映像記録再生装置および画像表示装置
【課題】 強調処理回路を映像記録再生装置と画像表示装置とが共に解像感強調処理機能を有する場合に、解像感強調処理が二重になり、過度な解像感強調処理が行われることを防止する。
【解決手段】 映像記録再生装置1が画像表示装置3と接続されると、制御回路16は制御回路34と接続され、画像表示装置3の信号処理手段32が解像感強調処理機能を有するか否かを検出し、解像感強調処理機能を有する場合は、信号処理手段15において解像感強調処理が行われないように制御する。また、画像表示装置3では、制御回路34により制御回路16の制御情報に基づいて、解像感強調処強調処理が過剰にならないように信号処理手段32を制御する。
【解決手段】 映像記録再生装置1が画像表示装置3と接続されると、制御回路16は制御回路34と接続され、画像表示装置3の信号処理手段32が解像感強調処理機能を有するか否かを検出し、解像感強調処理機能を有する場合は、信号処理手段15において解像感強調処理が行われないように制御する。また、画像表示装置3では、制御回路34により制御回路16の制御情報に基づいて、解像感強調処強調処理が過剰にならないように信号処理手段32を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号に対し強調処理された映像信号を記録・再生する映像記録再生装置および表示する画像表示装置に関するものである。映像記録再生装置においては、解像感の高い出力信号を得るために映像信号に高周波数成分強調処理をする強調処理回路を備え、記録信号あるいは再生信号について強調処理を行う。また、映像記録再生装置と画像表示装置が共に高周波数成分強調処理回路を備えた場合には、どちらか一方の強調処理回路のみが動作するよう制御するものである。
【背景技術】
【0002】
映像記録再生装置あるいは画像表示装置などにおいて、解像感のある画像を得る目的で信号の強調処理を行うことがある。
【0003】
例えば特許文献1に記載された画像処理装置においては、多重解像度に変換された細部画像に対して、所望とする周波数帯域の細部画像に対する強調係数をその所望とする周波数帯域よりも低周波数帯域の細部画像の信号に基づいて設定することにより、所望とする周波数帯域を強調している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−44651(段落0031)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多重解像度に変換された細部画像に対して、所望とする周波数帯域の細部画像に対する強調係数を適宜設定する画像処理装置では、入力画像によっては強調処理が不適切あるいは不十分となり、適正な画質の出力画像を得ることが不可能であった。
【0006】
例えば、入力画像として画像圧縮された信号を伸張処理した画像が入力される場合、画像の高周波数成分が失われており、特許文献1に記載された画像処理装置では、強調処理を施す細部画像における最低周波数帯域の比較的濃度の低い領域に対応する領域については他の領域と比較して強調度を低く抑え、他の領域については低濃度領域よりも大きい強調度により強調処理を施す構成として高周波数成分を強調しているが、信号の強度と強調の度合いが線形の関係となり、入力画像の高周波数成分が失われている場合にエッジの立ち上がりを急峻に持ち上げる強調処理としては不十分であった。
【0007】
また、入力画像としてノイズ処理を受けた画像が入力される場合、高周波数成分側の周波数スペクトルはノイズ処理によって失われている。したがって高周波数成分を取り出そうとしても、取り出すことができず、十分に画像の強調処理を行えないことがある。
【0008】
あるいは、強調処理回路を映像記録再生装置と画像表示装置において備えている場合、二重に強調処理をおこなうため、過度な処理が出力画像の不具合となって現れる場合がある。
【0009】
本発明は上述のような課題を解消するためになされたもので、画像の解像感強調処理を備えた映像記録再生装置と画像表示装置が接続された場合に、過度な解像感強調とならないようにして、最適な画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係わる映像記録再生装置は、画像表示装置に映像信号を送出し、画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう映像記録再生装置であって、
記録メディアに記録されたデータを再生した再生映像信号を入力として解像感強調処理を施した第1の映像信号を出力する第1の信号処理手段と、前記第1の信号処理手段を制御し、前記画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう第1の制御手段とを備え、
前記第1の制御手段が、前記画像表示装置と前記第1の信号処理手段の制御情報の送受を行い、接続された画像表示装置が解像感強調処理機能を持っていることを認識したときに解像感強調処理をしないようにすることを特徴とする。
【0011】
本発明に係わる画像表示装置は、映像記録再生装置から映像信号を受信し、映像記録再生装置と制御信号の送受信をおこなう画像表示装置であって、
前記映像記録再生装置から入力された前記第2の映像信号に解像感強調処理を施した第3の映像信号を出力する第2の信号処理手段と、前記第3の映像信号を画像表示するモニタと、前記第2の信号処理手段を制御し、前記画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう第2の制御手段とを備え、
前記第2の制御手段が、前記映像記録再生装置の前記第1の信号処理手段の制御情報に基づいて、解像感強調処理が過剰にならないように前記第2の信号処理手段の解像感強調処理の制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、映像記録再生装置と画像表示装置との間を映像信号と制御信号により接続し、映像記録再生装置における解像感強調処理の程度を画像表示装置側で検出し、画像表示装置の解像感強調処理の制御を行うようにしたので、解像感強調処理を過度に行うことなく、最適な画像表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の構成図である。
【図2】信号処理手段15の構成図である。
【図3】水平方向非線形処理手段152Ahの構成図である。
【図4】垂直方向非線形処理手段152Avの構成図である。
【図5】加重加算手段152Cの構成図である。
【図6】本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の別の構成図である。
【図7】拡大処理手段14の構成図である。
【図8】拡大処理手段14の動作説明図である。
【図9】拡大処理手段14の動作説明図である。
【図10】中間画像生成手段151の動作説明図である。
【図11】中間画像処理手段152の動作説明図である。
【図12】ステップエッジとステップエッジをサンプリング間隔S1でサンプリングした信号の説明図である。
【図13】ステップエッジとステップエッジをサンプリング間隔S2でサンプリングした信号の説明図である。
【図14】中間画像生成手段151および中間画像処理手段152の動作説明図である。
【図15】本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の別の構成図である。
【図16】本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の別の構成図である。
【図17】本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の別の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の構成を表す図である。
【0015】
映像記録再生装置1において、入力された映像信号が圧縮処理部11において例えばMPEG−2などの高能率の非可逆圧縮方式によりデータ圧縮された後、アクセス手段12により記録処理された後、例えば光ディスクなどの記録メディア2に書き込まれる。また、アクセス手段12により記録メディア2から読み出された圧縮データは、伸張処理部13によりデータ伸張等の映像信号再生処理により映像信号に復元された後、信号処理手段15により高周波数成分を加算し画像の解像感を高めるような信号処理がなされた映像信号が出力される。また、映像記録再生装置1から出力され、画像表示装置3に入力された映像信号は、信号処理手段32により高周波数成分を加算し画像の解像感を高めるような解像感強調処理がなされた後、モニタ33にて画像として表示される。なお、映像記録再生装置1の信号処理手段15は制御回路16により制御され、画像表示装置3の信号処理手段32は制御回路34により制御され、制御回路16と制御回路34は、互いに制御データの授受を行っている。
【0016】
図2は、図1における信号処理手段15の構成を表す図である。なお、信号処理手段32の構成も同様とする。信号処理手段15は入力信号DIN15から特定の周波数帯域近傍の成分を取り出した中間画像D151を生成する中間画像生成手段151、中間画像D151に後述する処理を行った中間画像D152を生成する中間画像処理手段152、入力信号DIN15と中間画像D152を加算する加算手段153からなり、加算手段153にて入力信号DINと中間画像D152を加算した結果が出力信号DOUT15として出力される。
【0017】
中間画像生成手段151は、入力信号DIN15から高周波数成分のみを取り出した画像D151Aを生成する高周波数成分画像生成手段151A、画像D151Aの低周波数成分のみを取り出した画像D151Bを生成する低周波数成分画像生成手段151Bからなる。中間画像生成手段151からは画像D151Bが中間画像D151として出力される。
【0018】
中間画像処理手段152は中間画像D151に対し、後述する非線形処理を行った画像D152Aを出力する非線形処理手段152A、画像D152Aの高周波数成分のみを取り出した画像D152Bを出力する高周波数成分画像生成手段152B、中間画像D151と画像D152Bを加算した画像D152Cを出力する加重加算手段152Cからなる。中間画像処理手段152からは画像D152Cが中間画像D152として出力される。
【0019】
以下、本発明の実施の形態1による映像記録再生装置1および画像表示装置3の詳細な動作について説明を行う。
【0020】
映像記録再生装置1において、映像入力信号が圧縮処理部11において例えばMPEG−2などの高能率の非可逆圧縮方式によりデータ圧縮された後、アクセス手段12により記録処理された後、例えば光ディスクなどの記録メディア2に書き込まれる。また、アクセス手段12により記録メディア2から読み出された圧縮データは、伸張処理部13によりデータ伸張等の映像信号再生処理により映像信号に復元された後、信号処理手段15により高周波数成分を加算し画像の解像感を高めるような信号処理がなされた映像信号が出力される。
【0021】
画像表示装置3において、映像記録再生装置1からの映像信号は信号処理手段32により高周波数成分を加算し画像の解像感を高めるような信号処理をされた後、モニタ33に表示される。なお、信号処理手段32の動作は信号処理手段15と同様であるので、説明を省略する。
【0022】
先ず信号処理手段15の動作について説明する。信号処理手段15においては、中間画像生成手段151により入力信号DIN15から特定の周波数帯域近傍の成分を取り出した中間画像D151を生成し、更に、中間画像処理手段152により中間画像D151に後述する処理を行った中間画像D152を生成し、入力信号DIN15に中間画像D152が加算され、高周波数成分が加算され解像感が強調された映像信号DOUT15として出力される。
【0023】
以下、中間画像生成手段151の詳細な動作について説明する。
【0024】
中間画像生成手段151は、まず、高周波数成分画像生成手段151Aにおいて、入力画像DINの高周波数成分のみを取り出した画像D151Aを生成する。即ち、水平方向高周波数成分画像生成手段151Ahにより入力画像DINに対し水平方向のハイパスフィルタ処理を行って水平方向についてのみ高周波数成分を取り出した画像D151Ahを生成し、垂直方向高周波数成分画像生成手段151Avにより垂直方向のハイパスフィルタ処理を行って垂直方向についてのみ高周波数成分を取り出した画像D151Avを生成する。このように、高周波数成分の取り出しは、画像の水平方向、垂直方向それぞれについてハイパスフィルタ処理を行うことで可能である。
【0025】
次に、低周波数成分画像生成手段151Bにおいて、画像D151Aの低周波数成分のみを取り出した画像D151Bを生成する。即ち、水平方向低周波数成分画像生成手段151Bhにより画像D151Ahに対し水平方向のローパスフィルタ処理を行った画像D151Bhを生成し、垂直方向低周波数成分画像生成手段151Bvにより画像D151Avに対し垂直方向のローパスフィルタ処理を行った画像D151Bvを生成する。そして、中間画像生成手段151からは、画像D151Bhと画像D151Bvからなる画像D151Bが中間画像D151として出力される。なお、中間画像D151は、画像D151Bhに相当する画像D151h、画像D151Bvに相当する画像D151vからなる。
【0026】
次に、中間画像処理手段152の詳細な動作について説明する。
【0027】
