説明

映像受信装置、映像蓄積システム、及び、暗号化コンテンツ映像蓄積方法

【課題】著作権を侵害することなく暗号化して録画した情報を損失することなく、記憶容量の増加、機器交換に容易に対応できるようにする。
【解決手段】個別情報を記憶する記憶媒体が装着手段19bに装着されると共に、接続手段19aには外部録画装置30が映像信号の入出力が可能なように接続される。選択手段11は、入力されたデジタル映像信号から、記憶媒体40の所定情報に基づいて利用者の視聴可能なコンテンツ映像信号を選択する。個別情報取得手段17aは、装着手段19bに装着された記憶媒体40から個別情報を取得し、暗号キー生成手段17bはその個別情報に基づいて暗号キーを生成する。暗号化手段16aはその暗号キーに基づいて選択手段11が選択したコンテンツ映像信号を暗号化し、外部録画手段17cは、その暗号化コンテンツ映像信号を接続手段19aに接続している外部録画装置30に録画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンテンツからなる多重化したデジタル映像信号を受信する映像受信装置、映像蓄積システム、暗号化コンテンツ映像蓄積方法等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般家庭などにはケーブルテレビ(CATV:cable television)が普及しており、CATVは多チャンネルの番組映像が有線で重畳送信されるため、番組選択装置であるセットトップボックス(STB:set-top box)をテレビジョン受信機等の上流側に配置することが知られている。CATVでは、デジタル化が進んでおり、地上デジタル放送、BS(Broadcasting satellite)デジタル放送などの再送信や、局独自の番組編成で送出しているリマックス放送などのデジタル放送を行っている。
【0003】
また、高精細なHD(High Definition)放送も増加しており、これらのデジタル放送のコンテンツを簡単に劣化なくデジタル録画可能なSTBの需要が高まっている。そして、STBと録画装置との接続形態を簡素化するために、映像装置が受信した映像信号から抽出した動作制御データに基づいて動作制御を行うようにすることで、STBと映像装置とを接続するケーブルが映像用ケーブルだけでユーザのセットアップ作業を行えるようにしている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−341039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、STBにはハードディス装置(HDD)を内蔵したものが知られており、このSTBでも、HDDに記録される情報は暗号化して記録しているが、暗号化に用いられる鍵情報としてSTB固有の情報を用いていた。このように暗号化することで、他のSTB等での再生を不能として著作権を保護するようにしていた。
【0005】
しかしながら、HDD以外の故障でSTB本体が交換となった場合、HDDに記録した情報が再生できなくなるという問題があった。また、本体交換時にSTBの固有情報を書き換え、交換前のSTB固有情報と同じ値にして、HDDに記録した情報を再生することは技術的には可能であるが、著作権保護上問題となる。さらに、HDDを内蔵していると、交換や容量アップが困難であるとの問題があった。本発明が解決しようとする課題は、上記した問題が一例として挙げられる。
【0006】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、著作権を侵害することなく暗号化して録画した情報を損失することなく、記憶容量の増加、機器交換に容易に対応することができる映像受信装置、映像蓄積システム、及び、暗号化コンテンツ映像蓄積方法等を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の映像受信装置は、所定情報を記憶している記憶媒体が着脱自在に装着される装着手段と、複数のコンテンツからなるデジタル映像信号から前記所定情報に基づいて利用者の視聴可能なコンテンツ映像信号を選択する選択手段と、を有する映像受信装置において、前記選択手段が選択したコンテンツ映像信号を録画する外部録画装置が接続される接続手段と、前記装着手段を介して前記記憶媒体が記憶している個別情報を取得する個別情報取得手段と、前記個別情報取得手段が取得した個別情報に基づいて暗号キーを生成する暗号キー生成手段と、前記暗号キー生成手段が生成した暗号キーに基づいて前記選択手段が選択した録画対象のコンテンツ映像信号を暗号化する暗号化手段と、前記暗号化手段が暗号化した暗号化コンテンツ映像信号を前記接続手段に接続している外部録画装置に録画する外部録画手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