説明

有機ポリマープロフィルの製法

本発明は、押出機においてポリマー物品およびプロフィルを製造する際により高い処理量を容易にするために、有機ポリマーOPでのジョイント押出において三つの成分を使用することに関し、ここで、第一の成分はプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスであり、第二の成分は、モンタンワックス、アミドワックスまたはポリオレフィンホモポリマーワックスであり、第三の成分は、C10〜20脂肪酸の金属塩であり、該三つの成分はまた、組成物の形態で使用することもでき、そしてその組成物はマスターバッチまたはコンパウンドの形態である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキストルーダーにおいてポリマー物品およびプロフィルを製造する際により高い処理量を容易にするために、有機ポリマーOPでのジョイント押出(joint extrusion)において三つの成分を使用することに関し、ここで、第一の成分はプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスであり、第二の成分は、モンタンワックス、アミドワックスまたはポリオレフィンホモポリマーワックスであり、第三の成分は、C10〜20脂肪酸の金属塩であり、これら三つの成分は、組成物の形態で使用することもでき、その組成物は、マスターバッチまたはコンパウンド(compound)の形態である。
【背景技術】
【0002】
プラスチック工業において、添加剤をコンパウンドまたはマスターバッチの形態で使用することは慣用的なことである。本発明の目的では、ポリマーは、有機ポリマーを意味し、物品およびプロフィルは、有機ポリマーから製造された物品およびプロフィル、即ち、ポリマー物品およびポリマープロフィルである。
【0003】
本発明の目的では、マスターバッチは、キャリヤポリマーおよび添加剤を含む組成物であり、その際、その添加剤はマスターバッチ中に、最終用途においてよりも高い濃度で存在し、そしてそのキャリヤポリマーは、最終用途の有機ポリマーではないことが多い。マスターバッチにおける添加剤の好ましい濃度は、0.1から90重量%、より好ましくは1から80重量%、さらにより好ましくは6から80重量%の範囲であり、ここで、重量%はそれぞれの場合において、マスターバッチの全重量に基づく。
【0004】
本発明の目的のために、化合物は、ポリマー及び添加剤を含む組成物であり、該添加剤は、所望の最終濃度で最終用途又は最終物品における化合物中に存在し、そして該ポリマーは、最終用途又は最終物品の所望のポリマーであり、そのため、該化合物は、物理的な成形プロセスによって、単に最終用途又は最終物品の所望の形状にされる。
【0005】
押出によりポリマー、物品またはプロフィル(ここで、ポリマー、プロフィルまたは物品は添加剤で改質されている)を製造する際の処理量を高めるのに使用されるマスターバッチおよび/またはコンパウンドの形態の組成物は、要求される要件を満たさなければならない。この組成物は、良好な加工性を得るために低粘度を有するべきであり、即ち、これらは、エキストルーダー中において低い圧力および低いトルクをもたらすべきであり、組成物はさらに、添加剤の高い充填量(loading)、即ち、別途指示しない限り、添加剤の重量%(ここで、重量%は全組成物の重量に基づく)で特徴付けられる高い添加剤濃度を有するべきである。さらなる要件は、マスターバッチの場合、最終用途、最終物品または最終プロフィルのポリマーとの良好な混和性および相容性、さらに、マスターバッチおよび/またはコンパウンド中での添加剤の良好な分散、最終物品または最終プロフィルの機械的および熱的特性に対する、特に、衝撃強さ、引張強さまたは耐熱変形性に関する極僅かな悪影響である。
【0006】
欧州特許第1010728A号明細書(特許文献1)は、モンタンワックス、ポリオールのエステルおよびモンタンワックスの石けんを含むワックス調合物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1010728A号明細書
【特許文献2】欧州特許第0321852A1号明細書
【特許文献3】欧州特許第0384264A1号明細書
【特許文献4】国際公開第2006/050903A号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A 28, Weinheim 1996, S. 151−152
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
既知の組成物および既知の方法は、上記で述べた通り、産業界における現今の要求の全ては満たしていない。現今の要求を満たし、詳細には、ポリマーの押出の間に、要求される粘度、充填量および処理量を可能にしかつ利用可能にする、プロフィルまたは物品を製造するための改良された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、特定のメタロセンポリプロピレンワックス、さらなるワックスおよび脂肪酸の金属石けんを含むマスターバッチの使用は、方法特性を向上させる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の対象は、加工された有機ポリマーから作製されたプロフィルまたは物品の製造において有機ポリマーOPと一緒にジョイント押出するための、成分A、成分Dおよび成分Fの組合せの使用であって、
その際、
成分Aは、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスであり、
成分Dは、
モンタンワックス、
アミドワックスおよび
ホモポリマーポリオレフィンワックス
からなる群から選択されるワックスであり、
成分Fは、C10〜20−脂肪酸の金属塩であり、
ここで、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、モノマーのプロピレンおよび次式(II)で表される化合物の少なくとも一種0.1から50重量%(ここで、重量%は、モノマーの全重量に基づく)から製造される。
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、Rは、Hおよび非分枝状または分枝状のC2〜18アルキルからなる群から選択される)。
【0014】
本発明のさらなる対象は、加工された有機ポリマーから作製されるプロフィルまたは物品の製法であって、これは、有機ポリマーOPを成分A、成分Dおよび成分Fと一緒にジョイント押出する押出ステップにより特徴付けられ、その際、
成分Aは、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスであり、
成分Dは、
モンタンワックス、
アミドワックスおよび
ホモポリマーポリオレフィンワックス
からなる群から選択されるワックスであり、
成分Fは、C10〜20−脂肪酸の金属塩であり、
ここで、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、モノマーのプロピレンおよび次式(II)で表される化合物の少なくともひとつ0.1から50重量%(ここで、重量%は、該モノマーの全重量に基づく)から製造される。
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、Rは、Hおよび非分枝状または分枝状のC2〜18アルキルからなる群から選択される)。
【0017】
本発明の意味において、プロフィルまたは物品は、当然ながら、一つ超の加工された有機ポリマーから製造することもでき、この場合、それぞれの有機ポリマーOPが、成分A、DおよびFと共にジョイント押出される。
【0018】
好ましくは、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、プロピレン、および0.1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量%、さらにより好ましくは2〜30重量%、特に2〜20重量%(ここで、重量%はそれぞれ、モノマーの全重量(100%)に基づく)の少なくとも一つ、好ましくは上記の式(II)の化合物の1つ、2つまたは3つ、より好ましくは1つから製造される。
【0019】
好ましくは、Rは、Hおよび非分枝状または分枝状のC2〜4アルキルからなる群から選択される。
【0020】
より好ましくは、Rは、Hであり、即ち、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、プロピレン−エチレン−コポリマーワックスである。
【0021】
したがって、モノマーのプロピレンおよび上記の式(II)の化合物の組み合わせた量は、100重量%までであり、ここで、重量%はそれぞれ、モノマーの全重量(100%)に基づく。
【0022】
好ましくは、成分A、DおよびFは、有機ポリマーOPと共に、組成物Zの形態で一緒に押出され、ここで、その組成物Zは、成分A、成分Dおよび成分Fを含む。
【0023】
この組成物Zは好ましくは、マスターバッチMBまたはコンパウンドCOである。
【0024】
さらに、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは好ましくは、従来のワックスに比較して、より狭いモル質量分布により特徴付けられる。モル質量分布は、質量平均モル質量(Mw値[g/mol])および数平均モル質量(Mn値[g/mol])により特徴付けられる。
【0025】
好ましくは、Mnは500〜50,000g/mol、より好ましくは1,000〜35,000g/mol、さらにより好ましくは1,100〜25,000g/molである。
【0026】
好ましくは、Mwは、1,000〜140,000g/mol、より好ましくは1,900〜100,000g/mol、さらにより好ましくは2,100〜70,000g/molである。
【0027】
好ましくは、MwをMnで割った値、以下でMw/Mnと言う、は、1.0〜3.0、より好ましくは1.5〜2.9、さらにより好ましくは、1.7〜2.8;とりわけ2.1〜2.7;就中2.2〜2.5であり;従来の非メタロセン触媒作用ワックスの場合、Mw/Mn値は、少なくとも3.1であり、そして7又は8まで上昇させることができる。
【0028】
プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスの製造に使用できる可能な触媒は、好ましくはチーグラー−ナッタ触媒及び例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A 28, Weinheim 1996, S. 151−152(非特許文献2)中で言及されるようなメタロセン触媒である。
【0029】
プロピレン−オレフィン−コポリマーワックス、好ましくはプロピレン−エチレン−コポリマーワックスは、適当な高分子量プロピレン−オレフィン−コポリマー、好ましくはプロピレン−エチレン−コポリマーの熱分解によっても製造できる。
【0030】
好ましくは、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、触媒としてメタロセンの存在下で製造されたワックスである。メタロセン触媒の特別な性能が、選択的な、そして完全に新しい特徴プロフィルを有する新たなプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスの合成に使用される。メタロセン触媒の使用によって、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスの融点、粘度、及び分子量の特別な組み合わせが得られる。
【0031】
プロピレン−オレフィン−コポリマーワックス、好ましくはメタロセンプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、好ましくは、その大部分又は完全にアモルファスであり、そして必要に応じて、追加的に、極性になるように改質することができる。本発明の目的のために、大部分とは、80重量%超、好ましくは90重量%超、特に95重量%超、就中99重量%超を意味し、それぞれの場合はワックスの全重量に基づく。
【0032】
メタロセンプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、次式(I)で表されるメタロセン化合物を用いて調製される。
【0033】
【化3】

