説明

映像再生装置および照明装置の制御方法

【課題】映像表示器が表示する表示映像の画質に影響を与えることのない映像再生装置および照明装置の制御方法を提供する。
【解決手段】
この発明の1つの実施の形態である映像再生装置11は、映像を表示する映像表示器13と、映像表示器が表示する映像を照明するバックライト25と、バックライトから出力される照明光の輝度および色相(色度)の少なくとも一方を、バックライトが消灯している期間に基づいて補正する制御装置65と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばテレビジョン放送やネットワークにより提供される映像を再生する映像再生装置および照明装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルを用いたテレビジョン装置が急速に普及している。なお、液晶パネルは、CRT(ブラウン管)を用いた場合に比較して重量が低減可能であり、また奥行きが少ない(薄い)ことにより、特に画面の大きなテレビジョン装置に多く採用されている。
【0003】
ところで、テレビジョン装置に用いられる液晶パネルは、ほとんどが、例えば冷陰極管(蛍光管/放電灯)等に代表されるバックライトからの照明光の透過により映像を再生している。このため、バックライトからの照明光の輝度と色度が変化した場合、再生される映像の色味、すなわち色彩(色そのもの)、色合い(tint)、濃淡(shade)が変動することが知られている。なお、バックライトとして広く採用されている冷陰極管(蛍光管/放電灯)等においては、点灯(電源オン)直後から所定時間の間は、輝度が急激に増大するとともに、色度が変動することが知られている。
【0004】
特許文献1には、電源起動時からの時間をカウンタによりカウントしたカウンタ値(起動時からの時間)が所定時間よりも短い場合、非点灯(消灯)時間に応じ、バックライトを設定よりも明るく点灯することが開示されている。
【特許文献1】特開2007−108285
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の液晶表示装置は、バックライトの点灯時間に拘わらず消灯時間の長短に従い、明るさを制御することを開示するのみである。
【0006】
このため、バックライトがオフされた直後に再びオンされると、本来必要な明るさよりも明るさが加算される等、かえって画質に影響を与える場合もある。
【0007】
この発明の目的は、映像表示器として用いられる液晶パネルを照明するバックライトの明るさを、点灯時間および消灯時間に拘わりなく、どの時点でも最適な明るさに設定可能な映像再生装置および照明装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、映像を表示する表示装置と、前記表示装置に照明光を提供する照明装置と、前記照明装置から出力される照明光の輝度および色相(色度)の少なくとも一方を、前記照明装置が消灯している期間に基づいて補正する制御装置と、を有することを特徴とする映像再生装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、映像表示器が表示する映像を照明する照明装置が、表示映像の画質に影響を与えることのない起動特性の照明光を出力できる。
【0010】
これにより、照明装置が点灯することにより、表示映像に不要な画質補正が適用されることが抑止できる。
【0011】
また、照明装置が不連続に点灯あるいは消灯される場合であっても、表示映像の画質が変動することが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の一例について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態が適用可能な映像音声再生装置の一例を示す。なお、以下に説明する映像音声再生装置は、例えば映像表示装置(モニター装置)が一体に設けられているテレビジョン受信装置(以下テレビ受信装置と呼称する)であってもよいし、入力される映像(動画)と音声(オーディオデータ)を記録可能で、その再生時に映像および音声を出力可能な映像音声記録再生装置(レコーダー装置)であってもよい。
【0014】
図1は、この発明の実施の形態が適用される映像音声再生装置(テレビ受信装置)の一例を概略的に説明するブロック図である。
【0015】
テレビ受信装置11は、例えば液晶表示パネル等に代表される表示装置であって、映像信号(ビデオデータ)に対応する映像を表示する映像表示器13、例えばスピーカー等に代表される音声再生装置であって、音声出力(オーディオデータ)を再生する音声再生器15、ユーザーからの制御指示(制御入力)信号を受け入れる操作部17、ユーザーからのリモートコントローラ(以下、リモコンと称する)による操作情報(制御入力)信号を受けつけるリモコン受信部19、および制御ブロック(制御部)60等を含む。
