説明

映像配信システムおよび映像受信端末装置

【課題】ネットワークを介して互いにデータ通信を行うと共に、映像配信サーバから映像配信サービスを受信する映像受信端末間で帯域優先制御を行う映像配信システムにおいて、新たな映像受信端末を追加しても、既存の映像受信端末の設定を更新せずに帯域優先制御を行うことが可能な映像配信システムを提供する。
【解決手段】各映像受信端末は、自端末を特定する端末識別子と現在受信している映像サービスの受信開始時刻を関連付けて記録するとともに、受信開始時刻から各映像サービスに予め割り当てられた優先時間を減算することで、各映像受信端末が現在受信している映像サービスに対する優先度を算出して、該優先度と端末識別子を関連付けた優先度情報を、映像受信端末間でネットワーク全体の優先度情報として共有し、映像に乱れが発生すると、該優先度情報を基に、優先度が低い順に映像サービスの受信を停止させることで帯域優先制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像配信サーバ、および通信ネットワークを介して映像配信サーバから映像・音声コンテンツのストリームデータなどを受信する映像受信端末装置(以下、映像受信端末と称す)で構成される映像配信システムに関し、特に、通信ネットワークにおける通信品質を保証する機能を有する映像配信システム、並びに映像配信システムを構成する映像受信端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信ネットワーク(通信回線)を用いた映像配信サービスが盛んになりつつあり、映像などを配信するための映像配信装置、インターネットなどの宅外ネットワークと宅内ネットワークで構成される通信ネットワーク、および宅内ネットワークで接続された複数の映像受信端末などで構成される映像配信システムにおいて、ユーザは、動画を視聴するための映像受信端末を操作することにより、通信事業社や映像配信事業社などが映像配信装置などを用いて提供するVOD(Video On Demand)サービス、IP(Internet Protocol)放送および映像ダウンロードサービスなどを利用することが可能となってきた。
【0003】
しかしながら、映像配信システムにおいて、宅内ネットワークで接続された複数の映像受信端末が同時に映像を受信する場合、各映像受信端末が使用するネットワーク帯域(ネットワーク使用率)の合計が、宅内ネットワーク全体で利用可能なネットワーク帯域を越えると、当然のことながら、宅内ネットワークに接続された全映像受信端末において、映像品質の劣化が発生してしまうという非常に大きな課題があった。
【0004】
このような通信ネットワークにおける映像品質の劣化を防ぐ方法としては、例えば、特許文献1において、映像サーバおよび映像配信システムに関する従来技術が開示されている。
【0005】
特許文献1には、通信ネットワークを介して映像受信端末と映像サーバに接続されている伝送制御端末が、通信ネットワーク全体の映像伝送状況を把握し、映像サーバならびに映像受信端末に対して帯域制御を行うことで、通信ネットワーク障害が発生しない最適な映像を提供することができる映像配信システムの構成が開示されている。
【0006】
次に、図25および図26を用いて、特許文献1に開示されている従来の映像配信システムについて説明する。なお、図25は、特許文献1に開示されている従来の映像配信システムの構成を示すブロック図であり、図26は、特許文献1に開示されている伝送制御端末の構成を示すブロック図である。
【0007】
図25において、映像サーバ300は、ネットワーク200を介して映像受信端末500(映像受信端末A500−a、映像受信端末B500−b、映像受信端末C500−c)、および伝送制御端末400に接続されている。
【0008】
ここで、伝送制御端末400は、ルータやパーソナルコンピュータ等の通信機器が考えられるが、これらに限定されるものではない。また映像受信端末500は、デジタルテレビ、セットトップボックスおよびパーソナルコンピュータ等の通信ネットワークを用いる映像配信に対応した家電機器が考えられるが、これらに限定されるものではない。また、ネットワーク200は、インターネットやアクセス回線、あるいは家庭内ネットワーク等が考えられるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
図26において、伝送制御端末400は、伝送開始情報受信部401、伝送状況情報受信部402、サーバ伝送優先制御部403、伝送状況情報記録部404および優先度情報記録部405で構成されており、ネットワーク200により接続された映像受信端末A500−a、映像受信端末B500−bおよび映像受信端末C500−cに伝送される映像コンテンツの伝送状況を把握する機能を有している。
【0010】
伝送開始情報受信部401は、ネットワーク200を介して映像サーバ300並びに映像受信端末A500−a、映像受信端末B500−bおよび映像受信端末C500−cに接続されており、映像サーバ300、映像受信端末A500−a、映像受信端末B500−b、および映像受信端末C500−cからの映像伝送開始通知を受信する。その際、伝送開始情報受信部401は、映像伝送に使用しているIPアドレス並びにポート番号等の情報を伝送状況情報受信部402へ送信する。
【0011】
伝送状況情報受信部402は、映像受信端末A500−a、映像受信端末B500−b、および映像受信端末C500−cから送信される伝送状況情報のレポートを受信し、それらの情報を伝送状況情報記録部404に記録する。その際、伝送状況情報のレポートは、RTCP(RTP Control Protocol)により伝送され、伝送状況情報記録部404にはパケット損失率やジッタ等の情報が記録される。
【0012】
サーバ伝送優先制御部403は、伝送状況情報記録部404に記録されている伝送状況情報からネットワーク200の伝送状況を判定し、伝送状況に応じて映像サーバ300に対して伝送帯域の増減を要求する。
【0013】
伝送状況情報記録部404は、伝送状況情報受信部402から送信される伝送状況情報を記録する。優先度情報記録部405は、各種映像サービスに対する優先度情報が記録されている。
【0014】
次に、以上のように構成された映像配信システムにおいて、伝送制御端末400がネットワーク200の伝送状況を把握し、映像サーバ300ならびに映像受信端末500に対して帯域優先制御を行う手順について説明する。
【0015】
まず、映像受信端末A500−aは、映像サーバ300に対して映像コンテンツの取得要求を送信し、ユーザが所望する映像コンテンツの取得を行う。このとき、映像受信端末A500−aは、コンテンツの取得要求を送信すると共に、伝送制御端末400に対して、映像受信を行うプロトコルのIPアドレス並びにポート番号と、映像伝送品質のレポートを行うRTCPのIPアドレス並びにポート番号などの伝送状況情報を送信する。このとき、伝送制御端末400内部の伝送開始情報受信部401は、映像受信端末A500−aから送信された伝送状況情報を受信し、受信した伝送状況情報を伝送状況情報受信部402へ送信する。
【0016】
映像コンテンツの受信を開始した映像受信端末A500−aは、定期的に伝送制御端末400に対して伝送状況情報をレポートとして送信する。伝送制御端末400内部の伝送状況情報受信部402は、映像受信端末A500−aからの伝送状況情報に関するレポートを受信し、伝送状況情報記録部404に記録する。
【0017】
伝送制御端末400内部のサーバ伝送優先制御部403は、定期的に転送状況情報記録部404に記録されている伝送状況情報からネットワーク200の伝送状況を把握し、映像サーバ300に対して、ネットワーク200の通信量が多い場合は送信帯域の減少を要求し、逆に、ネットワーク200通信量が少ない場合は送信帯域の増大を要求する。このとき、サーバ伝送優先制御部403は、優先度情報記録部405に記述されている優先度に従い、映像サーバ300に対して送信帯域の制御要求を行う。
【0018】
以上のようにして、特許文献1に開示されている従来の映像配信システムは、ネットワークにおける伝送状況を把握して帯域優先制御を行うことにより、ネットワーク障害が発生しない最適な映像を提供することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第2006/013618号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来の方法は、新しい映像サービスに対応した映像受信端末がネットワークに接続された場合、すなわち、映像配信システムに新しい映像サービスに対応した映像受信端末が新たに追加された場合、伝送制御端末は、帯域優先制御を行うために、新しい映像サービスを含めた映像サービスの優先度を再設定する必要があるという課題を有していた。