【0034】
式(I)は、次式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物を包含する。
【0035】
【化4】

【0036】
【化5】

【0037】
【化6】

【0038】
上記の式(I)、(Ia)及び(Ib)において、Mは、周期表第IVb族、第Vb族又は第VIb族の金属であり、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、特に好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0039】
及びRは、同一又は異なって、それぞれ、互いに独立して、水素原子、C−C10−、好ましくは、C−C−アルキル基、特に、メチル、C−C10−、好ましくはC−C−アルコキシ基、C−C10−、好ましくはC−C−アリール基、C−C10−、好ましくはC−C−アリールオキシ基、C−C10−、好ましくはC−C−アルケニル基、C−C40−、好ましくはC−C10−アリールアルキル基、C−C40−、好ましくはC−C12−アルキルアリール基、C−C40−、好ましくはC−C12−アリールアルケニル基、又はハロゲン原子、好ましくは塩素原子である。
【0040】
及びRは、同一又は異なって、それぞれ、互いに独立して、中央の原子Mと一緒にサンドイッチ構造を形成できる、単環式、又は多環式炭化水素基である。R及びRは、好ましくは、シクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、ベンズインデニル、又はフルオレニルであり、それらの基本骨格が追加的な置換基を有するか、又は互いに架橋できるものである。さらに、基R及びRの一方は、R24がR17の意味のうちの一つを有し、そして好ましくはメチル、tert−ブチル又はシクロヘキシルである場合に、窒素原子で置換されることができる。
【0041】
、R、R、R、R及びR10は、同一又は異なって、それぞれ、互いに独立して、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子、C−C10−、好ましくはC−C−アルキル基、C−C10−、好ましくはC−C−アリール基、C−C10−、好ましくはC−C−アルコキシ基、−NR16、−SR16、−OSiR16、−SiR16又は−PR16基(式中、R16は、C−C10−、好ましくはC−C−アルキル基又はC−C10−、好ましくはC−C−アリール基である。)、又は、Si−又はP−含有基の場合には、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子であることもでき、あるいは、二つの隣接する基R、R、R、R、R又はR10は、それらを結合する炭素原子と一緒に環を形成する。特に好ましいリガンドは、基本骨格の置換化合物である、シクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、ベンズインデニル又はフルオレニルである。
【0042】
13は、次である。
【0043】
【化7】

