説明

映像処理システム

【課題】復号化側に「超解像」の映像処理のための処理ブロックがなくとも、符号化側からの低解像度映像信号の折り返し成分を抑圧制御できるようにする。
【解決手段】入力映像信号Aの低域映像成分Iは低解像度変換部3で標本化されて低解像度低域映像成分となり、また、その高域映像成分Jは低解像度変換部20で標本化されて低解像度高域映像成分となり、乗算器21で振幅圧縮後、加算器22で低解像度低域映像成分と加算され、振幅圧縮された高解像度高域映像成分が折り返し成分となる低解像度映像信号Cが得られる。復号化側DEでは、超解像処理部7で低解像度映像信号Cから低域映像成分Dと高域映像成分Eとが復元され、高域映像成分Eが乗算器23でもとの振幅に伸長された後、加算器10で低域映像成分Dと加算されることにより、元の映像信号Fが得られる。復号化側DEで超解像処理しない処理部を用いても、折り返し成分は振幅圧縮されているので、その影響を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高解像度の映像を一旦低解像度映像に変換して、その低解像度映像信号を伝送路に出力または記録媒体に記録し、伝送路または記録媒体からの低解像度映像信号を入力映像信号として、複数の低解像度映像信号から低域映像成分と高域映像成分とを分離、復元し、低解像映像に変換する前の高解像度の映像信号を復元する映像処理システム関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送の普及や青色レーザを使った光デバイスの普及により、従来のNTSC方式のテレビジョンよりも高解像度な映像ソースの視聴環境が整って来つつある。
【0003】
このため、高解像度の映像ソースをネットワーク伝送したり、記録媒体に記録するには、非常に大きな帯域や容量が必要であるため、DVDなどに記録する際には、従来のNTSC方式の低解像度画像に変換して記録されている場合が多い。
【0004】
一方、従来のNTSC方式の映像ソースを視聴するディスプレイは、デジタル放送に合わせたハイビジョン表示のために、高解像度化しており、それに対応する技術として、低解像度画像から高品位な高解像度画像を復元する「超解像」と呼ばれる技術が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に記載の技術は、入力画像よりも低い解像度の表示デバイスでこの入力画像を表示する場合、この入力画像を間引き(サンプリング)してこの表示デバイスの解像度にあった解像度の画像に変換し、これを表示デバイスで表示させるものであるが、この表示に際し、「超解像」技術を利用することにより、この表示デバイスで視覚的に高解像度の映像が得られるようにするものである。
【0006】
入力画像は、表示デバイスの解像度に合わせてサンプリングされるが、移動する被写体についてみると、フレーム毎にこの被写体像の位置がづれていくことになり、かかるフレームを順次サンプリングすると、フレームに対するサンプリング点は変化しないので、各フレームでの被写体像に対するサンプリング点はその移動とともに変化する。そこで、表示デバイスにかかる画像が表示されると、知覚の時間的積分機能により、複数のフレームが同時に知覚されることになるから、これら複数フレームのサンプリング点が同時に知覚されることになり、移動する被写体のサンプリング点が増加して知覚されることになる。これにより、移動する被写体像に対する解像度が増加し、高解像度の映像が得られることになる。
【0007】
ところで、このように入力画像をサンプリングする場合、入力画像信号の周波数帯域がサンプリング周波数fsの1/2の周波数(ナイキスト周波数)以上である場合、この入力画像信号のこのナイキスト周波数fs/2以上の周波数成分がナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域側に折り返す折り返し成分が発生し、これがモアレとなって画質を劣化させることになる。
【0008】
上記特許文献1に記載の技術では、折り返し成分が移動する被写体像の移動速度と画像信号のナイキスト周波数(即ち、間引き量)に応じた位相(2πkφtで、φtは被写体像の移動速度に比例し、間引き量に反比例する)で発生することから、複数のフレームでの折り返し成分が互いに相殺し合うように、被写体像の移動速度に応じてサンプリング周波数を設定する。これにより、表示デバイスでは、複数のフレームで互いに折り返し成分が相殺するように、知覚されることになり、折り返し成分による影響をなくすことができるとするものである。
【0009】
ところで、映像源と表示デバイスとが伝送路を介して接続されるシステムの場合、映像源から映像信号を伝送路を介して表示デバイス側に伝送する必要があるし、また、映像信号を一旦記録媒体に記録し、これを再生して表示デバイスで映像表示するような場合がある。このような場合には、伝送路を伝送させるために、あるいは記録媒体に記録するために、映像信号の周波数帯域を制限して低解像度の映像信号とする必要があり、また、表示デバイスに表示させるためには、この低解像度の映像信号をもとの高解像度の映像信号に戻すことが必要となる場合がある。
【0010】
このような伝送や記録のための低解像度化がなされた映像信号は、表示デバイスに必要する解像度よりも低い解像度の映像信号である場合があり、このため、上記特許文献1に記載の技術を適用することができず、信号処理によって高解像度化を図ることが必要である、このための技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0011】
この非特許文献1に記載の技術は、画像の複数のフレームを合成して1フレームとすることにより、画素数を増やして画像の高解像度化を図るとともに、折り返し成分をキャンセルするようにしたものである。
【0012】
即ち、上記のように、周波数帯域がナイキスト周波数fs/2以上の原映像信号をサンプリング周波数fsでサンプリングすると、ナイキスト周波数fs/2以上の成分がナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域側に折り返しされた折り返し成分を含むナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域の映像信号(低域変換映像信号)が得られるが、移動する被写体像に対しては、かかる低域変換映像信号では、各フレーム毎にこの被写体像の位置が順次ずれている。
【0013】
そこで、まず、フレーム間でのかかる被写体像の位置ずれ量を推定し(位置推定)、現時点でのフレームに対して、それより前のフレームをこの位置ずれ量に応じて動き補償することにより、これらフレーム間でのこの被写体像の位置ずれがなくなるようにし、これによる現時点でのフレームとそれより前の各フレームでのサンプリング点の位相差を求める。
【0014】
そして、このように処理された各フレームの低域変換映像信号をナイキスト周波数fs/2の2倍(従って、サンプリング周波数fs)の通過帯域を有する広帯域LPF(ローパスフィルタ)に通すことにより、もとの原映像信号と同等のナイキスト周波数fs/2以上の周波数帯域の映像信号に折り返し成分が混入した高密度の映像信号が得られる(広帯域補間)。このときの折り返し成分は、高密度の映像信号に対し、上記のサンプリング点の位相差に応じた位相差だけ位相が回転したものである。従って、フレーム毎に高密度の映像信号に対する折り返し成分の位相差が異なることになり、各フレームの折り返し成分の回転位相が異なることになる。そこで、この回転位相において、従って、上記のサンプル点の位相差に応じて夫々のフレームに重み付けをし、これらフレームを加算することにより、これらフレームでの折り返し成分を互いにキャンセルすることができる(加重和)。
【0015】
このようにして、複数のフレームを加算することにより、折り返し成分がキャンセルされた高密度の映像信号からなる1つのフレームが得られることになる。
【特許文献1】特開2005ー173158号公報
