説明

有機化合物およびこれを有する有機発光素子

【課題】基本骨格自体で色純度の高い赤発光を有する新規な化合物、及び、これを用いる発光効率が高い有機発光素子の提供。
【解決手段】式(1)の構造式で示される有機化合物の提供。


(1)(式(1)において、R1乃至R24は、水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアミノ基、置換あるいは無置換のアリール基及び、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、シリル基及びシアノ基からそれぞれ独立に選ばれる)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物およびこれを有する有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子、あるいは有機EL素子と呼ぶ)は、一対の電極とこれら電極間に配置される有機化合物層とを有する電子素子である。これら一対の電極から電子及び正孔を注入することにより、有機化合物層中の発光性有機化合物の励起子を生成し、該励起子が基底状態に戻る際に、有機発光素子は光を放出する。
【0003】
有機発光素子の最近の進歩は著しく、低駆動電圧、多様な発光波長、高速応答性、発光デバイスの薄型化・軽量化が可能であることが挙げられる。
【0004】
ところで、現在までに発光性の有機化合物の創出が盛んに行われている。高性能の有機発光素子を提供するにあたり、発光特性の優れた化合物の創出が重要であるからである。
【0005】
これまでに創出された化合物として、例えば、特許文献1、特許文献2に記載されている下記化合物1−Aがある。
【0006】
【化1】


1−A
【0007】
この化合物1−Aは、s−インダセノ[1,2,3−cd:5,6,7−c’d’]ジペリレンを基本骨格として有している。ここでs−インダセノ[1,2,3−cd:5,6,7−c’d’]ジペリレン骨格自体の発光は本発明者らが調べたところ後述するように橙色発光である。
【0008】
特許文献3において下記化合物1−Bが提案されている。
【0009】
【化2】


1−B
【0010】
この化合物1−Bは、ベンゾ[5,6]インデノ[1,2,3−cd]ペリレンを基本骨格として有している。ここでベンゾ[5,6]インデノ[1,2,3−cd]ペリレン骨格自体の発光は本発明者らが調べたところ後述するように黄色発光である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−319782号公報
【特許文献2】特開2009−033069号公報
【特許文献3】特開2001−267076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし特許文献1乃至3に記載の化合物がそれぞれ有する基本骨格では、上記のように橙色や青緑の発光しかできず純赤領域での発光は得られない。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされるものであり、その目的は、純赤領域の発光を出力する、有機化合物を提供することである。また本発明の他の目的は、発光効率が高い有機発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の有機化合物は、下記一般式(1)に示されることを特徴とする。
【0015】
【化3】


(1)
【0016】
(式(1)において、R乃至R24は、水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアミノ基、置換あるいは無置換のアリール基及び、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、シリル基及びシアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。)
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る有機化合物は、基本骨格自体で赤領域の発光が可能である。
【0018】
また本発明に係る有機化合物は、基本骨格自体で色純度の高い赤発光を有し、このため発光効率が高い有機発光素子を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】化合物A7の希薄溶液中のフォトルミネッセンスと膜中のフォトルミネッセンスのそれぞれの発光スペクトルである。
【図2】本発明の有機発光素子と、この有機発光素子に電気接続するスイッチング素子の一例であるTFT素子と、を有する表示装置の例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず本発明に係る有機化合物について説明する。本発明に係る新規有機化合物は、下記一般式(1)で示される基本骨格を有する有機化合物である。
【0021】
【化4】


(1)
【0022】
式(1)において、基本骨格に示されるR乃至R24は、水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアミノ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、シリル基及びシアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。
【0023】
本実施形態において、式(1)中のR乃至R24は、好ましくは、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基及び置換あるいは無置換のアリール基からそれぞれ独立に選ばれる。
【0024】
乃至R24で表されるハロゲン原子として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
乃至R24で表されるアルキル基として、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、セカンダリーブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
乃至R24で表されるアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−エチル−オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
乃至R24で表されるアミノ基として、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−メチル−N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、アニリノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジナフチルアミノ基、N,N−ジフルオレニルアミノ基、N−フェニル−N−トリルアミノ基、N,N−ジトリルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジアニソリルアミノ基、N−メシチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジメシチルアミノ基、N−フェニル−N−(4−ターシャリブチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノ基、N−ピペリジル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
乃至R24で表されるアリール基として、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
乃至R24で表される複素環基として、ピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
乃至R24で表されるアリールオキシ基として、フェノキシ基、チエニルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
乃至R24で表されるシリル基として、トリフェニルシリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
上記アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基がさらに有してもよい置換基として、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基等のアルキル基、ベンジル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基等のアリール基、ピリジル基、ピロリル基等の複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等のアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本実施形態において、式(1)中のR乃至R24は、水素原子又は置換あるいは無置換のアリール基からそれぞれ独立に選ばれるのが好ましい。
【0034】
ところで本実施形態に係る有機化合物において、基本骨格に置換基を導入すると、濃度消光を抑制し、昇華時には昇華性の向上、塗布で使用する際は溶媒溶解性の向上した化合物を得ることができる。
【0035】
またこの濃度消光の抑制の観点からすれば、式(1)中のR乃至R24の少なくともいずれかがアルキル基によって置換されていることが好ましい。
【0036】
次に、本実施形態に係る有機化合物の合成方法を説明する。本実施形態に係る有機化合物は、例えば、下記に示す反応スキームに従って合成される。
【0037】
【化5】

