説明

有機ケイ素化合物を基礎とする架橋可能な組成物

本発明は、(B)式:A[CR12SiRa(OR23-ax(式中、基及び係数は請求項1に示される意味を有する)の複素環式化合物を使用して製造できる有機ケイ素化合物を基礎とする架橋可能な組成物、その製造方法並びにその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環式化合物を含有する有機ケイ素化合物を基礎とする架橋可能な組成物、その製造方法並びにその使用に関する。
【0002】
水の排除下で貯蔵安定性の、水の侵入の際に室温でエラストマーへと加硫する、1成分−シーラント(RTV−1)は、久しい以前から公知である。この生成物は、大量に、例えば建設産業において使用される。この種の混合物のベースは、シリル基を末端基とするポリマーであり、これは反応性の置換基、例えばOH基又は加水分解可能な基、例えばアルコキシ基を有する。更に前記シーラントは、充填剤、可塑剤、架橋剤、触媒並びに添加剤を含有してよい。
【0003】
DE19725501号C1において、アルコキシ架橋性のRTV1−シリコーンゴム混合物であって、ヒドロキシ末端のポリジオルガノシロキサンの他に、複素環で置換されたアルコキシシラン、例えばN−1−(トリエトキシシリル)エチルスクシンイミド又はN−[1−(トリエトキシシリル)エチル]ピロリドン−(2)を含むものが記載されている。この化合物を使用すると、反応性が慣用の組成物に対して、エトキシ置換された化合物も使用できるほど高められている組成物を特に良好に製造できる。しかし、該組成物は、依然としてなおも緩慢であるため、シランとヒドロキシ末端ポリジオルガノシロキサンとの反応のために触媒の使用が必要であり、かつ架橋可能な組成物の十分な硬化速度を達成するために多量の架橋触媒を使用せねばならない。
【0004】
本発明の対象は、
(B)式
A[CR12SiRa(OR23-ax (I)
[式中、
Aは、複素環AHxを基礎とする基であって、第3主族及び/又は第5主族の少なくとも1つの環形成性元素を含み、x個の水素原子がCR12基に対する化学結合によって置き換えられている基を表し、その際、少なくとも1つの前記の結合は、第3主族もしくは第5主族の1つの環形成性元素に存在し、
Rは、同一もしくは異なって、一価の、置換もしくは非置換の炭化水素基を意味し、
1は、同一もしくは異なってよく、かつ水素又は一価の、置換もしくは非置換の炭化水素基を意味し、
2は、同一もしくは異なってよく、かつ一価の、置換もしくは非置換の炭化水素基を意味し、
aは、0もしくは1、好ましくは0であり、かつ
xは、1、2もしくは3、好ましくは1もしくは2、特に好ましくは1である]の複素環式化合物及び/又はその部分加水分解物を使用して製造できる縮合反応によって架橋可能な組成物である。
【0005】
式(I)の化合物の部分加水分解物は、部分単独加水分解物であっても、部分共加水分解物であってもよい。本発明により使用される成分(B)が式(I)の化合物の部分加水分解物である場合に、10個までのケイ素原子を有するものが好ましい。
【0006】
好ましくは、基Rは、1〜18個の炭素原子を有する、置換もしくは非置換の一価の炭化水素基、特に好ましくはアルキル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピ−1−イル基及びフェニル基、特にメチル基である。
【0007】
基Rの例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル基;例えばn−オクタデシル基、シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えばビニル基、1−プロペニル基及び2−プロペニル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基;キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基である。
【0008】
置換された基Rのための例は、ハロゲンアルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピ−1−イル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピ−2−イル基及びヘプタフルオロプロピ−2−イル基、ハロゲンアリール基、例えばo−、m−及びp−クロロフェニル基並びに2−メトキシエチル基、2−メトキシプロピ−1−イル基並びに2−(2−メトキシエトキシ)エチル基である。
【0009】
基R1のための例は、水素原子並びにRについて挙げた基である。
【0010】
好ましくは、基R1は、水素原子及び、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、特に水素原子である。
【0011】
基R2のための例は、Rについて挙げた基である。
【0012】
好ましくは、基R2は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル基もしくはエチル基、特にエチル基である。
【0013】
基Aは、少なくとも2つの異なる元素からなる環形成性元素を有する環式化合物であるが、但し、少なくとも1つの環形成性原子が第3主族及び/又は第5主族の元素であり、それは式(I)中の基−CR12−の炭素原子への結合位置を有する。
【0014】
好ましくは、基Aは、環式の有機化合物であって、その環構造が炭素原子の他に、さらに少なくとも1つの第3主族及び/又は第5主族の元素を含み、特に好ましくは少なくとも1つの更なるヘテロ原子を含む化合物である。
【0015】
以下で、"ヘテロ原子"という呼称は、炭素以外の全ての環形成性元素を表すものとする。
【0016】
基A中の環形成性ヘテロ原子は、好ましくは、窒素、リン、酸素、ケイ素及び硫黄、特に好ましくは窒素及び酸素である。
【0017】
基Aは、置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分不飽和の複素環式化合物であってもよい。環Aが置換されている場合には、置換基は、好ましくはハロゲン原子、炭化水素基及びオルガニルオキシ基であり、その際、前記の置換基は、多価の基であってよく、それらの基は1もしくは複数の環形成性原子に結合されていてよい。
【0018】
基Aは、環炭素原子を、二重結合を介して結合された酸素原子もしくは硫黄原子と一緒に有してもよいが、但し、斯かる環炭素原子は、式(I)のCR12基に結合されている第3主族もしくは第5主族の環形成性ヘテロ原子に対して直説結合を有さない。
【0019】
基Aにおいては、環炭素原子は、二重結合を介して結合された窒素原子もしくはリン原子と一緒に含まれていてよいが、それは好ましくない。
【0020】
基Aは、好ましくは3員、4員、5員、6員、7員もしくは8員の複素環式化合物であって、環形成性原子として、炭素以外に、窒素及び/又はリン及び/又は酸素及び/又は硫黄をヘテロ原子として有する化合物であるが、但し、環形成性原子の少なくとも1つは、第3主族及び/又は第5主族の元素であり、その際、更なる環が縮合されていてよい。
【0021】
特に好ましくは、基Aの基礎となる複素環式化合物は、式(I)の化合物のCR12基への結合のために必要な第3主族及び/又は第5主族のヘテロ原子の他に、更なる環ヘテロ原子を含む5員の及び6員の複素環式化合物である。
【0022】