【非特許文献1】青木 伸 “複数のデジタル画像データによる超解像処理” Ricohtechnical Report pp.19-24 No.24,NOVEMBER 1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、上記非特許文献1に記載の記載から明らかなように、「超解像」と呼ばれる技術は、原理的には、高解像度画像復元のための情報を、低解像度画像の中から動きベクトル情報などを基に、抽出、復元するための技術である。
【0017】
このため、映像信号の符号化,復号化を行なう映像処理システムでは、符号化側と復号化側とに夫々、「超解像」の映像処理のための処理ブロックが設けられていることが必要があり、符号化側で「超解像」の映像処理は全く行なわれていない時には、復号化側では、低解像度画像から正しく高解像度画像を復元することができない。また、符号化側で「超解像」の映像処理は正しく行なわれても、復号化側で低解像度画像から高解像度画像を復元する処理ブロックが設けられていないと、高解像度画像の映像成分がモアレと呼ばれる妨害が発生し、これが画質劣化の要因となる。以下、この点について説明する。
【0018】
図26は符号化側と復号化側とで「超解像」の映像処理が行なわれる場合の映像処理システムの一構成例を示すブロック図であって、COは符号化側、DEは復号化側、1は入力端子、2はLPF、3は低解像度変換部、4は出力端子、5は伝送路、6は入力端子、7は超解像処理部、8は低域映像再生部、9は高域映像再生部、10は加算器、11は出力端子である。
【0019】
また、図27〜図31は図26での映像信号の各部の振幅/周波数特性を示す特性図であり、ここでは、1次元の特性情報として示しているが、実際の映像信号は2次元の特性情報(画面に対して、上下方向と左右方向の特性)を有している。後述の振幅/周波数特性を示す特性図についても同様である。
【0020】
同図において、入力端子1からの高解像度の入力映像信号Aは、LPF2を介して低解像度変換部3に供給され、サンプリング周波数fsでサンプリング処理されてナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域の低解像度映像信号Cに変換される。ここで、入力端子1からの入力映像信号Aはナイキスト周波数fs/2を越える周波数帯域の映像信号であり、通過帯域が0〜f1(但し、fs/2<f1≦fs)のLPF2で低域制限されて図27に示す周波数帯域の映像信号Bとなる。かかる映像信号Bが低解像度変換部3で低解像度変換されることにより、図28に示すように、この映像信号Bのナイキスト周波数fs以下の周波数帯域の低域映像成分にこの映像信号Bのナイキスト周波数fs/2以上の周波数帯域の周波数成分(高域映像成分)が折り返し成分として混入した低解像度映像信号Cが生成される。この低解像度映像信号Cが出力端子4から出力される。
【0021】
ここで、符号化側COの出力端子4と復号化側DEの入力端子6とは、伝送路5を介して接続されているものとするが、記録再生装置であってもよい。但し、かかる伝送路5は、その伝送可能な帯域がナイキスト周波数fs/2までのものとする。記録再生装置の場合も、同様である。このことは、後述の実施形態などにおいても同様である。
【0022】
符号化側COの出力端子4から出力された低解像度映像信号Cは、伝送路5を伝送されて入力端子6から復号化側DEに入力され、超解像処理部7に供給される。この超解像処理部7は低域映像再生部8と高域映像再生部9と加算器10とから構成されるものであって、低域映像再生部8では、入力された低解像度映像信号Cに対し、上記の非特許文献1に記載の技術と同様にして、位置推定がなされて現時点でのフレームを含む複数フレームで移動する被写体像の位置ずれをなくし、次いで、これら複数のフレームを重み付けして加算する加重和処理がなされることにより、図29に示すように、折り返し成分が除かれたナイキスト周波数fs/2までの帯域の低域映像成分Dが得られる(広帯域補間処理はなされない)。また、高域映像再生部9では、入力された低解像度映像信号Cに対し、この低解像度映像信号Cに混入している折り返し成分が抽出され、図30に示すように、元の周波数帯域に戻された高域映像成分Eが得られる。
【0023】
ここで、高域映像再生部9の処理について説明する。
【0024】
先に説明したように、「超解像」処理では、移動する被写体像の位置ずれが補正された複数フレームの低解像度映像信号を、広帯域補間処理して高密度の映像信号とした後、加重和処理して複数のフレームから1フレームを形成するものであったが、高域映像再生部9では、現時点でのフレームとそれより前のフレームを含む複数フレームでの低解像度映像信号Cの折り返し成分の位相を合わせることにより、かかる折り返し成分が混入された低域映像成分の位相をフレーム毎に異ならせ(折り返し成分についての「位置推定」)、広帯域補間処理を行なって折り返し成分から元の映像信号の高域映像成分を復元し、加重和処理を行なうことによって複数のフレームでの低域映像成分を互いにキャンセルさせるものである。これにより、複数フレームでの折り返し成分から復元された高域映像成分が加算されて得られることになる。
【0025】
このように、高域映像再生部9で得られる高域映像成分Eは複数のフレームの折り返し成分から復元された高域映像成分が加算されたものであるが、低域映像再生部8でえられる低域映像成分Dも、同様にして、複数のフレームの低域映像成分が加算されたものであるから、これら低域映像成分Dと高域映像成分Eとのレベルの比率は、LPF2から得られるもとの映像信号Bでの低域映像成分と高域映像成分とのレベルの比率にほぼ等しいものである。
【0026】
低域映像再生部8から出力される低域映像成分Dと高域映像再生部9から出力される高域映像成分Eとは加算器10で所定のレベルに調整されて加算され、もとの映像信号Bと同じ映像信号Fが復元されて出力端子11から出力される。
【0027】
このようにして、符号化側COと復号化側DEとに「超解像」の映像処理のための処理ブロック(即ち、超解像処理部7)を設けることにより、図31に示すように、もとの映像信号Bが復号化側DEで復元され、出力映像信号Fとして、出力端子11から取得することができる。
【0028】
なお、上記の「超解像」処理以外の処理については、説明を省略する。このことは、後述の実施形態などにおいても同様である。
【0029】
図32は符号化側でのみ「超解像」の映像処理が行なわれる場合の映像処理システムの一構成例を示すブロック図であって、12は映像処理部、13は映像再生部であり、図26に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0030】
同図において、この構成例は、図26に示す構成例において、超解像処理部7の代わりに、超解像の処理ブロックではない通常の処理をする映像処理部12を設けたものである。
【0031】
入力端子1からの高解像度の入力映像信号Aは、LPF2で帯域が制限され、図33に示すように、その通過帯域0〜f1の周波数からなる映像信号Bとして低解像度変換部3に供給され、サンプリング周波数fsでサンプリング処理されて、図34に示すように、ナイキスト周波数fs/2以下の周波数帯域の低解像度映像信号Cに変換される。この低解像度映像信号Cから出力端子4から出力され、伝送路5を介して復号化側DEの入力端子6に伝送される。
【0032】
復号化側DEでは、入力端子6から入力された低解像度映像信号Cが映像処理部12に供給され、その映像再生部13で「超解像」処理以外の処理がなされて出力端子11から出力される。
【0033】
ここで、復号化側DEの映像処理部12では、映像再生部13で「超解像」処理以外の通常の映像処理がなされるだけであるので、図34に示す振幅/周波数特性を持つ低解像度映像信号がそのまま出力端子11から出力されることになり、これを表示デバイスで表示すると、低解像度の画像が表示されることになるし、また、低解像度映像信号に高域映像成分に復元されないで残っている折り返し成分により、「モアレ」などが生じて画質が劣化することになる。
【0034】
このように、符号化側に「超解像」の処理ブロックを設けても、復号化側に「超解像」の処理ブロックがない場合には、高解像度の画像が得られず、また、折り返し成分が画質の劣化が生ずるという問題があった。
