説明

映像表示装置

【課題】
立体的な映像を表示可能な映像表示装置において、視聴者が知覚する映像に、より立体感(奥行感)を与えることが可能な技術を提供する。
【解決手段】
立体映像を表現するための立体映像信号における1つの映像フレームを構成する右目映像フレームと左目映像フレームのそれぞれを、少なくとも第1サブフレームと第2サブフレームに分割し、第1サブフレームを立体映像の遠近に応じた明るさで表示し、第2サブフレームを立体映像の輝度に応じた明るさで表示パネルに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体的に映像を表示可能な映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、立体的に映像を表示するための技術が検討されており、近年の液晶表示技術、プラズマディスプレイ技術等の向上により、高速表示や高精細表示を活用した立体表示手法が確立し製品化も進んでいる
立体的に映像を表示する技術としては、例えば特許文献1〜3に記載のように、視差を有する左眼映像および右眼映像を画面上に交互に表示し、例えば液晶シャッタを有するシャッタメガネを、左眼映像が表示されている場合は左側シャッタを開き且つ右側シャッタを閉じ、右眼映像が表示されている場合は右側シャッタを開き且つ左側シャッタを閉じるように制御することで、視聴者に立体映像を知覚させるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−232249号公報
【特許文献2】特開2009−031523号公報
【特許文献3】特開2008−252731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
立体映像を表示可能な表示装置(すなわち視聴者に立体映像を知覚させることが可能な表示装置)においては、映像の臨場感や迫力を増すために、視聴者に対しより立体感(奥行感)を知覚させることが好ましい。しかしながら、上記従来技術では、右目映像と左目映像の視差のみで立体感を知覚させるようしているため、視聴者に対し十分な立体感を与えることは困難であった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて為されたものであり、視聴者が知覚する映像に、より立体感(奥行感)を与えることが可能な技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特許請求の範囲に記載された構成を特徴とするものである。より具体的には、立体映像を表現するための立体映像信号における1つの映像フレームを構成する右目映像フレームと左目映像フレームを、それぞれ少なくとも第1サブフレームと第2サブフレームに分割し、第1サブフレームを立体映像の遠近に応じた明るさで表示し、第2サブフレームを立体映像の内容に応じた明るさで表示することを特徴とするものである。
【0007】
また本発明は、二次元映像信号の1映像フレームを少なくとも第1サブフレームと第2サブフレームに分割し、第1サブフレームを該映像フレームにおける物体の遠近に応じた明るさで表示し、第2サブフレームを映像フレームの輝度分布に応じた明るさで表示パネルに表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えばえば近くにある物体を明るく表示し遠くにある物体を暗く表示する等、立体映像における物体の遠近に応じたコントラストを与えることができ、視聴者に知覚される立体映像についてより立体感(奥行感)を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施例に係る映像表示装置のブロック図。
【図2】第1実施例におけるサブフレームエリア調光決定部10の動作を示す図。
【図3】本発明の第1実施例の動作を説明する図。
【図4】第1サブフレームと第2サブフレームのエリア調光の様子を示す図。
【図5】本発明の第2実施例に係る映像表示装置のブロック図。
【図6】本発明の第2実施例の動作を説明する図。
【図7】本発明の第3実施例に係る映像表示装置のブロック図。
【図8】本発明の第3実施例の動作を説明する図。
