説明

有機材料、廃棄物材料または低価値材料を有用な生成物へと転換するための方法および装置

【課題】悪臭排気を生成することなく、高いエネルギー効率で受容可能な費用で廃棄物や低価値材料を炭素固体、気体、油、およびスペシャルティーケミカルを含む有用な材料を生成する方法および装置を提供する。
【解決手段】ゴム、都市下水汚泥、食品加工廃棄物などをスラリー化する前処理工程、固体および液体を生成する第1の反応工程、その反応生成物を分離する工程、そして液体生成物を炭素固体、燃料ガスおよび油を含む炭化水素混合物へと変換する第2の反応工程と装置とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、全て本明細書中にその全体が参照により援用されている2003年3月28日出願の米国仮特許出願第60/458,520号明細書および2003年11月18日出願の米国非仮特許出願第10/717,076号明細書、同10/716,837号明細書、および同10/716,839号明細書に対する優先権の利益を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、通例、有用な原材料を形成するための廃棄物または低価値生成物の処理に関する。より詳細には、本発明は、炭素ベースの化合物を含有する農業その他の廃棄物または低価値材料を燃料油、肥料および有機スペシャルティーケミカルズといったような商業的に有用な生成物へと転換させるためのプロセスおよび装置に関する。また、本発明は、有機材料の炭化水素および炭素固体への転換にも関する。特に、本発明は、加熱器、反応器、第1の冷却器および第2の冷却器を備える装置およびこれを使用するためのプロセスに関する。さらに、本発明は、周囲の流体から、バクテリア由来の細胞残屑といったような約1ミクロンの寸法の微粒子を分離する分離器を用いた、流体懸濁液からの微粒子の分離にも関する。
【背景技術】
【0003】
背景
人間の社会が生み出す廃棄物の数多くが、究極的に、独自の固有の価値を有する少数の単純な有機材料へと分解できるものであることは、かなり以前から認識されてきている。この変換をエネルギー効率の良いやり方でかつ充分に大きな規模で達成できるならば、社会に多大な利益をもたらす可能性がある。
【0004】
家庭用および商業用の利用分野で使用されている大部分の生体構成材料ならびに大部分の合成有機物質は、さまざまな組成の炭素ベースの重合体を含んでいる。適切な条件下では、このような材料(木材、石炭、プラスチック、タイヤおよび動物廃棄物を含む)は大部分が気体生成物、油および炭素の混合物へと化学変化することになる。農業廃棄物といった材料は同様に、鉱物生成物へと化学変化する無機物質を含有し得る。これらの生成物のほぼ全てが、有機または無機のいずれであるかに関わらず、数多くの有益かつ往々にして営利的な利用分野で新しい生命を享受することができる。
【0005】
本来であれば無用な廃棄物から有用な材料を作り出すという原理が魅力的であるばかりでなく、廃棄物材料の再生利用は、増加を続ける人口が21世紀における主要な課題に対処する方法にとって根本的な重要性をもつものである。人類が直面する2つの主要な課題は、材料およびエネルギー供給の有限性、そして地球の温暖化による環境に対する増大する脅威の抑制に関するものである。実際、急速に流布しつつある一つの考え方は、地下の石油、天然ガスおよび石炭埋蔵物由来の新しい炭素供給源を導入するのではなくむしろ生物圏内部から炭素ベースの材料を再生利用させることによって、地球温暖化を緩和できる、というものである。
【0006】
しかしながら、今のところ、有機材料を主として含む莫大な量の廃棄物を生成する産業は、その廃棄物を処分し貯蔵しかつそれを最大限有益な用途に向ける上で重大な課題に直面している。
【0007】
その一例として、世界中の食品加工産業は、年間何十億ポンドもの有機富有廃棄物を生み出している。これらの廃棄物は、動物性および植物性の両方の製品の加工に付随するものであり、七面鳥、魚、鶏、豚および畜牛の加工および畜産廃棄物を含む。食品加工産業は成長し続けており、その従業者らは、自らの廃棄物で何か生産的なことを行なうべく経済的かつ環境的な多大なプレッシャに直面している。そうした廃棄生成物は多くの深刻な問題を引き起こす。食品廃棄物の埋立て、農地還元または消化による二酸化炭素およびメタンといったようなその他の利益が全くない温室効果ガスの発生は、このような問題の1つである。理想的には、食品産業は、においのあるまたは好ましくない汚染物質を放出することなくその廃棄物を管理する効率の良い経済的な方法を採用しなければならない。