【0035】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、復号化側に「超解像」の映像処理のための処理ブロックが設けられていなくとも、折り返し成分による画質の劣化を抑制できるようにした映像処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上記目的を達成するために、本発明は、符号化側で高解像度の入力映像信号を超解像の処理ブロックで低解像度映像信号に変換して、伝送路に出力または記録媒体に記録し、復号化側で伝送路からの低解像度映像信号を受信し、または記録媒体から低解像度映像信号を再生する映像処理システムであって、復号化側には、低解像度映像信号を超解像処理して高解像度の映像信号に復元する超解像処理部と低解像度映像信号を超解像処理する機能を持たない通常の処理を行なう映像処理部とのいずれか一方を設け、復号化側に映像処理部が設けられた場合には、符号化側の超解像の処理ブロックは、低解像度映像信号での入力映像信号の高域映像成分による折り返し成分を抑圧することを特徴とするものである。
【0037】
また、本発明は、符号側での超解像の処理ブロックが、入力映像信号の低域映像成分からなる狭帯域映像信号を抽出する第1のフィルタと、入力映像信号の高域映像成分も含む広帯域映像信号を抽出する第2のフィルタと、復号化側に超解像処理部が設けられているときには、第2のフィルタからの広帯域映像信号を選択し、復号化側に映像処理部が設けられているときには、第1のフィルタからの狭帯域映像信号を選択する選択手段と、選択手段で選択された映像信号を、第1のフィルタ手段の通過帯域のほぼ上限周波数をナイキスト周波数としてサンプリングし、低解像度映像信号を生成する低解像度変換部とを有し、選択手段は、復号化側で映像処理部が設けられているとき、第1のフィルタからの狭帯域映像信号を選択することを特徴とするものである。
【0038】
また、本発明は、符号側での超解像の処理ブロックが、入力映像信号の低域映像成分を抽出する第1のフィルタと、入力映像信号の高域映像成分を抽出する第2のフィルタと、低域映像成分を第1のフィルタ手段の通過帯域のほぼ上限周波数をナイキスト周波数とし、ナイキスト周波数の2倍の周波数でサンプリングし、低解像度低域映像成分を生成する第1の低解像度変換部と、高域映像成分をナイキスト周波数の2倍の周波数でサンプリングし、低解像度高域映像成分を生成する第2の低解像度変換部と、低解像度高域映像成分に乗算係数K(但し、0≦K≦1)を乗算する乗算部と、低解像度低域映像信号と乗算器からの低解像度高域映像成分とを加算し、低解像度映像信号を生成する加算器とを有し、復号化側で映像処理部が設けられているとき、乗算部での乗算系数Kを1よりも小として、低解像度高域映像信号の振幅を抑圧し、復号化側に設けられる超解像処理部に、復元された高域映像成分に乗算係数1/Kを乗算する乗算器を設けたことを特徴とするものである。
【0039】
また、本発明は、符号側での超解像の処理ブロックは、入力映像信号の低域映像成分を抽出する第1のフィルタと、入力映像信号の高域映像成分を抽出する第2のフィルタと、低域映像成分を第1のフィルタ手段の通過帯域のほぼ上限周波数をナイキスト周波数とし、ナイキスト周波数の2倍の周波数でサンプリングし、低解像度低域映像成分を生成する第1の低解像度変換部と、高域映像成分をナイキスト周波数の2倍の周波数でサンプリングし、低解像度高域映像成分を生成する第2の低解像度変換部と、指数関数的な入出力特性を有し、低解像度高域映像成分の振幅を圧縮する指数変換部と、低解像度低域映像信号と指数変換部からの低解像度高域映像成分とを加算し、低解像度映像信号を生成する第1の加算器とを有し、復号化側に設けられる超解像処理部は、対数関数的な入出力特性を有し、復元された高域映像成分の指数変換部で圧縮された振幅を伸張する対数変換部と、復元された低域映像成分と対数変換部で振幅伸張された高域映像成分とを加算する第2の加算部とを有することを特徴とするものである。
【0040】
そして、符号側での超解像の処理ブロックに、第2の低解像度変換部からの低解像度高域映像成分と指数変換部からの振幅が圧縮された低解像度高域映像成分とのいずれか一方を選択して加算器に供給する第1の選択手段を設け、復号化側に用いる超解像処理部に、復元された高域映像成分と対数変換部で振幅が伸張された高域映像成分とのいずれか一方を選択して第2の加算部に供給する第2の選択手段を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0041】
本発明によると、「超解像」の符号化側、復号化側の性能に大きな影響を与えず、「超解像」の映像処理ブロックを持たない場合でも、復号化側での画質劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
図1(a),(b)は本発明による映像処理システムの第1の実施形態を示すブロック図であって、14,15はLPF、16は切替スイッチ、17は切替制御信号の入力端子であり、図26,図32に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。なお、図1(a)は復号化側DEに「超解像」の処理ブロックとしての超解像処理部を用いる場合を示し、図1(b)は復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いない場合を示している。
【0044】
また、図2〜図4は図1(a),(b)の符号化側COでの各部の映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【0045】
この第1の実施形態では、復号化側DEに、図1(a)に示すように、「超解像」の処理ブロックを用いることもできるし、また、図1(b)に示すように、「超解像」の処理ブロックを用いず、通常の映像処理部を用いることもできるが、まず、復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いる場合について説明する。
【0046】
図1(a)において、符号化側COでは、LPF14,15と切替スイッチ16と低解像度変換部3とからなる「超解像」の処理ブロックが用いられている。復号化部DEでは、「超解像」の処理ブロックとしての超解像処理部7が用いられて伝送路5に接続されている。
【0047】
符号化側COでは、入力端子1から、低解像度変換部3でのサンプリング周波数fsの1/2の周波数、即ち、ナイキスト周波数fs/2を越える周波数帯域の高解像度の映像信号Aが入力され、LPF14,15に供給される。LPF14はこのナイキスト周波数fs/2よりも高い周波数f1を上限とする通過帯域を有しており、この入力映像信号Aが周波数帯域0〜f1に制限されて、図2に示す振幅/周波数特性の高解像度の広帯域映像信号Gとして切替スイッチ16の接点aに供給される。また、LPF15はナイキスト周波数fs/2よりも低い周波数f2を上限とする通過帯域を有しており、この入力映像信号Aが周波数帯域0〜f2に制限されて、図3に示す振幅/周波数特性の狭帯域映像信号Hとして切替スイッチ16の接点bに供給される。
【0048】
この切替スイッチ16は、入力端子17からの切替制御信号に応じて切替制御されるが、復号化側DEに「超解像」の処理ブロックとしての超解像処理部7が用いられている場合には、手動操作もしくは超解像処理部7が接続されていることが検出されることによる切替制御信号により、この切替スイッチ16は接点a側に閉じた状態に設定され、LPF14から出力される周波数帯域0〜f1の広帯域映像信号Gがこの切替スイッチ16を介して低解像度変換部3に供給される。この低解像度変換部3では、この広帯域映像信号Gがサンプリング周波数fsでサンプリングされてナイキスト周波数fs/2までの周波数帯域の低解像度映像信号Cが得られる。この低解像度映像信号Cには、図4に示すように、もとの高解像度の広帯域映像信号Gでの周波数帯域fs/2〜f1の高域映像成分が0〜fs/2の周波数帯域内に折り返してなる折り返し成分が含まれている。
【0049】
この低解像度映像信号Cは、出力端子4から出力され、伝送路5を伝送されて入力端子6から復号化側DEに入力される。
【0050】