中間画像処理手段152は、まず、非線形処理手段152Aにおいて、中間画像D151に対して後述する非線形処理を行った画像D152Aを生成する。即ち、水平方向非線形処理手段152Ahにより画像D151Bhに対して後述する非線形処理を行って画像D152Ahを生成し、垂直方向非線形処理手段152Avにより画像D151Bvに対して後述する非線形処理を行って画像D152Avを生成する。このように、非線形処理は、水平方向、垂直方向それぞれについて行う。
【0028】
非線形処理手段152Aの動作についてさらに詳しく説明する。非線形処理手段152Aは同様の構成からなる水平方向非線形処理手段152Ah、垂直方向非線形処理手段152Avを備える。ここで、水平方向非線形処理手段152Ahは水平方向の処理を行い、垂直方向非線形処理手段152Avは垂直方向の処理を行う。
【0029】
図3は水平方向非線形処理手段152Ahの構成を表す図である。水平方向非線形処理手段152Ahはゼロクロス判定手段152Ah1、信号増幅手段152Ah2を備える。なお、非線形処理手段152Ahには、画像D151hが入力画像DIN152Ah1として入力される。
【0030】
ゼロクロス判定手段152Ah1は入力画像DIN152Ah1における画素値の変化を水平方向に沿って確認する。そして画素値が正の値から負の値あるいは負の値から正の値へと変化する箇所をゼロクロス点として捉え、判定信号D152Ah1によってゼロクロス点の前後にある画素の位置を信号増幅手段152Ah2に伝達する。例えばゼロクロス点の左右に位置する画素がゼロクロス点の前後に位置する画素として認識される。
【0031】
信号増幅手段152Ah2は判定信号D152Ah1をもとにゼロクロス点の前後にある画素を特定し、ゼロクロス点の前後にある画素についてのみその画素値を増幅させた(絶対値を大きくした)非線形処理画像D152Ah2を生成する。すなわち、ゼロクロス点前後にある画素の画素値に対しては増幅率を1より大きな値とし、それ以外の画素の画素値に対しての増幅率は1とする。
【0032】
そして水平方向非線形処理手段152Ahからは非線形処理画像D152Ah2が画像D152Ahとして出力される。
【0033】
図4は垂直方向非線形処理手段152Avの構成を表す図である。垂直方向非線形処理手段152Avはゼロクロス判定手段152Av1、信号増幅手段152Av2を備える。なお、非線形処理手段152Avには、画像D151vが入力画像DIN152Av1として入力される。
【0034】
ゼロクロス判定手段152Av1は入力画像DIN112Av1における画素値の変化を垂直方向に沿って確認する。そして画素値が正の値から負の値あるいは負の値から正の値へと変化する箇所をゼロクロス点として捉え、判定信号D152Av1によってゼロクロス点の前後にある画素の位置を信号増幅手段152Av2に伝達する。例えばゼロクロス点の上下に位置する画素がゼロクロス点の前後に位置する画素として認識される。
【0035】
信号増幅手段152Av2は判定信号D152Av1をもとにゼロクロス点の前後にある画素を特定し、ゼロクロス点の前後にある画素についてのみその画素値を増幅させた(絶対値を大きくした)非線形処理画像D152Av2を生成する。すなわち、ゼロクロス点前後にある画素の画素値に対しては増幅率を1より大きな値とし、それ以外の画素の画素値に対しての増幅率は1とする。そして垂直方向非線形処理手段152Avからは非線形処理画像D152Av2が画像D152Avとして出力される。
【0036】
以上が非線形処理手段152Aの動作である。
【0037】
次に、高周波数成分画像生成手段152Bにおいて、画像D152Aの高周波数成分のみを取り出した画像D152Bを生成する。即ち、水平方向高周波数成分画像生成手段152Bhにより画像D152Ahに対し水平方向のハイパスフィルタ処理を行った画像D152Bhを生成し、垂直方向高周波数成分画像生成手段152Bvにより画像D152Avに対し垂直方向のハイパスフィルタ処理を行った画像D152Bvを生成する。このように、高周波数成分の取り出しは画像の水平方向、垂直方向それぞれについて行う。
【0038】
次に加重加算手段152Cは、中間画像D151と画像D152Bに対して加重加算をおこない画像D152Cを生成する。なお、中間画像D151は画像D151hおよび画像D151vからなっており、画像D152Bは画像D152Bhおよび画像D152Bvからなっているので、中間画像D151と画像D152Bを加重加算することは、画像D151h、D151v、D152Bh、D152Bvの全てを加算することを意味する。そして中間画像処理手段152からは、画像D152Cが中間画像D152として出力される。
【0039】
図5は加重加算手段152Cの構成を表す図である。それぞれの入力信号D151h、D151v、D152Bh、D152Bvは乗算手段1521Ch、1521Cv、1522Ch、1522Cvにより乗算され、更に、加算回路1523で加算されて画像D152Cとして出力され、中間画像D152となる。制御信号D16Sにより、各々の乗算手段の係数が制御され、高周波数成分の割合、つまり解像感の程度が制御される。画像表示装置が接続されると制御信号D16Sにより全係数が0にするようにして解像感強調処理をおこなわない、あるいは、画像表示装置が接続されると制御信号D16Sにより係数を低い値にするようにして解像感強調処理を弱い処理とすることが可能である。
【0040】
加算手段153の動作について説明する。加算手段153は入力画像DIN15と中間画像D152を加算した出力画像DOUT15を生成する。そして出力画像DOUT15が最終的な出力画像として出力される。
【0041】
以上、信号処理手段15の動作について説明したが、図6に示すように、信号処理手段15の前段に拡大処理手段14を設けた場合について以下説明する。これにより本出願の構成にある伸張回路13により伸張し再生する際に失われた高周波成分を補う強調処理の方法の説明も兼ねると考える。なお、拡大処理手段14においては、例えば、入力された画像信号を水平方向、垂直方向とも2倍に拡大した画像を生成するものであるが、拡大された画像信号のナイキスト周波数は入力画像DIN14のナイキスト周波数Fnの半分になる。
【0042】
図7は、拡大処理手段14の構成例を示す図である。拡大処理手段14は、水平方向ゼロ挿入手段141、水平方向低周波数成分通過手段142、垂直方向ゼロ挿入手段143、垂直方向低周波数成分通過手段144からなる。水平方向ゼロ挿入手段141は入力信号DORGの水平方向に関して画素値0を持つ画素を適宜挿入した画像D141を生成する。水平方向低周波数成分通過手段142はローパスフィルタ処理により画像D141の低周波数成分のみを取り出した画像D142を生成する。垂直方向ゼロ挿入手段143は画像D142の垂直方向に関して画素値0を持つ画素を適宜挿入した画像D143を生成する。垂直方向低周波数成分通過手段144は画像D143の低周波数成分のみを取り出した画像D144を生成する。そして画像D144が原画DORGを水平方向、垂直方向とも2倍した画像として、拡大処理手段14から出力される。
【0043】
図8は拡大処理手段14の動作を詳しく説明するための図であり、図8(A)は原画DORGを、図8(B)は画像D141に、図8(C)は画像D142に、図8(D)は画像D143に、図8(E)は画像D144を表す。図8(A)〜(E)に関して、四角は画素を表し、その中に書かれた記号あるいは数値は各画素の画素値を表す。
【0044】
水平方向ゼロ挿入手段141は図8(A)に示す原画DORGに対して、水平方向の1画素につき1個、画素値0をもった画素を挿入し、図8(B)に示す画像D141を生成する。水平方向低周波数成分通過手段142は図8(B)に示す画像D141に対して、ローパスフィルタ処理を施し、図8(C)に示す画像D142を生成する。垂直方向ゼロ挿入手段143は図8(C)に示す画像D142に対して、垂直方向の1画素につき1個、画素値0をもった画素を挿入し、図8(D)に示す画像D143を生成する。垂直方向低周波数成分通過手段144は図8(D)に示す画像D143に対して、ローパスフィルタ処理を施し、図8(E)に示す画像D144を生成する。以上の処理により原画DORGを水平方向、垂直方向とも2倍に拡大した画像D144が生成される。
【0045】
図9は拡大処理手段14による処理の作用を周波数空間上で表したものであり、図9(A)は原画DORGの周波数スペクトル、図9(B)は水平方向周波数成分通過手段142の周波数応答を表している。なお、図9において横軸は水平方向の空間周波数を表す周波数軸であり、縦軸は周波数スペクトルもしくは周波数応答の強度を表している。なお原画DORGの画素数は入力画像DINの半分となっており、言い換えると原画DORGのサンプリング間隔は入力画像DINのサンプリング間隔の2倍になっている。したがって原画DORGのナイキスト周波数は入力画像DINのナイキスト周波数の半分すなわち、Fn/2となる。
【0046】
なお、図9では表記を簡素にするため、1本の周波数軸しか用いていない。しかしながら、通常、画像データは2次元平面状に並んだ画素配列上に与えられた画素値からなり、その周波数スペクトルも水平方向の周波数軸および垂直方向の周波数軸で張られる平面上に与えられるものである。したがって原画DORG等の周波数スペクトル等を正確に表すためには、水平方向の周波数軸および垂直方向の周波数軸の両方を記載する必要がある。しかしながらその周波数スペクトルの形状は通常、周波数軸上の原点を中心に等方的に広がったものであり、周波数軸1本で張られる空間上での周波数スペクトルを示しさえすれば、そこから周波数軸2本で張られる空間へ拡張して考察することは当業者にとって容易である。したがって以降の説明でも特に断らない限り、周波数空間上での説明は、1本の周波数軸で張られる空間を用いて行う。
【0047】
まず、原画DORGの周波数スペクトルについて説明する。通常、自然画像が原画DORGとして入力されるがそのスペクトル強度は周波数空間の原点周辺に集中している。したがって原画DORGの周波数スペクトルは図9(A)のように表すスペクトルSPOのようになる。
【0048】
画像D142の周波数スペクトルについて説明する。画像D141に対し、図9(B)に示した周波数応答を持ったローパスフィルタ処理を行うことで、画像D142が得られる。したがって画像D142の周波数スペクトルは図9(C)に示すように、スペクトルSPOの強度がある程度落ちたスペクトルSP1からなる。なお一般に、ローパスフィルタの周波数応答は周波数が高くなるほど低くなる。従って、スペクトルSP1の強度をスペクトルSPOと比較すると、水平方向低周波数成分通過手段142によって、高周波数成分側、すなわち周波数が±Fn/2近傍でのスペクトル強度が減少したものとなる。
【0049】
また、画像拡大手段14による処理のうち、垂直方向ゼロ挿入手段143および垂直方向低周波数成分通過手段144による処理について、その周波数空間上での作用についての説明は省略するが、その処理の内容から、垂直方向の空間周波数を表す軸方向に対して、図9を用いて説明した内容と同様の作用があることは容易に理解できる。すなわち、画像D144の周波数スペクトルは、図9(B)に示した周波数スペクトルが2次元上に広がったものとなる。
【0050】
以下、画像拡大された画像に対する信号処理手段15の作用、効果について説明する。
【0051】
図10(A)〜(E)は入力画像DIN15として原画DORGを拡大して得られた画像D144が入力された場合の、入力画像DIN15から中間画像D1を生成する際の作用、効果を模式的に表した図であり、図10(A)は入力画像DIN15の周波数スペクトルを、図10(B)は高周波数成分画像生成手段151Aの周波数応答を、図10(C)は低周波数成分画像生成手段151Bの周波数応答を、図10(D)は中間画像生成手段151の周波数応答を、図10(E)は中間画像D151の周波数スペクトルを表す。なお、図10においても図9同様の理由で周波数軸は1本しか用いていない。
【0052】
さらに図10では、空間周波数が0以上となる範囲でのみ周波数スペクトルあるいは周波数応答の強度を表しているが、以下の説明での周波数スペクトルあるいは周波数応答は、周波数軸上の原点を中心に対称的な形状となる。したがって説明に用いる図は、空間周波数が0以上となる範囲のみを示したもので十分である。
【0053】
まず、入力画像DIN15の周波数スペクトルについて説明する。画像D144が入力画像DIN15として入力されるので、入力画像DIN15の周波数スペクトルは図10(A)に示すように、周波数スペクトルは図9(C)で説明したものと同じ形状となり、原画DORGのスペクトルSPOの強度がある程度落ちたスペクトルSP1からなる。
【0054】
次に、高周波数成分画像生成手段151Aの周波数応答について説明する。高周波数成分画像生成手段151Aはハイパスフィルタにより構成されているので、その周波数応答は図10(B)に示すように周波数が低くなるほど低くなる。
【0055】
次に、低周波数成分画像生成手段151Bの周波数応答について説明する。低周波数成分画像生成手段151Bはローパスフィルタにより構成されているので、その周波数応答は図10(C)に示すように周波数が高くなるほど低くなる。
【0056】
次に、中間画像生成手段151の周波数応答について説明する。入力画像DIN15が持つ周波数成分のうち、図10(D)に示された低周波数成分側の領域RL1の周波数成分については、中間画像生成手段151内の高周波数成分画像生成手段151Aで弱められる。一方、図10(D)に示された高周波数成分側の領域RH1の周波数成分については、中間画像生成手段151内の低周波数成分画像生成手段151Bで弱められる。したがって、中間画像生成手段151の周波数応答は、図10(D)に示すように、低周波数成分側の領域RL1と高周波数成分側の領域RH1によって帯域を制限された中間の領域RM1にピークを持ったものとなる。