【0021】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、映像受信端末が受信開始時のタイムスタンプと映像受信端末が受信する映像サービスの内容に応じて算出された優先度を使用してネットワーク内の帯域優先制御を行うことで、ネットワーク内で複数の映像サービスを受信する状態において、リアルタイム性の高い、すなわち優先度の高いサービスの映像品質を確保することができるとともに、ネットワーク内に新しい映像サービスに対応した映像受信端末が追加された場合でも、映像配信システム全体で優先度の再設定を行わずに帯域優先制御を行うことができる映像配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本願の第1の発明の映像配信システムは、映像配信サーバと、外部ネットワークおよび宅内ネットワークで構成される通信ネットワークと、映像配信サーバから前記通信ネットワークを介して映像サービスを受信するとともに、前記宅内ネットワークを介して互いにデータ通信を行う複数の映像受信端末装置とで構成される映像配信システムであって、前記映像受信端末装置は、前記映像サービス名と前記映像サービスの受信を開始した時刻を示す受信タイムスタンプとを関連付けた受信情報を設定する受信情報設定手段と、前記受信情報に含まれる前記映像サービスに対応する前記受信タイムスタンプと、前記映像サービス毎に予め割り当てられたサービス優先度(優先時間)を基に、所定の算出方法により前記映像サービス毎の優先度を算出し、前記映像受信端末装置を識別する端末識別子と関連付けた優先度情報として設定・記録する優先度情報設定手段と、前記優先度情報設定手段に設定・記録された自端末装置の前記優先度情報を、設定・記録される度に前記宅内ネットワークを介して他の全ての前記映像受信端末装置に送信し、前記他の全ての前記映像受信端末からの前記優先度情報を受信して前記宅内ネットワーク全体の優先度情報として前記優先度情報設定手段に記録するとともに、自端末装置に映像乱れが発生した場合、他の前記映像受信端末装置から映像乱れが発生した旨の通知を受け取った場合、および他の前記映像受信端末装置から前記映像サービスの受信処理の停止が完了した旨の通知を受け取った場合に優先度に関連する処理を行う優先度情報管理手段と、前記映像サービスにおけるコンテンツを再生するとともに映像乱れの発生を検出するコンテンツ再生手段と、前記通信ネットワークを介して前記映像配信サーバから配信される前記映像サービスにおけるコンテンツの受信処理の制御を行うコンテンツ制御手段と、を備え、複数の前記映像受信端末装置の内の映像受信端末装置Bにおける前記コンテンツ再生手段が映像乱れの発生を検出した場合、前記映像受信端末装置Bの前記優先度情報管理手段は、前記宅内ネットワークを介して前記映像受信端末装置B以外の全ての前記映像受信端末装置に対して映像乱れが発生した旨を通知し、通知を受け取った前記映像受信端末装置B以外の全ての前記映像受信端末装置の前記優先度情報管理手段は、各々の前記優先度情報設定手段に記録されている前記宅内ネットワーク全体の前記優先度情報を調べ、自端末装置に関連付けられた優先度が最も低い前記映像サービスを受信していることを確認した前記映像受信端末装置(映像受信端末装置Aとする)の前記優先度情報管理手段は、コンテンツ制御手段における当該映像サービスの受信処理を停止させ、受信処理の停止が完了するとその旨を、前記宅内ネットワークを介して前記映像受信端末装置A以外の全ての前記映像受信端末装置に対して通知し、前記映像受信端末装置Aを含む全ての前記映像受信端末装置の前記優先度情報管理手段は、各々の前記優先度情報設定手段に記録されている前記優先度情報から当該映像サービスに関連する前記優先度情報を削除し、これら一連の処理を、前記映像受信端末装置Bにおける映像乱れが回復するまで繰り返すことを特徴とするものである。
【0023】
また、本願の第2の発明の映像配信システムは、本願の第1の発明の映像配信システムにおいて、前記映像受信端末装置Bから映像乱れが発生した旨の通知があった後に予め定めた所定の時間が経過し、かつ、前記映像受信端末装置Aが当該映像サービスの受信処理を停止させない場合には、優先度が2番目に低い前記優先度情報に関連づけられた前記映像受信端末装置(映像受信端末装置Cとする)の前記優先度情報管理手段は、前記宅内ネットワークを介し前記映像受信端末装置Aに対して接続要求を行い、接続確認ができない場合は、自端末装置のコンテンツ制御手段における当該映像サービスの受信処理を停止させるとともに、当該映像サービスの受信処理の停止が完了するとその旨を、前記宅内ネットワークを介して全ての前記映像受信端末装置に通知し、通知を受けた全ての前記映像受信端末装置および前記映像受信端末装置Cの前記優先度情報管理手段は、各々の前記優先度情報設定手段に記録している優先度が2番目に低い前記優先度情報およびそれより優先度が低い前記優先度情報を全て削除することを特徴とするものである。
【0024】
また、本願の第3の発明の映像配信システムは、本願の第1または第2の発明の映像配信システムにおいて、各々の前記映像受信端末装置における前記優先度情報設定手段は、各々の前記映像受信端末装置が前記映像サービスの受信を開始した時点で、前記映像サービスに対応する前記優先度情報を設定・記録することを特徴とするものである。
【0025】
また、本願の第4の発明の映像配信システムは、本願の第1または第2の発明の映像配信システムにおいて、各々の前記映像受信端末装置における前記優先度情報設定手段は、前記受信情報に含まれる前記映像サービスに対応する前記受信タイムスタンプから、前記映像サービス毎に予め割り当てられたサービス優先度(優先時間)を減算または加算することにより前記映像サービス毎の優先度を算出し、自端末装置を識別する端末識別子と関連付けた優先度情報として設定・記録することを特徴とするものである。
【0026】
また、本願の第5の発明の映像配信システムは、本願の第1または第2の発明の映像配信システムにおいて、前記映像サービス毎に予め割り当てられるサービス優先度(優先時間)は、前記映像サービスのリアルタイム性に応じて割り当てられることを特徴とするものである。
【0027】
また、本願の第6の発明の映像配信システムは、本願の第1または第2の発明の映像配信システムにおいて、各々の前記映像受信端末装置における前記優先度情報設定手段は、前記優先度情報を設定・記録した後に予め設定した一定時間が経過すると、前記優先度情報の再設定を行うことを特徴とするものである。
【0028】
また、本願の第7の発明の映像配信システムは、本願の第1乃至第6の発明の映像配信システムにおいて、前記優先度情報設定手段に前記映像サービスと前記映像サービス毎に予め割り当てられた前記サービス優先度(優先時間)を関連付けて記録している映像受信端末装置Dを新たに前記宅内ネットワークに追加する場合には、前記映像受信端末装置Dは、前記宅内ネットワークを介して全ての前記映像受信端末装置に対して前記宅内ネットワークに参加した旨を通知し、通知を受けた全ての前記映像受信端末装置から送信された各々の優先度情報を前記優先度情報設定手段に記録した後、ユーザからの要求に応じて前記映像配信サーバから特定の前記映像サービス(映像サービスaとする)の受信を開始し、前記受信情報設定手段および前記優先度情報設定手段においてそれぞれ前記映像サービスaに対応する前記受信情報と前記優先度情報を設定するとともに、前記宅内ネットワークを介して全ての前記映像受信端末装置に対して映像サービスの受信を開始した旨を通知し、通知を受けた全ての前記映像受信端末装置および前記映像受信端末装置Dは、前記宅内ネットワーク全体の優先度情報を更新することを特徴とするものである。
【0029】
また、本願の第8の発明の映像受信端末装置は、本願の第1の発明の映像配信システムを構成する映像受信端末装置であって、前記映像サービス名と前記映像サービスの受信を開始した時刻を示す受信タイムスタンプとを関連付けた受信情報を設定する受信情報設定手段と、前記受信情報に含まれる前記映像サービスに対応する前記受信タイムスタンプと、前記映像サービス毎に予め割り当てられたサービス優先度(優先時間)を基に、所定の算出方法により前記映像サービス毎の優先度を算出し、前記映像受信端末装置を識別する端末識別子と関連付けた優先度情報として設定・記録する優先度情報設定手段と、前記優先度情報設定手段に設定・記録された自端末装置の前記優先度情報を、設定・記録される度に前記宅内ネットワークを介して他の全ての前記映像受信端末装置に送信し、前記他の全ての前記映像受信端末からの前記優先度情報を受信して前記宅内ネットワーク全体の優先度情報として前記優先度情報設定手段に記録するとともに、自端末装置に映像乱れが発生した場合、他の前記映像受信端末装置から映像乱れが発生した旨の通知を受け取った場合、および他の前記映像受信端末装置から前記映像サービスの受信処理の停止が完了した旨の通知を受け取った場合に優先度に関連する処理を行う優先度情報管理手段と、前記映像サービスにおけるコンテンツを再生するとともに映像乱れの発生を検出するコンテンツ再生手段と、前記通信ネットワークを介して前記映像配信サーバから配信される前記映像サービスにおけるコンテンツの受信処理の制御を行うコンテンツ制御手段と、を備え、前記優先度情報管理手段は、前記コンテンツ再生手段が映像乱れを検出した場合には、前記宅内ネットワークを介して他の全ての前記映像受信端末装置に対して映像乱れが発生した旨を通知し、前記宅内ネットワークを介して他の前記映像受信端末装置から映像乱れが発生した旨の通知を受け取った場合には、前記優先度情報設定手段に記録されている前記宅内ネットワーク全体の優先度情報を参照して自端末装置に関連付けられた優先度が最下位でないかを調べ、自端末装置に関連付けられた優先度が最下位であることを確認した際に、前記コンテンツ制御手段に対して当該映像サービスの受信処理を停止するように要求するとともに、前記コンテンツ制御手段における当該映像サービスの受信処理の停止が完了すると、その旨を、前記宅内ネットワークを介して他の全ての前記映像受信端末装置に対して通知し、前記宅内ネットワークを介して他の前記映像受信端末装置から前記コンテンツ制御手段における当該映像サービスの受信処理の停止が完了した旨の通知を受け取った場合には、前記優先度情報設定手段に記録されている前記優先度情報から当該映像サービスに関連する前記優先度情報を削除する、ことを特徴とするものである。
【0030】
