説明

新規調製方法

本発明は、R1.1、R1.2及びR1.3が明細書に記載されたように定義された一般式(II)の化合物から出発して調製することができる、R1.1、R1.2、R1.3、及びR2が明細書に記載されたように定義された一般式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、その薬学的に許容される溶媒和物の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式IIの化合物から出発して調製することができる一般式Iの化合物、その薬学的に許容される塩及びその薬学的に許容される水和物の調製方法に関する。
【化1】

(I)
(式中、R1.1、R1.2、R1.3及びR2は、以下で言及されるように定義される。)
【化2】

(II)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3、は以下で言及されるように定義される。)
【背景技術】
【0002】
<発明の背景>
本発明は一般式IIIおよびIVの化合物から出発する段階的な構築に基づく、一般式Iの化合物の調製方法に関する。加えて、上記発明は、CGRPに対するアンタゴニストとしての性質を有する一般式Iの化合物の調製に特に適する一般式IIIの化合物それ自体に関する。
【発明を実施するための形態】
【0003】
<発明の詳細な説明>
上記一般式II及びIIIの化合物は、CGRPに対するアンタゴニストとしての性質を有する一般式Iの化合物を合成するための有用な出発材料である。
【0004】
分離した中間体段階は結晶性固体として生じ、これは生じうるエナンチオマーの混合物を分離するためだけでなく、精製するためでの大きな利点である。
【0005】
本発明の第一の側面は、一般式IIの化合物の調製方法であって、以下の工程を含む方法に関する。
【化3】

(II)
(式中、R1.1はCH3、CF3、NR1.1.11.1.2又はピペリジニルを示し、
1.1.1はH、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.1.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2はNR1.2.11.2.2を示し、
1.2.1はH、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2.2はH、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し及び
1.3はCH3、CF3、F、Cl又はBrを示す。)
【0006】
(a)一般式IIIの化合物を一般式IVの化合物とカップリングさせること;
【化4】

(III)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は上記で定義したとおりである。)
【化5】

(IV)
(式中、R3は、窒素原子を介して結合したイミダゾール基又はトリアゾール基を示し、好ましくはイミダゾール基を示す。)
【0007】
(b)工程(a)で得られる一般式IIの化合物を、溶媒からの結晶化により単離すること;及び
(c)必要に応じて、工程(b)で得られる個体を好適な溶媒から再結晶すること。
【0008】
工程(a)のカップリングにおいては、1.0当量の一般式IIIの化合物と1.0当量から1.5当量、好ましくは1.1当量の一般式IVの化合物とを、溶媒中且つ強塩基の存在下で反応させてもよい。使用される上記溶媒は、tert−アミルアルコール、tert−ブタノール又はテトラヒドロフランであってもよい。上記溶媒は、使用される一般式IIIの化合物に対して2L/molから3L/molの量で添加されることが好ましく、使用される一般式IIIの化合物に対して好ましくは2.2L/molから2.5L/molの量で添加されることが好ましい。
【0009】
上記塩基は、それぞれ使用される一般式IIIの化合物の量に基づいて、2.0当量から2.5当量で、好ましくは2.2当量で添加されてもよい。本発明によれば、カリウムtert−ブトキシドを好ましく使用することができるが、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド又はナトリウムtert−アミラート(sodium−tert.amylate)を使用することができる。
【0010】
工程(b)における上記結晶化及び工程(c)における上記再結晶化はそれぞれ独立に、極性溶媒中において行われてもよい。使用される上記極性溶媒は、例えば、水、アセトン、エタノール、イソプロパノール又は酢酸n−ブチル並びにこれらの溶媒の混合液であってもよい。本発明によれば、工程(b)における上記結晶化は、好ましくは1:1の比率のアセトンと水の混合液からなされる。
【0011】
本発明の第二の側面は、一般式Iの化合物の調製方法であって、以下の工程を含む方法に関する。
【化6】

(I)
(式中、R1.1は、CH3、CF3、NR1.1.11.1.2又はピペリジニルを示し、
1.1.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.1.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2は、NR1.2.11.2.2を示し、
1.2.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.3は、CH3、CF3、F、Cl又はBrを示し及び
2は、C1-6−アルキルを示す。)
【0012】
(a)一般式IIIの化合物を一般式IVの化合物とカップリングさせること;
【化7】

(III)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は上記で定義したとおりである。)
【化8】

(IV)
(式中、R3は窒素原子を介して結合したイミダゾール基又はトリアゾール基を示し、好ましくはイミダゾール基を示す。)
【0013】
(b)工程(a)で形成される一般式IIの生成物を、一般式Vの化合物と反応させること;
【化9】

