説明

有機エレクトロルミネッセンスデバイスのための物質

本発明は、式(1)の部分を含む化合物、および有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおけるその使用、およびこの種の化合物を具備する有機エレクトロルミネッセンスデバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスのための新規物質およびこの種の物質を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスに関する。
【0002】
有機半導体が機能性物質として使用される有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)の構造は、例えば、US4539507、US5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載される。一般的に、蛍光と燐光OLEDとの間にここで区別がつけられる。ここで使用される発光物質は、ますます蛍光に代えて燐光を示す有機金属錯体である(M. A. Baldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。量子力学的理由により、エネルギーおよび電力効率における4倍に至るまでの増加が、有機金属化合物の燐光エミッタとしての使用により可能になる。しかしながら、一般的にOLEDにおいては、特にまた三重項発光を示すOLEDにおいても、なお改善が必要である。従って、改善は、燐光OLEDの物理的特性においても、高品質および長寿命のエレクトロルミネッセンスデバイスにおける三重項エミッタの使用のための効率、動作電圧および寿命に関してなお望ましい。これは、特に、相対的な短波長領域、即ち、緑色および特に青色において発光するOLEDに適用される。このように、産業的な適用のための技術的必要条件を満たした青色発光三重項エミッタを具備するデバイスは今までに開示されてはいない。
【0003】
従来技術に従って、燐光OLEDにおいて使用される三重項エミッタは、特に、イリジウム錯体である。燐光OLEDの性質は、使用される三重項エミッタによってのみ決定されるものではない。特に、使用される他の物質、例えば、マトリックス物質、ホールブロック物質、ホール輸送物質および電子またはエキシトンブロック物質もまた、ここでは格別重要である。従って、これらの物質における改善もまた、OLED特性における有意な改善を生ずる。蛍光OLEDのためのこれらの物質における改善についての必要性もなお存在する。
【0004】
US2004/0048101は、同様に金属錯体を含む電子ブロック層およびOLEDを開示し、それは、1〜3の二座配位子を含んでよい。これらの配位子は、ピラゾール環からなり、それは1位においてフェニル環に対して結合されている。配位子は、2つの環の2位にて金属原子に対して各々結合されている。金属錯体は、任意に、更に単座または二座配位子を含む。金属原子は好ましくはイリジウムである。
【0005】
US2008/0093988は、複数の発光層を含む特定のOLED構造を開示する。このデバイス構造は、発光層の間の電子またはエキシトンブロック層の存在により特徴付けられる。Ir(ppy)との組み合わせにおけるホール輸送物質がこの層のために使用される。
【0006】
WO04/084260は、ホール輸送物質および電子ブロック物質を含む層を含むOLEDを開示し、この層は、好ましくはトリアリール構造を有する化合物を含み、これはまた、ポリマーにおいて繰り返し単位として出現してもよい。
【0007】
WO07/120788は、フタルイミド化合物を含む有機層を有するOLEDを開示し、これは電極の間に位置する。ここで、フタルイミド化合物は、とりわけ、エキシトンブロック層において使用される。
【0008】
WO08/034758は、少なくとも1つの層において、少なくとも1つのカルバゾールの構造的要素を含む少なくとも1つの化合物を含むOLEDを開示し、そこにおいて、カルバゾールの窒素原子は、種々の有機性基により置換されてもよく、または他のヘテロ原子またはヘテロ原子を含む官能基により全体的に置き換えられてもよい。上述の化合物は、ここで、ホールブロックおよび/またはエキシトンブロック物質の機能を有してもよい。
【0009】
本発明の目的は、蛍光または燐光OLED、特に、燐光OLEDにおいて、例えば、マトリックス物質として、またはホール輸送/電子ブロック物質またはエキシトンブロック物質として使用するために適切な化合物を提供することである。特に、当該目的は、青色および緑色燐光OLEDのために適切なエキシトンブロック物質または電子ブロック物質およびマトリックス物質を提供することである。
【0010】
驚くべきことに、以下に詳細に記載するある特定の化合物がこの目的を達成し、結果として有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて、特に、寿命、効率および動作電圧に関して有意な改善が齎されることが見出された。これは特に、青色および緑色燐光エレクトロルミネッセンスデバイスに適用される。従って、本発明は、これらの化合物およびこの種の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスに関する。
【0011】
従って、本発明は、少なくとも1の式(1)の部分を含む化合物に関する:
【化1】

【0012】
ここにおいて、
Mは、Si、GeおよびSnからなる群より選択される;
qは、0または1である;
A、B、DおよびEは、それぞれC原子であり;AがNを有する芳香族系を形成しないのであれば二重結合または芳香族結合がAおよびBの間に存在し、AがNを有する芳香族系を形成するのであれば一重結合がAおよびBの間に存在する:
更に、EがYを有する芳香族系を形成しないのであれば二重結合または芳香族結合がDおよびEの間に存在し、EがYを有する芳香族系を形成するのであれば一重結合がDおよびEの間に存在する;
Yは、NR2、OおよびSからなる群より選択される;
R1は、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、N(R3);1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルキル基、または3〜40のC原子を有する分枝若しくは環式アルキル、アルコキシ若しくはチオアルキル基、または2〜40のC原子を有するアルケニル基、それらの夫々が1または1以上のR3基により置換されてもよく、ここにおいて、1または1以上の非隣接のCH基が、R3C=CR3、C≡C、Si(R3)、Ge(R3)、Sn(R3)、C=O、C=S、C=Se、C=NR3、P(=O)(R3)、SO、SO、NR3、O、SまたはCONR3により置換されてもよく、並びにここにおいて1または1以上のH原子が、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてもよい;5〜60の芳香環原子を有する芳香環または芳香族複素環系、各場合において、それらは、1または1以上のR3基により置換されてもよい;5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、それらは、1または1以上のR3基により置換されてもよい;またはこれらの系の組み合わせ、ここにおいて、2または2以上の隣接する置換基R1は、任意に単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してよく、それは直線状または折れ曲がった様式で縮合されており且つそれは1または1以上のR3基により置換されてもよい;からなる群より選択される;
R2は、1〜40のC原子を有する直鎖アルキルまたは3〜40のC原子を有する分枝または環式アルキル基、それらの各々は1または1以上のR3基で置換されてもよく、ここにおいて、1または1以上の非隣接のCH基は、R3C=CR3、C≡CまたはC=Oにより置換されてもよく、並びにここにおいて、1または1以上のH原子はF、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてもよい;5〜60芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、それらの各場合において、1または1以上のR3基により置換されてもよい;またはこれらの系の組み合わせ;からなる群から選択され;なお、次の条件を伴い、少なくとも1のR2基が、芳香族または芳香族複素環系を表し、それらの各々の場合において1または1以上のR3基により置換されてもよい少なくとも1のR2基が式(1)の構造に存在する;式(1)の部分における1、2位において互いに隣接するR1およびR2は、任意に単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してもよく、それは直線状または折れ曲がった様式に縮合され、且つそれは1または1以上のR3基により置換されてもよい;
R3は、H、D;1〜20のC原子を有する脂肪族炭化水素基;5〜30芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、そこにおいて、1または1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてもよく、ここにおいて2または2以上の隣接する置換基R3は、単または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してもよく、それは、直線状または折れ曲がった様式で互いに縮合される;からなる群より選択される;
以下の化合物は本発明から除外される。
【化2】

