説明

施解錠管理装置

【課題】本発明は、一般的な玄関扉に対し手間をかけることなく付加することができる施解錠管理装置を提供することを目的とするものである。
【解決方法】本発明の施解錠管理装置は、玄関扉1の錠3部分に着脱自在に装着され、電気信号により施解錠させる動力部Aと、玄関扉1の室外面側に着脱自在に装着されるICカード読取り部Bと、玄関扉1の室内面側に着脱自在に装着され、前記ICカード読取り部Bで読み取られたICカード情報の認証を行う認証手段C1aと、認証手段C1aの認証結果に基づいて動力部Aを電気信号によって制御して施解錠させる制御手段C1bとを備えたコントロール部C1と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築工事中に玄関扉に着脱自在に装着され、玄関扉の施錠及び解錠を管理する施解錠管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅等の小規模な建物の施工期間中は、悪戯、施工道具や建築備品の盗難、及び不審火による火災等を防止する為、夜間や休日等、管理者や作業者が不在の際には玄関扉や窓の施錠を行っているが、この際、玄関扉等の扉のシリンダー錠の鍵の差し込み口に特殊なピンを差し込んでおき、ピンが差し込まれたシリンダー錠であればいかなる錠でも施解錠可能な共通の鍵(以下、「コンストラクションキー」という)を、施工に携わる業者に貸与し、建物内への出入りの際には、業者本人が扉の施解錠を行うようにするのが一般的であった。
【0003】
コンストラクションキーの使用により、現場の管理責任者である住宅メーカー等の建築請負業者は、施工現場に警備員を常駐させたり、施解錠の為に現場管理者が何度も施工現場に赴いたりする必要がなくなって、管理の手間を削減することができる。特に、使用する部材が標準化され、同一仕様の玄関扉(玄関錠)を複数の建物で採用する工業化住宅においては、施工に携わる業者も固定化されることが多く、同一のコンストラクションキーで多くの建物の扉の施解錠が可能となるという点で好都合である。
【0004】
しかし、多くの建物で同一のコンストラクションキーが使用された場合、共通施工業者がコンストラクションキーを紛失したり、盗難被害に遭うなどして、万が一コンストラクションキーが第3者の手に渡ると、施工中の他の建物が盗難の被害に遭うリスクが非常に高くなり、管理責任を負う住宅メーカー等の建築請負業者にとっては、かえって管理が大変になるという問題があった。また、このような被害を防ぐ為にコンストラクションキーを定期的に変更した場合、その都度、多大な費用がかかるという問題があった。
【0005】
一方、近年は、指紋認証システム、カードキー、暗証番号及びそれらの組み合わせ等により入場許可者を認識して扉を解錠する装置の開発が進んでいる。例えば、特許文献1に記載の錠装置の制御装置は認証開始スイッチの投入により携帯機との交信を開始し、該携帯機に対する認証成立を条件にアクチュエータを駆動して錠装置を施解錠動作させるというものである。このような制御装置を備えた扉を施工中の建物にも取り付けることができれば、コンストラクションキーの使用による問題は解決される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−241760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、一般的な手動式の錠を備えた扉の場合、電気配線を通すことも考慮されておらず、装置を扉に固定するような構造にもなっていないので、特許文献1に記載されたような制御装置を施工中の扉に具備させることは難しい。あえてこのような装置を導入するためには、建築主の希望に関係なくすべての扉をこのような制御装置を備えたものにしなければならず、建築主に高価な制御装置の採用を強要することになる。また、建築主が居住した際に使用する制御装置を長期間に亘って施工業者等が先行使用することは、部外者にセキュリティ上の機密を開示しているようなものであり、建築主にとっては心地よいものではない。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する課題を解決しようとするものであり、一般的な玄関扉に対し手間なく付加することができる施解錠管理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為に、本発明に係る施解錠管理装置の第1の構成は、玄関扉の錠部分に着脱自在に装着され、電気信号により施解錠させる動力部と、玄関扉の室外面側に着脱自在に装着されるICカード読取り部と、玄関扉の室内面側に着脱自在に装着され、前記ICカード読取り部で読み取られたICカード情報の認証を行う認証手段と、該認証手段の認証結果に基づいて前記動力部を電気信号によって制御して施解錠させる制御手段とを備えたコントロール部と、からなることを特徴としている。