項6記載の映像蓄積システムは、請求項1〜5の何れか1項に記載の映像受信装置と、前記映像受信装置の外部に設けられ且つ前記映像受信装置に接続される外部録画装置と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項7記載の暗号化コンテンツ映像蓄積方法は、所定情報を記憶している記憶媒体が着脱自在に装着される装着手段と、複数のコンテンツからなるデジタル映像信号から前記所定情報に基づいて利用者の視聴可能なコンテンツ映像信号を選択する選択手段と、前記選択手段が選択したコンテンツ映像信号を録画する外部録画装置が接続される接続手段と、を有する映像受信装置における暗号化コンテンツ映像蓄積方法であって、前記記憶媒体が記憶している個別情報を取得する個別情報取得工程と、前記取得した個別情報に基づいて暗号キーを生成する暗号キー生成工程と、前記生成した暗号キーに基づいて録画対象の前記コンテンツ映像信号を暗号化する暗号化工程と、前記暗号化した暗号化コンテンツ映像信号を前記接続手段に接続している外部録画装置に録画する外部録画工程と、を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る映像受信装置、映像蓄積システム、及び、暗号化コンテンツ映像蓄積方法の一最良の形態を、図1の図面を参照して以下に説明する。
【0011】
図1において、映像受信装置10は、所定情報を記憶している記憶媒体40が着脱自在に装着される装着手段19bと、複数のコンテンツからなるデジタル映像信号から前記所定情報に基づいて利用者の視聴可能なコンテンツ映像信号を選択する選択手段11と、を有する映像受信装置10において、前記選択手段11が選択したコンテンツ映像信号を録画する外部録画装置30が接続される接続手段19aと、前記装着手段19bを介して前記記憶媒体40が記憶している個別情報を取得する個別情報取得手段17aと、前記個別情報取得手段17aが取得した個別情報に基づいて暗号キーを生成する暗号キー生成手段17bと、前記暗号キー生成手段17bが生成した暗号キーに基づいて前記選択手段11が選択した録画対象のコンテンツ映像信号を暗号化する暗号化手段16aと、前記暗号化手段16aが暗号化した暗号化コンテンツ映像信号を前記接続手段19aに接続している外部録画装置30に録画する外部録画手段17cと、を有している。
【0012】
また、所定情報を記憶している記憶媒体40が着脱自在に装着される装着手段19bと、複数のコンテンツからなるデジタル映像信号から前記所定情報に基づいて利用者の視聴可能なコンテンツ映像信号を選択する選択手段11と、前記選択手段11が選択したコンテンツ映像信号を録画するために外部に設けられた外部録画装置30が接続される接続手段19aと、を有する映像受信装置における暗号化コンテンツ映像蓄積方法であって、前記記憶媒体40が記憶している個別情報を取得する個別情報取得工程と、前記取得した個別情報に基づいて暗号キーを生成する暗号キー生成工程と、前記生成した暗号キーに基づいて録画対象の前記コンテンツ映像信号を暗号化する暗号化工程と、前記暗号化した暗号化コンテンツ映像信号を前記接続手段19aに接続している外部録画装置30に録画する外部録画工程と、を有している。
【0013】
この映像受信装置10及び暗号化コンテンツ映像蓄積方法によれば、個別情報を記憶する記憶媒体が装着手段19bに装着されると共に、接続手段19aには外部録画装置30がケーブル等を介して映像信号の入出力が可能なように接続される。選択手段11は、CATVの基地局等から入力されたデジタル映像信号から、記憶媒体40の所定情報、利用者の指定した録画対象等の利用者の視聴可能なコンテンツ映像信号を選択する。そして、個別情報取得手段17aは、装着手段19bに装着された記憶媒体40から個別情報を取得し、暗号キー生成手段17bはその個別情報に基づいて暗号キーを生成する。暗号化手段16aはその暗号キーに基づいて選択手段11が選択した録画対象のコンテンツ映像信号を暗号化し、外部録画手段17cは、その暗号化コンテンツ映像信号を接続手段19aに接続している外部録画装置30に録画する。
【0014】
よって、着脱自在の記憶媒体40に記憶している個別情報に基づいて暗号キーを生成し、該暗号キーに基づいてコンテンツ映像信号を暗号化すると共に、外部録画装置30を接続する接続手段19aを設け、その外部録画装置30に暗号化コンテンツ映像信号を録画するようにしたことから、装置本体には依存しない記憶媒体40の個別情報に基づいて生成した暗号キーで暗号化できるため、本体故障時等には本体交換のみで対応することができる。また、外付の外部録画装置30に録画するため、外部録画装置30の交換、記憶容量の増加、外部録画装置30の増設等に容易に対応することができ、利便性を向上させることができる。従って、著作権を侵害することなく暗号化して録画した情報を損失することなく、記憶容量の増加、機器交換に容易に対応することができる映像受信装置10を提供することができる。