【化3】

【0013】
ここで、MとNまたはYとの間の結合は、配位結合的、即ち、配位子場における結合など、または共有結合的の何れかであってよく、当該結合の種類は金属または半金属Mにより決定される。
【0014】
Mに対して結合または配位される基または配位子は、好ましくは、ポルフィリン構造またはポルフィリン誘導体の一部分ではない。この構造は、従って、4つのピロール基またはピロール誘導体を含み、それらは結合して環式構造を形成する。
【0015】
本発明の目的のために、アリール基は6〜60のC原子を含み;本発明の目的のために、ヘテロアリール基は、2〜60のC原子および少なくとも1のヘテロ原子を含み、ただし、C原子およびヘテロ原子の総数が少なくとも5であることが条件である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択される。ここにおいて、アリール基またはヘテロアリール基は、単一芳香環、即ち、ベンゼンまたは単一へテロ芳香環、例えば、ピリジン、ピリミジン、チオフェンなど、または縮合されたアリールまたはヘテロアリール基、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、カルバゾールなどのどちらか一方を意味すると理解される。
【0016】
本発明の目的のために、芳香環系は、6〜60Cの原子を環系に含む。本発明の目的のために、芳香族複素環系は、2〜60のC原子および少なくとも1のヘテロ原子を環系に含み、ただし、C原子およびヘテロ原子の総数が少なくとも5であることが条件である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択される。本発明の目的のために、芳香族または芳香族複素環系は、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基のみを含むことには限らず、その代わりに、更に複数のアリールまたはヘテロアリール基が非芳香族ユニット(好ましくは、少なくとも10%未満のH以外の原子)、例えば、sp混成されたC、NまたはO原子などにより割り込まれてもよい系を意味すると解されることが意図される。従って、例えば、9,9’−スピロビフルオレン、9,9−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテルエーテル、スチルベンなどの系もまた、本発明の目的のための芳香環系であると解されることが意図され、そこにおいて、2または2以上のアリール基は、例えば、直線状または環式アルキル基により、またはシリル基により割り込まれる系などの系である。
【0017】
本発明の目的のために、脂肪族炭化水素基またはアルキル基は、そこにおいて、典型的には、1〜40または1〜20のC原子を含んでもよく、およびそこにおいて、更に、個々のH原子またはCH基が上述の基により置換されてもよく、それらは好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、n−ペンチル基、s−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ペプチル基、シクロペプチル基、n−オクチル基、シクロオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、シクロペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ペプテニル基、シクロペプテニル基、オクテニル基、シクロオクテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基またはオクチニル基を意味すると解される。1〜40のC原子を有するアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、s−ペントキシ、2−メチルブトキシ、n−ヘキソキシ(hexoxy)、シクロヘキシルオキシ、n−ヘプトキシ、シクロペプチルオキシ、n−オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシまたは2,2,2−トリフルオロエトキシを意味すると解される。1〜40のC原子を有するチオアルキル基は、特に、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ、i−ブチルチオ、s−ブチルチオ、t−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、s−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n−ペプチルチオ、シクロペプチルチオ、n−オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2−トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロピレンチオ、ブテニルチオ、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ペプテニルチオ、シクロペプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオを意味すると解される。一般的に、本発明に従うアルキル、アルコキシまたはチオアルキル基は、直鎖、分枝または環式であってよく、そこにおいて、1または1以上の非隣接のCH基は、R3C=CR3、C≡C、Si(R3)、Ge(R3)、Sn(R3)、C=O、C=S、C=Se、C=NR3、P(=O)(R3)、SO、SO、NR3、O、SまたはCONR3により置換されてもよく;更に、1または1以上のH原子も、F、Cl、Br、I、CNまたはNO、好ましくは、F、ClまたはCN、更に好ましくはFまたはCl、特に好ましくはFにより置換されてもよい。
【0018】
5〜60の芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系は、それらはまた各場合において、上述のR2基または炭化水素基により置換されてもよく、且つそれらは何れか所望の位置を経て芳香族または芳香族複素環系に対して結合されてもよく、それらは、特に、ベンゼンからの誘導基、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ピリレン、フルオロアンテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェンアントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス−またはトランス−インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロスピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベナントリミダゾール、ピリジミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾキサゾール、ナフタオキサゾール、アントロキサゾール、フェナンスロキサゾール,イソキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザピリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオロビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールを意味すると解される。
【0019】
本発明に従う化合物であって、無電荷である、即ち、電気的に中性である化合物が好ましい。これは、Mに対して配位的または共有結合的に結合される配位子または基の電荷を選択し、それによりMの電荷について補正することによる簡単な方法で達成される。
【0020】
本発明の化合物において、R1、R2、R3およびYは、各場合において、出現する毎に互いに独立して、構造または部分が同じであっても、異なっていてもよい。特に、R1およびR2は、式(1)の部分での1、2位において、互いに隣接し、単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成されてもよく、それらは、直線状または折れ曲がった様式で縮合されてもよい。これらの場合において、R1は、1、2位において互いに隣接し、好ましくは、そこで互いに環系を形成しない。
【0021】
本発明は、特に、式(1)の上述の部分を含む化合物であって、そこにおいてq=0であり、一重結合がAおよびBの間に存在し、式(1)の部分における1、2位において互いに隣接するR1およびR2は、単環式またはポリ環式 芳香族または芳香族複素環系を形成する化合物を提供する。
【0022】
本発明は更に、特に式(1)の上述の部分を含む化合物であって、そこにおいてq=0であり、二重結合がAおよびBの間に存在し、式(1)の部分において互いに隣接する2つの置換基R1は、単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成し、それは、直線状または折れ曲がった様式で縮合され、特に、芳香族または芳香族複素環系である化合物を提供する。
【0023】
本発明は、更に、特に式(1)の上述の部分を含む化合物であって、そこにおいてq=1であり、二重結合がAおよびBの間に存在し、二重結合がDおよびEの間に存在し、式(1)の部分での1、2位において互いに隣接する2つまたは、各場合における、2つの置換基R1は、単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成し、それらは直線状または折れ曲がった様式で縮合され、特に、芳香族または芳香族複素環系である化合物を提供する。
【0024】
特に、本発明に従う化合物であって、式(2)〜(8)の部分を含む上述の態様に従う化合物が好ましい。
【化4】

【0025】
ここにおいて、M、R1、R2、R3およびYは上記で定義された通りであり、Xは、出現する毎に同一または異なり、CR1およびNからなる群より選択される。
【0026】
好ましくは更に、式(9)の構造を有する1または1以上の上述の態様に従う化合物が示される。
【化5】

【0027】
ここにおいて、A、B、D、E、R1、R2、R3、Yおよびqは、上記で定義された通りであり、更に;
M1は、Si、GeまたはSnであり;
R4は、出現する毎に同一または相違し、F、Cl、Br、I、N(R3);1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシまたはチオアルキル基および3〜40のC原子を有する分枝または環式アルキル、アルコキシまたはチオアルキル基、および2〜40のC原子を有するアルケニル基、それらは各々、1または1以上のR3基により置換されてもよく、ここにおいて、1または1以上の非隣接のCH基は、R3C=CR3、C≡C、Si(R3)、Ge(R3)、Sn(R3)、C=O、C=S、C=Se、C=NR3、P(=O)(R3)、SO、SO、NR3、O、SまたはCONR3により置換されてもよく、且つここにおいて、1または1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてもよく;5〜60芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、それらは各場合において1または1以上のR3基により置換されてもよく;5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、それらは1または1以上のR3基により置換されてもよく;またはこれらの系の組み合わせ、ここにおいて、2または2以上の置換基R4が、任意に単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してもよく、それらは直線状または折れ曲がった様式で縮合されてもよく、且つそれらは1または1以上のR3基で置換されてもよい;からなる群より選択される。
【0028】
mは、1または2である;
nは、(2−m)である。
【0029】
式(9)の好ましい態様において、q=0である。
【0030】
式(9)の好ましい化合物は、更に式(10)〜(17)のうちの1つの化合物である。
【化6】