(II)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は上記で定義したとおりである。)
【化10】

(V)
(式中、R2は上記で定義したとおりである。)
【0014】
(c)必要に応じて、工程(b)で得られる固体を好適な溶媒から再結晶すること。
【0015】
工程(a)のカップリングにおいては、1.0当量の一般式IIの化合物と1.0当量から1.5当量の一般式IIIの化合物とを、極性溶媒に懸濁させ、強塩基の存在下、高温で反応させてもよい。
【0016】
使用される上記極性溶媒は、tert−アミルアルコール、tert−ブタノール又はテトラヒドロフランであることが好ましい。使用される上記塩基は、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド及びナトリウムtert−アミラート(sodium−tert.amylate)の中から選択されてもよい。反応は、好ましくは40℃から80℃の温度で行われる。
【0017】
工程(b)における反応のために、1.0当量の一般式IIの化合物と、1.1当量から1.5当量の一般式Vの化合物を使用してもよい。反応は、極性溶媒中、好ましくは低温で且つアミン及び縮合剤の存在下で行われる。
【0018】
使用される上記アミンは、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン及びトリブチルアミンの中から選択されてもよく、使用される一般式IIの化合物の量に基づいて、5当量から7当量で使用される。上記縮合剤は、プロパンホスホン酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、カルボニルジトリアゾール、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム−テトラフルオロホウ酸、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノ−プロピル)−カルボジイミド及びクロロジメトキシ−トリアジンの中から選択されてもよく、必要に応じてヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシベンゾトリアゾール、p−ニトロフェノール及びペンタフルオロフェノールの存在下で、使用される一般式IIの化合物の量に基づいて、2当量から3当量で使用される。
THF又は酢酸エチルが極性溶媒として使用されてもよい。
本発明によれば、反応は0℃から10℃の間の温度で行われることが好ましい。
【0019】
本発明の第三の側面は、一般式IIIの化合物に関する。
【化11】

(III)
(式中、R1.1はCH3、CF3、NR1.1.11.1.2又はピペリジニルを示し、
1.1.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.1.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2は、NR1.2.11.2.2を示し、
1.2.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.3は、CH3、CF3、F、Cl又はBrを示し及び
2はC1-6−アルキルを示す。)
【0020】
好ましい第三の対象は、以下の式IIIaの化合物を含む。
【化12】

(IIIa)
【0021】
より好ましい第三の対象は、高度の安定性を特徴とする結晶形態の、式IIIaの(R)−3−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロパン酸なる化合物に関する。
【化13】

(IIIa)
【0022】
上記式IIIaの化合物は、T=141±3℃という特徴的な融点により区別される。記録された上記の値は示差走査熱量測定法(DSC:開始の加熱速度:10℃/分)により決定された(メトラートレド社により製造されたDSC821)。
【0023】
本発明のもう一つの側面は、T=141±3℃の融点により特徴付けられる、結晶質の式IIIaの化合物(R)−3−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロパン酸に関する。
【0024】
本発明の第四の側面は、一般式IIIの化合物の調製方法であって、以下の工程を含む方法に関する。
【化14】

(III)
(式中、R1.1はCH3、CF3、NR1.1.11.1.2又はピペリジニルを示し、
1.1.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.1.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2は、NR1.2.11.2.2を示し、
1.2.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し及び
1.3は、CH3、CF3、F、Cl又はBrを示す。)
【0025】
(a)一般式Vの化合物を一般式IVの化合物と、溶媒中且つ強塩基の存在下で反応させること;
【化15】

(V)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は、上記で定義したとおりである。)
【化16】

(IV)
(式中、R4は、それぞれ独立に、C1-6−アルキル基を示す。)
【0026】
(b)無機塩基を添加することにより、工程(a)で得られる一般式VIIの化合物のエステル基を開裂すること;
【化17】

(VII)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は、上記で定義したであり、R4はC1-6−アルキル基を示す。)
【0027】
(c)必要に応じて、工程(b)で得られる一般式VIIIの化合物を単離すること;
【化18】

(VIII)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は、上記で定義したとおりであり、R4はC1-6−アルキル基を示す。)
【0028】
(d)無機強酸を添加することにより、工程(b)又は(c)で得られる一般式VIIIの化合物から保護基を開裂すること;
(e)必要に応じて、工程(d)で得られる一般式IXの化合物を単離すること;
【化19】