【0057】
次に、中間画像D151の周波数スペクトルについて説明する。図10(A)に示す周波数スペクトルを持つ入力画像DIN15が、図10(D)に示した周波数応答を持つ中間画像生成手段151を通過することで、中間画像D151が得られる。そして中間画像生成手段151の周波数応答は、図10(D)に示すように、低周波数成分側の領域RL1と高周波数成分側の領域RH1によって帯域制限された中間の領域RM1にピークを持ったものなので、中間画像D151の周波数スペクトルは、入力画像DIN15の周波数スペクトルのうち、低周波数成分側の領域RL1と高周波数成分側の領域RH1に含まれる部分の強度が弱くなったものとなる。従って中間画像D151は入力画像DIN15の持つ高周波数成分となる。
【0058】
図11(A)〜(C)は中間画像処理手段152の作用、効果を表した図であり、図11(A)は非線形処理画像D152Aの周波数スペクトルを、図11(B)は高周波数成分画像152Bの周波数応答を、図11(C)は画像D152Bの周波数スペクトルを表す。なお、図11では、図13と同様の理由で、空間周波数が0以上となる範囲でのみ周波数スペクトルあるいは周波数応答の強度を表している。
【0059】
後述するように非線形処理画像D152Aでは、高周波数成分側の領域RH2に相当する高周波数成分が生成される。図11(A)はその様子を模式的に表した図である。画像D152Bは非線形処理画像D152Aが高周波数成分画像生成手段152Bを通過することで生成される。高周波数成分画像生成手段152Bはハイパスフィルタで構成されており、その周波数応答は図11(B)に示すように周波数が高くなるほど高いものとなる。従って画像D152Bの周波数スペクトルは図11(C)に示すように非線形処理画像D152Aの周波数スペクトルから低周波数成分側の領域RL2に相当する成分を取り除いたものとなる。言い換えると、非線形処理手段152Aには高周波数成分側の領域RH2に相当する高周波数成分を生成する効果があり、高周波数成分画像生成手段152Bには非線形処理手段152Aで生成された高周波数成分のみを取り出す効果がある。
【0060】
上記の作用、効果について、サンプリング間隔の長さが2倍の場合を、上記のように高周波成分が劣化し、画像がぼやけた場合とみなして、これを例に用いて詳しく説明する。
【0061】
図12、図13はステップエッジをサンプリングした際に得られる信号について表した図である。図12(A)はステップエッジとサンプリング間隔S1を表しており、図12(B)はステップエッジをサンプリング間隔S1でサンプリングした際に得られる信号を表しており、図12(C)は図12(B)に表された信号の高周波数成分を表している。一方、図13(A)はステップエッジとサンプリング間隔S1より間隔の広いサンプリング間隔S2を表しており、図13(B)はステップエッジをサンプリング間隔S2でサンプリングした際に得られる信号を表しており、図13(C)は図13(B)に表された信号の高周波数成分を表している。なお、以下の説明ではサンプリング間隔S2の長さはサンプリング間隔S1の長さの2倍であるとする。
【0062】
図12(C)、図13(C)に表されるようにステップエッジの中央は高周波数成分を表した信号においてゼロクロス点Zとして現れる。また、高周波数成分を表した信号のゼロクロス点Zの近傍での傾きは、サンプリング間隔が短いほど急になり、かつゼロクロス点Z近傍での局所的な最大値、最小値を与える点の位置も、サンプリング間隔が短いほどゼロクロス点Zに近づく。
【0063】
すなわち、サンプリング間隔が変わっても、エッジ近傍において高周波数成分を表す信号のゼロクロス点の位置は変化しないが、サンプリング間隔が小さくなるほど(あるいは解像度が上がるほど)エッジ近傍での高周波数成分の傾きは急になり、局所的な最大値、最小値を与える点の位置はゼロクロス点に近づく。
【0064】
図14はステップエッジをサンプリング間隔S1でサンプリングした信号が2倍に拡大された後、本発明における画像処理装置に入力された際の作用、効果を表す図であり、特に中間画像生成手段151および中間画像処理手段152の作用、効果を表している。なお、先に述べた通り、中間画像生成手段151および中間画像処理手段152内部の処理は水平方向、垂直方向のそれぞれについて行われるのでその処理は一次元的に行われる。したがって図14では一次元信号を用いて処理の内容を表している。
【0065】
図14(A)は、図13(B)同様ステップエッジをサンプリング間隔S2でサンプリングした信号である。図14(B)は、図14(A)に表した信号を2倍に拡大した信号である。すなわち、原画DORGに図14(A)に示すようなエッジが含まれる場合、入力画像DIN14として図14(B)に示すような信号が入力される。なお、信号を2倍に拡大するとサンプリング間隔は拡大前の半分になるため、図14(B)に表した信号のサンプリング間隔は図12中のサンプリング間隔S1と同じになる。また、図14(A)において座標P3で表される位置はエッジ信号の低輝度側の境界部分であり、座標P4で表される位置はエッジ信号の高輝度側の境界である。
【0066】
図14(C)は図14(B)に表した信号の高周波数成分を表した信号、すなわち高周波数成分画像生成手段151Aから出力される画像D151Aに相当する信号である。なお、画像D151Aは、入力画像DIN14の高周波数成分を取り出したものである。
【0067】
図14(D)は図14(C)に表した信号の低周波数成分を表した信号、すなわち低周波数成分画像生成手段151Bから出力される画像D151Bに相当する信号である。なお先に述べたとおり画像D151Bが中間画像D151として出力されるので、図14(D)は中間画像D151にも相当する。図14(D)に示すとおり、中間画像D151においてゼロクロス点Z近傍の局所的な最小値は座標P3に、局所的な最大値は座標P4に表れ、その様子は図13(C)に示した、ステップエッジをサンプリング間隔S2でサンプリングした信号から取り出した高周波数成分と一致する。
【0068】
図14(E)は、図14(D)に表した信号に対する非線形処理手段152Aに入力された際の出力信号、すなわち、中間画像D151が入力された場合に非線形処理手段152Aから出力される画像D152Aを表している。非線形処理手段152Aではゼロクロス点Zの前後の座標P1、P2の信号値が増幅される。したがって、画像D152Aは図14(E)に示すように座標P1、P2での信号値の大きさが他の値に比べ大きくなり、ゼロクロス点Z近傍で、局所的な最小値の現れる位置が座標P3からよりゼロクロス点Zに近い座標P1に、局所的な最大値の現れる位置が座標P4からよりゼロクロス点Zに近い座標P1へと変化する。これは非線形処理手段152Aにおける、ゼロクロス点Z前後の画素の値を増幅するという非線形処理によって、高周波数成分が生成されたことを意味する。このように画素ごとに適応的に増幅率を変える、あるいは画素に応じて処理の内容を適宜変えることで、高周波数成分を生成することが可能になる。すなわち非線形処理手段152Aには、中間画像D151には含まれない高周波数成分、すなわち図11(A)に示した高周波数成分側の領域RH2に相当する高周波数成分を生成する効果がある。
【0069】
図14(F)は図14(E)に表した信号の高周波数成分を表した信号、すなわち高周波数成分画像生成手段152Bから出力される画像D152Bに相当する信号である。図14(F)に示すとおり、画像D152Bにおいてゼロクロス点Z近傍の局所的な最小値は座標P1に、最大値は座標P2に表れ、その様子は図12(C)に示した、ステップエッジをサンプリング間隔S1でサンプリングした信号から取り出した高周波数成分と一致する。これは非線形処理手段152Aにおいて生成された高周波数成分が高周波数成分画像生成手段152Bによって取り出され、画像D152Bとして出力されることを意味する。また、取り出された画像D152Bはサンプリング間隔S1に対応した周波数成分を含む信号であるといえる。言い換えると、高周波数成分画像生成手段152Bには非線形処理手段152Aで生成された高周波数成分のみを取り出す効果がある。
【0070】
加重加算手段152Cでは中間画像D151と画像D152Bについて重み付けを付けたうえで加算をおこない画像D152Cを生成する。先に述べたとおり中間画像D151は入力画像DIN15の持つ高周波数成分であり、図10(E)に示すように原画DORGのナイキスト周波数近傍の高周波数成分に対応している。図9(C)で説明したとおり、原画DORGのナイキスト周波数近傍のスペクトル強度は拡大手段14での拡大処理によって弱められているので、中間画像D151を加算することで、拡大処理によって弱められたスペクトル強度を補うことができる。
【0071】
一方、画像D152Bはサンプリング間隔S1に対応した高周波数成分である。
したがって、加算手段153において、中間画像D151と画像D152Bを加算した画像D152C(中間画像D152)を入力画像DIN15に加算することで、原画DORGのナイキスト周波数以上の帯域の高周波数成分、即ち、図14(F)に示すゼロクロス点Z前後の信号が急峻に増幅された高周波数成分を加算することが可能となり、画像の解像感を高めることが可能となる。
【0072】
さらに、信号処理手段15では、中間画像生成手段151および中間画像処理手段152において、画像の水平方向に関する処理、垂直方向に関する処理を並列に行っているので、画像の水平方向のみ、あるいは垂直方向のみに限らず任意の方向に関して上記の効果を得ることができる。
【0073】
また、信号処理手段15では、周波数空間で考えて原点からFnに渡る周波数帯域のうち、原画DORGのナイキスト周波数±Fn/2近傍(あるいは特定の周波数帯域)に入力画像DINが持っている成分をもとに、ナイキスト周波数±Fn近傍の高周波数成分に対応した画像D152Bを生成している。したがってなんらかの理由で、入力画像DIN15において、ナイキスト周波数±Fn近傍の周波数成分が失われていたとしても、画像D152Bにより、ナイキスト周波数±Fn近傍の周波数成分を与えることが可能になる。
【0074】
なお、特定の周波数帯域として用いる箇所は、±Fn/2近傍に限定されるものではない。すなわち高周波数成分画像生成手段151Aおよび低周波数成分画像生成手段151Bの周波数応答を適宜変更することで、利用する周波数帯域を変更することができる。
【0075】
上記の説明では、本出願の構成にあるように、データの伝送・蓄積などのために原信号のデータ量の削減をおこなう目的での画像圧縮方式に非可逆圧縮を用いている場合、記録メディアに記録されたデータを伸張回路13により伸張し再生する際には、圧縮率が大きいほど高周波成分が失われ、画像がぼやけるため、画像の拡大処理をおこなった場合のエッジ部分を、画像がぼやけた場合のなまったエッジ部分に見立て、例としてあげたものであり、このような劣化が生じた場合でも、上記の通り、本回路では失われた成分を補うような強調処理をおこなうことが可能である。
【0076】
映像記録再生装置1における信号処理手段15、画像表示装置3における信号処理手段32が上記のように動作することにより、それぞれ映像記録再生装置1と画像表示装置3において、画像の解像感を高めることが可能である。個別に強調処理をおこなっている限り、画質改善効果は期待できる反面、上記動作が映像記録再生装置1と画像表示装置3のそれぞれで二重に強調処理をおこなうことは、過度な強調処理となり効果は期待できず弊害が目立つ結果となるため、二重の強調処理はおこなわないよう制御する必要がある。
【0077】
具体的には、映像記録再生装置1と画像表示装置3をHDMI(High-Definition Multimedia Interface)ケーブルで接続した場合、例えばタイプAコネクタにおける13番目のピンのCEC(Consumer Electronics Control)情報で制御信号をやり取りする。この制御信号を参照することで、装置の製造メーカや装置の固有情報などを特定することができる。この信号のやり取りにより映像記録再生装置1と画像表示装置3のそれぞれが、上記拡大処理手段14、31と信号処理手段15、32により強調処理をおこなう装置であることを特定することが可能である。また、HDMIケーブルのタイプAコネクタにおける15,16,17番目のピンの3本の線を使ってシリアル通信するEDID(Extended Display Identification Data)として規定された信号を参照することでも、製造IDを特定することで同様の制御が可能である。
【0078】
次に、映像記録再生装置1と画像表示装置3のそれぞれが、上記信号処理手段により強調処理をおこなう装置であることを特定できた後の動作について説明する。図1における制御回路16と制御回路34は、映像記録再生装置1と画像表示装置3のどちらか一方の強調処理をおこなわないよう制御する。どちらにしても問題は無いが、ここでは映像記録再生装置1における強調処理をおこなわないよう制御することとする。制御回路16から信号処理部15に制御信号D16Sが送られる。制御信号D16Sは、図2のように信号処理部15における中間画像生成手段152の加重加算手段152Cに入力される。加重加算手段152Cでは、制御信号D16Sに基づいて画像D151h、D151v、D152Bh、D152Bvについて加重加算をおこなう。
【0079】
