説明

映像監視装置

【課題】アラーム情報についての過去一定時間毎の重要度を認識しつつ映像を監視する。
【解決手段】異常検出センサ12−1〜12−3から新たな異常検出信号を受信する毎に、アラーム発生時刻情報とセンサ情報とをアラーム情報として順次記憶するアラーム情報記憶部30と、順次記憶されたアラーム情報のうち、アラーム発生時刻情報が現在時刻より所定時間だけ過去以降に該当するアラーム情報を読出し、この読み出されたアラーム情報毎に、センサ情報に対する重み付け処理とアラーム情報発生時刻情報に対する重み付け処理とをそれぞれ実行してこれら重み付け処理結果を乗算すると共に、読み出されたアラーム情報全てについて各乗算結果を合計して総合重要度値を算出する重要度算出部31と、この総合重要度値に応じた太さの枠を有する画像枠データを生成し、映像信号の画像データの外周部に画像合成する画像処理部32とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像監視装置に係り、特に監視対象の異常状態を検出した場合の監視映像を表示させるための映像監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラで撮影した監視映像を画像データとして記録装置に記録したり表示装置に表示したりして監視者が監視するという映像監視システムが広く普及している。その中でも、監視カメラ自体又は監視カメラとは別の異常検出手段が撮像視野内における異常状態を検出したときに、この検出に基づくアラーム情報と監視カメラの映像信号とを監視装置に送信し、この監視装置の記録部に記録したり監視装置に接続された表示装置に表示したりする映像監視システムが多用されている。このような映像監視システムにおいては、監視装置は、供給されたアラーム情報及び映像信号を表示装置に表示させる場合に、監視映像の表示領域とは別の領域にアラーム情報を文字情報として一覧表示するように制御するものが多い。
【0003】
しかし、アラーム情報(文字情報の一覧)と監視映像とを各別の表示領域に表示させた場合、監視者はアラーム情報と監視映像とを関連付けて適宜判断する必要があり、監視者に大きな負担を強いるだけでなく、監視者が適切な判断を逃すおそれもあり監視作業の信頼性を欠く問題があった。そこで、監視者の負担を抑えて監視映像中の異常を容易に発見し得る中央監視装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
具体的に、特許文献1には、監視カメラで撮像された映像を映像記録装置に記録する際に、所定の時間間隔をおいて抽出された2つの映像を比較し、この比較の結果に基づき映像上の変化した部分を着色して、映像上の変化が発生した時点の前後におけるセンサからのアラーム情報を着色された映像と共に画面に表示する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−199387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、映像上の変化が発生したこと自体は、監視者が着色された映像を見ることにより容易に確認できるものの、この映像の着色は映像の動き量に基づくだけであるために、アラーム情報の種類等に応じた重要度を瞬時に判断できるものではなく、監視者の監視に対する負担を軽減する効果はそれ程改善されたものではない。また、映像部分を着色するために、かえって映像を見難くしている欠点も有している。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アラーム情報の発生を監視映像に装飾効果として提示すると共に、その装飾をアラーム情報の種別や時間的重要度に基づく表示とすることにより、監視者の監視負担を飛躍的に軽減して監視の信頼性を高く保たせる映像監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、
[1] 少なくとも、異常検出センサ(12−1〜12−3)から出力された所定のセンサ情報を含む異常検出信号を受信している間中、監視カメラ(11)から供給される映像信号を表示装置(14)に出力する映像監視装置(13)であって、
前記異常検出センサ(12−1〜12−3)から新たな異常検出信号を受信する毎に、その受信時刻情報と前記受信された異常検出信号に含まれる前記センサ情報とをアラーム情報として順次記憶するアラーム情報記憶手段(28,29,30)と、
前記順次記憶されたアラーム情報のうち、前記受信時刻情報が現在時刻より所定時間だけ遡った時刻以降に該当するアラーム情報を読出し、この読み出された全てのアラーム情報におけるセンサ情報に対する重み付け処理と受信時刻情報に対する重み付け処理とに基づき総合重要度値を算出する重要度算出手段(29,31)と、