基Aの基礎となる複素環式化合物のための例は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、1,3−オキサゾリジン、1,3−チアゾリジン、1H−1,2−ジアゾール、Δ2−1,2−ジアゾリン、Δ4−1,2−ジアゾリン、1,3−ジアゾール、Δ2−1,3−ジアゾリン、Δ4−1,3−ジアゾリン、1,3−ジアゾリジン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、Δ4−1,2−ジアゾリン−3−オン、ピペリジン、テトラヒドロ−1,4−オキサジン、テトラヒドロ−1,4−チアジン、ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン、ヘキサヒドロ−1,4−ジアジン、1−メチルヘキサヒドロ−1,4−ジアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−4−オン、4−メチルヘキサヒドロ−1,4−ジアジン−3−オン、1H−アゼピン、ヘキサヒドロアゼピン、オクタヒドロアゾシン、1H−ベンゾ[b]ピロール、2,3−ジヒドロベンゾ[b]ピロール、9H−ジベンゾピロール、ベンゾ[d]−1,2−ジアゾール、ベンゾ[d]−1,3−ジアゾール及びベンゾ[d]−1,2,3−トリアゾールである。
【0023】
特に好ましくは、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロ−1,4−オキサジン、テトラヒドロ−1,4−チアジン、テトラヒドロ−1,4−ジアジン及び1−メチルテトラヒドロ−1,4−ジアジン、特にテトラヒドロ−1,4−オキサジンである。
【0024】
複素環式化合物(B)のための例は、1−(トリエトキシシリルメチル)アジリジン、1−(トリエトキシシリルメチル)アゼチジン、1−(トリエトキシシリルメチル)ピロール、1−(トリエトキシシリルメチル)ピロリジン、3−(トリエトキシシリルメチル)−1,3−オキサゾリジン、3−(トリエトキシシリルメチル)−1,3−チアゾリジン、1−(トリエトキシシリルメチル)−1H−1,2−ジアゾール、1−(トリエトキシシリルメチル)−Δ2−1,2−ジアゾリン、1−(トリエトキシシリルメチル)−Δ4−1,2−ジアゾリン、1−(トリエトキシシリルメチル)−1,3−ジアゾール、1−(トリエトキシシリルメチル)−Δ2−1,3−ジアゾリン、1−(トリエトキシシリルメチル)−Δ4−1,3−ジアゾリン、1−(トリエトキシシリルメチル)−1,3−ジアゾリジン、1,3−ビス(トリエトキシシリルメチル)−1,3−ジアゾリジン、1−(トリエトキシシリルメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール、2−(トリエトキシシリルメチル)−2H−1,2,3−トリアゾール、1−(トリエトキシシリルメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール、4−(トリエトキシシリルメチル)−4H−1,2,4−トリアゾール、1−(トリエトキシシリルメチル)−1H−テトラゾール、2−(トリエトキシシリルメチル)−2H−テトラゾール、1−(トリエトキシシリルメチル)−Δ4−1,2−ジアゾリン−3−オン、1−(トリエトキシシリルメチル)ピペリジン、4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、4−(1−(トリエトキシシリル)エチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、4−(2−(トリエトキシシリル)プロピ−2−イル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、4−(1−フェニル−1−(トリエトキシシリル)エチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−チアジン、1−(トリエトキシシリルメチル)ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン、1−(トリエトキシシリルメチル)ヘキサヒドロ−1,4−ジアジン、1−メチル−4−(トリエトキシシリルメチル)ヘキサヒドロ−1,4−ジアジン、1,4−ビス(トリエトキシシリルメチル)ヘキサヒドロ−1,4−ジアジン、1,4−ビス(1−(トリエトキシシリル)エチル)ヘキサヒドロ−1,4−ジアジン、1−(トリエトキシシリルメチル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3−ビス(トリエトキシシリルメチル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(トリエトキシシリルメチル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1−(トリエトキシシリルメチル)ヘキサヒドロ−1,3−ジアジン−4−オン、1−(トリエトキシシリルメチル)−4−メチル−ヘキサヒドロ−1,4−ジアジン−3−オン、1−(トリエトキシシリルメチル)−1H−アゼピン、1−(トリエトキシシリルメチル)ヘキサヒドロアゼピン、1−(トリエトキシシリルメチル)オクタヒドロアゾシン、1−(トリエトキシシリルメチル)ベンゾ[b]ピロール、1−(トリエトキシシリルメチル)−2,3−ジヒドロベンゾ[b]ピロール、9−(トリエトキシシリルメチル)ジベンゾピロール、1−(トリエトキシシリルメチル)ベンゾ[d]−1,2−ジアゾール、1−(トリエトキシシリルメチル)ベンゾ[d]−1,3−ジアゾール及び1−(トリエトキシシリルメチル)ベンゾ[d]−1,2,3−トリアゾールである。更なる例は、全ての上述の化合物であって、そのトリエトキシシリル基が、トリメトキシシリル基、ジエトキシメチルシリル基もしくはジメトキシメチルシリル基によって置き換えられた化合物である。
【0025】
本発明により使用される複素環式化合物(B)は市販化合物であるかもしくは化学分野において慣用の方法により製造可能である。
【0026】
前記の成分(B)に加えて、本発明による組成物は、ここで、今までにも縮合反応によって架橋可能な組成物において使用されていた全ての物質、例えば少なくとも2つの縮合性基を有する有機ケイ素化合物(A)、更なる架橋剤(C)、触媒(D)、塩基性窒素を有する化合物(E)、充填剤(F)、付着媒介剤(G)、可塑剤(H)及び添加剤(I)を含有してよく、(C)、(E)及び(G)は、成分(B)とは異なる。
【0027】
好ましくは、本発明による組成物は、
(A)少なくとも2つのOH基を有する有機ケイ素化合物、
(B)式(I)の複素環式化合物、場合により
(C)更なる架橋剤、場合により
(D)触媒、場合により
(E)塩基性窒素を有する化合物、場合により
(F)充填剤、場合により
(G)付着媒介剤、場合により
(H)可塑剤、及び場合により
(I)添加剤
を使用して製造できる組成物である。
【0028】
本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)とは、これまでにも縮合反応により架橋可能なコンパウンド中で使用されている、少なくとも2つのOH基を有する全ての有機ケイ素化合物であってよい。
【0029】
しばしば、文献においては今までは、OH基を有するポリマー又は加水分解性基を有するポリマーを使用して製造されている封止用組成物は区別されていた。縮合反応によって架橋可能な組成物は、しかしながら、架橋性成分として、一般に、加水分解性基を有する少なくとも1種のポリシロキサンを含有する。更に、大抵はなおも、同様に加水分解性基を有するモノマーもしくはオリゴマーのシランが含まれている。架橋された構造物にするために、1分子あたり、少なくとも2つの斯かる架橋性基が含まれていなければならない。上述の架橋性ポリマーが、OH基を有するポリマーを封止用組成物の製造の間に、例えば架橋性基を有する添加されたシランとの反応によって得られることによって形成されるか、あるいは、斯かるポリマーを別工程で事前に製造しているかどうかは、全く重要ではない。
【0030】
好ましくは、本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)は、式
3b(OH)cSiO(4-b-c)/2 (II)
[式中、
3は、同一もしくは異なってよく、かつ置換もしくは非置換の、酸素原子によって中断されていてよい炭化水素基を意味し、
