発見および開発に使用してもよい。コードされている蛋白は、発現した場合、抗細菌剤のスクリーニングのための標的として使用されうる。さらに、コードされている蛋白のアミノ末端領域または各mRNAのシャイン−ダルガーノ配列または他の翻訳容易化配列をコードしているDNA配列を用いてアンチセンス配列を構築し、目的コーディング配列の発現を制御することもできる。
【0104】
また本発明は、感染の続発症に関与する病因および哺乳動物宿主間の最初の物理的相互作用を妨害するための本発明ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは阻害物質の使用を提供する。とりわけ本発明分子を、内在デバイス上の哺乳動物細胞外マトリックス蛋白または傷における細胞外マトリックス蛋白への細菌の付着、詳細にはグラム陽性細菌の付着の防止;例えば、哺乳動物チロシンキナーゼのホスホリレーションを開始することによる、蛋白により媒介される哺乳動物細胞への侵入のブロック(Rosenshine et al.,Infect.Immunol.60:2211(1992));哺乳動物細胞外マトリックス蛋白と細菌蛋白との間の、組織ダメージを媒介する細菌付着のブロック;内在デバイスの移植または他の外科的方法以外により開始される、感染における通常の病状の進行のブロックに使用することができる。
【0105】
本発明アンタゴニストおよびアゴニストを、例えば、中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎、膿胸および心内膜炎、最も詳細には例えば脳脊髄液の感染のごとき髄膜炎の抑制および治療に用いてもよい。
【0106】
本発明のもう1つの態様は、上記の本発明ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは阻害剤および医薬上許容される担体を含む医薬組成物である。
【0107】
特定の態様において、本発明は、抗細菌剤としての本発明阻害剤の使用を提供する。
さらに本発明は、かかる用途の医薬の製造に関する。
【0108】
ポリペプチドを宿主免疫用ワクチンとして用いて、抗細菌作用を有する特異的抗体を得てもよい。また本発明は、後でより詳細に説明するように、DNA中の成分として抗原をコードしているDNAの使用も企図する。
【0109】
それらを発現するポリペプチドまたは細胞を免疫原として用いて、それに対する抗体を得ることができる。これらの抗体は、例えば、ポリクローナル、またはモノクローナル抗体であってよい。用語「抗体」もまた、キメラ、1本鎖、およびヒト化抗体、ならびにFabフラグメント、あるいはFab発現ライブラリー生成物を包含する。当該分野で知られた種々の方法をかかる抗体およびフラグメントの製造に使用してもよい。
【0110】
動物へのポリペプチドの直接注射、または動物、好ましくは非ヒトへのポリペプチドの投与により、本発明ポリペプチドに対して生成する抗体を得ることができる。ついで、そのようにして得られた抗体はポリペプチド自身に結合するであろう。このようにして、ポリペプチドのフラグメントのみをコードしている配列を用いた場合であっても、無傷のポリペプチドに結合する抗体を得ることができる。ついで、かかる抗体を用いて当該ポリペプチドを発現している組織からポリペプチドを単離することができる。
【0111】
ポリペプチド誘導体には抗原的、エピトープ的または免疫学的に等価な変種等があり、本発明の特定の態様である。
【0112】
本明細書で用いる「抗原的に等価な誘導体」なる用語は、本発明により蛋白またはポリペプチドに対して生成した場合、病原および哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用を妨害する特定の抗体により特異的に認識されるポリペプチドまたはその同等物を包含する。
【0113】
本明細書で用いる「免疫学的に等価な誘導体」なる用語は、脊椎動物において抗体を産生させるのに適した処方を用いた場合、抗体が病原および哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用を妨害するように作用するペプチドまたはその等価物を包含する。
【0114】
詳細には、本発明の生の蛋白またはポリペプチドフラグメントよりもわずかに長いまたは短い誘導体を用いてもよい。さらに、1個またはそれ以上のアミノ酸残基が修飾されているポリペプチドを用いてもよい。かかるペプチドを、例えばアミノ酸の置換、付加、または転移によりあるいは化学修飾により得てもよい。かかるすべての置換および修飾はペプチド化学の当業者に広く知られている。
【0115】
ポリペプチド、例えば抗原的、免疫学的に等価な誘導体、またはそれらの融合蛋白は、マウスまたはその他の動物例えばラットもしくはニワトリを免疫するための抗原として使用できる。融合蛋白はポリペプチドに安定性を付与できる。抗原は、例えば抱合することにより、免疫原性キャリヤ蛋白、例えばウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホール・リンペット・ヘモシアニン(keyhole limpet haemocyanin:KLH)に結合することができる。あるいはまた、蛋白もしくはポリペプチド、またはそれらに抗原的もしくは免疫学的に等価なポリペプチドの多重コピーを含む多重抗原ペプチドは、免疫原性を改良するための十分な抗原性を有しているので、キャリヤを使用しなくてすむ。
