説明

方向性凝固によって単結晶シリコンインゴットを成長させるためのシステムおよび方法

半導体および太陽光発電用途に使用可能なシリコンなどの単結晶材料を製造するためのシステムおよび方法が提供される。単結晶インゴットを成長させるために炉(10)内に坩堝(50)が配置され、坩堝(50)は当初、単一の種結晶(20)および供給材料(90)を収容し、種結晶(20)は少なくとも部分的に溶融され、供給材料(90)は坩堝(50)内で完全に溶融され、その後、成長および凝固プロセスが行なわれる。シリコンインゴットなどの単結晶材料の成長は方向性凝固によって達成され、成長段階における熱除去は、供給原料(90)を収容する坩堝(50)に対して可動性の断熱材(14)を用いて達成される。単結晶成長を達成するために、成長および凝固プロセス時に坩堝(50)からの熱除去を制御するための熱交換器(200)も設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2008年6月16日に出願された同時係属出願である米国仮出願連続番号61/061,826の利益を主張し、この米国仮出願連続番号61/061,826の開示内容は、全文が引用により本明細書に明示的に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、単結晶材料を製造するためのシステムおよび方法に向けられる。より特定的には、本発明は、太陽電池用途向けの単結晶シリコンを製造するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
単結晶構造は、構造全体の結晶格子が構造の周縁まで連続的で破壊されておらず、欠陥が実質的に軽度で粒界のない固体材料によって示され得る。従来の結晶構造における欠陥は典型的に粒界で発生するため、これらの欠陥は材料の電気的および熱的特性を劣化させる傾向がある。その結果、大部分の粒界における高界面エネルギおよび比較的弱い結合によって、当該粒界が問題の始まりおよび固体の望ましくない新たな相が析出する好ましい場所になってしまうことがある。多結晶構造は一般に、多くの小さな任意に方向付けられた結晶(または結晶子)が形成されるように製造される結晶材料である。これらの結晶子は、粒界によって境界を付けられる。多結晶材料の結晶子は混ざり合って散在し得るのに対して、結晶子または単結晶構造内の原子は対称配置されている。多結晶構造の粒界における多数の欠陥によって、単結晶材料から形成される装置に対して形成されるいずれの装置の効率も低下し得る。
【0004】
シリコンなどの単結晶材料には、たとえば半導体および太陽光発電業界などの重要な産業用途がある。たとえば、マイクロプロセッサが量子スケールで動作する半導体用途では、粒界の存在は、局所的な電気的特性を変化させることによって電界効果トランジスタの機能に大きな影響を及ぼし得る。同様に、太陽電池用シリコンなどの材料を用いる場合、単結晶シリコン太陽電池は多結晶シリコン太陽電池と比べて一般に高効率を示す。粒界は一般により多くの不純物および欠陥を示すため、単結晶シリコンからなる太陽電池は多結晶シリコンからなる太陽電池と比べて高性能であるべきである。
【0005】
シリコンインゴットの商業生産用の一般的な技術は、チョクラルスキー法、ブリッジマン成長技術および方向性凝固を含む。チョクラルスキー法は、商業生産される単結晶シリコンインゴットの最も一般的なインゴット引上げ技術である。チョクラルスキー法では、高純度の半導体級シリコンが、典型的に石英製の坩堝内で溶融され得る。棒に装着された種結晶が溶融シリコンに浸され、種結晶の棒が引上げられつつ同時に回転する。温度勾配、引上げ速度および回転スピードを正確に制御することによって、大きい単結晶の円筒形インゴットを融液から抽出することができる。チョクラルスキー法は、欠陥のほとんどないシリコンインゴットを製造できるが、非常に高価である。別の不利点は、坩堝によって導入される不純物含有量(たとえば酸素)が増大することである。坩堝と溶融シリコンとの反応の結果、酸素がシリコンに導入され、この反応は、チョクラルスキー法におけるインゴットの回転、および坩堝の逆回転によって促進される。さらに、低品質のシリコン供給原料を用いると、さまざまな二次相が形成されて融液の表面に浮かび得る。インゴットの引上げ時、これらの二次相によって構造破壊が起こり、低品質の製品の原因になり得る。チョクラルスキー法の追加費用のため、太陽光発電用途向けにに製造される結晶シリコンウェハは一般に多結晶である。
【0006】
ブリッジマン技術は、シリコンインゴットを成長させる別の公知の方法である。ブリッジマン成長技術は、結晶材料をその融点よりも高い温度まで加熱し、その後、制御された成長速度および温度勾配で当該材料を凝固することを含む。熱交換法(HEM)はブリッジマン型技術の一例である。このプロセスでは、坩堝の底部に種結晶が配置され、供給原料が装填材として装填される。装填材が溶融されると、コールドフィンガーとして作用する熱変換器に冷却液ガスを強制的に流すことによって、種の溶融が防止される。装填材の凝固は、熱交換器を流れる冷却液ガス流を増大させて固体中の温度勾配を作り出し、装填材の成長を促進することによって達成される。この成長時に、炉温度も下げられ得る。この結果、成長サイクル時に加熱帯または装填材が実質的に移動しない。典型的なブリッジマン炉では、加熱帯および炉に勾配が組込まれ、および/または装填材を収容した坩堝を移動させて、制御された凝固が達成される。
【0007】