bは、0、1、2もしくは3、好ましくは2であり、かつ
cは、0、1、2もしくは3、好ましくは0もしくは1である]の単位を含むが、
但し、b+cの合計は3以下であり、かつ1分子当たり少なくとも2つの縮合性基OHが存在する化合物である。
【0031】
好ましくは、基R3は、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、これは、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基又は(ポリ)−グリコール基により置換されていてよく、その際、この最後の基は、オキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位から構成されており、特に好ましくは、1〜12個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特に、メチル基である。
【0032】
基R3のための例は、基Rについて示した例である。
【0033】
特に好ましくは、本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)は、実質的に直鎖状の、OH末端を有するオルガノポリシロキサン、特にα,ω−ジヒドロキシジオルガノポリシロキサンである。
【0034】
有機ケイ素化合物(A)のための例は、(HO)Me2SiO[SiMe2O]30-2000SiMe2(OH)であり、その際、Meは、メチル基である。
【0035】
本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)は、25℃でそれぞれ、好ましくは100〜106mPa・s、特に好ましくは103〜350000mPa・sの粘度を有する。
【0036】
有機ケイ素化合物(A)は、市販の製品であるか又は、ケイ素化学において慣用の方法により製造することができる。
【0037】
本発明による組成物は、成分(B)を、それぞれ100質量部の本発明による組成物に対して、有利には0.5〜10質量部、特に有利には1〜5質量部、特に1〜2.5質量部の量で含有する。
【0038】
本発明による組成物中で場合により使用される更なる架橋剤(C)は、少なくとも3個の縮合性基を有する任意の今までに知られた、成分(B)とは異なる架橋剤、例えば少なくとも3個のオルガニルオキシ基を有するシランである。
【0039】
特に好ましくは、本発明による組成物で場合により使用される更なる架橋剤(C)は、シラン架橋剤、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−(グリシドキシ)プロピルトリエトキシシラン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、N−(トリメトキシシリルメチル)−O−メチルカルバメート、N,N−ジブチルアミノメチルトリエトキシシラン、メタクリル酸(トリエトキシシリルメチル)エステル、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン及びビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン並びにそれらの部分加水分解物である。
【0040】
本発明による組成物中で使用されてよい更なる架橋剤(C)は、市販の製品であるか、又は、ケイ素化学において公知の方法により製造することができる。
【0041】
本発明による組成物が更なる架橋剤(C)を含有する場合に、その量は、本発明による組成物100質量部に対してそれぞれ、好ましくは0.1〜10質量部、特に有利には0.2〜5質量部、殊に好ましくは0.5〜3質量部である。好ましくは、本発明による材料は、付加的に成分(C)を含有する。
【0042】
触媒(D)のための例は、今までに既に知られたチタン化合物、例えばテトライソプロポキシチタネート並びにジルコニウム化合物及びハフニウム化合物、亜鉛化合物、例えば亜鉛(2−エチルヘキソエート)及び有機スズ化合物、例えばジ−n−ジブチルスズジラウレート及びジ−n−ブチルスズジアセテート、ジ−n−ブチルスズ酸化物、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズ酸化物並びにこれらの化合物とアルコキシシラン、例えばテトラエトキシシランとの反応生成物であり、その際、テトラエチルシリケート−加水分解物のジ−n−オクチルスズ酸化物、50質量%のメチルトリエトキシシラン加水分解物と50質量%の3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる混合物中のジ−n−オクチルスズ酸化物及びテトライソプロピルシリケート中のジ−n−オクチルスズオキシドが好ましく、かつリン酸エステル及びホスホン酸と、テトラエチルシリケート−加水分解物中のジ−n−オクチルスズ酸化物との、50質量%のメチルトリエトキシシラン加水分解物及び50質量%の3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる混合物中に溶解されたジ−n−オクチルスズ酸化物との、及びテトライソプロピルシリケート中のジ−n−オクチルスズ酸化物との反応生成物が特に好ましい。
【0043】
本発明による組成物が触媒(D)を含有する場合に、その量は、本発明による組成物100質量部に対してそれぞれ、好ましくは0.0001〜2質量部、有利には0.001〜1質量部である。
【0044】
本発明により場合により使用される塩基性窒素を有する化合物(E)は、好ましくは、式
NR63 (III)
[式中、
6は、同じか又は異なっていてよく、かつ水素原子又は炭化水素基であり、該基はヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基又は(ポリ)グリコール基で置換されていてよく、その際、最後の基はオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位から構成されており、
但し、式(III)中においては多くとも2個のR6が水素原子の意味を有し、その際、より多くのR6が存在する場合には、これはまた互いに環式構造に結合されていてよい]の化合物、
並びに式
7klSi(OR8m(4-k-l-m)/2 (IV)
[式中、
7は、同じか又は異なっていてよく、かつ一価のSiC結合した、塩基性窒素を有さない有機基であり、
8は、同じか又は異なっていてよく、かつ基R2について挙げた意味を有し、
Yは、同じか又は異なっていてよく、かつ一価のSiC結合した、塩基性窒素を有する基であり、
kは、0、1、2又は3であり、
lは、0、1、2、3又は4であり、かつ
mは、0、1、2又は3である]の単位からの成分(B)とは異なる少なくとも1個の塩基性窒素を有する有機基を有するが、
但し、k+l+mの合計は4以下であり、かつ1分子当たり少なくとも1個の基Yが存在する有機ケイ素化合物からなる群から選択された化合物である。
【0045】
基R6及びR7の例は、それぞれ互いに無関係に、Rについて挙げた、置換又は非置換の炭化水素基の例である。
【0046】
置換又は非置換の炭化水素基R6は、好ましくは、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0047】
基R7は、好ましくは、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基であり、その際、メチル基、エチル基及びn−プロピル基が特に好ましく、特にメチル基である。
【0048】
基R8の例は、基R2について挙げた例である。
【0049】
好ましくは基R8は、メチル基及びエチル基である。
【0050】