【0015】
また、上述した映像受信装置10は、前記外部録画手段17cが前記外部録画装置30に録画した暗号化コンテンツ映像信号を、前記暗号キー生成手段17bが生成した暗号キーに基づいて復号化する復号化手段16bを有している。
【0016】
この映像受信装置10によれば、外部録画手段17cが前記外部録画装置30に録画した暗号化コンテンツ映像信号を、復号化手段16bは暗号キー生成手段17bが生成した暗号キーに基づいて復号化する。このようにしたことから、外部録画装置30を他の映像受信装置10に接続しても、異なる暗号キーでは復号化できないため、著作権の侵害を確実に防止して録画を行うことができる。
【0017】
また、上述した映像受信装置10において、前記記憶媒体40は、前記コンテンツの限定受信用情報を記憶した記憶媒体となっている。
【0018】
この映像受信装置10によれば、記憶媒体40を加入者のコンテンツ毎の契約状況等を示す限定受信用情報を記憶した各種CAS(Conditional Access System)カードとしたことから、複製することは技術的に困難であるため、セキュリティーをより一層高めることができる。また、セットトップボックスであれば各種CASカードが必須であるため、個別情報を取得するために新たな構成を追加する必要がなく、既存の構成を用いて暗号キーを生成することができる。また、各種CASカードと外部録画装置30をペアで他の映像受信装置等に移動させれば、著作権を侵害することなく、他の映像受信装置等でも録画内容を視聴することができる。
【0019】
また、上述した映像受信装置10は、前記コンテンツ映像信号の暗号化に用いる入力情報を取得する入力情報取得手段17dを有し、前記暗号キー生成手段17bは、前記個別情報と前記入力情報取得手段17dが取得した入力情報とに基づいて前記暗号キーを生成する手段となっている。
【0020】
この映像受信装置10によれば、入力情報取得手段17dはCATVの基地局からの受信、作業員による入力等によって暗号化に用いる入力情報を取得し、暗号キー生成手段17bはその入力情報と前記個別情報とに基づいて暗号キーを生成する。このようにしたことから、暗号キーを生成する際に第三者からの入力情報が必要なため、暗号キーのセキュリティをより一層高めることができ、著作権の侵害を確実に防止して録画を行うことができる。
【0021】
また、上述した映像受信装置10は、前記暗号キー生成手段17bが所定のタイミングで生成した暗号キーを記憶する暗号キー記憶手段18を有し、前記暗号化手段16aは、前記暗号キー記憶手段18が記憶している暗号キーに基づいて前記コンテンツ映像信号を暗号化する手段となっている。
【0022】
この映像受信装置10によれば、暗号キー生成手段17bが例えば装置本体の起動時、着脱自在の記憶媒体40の装着を認識した時等の所定のタイミングで生成した暗号キーを暗号キー記憶手段18に記憶し、該暗号キーに基づいて暗号化手段16aはコンテンツ映像信号を暗号化する。このようにしたことから、暗号キーを頻繁に生成する必要がなくなり、処理の簡単化を図ることができるため、例えば集積回路、ASIC(application specific integrated circuit)等で簡単に実現することができる。
【0023】
図1において、映像蓄積システム1は、上述した任意の映像受信装置10と、前記映像受信装置10の外部に設けられ且つ前記映像受信装置10に接続される外部録画装置30と、を有している。
【0024】
この映像蓄積システム1によれば、映像受信装置10が装着された記憶媒体から取得した個別情報に基づいて暗号キーを生成し、該暗号キーに基づいて暗号化したコンテンツ映像信号を、その外部に設けた外部録画装置30に録画して蓄積する。
【0025】
よって、映像受信装置10に着脱自在の記憶媒体40に記憶している個別情報に基づいて暗号キーを生成し、該暗号キーに基づいてコンテンツ映像信号を暗号化すると共に、外部録画装置30を接続する接続手段19aを設け、その外部録画装置30に暗号化コンテンツ映像信号を録画するようにしたことから、映像受信装置10には依存しない記憶媒体40の個別情報に基づいて生成した暗号キーで暗号化できるため、映像受信装置10の故障時等には映像受信装置10の交換のみで対応することができる。また、外付の外部録画装置30に録画するため、外部録画装置30の交換、記憶容量の増加、外部録画装置30の増設等に容易に対応することができ、利便性を向上させることができる。従って、著作権を侵害することなく暗号化して録画した情報を損失することなく、記憶容量の増加、機器交換に容易に対応することができる映像蓄積システムを提供することができる。
【実施例】
【0026】