【0016】
映像表示器13は、例えば液晶パネルと、液晶パネルの背面から液晶パネルを照明するバックライト25を含み、バックライト25による照明光が液晶パネルを透過して映像を再生(表示)する。なお、バックライト25は、冷陰極管等に代表される蛍光管すなわち放電灯であり、点灯回路27から供給する電圧とパルス数(駆動周波数)を制御することにより、所定の色度、かつ任意の明るさの照明光を出力する。しかしながら、低温下において、点灯時間(駆動時間)に対する輝度変動が顕著であり、明るさ(色味)が安定するまでに、数十分を要することが知られている。
【0017】
上述したテレビ受信装置11は、上記各ユニットの動作や表示もしくはオーディオ(音声)出力を、制御部(制御ブロック,メインボードと呼ばれることもある)60により、統括的に制御されている。
【0018】
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)61に代表される主制御用IC(LSI)を内蔵し、操作部17からの操作情報(入力)、またはリモコンから送出された操作情報を受信部19により受信した(リモコン入力)制御信号に対応する操作内容が反映されるように、各部をそれぞれ制御している。
【0019】
制御部60はまた、例えばCPU61が実行する制御プログラムを保持したROM(Read Only Memory)62、CPU61に作業エリアを提供するRAM(Random Access Memory)63、および各種の設定情報や、制御情報等が格納され、保持される不揮発性メモリー(Non Volatility Memory,NVM)64を、含む。
【0020】
NVM64は、後段に説明するが、映像表示器13のバックライト25がオンされてからオフされるまでの累計点灯時間、およびオフされてから次にオンされるまでの累計消灯時間を保持する「点灯/消灯期間保持部」として機能する。また、NVM64には、バックライト25が消灯されている時間に従い、次にバックライト25が点灯される時点の明るさの補正値が記憶される。なお、バックライト25の明るさには通常個体差が存在するため、NVM64には、個体差に対する補正値、もしくは補正値が異なる複数のテーブルも記憶される。
【0021】
バックライト25の明るさは、例えば制御部60と一体的に、あるいは独立して設けられるランプ制御部65により点灯回路27からバックライト25に印加すべき電圧および駆動パルス数を変化することで、任意に設定される。なお、点灯回路27は、例えばDC−ACインバータである。
【0022】
制御部60はまた、カードホルダ72と接続されたカードインターフェース(interface,I/F)71を介して、カードホルダ72に装着されるメモリーカードから映像および音声ファイルを読み込むことができ、また、メモリーカードに映像および音声ファイルを書き込むことができる。
【0023】
制御部60にはさらに、通信インターフェース(I/F)73、第1および第2のHDMIインターフェース(I/F)74,75、USBインターフェース(I/F)76、およびi.Linkインターフェース(I/F)77等の任意数のインターフェース群が接続され、それぞれのインターフェースに適合する外部装置あるいはハブ(拡張装置)もしくはネットワーク制御装置として機能する。例えば、通信インターフェース73には、LAN端子81が接続され、例えばLAN(ネットワーク)対応の図示しない外部(NAS(Network Attached Storage)HDD(Hard Disk Drive))が接続される。なお、LAN端子81は、イーサネット(登録商標)<(Ethernet(登録商標)>を用いた一般的なLAN対応ポートとして使用することも可能で、例えばハブ(Hub)が接続されることで、LAN対応のHDD、PC(personal computer)、HDD内臓のDVDレコーダー等の機器の接続が可能である。
【0024】
第1および第2のHDMIインターフェース74,75には、それぞれHDMI端子82,83が接続され、例えば図示しないDVDレコーダーやAVアンプ、あるいはハブが接続される。なお、AVアンプには、例えばDVDレコーダーやDVDプレーヤー等が接続される。また、ハブには、例えばHDMI端子を備えたAVアンプや、PC(personal computer)、HDD内臓のDVDレコーダー、DVDプレーヤー等の外部機器が接続可能である。
【0025】