従来の方向性凝固システムでは、多結晶成長が生産規模で達成されている。たとえば、方向性制御システムでは、装填材を収容した坩堝が熱交換器ブロック上に配置され得る。装填材が溶融され、水冷却チャンバに熱が放射されることによって、温度勾配が生成されて装填材の凝固が促進される。このような場合、溶融および凝固は同一坩堝内で実行される。方向性凝固は、シリコンが溶融坩堝から別個の坩堝に注ぎ込まれた後に、またはそれとほぼ同時に、別個の坩堝内でも実行され得る。溶融坩堝および凝固坩堝を用いるこの方法は普通、鋳造と称される。しかし業界では、方向性凝固および鋳造は多結晶インゴット製造についてしばしば同じ意味で用いられる。本発明の説明のため、方向性凝固とは、溶融および凝固が同一坩堝内で実行される結晶シリコンインゴット形成の方法を指す。方向性凝固では、インゴットおよび/または坩堝が回転しないため、方向性凝固シリコンインゴット中の酸素濃度はチョクラルスキー法によって製造されるインゴット中の酸素濃度よりも一般に低い。方向性凝固プロセスでは、誘導加熱または抵抗加熱のいずれか一方が用いられ得る。チョクラルスキー成長とは異なり、方向性凝固における凝固は、坩堝の底部から上部に向かって達成されるため、固液界面は成長サイクルのほとんどの間、水中にあり、融液の表面に浮かぶ二次相/析出物は成長を妨害しない。
【0008】
方向性凝固は産業環境において最も一般的な方法であるが、不利点もあり得る。上述のように、欠陥は典型的に多結晶構造で発生し、シリコンインゴットの不均一な特性をもたらし得る。また、坩堝を含む材料内の不純物含有量は使用する坩堝の型に依存して高くなり得、インゴットの底部、側部および上面の一部を廃棄しなければならない場合もある。したがって、現在の方向性凝固技術の主要なトレードオフは、太陽電池効率を犠牲にした低費用である。たとえば、多結晶太陽電池は典型的に、単結晶電池の約85%から90%の効率を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
公知の方法の不利点に鑑みて、単結晶構造のシリコンインゴットを製造する低費用効果の高いプロセスが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要約
本発明は、単結晶構造を有するシリコンなどの材料を製造するためのシステムおよび方法に関する。本発明は、公知の方向性凝固技術によって達成される費用効率および時間節約を維持しつつ、高品質の単結晶製品を製造するという利点を達成し得る。
【0011】
本発明は、制御された熱除去のための2つ以上の機構を統合することによって、坩堝に入れられた単一の種結晶から単結晶構造を製造し得る。好ましくは、方向性凝固を促進するための炉が用いられ、炉は、形成されるインゴットに対して移動可能な、すなわち上昇または下降可能な断熱材を含むため、成長プロセス時に種結晶の垂直方向および水平方向の両方の成長を促進するために坩堝の底部端縁から熱放射がもたらされる。
【0012】
好ましくは、インゴットは、坩堝に入れられた単一種が坩堝内で垂直方向および水平方向の両方に成長するのに十分な空間があるように、当該種から成長される。坩堝の形状は、矩形状、円錐形状および先細り形状を含む多数の形状設計から選択され得る。炉に収容される断熱材は、炉の側部に沿って置かれた断熱材と、熱交換器ブロックの下に置かれた断熱材とを含む。断熱材の他の場所および配置は、固定または可動のいずれにせよ、本発明によって意図される。
【0013】
一般の基板上に置かれるか、そうでなければマトリックス形状に設けられる複数の種結晶から形成される単結晶構造とは対照的に、本発明に係る単結晶構造は好ましくは、坩堝に入れられた単一の種結晶から形成されるので、インゴットの垂直方向および水平方向の両方の成長が促進され、複数の種同士の間の汚染が防止され得る。
【0014】
本発明は、種結晶のメルトバックを制御し、成長および凝固プロセス時に熱を除去することによってインゴットの単結晶成長を達成するためのガス冷却熱交換器を組込むことによって、付加的な熱除去を提供し得る。代替的に、ガス冷却の代わりに、熱交換器は水冷却または液体冷却であってもよい。坩堝の真下に置かれた断熱材を、坩堝から離れるように移動するように下降させて冷却および坩堝の底部からの熱損失を促進することによって、凝固時の付加的な熱除去が達成され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、坩堝には、種の安定した位置決めを促進するため種用のくぼみが設けられ得る。
【0016】
本発明によって提供されるさらなる熱除去および熱制御方法は、坩堝と熱交換器との間に位置決めされた支持構造の使用である。支持構造は、システムにさらなる構造上の完全性も与える。
【0017】
したがって本発明は、擬似粒子の核生成を最小限に抑えて単結晶構造を達成し、その後、方向性凝固を制御してインゴットの成長を促進させるという利点を有する。
【0018】
太陽電池を製造するために用いられる単結晶ウェハの別の利点は、実質的に表面全体が同一方位を有しており、表面全体に対する均一の結果を達成するように処理できることである。たとえば、ウェハがテクスチャーエッチングされている場合、小さな角錐を表面全体に形成して、表面の入射光に複数の反射を受けさせることによって、より多くの光を太陽電池に閉じ込めることができる。この現象によって、単結晶ウェハを多結晶ウェハと比べてより効率的な太陽電池にすることもできる。
【0019】
太陽電池用途については、単結晶ウェハは一般にその表面全体にわたって実質的に同一の方位を有するため、そのようなウェハをエッチングすると、表面全体にわたって均一のテクスチャーが形成され得る。たとえば、(100)方位を有するウェハは角錐を形成し、(111)方位を有するウェハは三角形を形成することになり、(100)および(111)方位は当業者に公知である。平坦な表面については、入射光の少なくとも一部が反射されるのに対して、テクスチャー面については、反射光の少なくともいくらかが再方向付けられ、したがって表面に再び捕らえられる。したがって一般に、テクスチャー面の方が多くの光を閉じ込める。角錐構造からの反射は一般に三角形構造と比べて大きく再び捕らえられるため、角錐構造は一般に他の方位よりも好まれる。対照的に、多結晶ウェハでは、異なる方位がウェハの異なる区域に形成されるため、テクスチャリングは一般に効果的でなく、再現可能でもない。しかし、上述のように、単結晶ウェハでは、そのようなウェハの表面全体にわたって均一のテクスチャーを形成することが好ましい。