図5の加重加算手段152Cにおいて、強調処理をおこなわないための制御信号D16Sが入力された場合、乗算手段1521Ch、1521Cv、1522Ch、1522Cvでは入力された信号に対して、0を乗算する。その結果、乗算手段のそれぞれの出力信号D1521Ch、D1521Cv、D1522Ch、D1522Cvの値は0となり、それらの加算結果である画像信号D2の値は0となる。図2における加算回路153では、入力信号DIN15と、値が0である画像信号D152を加算するので、入力信号DIN15がそのまま出力される。以上の動作により、映像記録再生装置1における信号処理部15で強調処理をおこなわないように制御し、画像表示装置3における信号処理部33において強調処理をおこなう。これにより、二重の強調処理はおこなわれず、適した強調処理となる。
【0080】
なお、上記説明では、信号処理部15において加算手段153で入力信号に加算する中間画像D152を0とすることで強調処理をおこなわないような構成としていたが、図15のように、映像記録再生装置1に遅延回路17とスイッチ回路18を追加し、画像表示装置3には遅延回路36とスイッチ回路37を追加することで、信号処理部32の内部信号を制御することなく、スイッチ回路37において遅延信号出力を選択することにより、強調処理をおこなわないような構成とすることも可能である。
【0081】
なお、図15の構成における映像記録再生装置1の遅延回路17と、画像表示装置3の遅延回路36を削除した図16のような構成とすることも可能である。この構成では遅延回路を削減できる一方、強調処理をおこなわないとき、つまりスイッチ回路18、37において信号処理部15,32を通らない信号側を選択するときには、スイッチ回路18、37を切り換えた瞬間に信号処理部15,32における処理時間分の画素ずれが起こる。
【0082】
また、上記説明では、アクセス手段12からの出力信号について映像の強調処理を行う構成としていたが、図17のように、図1における信号処理部15に対応する信号処理部19により、入力信号DINに対し強調処理を施した後、アクセス手段2に入力し記録メディアに記録する構成にし、信号処理部19を制御回路16により同様に制御する構成としてもよい。
【0083】
なお、上記説明では、映像の記録ならびに再生をおこなう映像記録再生装置について説明をおこなったが、映像記録再生装置を、映像の再生をおこなう映像再生装置としてもよい。
【0084】
なお、上記説明では、映像記録再生装置と画像表示装置の双方で映像の強調処理をおこなう回路が備わっており、一方の強調処理をおこなわない場合、または強調処理の程度を弱める場合について説明をおこなったが、色変換、ノイズリダクションなど信号処理回路が映像記録再生装置と画像表示装置の双方に備わっている場合に、それぞれの程度を制御し信号処理を過度におこなわないような構成とするならば、強調処理に限るものではない。
【符号の説明】
【0085】
1 映像記録再生装置、2 記録メディア、3 画像表示装置、11 圧縮処理手段、12 アクセス手段、13 伸張処理手段、14 拡大処理手段、15 信号処理手段、16 制御回路、32 信号処理手段、33 モニタ、34 制御回路、151 中間画像生成手段、152 中間画像処理手段、153 加重加算手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号に対し強調処理された映像信号を記録・再生する映像記録再生装置および表示する画像表示装置に関するものである。映像記録再生装置においては、解像感の高い出力信号を得るために映像信号に高周波数成分強調処理をする強調処理回路を備え、記録信号あるいは再生信号について強調処理を行う。また、映像記録再生装置と画像表示装置が共に高周波数成分強調処理回路を備えた場合には、どちらか一方の強調処理回路のみが動作するよう制御するものである。
【背景技術】
【0002】
映像記録再生装置あるいは画像表示装置などにおいて、解像感のある画像を得る目的で信号の強調処理を行うことがある。
【0003】
例えば特許文献1に記載された画像処理装置においては、多重解像度に変換された細部画像に対して、所望とする周波数帯域の細部画像に対する強調係数をその所望とする周波数帯域よりも低周波数帯域の細部画像の信号に基づいて設定することにより、所望とする周波数帯域を強調している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−44651(段落0031)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多重解像度に変換された細部画像に対して、所望とする周波数帯域の細部画像に対する強調係数を適宜設定する画像処理装置では、入力画像によっては強調処理が不適切あるいは不十分となり、適正な画質の出力画像を得ることが不可能であった。
【0006】
例えば、入力画像として画像圧縮された信号を伸張処理した画像が入力される場合、画像の高周波数成分が失われており、特許文献1に記載された画像処理装置では、強調処理を施す細部画像における最低周波数帯域の比較的濃度の低い領域に対応する領域については他の領域と比較して強調度を低く抑え、他の領域については低濃度領域よりも大きい強調度により強調処理を施す構成として高周波数成分を強調しているが、信号の強度と強調の度合いが線形の関係となり、入力画像の高周波数成分が失われている場合にエッジの立ち上がりを急峻に持ち上げる強調処理としては不十分であった。
【0007】
また、入力画像としてノイズ処理を受けた画像が入力される場合、高周波数成分側の周波数スペクトルはノイズ処理によって失われている。したがって高周波数成分を取り出そうとしても、取り出すことができず、十分に画像の強調処理を行えないことがある。
【0008】
あるいは、強調処理回路を映像記録再生装置と画像表示装置において備えている場合、二重に強調処理をおこなうため、過度な処理が出力画像の不具合となって現れる場合がある。
【0009】
本発明は上述のような課題を解消するためになされたもので、画像の解像感強調処理を備えた映像記録再生装置と画像表示装置が接続された場合に、過度な解像感強調とならないようにして、最適な画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係わる映像記録再生装置は、画像表示装置に映像信号を送出し、画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう映像記録再生装置であって、
記録メディアに記録されたデータを再生した再生映像信号を入力として解像感強調処理を施した第1の映像信号を出力する第1の信号処理手段と、前記第1の信号処理手段を制御し、前記画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう第1の制御手段とを備え、
前記第1の制御手段が、前記画像表示装置と前記第1の信号処理手段の制御情報の送受を行い、接続された画像表示装置が解像感強調処理機能を持っていることを認識したときに解像感強調処理をしないようにすることを特徴とする。
【0011】
本発明に係わる画像表示装置は、映像記録再生装置から映像信号を受信し、映像記録再生装置と制御信号の送受信をおこなう画像表示装置であって、
前記映像記録再生装置から入力された前記第2の映像信号に解像感強調処理を施した第3の映像信号を出力する第2の信号処理手段と、前記第3の映像信号を画像表示するモニタと、前記第2の信号処理手段を制御し、前記画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう第2の制御手段とを備え、
前記第2の制御手段が、前記映像記録再生装置の前記第1の信号処理手段の制御情報に基づいて、解像感強調処理が過剰にならないように前記第2の信号処理手段の解像感強調処理の制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、映像記録再生装置と画像表示装置との間を映像信号と制御信号により接続し、映像記録再生装置における解像感強調処理の程度を画像表示装置側で検出し、画像表示装置の解像感強調処理の制御を行うようにしたので、解像感強調処理を過度に行うことなく、最適な画像表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の構成図である。
【図2】信号処理手段15の構成図である。
【図3】水平方向非線形処理手段152Ahの構成図である。
【図4】垂直方向非線形処理手段152Avの構成図である。
【図5】加重加算手段152Cの構成図である。
【図6】本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の別の構成図である。
【図7】拡大処理手段14の構成図である。
【図8】拡大処理手段14の動作説明図である。
【図9】拡大処理手段14の動作説明図である。
【図10】中間画像生成手段151の動作説明図である。
【図11】中間画像処理手段152の動作説明図である。
【図12】ステップエッジとステップエッジをサンプリング間隔S1でサンプリングした信号の説明図である。
【図13】ステップエッジとステップエッジをサンプリング間隔S2でサンプリングした信号の説明図である。
【図14】中間画像生成手段151および中間画像処理手段152の動作説明図である。
【図15】本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の別の構成図である。
【図16】本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の別の構成図である。
【図17】本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の別の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による映像記録再生装置および画像表示装置の構成を表す図である。
【0015】
映像記録再生装置1において、入力された映像信号が圧縮処理部11において例えばMPEG−2などの高能率の非可逆圧縮方式によりデータ圧縮された後、アクセス手段12により記録処理された後、例えば光ディスクなどの記録メディア2に書き込まれる。また、アクセス手段12により記録メディア2から読み出された圧縮データは、伸張処理部13によりデータ伸張等の映像信号再生処理により映像信号に復元された後、信号処理手段15により高周波数成分を加算し画像の解像感を高めるような信号処理がなされた映像信号が出力される。また、映像記録再生装置1から出力され、画像表示装置3に入力された映像信号は、信号処理手段32により高周波数成分を加算し画像の解像感を高めるような解像感強調処理がなされた後、モニタ33にて画像として表示される。なお、映像記録再生装置1の信号処理手段15は制御回路16により制御され、画像表示装置3の信号処理手段32は制御回路34により制御され、制御回路16と制御回路34は、互いに制御データの授受を行っている。
【0016】
図2は、図1における信号処理手段15の構成を表す図である。なお、信号処理手段32の構成も同様とする。信号処理手段15は入力信号DIN15から特定の周波数帯域近傍の成分を取り出した中間画像D151を生成する中間画像生成手段151、中間画像D151に後述する処理を行った中間画像D152を生成する中間画像処理手段152、入力信号DIN15と中間画像D152を加算する加算手段153からなり、加算手段153にて入力信号DINと中間画像D152を加算した結果が出力信号DOUT15として出力される。
【0017】
中間画像生成手段151は、入力信号DIN15から高周波数成分のみを取り出した画像D151Aを生成する高周波数成分画像生成手段151A、画像D151Aの低周波数成分のみを取り出した画像D151Bを生成する低周波数成分画像生成手段151Bからなる。中間画像生成手段151からは画像D151Bが中間画像D151として出力される。
【0018】
中間画像処理手段152は中間画像D151に対し、後述する非線形処理を行った画像D152Aを出力する非線形処理手段152A、画像D152Aの高周波数成分のみを取り出した画像D152Bを出力する高周波数成分画像生成手段152B、中間画像D151と画像D152Bを加算した画像D152Cを出力する加重加算手段152Cからなる。中間画像処理手段152からは画像D152Cが中間画像D152として出力される。
【0019】
以下、本発明の実施の形態1による映像記録再生装置1および画像表示装置3の詳細な動作について説明を行う。
【0020】
映像記録再生装置1において、映像入力信号が圧縮処理部11において例えばMPEG−2などの高能率の非可逆圧縮方式によりデータ圧縮された後、アクセス手段12により記録処理された後、例えば光ディスクなどの記録メディア2に書き込まれる。また、アクセス手段12により記録メディア2から読み出された圧縮データは、伸張処理部13によりデータ伸張等の映像信号再生処理により映像信号に復元された後、信号処理手段15により高周波数成分を加算し画像の解像感を高めるような信号処理がなされた映像信号が出力される。
【0021】
画像表示装置3において、映像記録再生装置1からの映像信号は信号処理手段32により高周波数成分を加算し画像の解像感を高めるような信号処理をされた後、モニタ33に表示される。なお、信号処理手段32の動作は信号処理手段15と同様であるので、説明を省略する。
【0022】
先ず信号処理手段15の動作について説明する。信号処理手段15においては、中間画像生成手段151により入力信号DIN15から特定の周波数帯域近傍の成分を取り出した中間画像D151を生成し、更に、中間画像処理手段152により中間画像D151に後述する処理を行った中間画像D152を生成し、入力信号DIN15に中間画像D152が加算され、高周波数成分が加算され解像感が強調された映像信号DOUT15として出力される。