【化7】

【0031】
ここにおいて、M1、R1、R2、R3、R4、X、Y、mおよびnは、上記で定義された通りであり、Pは、1〜100,000、好ましくは1〜10,000、特に好ましくは1〜100、非常に特に好ましくは1の整数である。
【0032】
式(9)〜(17)の化合物の好ましい態様において、m=2およびn=0である。
【0033】
式(9)〜(17)の化合物であって、そこにおいて、M1はSiまたはGe、特に、Siを表す化合物が好ましい。
【0034】
更に、式(9)〜(17)の化合物であって、そこにおいて、YはNR2またはO、特にNR2を表す化合物が好ましい。
【0035】
更に、式(9)〜(17)の化合物であって、そこにおいて、XはCR1を表す化合物が好ましい。
【0036】
更に、式(9)〜(17)の化合物のために、そこにおいて、R4は、出現する毎に同じまたは異なって、1〜20のC原子を有する直鎖アルキル基および3〜20のC原子を有する分枝または環式アルキル基、それらの各々は、1または1以上のR3基で置換されてもよく、ここにおいて1または1以上の非隣接のCH基がR3C=CR3、C≡C、Si(R3)、Ge(R3)、Sn(R3)、C=O、C=S、C=Se、C=NR3、P(=O)(R3)、SO、SO、NR3、O、SまたはCONR3で置換されてもよく、且つここにおいて、1または1以上のH原子がF、Cl、Br、I、CNまたはNOで置換されてもよく;5〜60の芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、それらは各場合において、1または1以上のR3基により置換されてもよく;またはこれらの系の組み合わせ、ここにおいて、2または2以上の置換基R4が任意に単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してもよく、それらは直線状または折れ曲がった様式で縮合され、且つそれらは1または1以上のR3基で置換されてもよい;からなる群より選択される化合物が好ましい。
【0037】
更に、式(9)〜(17)の化合物のために、そこにおいて、
(i) q=0であり、且つ一重結合がAおよびBの間に存在する;
(ii) M1は、Si、Ge、Snからなる群より選択され、好ましくは、Si、Geからなる群より選択され、最も好ましくはSiである;
(iii) YはNR2と等しい;
(iv) R1およびR2は、式(1)の構造での1、2位において互いに隣接し、好ましくは、単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成し、それは直線状または折れ曲がった様式で、R1に関して1位に位置するC原子、およびR2に関して1位に位置するN原子と共に縮合され、更に、好ましくは単環式芳香族複素環系、最も好ましくは、ピロール環を、R1に関しては1位に位置するC原子およびR2に関しては1位に位置するN原子と共に形成し、ここにおいて、環系は、1または1以上の1〜20のC原子を有する炭化水素基により置換されてもよく、そこにおいて、1または1以上のH原子はF、ClまたはCN、好ましくはFまたはCl、最も好ましくはFにより置換されてもよく、ここにおいて、環系は好ましくは、非置換型である;および
(v) mは1または2であり、且つn=(2−m)であり、好ましくは、m=2およびn=0である;
化合物が好ましい。
【0038】
好ましい態様は、更に、上述の式の1つの化合物であって、ここにおいて、
(i) q=1であり、二重結合または芳香族結合がAおよびBの間に存在し、且つ二重結合または芳香族結合がDおよびEの間に存在する;
(ii) M1は、Si、Ge、Snからなる群から選択され、好ましくはSiおよびGeからなる群より選択され、最も好ましくはSiである;
(iii) YはNR2と等しい;
(iv) R2は、1〜20のC原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜30の芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、それらにおいて、1または1以上のH原子はF原子により置換されてよく、ここにおいて2または2以上の隣接する置換基R2は単または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してもよく、それは互いに直線状または折れ曲がった様式で縮合される;からなる群より選択され、R2は好ましくは、50〜30の芳香環原子を有する芳香環系、そこにおいて、1または1以上のH原子はF原子により置換されてよい;からなる群より選択され、R2は、最も好ましくはフェニル環であり、ここにおいて環系は、1または1以上の1〜20のC原子を有する炭化水素基により置換されてよく、そこにおいて、1または1以上のH原子はF、ClまたはCNにより、好ましくはFまたはClにより、最も好ましくはFにより置換されてよく、ここにおいて環系は好ましくは非置換型である;
(v) AおよびBに隣接する2つの置換基R1は、好ましくはAおよびBと共に、およびDおよびEに隣接する2つの置換基R1は、好ましくはDおよびEと共に、各場合において、単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成し、それらは、直線状または折れ曲がった様式で縮合され、更に好ましくは、AおよびBに隣接する2つの置換基R1は、AおよびBと共に、およびDおよびEに隣接する2つの置換基R1は、DおよびEと共に、各場合において、単環式芳香環系を形成し、最も好ましくは、各場合において、フェニレン環を形成し、ここにおいて、環系は1または1以上の1〜20のC原子を有する炭化水素基により置換されてもよく、そこにおいて1または1以上のH原子はF、ClまたはCNにより、好ましくはFまたはClにより、最もより好ましくはFにより置換基されてもよく、ここにおいて環系は好ましくは、非置換型である;および
(vi) mは1または2、およびn=(2−m)であり、好ましくは、m=2、およびn=0である;
化合物である。
【0039】
更に上述の式の化合物であって、ここにおいて:
M1はSi、Geからなる群より選択され、好ましくはSiである;
R1は、上記で定義された通りである;
R2は、5〜30の芳香族原子を有する芳香族または芳香族複素環系であり、それらにおいて、1または1以上のH原子は任意にF原子により置換されてよく、およびそれらは各場合において1または1以上のR3基により置換されてよい;
Xは、CR1と等しい;
Yは、NR2と等しい;
化合物が好ましい。
【0040】
本発明の特に好ましい態様において、R2は、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを表し、その各々が1または1以上のR3基により置換されてよい。
【0041】
更に対称構造(symmetrical structure)および等しく置換された化合物が好ましい。これは、これらの化合物のより容易な合成的な接近容易性のために好ましい。
【0042】
本発明に従う化合物の合成に関して、以下に記載される方法が特に適切に提供される。この目標のために、化合物M(Hal)2m(R4)2n、特に化合物M(Hal)、ここにおいてHalはCl、BrまたはIを表すが、これは、対応するジアミン、アミノアルコール、アミノチオールまたはそれぞれの脱プロトン化化合物と反応される。
【0043】
本発明は更に、M(Hal)2m(R4)2n、特に、MHalと対応するジアミン、アミノアルコール、アミノチオールまたはそれぞれの脱プロトン化化合物との反応による上述の本発明に従う化合物の製造方法に関し、ここにおいて、M、mおよびnは上述の意味を有し、HalはCl、BrまたはIを表す。
【0044】
上述の本発明に従う化合物、特に、反応性脱離基、例えば、臭素、ヨウ素、ボロン酸またはボロン酸エステルなどにより、またはポリマー化性基、例えば、オレフィンまたはオキセタンなどにより置換された化合物が、モノマーとして、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの生成のために使用できる。ここで、オリゴマー化またはポリマー化は、好ましくは、ハロゲン官能性またはボロン酸官能性を介して行われる。
【0045】
ポリマー化のための更なる可能性は、反応において、化合物MHalとテトラミンとの反応に存し、それにより配位子を形成するものであり、ここにおいて、HalはCl、BrまたはI、例えば、SiClを表す。
【0046】
更にポリマー化のための可能性は、本発明に従う化合物に反応性、ポリマー化性基で官能性を持たせ、それから、後者をポリマー化することに存する。この種の官能基の例は、アルケンまたはアルケン誘導体またはオキセタンである。更に、この種の基を介してポリマーを架橋結合することも可能である。
【0047】
本発明に従う化合物またはポリマーは、架橋層または非架橋層として使用される。
【0048】
従って、本発明は更に、1または1以上の本発明に従う上述の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、ここにおいて、1または1以上の結合が、本発明に従う化合物から、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーに対して提供される。本発明の化合物の結合に依存して、従って、これは、オリゴマーまたはポリマーの側鎖を形成する、または主鎖において結合される。ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは、共役型であっても、部分的に共役型であっても、非共役型であってもよい。オリゴマーまたはポリマーは、直線状、分枝または樹状(dendritic)であってもよい。オリゴマー、デンドリマーおよびポリマーにおける本発明に従う化合物の反復するユニットについて、上述の通り、同じ選択が適用される。
【0049】
オリゴマーまたはポリマーの製造のために、本発明に従うモノマーは、更なるモノマーとホモポリマー化またはコポリマー化される。好ましくは、ホモポリマーまたはコポリマーであって、そこにおいて式(1)〜(17)のユニットが0.01〜99.9mol%、好ましくは5〜90mol%、特に好ましくは、20〜80mol%の量で存在するホモポリマーまたはコポリマーが示される。ポリマー主鎖を形成する適切および好ましいコモノマーは、フルオレン(例えば、EP842208またはWO00/22026に従う)スピロビフルオレン(例えば、EP707020、EP894107またはWO06/061181に従う)、パラ−フェニレン(例えば、WO92/18552に従う)、カルバゾール(例えば、WO04/070772またはWO04/113468に従う)、チオフェン(例えば、EP1028136に従う)、ジヒドロフェナントレン(例えば、WO05/014689に従う)、シス−およびトランス−インデノフルオレンフルオレン(例えば、WO04/041901またはWO04/113412に従う)、ケトン(例えば、WO05/040302に従う)、フェナントレン(例えば、WO05/104264またはWO07/017066に従う)または複数のこれらのユニットから選択される。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーはまた、更なるユニット、例えば、ホール輸送ユニット、特に、トリアリールアミンに基づくユニットおよび/または電子輸送ユニットなどを含んでもよい。更に、ポリマーは、コポリマー化されるか、または混合物などの中に混合されるかの何れかで三重項エミッタを含んでよい。正確に、式(1)〜(17)と三重項エミッタのユニットの組み合わせは、特に良好な結果を与える。
【0050】
本発明に従う化合物も、更に、機能化されてもよく、更にそれにより拡張型構造(extended structures)に変換してももよい。ここで言及することが可能な例は、アリールボロン酸を用いるスズキ法または一級または二級アミンを用いるハートウィグ−ブーフヴァルト法(HARTWIG-BUCHWALD method)による機能化である。
【0051】
上述の通りに、特に、本発明に従う上記で言及された化合物において、主要基要素(main-group element)または遷移金属が1または1以上の置換基または配位子により置換または配位された化合物は、有機電子コンポーネントにおいて特に適切に使用される。ここで、有機電子コンポーネントは、少なくとも1の有機化合物を含む少なくとも1層を含むデバイスを意味すると解される。しかしながら、コンポーネントはまた、有機物質を具備してもよい。
【0052】
また、本発明は更に、式(1)の少なくとも1部分を含む化合物の使用に関する。
【化8】

