説明

有機エレクトロニクス用材料

【課題】塗布法によって平滑な薄膜を形成できるとともに、結晶化の進行を抑えることのできる有機エレクトロニクス用材料を提供すること。
【解決手段】カルバゾール基を有する低分子化合物及び成膜性向上材を含む混合物からなる有機エレクトロニクス用材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロニクス用材料、並びに有機エレクトロニクス用材料を用いた有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子ということもある)、表示素子、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
【0003】
有機エレクトロニクス素子の中でも有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプの代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。
また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
【0004】
有機EL素子は、有機化合物の薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有している。薄膜の形成方法としては、蒸着法と塗布法とに大別される。蒸着法は、主に低分子化合物を用い、真空中で基板上に薄膜を形成する手法であり、製品化が先行している。
【0005】
一方、塗布法は、インクジェットや印刷など、溶液を用いて基板上に薄膜を形成する手法であり、材料の利用効率が高く、大面積化、高精細化に向いており、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な手法である。
【0006】
図1に有機EL素子の一例を示す。図1において、発光を担う層を発光層1、それ以外の層を有する場合、陽極2に接する層を正孔注入層3、陰極4に接する層を電子注入層5と称する。また発光層1と正孔注入層3の間に異なる層が存在する場合、正孔輸送層6と称する。さらに発光層1と電子注入層5の間に異なる層が存在する場合、電子輸送層7と称する。なお、図1において、8は基板である。
【0007】
一方、近年有機EL素子の高効率化のため、燐光有機EL素子の開発も活発に行われている。燐光有機EL素子では、一重項状態のエネルギーのみならず三重項状態のエネルギーも利用することが可能であり、内部量子収率を原理的には100%まで上げることが可能となる。燐光有機EL素子では、燐光を発するドーパントとして、白金やイリジウムなどの重金属を含む金属錯体系発光材料を、ホスト材料にドーピングすることで燐光発光を取り出す(例えば、非特許文献1〜3参照)。
【0008】
この燐光ドーパントの発光には、ホスト材料に対する依存性がある。ホスト材料に必要とされる基本性能としては、正孔輸送性及び電子輸送性を有すること、ホスト材料の三重項状態エネルギーレベルが高いことなどが挙げられ、一般にはCBP(4,4’−Bis(Carbazol−9−yl)−biphenyl)、CDBP(4,4’−(Carbazol−9−yl)−2,2’−dimethylbiphenyl)などのカルバゾールの誘導体が好適に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
このような燐光有機EL素子を、塗布法により作製する試みが行われている。例えば、CBPやアダマンタン骨格を有する低分子化合物とイリジウム錯体の混合物を、塗布法により成膜する方法が知られている(例えば、非特許文献4参照)。
【0010】
しかしながら、CBPのような低分子化合物を含む発光層を塗布法により成膜する場合、表面平滑性が悪く、均一な発光が得られない、結晶化が進行しやすく、ダークスポットと呼ばれる欠陥が生じる、耐熱性が低い、などという問題があった。
【0011】
有機EL素子において、均一な発光を得るため、また、耐熱性を向上させるためには、有機層が平滑な膜面であることが望ましい。大面積を形成することが可能な塗布法を用いて有機層を成膜するためには、低分子化合物を含んでいたとしても平滑な薄膜を形成でき、結晶化の進行を抑えることのできる材料が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−068466号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】M.A.Baldo et al.,Nature,vol.395,p.151(1998)
【非特許文献2】M.A.Baldo et al.,Apllied Physics Letters,vol.75,p.4(1999)
【非特許文献3】M.A.Baldo et al.,Nature,vol.403,p.750(2000)
【非特許文献4】第68回応用物理学会学術講演会 5a−ZM−4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記した問題に鑑み、塗布法によって平滑な薄膜を形成できるとともに、結晶化の進行を抑えることのできる有機エレクトロニクス用材料を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、均一な発光が得られ、耐熱性が良好である有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、これらの素子を用いることにより、優れた表示素子及び照明装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、鋭意検討した結果、カルバゾール基を有する低分子化合物と成膜性向上材とを含む混合物が、有機エレクトロニクス用材料として有用であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、カルバゾール基を有する低分子化合物及び成膜性向上材を含む混合物からなる有機エレクトロニクス用材料に関する。
また、本発明は、前記有機エレクトロニクス用材料を用いて作製された有機エレクトロニクス素子及び有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
さらに、本発明は、前記有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子及び照明装置に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有機エレクトロニクス用材料は、塗布法によって安定的かつ容易に平滑な薄膜を形成でき、したがって、有機エレクトロニクス素子、特に有機EL素子の発光の均一化、耐熱性向上、さらには生産性向上の上で極めて有用な材料である。また、本発明の有機EL素子を用いることにより、優れた特性を有する発光素子及び照明装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】多層化された有機EL素子の一例を示す模式図である。
【図2】オリゴマーAのNMRスペクトルである。
【図3】オリゴマーAのGPCクロマトグラムである。
【図4】オリゴマーBのNMRスペクトルである。
【図5】オリゴマーBのGPCクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の有機エレクトロニクス用材料は、カルバゾール基を有する低分子化合物と、成膜性向上材とを含む混合物からなることをその特徴とするものである。
【0020】
[成膜性向上材]
ここで、「成膜性向上材」とは、単独では成膜性が良好ではない低分子化合物に該材料を混合することによって、塗布法により成膜する際、結晶化を起こすことなく平滑な薄膜を安定的に成膜できるようにし、かつ、成膜後においては、低分子化合物の結晶化を抑制し、耐熱性を向上させる材料のことである。
【0021】
このような成膜性向上材としては、ポリマー又はオリゴマーが好ましく、有機EL素子の駆動電圧を低減させる観点から、カルバゾール基を有する繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーがさらに好ましく、分子内に、重合可能な置換基と、カルバゾール基を有する繰り返し単位とを有するポリマー又はオリゴマーが最も好ましい。
【0022】
以下、上記成膜性向上材として、カルバゾール基を有する繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーを用いる場合について、詳細を述べる。「カルバゾール基を有する繰り返し単位」とは、カルバゾール基を有した原子団であり、カルバゾール基を有していれば特に制限されないが、例えば、下記一般式(24a)〜(30a)が挙げられる。
【0023】
【化1】