HDMI端子82,83がハブと接続される場合には、例えばブロードバンドルータを介して、例えばインターネット等のネットワークとの接続や、ネットワーク上に位置するPC(personal computer)や携帯電話、もしくは携帯端末との間の動画ファイル(映像データ)やオーディオファイル(音声データ)の読み込みおよび再生ならびに書き込み(記録)等も可能である。
【0026】
USBインターフェース(I/F)76は、USBポート84と接続され、ポート84に接続される図示しないハブを介して、携帯電話、デジタルカメラ、メモリーカードに対するカードリーダ/ライタ、USBインターフェースを介してアクセス可能に形成されたHDD、キーボード等が接続可能であり、それぞれのUSB機器との間で情報の受け渡しが可能である。
【0027】
i.Linkインターフェース(I/F)77は、図示しないが、例えばAV(オーディオ−ビジュアル)−HDDあるいはD(Digital)−VHS(video home system)等の外部機器、もしくは外部地上波デジタルチューナ等がシリアル接続可能であり、接続される任意の機器との間で情報の受け渡しが可能である。
【0028】
なお、詳述しないが、個々のインターフェースに加えて、もしくは任意の1または複数のインターフェースに代えて、例えばDLNA(Digital Living Network Alliance(登録商標))規格等に準拠したネットワークコントローラや、図示しないBluetooth(登録商標)<(ブルートゥース(登録商標)>が用意され、それらを経由して、データの受け渡しが可能なレコーダー装置やHDD装置、もしくは携帯可能な端末装置が接続されてもよいことはいうまでもない。
【0029】
制御部60はまた、タイマーコントローラ(時計部)90を含む。時計部90は、時刻や、ユーザーからの入力により設定される予約録画のための予約時刻(日時)と録画対象チャンネル等の情報を管理するとともに、その情報を保持可能である。なお、時計部90は、後段に説明するデジタルチューナ50を介して受信するデジタル放送におけるTOT(Time Offset Table)と呼ばれる「時刻情報」を、常時取得できる。すなわち、電波時計を内蔵している機器と同等の時刻管理が可能である。また、後段に説明するチューナ52により受信するアナログアナログ放送の所定のチャンネルからも、毎日、所定の時間に時報を取得可能であることはいうまでもない。
【0030】
以下、テレビ受信装置11の主要な信号処理系について説明する。
【0031】
BS/CSデジタル放送受信用のアンテナ42で受信した衛星デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子43を介して衛星デジタル放送用のチューナ44に供給される。
【0032】
チューナ44は、制御部60からの制御信号により所望のチャンネルの放送信号を選局し、この選局された放送信号をPSK(Phase Shift Keying)復調器45に出力する。
【0033】
PSK復調器45は、制御部60からの制御信号に基づき、チューナ44で選局された放送信号を復調して、所望の番組を含んだトランスポートストリーム(Transport Stream,TS)を得て、TS復号器46に出力する。
【0034】
TS復号器46は、制御部60からの制御信号により、トランスポートストリーム多重化された信号のTS復号処理を行い、所望の番組のデジタルの映像信号及び音声信号を信号処理部47に出力する。また、TS復号器46は、デジタル放送により送られている番組(コンテンツ)を取得するための各種データ(サービス情報)、電子番組ガイド(EPG)情報、番組属性情報(番組ジャンル等)および字幕情報等を制御部60へ出力する。
【0035】
また、地上波放送受信用のアンテナ48で受信した地上デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子49を介して地上デジタル放送用のチューナ50に供給される。
【0036】
チューナ50は、制御部60からの制御信号により所望のチャンネルの放送信号を選局し、この選局された放送信号をOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調器51に出力する。
【0037】
OFDM復調器51は、制御部60からの制御信号により、チューナ50で選局された放送信号を復調して、所望の番組を含んだトランスポートストリームを得て、TS復号器56に出力する。
【0038】
TS復号器56は、制御部60の制御の下で、トランスポートストリーム(TS)多重化された信号のTS復号処理を行い、所望の番組のデジタルの映像信号および音声信号を信号処理部47に出力する。なお、信号処理部47では、デジタル放送波により送られてくる番組を取得するための各種データや電子番組ガイド(EPG)情報や、番組属性情報(番組ジャンル等)等を取得して、制御部60へ出力する。
【0039】