【0044】
=BR17、=AlR17、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NR17、=CO、=PR17又は=P(O)R17(式中、R17、R18及びR19は、同一又は異なって、それぞれ、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、C−C30−、好ましくはC−C−アルキル基、特にメチル基、C−C10−フルオロアルキル基、好ましくはCF基、C−C10−フルオロアリール基、好ましくはペンタフルオロフェニル基、C−C10−、好ましくはC−C−アリール基、C−C10−、好ましくはC−C−アルコキシ基、特にメトキシ基、C−C10−、好ましくはC−C−アルケニル基、C−C40−、好ましくはC−C10−アラルキル基、C−C40−、好ましくはC−C12−アリールアルケニル基、又はC−C40−、好ましくはC−C12−アルキルアリール基である。)、又は、R17及びR18又はR17及びR19は、それらを結合する原子と一緒に環を形成する。)
【0045】
は、ケイ素、ゲルマニウム、又はスズであり、好ましくはケイ素又はゲルマニウムである。
【0046】
13は好ましくは、=CR1718、=SiR1718、=GeR1718、−O−、−S−、=SO、=PR17または=P(O)R17である。
【0047】
11及びR12は、同一又は異なって、そして独立してR17の意味のうちの一つを有する。
【0048】
m及びnは、同一又は異なって、それぞれ、0.1又は2、好ましくは0又は1であり、mプラスnは0.1又は2、好ましくは0又は1である。
【0049】
14及びR15は、同一又は異なって、そして独立してR17及びR18の意味のうちの一つを有する。
【0050】
好ましいメタロセンは:
− ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(1−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(2−メチル−4,6−ジ−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(5−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(アルキルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(アルキルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(オクタデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ビスシクロペンタジエニルジベンジルジルコニウム、
− ビスシクロペンタジエニルジメチルジルコニウム、
− ビステトラヒドロインデニルジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリル−9−フルオレニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−(2−メチルテトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−インデニルジルコニウムジクロリド、
− ジメチルシリルビス−1−インデニルジメチルジルコニウム、
− ジメチルシリルビス−1−テトラヒドロインデニルジルコニウムジクロリド、
− ジフェニルメチレン−9−フルオレニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、
− ジフェニルシリルビス−1−インデニルジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−(2−メチルテトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−インデニルジルコニウムジクロリド、
− エチレンビス−1−テトラヒドロインデニルジルコニウムジクロリド、
− インデニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、
− イソプロピリデン(1−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− イソプロピリデン(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
− フェニルメチルシリルビス−1−(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
および、これらのメタロセンジクロリドのアルキル誘導体またはアリール誘導体でもある。
【0051】
シングルサイト触媒系を活性化するために、適当な共触媒が使用される。上記の式(I)のメタロセンに適した共触媒は、オルガノアルミニウム化合物、特に、アルミノキサン、又はアルミニウム不含系、例えば、R20NH4−xBR21、R20PH4−xBR21、R20CBR21又はBR21である。これらの式中、xは1〜4のものであり、基R20は、同一又は異なって、好ましくは同一で、そしてそれぞれ、互いに独立して、C−C10−アルキル又はC−C18−アリールであるか、又は、二つの基R20は、それらを結合する原子と一緒に環を形成し、そして基R21は、同一又は異なって、好ましくは同一で、そしてそれぞれ、互いに独立して、アルキル、ハロアルキル、又はフッ素で置換できるC−C18−アリールである。特に、R20は、エチル、プロピル、ブチル又はフェニルであり、R21は、フェニル、ペンタフルオロフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル、メシチル、キシリル又はトリルである。
【0052】
加えて、極性触媒毒に対する保護を維持するために、第3の成分が必要であることが多い。トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムおよび他のものなどのオルガノアルミニウム化合物ならびにさらに、これらの化合物の混合物が、この目的のために適している。
【0053】
方法に応じて、担持シングルサイト触媒もまた、使用することができる。担持材料および助触媒の残留含分が、生成物中で濃度100ppmを超えない触媒系が好ましい。
【0054】
プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは既知の物質であり、これらは、欧州特許第0321852A1号明細書(特許文献2)または欧州特許第0384264A1号明細書(特許文献3)に従って調製することができる。好ましいプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、欧州特許第0384264A号明細書に報告されている方法により、特に例1から16の方法と同様に、メタロセン触媒のジメチルシリルビスインデニルジルコニウムジクロリドを使用して、プロピレンとエチレンとを共重合させることにより調製されるプロピレン−エチレン−コポリマーワックスである。
【0055】
これらを、好ましくは噴霧または粉砕された微粒子状態または他には、顆粒形態で使用する。
【0056】
さらに好ましくは、グラフト化プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスである。好ましいグラフト化プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、0.5〜10重量%の無水マレイン酸で改質されたプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスであり、ここで重量%とは、出発材料であるプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスと無水マレイン酸の重量の合計に基づく。より好ましくは、グラフト化されたプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、メタロセン触媒を用いて製造される。
【0057】
好ましくは、成分Aは、1つ、2つ、3つ又は4つの、より好ましくは1つ又は2つの、さらにより好ましくは1つのプロピレン−オレフィン−コポリマーワックスを含む。
【0058】
モンタンワックスは、植物性化石ワックスである。これは、褐炭および泥炭の抽出可能なビチューメン成分の一部を形成している。
【0059】
好ましくは、モンタンワックスは、モンタン酸、モンタン酸エステルおよびモンタン酸の石けん;
より好ましくは、モンタン酸、モンタン酸エチレングリコールエステル、モンタン酸グリセロールエステル、モンタン酸ペンタエリトリトールエステル、モンタン酸エスエルを含有するカルシウム石けん、モンタン酸カルシウムおよびモンタン酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0060】
好ましくは、モンタンワックスは、70〜165mgKOH/gのケン化価を有する。
【0061】
より好ましくは、モンタンワックスは、125〜165mgKOH/gのケン化価を有する。
【0062】
さらにより好ましくは、モンタンワックスは、100〜120mgKOH/gのケン化価を有する部分的にケン化されたモンタンワックスである。
【0063】
好ましくは、モンタンワックスは、50〜120℃、より好ましくは55〜110℃の滴点を有する。
【0064】
好ましくは、モンタンワックスの粘度は、90℃未満の滴点を有するモンタンワックスでは100℃で決定し、または90℃以上の滴点を有するモンタンワックスでは120℃で決定する。
【0065】
好ましくは、モンタンワックスは、100℃で20mPas〜100℃で350mPas;または、100℃で20mPas〜120℃で350mPasの粘度を有する。
【0066】
好ましくは、モンタンワックスは、5〜165mgKOH/gの酸価を有する。
【0067】
より好ましくは、モンタンワックスは、部分的にケン化されていて、100〜165の酸価を有する。
【0068】
さらにより好ましくは、モンタンワックスは部分的にケン化されていて、50〜80の酸価を有する。
【0069】
さらにより好ましくは、モンタンワックスは、ケン化されてなく、そして5〜20、より好ましくは5〜15の酸価を有する。
【0070】
より好ましくは、モンタンワックスは、50〜120℃の滴点および5〜165mgKOH/gの酸価によって特徴付けられる。
【0071】
アミドワックスは、好ましくはC16〜18脂肪酸モノアミドおよびC16〜18脂肪酸ジアミド、より好ましくはC16〜18脂肪酸ジアミド、さらにより好ましくはビス(C16〜18脂肪酸)−エチレンジアミドからなる群から選択される。