【図9】本発明の第4実施例に係る映像表示装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を用いて説明する。尚、各図または各実施例において、同一の構成、機能または作用を有する要素には同じ番号を付し、重複した説明を省略するものとする。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の第1実施例に係る映像表示装置であって、立体(3D)映像を表示可能な液晶表示装置のブロック図を示している。本実施例に係る液晶表示装置は、液晶パネル11の背面側から光を照射するバックライトユニット(BLU)12を複数(図1では40個)のエリアにマトリクス状に分割し、各エリアに対応する液晶パネル11上の位置の映像信号が示す輝度に応じて、各エリアからの光の強度を制御するようにした、いわゆるエリア調光(エリア制御)可能な構成となっている。BLU12は、本実施例では、例えば上記エリアに対応したブロックを複数有する平板状の導光板と、各導光板ブロックの側面に配列された光源としてのLEDを含み、LEDなどの点光源を各導光板ブロックで面状光源にして液晶パネル11に照射する構成としている。そして、各導光板ブロックに対応して設けられた1或いは複数のLEDを個別に制御することで、上記エリア調光を行うように構成されている。BLU12のエリア数は図1に限定されるものではなく、労全これよりも多いエリアを設けてもよい。
【0012】
また液晶パネル11は、立体映像を表示可能なように高速駆動(本実施例では例えば120Hzでフレームを表示)可能な構成となっている。液晶パネル11には、立体映像を表示するために、左目映像フレーム(L−ch)と右目映像フレーム(R−ch)の映像信号が交互に表示され、これを図示しない例えば液晶シャッタを有するシャッターメガネを通して観察することで、視聴者は立体映像を知覚する。以下、詳細について説明する。尚、以下では、左目映像フレーム(L−ch)と右目映像フレーム(R−ch)を纏めて「3Dサブフレーム」と呼ぶ場合もある。
【0013】
図1において、映像信号入力端子1には、通常の映像信号である二次元(2D)映像信号と、左目映像フレーム(L−ch)と右目映像フレーム(R−ch)が多重化された立体映像を表現するための3D映像信号が入力され、2D−3D変換部3、フレーム分離部4及び映像深度解析部5を含む3D画像処理部6に供給される。ここで、2D/3D映像信号のフレームレートは60Hzであるものとする。
【0014】
一方、同期信号入力端子2には、2D/3D映像信号に付随する60Hzの同期信号(ここでは垂直同期信号v_sync)が入力され、タイミング制御部13に供給される。タイミング制御部13では、同期信号v_syncから、液晶パネル11を駆動するための120HzのLCDタイミング信号LCD_syncと、BLU12を駆動するための240HzのBLUタイミング信号BLU_syncとを生成して出力する。
【0015】
2D映像信号は、3D画像処理部6の2D−3D変換部3において、入力2D映像信号に対応する3D映像信号、すなわち左目映像フレーム(L−ch)と右目映像フレーム(R−ch)に変換される。かかる変換処理は、例えば、2D映像信号のある1映像フレームにおける物体(画像の位置)の動きベクトルを検出し、この動きベクトルから水平方向の視差量を算出し、この視差量分当該映像フレームを水平方向に移動或いは遅延させ、これと原映像フレームとを組み合わせることにより行われる。このような変換処理は、例えば特開平11-275604号公報、特開平10-276456号公報、特開平10-108220号公報等に記載のように公知であるため、ここでの詳細な説明は省略するものとする。当然、上述した方法以外の方法を用いて変換処理を行ってもよい。
【0016】
一方、3D映像信号は、3D画像処理部6のフレーム分離部4において左目映像フレーム(L−ch)と右目映像フレーム(R−ch)に分離される。
【0017】
3D画像処理部6の映像深度解析部5は、2D映像信号が入力された場合は、2D−3D変換部3における変換処理の際に算出された視差量を用いて当該2D映像信号の遠近(奥行量)の情報、すなわち視聴者が知覚する映像フレームにおける各物体(表示位置)の奥行き方向の距離を算出する。また3D映像信号が入力された場合は、フレーム分離部4で分離された左目映像フレーム(L−ch)と右目映像フレーム(R−ch)から視差量を算出し、当該3D映像信号の遠近(奥行量)を算出する。3D映像信号に視差量の情報が多重されている場合は、左目映像フレーム(L−ch)と右目映像フレーム(R−ch)を用いずに、当該多重された視差量の情報を用いて遠近(奥行量)の情報を算出してもよい。
【0018】
2D−3D変換部3で生成された2D映像信号に対応する左目映像フレーム(L−ch)と右目映像フレーム(R−ch)、またはフレーム分離部4で3D映像信号から分離された左目映像フレーム(L−ch)と右目映像フレーム(R−ch)は、輝度分布解析部7及び映像補正部9のそれぞれに供給され、また映像深度解析部5で算出された遠近(奥行量)の情報は遠近エリア決定部8に供給される。