この復号側DEでの超解像処理部7では、図26に示す超解像処理部7と同様の処理が行なわれるものであって、低域映像再生部8で図29に示す振幅/周波数特性の低域映像成分Dが復元され、高域映像再生部9で図30に示す振幅/周波数特性の高域映像成分Eが復元され、加算器10でこれら低域映像成分Dと高域映像成分Eとが加算されることにより、LPF14から低解像度変換部3に入力されるもとの広帯域映像信号Fが折り返し成分が抑制されて得られる。
【0051】
次に、復号化側DEに「超解像」の処理機能を持たないブロックを用いる場合について説明する。
【0052】
図1(b)において、復号化部DEでは、図1(a)での超解像処理部7の代わりに、「超解像」の処理機能を持たない通常の映像処理を行なう映像処理部12が用いられて伝送路5に接続されている。
【0053】
この場合では、符号化側COでの切替スイッチ16は、入力端子17からの切替制御信号により、設定b側に閉じた状態に設定され、これにより、LPF15から出力される周波数帯域0〜f2の狭帯域映像信号H(図3)がこの切替スイッチ16を介して低解像度変換部3に供給される。この低解像度変換部3では、この狭帯域映像信号Hがサンプリング周波数fsでサンプリングされてナイキスト周波数fs/2までの周波数帯域の低解像度映像信号Cが得られる。狭帯域映像信号Hには、この低解像度映像信号Cには、ナイキスト周波数fs/2以上の高域映像成分が含まれていないので、折り返し成分が含まれていない。
【0054】
この低解像度映像信号Cは、出力端子4から出力され、伝送路5を伝送されて入力端子6から復号化側DEに入力される。
【0055】
復号化側DEでは、入力端子6から入力された低解像度映像信号Cが映像処理部14に供給され、その映像再生処理部13で「超解像」処理以外の通常の映像再生処理がなされて出力端子11から出力される。
【0056】
映像処理部14に供給される低解像度映像信号Cには、折り返し成分が含まれていないので、この映像処理部12から出力される映像信号による表示画像では、折り返し成分による「モアレ」が生ずることがなく、「モアレ」による画質劣化は生じない。
【0057】
このようにして、この第1の実施形態では、復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いた場合には勿論のことであるが、かかるブロックを用いない場合でも、折り返し成分による「モアレ」の発生をなくして、これによる画質の劣化をなくすことができる。
【0058】
図5(a),(b)は本発明による映像処理システムの第2の実施形態を示すブロック図であって、18はLPF、19はHPF(ハイパスフィルタ)、20は低解像度変換部、21は乗算器、22は加算器、23は乗算器、24は制御信号の入力端子であり、図1,図26に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。なお、図5(a)は復号化側DEに「超解像」の処理ブロックとしての超解像処理部を用いる場合を示し、図5(b)は復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いない場合を示している。
【0059】
また、図6〜図13は、図5(a),(b)での各部の映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【0060】
この第2の実施形態では、復号化側DEに、図5(a)に示すように、「超解像」の処理ブロックを用いることもできるし、また、図5(b)に示すように、「超解像」の処理ブロックを用いず、通常の映像処理部を用いることもできるが、まず、復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いる場合について説明する。
【0061】
図5(a)において、符号化側COでは、LPF18,HPF19,低解像度変換部3,20,乗算器21及び加算器22とからなる「超解像」の処理ブロックが用いられている。復号化部DEでは、「超解像」の処理ブロックとしての超解像処理部7が用いられて伝送路5に接続されている。
【0062】
符号化側COでは、入力端子1から、低解像度変換部3でのサンプリング周波数fsの1/2の周波数、即ち、ナイキスト周波数fs/2を越える周波数帯域の高解像度の映像信号Aが入力され、LPF18,19に供給される。
【0063】
LPF18はこのナイキスト周波数fs/2を上限とする通過帯域を有しており、この入力映像信号Aが周波数帯域0〜fs/2に制限されて、図6に示す振幅/周波数特性の低域映像成分Iとして低解像度変換部3に供給される。低解像度変換部3では、この低域映像成分Iがサンプリング周波数fsでサンプリングされてナイキスト周波数fs/2までの周波数帯域の低解像度低域映像成分となり、加算器22に供給される。
【0064】
また、LPF19はこのナイキスト周波数fs/2からこれを越える周波数f1までの通過帯域を有しており、図7に示すように、入力映像信号Aの周波数帯域fs/2〜f1の高域映像成分Jが抽出されて、低解像度変換部20に供給される。この低解像度変換部20では、この高域映像成分Jがサンプリング周波数fsでサンプリングされてナイキスト周波数fs/2までの周波数帯域内に折り返され、低解像度高域映像成分として出力される。この低解像度高域映像成分は乗算器21に供給されてK倍(但し、0<K≦1)され、図8に示すように、折り返しの低解像度高域映像成分Lとして加算器22に供給される。
【0065】
ここで、乗算係数Kは、図8に示すように、入力端子24からの制御信号に応じて適宜切り替え可能であり、乗算係数Kに応じて折り返しの低解像度高域映像成分の振幅を適宜変化させることができる。図8では、K=1,0.5,0.25について示しており、これに応じて、低解像度高域映像成分の振幅は、0dB,−6dB,−12dBに設定される。
【0066】
加算器22では、低解像度変換部3からの低解像度低域映像成分と乗算器21からの折り返しの低解像度高域映像成分とが加算され、図9に示すように、低解像度低域映像成分に低解像度高域映像成分が折り返し成分として加算された低解像度映像信号Cが得られる。この低解像度映像信号Cが出力端子4から出力され、伝送路5で伝送されて復号化側DEに入力端子6から入力される。
【0067】
復号化側DEでは、入力端子6で受信された低解像度映像信号Cが超解像処理部7に供給される。この超解像処理部7は、図8に示す超解像処理部7に乗算器23が追加された構成をなしており、低域映像再生部8と高域映像再生部9とにより、図26での超解像処理部7と同様にして、低解像度映像信号Cから図10に示す低域映像成分Dと図11に示す高域映像成分Dとが分離され、低域映像成分Dは加算器10に供給されるとともに、高域映像成分Eは乗算器23で1/K倍され、高域映像成分Mとして加算器10に供給される。この乗算器23は、図12に示すように、符号化側COの乗算器21でK倍された高域映像成分を1/K倍して元の振幅に戻すものである。低域映像再生部8から出力される低域映像成分Dと乗算部23で乗算処理された高域映像成分Eとは加算器10で加算され、図13に示すように、入力映像信号Aと同様の振幅/周波数特性で高解像度の映像信号Fが復元されて出力端子11から出力される。
【0068】
ここで、乗算器23の乗算係数1/Kも、入力端子24からの制御信号に応じて、乗算器21の乗算係数Kとともに、常にこの乗算係数Kの逆数となるように変更されるものである。図8でK=1,0.5,0.25の場合、図12では、1/K=1,2,4となる。
【0069】
このようにして、この第2の実施形態で「超解像」の処理ブロックが復号側DEに設けられている場合には、符号化側COと復号化側DEとの双方に「超解像」の処理ブロックが設けられているので、折り返し成分の影響が低減された元の振幅/周波数特性の映像信号を復元することができる。
【0070】
なお、乗算器21での乗算係数Kを小さく設定することにより、低解像度高域映像成分を大きく圧縮して低解像度映像信号Cでの折り返し成分の振幅を小さくすることができるから、この低解像度映像信号Cでの折り返し成分による影響が小さくなる。このため、復号化側DEでの超解像処理部7では、必ずしも低域映像再生部8で折り返し成分のキャンセル処理(加重和)を行なう必要はなく、得られた低域映像成分Dに折り返し成分を残したままとしても良い。
【0071】
