説明

有機化合物

サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸を用いて塩を形成しているプレウロムチリン。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、例えば、抗生物質といった抗菌薬として有用な、例えば、プレウロムチリン(pleuromutilin)のようなムチリンなどの有機化合物に関する。
【0002】
さて、我々は、驚くような活性を示すプレウロムチリンの塩を見出している。
【0003】
1つの局面において、本発明は、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸(benzeneacetic acid)、好ましくはサリチル酸との塩の形態としてのプレウロムチリンを提供する。
【0004】
本明細書において用いられる「プレウロムチリン」は、酸付加塩、例えば、酸を加えることによって酸付加塩を形成する能力のある機能性化学基を含むプレウロムチリンのような、酸とともに塩を形成する能力を有するプレウロムチリンである。
【0005】
2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸は、ジクロフェナク(diclofenac)としてよく知られている。
【0006】
別の局面において、本発明は、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している、酸付加塩を形成する能力を有するプレウロムチリンを提供する。
【0007】
また、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸(benzeneacetic acid)を用いて塩を形成している、プレウロムチリンが、本明細書において「本発明の(本発明に係る)化合物」と表される。
【0008】
本発明の化合物におけるプレウロムチリンは、例えば、ジアステレオ異性体およびその混合物を含んでいる、異性体およびその混合物の形態において存在してもよい。同位体混合物は、必要に応じて、例えば、従来の方法に従って分離して、純粋な異性体を得てもよい。本発明は、以下に引用する特許文献に記載されているように、いかなる異性体の形態、およびいかなる異性体混合物としての本発明の化合物におけるプレウロムチリンを包含する。当該特許文献は、プレウロムチリンの異性体の形態を引用することによって、本明細書に取り込まれる。ムチリン環における立体配置は、天然に生成されるムチリンにおける立体配置と同じであることが好ましい。
【0009】
プレウロムチリン、例えば、下記化学式
【0010】
【化1】

の化合物は、例えば、basidomycetes Pleurotus mutilusおよびP. passeckerianusによって生成される(例えば、Merck Index, 12版 item 7694を参照すればよい)、天然に存在する抗生物質である。プレウロムチリンの主環構造を有し、例えば、抗菌活性を有している多くのさらなるプレウロムチリンが知られている。
【0011】
本発明にとっての化合物におけるプレウロムチリンは、以下の化学式
【0012】
【化2】

に示されるような基本的な構造要素を有しているプレウロムチリンを包含する。
【0013】
本願において以下の式
【0014】
【化3】

の付番方式が用いられる。
【0015】
19位と20位との間(および1位と2位との間)の破線は、結合または非結合である。化学式Aまたは化学式PLEUにおいて、環系の内の4位、7位および/または8位における水素原子は、重水素に置き換えられていてもよく、かつ1位と2位との間の破線が非結合(1位と2位との間が単結合)であるならば、当該環系は、例えば、ハロゲン、重水素または水酸基によって、1位および/または2位において置換されていてもよい。14位における−O−基は、好ましくは置換されたカルボニル基によって、さらに置換されている。
【0016】
本発明の化合物におけるプレウロムチリンの例は、例えば、GB1312148、GB1410505、DE3405632、US3987194、US4278674、US4130709、EP0013768、EP0153277(例えば、Valnemulin(Econor(登録商標))を含んでいる)、US516526、WO9322288、WO9725309、WO9805659、WO9821855、WO9921855、WO0007974、WO0027790、WO0037074、WO0073287、WO0007974、WO0114310、WO0109095、WO0114310、WO0174788、WO0204414、WO0212199、WO0222580、WO0230929、WO0238528、WO0037074およびWO2004011431において請求されている化合物のような、開示されている化合物を包含する。
【0017】
本発明の化合物において好ましいプレウロムチリンは、例えば、WO0109095において開示されているような化合物(例えば、以下の化学式
【0018】
【化4】