【0038】
【化6】

【0039】
【化7】

【0040】
上記合成スキームにて示されるように、本実施形態に係る有機化合物は、下記(a)乃至(f)に示される化合物を原料として合成されるものである。
(a)ジケトン誘導体(D1)
(b)ジベンジルケトン誘導体(D2)
(c)ナフタレン誘導体(D3)
(d)ビナフチル誘導体(D4)
(e)ナフタレン誘導体(D5)
(f)3、6−ジブロモナフタレン誘導体(D6)
(g)ナフタレン誘導体(D7)
(h)ジケトン誘導体(D8)
(i)ジベンジルケトン誘導体(D9)
(j)ナフタレン誘導体(D10)
(k)ナフタレン誘導体(D11)
【0041】
ここで上記(a)乃至(k)に示される化合物に適宜置換基を導入することにより、式(1)中のR乃至R24のいずれかが水素原子から所定の置換基に置換されることになる。ここで導入する置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、メトキシ基、シアノ基等が挙げられる。
【0042】
また上記合成スキームにおいて、D1乃至D11をそれぞれ変えることで種々の有機化合物を合成することができる。
【0043】
次に、本実施形態に係る有機化合物の基本骨格の性質を説明する。
【0044】
本発明者らは、式(1)に示される有機化合物を発明するにあたり、基本骨格それ自体に注目した。具体的には、基本骨格のみの分子が有する発光波長が所望の発光波長領域に収まるものを提供することを試みた。
【0045】
本実施形態において、所望の発光波長領域は純赤色領域のことであり、具体的には希薄溶液中では最大発光波長が590nm以上620nm以下である。
【0046】
化合物は希薄溶液中と分散膜中、すなわち固体膜中とでは発光波長が異なる。有機発光素子はこのうち分散膜を有する。分散膜中の方がたとえば最大発光波長(発光スペクトルが有するピークのうち最大のもの)が10−15nm程度長波長化する。一例として図1に化合物A7の、希薄溶液中のフォトルミネッセンス(PL)と膜(分散膜)中のフォトルミネッセンスのそれぞれの発光スペクトルを示す。希薄溶液中の化合物A7の濃度は1×10−5mol/Lである。分散膜中の化合物A7は、分散膜であるポリビニルカルバゾール中に0.1%分散されている。
【0047】
ここでいう化合物とは炭素のみで基本骨格が形成されている化合物のことである。
【0048】
よって、希薄溶液中で590nm以上であれば、分散膜中や発光素子では600nm以上となり、色純度の高い純赤色発光を得ることができる。
【0049】
次に、本発明の有機化合物に類似する構造を有する比較化合物を比較し、本発明に係る有機化合物の基本骨格の性質を説明する。具体的には、比較対象化合物として下記式(2)、(3)、(4)にそれぞれ示される化合物とを挙げる。
【0050】
【化8】


(2)
【0051】
【化9】


(3)
【0052】
【化10】


(4)
【0053】
ここで本発明に係る有機化合物の1つは、式(1)で示される基本骨格を有しR1乃至R24は全て水素原子である下記式(5)に示される化合物である。
【0054】
【化11】


(5)
【0055】
ここで発明者らは、式(5)で示される有機化合物と、式(2)、(3)、(4)の有機化合物とのトルエン希薄溶液中での発光波長と量子収率と、ポリビニルカルバゾール中に0.1%分散した膜中での色度の比較を行った。結果を下記表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
表1の化合物2の発光色は黄色であり赤色ではない。
【0058】
表1の化合物3の発光色は橙色であり赤色ではない。この有機化合物の発光は赤の色の純度が低下する橙色の発光成分を多く有している。
【0059】
発光色の指標としてCIE表色系の(X,Y)座標がある。色度がNTSC規格の赤である(0.68、0.32)や、sRGB規格の赤である(0.64、0.33)に対して、純赤色を出すためにはX座標がこの値より大きくないといけない。X座標がこの値より小さい場合は発光色に黄色が混じるため、純赤色として適さない色となってしまう。これを満たすためには、分散膜中の発光スペクトルの形状が570nm以下の強度が0.1以下である必要がある。そのためには最大発光波長がより長波であれば良いが、あまり長波であると純赤ではなく、濃赤色になってしまう。よって、純赤色を出すためには、分散膜中の最大発光波長が600nm以上630nm以下であり、且つ、570nm以下の強度が0.1以下であるためには、半値幅が30nm以下であることが好ましい。
【0060】
化合物3はNTSC規格の赤や、sRGB規格の赤よりかなり小さい値となっている。従って、化合物3は、本実施形態で要求される純赤色の発光材料としては適さない。
【0061】
表1の化合物4の発光色は純赤色である。しかし、量子収率が0.1以下と他の化合物(化合物1、化合物2、化合物4)と比べて10倍以上低い。これは、ホールと電子とが再結合する際に生じるエネルギーを効率よく光に変換することができないことを意味する。
【0062】
表1の本実施形態の化合物である化合物5は上記の他の材料と比較してディスプレイの規格の純赤色に適した発光色を有する。また、図1よりこの基本骨格を有する有機化合物は最大発光波長の波形の半値幅が15nmから20nmと狭い。この基本骨格はバンドギャップが2.0eV以上2.1eV以下と狭い。また、0.7以上と高い量子収率を有する材料であり、有機発光素子の低消費電力に貢献できる赤の発光材料として優れた骨格であることがいえる。
【0063】
また、本実施形態に係る有機化合物は、置換基をさらに導入することで分子自体の結晶性をある程度抑えることが可能である。結晶性を抑えるということは、分子間の濃度消光の抑制や昇華性の向上につながる。具体的には、アルキル基の場合にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などが好ましいが、特に立体的に大きいイソプロピル基やターシャリブチル基が好ましい。アリール基の場合も、メチル基、キシリル基、メシチル基、イソプロピル基、ターシャリブチルフェニル基といった置換基を有するフェニル基のようなアリール基が好ましい。また、フッ素もこの点で好ましい。また、液体に含ませて所定位置に配置(塗布)し、溶媒をその後除去する方法に用いる際には膜性の向上にもつながるので置換基を導入することが好ましい。
【0064】
本実施形態に係る有機化合物は、骨格内に2つの5員環構造を有するため、LUMOエネルギーレベルが上記のように低い。これは化合物の酸化電位が低いことを意味する。従って、本実施形態に係る有機化合物は酸化に対して安定である。
【0065】
また本実施形態に係る有機化合物は、基本骨格が炭素のみで構成されており、窒素原子等のヘテロ原子を有していない。このことも化合物自体の酸化電位が低いことに寄与するものであり、本実施形態に係る有機化合物が酸化に対して安定であることを示す理由の一つである。
【0066】
本発明に係る有機化合物の具体例を以下に示す。しかし、本発明はこれらに限られるものではない。
【0067】
【化12】