【0020】
本発明は、単結晶インゴットを製造するためのシステムであって、坩堝に入れられた種の成長が方向性凝固によって垂直方向および水平方向の両方に促進されるように、種の単結晶成長を促進するための炉を含むシステムを提供する。坩堝は単一の種結晶および供給材料を受けるように配置され、坩堝内に収容される種結晶を加熱し、少なくとも部分的に溶融するための少なくとも1つの加熱素子と、種結晶および供給材料の溶融を制御するためのたとえばガス冷却熱交換器である熱交換器と、たとえば炉の側面に沿って炉に収容され、単結晶インゴットを形成するために種結晶を冷却および凝固するようチャンバに対して移動するように配置された断熱材とを含む。坩堝は好ましくは、炉のチャンバ内に配置される。本発明によると、断熱材は、放射熱損失を制御するために坩堝に対して上昇または下降し得る。任意に、断熱材は熱交換器ブロックの下に設けられてもよく、そのような断熱材も上昇および下降するように配置される。
【0021】
本発明の熱交換器は、坩堝内の種結晶の溶融速度を制御するために複数の段階で動作可能である。1つの段階では、ガスが熱交換器に強制的に導入されて、種結晶の実質的に完全な溶融が防止される。別の段階では、熱交換器内のガス流が増大されて、単一の種結晶からの方向性凝固が促進される。
【0022】
本発明のシステムはさらに、供給材料の溶融および種のメルトバックを監視するためのプローブまたは熱電対を含み得る。供給材料は典型的に多結晶シリコン供給原料である。本発明のシステムは、上面がやや凸状または平面形状を有するように単結晶インゴットを形成し得る。さらに、本発明に係る単結晶インゴット製造時に摂動が起こり、粒界が形成されたとしても、粒径は従来のプロセスによって製造される多結晶インゴットよりも大きくなる。
【0023】
本発明は、単結晶インゴットを製造するための方法も提供する。本発明の方法は、方向性凝固によって単結晶成長を促進するように配置された炉を設けるステップと、単一の種結晶および供給材料を収容する所望の形状の単一の坩堝を炉の加熱帯に配置するステップと、種結晶を加熱して少なくとも部分的に溶融し、坩堝に収容された供給材料を完全に溶融するステップと、種結晶および供給材料の溶融を制御するために熱交換器を動作させるステップと、可動性の断熱材を、種結晶からの方向性凝固を促進して多結晶インゴットを形成するために溶融シリコンを冷却および凝固するように可動性の断熱材がチャンバに対して上昇または下降するよう配置されるように、炉内で坩堝の下に設けるステップとを含む。本発明の方法はさらに、供給材料の溶融を監視するステップを含み得る。
【0024】
動作時、ガスが熱交換器に導入されて、種結晶の実質的に完全な溶融が防止され得る。また、熱交換器内へのガス流が増大されて、種結晶からの方向性凝固が促進され得る。熱交換器は、単結晶成長および凝固の複数の段階で動作可能である。
【0025】
本発明はさらに、太陽光発電用途に有用な単結晶シリコンインゴットを製造するための方法も提供する。本方法は、方向性凝固によって単結晶成長を促進するように配置された炉を設けるステップと、種結晶およびシリコン供給材料を収容する坩堝を炉の加熱帯に配置するステップと、種結晶を加熱して少なくとも部分的に溶融し、坩堝に収容される供給材料を完全に溶融するステップと、制御された速度で熱交換器にガスを導入することによって種結晶および供給材料の溶融を制御するように熱交換器を動作させるステップと、単結晶シリコンインゴットを形成するために種結晶を冷却および凝固するように上昇または下降するように配置された可動性の断熱材を炉内に設けるステップとを備える。本発明のシステムと同様に、断熱材は、種結晶からの方向性凝固を促進するためにチャンバに対して上昇または下降し得る。
【0026】
動作時、熱交換器に導入されたガスは、供給材料および種結晶の溶融を監視することによって得られるか、坩堝の底部近傍の熱交換器の内部に位置決めされた熱電対から得られるフィードバックによって制御され得る。フィードバックに応じて、熱交換器内へのガス流が増大されることによって熱交換器による熱除去が増大し、種結晶からの方向性凝固が促進される。
【0027】
本発明のこれらおよび他の局面および利点が、図面と関連して読まれる好ましい実施形態の以下の説明からより容易に明らかになるであろう。
【0028】
本発明の属する技術分野の当業者が不必要な実験をせずに本発明の方法および装置の製造および使用方法を容易に理解できるように、本発明の好ましい実施形態が一定の図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】側部断熱材が閉じた配置にある、本発明の第1の好ましい実施形態に係る単結晶インゴットの作製に有用な矩形の坩堝を有する方向性凝固炉の断面概略図である。
【図2】側部断熱材が概して開かれた配置にある、図1の炉の断面概略図である。
【図3A】種および装填材の装填後の図1の炉の加熱帯の断面概略図である。
【図3B】装填材が溶融され、メルトバックした種が固体状態なった後の図3Aの加熱帯の断面概略図である。
【図3C】単結晶インゴットの初期成長期における図3Bの加熱帯の断面概略図である。
【図3D】単結晶インゴットの第2の成長期における図3Cの加熱帯の断面概略図である。
【図3E】単結晶インゴットの最終成長および凝固期における図3Bの加熱帯の断面概略図である。