の化合物)を含む。当該化学式において、Rは水素またはアルキルであり;Rは水素または以下の化学式
【0019】
【化5】

の基であり(ここで、XはS、OまたはNR10であり(ここで、R10はHまたはアルキルまたはN(R’10)(ここで、R’10は適当なアニオンの存在下におけるアルキルである));Rはアミノ、アリール、ヘテロシクリル(heterocyclyl)またはメルカプトであるか、Xが酸素であるとき、Rは付加的に水素であり;R2はアリレン(例えば、フェニレンまたはヘテロシクレン(heterocyclene))であり;Rは水素またはアルキルであり;Rは水素またはアルキルであり;R、R’、R、RおよびRは互いに独立して水素または重水素である;あるいは
RおよびRは結合している窒素原子とともに非芳香族のヘテロシクレンを形成し、かつRは以下の化学式
【0020】
【化6】

の基(XおよびRは、上記において定義した通りである)である。WO0109095に開示されている化合物は、例えば、以下の化学式
【0021】
【化7】

(ここで、R1sは水素または以下の化学式
【0022】
【化8】

の基(ここで、R6sは水素または重水素である)であり;R2sは水素、メチルまたはtert−ブチルであり、R7sは水素またはメチルであり、R3s、R4sおよびR5sは水素または重水素である)の化合物である。WO0109095に開示されている化合物は、以下の化学式
【0023】
【化9】

の化合物または以下の化学式
【0024】
【化10】

の化合物(例えば、以下の化学式
【0025】
【化11】

の化合物を含む)のような化合物である。
【0026】
本発明の化合物において他の好ましいプレウロムチリンは、例えば、WO0204414に開示されているような化合物を含む。WO0204414に開示されているような化合物としては、以下の化学式
【0027】
【化12】

の化合物のような、例えば、14−O−[(シクロアルキル-スルファニル)アセチル]ムチリン類;14−O−[(シクロアルキル-アルキル-スルファニル)アセチル]ムチリン類;14−O−[(シクロアルコキシ)アセチル]ムチリン類;または14−O−[(シクロアルキル-アルコキシ)アセチル]ムチリン類から選択される化合物である。当該化学式において、Rは水素であり;Rは水素または以下の化学式
【0028】
【化13】

【0029】
【化14】

の化合物であり、WO0204414に開示されている化合物は、例えば、以下の化学式
【0030】
【化15】

の化合物(例えば、以下の化学式
【0031】
【化16】

の化合物を含む(ここで、R1pは水素またはアミノ酸残基である))のような化合物である。
【0032】
本発明の化合物において他の好ましいプレウロムチリンは、例えば、WO0222580に開示されているような、以下の化学式
【0033】
【化17】

の化合物を含む。当該化学式において、RおよびRは結合している窒素原子とともにピロリジニルまたはピペリジニルを形成し;Rは以下の化学式
【0034】
【化18】

の基であり;RおよびR’は水素、重水素またはハロゲンであり;Rは水素またはアルキルであり;Rは水素またはアルキルであり;R、RおよびRは水素または重水素であり;Rはアミノ、アルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはメルカプトであるか、Xが酸素であるとき、Rは付加的に水素であり;R10は水素またはアルキルであり、R’10はアルキルであり、適当なアニオンの存在下においてXは硫黄、酸素、NR10またはN(R’10であり、Yは硫黄または酸素であり、mは1または0である(ただし、RおよびR2が結合している窒素原子とともにピペリジニルを形成しているとき、mは0であり、YはSであり、かつYは上述のピペリジン環の3位に結合しており、Yの残基を介してピペリジン環に結合されている化学式Iの基がSの立体配置またはRの立体配置のいずれか一方に、好ましくはSの立体配置にある)。WO0222580に開示されているような化合物の内、好ましくは以下の化学式
【0035】
【化19】

の化合物(ここで、R3p、R’3p、R6p、R7pおよびR8pは、指定する番号と対応して、化学式I−WO0222580の化合物におけるR、R’、R、RおよびRの定義と同様であり;R5pは水素または1つ以上の置換体であり、硫黄原子を介してピペリジン環に結合された基が上記ピペリジン環の3位にあるとき、R5pは水素であり、このとき硫黄原子に結合した基はSの立体配置またはRの立体配置のいずれか一方にある)であり、かつ以下の化学式
【0036】
【化20】