【0010】
本発明に係る施解錠管理装置の第2の構成は、第1の構成において、前記ICカード読取り部及びコントロール部が、鋼製材料からなる前記玄関扉の面材に対し磁力にて装着されることを特徴としている。
【0011】
本発明に係る施解錠管理装置の第3の構成は、第1の構成において、前記玄関扉には玄関扉の室内面を覆う内面カバーと室外面を覆う外面カバーとを備えた着脱自在の養生材が装着され、前記ICカード読取り部が養生材の外面カバーに内臓または外面カバーの収納部に収納され、前記コントロール部が、養生材の内面カバーに装着されることを特徴としている。
【0012】
本発明に係る施解錠管理装置の第4の構成は、第1の構成において、前記ICカード読取り部及びコントロール部が、前記玄関扉の把手に着脱自在に係止される帯状部材を介して装着されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る施解錠管理装置の第1の構成によれば、全ての構成機器が玄関扉に着脱自在に装着されるので、建築工事中の必要な期間のみ玄関扉に装着し、建築工事完了後は玄関扉から取り外して玄関扉を竣工時の完成品の状態とすることができ、玄関扉を専用品に変更することなく施解錠管理機能を付与することができる。
【0014】
本発明に係る施解錠管理装置の第2の構成によれば、面材が鋼製材料からなる玄関扉に対する着脱作業を、極めて容易に行うことができる。
【0015】
本発明に係る施解錠管理装置の第3の構成によれば、建築工事に必須の要素である玄関扉の養生材に解錠管理の為の構成機器が付加されるので、玄関扉の材質によらず、従来の玄関扉の養生材の着脱に若干の手間を追加するだけで、施解錠管理装置の着脱作業を極めて効率よく行うことができる。
【0016】
本発明に係る施解錠管理装置の第4の構成によれば、把手を有する玄関扉に対し、極めて容易に、施解錠管理装置の着脱作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】竣工時点における玄関扉の錠収容部の詳細を示す図である。
【図2】第1実施例の施解錠管理装置の装着状態を示す図である。
【図3】玄関扉の錠収容部の詳細(近接スイッチ、電動サムターンの装着状態)を示す図である。
【図4】コントロールボックスの構成を示す図である。
【図5】第2実施例の施解錠管理装置の装着状態を示す図である。
【図6】養生材の展開状態を示す図である。
【図7】第3実施例の施解錠管理装置の装着状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の施解錠管理装置の好ましい実施形態について、図を参照しながら具体的に説明する。
【0019】
まず、施解錠管理装置を装着する玄関扉1の構成について説明する。玄関扉1は、面材が鋼製材料からなる片開き形式の扉であり、アルミニウム材料からなる扉枠2に対して図示しない蝶番にて取り付けられる。玄関扉1が取り付けられる建物は鉄骨造の工業化住宅であり、玄関扉1の寸法は規格化されており、同一工業化住宅において汎用的に採用されるものである。
【0020】
玄関扉1は、錠3(例えば、ゴール株式会社製「本締錠SK」など)を収容する為に彫り込まれた錠収容部1aを有している。錠収容部1aに装着される錠3は、錠ケース3aに、シリンダー3b、手動サムターン3c、デッドボルト3d等錠としての必要な構成部材が全て組み込まれた形式のものである。
【0021】
錠3を玄関扉1の錠収容部1aに装着する際には、手動サムターン3cやシリンダー3bを取り外した状態の錠ケース3aを玄関扉1の端面の長方形の装着穴から差し込んだのち、玄関扉1表面の円形穴を利用してサムターンやシリンダー3bを嵌め込む。手動サムターン3cやシリンダー3bは交換や他仕様のものへの変更が可能である。