【0023】
以下、中間画像生成手段151の詳細な動作について説明する。
【0024】
中間画像生成手段151は、まず、高周波数成分画像生成手段151Aにおいて、入力画像DINの高周波数成分のみを取り出した画像D151Aを生成する。即ち、水平方向高周波数成分画像生成手段151Ahにより入力画像DINに対し水平方向のハイパスフィルタ処理を行って水平方向についてのみ高周波数成分を取り出した画像D151Ahを生成し、垂直方向高周波数成分画像生成手段151Avにより垂直方向のハイパスフィルタ処理を行って垂直方向についてのみ高周波数成分を取り出した画像D151Avを生成する。このように、高周波数成分の取り出しは、画像の水平方向、垂直方向それぞれについてハイパスフィルタ処理を行うことで可能である。
【0025】
次に、低周波数成分画像生成手段151Bにおいて、画像D151Aの低周波数成分のみを取り出した画像D151Bを生成する。即ち、水平方向低周波数成分画像生成手段151Bhにより画像D151Ahに対し水平方向のローパスフィルタ処理を行った画像D151Bhを生成し、垂直方向低周波数成分画像生成手段151Bvにより画像D151Avに対し垂直方向のローパスフィルタ処理を行った画像D151Bvを生成する。そして、中間画像生成手段151からは、画像D151Bhと画像D151Bvからなる画像D151Bが中間画像D151として出力される。なお、中間画像D151は、画像D151Bhに相当する画像D151h、画像D151Bvに相当する画像D151vからなる。
【0026】
次に、中間画像処理手段152の詳細な動作について説明する。
【0027】
中間画像処理手段152は、まず、非線形処理手段152Aにおいて、中間画像D151に対して後述する非線形処理を行った画像D152Aを生成する。即ち、水平方向非線形処理手段152Ahにより画像D151Bhに対して後述する非線形処理を行って画像D152Ahを生成し、垂直方向非線形処理手段152Avにより画像D151Bvに対して後述する非線形処理を行って画像D152Avを生成する。このように、非線形処理は、水平方向、垂直方向それぞれについて行う。
【0028】
非線形処理手段152Aの動作についてさらに詳しく説明する。非線形処理手段152Aは同様の構成からなる水平方向非線形処理手段152Ah、垂直方向非線形処理手段152Avを備える。ここで、水平方向非線形処理手段152Ahは水平方向の処理を行い、垂直方向非線形処理手段152Avは垂直方向の処理を行う。
【0029】
図3は水平方向非線形処理手段152Ahの構成を表す図である。水平方向非線形処理手段152Ahはゼロクロス判定手段152Ah1、信号増幅手段152Ah2を備える。なお、非線形処理手段152Ahには、画像D151hが入力画像DIN152Ah1として入力される。
【0030】
ゼロクロス判定手段152Ah1は入力画像DIN152Ah1における画素値の変化を水平方向に沿って確認する。そして画素値が正の値から負の値あるいは負の値から正の値へと変化する箇所をゼロクロス点として捉え、判定信号D152Ah1によってゼロクロス点の前後にある画素の位置を信号増幅手段152Ah2に伝達する。例えばゼロクロス点の左右に位置する画素がゼロクロス点の前後に位置する画素として認識される。
【0031】
信号増幅手段152Ah2は判定信号D152Ah1をもとにゼロクロス点の前後にある画素を特定し、ゼロクロス点の前後にある画素についてのみその画素値を増幅させた(絶対値を大きくした)非線形処理画像D152Ah2を生成する。すなわち、ゼロクロス点前後にある画素の画素値に対しては増幅率を1より大きな値とし、それ以外の画素の画素値に対しての増幅率は1とする。
【0032】
そして水平方向非線形処理手段152Ahからは非線形処理画像D152Ah2が画像D152Ahとして出力される。
【0033】
図4は垂直方向非線形処理手段152Avの構成を表す図である。垂直方向非線形処理手段152Avはゼロクロス判定手段152Av1、信号増幅手段152Av2を備える。なお、非線形処理手段152Avには、画像D151vが入力画像DIN152Av1として入力される。
【0034】
ゼロクロス判定手段152Av1は入力画像DIN112Av1における画素値の変化を垂直方向に沿って確認する。そして画素値が正の値から負の値あるいは負の値から正の値へと変化する箇所をゼロクロス点として捉え、判定信号D152Av1によってゼロクロス点の前後にある画素の位置を信号増幅手段152Av2に伝達する。例えばゼロクロス点の上下に位置する画素がゼロクロス点の前後に位置する画素として認識される。
【0035】
信号増幅手段152Av2は判定信号D152Av1をもとにゼロクロス点の前後にある画素を特定し、ゼロクロス点の前後にある画素についてのみその画素値を増幅させた(絶対値を大きくした)非線形処理画像D152Av2を生成する。すなわち、ゼロクロス点前後にある画素の画素値に対しては増幅率を1より大きな値とし、それ以外の画素の画素値に対しての増幅率は1とする。そして垂直方向非線形処理手段152Avからは非線形処理画像D152Av2が画像D152Avとして出力される。
【0036】
以上が非線形処理手段152Aの動作である。
【0037】
次に、高周波数成分画像生成手段152Bにおいて、画像D152Aの高周波数成分のみを取り出した画像D152Bを生成する。即ち、水平方向高周波数成分画像生成手段152Bhにより画像D152Ahに対し水平方向のハイパスフィルタ処理を行った画像D152Bhを生成し、垂直方向高周波数成分画像生成手段152Bvにより画像D152Avに対し垂直方向のハイパスフィルタ処理を行った画像D152Bvを生成する。このように、高周波数成分の取り出しは画像の水平方向、垂直方向それぞれについて行う。
【0038】
次に加重加算手段152Cは、中間画像D151と画像D152Bに対して加重加算をおこない画像D152Cを生成する。なお、中間画像D151は画像D151hおよび画像D151vからなっており、画像D152Bは画像D152Bhおよび画像D152Bvからなっているので、中間画像D151と画像D152Bを加重加算することは、画像D151h、D151v、D152Bh、D152Bvの全てを加算することを意味する。そして中間画像処理手段152からは、画像D152Cが中間画像D152として出力される。
【0039】
図5は加重加算手段152Cの構成を表す図である。それぞれの入力信号D151h、D151v、D152Bh、D152Bvは乗算手段1521Ch、1521Cv、1522Ch、1522Cvにより乗算され、更に、加算回路1523で加算されて画像D152Cとして出力され、中間画像D152となる。制御信号D16Sにより、各々の乗算手段の係数が制御され、高周波数成分の割合、つまり解像感の程度が制御される。画像表示装置が接続されると制御信号D16Sにより全係数が0にするようにして解像感強調処理をおこなわない、あるいは、画像表示装置が接続されると制御信号D16Sにより係数を低い値にするようにして解像感強調処理を弱い処理とすることが可能である。
【0040】
加算手段153の動作について説明する。加算手段153は入力画像DIN15と中間画像D152を加算した出力画像DOUT15を生成する。そして出力画像DOUT15が最終的な出力画像として出力される。
【0041】
以上、信号処理手段15の動作について説明したが、図6に示すように、信号処理手段15の前段に拡大処理手段14を設けた場合について以下説明する。これにより本出願の構成にある伸張回路13により伸張し再生する際に失われた高周波成分を補う強調処理の方法の説明も兼ねると考える。なお、拡大処理手段14においては、例えば、入力された画像信号を水平方向、垂直方向とも2倍に拡大した画像を生成するものであるが、拡大された画像信号のナイキスト周波数は入力画像DIN14のナイキスト周波数Fnの半分になる。
【0042】
図7は、拡大処理手段14の構成例を示す図である。拡大処理手段14は、水平方向ゼロ挿入手段141、水平方向低周波数成分通過手段142、垂直方向ゼロ挿入手段143、垂直方向低周波数成分通過手段144からなる。水平方向ゼロ挿入手段141は入力信号DORGの水平方向に関して画素値0を持つ画素を適宜挿入した画像D141を生成する。水平方向低周波数成分通過手段142はローパスフィルタ処理により画像D141の低周波数成分のみを取り出した画像D142を生成する。垂直方向ゼロ挿入手段143は画像D142の垂直方向に関して画素値0を持つ画素を適宜挿入した画像D143を生成する。垂直方向低周波数成分通過手段144は画像D143の低周波数成分のみを取り出した画像D144を生成する。そして画像D144が原画DORGを水平方向、垂直方向とも2倍した画像として、拡大処理手段14から出力される。
【0043】
図8は拡大処理手段14の動作を詳しく説明するための図であり、図8(A)は原画DORGを、図8(B)は画像D141に、図8(C)は画像D142に、図8(D)は画像D143に、図8(E)は画像D144を表す。図8(A)〜(E)に関して、四角は画素を表し、その中に書かれた記号あるいは数値は各画素の画素値を表す。
【0044】
水平方向ゼロ挿入手段141は図8(A)に示す原画DORGに対して、水平方向の1画素につき1個、画素値0をもった画素を挿入し、図8(B)に示す画像D141を生成する。水平方向低周波数成分通過手段142は図8(B)に示す画像D141に対して、ローパスフィルタ処理を施し、図8(C)に示す画像D142を生成する。垂直方向ゼロ挿入手段143は図8(C)に示す画像D142に対して、垂直方向の1画素につき1個、画素値0をもった画素を挿入し、図8(D)に示す画像D143を生成する。垂直方向低周波数成分通過手段144は図8(D)に示す画像D143に対して、ローパスフィルタ処理を施し、図8(E)に示す画像D144を生成する。以上の処理により原画DORGを水平方向、垂直方向とも2倍に拡大した画像D144が生成される。
【0045】
図9は拡大処理手段14による処理の作用を周波数空間上で表したものであり、図9(A)は原画DORGの周波数スペクトル、図9(B)は水平方向周波数成分通過手段142の周波数応答を表している。なお、図9において横軸は水平方向の空間周波数を表す周波数軸であり、縦軸は周波数スペクトルもしくは周波数応答の強度を表している。なお原画DORGの画素数は入力画像DINの半分となっており、言い換えると原画DORGのサンプリング間隔は入力画像DINのサンプリング間隔の2倍になっている。したがって原画DORGのナイキスト周波数は入力画像DINのナイキスト周波数の半分すなわち、Fn/2となる。
【0046】
なお、図9では表記を簡素にするため、1本の周波数軸しか用いていない。しかしながら、通常、画像データは2次元平面状に並んだ画素配列上に与えられた画素値からなり、その周波数スペクトルも水平方向の周波数軸および垂直方向の周波数軸で張られる平面上に与えられるものである。したがって原画DORG等の周波数スペクトル等を正確に表すためには、水平方向の周波数軸および垂直方向の周波数軸の両方を記載する必要がある。しかしながらその周波数スペクトルの形状は通常、周波数軸上の原点を中心に等方的に広がったものであり、周波数軸1本で張られる空間上での周波数スペクトルを示しさえすれば、そこから周波数軸2本で張られる空間へ拡張して考察することは当業者にとって容易である。したがって以降の説明でも特に断らない限り、周波数空間上での説明は、1本の周波数軸で張られる空間を用いて行う。
【0047】
まず、原画DORGの周波数スペクトルについて説明する。通常、自然画像が原画DORGとして入力されるがそのスペクトル強度は周波数空間の原点周辺に集中している。したがって原画DORGの周波数スペクトルは図9(A)のように表すスペクトルSPOのようになる。
【0048】
画像D142の周波数スペクトルについて説明する。画像D141に対し、図9(B)に示した周波数応答を持ったローパスフィルタ処理を行うことで、画像D142が得られる。したがって画像D142の周波数スペクトルは図9(C)に示すように、スペクトルSPOの強度がある程度落ちたスペクトルSP1からなる。なお一般に、ローパスフィルタの周波数応答は周波数が高くなるほど低くなる。従って、スペクトルSP1の強度をスペクトルSPOと比較すると、水平方向低周波数成分通過手段142によって、高周波数成分側、すなわち周波数が±Fn/2近傍でのスペクトル強度が減少したものとなる。
【0049】
また、画像拡大手段14による処理のうち、垂直方向ゼロ挿入手段143および垂直方向低周波数成分通過手段144による処理について、その周波数空間上での作用についての説明は省略するが、その処理の内容から、垂直方向の空間周波数を表す軸方向に対して、図9を用いて説明した内容と同様の作用があることは容易に理解できる。すなわち、画像D144の周波数スペクトルは、図9(B)に示した周波数スペクトルが2次元上に広がったものとなる。
【0050】
以下、画像拡大された画像に対する信号処理手段15の作用、効果について説明する。
【0051】
図10(A)〜(E)は入力画像DIN15として原画DORGを拡大して得られた画像D144が入力された場合の、入力画像DIN15から中間画像D1を生成する際の作用、効果を模式的に表した図であり、図10(A)は入力画像DIN15の周波数スペクトルを、図10(B)は高周波数成分画像生成手段151Aの周波数応答を、図10(C)は低周波数成分画像生成手段151Bの周波数応答を、図10(D)は中間画像生成手段151の周波数応答を、図10(E)は中間画像D151の周波数スペクトルを表す。なお、図10においても図9同様の理由で周波数軸は1本しか用いていない。
【0052】