基Yの例は、式H2NCH2−、H2N(CH22−、H2N(CH23−、H2N(CH22NH(CH22−、H2N(CH22NH(CH23−、H2N(CH22NH(CH22NH(CH23−、H3CNH(CH23−、C25NH(CH23−、H3CNH(CH22−、C25NH(CH22−、H2N(CH24−、H2N(CH25−、H(NHCH2CH23−、C49NH(CH22NH(CH22−、シクロ−C611NH(CH23−、シクロ−C611NH(CH22−、(CH32N(CH23−、(CH32N(CH22−、(C252N(CH23−及び(C252N(CH22−の基である。
【0051】
好ましくは、Yは、H2N(CH23−、H2N(CH22NH(CH23−、H3CNH(CH23−、C25NH(CH23−及びシクロ−C611NH(CH23−基であり、その際、H2N(CH22NH(CH23−及びシクロ−C611NH(CH23−基が特に好ましい。
【0052】
式(IV)の単位からの有機ケイ素化合物がシランである場合には、kは好ましくは0、1又は2であり、特に好ましくは0又は1であり、lは好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1であり、かつmは好ましくは1、2又は3であり、特に好ましくは2又は3であり、但し、k+l+mの合計は4である。
【0053】
本発明により場合により使用される式(IV)のシランのための例は、H2N(CH23−Si(OCH33、H2N(CH23−Si(OC253、H2N(CH23−Si(OCH32CH3、H2N(CH23−Si(OC252CH3、H2N(CH22NH(CH23−Si(OCH33、H2N(CH22NH(CH23−Si(OC253、H2N(CH22NH(CH23−Si(OCH32CH3、H2N(CH22NH(CH23−Si(OC252CH3、H2N(CH22NH(CH22NH(CH23−Si(OC253、シクロ−C611NH(CH23−Si(OCH33、シクロ−C611NH(CH23−Si(OC253、シクロ−C611NH(CH23−Si(OCH32CH3、シクロ−C611NH(CH23−Si(OC252CH3、HN((CH23−Si(OCH332及びHN((CH23−Si(OC2532並びにそれらの加水分解物であり、その際、H2N(CH22NH(CH23−Si(OCH33、H2N(CH22NH(CH23−Si(OC253、H2N(CH22NH(CH23−Si(OCH32CH3、H2N(CH22NH(CH23−Si(OC252CH3、シクロ−C611NH(CH23−Si(OC253、シクロ−C611NH(CH23−Si(OCH32CH3及びシクロ−C611NH(CH23−Si(OC252CH3並びにそれらのそれぞれの加水分解物が特に好ましい。
【0054】
式(IV)の単位からなる有機ケイ素化合物がオルガノポリシロキサンである場合に、kの平均値は好ましくは0.5〜2.5であり、特に好ましくは1.4〜2.0であり、lの平均値は好ましくは0.01〜1.0であり、特に好ましくは0.01〜0.6であり、かつmの平均値は0〜2.0であり、特に好ましくは0〜0.2であるが、但し、k、l及びmの合計は3以下である。
【0055】
本発明により使用可能な式(IV)の単位からのオルガノポリシロキサンは、25℃で、5〜105mPas、特に好ましくは10〜104mPasの粘度を有する。
【0056】
本発明により使用可能な式(IV)の単位からなるオルガノポリシロキサンのための例は、
2N(CH23−Si(OCH32−O−Si(CH3)(OCH32
2N(CH23−Si(OC252−O−Si(CH3)(OCH32
2N(CH23−Si(OC252−O−Si(CH3)(OC252
2N(CH23−Si(OCH3)(CH3)−O−Si(CH3)(OCH32
2N(CH23−Si(OCH3)(CH3)−O−Si(OCH33
2N(CH23−Si(OC25)(CH3)−O−Si(OCH33
2N(CH22HN(CH23−Si(OCH32−O−Si(CH3)(OCH32
2N(CH22HN(CH23−Si(OC252−O−Si(CH3)(OCH32
2N(CH22HN(CH23−Si(OC252−O−Si(CH3)(OC252
2N(CH22HN(CH23−Si(OCH3)(CH3)−O−Si(CH3)(OCH32
2N(CH22HN(CH23−Si(OCH3)(CH3)−O−Si(OCH33
2N(CH22HN(CH23−Si(OC25)(CH3)−O−Si(OCH33
シクロ−C611NH(CH23−Si(OCH32−O−Si(CH3)(OCH32
シクロ−C611NH(CH23−Si(OC252−O−Si(CH3)(OCH32
シクロ−C611NH(CH23−Si(OC252−O−Si(CH3)(OC252
シクロ−C611NH(CH23−Si(OCH3)(CH3)−O−Si(CH3)(OCH32
シクロ−C611NH(CH23−Si(OCH3)(CH3)−O−Si(OCH33、及び
シクロ−C611NH(CH23−Si(OC25)(CH3)−O−Si(OCH33
2N(CH23−Si(OCH32−(O−Si(CH321-100−O−Si(OCH32−(CH23NH2
2N(CH22NH(CH23−Si(OCH32−(O−Si(CH321-100−O−Si(OCH32−(CH23NH(CH22NH2、及び
シクロ−C611NH(CH23−Si(OCH32−(O−Si(CH321-100−O−Si(OCH32−(CH23NH シクロ−C611
並びにそれらの部分加水分解物であり、その際、H2N(CH23−Si(OC252−O−Si(CH3)(OC252からの部分加水分解物が特に好ましい。
【0057】
式(IV)の単位からの有機ケイ素化合物は、市販製品であるかもしくはケイ素化学において通常の方法により製造することができる。
【0058】
式(III)のアミンの例は、シクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、ブチルアミン、ドデシルアミン、ジエチル−n−プロピルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、2−アミノエタノール、2−アミノ−n−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジエチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ヤシ油アミン、ヤシ油メチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン及びアニリンである。
【0059】
成分(E)を使用する場合に、その成分は、好ましくは、式(IV)の単位からの有機ケイ素化合物である。
【0060】
本発明による組成物が成分(E)を含有する場合に、その量は、本発明による組成物100質量部に対してそれぞれ、好ましくは0.001〜2質量部、有利には0.01〜1質量部である。好ましくは、本発明による組成物は、成分(E)を含有する。
【0061】
充填剤(F)のための例は、非補強性充填剤、従って50m2/gまでのBET表面積を有する充填剤、例えば石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、金属酸化物粉末、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄又は酸化亜鉛もしくはこれらの混合酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス粉末及びプラスチック粉末、例えばポリアクリロニトリル粉末;補強性充填剤、従って50m2/gを上回るBET表面積を有する充填剤、例えば熱分解により製造されたシリカ、沈降シリカ、沈降炭酸カルシウム、カーボンブラック、例えばファーネスブラック及びアセチレンブラック、及びより大きいBET表面積のケイ素−アルミニウム混合酸化物;繊維状充填剤、例えばアスベスト並びにプラスチック繊維である。前述の充填剤は、疎水化されていてよく、例えばオルガノシラン又はオルガノシロキサンを用いた処理により、又はヒドロキシル基のアルコキシ基へのエーテル化により、疎水化されていてよい。充填剤(F)を使用する場合には、これは好ましくは親水性の熱分解法シリカ、沈降炭酸カルシウム又は大理石粉である。