【0019】
輝度分布解析部7は、左目映像フレーム(L−ch)及び右目映像フレーム(R−ch)のそれぞれについて、フレーム内の輝度分布を解析する。すなわち、BLU12の各エリアに対応する液晶パネル11の領域における映像の輝度を、各Chの映像信号から解析する。ここでは、液晶パネル11の各領域に含まれる複数の画素のうち、最大輝度を持つ画素の輝度レベルを当該領域の輝度として算出する。
【0020】
一方、遠近エリア決定部8は、映像深度解析部5で算出された遠近(奥行量)の情報を参照してBLU12の各エリアに対応する液晶パネル11の位置における映像の位置(奥行き距離)を判定する。例えば、液晶パネル11の各領域において、最も奥行き距離の短い物体の奥行き距離を当該領域の奥行き距離とする。そして本実施例では、各領域の奥行き距離を所定値と比較し、所定値以上の場合は当該領域の奥行き距離をF(遠方)、所定値より短い場合は当該領域の奥行き距離をN(近場)と判定する。例えば図2に示されるように、フレームの中央に位置する人物が近くにある(視聴者により近くに位置すると知覚される)場合は、当該人物を含む16個の領域を「N」と判定し、フレームの左右端部近傍に位置する木が遠くにある(視聴者により遠くに位置すると知覚される)場合は、当該木を含む24個の領域を「F」と判定する。
【0021】
サブフレームエリア調光決定部10では、輝度分布解析部7で算出された液晶パネル11の各領域の輝度と、遠近エリア決定部8で判定された液晶パネル11の各領域の奥行き距離とに基づいて、BLU12の各エリアの光強度(調光値)を決定する。通常のエリア制御ではフレーム毎に各エリアの調光値を設定しているが、本実施例では、サブフレームエリア調光決定部10は、左目映像フレーム(L−ch)及び右目映像フレーム(R−ch)のそれぞれを第1サブフレームと第2サブフレームの2つのサブフレームに分割し、各サブフレーム毎に異なる調光値を設定するように構成されている。
【0022】
例えば、図1の右下側に示されるように、左目映像フレーム(L−ch)を第1のサブフレームと第2のサブフレームに分割し、第1サブフレームについては、遠近エリア決定部8で判定された液晶パネル11の各領域の奥行き距離に基づいて各エリアの調光値を設定し、第2サブフレームについては、輝度分布解析部7で算出された液晶パネル11の各領域の輝度に基づいて各エリアの調光値を設定する。ここで、第1サブフレームでは、「N」(近場)と判定された領域に対応するBLU12のエリアについては調光値を0(つまり消灯)に、「F」(遠方)と判定された領域に対応するBLU12のエリアについては調光値を最大値に設定する。また第2サブフレームでは、液晶パネル11の各領域の最大輝度値に略比例するよう、BLU12の各エリアの調光値を設定する。例えば、液晶パネル11のある領域の最大輝度が液晶パネル11で表現可能な最大階調値(例えば8bit表現で255)の場合、当該領域に対応するBLU12のエリアの光強度を最大値に設定し、液晶パネル11のある領域の最大輝度が液晶パネル11で表現可能な最大階調値の半分(例えば8bit表現で128)の場合、当該領域に対応するBLU12のエリアの光強度を最大値の半分に設定する。
【0023】
上述のようにサブフレームエリア調光決定部10で設定された調光値は、タイミング制御部13で生成された240HzのBLUタイミング信号BLU_syncとともにBLU12に供給される。更にサブフレームエリア調光決定部10は、設定した調光値に基づく画素毎の補正データを映像補正部9へ出力する。
【0024】
映像補正部9は、上記補正データを用いて左目映像フレーム(L−ch)及び右目映像フレーム(R−ch)を補正する。例えば、左目映像フレーム(L−ch)について、液晶パネル11のある領域の最大輝度が液晶パネル11で表現可能な最大階調値の半分で、そのために当該領域に対応するBLU12のエリアの光強度を最大値の半分とした場合(つまり調光値は1/2)、当該領域に対応する左目映像フレーム(L−ch)の信号振幅を2倍とする。調光値が最大輝度の1/3の場合、そのエリアに対応する左目映像フレーム(L−ch)の信号振幅を3倍とする。このように、補正データは、調光値の逆数で映像信号を増幅するための増幅度を示すものである。すなわち、映像補正部9は、左/右目映像フレームのそれぞれを補正データに示された増幅度で増幅する。これにより、BLU12の光強度を下げた場合に映像が暗くなることを映像信号側で補償して、適切な明るさで映像を表示できる。
【0025】