また、符号化側COと復号化側DEとが近接して設けられている場合には、符号化側COの乗算器21の乗算係数Kと復号化側DEの乗算器23の乗算係数1/Kとを、入力端子24からの切替制御信号を共通に用いて、制御することが可能であるが、符号化側COと復号化側DEとが近接して設けられていない場合、あるいは伝送路5ではなく、ハードディスク装置やDVDドライブなどの記録再生装置が使用されて、符号化側COから出力される低解像度映像信号が記録され、また、これが再生されて復号化側DEに供給される場合には、符号化側COから出力される低解像度映像信号にこの乗算器21の乗算係数Kを表わすパラメータを付加し、復号化側DEでこのパラメータに応じて乗算器23の乗算係数1/Kを切り替え設定するようにする。
【0072】
次に、図5(b)により、復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いない場合について説明する。この場合には、映像処理部12が用いられ、伝送路5と接続されている。
【0073】
符号化側COは図5(a)での符号化側COと同様であり、この符号化側COの出力端子4から図9に示す低解像度映像信号Cが出力されて伝送路5を伝送され、復号側DEで入力端子6から入力されて映像処理部12に供給される。この低解像度映像信号Cは、映像処理部12の映像再生部13で処理されて出力端子11から出力されるが、映像再生部13が「超解像」処理以外の通常の処理を行なうため、出力端子11から出力される映像信号Fには、符号化側COの加算器22で加算された低解像度高域映像成分Lの折り返し成分がそのまま残っていることになる。
【0074】
しかしながら、このように、画質を劣化させる折り返し成分が残っている場合には、入力端子24からの制御信号により、乗算器21に設定される乗算係数Kを1よりも充分小さくすることにより、折り返し成分の振幅を小さくし、「モアレ」による画質の劣化を軽減することができる。
【0075】
このように、この第2の実施形態では、復号化側DEに「超解像」の処理ブロックが設けられていなくとも、符号化側COでの乗算器21での乗算係数Kの調整により、折り返し成分による画質の劣化を軽減することが可能となる。
【0076】
図14(a),(b)は本発明による映像処理システムの第3の実施形態を示すブロック図であって、25は指数変換部、26は対数変換部であり、図5に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。なお、図14(a)は復号化側DEに「超解像」の処理ブロックとしての超解像処理部を用いる場合を示し、図14(b)は復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いない場合を示している。
【0077】
また、図15〜図23は、図14(a),(b)での各部の映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【0078】
この第3の実施形態は、図5(a),(b)に示す第2の実施形態において、符号化側COの乗算器21の代わりに指数変換部25を用い、復号化側DEの乗算器23の代わりに対数変換部26を用いたものである。また、この第3の実施形態においても、復号化側DEに、図14(a)に示すように、「超解像」の処理ブロックを用いることもできるし、また、図14(b)に示すように、「超解像」の処理ブロックを用いず、通常の映像処理部を用いることもできるが、まず、復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いる場合について説明する。
【0079】
この第3の実施形態の図14(a)に示す使用形態では、おいて、図5(a),(b)に示す第2の実施形態において、符号化側COで乗算器21の代わりに指数変換部25を用い、復号化側DEで乗算器23の代わりに対数変換部26を用いる。
【0080】
指数変換部25は、図15(a)に示すように、指数関数の入出力特性を有し、入力信号の振幅をその大きさに応じて指数関数的に圧縮するものであり、対数変換部26は、図15(b)に示すように、対数関数の入出力特性を有し、入力信号の振幅をその大きさに応じて対数関数的に伸長するものである。この場合、指数変換部25と対数変換部26との入出力特性は、破線の直線で示す出力/入力比が1の入出力特性に関して対象な関係にあり、従って、指数変換部25で圧縮された映像信号の振幅は、対数変換部26で、元の振幅値に復元されるように、伸長される。
【0081】
そこで、図5(a)に示した第2の実施形態と同様、符号化側COにおいて、低解像度変換部3から図16に示す振幅周波数特性の低解像度低域映像成分が出力されて加算器22に供給され、また、低解像度変換部20から図17に示す振幅/周波数特性の低解像度高域映像成分が出力されるが、この低解像度高域映像成分は指数変換部25に供給され、その振幅に応じて指数関数的に振幅圧縮される。
【0082】
ところで、高域映像成分は、正負の振幅を有する信号成分であり、出現する振幅の頻度分布は、振幅が0に近いほど大きく、ガウス分布をなしている。このため、符号化側COでは、出現分布が高いこの0に近い振幅成分ほどより大きく圧縮し、出現頻度が極めて低い大きな振幅の成分については、折り返しによる影響が小さいため、それほど振幅圧縮しなくともよいことから、図15(a)に示す入出力特性の指数変換部25を用いている。
【0083】
そこで、高解像度の入力映像信号Aの振幅/周波数特性は時々刻々変化するため、低解像度変換部3から出力される低解像度低域映像成分の振幅/周波数特性も、図16に示すように、変化し、低解像度変換部20から出力される低解像度高域映像成分の振幅/周波数特性も、図17に示すように、変化する。
【0084】
なお、図16では、低解像度低域映像成分の振幅/周波数特性の振幅/周波数特性として、最大振幅のVL1とこれよりも少し低い振幅のVL2と充分低い振幅のVL3との3種類の特性を模式的に示しており、同様にして、図17では、低解像度高域映像成分の振幅/周波数特性の振幅/周波数特性として、最大振幅のVH1とこれよりも少し低い振幅のVH2と充分低い振幅のVH3との3種類の特性を模式的に示している。
【0085】
低解像度変換部3から出力される低解像度低域映像成分は、図16に示すようなそのときの振幅/周波数特性で加算器22に供給されるが、低解像度変換部20から出力される低解像度高域映像成分は、図15(a)に示す入出力特性の指数変換部25に供給されることにより、図18に示すように、その振幅が小さいほど大きく圧縮されるようにして振幅が圧縮される。最大振幅VH1のときには、振幅圧縮率がほとんど0であって、そのときの低解像度高域映像成分は振幅圧縮されずにそのままの振幅で指数変換部25から出力される。
【0086】
指数変換部25でこのように振幅圧縮処理された低解像度高域映像成分Lは加算器22に供給され、折り返し成分として、低解像度変換部3から出力される低解像度低域映像成分と加算されて、図19に示すように、低解像度高域映像成分を折り返し成分とした低解像度映像信号Cが得られる。
【0087】
一方、復号化側DEでは、この低解像度映像信号Cから、超解像処理部7での低域映像再生部8で図20に示す振幅/周波数特性の低域映像成分Dが復元され、また、高域映像再生部9から図21に示す振幅/周波数特性の高域映像成分Eが分離される。
【0088】
なお、図20,図21に示す振幅/周波数特性は夫々、図16,図18に示す振幅/周波数特性に対応させて示すものであって、図20,図21に示す振幅が図16,図18に示す振幅と必ずしも一致するものではないが、ここでは、説明の便宜上、これら振幅が一致するものとする。従って、低域映像再生部8から出力される低域映像成分Dは符号化側COのLPF18から出力される低域映像成分Iと同じ振幅の特性の成分であり、高域映像再生部9から出力される高域映像成分Eは符号化側COの指数変換部25から出力される高域映像成分Lと同じ振幅の特性の成分である。
【0089】