【0008】
さらに最近では、数多くの分野での使用不能な副産物の倉庫保管料が高額になり続けている。農業用家畜に給餌できる廃棄物のタイプは、増々規制されてきている。たとえば、ヨーロッパのBSE/CJD騒ぎをきっかけにして、数多くの廃棄物が単に倉庫に保管されており、適切な最終用途が決定されないままとなっている。明らかに、このような材料を清潔に処理し利用するための受諾可能な手段を発見するさらなる緊急のニーズが存在している。好ましくは、食品加工廃棄物を有用で高価値の生成物へと転換させる方法を発見する必要がある。
【0009】
処理代替案を探求するためのさらなる動きは、廃水排出規制の施行と下水課徴金の上昇の組合せにある。食品加工産業は、自らの廃水および固体(湿潤)廃棄物の前処理または完全処理を提供するための費用効果性の高い技術を探求しなければならない。歴史的には、地方自治体の内部またはこれに隣接して位置する食品加工施設は、廃水の処理および処分のために、現地の公営処理工場(POTW)に依存してきた。この選択肢は、法的措置がさらに厳しくなった結果として増々、利用し難いものとなりつつある。廃水排出許可要件への適合に対する圧力も高まっている。新設かつ改良型のPOTWの建設に対する連邦補助金の減少もまた、この選択肢がさほど魅力的でないことを意味している。かくして、食品加工産業は増々、その非可食生成物をいかに効果的に処分するかに関する圧力を受けている。
【0010】
ダイオキシンといったような難分解性化学薬品の生物内蓄積そして狂牛病(BSE)といったような生命にかかわる病気の拡大の可能性もまた、食品加工業者および食品消費者の両方にとってのもう1つの脅威である。この脅威は、動物を飼育するために食品加工残留物を再度給餌することにより、大幅に深刻化している。食品加工業者は、この循環を裁ち切るための経済的解決法を必要としている。
【0011】
その上、都市および地方の下水道当局は、業者にその有機生物化学的酸素要求量(BOD)化学的酸素要求量(COD)および下水道上の固形物負荷を減少させることを要求している。高レベルの懸濁固形物、アンモニアおよびタンパク質化合物を伴う高濃度食品加工廃水の中に通常に見られる高いBOD濃度に起因して、食品加工業者は、さらに厳しい監視下におかれている。食品加工施設は、その廃水および固体廃棄物を効果的に管理するための費用効果性の高い特定用途向けの処理技術を必要としている。
【0012】
その他の産業全体にわたり数多くの異なる形で類似の問題が拡大し、増幅され、増加している。たとえば、動物性廃棄物を熱により脂肪およびタンパク質へと転換させる動物飼料精製工場に付随する悪臭排気の生成は、このような問題の1つである。もう1つは、高濃度の病原体を含有する都市バイオソリッドの農地還元である。
【0013】
たとえば、トラックおよび乗用車からの使用済み廃棄物タイヤを、タイヤおよびその他のゴム製品製造用の供給原料および燃料、石油、炭素、燃料ガスを含めた有用な製品に加工するために、さまざまなアプローチが開発されてきた。通常、これらのスキームには、タイヤを加熱し溶剤中で溶解させることが関与している。スキームの一部は、タイヤゴムを脱硫すること、すなわち、成分重合体をその長さ方向に連結する硫黄結合を破断することを試みている。その他のスキームでは、ゴム材料の解重合を試みている。解重合は、長鎖重合体を、より流動性のある、ひいては燃料油といった製品としてより容易に用いることのできるより短い重合体へと化学変化する。一部のスキームには、水がタイヤ材料にとっての非常に優れた溶剤となりタイヤ材料との反応物質となるその臨界点(約3200psiおよび約370℃)近くまたはそれ以上の条件下での水の使用が関与している。しかしながら、このようなスキームは、超臨界条件に達するのに必要とされるエネルギーのため、エネルギー効率が不良である。さらに、超臨界条件での加工には同様に、高価な超合金運転機器が必要である。
【0014】
重油または脱硫ゴム製品を形成するべくタイヤ材料を溶解させるために、数多くの有機材料も調査されてきた。一般的には、適度の条件(<200psi)で機能する既存のスキームは、重い汚染した生成物を生成し、一方、さらに軽量の溶媒を使用するスキームは、さらに優れた生成物を生成するものの、高価であるかまたは高圧(>2000psi)を必要とする、あるいはその両方である溶剤を使用しなければならない。さらに、プロセス中に溶剤の一部分が失なわれ、溶剤の回収および再使用を実践できる場合であっても補給溶剤に付随するコストが存在することから、タイヤ材料を溶解させるために溶剤を用いるスキームは大部分が非経済的である。