(IX)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は、上記で定義したとおりである。)
【0029】
(f)工程(e)で得られる一般式IXの化合物と溶媒とを混合し、塩基の存在下、還元剤を添加することにより二重結合を還元すること;
(g)工程(f)で得られる一般式IIIの化合物を単離し、必要に応じて溶媒から再結晶すること。
【0030】
もう一つの側面は、工程(a)において一般式Vの化合物とR4がそれぞれメチル基を示す一般式IVとの反応を含む。
(ここで、R1.1はCF3を示し、
1.2はNH2を示し、
1.3はClを示す。)
【0031】
工程(a)の反応においては、1.0当量の一般式Vの化合物は、1.8当量から2.5当量、好ましくは1.9当量から2.1当量、より好ましくは2当量の、一般式VIの化合物と反応する。
【0032】
使用される上記溶媒は、tert−ブタノール若しくはテトラヒドロフラン又はこれらの溶媒の混合液であってもよい。これらの溶媒は、使用される一般式Vの化合物に対して、0.5L/molから0.8L/mol、好ましくは0.6L/molから0.7L/molの量で加えられる。
【0033】
上記塩基は、使用される一般式Vの化合物の量に基づいて、好ましくは1.0当量から1.5当量の量で、好ましくは1.25当量の量で加えられる。カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド又はナトリウムtert−アミラート(sodium−tert.amylate)を使用することができるが、本発明によればカリウムtert−ブトキシドを用いることが好ましい。
【0034】
もう一つの側面は、工程(b)において、一般式VIIの化合物からエステル基を開裂することを含む。
(ここで、R1.1はCF3を示し、
1.2はNH2を示し、
1.3はClを示し、
4はCH3を示す。)
【0035】
工程(b)における開裂のために、上記無機塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの中から選択されてもよい。無機塩基は、使用される一般式VIIの化合物の量に基づいて、1.5当量から2.5当量の量で添加されてもよく、好ましくは2当量の量で添加されてもよい。
【0036】
工程(c)に記載された一般式VIIIの化合物の単離は、例えば結晶化によって行われてもよい。
【0037】
工程(d)に記載された上記保護基の開裂においては、1.0当量の一般式VIIIの化合物と、8当量から12当量、好ましくは10当量の無機酸とを反応させる。上記無機酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸及び硫酸の中から選ばれてもよい。臭化水素酸を好ましく使用することができる。
【0038】
工程(f)において、上記で言及された溶媒は、酢酸n−ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル及びテトラヒドロフランの中から選択されてもよい。
【0039】
上記塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン及びピリジンの中から選択されてもよい。
【0040】
工程(f)において同様に記載された還元剤は、ジイソピノカンフェイルボロンクロライド(diisopinocampheyl boron chloride)、β−クロロジイソピノカンフェイルボラン、アルピンボラン及びメチル−CBS−オキサザボロリジン(methyl−CBS−oxazaborolidine)の中から選択されてもよい。
【0041】
工程(g)において、上記で言及された溶媒は、酢酸n−ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル及びテトラヒドロフランの中から選択されてもよい。
【0042】
一般式IVの化合物は、以下の工程を含む方法により調製される。
【化20】

(IV)
(式中、R3は窒素原子を介して結合するイミダゾール基又はトリアゾール基を示し、好ましくはイミダゾール基である。)
【0043】
(a)極性の非プロトン性溶媒中で、高温でカルボニルジイミダゾール又はカルボニルジトリアゾール、好ましくはカルボニルジイミダゾールを、1,3,4,5−テトラヒドロ−3−(4−ピペリジニル)−2H−1,3−ベンゾジアゼピン−2−オンと反応させること及び
(b)R3がイミダゾール基である場合、もう一つの極性の非プロトン性溶媒を添加することにより、工程(a)で形成された粗生成物から結晶化すること。
【0044】
工程(a)において上記で言及された溶媒は、アセトン、アセトニトリル、tert−ブチルメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン及びN−メチルピロリドンの中から選択されてもよい。
【0045】
工程(b)において上記で言及された極性の非プロトン性溶媒は、tert−ブチルメチルエーテル及びジメチルホルムアミドの中から選択されてもよい。
【0046】
本発明の第五の側面は、一般式Vの化合物の調製方法であって、以下の工程を含む方法に関する。
【化21】

(V)
(式中、R2はC1-6−アルキル基である。)
【0047】
(a)塩基の存在下且つ溶媒中でピペリドン−4−水和物塩酸塩を一般式Xのクロロ酢酸エステルと反応させること;
【化22】

(X)
(式中、R2はC1-6−アルキル基である。)
【0048】
(b)(a)の下で得られる一般式XIの化合物を、還元剤を添加した溶媒の中で1−ベンジルピペリジンとカップリングさせること;
【化23】

(XI)
(式中、R2は上記で定義したとおりである。)
【0049】
(c)(b)の下で得られ、R2が上記で定義したとおりであり、且つnが0を示す一般式XIIの化合物を溶媒中で塩酸と反応させて、R2が上記で定義したとおりであり、nが1、2又は3のうちの一の数を示す一般式XIIの化合物を調製すること;
【化24】

(XII)
【0050】
(d)触媒の存在下、溶媒中で、(c)の下で得られる一般式XIIの化合物から、ベンジル保護基を開裂すること;及び
【化25】

(XII)
(式中、R2は上記で定義したとおりであり、nは1、2又は3のうちの一の数を示す。)
【0051】
(e)(d)の下で調製される一般式XIIIの化合物を単離すること。
【化26】