高域映像再生部9から出力される高域映像成分Eは図15(b)に示す入出力特性の対数変換部26に供給され、図22に示すように、振幅が伸長されて元の振幅の、即ち、HPF19から出力される高域映像成分Jと同じ振幅の特性の高域映像成分Mが得られる。この伸長された高域映像信号Mは加算器10に供給され、低域映像再生部8からの低域映像成分Dと加算されて、図23に示すもとの振幅/周波数特性で高解像度の映像信号Fが得られる。
【0090】
このようにして、超解像処理部7により、高域映像成分による折り返し成分が抑圧されることにより、この折り返し成分による画質劣化が回避できるとともに、復元された高域映像成分Eは、対数変換部26によってもとの振幅に戻されるので、解像度の劣化も回避できる。
【0091】
次に、図14(b)により、復号化側DEに「超解像」の処理ブロックではない処理ブロック、即ち、映像処理部12を用いる場合について説明する。
【0092】
この使用形態では、復号化側DEでは、符号化側COの出力端子4に伝送路5を介して映像処理部12が接続されるものであって、入力端子6で図19に示す振幅/周波数特性の低解像度映像信号Cが入力され、映像処理部12の映像再生部13で処理されて、映像信号Fとして出力端子11から出力される。
【0093】
ところで、この場合の出力映像信号Fは、「超解像」の処理がなされていないので、高域映像成分による折り返し成分が残留している。しかし、上記のように、低解像度高域映像成分は対数変換部25によって振幅が圧縮されており、しかも、高出現頻度の振幅が小さい高域映像成分ほど大きく圧縮され、提出源頻度の振幅が大きい高域映像成分程圧縮の割合が小さく設定されているため、出現頻度が高い折り返し成分は充分抑圧されることになり、残留する折り返し成分による画質の劣化が抑えられる。
【0094】
このようにして、この第3の実施形態においても、図5に示した第2の実施形態と同様、「超解像」の処理ブロックを用いなくとも、折り返し成分による画質の劣化(モアレ)を抑えることができる。
【0095】
図24(a),(b)は本発明による映像処理システムの第4の実施形態を示すブロック図であって、27は画像圧縮部、28は画像伸張部であり、図14に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0096】
なお、図24(a)は復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いた場合を示し、図24(b)は復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いない場合を示している。但し、図24(b)では、符号化側COと伝送路5とを省略している。
【0097】
同図(a)において、この第4の実施形態は、図14に示す第3の実施形態において、符号化側COに画像圧縮部27を、復号化側DEに画像伸張部28を夫々設けたものである。
【0098】
符号化側COにおいて、先の第3の実施形態と同様にして加算器22から得られる低解像度映像信号Cは、画像圧縮部27で画像圧縮処理されて後、出力端子4から出力されて伝送路5で伝送される。また、復号化側DEでは、この画像圧縮された低解像度映像信号は入力端子6から入力され、画像伸張部28で画像伸張されて元の低解像度映像信号Cが復元され、超解像処理部7に供給される。
【0099】
画像圧縮部27,画像伸張部28での画像圧縮,画像伸張のための符号化・復号化方式としては、特に、制限はないが、例えば、国際標準技術であるJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)やMPEG(Moving Picture Experts Group)といった方式を用いてもよい。
【0100】
以上以外の点については、先の第3の実施形態度の図14(a)に示す使用形態の場合と同様である。
【0101】
この第4の実施形態によると、画像圧縮部27で低解像度映像信号Cが画像圧縮されることにより、この低解像度映像信号Cのビットレートを低減できるので、この低解像度映像信号Cの周波数帯域を低減することができ、このため、LPF18のカットオフ周波数を高めることができて(これに応じて、HPF19の下限周波数も高める)、低解像度変換部3から出力される低解像度低域映像成分の周波数帯域を広げることができ、低解像度低域映像成分の解像度を高めることができるとともに、加算器22からの低解像度映像信号Cにおける折り返し成分を低減できる。
【0102】
このようにして、この第4の実施形態においても、図14に示した第3の実施形態と同様の効果が得られるものである。
【0103】
また、先の各実施形態と同様、図24(b)に示すように、超解像処理部7の代わりに、映像処理部12を用いることができる。この場合も、図14(b)に示した第3の実施形態の場合と同様、加算器22からの低解像度映像信号Cにおける折り返し成分を低減できるものであるから、復号化側DEでは、図14に示す第3の実施形態よりも、さらに、折り返し成分による影響が低減された映像信号が得られる。
【0104】
図15(a),(b)は本発明による映像処理システムの第5の実施形態を示すブロック図であって、29,30は切替スイッチ、31は切替制御信号の入力端子であり、図24に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。なお、図15(a)は復号化側DEに「超解像」の処理ブロックとしての超解像処理部を用いる場合を示し、図15(b)は復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いない場合を示している。
【0105】
この第5の実施形態は、図24(a),(b)に示す第4の実施形態において、符号化側COに切替スイッチ29を設け、復号化側DEの超解像処理部7に切替スイッチ30を設け、入力端子31からの切替制御信号により、切替制御するようにしたものである。まず、復号化側DEに「超解像」の処理ブロックを用いる場合について説明する。
【0106】
図25(a)において、符号化側COでは、低解像度変換部3からの低解像度低域映像成分は加算器22に供給される。また、低解像度変換部20からの低解像度高域映像成分は、指数変換部25で振幅圧縮処理されて切替スイッチ29の接点aに供給されるとともに、直接切替スイッチ29の接点bに供給される。
【0107】
この切替スイッチ29は入力端子31からの切替制御信号によって切替制御され、切替スイッチが接点a側に閉じているときには、図14(a)に示す第3の実施形態と同様に、低解像度変換部20からの低解像度高域映像成分が指数変換部25で振幅圧縮されて加算器22に供給される。また、切替スイッチが接点b側に閉じているときには、低解像度変換部20からの低解像度高域映像成分がそのまま加算器22に供給される。従って、加算器22からは、切替スイッチ29が接点a側に閉じているときには、低解像度低域映像成分に指数変換部25で振幅圧縮された低解像度高域映像成分が折り返し成分として含まれる低解像度映像信号Cが得られ、切替スイッチが接点b側に閉じているときには、低解像度低域映像成分に低解像度変換部20からの低解像度高域映像成分がそのまま折り返し成分として含まれる低解像度映像信号Cが得られる。夫々の低解像度映像信号Cは、画像圧縮部27で画像圧縮された後、伝送路5を介して復号化側DEに供給される。
【0108】
復号化側DEでは、先の実施形態と同様、超解像処理部7の低域映像再生部8で低解像度映像信号Cから低域映像成分Dが復元され、高域映像再生部9で高域映像成分Eが復元される。この低域映像成分Dは加算器10に供給される。
【0109】
高域映像再生部9で得られた高域映像成分Eは、直接切替スイッチ30の設定dに供給されるとともに、対数変換部26でもとの振幅に変換された後、切替スイッチ30の接点cに供給される。この切替スイッチ30も入力端子31からの切替制御信号によって切替制御されるものであって、符号化側COでの切替スイッチ29が接点a側に閉じたときには、接点c側に閉じ、符号化側COでの切替スイッチ29が接点b側に閉じたときには、接点d側に閉じる。
【0110】