【図4A】図3Aに示される段階に対応する、本発明の第2の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、円錐形の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図4B】図3Bに示される段階に対応する、本発明の第2の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、円錐形の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図4C】図3Cに示される段階に対応する、本発明の第2の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、円錐形の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図4D】図3Dに示される段階に対応する、本発明の第2の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、円錐形の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図4E】図3Eに示される段階に対応する、本発明の第2の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、円錐形の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図5A】図3Aに示される段階に対応する、本発明の第3の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、さらなる構造上の完全性のため、および熱流を制御するために対応する支持構造が坩堝の底部に設けられた、円錐形の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図5B】図3Bに示される段階に対応する、本発明の第3の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、さらなる構造上の完全性のため、および熱流を制御するために対応する支持構造が坩堝の底部に設けられた、円錐形の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図5C】図3Cに示される段階に対応する、本発明の第3の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、さらなる構造上の完全性のため、および熱流を制御するために対応する支持構造が坩堝の底部に設けられた、円錐形の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図5D】図3Dに示される段階に対応する、本発明の第3の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、さらなる構造上の完全性のため、および熱流を制御するために対応する支持構造が坩堝の底部に設けられた、円錐形の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図5E】図3Eに示される段階に対応する、本発明の第3の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、さらなる構造上の完全性のため、および熱流を制御するために対応する支持構造が坩堝の底部に設けられた、円錐形の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図6A】図3Aに示される段階に対応する、本発明の第4の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、種を所定の位置に保持するための種用のくぼみを有する先細り形状の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図6B】図3Bに示される段階に対応する、本発明の第4の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、種を所定の位置に保持するための種用のくぼみを有する先細り形状の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図6C】図3Cに示される段階に対応する、本発明の第4の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、種を所定の位置に保持するための種用のくぼみを有する先細り形状の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図6D】図3Dに示される段階に対応する、本発明の第4の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、種を所定の位置に保持するための種用のくぼみを有する先細り形状の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図6E】図3Eに示される段階に対応する、本発明の第4の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、種を所定の位置に保持するための種用のくぼみを有する先細り形状の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図7A】図3Aに示される段階に対応する、本発明の第6の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、さらなる構造上の完全性のため、および熱流を制御するために対応する支持構造が坩堝の底部に設けられた、種を所定の位置に保持するための種用のくぼみを有する先細り形状の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図7B】図3Bに示される段階に対応する、本発明の第6の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、さらなる構造上の完全性のため、および