【0015】
都市下水汚泥を処理するため、下水処理工場では、好気性のおよび嫌気性の消化剤が利用されてきた。それらの使用に付随する問題がいくつか存在する。その作用の背後にある基本原理は、生物学的に豊かな材料が、その生体材料を消化するバクテリアの入った大きい保持容器に導かれるというものである。通常、溶解した固体は、好気性消化剤へと導かれ、懸濁した固体は嫌気性消化剤へと導かれる。栄養供給材料がひとたび枯渇すると、微生物はもはや自活できず死滅する。消化期間の最終産物は、死滅したバクテリアを含有し何らかの形で処分しなければならない汚泥である。結果として得られた材料に付随する1つの問題は、それがなお病原体を含んでいるということにある。プロセス全体に付随する問題としては、一般に、消化剤容器内の保持時間が17日間にもおよび得るという点および運転条件を維持することがむずかしいという点が含まれる。たとえば、比較的大きい容器(通常、直径20〜30ft)が、通常、85°F超に維持され、場合によっては122°F超に維持される。
【0016】
業界特に食品加工業界において現在利用されている廃棄技術は全て大きな限界および欠点を有し、これらが、代替的なプロセスを探求する誘因を提供している。このことは、既存のPOTWの使用に加えた技術にあてはまる。特に4つのタイプのアプローチ、すなわち、地上投棄(埋立て、たい肥化、農地還元)、生物処理、焼却/燃焼といった従来の熱酸化処理、および熱分解/ガス化、は全て個別の欠点を有する。
【0017】
地上投棄の欠点としては、高額のけん引または輸送費、浸出による地下水汚染の多大な可能性および、高濃度の危険な汚染物質(たとえば、農地還元の場合の病原体)への地域住民の暴露が含まれる。埋立ては、温室効果ガスの生成を含めた、空気汚染問題を生み出す可能がある。
【0018】
廃棄物の生物処理の欠点としては、制御のむずかしさ、および土壌内への適切な空気流の確認が困難であることにより成果の確認ができないこと、が含まれる。好気性バクテリアを使用する場合には、酸素を提供するために空気流を維持しなければならない。たとえば、特定の化合物を消費するように開発されたものでありうるバクテリアは、土壌内に投入されられたとき、最も容易に入手できる化合物を消費するべく代替的酵素系を活性化させることになる。
【0019】
焼却または燃焼を行うより古いユニットに伴う欠点としては、政府がつねにより厳格化している汚染排出規準を満たすための機器を付加する必要があるということが含まれる。同様に、焼却に関する地域の関心が高いことに起因して、その他の技術に比べ焼却に対する空気排出許可を得るのにかかる時間が長い可能性もある。さらに、排気装置における廃棄物の処置は、大量のガスを処理することを意味し、したがって非常に大きい工場設備が必要となる。供給原料は熱量値も低い。一部の焼却炉は、固体燃料または固体廃棄物が炉の過度に高いところで酸化し始めることになるため、これらの材料に適合していない。これとは逆に、供給原料内の高い含水量は、焼却または燃焼中、水分が気化され除去されることから(これらは約1000Btu/lbの水分気化を必要とするプロセスである)、同様に1つの問題である。これは、システムにとって莫大な熱/エネルギー損失を表わしている。
【0020】
利用された技術の最後のカテゴリ、すなわち、熱分解/ガス化は、言及したその他のものとは異なり、油および炭素といったような利用可能な材料へと廃棄物を転換させようとしているという点で、魅力的なものである。廃棄物を化学変化させる最適な方法を探求する上での主たる関心事は、化学変化に必要とされるエネルギー量を最小限におさえながら結果として得られた材料の組成をいかに調整するかという点にある。過去においては、利用されてきた主要な熱分解およびガス化方法は、単段プロセスにおいて廃棄物を分解しようと試みていたが、単段は、最終生成物の純度および組成についての不適切な制御しか提供しないということが分かっている。
【0021】