また、本願の第9の発明の映像受信端末装置は、本願の第8の発明の映像受信端末装置において、前記優先度情報管理手段は、前記宅内ネットワークを介して他の前記映像受信端末装置(映像受信端末装置Aとする)から映像乱れが発生した旨の通知を受け取った後、予め定めた所定の時間が経過したにもかかわらず、前記映像受信端末装置Aが当該映像サービスの受信処理を停止させない場合で、かつ、自端末装置が、優先度が2番目に低い前記優先度情報に関連づけられていた場合には、前記宅内ネットワークを介し前記映像受信端末装置Aに対して接続要求を行い、接続確認ができない場合は、自端末装置のコンテンツ制御手段における当該映像サービスの受信処理を停止させるとともに、当該映像サービスの受信処理の停止が完了するとその旨を、前記宅内ネットワークを介して全ての前記映像受信端末装置に通知し、前記宅内ネットワークを介して他の前記映像受信端末装置(映像受信端末装置Aとする)から映像乱れが発生した旨の通知を受け取った後、予め定めた所定の時間が経過したにもかかわらず、前記映像受信端末装置Aが当該映像サービスの受信処理を停止させない場合で、かつ、優先度が2番目に低い前記優先度情報に関連づけられた前記映像受信端末装置から当該映像サービスの受信処理の停止が完了した旨の通知を受けた場合には、前記優先度情報設定手段に記録している優先度が2番目に低い前記優先度情報およびそれより優先度が低い前記優先度情報を全て削除することを特徴とするものである。
【0031】
また、本願の第10の発明の映像受信端末装置は、本願の第8または第9の発明の映像受信端末装置において、前記優先度情報設定手段は、前記映像サービスの受信を開始した時点で、前記映像サービスに対応する前記優先度情報を設定・記録することを特徴とするものである。
【0032】
また、本願の第11の発明の映像受信端末装置は、本願の第8または第9の発明の映像受信端末装置において、前記優先度情報設定手段は、前記受信情報に含まれる前記映像サービスに対応する前記受信タイムスタンプから、前記映像サービス毎に予め割り当てられたサービス優先度(優先時間)を減算または加算することにより前記映像サービス毎の優先度を算出し、自端末装置を識別する端末識別子と関連付けた優先度情報として設定・記録することを特徴とするものである。
【0033】
また、本願の第12の発明の映像受信端末装置は、本願の第8または第9の発明の映像受信端末装置において、前記映像サービス毎に予め割り当てられるサービス優先度(優先時間)は、前記映像サービスのリアルタイム性に応じて割り当てられることを特徴とするものである。
【0034】
また、本願の第13の発明の映像受信端末装置は、本願の第8または第9の発明の映像受信端末装置において、前記優先度情報設定手段は、前記優先度情報を設定・記録した後に予め設定した一定時間が経過すると、前記優先度情報の再設定を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明の映像配信システムによれば、映像受信端末が受信開始時のタイムスタンプと映像受信端末が受信する映像サービスの内容に応じて算出された優先度を使用してネットワーク内の帯域優先制御を行うことで、ネットワーク内で複数の映像サービスを受信する状態において、リアルタイム性の高いサービス、すなわち優先度の高いサービスの映像品質を確保することができるとともに、ネットワーク内に新しい映像サービスに対応した映像受信端末が追加された場合でも、映像配信システム全体で優先度の再設定を行わずに帯域優先制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1に係る映像受信端末の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1に係る映像受信端末における受信情報および優先度情報の設定の手順を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1に係る映像受信端末における受信情報設定部が映像サービス名と受信開始時刻を関連付けて保存する受信情報の一例を示す図
【図5】本発明の実施の形態1に係る映像受信端末におけるサービス優先度記録部が保持するサービス優先度に関する情報の一例を示す図
【図6】本発明の実施の形態1に係る映像受信端末における優先度情報記録部に記録された優先度情報の一例を示す図
【図7】本発明の実施の形態1に係る映像受信端末における優先度情報の更新の手順を示すフローチャート
【図8】本発明の実施の形態1に係る映像受信端末において08:30:00時点にダウンロードサービスの優先度を更新した情報の一例を示す図
【図9】本発明の実施の形態1に係る映像受信端末において10:00:00時点にVODサービスの優先度を更新した情報の一例を示す図
【図10】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムの構成を示すブロック図
【図11】本発明の実施の形態1に係る映像受信端末におけるサービス優先度記録部が各々保持しているサービス優先度、すなわち、各々の映像受信端末が対応する映像サービスと優先時間を関連付けた情報の一例を示す図
【図12】本発明の実施の形態1に係る映像受信端末における受信情報設定部が各々保持している受信情報、すなわち、各々の映像受信端末が現在受信を行っている映像サービスと受信開始時間を関連付けた情報の一例を示す図
【図13】本発明の実施の形態1に係る映像受信端末における優先度情報記録部が各々保持している優先度情報、すなわち、端末識別子と優先度を関連付けた優先度情報の一例を示す図
【図14】08:30:00時点の本発明の実施の形態1に係る映像受信端末が各々の優先度情報を送受信しあった後に、各々の優先度情報記録部が共有して保持する通信ネットワーク全体の優先度情報を示す図
【図15】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおける映像受信端末において映像乱れが発生した場合の帯域優先制御の手順を示すフローチャート
【図16】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて帯域優先制御が終了した後のネットワーク全体の優先度情報を示す図
【図17】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて映像受信端末Aを正常終了後に撤去する場合における優先度情報の更新の手順を示すフローチャート
【図18】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて映像受信端末Aを異常終了の状態で撤去した後に、映像の乱れが発生した場合の映像受信端末間の帯域優先制御の手順を示すフローチャート
【図19】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて新たに映像受信端末Dが追加された場合の構成を示すブロック図
【図20】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、新たに映像受信端末Dが追加された場合のネットワーク全体の優先度情報の更新手順を示すフローチャート
【図21】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、新たに追加された映像受信端末Dのサービス優先度記録部に記録された、映像受信端末Dが対応するサービス名と優先時間を関連付けて記録した情報の一例を示す図
【図22】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、新たに追加された映像受信端末Dの受信情報設定部に記録された受信情報の一例を示す図
【図23】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、09:00:00時点の新たに追加された映像受信端末Dの優先度情報記録部に記録された優先度情報の一例を示す図
【図24】本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、新たに映像受信端末Dを追加した後の09:00:00時点のネットワーク全体の優先度情報の一例を示す図
【図25】特許文献1に開示されている従来の映像配信システムの構成を示すブロック図
【図26】特許文献1に開示されている伝送制御端末の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0038】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムの構成を示すブロック図である。
【0039】
図1において、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムは、映像コンテンツなどの配信を行うコンテンツ配信サーバ300(以下、映像サーバ300と称す)、インターネットなどの外部ネットワークと宅内ネットワークで構成される通信ネットワーク(以下、ネットワークと称す)200、および宅内ネットワークで接続された複数の映像受信端末100(映像受信端末A100−a、映像受信端末B100―bおよび映像受信端末C100―c)で構成される。
【0040】
各々の映像受信端末100は、外部ネットワークと宅内ネットワークで構成されるネットワーク200を介して映像サーバ300から映像コンテンツデータを受信するとともに、宅内ネットワークを介して他の映像受信端末100と互いにデータ通信を行う。
【0041】
なお、映像サーバ300およびネットワーク200は、図25に示す従来の映像配信システムにおける映像サーバおよびネットワークと同様であるので、同じ符号を付し説明を省略する。
【0042】
また、映像受信端末100は、デジタルテレビ、セットトップボックスおよびパーソナルコンピュータ等の通信ネットワークを用いる映像配信に対応した家電機器が考えられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
また、図1においては、映像受信端末100の端末数が3の場合を例に挙げたが、これに限るものではなく、例えば、端末数が2であっても5であってもかまわない。
【0044】
図2は、本発明の実施の形態1に係る映像受信端末の構成を示すブロック図である。
【0045】