【0053】
ここにおいて、
Mは、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hf、Cr、MoおよびWからなる群より選択される;
R2は、出現する毎に同じか、または異なっており、1〜40のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40のC原子を有する分枝または環式アルキル基であるか、それらの各々は、1または1以上のR3基により置換されてもよく、ここにおいて、1または1以上の非隣接のCH基はR3C=CR3、C≡CまたはC=Oにより置換されてもよく、且つここにおいて、1または1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてもよい;5〜60の芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系であるか、それらは各場合において、1または1以上のR3基により置換されてもよい;またはこれらの系の組み合わせであり;式(1)の部分での1、2位において互いに隣接するR1およびR2は、任意に単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してよく、それらは直線状または折れ曲がった様式で縮合され、且つそれは1または1以上のR3基により置換されてもよい;
使用される他の記号および表示されるものは上述の意味を有する;
または有機電子要素においてこの部分を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーのものである。
【0054】
その上更に、本発明は、有機電子コンポーネント、特に、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)、有機太陽電池(O−SC)、有機光学検出器(optical detectors)、有機感光体(photoreceptor)、有機電場消光デバイス(O−FQD)、発光電気化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)および/または有機プラズモン発光デバイス(plasmon emitting devices)(D. M. Koller et al., Nature Photonics 2008, 1-4)、しかしながら特に、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)、特に好ましくは、燐光OLED、これらは、上記の式(1)の部分を含む1または1以上の化合物、またはこの部分を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを含むものに関する。
【0055】
式(9)の化合物;
【化9】