映像補正部9で振幅が補正された左目映像フレーム(L−ch)及び右目映像フレーム(R−ch)の信号は、タイミング制御部13からのに120HzのLCDタイミング信号LCD_syncとともに液晶パネル11に供給される。液晶パネル11は、LCDタイミング信号LCD_syncに同期して、1/120秒周期で、左目映像フレーム(L−ch)と右目映像フレーム(R−ch)とを交互に表示するように、各液晶画素(ピクセル)の透過率を制御する。
【0026】
一方、BLU12は、サブフレームエリア調光決定部10で設定された調光値と、BLUタイミング信号BLU_syncに基づいて、各エリアに設けられた光源(例えばLED)を発光する。この光は、液晶パネル11に照射され、液晶パネル11に供給された左目映像フレーム(L−ch)または右目映像フレーム(R−ch)の信号により制御された各液晶画素の透過率によって、液晶画素毎に空間的に変調される。このようにして、液晶パネル11上に入力映像信号に応じた光学像が形成される。
【0027】
この光学像は、交互に出現する左目映像フレーム(L−ch)に基づく光学像と右目映像フレーム(R−ch)に基づく光学像とを含んでおり、図示しないシャッターメガネを通して、これらの光学像が交互に視差を以って視聴者によって観察される。これによって、視聴者は立体映像を知覚することが出来る。
【0028】
上記した第1実施例の動作について、図3を参照して更に説明する。
【0029】
図3の上部は、立体映像の1映像フレームを構成する左目映像フレーム(L−ch)の映像(L映像)と右目映像フレーム(R−ch)の映像(R映像)を示している。この映像は、フレーム中央部の人物が近場にあり、かつその輝度は明るく、フレームの左右両端近傍の木は遠方にあり、かつその輝度は暗いものとする。ここで、立体映像の映像フレームのフレームレート(垂直周波数)はv_syncに示されるように60Hzであり、L映像及びR映像を含む3Dサブフレームのフレームレート(垂直周波数)はLCD_syncに示されるように120Hzである。
【0030】
1つのL映像(またはR映像)が液晶パネル11に表示されている期間、図3に示されるように、BLU12は2つのサブフレーム、すなわち第1サブフレームと第2サブフレームの期間に分かれて発光する。この第1サブフレームと第2サブフレームを纏めてBLUサブフレームとすると、このBLUサブフレームのフレームレートは、BLU_syncに示されるように240Hzである。
【0031】
ここで、第1サブフレームは、第2サブフレームよりも時間的に先に位置するものであり、上記遠近エリア決定部8で判定された液晶パネル11の各領域の奥行き距離に基づいてエリア調光が実行される期間である。例えば、L画像(またはR映像)のようにフレーム中央の人物が近場に位置する場合は、当該人物が表示される液晶パネル11の領域は上述のように「N」と判定され、その領域に対応するBLU12のエリア(図3では16個のエリア)は、光強度が強くなるように発光される。またフレーム左右両端近傍の木が遠方に位置する場合は、当該人物が表示される液晶パネル11の領域は上述のように「F」と判定され、その領域に対応するBLU12のエリア(図3では24個のエリア)は、光強度が0とされる(すなわち消灯される)。
【0032】
一方、第2サブフレームは、第1サブフレームよりも時間的に後に位置するものであり、上記輝度分布解析部7で算出された液晶パネル11の各領域の輝度に基づいて、いわゆる通常のエリア調光が実行される期間である。例えば、L画像のようにフレーム中央の人物の輝度が明るい場合は、当該人物が表示される液晶パネル11の領域に対応するBLU12のエリア(図3では16エリア)は、光強度が強くなるように発光される。また、フレーム左右両端近傍の木の輝度が暗い場合は、当該木が表示される液晶パネル11の領域に対応するBLU12のエリア(図3では24個のエリア)は、光強度が弱くなるように発光される。
【0033】
上記第1サブフレームでのエリア調光と第2サブフレームでのエリア調光との関係を図4に示す。図4(a)の下側は、着目ラインを基準にした映像またはBLU12の輝度分布の様子をグラフ化したものである。
【0034】
図4(a)左端の映像が表示される場合は、左から2番目の図にあるように、BLU12の各エリアは、映像の輝度分布に応じて明るい部分は高輝度で、暗い部分は低輝度で発光される。このBLU12の輝度分布は、図4(a)の右から2番目に図示される第1サブフレームでのBLU12の輝度分布と、図4(a)の右端に図示される第2サブフレームでのBLU12の輝度分布との合成で表される。すなわち本実施例では、1映像フレームの輝度分布に応じたBLU12の各エリアの光強度を、映像の遠近の情報と映像の輝度分布情報を用いて、第1サブフレームと第2サブフレームに分配している。
