説明

有機性廃棄物の搬送装置

【課題】受入ホッパー或いはピット内の生ゴミを残さず搬出し、生ゴミの腐敗、悪臭、蛆・はえ等の発生、危険性ガスの発生を防止し、安全及び衛生的な運転を確保することができる有機性廃棄物の搬送装置を提供する。
【解決手段】生ゴミ等の有機性廃棄物を受け入れる受入手段1と、該受入手段1から送られる生ゴミ等の有機性廃棄物を破砕する破砕手段2と、前記破砕手段2で破砕された有機性廃棄物を受け入れる投入手段3と、該投入手段3内に水又は温水を供給する水供給装置301とを備え、該投入手段3から含水率70%以上90%以下の有機性廃棄物を受け入れると共に負圧下で空気輸送する輸送配管4を有することを特徴とする有機性廃棄物の搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機性廃棄物の搬送装置に関し、詳しくは、受入ホッパー或いはピット内の生ゴミを残さず搬出し、生ゴミの腐敗、悪臭、蛆・はえ等の発生、危険性ガスの発生を防止し、安全及び衛生的な運転を確保することができる有機性廃棄物の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭やホテル、レストラン等の厨房等から発生する生ゴミ等の有機性廃棄物(以下、必要により、「生ゴミ等」という)は、ビニール袋などの樹脂製袋に入れられた状態で排出されることが多く、腐敗性が高い特性があり、既に腐敗していたりするものも混じっている。
【0003】
上記の生ゴミ等は、ゴミ処理施設に塵芥車で運ばれ、ゴミピットに投入され、その後、クレーンバケットで所定のゴミホッパーに投入する方式が最も一般的に採用されている。
【0004】
しかし、クレーンバケットでは掴みきれないゴミがピットに残る。従って、生ゴミ等の場合、残った生ゴミが腐敗し、悪臭、蛆・はえ等の発生、更に危険性ガスの発生が懸念される。
【0005】
また、切出し装置付きホッパーに生ゴミを投入し、切出し装置、粗粉砕機からチューブコンベアを通し、生ゴミを湿式破砕選別装置に送ることは可能であるが、チューブ中のチェーンにビニール袋が絡まる、或いは残飯類が餅のようにチェーンに固着し、最終的には搬送できなくなる問題があり、更に残飯類が腐敗する問題がある。
【0006】
更に、切出し装置付きホッパーに生ゴミを投入し、切出し装置、粗粉砕機からフライトコンベアを通し、生ゴミを湿式破砕選別装置に送ることは可能であるが、トラフ中のチェーンにビニール袋が絡まったり、或いは残飯類が餅のようにチェーンに固着し、搬送できなくなる問題や水分が送れない問題がある。
【特許文献1】特開2004−66051 ポンプ輸送
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、受入ホッパー或いはピット内の生ゴミを残さず搬出し、生ゴミの腐敗、悪臭、蛆・はえ等の発生、危険性ガスの発生を防止し、安全及び衛生的な運転を確保することができる有機性廃棄物の搬送装置を提供することを課題とする。
【0008】
また、本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0010】
(請求項1)
生ゴミ等の有機性廃棄物を受け入れる受入手段と、該受入手段から送られる生ゴミ等の有機性廃棄物を破砕する破砕手段と、前記破砕手段で破砕された有機性廃棄物を受け入れる投入ホッパーと、該投入ホッパー内に水又は温水を供給する水供給装置とを備え、該投入ホッパーから含水率70%以上90%以下の有機性廃棄物を受け入れると共に負圧下で空気輸送する輸送配管を有することを特徴とする有機性廃棄物の搬送装置。
【0011】
(請求項2)
前記投入ホッパー内から前記輸送配管に供給する廃棄物供給装置を有することを特徴とする請求項1記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【0012】
(請求項3)
前記輸送配管の途中に、該輸送配管によって輸送される有機性廃棄物を受け入れると共に有機性廃棄物が除外された空気を排出する受タンクを有し、該受タンクはスラリー化槽に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【0013】
(請求項4)
前記投入ホッパーが、前記有機性廃棄物を計量する計量機を備えることを特徴とする請求項2又は3記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【0014】