図2において、映像受信端末100は、外部入力受信部101、端末管理部102、コンテンツ制御部103、コンテンツ再生部104、通信制御部105、受信情報設定部106、タイムスタンプ測定部107、受信端末識別子記録部108、優先度情報設定部109、サービス優先度記録部110、優先度情報管理部111および優先度情報記録部112で構成されており、自端末が受信する各々の映像サービスに対して、端末識別子と受信開始時のタイムスタンプを関連付けて受信情報として保持する機能を持っている。
【0046】
なお、映像受信端末100は、少なくとも、映像サーバ300からネットワーク200を介して通信事業社や映像配信事業者などが提供するVODサービス、ダウンロードサービスおよびIP放送を受信できる機能を有する映像受信端末である。
【0047】
外部入力受信部101は、ユーザのリモコン操作等による外部からの要求を受け付け、受け付けた要求を端末管理部102へ送信する。端末管理部102は、映像受信端末100の状態とユーザからの要求の管理を行う。
【0048】
コンテンツ制御部103は、通信制御部105およびネットワーク200を介して映像サーバ300と通信を行い、映像コンテンツ取得処理の制御を行う。コンテンツ再生部104は、映像サーバ300から送信される映像コンテンツの再生処理を制御するとともに、映像乱れの発生を検出する。
【0049】
通信制御部105は、ネットワーク200との通信を制御する。受信情報設定部106は、映像受信端末100が現在受信している映像サービスに対して、映像受信端末100を識別する端末識別子と映像コンテンツデータの受信を開始した時刻を示す受信タイムスタンプを関連付けて保存する。
【0050】
タイムスタンプ測定部107は、現在の時刻を取得する。受信端末識別子記録部108は、受信端末識別子を記録する。優先度情報設定部109は、受信情報設定部106が保存する受信情報に対して優先度を設定し管理する。サービス優先度記録部110は、映像受信端末100が対応する映像サービスとそのサービスに予め割り当てられた優先時間(サービス優先度)を関連付けて記録する。
【0051】
優先度情報管理部111は、ネットワーク200を介して他の映像受信端末100と通信し、各々の映像受信端末100が受信している映像サービスの優先度を送受信する。優先度情報記録部112は、優先度情報管理部111が受信した他の映像受信端末100の優先度情報と優先度情報設定部109が算出する優先度情報を記録する。
【0052】
ここで、特許請求の範囲に記載の各手段と図2に示す各部との関係を以下に示す。
【0053】
まず、受信情報設定手段は、受信情報設定部106、タイムスタンプ測定部107および端末管理部102で構成され、優先度情報設定手段は、優先度情報設定部109、優先度情報記録部112、サービス優先度記録部110および受信端末識別子記録部108で構成され、優先度情報管理手段は、優先度情報管理部111および端末管理部102で構成され、コンテンツ再生手段は、コンテンツ再生部104および端末管理部102で構成され、コンテンツ制御手段は、コンテンツ制御部103および端末管理部102で構成される。
【0054】
次に、図3を用いて、映像受信端末100における受信情報および優先度情報の設定の手順について説明する。なお、図3は、本発明の実施の形態1に係る映像受信端末における受信情報および優先度情報の設定の手順を示すフローチャートである。
【0055】
ここで前提条件として、映像受信端末100は、図1に示すように、ネットワーク200を介して映像サーバ300と接続しているものとする。
【0056】
図3において、まず、映像受信端末100における外部入力受信部101は、ユーザからの映像取得要求を受信し、受信した映像取得要求を端末管理部102へ通知する(S101)。
【0057】
端末管理部102は、外部入力受信部101から映像取得要求を受け取ると、コンテンツ制御部103へ映像取得要求を行うと共に、コンテンツ再生部104へ再生準備要求を送信する(S102)。
【0058】
コンテンツ制御部103は、通信制御部105およびネットワーク200を介して映像サーバ300に接続し、映像サーバ300へコンテンツ取得要求を送信する。映像サーバ300は、映像受信端末100からのコンテンツ取得要求に対し、映像コンテンツの送出を開始する。コンテンツ再生部104は、通信制御部105を介して、映像サーバ300から送出された映像コンテンツを受信し、再生処理を行う(S103) 。
【0059】
コンテンツ再生部104は、再生処理開始後に、端末管理部102に対して再生処理を開始した旨を通知する。コンテンツ再生部104から再生処理を開始した旨の通知を受けた端末管理部102は、受信情報設定部106へ受信情報設定要求を送信する(S104)。
【0060】
端末管理部102から受信情報設定要求を受けた受信情報設定部106は、受信情報を設定するために、タイムスタンプ測定部107へ現在時刻取得要求(すなわち、受信開始時刻取得要求)を送信するとともに、コンテンツ制御部103へ映像サービス名取得要求を送信して、コンテンツ制御部103およびタイムスタンプ測定部107からそれぞれの取得要求に対応して取得した映像サービス名と受信開始時刻を関連付けて保存し、受信開始時刻を含む受信情報の設定を終了させる(S105)。
【0061】
なお、図4は、本発明の実施の形態1に係る映像受信端末における受信情報設定部が映像サービス名と受信開始時刻を関連付けて保存する受信情報の一例を示す図である。
【0062】
受信情報設定部106は、受信開始時刻の設定が終わると、端末管理部102へ受信情報の設定が終了した旨を通知し、端末管理部102は、受信情報設定部106から受信情報の設定が終了した旨の通知を受け取ると、優先度情報設定部109へ優先度情報設定要求を送信する(S106)。
【0063】
優先度情報設定部109は、端末管理部102から優先度情報設定要求を受け取ると、優先度情報を算出するために、受信情報設定部106へ受信情報取得要求を、サービス優先度記録部110へ優先時間取得要求を、受信端末識別子記録部108へ受信端末識別子取得要求を、それぞれ送信する(S107)。
【0064】
なお、図5は、本発明の実施の形態1に係る映像受信端末におけるサービス優先度記録部が保持するサービス優先度に関する情報の一例を示す図である。
【0065】
図5に示す例では、左から順に優先順位、映像受信端末100が対応する映像サービス名、各々の映像サービスに予め割り当てられた優先時間(サービス優先度)が記述されている。ここでは、左端に示された優先順位の数字から、VODサービスの方がダウンロードサービスよりも優位順位が高いことを示しており、優先時間(サービス優先度)もVODサービスに対してより大きな値が割り当てられている。
【0066】
また、受信端末識別子記録部108が保持する映像受信端末識別子には、IPアドレス、MAC(Media Access Control)アドレスの他に、各映像サービスにおいて予め割り当てられた映像受信端末の端末ID等が考えられるが、これに限定されるものではない。ここでは、便宜的にIPアドレスを映像受信端末識別子として使用し、映像受信端末100のIPアドレスを192.168.20.2とする。
【0067】
優先度情報設定部109は、受信情報設定部106、サービス優先度記録部110および受信端末識別子記録部108からそれぞれの要求に対応した情報を取得すると、受信情報に記載されている各映像サービスのタイムスタンプに対し、各映像サービスに関連付けられた優先時間を差し引いた値を優先度情報として設定する(S108)。
【0068】
ここで図4および図5を用いて、優先度情報を設定する場合の一例について説明する。
【0069】
図4に示される受信情報の1行目には、07:30:00に映像コンテンツのダウンロードサービスの受信を開始した旨が記載されている。また、図5に示されるサービス優先度に関する情報の2行目には、ダウンロードサービスに割り当てられたサービス優先度(優先時間)が01:00:00である旨が記載されている。そのため、映像コンテンツのダウンロードサービスの優先度は、07:30:00から01:00:00分だけ時間を遡らせた06:30:00となる。同様に、図5に示されるサービス優先度に関する情報の1行目のVODサービスの優先度は、08:00:00から02:00:00分だけ時間を遡らせた06:00:00となる。
【0070】
優先度情報設定部109において設定された優先度は、端末IDなどと関連付けられた優先度情報として優先度情報記録部112に記録される。図6は、本発明の実施の形態1に係る映像受信端末における優先度情報設記録部に記録された優先度情報の一例を示す図である。
【0071】
なお、本発明の実施の形態1においては、各映像サービスのタイムスタンプに対し、映像サービスに関連付けられた時間を減算した値を優先度として設定したが、映像サービスに関連付けられた時間を加算した値を優先度として設定してもよい。但しその場合は、優先順位が低いほど、映像サービスに関連付けられた時間を大きくする。
【0072】
また、本発明の実施の形態1においては、サービス優先度記録部110に記録されている情報は、映像サービスと優先時間を関連付けたサービス優先度に関する情報であるが、他の要素と優先時間を関連付けたサービス優先度に関する情報であってもかまわない。例えば、HTTP(HyperText Transfer Protocol)、RTSP,FTP(File Transfer Protocol)等のプロトコル別に優先時間と関連付けたり、MIME(Multi―purpose Internet Mail Extensions)−TYPE別に優先時間と関連付けたりすることも考えられる。さらには、優先時間として映像受信端末100の電源をONにした時刻を設定すると、電源ONした時刻の早い映像受信端末100が優先的に映像サービスを受信できるようになり、映像受信端末100単位での帯域優先制御が可能となる。
【0073】
次に、図7を用いて、映像受信端末100の優先度情報の更新の手順について説明する。優先度情報の更新を行う理由は、サービス優先度記録部110に記録されている映像サービスにおいて、優先順位の下回る映像サービスより優先度が下回らないようにするためである。なお、図7は、本発明の実施の形態1に係る映像受信端末における優先度情報の更新の手順を示すフローチャートである。