【0056】
または特に他の式(10)〜(17)の化合物を含む有機電子デバイスが特に好ましい;
【化10】

【化11】

【0057】
それらにおいて、R2は、式(1)について上述した意味を有し、M1はSi、Ge、Sn、Ti、Zr、Hf、Cr、MoおよびWから選択され、使用される他の記号および表示されるものは式(1)〜(17)について上述した意味を有し、更に;
M1=Si、Ge、Sn、Ti、ZrまたはHfについて、mは1または2であり、M1=Cr、MoまたはWについては、mは1、2または3であり;
M1=Si、Ge、Sn、Ti、ZrまたはHfについては、nは(2−m)であり、M1=Cr、MoまたはWについては、nは(3−m)である。
【0058】
使用される記号について、生成物保護のために上述したものが同じく好ましく適用される。
【0059】
式(9)〜(17)の化合物であって、m=2およびn=0が更に好ましい。
【0060】
更に、式(9)〜(17)の化合物であって、そこにおいてM1がSiまたはGe、特に、Siを表すものが好ましい。
【0061】
式(9)〜(17)の化合物であって、そこにおいてYがNR2またはO、特に、NR2を表すものが好ましい。
【0062】
式(9)〜(17)の化合物であって、XがCR1を表すものが好ましい。
【0063】
更に、式(9)〜(17)の化合物であって、R4が出現する毎に、同じまたは異なり、1〜20のC原子を有する直鎖アルキル基および3〜20のC原子を有する分枝または環式アルキル基、それらの各々は、1または1以上のR3基により置換されてもよく、ここにおいて、1または1以上の非隣接のCH基がR3C=CR3、C≡C、Si(R3)、Ge(R3)、Sn(R3)、C=O、C=S、C=Se、C=NR3、P(=O)(R3)、SO、SO、NR3、O、SまたはCONR3により置換されてもよく、且つここにおいて、1または1以上のH原子がF、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてもよい;5〜60の芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、それらは各場合において、1または1以上のR3基により置換されてもよい;これらの系の組み合わせ、ここにおいて、2または2以上の置換基R4が任意に単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成し、それは直線状または折れ曲がった様式で縮合され、且つそれは1または1以上のR3基により置換されてもよい;から選択されることが好ましい。
【0064】
式(9)〜(17)の化合物であって、ここにおいて、
M1はSiおよびGeからなる群より選択され、好ましくはSiである;
R1は、上記で定義された通りである;
R2は、5〜30の芳香族原子を有する芳香族または芳香族複素環系であり、それらにおいて、1または1以上のH原子は任意にF原子により置換されてもよく、且つそれらは各場合において、1または1以上のR3基で置換される;
Xは、CR1と等しい;
YはNR2と等しい;
化合物が好ましい。
【0065】
式(9)〜(17)の化合物の好ましい態様において、R2はフェニル、ナフチルまたはビフェニルを表し、それらの各々は、1または1以上のR3基により置換されてもよい。
【0066】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、カソード、アノードおよび少なくとも1の発光層を含む。これらの3つの層以外に、更なる層、例えば、各場合において、1または1以上のホール注入層、ホール輸送層、ホールブロック層、電子輸送層、電子注入層、エキシトンブロック層および/または電荷発生層を有してもよい(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED(5)、T. Matsumoto, T. Nakada, J. Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J. Kido, Multiphoton organic EL Device Having Charge Generation Layer)。同様に、中間層(inter layer)、それは、例えば、エキシトンブロック機能を有する層が、2つの発光層の間に導入されることも可能である。しかしながら、これらの層の各々が、必ず存在しなくてはならないものではないことは指摘されるべきである。ここで、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、1つの発光層または複数の発光層を含んでもよい。複数の発光層が存在する場合、これらは、好ましくは全部で複数の380〜750の間の発光極大を有し、結果として、全体的には白色発光を生じ、即ち、蛍光または燐光を可能にする種々の発光化合物が発光層において使用される。特に、3層系が好ましく、ここにおいて、3層は青色、緑色および/またはエンジまたは赤色を示す(基本的な構造については、例えば、WO05/011013を参照されたい)。
【0067】
ここで、上述の態様に従う化合物は、詳細な構造に依存して、種々の層において使用できる。本発明に従う化合物を電子ブロックまたはエキシトンブロック層において、および/またはホール輸送層において、および/またはマトリックス物質として、蛍光または燐光エミッタのために、含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスが好ましい。本発明の好ましい態様において、式(9)〜(17)の化合物が、燐光OLEDにおける電気ブロックまたはエキシトンブロック層において、または発光層においてマトリックスとして燐光エミッタのために使用される。ここで、化合物についての上述した好ましい態様は、また、有機電子デバイスにおける物質の使用に適用される。特に、本発明に従う式(9)〜(17)の化合物の使用が好ましい。
【0068】
本発明の好ましい態様において、式(1)の化合物または式(9)〜(17)の化合物は、発光層における蛍光または燐光化合物のためのマトリックス物質といて使用される。ここで、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、1の発光層または複数の発光層を含んでよく、ここにおいて、少なくとも1の発光層は少なくとも1の式(9)〜(17)の化合物をマトリックス物質として含む。複数の発光層が存在する場合、上記でなされた注釈はこれらについても適用する。
【0069】
式(1)または式(9)〜(17)の化合物が発光層において発光化合物のためのマトリックス物質として使用される場合、好ましくは、1または1以上の燐光物質(三重項エミッタ)との組み合わせにおいて使用される。本発明の目的のために、燐光は、相対的に高いスピン多重度、即ち、スピン状態>1を伴う励起状態からの、特に、励起された三重項状態を伴う励起状態からの発光を意味すると解される。この出願の目的のために、全てのルミネッセントイリジウムおよびプラチナ錯体は、燐光化合物として看做されるべきである。次に、式(1)または(9)〜(17)の化合物の混合物および発光化合物は、エミッタおよびマトリックス物質の混合物全体に基づいて、式(1)または(9)〜(17)の化合物を99〜1体積%、好ましくは、98〜10体積%、特に好ましくは、97〜60体積%、特に、95〜85体積%で含む。対応して、混合物は、エミッタおよびマトリックス物質の混合物全体に基づいて、エミッタを1〜99体積%、好ましくは、2〜90体積%、特に好ましくは、3〜40体積%、特に、5〜15体積%で含む。
【0070】
更に好ましい本発明の態様は、更なるマトリックス物質との組み合わせにおける燐光エミッタのためのマトリクス物質としての本発明に従う化合物の使用である。本発明に従う化合物との組み合わせにおいて用いられ得る特に適切なマトリックス物質は、芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドおよび芳香族スルホキシドまたはスルホン、例えば、WO04/013080、WO04/093207、WO06/005627または未公開出願DE102008033943.1に従うもの、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、例えば、CBP(N,N−ビスカルバゾリルビフェニル)またはカルバゾール誘導体、WO05/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP1205527またはWO08/086851に開示されるもの、インドロカルバゾール誘導体、例えば、WO07/063754またはWO08/056746に従うもの、アザカルバゾール誘導体、例えば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP2005/347160に従うもの、二極性マトリックス物質、例えば、WO07/137725に従うもの、シラン、例えば、WO05/111172に従うもの、アザボロール又はボロン酸エステル(boronic esters)、例えば、WO06/117052に従うもの、トリアジン誘導体、例えば、未公開出願DE102008036982.9、WO07/063754またはWO08/056746に従うもの、または亜鉛錯体、例えば、EP652273またはWO09/062578に従うものである。
【0071】
適切な燐光化合物(即ち、三重項エミッタ)は、特に、光を放射する化合物、好ましくは、可視領域において、適切な励起において光を放射し、且つ更に、20よりも大きい、好ましくは、38よりも大きく84よりも小さい、特に好ましくは、56よりも大きく80よりも小さい原子数を有する少なくとも1つ原子を含む化合物である。使用される燐光エミッタは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、プラチナ、銀、金またはユーロピウムを含む化合物であり、特に、イリジウムまたはプラチナを含む化合物である。
【0072】