地上波放送受信用のアンテナ48で受信した地上アナログテレビジョン放送信号は、入力端子49を介して地上アナログ放送用のチューナ52に供給されることにより、所望のチャンネルの放送信号が選局される。チューナ52で選局された放送信号は、アナログ復調器53により、アナログコンテンツすなわちアナログの映像信号および音声信号に復調された後、信号処理部47に出力される。
【0040】
信号処理部47は、PSK復調器45及びOFDM復調器51からそれぞれ供給されたデジタルの映像信号および音声信号に対して、選択的に所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理部54及び音声処理部55に出力している。
【0041】
信号処理部47にはまた、複数(図示の場合は4つ)の入力端子40a,40b,40c,40dが接続されている。これら入力端子40a〜40dは、それぞれ、アナログの映像信号及び音声信号を、放送受信装置11の外部から入力可能とするものである。
【0042】
信号処理部47は、アナログ復調器53及び各入力端子40a〜40dから、それぞれ供給されたアナログの映像信号及び音声信号を選択的にデジタル化し、このデジタル化された映像信号及び音声信号に対して所定のデジタル信号処理を施した後、グラフィック処理部54及び音声処理部55に出力する。
【0043】
グラフィック処理部54は、信号処理部47から供給されるデジタルの映像信号に、OSD(On Screen Display)信号生成部57で生成されるOSD信号を重畳して出力する機能を有する。このグラフィック処理部54は、信号処理部47の出力映像信号と、OSD信号生成部57の出力OSD信号とを選択的に出力すること、また、両出力をそれぞれ画面の半分を構成するように組み合わせて出力することができる。
【0044】
なお、OSD信号生成部57により出力される出力OSD信号は、αブレンディングのパラメーターが設定されることで、通常の映像表示上に、「半透明」状態で(通常の映像信号の一部を透過可能に)重ね合わせて出力させることもできる。
【0045】
グラフィック処理部54はまた、放送信号が字幕信号を伴い、字幕が表示可能である場合は、制御部60からの制御信号および字幕情報に基づき、映像信号上に字幕情報を重畳する処理を行う。
【0046】
グラフィック処理部54から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理部58に供給される。映像処理部58は、映像表示器13すなわちディスプレイ装置(モニタ装置)により映像(動画/静止画)出力として再生可能に、グラフィック処理部54から供給されるデジタルの映像信号をアナログの映像信号に変換する。なお、映像処理部58と接続された出力端21には、例えば外部装置として、拡大投影装置(プロジェクタ装置)や外部モニタ装置が接続されてもよいことはいうまでもない。出力端21にはまた、例えばDVD規格の光ディスクを記録媒体とするDVDレコーダー装置や、従来からのビデオテープを記録媒体とするビデオレコーダー装置が接続されてもよい。
【0047】
音声処理部55は、音声再生器15すなわちスピーカー等であり、信号処理部47から供給されるデジタルの音声信号をアナログの音声信号に変換する。なお、詳述しないが、音声信号(オーディオ出力)は、出力端23と接続される外部スピーカーや、オーディオアンプ(ミキサーアンプ)や、出力端23の1つの形態として用意されるヘッドホン出力端に、音声/オーディオ出力として再生可能に出力されてもよいことはいうまでもない。
【0048】
図2は、バックライトの点灯時の輝度および色度を設定する方法の一例を示す。
【0049】
上述したように、映像表示器13が表示する映像の品位、すなわち再生映像の色味は、バックライト25が主として消灯されていた期間に従って、大きく変動するする。なお、色味は、色彩(色そのもの(hue))、色合い(tint)および濃淡(shade)により表現される。
【0050】
バックライト25は、既に説明したが、点灯時の直前の消灯期間(非点灯時間)に依存してその輝度および色度が大きく変動する。反面、点灯後、30分程度経過すると、輝度および色度の変動は、ほとんどなくなる。
【0051】
このことから、バックライト25を点灯する際は、その直前の消灯期間((消灯状態での)経過時間)を参照し、経過時間が一定期間内である場合に、点灯回路27からバックライト25に供給する駆動電圧および駆動パルス数を補正するものとする。
【0052】
詳細には、図2に示すように、ユーザーによるリモコン端末あるいは操作部17の操作により、テレビ受信装置11のパネル電源あるいは主電源スイッチがオンされると、映像表示器13のバックライト25が消灯されていた期間(非点灯期間)が、NVM64から読み出される(S1)。