【0074】
図7において、まず、優先度情報設定部109は、優先度情報を設定した際に、タイムスタンプ測定部107へ現在時刻取得要求を送信して現在時刻を取得したが、ここでは図6に示す受信している各映像サービスに対して、優先度の更新を行うためのタイマを設定する(S201)。設定するタイマの値は、サービス優先度記録部110に記録されている図5に示す優先時間を設定する。
【0075】
優先度情報設定部109は、タイマを設定した後、継続してタイムスタンプ測定部107から現在時刻の取得を行い、設定したタイマ時間(設定したタイマの値に相当する時間)が経過したか否かを確認する(S202)。
【0076】
ステップS202において、設定したタイマ時間が経過したことを確認できない場合(ステップS202においてNoの場合)には、引き続き、設定したタイマ時間が経過したか否かを確認し、設定したタイマ時間が経過したことを確認した場合(ステップS202においてYesの場合)には、優先度情報設定部109は、優先度の更新を行うために、タイムスタンプ測定部107へ現在時刻取得要求を、サービス優先度記録部110へ優先時間取得要求をそれぞれ送信し、現在時刻と優先時間を取得する(S203)。
【0077】
優先度情報設定部109は、取得した現在時刻と優先時間を基に所定の算出方法により優先度を算出し、優先度の更新を行う(S204)。
【0078】
なお、更新時点の優先度の所定の算出方法は、現在時刻から優先時間の2倍の値を減算するものとする。図8は、本発明の実施の形態1に係る映像受信端末において08:30:00時点にダウンロードサービスの優先度を更新した情報の一例を示す図であり、図9は、本発明の実施の形態1に係る映像受信端末において10:00:00時点にVODサービスの優先度を更新した情報の一例を示す図である。
【0079】
次に、図10を用いて、各々の映像受信端末100内部で設定した優先度情報を利用し、ネットワーク200における宅内ネットワーク内の映像受信端末100間で通信帯域を優先制御しあう映像配信システムについて説明する。なお、図10は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムの構成を示すブロック図である。図10に示す映像配信システムは、基本的には図1に示す映像配信システムと同じであるので同じ符号を付し詳細な説明は省略するが、各々の映像受信端末100にはそれぞれIPアドレスが付与されている。
【0080】
まず、映像受信端末100間で、各々の映像受信端末100が保有する優先度情報を送受信しあい、ネットワーク200全体の優先度情報(実質的には、ネットワーク200における宅内ネットワーク全体の優先度情報)を共有する手順について説明する。
【0081】
図11は、本発明の実施の形態1に係る映像受信端末(映像受信端末A、映像受信端末B、映像受信端末C)におけるサービス優先度記録部が各々保持しているサービス優先度、すなわち、各々の映像受信端末が対応する映像サービスと優先時間を関連付けた情報の一例を示す図である。
【0082】
また、図12は、本発明の実施の形態1に係る映像受信端末(映像受信端末A、映像受信端末B、映像受信端末C)における受信情報設定部が各々保持している受信情報、すなわち、各々の映像受信端末が現在受信を行っている映像サービスと受信開始時間を関連付けた情報の一例を示す図である。
【0083】
また、図13は、本発明の実施の形態1に係る映像受信端末(映像受信端末A、映像受信端末B、映像受信端末C)における優先度情報記録部が各々保持している優先度情報、すなわち、端末識別子と優先度を関連付けた優先度情報の一例を示す図である。
【0084】
ここで、使用する端末識別子は各々の映像受信端末100のIPアドレスとし、図10に示すとおり、映像受信端末A100−a、映像受信端末B100−b、映像受信端末C100−cのIPアドレスを、それぞれ192.168.20.2、192.168.20.3、192.168.20.4とする。
【0085】
各々の映像受信端末100における優先度情報管理部111は、優先度情報記録部112に記録している自端末の優先度情報を、通信制御部105を介してネットワーク200に接続されている全ての映像受信端末100に送信するとともに、通信制御部105を介してネットワーク200に接続されている全ての映像受信端末100からの優先度情報を受信し、優先度情報記録部112に保存する。
【0086】
図14は、08:30:00時点の映像受信端末100(映像受信端末A100−a、映像受信端末B100−b、映像受信端末C100−c)が各々の優先度情報を送受信しあった後に、各々の優先度情報記録部112が共有して保持するネットワーク200全体の優先度情報を示す図である。
【0087】
次に、図15を用いて、ネットワーク200内のある映像受信端末100において、映像に乱れが発生した際の帯域優先制御の手順について説明する。なお、図15は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおける映像受信端末において映像乱れが発生した場合の帯域優先制御の手順を示すフローチャートである。
【0088】
ここでは一例として、08:30:00時点で、ネットワーク200において現時点で受信している映像サービスの中で最もサービス優先度が高いIP放送サービスの受信を開始した映像受信端末B100−bに映像の乱れが発生したものとする。
【0089】
図15において、映像受信端末B100−bにおけるコンテンツ再生部104は、映像サーバ300から送出された映像コンテンツにおける映像の乱れを検出する(S301)。
【0090】
映像の乱れを検出したコンテンツ再生部104は、端末管理部102へその旨を通知する(S302)。
【0091】
コンテンツ再生部104から映像の乱れを検出した旨の通知を受けた端末管理部102は、優先度情報管理部111に対して映像乱れが発生した旨を、ネットワーク200に接続された全ての映像受信端末100へ通知することを要求する(S303)。
【0092】
端末管理部102から要求を受け付けた優先度情報管理部111は、通信制御部105を介して全ての映像受信端末100(ここでは、映像受信端末A100−aおよび映像受信端末C100−c)に対して映像乱れが発生した旨を通知する(S304)。
【0093】
映像受信端末B100−bの優先度情報管理部111から通知を受けた全ての映像受信端末100(ここでは、映像受信端末A100−aおよび映像受信端末C100−c)および映像受信端末B100−bにおいては、各々の優先度情報管理部111が、各々の優先度情報記録部112に保存されているネットワーク200全体の優先度情報を参照し、自端末の端末識別子に関連付けられた優先度が最下位でないかを調べる(S305)。
【0094】
図14に示す優先度情報においては、映像受信端末A100−aが実行している映像サービスが、優先度06:30:00であり、優先度が最も低い。したがって、図14に示す例の場合には、映像受信端末A100−aにおける優先度情報管理部111が、端末管理部102へ優先度06:30:00に該当する映像サービスの取得処理を停止するように要求する。
【0095】
優先度情報管理部111からの要求を受け付けた端末管理部102は、当該映像サービスの取得処理を停止するように、コンテンツ制御部103およびコンテンツ再生部104へそれぞれ要求する。端末管理部102からの要求を受け付けたコンテンツ制御部103は、映像サーバ300との通信を終了し、当該映像コンテンツの取得処理を停止する。同様に、端末管理部102からの要求を受け付けたコンテンツ再生部104は、当該映像コンテンツの再生処理を停止する(S306)。
【0096】
映像受信端末A100−aにおけるコンテンツ制御部103およびコンテンツ再生部104は、それぞれ、当該映像コンテンツの取得処理の停止および当該映像コンテンツの再生処理の停止を完了させると、その旨を端末管理部102へ通知する(S307)。
【0097】
コンテンツ制御部103およびコンテンツ再生部104から通知を受けた端末管理部102は、当該映像サービスの取得処理の停止が完了したことを優先度情報管理部111へ通知し、端末管理部102から通知を受けた優先度情報管理部111は、当該映像サービスの取得処理を停止したことをネットワーク200に接続された全ての映像受信端末100(ここでは、映像受信端末B100−bおよび映像受信端末C100−c)へ通知する。このとき、優先度情報管理部111は、当該映像サービスの取得処理を停止した旨の情報と共に、当該映像サービスに対応する優先度情報も付け加えて通知する(S308)。
【0098】
映像受信端末A100−aにおける優先度情報管理部111から通知を受けた全ての映像受信端末100(ここでは、映像受信端末B100−bおよび映像受信端末C100−c)、の優先度情報管理部111は、各々の優先度情報記録部112に保存されている優先度情報から該当する優先度情報を削除する(S309)。
【0099】
なお、図16は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、該当する優先度情報を削除した後の、すなわち、帯域優先制御が終了した後のネットワーク200全体の優先度情報を示す図である。
【0100】
また、映像受信端末A100−aにおける優先度情報管理部111も、優先度情報記録部112に保存されている優先度情報から該当する優先度情報を削除するので、該当する優先度情報を削除した後の映像受信端末A100−aにおける優先度情報記録部112に保存されるネットワーク200全体の優先度情報は、図16に示される優先度情報となる。
【0101】
その後、映像受信端末B100−bは、映像の乱れが回復したか否かを確認する(S310)。
【0102】