(式中、Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、又は(ポリ)エーテルである下記一般式(15a)〜(17a)
【化2】

(ただし、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜22個の直鎖、環状若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数2〜30個のアリール基若しくはヘテロアリール基を表し、a、b及びcは、1以上の整数、好ましくは1〜4の整数を表す。)を表す。X及びYは、それぞれ独立に、前記Rのうち、水素原子を1つ以上有する基から、さらに1つの水素原子を除去した基を表す。Zは、それぞれ独立に、前記Rのうち、水素原子を2つ以上有する基から、さらに2つの水素原子を除去した基を表す。xは0又は1の整数である。
【0024】
カルバゾール基を有する繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーとして、具体的には、下記一般式(1a)〜(14a)が例示される。
【0025】
【化3】

〔式中、Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、又は(ポリ)エーテルである下記一般式(15a)〜(17a)
【化4】

(ただし、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜22個の直鎖、環状若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数2〜30個のアリール基若しくはヘテロアリール基を表し、a、b及びcは、1以上の整数、好ましくは1〜4の整数を表す。)を表す。X及びYは、それぞれ独立に、前記Rのうち、水素原子を1つ以上有する基から、さらに1つの水素原子を除去した基を表す。Zは、それぞれ独立に、前記Rのうち、水素原子を2つ以上有する基から、さらに2つの水素原子を除去した基を表す。Arは、それぞれ独立に、置換若しくは非置換のアリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基を表す。Eは、それぞれ独立に、前記R又は重合可能な置換基を含む基を表す。xは0又は1の整数であり、nは2以上の整数である。〕
【0026】
上記一般式(1a)〜(14a)中のArは、それぞれ独立に、置換又は非置換のアリーレン基、置換又は非置換のヘテロアリーレン基、または、置換又は非置換のアリーレン基とヘテロアリーレン基を組み合わせた基を表す。ここで、アリーレン基とは、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団であり、ヘテロアリーレン基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子2個を除いた原子団である。またアリーレン基、ヘテロアリーレン基は、置換又は非置換であってもよい。アリーレン基としては、例えば、フェニレン、ビフェニル−ジイル、ターフェニル−ジイル、ナフタレン−ジイル、アントラセン−ジイル、テトラセン−ジイル、フルオレン−ジイル、フェナントレン−ジイル等が挙げられ、ヘテロアリーレン基としては、例えば、ピリジン−ジイル、ピラジン−ジイル、キノリン−ジイル、イソキノリン−ジイル、アクリジン−ジイル、フェナントロリン−ジイル、フラン−ジイル、ピロール−ジイル、チオフェン−ジイル、オキサゾール−ジイル、オキサジアゾール−ジイル、チアジアゾール−ジイル、トリアゾール−ジイル、ベンゾオキサゾール−ジイル、ベンゾオキサジアゾール−ジイル、ベンゾチアジアゾール−ジイル、ベンゾトリアゾール−ジイル、ベンゾチオフェン−ジイル等が挙げられる。さらに置換又は非置換であってもよいアリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基の例を下記構造式(1)〜(30)に示す。
【0027】
【化5】

【0028】
また、上記一般式(1a)〜(14a)において、Arは、溶解度や化学的安定性の観点から、フェニレン基、フルオレン−ジイル基、フェナントレン−ジイル基、縮環構造を有する上記の構造式(29)及び(30)が好ましい。なお、上記構造式(29)及び(30)におけるl、m、nは、1〜5の整数であり、2〜4が好ましい。
【0029】
また、本発明の有機エレクトロニクス用材料を燐光有機EL素子の発光層に用いる場合、燐光を発するドーパントへのエネルギー移動を効率的に起こすために、バンドギャップが大きいことが望ましい。この観点から、多環構造を有する上記の構造式(29)及び(30)がより好ましい。
【0030】
上記一般式(1a)〜(14a)、(24a)〜(30a)における置換基R及び上記構造式(1)〜(30)における置換基Rとしては、特に制限はないが、例えば、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、又は(ポリ)エーテルである下記一般式(15a)〜(17a)
【0031】
【化6】

(ただし、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜22個の直鎖、環状若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数2〜30個のアリール基若しくはヘテロアリール基を表し、a、b及びcは、1以上の整数、好ましくは1〜4の整数を表す。)で表される置換基を挙げることができ、それぞれは同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
これらの置換基の例として、例えば、以下の置換基を挙げることができる。
−Rの例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、フラン残基、チオフェン残基、ピロール残基、オキサゾール残基、チアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、ピリミジン残基、ピラジン残基、トリアジン残基、キノリン残基、キノキサリン残基を挙げることができる。
−ORの例としては、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基を挙げることができる。
−SRの例としては、メルカプト基、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基を挙げることができる。
−OCORの例としては、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基を挙げることができる。
−COORの例としては、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
−SiRの例としては、シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
ここで、R〜R11は置換基を有していてもよく、置換基の例として、ハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基等を挙げることができる。これらの置換基は、さらにハロゲン原子、メチル基等によって置換されていてもよい。
【0033】
これらの置換基のうち、Rとしては、それぞれ独立して、水素原子であるか、−Rで表されるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は−ORで表される水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基が、重合反応性及び耐熱性の点から好ましい。すなわち、一般式(1a)〜(14a)で表されるポリマー又はオリゴマー、(24a)〜(30a)で表される繰り返し単位は、未置換であるか、−Rで表されるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などの置換基を有しているか、−ORで表される水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基などの置換基を有していることが好ましい。
【0034】
上記一般式(1a)〜(14a)、(24a)〜(30a)におけるX及びYは、それぞれ独立に、前記R(好ましくは−R)のうち、水素原子を1つ以上有する基から、さらに1つの水素原子を除去した基を表し、例えば、下記一般式が挙げられる。X及びYは、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、直鎖または分岐でもよい炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
【0035】
【化7】