前記算出された総合重要度値に基づき装飾画像データを生成し、前記映像信号の画像データの外周部に前記装飾画像データを画像合成して前記表示装置(14)に出力する画像処理手段(32)と、
を備えた構成の映像監視装置(13)
を提供し、
[2] 前記重要度算出手段(29,31)は、
前記順次記憶されたアラーム情報のうち、前記受信時刻情報が現在時刻より所定時間だけ遡った時刻以降に該当するアラーム情報を読出し、この読み出されたアラーム情報毎に、センサ情報に対する重み付け処理と受信時刻情報に対する重み付け処理とをそれぞれ実行してこれら重み付け処理結果を乗算すると共に、前記読み出されたアラーム情報全てについて前記各乗算結果を合計して総合重要度値を算出することを特徴とした上記[1]に記載の映像監視装置(13)
を提供し、
[3] 前記装飾画像データは、前記重要度算出手段(29,31)で算出された総合重要度値に応じた画像枠の太さを有する画像枠データであることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の映像監視装置(13)
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、監視映像にアラーム情報の重要度を反映させた装飾を施して表示させることにより、監視者の監視負担を飛躍的に軽減して監視の信頼性を高く保たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態である映像監視装置を適用した映像監視システムの全体構成図である。同図において、映像監視システム1は、監視カメラ11と、異常検出センサ12−1〜12−3と、映像監視装置13と、表示装置14とを備えている。このうち、監視カメラ11及び異常検出センサ12−1〜12−3は監視現場側に設置され、映像監視装置13及び表示装置14は監視者側に設置されるものである。
【0010】
監視カメラ11は、監視対象を視野内に捉える方向に向けられて監視現場に設置されており、撮像された監視映像をアナログ信号の映像信号として常時出力している。異常検出センサ12−1〜12−3のそれぞれ(以下、単に異常検出センサ12と記載することもある。)は、監視対象に異常状態が発生したことを検出したときからこの異常状態が発生している期間中、異常検出信号を出力するセンサである。異常検出センサ12は、例えば部屋の出入口付近を監視対象とする場合にはドアの開閉状態を検出する開閉センサ、不審者の通行を監視対象とする場合には人物感知センサ、照明機器が点灯された状態を監視対象とする場合には明かりを検出する明かりセンサ等の各種検出センサを適用することができる。そして、異常検出センサ12には、固有の識別情報とセンサの種別を示すセンサ種別情報との少なくともいずれか一方(以下、これをセンサ情報とも記載する。)が付与されており、異常検出センサ12は、異常検出信号にセンサ情報を含めて出力する。
【0011】
映像監視装置13には、監視カメラ11からの映像信号と異常検出センサ12からの異常検出信号とがそれぞれ入力される。そして、映像監視装置13は、詳しくは後述するが信号記録手段を備えており、異常検出信号の入力に基づいて映像信号を記録する機能と、信号記録手段に記録された映像信号を読み出して表示装置14に表示させる機能とを有している。
【0012】
図2に、映像監視装置13の概略のブロック構成を示す。同図において、映像監視装置13は、映像信号入力端子21と、映像入力処理部22と、符号化部23と、記録再生制御部24と、記録部25と、復号部26と、異常検出信号入力端子27と、アラーム情報生成部28と、計時部29と、アラーム情報記憶部30と、重要度算出部31と、画像処理部32と、画像出力端子33と、制御部34とを備えている。
【0013】
映像入力端子21は、監視カメラ11から出力される映像信号を入力する端子である。映像入力処理部22は、入力された映像信号をフィルタ回路、増幅回路、及び色差変換回路のアナログ信号処理回路を通してA/D変換回路でデジタル映像データに変換する機能を有する。符号化部23は、デジタル映像データをJPEG方式やMPEG方式等のデータ圧縮方式によって符号化映像データに変換する機能を有する。これにおいて、符号化部23は、符号化映像データに符号化時の時刻情報を含むように処理を実行する。
【0014】