熱流を制御するために対応する支持構造が坩堝の底部に設けられた、種を所定の位置に保持するための種用のくぼみを有する先細り形状の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図7C】図3Cに示される段階に対応する、本発明の第6の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、さらなる構造上の完全性のため、および熱流を制御するために対応する支持構造が坩堝の底部に設けられた、種を所定の位置に保持するための種用のくぼみを有する先細り形状の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図7D】図3Dに示される段階に対応する、本発明の第6の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、さらなる構造上の完全性のため、および熱流を制御するために対応する支持構造が坩堝の底部に設けられた、種を所定の位置に保持するための種用のくぼみを有する先細り形状の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【図7E】図3Eに示される段階に対応する、本発明の第6の好ましい実施形態に係る装填、溶融、および成長のさまざまな段階のいずれかにおける、さらなる構造上の完全性のため、および熱流を制御するために対応する支持構造が坩堝の底部に設けられた、種を所定の位置に保持するための種用のくぼみを有する先細り形状の坩堝を有する方向性凝固炉の加熱帯の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
同様の参照番号は同一または同様の要素を表わす添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態が以下に説明される。
【0031】
本発明は、単結晶材料を成長させるシステムおよび方法に関する。本明細書中の説明は単結晶シリコンの製造について述べているが、本明細書中に記載の技術および方法は単結晶シリコンまたはシリコンのみの製造に限定されない。半導体結晶(たとえばGe、GaAsなど)、酸化物(たとえばサファイア、YAG、ALON)、およびフッ化物(たとえばMgF2、CaF2)など、本発明の方法を用いて多数の単結晶材料が製造可能である。
【0032】
シリコンなどの単結晶材料を商業生産する現在の方法は、一般に放射熱除去を用いる。本発明のシステムおよび方法を用いて、低費用、大型インゴットサイズ、高歩留まり、および低品質で安価な供給原料の使用を維持しつつ、方向性凝固プロセスを改良して実質的に粒界のない商品を製造することによって、単結晶インゴットを製造することができる。さらに、本発明に係る単結晶インゴット製造時に摂動が起こり、粒界が形成されたとしても、粒径は従来のプロセスによって作製される多結晶インゴットと比べて大きくなる。これらの結果を達成するために、本発明は好ましくは少なくとも2つの制御された熱除去源を用いる。すなわち、ガス冷却熱交換器、および固液界面を乱さないように方向性凝固炉に実質的に収容された坩堝に対して移動するように配置された断熱材である。方向性凝固プロセスのこれらおよび他の改良点を用いて、シリコンなどの単結晶材料の成長を達成することができる。好ましくは、改良された方向性御凝固プロセスを用いて、太陽電池用途用の、約10cmから約100cm(直径または平方)よりも大きいオーダの、好ましいサイズは断面が約12cmよりも大きい、大型シリコンインゴットが製造され得る。さらに、固液界面のほぼ平面が達成され得るため、実質的に残留応力のないより大型で重いインゴットの成長が可能となる。
【0033】
本発明によると、以下により詳細に説明されるように、ガス冷却熱変換器を用いてシーディングを達成し、方向性凝固プロセスにおける結晶成長を促進することができる。好ましくは、方向性凝固は、単結晶構造を維持し、かつ固液界面が擬似粒子の核生成を経験し得る状況を最小限に抑えつつ、インゴットを成長させるように制御される。
【0034】
図1を参照して、単結晶インゴットを製造するためのシステムは好ましくは、チャンバを規定する炉10を含み、炉はチャンバ内の方向性凝固を促進するように配置される。単一の種結晶20が好ましくは、炉10の加熱帯(本明細書中では「熱帯」とも称される)に位置決めされた坩堝50内に配置される。たとえばヘリウム冷却熱交換器であるガス冷却熱変換器200が坩堝50のほぼ底部に配置されることによって、種20に対するコールドフィンガーとして作用する。代替的に、ガス冷却熱交換器の代わりに、水または液体冷却の熱交換器を用いてもよい。
【0035】
炉10に入れられた坩堝50および種20は、炉10の内部によって規定されるチャンバに収容され、チャンバは好ましくは、制御された雰囲気が維持され得る水冷却チャンバである。矩形の坩堝50aには、たとえば多結晶シリコン供給原料である供給原料90または装填材が装填され得る(図3A参照)。供給原料90は、炉10内に固定された少なくとも1つの加熱素子80によって加熱されるように配置される。供給原料90の溶融は好ましくは、少なくとも1つの加熱素子80への電力を調節することによって制御され、種20のメルトバックは、熱交換器200を流れるガス流を制御することによって決定される。好ましくは、加熱素子80への電力は、供給原料90を完全に溶融し、種20の完全な溶融を実質的に回避しつつ種20を部分的にのみ溶融するように調節される。
【0036】
供給原料90が溶融され、種20が少なくとも部分的に溶融されると、熱交換器200を流れるガス流が増大されて成長を開始および維持する。十分な成長の後、放射熱損失を徐々に増大させて坩堝50を冷却することによって、さらなる凝固が達成される。これは、成長するインゴットの固液界面を乱さないように断熱材14を坩堝50に対して移動させることによって達成される。プローブまたは熱電対(図示せず)、または当該技術において公知の他の手段などの供給原料90のメルトバックを監視するための機構もシステム内に設けられ得る。単結晶インゴットが形成されると、インゴットは炉10内に残り得、坩堝50自体内でアニールおよび冷却され得る。