【0036】
上記一般式(1a)〜(14a)、(24a)〜(30a)のZは、それぞれ独立に、前記R(好ましくは−R)のうち、水素原子を2つ以上有する基から、さらに2つの水素原子を除去した基を表し、例えば、下記一般式が挙げられる。Zは、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、直鎖または分岐でもよい炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
【0037】
【化8】

【0038】
また、上記ポリマー又はオリゴマーは、「重合可能な置換基」を含んでいてもよい。ここで、上記「重合可能な置換基」とは、重合反応を起こすことにより2分子以上の分子間で結合を形成可能な置換基のことであり、以下、その詳細について述べる。
【0039】
有機EL素子においては、発光効率及び素子寿命の向上などを目的として、素子構造の多層化が行われているが、塗布法においては、類似溶媒を用いて多層化を行う際に、既に形成された下層が、上層を積層する際に溶解してしまうという問題があった。これに対し、ポリマー又はオリゴマーが重合可能な置換基を有する場合、下層を塗布後、重合反応によって溶解度を変化させることが可能であり、その後に類似溶媒を用いて上層を形成する際にも、下層の溶解を防ぐことができる。
【0040】
上記ポリマー又はオリゴマーは、「重合可能な置換基」を1つ以上有することが好ましい。十分に溶解度を変化させるとともに、有機EL素子特性への悪影響を抑制する観点から、好ましくは、1〜20個、より好ましくは2〜10個である。
【0041】
上記重合可能な置換基としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリルアミド基、アレーン基、アリル基、ビニルオキシ基、ビニルアミノ基、フリル基、ピロール基、チオフェン基、シロール基等を挙げることができる)、小員環を有する基(たとえばシクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等)、ラクトン基、ラクタム基、又はシロキサン誘導体を含有する基等が挙げられる。
【0042】
また、上記基の他に、エステル結合やアミド結合を形成可能な基の組み合わせなども利用できる。例えば、エステル基とアミノ基、エステル基とヒドロキシル基等の組み合わせである。重合可能な置換基としては、特に、オキセタン基、エポキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が反応性の観点から好ましく、オキセタン基が最も好ましい。
【0043】
また、重合可能な置換基は、ポリマー又はオリゴマーの側鎖として導入されていても、末端に導入されていてもよく、側鎖と末端の両方に導入されていてもよい。特に、末端に導入されている場合は、ポリマー又はオリゴマー主鎖の特性へ与える影響が小さく、好ましい。
【0044】
重合可能な置換基が末端に導入されているポリマー又はオリゴマーとして、具体的には、例えば上記一般式(1a)〜(14a)におけるEが、重合可能な置換基を有する基であるポリマー又はオリゴマーが例示される。上記一般式(1a)〜(14a)のEとしては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、カルバゾール基、又はこれらを組み合わせた基などに前述の重合可能な置換基が1つ以上結合した基である。これらのアルキル基等としては、上記一般式(1a)〜(14a)、(24a)〜(30a)における−R、−ORと同様の基が挙げられる。Eは同一であっても、異なっていてもよい。Eとして、好ましくはオキセタン基含有基であり、例えば、下記一般式(38)が挙げられる。
【0045】
【化9】