【0022】
なお、扉枠2は、その上部の鉄骨梁の下フランジにブラケットを介してボルト固定され、図示しない下端は、建物内部の玄関土間や外部の玄関ポーチの仕上げ工事がなされるまで宙に浮いた状態となっている。
【0023】
[第1実施例]
次に、図2〜4を参照して、施解錠管理装置の第1実施例の構成について説明する。本実施例の施解錠管理装置は、図2に示すように、動力部A、外部ICカード読取り部B、コントロール部C1を内蔵したコントロールボックスC、近接スイッチD、接続用ケーブルEなどからなり、全ての構成機器が玄関扉1に対し着脱自在に装着されている。
【0024】
動力部Aは、図3に示すように、図1の錠3(デッドボルト3dを扉枠2側のストライクに出し入れさせる本締錠形式の錠)において、室内側に通常セットされる手動サムターン3cにかえて装着され、電動モーターを内蔵し電気の供給を受けることでサムターンを回転させてデッドボルト3dを出し入れする電動サムターン(例えば、市販品としてゴール株式会社製「指紋錠システムFTL」を構成する電動サムターンMTH)からなる。
【0025】
外部ICカード読取り部Bは、一般的な薄い板状の非接触式ICカードリーダーであり、背面には磁石が固定されており、玄関扉1の室外側の面に磁力にて装着されている。
【0026】
コントロールボックスCには、図4に示すようにICカード読取り部で読み取られたIDと登録されている入場を許可するIDとを照合することによって認証を行う認証手段C1aと、認証結果に基づき動力部に施解錠の為の電気信号を発信して施解錠を制御する制御手段C1bと、入退場データ(IDと該IDを認証した時刻)を記憶する記憶手段C1cとを備えたコントロール部C1が収納されている。
【0027】
また、コントロールボックスC内には、外部ICカード読取り部Bとは別に、室内側からICカードを読取らせるための内部ICカード読取り部C2(外部ICカード読取り部Bと同様の非接触タイプのICカードリーダー)が収納されている。
【0028】
更に、コントロールボックスC内には、記憶手段C1cに記憶された入退場データの無線送信や、認証手段C1a及び制御手段C1bに対する遠隔地からの命令(例えば、入場許可者のIDの登録や解除、制御の解除、完全制限等)の無線受信を行う通信手段であるPAS(Personal Access System)C3、及び仮設電柱からの交流電流を直流電流に変換してコントロール部C1やPASC3に供給するためのACアダプターC4が収納されている。
【0029】
なお、コントロール部C1及びPASC3への電源は、外部の仮設電柱から扉枠2下の間の間隙部を経由して供給される。(通常、建物内部の玄関土間や外部の玄関ポーチは、土間下地コンクリートを躯体工事の前後に打設され、タイル等による仕上げ工事は竣工直前に行われるので、工事中の大部分の期間、扉枠2の下には少なくとも仕上げ層分の間隙がある。)また、PASC3のアンテナ端子には外部アンテナC3aが接続されている。
【0030】
近接スイッチDは、図3に示すように、アルミニウムの接近を非接触で検出するセンサーを備えたスイッチ本体D1と取付け金具D2とからなり、動力部A装着の際に動力部Aと玄関扉1とで取付け金具D2の固定片D2bが挟持されて、玄関扉1が閉じられた状態でスイッチ本体D1の検知面が扉枠2に僅かな間隙を有して対向するように構成されている。そして、玄関扉1が閉じられセンサーと扉枠2とが接近した際には、その情報(電気信号)がコントロールボックスC内の制御手段C1bに送信され、制御手段C1bからは該情報を基に動力部Aに対し施錠の為の電気信号が発信され、自動的に施錠がなされるように構成されている。
【0031】
施解錠管理装置の装着手順は以下に示す通りである。
(1)躯体を組み立て、扉枠2を取り付けたのち扉枠2に玄関扉1を吊り込む。
(2)錠ケース3aが装着されない状態で現場搬入される玄関扉1の錠収容部1aに錠ケース3a(シリンダー3bとサムターンが取り外された状態の錠ケース3a)を装着する。
(3)外部側にシリンダー3bを装着し、内部側には竣工時に装着される手動のサムターンにかえて、動力部(電動サムターン)Aを装着する。なお、動力部A装着の際には近接スイッチDを挟み込む。
(4)外部ICカード読取り部Bを玄関扉1の室外側面に、コントロールボックスCを室内側面に装着する。
(5)各種ケーブルEを用いて構成機器類どうしを接続する。