の化合物(例えば、以下の化学式
【0037】
【化21】

の化合物(ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンに結合した基は、Sの立体配置またはRの立体配置のいずれか一方にある)を含む)のような化合物である。
【0038】
本発明の化合物におけるプレウロムチリンにおいて、好ましい置換体としては、1つに決められた置換体のそれぞれが、例えば、互いに独立して決められていてもよい。
【0039】
他の局面において、本発明は、化学式Ippp−WO0204414および化学式Ipppp−WO0204414の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンに結合した基が、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成しており、Sの立体配置またはRの立体配置のいずれか一方にある)のような、化学式Ipp−WO0204414の化合物を提供する。
【0040】
他の局面において、本発明は、硫黄原子を介してプレウロムチリンに結合した基が、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している、Sの立体配置またはRの立体配置のいずれか一方にある、化学式Iss−WO0109095の化合物を提供する。
【0041】
他の局面において、本発明は、化学式Issss−WO0109095の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンに結合した基が、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成しており、Sの立体配置またはRの立体配置のいずれか一方にある)のような、化学式Isss−WO0109095の化合物を提供する。
【0042】
他の局面において、本発明は、化学式Ippp−WO0222580および化学式Ipppp−WO0222580の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンに結合した基が、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成しており、Sの立体配置またはRの立体配置のいずれか一方にある)のような、化学式Ipp−WO0222580の化合物を提供する。
【0043】
他の局面において、本発明は、硫黄原子を介してプレウロムチリンに結合した基が、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成しており、Sの立体配置またはRの立体配置のいずれか一方にある、化合物14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンを提供する。
【0044】
本発明の化合物は、例えば、従来の方法に従って、従来の方法と同様に、適切に調製されてもよい。プレウロムチリンは適切な溶媒、好ましくは有機溶媒(例えば、CHClのようなハロゲン化炭化水素、メタノールまたはエタノールのようなアルコール、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテルまたはテトラヒドロフランのようなエーテル、アセトンのようなケトン)に溶解または懸濁されてもよい。そして、得られた懸濁液または溶液は、例えば、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸をそのまま用いて、あるいはプレウロムチリンに使用された量と少なくとも同等の量の溶解物または懸濁物を用いて処理されてもよい。得られた混合物から、本発明の化合物が必要に応じて単離されてもよい。例えば、得られた混合物から固体が、例えば、ろ過または遠心分離によって単離された結晶性の形態として、沈殿してもよい。また、例えば、得られた混合物から溶媒が蒸発して、蒸発残渣物質が回収されてもよい。また、例えば、得られた混合物が凍結乾燥されてもよい。得られた本発明の化合物は、例えば、単離の前または後に、例えば、抽出および/またはクロマトグラフィーによって、例えば、従来の方法に従って、従来の方法と同様に、必要に応じて精製されてもよい。
【0045】
本発明の化合物は、薬理活性を示すので、結核またはヘリコバクター感染の処置において、抗菌薬または抗生剤のような医薬品として有用である。このような活性は、例えば、対応する引用文献に記載されている。
【0046】
我々は、本発明の化合物が、座瘡の処置に特に有用であることを見出した。例えば、最小阻止濃度(MIC)の測定がウィルキンスチャルグレン寒天培地−1上における寒天培地希釈技術によって、認可された臨床研究所規格委員会(NCCLS)指針1)に従って実施される、商業化が可能なインビトロ座瘡検定。嫌気性細菌の抗菌物質感受性試験(1993年(NCCLS文献 M11−A3 第3版 13巻 番号26))において、サリチル酸を用いて塩を形成している14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンは、塩酸塩を形成している14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンよりも顕著に良好な活性を示す。
【0047】
他の局面において、本発明は、座瘡を処置する薬剤の調製に使用する、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化合物14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンのような、