【0046】
また、上記一般式(1a)〜(14a)において、繰り返し数nの数平均は、2以上が好ましく、2以上100以下がより好ましく、2以上20以下がさらに好ましい。nが小さすぎると成膜安定性が低下し、大きすぎると重合反応を行っても溶解度の変化が小さく、積層化が困難になる傾向がある。
【0047】
また、ポリマー又はオリゴマーの数平均分子量は、1,000以上100,000以下であることが好ましく、1,000以上10,000以下であることがより好ましい。分子量が1,000未満であると成膜安定性が低下し、100,000を超えると重合反応を行っても溶解度の変化が小さく、積層化が困難になる傾向がある。なお、ポリマー又はオリゴマーの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算で測定したときの数平均分子量のことである。
【0048】
また、ポリマー又はオリゴマーの多分散度は、1.0より大きいことが好ましく、1.1以上5.0以下がより好ましく、1.2以上3.0以下が最も好ましい。多分散度が小さすぎると、成膜後に凝集しやすくなる傾向があり、大きすぎると素子特性が低下する傾向がある。なお、ポリマー又はオリゴマーの多分散度は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン換算で測定したときの(重量平均分子量/数平均分子量)のことである。
【0049】
[成膜性向上材の製造方法]
ポリマー又はオリゴマーは、種々の当業者公知の合成法により製造できる。例えば、合成に用いられるモノマーが芳香族環を有し、芳香族環同士を結合させたポリマー又はオリゴマーを製造する場合には、ヤマモト(T.Yamamoto)らのBull.Chem.Soc.Jap.、51巻、7号、2091頁(1978)及びゼンバヤシ(M.Zembayashi)らのTet.Lett.,47巻4089頁(1977)に記載されている方法を用いることができるが、スズキ(A.Suzuki)によりSynthetic Communications,Vol.11,No.7,p.513(1981)において報告されている方法がポリマー又はオリゴマーの製造には一般的である。
【0050】
この反応は、芳香族ボロン酸(boronic acid)誘導体と芳香族ハロゲン化物の間でPd触媒化クロスカップリング反応(通常、「鈴木反応」と呼ばれる)を起こさしめるものであり、対応する芳香族環同士を結合する反応に用いることにより、ポリマー又はオリゴマーを製造することができる。
【0051】
また、この反応はPd(II)塩又はPd(0)錯体の形態の可溶性Pd化合物を必要とする。芳香族反応体を基準として0.01〜5モルパーセントのPd(PhP)、3級ホスフィンリガンドとのPd(OAc)錯体及びPdCl(dppf)錯体が一般に好ましいPd源である。この反応は塩基も必要とし、水性アルカリカーボネート又はバイカーボネートが最も好ましい。
【0052】
また、相間移動触媒を用いて、非極性溶媒中で反応を促進することもできる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、アニソール、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が用いられる。
【0053】
[低分子化合物]
次に、上記成膜性向上材と混合して使用する低分子化合物について詳細に述べる。本発明において低分子化合物は、分子量は1,000未満であることが好ましい。有機EL素子の発光効率の観点から、分子内に少なくとも1つ以上のカルバゾール基を有する化合物、より好ましくはカルバゾール基が直接又は結合基を介して結合した、2つ以上のカルバゾール基を有する化合物であることが好ましい。これらの化合物は置換基を有していてもよい。低分子化合物として、置換基又は非置換のCBP、mCP(1,3−bis(9−carbazolyl)benzene)がさらに好ましく、下記一般式(18a)〜(20a)で表される化合物が最も好ましい。
【0054】
【化10】

[式中、E〜E59は重合可能な置換基を含む基又はR〔Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、又は(ポリ)エーテルである下記一般式(15a)〜(17a)
【0055】
【化11】

(ただし、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜22個の直鎖、環状若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数2〜30個のアリール基若しくはヘテロアリール基を表し、a、b及びcは、1以上の整数、好ましくは1〜4の整数を表す。)を表す。〕を表す。X〜Xは、それぞれ独立に、前記Rのうち、水素原子を2つ以上有する基から、さらに水素原子を2つ除いた基を表す。]
【0056】
〜E59が置換基Rである場合、Rとしては、上記一般式(1a)〜(14a)のRと同様の基を挙げることができる。
【0057】
〜Xは、それぞれ独立に、前記置換基R(好ましくは−R)のうち、水素原子を2つ以上有する基から、さらに水素原子を2つ除いた基を表す。なお、X〜Xに結合するEが水素原子である場合は、X〜Xは、それぞれ独立に、前記置換基R(好ましくは−R)のうち、水素原子を2つ以上有する基から、さらに水素原子を1つ除いた基を表すこととなる。このような基としては、ベンゼン環を含有する基であることが好ましく、例えば、下記構造式(21a)〜(23a)が挙げられる。X〜Xは置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、直鎖または分岐でもよい炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
【化12】

【0058】
上記低分子化合物は、「重合可能な置換基」を有していてもよい。「重合可能な置換基」としては、上記ポリマー又はオリゴマーが有する重合可能な置換基と同様の置換基を挙げることができる。特に、オキセタン基、エポキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が反応性の観点から好ましく、オキセタン基が最も好ましい。
【0059】
重合可能な置換基が末端に導入されている低分子化合物として、具体的には、例えば上記一般式(18a)〜(20a)におけるそれぞれE〜E17、E18〜E35、又はE36〜E59の1つ以上が、重合可能な置換基を有する基である低分子化合物が例示される。上記一般式(18a)〜(20a)のE〜E59としては、上記ポリマー又はオリゴマーが有するEと同様の基を挙げることができる。
【0060】
耐熱性の観点から、成膜性向上材に重合可能な置換基を有するポリマー又はオリゴマーを用い、低分子化合物も重合可能な置換基を有することが好ましい。
また、ポリマー又はオリゴマーと、低分子化合物が、同一の重合可能な置換基を有することがさらに好ましく、双方がオキセタン基を有することが最も好ましい。
【0061】
低分子化合物が重合可能な置換基を有する場合、上記一般式(18a)においては、置換基E〜E17のうち、1つ以上が重合可能な置換基を含む基であり、より好ましくは2つ以上が重合可能な置換基を含む基であり、最も好ましくは2つ又は4つが重合可能な置換基を含む基である。上記一般式(19a)においては、置換基E18〜E35のうち、1つ以上が重合可能な置換基を含む基であり、好ましくは2つ以上が重合可能な置換基を含む基であり、最も好ましくは2つ又は4つが重合可能な置換基を含む基である。また、上記一般式(20a)においては、置換基E36〜E59のうち、1つ以上が重合可能な置換基を含む基であり、好ましくは2つ以上が重合可能な置換基を含む基であり、最も好ましくは2つ又は3つが重合可能な置換基を含む基である。
【0062】
[仕事関数と混合比]
上記低分子化合物と成膜性向上材の、仕事関数の差(仕事関数の差の絶対値)は、1.0eV以下であることが好ましく、0.5eV以下であることがより好ましく、0.3eV以下であることが最も好ましい。仕事関数の差が大きすぎると、駆動電圧が上昇しやすい傾向があるためである。また、上記低分子化合物と成膜性向上材の仕事関数それぞれの値は、上記仕事関数の差の範囲内であればよく、特に制限はない。
【0063】
上記仕事関数は、低分子化合物又は成膜性向上材の厚さ1nm〜1μmの薄膜表面に紫外線を照射し、放出される電子を計測することで測定できる。例えば、理研計器製表面分析装置AC−1を用い、照射光量10〜200nWの条件で測定することができる。
【0064】
上記低分子化合物と成膜性向上材の混合比は、低分子化合物対成膜性向上材の重量比が、1対99〜99対1が好ましく、10対90〜90対10がより好ましく、結晶化抑制の観点から20対80〜80対20が最も好ましい。
【0065】
[重合開始剤]
本発明においては、上記低分子化合物と成膜性向上材を含む混合物に、さらに重合開始剤を配合することもできる。この重合開始剤としては、熱、光、マイクロ波、放射線、電子線等の印加によって、重合可能な置換基を重合させる能力を発現するものであればよく、特に制限はないが、光照射及び/又は加熱によって重合を開始させるものであることが好ましく、光照射によって重合を開始させるもの(以後、光開始剤と記す)であることがより好ましい。
【0066】
光開始剤としては、200nm〜800nmの光照射によって重合可能な置換基を重合させる能力を発現するものであればよく、特に制限はないが、例えば、重合可能な置換基がオキセタン基の場合には、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、フェロセン誘導体が反応性の観点から好ましく、以下の化合物が例示される。
【0067】
【化13】