記録再生制御部24は、符号化部23から供給される符号化映像データを記録部25に記録せずに復号部26に供給する再生制御を実行する機能を有する(通常再生モード)。そして、記録再生制御部24は、アラーム情報生成部28の制御に基づき符号化部23から供給される符号化映像データを記録部25(前述の信号記録手段)に記録すると共に復号部26に供給する記録再生制御を実行する機能を有する(記録再生モード)。さらに、記録再生制御部24は、記録部25に記録された符号化映像データを読み出して復号部26に供給する読出し制御を実行する機能を有する(既記録再生モード)。
【0015】
記録部25は、符号化映像データを記録する記録部であり、ハードディスクやDVDのようなディスク記録媒体を有するものであることがアクセス速度の点において好ましい。復号部26は、記録再生制御部24における通常再生モード、記録再生モード、又は既記録再生モードのいずれかの再生モードにより、供給された符号化映像データを復号デジタル映像データに復号すると共に符号化時の時刻情報を抽出し、少なくとも復号デジタル映像データを出力する機能を有する。
【0016】
異常検出信号入力端子27は、異常検出センサ12から出力される異常検出信号(センサ情報を含む。)を入力する端子である。アラーム情報生成部28は、異常検出信号が入力されたときに計時部29から現在時刻情報をアラーム発生時刻情報(受信時刻情報)として取得すると共に異常検出信号からセンサ情報を抽出し、アラーム発生時刻情報とセンサ情報との対をアラーム情報としてアラーム情報記憶部30に記憶させる機能を有する。そして、アラーム情報生成部28は、記録再生制御部24に対し、異常検出信号が入力されたときに記録開始信号を出力し、異常検出信号の入力がなくなったときに記録終了信号を出力する機能を有する。
【0017】
アラーム情報記憶部30は、アラーム情報をアラーム発生時刻情報についての時系列順に記憶する機能を有する。重要度算出部31は、復号部26から出力される復号デジタル映像データを画像処理部32で画像処理する際に、アラーム情報記憶部30に記憶されたアラーム情報のうち、計時部29より取得された現在時刻情報、又は復号部26より供給された符号化時の時刻情報のいずれかの時刻情報から過去所定時間に含まれる全てのアラーム情報を読み出して、この読み出されたアラーム情報におけるアラーム発生時刻情報及びセンサ情報それぞれについての重み付け処理を実行し、過去所定時間における総合重要度値を算出して出力する機能を有する。この総合重要度値の算出処理についてはその詳細を後述する。
【0018】
画像処理部32は、復号部26から復号デジタル映像データと符号化時の時刻情報とのうち少なくとも復号デジタル映像データが供給されると共に重要度算出部31から総合重要度値が供給されて、この総合重要度値に基づく画像枠データを生成して復号デジタル映像データに合成し、この合成された画像枠付き映像データを画像出力端子33を介して出力する機能を有する。画像出力端子33には表示装置14が接続されており、表示装置14は、映像監視装置13からの画像枠付き映像データを表示する。
【0019】
制御部34は、上述した映像監視装置13の各部を制御する機能を有する。これにおいて、制御部34は、不図示のCPU及びメモリを具備し、このメモリ又は記録部25に予め記憶又は記録した制御プログラムをCPUにより処理実行して各部の制御を行う機能を有する。
【0020】
次に、映像監視装置13の動作について、通常再生モード、記録再生モード、及び既記録再生モードの再生モード毎に説明する。
【0021】
<映像監視装置の通常再生モード>
通常、制御部34は、制御プログラムの実行により映像監視装置13を通常再生モードに設定して動作している。この通常再生モードは、異常検出センサ12−1〜12−3のいずれもが異常検出信号を出力していない状態における映像監視装置13の再生モードをいう。
【0022】
具体的には、監視カメラ11は、監視対象を常時撮像して監視映像の映像信号を映像監視装置13の映像信号入力端子21に入力している。そして、映像監視装置13においては、映像入力処理部22が映像信号をデジタル映像データに変換して符号化部23に供給する。次に、符号化部23が、デジタル映像データをデータ圧縮して符号化映像データとして出力する。次に、記録再生制御部24が、符号化映像データを復号部26に出力する。次に、復号部26が、符号化映像データを復号デジタル映像データに復号する。これにおいて、記録再生制御部24は、符号化部23に入力されるデジタル映像データが復号部26から略リアルタイムに、且つデータが欠落することなく復号デジタル映像データとして出力されるようにタイミング調整を計る。次に、画像処理部32が、復号デジタル映像データを画像出力端子33を介して出力し、この画像出力端子33に接続された表示装置14が復号デジタル映像データを表示する。
【0023】
<映像監視装置の記録再生モード>