次に、本発明に係る映像受信装置、映像蓄積システム、及び、暗号化コンテンツ映像蓄積方法の実施例を、図2〜図6の図面を参照して以下に説明する。なお、上述した各手段と同一あるいは相当する部分には同一符号を付して説明する。
【0027】
図2において、映像蓄積システム1は、映像受信装置としてのセットトップボックス(STB)10と、表示装置20と、外部録画装置30と、を有している。表示装置20と外部録画装置30は、STB10にケーブルC等を介して接続されている。STB10は、CATVヘッドエンド5にCATVネットワーク6を介して接続している。
【0028】
なお、CATVヘッドエンド5は、公知であるように、混合器51、地上デジタル放送再送信設備52、BSデジタル放送再送信設備53、リマックス放送送信設備54等を有している。CATVヘッドエンド5は、地上デジタル放送再送信設備52、BSデジタル放送再送信設備53、リマックス放送送信設備54等からの複数のコンテンツ(多チャンネル)のビデオ(映像)とオーディオ(音声)等のデータを変調したデジタル変調信号(デジタル映像信号)を、混合器51で混合してCATVネットワーク6に送出している。
【0029】
デジタル変調信号は、MPEG−2TS形式に圧縮された映像信号となっている。即ち、1本のストリームに複数のチャンネル(コンテンツ)を多重して格納可能である。MPEG−2TSパケットの基本構造は、188バイトで1つのTSパケットとなっており、TSヘッダとビデオ・オーディオデータなどを有している。TSヘッダはPID情報を有し、TSパケット内のデータにより異なるPID情報が付与される為、複数のチャンネル(コンテンツ)が格納されている場合にも容易にチャンネル(コンテンツ)関連したTSパケットを選択できるようになっている。
【0030】
STB10は、入力部11と、デスクランブル部12と、フィルタリング部13と、デコーダ部14と、出力処理部15と、暗号復号部16と、制御部17と、メモリ18と、インタフェース部19と、を有している。
【0031】
入力部11は、CATVネットワーク6からのケーブル7が接続され、入力されるデジタル変調信号の中から利用者の視聴可能なコンテンツ映像信号を含む変調信号を選択、復調してMPEG−2TS形式の映像信号をデスクランブル部12に出力する。
【0032】
デスクランブル部12は、入力された映像信号の中からMPEG−2TS内の必要なTSパケットのデスクランブルを行い、該TSパケットをフィルタリング部13に出力する。フィルタリング部13は、必要なパケットのフィルタリングを行う。TSパケットのデスクランブルには、復号キーが必要となるが、MPEG−2TS内のECMパケットを後述する各CASカードに入力すると、その応答として復号キーが得られる仕組みとなっている。
【0033】
デコーダ部14は、圧縮されている映像、音声データを伸張して元のデータに復元する。そして、伸張された映像データは映像処理部15a、音声データは音声処理部15bにそれぞれ出力する。
【0034】
出力処理部15は、映像処理部15aと、音声処理部15bと、を有している。映像処理部15aは、入力された映像データに対してOSDやスケーリング処理などを行った後に表示装置20等に出力する。音声処理部15bは、入力された音声データに対してD/A変換などを行った後に表示装置20等に出力する。
【0035】
暗号復号部16は、フィルタリング部13で選択された録画対象のTSパケットがパーシャルTSとして入力されると、該パーシャルTSをB−CASカードのカードID等の個別情報に基づいて生成された暗号キーに基づいて暗号化する。そして、暗号化されたパーシャルTSを外部録画装置30に接続部19aを介して出力する。
【0036】
制御部17は、STB10全体の制御を司る。制御部17は、周知であるマイクロプロセッサユニット、DSP(Digital Signal Processor)等が用いられる。制御部17は、上述した映像受信装置としての個別情報取得手段、暗号キー生成手段、外部録画手段、入力情報取得手段等の各種手段として機能するための暗号キー生成処理、録画再生制御処理等の各種プログラムを、メモリ18に記憶しており、それらのプログラムを実行することで各手段として機能することになる。そして、制御部17は、入力部11、暗号復号部16、メモリ18、インタフェース部19等に接続している。
【0037】
メモリ18は、EEPROM(electrically erasable and programmable ROM)、NVRAM(Non Volatile RAM)、RAM(random access memory)等が用いられる。メモリ18は、暗号キーや取得した個別情報を記憶するものであり、前記暗号キー記憶手段として機能している。また、メモリ18は、暗号復号部16に接続しており、その暗号/復号に必要な各種パラメータを記憶している。これらの暗号キーや各種パラメータの情報はセキュリティを高める為、暗号化した状態でメモリ18に記憶される。