【0037】
単結晶インゴットを形成する方法も本発明によって提供される。本発明は単結晶シリコンの形成および成長に関して以下に説明されるが、本発明はシリコンの製造に限定されず、本明細書中に記載の例示的な動作パラメータにも限定されない。
【0038】
図1および図2を参照して、本発明に係る単結晶インゴットを製造するためには、炉10は方向性凝固プロセスを実行可能であらねばならない。好ましい実施形態では、炉10は、炉10内に設けられた断熱材14の内部に位置する区域によって規定される円筒形または正方形の加熱帯12を有する。加熱帯12は、坩堝50、および任意に、熱交換器ブロック25上に配置され、坩堝50を加熱帯12内に保持するように配置された保持器70を含む。坩堝50は、たとえば石英またはシリカ製であり得、円筒形または正方形であり得、凝固後のインゴットのひび割れを防ぐために任意にコーティングされ得る。保持器70および熱交換器ブロック25は典型的に黒鉛製である。
【0039】
ガス冷却熱交換器200は好ましくは、加熱帯12内で少なくとも1つの加熱素子80に対してほぼ中央に置かれるように、炉10内に装着される。熱交換器ブロック25は好ましくは、熱交換器200の少なくとも一部が熱交換器ブロック25の凹部に収容されるように、熱交換器200に取付けられる。
【0040】
断熱材14は、坩堝50に対して上昇および/または下降するように配置されるように、炉10の側部に沿って設けられ、任意に坩堝50の上方および/または下方に配置される。たとえば、断熱材14は側部断熱材16および底部断熱材18を含み得、側部および底部断熱材はともに移動するように配置されるか、代替的に所望通りに別個に移動し得る。熱交換器ブロック25は好ましくは、熱交換器ブロック25の下に直接隣接して設けられた断熱材35を含み、断熱材35は、図1−図3に示されるように上下に移動するように配置される。断熱材35は、すべての実施形態で必要であるとは限らない。
【0041】
図1は、概して閉じられた配置の断熱材14を有する加熱帯12および坩堝50を示し、図2は概して開かれた配置の断熱材14を示す。また、図2に示されるように、熱交換器ブロック25の下方に設けられた断熱材35は、熱交換器ブロック25から離されるように移動している。
【0042】
供給原料90の加熱および溶融時、この段階における熱損失を最小限に抑えるように、図1に示される配置(閉じられた断熱材)が用いられる。成長段階では、断熱材が徐々に開かれて水冷却チャンバへの放射熱損失が増大し、最終的に図2に示される断熱材の配置がもたらされる。
【0043】
本願の炉10内で有用な坩堝50が詳細に説明される。本発明によると、坩堝50は多数の異なる形状配置を有し得る。1つの実施形態では、坩堝50aは図3Aに示されるような矩形状を有する。他の実施形態では、坩堝50bは図4Aおよび図5Aに示されるような円錐形状を有する。さらに他の実施形態では、坩堝50cは図6Aおよび図7Aに示されるような先細り形状を有する。坩堝50の形状は所望の熱分配プロファイルに基づいて選択され、それによって坩堝の底部は、種結晶の完全溶融を防止するために坩堝50の上面部よりも冷たく保たれる。坩堝のさまざまな配置の各々は、たとえば図1に示されるような種の平坦な配置とともに用いられ得る。代替的に、坩堝は、結晶成長プロセス時に種結晶を所定の位置に保持するための種用のくぼみ55を底部に含み得る(たとえば図6Aおよび図7A参照)。
【0044】
坩堝50は好ましくは、供給原料90および形成されるシリコンインゴットが坩堝50の石英、シリカ、または他の材料に直接接触しないように、窒化珪素でコーティングされて焼結される。コーティング処理は、凝固後のシリコンインゴットのひび割れを実質的に防ぐためにも用いられ得る。次に、コーティングされた坩堝50に単結晶シリコン種20が装填され、種20は好ましくは坩堝のほぼ底部中央に配置され、シリコン供給原料90で覆われる。炉10内への装填後、炉10は真空にされ得、加熱素子80によって熱が加えられ得る。
【0045】
例示的な実施形態によると、単結晶シリコンインゴットが炉10内に形成され得る。炉は真空下で約1200℃にされ、チャンバはアルゴンガスで埋め戻され、圧力は約300mbarから1000mbarの一定値で制御される。代替的に、窒素およびヘリウムなどの他のガスを用いてもよい。炉10のチャンバ内の圧力は、チャンバに供給されるアルゴンガスを調節することによって制御される。その後、炉10が約1500℃に達して当該温度で保持されるまで加熱が増大および継続されて、シリコン供給原料90の溶融が達成される。シリコンは1412℃で溶融するため、炉の温度は約1415から1550℃に維持される。溶融が始まると、炉の温度は1415℃にまで徐々に下げられる。溶融段階では、図3B−図3Eの上向き矢印によって示されるように熱交換器200を流れるヘリウムガス流が開始され、ヘリウムガスの圧力および流れは別個に制御される。その高い熱伝導度および熱容量のためにヘリウムが好ましくは用いられるが、アルゴンや窒素などの他のガスを用いてもよい。溶融段階では、ヘリウム流は、約5から20psiの圧力で約50から100SCFHであり得る。ヘリウム流は、種結晶20の完全溶融を防止するためのものである。溶融が安定し、種20のメルトバックが達成された後、熱交換器を流れるヘリウム流は約500SCFHにまで徐々に増大されて、メルトバックした種結晶20からのシリコンの成長が促進され得る。
【0046】