【0035】
また、映像フレームの輝度が全面に渡って略均一、この例では人物と木の輝度が同一であっても、人物が近場にあり木が遠方にある場合は、人物を含むBLU12のエリアが他のエリアに比べて光強度が強くされる。映像フレームの輝度が全面に渡って略均一の場合、図4(b)のように示すようなエリア調光としてもよい。すなわち、近場にある物体については、第1及び第2サブフレーム合せての発光期間を長くしかつ発光強度を低くし、遠方にある物体については発光期間を短くしかつ発光強度を高くしてもよい。このように、映像信号中の物体の輝度が同一であっても,映像深度(遠近)情報が異なれば発光量と発光期間を異ならせるようにする。これによって、遠方の物体は、第1サブフレームにおける黒表示と第2サブフレームにおける短期間発光の組み合わせで表示されるため、映像中の物体の遠近に応じたコントラストや先鋭感を与えることができる。また、近場にある物体については、第1及び第2サブフレーム合せての発光期間を短くしかつ発光強度を高くし、遠方にある物体については発光期間を長くしかつ発光強度を低くしてもよい。
【0036】
第1及び第2サブフレームで形成されたBLU12からの光が液晶パネル11のL画像で変調されている間、図3に示されるように、シャッターメガネの左側の液晶シャッタは開、右側の液晶シャッタは閉となる。また第1及び第2サブフレームで形成されたBLU12からの光が液晶パネル11のR画像で変調されている間、シャッターメガネの右側の液晶シャッタは開、左側の液晶シャッタは閉となる。これによって視聴者は、図3に示されるように、第1サブフレームでは近場の人物を含むエリアのみの光学像を観察し、第2サブフレームでは全体の映像を観察する。従って、視聴者は、1映像フレームのうち、近場の物体が相対的に明るく、遠方の物体は相対的に暗く視認される。すなわち本実施例では、近場にある物体が強調表示されるので、視聴者に対しより立体感を与えることができる。
【0037】
このように、本実施例では、3Dサブフレームのそれぞれを2つのBLUサブフレームに分割し、2つのBLUサブフレームのそれぞれで、映像の遠近情報と映像の輝度分布に応じたエリア調光を行っているので、近場にある物体については明るく表示することができ、立体映像についてより立体感を向上させることが可能となる。
【0038】
尚、本実施例では、遠近情報を「N」と「F」の2つのレベルで示したが、当然これよりも多くのレベルで表してもよい。また、第1サブフレームで映像の遠近情報を用いたエリア調光、第2サブフレームで映像の輝度分布を用いたエリア調光としたが、逆にしてもよい。すなわち、第1サブフレームでは映像の輝度分布を用いたエリア調光を行い、第2サブフレームでは映像の遠近情報を用いたエリア調光を行ってもよい。さらに3Dまた、本実施例では1つの3Dサブフレームを2つのBLUサブフレームに分割してエリア調光するようにしているが、2つ以上のBLUサブフレームに分割してエリア調光するようにしてもよい。
【実施例2】
【0039】
次に本発明の第2実施例について図5及び図6を参照して説明する。
【0040】
本実施例は、第1実施例とは異なり、3D表示機能を有さない2D映像のみが表示可能な表示装置に本発明を適用したものである。本実施例が第1実施例と異なるのは、3D映像処理部6の2D−3D変換部4及びフレーム分離部4を備えておらず、映像深度解析部51のみを備えている点と、BLUサブフレームの周波数が120Hzである点が異なる。その他の構成は第1実施例と同じである。また本実施例は、入力映像信号として2D映像信号のみを受付可能である、この2D映像信号のフレームレートは60Hzであるものとする。
【0041】
図5において、映像深度解析部51は、第1実施例の2D−3D変換部4の機能の一部を有するものであり、第1実施例で説明したように、2D映像信号のある1映像フレームにおける物体(映像の位置)の動きベクトルを検出し、この動きベクトルから水平方向の視差量を算出し、遠近(奥行量)の情報を算出する。
【0042】
遠近エリア決定部8は、上述した第1実施例と同様に、映像深度解析部5で算出された遠近(奥行量)の情報を参照してBLU12の各エリアに対応する液晶パネル11の位置における映像の位置(奥行き距離)を判定する。以降の動作は第1実施例と同様であるが、2D映像信号は3Dサブフレームを含んでいないため、BLUサブフレームの周波数は120Hzである。
【0043】