【0068】
また、上記光開始剤は、感光性を向上させるために光増感剤と併用してもよい。光増感剤としては、例えば、アントラセン誘導体、チオキサントン誘導体が挙げられる。
【0069】
また、重合開始剤の配合割合は、混合物の全重量に対して0.1重量%〜10重量%の範囲であることが好ましく、0.2重量%〜8重量%の範囲であることがより好ましく、0.5〜5重量%の範囲であることが特に好ましい。重合開始剤の配合割合が0.1重量%未満であると積層化が困難になる傾向があり、10重量%を超えると素子特性が低下する傾向がある。
【0070】
また、本発明における混合物には、電気特性を調整するために、上記低分子化合物と成膜性向上材の他に、さらにカーボンナノチューブやフラーレンなどの炭素材料を配合することもできる。
【0071】
[成膜方法]
本発明の有機エレクトロニクス用材料を用いて有機エレクトロニクス素子などに用いられる各種の層を形成するためには、例えば、本発明の有機エレクトロニクス用材料を含む溶液を、例えば、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法等の公知の方法で所望の基体上に塗布した後、乾燥させることによって行うことができる。また、重合可能な置換基を有する低分子化合物や、重合可能な置換基を有するポリマー又はオリゴマーを用いる場合には、塗布した後、光照射や加熱処理などにより低分子化合物、ポリマー又はオリゴマーの重合反応を進行させ、塗布層の溶解度を変化(硬化)させることによって行うことができる。このような作業により、塗布法を用いた有機エレクトロニクス素子や有機EL素子を得ることが可能であり、また、このような作業を繰り返すことにより多層化を図ることが可能となる。
【0072】
上記のような塗布方法は、通常、−20〜+300℃の温度範囲、好ましくは10〜100℃の温度範囲、特に好ましくは15〜50℃の温度範囲で実施することができ、また上記溶液に用いる溶媒としては、特に制限はないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート等を挙げることができる。
【0073】
また、上記光照射には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯、発光ダイオード、太陽光等の光源を用いることができる。
また上記加熱処理は、ホットプレート上やオーブン内で行うことができ、0〜+300℃の温度範囲、好ましくは20〜250℃、特に好ましくは80〜200℃で実施することができる。
【0074】
本発明の有機エレクトロニクス材料を用いることにより、平滑な薄膜を形成することができる。ここで、平滑な薄膜とは、表面粗さが小さい薄膜のことである。表面粗さは、プローブ顕微鏡(SPM)、原子間力顕微鏡(AFM)等の分解能の高い顕微鏡を用いることで測定することができる。
【0075】
表面粗さを示す値として、例えば算術平均粗さ(Ra)を用いることができる。算術平均粗さ(Ra)は、1.0nm以下が好ましく、0.5nm以下がより好ましい。表面平滑性が低いと、有機エレクトロニクス素子に適用した場合に、均一な発光が得られない、耐熱性が低下する、ショートや抵抗値の増大を引き起こすなど、素子特性が悪化する傾向があるので好ましくない。
【0076】
[有機エレクトロニクス素子、有機EL素子]
本発明の有機エレクトロニクス用材料は、単独で又は他の材料と組み合わせて有機エレクトロニクス素子の機能材料として使用することができる。
また、本発明の有機エレクトロニクス用材料は、単独で又は他の材料と組み合わせて有機EL素子の正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層として使用することができる。
【0077】
本発明の有機エレクトロニクス用材料は、後述する有機EL素子の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等として好ましく使用することができるが、有機EL素子の正孔輸送層、発光層として用いることがより好ましく、発光層として用いることが最も好ましい。具体的には、少なくとも陽極、発光層及び陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、発光層が本発明の有機エレクトロニクス用材料を用いて形成された層である有機エレクトロルミネセンス素子や、少なくとも陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記正孔輸送層が本発明の有機エレクトロニクス用材料により形成された層である有機エレクトロルミネセンス素子が挙げられる。
また、これら層の膜厚は、特に制限はないが、5〜100nmであることが好ましく、10〜80nmであることがより好ましく、20〜60nmであることがさらに好ましい。
【0078】
本発明の有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子は、本発明の有機エレクトロニクス用材料を含む層を備えるものであればよく、その構造などは特に制限はない。なお、有機ELの一般的な構造は、例えば、米国特許第4,539,507号明細書や米国特許第5,151,629号明細書等に開示されているものがあり、またポリマー含有の有機EL素子については、例えば、国際公開第90/13148号パンフレットや欧州特許公開第0443861号明細書等に開示されている。
【0079】
これらは通常、電極の少なくとも1つが透明であるカソード(陰極)とアノード(陽極)との間に、エレクトロルミネセント層(発光層)を含むものである。
さらに、1つ以上の電子注入層及び/又は電子輸送層がエレクトロルミネセント層(発光層)とカソードとの間に挿入されているもの、1つ以上の正孔注入層及び/又は正孔輸送層がエレクトロルミネセント層(発光層)とアノードとの間に挿入されているものもある。
【0080】
[発光層と金属錯体]
本発明の有機エレクトロニクス用材料を、燐光有機EL素子の発光層に用いる場合、上記低分子化合物と成膜性向上材とを含む混合物に、さらにIrやPtなどの中心金属を含む金属錯体などを添加することができる。
【0081】
併用するIrやPtなどの中心金属を含む金属錯体は特に制限はないが、Ir錯体(イリジウム錯体)としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)〔イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジネート−N,C]ピコリネート〕、緑色発光を行うIr(ppy)(トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)(M.A.Baldo et al.,Nature,vol.403,p.750(2000))又は赤色発光を行う(btp)Ir(acac)(bis(2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C)イリジウム(アセチル−アセトネート))(Adachi etal.,Appl.Phys.Lett.,78no.11,2001,1622参照)、Ir(piq)(トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム)等が挙げられる。
【0082】
Pt錯体(白金錯体)としては、例えば、赤色発光を行う2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−フォルフィンプラチナ(PtOEP)等が挙げられる。燐光材料として、低分子又はデンドライド種、例えば、イリジウム核デンドリマーが使用され得る。またこれらの誘導体も好適に使用できる。
【0083】
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金であることが好ましい。
【0084】
[陽極]
陽極材料としては、金属(例えば、Au)又は金属導電率を有する他の材料、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))を使用することもできる。
【0085】
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層、電子注入層としては、例えば、フェナントロリン誘導体(例えば、2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCP))、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体(2−(4−Biphenylyl)−5−(4−tert−butylphenyl−1,3,4−oxadiazole)(PBD))、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8−hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq))などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も用いることができる。
【0086】
[基板]
本発明の有機EL素子に用いることができる基板として、ガラス、プラスチック等の種類は特に限定されることはないが、透明のものであることが好ましく、また、フレキシブル基板であることが好ましい。例えば、ガラス、石英、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。樹脂フィルムを用いた場合には、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能であり、特に好ましい。
【0087】
樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
【0088】
また、樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気や酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素や窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
【0089】
本発明の有機EL素子における発光色は特に限定されるものではないが、白色発光素子は家庭用照明、車内照明、時計や液晶のバックライト等の各種照明装置に用いることができるため好ましい。
【0090】
白色発光素子を形成する方法としては、現在のところ単一の材料で白色発光を示すことが困難であることから、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させることで白色発光を得ている。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、青色、緑色、赤色の3つの発光極大波長を含有するもの、青色と黄色、黄緑色と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有するものが挙げられる。また発光色の制御は、燐光材料の種類と量を調整することによって行うことができる。
【0091】
また、本発明の有機EL素子は、有機ELディスプレイや、液晶ディスプレイなどの表示素子に用いることができる。液晶ディスプレイに用いる場合は、表示手段としての液晶素子と、バックライトとしての有機EL素子を組み合せればよい。
【実施例】
【0092】
以下の実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(モノマー合成例1)
【0093】
【化14】