上記のエミッタの例は、出願WO00/70655、WO01/41512、WO02/02714、WO02/15645、EP1191613、EP1191612、EP1191614、WO05/033244、WO05/019373およびUS2005/0258742により明らかにされている。一般的に、燐光OLEDのための従来技術に従い使用されるような、並びに有機エレクトロルミネッセンスの分野における当業者に公知であるような全ての燐光錯体は、適切であり、当業者は、発明的な工程なしに、更なる燐光錯体を使用できるであろう。好ましい配位子は、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、1−フェニルイソキノリン誘導体または2−フェニルキノリン誘導体である。これらの全ての化合物は、青色のために、例えば、フッ素、シアノおよび/またはトリフルオロメチル置換基により置換されてよい。補助的な配位子は、好ましくは、アセチルアセトネートまたはピクリン酸である。
【0073】
また、特に適切であるのは、四座配位子を有するPtまたはPdの錯体(US2007−0087219A1)、拡張された環系を有するPtポルフィリン錯体(US2009/0061681A1)およびIr錯体、例えば、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン−Pt(II)、テトラフェニル−Pt(II)−テトラベンゾポルフィリン(US2009/0061681A1)、シス−ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)Pt(II)、シス−ビス(2−(2’−チエニル)ピリジナト−N,C3’)Pt(II)、シス−ビス(2−(2’−チエニル)キノリナト−N,C5’)Pt(II)、(2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’)Pt(II)アセチルアセトネート、またはトリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)Ir(III)(Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C)Ir(III)アセチルアセトネート(Ir(ppy)アセチルアセトネート、US2001/0053462A1、Baldo、Thompson et al. Nature 403,(2000)、750-753)、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)(1-フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)、ビス(2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3’)イリジウム(III)アセチルアセトネート、ビス(2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)ピコリネート(Firpic)、ビス(2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’)Ir(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート、トリス(2−(ビフェニル−3−イル)−4−tert−ブチルピリジン)イリジウム(III)、(ppz)Ir(5phdpym)(US2009/0061681A1),(45ooppz)Ir(5phdpym)(US2009/0061681A1)、2−フェニルピリジン−Ir錯体の誘導体、例えば、トリス(2−フェニルイソキノリナト−N,C)Ir(III)、ビス(2−(2’−ベンゾ[4,5−a]チエニル)ピリジナト−N,C)Irアセチルアセトネート([Btp2Ir(acac)], Adachi et al. Appl. Phys. Lett. 78(2001)、1622-1624)などである。三座配位子を有する更なる燐光エミッタは、US6824895に記載される。赤色発光燐光錯体は、US6835469、US6830828およびUS2001/0053462において見られる。
【0074】
本発明の更なる好ましい態様において、式(1)または(9)〜(17)の化合物は、ホール輸送またはホール注入層におけるホール輸送物質として使用される。ここで、ホール注入層は、電気伝導層に対して直接的に隣接する層を意味すると解される。ホール輸送層は、ホール注入層と発光層または電気ブロック層またはエキシトンブロック層との間にある層を意味すると解される。ここで、発光層は、蛍光を発してもよく、または燐光を発してもよい。
【0075】
本発明のまた更に好ましい態様において、式(1)または(9)〜(17)の化合物は、電子ブロック層またはエキシトンブロック層において使用される。電子ブロック層は、アノード側において発光層に対して直接的に隣接する層を意味すると解される。これはまた、エキシトンブロック特性を有してもよい。電子ブロック層の物質のHOMOおよびLUMOの位置は、発光層からホール輸送層への電子の移動を減少する。特に、燐光OLEDの場合において、この種の電子ブロック層の使用が結果として利点を生じる。
【0076】
更に、本発明に従う化合物を電子ブロック層またはエキシトンブロック層において、且つマトリックスとして発光層において両方で使用することも可能である。
【0077】
本発明の更なる態様において、本発明に従う有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、別々のホール注入層および/またはホール輸送層および/またはホールブロック層および/または電子輸送層を含まず、即ち、発光層は、直接にホール注入層またはアノードに対して隣接する、および/または発光層は直接に電子輸送層または電子注入層またはカソードに対して隣接するものであり、例えば、WO05/053051に記載されるとおりである。更に、発光層に対して直接に隣接するホール輸送またはホール注入物質としての発光層における金属錯体と同一または類似する金属錯体を使用することも可能であり、例えば、WO09/030981に記載される通りである。
【0078】
更に、有機エレクトロルミネッセンスデバイスであって、1または1以上の層が昇華法により適用され、そこにおいて、物質は、通常10−5mbar未満、好ましくは10−6未満の初期圧力で真空昇華ユニットにおいて蒸気堆積(vapour-deposited)されることにおいて特徴付けられる有機エレクトロルミネッセンスが更に好ましい。しかしながら、初期圧力は更に低い、例えば、10−7mbar未満でも可能である。
【0079】
同様に好ましくは、1または1以上の層は、OVPD(有機気相堆積)法により、またはキャリアガス昇華の補助で適用され、そこにおいて、物質は、10−5mbar〜1barの圧力で適用されることにより特徴付けられる有機エレクトロルミネッセンスデバイスである。この処理の特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)法であり、そこにおいて物質は、直接にノズルを通して適用され、それにより構造化される(例えば、 M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0080】
更に好ましくは、1または1以上の層が、例えば、スピンコーティングにより、または何れかの所望の印刷法、例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷またはオフセット印刷など、しかしながら特に好ましくは、LITI(光誘起熱イメージング、熱転写印刷)またはインクジェット印刷によって液体から製造されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスデバイスである。可溶性の化合物がこの目的のために必要であり、これは例えば、適切な置換により得られる。
【0081】
これらの方法は、一般的に当業者に公知であり、本発明に従う化合物を含む有機エレクトロルミネッセンスに対して問題を伴わずに、彼らによって適用される。
【0082】
上述の態様に従う本発明に従う化合物または好ましく有機電子デバイスにおいて使用され得るような化合物の好ましい例は、以下の構造(1)〜(280)の化合物である。
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【0083】
本発明に従う化合物およびそれをもって製造される有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、従来技術を上回る以下の驚くべき利点により区別される:
1.昇華の間に部分的または完全な熱分解を受ける従来技術に従う多くの化合物に対比して、本発明に従う化合物および式(9)〜(17)の化合物は、高い熱安定性を有する。
【0084】
2.有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて使用される本発明に従う化合物および式(9)〜(17)の化合物は、高い効率、および低い使用電圧で急勾配の電流電圧曲線が得られる。
【0085】
3.有機エレクトロルミネッセンスデバイスの電子ブロックまたはエキシトンブロック層において使用される本発明に従う化合物および式(9)〜(17)の化合物は、特に燐光OLEDの非常に高い効率が得られる
4.蛍光または燐光エミッタのためのマトリックス物質として使用される本発明に従う化合物および式(9)〜(17)の化合物は、高効率と長寿命が得られる。これは特に、化合物が更なるホスト物質と燐光エミッタとの組み合わせにおいて使用される場合に適用される。
【0086】
これらの上述の利点は、他の電子特性を障害しない。
【0087】
本発明を、更に詳細に以下の例において説明するが、それにより限定することを求めるものではない。当業者は、その記載から、発明的な工程なしで、本発明に従う更なる錯体を製造することが可能であり、有機電子デバイスにおけるそれらの使用または本発明に従う方法の使用、従って、開示された範囲を通しての本発明を実施することが可能である。
【0088】
[例]
以下の合成は、別段の指摘がない限り、乾燥溶媒中で、保護ガス雰囲気下で行った。溶媒および試薬はアルドリッチまたはABCRから入手可能である。
【0089】
例1−9:ジアミンの合成
以下に示されるジアミンは、対応するジブロモ芳香族化合物から、対応するアリールアミンとのT. Wenderski et al., Tetrahedron Letters, 45(37)、2004, 6851に類似する反応により製造できる。
【表A−1】