ステップS310において、映像の乱れが引き続き発生している場合(ステップS310においてNoの場合)には、継続して映像乱れ発生の通知を全ての映像受信端末100に送信し続け、ステップS304〜ステップS310の処理を、映像乱れが回復したことを確認するまで繰り返し実行する。
【0103】
一方、ステップS310において、映像の乱れが回復したことを確認した場合(ステップS310においてYesの場合)には、映像乱れ発生の通知を停止し、映像に乱れが発生した際の処理を終了させる。
【0104】
以上のような手順を踏むことにより、各々の映像受信端末100において設定した共通の優先度情報を利用して、ネットワーク200内、すなわち映像配信システム内で映像の乱れが発生した場合でも、映像受信端末100間で映像通信帯域を優先制御しあう映像配信システムを構築することが可能となる。
【0105】
次に、ネットワーク200に接続される映像受信端末の端末数に増減があった場合の優先度情報の更新について説明する。ここでは、図10に示す映像配信システムを例に挙げて説明する。なお、各映像受信端末100が受信している受信情報および優先度情報は、それぞれ図12および図13に示すものと同じであり、ネットワーク200全体の優先度情報は、図14に示すものと同じであるものとする。
【0106】
まず、図17を用いて、映像受信端末A100−aが正常に処理を終了した後(以下、「正常終了後」と称す)に撤去された場合の優先度情報の更新について説明する。なお、図17は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、映像受信端末Aを正常終了後に撤去する場合における優先度情報の更新の手順を示すフローチャートである。
【0107】
図17において、映像受信端末A100−aにおける外部入力受信部101は、ユーザからの映像サービス取得終了要求を受信し、端末管理部102へ映像サービスの取得停止を要求する(S401)。
【0108】
外部入力受信部101から映像サービスの取得停止の要求を受け付けた端末管理部102は、コンテンツ制御部103に対して映像サービスの取得停止を、コンテンツ再生部104に対して映像コンテンツの再生停止を、それぞれ要求する(S402)。
【0109】
端末管理部102から停止要求を受け付けたコンテンツ制御部103は、映像サーバ300との通信を終了して映像サービスの取得処理を停止し、コンテンツ再生部104は、映像コンテンツの再生処理を停止する(S403)。
【0110】
コンテンツ制御部103およびコンテンツ再生部104は、それぞれ、停止処理が完了するとその旨を端末管理部102へ通知する。コンテンツ制御部103およびコンテンツ再生部104から通知を受けた端末管理部102は、映像サービスの取得停止処理が完了したことを優先度情報管理部111へ通知する。端末管理部102から通知を受けた優先度情報管理部111は、映像サービスの取得を停止したことを、ネットワーク200に接続されている全ての映像受信端末100へ通知する。このとき、優先度情報管理部111は、映像サービスの取得を停止した旨の情報と共に、その映像サービスに対応する優先度情報を付加して通知する(S404)。
【0111】
映像受信端末A100−aの優先度情報管理部111から通知を受けた全ての映像受信端末100(ここでは、映像受信端末B100−bおよび映像受信端末C100−c)の優先度情報管理部111は、それぞれの優先度情報記録部112に保存されている優先度情報から該当する優先度情報(映像受信端末A100−aが取得処理を停止した映像サービスに対応する優先度情報)を削除する(S405)。
【0112】
映像受信端末A100−aに対して映像サービスの取得終了を要求したユーザは、映像受信端末A100−aにおいて映像サービスの取得停止処理が完了した後、映像受信端末A100−aをネットワーク200から撤去する(S406)。
【0113】
以上のような手順を踏むことにより、映像受信端末A100−aを正常終了後に撤去した後のネットワーク200全体の優先度情報には、映像受信端末A100−aの優先度情報は含まれないため、残りの(映像受信端末A100−a以外の)映像受信端末100間で帯域優先制御を行う映像配信システムを構築することが可能となる。
【0114】
次に、図18を用いて、映像受信端末A100−aが正常に処理を終了せずに、すなわち異常終了の状態で撤去された後に、映像の乱れが発生した場合の映像受信端末100間の帯域優先制御の方法について説明する。なお、図18は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて映像受信端末Aを異常終了の状態で撤去された後に、映像の乱れが発生した場合の映像受信端末間の帯域優先制御の手順を示すフローチャートである。
【0115】
図18において、まず、ユーザは、映像受信端末A100−aにて映像サービス取得中に、映像受信端末A100−aの電源プラグを引き抜き、ネットワーク200から撤去する(S501)。
【0116】
ステップS501において、ユーザがネットワーク200から映像受信端末A100−aを異常終了の状態で撤去した後に、映像受信端末B100−bにおいてコンテンツ再生部104が映像の乱れを検出する(S502)。
【0117】
映像受信端末B100−bにおいて、コンテンツ再生部104は映像の乱れを検出したことを端末管理部102へ通知する(S503)。
【0118】
コンテンツ再生部104から映像の乱れを検出した旨の通知を受けた端末管理部102は、優先度情報管理部111に対して、映像乱れが発生した旨を、ネットワーク200に接続されている全ての映像受信端末100へ通知することを要求する(S504)。
【0119】
映像受信端末B100−bにおいて、端末管理部102から通知要求を受けた優先度情報管理部111は、ネットワーク200に接続されている全ての映像受信端末100に対して、映像乱れが発生したことを通知する(S505)。
【0120】
映像受信端末B100−bの優先度情報管理部111から通知を受けた全ての映像受信端末100(ここでは、映像受信端末C100−cのみ)および映像受信端末B100−bにおいては、各々の優先度情報管理部111が、各々の優先度情報記録部112に保存されているネットワーク200全体の優先度情報を参照し、自端末の端末識別子に関連付けられた優先度が最下位でないかを調べる(S506)。
【0121】
この際、図14に示すとおり、一番低い優先度に関連付けられた端末識別子は、映像受信端末A100−aを指し示しているので、図15のステップS306に示すように、映像受信端末A100−aにおけるコンテンツ制御部103およびコンテンツ再生部104が、それぞれ、当該映像コンテンツの取得処理および再生処理を停止することになる。
【0122】
しかしながら、ステップS501において、映像受信端末A100−aは、既にネットワーク200から撤去されているため、この場合は、映像受信端末B100−bからの映像乱れ発生通知が予め定めた一定時間を経過し、かつ、最も低い優先度の映像サービスの取得処理が停止されない場合に、2番目に低い優先度に関連付けられた端末IDを持つ映像受信端末100(ここでは、映像受信端末C100−c)の優先度情報管理部111が、最も低い優先度に関連付けられた端末IDを持つ映像受信端末100(ここでは、映像受信端末A100−a)のIPアドレスに対して接続確認を行う(S507)。
【0123】
映像受信端末C100−cは、映像受信端末A100−aとの間で接続確認が取れない場合は、自端末における映像サービス(2番目に低い優先度を有する映像サービス)の取得処理を停止する(S508)。このときの映像受信端末C100−cにおける動作は、図15のステップS306およびステップS307に示す映像受信端末A100−aにおける動作と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0124】
映像サービスの取得処理の停止を完了させた映像受信端末C100−cの優先度情報管理部111は、映像サービスの取得処理の停止が完了したことを、ネットワーク200に接続された全ての映像受信端末100(ここでは、映像受信端末B100−bのみ)へ通知する(S509)。このとき、映像受信端末C100−cの優先度情報管理部111は、映像サービスの取得処理の停止を完了させた旨の情報と共に、その映像サービスに対応する優先度情報も付け加えて通知する。
【0125】
ステップS509において通知を受けたネットワーク200に接続された全ての映像受信端末100(ここでは、映像受信端末B100−bのみ)および映像受信端末C100−cにおいては、各々の優先度情報管理部111は、各々の優先度情報記録部112に保存されている優先度情報から該当する優先度情報を削除する。このとき、該当する優先度情報よりも低い優先度情報と関連付けられた端末識別子の優先度情報を全て削除する(S510)。
【0126】
ここで、該当する優先度情報とは、2番目に低い優先度を有する映像受信端末C100−cに関連付けられた優先度情報のことである。
【0127】
なお、この際、ネットワーク200に接続された全ての映像受信端末100のそれぞれの優先度情報記録部112に保存されるネットワーク200全体の優先度情報は、図16に示すネットワーク200全体の優先度情報の内、最下段に記述された情報を削除した残りの優先度情報となる。
【0128】
また、映像受信端末C100−cにおける優先度情報管理部111も、優先度情報記録部112に保存されている優先度情報から該当する優先度情報、および該当する優先度情報よりも低い優先度情報と関連付けられた端末識別子の優先度情報を全て削除するので、これらの優先度情報を削除した後の映像受信端末C100−cにおける優先度情報記録部112に保存されるネットワーク200全体の優先度情報は、ネットワーク200に接続された他の全ての映像受信端末100における優先度情報記録部112に保存されるネットワーク200全体の優先度情報と同じになる。