【0038】
インタフェース部19は、前記接続手段としての接続部19aと、前記装着手段としての複数(図2中では2つ)のCAS部19bと、を有している。
【0039】
接続部19aは、各種接続ケーブルが接続されるコネクタとインタフェース回路を有し、暗号復号部16から入力されるパーシャルTSを外部録画装置30に出力すると共に、外部録画装置30からの入力されたパーシャルTSを暗号復号部16に出力する。
【0040】
CAS部19bは、公知であるC−CASカード41又はB−CASカード42が装着されるカードスロットとなっている。そして、制御部17からの読み取り要求に応じて各カード40から情報を読み出し、その情報を制御部17に出力する。
【0041】
なお、C−CASカード41は、CATVにおける専門多チャンネル放送を視聴するために必要なカードとなっている。B−CAS42は、BSデジタル放送(地上テジタル放送)の視聴や利用者から各放送局に情報発信する場合に必要なカードとなっている。C−CASカード41及びB−CASカード42は、ユニークに割り振られた識別データ等を有する個別情報を記憶しており、その個別情報は外部から参照可能になっている。
【0042】
このように構成したSTB10は、入力部11で利用者の指定等により、CATVネットワーク6から入力されるデジタル変調信号から該当するコンテンツ映像信号を含む変調信号の選択、復調を行う。デスクランブル部12で視聴や録画が選択されたTSパケットのデスクランブルを行い、フィルタリング部13で該当するTSパケットが選択されてパーシャルTSとしてデコーダ部14に出力する。そして、デコーダ部14は、圧縮されている映像、音声データを伸張して元のデータに復元し、インタフェース部15は映像処理部15a及び音声処理部15bによってそれらのデータを表示装置20にて出力させる。
【0043】
次に、表示装置20は、テレビジョン受信機やチューナを内蔵しないテレビモニタ等が用いられ、映像入力にはSTB10の映像処理部15a、音声入力にはSTB10の音声処理部15bがそれぞれ接続される。そして、表示装置20は、各入力から入力された映像音声を利用者に対して出力する。
【0044】
次に、外部録画装置30は、外部接続部31と、記憶部32と、管理部33と、を有している。外部接続部31と記憶部32とは図示しない外部側制御部等を介して接続している。外部接続部31は、上述した接続部19aに対応したコネクタとインタフェース回路を有している。外部接続部31は、STB10から入力されるパーシャルTS等のデータを管理部33に出力すると共に、管理部33から入力されたパーシャルTS等のデータをSTB10に出力する。
【0045】
記憶部32は、ハードディスク装置等が用いられ、録画リスト等を示すコンテンツ管理情報と、暗号化コンテンツ情報等を記憶している。管理部33は、外部録画装置30全体の制御を司り、周知であるマイクロプロセッサユニット等が用いられる。管理部33は、記憶部32に対する書き込み、読み出し等を制御することで、コンテンツ管理情報と、暗号化コンテンツ情報を管理している。外部からの要求に応じて録画リストを表示装置20にSTB10を介して表示させる。そして、その選択された録画タイトルの暗号化コンテンツ情報をSTB10に外部接続部31を介して出力する。
【0046】
また、記憶部32に記憶媒体40の個別情報に基づいた認証情報を記憶し、外部録画装置30が現在STB10に装着されている記憶媒体40の個別情報で録画再生可能な装置であるか容易に検出することができるようにすることも可能である。
【0047】
次に、上述したSTB10において、制御部17が実行する暗号キー生成処理の一例を図4の図面を参照して以下に説明する。
【0048】
STB10の起動時等の予め定められた所定のタイミングで制御部17によって実行されると、ステップS11において、CAS部19bにB−CASカード42が装着されているか否かが判定される。装着されていないと判定された場合(S11でN)、B−CASカード42の装着を待つ。一方、装着されていると判定された場合(S11でY)、ステップS12に進む。
【0049】
ステップS12において、CAS部19bを介してB−CASカード42から個別情報が取得されてメモリ18に記憶され、ステップS13(入力情報取得手段)において、暗号キーの生成に用いられる付加情報が生成/取得されてメモリ18に記憶され、その後ステップS14に進む。
【0050】
なお、B−CASカード42の個別情報(カードID)は、本体を参照すると確認できるため、本実施例では、個別情報と付加情報とを組み合わせて用いている。そして、付加情報としては、利用者が分からないCATVヘッドエンド5からの受信データ(オペレータID等)、作業員等による入力データ、発生させた乱数データ等が挙げられる。
【0051】