【0072】
好ましくは、アミドワックスは、80〜150℃の滴点を有する。
【0073】
好ましくは、アミドワックスは、150℃で5〜15mPasの粘度を有する。
【0074】
好ましくは、アミドワックスは、1〜10mgKOH/gの酸価を有する。
【0075】
より好ましくは、アミドワックスは、80〜150℃の滴点および1〜10mgKOH/gの酸価によって特徴付けられる。
【0076】
特に、アミドワックスは、ビスステアロイルエチレンジアミドまたはオレイン酸アミド、より特に、ビスステアロイルエチレンジアミド、さらにより特に、140〜144℃の滴点および5〜7の酸価および150℃で9〜11mPasの粘度を有するビスステアロイルエチレンジアミドである。
【0077】
好ましくは、ホモポリマーワックスは、1つ、2つ、3つ又は4つの、より好ましくは1つ又は2つの、さらにより好ましくは1つの極性及び/又は非極性のホモポリマーポリオレフィンワックスを含む。
【0078】
ホモポリマーポリオレフィンワックスの製造で使用することができる可能な触媒は好ましくは、チーグラー−ナッタ触媒およびメタロセン触媒、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A 28, Weinheim 1996, S. 151−152(非特許文献1)に述べられているものである。
【0079】
ホモポリマーポリオレフィンワックスはまた、適切な高分子量ホモポリマーポリオレフィンポリマーを熱分解することにより製造することもできる。
【0080】
好ましくは、ホモポリマーポリオレフィンワックスは、触媒としてのメタロセンの存在下で調製されたワックスである。メタロセン触媒の特別な能力を使用して、選択的かつ完全に新しい特性プロフィルを有するホモポリマーポリオレフィンワックスを合成する。メタロセン触媒を使用することにより、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスの融点、粘度および分子量の特別な組合せがもたらされる。
【0081】
好ましいホモポリマーポリオレフィンワックスは、ホモポリマーポリエチレンワックス、ホモポリマーポリプロピレンワックスまたはC4〜301−オレフィンのホモポリマーワックスである。
【0082】
好ましいホモポリマーポリオレフィンワックスは、より好ましくは非極性のチーグラー−ナッタ触媒で製造されたポリエチレンワックスである。
【0083】
さらに好ましいホモポリマーポリオレフィンワックスは、ラジカルエチレン重合により製造されたポリエチレンワックスである。
【0084】
さらに好ましくは、高分子ホモポリマーポリエチレンまたはホモポリマーポリプロピレンポリマーを熱分解することにより製造されたホモポリマーポリエチレンまたはホモポリマーポリプロピレンワックスである。
【0085】
好ましいメタロセンホモポリマーポリオレフィンワックスは、メタロセンホモポリマーポリエチレンワックスおよびメタロセンホモポリマーポリプロピレンワックスから、より好ましくはメタロセンホモポリマーポリエチレンワックスからなる群から選択される。
【0086】
さらに好ましく与えられるのは、酸化またはグラフト化されたホモポリマーポリオレフィンワックスである。好ましくは、酸価5〜30mgKOH/gを好ましく有する酸化ホモポリマーポリエチレンワックスである。好ましくは、グラフト化は、0.5〜10重量%の無水マレイン酸またはアクリル酸、より好ましくは無水マレイン酸を用いて遂行され、ここで、重量%は、出発材料のホモポリマーポリオレフィンワックスおよび無水マレイン酸またはアクリル酸の重量の合計に基づく。より好ましくは、グラフト化は、メタロセンホモポリマーポリエチレンワックス、メタロセンホモポリマーポリプロピレンワックスまたはチーグラー−ナッタ触媒によるホモポリマーポリエチレンワックスにより遂行される。
【0087】
好ましくは、メタロセンホモポリマーポリオレフィンワックスは、500〜50,000g/mol、より好ましくは1,000〜35,000g/mol、さらにより好ましくは1,100〜25,000g/molのMnを有する。
【0088】
好ましくは、メタロセンホモポリマーポリオレフィンワックスは、1000〜140,000g/mol、より好ましくは1,900〜100,000g/mol、さらにより好ましくは2,100〜70,000g/molのMwを有する。
【0089】
好ましくは、メタロセンホモポリマーポリオレフィンワックスは、1.0〜3.0、より好ましくは1.5〜2.9、さらにより好ましくは1.7〜2.8;殊に2.1〜2.7;就中2.2〜2.5のMw/Mn値を有する。
【0090】
非メタロセンホモポリマーポリオレフィンワックスは、好ましくは、1,000〜20,000g/molの範囲の重量平均モル質量Mwおよび/または500〜15,000g/molの範囲の数平均モル質量Mnを有する。
【0091】
好ましくは、成分Dは、1つ、2つ、3つまたは4つ、より好ましくは1つ、2つまたは3つ、さらにより好ましくは1つまたは2つの異なるワックス、殊に1つのワックスを含む。
【0092】
好ましくは、成分F中のC10〜20−脂肪酸の金属塩の金属は、マグネシウム、カルシウム、亜鉛またはナトリウム、より好ましくはカルシウムまたは亜鉛から誘導される。
【0093】
好ましくは、成分F中のC10〜20−脂肪酸の金属塩の脂肪酸は好ましくは、ラウリン酸またはステアリン酸、より好ましくはステアリン酸である。
【0094】
より好ましくは、成分Fは、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛である。
【0095】
成分Fは好ましくは、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの脂肪酸の塩を含有し、より好ましくは、1つまたは2つ、殊に1つの脂肪酸の金属塩を含有する。
【0096】
別途指示しない限り、質量−比表面積は、ASTM D3037に従い、ブルナウアー−エメット−テラー(BET)吸着測定によって、窒素を用いて測定され、この表面積を、以降、BET表面積と呼ぶ。
【0097】
好ましくは、有機ポリマーOPと、成分A、DおよびFとのジョイント押出を、さらなる成分Bと一緒に行い、ここで、成分Bは好ましくはプラスチック用添加剤であり、好ましくは、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンブラック(CB)、グラファイト、着色剤、フィラー、帯電防止剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン安定剤(HAS)、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、滑剤、防曇剤、結露防止剤、懸濁安定剤、難燃剤、酸化防止剤、発泡剤、核生成剤、過酸化物、潤滑剤、酸捕捉剤、加工助剤、カップリング剤、分散剤およびこれらの物質の混合物からなる群から選択される。
【0098】
好ましくは、組成物Zは、さらなる物質として成分Bを含む。
【0099】
好ましくは、
− 酸捕捉剤は好ましくは、酸化マグネシウムのような酸化物であり;
− 酸化防止剤は好ましくは、一次または二次酸化防止剤であり;
− 着色剤は、有機および無機の染料および顔料であり;
− 有機顔料として、アゾまたはジアゾ顔料、被覆アゾまたはジアゾ顔料または多環式顔料を使用することが好ましく;好ましい多環式顔料は、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ジアリール系顔料またはキノフタロン系顔料であり;
− 無機顔料として、顔料着色に適した金属酸化物、混合酸化物、硫酸アルミニウム、クロム酸塩、金属粉末、真珠光沢顔料(マイカ)、発光顔料、チタン酸化物、カドミウム−鉛顔料、鉄酸化物、カーボンブラック、シリケート、チタン酸ニッケル、コバルト顔料またはクロム酸化物が好ましく使用され;
− フィラーは、シリカ、ゼオライト、ケイ酸塩類、好ましくはケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウムもしくはケイ酸カルシウム、チョーク、タルクまたはタルカムであり;
− 帯電防止剤は、ステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、アルキルアミン、エトキシ化アルキルアミン、アルキルスルホネート、グリセリルエステルであり;
− 分散剤は好ましくは、長鎖アルコールの極性の酸エステル、特に、アルキルスルスルホネート、ネオアルコキシチタネート、ネオアルコキシジルコネート、モノアルコキシチタネート、モノアルコキシジルコネートおよび、殊に、アルキルスルホン酸ナトリウムおよびここでは、C10〜18−アルキルスルホン酸ナトリウムである。
【0100】
より好ましくは、成分Bは、CNT、CB、グラファイト、着色剤、フィラー、UV吸収剤、ヒンダードアミン安定剤(HAS)、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、滑剤、難燃剤、酸化防止剤、発泡剤、核生成剤、潤滑剤、酸捕捉剤、加工助剤、分散剤およびこれらの物質の混合物からなる群から、特には、CB、グラファイト、充填剤および難燃剤からなる群から選択される。
【0101】
全てのCBは、固有導電性であるが、CBはまた、有機ポリマーOPに対してマイナスの作用、即ち、低減された機械的特性も有する。特別な範囲のCBを使用することにより、CBの濃度を最小化することができ、本発明の目的のために、これらは、導電性カーボンブラック(CCB)である。CCBは、特定の範囲の吸油価および特定の範囲のBET表面積を有し、このことにより、これらは、従来のCBとは区別される。
【0102】
好ましいCCBは、ASTM D2414に従って測定された、80〜500ml/100gの吸油価(OAN)を有する。
【0103】
好ましい非導電性CBは、ASTM D2414に従って測定された、50〜75ml/100gの吸油価(OAN)を有する。
【0104】
好ましいCCBは、ASTM D2414に従って測定された、100〜500ml/100g、特に好ましくは150〜400ml/100g、特に170〜350ml/100gの吸油価(OAN)を有する。
【0105】
好ましいCBは、30〜2,000m/g、より好ましくは50〜1,500m/g、さらにより好ましくは60〜1250m/gのBET表面積を有する。
【0106】
好ましいCCBは、65〜2,000m/gのBET表面積を有する。
【0107】
CCBは好ましくは、Cabot社、Phelps Dodge社、Timcal社、Degussa社およびAkzo社から入手することができる。
【0108】