(6)玄関扉1に適宜養生材Fを装着する。
(7)外部仮設電柱から延長した電源コードを扉枠2下の間隙を経由して建物内に引き込み、コントロールボックスCから延伸した電源プラグC5と接続する。
【0032】
施解錠管理装置は建物の工事期間中に以下のようにして使用される。
(1)作業者が入場しようとする際に外面カバーF2の外部ICカード読取り部Bにカード(非接触式ICカード)をかざす。この際、ICカード情報(ID)が認証手段C1aに伝達され、認証手段C1aにて入場許可者として登録されたIDとの照合作業が行われて、正しく認証された場合(登録IDと一致した場合)には、制御手段C1bから解錠の電気信号が発信されて(動力部Aを駆動する回路に電気が供給され)動力部Aが解錠側に回転し玄関扉1が解錠される。また、同時に入場データ(IDとそのIDが認証された時刻)が記憶手段C1cに記憶される。
(2)作業者が入場し玄関扉1が閉じられ、近接スイッチDが扉枠2に接近すると、近接スイッチDから制御手段C1bに電気信号が発信される。そして、該電気信号に基づいて動力部Aに施錠のための電気信号が発信され、動力部Aが施錠側に回転して、施錠される。
(3)作業者が退場する際は、コントロール部C1に備え付けられた内部IDカード読取り部C2にカードをかざして退場する。この際、入場時と同様の機構にて施解錠の制御及び退場データ(IDとそのIDが認証された時刻)が記憶される。
(4)記憶手段C1cに記憶された入退場データは、サーバーPCからの操作によってPASを介してサーバーPCに無線送信され、作業者の労務管理等に活用される。特に、多くの建築現場にて同時進行する建築工事を一括して管理する必要がある住宅メーカーの施工管理部門において、全ての現場の労務やセキュリティを一元管理するネットワークを構築することで労務や現場の管理業務を効率化することが可能である。
【0033】
なお、夏場の作業時間中は、通風をとる為に玄関扉1を開放状態とすることが多いが、その際は、入退場時の施解錠の制御は行われないが、カードをかざすことによって、入退場データを記憶手段C1cに記憶することができる。
【0034】
また、コントロールボックスCは、労務管理の為の装置として単体での利用が可能である。例えば、着工と同時にコントロールボックスCを仮設電柱等に掛止しておく。そして、玄関扉1が存在しない状態である基礎工事や躯体工事の期間においても、作業者が現場への入退場の際にコントロールボックスCにカードをかざすことで、入退場データを記憶手段C1cに記憶させることができ、このようにして得られた入退場データを作業者の労務管理に活用することができる。
【0035】
建築工事が終了し施解錠管理装置を取り外す際には、装着時と逆の手順で各構成機器を取り外し、動力部(電動サムターン)Aにかえて手動サムターン3cを装着する。なお、取り外された施解錠管理装置は、他の建築現場にて再利用される。
【0036】
上記構成によれば、全ての構成機器が玄関扉1に着脱自在に装着されるので、建築工事中の必要な期間のみ玄関扉1に装着し、建築工事完了後は玄関扉1から取り外して玄関扉1を竣工時の完成品の状態とすることができ、玄関扉1を専用品に変更することなく施解錠管理機能を付与することができる。また、面材が鋼製材料からなる玄関扉1に対して外部ICカード読取り部BやコントロールボックスCを磁力を利用して装着しているので、着脱作業を極めて容易に行うことができる。
【0037】
[第2実施例]
次に、施解錠管理装置の第2実施例の構成について説明する。本実施例は、玄関扉1の養生材Fを利用して施解錠管理装置の各構成機器を装着した例であり、図5、6を参照して第1実施例と異なる構成についてのみ説明する。
【0038】
養生材Fを構成する内面カバーF1と外面カバーF2は、玄関扉1の保護の要となる板状またはマット状の芯材を、防水性を有する軟質の合成樹脂シートからなる表面材でサンドイッチして構成したものであり、上端部どうしが柔軟性を有する上部連結ベルトF3で連結されている。上部連結ベルトF3は、養生材F全体を玄関扉1に掛止する機能を有するものである。
【0039】
外面カバーF2の両側端部には、先端に面ファスナーのメス片F5が縫合された側部連結ベルトF4が取り付けられ、内面カバーF1の両側端部の側部連結ベルトF4に対応する位置には、面ファスナーのオス片F6が縫合されている。(面ファスナーにかえてボタン、ホック、バックル等を用いてもよい。)