また、本付加情報は、例えばSTB10の設置時等に入力される為、B−CASカード42が装着される度に必ずしも入力が必要ではない。この場合、ステップS13は暗号キー生成の為、本付加情報を準備することを意味している。ただし、個別情報として利用者等が確認できない情報を用いる場合は、個別情報のみで暗号キーを生成するようにしても良い。
【0052】
ステップS14(暗号キー生成手段)において、メモリ18の個別情報と付加情報とを指定して暗号キー生成プログラムを実行することで、B−CASカード42の個別情報等に基づいた暗号キーが生成され、ステップS15において、その暗号キーがメモリ18に記憶され、処理を終了する。
【0053】
なお、本暗号キー生成処理後、もしくは外部録画装置30の装着時に、接続されている外部録画装置30が録画再生可能な外部録画装置30であるか判断する処理を実行することも可能である。
【0054】
次に、上述したSTB10において、制御部17が実行する録画再生制御処理の一例を図5の図面を参照して以下に説明する。
【0055】
制御部17によって録画再生制御処理が実行されると、ステップS21において、録画要求があるか否かが判定される。録画要求があったと判定された場合(S21でY)、ステップS22において、STB10又は外部録画装置30の図示しない操作部等によって入力された録画情報が取得され、ステップS23において、該録画情報にメモリ18の暗号キーを関連付けると共に、暗号復号部16にその暗号キーが設定され、その後ステップS24に進む。
【0056】
ステップS24において、入力部11による録画対象の変調信号が選択、復調されると、暗号復号部16にそのTSパケットの暗号化が要求され、ステップS25において、外部録画装置30に対する録画要求情報が生成され、該録画要求情報が接続部19aを介して外部録画装置30に出力されることで録画が要求され、その後ステップS30に進む。このようにステップS22〜S25の一連の処理が外部録画手段として機能している。
【0057】
また、ステップS21で録画要求はないと判定された場合(S21でN)、ステップS26において、外部録画装置30からの入力、図示しない操作部による操作等に応じた再生要求があるか否かが判定される。再生要求はないと判定された場合(S26でN)、ステップS30に進む。一方、再生要求があると判定された場合(S26でY)、ステップS27に進む。
【0058】
ステップS27において、メモリ18の暗号キーが暗号復号部16に設定され、ステップS28において、再生要求に対応するパーシャルTSの復号化が暗号復号部16に要求され、ステップS29において、再生要求に対応するパーシャルTS(暗号化コンテンツ信号)の出力を要求する出力要求が接続部19aを介して外部録画装置30に出力され、その後ステップS30に進む。
【0059】
ステップS30において、終了要求があるか否かが判定される。終了要求がなかったと判定された場合(S30でN)、ステップS21に戻り、一連の処理を繰り返す。一方、終了要求があったと判定された場合(S30でY)、処理を終了する。
【0060】
次に、上述した構成によるSTB10を有する録画蓄積システム1における暗号化、復号化に関する動作(作用)の一例を以下に説明する。
【0061】
STB10は、設置されると、入力部11はCATVネットワーク6に接続され、各CAS部19bにC−CASカード41、B−CASカード42が装着され、接続部19aには、外部録画装置30が接続される。そして、電源が投入されると、上述したようにB−CASカード42から個別情報を取得し、該個別情報に基づいて暗号キーが生成されてメモリ18に記憶される。このように録画された暗号化コンテンツ信号はSTB10に接続された外部録画装置30に蓄積される。
【0062】
その後、録画要求を受けると、デスクランブル部12で録画番組に関連したTSパケットのデスクランブルを行い、フィルタリング部13で該当するTSパケットが選択されてパーシャルTSとして暗号復号部16に出力する。暗号復号部16は、パーシャルTSをメモリ18の暗号キーで暗号化し、その暗号化パーシャルTS(暗号化コンテンツ映像信号)が接続部19aを介して映像録画装置30に出力する。そして、映像録画装置30は、入力された暗号化パーシャルTSを暗号化コンテンツ情報として記憶部32に記憶すると共に、コンテンツ管理情報にそのタイトル等の情報を追加して更新する。
【0063】
また、映像録画装置30に録画された番組を再生する場合、選択された番組の暗号化パーシャルTSを映像録画装置30から接続部19aを介してSTB10に出力し、メモリ18等の暗号キーにより暗号復号部16によって復号し、上述したように表示装置20から出力させる。
【0064】