好ましくは、1つ、2つまたは3つ、より好ましくは1つまたは2つ、さらにより好ましくは1つのCBが使用される。
【0109】
好ましいCNTは、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)または多層カーボンナノチューブ(MWCNT)であり、MWCNTが好ましい。
【0110】
好ましいCNTは、50〜1,000m/g、特に好ましくは200〜600m/g、特に250〜560m/gのBET表面積を有する。
【0111】
2〜50個の炭素層、特に3〜15個の炭素層に構成された層(wall)構造を有するMWCNTが好ましく与えられる。
【0112】
好ましいMWCNTは、1〜500nm、特に好ましくは2〜100nm、特に3〜60nm、就中3〜20nmの平均外径(数分布の中央値として定義)を有する。
【0113】
異なる製造方法又は異なる触媒粒子という点で、異なるCNTを製造するための様々な技術及び方法がある。そのため、とりわけ、CNT中における触媒の残存含有量が異なるという結果をもたらす。
【0114】
好ましくは、残存含有量20重量%以下、特に好ましくは8重量%以下、特に5重量%以下、就中3重量%以下を有するCNTが与えられ、ここでそれぞれの場合の重量%とは、CNTの全重量に基づく。
【0115】
好ましいCNTは、国際公開第2006/050903A号(特許文献4)に開示されているようなCNTであり、その文献に開示されている方法で得ることができる。従って、その文献の開示、特に、開示されたカーボンナノチューブの製造方法、及びこの方法で得られるカーボンナノチューブの技術的特徴が記載された請求項1〜10は、その点で、参照により本発明に明確に組み入れられる。
【0116】
特に好ましく与えられるのは、Mn、Co及び支持材料を含み、金属形態における活性成分の全含有量に基づいてCo及びMnが2〜98モル%の量で存在し、任意に、追加的にMoを含有する不均一触媒による、気体の炭化水素の分解によって得られるCNTであり、特に好ましくは、主要径3nm〜150nmを有し、この触媒を用いて製造されたカーボンナノチューブであり、ここで、脂肪族及びオレフィンのような軽質炭化水素が、個別又は混合状態でも、出発材料として好ましく利用され、そして、方法は、触媒の導入及び消耗された触媒によって形成されたカーボンナノチューブの排出に基づいて、連続的に又はバッチ方式で好ましく遂行され、そして触媒は、好ましくは、主要な触媒活性成分が酸化物として存在し、部分的に又は完全に還元されるか、水酸化物として存在する反応空間中に導入される。この方法の更なる詳細については、国際公開第2006/050903A号(特許文献4)の記載に見出すことができる。驚くべきことに、特に、このようにして製造されたこれらのカーボンナノチューブにより、低粘度及び同時に高充填量を有する組成物Zを製造することが可能となり、ポリオレフィンにおいて所望の導電性が設定でき、そして、ポリオレフィンの表面抵抗は低い。
【0117】
ポリオレフィン又はエチレン−酢酸ビニルコポリマーで被覆されたCNTを使用するのが好ましい。被覆は、その場の重合によって好ましく供される。特に好ましくは、ポリエチレン及びポリプロピレン、特にポリエチレンで被覆されたMWCNTである。
【0118】
好ましくは、CNTは、それらの表面が改質又は活性化によってより簡単に分散されたものである。特に好ましいCNTの表面処理は、プラズマ放射又はγ放射を用いたものであり、特に好ましくは、プラズマ処理されたMWCNTである。
【0119】
CNTは、好ましくは、Mitsui、Arkema、Nanocyl、Thomas Swan & Co Ltd.、CNIといった会社から入手でき、特にBayer Material Science AGから入手できる。
【0120】
好ましくは、1つ、2つまたは3つ、より好ましくは1つまたは2つ、さらにより好ましくは1つのCBを使用する。
【0121】
好ましくは、1つ、2つまたは3つ、より好ましくは1または2つ、さらにより好ましくは1つのCNTを使用する。
【0122】
好ましいグラファイトは、DIN 53601に従って測定されたジブチルフタレート(DBP)の油吸収、DBP/100gの30〜300g、特に好ましくはDBP/100gの40〜170g、特にDBP/100gの50〜150gを有する。
【0123】
好ましいグラファイトは、0.1〜50m/g、特に好ましくは1〜40m/g、特に1.5〜30m/gのBET表面積を有する。
【0124】
天然に産するグラファイト及び合成的に製造されたグラフライトの両方を使用することが可能である。
【0125】
グラファイトは、会社Timcal、SGL Carbon又はNationale de Graphiteから好ましく入手できる。
【0126】
好ましくは、1つ、2つまたは3つ、より好ましくは1つまたは2つ、さらにより好ましくは1つのグラファイトを使用する。
【0127】
好ましくは、成分Bは、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ、より好ましくは1つ、2つまたは3つ、さらにより好ましくは1つまたは2つのプラスチック用添加剤を含む。
【0128】
好ましくは、有機ポリマーOPと成分A、DおよびFとのジョイント押出を、さらなる成分Pと一緒に行い、ここで、該成分Pは有機ポリマーである。
【0129】
好ましくは、組成物Zは、さらなる物質として成分Pを含む。
【0130】
成分Pは、同一または異なって、そして互いに独立して、熱可塑性重縮合物、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアクリレートコポリマー、ポリアセタール、重付加物、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー、及びこれら物質の混合物からなる群から選択される。
【0131】
成分Pおよび有機ポリマーOPは、同一または異なって、そして互いに独立して、好ましくは、熱可塑性重縮合物、より好ましくはポリアミド、ポリエステルおよびポリカーボネート;なおより好ましくはポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびポリエチレンテレフタレート(PET)からなる群から選択される。
【0132】
成分Pおよび有機ポリマーOPは、同一または異なって、そして互いに独立して、好ましくは、スチレンポリマー、より好ましくはポリスチレン(PS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、アクリロニトリル−ポリブタジエン−スチレングラフトポリマー(ABS)およびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)からなる群から選択される。
【0133】
成分Pおよび有機ポリマーOPは、同一または異なって、そして互いに独立して、好ましくは、ポリアミド、より好ましくはポリアミド46(PA46、ポリアミド6/6t(PA6/6T)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド12(PA12)およびポリアミド6.6(PA6.6)からなる群から選択される。
【0134】
成分Pおよび有機ポリマーOPは、同一または異なって、そして互いに独立して、好ましくは、ポリアクリレートおよびポリアクリレートコポリマー、より好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)およびエチレンおよびアクリル酸メチルのコポリマー、なおより好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)からなる群から選択される。
【0135】
成分Pおよび有機ポリマーOPは、同一または異なって、そして互いに独立して、好ましくは、ポリアセタール、より好ましくはポリオキシメチレン(POM)からなる群から選択される。
【0136】
成分Pおよび有機ポリマーOPは、同一または異なって、そして互いに独立して、好ましくは、重付加物、より好ましくはポリウレタン、なおより好ましくは熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)からなる群から選択される。
【0137】
成分Pおよび有機ポリマーOPは、同一または異なって、そして互いに独立して、好ましくは、ポリオレフィンおよびポリオレフィンコポリマーからなる群から選択される。
【0138】
成分Pとしてさらに好ましいポリオレフィン又はポリオレフィンコポリマーは、
− ポリエチレン(PE)、好ましくは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状の低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン低密度ポリエチレン(mLDPE)及びメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、
− ポリプロピレン(PP)、好ましくはポリプロピレンホモポリマー(PPH)、ポリプロピレンランダムコポリマー(PP−R)及びポリプロピレンブロックコポリマー(PP−ブロック−COPO)、
− ポリオレフィンプラストマー、好ましくは1−オクテンのエチレンとのポリマー、及び
− PEコポリマー、好ましくはエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンとメチルアクリレートとのコポリマー(EMA)、エチレンとブチルアクリレートとのコポリマー(EBA)、エチレンとエチルアクリレートとのコポリマー(EEA)、シクロオレフィンコポリマー(COC)
からなる群から選択され、
さらにより好ましくは、
− PE、好ましくはHDPE、LDPE及びLLDPE、
− PP、好ましくはPPH、PP−R及びPP−ブロック−COPO、
− ポリオレフィンプラストマー、好ましくは1−オクテンのエチレンとのポリマー、及び
− PEコポリマー、好ましくはEVA及びEMA
から選択される。
【0139】
特には、成分Pおよび有機ポリマーOPは、同一または異なって、そして互いに独立して、PC、PBT、PET、PS、SAN、ABS、SEBS、PA6またはPA6.6、PMMA、POM、TPU、PE、PP、ポリオレフィンプラストマーおよびPEコポリマーからなる群から選択される。
【0140】
より特には、成分Pおよび有機ポリマーOPは、同じか、または異なり、相互に独立に、PBT、PET、PS、ABS、SEBS、PA6またはPA6.6、TPU、PE、PPおよびEVAからなる群から選択される。
【0141】
好ましくは、有機ポリマーOPおよび成分Pは、同じ化学的なクラスのポリマーであり、より好ましくは、これらは同一である。