【0129】
その後、映像受信端末B100−bは、映像の乱れが回復したか否かを確認する(S511)。
【0130】
ステップS511において、映像の乱れが引き続き発生している場合(ステップS511においてNoの場合)には、継続して映像乱れ発生の通知を全ての映像受信端末100に送信し続け、ステップS505〜ステップS511の処理を、映像乱れが回復したことを確認するまで繰り返し実行する。
【0131】
一方、ステップS511において、映像の乱れが回復したことを確認した場合(ステップS511においてYesの場合)には、映像乱れ発生の通知を停止し、映像に乱れが発生した際の処理を終了させる。
【0132】
以上のような手順を踏むことにより、ネットワーク200に接続されていた映像受信端末100(ここでは、映像受信端末A100−a)が、異常終了の状態で撤去された後に映像乱れが発生した場合でも、残りの映像受信端末100で構成される映像配信システムにおいて帯域優先制御を行うことが可能となる。
【0133】
なお、本発明の実施の形態1においては、ネットワーク200から撤去された優先度が最も低い映像受信端末100(ここでは、映像受信端末A100−a)が、映像サービスの取得処理を停止させる停止処理を行わずに撤去された場合は、2番目に優先度が低い映像受信端末100(ここでは、映像受信端末C100−c)が、映像受信端末A100−aとの間の接続確認を行うことで、最も優先度の低い映像受信端末100(ここでは、映像受信端末A100−a)の生存確認(ネットワーク200に接続されて機能しているかの確認)を行ったが、最も優先度の低い映像受信端末100が、ネットワーク200を介して、常に生存していることを通知するメッセージ(Keep Aliveメッセージ)を、例えば、所定の一定間隔で送信するようにしても良い。その場合は、最も優先度の低い映像受信端末100からのメッセージがネットワーク200を介して届かなくなった時点で、ネットワーク200全体の優先度情報を更新すれば、残った映像受信端末100間で帯域優先制御が可能となる。
【0134】
次に、図19および図20を用いて、映像配信システムにおいて新たに映像受信端末D100−dが追加された場合のネットワーク200全体の優先度情報の更新の手順について説明する。なお、図19は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて新たに映像受信端末Dが追加された場合の構成を示すブロック図であり、図20は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、新たに映像受信端末Dが追加された場合のネットワーク全体の優先度情報の更新手順を示すフローチャートである。
【0135】
図19において、映像受信端末D100−dのIPアドレスを192.168.20.5とし、このIPアドレスを映像受信端末D100−dの端末識別子として使用する。なお、映像受信端末A100−a、映像受信端末B100−bおよび映像受信端末C100−cのIPアドレスについては、図10に示す映像配信システムにおけるものと同じIPアドレスである。
【0136】
図20において、まず、ユーザは、映像受信端末D100−dにおける外部入力受信部101を介して、サービス優先度記録部110に映像受信端末D100−dが対応する各映像サービスに優先時間を関連付けて記録する(S601)。なお、図21は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、新たに追加された映像受信端末Dのサービス優先度記録部に記録された、映像受信端末Dが対応する映像サービス名と優先時間を関連付けて記録した情報の一例を示す図である。
【0137】
その後、映像受信端末D100−dがネットワーク200に新たに追加接続され、その際、映像受信端末D100−dにおける端末管理部102は、優先度情報管理部111へネットワーク200全体の優先度情報の入手要求を行う。入手要求を受けた優先度情報管理部111は、通信制御部105を介してネットワーク200に接続された全ての映像受信端末100へネットワーク参加通知を送信する(S602)。
【0138】
通知を受けた全ての映像受信端末100における各々の優先度情報管理部111は、自端末の優先度情報を映像受信端末D100−dへ送信する。映像受信端末D100−dにおける優先度情報管理部111は、受信した各映像受信端末100の優先度情報を優先度情報記録部112へ保存する(S603)。
【0139】
次に、ユーザは、リモコンを操作し、映像受信端末D100−dに対して映像サービス、具体的には有料IP放送サービスの取得要求を行い、映像サービスの取得要求を受けた映像受信端末D100−dは、ネットワーク200を介して映像サーバ300に接続し、映像サーバ300から有料IP放送サービスの受信を開始する(S604)。このときの動作は、図3におけるステップS102〜S103と同様である。ここでは、09:00:00に有料IP放送の受信を開始したものとする。
【0140】
有料IP放送の受信を開始した映像受信端末D100−dは、受信情報および優先度情報の設定を行う(S605)。この場合の設定方法は、図3におけるステップS104〜S108と同様である。なお、図22は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、新たに追加された映像受信端末Dの受信情報設定部に記録された受信情報の一例を示す図であり、図23は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、09:00:00時点の新たに追加された映像受信端末Dの優先度情報記録部に記録された優先度情報の一例を示す図である。
【0141】
映像受信端末D100−dは、ネットワーク200に接続されている全ての映像受信端末100に対して映像サービスの受信を開始した旨を通知し、受信を開始した旨の通知を受けた全ての映像受信端末100および映像受信端末D100−dは、ネットワーク200全体の優先度情報を更新する(S606)。なお、図24は、本発明の実施の形態1に係る映像配信システムにおいて、新たに映像受信端末Dを追加した後の09:00:00時点のネットワーク全体の優先度情報の一例を示す図である。
【0142】
以上のような手順を踏むことにより、映像受信端末100が、受信開始時のタイムスタンプと、映像受信端末100の受信動作内容により算出された優先度を使用してネットワーク200内の帯域優先制御を行うことで、映像配信システムにおいて、新たな映像サービスに対応した映像受信端末100が追加されても、システム全体での優先度設定を行うことなく帯域優先制御を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、映像サーバと、映像サーバから通信ネットワークを介して映像・音声コンテンツのストリームデータなどを受信する複数の映像受信端末とで構成される映像配信システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0144】
100 映像受信端末
101 外部入力受信部
102 端末管理部
103 コンテンツ制御部
104 コンテンツ再生部
105 通信制御部
106 受信情報設定部
107 タイムスタンプ測定部
108 受信端末識別子記録部
109 優先度情報設定部
110 サービス優先度記録部
111 優先度情報管理部
112 優先度情報記録部
200 ネットワーク
300 映像サーバ
400 伝送制御端末
401 伝送開始情報受信部
402 伝送状況情報受信部
403 サーバ伝送優先制御部
404 伝送状況情報記録部
405 優先度情報記録部
500 映像受信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像配信サーバと、外部ネットワークおよび宅内ネットワークで構成される通信ネットワークと、映像配信サーバから前記通信ネットワークを介して映像サービスを受信するとともに、前記宅内ネットワークを介して互いにデータ通信を行う複数の映像受信端末装置とで構成される映像配信システムであって、
前記映像受信端末装置は、
前記映像サービス名と前記映像サービスの受信を開始した時刻を示す受信タイムスタンプとを関連付けた受信情報を設定する受信情報設定手段と、
前記受信情報に含まれる前記映像サービスに対応する前記受信タイムスタンプと、前記映像サービス毎に予め割り当てられたサービス優先度(優先時間)を基に、所定の算出方法により前記映像サービス毎の優先度を算出し、前記映像受信端末装置を識別する端末識別子と関連付けた優先度情報として設定・記録する優先度情報設定手段と、
前記優先度情報設定手段に設定・記録された自端末装置の前記優先度情報を、設定・記録される度に前記宅内ネットワークを介して他の全ての前記映像受信端末装置に送信し、前記他の全ての前記映像受信端末からの前記優先度情報を受信して前記宅内ネットワーク全体の優先度情報として前記優先度情報設定手段に記録するとともに、自端末装置に映像乱れが発生した場合、他の前記映像受信端末装置から映像乱れが発生した旨の通知を受け取った場合、および他の前記映像受信端末装置から前記映像サービスの受信処理の停止が完了した旨の通知を受け取った場合に優先度に関連する処理を行う優先度情報管理手段と、
前記映像サービスにおけるコンテンツを再生するとともに映像乱れの発生を検出するコンテンツ再生手段と、
前記通信ネットワークを介して前記映像配信サーバから配信される前記映像サービスにおけるコンテンツの受信処理の制御を行うコンテンツ制御手段と、を備え、
複数の前記映像受信端末装置の内の映像受信端末装置Bにおける前記コンテンツ再生手段が映像乱れの発生を検出した場合、