【0068】
【化13】

【0069】
【化14】

【0070】
【化15】

【0071】
【化16】

【0072】
【化17】

【0073】
上記例示化合物のうち、A群に属するものは分子全体が炭化水素のみで構成されている。ここで炭化水素のみで構成される化合物は、一般的にLUMOエネルギーレベルが低い。従って、A群に属する化合物は酸化電位が低い、即ち、酸化に対して安定である有機化合物であることを意味する。
【0074】
従って、本実施形態に係る有機化合物のうち、炭化水素のみで構成されている有機化合物、即ち、A群に属する化合物は、分子の安定性が高いので好ましい。
【0075】
A群のうち、好ましくは一般式(1)のR1、R2、R11、R12、R13、R14、R23、R24が水素原子、アルキル基、アリール基からそれぞれ独立に選ばれる。
【0076】
アルキル基は具体的には、メチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
アリール基は具体的には、フェニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このアリール基は置換基を有してもよく、具体的にはメチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、フェニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
A群のうち、好ましくは一般式(1)のR6、R7、R18、R19が、水素原子、アルキル基、アリール基からそれぞれ独立に選ばれる。
【0079】
アルキル基は具体的には、イソプロピル基、ターシャリーブチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
アリール基は具体的には、フェニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このアリール基は置換基を有してもよく、具体的にはメチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、フェニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
一方、上記例示化合物のうち、B群に属するものは置換基がヘテロ原子を含んでいる。この場合、分子自体の酸化電位が大きく変化する。あるいは分子間相互作用が変化する。また置換基がヘテロ原子を含んでいるB群の有機化合物は、電子輸送性やホール輸送性、ホールトラップ型発光材料として有用である。特にフッ素置換されているものは分子間相互作用が抑制されるために、昇華性の向上を期待することもできる。またB群に属する有機化合物は、100%の高濃度で使用することもできる。
【0082】
次に、本実施形態の有機発光素子について説明する。
【0083】
本実施形態の有機発光素子は、一対の電極である陽極と陰極と、これら電極間に配置される有機化合物層と、を少なくとも有する。本実施形態の有機発光素子において、有機化合物層は発光層を有していれば単層であってもよいし複数層からなる積層体であってもよい。
【0084】
ここで有機化合物層が複数層からなる積層体である場合、有機化合物層は、発光層の他に、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等を有してもよい。また発光層は、単層であってもよいし、複数の層からなる積層体であってもよい。
【0085】
本実施形態の有機発光素子において、上記有機化合物層の少なくとも一層に本実施形態に係る有機化合物が含まれている。具体的には、本実施形態に係る有機化合物は、上述した発光層、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、発光層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等のいずれかに含まれている。本実施形態の係る有機化合物は、好ましくは、発光層に含まれる。
【0086】
本実施形態の有機発光素子において、本実施形態に係る有機化合物が発光層に含まれる場合、発光層は、本実施形態に係る有機化合物のみからなる層であってもよいし、本実施形態に係る有機化合物と他の化合物とからなる層であってもよい。ここで、発光層が本実施形態に係る有機化合物と他の化合物とからなる層である場合、本実施形態に係る有機化合物は、発光層のホストとして使用してもよいし、ゲストとして使用してもよい。また発光層に含まれ得るアシスト材料として使用してもよい。
【0087】
ここでホストとは、発光層を構成する化合物の中で重量比が最も大きい化合物である。またゲストとは、発光層を構成する化合物の中で重量比がホストよりも小さい化合物であって、主たる発光を担う化合物である。またアシスト材料とは、発光層を構成する化合物の中で重量比がホストよりも小さく、ゲストの発光を補助する化合物である。尚、アシスト材料は、第2のホストとも呼ばれている。
【0088】
ここで、本実施形態に係る有機化合物を発光層のゲストとして用いる場合、ゲストの濃度は、発光層全体に対して0.01重量%以上20重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上5重量%以下であることがより好ましい。
【0089】
また本実施形態に係る有機化合物を発光層のゲストとして用いる際には、本実施形態に係る有機化合物よりもLUMOが高い材料(LUMOが真空準位により近い材料)をホストとして用いることが好ましい。というのも本実施形態に係る有機化合物はLUMOが低いため、本実施形態に係る有機化合物よりもLUMOが高い材料をホストにすることで、発光層のホストに供給される電子を本実施形態に係る有機化合物がより受領することができるからである。
【0090】
本発明者らは種々の検討を行い、本実施形態に係る有機化合物を、発光層のホスト又はゲストとして、特に、発光層のゲストとして用いると、高効率で高輝度な光出力を有し、かつ極めて耐久性が高い素子が得られることを見出した。この発光層は単層でも複層でも良いし、他の発光色を有する発光材料を含むことで本実施形態の発光色である赤の発光と混色させることも可能である。複層とは発光層と別の発光層とが積層している状態を意味する。この場合、有機発光素子の発光色は赤に限られない。より具体的には白色でもよいし、中間色でもよい。白色の場合、別の発光層が赤以外の色、すなわち青色や緑色を発光する。また、製膜方法も蒸着もしくは塗布製膜で製膜を行う。この詳細については、後述する実施例で詳しく説明する。
【0091】
本実施形態に係る有機化合物は、本実施形態の有機発光素子を構成する発光層以外の有機化合物層の構成材料として使用することができる。具体的には、電子輸送層、電子注入層、ホール輸送層、ホール注入層、ホールブロッキング層等の構成材料として用いてもよい。この場合、有機発光素子の発光色は赤に限られない。より具体的には白色でもよいし、中間色でもよい。
【0092】
ここで、本実施形態に係る有機化合物以外にも、必要に応じて従来公知の低分子系あるいは高分子系化合物を用いることができる。ホール注入性化合物あるいはホール輸送性化合物、ホストとなる化合物、発光性化合物、電子注入性化合物あるいは電子輸送性化合物等は低分子あるいは高分子かは問わず使用することができる。
【0093】
以下にこれらの化合物例を挙げる。
【0094】
ホール注入性化合物、ホール輸送性化合物としては、ホール移動度が高い材料であることが好ましい。正孔注入性能あるいは正孔輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
ホストとしては、具体的には、下記表2に示される化合物が挙げられる。
【0096】
【表2】