(請求項5)
前記受タンクが、前記有機性廃棄物を計量する計量機を備えることを特徴とする請求項3又は4記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【0015】
(請求項6)
前記輸送配管を負圧状態にする吸引手段を備え、該吸引手段の吸込側に前記輸送配管が連結されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【0016】
(請求項7)
前記吸引手段の吐出側の配管が、前記輸送配管の前記有機性廃棄物の受入部位に連結されていることを特徴とする請求項6記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【0017】
(請求項8)
前記受タンクから排出された空気を輸送する空気配管に、気水分離手段を備えることを特徴とする請求項3〜7の何れかに記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、受入ホッパー或いはピット内の生ゴミを残さず搬出し、生ゴミの腐敗、悪臭、蛆・はえ等の発生、危険性ガスの発生を防止し、安全及び衛生的な運転を確保することができる有機性廃棄物の搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態を示す説明図である。図1において、1は生ゴミ等の有機性廃棄物を受け入れる受入手段である。受入手段1には、例えば塵芥車100等によって所定量の生ゴミ等の有機性廃棄物が搬入される。搬入は定期的でも不定期的でもよい。
【0021】
受入手段1は、金属製又は樹脂製の受入ホッパー101や図示しないコンクリート製の受入ピットによって構成される。受入ホッパー或いは受入ピットの形状は、円錐台又は角錐台構造にして底部中心に受け入れた生ゴミ等の有機性廃棄物が集まる構成にすることがその後の搬出を容易にする上で好ましい。
【0022】
有機性廃棄物には、生ゴミ以外に、樹脂製袋(例えばビニール袋、ポリ袋など)、樹脂製トレー、樹脂片(ビニール片、フィルム片)などを含み、かかる有機性廃棄物に混入する物質としては、卵の殻、重い金属、貝殻、小石等がある。
【0023】
受入手段1の底部には、切出し装置102が設けられ、切出し装置102としては、例えばスクリューコンベアを好ましく用いることができる。かかる切出し装置102により、受入手段1内の生ゴミ等は所定量ずつ下方に搬出され、全量抜き出される。従って、生ゴミの腐敗、危険性ガスの発生を防ぐことができる。
【0024】
2は受入手段1から送られる生ゴミ等の有機性廃棄物を破砕する破砕手段であり、該破砕手段2には破砕機が用いられ、該破砕機によって生ゴミ袋を破砕することにより空気輸送を可能にした。また破砕機によって同時に生ゴミを粗粉砕することにより空気輸送をより容易にした。
【0025】
3は前記破砕手段で破砕された有機性廃棄物を受け入れる投入手段であり、投入手段は、投入ホッパー300を備え、該投入ホッパー300には水供給装置301が設けてある。
【0026】
かかる水供給装置301は、破砕手段2で破砕された生ゴミ等に水又は温水を供給して含水率70%以上90%以下の有機性廃棄物を結果として生成する。
【0027】
水供給装置301は、温水供給配管302と、温水制御弁303と、水供給配管304と、水制御弁305を備えている。温水制御弁303と水制御弁305を設けると、水供給装置301から供給される水の水温、水量が調整可能となる。水供給装置301から供給される水配管の先端にはスプレーノズル306を設けると洗浄効果を向上させる上で好ましい。
【0028】
水供給装置301から水を投入ホッパー300内に供給できる構成にすると、生ゴミ等の水分は70%以上90%以下、好ましくは80%以上90%以下の含水率となる。
【0029】
かかる含水率であると、投入ホッパー300内部に樹脂製袋、樹脂片、残飯類等が残らないようにすることができることは勿論のこと、輸送配管の閉塞を防ぐことができる。
【0030】
生ゴミ等の水分は以下の算出式によって算出する。
【0031】
含水率(%)=(生ゴミ等中の水分重量/生ゴミ等の全重量)×100
【0032】