【0053】
なお、バックライト25が消灯されていた期間(非点灯期間)は、例えば上述した「TOT(時刻情報)」を用いた直前の消灯時の時刻と現在時刻との間の期間の計算、時計部90による計時結果、あるいは図示しないが基本クロックをカウントするカウンター等によるカウント値、等に基づいて特定できる。また、例えば省エネモード等により主電源が実質的にオフされている場合や、コンセントが抜かれている(商用電源との接続が遮断されている)等の場合においては、NVM64が保持する最終のバックライトの消灯時刻とテレビ受信装置に通電された時点との間の間隔(時刻)や通電後に取得できた「TOT」もしくはネットワーク上で取得可能な現在時刻に基づいて、同様に消灯期間を求めることができる。なお、映像再生装置が、例えばパーソナルコンピュータ(PC)である場合には、通常のOS(オペレーションシステム)において、表示装置(バックライト)がオンしていた期間とオフしていた期間がカウントされているため、NVM64が保持する消灯期間を読み出すのみである。
【0054】
次に、取得した経過時間(非点灯期間)が、バックライト25の輝度および色度の補正が必要な期間内であるか否か、がチェックされる(S2)。
【0055】
なお、バックライト25が消灯されていた期間(非点灯期間)に対する補正値は、直前に点灯されていた期間によって、異なることはいうまでもない。例えば、[A]数時間点灯後、1分程度消灯され、直後に再び点灯された場合と、[B]数分間点灯され、1時間以上消灯された場合では、補正制御が同一とならないことは、いうまでもない。
【0056】
このような背景から、S2において、経過時間(非点灯期間)が補正を必要とする時間(期間)を越えている(消灯期間が補正の不要な期間よりも長い)ことが検知された場合(S2−YES)、補正初期値と補正方法が決定される(S3)。
【0057】
例えば、上述の[A]に相当する場合、映像表示器13およびバックライト25の温度が十分に上昇した状態であることが容易に類推でき、実際の補正量もほぼ必要ない。
【0058】
一方、上述の[B]のようなケースでは、映像表示器13およびバックライト25の温度は、実質的に冷え切った状態であり、例えば図3を用いて以下に説明するように、点灯から当分の間は、バックライト25に印加する電圧および駆動周波数を、定常値(設定値あるいは定格値)に比較して高く設定し、出力される照明光の輝度を高めることになる。もちろん、消灯期間が短い場合には、補正値の初期値は、低減される。
【0059】
すなわち、図3において、左右方向は、補正時間の最大値を示し、右端から左に向かうにつれて、消灯期間(バックライトオフ期間)が長いことを示す。これに対して、バックライト25がオンされた時点から補正が必要な期間は、上述した消灯期間から右端に到達するまでの期間となる。
【0060】
なお、図3は、駆動電圧および駆動周波数を補正する(消灯期間が長い場合に、駆動電圧および駆動周波数を増大する)例を示したが、バックライト25の温度が規定値に達していない(規定値に達するまでの間の期間)等において顕著となる色相(色度)の変化については、同様にして求めた電源オフからの経過時間すなわち消灯期間を測定し、測定された時間が色相に影響を与える時間を超えている場合は、図4に示すようにガンマ補正の値を変更して、色相(色度)を補正すればよい。また、図4においても、左右方向が補正期間の最大値を示し、右端から左に向かうにつれて、消灯期間(バックライトオフ期間)が長いことを示す。従って、バックライト25がオンされた時点から補正が必要な期間は、上述した消灯期間から右端に到達するまでの期間となる。
【0061】
以下、バックライト25がオンされた時点からの経過時間(点灯時間)をカウントしながら、図3あるいは図4に示した輝度および色相(色度)、もしくはその両者を補正する(S4)。
【0062】
以下、点灯時間が補正必要時間を越えるまで(S5−YES)、図3あるいは図4に示した輝度および色相(色度)、もしくはその両者の補正が継続され(S5〜S4)、補正が必要なくなった時点で補正が終了する(S6)。
【0063】
なお、映像表示器13の液晶パネルとバックライト25には、上述した個体差があるため、図2により説明した消灯期間および点灯期間に基づく補正値は、個々に異なることはいうまでもない。
【0064】
また、図2を用いた説明においては、バックライト25に印加する駆動電圧と駆動周波数について言及したが、駆動周波数に代えて、パルス幅を変化するPWM(Pulse Width Modulation)制御を適用してもよいし、両者が併用されてもよい。もちろん、駆動電圧に換えて、管電流を変化してもよいことはいうまでもない。
【0065】