以上説明した録画蓄積システム1によれば、映像受信装置10に着脱自在のB−CASカード42に記憶している個別情報に基づいて暗号キーを生成し、該暗号キーに基づいてコンテンツ映像信号を暗号化すると共に、外部録画装置30を接続する接続部19aを設け、その外部録画装置30に暗号化コンテンツ映像信号を録画するようにしたことから、映像受信装置10には依存しない記憶媒体40の個別情報に基づいて生成した暗号キーで暗号化できるため、映像受信装置10の故障時等には映像受信装置10の交換のみで対応することができる。また、外付の外部録画装置30に録画するため、外部録画装置30の交換、記憶容量の増加、外部録画装置30の増設等に容易に対応することができ、利便性を向上させることができる。従って、著作権を侵害することなく暗号化して録画した情報を損失することなく、記憶容量の増加、機器交換に容易に対応することができる映像蓄積システム1を提供することができる。
【0065】
また、上述した実施例では、B−CASカード42から取得した個別情報をメモリ18に記憶しておく場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、種々異なる実施形態とすることができる。
【0066】
例えば、上述した図5のフローチャートを図6に示すように変形することで対応することができる。より詳細には、B−CASカード42の装着を検出したときに取得した個別情報を、メモリ18に記憶して保管しておく。そして、図6に示す録画再生制御処理が実行される毎に、個別情報をB−CASカード42から取得し(S41)、該個別情報がメモリ18に記憶している照合用個別情報と一致しているか否かを判定する(S42)。個別情報が一致している場合は(S42でY)、上述したステップS21以降の処理を行う。一方、個別情報が一致していないと判定した場合に(S42でN)、警報処理を行った後に処理を終了する。このようにすることで、B−CASカード42の差し替え等の不正行為を確実に防止することができる。
【0067】
また、他のB−CASカード42の個別情報に基づき、暗号化されたコンテンツ映像信号を録画した外部録画装置30がSTB10に接続された場合は、STB10は外部録画装置30内の認証情報を検査する等の方法で、録画再生ができない外部録画装置30が接続されたことを確認可能である。
【0068】
さらに、他のB−CASカード42の個別情報に基づき、暗号化されたコンテンツ映像信号を録画した外部録画装置30を、現在使用しているB−CASカード42で録画再生可能とするには、外部録画装置30を初期化し、認証情報を現在使用しているB−CASカード42の個別情報に基づく情報に書き換える等の方法が考えられる。その場合は、今まで録画されたコンテンツは復号できず再生不可となり、著作権の保護が実現できる。
【0069】
また、他のB−CASカード42とその個別情報に基づき、暗号化されたコンテンツ映像信号を録画した外部録画装置30をペアで交換し接続した場合は、STB10内で他のB−CASカード42の個別情報、もしくは個別情報と付加情報を基に、暗号キーが生成される。この生成された暗号キーは交換した外部録画装置30内の録画コンテンツを暗号化する際に使用した暗号キーと同一となる為、録画再生が可能となる。
【0070】
さらに、暗号キーを生成するタイミングについては、電源起動時に生成する、B−CASカード42が挿入されたことを検出した時に生成する、暗号化を行うときに生成する、復号化を行うときに生成する、CATVヘッドエンド5からの生成要求に応じて生成するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0071】
また、上述した実施例では、B−CASカード42から取得した個別情報を取得する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、C−CASカード41から個別情報を取得する、C−CASカード41とB−CASカード42の双方から個別情報を取得するなど種々異なる実施形態とすることができる。さらに、USB(Universal Serial Bus)メモリ等で外部機器を実現し、そこに個別情報を記憶し、録画や視聴時に装着するような実施形態とすることもできる。
【0072】
さらに、上述した本実施例では、本発明の映像受信装置をSTB10で実現する場合について説明したが、その他にも、HDDレコーダ、録画機能のあるテレビジョン受信機やパーソナル・コンピュータ等で実現することができる。
【0073】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る映像受信装置、映像蓄積システムの基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係る映像受信装置をSTBで実現した場合の映像蓄積システムを示すシステム構成図である。
【図3】図2中に示すSTBの概略構成の一例を示す構成図である。