含水率が70%未満であると、輸送配管の閉塞が生じる問題があり、90%を越えると水分が多すぎて搬送障害が生じる。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態としては、生ゴミの量を計量し、後段の発酵に最適なスラリー濃度を確保するために、投入ホッパー300に計量機307を設け、生ゴミを計量する。計量機307は、投入ホッパー300ではなく、受入ホッパー101に設けることもでき、投入ホッパー300と受入ホッパー101の両方に設けてもよい。
【0034】
投入ホッパー300の底部には生ゴミ等の輸送配管4に供給する廃棄物供給装置308を設けてある。309は廃棄物供給装置308の排出管310に設けられた遮断弁である。
【0035】
廃棄物供給装置308の排出管310は、輸送配管4に接続されており、水供給手段3から高含水有機性廃棄物を輸送配管4に供給可能となっている。
【0036】
輸送配管4は吸引手段の一例である吸引ブロア400の吸込側に連結されている。かかる構成により、輸送配管4内の生ゴミ等は負圧下で空気輸送される。
【0037】
輸送配管4の径は、10t/hrの生ゴミ等(含水率85%)を輸送する際に、50mmφ〜80mmφの範囲である。好ましくは約75mmφ程度であり、かかる小径の配管であっても閉塞せずに輸送可能である。
【0038】
吸引ブロア400の吐出側の吐出配管401は、輸送配管4に前生ゴミ等を受け入れる受入部位402に連結されている。従って、輸送配管4と、吸引ブロア400、吐出配管401は、循環系を構成している。400Aは吸引安全弁である。
【0039】
輸送配管4の途中には、輸送配管4によって輸送される生ゴミ等を受け入れる受タンク403が設けられている。受タンク403は生ゴミ等を受け入れた後、輸送空気と分離し、輸送空気は輸送配管4に戻されて吸引ブロア400に吸引される。403Aはダンパーである。
【0040】
受タンク403の下部にはスラリー化槽404が接続されている。スラリー化槽404は、モータ405によって回転する攪拌機406を備えており、攪拌機406の先端には裁断刃407を備えている。
【0041】
スラリー化槽404に導入された生ゴミ等は、更に細かくスラリー化すると同時に、重い金属、貝の殻、紛れ込んだ小石等の挟雑物は分離され、抜き出される。
【0042】
次にスラリー化槽404で生成されたスラリーは、水頭差を利用し自然流下で(水頭差を利用できない場合はスラリーポンプ408を用いて)、分別槽409に送られる。
【0043】
分別槽409は例えばスクリーンによって構成され、ビニール袋、砂状になった卵の殻等を分離する。
【0044】
次に分別処理されたスラリーは、一時図示しない貯留槽を経て、発酵槽410に送られ、発酵処理される。
【0045】
一方、受タンク403で分離された輸送空気は吸引ブロア400に至る過程で、気水分離手段である気水分離装置403Bにより、水分が分離される。気水分離装置403Bの構成は特に限定されないが、例えば、マルチサイクロン、慣性集塵機などを採用できる。
【0046】
輸送配管4あるいは吐出配管401には、圧力調整装置411を設けることもでき、図1に示す例では、吐出配管401に設けている。412は圧力指示制御計である。圧力調整装置411で抜き出された空気は必要により脱臭装置413で脱臭することも好ましいことである。
【0047】
以上の設備において、生ゴミ等の搬送は吸引ブロアによる負圧下で行われる。輸送配管4(あるいは吐出配管401)における好ましい圧力状態を例示すると、受入部位402では−10mmAq程度、吸引ブロア400の部位で−400mmAq程度が好ましい。
【0048】
本発明では、切出し装置102以降、破砕機、投入ホッパーなどは全て負圧になるように構成されるので、付着物や残留物は全て水供給装置から送られる水との協働作用で除去され、輸送配管で搬送される。従って、生ゴミの腐敗、危険性ガスの発生を防ぐ上でも更に効果的である。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は上記に限定されず、例えば図2に示すように、計量機414を受タンク403に設けることも好ましい。また水供給手段3側と受タンク403の両方に計量機を設けることもできる。
【0050】
また輸送配管4の特に曲がり部位(エルボなど)には、エアー供給管を配置することも好ましい。即ち、図3に示すように、エルボ1とエルボ2が存在する場合、エルボ1の前段の圧力計P、後段の圧力計Pで各々の圧力を計測し、差圧が所定値以上になったら、生ゴミ等の供給を停止し、空気吸入管420から空気を供給する。
【0051】