【0097】
ただし本発明はこれらに限定されるものではない。表2で示されている化合物のその誘導体である化合物もホストとして使用することができる。またそれ以外にも、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体等)、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機亜鉛錯体、及びトリフェニルアミン誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
電子注入性化合物、電子輸送性化合物としては、ホール注入性化合物、ホール輸送性化合物のホール移動度とのバランス等を考慮した上で適宜選択される。電子注入性能あるいは電子輸送性能を有する化合物としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機アルミニウム錯体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
陽極の構成材料としては、仕事関数がなるべく大きいものがよい。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン等の金属単体あるいはこれら金属単体を複数組み合わせてなる合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物である。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーでもよい。これらの電極物質は1種類を単独で使用してもよいし複数種を併用して使用してもよい。また、陽極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。
【0100】
一方、陰極の構成材料としては、仕事関数が小さいものがよい。例えば、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体が挙げられる。あるいはこれら金属単体を複数組み合わせた合金も使用することができる。例えば、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は1種類を単独で使用してもよいし、複数種を併用して使用してもよい。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。
【0101】
本実施形態の有機発光素子において、本実施形態に係る有機化合物を含有する層及びその他の有機化合物からなる層は、以下に示す方法により形成される。一般には真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマあるいは、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により薄膜を形成する。ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0102】
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
【0103】
本発明の有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、カラーフィルタ−を用いた白色光源等の用途がある。カラーフィルタは例えば赤、緑、青の3つの色が透過するフィルターである。
【0104】
表示装置は、本実施形態の有機発光素子を表示部に有する。この表示部は複数の画素を有する。そしてこの画素は本実施形態の有機発光素子と、発光輝度を制御するためのスイッチング素子の一例であるTFT素子とを有し、この有機発光素子の陽極又は陰極とTFT素子のドレイン電極又はソース電極とが電気接続されている。ここで表示装置は、PC等の画像表示装置として用いることができる。
【0105】
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する入力部を有し、入力された画像を表示部に出力する画像入力装置でもよい。また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部として、外部から入力された画像情報を表示する画像出力機能と操作パネルとして画像への加工情報を入力する入力機能との両方を有していてもよい。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
【0106】
照明装置は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。照明装置は本実施形態に係る有機発光素子とそれに接続されるインバータ回路を有してよい。白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。他にも3000K 3500Kなどでもよい。照明装置はカラーフィルターを有してもよい。
【0107】
レーザービームプリンタや複写機等の電子写真方式の画像形成装置は本実施形態に係る有機発光素子を有した露光手段を有してよい。露光手段は感光体ドラムが静電潜像を得るために感光体を露光するための手段である。露光手段は有機発光素子を単数あるいは複数有してよい。有機発光素子を複数有する場合は、それぞれの発光と非発光を独立に制御できる制御手段を有している。複数の有機発光素子は感光体ドラムの長手方向に沿って一列に配置される。有機発光素子と感光体ドラムの間にレンズが設けられてもよい。
【0108】
次に、本実施形態の有機発光素子を使用した表示装置について図2を用いて説明する。
【0109】
図2は、本実施形態の有機発光素子と、この有機発光素子に電気接続するスイッチング素子の一例であるTFT素子と、を有する表示装置の例を示す断面模式図である。図2の表示装置20は、有機発光素子とTFT素子との組み合わせが2組図示されている。構造の詳細を以下に説明する。
【0110】
図2の表示装置20は、ガラス等の基板1とその上部にTFT素子又は有機化合物層を保護するための防湿膜2が設けられている。また符号3は金属のゲート電極3である。符号4はゲート絶縁膜4であり、5は半導体層である。
【0111】
TFT素子8は半導体層5とドレイン電極6とソース電極7とを有している。TFT素子8の上部には絶縁膜9が設けられている。コンタクトホール10を介して有機発光素子の陽極11とソース電極7とが接続されている。表示装置はこの構成に限られず、陽極又は陰極のうちいずれか一方とTFT素子ソース電極又はドレイン電極のいずれか一方とが接続されていればよい。
【0112】
尚、図2の表示装置20において、有機化合物層12は、単層あるいは多層の有機化合物層を1つの層の如く図示をしている。陰極13の上には有機発光素子の劣化を抑制するための第一の保護層14や第二の保護層15が設けられている。
【0113】
本実施形態に係る表示装置においてスイッチング素子に特に制限はなく、トランジスタやMIM素子を用いてよい。トランジスタは単結晶シリコンを用いた薄膜トランジスタ、アモルファスシリコン型のトランジスタ素子等を用いてもよい。薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
【実施例】
【0114】
以下、実施例により本発明を説明する。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
【0115】
[実施例1]例示化合物A2の合成
【0116】
【化18】

【0117】
(1)化合物E2の合成
500mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。尚、後述する化合物E1は、特開2010−254610号公報を元に合成した化合物である。
化合物E1:4.35g(10mmol)
1−ナフタレンボロン酸:1.72g(10mmol)
Pd(PPh:0.2g
トルエン:100ml
エタノール:50ml
2M―炭酸ナトリウム水溶液:100ml
次に、反応溶液を、窒素気流下で80℃に加熱しこの温度(80℃)で8時間攪拌を行った。反応終了後、エタノールを加えて結晶を析出させた後に結晶をろ別し、水、エタノール、ヘプタンで順次分散洗浄を行った。次に、得られた結晶をトルエンに加熱溶解した後、これをカラムクロマトグラフィー(トルエン/ヘプタン=1:1)にて精製後、クロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、濃緑色の化合物E2を3.95g(収率:82%)得た。
【0118】
(2)化合物E4の合成
100mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E2:3.86g(8mmol)
化合物E3:2.51g(10mmol)
亜硝酸イソアミル:1.17g(10mmol)
トルエン:50ml
次に、反応溶液を、窒素気流下で110℃に加熱しこの温度(80℃)で3時間攪拌を行った。反応終了後、水50mlで2回洗浄した。この有機層を飽和食塩水で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥した後、この溶液を濾過後、ろ液を濃縮して茶褐色液体を得た。これをカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/ヘプタン=1:4)にて精製後、クロロホルム/メタノールで再結晶を行い、黄結晶のE4を4.1g(収率:80%)得た。
【0119】
【化19】

【0120】
(3)化合物E5の合成
500ml反応容器内に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E4:3.22g(5mmol)
トリフルオロ酢酸:250ml
次に、水浴下において、下記試薬を反応容器内に入れた。
BF・OEt:18ml
次に、反応溶液を10分ほど撹拌した後、50℃に加熱して、DDQ3.4g(15mmol)を入れた。次に、反応溶液を20分攪拌した後に、20度の水浴下でフェロセン2.8g(15mmol)を入れた。5分ほど撹拌したのち、メタノール200mlを加えた。このときに生じた赤色沈殿をろ過することで、赤色の固体を得た。次に、この固体をトルエンに溶解させ、アルミナカラムクロマトグラフィー(トルエン)にて精製後、クロロベンゼン/メタノールで再結晶を2回行うことにより、赤色結晶の例示化合物E5を2.1g(収率:67%)得た。
【0121】
【化20】

【0122】
(4)化合物E7の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E5:1.28g(2mmol)
化合物E6:0.52g(2.1mmol)
Pd(PPh:0.04g
トルエン:20ml
エタノール:10ml
2M―炭酸ナトリウム水溶液:20ml
次に、反応溶液を、窒素気流下で80℃に加熱しこの温度(80℃)で8時間攪拌を行った。反応終了後、エタノールを加えて結晶を析出させた後に結晶をろ別し、水、エタノール、ヘプタンで順次分散洗浄を行った。次に、得られた結晶をトルエンに加熱溶解した後、これをカラムクロマトグラフィー(トルエン/ヘプタン=1:2)にて精製後、クロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、赤色の化合物E7を1.42g(収率:87%)得た。
【0123】
(5)例示化合物A2の合成
20mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E7:815mg(1mmol)
Pd(dba):238mg
P(Cy)(トリシクロヘキシルフォスフィン):280mg
DBU(ジアザビシクロウンデセン):0.15ml
DMF:5ml
次に、反応溶液を、窒素気流下で145℃に加熱しこの温度(145℃)で6時間攪拌を行った。反応終了後、エタノールを加えて結晶を析出させた後に結晶をろ別し、水、エタノール、ヘプタンで順次分散洗浄を行った。次に、得られた紫色結晶をトルエンに加熱溶解した後、熱時ろ過、トルエン/メタノールで再結晶を行うことにより、紫色の例示化合物A2を0.62g(収率:80%)得た。
この化合物の純度はHPLCを用いて純度99%以上であることを確認した。
例示化合物A3の1×10−5mol/Lにおけるトルエン溶液の発光スペクトルは、日立製F−4500を用いて、500nmの励起波長においてフォトルミネッセンスの測定を行った結果、590nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0124】
尚、例示化合物A2は、溶媒に対する溶解性が低く、NMRによる同定が困難であったために、MALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=776.11 計算値:C6232=776.25
【0125】
[実施例2]例示化合物A3の合成
【0126】
【化21】