化学式Ippp−WO0204414または化学式Ipppp−WO0204414の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンと結合する基がSの立体配置またはRの立体配置のいずれかにある)ような、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Ipp−WO0204414、
サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Iss−WO0109095、
化学式Isss−WO0109095の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンと結合する基がSの立体配置またはRの立体配置のいずれかにある)ような、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Isss−WO0109095、あるいは
化学式Ippp−WO0222580または化学式Ipppp−WO0222580の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンと結合する基がSの立体配置またはRの立体配置のいずれかにある)ような、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Ipp−WO0222580
の化合物を提供する。
【0048】
他の局面において、本発明は、処置を必要とする対象に対して、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化合物14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンのような、
化学式Ippp−WO0204414または化学式Ipppp−WO0204414の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンと結合する基がSの立体配置またはRの立体配置のいずれかにある)ような、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Ipp−WO0204414、
サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Iss−WO0109095、
化学式Isss−WO0109095の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンと結合する基がSの立体配置またはRの立体配置のいずれかにある)ような、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Isss−WO0109095、あるいは
化学式Ippp−WO0222580または化学式Ipppp−WO0222580の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンと結合する基がSの立体配置またはRの立体配置のいずれかにある)ような、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Ipp−WO0222580
の化合物の有効量を投与することを包含する座瘡の処置方法を提供する。
【0049】
他の局面において、本発明は、少なくとも1つの薬学的な賦形剤(例えば、適切な担体および/または希釈剤(例えば、充填剤、結合剤、崩壊剤、流量調整剤、潤滑剤、糖および甘味料、香料、防腐剤、安定剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶剤、あるいは浸透圧を調節する塩および/または緩衝液を含む))と共同して、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化合物14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンのような、
化学式Ippp−WO0204414または化学式Ipppp−WO0204414の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンと結合する基がSの立体配置またはRの立体配置のいずれかにある)ような、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Ipp−WO0204414、
サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Iss−WO0109095、
化学式Isss−WO0109095の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンと結合する基がSの立体配置またはRの立体配置のいずれかにある)ような、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Isss−WO0109095、あるいは
化学式Ippp−WO0222580または化学式Ipppp−WO0222580の化合物(例えば、ここで、硫黄原子を介してプレウロムチリンと結合する基がSの立体配置またはRの立体配置のいずれかにある)ような、サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している化学式Ipp−WO0222580
の化合物を含有する座瘡処置用の薬学的組成物を提供する。
【0050】