またさらに、NVM64が保持する補正テーブルとしては、設置環境の温度に対する補正値であってもよい。例えば、低温環境においては、図3および図4に示した左右方向、すなわち最大補正期間を増大することも可能である。補正期間を一定(共通)として、調整量(補正値)の最大値を増大することも可能である。
【0066】
この発明の実施の形態を一つを適用することにより、映像表示器が表示する映像を照明する照明装置からの照明光が、表示映像の画質に影響を与えることのない映像表示装置が得られる。
【0067】
これにより、照明装置が点灯することにより、表示映像に不要な画質補正が適用されることが抑止できる。
【0068】
また、照明装置が不連続に点灯あるいは消灯される場合であっても、表示映像の画質が変動することが防止される。
【0069】
なお、本発明の内容はここに記述した形態だけに限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で、他にも様々な形態を取り得ることはいうまでもない。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて、もしくは一部を削除して実施されてもよく、その場合は、組み合わせもしくは削除に起因したさまざまな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の実施の形態が適用される映像再生装置の一例を示す概略図。
【図2】図1に示した映像再生装置に組み込まれる映像表示器が表示する映像を照明する照明装置からの照明光の輝度および色相を補正する方法の一例を、ソフトウエア的に説明する概略図。
【図3】図1に示した映像再生装置の照明装置からの照明光の輝度を補正する一例を示す概略図。
【図4】図1に示した映像再生装置の照明装置からの照明光の色相(色度)を補正する一例を示す概略図。
【符号の説明】
【0071】
11…テレビ受信装置(映像再生装置)、13…映像表示器、15…音声再生器、21…出力端、25…バックライト、27…点灯回路、47…信号処理部、55…音声処理部、58…映像処理部、60…制御部、61…CPU、64…不揮発性メモリー(点灯/消灯期間保持部)、65…ランプ制御部、90…時計部(タイマーコントローラ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示装置と、
前記表示装置に照明光を提供する照明装置と、
前記照明装置から出力される照明光の輝度および色相(色度)の少なくとも一方を、前記照明装置が消灯している期間に基づいて補正する制御装置と、
を有することを特徴とする映像再生装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記照明装置が消灯されている期間が補正を必要とする期間を超えている場合に、前記照明装置に印加する駆動電圧、駆動電圧のパルスの周波数、駆動電圧のパルスのパルス幅の少なくとも1つを前記照明装置からの照明光が設定値に達するまでの間、補正することを特徴とする請求項1記載の映像再生装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記照明装置が消灯されている期間に基づいて、前記照明装置に適用する前記補正の初期値、および補正方法を設定することを特徴とする請求項2記載の映像再生装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記照明装置が点灯された時点からの経過時間が補正を必要とする期間を超えた時点で前記補正を中止することを特徴とする請求項2記載の映像再生装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記照明装置が点灯された時点からの経過時間と前記照明装置が消灯されていた期間とに基づいて、前記照明装置に前記補正を適用する期間を設定することを特徴とする請求項2記載の映像再生装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記照明装置が消灯されていた期間が所定期間よりも短い場合、前記補正を実行しないことを特徴とする請求項2記載の映像再生装置。
【請求項7】
表示装置を照明する照明装置の非点灯期間を求め、
求められた非点灯期間に基づいて、点灯時に補正すべき制御量を求め、
求められた制御量で照明装置を点灯することを特徴とする照明装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−112967(P2010−112967A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222630(P2008−222630)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】