【0062】
本発明による組成物が成分(F)を含有する場合に、その量は、本発明による組成物100質量部に対してそれぞれ、好ましくは1〜80質量部、有利には5〜65質量部である。好ましくは、本発明による組成物は、成分(F)を含有する。
【0063】
本発明による組成物中で場合により使用される付着媒介剤(G)のための例は、官能基を有するシラン及びオルガノポリシロキサン、例えばグリシドキシプロピル基、アミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、ウレイドプロピル基もしくはメタクリルオキシプロピル基を有するものである。しかしながら、他の成分、例えば有機ケイ素化合物(A)、(B)、(C)もしくは(E)が、挙げられた官能基を既に有する場合には、付着媒介剤(G)の添加を省略してよい。
【0064】
本発明による組成物が成分(G)を含有する場合に、その量は、本発明による組成物100質量部に対してそれぞれ、好ましくは0.01〜10質量部、有利には0.1〜2.5質量部である。好ましくは、本発明による組成物は、成分(G)を含有する。
【0065】
可塑剤(H)の例は、特に25℃で5〜1000mPasの範囲内の粘度を有する室温で液体の、トリメチルシロキシ基で末端ブロックされたジメチルポリシロキサン、並びに高沸点炭化水素、例えばナフテン単位及びパラフィン単位からなるパラフィン油又は鉱油である。
【0066】
本発明による組成物が成分(H)を含有する場合に、その量は、本発明による組成物100質量部に対してそれぞれ、好ましくは1〜50質量部、有利には10〜35質量部である。好ましくは、本発明による組成物は、成分(H)を含有する。
【0067】
添加剤(I)のための例は、顔料、着色剤、芳香物質、酸化防止剤、電気的特性に影響を及ぼすための剤、例えば伝導性カーボンブラック、難燃化剤、熱保護剤及び被膜形成時間を延長するための剤、例えばSiC結合されたメルカプトアルキル基を有するシラン、セル生成剤、例えばアゾジカルボンアミド、熱安定剤及びチキソトロピー剤、例えば、ポリエーテル並びに有機溶剤、例えばアルキル芳香族化合物、殺生剤、例えば殺菌剤、殺細菌剤、殺ダニ剤及びモジュラス調節剤、例えばOH末端基を有するポリジメチルシロキサンである。
【0068】
本発明による組成物が成分(I)を含有する場合に、その量は、本発明による組成物100質量部に対してそれぞれ、好ましくは0.0001〜10質量部、有利には0.001〜10質量部である。
【0069】
特に好ましくは、本発明による組成物は、
(A)(II)の単位を含む有機ケイ素化合物、
(B)式(I)の化合物、場合により
(C)架橋剤、場合により
(D)触媒、場合により
(E)塩基性窒素を有する化合物、場合により
(F)充填剤、場合により
(G)付着媒介剤、場合により
(H)可塑剤、及び場合により
(I)添加剤
を使用して製造できる組成物である。
【0070】
更に、特に好ましくは、本発明による組成物は、
(A)(II)の単位を含む有機ケイ素化合物、
(B)式(I)の化合物、場合により
(C)架橋剤、場合により
(D)触媒、場合により
(E)塩基性窒素を有する化合物、
(F)親水性の熱分解法ケイ酸、場合により
(G)付着媒介剤、
(H)可塑剤、及び場合により
(I)添加剤
を使用して製造できる組成物である。
【0071】
前記の最後に挙げた組成物の場合には、成分(E)は、成分(F)のBET表面積1m2当たりに、好ましくは0.2〜50マイクロモル、特に有利には1〜20マイクロモルの成分(E)のアミノ窒素の量で使用される。
【0072】
特に、本発明による組成物の製造のためには、成分(A)〜(I)を超える更なる成分は使用されない。
【0073】
本発明による組成物の個々の成分は、それぞれ、この成分の1種類でもよく、この成分の少なくとも2種の異なる種類からの混合物であってもよい。
【0074】
本発明による組成物の調製のために、全ての成分は相互に任意の順番で混合してよい。この混合は、室温及び周囲大気の圧力、従って約900〜1100hPaの圧力で、又は約20hPa〜800hPaの減圧下で行ってよい。所望であれば、この混合は、しかし、より高い温度でも、例えば35〜135℃の範囲の温度でも行うことができる。所望であれば、加熱もしくは冷却をしてよい。
【0075】
本発明による個々の成分の混合は、好ましくは周囲大気から水を十分に排除して行われる。これは、例えば乾燥空気で覆うことによって実現できる。
【0076】
どの順序でポリマー、架橋剤及び可塑剤を混和するかは重要ではない。簡単な加工の理由から、好ましくは、ポリマー(A)及び場合により可塑剤(H)をまず初充填し、次いで成分(B)及び場合により架橋剤(C)を添加する。
【0077】
充填剤(F)が添加される場合には、好ましくは成分(A)、成分(B)、場合により成分(C)及び場合によりアミン(E)が互いに緊密に混合されて、それから充填剤(F)、好ましくは親水性ケイ酸が添加される。好ましくは、成分(E)が使用される場合には、(E)と(F)との比率は、充填剤(F)のBET表面積1m2当たりに、少なくとも0.2マイクロモルの塩基性窒素を有する化合物(E)が使用されるように選択される。
【0078】
充填剤(F)及び可塑剤(H)が添加される場合には、好ましくは、ポリマー(A)、可塑剤(H)及び成分(B)並びに場合により架橋剤(C)が撹拌によって緊密に混合される。その際、前記の既に挙げた、有機ケイ素化合物(A)と化合物(B)と場合により架橋剤(C)との反応が行われる。
【0079】
充填剤(F)として親水性熱分解法ケイ酸が添加される場合に、好ましくは成分(A)、可塑剤(H)、成分(B)及び場合により成分(C)は、充填剤(F)の添加前に、有機ケイ素化合物(A)のOH基の少なくとも90%が成分(B)及び(C)と反応するまで互いに緊密に混合され、その際、熱分解ケイ酸の添加前に任意の時点まで成分(E)が添加される。好ましくは、(E)と(F)との比率は、充填剤のBET表面積1m2当たりに、少なくとも0.2マイクロモルの塩基性窒素を有する化合物(E)が使用されるように選択される。
【0080】
時としてまた、可塑剤(H)が使用される場合に、この可塑剤の全量の全体もしくは少なくとも一部は、充填剤の後にはじめて添加される。この方法様式は、磨砕(Anreiben)と呼称され、分散が困難な充填剤を、この方法様式では明らかにより高い混合物の粘度によってより良好に均質に分散させるために用いられる。磨砕段階の終わりに、その際、該混合物は、残りの可塑剤の添加によって完全なものになる。しかし、この作業様式は好ましくはない。
【0081】
更に、一般に、どの位置で触媒(D)を添加するかは重要ではない。より適切には、しかしながら、触媒は、最後にはじめて添加される。それというのも、その際に該混合物が活性化されるからである。既に非常に反応性の封止材料の長すぎる混合は、当業者には実際回避される。それというのも、製造に際して完全な湿分の排除は、困難又は少なくとも非経済的だからである。時として、触媒を、より多くの量の未反応のOH基をなおも含むポリマー−架橋剤混合物と接触させないことも必要である。それというのも、時として、該混合物の事前の架橋が起こることがあるからである。この理由からも、当業者は、触媒を早めに添加することを回避する。例外的に、当業者は、架橋触媒が同時にOH−ポリマーと架橋剤との反応のための触媒である場合にのみ、架橋触媒を混合物の製造の始まりで一緒に添加する。
【0082】
それらの成分の混合は、任意の位置で任意の時間にわたり中断することができ、特に有機ケイ素化合物(A)と化合物(B)及び場合により架橋剤(C)との混合の後に中断することができる。しかしながら、狭い時間的順序で混合物の製造を、特に連続方法において行うことが好ましい。
【0083】
全ての所望の成分の混合の後に、該混合物は好ましくは脱ガスされ、そして湿分を通さない容器中に充填される。