坩堝50および加熱素子80の移動による成長時の擬似核形成を最小限に抑えることが望ましい。この結果、本発明のシステムおよび方法によると、坩堝50自体を移動させるのではなく、断熱材14が坩堝50および加熱素子80に対して移動するように配置される。坩堝50の底部全体のシーディングおよび成長のために熱交換器200を用いた後、たとえば、熱交換器ブロック25から離れるように向いている矢印29によって図2に示されるような放射熱損失を用いて方向性凝固が促進される。好ましい実施形態では、炉10のチャンバは水冷却チャンバである。
【0047】
図3Aを参照して、装填段階では、単結晶種20が矩形状の坩堝50a内に装填され、シリコン供給原料90で覆われる。この段階では、図1に示されるように、断熱材14は概して閉じた配置にある。熱交換器200を流れるガス流が開始される間、図3Bに示されるように加熱素子80が供給原料90を加熱して溶融する。
【0048】
図3Bから図3Dを参照して、シリコン供給原料90が溶融し始めると、ヘリウムガスが熱交換器200に強制的に流されて、種結晶20が完全に溶融するのを防止する。1つの実施形態では、供給原料90および種結晶20の溶融が監視され得る。たとえば、石英棒プローブまたは熱電対が融液に周期的に浸され得る。供給原料90および種20の溶融が進行するにつれて、炉10内の温度が徐々に下げられる。シリコン供給原料90のすべてが溶融し、種結晶20の少なくともいくらかがメルトバックするような結果が達成されると、熱交換器200を流れるヘリウム流が徐々に増大され、インゴットのメルトバックが停止されて成長が促進され得る。本発明によると、炉10の温度は好ましくは、供給原料90の本質的にすべてに対する制御された方向性御凝固を促進するために、製造される材料の融点よりも少し高く維持される。別の実施形態では、熱交換器200および供給原料90を収容する坩堝50aは、上述の断熱材14の移動に加えて、制御された速度で下降し得る。また、いくつかの実施形態では、断熱材35が熱交換器ブロック25の下に配置され、放射熱損失を促進させ成長を高めるために下降し得る。
【0049】
図3Eに示されるように、供給原料90の実質的に完全な凝固は、炉10内の温度を製造する材料の融点よりも少し低くすることによって達成される。本明細書中に記載の例示的な実施形態では、シリコンが製造されるため、温度は約1412℃にまで下げられる。これは、成長時に所望の固液界面形状を得るための手段としてなされる。熱交換器200による単結晶シリコンインゴット110の成長時に凸状の固液界面が達成され、単結晶成長が達成されてインゴット110の底面のほぼ全体を被覆する。完全な凝固の後、結果的に得られるインゴット110は加熱帯内で冷却され得る。
【0050】
図4A−図4Eは、円錐形状の坩堝50bを有する方向性凝固炉および単結晶成長プロセスの断面概略図である。
【0051】
図5A−図5Eは、円錐形状の坩堝50bを有する方向性凝固炉および単結晶成長プロセスの断面概略図である。図5A−図5Eは、坩堝50bの底部に設けられ得る支持構造60aも示す。支持構造60aは熱交換器ブロック25の上方に位置決めされ、坩堝50bおよび保持器70と噛み合うように坩堝50bの形状を補完するように設計された形状を有する。支持構造60aは、熱流を制御可能な付加的な手段を与えつつ、システムに構造上の完全性を与えるように機能する。
【0052】
図6A−図6Eは、種20を所定の位置に保持するための種用のくぼみ55を有する先細り形状の坩堝50cを有する方向性凝固炉および単結晶成長プロセスの断面概略図である。
【0053】
図7A−図7Eは、種20を所定の位置に保持するための種用のくぼみ55を有する先細り形状の坩堝50cを有する方向性凝固炉および単結晶成長プロセスを示し、本発明の実施形態に係る種20および装填材の装填後に、さらなる構造上の完全性のために、同様の対応する支持構造60bが坩堝50cの底部に設けられる。支持構造60aと同様に、支持構造60bは熱交換器ブロック25の上方に位置決めされ、円錐形状の坩堝50bおよび保持器70と噛み合うように円錐形状の坩堝50bの形状を補完するように設計された形状を有する。
【0054】
本発明は好ましい実施形態に関して説明されたが、当業者であれば、添付の請求項によって規定されるような本発明の思想および範囲から逸脱することなく、記載された順序またはその変形例に変更または修正がなされ得ることを容易に認識するであろう。
【0055】
引用による援用
本明細書中で引用された全ての特許、公開特許出願および他の引用例の全内容は、全文が引用により本明細書に明示的に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶インゴットを製造するためのシステムであって、
炉内に設けられ、単一の種結晶および供給材料を受けるように配置された坩堝と、
前記種結晶を加熱して少なくとも部分的に溶融し、前記坩堝内に収容された前記供給材料を完全に溶融するための少なくとも1つの加熱素子と、
少なくとも部分的に溶融された前記種結晶および前記供給材料から単結晶インゴットの成長を促進するために、前記坩堝からの熱除去を制御するための熱交換器と、
前記炉に収容され、前記単結晶インゴットの冷却および方向性凝固を促進するために前記坩堝に対して移動するように配置された断熱材とを備える、システム。
【請求項2】
前記断熱材は前記坩堝に対して上昇または下降する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記坩堝は、前記坩堝を前記炉内に保持するための保持器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記坩堝内の前記種結晶の溶融速度を制御するために複数の段階で動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
1つの段階では、ガスが前記熱交換器に流れ込んで、前記種結晶の実質的に完全な溶融を防止する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