【表A−2】

【0090】
例10−18:本発明に従う化合物の合成
240ml(600mmol)のn−ブチルチリウム、ヘキセン中で2.5モル濃度を、2000mlのジエチルエーテル中で300mmolの例1〜9に従う対応するジアミンの溶液に対して室温で攪拌しながら添加する。添加が終了したときに発熱反応は沈静し、攪拌を1時間続け、次に、25.5g(150mmol)の四塩化シリコンと100mlのジエチルエーテルの混合物を滴下により添加する。添加が終了したときに発熱反応は沈静し、攪拌を1時間続け、次にジエチルエーテルを真空で除去し、残渣を約300mlのトルエンに取り出し、酸化アルミニウム、塩基、活性等級1上でクロマトグラフィを行う。この方法において得られた粗生成物は、その後、トルエン/エタノール(1:2、約6ml/g)から4回、再結晶化し、次に、高減圧において2回、昇華する(p=10−5mbar)。
【表B−1】

【表B−2】

【表B−3】

【0091】
例19−22:本発明に従う化合物の合成
240ml(600mmol)のn−ブチルリチウム、n−ヘキセン中で2.5モル濃度を、2000mlのジエチルエーテル中で300mmolの例1または5に従う対応するジアミンの溶液に対して、室温で攪拌しながら添加する。添加が終了したとき、発熱反応は沈静し、攪拌を1時間に亘り継続し、150mmolの対応するジクロロジアリールシランまたはジアルキルシランと100mlのジエチルエーテルの混合物を次に滴下により添加する。添加が終了したとき発熱反応は沈静し、攪拌を1時間に亘り継続し、次にジエチルエーテルを減圧して除去し、その残渣を約300mlのトルエンに取り出し、酸化アルミニウム、塩基性、活性等級1上でクロマトグラフィを行う。この方法において得られた粗成生物をその後、トルエン/エタノール(1:2、約6ml/g)から4回再結晶化し、次に高減圧(p=10−5mbar)において2回昇華する。
【表C】

【0092】
OLEDの製造
本発明に従うOLEDおよび従来技術に従うOLEDを、WO04/058911に従う一般的な方法により製造し、それをここで記載される環境(層−厚さ変化、使用された物質)に適応させる。
【0093】
種々のOLEDのための結果を以下の例23〜46において示す(表1および2を参照)。150mmの厚さを有する構造化されたITO(イリジウムスズオキシド)でコーティングされた小さいガラスプレートを、改良処理のために、水からスピンコートでコーティングされた20nmのPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン)で被覆した;H. C. Starck, Goslar, Germany)から入手した。これらの被覆ガラスプレートが、それに対してOLEDが適用される基体を構成する。特に、OLEDは以下の層構造を有する:基体/ホール注入層(HIL、HIL1で20nm、)/ホール輸送層(HTL、HTM1で20nm)/電子ブロック層(EBL、20nm)/発光層(EML、40nm)/電子輸送層(ETL、ETL1で20nm)/電子注入層(EIL、LiFで1nm)および最後にカソード。カソードは100nmの厚さのアルミニウム層により形成される。OLEDの精度構成、特に、EBL、EMLおよびHBLの構成を、緑色発光OLEDについては表1に、青色発光OLEDについては表2に示す。OLEDの製造のために使用される物質は、表3に示す。
【0094】
全ての物質は減圧チャンバー内で熱蒸気堆積(vapour-deposited thermally)される。ここで、発光層は、常に少なくとも1のマトリックス物質(ホスト物質)と発光ドーパント(エミッタ)からなり、発光ドーパント(エミッタ)は、ある体積比で共蒸着により単数または複数のマトリックス物質と混合される。ここで、例えば、M1:M2:TEG1(55%:35%:10%)のような表示は、物質M1が層において50%の体積比で、M2が35%の体積比で、およびTEG1が10%の体積比で存在することを意味する。
【0095】
まだ最適化されていないOLEDは、標準的な方法により特徴付けされる。この目的のために、エレクトロルミネッセンススペクトル、電流効率(cd/Aで測定される)、電力効率(lm/Wで測定される)および発光密度の関数として、電流電圧−輝度特性線(IUL特性線)から計算される外部量子効率(external quantum efficiency)(EQE、パーセントで測定される)、および寿命が測定される。寿命は、発光密度が、ある初期発光密度Iからある比率にまでに降下したことにかかる時間として定義される。LD50は、所定の寿命が、発光密度が0.5・I(50%)にまで降下した時点での時間を意味し、即ち、例えば、8000cd/mから4000cd/mに降下した時間を意味する。表において表示された効率および電圧は、1000cd/mの操作輝度での対応する値を示す。
【0096】
上述の例からの明瞭である通り、本発明に従う物質は、特に電子ブロック物質またはエキシトンブロック物質としての使用のために適切である。この機能において、それらは、燐光OLEDにおける効率の有意な増大と、青色燐光エミッタの場合におけるより低い動作電圧とを結果的として生じる。
【表1】

【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の式(1)の部分を含む化合物:
【化1】

ここにおいて、
Mは、Si、GeおよびSnからなる群より選択される;
qは、0または1である;
A、B、DおよびEは、それぞれC原子であり;AがNを有する芳香族系を形成しないのであれば二重結合または芳香族結合がAおよびBの間に存在し、AがNを有する芳香族系を形成するのであれば一重結合がAおよびBの間に存在する:更に、EがYを有する芳香族系を形成しないのであれば二重結合または芳香族結合がDおよびEの間に存在し、EがYを有する芳香族系を形成するのであれば一重結合がDおよびEの間に存在する;
Yは、NR2、OおよびSからなる群より選択される;
R1は、出現する毎に同じ、または異なって、且つH、D、F、Cl、Br、I、CN、NO、N(R3);1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシまたはチオアルキル基、または3〜40のC原子を有する分枝または環式アルキル、アルコキシまたはチオアルキル基、または2〜40のC原子を有するアルケニル基、それらの各々は、1または1以上のR3基により置換されていてもよく、そこにおいて、1または1以上の非隣接のCH基が、R3C=CR3、C≡C、Si(R3)、Ge(R3)、Sn(R3)、C=O、C=S、C=Se、C=NR3、P(=O)(R3)、SO、SO、NR3、O、SまたはCONR3により置換されてもよく、且つそこにおいて1または1以上のH原子がD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてよい;5〜60の芳香環原子を有する芳香環または芳香族複素環系、それらは、各場合において、1または1以上のR3基により置換されてよい;またはこれらの系の組み合わせ、そこにおいて2または2以上の隣接する置換基R1は任意に単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してもよく、それは直線状または折れ曲がった様式で縮合され、且つそれは、1または1以上のR3基により置換されてよい;からなる群より選択される;
R2は、出現する毎に同じ、または異なって、1〜40のC原子を有する直鎖アルキルまたは3〜40のC原子を有する分枝または環式アルキル基、それらの各々は1または1以上のR3基で置換されてもよく、ここにおいて、1または1以上の非隣接のCH基は、R3C=CR3、C≡CまたはC=Oにより置換されてもよく、並びにここにおいて、1または1以上のH原子はF、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてもよい;5〜60芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、それらの各場合において、1または1以上のR3基により置換されてもよい;またはこれらの系の組み合わせ;からなる群から選択され;但し次の条件を伴い、少なくとも1のR2基が、芳香族または芳香族複素環系を表し、それらの各々の場合において1または1以上のR3基により置換されてもよい少なくとも1のR2基が、式(1)の構造に存在する;式(1)の部分における1、2位において互いに隣接するR1およびR2は、任意に単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してもよく、それは直線状または折れ曲がった様式に縮合され、且つそれは1または1以上のR3基により置換されてもよい;
R3は、出現する毎に同じまたは、異なって、H、D;1〜20のC原子を有する脂肪族炭化水素基;5〜30芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、そこにおいて、1または1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてもよく、ここにおいて2または2以上の隣接する置換基R3が、単または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してもよく、それは、直線状または折れ曲がった様式で互いに縮合される;からなる群より選択される;
以下の化合物;
【化2】