前記映像受信端末装置Bの前記優先度情報管理手段は、前記宅内ネットワークを介して前記映像受信端末装置B以外の全ての前記映像受信端末装置に対して映像乱れが発生した旨を通知し、通知を受け取った前記映像受信端末装置B以外の全ての前記映像受信端末装置の前記優先度情報管理手段は、各々の前記優先度情報設定手段に記録されている前記宅内ネットワーク全体の前記優先度情報を調べ、自端末装置に関連付けられた優先度が最も低い前記映像サービスを受信していることを確認した前記映像受信端末装置(映像受信端末装置Aとする)の前記優先度情報管理手段は、コンテンツ制御手段における当該映像サービスの受信処理を停止させ、受信処理の停止が完了するとその旨を、前記宅内ネットワークを介して前記映像受信端末装置A以外の全ての前記映像受信端末装置に対して通知し、
前記映像受信端末装置Aを含む全ての前記映像受信端末装置の前記優先度情報管理手段は、各々の前記優先度情報設定手段に記録されている前記優先度情報から当該映像サービスに関連する前記優先度情報を削除し、
これら一連の処理を、前記映像受信端末装置Bにおける映像乱れが回復するまで繰り返すことを特徴とする映像配信システム。
【請求項2】
前記映像受信端末装置Bから映像乱れが発生した旨の通知があった後に予め定めた所定の時間が経過し、かつ、前記映像受信端末装置Aが当該映像サービスの受信処理を停止させない場合には、
優先度が2番目に低い前記優先度情報に関連づけられた前記映像受信端末装置(映像受信端末装置Cとする)の前記優先度情報管理手段は、前記宅内ネットワークを介し前記映像受信端末装置Aに対して接続要求を行い、接続確認ができない場合は、自端末装置のコンテンツ制御手段における当該映像サービスの受信処理を停止させるとともに、当該映像サービスの受信処理の停止が完了するとその旨を、前記宅内ネットワークを介して全ての前記映像受信端末装置に通知し、通知を受けた全ての前記映像受信端末装置および前記映像受信端末装置Cの前記優先度情報管理手段は、各々の前記優先度情報設定手段に記録している優先度が2番目に低い前記優先度情報およびそれより優先度が低い前記優先度情報を全て削除することを特徴とする請求項1記載の映像配信システム。
【請求項3】
各々の前記映像受信端末装置における前記優先度情報設定手段は、各々の前記映像受信端末装置が前記映像サービスの受信を開始した時点で、前記映像サービスに対応する前記優先度情報を設定・記録することを特徴とする請求項1または2記載の映像配信システム。
【請求項4】
各々の前記映像受信端末装置における前記優先度情報設定手段は、前記受信情報に含まれる前記映像サービスに対応する前記受信タイムスタンプから、前記映像サービス毎に予め割り当てられたサービス優先度(優先時間)を減算または加算することにより前記映像サービス毎の優先度を算出し、自端末装置を識別する端末識別子と関連付けた優先度情報として設定・記録することを特徴とする請求項1または2記載の映像配信システム。
【請求項5】
前記映像サービス毎に予め割り当てられるサービス優先度(優先時間)は、前記映像サービスのリアルタイム性に応じて割り当てられることを特徴とする請求項1または2記載の映像配信システム。
【請求項6】
各々の前記映像受信端末装置における前記優先度情報設定手段は、前記優先度情報を設定・記録した後に予め設定した一定時間が経過すると、前記優先度情報の再設定を行うことを特徴とする請求項1または2記載の映像配信システム。
【請求項7】
前記優先度情報設定手段に前記映像サービスと前記映像サービス毎に予め割り当てられた前記サービス優先度(優先時間)を関連付けて記録している映像受信端末装置Dを新たに前記宅内ネットワークに追加する場合には、
前記映像受信端末装置Dは、前記宅内ネットワークを介して全ての前記映像受信端末装置に対して前記宅内ネットワークに参加した旨を通知し、通知を受けた全ての前記映像受信端末装置から送信された各々の優先度情報を前記優先度情報設定手段に記録した後、ユーザからの要求に応じて前記映像配信サーバから特定の前記映像サービス(映像サービスaとする)の受信を開始し、前記受信情報設定手段および前記優先度情報設定手段においてそれぞれ前記映像サービスaに対応する前記受信情報と前記優先度情報を設定するとともに、前記宅内ネットワークを介して全ての前記映像受信端末装置に対して映像サービスの受信を開始した旨を通知し、通知を受けた全ての前記映像受信端末装置および前記映像受信端末装置Dは、前記宅内ネットワーク全体の優先度情報を更新することを特徴とする請求項1乃至6に記載の映像配信システム。
【請求項8】
請求項1に記載の映像配信システムを構成する映像受信端末装置であって、
前記映像サービス名と前記映像サービスの受信を開始した時刻を示す受信タイムスタンプとを関連付けた受信情報を設定する受信情報設定手段と、
前記受信情報に含まれる前記映像サービスに対応する前記受信タイムスタンプと、前記映像サービス毎に予め割り当てられたサービス優先度(優先時間)を基に、所定の算出方法により前記映像サービス毎の優先度を算出し、前記映像受信端末装置を識別する端末識別子と関連付けた優先度情報として設定・記録する優先度情報設定手段と、
前記優先度情報設定手段に設定・記録された自端末装置の前記優先度情報を、設定・記録される度に前記宅内ネットワークを介して他の全ての前記映像受信端末装置に送信し、前記他の全ての前記映像受信端末からの前記優先度情報を受信して前記宅内ネットワーク全体の優先度情報として前記優先度情報設定手段に記録するとともに、自端末装置に映像乱れが発生した場合、他の前記映像受信端末装置から映像乱れが発生した旨の通知を受け取った場合、および他の前記映像受信端末装置から前記映像サービスの受信処理の停止が完了した旨の通知を受け取った場合に優先度に関連する処理を行う優先度情報管理手段と、
前記映像サービスにおけるコンテンツを再生するとともに映像乱れの発生を検出するコンテンツ再生手段と、
前記通信ネットワークを介して前記映像配信サーバから配信される前記映像サービスにおけるコンテンツの受信処理の制御を行うコンテンツ制御手段と、を備え、
前記優先度情報管理手段は、
前記コンテンツ再生手段が映像乱れを検出した場合には、前記宅内ネットワークを介して他の全ての前記映像受信端末装置に対して映像乱れが発生した旨を通知し、
前記宅内ネットワークを介して他の前記映像受信端末装置から映像乱れが発生した旨の通知を受け取った場合には、前記優先度情報設定手段に記録されている前記宅内ネットワーク全体の優先度情報を参照して自端末装置に関連付けられた優先度が最下位でないかを調べ、自端末装置に関連付けられた優先度が最下位であることを確認した際に、前記コンテンツ制御手段に対して当該映像サービスの受信処理を停止するように要求するとともに、前記コンテンツ制御手段における当該映像サービスの受信処理の停止が完了すると、その旨を、前記宅内ネットワークを介して他の全ての前記映像受信端末装置に対して通知し、
前記宅内ネットワークを介して他の前記映像受信端末装置から前記コンテンツ制御手段における当該映像サービスの受信処理の停止が完了した旨の通知を受け取った場合には、前記優先度情報設定手段に記録されている前記優先度情報から当該映像サービスに関連する前記優先度情報を削除する、
ことを特徴とする映像受信端末装置。
【請求項9】
前記優先度情報管理手段は、
前記宅内ネットワークを介して他の前記映像受信端末装置(映像受信端末装置Aとする)から映像乱れが発生した旨の通知を受け取った後、予め定めた所定の時間が経過したにもかかわらず、前記映像受信端末装置Aが当該映像サービスの受信処理を停止させない場合で、かつ、自端末装置が、優先度が2番目に低い前記優先度情報に関連づけられていた場合には、前記宅内ネットワークを介し前記映像受信端末装置Aに対して接続要求を行い、接続確認ができない場合は、自端末装置のコンテンツ制御手段における当該映像サービスの受信処理を停止させるとともに、当該映像サービスの受信処理の停止が完了するとその旨を、前記宅内ネットワークを介して全ての前記映像受信端末装置に通知し、
前記宅内ネットワークを介して他の前記映像受信端末装置(映像受信端末装置Aとする)から映像乱れが発生した旨の通知を受け取った後、予め定めた所定の時間が経過したにもかかわらず、前記映像受信端末装置Aが当該映像サービスの受信処理を停止させない場合で、かつ、優先度が2番目に低い前記優先度情報に関連づけられた前記映像受信端末装置から当該映像サービスの受信処理の停止が完了した旨の通知を受けた場合には、前記優先度情報設定手段に記録している優先度が2番目に低い前記優先度情報およびそれより優先度が低い前記優先度情報を全て削除することを特徴とする請求項8記載の映像受信端末装置。
【請求項10】
前記優先度情報設定手段は、前記映像サービスの受信を開始した時点で、前記映像サービスに対応する前記優先度情報を設定・記録することを特徴とする請求項8または9記載の映像受信端末装置。
【請求項11】
前記優先度情報設定手段は、前記受信情報に含まれる前記映像サービスに対応する前記受信タイムスタンプから、前記映像サービス毎に予め割り当てられたサービス優先度(優先時間)を減算または加算することにより前記映像サービス毎の優先度を算出し、自端末装置を識別する端末識別子と関連付けた優先度情報として設定・記録することを特徴とする請求項8または9記載の映像受信端末装置。
【請求項12】
前記映像サービス毎に予め割り当てられるサービス優先度(優先時間)は、前記映像サービスのリアルタイム性に応じて割り当てられることを特徴とする請求項8または9記載の映像受信端末装置。
【請求項13】
前記優先度情報設定手段は、前記優先度情報を設定・記録した後に予め設定した一定時間が経過すると、前記優先度情報の再設定を行うことを特徴とする請求項8または9に記載の映像受信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−49798(P2011−49798A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196241(P2009−196241)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】