【0127】
(1)化合物E8の合成
300mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E2:4.35g(10mmol)
マレンイミド:1.72g(11mmol)
ブロモベンゼン:100ml
次に、反応溶液を、窒素気流下で130℃に加熱しこの温度(130℃)で6時間攪拌を行った。反応終了後、50mlのチオ硫酸ナトリウム飽和水溶液を加えて、分液した。水層をクロロホルムで3回抽出した後、有機層を合わせて溶媒を留去した。次に、得られた結晶をクロロホルムに加熱溶解した後、これをカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/ヘプタン=2:1)にて精製後、クロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、黄色の化合物E8を4.1g(収率:75%)得た。
【0128】
(2)化合物E9の合成
500mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E8:3.84g(7mmol)
0.5M水酸化ナトリウム水溶液:3.5ml
10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液:17.5ml
メタノール:350ml
次に、反応溶液を、仕込んだのちすぐに、窒素気流下で80℃に急速に加熱しこの温度(80℃)で10分攪拌を行った。反応終了後、氷冷し、希塩酸中に投入した。水層を300mlのクロロホルムで3回抽出した後、有機層を合わせて溶媒を留去した。次に、得られた結晶をプロパノール200mlと混合し、KOH5gを加えた後に100℃で48時間撹拌を行った。冷却後、水に投入した後、塩酸を用いてpHを5から6にした。水層を300mlのクロロホルムで3回抽出した後、有機層を合わせて溶媒を留去した。次に、得られた結晶をクロロホルムに加熱溶解した後、これをカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/ヘプタン=3:1)にて精製後、クロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、黄色の化合物E9を2.3g(収率:60%)得た。
【0129】
【化22】

【0130】
(3)化合物E10の合成
100mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E9:2.69g(5mmol)
化合物E2:2.41g(5mmol)
亜硝酸イソアミル:0.70g(6mmol)
トルエン:30ml
次に、反応溶液を、窒素気流下で110℃に加熱しこの温度(80℃)で3時間攪拌を行った。反応終了後、水30mlで2回洗浄した。この有機層を飽和食塩水で洗浄し,硫酸マグネシウムで乾燥した後、この溶液を濾過後、ろ液を濃縮して茶褐色液体を得た。これをカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/ヘプタン=1:4)にて精製後、クロロホルム/メタノールで再結晶を行い、黄結晶のE10を3.9g(収率:83%)得た。
【0131】
(4)化合物A3の合成
500ml反応容器内に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E10:3.73g(4mmol)
トリフルオロ酢酸:200ml
次に、水浴下において、下記試薬を反応容器内に入れた。
BF・OEt:15ml
次に、反応溶液を10分ほど撹拌した後、氷浴下にて、DDQ2.7g(12mmol)を入れた。次に、反応溶液を20分攪拌した後に、フェロセン2.2g(12mmol)を入れた。5分ほど撹拌したのち、メタノール200mlを加えた。このときに生じた赤色沈殿をろ過することで、赤色の固体を得た。次に、この固体をトルエンに溶解させ、シリカゲルクロマトグラフィー(トルエン)にて精製後、濃縮して赤色結晶を得た。
この赤色結晶をトリフルオロ酢酸200mlに分散させた。次に、水浴下において、下記試薬を反応容器内に入れた。
BF・OEt:15ml
次に、反応溶液を10分ほど撹拌した後、50℃に加熱して、DDQ2.7g(12mmol)を入れた。次に、反応溶液を20分攪拌した後に、20度の水浴下でフェロセン2.2g(12mmol)を入れた。5分ほど撹拌したのち、メタノール200mlを加えた。このときに生じた赤色沈殿をろ過することで、赤色の固体を得た。次に、この固体をトルエンに溶解させ、シリカゲルクロマトグラフィー(トルエン/ヘプタン=1:2)にて精製後、クロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、紫色の例示化合物A3を0.37g(収率:10%)得た。
【0132】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99.5%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A3のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、598nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0133】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=928.14 計算値:C7440=928.31
【0134】
[実施例3]例示化合物A4の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E11を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A4を得た。
【0135】
【化23】

【0136】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A4のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、593nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0137】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=708.54 計算値:C5636=708.28
【0138】
[実施例4]例示化合物A6の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E12を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A6を得た。
【0139】
【化24】

【0140】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A6のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0141】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=928.02 計算値:C7440=928.31
【0142】
[実施例5]例示化合物A7の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E13を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A7を得た。
【0143】
【化25】

【0144】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A7のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0145】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1000.44 計算値:C7864=1000.50
【0146】
[実施例6]例示化合物A13の合成
【0147】
【化26】

【0148】
(1)化合物E16の合成
200mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E14:3.18g(10mmol)
化合物E15:10.3g(21mmol)
Pd(PPh:0.4g
DME:200ml
炭酸ナトリウム:8.4g
次に、反応溶液を、窒素気流下で80℃に加熱しこの温度(80℃)で8時間攪拌を行った。反応終了後、エタノールを加えて結晶を析出させた後に結晶をろ別し、ヘプタンで分散洗浄を行った。次に、得られた結晶をトルエンに加熱溶解した後、これをカラムクロマトグラフィー(トルエン/ヘプタン=2:1)にて精製後、クロロホルム/ヘプタンで再結晶を行うことにより、化合物E16を6.2g(収率:70%)得た。
【0149】
(2)化合物E17の合成
300mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E16:4.43g(5.0mmol)
ピリジン:1.58g(20.0mmol)
脱水ジクロロメタン:200mL
この反応溶液を、窒素下、撹拌しながら0℃に冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物2.2mL(13mmol)を20mLのジクロロメタンで希釈した溶液を、滴下ロートから20分間かけて滴下して反応溶液に加えた。滴下終了後、さらに0℃にて1時間攪拌を続けた後、水を加えて反応を停止させた。続いて反応溶液にクロロホルムを加えた後、橙色の不溶物をろ過により除去し、ろ液を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた後に濃縮し粗生成物を得た。次にこの粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン/トルエン=1/1)で精製し、化合物E16を3.0g得た(収率52%)。
【0150】
【化27】