有機材料を気体、油およびタール並びに炭素質材料に化学変化させるためには、熱分解装置が使用されてきた。熱分解装置は、約400−500℃の高温に有機材料を加熱することができるが、エネルギー効率が低く、結果として得られる材料の組成に対する制御はほとんど提供されない。特に、大部分の廃棄物、なかでも農業由来の廃棄物は、50%までの水を含有する。熱分解装置は、その水を沸騰させて取り除く必要があり、これは非常に多くのエネルギーを要するプロセスである。付加的には、熱分解チャンバは、処理量を最大にするための大規模なものとなる傾向にあるが、この場合、チャンバを横断して多大な温度勾配を発生させる。かくして熱分解プロセスには、廃棄物の不均等な加熱が関与し、結果として得られる最終生成物中のタールおよび油は質の悪いものまたは純粋でないものとなる。
【0022】
廃棄物の部分的燃焼を達成するために、ガス化装置が使用されてきた。基本的に、気体(通常、空気、酸素またはスチーム)が、全ての燃料材料を酸化させるには不十分な量で廃棄物全体にわたり通過させられる。かくして、CO、HO、CO、Hおよび軽量炭化水素といったような一部の燃焼生成物が生成され、発生した熱は、残った廃棄物を油、気体および炭素質材料へと転換させる。生成されたガスは、投入ガスの一部を含有することになるが、生成されたガスはいずれも保管するにはかさが高すぎ、直ちに使用されるかまたはそれを利用できる場合までパイプで誘導されなくてはならない。ガス化装置は同様に、熱分解装置と同じ欠点のいくつかもっている。たとえば、含水廃棄物は、含水量を気化させる上で大量のエネルギーを消費することになる。
【0023】
熱分解およびガス化の方法は共に、さらに、結果として得られた材料が受容できないレベルの不純物を含有するという問題を有している。特に、廃棄物中の硫黄および塩素含有材料はそれぞれ、結果として得られる最終生成物中に、メルカプタンといった含硫黄化合物および有機塩化物を発生させる。通常、1〜2ppmレベルでの塩素化炭化水素が、炭化水素油中で許容され得るが、ガス化方法および熱分解方法のいずれも、一定の信頼性を伴ってこのような低いレベルを保証することができない。
【0024】
さらに、熱分解およびガス化方法は、通常、30%前後の低い効率を有する。この理由の1つは、含熱量に関し生成物が最適なものでないという点にある。さらなる理由は、単段プロセスにおいて、材料が、容易にそのエネルギーをプロセス内で有用な形で再使用できるようにするような形態で生成されない、という点にある。たとえば、生成された固体生成物中の熱エネルギーを捕捉し、反応容器の加熱を補助するべく再度誘導することは困難である。
【0025】
全体としては、このとき、熱分解/ガス化方法は複数の形の不利益を被っている。油生成物は一般にタールおよびアスファルトといったような望ましくない高粘度成分を富有している。熱分解およびガス化プロセスは共に低い熱伝達特性をもち、したがって均等に加熱しない。したがって、最終生成物は、数が大幅に変動し、経済的な回収に充分な数量または品質のものはごくわずかである。水は積層中を気体として離脱することから、湿潤な供給原料は、気化するのに著しいエネルギーを必要とし、システムに対する大きいエネルギー損失を表わす。かくして、要約すると、熱分解/ガス化の欠点は、全体的運転コストが高く、プロセスが資本集約的であり、一部の副作物は制限された価値しかもたないまたは全く価値がない可能性があるという点にある。
【0026】
熱分解およびガス化の方法の変形形態は数多く存在し、それらは全て、概ね類似の欠点を有しているが、最近の1つの進歩により、処理効率の著しい増大が可能になった。たとえば、米国特許第5,269,947号明細書、同第5,360,553号明細書および同5,543,061号明細書は、以前の方法の単段プロセスを2段プロセスにより置換するシステムを開示している。(往々にして「湿潤」段と呼ぶ)第1の段では、廃棄物は、200〜250℃前後の熱および約20〜120気圧の圧力に付される。好ましい実施形態においては、廃棄物は約50気圧の圧力に付される。このような条件下で、廃棄物材料の含水量は、油の混合物を形成するべく存在し得る脂肪およびタンパク質といったような生体高分子の多くを加水分解する。(往々にして「乾燥」段と呼ばれる)第2段では、混合物は、低圧まで急激に減圧され、その間水のほぼ半分がスチームとして除去させられる。混合物はさらに加熱されて、混合物が究極的に気体生成物油および炭素へと分解する間、残りの水を蒸発させる。
【0027】
これら2段方法の主たる進歩は、以前の単段プロセスのいずれよりも高い品質でより有用な混合物の生成を可能にするということにあった。しかしながら、かかる方法の生成物はなお、硫黄および含塩素化合物といった材料からの汚染の問題の不利益を被っており、水の大部分を蒸発させる必要性はなおも、実質的なエネルギー面の不利益をひき起こす。かくして、先行技術の2段方法は、商業的な実用化が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