【図4】図3の制御部が実行する暗号キー生成処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図3の制御部が実行する録画再生制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】5に示す録画再生制御処理の他の一例を示す部分フローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 映像蓄積システム
5 CATVヘッドエンド
6 CATVネットワーク
10 映像受信装置(STB)
11 選択手段(入力部)
16a 暗号化手段(暗号復号部)
16b 復号化手段(暗号復号部)
17a 個別情報取得手段(制御部)
17b 暗号キー生成手段(制御部)
17c 外部録画手段(制御部)
17d 入力情報取得手段(制御部)
18 暗号キー記憶手段(メモリ)
19a 接続手段(接続部)
19b 装着手段(CAS部)
30 外部録画装置
40 記憶媒体(B−CASカード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定情報を記憶している記憶媒体が着脱自在に装着される装着手段と、複数のコンテンツからなるデジタル映像信号から前記所定情報に基づいて利用者の視聴可能なコンテンツ映像信号を選択する選択手段と、を有する映像受信装置において、
前記選択手段が選択したコンテンツ映像信号を録画する外部録画装置が接続される接続手段と、
前記装着手段を介して前記記憶媒体が記憶している個別情報を取得する個別情報取得手段と、
前記個別情報取得手段が取得した個別情報に基づいて暗号キーを生成する暗号キー生成手段と、
前記暗号キー生成手段が生成した暗号キーに基づいて前記選択手段が選択した録画対象のコンテンツ映像信号を暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段が暗号化した暗号化コンテンツ映像信号を前記接続手段に接続している外部録画装置に録画する外部録画手段と、
を有することを特徴とする映像受信装置。
【請求項2】
前記外部録画手段が前記外部録画装置に録画した暗号化コンテンツ映像信号を、前記暗号キー生成手段が生成した暗号キーに基づいて復号化する復号化手段を有することを特徴とする請求項1に記載の映像受信装置。
【請求項3】
前記記憶媒体は、前記コンテンツの限定受信用情報を記憶した記憶媒体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の映像受信装置。
【請求項4】
前記コンテンツ映像信号の暗号化に用いる入力情報を取得する入力情報取得手段を有し、
前記暗号キー生成手段は、前記個別情報と前記入力情報取得手段が取得した入力情報とに基づいて前記暗号キーを生成する手段であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の映像受信装置。
【請求項5】
前記暗号キー生成手段が所定のタイミングで生成した暗号キーを記憶する暗号キー記憶手段を有し、
前記暗号化手段は、前記暗号キー記憶手段が記憶している暗号キーに基づいて前記コンテンツ映像信号を暗号化する手段であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の映像受信装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の映像受信装置と、前記映像受信装置の外部に設けられ且つ前記映像受信装置に接続される外部録画装置と、を有することを特徴とする映像蓄積システム。
【請求項7】
所定情報を記憶している記憶媒体が着脱自在に装着される装着手段と、複数のコンテンツからなるデジタル映像信号から前記所定情報に基づいて利用者の視聴可能なコンテンツ映像信号を選択する選択手段と、前記選択手段が選択したコンテンツ映像信号を録画する外部録画装置が接続される接続手段と、を有する映像受信装置における暗号化コンテンツ映像蓄積方法であって、
前記記憶媒体が記憶している個別情報を取得する個別情報取得工程と、
前記取得した個別情報に基づいて暗号キーを生成する暗号キー生成工程と、
前記生成した暗号キーに基づいて録画対象の前記コンテンツ映像信号を暗号化する暗号化工程と、
前記暗号化した暗号化コンテンツ映像信号を前記接続手段に接続している外部録画装置に録画する外部録画工程と、
を有することを特徴とする暗号化コンテンツ映像蓄積方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−211580(P2008−211580A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47062(P2007−47062)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】