【0040】
上部連結ベルトF3及び側部連結ベルトF4は、薄手で柔軟な素材であり、玄関扉1の開閉に支障を来たさないように構成されている。
【0041】
内面カバーF1の室内側の面には、コントロール部C1を掛止するためのフック、ボルト等の掛止具F7が取り付けられている。掛止具F7は、コントロール部C1の重量を支持する必要があるため、内面カバーF1の内部の少なくとも掛止具F7付近の領域には所定の強度と剛性を有する板状の下地材を収容しておき、該下地材に掛止具F7を固定する。(内面カバーF1に収容する芯材に下地としての機能をもたせてもよい。)
【0042】
外面カバーF2の玄関扉1側の面には、ポケットF8が設けられており、外部ICカード読取り部Bは、ポケットF8に収納されている。なお、外部ICカード読取り部Bは、外面カバーF2に内蔵してもよい。
【0043】
コントロール部C1と外部ICカード読取り部Bとを接続するケーブルEは、内面カバーF1及び外面カバーF2に内蔵され、両端の接続端子部分のみがコントロール部C1掛止部やポケット付近から露出した状態で配線されている。コントロール部C1と動力部(電動サムターン)Aとを接続するケーブルEも、内面カバーF1に内臓され、両端の接続端子部分のみがコントロール部C1掛止部や動力部付近から露出した状態で配線されている。同様に、コントロール部C1と近接スイッチDとを接続するケーブルEも内面カバーF1に内臓され、接続端子部分のみがコントロール部C1掛止部付近から露出した状態で配線されている。なお、ケーブルEは、養生材Fと玄関扉1との間に隠蔽、あるいはむき出しの状態でも構わない。
【0044】
また、PASC3用のアンテナC3aも内面カバーF1に内臓され、PHSへの接続端子部分のみがコントロール部C1掛止部付近から露出した状態で装着されている。
【0045】
本実施例の施解錠管理装置は、第1実施例の装着手順における(4)を下記のように置き換えることによって装着することができる。
(4)外部ICカード読取り部Bを予めポケットに収容したうえで養生材Fを玄関扉1に装着し(内面カバーF1が玄関扉1の室内側、外面カバーF2が室外側となるようにして上部連結ベルトF3を玄関扉1上端に掛止し、側部連結ベルトF4にて内面カバーF1と外面カバーF2の側部を連結する。)、コントロール部C1を内面カバーF1の掛止具F7に掛止する。
【0046】
上記構成によれば、玄関扉1の材質によらず、従来の玄関扉1の養生材Fの着脱に若干の手間を追加するだけで、極めて効率よく施解錠管理機能の付加及び取り去り作業を行うことができる。また、当然のことながら本施解錠管理装置は繰り返しの使用が可能であり、特に同一規格の玄関扉1を大量に取り扱う工業化住宅の施工においては、養生材Fのサイズを統一することができるので、コスト面でのメリットが大きい。
【0047】
[第3実施例]
次に、施解錠管理装置の第3実施例の構成について説明する。本実施例は、玄関扉1に帯状部材Gを介して施解錠管理装置の各構成機器を装着した例であり、図7を参照して第2実施例と異なる構成についてのみ説明する。
【0048】
帯状部材Gは、扁平で柔軟な合成繊維、合成樹脂等からなる帯部G1と、柔軟な合成繊維、合成樹脂等からなり帯部G1の両端に設けられた係止部G2と、面ファスナー、ボタン、ホック等からなる止め具G3と、帯部G1の中間部の室内側の面に設けられたフックG3とで構成されている。
【0049】
帯状部材Gは、帯部G1を玄関扉1のバーハンドル1bの直上に位置するように玄関扉1の上端縁に掛けた後に、係止部G2を玄関扉1の本体とバーハンドル1bとを連結する連結部1cに巻き付け、止め具G3を用いて連結部1cに係止することによって、帯状部材Gは玄関扉に装着される。なお、帯状部材Gは、止め具G3による係止を解除することによって取り外しが可能である。また、帯部G1は扁平且つ柔軟性を有しているので、玄関扉1を閉じた状態でも扉枠(不図示)と干渉することがない。
【0050】
上記の通り帯状部材Gを装着したのち、コントロールボックスCが収容された防水ケースC6を室内側の面に設けられたフックG4に掛止するとともに、外部ICカード読取り部Bを帯部G1の室外側の面にファスナー等で固定し、アンテナC3aを、玄関扉1の室内側表面あるいは帯状部材G1に固定し、更にコントロールボックスCと外部ICカード読取り部B及び動力部(電動サムターン)Aとを所定のケーブルEで結線することによって、本実施例の施解錠管理装置の装着作業は完了する。