【0084】
本発明による架橋可能な組成物の本発明による製造は、断続的にも連続的にも実施することができる。
【0085】
連続的な方法様式では、好ましくは、まず有機ケイ素化合物(A)を、化合物(B)並びに場合により可塑剤(H)と、好ましくは動的ミキサで混合し、その際、有機ケイ素化合物(A)と化合物(B)との反応時間は、1〜60分であり、それから場合により更なる混合物成分が混加される。例えば、導管の長さと断面積の意図した構成によって、連続運転する装置において反応時間を調整することができる。好ましくは、本発明による連続法では、反応時間は、有機ケイ素化合物(A)のOH基の少なくとも90%が、化合物(B)と反応するように見積もられる。引き続き、連続的に、例えば静的ミキサで、架橋剤(C)、塩基性窒素を有する化合物(E)、付着媒介剤(G)及び可塑剤(H)を混加してよい。
【0086】
所望であれば、それに引き続き、好ましくは中間貯蔵なくして、充填剤(F)、例えば高分散性ケイ酸の連続的な混加が行われ、その際、例えばロータ・ステータシステムを有するミキサを使用することができる。
【0087】
触媒(D)及び添加剤(I)の可能性のある添加の前に、本発明による組成物を、連続的に、例えば二軸スクリュー押出機を用いて脱ガスすることができる。
【0088】
本発明による組成物の架橋のためには、空気の通常の含水量で十分である。この本発明による組成物の架橋は、好ましくは室温で実施する。この架橋は、所望により、室温より高い温度又は低い温度、例えば−5〜15℃で又は30〜50℃で、かつ/又は例えば空気の通常の含水量を上回る水濃度を用いて実施することもできる。
【0089】
有利には、この架橋は100〜1100hPaの圧力で、特に周囲大気の圧力で実施される。
【0090】
本発明の更なる対象は、本発明による組成物の架橋により製造された成形体である。
【0091】
本発明による組成物は、水の排除下で貯蔵可能な、水の進入の際に室温でエラストマーへと架橋する組成物を使用することができる全ての適用目的のために使用することができる。
【0092】
従って本発明による組成物は、例えば、溝(垂直方向に延びる溝を含む)及び類似の空隙、例えば10〜40mmの内径の空隙、例えば、建築物、陸上用車両、船舶及び航空機の目地及び類似の空隙のための封止材料として、又は接着剤又はパテ材料として、例えば窓構造物において又は水槽もしくは棚の製造の際の接着剤又はパテ材として、並びに、例えば、保護被覆物(淡水又は海水の恒常的な作用に曝された表面のための保護被覆物を含む)又は滑りを防止するコーティング又はゴム弾性成形体の製造に、並びに、電気又は電子機器の絶縁化のために極めて好適である。
【0093】
本発明による組成物は、この材料が容易に製造でき、かつ、長時間にわたり高い貯蔵安定性を有するという利点を有する。
【0094】
本発明による組成物は、毒性学的に懸念されるべき分解生成物を生じないという利点を有する。
【0095】
更に、本発明による組成物は、毒性学的に懸念されるべき触媒を使用する必要がないか、非常に僅かだけしか使用する必要がないという利点を有する。
【0096】
更に、本発明による組成物は、非常に一様な完全硬化が、厚い層でも達成でき、かつ例えば日光照射によって加熱される基材表面上での用途の場合に、封止材料中に、かつ封止材料と基材表面との界面で気泡が形成されないという利点を有する。
【0097】
本発明による組成物は、水性の平滑化剤の用途では、封止材料の表面上に良く見える斑点が形成されないという利点を有する。
【0098】
更に、本発明による組成物は、皮膜形成時間が、非常に広い範囲において、触媒濃度の変更によって調整できるという利点を有する。
【0099】
更に、本発明による組成物は、完全に連続的に製造できるという利点を有する。
【0100】
以下の実施例においては、特に記載がない限り、全ての粘度の表示は、25℃の温度に対するものである。特に記載がない限り、以下の実施例は、周囲大気での圧力で、すなわち約1000hPaで、かつ室温で、即ち約23℃で、若しくはこの反応物を室温で付加的な加熱又は冷却を行わずに合する場合に生ずる温度で、並びに約50%の相対空気湿分で実施する。更に、部および%の全ての記載は、特に記載がない限り、質量に対するものである。
【0101】
ショアA硬度はDIN(ドイツ工業規格)53505−87に従って測定する。
【0102】
引裂強度は、DIN53504−85S2に従って測定する。破断点伸びは、DIN53504−85S2に従って測定する。モジュールは、100%伸び時の応力値である。
【0103】
実施例1
350gのα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(粘度80000mPas)、150gのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン(粘度1000mPas)、13.6gの4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、20gのビニルトリエトキシシラン、12gのテトラエトキシシラン、1質量部のメチルトリメトキシシラン加水分解物−オリゴマー(1分子当たり平均して10個のSi原子を有する)及び1質量部の3−アミノプロピルトリエトキシシランの4.4gの混合物を、遊星型溶解機中で、緊密に互いに15分間混合した。次いで、45gの親水性のBET表面積150m2/gを有する熱分解法ケイ酸を添加し(Wacker Chemie AG、D−ミュンヘンでHDK(登録商標)V15として市販されている)、更に15分間混合した。該混合物の脱ガスのために、約200hPaの減圧をかけ、もう一度5分間混合した。次いで、完成した混合物を商慣習のポリエチレンカートリッジ中に充填した。ISO7390により安定した組成物が得られた。すなわち該組成物は、垂直に吊されたU字型のアルミニウムプロファイルから垂れなかった。
【0104】
この混合物から、2mm厚のプレートをポリエチレンシート上に塗被し、それを1日の硬化後に該シートから剥がし、そして更に6日間にわたり全ての側から空気があたりうるように吊し、そうしてサンプルを全7日にわたり硬化させた。相対湿度を、その際50%に調整し、その際、温度は23℃に調節した。それらのプレートから、引き続き、DIN53504−85によるS2型の試験体を抜き出し、機械的特性値を測定した。硬度の測定のために、6mm厚の試験体を製造し、それらを同様に7日間にわたり相対湿度50%及び温度23℃で周囲空気湿分との反応によって硬化させた。
【0105】
更に、それぞれ改めてまた50%の相対湿度及び23℃で、皮膜形成時間と表面の不粘着になるまでの時間を測定した。皮膜形成時間は、塗被されたばかりの組成物の表面を3分の間隔で鉛筆の先端で軽く触れることで測定する。皮膜形成時間は、鉛筆の先端に組成物がもはやくっつかなくなった場合に達成される。不粘着性は、30分の間隔で指で触れることによって確認する。表面粘着性がもはや感じられないときに、不粘着性に達する。
【0106】
結果は、第1表に見られる。
【0107】
実施例2
350gのα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(粘度80000mPas)、150gのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン(粘度1000mPas)、10gの4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、15gのビニルトリエトキシシラン、9gのテトラエトキシシラン、1質量部のメチルトリメトキシシラン加水分解物−オリゴマー(1分子当たり平均して10個のSi原子を有する)及び1質量部の3−アミノプロピルトリエトキシシランの10gの混合物を、遊星型溶解機中で、緊密に互いに15分間混合した。次いで、48gの親水性のBET表面積150m2/gを有する熱分解法ケイ酸を添加し(Wacker Chemie AG、D−ミュンヘンでHDK(登録商標)V15として市販されている)、更に15分間混合した。引き続き、該混合物を、ジオクチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとのモル比1:2での反応生成物(その際、生成した酢酸エチルエステルを留去した)0.4gとオクチルホスホン酸をメチルトリメトキシシラン中に溶かした50質量%の溶液0.3gの添加によって完全にした。該混合物の脱ガスのために、約200hPaの減圧をかけ、もう一度5分間混合した。次いで、完成した混合物を商慣習のポリエチレンカートリッジ中に充填した。安定な組成物が得られた。