空気の配管に対する供給する方向は、図4に示すように接線方向に供給する。このような方向に供給すると、生ゴミ等を低圧力で搬送助長できてこのましい。
【0052】
またエルボ2の前段の圧力計P、後段の圧力計Pでおのおの圧力を計測し、差圧が所定値以上になったら、生ゴミ等の供給を停止し、空気吸入管421から空気を供給する。
【0053】
空気の配管に対する供給する方向は、図4に示すように接線方向に供給することが好ましい。
【0054】
なお、図3に示す態様において、供給する流体を空気に代えて、水や不活性ガスを供給することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態を示す説明図
【図2】本発明の他の実施形態を示す説明図
【図3】本発明の他の実施形態を示す説明図
【図4】図3の要部断面説明図
【符号の説明】
【0056】
1:受入手段
100:塵芥車
101:受入ホッパー
102:切出し装置
2:破砕手段
3:投入手段
300:投入ホッパー
301:水供給装置
302:温水供給配管
303:温水制御弁
304:水供給配管
305:水制御弁
306:スプレーノズル
307:計量機
308:廃棄物供給装置
309:遮断弁
310:排出管
4:輸送配管
400:吸引ブロア
401:吐出配管
402:受入部位
403:受タンク
403A:ダンパー
403B:気水分離装置
404:スラリー化槽
405:モータ
406:攪拌機
407:裁断刃
408:スラリーポンプ
409:分別槽
410:発酵槽
411:圧力調整装置
412:圧力指示制御計
413:脱臭装置
414:計量機
420:空気吸入管
421:空気吸入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミ等の有機性廃棄物を受け入れる受入手段と、該受入手段から送られる生ゴミ等の有機性廃棄物を破砕する破砕手段と、前記破砕手段で破砕された有機性廃棄物を受け入れる投入手段と、該投入手段内に水又は温水を供給する水供給装置とを備え、該投入手段から含水率70%以上90%以下の有機性廃棄物を受け入れると共に負圧下で空気輸送する輸送配管を有することを特徴とする有機性廃棄物の搬送装置。
【請求項2】
前記投入手段は、投入ホッパーを備えると共に、該投入ホッパー内から前記輸送配管に供給する廃棄物供給装置を備えることを特徴とする請求項1記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【請求項3】
前記輸送配管の途中に、該輸送配管によって輸送される有機性廃棄物を受け入れると共に有機性廃棄物が除外された空気を排出する受タンクを有し、該受タンクはスラリー化槽に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【請求項4】
前記投入ホッパーが、前記有機性廃棄物を計量する計量機を備えることを特徴とする請求項2又は3記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【請求項5】
前記受タンクが、前記有機性廃棄物を計量する計量機を備えることを特徴とする請求項3又は4記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【請求項6】
前記輸送配管を負圧状態にする吸引手段を備え、該吸引手段の吸込側に前記輸送配管が連結されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【請求項7】
前記吸引手段の吐出側の配管が、前記輸送配管の前記有機性廃棄物の受入部位に連結されていることを特徴とする請求項6記載の有機性廃棄物の搬送装置。
【請求項8】
前記受タンクから排出された空気を輸送する空気配管に、気水分離手段を備えることを特徴とする請求項3〜7の何れかに記載の有機性廃棄物の搬送装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−231164(P2006−231164A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47401(P2005−47401)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(504118807)三井造船アクアペックス株式会社 (6)
【出願人】(592141927)三造環境エンジニアリング株式会社 (15)
【Fターム(参考)】