【0116】
連続的細胞系培養により産生される抗体を提供する、当業者周知の技術を用いて、モノクローナル抗体を調製することができる。例としては、Kohler, G.およびMilstein, C.,Nature, 256:495-497 (1975); Kozborら、Immunology Today, 4:72 (1983);Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R Liss, Inc.、77-96頁(1985)に記載されるような種々の技法がある。
【0117】
一本鎖抗体の産生のために記載された技術(米国特許第4946778号)を適用して、本発明ポリペプチドに対する一本鎖抗体を得ることができる。
【0118】
KohlerおよびMilstein(上記、1975年)の方法を用いて、免疫した哺乳動物由来の抗体含有細胞をミエローマ細胞と融合させてモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を作成する。
【0119】
1種またはそれ以上のもとのポリペプチドおよび/または融合蛋白を用いてハイブリドーマをスクリーニングして、高い結合アフィニティーを有し、他のスタフィロコッカス種との好ましい交差反応をする細胞系を選択する。選択した細胞系を培養して所望Mabを得る。
【0120】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞系は本発明のもう1つの態様である。
【0121】
別法として、ファージディスプレイ技法を用いて、抗−ポリペプチドを有することにつきスクリーニングされたヒト・リンパ球のPCR増幅されたv遺伝子のレパートリーから、抗−Fbpを有することについてスクリーニングされたヒトから、あるいは無処理のライブラリーから、ポリペプチドに対する結合活性を有する抗体遺伝子を選別することもできる(McCafferty, J.ら、Nature 348:552-554 (1990); Marks, J.ら、Biotechnology 10:779-783 (1992))。これらの抗体の親和性はチェインシャフリング(chain shuffling)により改善することもできる(Clackson, T.ら、Nature 352:624-628 (1991))。
【0122】
ポリペプチドおよび/または融合蛋白に対する高アフィニティーに関して抗体を再度スクリーニングすべきである。
【0123】
上記のごとく、最終抗体のフラグメントを調製してもよい。
【0124】
抗体は分子量約150000の無傷の抗体あるいはその誘導体、例えばSkerra, A and Pluckthum, A., Science 240:1038-1040 (1988)に記載されたようなFabフラグメントまたはFvフラグメントであってもよい。二つの抗原結合ドメインが存在する場合、各ドメインは「二特異性」抗体と称する異なるエピトープに対して指向される。
【0125】
例えば、確立されたモノクローナル抗体法(Kohler, G.およびMilstein, C.の上記文献(1975年))により、あるいは例えばHuse, W. D. et al., Science 246: 1275-1281 (1989)に記載されたようなコンビナトリアルライブラリーのごとき組み換え手段を用いて本発明抗体を調製してもよい。
【0126】
好ましくは、本発明ポリペプチドの発現について上記したような適当な発現系において該抗体をコードしているDNAポリマーを発現させることにより抗体を調製する。発現系のベクターの選択は、一部には宿主に応じてなされるであろうし、宿主としては、例えばイー・コリ(好ましくはB株)もしくはストレプトミセス種のごとき原核細胞、あるいはマウスC127、マウスミエローマ、ヒトHeLa、チャイニーズハムスター卵巣、糸状菌もしくは単細胞真菌または昆虫細胞であってもよい。宿主はトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物(例えば、Hiatt, A. et al., Nature 340:76-78 (1989)に記載されたような)であってもよい。適当なベクターはプラスミド、バクテリオファージ、コスミド、ならびに例えばバキュロウイルスおよびワクシニアに由来する組み換えウイルスを包含する。
【0127】
酵素処理により、例えばパパインを用いてFab部分をFc部分から開裂することによりFabフラグメントを、その親モノクローナル抗体から調製してもよい。
【0128】
好ましくは、抗体またはそれらの変種を、個体における免疫原性を減じるために修飾する。例えば、個体がヒトである場合、最も好ましくは、抗体は「ヒト化」されており;この場合、ハイブリドーマ由来の抗体の相補性決定領域がヒト・モノクローナル抗体に移植されており、例えばJones,P.ら、Nature 321:522-525(1986)またはTempestら、Biotechnology 9:266-273(1991)に記載されている。
【0129】