異常検出センサ12−1〜12−3のいずれかが監視対象の異常状態を検出して異常検出信号を出力した場合、映像監視装置13の制御部34は、制御プログラムの実行により映像監視装置13を記録再生モードに設定して動作する。
【0024】
具体的には、異常検出センサ12−1〜12−3のいずれかが監視対象の異常状態を検出すると、センサ情報を含む異常検出信号を出力する。そして、この異常検出信号は、映像監視装置13の異常検出信号入力端子27を介してアラーム情報生成部28に入力される。アラーム情報生成部28は、異常検出信号が入力されると、計時部29から現在時刻情報をアラーム発生時刻情報として取得すると共に異常検出信号からセンサ情報を抽出し、記録再生制御部24に対して記録開始信号を出力する。次に、アラーム情報生成部28は、アラーム発生時刻情報とセンサ情報との対をアラーム情報としてアラーム情報記憶部30に記憶させる。これにおいて、アラーム情報生成部28は、常に異常検出信号の入力を監視しており、異常検出信号の入力がなくなると記録再生制御部24に対して記録終了信号を出力する。
【0025】
上記の如く、アラーム情報生成部28は、異常検出センサ12−1〜12−3のいずれかからの異常検出信号を受信する毎にアラーム情報を生成してアラーム情報記憶部30に時系列順に記憶する。
【0026】
一方、監視カメラ11は、監視対象を常時撮像して監視映像の映像信号を映像監視装置13の映像信号入力端子21に入力している。そして、映像監視装置13においては、映像入力処理部22が映像信号をデジタル映像データに変換して符号化部23に供給する。次に、符号化部23が、デジタル映像データをデータ圧縮して符号化映像データとして出力する。次に、記録再生制御部24は、符号化映像データを復号部26に出力するが、アラーム情報生成部28から記録開始信号を受信すると符号化映像データを復号部26に出力しながら記録部25へのデータ記録を開始する。なお、記録部25へのデータ記録は、記録再生制御部24がアラーム情報生成部28から出力される記録終了信号を受信するまで実行される。次に、復号部26が、符号化映像データを復号デジタル映像データに復号する。これにおいて、記録再生制御部24は、符号化部23に入力されるデジタル映像データが復号部26から略リアルタイムに、且つデータが欠落することなく復号デジタル映像データとして出力されるようにタイミング調整を計る。
【0027】
次に、画像処理部32は、重要度算出部31から供給される総合重要度値に基づく画像枠データを生成して復号デジタル映像データに合成するが、ここでまず、重要度算出部31における総合重要度値を算出する処理について説明する。重要度算出部31は、アラーム情報記憶部30に記憶されたアラーム情報のうち、計時部29より取得した現在時刻情報より過去所定時間に含まれる全てのアラーム情報を読出し、この読み出された全てのアラーム情報におけるセンサ情報に対する重み付け処理と受信時刻情報に対する重み付け処理とに基づき総合重要度値を算出するものである。なお、この所定時間は、映像監視装置13の監視者が異常検出の頻度に応じて任意に設定することができるものである。
【0028】
重み付け処理について具体例を挙げて説明すると、重要度算出部31は、アラーム情報記憶部30から読み出されたアラーム情報における各アラーム発生時刻情報と現在時刻情報との差分時間に対する時間重み付け処理を実行する。この時間重み付け処理の係数は、一例として時間重み付け曲線によって表現することができ、例えば現在時刻に近いものほど重み付けを大きくする一方、現在時刻から遠いものほど重み付けを小さくするような曲線とすることができる。このような時間重み付け曲線による係数にすることにより、現在時刻よりも過去のうち、より現在時刻に近い時点で発生した異常状態ほど重要度を高くすることができる。なお、時間重み付け曲線は、映像監視装置13の監視者が任意に設定することができるものである。
【0029】
次に、重要度算出部31は、読み出されたアラーム情報における各センサ情報に対するセンサ重み付け処理を実行する。センサ情報は、前述したように異常検出センサ12固有の識別情報とセンサの種別を示すセンサ種別情報との少なくともいずれか一方の情報であるので、例えば、異常検出センサ12−1〜12−3のそれぞれについて予め決定されたセンサ重み付け係数や、センサ種別に応じて予め決定されたセンサ種別重み付け係数を用いてセンサ重み付け処理を実行する。このような重み付けをすることにより、異常検出センサ12の設置場所に応じた重要度の設定や異常検出センサ12の種類に応じた重要度の設定を容易に行うことができる。
【0030】