したがって、受諾可能な資本および運転コストで信頼性の高い純度および組成で有用な材料を生成するための廃棄物および低価値生成物の処理方法に対する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0029】
発明の要約
本発明は、悪臭排気を生成することなく、高いエネルギー効率かつ受諾可能なコストで、信頼性の高い純度および組成で有用な材料を生成するための廃棄物および低価値生成物の処理方法に関する。特に、本発明は、本来であれば商業的な価値または用途がほとんど無いさまざまな供給原料を、気体、油、スペシャルティーケミカル(たとえば、脂肪酸)、肥料および炭素固体を含めた有用な材料に転換させる多段プロセスを含んでいる。本発明はさらに、廃棄物を有用な材料およびそのプロセスから生じる少なくとも1つの油生成物へと転換させる多段プロセスを実施するための装置を含む。本発明の装置およびプロセスは、家禽(たとえば、七面鳥、鶏、ダチョウ)、畜牛、豚、魚の臓物および家畜の糞、尿、油脂、植物油および都市下水汚泥ならびにタイヤおよびプラスチックなどのその他の廃棄物を含めた有機および無機廃棄物の処理に、特に応用可能である。
【0030】
概して、本発明による方法は、適切に調製された供給原料を熱および圧力に付し、結果として得られた供給物のさまざまな成分を分離し、その後さらに、これらの成分のうちの1つ以上のものに熱および圧力を加える。本発明の方法中の異なる時点で生成されたさまざまな材料を、再循環させ、本発明の方法内部でその他の役目を果たすように使用することができる。
【0031】
本発明は、供給原料を少なくとも1つの有用な材料へと転換させるための方法において、供給原料からスラリーを調製する工程;少なくとも1つの反応済み固体生成物、少なくとも1つの反応済み液体生成物および水を含む反応済み供給物を生成するべく第1の反応においてスラリーを反応させる工程;該反応済み供給物から前記少なくとも1つの反応済み固体生成物、該水、および該少なくとも1つの反応済み液体生成物を分離する工程;および第2の反応において該少なくとも1つの反応済み液体生成物を少なくとも1つの有用な材料へと転換させる工程、を含むプロセスを含む。
【0032】
また、本発明は、供給原料を少なくとも1つの有用な材料へと転換させるための装置において、該供給原料から加熱済みスラリーを生成するように構成された前処理ユニット;該加熱済みスラリーを収容するべく該容器と連通し、該加熱済みスラリーを第1の上昇した温度および第1の上昇した圧力に付して少なくとも1つの反応済み固体生成物、少なくとも1つの反応済み液体生成物および水を含む反応済み供給物を生成するように構成されている第1段反応器;該少なくとも1つの固体生成物、少なくとも1つの液体生成物および水を収容するべく第1段反応器と連通し、少なくとも1つの反応済み固体生成物、該水、および該少なくとも1つの反応済み液体生成物を分離するように構成されている少なくとも1つの分離ユニット;および該少なくとも1つの反応済み液体生成物を収容するべく該分離ユニットと連通し、該少なくとも1つの反応済み液体生成物を第2の上昇した圧力および第2の上昇した温度に付し、かくして該少なくとも1つの反応済み液体生成物を少なくとも1つの有用な材料へと転換させるように構成された第3段反応器、を備える装置を含む。好ましい実施形態においては、該前処理ユニットは、該供給原料から供給原料スラリーを作り出すべくスラリー化装置を含む調製ユニット;該供給原料調製ユニットからの該供給原料スラリーを収容するべく該供給原料調製ユニットと連通している容器、および該加熱済みスラリーを生成するべく該スラリーを加圧し加熱するように構成されたポンプおよび熱交換器といったような付加的な機器を備える。
【0033】
さらに、本発明は、供給原料を少なくとも1つの有用な材料へと転換させるためのプロセスにおいて、該供給原料からスラリーを調製する工程;該スラリーを熱交換器内に通して(ここで1つ以上の気体が排出される)コンディショニング済みのスラリーを生成する工程;第1の反応中で該コンディショニング済みスラリーを反応させ(ここでスチームと気体が解放される)て、少なくとも1つの反応済み固体生成物、少なくとも1つの反応済み液体生成物および水を含む反応済み供給物を生成する工程(なおここで該反応済み固体生成物は少なくとも1つの鉱物を含む);反応済み供給物の温度を降下させ圧力を降下させて、中間供給物を生成する工程;該中間供給物から該少なくとも1つの鉱物を分離し、かくして少なくとも1つの反応済み液体生成物および水を含む混合物を生成する工程;前記水を貯蔵庫へと迂回させる工程;前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を第2の反応に付し、ここで炭素固体および、炭化水素蒸気およびガスの混合物が生成される工程、を含むプロセスを含んでいる。