さらに図10では、空間周波数が0以上となる範囲でのみ周波数スペクトルあるいは周波数応答の強度を表しているが、以下の説明での周波数スペクトルあるいは周波数応答は、周波数軸上の原点を中心に対称的な形状となる。したがって説明に用いる図は、空間周波数が0以上となる範囲のみを示したもので十分である。
【0053】
まず、入力画像DIN15の周波数スペクトルについて説明する。画像D144が入力画像DIN15として入力されるので、入力画像DIN15の周波数スペクトルは図10(A)に示すように、周波数スペクトルは図9(C)で説明したものと同じ形状となり、原画DORGのスペクトルSPOの強度がある程度落ちたスペクトルSP1からなる。
【0054】
次に、高周波数成分画像生成手段151Aの周波数応答について説明する。高周波数成分画像生成手段151Aはハイパスフィルタにより構成されているので、その周波数応答は図10(B)に示すように周波数が低くなるほど低くなる。
【0055】
次に、低周波数成分画像生成手段151Bの周波数応答について説明する。低周波数成分画像生成手段151Bはローパスフィルタにより構成されているので、その周波数応答は図10(C)に示すように周波数が高くなるほど低くなる。
【0056】
次に、中間画像生成手段151の周波数応答について説明する。入力画像DIN15が持つ周波数成分のうち、図10(D)に示された低周波数成分側の領域RL1の周波数成分については、中間画像生成手段151内の高周波数成分画像生成手段151Aで弱められる。一方、図10(D)に示された高周波数成分側の領域RH1の周波数成分については、中間画像生成手段151内の低周波数成分画像生成手段151Bで弱められる。したがって、中間画像生成手段151の周波数応答は、図10(D)に示すように、低周波数成分側の領域RL1と高周波数成分側の領域RH1によって帯域を制限された中間の領域RM1にピークを持ったものとなる。
【0057】
次に、中間画像D151の周波数スペクトルについて説明する。図10(A)に示す周波数スペクトルを持つ入力画像DIN15が、図10(D)に示した周波数応答を持つ中間画像生成手段151を通過することで、中間画像D151が得られる。そして中間画像生成手段151の周波数応答は、図10(D)に示すように、低周波数成分側の領域RL1と高周波数成分側の領域RH1によって帯域制限された中間の領域RM1にピークを持ったものなので、中間画像D151の周波数スペクトルは、入力画像DIN15の周波数スペクトルのうち、低周波数成分側の領域RL1と高周波数成分側の領域RH1に含まれる部分の強度が弱くなったものとなる。従って中間画像D151は入力画像DIN15の持つ高周波数成分となる。
【0058】
図11(A)〜(C)は中間画像処理手段152の作用、効果を表した図であり、図11(A)は非線形処理画像D152Aの周波数スペクトルを、図11(B)は高周波数成分画像152Bの周波数応答を、図11(C)は画像D152Bの周波数スペクトルを表す。なお、図11では、図13と同様の理由で、空間周波数が0以上となる範囲でのみ周波数スペクトルあるいは周波数応答の強度を表している。
【0059】
後述するように非線形処理画像D152Aでは、高周波数成分側の領域RH2に相当する高周波数成分が生成される。図11(A)はその様子を模式的に表した図である。画像D152Bは非線形処理画像D152Aが高周波数成分画像生成手段152Bを通過することで生成される。高周波数成分画像生成手段152Bはハイパスフィルタで構成されており、その周波数応答は図11(B)に示すように周波数が高くなるほど高いものとなる。従って画像D152Bの周波数スペクトルは図11(C)に示すように非線形処理画像D152Aの周波数スペクトルから低周波数成分側の領域RL2に相当する成分を取り除いたものとなる。言い換えると、非線形処理手段152Aには高周波数成分側の領域RH2に相当する高周波数成分を生成する効果があり、高周波数成分画像生成手段152Bには非線形処理手段152Aで生成された高周波数成分のみを取り出す効果がある。
【0060】
上記の作用、効果について、サンプリング間隔の長さが2倍の場合を、上記のように高周波成分が劣化し、画像がぼやけた場合とみなして、これを例に用いて詳しく説明する。
【0061】
図12、図13はステップエッジをサンプリングした際に得られる信号について表した図である。図12(A)はステップエッジとサンプリング間隔S1を表しており、図12(B)はステップエッジをサンプリング間隔S1でサンプリングした際に得られる信号を表しており、図12(C)は図12(B)に表された信号の高周波数成分を表している。一方、図13(A)はステップエッジとサンプリング間隔S1より間隔の広いサンプリング間隔S2を表しており、図13(B)はステップエッジをサンプリング間隔S2でサンプリングした際に得られる信号を表しており、図13(C)は図13(B)に表された信号の高周波数成分を表している。なお、以下の説明ではサンプリング間隔S2の長さはサンプリング間隔S1の長さの2倍であるとする。
【0062】
図12(C)、図13(C)に表されるようにステップエッジの中央は高周波数成分を表した信号においてゼロクロス点Zとして現れる。また、高周波数成分を表した信号のゼロクロス点Zの近傍での傾きは、サンプリング間隔が短いほど急になり、かつゼロクロス点Z近傍での局所的な最大値、最小値を与える点の位置も、サンプリング間隔が短いほどゼロクロス点Zに近づく。
【0063】
すなわち、サンプリング間隔が変わっても、エッジ近傍において高周波数成分を表す信号のゼロクロス点の位置は変化しないが、サンプリング間隔が小さくなるほど(あるいは解像度が上がるほど)エッジ近傍での高周波数成分の傾きは急になり、局所的な最大値、最小値を与える点の位置はゼロクロス点に近づく。
【0064】
図14はステップエッジをサンプリング間隔S1でサンプリングした信号が2倍に拡大された後、本発明における画像処理装置に入力された際の作用、効果を表す図であり、特に中間画像生成手段151および中間画像処理手段152の作用、効果を表している。なお、先に述べた通り、中間画像生成手段151および中間画像処理手段152内部の処理は水平方向、垂直方向のそれぞれについて行われるのでその処理は一次元的に行われる。したがって図14では一次元信号を用いて処理の内容を表している。
【0065】
図14(A)は、図13(B)同様ステップエッジをサンプリング間隔S2でサンプリングした信号である。図14(B)は、図14(A)に表した信号を2倍に拡大した信号である。すなわち、原画DORGに図14(A)に示すようなエッジが含まれる場合、入力画像DIN14として図14(B)に示すような信号が入力される。なお、信号を2倍に拡大するとサンプリング間隔は拡大前の半分になるため、図14(B)に表した信号のサンプリング間隔は図12中のサンプリング間隔S1と同じになる。また、図14(A)において座標P3で表される位置はエッジ信号の低輝度側の境界部分であり、座標P4で表される位置はエッジ信号の高輝度側の境界である。
【0066】
図14(C)は図14(B)に表した信号の高周波数成分を表した信号、すなわち高周波数成分画像生成手段151Aから出力される画像D151Aに相当する信号である。なお、画像D151Aは、入力画像DIN14の高周波数成分を取り出したものである。
【0067】
図14(D)は図14(C)に表した信号の低周波数成分を表した信号、すなわち低周波数成分画像生成手段151Bから出力される画像D151Bに相当する信号である。なお先に述べたとおり画像D151Bが中間画像D151として出力されるので、図14(D)は中間画像D151にも相当する。図14(D)に示すとおり、中間画像D151においてゼロクロス点Z近傍の局所的な最小値は座標P3に、局所的な最大値は座標P4に表れ、その様子は図13(C)に示した、ステップエッジをサンプリング間隔S2でサンプリングした信号から取り出した高周波数成分と一致する。
【0068】
図14(E)は、図14(D)に表した信号に対する非線形処理手段152Aに入力された際の出力信号、すなわち、中間画像D151が入力された場合に非線形処理手段152Aから出力される画像D152Aを表している。非線形処理手段152Aではゼロクロス点Zの前後の座標P1、P2の信号値が増幅される。したがって、画像D152Aは図14(E)に示すように座標P1、P2での信号値の大きさが他の値に比べ大きくなり、ゼロクロス点Z近傍で、局所的な最小値の現れる位置が座標P3からよりゼロクロス点Zに近い座標P1に、局所的な最大値の現れる位置が座標P4からよりゼロクロス点Zに近い座標P1へと変化する。これは非線形処理手段152Aにおける、ゼロクロス点Z前後の画素の値を増幅するという非線形処理によって、高周波数成分が生成されたことを意味する。このように画素ごとに適応的に増幅率を変える、あるいは画素に応じて処理の内容を適宜変えることで、高周波数成分を生成することが可能になる。すなわち非線形処理手段152Aには、中間画像D151には含まれない高周波数成分、すなわち図11(A)に示した高周波数成分側の領域RH2に相当する高周波数成分を生成する効果がある。
【0069】
図14(F)は図14(E)に表した信号の高周波数成分を表した信号、すなわち高周波数成分画像生成手段152Bから出力される画像D152Bに相当する信号である。図14(F)に示すとおり、画像D152Bにおいてゼロクロス点Z近傍の局所的な最小値は座標P1に、最大値は座標P2に表れ、その様子は図12(C)に示した、ステップエッジをサンプリング間隔S1でサンプリングした信号から取り出した高周波数成分と一致する。これは非線形処理手段152Aにおいて生成された高周波数成分が高周波数成分画像生成手段152Bによって取り出され、画像D152Bとして出力されることを意味する。また、取り出された画像D152Bはサンプリング間隔S1に対応した周波数成分を含む信号であるといえる。言い換えると、高周波数成分画像生成手段152Bには非線形処理手段152Aで生成された高周波数成分のみを取り出す効果がある。
【0070】
加重加算手段152Cでは中間画像D151と画像D152Bについて重み付けを付けたうえで加算をおこない画像D152Cを生成する。先に述べたとおり中間画像D151は入力画像DIN15の持つ高周波数成分であり、図10(E)に示すように原画DORGのナイキスト周波数近傍の高周波数成分に対応している。図9(C)で説明したとおり、原画DORGのナイキスト周波数近傍のスペクトル強度は拡大手段14での拡大処理によって弱められているので、中間画像D151を加算することで、拡大処理によって弱められたスペクトル強度を補うことができる。
【0071】
一方、画像D152Bはサンプリング間隔S1に対応した高周波数成分である。
したがって、加算手段153において、中間画像D151と画像D152Bを加算した画像D152C(中間画像D152)を入力画像DIN15に加算することで、原画DORGのナイキスト周波数以上の帯域の高周波数成分、即ち、図14(F)に示すゼロクロス点Z前後の信号が急峻に増幅された高周波数成分を加算することが可能となり、画像の解像感を高めることが可能となる。
【0072】
さらに、信号処理手段15では、中間画像生成手段151および中間画像処理手段152において、画像の水平方向に関する処理、垂直方向に関する処理を並列に行っているので、画像の水平方向のみ、あるいは垂直方向のみに限らず任意の方向に関して上記の効果を得ることができる。
【0073】
また、信号処理手段15では、周波数空間で考えて原点からFnに渡る周波数帯域のうち、原画DORGのナイキスト周波数±Fn/2近傍(あるいは特定の周波数帯域)に入力画像DINが持っている成分をもとに、ナイキスト周波数±Fn近傍の高周波数成分に対応した画像D152Bを生成している。したがってなんらかの理由で、入力画像DIN15において、ナイキスト周波数±Fn近傍の周波数成分が失われていたとしても、画像D152Bにより、ナイキスト周波数±Fn近傍の周波数成分を与えることが可能になる。
【0074】
なお、特定の周波数帯域として用いる箇所は、±Fn/2近傍に限定されるものではない。すなわち高周波数成分画像生成手段151Aおよび低周波数成分画像生成手段151Bの周波数応答を適宜変更することで、利用する周波数帯域を変更することができる。
【0075】
上記の説明では、本出願の構成にあるように、データの伝送・蓄積などのために原信号のデータ量の削減をおこなう目的での画像圧縮方式に非可逆圧縮を用いている場合、記録メディアに記録されたデータを伸張回路13により伸張し再生する際には、圧縮率が大きいほど高周波成分が失われ、画像がぼやけるため、画像の拡大処理をおこなった場合のエッジ部分を、画像がぼやけた場合のなまったエッジ部分に見立て、例としてあげたものであり、このような劣化が生じた場合でも、上記の通り、本回路では失われた成分を補うような強調処理をおこなうことが可能である。
【0076】
映像記録再生装置1における信号処理手段15、画像表示装置3における信号処理手段32が上記のように動作することにより、それぞれ映像記録再生装置1と画像表示装置3において、画像の解像感を高めることが可能である。個別に強調処理をおこなっている限り、画質改善効果は期待できる反面、上記動作が映像記録再生装置1と画像表示装置3のそれぞれで二重に強調処理をおこなうことは、過度な強調処理となり効果は期待できず弊害が目立つ結果となるため、二重の強調処理はおこなわないよう制御する必要がある。
【0077】