修飾は必ずしも「ヒト化」抗体に限定するものではなく、他の霊長類配列(例えば、Newman, R. et al., Biotechnology 10: 1455-1460 (1992))を用いてもよい。
【0130】
ヒト化モノクローナル抗体、または結合能を有するそのフラグメントは本発明の特定の態様を形成する。
【0131】
本発明は、本発明において標的として「選択された蛋白を妨害する薬剤を同定するためのスクリーニング法を提供する。該方法は、試験薬剤による蛋白活性の妨害を測定することを含む。例えば、選択された蛋白が触媒活性を有する場合、適当な精製および処方の御、その本来の基質を変換する能力により酵素活性を追跡することができる。化学合成された異なる化合物または天然生成物をかかる酵素活性のアッセイに取り入れることにより、本来の基質と競争し、あるいは酵素活性を阻害するする添加物を検出することができる。
【0132】
本発明は、本発明により同定される阻害剤にも関する。
【0133】
本発明のポリヌクレオチドを遺伝学的免疫において使用する場合、例えばプラスミドDNAの筋肉への直接注射(Wolffら、Hum.Mol.Genet.1:363(1992);Manthorpeら、Hum.Gene Ther.4:419(1963))、特異的蛋白キャリヤーとDNAとの複合体の送達(Wuら、J.Biol.Chem.264:16985(1989))、リン酸カルシウムとのDNA共沈(Benvenisty & Reshef、PNAS 83:9551(1986))、種々の形態のリポソーム中へのDNA封入(Kanedaら、Science 243:375(1989))、微粒子爆撃(Tangら、Nature 356:152(1992);Eisenbraunら、DNA Cell Biol.12:791(1993))およびクローン化レトロウイルスベクターを用いたインビボ感染(Seegerら、PNAS 81:5849(1984))等の適切な送達方法を用いるのが好ましい。筋肉トランスフェクションのための適当なプロモーターは、CMV、RSV、SRa、アクチン、MCK、アルファグロビン、アデノウイルスおよびジヒドロ葉酸レダクターゼを包含する。
【0134】
治療において、または予防薬として、活性物質を注射用組成物として、例えば好ましくは等張の無菌水性分散物として個体に投与できる。
【0135】
別法として、組成物を局所適用用、例えば軟膏、クリーム、ローション、眼軟膏、点眼液、点耳液、洗口剤、含浸包帯および縫合用の糸、ならびにエアロゾール等の形態に処方してもよく、適当な慣用的な添加物、例えば保存剤、薬物の浸透を補助する溶媒、ならびに軟膏およびクリームには軟化剤を含有していてもよい。かかる局所用処方は、適合した慣用的な担体、例えばクリームまたは軟膏基剤、およびローションにはエタノールまたはオレイルアルコールを含有していてもよい。このような担体は重量で処方の約1%から約98%であってよく、より通常には重量で処方の約80%までとする。
【0136】
哺乳動物とりわけヒトに投与するために、活性物質の1日あたりの投与量は、0.01mg/kgから10mg/kgであり、典型的には約1mg/kgである。医者はあらゆる場合、個体に最も適した実際の投与量を決定し、年齢、体重および特に個体の反応性に応じて変化させる。上述の投与量は、平均的なケースの典型例である。もちろん、高用量および低用量の範囲が適合する個々の例もあり、かかる例は本発明の範囲内である。
【0137】
便利には、ワクチン組成物は注射可能形態である。慣用的なアジュバントを用いて免疫応答を促進してもよい。
【0138】
免疫のための適当な1回分の用量は0.5〜5μg/kgの抗原であり、好ましくは、かかる用量を1〜3週間間隔で1〜3回投与する。
【0139】
指示された用量範囲内では、本発明化合物について、適切な患者への投与を妨げる不都合な毒物学的効果は考えられない。
【0140】
本明細書記載の個々の全長配列を下表(表1および表2)にまとめる。表1の「アイデンティティ(Identity)」の欄にはBlastPおよび/またはMPSearchを用いて決定した本発明の各読み枠の推定アイデンテイティを示す。ORF#の欄は、各ORFをコードするポリヌクレオチドが1つよりも多いORFをコードしているかどうかを示す。例えば、配列番号:263はORF#1を有するが、#2を有しない。よって、そのポリヌクレオチドはこのORF#1をコードしているが、他のORFは検出されなかった。一方、配列番号:286および287はそれぞれORF#1および2を有し、それらが両方とも同じポリヌクレオチドによりコードされていたことを示す。これは表2にもあてはまり、配列番号:24のポリヌクレオチドは配列番号:286および287のORFをコードしている。また表1は、各ORFのスタート(STARTの欄)およびストップ(STOPの欄)コドンならびにポリヌクレオチド配列をコードする際のそれらの位置を示す。この表のポリペプチドの配列番号はこの表の推定アイデンティティならびに各ポリペプチドをコードする表2のポリヌクレオチド配列とリンクしている。表1の「方向」の欄はこの表の各ポリペプチドをコードしているORFの方向を示す。「Forward」はORFのセンス方向を示し、「Reverse」はアンチセンス方向を示す。
【0141】
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】