薬学的な利用にとって、本発明の化合物は、1つ以上の、好ましくは1つの本発明の化合物(例えば、2つ以上の本発明の化合物の組み合わせ)を含む。
【0051】
処置とは、処置と予防とを含む。
【0052】
処置に関する適切な投与量は、例えば、採用された本発明の化合物の化学的性質および薬物動態のデータ、個々の宿主、投与の形態、ならびに処置される状態の性質および重症度に依存して、もちろん変化する。しかし、通常、例えば、ヒトのような大型の哺乳類において良好な結果を出すためには、望ましい1日の投与量は、例えば、1日に4回に分けた投与量において都合よく投与される、本発明の化合物の約0.01g〜約1.0gの範囲である。本発明の化合物は、例えば、被膜付きのまたは被膜なしの錠剤、カプセル剤、(注入可能な)溶液、固溶体、懸濁剤、分散剤、固体の分散剤(例えば、アンプルまたはバイアル)の形態において、クリーム、ゲル、糊状剤、吸入粉末、発泡剤、チンキ剤、リップスティック、点滴薬、噴霧剤、あるいは座薬の形態において、例えば、経腸的な投与(例えば、経鼻的、経頬的、経直腸、経口的な投与を含む);腸管外の投与(例えば、血管内、筋肉内、皮下の投与を含む);または局所的な投与(例えば、上皮、鼻腔内、気管内の投与を含む)のように、あらゆる便利な経路によって投与される。
【0053】
本発明の化合物は、本発明を単独に、または1つ以上の薬学的に活性な薬剤を組み合わせて、薬物処置に使用されてもよい。上述の薬学的に活性な薬剤は、座瘡の処置に有用な薬剤を含む、炎症(例えば、皮膚炎を含む)の処置に適した薬剤を包含する。
【0054】
他の局面において、本発明は、皮膚炎(例えば、座瘡)の処置に適した他の薬剤をさらに含有する、本発明に係る薬学的組成物を提供する。
【0055】
組み合わせは、2つ以上の薬学的に活性な薬剤が同じ調合物の中にある、固定した結合;別々の調合物の中にある2つ以上の薬学的に活性な薬剤が同じ包装に入っている、例えば、同時投与を指示する指示書を備えるキット;および薬学的に活性な薬剤が別々に包装されているが、同時または連続の投与が示された指示書のある、制限のない組み合わせを包含する。
【0056】
上述の組成物は、例えば、混合、粒状化、被膜化、溶解または凍結乾燥手法によって、例えば、従来の方法に従って製造されてもよい。単位投与量の形態は、例えば、約1mg〜500mgのように、約0.5mg〜約1000mgを含んでいる。
【0057】
以下の実施例において、温度のすべては、摂氏温度(℃)であり、補正されていない。
【0058】
〔実施例1〕
(サリチル酸を用いて塩を形成している14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリン)
1.38g(10mmol)のサリチル酸が、30mlのCHClに5.76g(10mmol)の14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンを入れて、かき混ぜて冷やした(5℃)溶液に加えられる。得られた混合物が室温で15分間、かき混ぜられて、混合物の得られた溶媒が減圧条件において乾燥して蒸発させられる。得られた非晶質の物質が減圧条件においてさらに5時間、乾燥される。サリチル酸を用いて塩を形成している14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンが得られる。
HNMR (DMSO−d, 〜1:1の安定な回転異性体の混合物):
7.7−8.3(b,3H,NH), 6.6, 7.1, 7.6 (3 x m, 4H, サリチル酸塩), 6.15(2xdd, 1H,H19,J=17.6Hz,J=11.2Hz), 5.6 (2xd,1H,H14,J=8.2Hz), 5.05 (m, 2H,H20), 4.5(b,1H,11−OH), 4.08 (dd, 0.5H, H2−ピペリジン, J=13.7Hz,J=3.3Hz), 3.08(dd,0.5H,H2−ピペリジン, J=13.7Hz, J=9.8Hz), 3.89(dd,0.5H,H2− ピペリジン, J=13.1Hz,J=3.2Hz), 3.41 (m,0.5H,H2−ピペリジン), AB−System: ν=3.44,ν=3.33 (2H, SCH2,J=14.9Hz), 2.83,2.96(2xm,1H, CHS), 2.4(b, 1H,H4), 1.34(s, 3H, CH−15), 1.05(s,1H,CH−18), 0.9,1.0 (2xm,6H,(CH−Val), 0.81(d,3H,CH−17,J=6.9Hz), 0.63 (m, 3H,CH−16)。
【0059】
〔実施例2〕
(セバシン酸を用いて塩を形成している14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]ムチリン)
上記塩は、実施例1と同様に調製される。
H−NMR (DMSO−D, 〜 1:1の安定な回転異性体の混合物):