すなわち、本実施例では、図6に示されるように、60Hzの2D映像信号の1映像フレームを表示する期間を第1サブフレームと第2サブフレームに分割し、第1サブフレームでは映像の遠近情報を用いたエリア調光を行い、第2サブフレームでは映像の輝度分布を用いたエリア調光を行う。
【0044】
これにより、視聴者は3D映像を知覚することはできないが、近場の物体は明るく表示されるために2D映像でも視聴者に立体感を与えることが出来る。尚、本実施例では2D映像信号のみ受付可能としたが、3D映像信号も受付可能とし、更に3D−2D変換部を設け、3D映像信号の視差量から映像深度解析部51で遠近(奥行量)の情報を算出するようにしてもよい。
【実施例3】
【0045】
次に本発明の第3実施例について図7及び図8を参照して説明する。本実施例も第2実施例と同様に、3D表示機能を有さない2D映像のみが表示可能な表示装置であり、3D映像処理部6の2D−3D変換部4及びフレーム分離部4を備えておらず、映像深度解析部51のみを備えている。但し、本実施例は、表示パネルが液晶パネルではなくPDP(plasma display panel)、FED(field emission display)や有機EL等を自発光パネル111を用いている。よって、本実施例の表示装置はBLUを備えていない。従って、タイミング制御部131は、BLUを駆動するためのタイミング信号を生成せず、自発光パネル111を駆動するためのタイミング信号であるPANEL_syncのみを生成し自発光パネル111へ供給する。また本実施例では、入力映像信号として2D映像信号のみを受付可能であり、この2D映像信号のフレームレートは60Hzであるものとする。
【0046】
図7において、映像深度解析部51は、第2実施例と同様に、2D映像信号のある1映像フレームにおける物体(映像の位置)の動きベクトルを検出し、この動きベクトルから水平方向の視差量を算出し、1映像フレームの画素毎に遠近(奥行量)の情報を算出する。
【0047】
遠近エリア決定部81は、映像深度解析部5で算出された遠近(奥行量)情報を用いて画素毎の位置(奥行き距離)を判定する。サブフレーム生成部101は、遠近エリア決定部81からの画素毎の位置(奥行き距離)と、輝度分布解析部7からの輝度情報を用いて、2D映像信号を倍速変換して1映像フレームから第1サブフレームと第2サブフレームを生成する。第1サブフレームは画素毎の奥行き距離に基づいた階調値、すなわち奥行き距離が近い場合は明るく、遠い場合は暗くなるような階調値を有している。第2サブフレームは映像フレームの輝度分布に対応した階調値を有している。すなわちサブフレーム生成部101は、遠近エリア決定部81からの画素毎の位置(奥行き距離)を用いて第1サブフレーム生成し、輝度分布解析部7からの輝度情報を用いて第2サブフレームを生成する。この第1サブフレームと第2サブフレームの信号は、タイミング制御部131からの120Hzのタイミング信号PANEL_syncとともに自発光パネル111に供給される。
【0048】
この結果、自発光パネル111には、図8に示されたような第1サブフレームと第2サブフレームがタイミング信号PANEL_syncに同期して1/120Hz周期で交互に表示される。よって、視聴者は3D映像を知覚することはできないが、近場の物体は明るく表示されるために、視聴者に対し2D映像でも立体感を与えることが出来る。
【0049】
尚、本実施例では2D映像信号のみ受付可能としたが、3D映像信号も受付可能とし、更に3D−2D変換部を設け、3D映像信号の視差量から映像深度解析部51で遠近(奥行量)の情報を算出するようにしてもよい。また、え2D映像信号を120Hzの信号に倍速変換し、更にサブフレームの周波数を240Hzとして映像を表示するようにしてもよい。
【実施例4】
【0050】
次に本発明の第4実施例について図9を参照して説明する。本実施例は、図7に示された第3実施例の構成を投射型表示装置に適用したものである。投射部14以外の構成は第3実施例と同じである。
【0051】
投射部14は、LED、レーザ。UHPランプ等の光源と小型のLCDパネルやLCOSパネル、DLP等の表示素子と組み合わせで構成される。
投射部14が、映像信号で変調したレーザビームを、2次元的に揺動する反射ミラーで反射させ走査(ラスタスキャン)することで投射対象物に映像を投射するように構成されたものについては、次のようして本実施例が適用される。
【0052】