【0034】
またさらに、本発明は、タイヤを油へと転換させるためのプロセスにおいて、溶剤中で該タイヤを溶解させる工程;該タイヤからスラリーを調製する工程;少なくとも1つの反応済み固体生成物、少なくとも1つの反応済み液体生成物を含む反応済み供給物を生成するべく第1の反応中で水と該スラリーを反応させる工程;前記反応済み供給物から前記少なくとも1つの反応済み固体生成物、前記水および前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を分離する工程;第2の反応中で前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を油に転換させる工程を含むプロセスを含んでいる。
【0035】
さらにまた、本発明は、混合プラスチックを少なくとも1つの有用な材料へと転換させるためのプロセスにおいて、混合プラスチックからスラリーを調製する工程;少なくとも1つの反応済み固体生成物、少なくとも1つの反応済み液体生成物を含む反応済み供給物を生成するべく第1の反応において水とスラリーを反応させる工程;前記反応済み供給物から前記少なくとも1つの反応済み固体生成物、前記水および前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を分離する工程;第2の反応中で前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を少なくとも1つの有用な材料へと転換させる工程を含むプロセスを含んでいる。
【0036】
また、本発明は、都市下水汚泥を少なくとも1つの有用な材料へと転換させるためのプロセスにおいて、都市下水汚泥からスラリーを調製する工程;少なくとも1つの反応済み固体生成物および少なくとも1つの反応済み液体生成物および水を含む反応済み供給物を生成するべく第1の反応中で該スラリーを反応させる工程;前記少なくとも1つの反応済み固体生成物、前記水および前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を前記反応済み供給物から分離させる工程;前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を少なくとも1つの有用な材料へと転換させる工程;および第2の反応中で、前記少なくとも1つの固体生成物を、炭化水素油、燃料ガスおよび鉱物と炭素の混合物の混合物へと転換させる工程を含むプロセスを含んでいる。
【0037】
本発明は、同様に、七面鳥臓物を少なくとも1つの有用な材料へと転換させるためのプロセスにおいて、七面鳥臓物からスラリーを調製する工程;少なくとも1つの反応済み固体生成物および少なくとも1つの反応済み液体生成物および水を含む反応済み供給物を生成するべく第1の反応中で該スラリーを反応させる工程;反応済み供給物から該少なくとも1つの反応済み固体生成物、該水、および該少なくとも1つの反応済み液体生成物を分離する工程;および第2の反応中で、該少なくとも1つの反応済み液体生成物を、炭化水素油、燃料ガスおよび炭素の混合物へと転換させる工程を含むプロセスをも含んでいる。
【0038】
さらに、本発明は、炭素含有供給原料からスラリーを調製する工程;少なくとも1つの反応済み固体生成物、少なくとも1つの反応済み液体生成物および水を含む反応済み供給物を生成するべく第1の反応においてスラリーを反応させる工程;前記反応済み供給物から前記少なくとも1つの反応済み固体生成物、前記水、および前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を分解する工程;および第2の反応において前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を該燃料油へと転換させる工程を含む、プロセスによって製造された燃料油を含んでいる。
【0039】