(XIII)
(式中、R2は上記で定義したとおりであり、nは1、2又は3のうちの一の数を示す。)
【0052】
工程(a)において上記で記載された反応においては、1.0当量のピペリドン−4−水和物塩酸塩を、1.0当量から1.2当量の一般式Xのクロロ酢酸エステルと反応させてもよい。
【0053】
特定された上記溶媒は、アセトン、アセトニトリル、tert−ブチルメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン及びN−メチルピロリドンの中から選択されてもよく、これらの中でもアセトニトリルが特に重要である。上記溶媒は、使用されるピペリドン−4−水和物塩酸塩に対して、0.8L/molから1.5L/molの量で使用されてもよく、好ましくは使用されるピペリドン−4−水和物塩酸塩に対して0.9L/molから1.1L/molの量で使用されてもよい。
【0054】
上記塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム及び水素化カリウムの中から選択されてもよい。上記塩基は、使用されるピペリドン−4−水和物塩酸塩の量に基づいて、2.0当量から2.5当量の量で添加されてもよい。
【0055】
工程(b)において上記に記載されたカップリングにおいては、1.0当量の1−ベンジル−ピペラジンと1.1当量から1.7当量の一般式XIの化合物とが反応してもよい。
【0056】
特定される上記溶媒は、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン及び2−メチルテトラヒドロフランの中から選択されてもよい。上記溶媒は、使用される1−ベンジル−ピペラジンに対して、1.0L/molから2.0L/molの量で使用されてもよい。
【0057】
使用される上記還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム又はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムであってもよく、使用される1−ベンジル−ピペラジンの量に基づいて、1.0当量から2.0当量の量で添加される。
【0058】
工程(c)において上記に記載された反応では、1.0当量の一般式XIIの化合物が、1.1当量から5当量の塩酸と反応してもよい。
【0059】
特定される上記溶媒は、メタノール、エタノール及びイソプロパノールから選択されてもよい。上記溶媒は、使用される1−ベンジル−ピペラジンに対して、2.5L/molから4.0L/molの量で使用されてもよい。
【0060】
工程(d)において、上記に記載された一般式XIIの化合物に由来するベンジル保護基の開裂は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール、水、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はこれらの溶媒の混合液等の極性溶媒中で行われてもよい。上記溶媒は、使用される一般式XIIの化合物に対して、4.0L/molから7.0L/molの量で添加されてもよい。
【0061】
水素化の好適な条件は、40℃から80℃の温度と、5bar以下の過剰な水素分圧である。パラジウム/活性炭又は水酸化パラジウム/活性炭が触媒として使用できる。
【0062】
<使用される用語と定義>
本願の範囲内において、可能な置換基の定義においては、置換基が構造式の形態で示されてもよい。存在する場合には、置換基の構造式中のアスタリスク(*)は、当該分子の残りの部位との連結点として理解される。
【0063】
本発明の主題は、同様に、1以上の水素原子(例えば1、2、3、4又は5の水素原子)が重水素に置換された本発明の化合物及びその塩を含む。
【0064】
「C1-6−アルキル」(他の基の一部となっているものを含む)なる用語は、1個から6個の炭素原子を有する分岐及び非分岐のアルキル基を意味する。これらの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル又はヘキシルを含む。その略記であるMe、Et、n−Pr、i−Pr等も、必要に応じて上記の基を意味して使用されてもよい。
【0065】
一般式Iの化合物は、アミノ基のような塩基性の基を有していてもよい。従って、それらは、分子内塩として;例えば、臭化水素酸、リン酸、硝酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の薬学的に使用可能な無機酸との塩として;又は例えばリンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、マンデル酸、乳酸、酒石酸若しくはクエン酸等の薬学的に使用可能な有機酸との塩として存在していてもよい。
【0066】
本発明は、上記の個々の化合物に関し、遊離塩基又は薬学的に許容される酸との対応する酸付加塩のみならず、必要に応じて個々の光学異性体、個々のエナンチオマー又はラセミ化合物の混合物の形態の化合物、互変異性体の形態の化合物にも関する。
【実施例】
【0067】
<実験の項>
[実施例1](Z)−3−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−メトキシアクリル酸(C)
【化27】

【0068】
26.14kg(55.91mol)のカリウムtert−ブトキシドのTHF溶液を、10.00kg(44.73mol)の4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(A)、9.31kg(89.45mol)のメトキシ酢酸メチル(B)及び30.0Lテトラヒドロフランの混合液に添加し、上記混合液を20℃で24時間撹拌した。次いで、7.16kg(89.45mol)の水酸化ナトリウム溶液(50%)を添加して、上記混合液を30℃で1時間加熱し、その後16.31kg(134.18mol)の塩酸(30%)と15.0Lの水を加えた。水相を分離した後、40Lの溶媒を留去し、残渣を25.0Lのトルエンと合わせて、その後、更に40Lの溶媒を留去した。有機相に20.0Lの水を合わせ、23℃まで冷却した。10.0Lのトルエンを添加した後、懸濁液を更に30分間撹拌し、生成物を分離して乾燥させた。
【0069】
収率:10.05kg(理論値の76%)
融点:173℃
【0070】
[実施例2](Z)−3−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−ヒドロキシアクリル酸(D)
【化28】

【0071】
10kg(33.82mol)の(Z)−3−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−メトキシ−アクリル酸(C)を20Lの酢酸中に懸濁して80℃まで加熱し、その後57.02kg(338.25mol)の臭化水素酸(48%)を加えた。次いで、反応混合液を80℃で1.5時間撹拌し、78.0Lの水で希釈して、上記懸濁液を22℃にまで冷却した。生成物を分離して、100.0Lの水で洗浄し、乾燥させた。
【0072】
収率:92.4kg(理論値の97%)
融点:195℃
【0073】
[実施例3](R)−3−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロパン酸(E)
【化29】