【0108】
前記の混合物の特性値を、実施例1と同様に測定し、それを第1表にまとめる。
【0109】
実施例3
350gのα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(粘度80000mPas)、150gのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン(粘度1000mPas)、13.6gの4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、20gのビニルトリエトキシシラン、12gのテトラエトキシシラン、1質量部のメチルトリメトキシシラン加水分解物−オリゴマー(1分子当たり平均して10個のSi原子を有する)及び1質量部の3−アミノプロピルトリエトキシシランの4.4gの混合物を、遊星型溶解機中で、緊密に互いに15分間混合した。次いで、45gの親水性のBET表面積150m2/gを有する熱分解法ケイ酸を添加し(Wacker Chemie AG、D−ミュンヘンでHDK(登録商標)V15として市販されている)、更に15分間混合した。引き続き、該混合物を、6gの亜鉛−2−エチルヘキサノエート(Wacker Chemie AG、D−ミュンヘンで名称Katalysator A42として市販されている)の添加によって完全にした。該混合物の脱ガスのために、約200hPaの減圧をかけ、もう一度5分間混合した。次いで、完成した混合物を商慣習のポリエチレンカートリッジ中に充填した。安定な組成物が得られた。
【0110】
前記の混合物の特性値を、実施例1と同様に測定し、それを第1表にまとめる。
【0111】
実施例4
350gのα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(粘度80000mPas)、150gのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン(粘度1000mPas)、13.6gの4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、20gのビニルトリエトキシシラン、12gのテトラエトキシシラン、1質量部のメチルトリメトキシシラン加水分解物−オリゴマー(1分子当たり平均して10個のSi原子を有する)及び1質量部の3−アミノプロピルトリエトキシシランの8.6gの混合物を、遊星型溶解機中で、緊密に互いに15分間混合した。次いで、親水性のBET表面積150m2/gを有する熱分解ケイ酸(Wacker Chemie AG、D−ミュンヘンで名称HDK(登録商標)V15として市販されている)45g、平均粒径(D50%)約2.0μmを有する沈降CaCO3(Schaefer Kalk KG、D−Diez社で名称"Precarb 200"として市販されている)112g、平均粒径(D50%)約5.0μmを有する大理石粉(OMYA社、D−ケルンで名称"OMYA 5GU"として市販されている)448gを添加し、更に20分間混合した。引き続き、該混合物を、ジブチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとのモル比1:2での反応生成物(その際、生成した酢酸エチルエステルを留去した)0.37gとオクチルホスホン酸をメチルトリメトキシシラン中に溶かした50質量%の溶液0.4gの添加によって完全にし、そして更に5分間混合した。該混合物の脱ガスのために、約200hPaの減圧をかけ、もう一度5分間混合した。次いで、完成した混合物を商慣習のポリエチレンカートリッジ中に充填した。安定な組成物が得られた。
【0112】
前記の混合物の特性値を、実施例1と同様に測定し、それを第1表にまとめる。
【0113】
実施例5
350gのα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(粘度80000mPas)、150gのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン(粘度1000mPas)、13.6gの4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、20gのビニルトリエトキシシラン、12gのテトラエトキシシラン、1質量部のメチルトリメトキシシラン加水分解物−オリゴマー(1分子当たり平均して10個のSi原子を有する)及び1質量部の3−アミノプロピルトリエトキシシランの8.6gの混合物を、遊星型溶解機中で、緊密に互いに15分間混合した。次いで、親水性のBET表面積150m2/gの熱分解ケイ酸(Wacker AG、D−ミュンヘンで名称HDK(登録商標)V15として市販されている)45g、平均粒径(D50%)約5.0μmを有する大理石粉(OMYA社、D−ケルンで名称"OMYA 5GU"として市販されている)560gを添加し、そして更に20分混合した。引き続き、該混合物を、ジブチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとのモル比1:2での反応生成物(その際、生成した酢酸エチルエステルを留去した)0.37gとオクチルホスホン酸をメチルトリメトキシシラン中に溶かした50質量%の溶液0.4gの添加によって完全にし、そして更に5分間混合した。該混合物の脱ガスのために、約200hPaの減圧をかけ、もう一度5分間混合した。次いで、完成した混合物を商慣習のポリエチレンカートリッジ中に充填した。安定な組成物が得られた。
【0114】
前記の混合物の特性値を、実施例1と同様に測定し、それを第1表にまとめる。
【0115】
実施例6
350gのα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(粘度80000mPas)、150gのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン(粘度1000mPas)、13.6gの4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、20gのビニルトリエトキシシラン、12gのテトラエトキシシラン、1質量部のメチルトリメトキシシラン加水分解物−オリゴマー(1分子当たり平均して10個のSi原子を有する)及び1質量部の3−アミノプロピルトリエトキシシランの8.6gの混合物を、遊星型溶解機中で、緊密に互いに15分間混合した。次いで、親水性のBET表面積150m2/gの熱分解ケイ酸(Wacker AG、D−ミュンヘンで名称HDK(登録商標)V15として市販されている)45g、平均粒径(D50%)約5.0μmを有する大理石粉(OMYA社、D−ケルンで名称"OMYA 5GU"として市販されている)560gを添加し、そして更に20分混合した。引き続き、該混合物を、11.6gの亜鉛−2−エチルヘキサノエート(Wacker Chemie AG、D−ミュンヘンで名称"Katalysator A42"として市販されている)の添加によって完全にし、そして更に5分間混合した。該混合物の脱ガスのために、約200hPaの減圧をかけ、もう一度5分間混合した。次いで、完成した混合物を商慣習のポリエチレンカートリッジ中に充填した。安定な組成物が得られた。
【0116】