別の段階では、前記熱交換器へのガス流が増大されて、前記種結晶からの方向性凝固を促進する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記供給材料の溶融および前記種結晶のメルトバックを監視するためのプローブまたは熱電対をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記供給材料は多結晶シリコン供給原料である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記熱交換器はガス冷却熱交換器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記坩堝を支持するための熱交換器ブロックをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記断熱材は、少なくとも側部断熱材および前記熱交換器ブロックの下に置かれた断熱材を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記側部断熱材は、前記熱交換器ブロックに対して垂直方向に移動するように配置される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記熱交換器ブロックの下に置かれた前記断熱材は、前記熱交換器ブロックに対して移動するように配置される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記坩堝の形状は矩形状、円錐形状、または先細り形状のうちの1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記坩堝は、単結晶成長時に前記種結晶を保持するための種用のくぼみを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
熱流を制御するための前記坩堝が設けられた支持構造をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
方向性凝固によって単結晶インゴットを製造するための方法であって、
種結晶および供給材料を炉の坩堝に入れるステップと、
前記種結晶を加熱して少なくとも部分的に溶融し、前記坩堝に収容された前記供給材料を完全に溶融するステップと、
少なくとも部分的に溶融された前記種結晶および前記供給材料から単結晶インゴットの成長を促進するために、前記坩堝からの熱除去を制御するように熱交換器を動作させるステップと、
前記単結晶インゴットの方向性凝固を促進するために前記坩堝に対して移動するように配置された可動性の断熱材を前記炉内に設けるステップとを備える、方法。
【請求項18】
前記断熱材は、前記種結晶からの方向性凝固を促進するために前記坩堝に対して上昇または下降する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記熱交換器を動作させるステップは、前記熱交換器にガスを流し込んで前記種結晶の実質的に完全な溶融を防止するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記熱交換器へのガス流を増大させて前記種結晶の方向性凝固を促進するステップをさらに備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記可動性の断熱材は、少なくとも側部断熱材および熱交換器ブロックの下に置かれた断熱材を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
方向性凝固を促進するために、前記熱交換器ブロックの下に置かれた前記断熱材を上昇または下降させるステップをさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
太陽光発電用途に有用な単結晶シリコンインゴットを製造するための方法であって、
種結晶およびシリコン供給材料を炉の坩堝に入れるステップと、
前記種結晶を加熱して少なくとも部分的に溶融し、前記坩堝に収容された前記供給材料を完全に溶融するステップと、
前記坩堝に制御された速度でガスを導入することによって前記種結晶および前記供給材料の溶融を制御するように熱交換器を動作させるステップと、
前記単結晶インゴットの方向性凝固を促進するために前記坩堝に対して移動するように配置された可動性の断熱材を前記炉内に設けるステップとを備える、方法。
【請求項24】
前記熱交換器への前記ガスの導入速度は、前記供給材料の溶融を監視することによって得られるフィードバックによって制御される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記熱交換器へのガス流を増大させて前記種結晶からの方向性凝固を促進するステップをさらに備える、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【公表番号】特表2011−524332(P2011−524332A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514732(P2011−514732)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/047395
【国際公開番号】WO2010/005705
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(508320321)ジーティー・ソーラー・インコーポレーテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】GT SOLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】