そして、重要度算出部31は、アラーム情報毎に、時間重み付け処理で算出された時間重み付け結果とセンサ重み付け処理で算出されたセンサ重み付け結果とを乗算し、過去所定時間における全ての乗算結果を合計して総合重要度値として出力する。図3に、重要度算出部31の具体的な総合重要度値の計算例を模式的に示す。同図は、現在時刻から過去60分間を過去所定時間とした場合における時間重み付け処理及びセンサ重み付け処理を示したものである。同図は、この60分の間に3回(現在時刻より50分前、20分前、及び10分前)のアラーム情報の発生があったことを示しているが、各アラーム情報に対する時間重み付け係数は、時間重み付け曲線により「1,3,及び3」である。そして、各アラーム情報に対するセンサ重み付け係数は、センサ種別に応じて決定されており「1,2,及び1」である。よって、各アラーム情報に対する時間重み付け処理結果とセンサ重み付け処理結果との乗算結果は「1,6,及び3」である。したがって、総合重要度値はこれらの合計の「10」となる。
【0031】
以上が重み付け処理の具体例であるが、この他にも、例えばアラーム情報毎に、時間重み付け処理結果とセンサ重み付け処理結果とを加算し、過去所定時間における全ての加算結果を合計して総合重要度値を得る方法や、公知の統計的手法により過去所定時間におけるアラーム情報発生の重要度を得る方法を用いてもよい。
【0032】
画像処理部32は、復号部26から復号デジタル映像データが供給されると共に重要度算出部31から総合重要度値が供給されて、この総合重要度値に基づく画像枠データを生成して復号デジタル映像データと画像合成し、画像枠付き映像データを生成する。この画像枠データは、額縁のように中抜き四角の形状を有し、総合重要度値に比例した太さの枠を有して生成され、画像合成処理においては、画像枠データが復号デジタル映像データに重ならないように画像データの外側に付加されるよう画像処理される。このため、復号デジタル映像データのデータサイズは、画像枠データの枠の最大幅を考慮して、表示装置14に表示可能な最大サイズよりも小さなサイズにしておく必要がある。このようにして生成された画像枠付き映像データは、画像出力端子33に接続された表示装置14に表示される。
【0033】
なお、画像枠データを復号デジタル映像データの内側、すなわち画像枠データを復号デジタル映像データに重ねるようにして画像合成してもよい。これは、復号デジタル映像データの画面サイズを、画像枠データの枠を考慮して小さくすることを避けたい場合に有効である。このように画像枠データを復号デジタル映像データに重ねて処理する場合は、両者の重なるデータ部分をミキシング処理して画像枠データが透けて復号デジタル映像データが見えるように処理することが好ましい。
【0034】
また、画像枠データの枠の太さを変化させることなく、総合重要度値に応じて画像枠の色を変化させるように処理してもよい。例えば、総合重要度値が大きくなるにつれて色彩をより鮮やかな色に変化させる処理が視認性の点で好ましい。もちろん、画像枠データの枠の太さの変化と色の変化とを組み合わせてもよい。さらには、画像枠データの形状は四角に限らず多様な形状によるもの(装飾画像データ)であってよい。
【0035】
<映像監視装置の既記録再生モード>
映像監視装置13の既記録再生モードとは、制御プログラムの実行により、監視カメラ11からの監視映像を表示装置14に表示させるのではなく、記録部25に既に記録された符号化映像データを読み出して表示装置14に表示させる再生モードである。
【0036】
具体的には、記録再生制御部24の読出し制御により記録部25から符号化映像データが読み出されると、復号部26は、符号化映像データを復号デジタル映像データに復号すると共に、符号化時の時刻情報を抽出する。そして、これら復号デジタル映像データと符号化時の時刻情報とを画像処理部32に供給する。そして、重要度算出部31は、画像処理部32から符号化時の時刻情報を取得して、この時刻情報に対する過去所定時間分の総合重要度値を算出することにより、前述した映像監視装置13の記録再生モードと同様に画像処理部32で画像枠付き映像データを生成することができる。
【0037】
以上、詳述したように、本発明の実施形態の映像監視装置13によれば、制御部34の制御プログラムの実行により、通常は通常再生モードに設定して監視カメラ11の映像信号を略リアルタイムに処理して表示装置14に表示するように動作させておき、異常検出センサ12−1〜12−3のいずれかが監視対象の異常状態を検出した場合に、記録再生モードに変更して画像枠付き映像データを表示装置14に表示させることができる。これにより、監視者は、表示装置14を監視しながら監視現場において異常状態が発生したことを即座に且つ容易に認識することができる。