【0051】
なお、玄関扉1の把手の形式は、バーハンドルに限定されるものではなく、ドアノブ形式や水平なレバーを回動させるレバーハンドル形式でもよい。
【0052】
上記構成によれば、バーハンドル等の把手を有する玄関扉に対し、極めて容易に、施解錠管理装置の着脱作業を行うことができる。
【0053】
[変形例]
上記3つの実施例において、動力部Aは、手動サムターン3cを電動モーターで回転させる機構を備えたサムターン回転装置を玄関扉1の室内側に装着するアタッチメント形式のものであってもよい。その具体的構成としては、例えば、手動サムターン3cを覆い隠すようなカップ状で、内部に電動モーターと電動モーターの回転軸に取り付けられた一対のつまみ挟持片とを有し、該つまみ挟持片でサムターンのつまみを挟持させておき、制御手段C1bからの電気信号によってモーターを回転させて施解錠するものが考えられる。この場合は、上記装着手順の(2)において、手動サムターン3cをそのまま装着し、手動サムターン3cの上から覆うようにサムターン回転装置を装着する。なお、動力部の固定方法には、(1)玄関扉1表面に両面粘着テープで固定する、(2)手動サムターン3c近傍まで延長した内面カバーF1を利用して固定する、(3)近接スイッチDの取付け金具D2に固定する、等の方法がある。
【符号の説明】
【0054】
1 玄関扉
1a 錠収容部
1b バーハンドル
2 扉枠
3 錠
3a 錠ケース
3b シリンダー
3c 手動サムターン
3d デッドボルト
A 動力部(電動サムターン)
B 外部ICカード読取り部
C コントロールボックス
C1 コントロール部
C1a 認証手段
C1b 制御手段
C1c 記憶手段
C2 内部ICカード読取り部
C3 PAS
C3a アンテナ
C4 ACアダプター
C5 電源プラグ
C6 防水ケース
D 近接スイッチ
D1 スイッチ本体
D2 取付け金具
D2a スイッチ本体保持片
D2b 固定片
E ケーブル
F 養生材
F1 内面カバー
F2 外面カバー
F3 上部連結ベルト
F4 側部連結ベルト
F5 面ファスナーのメス片
F6 面ファスナーのオス片
F7 掛止具
F8 ポケット
G 帯状部材
G1 帯部
G2 係止部
G3 止め具
G4 フック
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、既築の建物において一時的に認証装置にて扉の施解錠管理をしたい場合に適用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関扉の錠部分に着脱自在に装着され、電気信号により施解錠させる動力部と、
玄関扉の室外面側に着脱自在に装着されるICカード読取り部と、
玄関扉の室内面側に着脱自在に装着され、前記ICカード読取り部で読み取られたICカード情報の認証を行う認証手段と、該認証手段の認証結果に基づいて前記動力部を電気信号によって制御して施解錠させる制御手段とを備えたコントロール部と、からなることを特徴とする施解錠管理装置。
【請求項2】
前記ICカード読取り部及びコントロール部が、鋼製材料からなる前記玄関扉の面材に対し磁力にて装着されることを特徴とする請求項1に記載した施解錠管理装置。
【請求項3】
前記玄関扉には玄関扉の室内面を覆う内面カバーと室外面を覆う外面カバーとを備えた着脱自在の養生材が装着され、
前記ICカード読取り部が養生材の外面カバーに内臓または外面カバーの収納部に収納され、
前記コントロール部が、養生材の内面カバーに装着されることを特徴とする請求項1に記載した施解錠管理装置。
【請求項4】
前記ICカード読取り部及びコントロール部が、前記玄関扉の把手に着脱自在に係止される帯状部材を介して装着されることを特徴とする請求項1に記載した施解錠管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−94468(P2011−94468A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40202(P2010−40202)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】