前記の混合物の特性値を、実施例1と同様に測定し、それを第1表にまとめる。
【0117】
実施例7
450gのα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(粘度80000mPas)、50gのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン(粘度1000mPas)、12.4gの4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、16.9gのビニルトリメトキシシラン及び10.5gのテトラエトキシシランを、遊星型溶解機中で緊密に互いに5分間にわたり混合した。次いで、50gの親水性のBET表面積150m2/gを有する熱分解法ケイ酸を添加し(Wacker Chemie AG、D−ミュンヘンでHDK(登録商標)V15として市販されている)、更に15分間混合した。該混合物の脱ガスのために、約200hPaの真空をかけ、もう一度5分間混合した。次いで、完成した混合物を商慣習のポリエチレンカートリッジ中に充填した。容易に自己均展する、従って安定でない組成物が得られた。
【0118】
前記の混合物の特性値を、実施例1と同様に測定し、それを第1表にまとめる。
【0119】
実施例8
700kg/hのα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(粘度80000mPas)、300kg/hのα,ω−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン(粘度1000mPas)及び27kg/hの4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジンを、連続的に動的ミキサを用いて混合した。該混合物を、導管中で静的ミキサに送出した。その際、混合物の平均滞留時間は、約20分であった。
【0120】
得られた混合物において、静的ミキサによって、ビニルトリエトキシシラン40kg/h、テトラエトキシシラン24kg/h及び1質量部のメチルトリメトキシシラン加水分解物オリゴマー(1分子当たりに平均して10個のSi原子を有する)及び1質量部の3−アミノプロピルトリエトキシシランからの混合物9kg/hを混加した。その直後に、90kg/hの親水性のBET表面積150m2/gを有する熱分解法ケイ酸(Wacker Chemie AG、D−ミュンヘンでHDK(登録商標)V15として市販されている)を混加した。EP−B−10146395号(これは参照をもって開示されたものとする)に記載されているロータ/ステータ混合システムを有するミキサを使用した。
【0121】
引き続き、該混合物を、2軸スクリュー押出機を用いて脱ガスし、そして商慣習の湿分を通さない樽にインライナーで充填した。安定な組成物が得られた。
【0122】
前記の混合物の特性値を、実施例1と同様に測定し、それを第1表にまとめる。
【0123】
第1表
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮合反応によって架橋可能な組成物であって、
(B)式
A[CR12SiRa(OR23-ax (I)
[式中、
Aは、複素環AHxを基礎とする基であって、第3主族及び/又は第5主族の少なくとも1つの環形成性元素を含み、x個の水素原子がCR12基に対する化学結合によって置き換えられている基を表し、その際、少なくとも1つの前記の結合は、第3主族もしくは第5主族の1つの環形成性元素に存在し、
Rは、同一もしくは異なって、一価の、置換もしくは非置換の炭化水素基を意味し、
1は、同一もしくは異なってよく、かつ水素又は一価の、置換もしくは非置換の炭化水素基を意味し、
2は、同一もしくは異なってよく、かつ一価の、置換もしくは非置換の炭化水素基を意味し、
aは、0もしくは1であり、かつ
xは、1、2もしくは3である]の複素環式化合物及び/又はその部分加水分解物を使用して製造できる縮合反応によって架橋可能な組成物。
【請求項2】
基Aが、少なくとも2つの異なる元素からなる環形成性原子を有する環式化合物であるが、但し、少なくとも1つの環形成性原子が第3主族及び/又は第5主族の元素であり、それは式(I)中の基−CR12−の炭素原子への結合位置を有することを特徴とする、請求項1に記載の架橋可能な組成物。
【請求項3】
基Aが、3員、4員、5員、6員、7員もしくは8員の複素環式化合物であって、環形成性原子として、炭素以外に、ヘテロ原子としての窒素及び/又はリン及び/又は酸素及び/又は硫黄を有する化合物であるが、但し、環形成性原子の少なくとも1つは、第3主族及び/又は第5主族の元素であり、その際、更なる環が縮合されていてよいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の架橋可能な組成物。
【請求項4】
xが1であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の架橋可能な組成物。
【請求項5】
以下の
(A)少なくとも2つのOH基を有する有機ケイ素化合物、
(B)式(I)の複素環式化合物、
場合により
(C)更なる架橋剤、
場合により
(D)触媒、
場合により
(E)塩基性窒素を有する化合物、
場合により
(F)充填剤、
場合により
(G)付着媒介剤、
場合により
(H)可塑剤、及び
場合により
(I)添加剤
を使用して製造できる組成物であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の架橋可能な組成物。
【請求項6】
有機ケイ素化合物(A)が、式
3b(OH)cSiO(4-b-c)/2 (II)
[式中、
3は、同一もしくは異なってよく、かつ置換もしくは非置換の、酸素原子によって中断されていてよい炭化水素を意味し、
bは、0、1、2もしくは3であり、かつ
cは、0、1、2もしくは3である]の単位を含むが、但し、b+cの合計が、3以下であり、かつ1分子当たりに少なくとも2個の縮合性基OHが存在する化合物であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の架橋可能な組成物。
【請求項7】
以下の、
(A)(II)の単位を含む有機ケイ素化合物、
(B)式(I)の化合物、
場合により
(C)架橋剤、
場合により
(D)触媒、
(E)塩基性窒素を有する化合物、
(F)親水性の熱分解法ケイ酸、
場合により
(G)付着媒介剤、
(H)可塑剤、及び
場合により
(I)添加剤
を使用して製造できる組成物であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の架橋可能な組成物。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の架橋可能な組成物の製造方法において、全ての成分を任意の順序で互いに混合することを特徴とする架橋可能な組成物の製造方法。
【請求項9】
連続的な方法様式の場合に、まず有機ケイ素化合物(A)を、化合物(B)並びに場合により可塑剤(H)と一緒に連続的に混合し、その際、有機ケイ素化合物(A)と化合物(B)との反応時間が、1〜60分であり、それから、場合により更なる混合物成分を混加することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の架橋可能な組成物の架橋によって製造される成形体。

【公表番号】特表2010−535872(P2010−535872A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519429(P2010−519429)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059928
【国際公開番号】WO2009/019165
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】