丸底フラスコに、3−ブロモカルバゾール(12mmol)、4,4’−ジヨードビフェニル(3.9mmol)、銅(16mmol)、炭酸カリウム(18mmol)及びo−ジクロロベンゼン(80mL)を入れ、180℃で72時間撹拌した。冷却後ろ過し、溶媒留去した。
【0094】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーと再結晶によって精製し、モノマーCを0.77g得た。収率31%。
【0095】
H−NMR(300MHz,CDCl,δppm);7.32−7.39(m,4H),7.47−7.55(m,6H),7.69(m,4H),7.93(m,4H),8.12(m,2H),8.28(m,2H)
【0096】
(モノマー合成例2)
【0097】
【化15】

丸底フラスコに、1,3−ジブロモ−5−n−ブチルベンゼン(4mmol)、ビスピナコラトジボロン(9.2mmol)、ジメトキシエタン(120mL)、ジクロロ(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)(0.12mmol)及び酢酸カリウム(17.6mmol)を加え、窒素下、90℃で7時間加熱撹拌した。
【0098】
室温(25℃)まで冷却後、水200mLを加え、生成物を酢酸エチルで抽出した。溶媒留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーと再結晶によって精製し、ボロン酸エステルであるモノマーDを白色結晶として430mg得た。収率28%。
【0099】
H−NMR(300MHz,CDCl,δppm);0.91(t,J=6.0Hz,3H),1.34(s,24H),1.36(m,2H),1.60(m,2H),2.61(t,J=6.0Hz,2H),7.72(s,2H),8.11(s,1H)
【0100】
<カルバゾール基を有する繰り返し単位を有するオリゴマーの合成>
(オリゴマー合成例1)
【0101】
【化16】