【0038】
特に、任意に設定可能な過去所定時間に含まれる全てのアラーム情報に基づき、アラーム発生時刻情報及びセンサ情報のそれぞれについての重み付け処理による過去所定時間単位での総合的な重要度に応じて生成した画像枠データを復号デジタル映像データと共に表示するため、表示装置14の監視者は、アラーム情報の発生を認識するだけでなく、アラームの重要度を即座に且つ感覚的に認識することができる。しかも、画像枠データの枠の太さや色の変化によりアラームの重要度を提示するため、監視者が複数存在する場合に、監視者間に重要度の認識のばらつきが生じるのを抑えることができる。
【0039】
また、アラーム発生時間が短く、監視者がその時間内でのアラーム発生に気付かない場合があったとしても、過去所定時間単位での総合的な重要度に応じて生成された画像枠表示がされることにより、監視者は、その所定時間内に異常状態が発生したことを認識することができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、3つの異常検出センサ12−1〜12−3を用いた例について説明したが、異常検出センサの数はこれに限定されるものではない。また、監視カメラ11と映像監視装置13との接続がアナログ映像信号による例として説明したが、映像監視システム1の構成についても本実施の形態に限定されるものではなく、例えばネットワークを介して監視カメラと異常検出センサと映像監視装置とがそれぞれ接続されるような構成であっても本発明の技術的思想を適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態である映像監視装置を適用した映像監視システムの全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態である映像監視装置の概略のブロック構成図である。
【図3】重要度算出部による総合重要度値の具体的な計算例を模式的に表した図である。
【符号の説明】
【0042】
1 映像監視システム
11 監視カメラ
12−1〜12−3 異常検出センサ
13 映像監視装置
14 表示装置
21 映像信号入力端子
22 映像入力処理部
23 符号化部
24 記録再生制御部
25 記録部
26 復号部
27 異常検出信号入力端子
28 アラーム情報生成部
29 計時部
30 アラーム情報記憶部
31 重要度算出部
32 画像処理部
33 画像出力端子
34 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、異常検出センサから出力された所定のセンサ情報を含む異常検出信号を受信している間中、監視カメラから供給される映像信号を表示装置に出力する映像監視装置であって、
前記異常検出センサから新たな異常検出信号を受信する毎に、その受信時刻情報と前記受信された異常検出信号に含まれる前記センサ情報とをアラーム情報として順次記憶するアラーム情報記憶手段と、
前記順次記憶されたアラーム情報のうち、前記受信時刻情報が現在時刻より所定時間だけ遡った時刻以降に該当するアラーム情報を読出し、この読み出された全てのアラーム情報におけるセンサ情報に対する重み付け処理と受信時刻情報に対する重み付け処理とに基づき総合重要度値を算出する重要度算出手段と、
前記算出された総合重要度値に基づき装飾画像データを生成し、前記映像信号の画像データの外周部に前記装飾画像データを画像合成して前記表示装置に出力する画像処理手段と、
を備えた構成の映像監視装置。
【請求項2】
前記重要度算出手段は、
前記順次記憶されたアラーム情報のうち、前記受信時刻情報が現在時刻より所定時間だけ遡った時刻以降に該当するアラーム情報を読出し、この読み出されたアラーム情報毎に、センサ情報に対する重み付け処理と受信時刻情報に対する重み付け処理とをそれぞれ実行してこれら重み付け処理結果を乗算すると共に、前記読み出されたアラーム情報全てについて前記各乗算結果を合計して総合重要度値を算出することを特徴とした請求項1に記載の映像監視装置。
【請求項3】
前記装飾画像データは、前記重要度算出手段で算出された総合重要度値に応じた画像枠の太さを有する画像枠データであることを特徴とする請求項1又は2に記載の映像監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−267332(P2007−267332A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93273(P2006−93273)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】