例えば、第1サブフレームは,近場の物体を含むエリアのみ走査し、第2サブフレームは映像の輝度分布に応じて遠方の物体を含むエリア、すなわち前面を走査する。このように、映像における物体の遠近に応じて映像領域を分け、該映像領域に応じてラスタスキャンの領域を選択するようにしてもよい。この実施例においては、レーザと反射ミラーの組み合わせに限らず、ラスタスキャンを行えるものであれば、どのような構成であってもよい。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、映像における近場の物体と遠方の物体とのコントラストを向上し、特に近場の物体を明るく表示することで視聴者に対しより立体感を与えることが出来る。
【符号の説明】
【0054】
1…映像信号入力端子、2…同期信号入力端子、3…2D−3D変換部、4…フレーム分離部、5、51…映像深度解析部、6…3D画像処理部、7…輝度分布解析部、8…遠近エリア決定部、9…映像補正部、10…サブフレームエリア調光決定部、11…液晶パネル、12…バックライトユニット、14…投射部、101…サブフレーム生成部、111…自発光パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体映像を表現するための立体映像信号における1つの映像フレームを構成する右目映像フレームと左目映像フレームのそれぞれを、少なくとも第1サブフレームと第2サブフレームに分割し、第1サブフレームを立体映像の遠近に応じた明るさで表示し、第2サブフレームを立体映像の輝度に応じた明るさで表示パネルに表示することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置において、前記表示パネルは液晶パネルであり、かつ該液晶パネルに光を照射するためのバックライトユニットを更に備え、
前記バックライトユニットは、複数のエリアに分割され、かつ該複数のエリアの光強度を個別に制御するためのエリア制御を実行可能であり、
前記第1サブフレームでは前記右目映像フレームまたは左目映像フレームの奥行き距離の情報に応じて前記エリア制御を行い、前記第2サブフレームでは前記右目映像フレームまたは左目映像フレームの輝度分布に応じて前記エリア制御を行うことを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
二次元映像信号の1映像フレームを少なくとも第1サブフレームと第2サブフレームに分割し、第1サブフレームを該映像フレームにおける物体の遠近に応じた明るさで表示し、第2サブフレームを映像フレームの輝度分布に応じた明るさで表示部に表示することを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の映像表示装置において、前記表示部は液晶パネルであり、かつ該液晶パネルに光を照射するためのバックライトユニットを更に備え、
前記バックライトユニットは、複数のエリアに分割され、かつ該複数のエリアの光強度を個別に制御するためのエリア制御を実行可能であり、
前記第1サブフレームでは前記映像フレームの奥行き距離の情報に応じて前記エリア制御を行い、前記第2サブフレームでは前記映像フレームの輝度分布に応じて前記エリア制御を行うことを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
請求項3に記載の映像表示装置において、前記表示部は自発光パネルであり、
前記第1サブフレームは前記映像フレームの奥行き距離の情報に応じた階調値を持ち、前記第2サブフレームは前記映像フレームの輝度分布に応じた階調値を持つことを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の映像表示装置において、前記自発光パネルは、PDP、FEDまたは有機ELであることを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の映像表示装置において、前記表示部は、投射型表示部であることを特徴とする映像表示装置。
【請求項8】
請求項5に記載の映像表示装置において、前記表示部は、ラスタスキャンで映像を形成する投射型表示部であり、
前記第1サブフレームでは映像の遠近情報に応じて選択的にスキャンを行い、前記第2サブフレームでは映像の輝度分布情報に応じて全面的にスキャンを行うことを特徴とする映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−65991(P2013−65991A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202564(P2011−202564)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】