【0151】
(3)例示化合物A13の合成
20mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E17:1.15g(1.0mmol)
Pd(dba):238mg
P(Cy)(トリシクロヘキシルフォスフィン):280mg
DBU(ジアザビシクロウンデセン):0.15ml
DMF:5ml
オルトギ酸トリエチル:0.1ml
炭酸ナトリウム:1g
次に、反応溶液を、窒素気流下で145℃に加熱しこの温度(145℃)で6時間攪拌を行った。反応終了後、エタノールを加えて結晶を析出させた後に結晶をろ別し、水、エタノール、ヘプタンで順次分散洗浄を行った。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン/トルエン=1/1)で精製し、トルエン/メタノールで再結晶を行うことにより、紫色の例示化合物A13を0.18g(収率:21%)得た。
【0152】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=848.03 計算値:C6656=848.44
【0153】
[実施例7]例示化合物A16の合成
実施例6(1)において、化合物E15に代えて下記に示す化合物E18を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A16を得た。
【0154】
【化28】

【0155】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A16のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0156】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=708.65 計算値:C5636=708.28
【0157】
[実施例8]例示化合物A18の合成
実施例6(1)において、化合物E15に代えて下記に示す化合物E19を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A18を得た。
【0158】
【化29】

【0159】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A18のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0160】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=832.55 計算値:C6640=832.31
【0161】
[実施例9]例示化合物A19の合成
実施例1(4)において、化合物E5に代えて下記に示す化合物E20を、E6に代えて下記に示す化合物E21を用いて、化合物E22を合成した。
【0162】
【化30】

【0163】
以下の合成をさらに行う。
【0164】
(1)化合物E23の合成
500mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E22:10.6g(20mmol)
臭素:3.14g(20mmol)
塩化メチレン:300ml
次に、反応溶液を、窒素気流下で室温で1時間攪拌を行った。反応終了後、エタノールを加えて結晶を析出させた後に結晶をろ別し、ヘプタンで分散洗浄を行い、ろ取することにより化合物E23を15.4g(収率:89%)得た。
【0165】
(2)化合物E25の合成
500mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ
化合物E23:6.84g(10mmol)
化合物E24:5.03g(21mmol)
Pd(PPh:0.4g
トルエン:100ml
エタノール:50ml
2M―炭酸セシウム水溶液:100ml
次に、反応溶液を、窒素気流下で80℃に加熱しこの温度(80℃)で8時間攪拌を行った。反応終了後、エタノールを加えて結晶を析出させた後に結晶をろ別し、水、エタノール、ヘプタンで順次分散洗浄を行った。次に、得られた結晶をトルエンに加熱溶解した後、これをカラムクロマトグラフィー(トルエン/ヘプタン=1:1)にて精製後、トルエン/メタノールで再結晶を行うことにより、黄色の化合物E25を7.1g(収率:71%)得た。
【0166】
(3)化合物A19の合成
500ml反応容器内に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E25:5.02g(5mmol)
トリフルオロ酢酸:220ml
次に、水浴下において、下記試薬を反応容器内に入れた。
BF・OEt:18ml
次に、反応溶液を10分ほど撹拌した後、氷浴下にて、DDQ3.4g(15mmol)を入れた。次に、反応溶液を20分攪拌した後に、フェロセン2.8g(15mmol)を入れた。5分ほど撹拌したのち、メタノール200mlを加えた。このときに生じた赤色沈殿をろ過することで、赤色の固体を得た。次に、この固体をトルエンに溶解させ、シリカゲルクロマトグラフィー(トルエン)にて精製後、濃縮して赤色結晶を得た。
この赤色結晶をトリフルオロ酢酸200mlに分散させた。次に、水浴下において、下記試薬を反応容器内に入れた。
BF・OEt:18ml
次に、反応溶液を10分ほど撹拌した後、50℃に加熱して、DDQ3.4g(15mmol)を入れた。次に、反応溶液を20分攪拌した後に、20度の水浴下でフェロセン2.8g(15mmol)を入れた。5分ほど撹拌したのち、メタノール200mlを加えた。このときに生じた赤色沈殿をろ過することで、赤色の固体を得た。次に、この固体をトルエンに溶解させ、シリカゲルクロマトグラフィー(トルエン/ヘプタン=1:2)にて精製後、クロロホルム/メタノールで再結晶を行うことにより、紫色の例示化合物A19を0.6g(収率:12%)得た。
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A19のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、594nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0167】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1000.03 計算値:C7864=1000.50
【0168】
[実施例10]例示化合物A21合成
実施例9(1)において、化合物E24に代えて下記に示す化合物E26を使用する以外は、実施例9と同様の方法により例示化合物A21を得た。
【0169】
【化31】

【0170】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A21のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、590nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0171】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1155.78 計算値:C9075=1155.59
【0172】
[実施例11]例示化合物A27の合成
実施例1(1)において、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E27を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E28を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A27を得た。
【0173】
【化32】

【0174】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A27のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0175】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1020.87 計算値:C8060=1020.47
【0176】
[実施例12]例示化合物A30の合成
実施例1(1)において、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E29を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E30を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A30を得た。
【0177】
【化33】

【0178】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A30のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0179】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=992.11 計算値:C7856=992.44
【0180】
[実施例13]例示化合物A31の合成
実施例1(1)において、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E31を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E32を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A31を得た。
【0181】
【化34】

【0182】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A31のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0183】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1048.91 計算値:C8264=1048.50
【0184】
[実施例14]例示化合物A33の合成
実施例9(1)において、化合物E20に代えて下記に示す化合物E33を使用する以外は、実施例9と同様の方法により例示化合物A33を得た。
【0185】
【化35】

【0186】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A33のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、593nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0187】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1224.22 計算値:C9496=1224.75
【0188】
[実施例15]例示化合物A43の合成
実施例9(1)において、化合物E20に代えて下記に示す化合物E34を、(2)において化合物E24に代えて下記に示す化合物E35を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A43を得た。
【0189】
【化36】

【0190】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A43のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0191】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=792.88 計算値:C6248=792.38
【0192】
[実施例16]例示化合物A46の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E36を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E37を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E38を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A46を得た。
【0193】
【化37】