【化3】

は本発明から除外される。
【請求項2】
式(2)〜(8)の部分を含む、請求項1に従う化合物;
【化4】

ここにおいて、M、R1、R2、R3およびYは請求項1において定義された通りであり、Xは出現する毎に同じ、または異なって、CR1およびNからなる群より選択される。
【請求項3】
式(9)の構造を有する請求項1または2に従う化合物;
【化5】

ここで、A、B、D、E、R1、R2、R3、Yおよびqは請求項1において定義された通りであり、更に;
M1は、Si、GeまたはSnであり;
R4は、出現する毎に同じ、または異なって、F、Cl、Br、I、N(R3);1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシまたはチオアルキル基および3〜40のC原子を有する分枝または環式アルキル、アルコキシまたはチオアルキル基、および2〜40のC原子を有するアルケニル基、それらは各々、1または1以上のR3基により置換されてもよく、ここにおいて、1または1以上の非隣接のCH基は、R3C=CR3、C≡C、Si(R3)、Ge(R3)、Sn(R3)、C=O、C=S、C=Se、C=NR3、P(=O)(R3)、SO、SO、NR3、O、SまたはCONR3により置換されてもよく、且つここにおいて、1または1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてもよい;5〜60芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、それらは各場合において1または1以上のR3基により置換されてもよい;5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、それらは1または1以上のR3基により置換されてもよい;またはこれらの系の組み合わせ、ここにおいて、2または2以上の置換基R4が、任意に単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してもよく、それらは直線状または折れ曲がった様式で縮合され、且つそれらは1または1以上のR3基で置換されてもよい;からなる群より選択される;
mは、1または2である;
nは、(2−m)である。
【請求項4】
式(10)〜(17)のうちの1の請求項1〜3の1または1以上に従う化合物:
【化6】

【化7】

ここにおいて、M1、R1、R2、R3、R4、X、Y、mおよびは請求項1〜3において定義された通りであり、pは1〜100,000、好ましくは1〜10,000、特に好ましくは1〜100、非常に特に好ましくは1である整数である。
【請求項5】
請求項3または4に従う化合物であって、m=2およびn=0であることを特徴とする化合物。
【請求項6】
請求項3〜5の1または1以上に従う化合物であって、M1が、SiまたはGe、特にSiを表すことを特徴とする化合物。
【請求項7】
請求項3〜7の1または1以上に従う化合物であって、YがNR2またはO、特にNR2を表すことを特徴とする化合物。
【請求項8】
請求項3〜7の1または1以上に従う化合物であって、XがCR1を表すことを特徴とする化合物。
【請求項9】
請求項3〜8の1または1以上に従う化合物であって、R4が、出現する毎に同じ、または異なって、1〜20のC原子を有する直鎖アルキルおよび3〜20のC原子を有する分枝または環式アルキル基、それらの各々は、1または1以上のR3基で置換されてもよく、ここにおいて1または1以上の非隣接のCH基がR3C=CR3、C≡C、Si(R3)、Ge(R3)、Sn(R3)、C=O、C=S、C=Se、C=NR3、P(=O)(R3)、SO、SO、NR3、O、SまたはCONR3で置換されてもよく、且つここにおいて、1または1以上のH原子がF、Cl、Br、I、CNまたはNOで置換されてもよい;5〜60の芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、それらは各場合において、1または1以上のR3基により置換されてもよい;またはこれらの系の組み合わせ、ここにおいて、2または2以上の置換基R4が任意に単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してもよく、それらは直線状または折れ曲がった様式で縮合され、且つそれらは1または1以上のR3基で置換されてもよい;からなる群より選択されることを特徴とする化合物。
【請求項10】
請求項3〜9の1または1以上のに従う化合物であって、そこにおいて、
M1は、Si、Geからなる群より選択され、好ましくはSiであり;
R1は、請求項1において定義される通りであり;
R2は、出現する毎に同じ、または異なって、5〜30の芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、それらにおいて、1または1以上のH原子は任意にF原子により置換されてよく、更にそれらの各場合において、1または1以上のR3基により置換されてよい;
Xは、CR1と等しい;
Yは、NR2と等しい;
化合物。
【請求項11】
M(Hal)2m(R4)2n、特に、MHalを、対応するジアミン、アミノアルコール、アミノチオールまたはそれぞれの脱プロトン化化合物と反応することによる請求項1〜10の1または1以上に従う化合物の製造方法であって、ここで、M、mおよびnは請求項1および3において記載された意味を有し、Halは、Cl、BrまたはIを表す方法。
【請求項12】
請求項1〜10の1または1以上に従う1または1以上の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマー、ここで、1または1以上の結合が、本発明に従う化合物から前記ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーが与えられるオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマー。
【請求項13】
式(1)の少なくとも1部分を含む化合物またはこの部分を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーの有機電子コンポーネントにおける使用;
【化8】

ここにおいて、
Mは、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hf、Cr、MoおよびWからなる群より選択され;
R2は、出現する毎に同じか、または異なって、1〜40のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40のC原子を有する分枝または環式アルキル基、それらの各々は、1または1以上のR3基により置換されてもよく、ここにおいて、1または1以上の非隣接のCH基はR3C=CR3、C≡CまたはC=Oにより置換されてもよく、且つここにおいて、1または1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてもよい;5〜60の芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、それらは各場合において、1または1以上のR3基により置換されてもよい;またはこれらの系の組み合わせ;式(1)の部分での1、2位において互いに隣接するR1およびR2は、任意に単環式または多環式脂肪族、芳香族または芳香族複素環系を形成してよく、それらは直線状または折れ曲がった様式で縮合され、且つそれは1または1以上のR3基により置換されてもよい;
使用される他の記号および表示されるものは請求項1において記載された意味を有する。
【請求項14】
請求項13に従う式(1)の部分を含む1または1以上の化合物またはこの部分を含むオリゴマー、ポリマー若しくはデンドリマーを具備する、電子デバイス、特に、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機太陽電池(O−SC)、有機光学検出器、有機感光体、有機電場消光デバイス(O-FQD)、発光電気化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)または有機プラズモン発光デバイス。
【請求項15】
式(9)特に、式(10)〜(17)の少なくとも1の化合物を具備する請求項14に従う電子デバイス;
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

ここにおいて、R2は請求項16において記載された意味を有し、M1はSi、Ge、Sn、Ti、Zr、Hf、Cr、MoおよびWから選択され、使用される他の記号および表示は請求項1〜5において記載された意味を有し、且つ更に;
M1=Si、Ge、Sn、Ti、ZrまたはHfについては、mは1または2であり、M1=Cr、MoまたはWについては、mは1、2または3であり;
M1=Si、Ge、Sn、Ti、ZrまたはHfについては、nは(2−m)であり、M1=Cr、MoまたはWについては、nは(3−m)である。
【請求項16】
請求項14または15に従う有機エレクトロルミネッセンスデバイスであって、式(1)または式(9)〜(17)の化合物が、電子ブロックまたはエキシトンブロック層において、および/またはホール輸送層において、および/またはホール注入層において、および/または蛍光または燐光エミッタのためのマトリックス物質として、および/または更なるマトリックス物質との組み合わせにおける蛍光または燐光エミッタのためのマトリックス物質として使用されることを特徴とするデバイス。

【公表番号】特表2012−508201(P2012−508201A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535022(P2011−535022)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007361
【国際公開番号】WO2010/054729
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】