【0142】
粉体塗装材料を、共回転二軸スクリュー押出機または一軸スクリュー混練装置での押出により調製する。粉体塗装材料は、例えば、エポキシド、イソシアヌル酸トリグリシジル(TGIC)、p−ヒドロキシアルキルアミンまたはブロックイソシアネート(ウレトジオン)を使用して架橋されているポリエステル樹脂などのバインダー;および、顔料およびフィラーおよび添加剤などのさらなる物質から構成される。したがって、粉体塗装材料中で使用されるバインダー、即ち、ポリマーは、バインダーの架橋を可能にして被膜を形成する反応性基を有する。このことは、反応性バインダー、即ち、反応性ポリマーを粉体塗装材料中に使用することを意味する。
【0143】
好ましくは、有機ポリマーOPは、粉体塗装材料中に使用されるポリマーではない。
【0144】
組成物Zは好ましくは、下記を含有し、および/または有機ポリマーOPのジョイント押出は、下記と一緒に行われる。
成分Aを0.01〜70重量%、
成分Dを0.01〜70重量%、
成分Fを0.01〜70重量%、
少なくとも1つのさらなる物質、好ましくは成分Bおよび/またはPを0〜99.97重量%;
より好ましくは、
成分Aを0.02〜60重量%、
成分Dを0.02〜50重量%、
成分Fを0.02〜50重量%、
少なくとも1つのさらなる物質、好ましくは成分Bおよび/またはPを0〜99.94重量%。
ここで、それぞれにおける重量%は、組成物Zの場合には組成物Zの全重量に基づき、
または有機ポリマーOPのジョイント押出の場合には、成分A、D、F、少なくとも1つのさらなる物質および有機ポリマーOPの全重量に基づき、
そして好ましくは、組成物Zの場合には、成分A、D、Fおよび任意の少なくとも1つのさらなる物質の重量パーセント、
または有機ポリマーOPのジョイント押出の場合には、成分A、D、F、任意の少なくとも1つのさらなる物質および有機ポリマーOPの重量パーセントであり、
常に、合計は100%になる。
【0145】
少なくとも1つのさらなる物質は好ましくは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ、より好ましくは1つ、2つ、3つまたは4つ、さらにより好ましくは1つ、2つまたは3つのさらなる物質を含む。
【0146】
組成物ZがマスターバッチMBである場合、組成物Zは好ましくは、
成分Aを2〜60重量%、
成分Dを5〜50重量%、
成分Fを0.5〜50重量%、
少なくとも1つのさらなる物質、好ましくは成分Bおよび/またはPを0〜92.5重量%、
より好ましくは、
成分Aを2〜60重量%、
成分Dを5〜35重量%、
成分Fを1.5〜40重量%、
少なくとも1つのさらなる物質、好ましくは成分Bおよび/またはPを0〜91.5重量%、
さらにより好ましくは、
成分Aを2〜35重量%、
成分Dを5〜25重量%、
成分Fを7.5〜15重量%、
少なくとも1つのさらなる物質、好ましくは成分Bおよび/またはPを0〜85.5重量%、
特に好ましくは、
成分Aを10〜35重量%、
成分Dを5〜25重量%、
成分Fを7.5〜15重量%、
少なくとも1つのさらなる物質、好ましくは成分Bおよび/またはPを0〜77.5重量%、
を含有し、
ここで、それぞれにおける重量%、組成物Zの全重量に基づき、好ましくは、成分A、DおよびFならびに任意の少なくとも1つのさらなる物質の重量パーセントは常に、合計で100%になる。
【0147】
組成物ZがマスターバッチMBであり、成分Bを含有する場合、組成物Zは好ましくは、
成分Aを2〜35重量%、
成分Dを5〜25重量%、
成分Fを7.5〜15重量%、
少なくとも1つのさらなる物質、好ましくは成分Bを45〜85.5重量%、
少なくとも1種のさらなる物質、好ましくは成分Pを0〜85.5重量%、好ましくは10〜85.5重量%、
より好ましくは、
成分Aを10〜35重量%、
成分Dを5〜25重量%、
成分Fを7.5〜15重量%、
少なくとも1つのさらなる物質、好ましくは成分Bを25〜77.5重量%、
少なくとも1つのさらなる物質、好ましくは成分Pを0〜77.5重量%、好ましくは10〜77.5重量%、
さらにより好ましくは、
成分Aを10〜35重量%、
成分Dを5〜25重量%、
成分Fを7.5〜15重量%、
少なくとも1つのさらなる物質、好ましくは成分Bを45〜77.5重量%、
少なくとも1つのさらなる物質、好ましくは成分Pを0〜77.5重量%、好ましくは10〜77.5重量%、
を含有し、
ここで、それぞれにおいて重量%は組成物Zの全重量に基づき、好ましくは、成分A、DおよびFならびに少なくとも1つのさらなる物質の重量パーセントは常に、合計で100%になる。
【0148】
好ましくは、組成物ZがコンパウンドCOである場合、組成物Zは好ましくは下記を含有するか、または有機ポリマーOPのジョイント押出の場合には、有機ポリマーOPのジョイント押出は好ましくは、下記と一緒に行われる。
成分Aを0.01〜30重量%、
成分Dを0.01〜10重量%、
成分Fを0.01〜5重量%、
少なくとも1つのさらなる物質を0〜99.97重量%、好ましくは成分Bを0〜99.97重量%、より好ましくは0〜5重量%、さらにより好ましくは0.5〜2.5重量;
および/または好ましくは成分Pを0〜99.97重量%、好ましくは50〜99.97重量%、さらにより好ましくは75〜99.97重量%、特に好ましくは90〜99.97重量%;
より好ましくは、
成分Aを0.03〜30重量%、
成分Dを0.05〜10重量%、
成分Fを0.02〜4重量%、および
少なくとも1つのさらなる物質を0〜99.9重量%、好ましくは成分Bを0〜99.9重量%、より好ましくは0〜5重量%、さらにより好ましくは0.5〜2.5重量;
および/または好ましくは成分Pを0〜99.9重量%、好ましくは50〜99.9重量%、さらにより好ましくは75〜99.9重量%、特に好ましくは90〜99.9重量%;
さらにより好ましくは、
成分Aを0.03〜5重量%、
成分Dを0.05〜5重量%、
成分Fを0.02〜2重量%、および
少なくとも1つのさらなる物質を0〜99.9重量%、好ましくは成分Bを0〜99.9重量%、より好ましくは0〜5重量%、さらにより好ましくは0.5〜2.5重量;
および/または好ましくは成分Pを0〜99.9重量%、好ましくは50〜99.9重量%、さらにより好ましくは75〜99.9重量%、特に好ましくは90〜99.9重量%;
特に好ましくは、
成分Aを0.03〜1重量%、
成分Dを0.05〜1.5重量%、
成分Fを0.02〜1重量%、および
少なくとも1つのさらなる物質を0〜99.9重量%、好ましくは成分Bを0〜99.9重量%、より好ましくは0〜5重量%、さらにより好ましくは0.5〜2.5重量;
および/または好ましくは成分Pを0〜99.9重量%、好ましくは50〜99.9重量%、さらにより好ましくは75〜99.9重量%、特に好ましくは90〜99.9重量%;
ここで、それぞれにおける重量%は、組成物Zの場合には、組成物Zの全重量に基づき、または有機ポリマーOPのジョイント押出の場合には、成分A、D、F、少なくとも1つのさらなる物質および有機ポリマーOPの全重量に基づき、
および好ましくは、
組成物Zの場合には、成分A、D、Fおよび任意の少なくとも1つのさらなる物質の重量パーセントは、
または有機ポリマーOPのジョイント押出の場合には、成分A、D、F、任意選択の少なくとも1種のさらなる物質および有機ポリマーOPの重量パーセントは、常に、合計で100%になる。
【0149】
押出ステップにおいて、成分A、DおよびFならびに任意のさらなる物質を有機ポリマーOPと物理的に混合する。好ましくは、成分A、DおよびFならびに任意に成分Bおよび成分Pを有機ポリマーOPと、組成物Zの形態にジョイント押出する。
【0150】
好ましくは、ジョイント押出を、有機ポリマーOPの軟化点および/または融点を超える温度で遂行する。
【0151】
押出ステップを好ましくは、80〜330℃、より好ましくは80〜300℃、さらにより好ましくは100〜280℃の温度で遂行する。
【0152】
押出ステップの時間は好ましくは、2秒〜1時間、特に好ましくは10秒〜15分である。
【0153】
押出ステップは、好ましくは、大気圧〜500バール、より好ましくは大気圧〜200バールの圧力で遂行される。
【0154】
成分A、DおよびFならびに任意のさらなる物質は別々に、または組成物Zの形態に、押出ステップの前に、有機ポリマーOPと予混合(premix)することができるか、またはこれらを有機ポリマーOPに、予混合せずに押出機内で加えることができる。
【0155】
押出ステップで使用される押出機は、プラスチック産業で使用される任意の押出機であることができる。
【0156】
組成物Zは、成分A、DおよびFならびに任意のさらなる物質を相互に物理的に混合することにより製造される。
【0157】
成分の混合は、一段階または複数段階で行うことができる。
【0158】
物理的混合のための混合装置としては、プラスチック産業で慣用の混合装置、好ましくは、押出機、混練機、プレス、ミル、カレンダー、ブレンダーおよびミキサーからなる群から選択される装置を使用することが可能である。
【0159】
組成物ZがマスターバッチMBまたはコンパウンドCOである場合、混合装置は好ましくは、押出機、混練機および/またはブレードミキサー、ボールミル、ショットミル、バンバリーミル、ロールミル、カレンダー、ミキサー、プラネタリーミキサー、ブレンダーである。組成物ZがマスターバッチMBである場合、混合装置は好ましくは、押出機、混練機および/またはブレードミキサーである。組成物ZがコンパウンドCOである場合、混合装置は好ましくは、押出機、プレスおよび射出成形機、特に好ましくは押出機である。
【0160】
混合を好ましくは、マスターバッチMBの場合には、好ましくは押出、混合、粉砕、カレンダー加工または混練により、なおより好ましくは押出により、およびコンパウンドCOの場合には、好ましくは押出、カレンダー加工または射出成形またはプレス、特に好ましくは押出により、連続的に、またはバッチ式で、より好ましくは連続的に行う。
【0161】
混合は好ましくは、0〜330℃、より好ましくは10〜330℃、なおより好ましくは20〜330℃、特に80〜300℃の温度で遂行する。マスターバッチMBの場合、混合は好ましくは80〜200℃、特に好ましくは100〜180℃、特に110〜150℃の温度で遂行し、コンパウンドCOの場合、混合は好ましくは、80〜330℃、より好ましくは80〜300℃、なおより好ましくは100〜280℃の温度で遂行する。
【0162】
混合時間は好ましくは、5秒〜36時間、より好ましくは5秒〜24時間、なおより好ましくは5秒〜10時間である。連続混合の場合の混合時間は好ましくは、5秒〜1時間、特に好ましくは10秒〜15分である。バッチ混合の場合の混合時間は好ましくは、1分〜36時間、より好ましくは2分〜24時間、特に2分〜10時間、殊に2分〜8時間、さらにより特に2分〜5時間、とりわけ2〜1時間、就中2分〜15分である。