【0194】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A46のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、593nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0195】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=862.22 計算値:C6758=862.45
【0196】
[実施例17]例示化合物A47の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E39を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E40を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E41を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A47を得た。
【0197】
【化38】

【0198】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A47のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0199】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=834.88 計算値:C6554=834.42
【0200】
[実施例18]例示化合物A50の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E42を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E43を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E44を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A50を得た。
【0201】
【化39】

【0202】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A50のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0203】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=896.02 計算値:C7056=896.44
【0204】
[実施例19]例示化合物A52の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E45を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E46を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E47を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A52を得た。
【0205】
【化40】

【0206】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A52のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0207】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1008.26 計算値:C7872=1008.56
【0208】
[実施例20]例示化合物A55の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E48を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E49を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E50を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A55を得た。
【0209】
【化41】

【0210】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A55のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0211】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=952.18 計算値:C7464=952.50
【0212】
[実施例21]例示化合物A56の合成
実施例2(1)において、化合物E2に代えて下記に示す化合物E51を使用する以外は、実施例2と同様の方法により例示化合物A56を得た。
【0213】
【化42】

【0214】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A56のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、599nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0215】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1152.23 計算値:C9072=1152.56
【0216】
[実施例22]例示化合物A70の合成
実施例2(1)において、化合物E2に代えて下記に示す化合物E52を使用する以外は、実施例2と同様の方法により例示化合物A70を得た。
【0217】
【化43】

【0218】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A70のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、600nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0219】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=960.55 計算値:C7472=960.56
【0220】
[実施例23]例示化合物B6の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E53を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E54を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E55を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物B6を得た。
【0221】
【化44】

【0222】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物B6のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、593nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0223】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1002.56 計算値:C7360=1002.38
【0224】
[実施例24]例示化合物B7の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E56を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E57を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E58を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物B7を得た。
【0225】
【化45】

【0226】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物B7のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0227】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1064.33 計算値:C7852=1064.40
【0228】
[実施例25]例示化合物B9の合成
実施例6(1)において、化合物E15に代えて下記に示す化合物E59を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物B9を得た。
【0229】
【化46】

【0230】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物B9のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、594nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0231】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=848.88 計算値:C6228=848.88
【0232】
[実施例26]例示化合物B12の合成
実施例9(1)において、化合物E24に代えて下記に示す化合物E60を使用する以外は、実施例9と同様の方法により例示化合物B12を得た。
【0233】
【化47】

【0234】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
また実施例1と同様の方法により、例示化合物B12のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、602nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0235】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1106.65 計算値:C8646=1106.37
【0236】
[実施例27]
本実施例では、基板上に、陽極、ホール輸送層、電子ブロッキング層、発光層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、陰極が順次形成された有機発光素子を作製した。以下に、本実施例で使用した材料の一部を示す。
【0237】
【化48】

【0238】
まずガラス基板上に、ITOを成膜し、所望のパターニング加工を施すことによりITO電極(陽極)を形成した。このときITO電極の膜厚を100nmとした。このようにITO電極が形成された基板をITO基板として、以下の工程で使用した。
【0239】
上記ITO基板上に、下記表3に示す有機化合物層及び電極層を連続成膜した。尚、このとき対向する電極(金属電極層、陰極)の電極面積が3mmとなるようにした。
【0240】
【表3】

【0241】
尚、本実施例において、G−3及びG−4は、それぞれ表2に示されるH6、H22である。
得られた素子について、素子の特性を測定・評価した。具体的には、電流電圧特性をヒューレッドパッカード社製・微小電流計4140Bで測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7で測定した。測定の結果を表4に示す。
【0242】
[実施例28乃至39]
実施例27において、G−3、G−4及びゲストを、表4に示される化合物に適宜変更する以外は、実施例27と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例27と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表4に示す。尚、表4において、G−3とG−4は同じ材料の場合はホストとアシストが同じ材料であり、また表2に示されるホストである。
【0243】
【表4】

【0244】
[実施例40]
本実施例では、基板上に、陽極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極が順次形成された有機発光素子を作製した。尚、本実施例で作製される有機発光素子は共振構造を有している。以下に、本実施例で使用した材料の一部を示す。
【0245】
【化49】

【0246】
まずスパッタリング法により、ガラス基板(支持体)上に、アルミニウム合金(AlNd)を成膜し反射性陽極を形成した。このとき反射性陽極の膜厚を100nmとした。次に、スパッタリング法により、反射性陽極上にITOを成膜し透明性陽極を形成した。このとき透明性陽極の膜厚を80nmとした。次に、この陽極の周辺にアクリル製の素子分離膜を膜厚1.5μmで形成した後、所望のパターニング成形を行い、半径3mmの開口部を設けた。次に、陽極が形成されている基板を、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄した。次に、IPAで煮沸洗浄してから乾燥させた。次に、この基板表面に対してUV/オゾン洗浄を施した。
【0247】
次に、1×10−5Paの真空チャンバー内における抵抗加熱による真空蒸着を行って、上記ITO基板上に、下記表5に示す有機化合物層を連続成膜した。
【0248】
【表5】

【0249】
尚、本実施例において、G−13及びG−14は、それぞれ表2に示されるH23、H23である。
【0250】
次に、スパッタリング法により、電子注入層上に、ITOを成膜して陰極を形成した。このとき陰極の膜厚を30nmとした。最後に、窒素雰囲気下において封止を行った。
以上により、有機発光素子を作製した。
得られた素子について、素子の特性を測定・評価した。具体的には、電流電圧特性をヒューレッドパッカード社製・微小電流計4140Bで測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7で測定した。測定の結果を表6に示す。
【0251】
[実施例41乃至47]
実施例40において、G−13、G−14及びゲストを、表6に示される化合物に適宜変更する以外は、実施例42と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例40と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表6に示す。尚、表6において、G−13とG−14は同じ材料の場合はホストとアシストが同じ材料であり、また表2に示されるホストである。
【0252】
【表6】

【0253】
[実施例48]
本実施例では、基板上に、陽極、ホール輸送層、第1発光層、第2発光層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、陰極が順次形成された第一発光層が赤色を発光し、第2発光層が発する光と混色することで白色発光する有機発光素子を作製した。尚、本実施例の有機発光素子は発光層が複数ある態様である。以下に、本実施例で使用した材料の一部を示す。
【0254】
【化50】

【0255】
まずガラス基板上に、ITOを成膜し、所望のパターニング加工を施すことによりITO電極(陽極)を形成した。このときITO電極の膜厚を100nmとした。このようにITO電極が形成された基板をITO基板として、以下の工程で使用した。
【0256】
次に、1×10−5Paの真空チャンバー内における抵抗加熱による真空蒸着を行って、上記ITO基板上に、下記表に示す有機化合物層及び電極層を連続成膜した。尚、このとき対向する電極(金属電極層、陰極)の電極面積が3mmとなるようにした。
【0257】
【表7】