具体的には、映像記録再生装置1と画像表示装置3をHDMI(High-Definition Multimedia Interface)ケーブルで接続した場合、例えばタイプAコネクタにおける13番目のピンのCEC(Consumer Electronics Control)情報で制御信号をやり取りする。この制御信号を参照することで、装置の製造メーカや装置の固有情報などを特定することができる。この信号のやり取りにより映像記録再生装置1と画像表示装置3のそれぞれが、上記拡大処理手段14、31と信号処理手段15、32により強調処理をおこなう装置であることを特定することが可能である。また、HDMIケーブルのタイプAコネクタにおける15,16,17番目のピンの3本の線を使ってシリアル通信するEDID(Extended Display Identification Data)として規定された信号を参照することでも、製造IDを特定することで同様の制御が可能である。
【0078】
次に、映像記録再生装置1と画像表示装置3のそれぞれが、上記信号処理手段により強調処理をおこなう装置であることを特定できた後の動作について説明する。図1における制御回路16と制御回路34は、映像記録再生装置1と画像表示装置3のどちらか一方の強調処理をおこなわないよう制御する。どちらにしても問題は無いが、ここでは映像記録再生装置1における強調処理をおこなわないよう制御することとする。制御回路16から信号処理部15に制御信号D16Sが送られる。制御信号D16Sは、図2のように信号処理部15における中間画像生成手段152の加重加算手段152Cに入力される。加重加算手段152Cでは、制御信号D16Sに基づいて画像D151h、D151v、D152Bh、D152Bvについて加重加算をおこなう。
【0079】
図5の加重加算手段152Cにおいて、強調処理をおこなわないための制御信号D16Sが入力された場合、乗算手段1521Ch、1521Cv、1522Ch、1522Cvでは入力された信号に対して、0を乗算する。その結果、乗算手段のそれぞれの出力信号D1521Ch、D1521Cv、D1522Ch、D1522Cvの値は0となり、それらの加算結果である画像信号D2の値は0となる。図2における加算回路153では、入力信号DIN15と、値が0である画像信号D152を加算するので、入力信号DIN15がそのまま出力される。以上の動作により、映像記録再生装置1における信号処理部15で強調処理をおこなわないように制御し、画像表示装置3における信号処理部33において強調処理をおこなう。これにより、二重の強調処理はおこなわれず、適した強調処理となる。
【0080】
なお、上記説明では、信号処理部15において加算手段153で入力信号に加算する中間画像D152を0とすることで強調処理をおこなわないような構成としていたが、図15のように、映像記録再生装置1に遅延回路17とスイッチ回路18を追加し、画像表示装置3には遅延回路36とスイッチ回路37を追加することで、信号処理部32の内部信号を制御することなく、スイッチ回路37において遅延信号出力を選択することにより、強調処理をおこなわないような構成とすることも可能である。
【0081】
なお、図15の構成における映像記録再生装置1の遅延回路17と、画像表示装置3の遅延回路36を削除した図16のような構成とすることも可能である。この構成では遅延回路を削減できる一方、強調処理をおこなわないとき、つまりスイッチ回路18、37において信号処理部15,32を通らない信号側を選択するときには、スイッチ回路18、37を切り換えた瞬間に信号処理部15,32における処理時間分の画素ずれが起こる。
【0082】
また、上記説明では、アクセス手段12からの出力信号について映像の強調処理を行う構成としていたが、図17のように、図1における信号処理部15に対応する信号処理部19により、入力信号DINに対し強調処理を施した後、アクセス手段2に入力し記録メディアに記録する構成にし、信号処理部19を制御回路16により同様に制御する構成としてもよい。
【0083】
なお、上記説明では、映像の記録ならびに再生をおこなう映像記録再生装置について説明をおこなったが、映像記録再生装置を、映像の再生をおこなう映像再生装置としてもよい。
【0084】
なお、上記説明では、映像記録再生装置と画像表示装置の双方で映像の強調処理をおこなう回路が備わっており、一方の強調処理をおこなわない場合、または強調処理の程度を弱める場合について説明をおこなったが、色変換、ノイズリダクションなど信号処理回路が映像記録再生装置と画像表示装置の双方に備わっている場合に、それぞれの程度を制御し信号処理を過度におこなわないような構成とするならば、強調処理に限るものではない。
【符号の説明】
【0085】
1 映像記録再生装置、2 記録メディア、3 画像表示装置、11 圧縮処理手段、12 アクセス手段、13 伸張処理手段、14 拡大処理手段、15 信号処理手段、16 制御回路、32 信号処理手段、33 モニタ、34 制御回路、151 中間画像生成手段、152 中間画像処理手段、153 加重加算手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置に映像信号を送出し、画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう映像記録再生装置であって、
記録メディアに記録されたデータを再生した再生映像信号を入力として解像感強調処理を施した第1の映像信号を出力する第1の信号処理手段と、
前記第1の信号処理手段を制御し、前記画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう第1の制御手段と
を備え、
前記第1の制御手段が、前記画像表示装置と前記第1の信号処理手段の制御情報の送受を行い、接続された画像表示装置が解像感強調処理機能を持っていることを認識したら、解像感強調処理をしないようにすることを特徴とする映像記録再生装置。
【請求項2】
前記第1の信号処理手段が、入力された前記再生映像信号から特定の周波数帯域近傍の成分を取り出して第1の中間画像を生成する第1の中間画像生成手段と、前記第1の中間画像に非線形処理を施して高周波成分が増加した第2の中間画像を生成する第1の中間画像処理手段と、前記再生映像信号と前記第2の中間画像を加算する第1の加算手段を有し、
前記第1の制御手段の制御信号に基づいて、前記第1の中間画像処理手段から出力される前記第1の中間画像を制御することにより、解像感強調処理の程度を制御することを特徴とする請求項1に記載の映像記録再生装置。
【請求項3】
前記第1の中間画像生成手段は、入力された前記再生映像信号から高周波数成分のみを取り出した第1の高周波数成分画像を生成する第1の高周波数成分画像生成手段と、前記第1の高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出す第1の低周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項2に記載の映像記録再生装置。
【請求項4】
前記第1の中間画像処理手段は、前記第1の中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した非線形処理画像を生成する第1の非線形処理手段と、前記非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第2の高周波数成分画像を生成する第2の高周波数成分画像生成手段と、前記第1の中間画像と前記第2の高周波数成分画像を加算する第1の加重加算手段を有することを特徴とする請求項2に記載の映像記録再生装置。
【請求項5】
前記第1の高周波数成分画像生成手段は、入力された前記再生映像信号の各画素の水平方向近傍に存在する画素を用いて高周波数成分を取り出した第1の水平方向高周波数成分画像を生成する第1の水平方向高周波数成分画像生成手段と、入力された前記再生映像信号の各画素の垂直方向近傍に存在する画素を用いて高周波数成分を取り出した第1の垂直方向高周波数成分画像を生成する第1の垂直方向高周波数成分画像生成手段を有し、前記第1の低周波数成分画像生成手段は、前記第1の水平方向高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出した第1の水平方向中間画像を生成する第1の水平方向低周波数成分画像生成手段と、前記第1の垂直方向高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出した第1の垂直方向中間画像を生成する第1の垂直方向低周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項3記載の映像記録再生装置。
【請求項6】
前記第1の非線形処理手段は、前記第1の水平方向中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した水平方向非線形処理画像を生成する第1の水平方向非線形処理手段と、前記第1の垂直方向中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した垂直方向非線形処理画像を生成する第1の垂直方向非線形処理手段を有し、
前記第2の高周波数成分画像生成手段は、前記水平方向非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第2の水平方向高周波数成分画像を生成する第2の水平方向高周波数成分画像生成手段と、前記垂直方向非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第2の垂直方向高周波数成分画像を生成する第2の垂直方向高周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項4記載の映像記録再生装置。
【請求項7】
前記第1の水平方向非線形処理手段は、前記第1の水平方向中間画像の画素値が正から負もしくは負から正へと変化する箇所をゼロクロス点として判定する第1の水平方向ゼロクロス点判定手段と、前記第1の水平方向ゼロクロス点判定手段の判定結果に応じて前記第1の水平方向中間画像の各画素に対する増幅率を決定する第1の水平方向信号増幅手段を有し、
前記第1の垂直方向非線形処理手段は、前記第1の垂直方向中間画像の画素値が正から負もしくは負から正へと変化する箇所をゼロクロス点として判定する第1の垂直方向ゼロクロス点判定手段と、前記第1の垂直方向ゼロクロス点判定手段の判定結果に応じて前記第1の垂直方向中間画像の各画素に対する増幅率を決定する第1の垂直方向信号増幅手段を有することを特徴とする請求項6記載の映像記録再生装置。
【請求項8】
映像記録再生装置から映像信号を受信し、映像記録再生装置と制御信号の送受信をおこなう画像表示装置であって、
前記映像記録再生装置から入力された前記第2の映像信号に解像感強調処理を施した第3の映像信号を出力する第2の信号処理手段と、
前記第3の映像信号を画像表示するモニタと、
前記第2の信号処理手段を制御し、前記画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう第2の制御手段と、
を備え、
前記第2の制御手段が、前記映像記録再生装置の前記第1の信号処理手段の制御情報に基づいて、解像感強調処理が過剰にならないように前記第2の信号処理手段の解像感強調処理の制御を行うことを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
前記第2の信号処理手段が、入力された前記第2の映像信号から特定の周波数帯域近傍の成分を取り出して第3の中間画像を生成する第2の中間画像生成手段と、前記第3の中間画像に非線形処理を施して高周波成分が増加した第4の中間画像を生成する第2の中間画像処理手段と、前記再生映像信号と前記第4の中間画像を加算する第2の加算手段を有し、
前記第2の制御手段の制御信号に基づいて、前記第2の中間画像処理手段から出力される前記第4の中間画像を制御することにより、解像感強調処理の程度を制御することを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記第2の中間画像生成手段は、入力された第2の映像信号から高周波数成分のみを取り出した第3の高周波数成分画像を生成する第3の高周波数成分画像生成手段と、前記第3の高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出す第2の低周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記第2の中間画像処理手段は、前記第3の中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した非線形処理画像を生成する第2の非線形処理手段と、前記非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第4の高周波数成分画像を生成する第4の高周波数成分画像生成手段と、前記第3の中間画像と前記第4の高周波数成分画像を加算する第2の加重加算手段を有することを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記第3の高周波数成分画像生成手段は、入力された第2の映像信号の各画素の水平方向近傍に存在する画素を用いて高周波数成分を取り出した第3の水平方向高周波数成分画像を生成する第3の水平方向高周波数成分画像生成手段と、入力された前記第2の映像信号の各画素の垂直方向近傍に存在する画素を用いて高周波数成分を取り出した第3の垂直方向高周波数成分画像を生成する第3の垂直方向高周波数成分画像生成手段を有し、前記第2の低周波数成分画像生成手段は、前記第3の水平方向高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出した第3の水平方向中間画像を生成する第2の水平方向低周波数成分画像生成手段と、前記第3の垂直方向高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出した第3の垂直方向中間画像を生成する第2の垂直方向低周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記第2の非線形処理手段は、前記第3の水平方向中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した水平方向非線形処理画像を生成する第2の水平方向非線形処理手段と、前記第3の垂直方向中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した垂直方向非線形処理画像を生成する第2の垂直方向非線形処理手段を有し、