【表1−4】


【表1−5】


【表1−6】


【表1−7】


【表1−8】


【表1−9】

【表1−10】


【表1−11】


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【表1−13】


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【表1−16】


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【表1−18】


【表1−19】


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【表1−24】


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【表1−30】

【表1−31】


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【表1−40】

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【表1−50】

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【表1−66】


【表1−67】


【表1−68】

【表1−69】


【表1−70】

【表1−71】

【0142】
表2は本発明の各DNA配列の配列番号と、その読み枠がコードしているポリペプチドの配列番号との間の関係を示す。例えば、配列番号:1のDNAは1つのポリペプチド配列番号:24をコードしている。一方、配列番号:2のDNAは2つのポリペプチド配列番号:286および配列番号:287をコードしている。
【0143】
【表2−1】


【表2−2】


【表2−3】


【表2−4】


【表2−5】


【表2−6】


【表2−7】

【0144】
下記実施例の理解を容易にするために、頻繁に用いられる方法および/または用語を説明する。
【0145】
「プラスミド」は、大文字および/または番号の前および/または後の小文字pにより標記される。本発明の初発プラスミドは市販品、制限なく公に利用可能なものであってもよく、あるいは公表された方法により市販プラスミドから構築可能なものであってもよい。さらに、記載されたものと等価なプラスミドは当該分野で知られており、当業者に明かであろう。
【0146】
DNAの「消化」は、DNA中の特定の配列のみに作用する制限酵素でのDNAの触媒的開裂をいう。本発明に使用される種々の制限酵素は市販されており、それらの反応条件、コファクターおよび他の必須因子は当業者に知られているであろう。分析のためには、典型的には約20μlのバファー溶液中、1μgのプラスミドまたはDNAフラグメントを約2ユニットの酵素とともに使用する。プラスミド構築用のDNAフラグメントの単離には、典型的にはより大きな体積中で、5ないし50μgのDNAを20ないし250ユニットの酵素で消化する。個々の制限酵素についての適当なバッファーおよび基質量は製造者により詳述されている。37℃で約1時間のインキュベーション時間が通常用いられるが、供給者の指示に従って変更してもよい。消化後、反応物をアガロースゲルで直接電気泳動して所望フラグメントを単離する。
【0147】
Goeddel, D. et al., (1980) 核酸s Res., 8: 4057により記載された8パーセントポリアクリルアミドゲルを用いて開裂されたフラグメントのサイズ分離を行う。
【0148】
「オリゴヌクレオチド」は、1本鎖ポリデオキシヌクレオチドまたは2本の相捕的なポリデオキシヌクレオチド鎖をいい、それらは化学的に合成されうる。かかる合成オリゴヌクレオチドは5’リン酸を有しておらず、それゆえ、キナーゼ存在下でATPを用いてリン酸を付加しなければ別のオリゴヌクレオチドに連結されない。合成オリゴヌクレオチドは脱リン酸化されていないフラグメントに連結される。
【0149】
「連結」は、2つの2本鎖核酸間のホスホジエステル結合形成プロセスをいう(maniatis, T., et al.,上記文献の146頁)。特記しない限り、0.5μgのほぼ等モル量の連結すべきDNAフラグメントに対して10ユニットのT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」という)を用い、既知バッファーおよび条件を用いて連結を行ってもよい。
【実施例1】
【0150】
実施例1
ストレプトコッカス・ニューモニアエ中の毒性遺伝子をコードするDNAの単離