そこで、符号化側COから画像圧縮された低解像度映像信号Cが伝送されるときの切替スイッチ29が接点a側に閉じた状態にあるときには、切替スイッチ30は接点c側に閉じており、高域映像再生部9から出力される振幅圧縮されている高域映像成分Eは、対数変換部26で振幅伸張されて元の振幅に復元された後、切替スイッチ30を介して加算器10に供給される。また、符号化側COから画像圧縮された低解像度映像信号Cが伝送されるときの切替スイッチ29が接点b側に閉じた状態にあるときには、切替スイッチ30は接点d側に閉じており、高域映像再生部9から振幅圧縮処理されていない高域映像成分Eは、直接切替スイッチ30を介して加算器10に供給される。
【0111】
これにより、切替スイッチ29,30の状態に応じて、低解像度映像信号Cの折り返し成分を振幅圧縮して図24に示す第4の実施形態と同様の効果が得られるし、また、折り返し成分を振幅圧縮しないようにすることにより、復号化側DEで雑音の影響が少ない高域映像成分を復元できるという効果も得られる。
【0112】
なお、符号化側COと復号化側DEとが近接して設けられている場合には、符号化側COの切替スイッチ29と復号化側DEの切替スイッチ30とを、入力端子31からの切替制御信号を共通に用いて、切替制御することが可能であるが、符号化側COと復号化側DEとが近接して設けられていない場合、あるいは伝送路5ではなく、ハードディスク装置やDVDドライブなどの記録再生装置が使用されて、符号化側COから出力される低解像度映像信号が記録され、また、これが再生されて復号化側DEに供給される場合には、符号化側COから出力される低解像度映像信号にこの切替スイッチ29の状態を表わすパラメータを付加し、復号化側DEでこのパラメータに応じて切替スイッチ30の切替制御を行なうようにする。
【0113】
次に、復号化側DEに「超解像」の処理ブロックでない処理ブロックを用いる場合について説明する。
【0114】
図25(b)において、復号化側DEに映像処理部12が設けられ、「超解像」の処理ブロックが設けられていないときには、符号化側COにおいて、切替スイッチ29が接点a側に閉じた状態に設定される。これにより、低解像度変換部20から出力される低解像度高域映像成分は、常に指数変換部25で振幅が圧縮されることになり、従って、復号化側DEの映像処理部12に供給される低解像度映像信号での折り返し成分は、振幅が抑圧されている。
【0115】
これにより、映像処理部12から出力される映像信号Fは、折り返し成分が含まれているが、その振幅が抑圧されているため、この折り返し成分による「モアレ」が低減し、画質の劣化が抑えられる。
【0116】
このようにして、この第6の実施形態では、復号化側DEで「超解像」の処理ブロックが設けられなくとも、映像信号中の折り返し成分を抑圧することができて、「モアレ」による画質の劣化を軽減することが可能となる。
【0117】
なお、図25(b)に示す状態では、復号化側DEで「超解像」の処理機能がない映像処理部12が用いられた場合、入力端子31からの切替制御信号により、符号化側COの切替スイッチ29は接点a側に閉じた状態に設定されるものであるが、これは、ユーザの操作により、あるいは映像処理部12が用いられることが適宜の方法によって検出されることにより、入力端子31から切替スイッチ29に、これを接点a側に閉じた状態に設定する切替制御信号が供給されることによるものである。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、高解像度の映像を一旦、低解像度画像に変換し、低解像度画像として、伝送路、または記録媒体に記録し、伝送路、または記録媒体からの映像信号を入力映像信号として、複数の低解像度の映像信号から低域映像成分と高域映像成分とを分離、復元し、低解像画像に変換する前の高解像度の映像信号を復元し出力する映像処理システムに関するものであり、特に、民生機器での映像機器において、高解像度化像と低解像度画像を目的に応じて効率良く扱うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1(a)】本発明による映像処理システムの第1の実施形態の復号側で超解像処理部を用いた場合を示すブロック図である。
【図1(b)】本発明による映像処理システムの第1の実施形態の復号側で映像処理部を用いた場合を示すブロック図である。
【図2】図1(a),(b)におけるLPF14からの広帯域映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図3】図1(a),(b)におけるLPF15からの狭帯域映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図4】図1(a),(b)における低解像度変換部3からの低解像度映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図5(a)】本発明による映像処理システムの第2の実施形態の復号側で超解像処理部を用いた場合を示すブロック図である。
【図5(b)】本発明による映像処理システムの第2の実施形態の復号側で信号処理部を用いた場合を示すブロック図である。
【図6】図5(a),(b)におけるLPF18からの低域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図7】図5(a),(b)におけるHPF19からの高域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図8】図5(a),(b)における乗算器21からの低解像度高域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図9】図5(a),(b)における加算器22からの低解像度映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図10】図5(a)における低域映像再生部8からの低域映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図11】図5(a)における高域映像再生部9からの高域映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図12】図5(a)における乗算器23からの高域映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図13】図5(a)における加算器10からの映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図14(a)】本発明による映像処理システムの第3の実施形態の復号側で超解像処理部を用いた場合を示すブロック図である。
【図14(b)】本発明による映像処理システムの第3の実施形態の復号側で映像処理部を用いた場合を示すブロック図である。
【図15】図14(a),(b)における指数変換部25,対数変換部26の入出力特性を示す特性図である。
【図16】図14(a),(b)におけるLPF18からの低域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図17】図14(a),(b)におけるHPF19からの高域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図18】図14(a),(b)における対数変換部25からの低解像度高域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図19】図14(a),(b)における加算器10からの低解像度映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図20】図14(a)における低域映像再生部8からの低域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図21】図14(a)における高域映像再生部9からの高域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図22】図14(a)における対数変換部26からの高域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図23】図14(a)における加算器10からの映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図24】本発明による映像処理システムの第4の実施形態を示すブロック図である。