【0163】
混合は好ましくは、大気圧〜500バール、より好ましくは大気圧〜200バールの圧力で行う。
【0164】
組成物Zを、マスターバッチMBの形態で、コンパウンドCOを製造するために、もしくは有機ポリマーOP製のプロフィルまたは物品を製造するために使用するか、または組成物Zを、コンパウンドCOとして有機ポリマーOP製のプロフィルまたは物品を製造するために使用する。
【0165】
コンパウンドCOの場合、成分A、DおよびFを好ましくは、マスターバッチMBの形態で成分Pと混合する。さらに、マスターバッチMBとペレット化成分Pとのプリミックスを好ましくは、物理的混合のために使用する。
【0166】
成分A、DおよびFならびに組成物Zを好ましくは、成分A、DおよびFを含む1つまたは複数の有機ポリマーOP製の物品、好ましくは造形品および家庭用品、プロフィルおよび容器を製造するために使用する。
【0167】
驚くべきことに、成分A、DおよびFならびに組成物Zの使用は、マスターバッチMBの形態またはコンパウンドCOの形態の両方において、押出の間に低い粘度をもたらす。押出ステップの間でのこの低い粘度は、組成物Z中の添加剤の充填量が高くても得ることができる。特に、20重量%まで、さらには25重量%まで、多くの場合にはなお30重量%まで、時にはそれ以上のマスターバッチMBの添加剤充填量を達成できる(ここで、重量%は、マスターバッチMBの全重量に基づく)が、その際、マスターバッチMBをもはや製造および加工することができないか、またはマスターバッチが全く形成しないほど粘度が低くなることはない。押出の間の低い粘度と組み合わされた高い添加剤含有量により、有機ポリマーOPへ添加剤を安価に導入することが可能になり、また、押出機または金型などの装置での摩耗を最小限にし、添加剤の迅速な均質化および均一な分布が可能である。
【0168】
組成物Zにおいて、添加剤はマスターバッチMBおよび/またはコンパウンドCOおよび/または組成物Z中に良好に分散および/または分布する。分散および/または分布の質は、光学手段により、加圧された(圧縮成形された)プレートまたはフィルムで、例えば、ミクロトームスライスで定性的に測定される。流動性、衝撃靱性、熱変形温度(即ち、負荷下で変形する温度)および引張り強度もまた、要件を満たす。粘度または流動性は、DIN ISO 1133に従って測定され、メルトフローレイトMFRとして表され、衝撃靭性は、DIN EN ISO 179に従って測定され、熱変形温度(すなわち、負荷下における歪みの温度)は、DIN EN ISO 75−1に従って測定され、そして引張り強度は、DIN EN ISO 527−1に従って測定される。
【0169】
方法は、有機ポリマーOPを押出し間の押出機における低いトルクおよび/または圧力をもたらす。このことにより、プロフィルおよび物品の向上された製造が可能になり、プロフィルおよび物品を製造している間のプラスチック添加剤の向上された同時的導入が可能になる。好ましくは、成分A、DおよびFの組合せは、好ましくは組成物Zの形態で、有機ポリマーOPを押出の間の押出機におけるトルクおよび/または圧力を低減するために使用される。
【0170】
したがって、成分A、DおよびFの組合せは、好ましくは組成物Zの形態で、加工済有機ポリマーから物品およびプロフィルを製造するための有機ポリマーOPの押出において、加工助剤として使用される。
【0171】
さらなる試験方法は次のとおりである。
生成物の特性は、別途示さない限り以下の方法によって測定される。
【0172】
モル質量及びモル質量分布、すなわち、Mw値及びMn値は、DIN 55672に従い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるが、135℃の温度及び溶媒1,2−ジクロロベンゼン中にワックスを完全に溶解させて行われ;キャリブレーションのために市場から入手可能なPE標準物が使用される。
【0173】
滴点の測定は、ウベローデ(Ubbelohde)滴点計器を用いて、DIN 51801/2(℃)に従って遂行される。
【0174】
軟化点の測定は、環/球を用いてDIN EN 1427(℃)に従って行われる。正確さのために、別途指示しない限り、軟化点が本明細書及び特許請求の範囲において整数で与えられる場合“.0 C”を表し、例えば、“130 C”は“130.0 C”を表す。
【0175】
ワックスの粘度の測定はDIN53018(mPas)に従う。
【0176】
密度の測定は、ISO1183(g/cm)に従う。
【0177】
かさ密度の測定はDIN EN ISO60(kg/m3)による。
【0178】
けん化価の測定はISO 3681(mgKOH/g)による。
【0179】
酸価の決定はISO 2114(mgKOH/g)による。
【0180】
弾性率の測定はDIN EN ISO 527−1(MPa)による。
【0181】
酢酸ビニル含有量の測定は、フーリエ変換−IR−分光法(FTIR)を用い、キャリブレーションのために、市場から入手可能なEVAスタンダードを使用する。
【0182】
金属含有量の測定は、原子吸光分光法(AAS)により、キャリブレーションのために、市場から入手可能な金属スタンダードを使用する。
【0183】
マッフル炉中での900℃、60分間における焼きなまし残滓による灰分の測定。
【0184】
Malvern社のレーザー回折式粒度分布測定装置マスターサイザー(Laser Diffraction Mastersizer)2000による、d50値の測定。
【0185】
少量(約0.5〜3g)の試料を、超音波処理により、5分間、0.5mlのArkopal N 090、3滴のイソプロパノール、及び20mlの水の溶液中に懸濁する。
【0186】
ケイ酸マグネシウム含有量の測定は、X線回折(XRD)分析による。
【0187】
融点の測定方法:ISO 3146に従った示差走査熱分析(DSC)。
【0188】
押出機のトルク(Nmで)及び押出機ヘッド部における溶融圧(バールで)は、その機械で読み取ったものであり、そして溶融物の押出機における粘度又は流動性の測定値である。
【実施例】
【0189】
使用物質:
成分A1: モノマーの全重量に基づいて8〜10重量%のエチレン含有量を有するプロピレン−エチレン−コポリマーワックスであり、Mn値6,700、Mw値15,500g/mol、Mw/Mn値2.3g/mol、及び密度0.86〜0.89g/cm
成分A2: モノマーの全重量に基づいて10〜12重量%のエチレン含有量を有するプロピレン−エチレン−コポリマーワックスであり、Mn値11,200g/mol、Mw値25,200g/mol、Mw/Mn値2.3、及び密度0.86〜0.89g/cm
【0190】
成分B1: 吸油価(OAN)65〜75ml/100gを有するCB
成分B2: フタル酸ジブチル(DBP)の吸油110〜120ml/100gおよびBET表面積30〜50m/gを有するCB
成分B3: ケイ酸マグネシウム含有量98%およびd50値6μmを有するタルク
成分B4: 吸油価(OAN)320ml/100gおよびBET表面積>700m/gを有するCB
【0191】
成分D1: 120℃で測定した粘度280〜340mPas、滴点96〜104℃の範囲、密度0.99〜1.04g/cm(20℃で測定)、酸価9〜14mgKOH/gおよびけん化価108〜115mgKOH/gを有する、部分的にけん化されたモンタン酸エステルワックス
成分D2: 140℃で測定した粘度640〜660mPas、滴点117〜122℃の範囲、密度0.92〜0.94g/cm(20℃で測定)、酸価0mgKOH/g、Mn値1,800g/mol、Mw値5,600g/mol、Mw/Mn値3.1およびけん化価0mgKOH/gを有する、チーグラー−ナッタ触媒を使用して製造された、非極性ポリエチレンワックスホモポリマー
成分D3: 140℃で測定して粘度280〜320mPas、滴点125℃、密度0.96〜0.98g/cm(20℃で測定)、酸価0mgKOH/g、Mn値1,600g/mol、Mw値4,800g/mol、Mw/Mn値3.0およびd50値7.0から9.8μmを有する、チーグラー−ナッタ触媒を使用して製造された、非極性ポリエチレンワックスホモポリマー
成分D4: 150℃で測定した粘度約10mPas、滴点約142℃、密度約1.0g/cm(20℃で測定)、酸価約6mgKOH/gを有するビス(C16〜18脂肪酸)−エチレンジアミド(アミドワックス)
成分D5: 170℃で測定した粘度1,500〜2,000mPas、軟化点160〜166℃、Mn値7,100g/mol、Mw値19,300g/mol、Mw/Mn値2.7および密度0.88〜0.92g/cmを有するポリプロピレンホモポリマーワックス
【0192】
成分F1: 灰分10%および融点155℃を有するステアリン酸カルシウム
成分F2: 金属含有量11%および融点120℃を有するステアリン酸亜鉛
【0193】
成分P1: 密度0.922g/cm、MFR22g/10分(190℃/2.16kgで測定)および弾性率180MPaを有する低密度ポリエチレン(LDPE)
成分P2: 密度1.10g/cm;MFR106g/10分(275℃/5.0kgで測定)および弾性率900〜2,800MPaを有するポリアミド6
成分P3: 密度0.952g/cm、MFR7g/10分(190℃/2.16kgで測定)およびEVAに対して酢酸ビニル含有量27.5重量%を有するエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)
成分P4: 密度0.90g/cm、MFR1.0g/10分(190℃/2.16kgで測定)および弾性率80MPaを有する線状低密度ポリエチレン(LLDPE)
成分P5: 密度0.90g/cm、MFR4g/10分および弾性率1,200MPaを有するポリプロピレンブロックコポリマー(PP−ブロック−COPO)
【0194】
以下において、別途指示しない限り、重量%は、混合物又は物品の全重量に基づき、部は重量部であり、“ex”は実施例、“cpex”は比較例を意味し、“T−Extr”は、℃による押出機の温度を示し、“L−B”は“成分Bの充填量”を意味し、“L−D”は“成分Dの充填量”を意味し、“L−F”は“成分Fの充填量”を意味し、ここで、充填量は、成分の重量%での含有量であり、ここで、別途指示しない限り、重量%は組成物の全重量に基づく。
【0195】
exまたはcpex1〜6、205〜209および220〜223
例中の様々な成分を一緒に、二軸スクリュー押出機で均質化し、それぞれのマスターバッチを得る。詳細並びに結果は、表A及び表B中に与えられる。
【0196】
【表1】