【0074】
10.00kg(35.51mol)の(Z)−3−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−アクリル酸(D)を70.0Lの酢酸n−ブチルに懸濁し、その後10℃で22.78kg(46.16mol)のジイソピノカンフェイルボロンクロリド(diisopinocampheyl boron chloride、DIP−クロリド、65%ヘプタン溶液)を加えた。次いで、反応混合液を20℃まで加熱し、反応が終結した時点で、30.0Lの水を添加して混合液を更に20分撹拌した。水相を分離した後、残る有機相をまず2.84kg(35.51mol)の水酸化ナトリウム溶液(50%)と60.0Lの水の混合液で、次いで再び60.0Lの水で抽出した。分離し生成した2つの相を合わせ、50.0Lの水で希釈して10.0Lの溶媒を減圧して留去した。次いで、60℃で、4.35kg(37.28mol)の塩酸(30%)と15Lの水との混合液を添加し、混合液に5.0gの(αR)−α−ヒドロキシ−3−[4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル]−プロパン酸を添加して、その後20℃に冷却した。生成物を分離し、40.0Lの水で洗浄し乾燥した。
【0075】
収率:7.05kg(理論値の70%)
ee値:95.6%
融点:141℃
【0076】
[実施例4](R)−2−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−1−カルボキシエチル 4−(2−オキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−ピペリジン−1−カルボキシレート(H)
【化30】

【0077】
5.00kg(17.63mol)の(R)−3−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロパン酸(G)と、6.28kg(19.39mol)の1−(1H−イミダゾール−1−イル−カルボニル)−4−(1,2,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−ピペリジン(F)を、40.0Lのtert−アミルアルコール中に懸濁し、20Lの溶媒を常圧で留去した。次いで、反応混合液を25℃まで冷却し、21.76kg(38.78mol)のカリウムtert−ブトキシドのTHF溶液を加え、混合液を35℃で1.5時間加熱した。反応が完了した後、混合液を25℃まで冷却し、9.64kg(79.33mol)の塩酸(30%)、25.0Lの水及び25.0Lのアセトンを連続して加え、次いで混合液に5gのエチル(1R)−4−(1,2,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−カルボキシ−2−[4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル]−1−ピペリジンカルボキシレートを加えた。一晩撹拌した後、懸濁液を0℃まで冷却し、更に1時間撹拌した。生成物を分離し、15.0Lの水と15.0Lのアセトンとで2回洗浄し、乾燥させた。
【0078】
収率:8.41kg(理論値の86%)
【0079】
[実施例5]エチル(4−オキソ−ピペリジン−1−イル)−アセテート(K)
【化31】

【0080】
10.00kg(65.10mol)のピペリドン−4−水和物塩酸塩を66.7Lのアセトニトリル中に懸濁した。19.79kg(143.22mol)の炭酸カリウムを添加した後、反応混合液を75℃にまで加熱し、これに8.38kg(68.35mol)のクロロ酢酸エチル(J)と10.00Lのアセトニトリルの混合液を加えた。反応の完了後、20.0Lのアセトニトリルを留去し、残渣を50.0Lトルエンと合わせた。次いで、懸濁液をろ過し、ろ過ケーキを50.0Lのトルエンで洗浄して減圧して溶媒を完全に留去した。
【0081】
収率:11.94kg(理論値の99%)
【0082】
[実施例6]ブチル(4−オキソ−ピペリジン−1−イル)−アセテート(M)
【化32】

【0083】
56.1g(0.36mol)のピペリドン−4−水和物塩酸塩(I)を0.75Lのアセトニトリル中に懸濁した。100g(0.72mol)の炭酸カリウムを添加した後、反応混合液を80℃まで加熱し、8.38kg(68.35mol)の塩化酢酸ブチル(L)と0.05Lのアセトニトリルの混合液を添加した。反応が完了した後、アセトニトリルを留去し、残渣を500mlの酢酸エチル及び500mlの水と合わせて撹拌した。有機相を分離し、飽和NaCl溶液で洗浄した。Na2SO4上で乾燥させた後、ロータリーエバポレーターを使用してろ液から溶媒を留去した。
【0084】
収率:71g(理論値の100%)
【0085】
[実施例7]エチル[4−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−アセテートトリヒドロクロライド(O)
【化33】