グローブボックス中で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(25mmol)をトルエン(3.25mL)に溶解し、Pd触媒溶液を調製した。
【0102】
密閉可能なフッ素樹脂製容器に、モノマーE(0.4mmol)、3,5−ジブロモトルエン(0.32mmol)、1−ブロモ−4−t−ブチルベンゼン(0.16mmol)、トルエン(1.6mL)、3%Aliquat336/トルエン溶液(4mL)、2M炭酸カリウム水溶液(5.3mL)及び前記Pd触媒溶液(0.2mL)を入れ、窒素雰囲気下で密閉した。
【0103】
密閉容器へマイクロ波を照射し、90℃、1時間加熱撹拌した。反応溶液を抽出、水洗し、メタノール/水混合溶媒(9:1)に注ぎ、析出したオリゴマーをろ別した。再沈殿を5回繰り返し行って精製し、カルバゾール基を有する繰り返し単位を有するオリゴマーAを得た。
【0104】
得られたオリゴマーの数平均分子量は、ポリスチレン換算で2498(nの数平均=5.0)、多分散度は1.61であった。得られたオリゴマーAのNMRスペクトルを図2に、GPCクロマトグラムを図3に示す。
【0105】
また、窒素中、石英板上に、オリゴマーAのトルエン溶液を3000rpmでスピン塗布した後、ホットプレート上で80℃、5分間加熱して乾燥させ、厚さ50nm薄膜を形成した。
【0106】
この薄膜を、理研計器製表面分析装置AC−1を用い、照射光量50nWの条件で仕事関数を測定したところ、5.7eVであった。同様にしてCBPの薄膜(厚さ40nm)を作製し、仕事関数を測定したところ、6.1eVであった。
【0107】
<カルバゾール基を有する繰り返し単位を有するオリゴマーの合成>
(オリゴマー合成例2)
【0108】
【化17】

モノマーとして、モノマーC(0.4mmol)、モノマーD(0.4mmol)を用い、オリゴマー合成例1と同様にしてオリゴマーBを合成した。得られたオリゴマーの数平均分子量はポリスチレン換算で2205(nの数平均=3.4)、多分散度は1.66であった。得られたオリゴマーBのNMRスペクトルを図4に、GPCクロマトグラムを図5に示す。
【0109】
また、窒素中、石英板上に、オリゴマーBのトルエン溶液を3000rpmでスピン塗布した後、ホットプレート上で80℃、5分間加熱して乾燥させ、厚さ50nm薄膜を形成した。
【0110】
この薄膜を、理研計器製表面分析装置AC−1を用い、照射光量50nWの条件で仕事関数を測定したところ、5.9eVであった。
【0111】
<成膜向上性の確認>
(実施例1〜3)
以下の操作は乾燥窒素環境下で行った。石英板上に、CBPとオリゴマーAの混合物(組成比(重量比)を表1に示す)のトルエン溶液(0.8重量%)を3000rpmでスピン塗布した後、ホットプレート上で80℃、5分間加熱して乾燥させ、薄膜(40nm)を形成した。
【0112】
0.7mmの無アルカリガラスに0.4mmのザグリを入れた封止ガラスと石英板を、光硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることにより封止を行い、測定サンプルを作製した。以後の操作は大気中、室温(25℃)で行った。
【0113】
測定サンプルをホットプレート上で100℃、10分間ベークし、ベーク前後の薄膜の表面を顕微鏡とデジタルカメラを用いて観察し、薄膜の表面の結晶化した割合を算出した。
同様の方法で石英板上に薄膜を作製し、大気中、プローブ顕微鏡(セイコーインスツルメンツ製、Nanopics NPX−100)を用い、ダンピングモードで4μm×4μmの範囲で測定した。得られた画像より算術平均粗さを求めた。
【0114】
(比較例1)
実施例1と同様にして、CBPのみからなる薄膜(40nm)を形成し、観察を行った。
【0115】
実施例1〜3及び比較例1で得た測定サンプルについてのべーク前結晶割合、べーク後結晶割合及び算術平均粗さをまとめて表1に示す。
【表1】