【0197】
【表2】

【0198】
cpex205、cpex206、cpex220およびcpex221は、共通するマスターバッチ装置で製造することができない。それというのも、顆粒が脆弱でストランドが容易に壊れるか、または顆粒が全く得られないためである。慣用のプリミックスを代わりに使用した。
【0199】
exまたはcpex10〜19および215〜216
例中の様々な成分を一緒に、二軸スクリュー押出機で均質化し、それぞれのマスターバッチを得る。詳細並びに結果は、表C及び表D中に与えられる。マスターバッチ14は非常に硬質で、ポリマー中での分布が困難である。
【0200】
【表3】

【0201】
【表4】

【0202】
exまたはcpex21〜26、210〜214および225〜228
成分をタンブルミキサーで予混合し、さらに、混合セクションを有するBrabenderの一軸スクリュー押出機(Brabender single−screw extruder)中で混合して均質化し、T−Extrは285〜290℃であった。8mm厚の円形プロフィルを有する押出ストランドを、スクリュー速度100rpmで押し出すことにより得た。詳細および結果を、表Eに示す。
【0203】
【表5】

【0204】
Cpex21およびcpex26は、著しく高いTおよびMPを示す。
【0205】
exまたはcpex51〜55、63〜65、71〜75および235〜236
成分をタンブル混合機中で予混合(premixed)し、そして混合セクションを有するBrabenderの一軸スクリュー押出機(Brabender single−screw extruder)中で混合して均質化し、T−Extrは130〜150℃であった。平坦フィルムダイを介した押出により1mm厚の平坦フィルムが得られた。詳細および結果を表Fに示す。
【0206】
【表6】

【0207】
exまたはcpex81から84、91から95
成分を成分P4と共にタンブル混合機中で予混合(premixed)し、そして混合セクションを有するBrabenderの一軸スクリュー押出機(Brabender single−screw extruder)中で混合して均質化し、T−Extrは190〜200℃であった。平坦フィルムダイを介した押出により1mm厚の平坦フィルムが得られた。詳細および結果を表Gに示す。
【0208】
【表7】

【0209】
exまたはcpex101、102および103
成分をタンブル混合機中で予混合(premixed)し、そして混合セクションを有するBrabenderの一軸スクリュー押出機(Brabender single−screw extruder)中で混合して均質化し、T−Extrは240〜250℃であった。平坦フィルムダイを介した押出により1mm厚の平坦フィルムが得られた。詳細および結果を表Hに示す。
【0210】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工された有機ポリマー製の、プロフィルまたは物品の製造における、有機ポリマーOPと共にジョイント押出するための、成分A、成分Dおよび成分Fの組合せの使用であり;
前記成分Aは、プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスであり、
前記成分Dは、
モンタンワックス、
アミドワックスおよび
ホモポリマー系ポリオレフィンワックス
からなる群から選択されるワックスであり、
前記成分Fは、C10〜20−脂肪酸の金属塩であり;
ここで、前記プロピレン−オレフィン−コポリマーワックスは、モノマーのプロピレン、および次式(II)で表される化合物の少なくとも一つ0.1〜50重量%(ここで、重量%は、上記のモノマーの全重量に基づく)から製造される、上記の使用。
【化1】

(式中、Rは、Hおよび非分枝状または分枝状のC2〜18アルキルからなる群から選択される)。
【請求項2】
前記アミドワックスが、C16〜18脂肪酸モノアミドおよびC16〜18脂肪酸ジアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記モンタンワックスが、モンタン酸、モンタン酸エステルおよびモンタン酸の石けんからなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記ホモポリマーポリオレフィンワックスが、ホモポリマーポリエチレンワックス、ホモポリマーポリプロピレンワックスまたはC4〜301−オレフィンのホモポリマーワックスである、請求項1〜3の一つまたは複数に記載の使用。
【請求項5】
成分F中の前記C10〜20−脂肪酸の前記金属塩の金属が、マグネシウム、カルシウム、亜鉛またはナトリウムに由来する、請求項1〜4の一つまたは複数に記載の使用。
【請求項6】
成分F中の前記C10〜20−脂肪酸の金属塩の脂肪酸が、ラウリン酸またはステアリン酸である、請求項1〜5の一つまたは複数に記載の使用。
【請求項7】
前記有機ポリマーOPと、前記成分A、DおよびFとの前記ジョイント押出が、さらなる成分Bと共に遂行され、該成分Bは、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、グラファイト、着色剤、フィラー、帯電防止剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン系安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤、スリップ剤、防曇剤、結露防止剤、懸濁安定剤、難燃剤、酸化防止剤、発泡剤、核生成剤、過酸化物、滑剤、酸捕捉剤、加工助剤、カップリング剤、分散剤およびこれらの物質の混合物からなる群から選択される、請求項1〜6の一つまたは複数に記載の使用。
【請求項8】
前記有機ポリマーOPが、熱可塑性重縮合物、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアクリレートコポリマー、ポリアセタール、重付加物、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマーおよびこれらの物質の混合物からなる群から選択される、請求項1〜7の一つまたは複数に記載の使用。
【請求項9】
前記有機ポリマーOPと、前記成分A、DおよびFとの前記ジョイント押出が、さらなる成分Pと共に遂行され、該成分Pは、有機ポリマーである、請求項1〜8の一つまたは複数に記載の使用。
【請求項10】
前記成分Pが、前記成分OPと同じ又は異なっており、そして前記成分Pは、前記成分OPから独立して、請求項8に記載の前記成分OPが選択されるのと同じポリマーの群から選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記有機ポリマーOPの前記ジョイント押出が、
0.01〜70重量%の成分A、
0.01〜70重量%の成分D、
0.01〜70重量%の成分F
と共に遂行され、前記重量%はそれぞれが、前記成分A、D、Fおよび有機ポリマーOPの全重量に基づく、請求項1〜10の一つまたは複数に記載の使用。
【請求項12】
前記成分A、DおよびFを含んでいる、請求項9に記載の有機ポリマーOP製の物品、家庭用品、プロフィルおよび容器。

【公表番号】特表2012−507585(P2012−507585A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533611(P2011−533611)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007774
【国際公開番号】WO2010/051940
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】