【0086】
6.85kg(38.9mol)の1−ベンジル−ピペラジン(N)を、20℃で、10.00kg(54.0mol)のエチル(4−オキソ−ピペリジン−1−イル)アセテート(K)、42Lの2−メチルテトラヒドロフラン及び11.81kg(196.7mol)の酢酸の混合液に加え、10.6Lの2−メチルテトラヒドロフランで洗浄して、反応混合液を20℃で1時間から2時間撹拌した。次いで、上記混合液を、20℃で、12.39kg(58.5mol)のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム及び36.8Lの2−メチルテトラヒドロフランの混合液に加え、その間温度を40℃まで上昇させた。添加が完了した後、混合液を15.8Lの2−メチルテトラヒドロフランで洗浄し、反応混合液を40℃で少なくとも1時間撹拌した。必要に応じて、更にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを加え、その後撹拌を25℃で一晩継続した。1−ベンジルピペリジンの反応が完了した後、混合液を20℃に冷却し、52.6Lの水を加えて、27.3kgの水酸化ナトリウム溶液(50%)でpHを9.0に調整した。相分離の後、有機相を26.3Lの水で洗浄し、減圧下で溶媒を完全に留去した。残渣を134Lのエタノールに溶解し、沸点において15.6kgの10Mエタノール塩酸(159.4mol、少なくとも37.2重量%)と合わせ、その後混合液を撹拌しながら1時間還流した。2℃まで冷却し1時間撹拌した後、生成物を分離し、31.6Lの冷エタノールで洗浄して乾燥した。
【0087】
収率:16.70kg(理論値の68%)
【0088】
[実施例8]ブチル[4−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]アセテートトリヒドロクロライド(P)
【化34】

【0089】
21℃において、57.4g(0.32mol)の1−ベンジル−ピペラジン(N)を69.5g(0.33mol)のブチル(4−オキソ−ピペリジン−1−イル)アセテート(M)、500mLのテトラヒドロフラン及び0.23L(3.83mol)の酢酸の混合液に加え、200mLのテトラヒドロフランで洗浄し、その後、反応混合液を20℃で3時間撹拌した。次いで、20℃で、109g(0.49mol)のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを上記混合液に添加した。添加が完了した後、上記混合液を室温で一晩撹拌した。1−ベンジルピペラジンの反応が完了した後、300mLの水を添加し、10Mの水酸化ナトリウム水溶液でpHを8.5に調整した。相分離の後、有機相を分離し、MgSO4で乾燥して溶媒を留去した。粗生成物を400mLのEtOH/MeOH[5:1]に溶解し、200mLの5.2Mエタノール塩酸と合わせた。0℃にまで冷却し、撹拌した後、生成物を分離し、冷エタノールで洗浄して乾燥した。
【0090】
収率:114.9g(理論値の73%)
【0091】
[実施例9]4−(1−ピペラジニル)−エチル1−ピペリジノアセテートトリヒドロクロライド(Q)
【化35】

【0092】
6.96kg(15.3mol)のエチル[4−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−アセテートトリヒドロクロライド(O)を、66.1Lのエタノール及び26.5Lの水の溶液中、50℃且つ696gのパラジウム10%(50%水)の存在下で水素化した。反応が完了した後、触媒をろ過により除去し、残渣を7.0Lエタノール及び2.6L水の混合液で洗浄した。次いで、111Lのアセトンを加え、混合液を0℃まで冷却して、生成物を分離し乾燥した。
【0093】
収率:5.02kg(理論値の90%)
【0094】
[実施例10]4−(1−ピペラジニル)−ブチル1−ピペリジノアセテート−トリヒドロクロライド(R)
【化36】

【0095】
14.6g(0.03mol)のブチル[4−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−アセテートトリヒドロクロライド(P)を、50℃において、140mLのエタノール及び40mLの水の溶液中、1.45gのパラジウム/活性炭10%の存在下で水素化した。反応の完了後、触媒をろ過により除去し、ろ液から溶媒を留去して乾燥し、70mLのエタノールに溶解した。
【0096】
収率:11.2g(理論値の94%)
【0097】
[実施例11](R)−1−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−[4−(1−エトキシカルボニルメチル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキシ−エチル4−(2−オキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−ピペリジン−1−カルボキシレート(S)
【化37】

【0098】
1.89kg(3.77mol)の(R)−2−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−1−カルボキシエチル4−(2−オキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボキシレート(H)、1.86kg(4.96mol)の4−(1−ピペラジニル)−エチル1−ピペリジノアセテートトリヒドロクロライド(Q)及び14.5LのTHFの懸濁液を、0℃にまで冷却し、次いで3.15L(22.6mol)のトリエチルアミンを加えた。次いで、更に2LのTHFと6.13Lのプロパンホスホン酸無水物(9.63mol、酢酸エチル中50%)を滴下方式で添加した。添加が終了した後、反応混合液を室温にまで加熱して、少なくとももう1時間撹拌して完全に変換し、次いで溶媒を減圧して除去した。残渣を20Lの酢酸エチルと14Lの水と混合した。pHを10%Na2CO3溶液で7.6に調整した。有機相を除去した後、水相を15Lの酢酸エチルで再抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥し、溶媒を留去して乾燥した。
【0099】
収率:2.65kg(理論値の82%)
ee値:99%
【0100】
[実施例12](R)−1−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−[4−(1−エトキシカルボニルメチル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキシ−ブチル4−(2−オキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−ピペリジン−1−カルボキシレート(T)
【化38】