6.12 (2xdd, 1H, H−19, J=17.1 Hz, J=11.1 Hz), 5.55 (2xd, 1H, H−14, J=8.6 Hz), 5.05 (m, 2H, H−20), 4.5 (b, 1H, 11−OH), 3.98 (m, 1.5H, H−2 ピペリジン), 3.49 (m,1.5H, H−2 ピペリジン, α−H Val), 3.42 (D, 1H, H−11, J=6Hz), 3.30 (m, 0.5H, H−2 ピペリジン), 3.27(m, 2H, H−22), 3.10 (2xm, 2x0.5H, H−2 ピペリジン), 2.86 (m, 1.5H, H−2 ピペリジン, CH−S), 2.4, (b,1H, H−4), 2.22 − 2.02 (m, 4H, H−2, 10, 13a), 2,14 (t, 4H, α−H セバシン酸塩), 1.92−1.98 (m, 1H, H−4 ピペリジン), 1.58−1.72 (m, 4H, β−H Val, 1a, 8a, H−3 ピペリジン), 1.42−1.52 (m, 8H, H−6, 7a, H−3 ピペリジン, H−4 ピペリジン, β −H セバシン酸塩), 1.34 (s, 3H, CH−15), 1.20−1.32 (m, 11H, H−1, 7, 13, γ−H セバシン酸塩, δ−H セバシン酸塩), 1.05 (s, 3H, CH−18), 1.00 (m, 1H, H−8), 0.87, 0.75 (2xm, 6H, (CH−Val), 0.80 (D, 3H, CH−17, J = 6.8 Hz), 0.62 (m, 3H, CH−16)。
【0060】
〔実施例3〕
(アゼライン酸を用いて塩を形成している14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]ムチリン)
上記塩は、実施例1と同様に調製される。
H−NMR (DMSO−d, 〜 1:1の安定な回転異性体の混合物):
6.12 (2xdd, 1H, H−19, J=17.1 Hz, J=11.1 Hz), 5.55 (2xd, 1H, H−14, J=8.6 Hz), 5.05 (m, 2H, H−20), 4.5 (b, 1H, 11−OH), 3.98 (m, 1.5H, H−2 ピペリジン), 3.49 (m,1.5H, H−2 ピペリジン, α−H Val), 3.42 (d, 1H, H−11, J=6Hz), 3.30 (m, 0.5H, H−2 ピペリジン), 3.27(m, 2H, H−22), 3.10 (2xm, 2x0.5H, H−2 ピペリジン), 2.86 (m, 1.5H, H−2 ピペリジン, CH−S), 2.4, (b,1H, H−4), 2.22 − 2.02 (m, 4H, H−2, 10, 13a), 2,14 (t, 4H, α−H アゼライン酸塩), 1.92−1.98 (m, 1H, H−4 ピペリジン), 1.58−1.72 (m, 4H, β−H Val, 1a, 8a, H−3 ピペリジン), 1.42−1.52 (m, 8H, H−6, 7a, H−3 ピペリジン, H−4 ピペリジン, β −H アゼライン酸塩), 1.34 (s, 3H, CH3−15), 1.20−1.32 (m, 9H, H−1, 7, 13, γ−H アゼライン酸塩, δ−H アゼライン酸塩), 1.05 (s, 3H, CH−18), 1.00 (m, 1H, H−8), 0.87, 0.75 (2xm, 6H, (CH−Val), 0.80 (d, 3H, CH−17, J = 6.8 Hz), 0.62 (m, 3H, CH−16)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成しているプレウロムチリン。
【請求項2】
サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している、以下の化学式
【化1】

の化合物。
【請求項3】
サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している、以下の化学式
【化2】

の化合物。
【請求項4】
サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している、以下の化学式
【化3】

の化合物。
【請求項5】
サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している、以下の化学式
【化4】

の化合物。
【請求項6】
サリチル酸、アゼライン酸、セバシン酸、または2−[(2,6−ジクロロフェニル)アミノ]ベンゼン酢酸、好ましくはサリチル酸を用いて塩を形成している、14−O−[(N−((R)−バリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンの化合物。
【請求項7】
サリチル酸を用いて塩を形成している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
座瘡を処置する調製物に用いる請求項2〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
請求項2〜7のいずれか1項に記載の化合物の有効量を、処置を必要とする対象に対して投与することを包含する座瘡の処置方法。
【請求項10】
請求項2〜7のいずれか1項に記載の化合物を、少なくとも1つの薬学的な賦形剤と共同して含有する座瘡を処置する薬学的組成物。

【公表番号】特表2008−546809(P2008−546809A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518553(P2008−518553)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【国際出願番号】PCT/AT2006/000242
【国際公開番号】WO2007/000001
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507421957)ナブリヴァ セラピュティクス アクチエンゲゼルシャフト (8)
【Fターム(参考)】