【0116】
表1に示されるように、CBPのみの場合に比べ、成膜性向上材であるオリゴマーAとCBPとを混合した材料を用いて形成した薄膜では、表面の結晶化が抑制され、かつ平滑な薄膜が形成できた。
【0117】
<有機EL素子の作製>
(実施例4)
ITOを1.6mm幅にパターンニングしたガラス基板上に、PEDOT:PSS分散液(シュタルク・ヴィテック社製、AI4083 LVW142)を1500rpmでスピン塗布し、ホットプレート上で空気中200℃/10分加熱乾燥して正孔注入層(40nm)を形成した。以後の操作は乾燥窒素環境下で行った。
【0118】
次いで、CBP(9.5mg)と上記で得たオリゴマーA(3.1mg)、Ir(piq)(1.4mg)、トルエン(2mL)を混合した塗布溶液を、3000rpmでスピンコートした後、ホットプレート上で80℃、5分間加熱して乾燥させ、発光層(40nm)を形成した。
【0119】
さらに、得られたガラス基板を真空蒸着機中に移し、上記発光層上にBAlq(膜厚10nm)、Alq(膜厚30nm)、LiF(0.5nm)、Al(100nm)の順に電極を形成した。
【0120】
電極形成後、大気開放することなく、乾燥窒素環境中に基板を移動し、0.7mmの無アルカリガラスに0.4mmのザグリを入れた封止ガラスとITO基板を、光硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることにより封止を行い、有機EL素子を作製した。以後の操作は大気中、室温(25℃)で行った。
【0121】
これらの有機EL素子のITOを正極、Alを陰極として電圧を印加したところ、CBPとオリゴマーAを混合した塗布溶液を用いた素子では均一な赤色発光が観測された。
【0122】
(比較例2)
CBPと上記で得たオリゴマーA、Ir(piq)、トルエンを混合した塗布溶液に代え、CBP(12.6mg)とIr(piq)(1.4mg)、トルエン(2mL)を含む塗布溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして有機EL素子を作製した。
CBPのみの塗布溶液を用いた素子では多数のダークスポットが発生するとともに、均一な発光が得られなかった。
【0123】
以上の実施例4では、本発明における成膜性向上材を発光層に使用することで、ダークスポットの発生を抑制し、均一な発光を得られた。これに対し、成膜性向上材を使用していない比較例2では、ダークスポットが発生し、均一な発光が得られなかった。
【0124】
<白色有機EL素子(照明装置)の作製>
(実施例5)
実施例4と同様にして、PEDOT:PSS分散液を用いて正孔注入層(40nm)を形成した。
【0125】
次に、窒素中、CDBP(仕事関数6.0eV)と上記で得たオリゴマーA(15mg)、FIr(pic)(0.9mg)、Ir(ppy)(0.9mg)、(btp)Ir(acac)(1.2mg)、ジクロロベンゼン(0.5mL)の混合物を、3000rpmにてスピンコートし、次いで80℃で5分間乾燥させて発光層(40nm)を形成した。さらに、実施例4と同様にして、BAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(膜厚0.5nm)、Al(膜厚100nm)の順に蒸着し、封止処理して照明装置として用いることが可能な有機EL素子を作製した。
【0126】
この有機EL素子に電圧を印加したところ、均一な白色発光が観測された。
【0127】
(比較例3)
発光層にオリゴマーAを使用しなかった以外、実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0128】
この有機EL素子に電圧を印加したところ、白色発光が観測されたが、ダークスポットや発光むらが発生した。
【0129】
以上の実施例5では、本発明における成膜性向上材を発光層に使用することで、白色有機EL素子および照明装置を安定的に駆動できた。これに対し、成膜性向上材を使用していない比較例3では、白色有機EL素子を安定的に駆動することができなかった。
【符号の説明】
【0130】
1 発光層
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルバゾール基を有する低分子化合物及び成膜性向上材を含む混合物からなる有機エレクトロニクス用材料。
【請求項2】
前記低分子化合物と前記成膜性向上材の仕事関数の差が、1.0eV以下である請求項1記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項3】
前記低分子化合物の分子量が、1,000未満である請求項1又は2記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項4】
前記成膜性向上材が、ポリマー又はオリゴマーである請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項5】
前記ポリマー又はオリゴマーの数平均分子量が、1,000以上100,000以下である請求項4に記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項6】
前記ポリマー又はオリゴマーの多分散度が、1.0より大きい請求項4又は5に記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項7】
前記ポリマー又はオリゴマーが、下記一般式(1a)〜(14a)のいずれかで表される構造を有する請求項4〜6のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料。
【化1】

〔式中、Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、又は下記一般式(15a)〜(17a)
【化2】

(ただし、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜22個の直鎖、環状若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数2〜30個のアリール基若しくはヘテロアリール基を表し、a、b及びcは、1以上の整数を表す。)を表す。X及びYは、それぞれ独立に、前記Rのうち、水素原子を1つ以上有する基から、さらに1つの水素原子を除去した基を表す。Zは、それぞれ独立に、前記Rのうち、水素原子を2つ以上有する基から、さらに2つの水素原子を除去した基を表す。Arは、それぞれ独立に、置換若しくは非置換のアリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基を表す。Eは、それぞれ独立に、前記R又は重合可能な置換基を含む基を表す。xは、0又は1を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【請求項8】
前記一般式(1a)〜(14a)におけるnの数平均が、2〜20である請求項4〜7のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項9】
前記ポリマー又はオリゴマーが、1つ以上の重合可能な置換基を有する請求項4〜8のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項10】
前記ポリマー又はオリゴマーが有する重合可能な置換基が、オキセタン基、エポキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基のいずれかである請求項9に記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項11】
前記ポリマー又はオリゴマーが、末端に重合可能な置換基を有する請求項9又は10に記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項12】
前記低分子化合物が、下記一般式(18a)〜(20a)のいずれかで表される構造を有する請求項1〜11のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料。
【化3】

[式中、E〜E59は、重合可能な置換基を含む基又はR〔Rは、それぞれ独立に、−R、−OR、−SR、−OCOR、−COOR、−SiR、又は下記一般式(15a)〜(17a)
【化4】

(ただし、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜22個の直鎖、環状若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数2〜30個のアリール基若しくはヘテロアリール基を表し、a、b及びcは、1以上の整数を表す。)を表す。〕を表す。X〜Xは、それぞれ独立に、前記Rのうち、水素原子を2つ以上有する基から、さらに水素原子を2つ除いた基を表す。]
【請求項13】
前記低分子化合物が、1つ以上の重合可能な置換基を有する請求項1〜12のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項14】
前記低分子化合物が有する重合可能な置換基が、オキセタン基、エポキシ基、ビニル基、アクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基のいずれかである請求項13記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項15】
前記混合物が、さらにイリジウム錯体又は白金錯体を含む請求項1〜14のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料を用いて作製された有機エレクトロニクス素子。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料を用いて作製された有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項18】
少なくとも陽極、発光層及び陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記発光層が請求項1〜15のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料を用いて形成された層である有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項19】
少なくとも陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記正孔輸送層が請求項1〜15のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料により形成された層である有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項20】
発光色が白色である請求項16〜19のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項21】
前記有機エレクトロルミネセンス素子が基板を有し、前記基板がフレキシブル基板である請求項16〜20のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項22】
前記有機エレクトロルミネセンス素子が基板を有し、前記基板が樹脂フィルムである請求項16〜21のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項23】
請求項16〜22のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
【請求項24】
請求項16〜22のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
【請求項25】
請求項24に記載の照明装置と、表示手段としての液晶素子と、を備えた表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−267393(P2009−267393A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80174(P2009−80174)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】