【0101】
15g(27mmol)の(R)−2−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−1−カルボキシブチル4−(2−オキソ−1,2,4,5−テトラヒドロ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−ピペリジン−1−カルボキシレート(H)、7.66g(27mmol)の4−(1−ピペラジニル)−ブチル1−ピペリジノアセテートトリヒドロクロライド(R)及び75mLのTHFの混合液を0℃まで冷却し、その後12.5mL(89.2mmol)のトリエチルアミンを加えた。次いで、32.5mLのプロパンホスホン酸無水物(54.0mmol、酢酸エチル溶液中50%)を滴下方式で添加し、反応混合液を室温で一晩撹拌した。上記反応混合液を100mLの水、300mLの飽和NaHCO3溶液、及び500mLの酢酸エチルで洗浄した。有機相を分離した後、水相を250mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、溶媒を留去して乾燥した。
【0102】
収率:21.1g(理論値の95%)
ee値:99%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式IIの化合物の調製方法であって、以下の工程を含む方法:
【化1】

(II)
(式中、R1.1は、CH3、CF3、NR1.1.11.1.2又はピペリジニルを示し、
1.1.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.1.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2は、NR1.2.11.2.2を示し、
1.2.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し及び
1.3は、CH3、CF3、F、Cl又はBrを示す。)
(a)一般式IIIの化合物を一般式IVの化合物とカップリングさせること;
【化2】

(III)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は上記で定義したとおりである。)
【化3】

(IV)
(式中、R3は、窒素原子を介して結合したイミダゾール基又はトリアゾール基を示す。)
(b)工程(a)で得られる一般式IIの化合物を、溶媒からの結晶化により単離すること;及び
(c)必要に応じて、工程(b)で得られた個体を好適な溶媒から再結晶すること。
【請求項2】
工程(a)におけるカップリングが溶媒中且つ塩基の存在下で行われることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、tert−アミルアルコール、tert−ブタノール及びテトラヒドロフランの中から選択されることを特徴とする請求項2の方法。
【請求項4】
前記塩基が、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド又はナトリウムtert−アミラートの中から選択されることを特徴とする請求項2の方法。
【請求項5】
工程(b)における前記溶媒が、水、アセトン、エタノール、イソプロパノール及び酢酸n−ブチル並びにこれら溶媒の混合物の中から選ばれることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項6】
一般式Iの化合物の調製方法であって、以下の工程を含む方法:
【化4】

(I)
(式中、R1.1は、CH3、CF3、NR1.1.11.1.2又はピペリジニルを示し、
1.1.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.1.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2はNR1.2.11.2.2を示し、
1.2.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.3は、CH3、CF3、F、Cl又はBrを示し及び
2はC1-6−アルキルを示す。)
(a)一般式IIIの化合物を一般式IVの化合物とカップリングさせること;
【化5】

(III)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は上記で定義したとおりである。)
【化6】

(IV)
(式中、R3は窒素原子を介して結合したイミダゾール基又はトリアゾール基を示す。)
(b)工程(a)で形成される一般式IIの生成物を、一般式Vの化合物と反応させること;
【化7】

(II)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は上記で定義したとおりである。)
【化8】

(V)
(式中、R2は上記で定義したとおりである。)
(c)必要に応じて、工程(b)で得られた固体を好適な溶媒から再結晶すること。
【請求項7】
工程(a)におけるカップリングが極性溶媒中且つ強塩基の存在下で行われることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記極性溶媒がtert−アミルアルコール、tert−ブタノール及びテトラヒドロフランの中から選ばれることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項9】
前記塩基がカリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド及びナトリウムtert−アミラートの中から選ばれることを特徴とする請求項7の方法。
【請求項10】
工程(b)における反応が、アミン及び縮合剤の存在下、極性溶媒中で行われることを特徴とする請求項6の方法。
【請求項11】
前記アミンがトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン及びトリブチルアミンの中から選ばれることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項12】
前記縮合剤がプロパンホスホン酸無水物、ジシクロヘキシルカルバジイミド、カルボニルジイミダゾール、カルボニルジトリアゾール、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム−テトラフルオロホウ酸、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノ−プロピル)−カルボジイミド及びクロロジメトキシ−トリアジンの中から選ばれ、必要に応じてヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシベンゾトリアゾール、p−ニトロフェノール又はペンタフルオロフェニルの存在下において使用されることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項13】
前記溶媒がテトラヒドロフラン又は酢酸メチルであることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項14】
一般式IIIの化合物。
【化9】

(III)
(式中、R1.1はCH3、CF3、NR1.1.11.1.2又はピペリジニルを示し、
1.1.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.1.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2は、NR1.2.11.2.2を示し、
1.2.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.3は、CH3、CF3、F、Cl又はBrを示し及び
2はC1-6−アルキルを示す。)
【請求項15】
請求項14の以下の式IIIaの化合物。
【化10】