【図25(a)】本発明による映像処理システムの第5の実施形態の復号側で超解像処理部を用いた場合を示すブロック図である。
【図25(b)】本発明による映像処理システムの第5の実施形態の復号側で超解像処理部を用いた場合を示すブロック図である。
【図26】符号化側と復号化側とで「超解像」の映像処理が行われる場合の映像処理システムの一構成例を示すブロック図である。
【図27】図26におけるLPF2からの低域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図28】図26における低解像度変換部3からの低解像度映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図29】図26における低域映像再生部8からの低域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図30】図26における高域映像再生部9からの高域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図31】図26における加算部10からの映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図32】符号化側でのみ「超解像」の映像処理が行なわれる場合の映像処理システムの一構成例を示すブロック図である。
【図33】図32におけるLPF2からの低域映像成分の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【図34】図32における低解像度変換部3からの低解像度映像信号の振幅/周波数特性を示す特性図である。
【符号の説明】
【0120】
CO 符号化側
DE 復号化側
1 映像信号の入力端子
2 LPF
3 低解像度変換部
4 低解像度映像信号の出力端子
5 伝送路
6 低解像度映像信号の入力端子
7 超解像処理部
8 低域映像再生部
9 高域映像再生部
10 加算器
11 映像信号の出力端子
12 映像処理部
13 映像再生部
14,15 LPF
16 切替スイッチ
17 切替制御信号の入力端子
18 LPF
19 HPF
20 低解像度変換部
21 乗算器
22 加算器
23 乗算器
24 制御信号の入力端子
25 指数変換部
26 対数変換部
27 画像圧縮部
28 画像伸張部
29,30 切替スイッチ
31 制御信号の入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化側で高解像度の入力映像信号を超解像の処理ブロックで低解像度映像信号に変換して、伝送路に出力または記録媒体に記録し、復号化側で該伝送路からの該低解像度映像信号を受信し、または該記録媒体から該低解像度映像信号を再生する映像処理システムであって、
該復号化側には、該低解像度映像信号を超解像処理して高解像度の映像信号に復元する超解像処理部と該低解像度映像信号を超解像処理する機能を持たない通常の処理を行なう映像処理部とのいずれか一方を設け、
該復号化側に該映像処理部が設けられた場合には、該符号化側の該超解像の処理ブロックは、該低解像度映像信号での該入力映像信号の高域映像成分による折り返し成分を抑圧することを特徴とする映像処理システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記符号側での前記超解像の処理ブロックは、
前記入力映像信号の低域映像成分からなる狭帯域映像信号を抽出する第1のフィルタと、
前記入力映像信号の高域映像成分も含む広帯域映像信号を抽出する第2のフィルタと、
前記復号化側に前記超解像処理部が設けられているときには、該第2のフィルタからの該広帯域映像信号を選択し、前記復号化側に前記映像処理部が設けられているときには、該第1のフィルタからの該狭帯域映像信号を選択する選択手段と、
該選択手段で選択された映像信号を、該第1のフィルタ手段の通過帯域のほぼ上限周波数をナイキスト周波数としてサンプリングし、前記低解像度映像信号を生成する低解像度変換部と
とを有し、
該選択手段は、前記復号化側で前記映像処理部が設けられているとき、該第1のフィルタからの該狭帯域映像信号を選択することを特徴とする映像処理システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記符号側での前記超解像の処理ブロックは、
前記入力映像信号の低域映像成分を抽出する第1のフィルタと、
前記入力映像信号の高域映像成分を抽出する第2のフィルタと、
該低域映像成分を該第1のフィルタ手段の通過帯域のほぼ上限周波数をナイキスト周波数とし、該ナイキスト周波数の2倍の周波数でサンプリングし、低解像度低域映像成分を生成する第1の低解像度変換部と、
該高域映像成分を該ナイキスト周波数の2倍の周波数でサンプリングし、低解像度高域映像成分を生成する第2の低解像度変換部と、
該低解像度高域映像成分に乗算係数K(但し、0≦K≦1)を乗算する乗算部と、
該低解像度低域映像信号と該乗算器からの該低解像度高域映像成分とを加算し、前記低解像度映像信号を生成する加算器と
を有し、
前記復号化側で前記映像処理部が設けられているとき、該乗算部での該乗算系数Kを1よりも小として、該低解像度高域映像信号の振幅を抑圧し、
前記復号化側に設けられる前記超解像処理部に、復元された該高域映像成分に乗算係数1/Kを乗算する乗算器を設けたことを特徴とする映像処理システム。
【請求項4】
請求項1において、
前記符号側での前記超解像の処理ブロックは、
前記入力映像信号の低域映像成分を抽出する第1のフィルタと、
前記入力映像信号の高域映像成分を抽出する第2のフィルタと、
該低域映像成分を該第1のフィルタ手段の通過帯域のほぼ上限周波数をナイキスト周波数とし、該ナイキスト周波数の2倍の周波数でサンプリングし、低解像度低域映像成分を生成する第1の低解像度変換部と、
該高域映像成分を該ナイキスト周波数の2倍の周波数でサンプリングし、低解像度高域映像成分を生成する第2の低解像度変換部と、
指数関数的な入出力特性を有し、該低解像度高域映像成分の振幅を圧縮する指数変換部と、
該低解像度低域映像信号と該指数変換部からの該低解像度高域映像成分とを加算し、前記低解像度映像信号を生成する第1の加算器と
を有し、
前記復号化側に設けられる前記超解像処理部は、
対数関数的な入出力特性を有し、復元された該高域映像成分の該指数変換部で圧縮された振幅を伸張する対数変換部と、
復元された該低域映像成分と該対数変換部で振幅伸張された該高域映像成分とを加算する第2の加算部と
を有することを特徴とする映像処理システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記符号側での前記超解像の処理ブロックに、前記第2の低解像度変換部からの前記低解像度高域映像成分と前記指数変換部からの振幅が圧縮された前記低解像度高域映像成分とのいずれか一方を選択して前記加算器に供給する第1の選択手段を設け、
前記復号化側に用いる前記超解像処理部に、復元された前記高域映像成分と前記対数変換部で振幅が伸張された前記高域映像成分とのいずれか一方を選択して前記第2の加算部に供給する第2の選択手段を設けたことを特徴とする映像処理システム。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14(a)】
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【図14(b)】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25(a)】
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【図25(b)】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2008−182347(P2008−182347A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12818(P2007−12818)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】