前記第4の高周波数成分画像生成手段は、前記水平方向非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第4の水平方向高周波数成分画像を生成する第4の水平方向高周波数成分画像生成手段と、第2の前記垂直方向非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第4の垂直方向高周波数成分画像を生成する第4の垂直方向高周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記第2の水平方向非線形処理手段は、前記第3の水平方向中間画像の画素値が正から負もしくは負から正へと変化する箇所をゼロクロス点として判定する第2の水平方向ゼロクロス点判定手段と、前記第2の水平方向ゼロクロス点判定手段の判定結果に応じて前記第3の水平方向中間画像の各画素に対する増幅率を決定する第2の水平方向信号増幅手段を有し、
前記第2の垂直方向非線形処理手段は、前記第3の垂直方向中間画像の画素値が正から負もしくは負から正へと変化する箇所をゼロクロス点として判定する第2の垂直方向ゼロクロス点判定手段と、前記第2の垂直方向ゼロクロス点判定手段の判定結果に応じて前記第3の垂直方向中間画像の各画素に対する増幅率を決定する第2の垂直方向信号増幅手段を有することを特徴とする請求項13記載の画像表示装置。
【請求項1】
画像表示装置に映像信号を送出し、画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう映像記録再生装置であって、
記録メディアに記録されたデータを再生した再生映像信号を入力として解像感強調処理を施した第1の映像信号を出力する第1の信号処理手段と、
前記第1の信号処理手段を制御し、前記画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう第1の制御手段と
を備え、
前記第1の制御手段が、前記画像表示装置と前記第1の信号処理手段の制御情報の送受を行い、接続された画像表示装置が解像感強調処理機能を持っていることを認識したら、解像感強調処理をしないようにすることを特徴とする映像記録再生装置。
【請求項2】
前記第1の信号処理手段が、入力された前記再生映像信号から特定の周波数帯域近傍の成分を取り出して第1の中間画像を生成する第1の中間画像生成手段と、前記第1の中間画像に非線形処理を施して高周波成分が増加した第2の中間画像を生成する第1の中間画像処理手段と、前記再生映像信号と前記第2の中間画像を加算する第1の加算手段を有し、
前記第1の制御手段の制御信号に基づいて、前記第1の中間画像処理手段から出力される前記第1の中間画像を制御することにより、解像感強調処理の程度を制御することを特徴とする請求項1に記載の映像記録再生装置。
【請求項3】
前記第1の中間画像生成手段は、入力された前記再生映像信号から高周波数成分のみを取り出した第1の高周波数成分画像を生成する第1の高周波数成分画像生成手段と、前記第1の高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出す第1の低周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項2に記載の映像記録再生装置。
【請求項4】
前記第1の中間画像処理手段は、前記第1の中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した非線形処理画像を生成する第1の非線形処理手段と、前記非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第2の高周波数成分画像を生成する第2の高周波数成分画像生成手段と、前記第1の中間画像と前記第2の高周波数成分画像を加算する第1の加重加算手段を有することを特徴とする請求項2に記載の映像記録再生装置。
【請求項5】
前記第1の高周波数成分画像生成手段は、入力された前記再生映像信号の各画素の水平方向近傍に存在する画素を用いて高周波数成分を取り出した第1の水平方向高周波数成分画像を生成する第1の水平方向高周波数成分画像生成手段と、入力された前記再生映像信号の各画素の垂直方向近傍に存在する画素を用いて高周波数成分を取り出した第1の垂直方向高周波数成分画像を生成する第1の垂直方向高周波数成分画像生成手段を有し、前記第1の低周波数成分画像生成手段は、前記第1の水平方向高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出した第1の水平方向中間画像を生成する第1の水平方向低周波数成分画像生成手段と、前記第1の垂直方向高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出した第1の垂直方向中間画像を生成する第1の垂直方向低周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項3記載の映像記録再生装置。
【請求項6】
前記第1の非線形処理手段は、前記第1の水平方向中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した水平方向非線形処理画像を生成する第1の水平方向非線形処理手段と、前記第1の垂直方向中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した垂直方向非線形処理画像を生成する第1の垂直方向非線形処理手段を有し、
前記第2の高周波数成分画像生成手段は、前記水平方向非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第2の水平方向高周波数成分画像を生成する第2の水平方向高周波数成分画像生成手段と、前記垂直方向非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第2の垂直方向高周波数成分画像を生成する第2の垂直方向高周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項4記載の映像記録再生装置。
【請求項7】
前記第1の水平方向非線形処理手段は、前記第1の水平方向中間画像の画素値が正から負もしくは負から正へと変化する箇所をゼロクロス点として判定する第1の水平方向ゼロクロス点判定手段と、前記第1の水平方向ゼロクロス点判定手段の判定結果に応じて前記第1の水平方向中間画像の各画素に対する増幅率を決定する第1の水平方向信号増幅手段を有し、
前記第1の垂直方向非線形処理手段は、前記第1の垂直方向中間画像の画素値が正から負もしくは負から正へと変化する箇所をゼロクロス点として判定する第1の垂直方向ゼロクロス点判定手段と、前記第1の垂直方向ゼロクロス点判定手段の判定結果に応じて前記第1の垂直方向中間画像の各画素に対する増幅率を決定する第1の垂直方向信号増幅手段を有することを特徴とする請求項6記載の映像記録再生装置。
【請求項8】
映像記録再生装置から映像信号を受信し、映像記録再生装置と制御信号の送受信をおこなう画像表示装置であって、
前記映像記録再生装置から入力された前記第2の映像信号に解像感強調処理を施した第3の映像信号を出力する第2の信号処理手段と、
前記第3の映像信号を画像表示するモニタと、
前記第2の信号処理手段を制御し、前記画像表示装置と制御信号の送受信をおこなう第2の制御手段と、
を備え、
前記第2の制御手段が、前記映像記録再生装置の前記第1の信号処理手段の制御情報に基づいて、解像感強調処理が過剰にならないように前記第2の信号処理手段の解像感強調処理の制御を行うことを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
前記第2の信号処理手段が、入力された前記第2の映像信号から特定の周波数帯域近傍の成分を取り出して第3の中間画像を生成する第2の中間画像生成手段と、前記第3の中間画像に非線形処理を施して高周波成分が増加した第4の中間画像を生成する第2の中間画像処理手段と、前記再生映像信号と前記第4の中間画像を加算する第2の加算手段を有し、
前記第2の制御手段の制御信号に基づいて、前記第2の中間画像処理手段から出力される前記第4の中間画像を制御することにより、解像感強調処理の程度を制御することを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記第2の中間画像生成手段は、入力された第2の映像信号から高周波数成分のみを取り出した第3の高周波数成分画像を生成する第3の高周波数成分画像生成手段と、前記第3の高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出す第2の低周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記第2の中間画像処理手段は、前記第3の中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した非線形処理画像を生成する第2の非線形処理手段と、前記非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第4の高周波数成分画像を生成する第4の高周波数成分画像生成手段と、前記第3の中間画像と前記第4の高周波数成分画像を加算する第2の加重加算手段を有することを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記第3の高周波数成分画像生成手段は、入力された第2の映像信号の各画素の水平方向近傍に存在する画素を用いて高周波数成分を取り出した第3の水平方向高周波数成分画像を生成する第3の水平方向高周波数成分画像生成手段と、入力された前記第2の映像信号の各画素の垂直方向近傍に存在する画素を用いて高周波数成分を取り出した第3の垂直方向高周波数成分画像を生成する第3の垂直方向高周波数成分画像生成手段を有し、前記第2の低周波数成分画像生成手段は、前記第3の水平方向高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出した第3の水平方向中間画像を生成する第2の水平方向低周波数成分画像生成手段と、前記第3の垂直方向高周波数成分画像の低周波数成分のみを取り出した第3の垂直方向中間画像を生成する第2の垂直方向低周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記第2の非線形処理手段は、前記第3の水平方向中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した水平方向非線形処理画像を生成する第2の水平方向非線形処理手段と、前記第3の垂直方向中間画像の各画素値を画素に応じて変化させた増幅率で増幅した垂直方向非線形処理画像を生成する第2の垂直方向非線形処理手段を有し、
前記第4の高周波数成分画像生成手段は、前記水平方向非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第4の水平方向高周波数成分画像を生成する第4の水平方向高周波数成分画像生成手段と、第2の前記垂直方向非線形処理画像の高周波数成分のみを取り出した第4の垂直方向高周波数成分画像を生成する第4の垂直方向高周波数成分画像生成手段を有することを特徴とする請求項11に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記第2の水平方向非線形処理手段は、前記第3の水平方向中間画像の画素値が正から負もしくは負から正へと変化する箇所をゼロクロス点として判定する第2の水平方向ゼロクロス点判定手段と、前記第2の水平方向ゼロクロス点判定手段の判定結果に応じて前記第3の水平方向中間画像の各画素に対する増幅率を決定する第2の水平方向信号増幅手段を有し、
前記第2の垂直方向非線形処理手段は、前記第3の垂直方向中間画像の画素値が正から負もしくは負から正へと変化する箇所をゼロクロス点として判定する第2の垂直方向ゼロクロス点判定手段と、前記第2の垂直方向ゼロクロス点判定手段の判定結果に応じて前記第3の垂直方向中間画像の各画素に対する増幅率を決定する第2の垂直方向信号増幅手段を有することを特徴とする請求項13記載の画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−35715(P2011−35715A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180688(P2009−180688)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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