(IIIa)
【請求項16】
一般式IIIの化合物の調製方法であって、以下の工程を含む方法:
【化11】

(III)
(式中、R1.1は、CH3、CF3、NR1.1.11.1.2又はピペリジニルを示し、
1.1.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.1.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2は、NR1.2.11.2.2を示し、
1.2.1は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し、
1.2.2は、H、C1-6−アルキル、O−ベンジル、O−tert−ブチルを示し及び
1.3は、CH3、CF3、F、Cl又はBrを示す。)
(a)一般式Vの化合物を一般式IVの化合物と、溶媒中且つ強塩基の存在下で反応させること;
【化12】

(V)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は、上記で定義したとおりである。)
【化13】

(IV)
(式中、R4は、それぞれ独立に、C1-6−アルキル基を示す。)
(b)無機塩基を添加することにより、工程(a)で得られる一般式VIIの化合物のエステル基を開裂すること;
【化14】

(VII)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は、上記で定義したであり、R4はC1-6−アルキル基を示す。)
(c)必要に応じて、工程(b)で得られる一般式VIIIの化合物を単離すること;
【化15】

(VIII)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は、上記で定義したとおりであり、R4はC1-6−アルキル基を示す。)
(d)無機強酸を添加することにより、工程(b)又は(c)で得られる一般式VIIIの化合物から保護基を開裂すること;
(e)必要に応じて、工程(d)で得られる一般式IXの化合物を単離すること;
【化16】

(IX)
(式中、R1.1、R1.2及びR1.3は、上記で定義したとおりである。)
(f)工程(e)で得られる一般式IXの化合物と溶媒とを混合し、塩基の存在下、還元剤を添加することにより二重結合を還元すること;
(g)工程(f)で得られる一般式IIIの化合物を単離し、必要に応じて溶媒から再結晶すること。
【請求項17】
工程(a)における前記溶媒が、tert−ブタノール、テトラヒドロフラン及びこれらの溶媒の混合物の中から選択されることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項18】
工程(a)における前記塩基が、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド及びナトリウムtert−アミラートの中から選択されることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項19】
工程(b)における前記塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの中から選択されることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項20】
工程(d)における前記無機酸が、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸及び硫酸の中から選択されることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項21】
工程(f)における前記溶媒が、酢酸n−ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル及びテトラヒドロフランの中から選択されることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項22】
工程(f)における前記塩基が、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン及びピリジンの中から選択されることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項23】
工程(f)における前記還元剤が、ジイソピノカンフェイルボロンクロライド、β−クロロジイソピノカンフェイルボラン、アルピンボラン及びメチル−CBS−オキサザボロリジンの中から選択されることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項24】
工程(g)における前記溶媒が、酢酸n−ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル及びテトラヒドロフランの中から選択されることを特徴とする請求項16の方法。
【請求項25】
一般式Vの化合物の調製方法であって、以下の工程を含む方法:
【化17】

(V)
(式中、R2はC1-6−アルキルを示す。)
(a)塩基の存在下、溶媒中でピペリドン−4−水和物塩酸塩を一般式Xのクロロ酢酸エステルと反応させること;
【化18】

(X)
(式中、R2はC1-6−アルキル基である。)
(b)(a)の下で得られる一般式XIの化合物を、還元剤を添加した溶媒の中で1−ベンジルピペリジンとカップリングさせること;
【化19】

(XI)
(式中、R2は上記で定義したとおりである。)
(c)(b)の下で得られ、R2が上記で定義したとおりであり、且つnが0を示す一般式XIIの化合物を溶媒中で塩酸と反応させて、R2が上記で定義したとおりであり、nが1、2又は3のうちの一の数を示す一般式XIIの化合物を調製すること;
【化20】

(XII)
(d)触媒の存在下、溶媒中で、(c)の下で得られる一般式XIIの化合物から、ベンジル保護基を開裂すること;及び
【化21】

(XII)
(式中、R2は上記で定義したとおりであり、nは1、2又は3のうちの一の数を示す。)
(e)(d)の下で調製される一般式XIIIの化合物を単離すること。
【化22】

(XIII)
(式中、R2は上記で定義したとおりであり、nは1、2又は3のうちの一の数を示す。)
【請求項26】
工程(a)における前記溶媒が、アセトン、アセトニトリル、tert−ブチルメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン及びN−メチルピロリドンの中から選択されることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項27】
工程(a)における前記塩基が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム及び水素化カリウムの中から選択されることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項28】
工程(b)における前記溶媒が、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン及び2−メチルテトラヒドロフランの中から選択されることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項29】
工程(b)における前記還元剤が水素化ホウ素ナトリウム及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムの中から選択されることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項30】
工程(c)における前記溶媒がメタノール、エタノール及びイソプロパノールの中から選択されることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項31】
工程(d)における前記溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール、水、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド及びこれらの溶媒の混合物の中から選択されることを特徴とする請求項25の方法。
【請求項32】
工程(d)における前記触媒が、パラジウム/活性炭及び水酸化パラジウム/活性炭の中から選択されることを特徴とする請求項25の方法。

【公表番号】特表2010−535837(P2010−535837A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520553(P2010−520553)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060559
【国際公開番号】WO2009/021942
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】