【0258】
尚、本実施例において、G−23、及びG−25は、それぞれ表2に示されるH11、H22、H11である。
【0259】
得られた素子について、素子の特性を測定・評価した。具体的には、電流電圧特性をヒューレッドパッカード社製・微小電流計4140Bで測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7で測定した。測定の結果を表8に示す。
【0260】
[実施例49乃至51]
実施例48において、G−22、G−25及びゲストを、表8に示される化合物に適宜変更する以外は、実施例48と同様の方法により混色して白色発光する有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例48と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表8示す。尚、表8において使用されているG−22、G−25は表2に示されるホストである。
【0261】
【表8】

【0262】
以上実施例を挙げて説明したように、本発明に係る有機化合物は発光素子にした場合、溶液の波長に対して約10nm長波長化することによって、純赤色発光に適した色度を示すため赤色発光材料として好ましい。発光効率は発光材料に本発明の化合物のみ用いた場合では最大9.5cd/Aと高い値を示す。
【0263】
[実施例52]例示化合物A72の合成
実施例1(1)において、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E61を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E62を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A72を得た。
【0264】
【化51】

【0265】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度98%以上であることを確認した。
【0266】
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A72のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0267】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=984.56 計算値:C7848=984.38
【0268】
[実施例53]例示化合物A76の合成
実施例1(1)において、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E63を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E64を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A76を得た。
【0269】
【化52】

【0270】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度98%以上であることを確認した。
【0271】
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A76のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、591nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0272】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1020.88 計算値:C8060=1020.47
【0273】
[実施例54]例示化合物A77の合成
実施例1(1)において、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E65を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E66を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A77を得た。
【0274】
【化53】

【0275】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度98%以上であることを確認した。
【0276】
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A77のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、591nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0277】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1048.68 計算値:C8264=1048.50
【0278】
[実施例55]例示化合物A79の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E67を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E68を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E69を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A79を得た。
【0279】
【化54】

【0280】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度98%以上であることを確認した。
【0281】
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A79のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0282】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1125.1 計算値:C8868=1124.53
【0283】
[実施例56]例示化合物A80の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E70を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E71を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E72を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A80を得た。
【0284】
【化55】

【0285】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度98%以上であることを確認した。
【0286】
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A80のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0287】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1068.60 計算値:C8460=1068.47
【0288】
[実施例57]例示化合物A81の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E73を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E74を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E75を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A81を得た。
【0289】
【化56】

【0290】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
【0291】
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A81のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、593nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0292】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1012.45 計算値:C8052=1012.41
【0293】
[実施例58]例示化合物A82の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E76を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E77を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E78を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A82を得た。
【0294】
【化57】

【0295】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度99%以上であることを確認した。
【0296】
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A82のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0297】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1076.88 計算値:C8468=1076.53
【0298】
[実施例59]例示化合物A84の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E79を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E80を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E81を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A84を得た。
【0299】
【化58】

【0300】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度98%以上であることを確認した。
【0301】
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A84のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0302】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1068.67 計算値:C8460=1068.47
【0303】
[実施例60]例示化合物A89の合成
実施例1(1)において、化合物E1に代えて下記に示す化合物E82を、1−ナフタレンボロン酸に代えて下記に示す化合物E83を、(4)において、化合物E6に代えて下記に示す化合物E84を使用する以外は、実施例1と同様の方法により例示化合物A89を得た。
【0304】
【化59】

【0305】
HPLCを用いて得られた化合物の純度を評価したところ、純度98%以上であることを確認した。
【0306】
また実施例1と同様の方法により、例示化合物A89のトルエン溶液(濃度:1×10−5mol/L)における発光スペクトルの測定を行った結果、592nmに最大強度を有するスペクトルを得た。
【0307】
さらにMALDI−TOF−MS(Bruker社製Autoflex LRF)を用いて質量分析を行った。
[MALDI−TOF−MS]
実測値:m/z=1272.59 計算値:C9896=1272.75
【0308】
[実施例61乃至69]
実施例29において、G−3、G−4及びゲストを、表9に示される化合物に適宜変更する以外は、実施例29と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例29と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表9に示す。尚、表10において、G−3とG−4は同じ材料の場合はホストとアシストが同じ材料であり、また表3に示されるホストである。
【0309】
【表9】

【産業上の利用可能性】
【0310】
本発明に係る有機化合物は、高い量子収率を有し、赤色発光に適した発光を有する化合物である。このため本発明に係る有機化合物を有機発光素子の構成材料として用いることで、良好な発光特性を有する有機発光素子を得ることができる。
【符号の説明】
【0311】
8 TFT素子
11 陽極
12 有機化合物層
13 陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)に示されることを特徴とする有機化合物。
【化1】


(1)
(式(1)において、R乃至R24は、水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアミノ基、置換あるいは無置換のアリール基及び、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、シリル基及びシアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。)
【請求項2】
前記R乃至R24が、水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基及び置換あるいは無置換のアリール基からそれぞれ独立に選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の有機化合物。
【請求項3】
陽極と陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に配置される有機化合物層と、を有する有機発光素子において、
前記有機化合物層の少なくとも一層に、請求項1乃至2のいずれか一項に記載の有機化合物が含まれることを特徴とする有機発光素子。
【請求項4】
前記有機化合物層の少なくとも一層が発光層であることを特徴とする、請求項3に記載の有機発光素子。
【請求項5】
赤色発光することを特徴とする、請求項4に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記発光層と積層して配置される別の発光層を更に有し、前記別の発光層は前記発光層が発する発光色とは異なる色を発光することを特徴とする請求項5に記載の有機発光素子。
【請求項7】
白色発光することを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項8】
複数の画素を有し、
前記複数の画素が、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子と電気接続するTFT素子と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
複数の画素を有し、
前記複数の画素が、請求項6乃至7のいずれか一項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子と電気接続するTFT素子と、カラーフィルターを有することを特徴とする表示装置。
【請求項10】
画像情報を入力するための入力部と、画像を出力するための表示部と、を有し、
前記表示部が、請求項8乃至9のいずれか一項に記載の表示装置を有することを特徴とする、画像表示装置。
【請求項11】
請求項3乃至7のいずれか一項に記載の有機発光素子と前記有機発光素子に接続するインバータ回路とを有する照明装置。
【請求項12】
カラーフィルターを有することを特徴とする請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の有機発光素子を複数有し、前記有機発光素子が発する光により静電潜像を得る感光体ドラムを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−49663(P2013−49663A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−124503(P2012−124503)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】