上記のごとく、本明細書開示の各DNAは、生の読み枠を含んでいるという事実により、抗微生物化合物の同定のためのスクリーニングに多かれ少なかれ有用である。スクリーニングの開発に好ましいDNA配列を選択するための有用なアプローチは、挿入−複製変異法(insertion-duplication mutagenesis)による評価である。Morrison et al., J. Bacteriol. 159: 870 (1984)により開示されたこの系を下記のごとく適用する。
【0151】
簡単に説明すると、ストレプトコッカス・ニューモニアエ0100993株の任意のDNAフラグメントを、酵素的(制限エンドヌクレアーゼ消化による)または物理的(超音波処理による剪断による)に得て、ついで、ゲル分画し、T4 DNAポリメラーゼを用いて末端修復する。そのようにして得られたDNAフラグメントが200〜400塩基対の範囲であることが好ましく、かかるサイズは均質な組み換えを確実にし、イー・コリ中の典型的なライブラリーを保証する。ついで、Hensel et al., Science 269: 400-403 (1995)に記載されたような適当にタグを付したプラスミドにフラグメントを挿入する。多くのプラスミドをこの目的に使用できるが、特に有用なプラスミドはPearce et al., Mol. Microbiol. 9: 1037 (1993)に記載されたpJDC9であり、それはポリリンカークローニング部位の1つにDNA配列を取り込むことによりすでに修飾されており、erm遺伝子を担持していて、イー・コリまたはエス・ニューモニアエ(S. pneumoniae)のいずれかにおけるエリスロマイシン選択を容易となる。とりわけ、ニューモコッカス肺炎のネズミモデルにおいてセロタイプおよび毒性に基づいて選択された適当なエス・ニューモニアエ株にタグを付したプラスミドを導入する。
【0152】
17種のアミノ酸コンピテンス因子が存在し(Havastein et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 92: 11140-44 (1995))、これらをこのプロトコルにうまく使用して形質転換頻度を上昇させてもよいことが理解される。形質転換体の割合を分析して均質な組み込みを証明し、安定性をチェックする。複製領域が短い(200〜400bp)ので、望ましくないレベルの復帰突然変異が最少化されるが、有意な復帰突然変異の割合が認められる場合には、培養中の形質転換体の増殖期間中および/または動物中での増殖期間中において抗生物質選択圧を維持することにより復帰突然変異の割合を変化させてもよい。
【0153】
エス・ニューモニアエ形質転換体をマウス、例えばSwissおよび/またはC57B1/6への摂取用にプールする。予備実験を行って最適なプールの複雑性および摂取レベルを確立する。特に有用なモデルはVeber et al. (J. Antimicrobiol. Chemother. 32: 432 (1993))により記載されており、該モデルでは10cfuの摂取サイズが口から気管へと導入される。例えば、Swissマウスでは発症に3〜4日、C57B1/6マウスでは8〜10日かかり、株の相違が観察される。血流感染を媒介する遺伝子を評価する場合には腹腔内投与も可能である。感染モデルのパラメーターの最適化後、通常には数千株を含む変異株バンクについて毒性テストを行う。Hensel et al., Science 269: 400-403 (1995)に記載のように、「インプット(input)」および「回収された(recovered)」プールからの標識タグをプローブとして使用するハイブリダイゼーション分析により、毒性が弱まった変異株を同定する。エス・ニューモニアエDNAをコロニーブロットまたはドットブロットし、組み込まれたプラスミドに隣接するDNAをイー・コリにおけるプラスミドレスキュー(plasmid rescue)(Morrison et al., J. Bacteriol. 159: 870 (1984))によりクローン化し、配列決定する。配列決定後、DNAを本明細書記載のヌクレオチド配列と比較し、適当なORFを同定し、例えばノックアウト研究(knock-out studies)により機能を確認する。選択蛋白を提供する発現ベクターを調製し、抗微生物剤の同定のための適当なスクリーニングに用いる。別法として、組み込まれたプラスミドに隣接する制限フラグメントを用いてゲノムライブラリーをプローブして全長のクローン化された毒性遺伝子を単離し、ノックアウト研究または他の方法によりその機能を確認することができ、ついで、遺伝子を発現させ、上記のごとくスクリーニングに使用する。
【産業上の利用可能性】
【0154】
下表3は表1の配列番号1〜552に対応するヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す。
【0155】
本発明は、動物の疾病、例えば感染症などの治療薬の開発および製造の分野、医薬に関する研究等において利用可能である。
【表3−1】


【表3−2】


【表3−3】

【表3−4】


【表3−5】

【表3−6】


【表3−7】


【表3−8】


【表3−9】


【表3−10】


【表3−11】


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【表3−23】


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【表3−25】

【表3−26】


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号263から552までからなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドコードしているポリヌクレオチドに対して少なくとも
70%の同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)(a)のポリヌクレオチドに相捕的なポリヌクレオチド;
(c)寄託クローンのDNAに含まれる配列番号:1から262までからなる群より選択されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子により発現されるのと同じ成熟ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド;および
(d)ポリヌクレオチド(a)、(b)または(c)の少なくとも15個の連続した塩基を含むポリヌクレオチド
からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
ポリヌクレオチドがDNAである請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項3】
ポリヌクレオチドがRNAである請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号1から262に示す核酸配列を含む請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号1から262までからなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号:263から552までからなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードしている請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項7】
請求項1のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項8】
請求項7のベクターを含む宿主細胞。
【請求項9】
請求項8の宿主細胞から上記DNAによりコードされているポリペプチドを発現させることを含む、ポリペプチドの製造方法
【請求項10】
新規ポリペプチドまたはフラグメントの製造方法であって、該ポリペプチドまたはフラグメントの生成に十分な条件下で請求項8の宿主を培養することを含む方法。
【請求項11】
配列番号:263から552までからなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項12】
配列番号:263から552までからなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項13】
請求項11のポリペプチドに対する抗体。
【請求項14】
請求項11のポリペプチドの活性または発現を阻害するアンタゴニスト。
【請求項15】
治療上有効量の請求項11のポリペプチドを個体に投与することを含む、ストレプトコッカスのポリペプチドを必要とする個体の治療方法。
【請求項16】
治療上有効量の請求項14のアンタゴニストを個体に投与することを含む、細菌ポリペプチドの阻害を必要とする個体の治療方法。
【請求項17】
個体における請求項11のポリペプチドの発現または活性に関連した疾病の診断方法であって、
(a)該ポリペプチドをコードしている核酸配列を決定すること、および/または
(b)個体由来の試料中の該ポリペプチドの存在または量について分析すること
を含む方法。
【請求項18】
請求項11のポリペプチドと相互作用して、その活性を阻害または活性化する化合物の同定方法であって、
化合物とポリペプチドとの間の相互作用を可能にする条件下で、ポリペプチドとスクリーニングすべき化合物とを接触させて化合物の相互作用を評価し(かかる相互作用はポリペプチドと化合物との相互作用に応答した検出可能シグナルを提供しうる第2の成分に関連したものである)、
次いで、化合物とポリペプチドとの相互作用により生じるシグナルの存在または不存在を検出することにより、化合物がポリペプチドと相互作用して、その活性を活性化または阻害するかどうかを決定する
ことを含む方法。
【請求項19】
哺乳動物における免疫学的応答を誘導する方法であって、抗体および/またはT細胞免疫応答を生じさせて動物を疾病から防御するに十分な請求項11のストレプトコッカスのポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種を哺乳動物に接種することを含む方法。
【請求項20】
哺乳動物における免疫学的応答を誘導する方法であって、請求項11のストレプトコッカスのポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種をインビボで発現させて、抗体および/またはT細胞免疫応答を生じさせる免疫学的応答を誘導して該動物を疾病から防御するために、請求項11のストレプトコッカスのポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種の発現を指令する核酸ベクターを送達することを含む方法。
【請求項21】
配列番号:302、配列番号:310、配列番号:313、配列番号:390、配列番号:417、配列番号:418、配列番号:447、配列番号:472、配列番号:490、および配列番号:513からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
【請求項22】
請求項21のアミノ酸配列の1つをコードしている単離核酸および厳密な条件下でそれにハイブリダイゼーションしうる核酸配列。
【請求項23】
請求項22の核酸配列を含む組み換えベクターおよびそれを用いて形質転換またはトランスフェクションされた宿主細胞。
【請求項24】
候補化合物を請求項21のポリペプチドと接触させ、ついで、該ポリペプチドの生物学的活性を阻害する能力のある化合物を選択することを含む、抗微生物化合物の同定方法。
【請求項25】
請求項24の方法により同定される抗微生物化合物。
【請求項26】
(a)配列番号:389のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド、;
(b)(a)のポリヌクレオチドに対して相捕的なポリヌクレオチド;
(c)寄託クローンのDNAに含まれる配列番号:389のポリヌクレオチド配列を含む遺伝子により発現されるのと同じ成熟ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド;および
(d)(a)、(b)または(c)のポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続した塩基を含むポリヌクレオチド
からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項27】
請求項26のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド。

【公開番号】特開2008−5845(P2008−5845A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187449(P2007−187449)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【分割の表示】特願平9−540991の分割
【原出願日】平成9年5月14日(1997.5.14)
【出願人】(502354959)レプリダイン・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】