またさらに、本発明は、有機液を炭化水素および炭素固体の混合物へと転換させるための装置において、前記第3段反応器が、液体および気化油の混合物を生成するべく該有機液を収容し加熱するように構成された容器;該液体および気化油の混合物を収容し、それを炭素固体および炭化水素および気体の混合物へと転換させるように構成された反応器;該炭素固体を受容するための第1の冷却器;および炭化水素蒸気およびガスの該混合物を受容するための第2の冷却器を含む、装置をも提供している。
【0040】
さらにまた、本発明は、入口および出口を有する加熱済み容器;入口および出口を有する第1の加熱済みオーガーであって、該入口および出口が、該第1のオーガー内でより高い圧力を加えることができるようにするべく構成され寸法決定されており、該第1のオーガーの出口が該容器の出口と連通しているオーガー;該第1のオーガーの出口と連通し、液体および気体用の第1の出口および固体用の第2の出口を有する液体−固体分離器;および該固体と連通し、該固体の冷却を提供する第2のオーガー、を備える装置をも含んでいる。
【0041】
くわえて、本発明は、炭化水素および炭素固体の混合物へと有機液を転換させるためのプロセスにおいて、液体および気化油の混合物を生成するべく該有機液を加熱する工程;該液体および気化油の混合物を炭素固体および気体と炭化水素の混合物へと転換させる工程;および気体と該炭化水素の混合物から炭素固体を分離する工程を含んでいる。
【0042】
本発明のプロセスおよび装置は、悪臭排気を生成することなく、高いエネルギー効率かつ受容可能なコストで、信頼性の高い純度および組成で有用な材料を生成するための、廃棄物および低価値生成物の処理において応用される。特に、本発明の装置およびプロセスは、本来であれば商業的な価値または用途がほとんど無いさまざまな供給原料を、気体、油、スペシャルティーケミカル(たとえば、脂肪酸)、肥料および炭素固体を含めた有用な材料に転換させる多段プロセスにおいて使用可能である。本発明の装置およびプロセスは、家禽(たとえば、七面鳥、鶏、ダチョウ)、畜牛、豚、魚の臓物および家畜の糞、尿、油脂、植物油および都市下水汚泥ならびにタイヤおよびプラスチックなどのその他の廃棄物を含めた有機および無機廃棄物の処理に特に応用可能である。
【0043】
同様に、本発明は、懸濁液中の流体から微粒子を分離するための装置において、内壁を伴う円錐台形の内部チャンバ、該チャンバと連通している入口および第1の出口、および第2の出口を画定するハウジング;該チャンバ内に取付けられた、中空内部を伴う旋回アセンブリであって、該チャンバの内壁と環状空隙を画定するように整形され、該中空内部が該第2の出口と連通しており、かつ該中空内部が該空隙から該内部へおよび該第2の出口から外へ該旋回アセンブリの回転に応答して流体が流れるように該環状空隙とも連通している、旋回アセンブリ、を備える装置をも含んでいる。微粒子を分離するための該装置の一実施形態において、該旋回アセンブリは、スピンドル入口およびスピンドル出口を画定し、該スピンドル出口が該ハウジングの第2の出口と連通している、中空スピンドル;および該スピンドル入口を通して該中空スピンドルと連通している該中空内部を画定するべく、該中空スピンドル上に取付けられている、テーパのついた多孔質の円筒形壁、を備える。
【0044】
また、本発明は、懸濁液中の流体から微粒子を分離するための装置において、内部表面を有するケーシング;長手方向軸、テーパ角を有し該ケーシング上に配置されかつ前記ケーシングの内部表面と外部表面の間に環状空隙を形成するように構成された外部表面を伴う多孔質壁を有し、その長手方向軸を中心として回転させられ得るような形で中空スピンドル上に同心的に取付けられているテーパのついたシリンダ;一定の流量で環状空隙内に該懸濁液を導入するための入口;該シリンダの回転時点で、分離された微粒子が該装置から放出され得るようにするためのケーシング内の第1の出口;および該シリンダの回転時点で該多孔質壁を通過する流体が装置から排出され得るようにするための中空スピンドル内の第2の出口を含む装置を含んでいる。
【0045】
本発明の分離装置は、悪臭排気を生成することなく、高いエネルギー効率かつ受容可能なコストで、信頼性の高い純度および組成で有用な材料を生成するための、廃棄物および低価値生成物の処理において応用される。本発明の分離装置は、特に、汚泥を気体、油、スペシャルティーケミカル(たとえば、脂肪酸)、肥料および炭素固体を含めた有用な材料に転換させる多段プロセス内での処理のための、都市下水汚泥といったような有機および無機廃棄物の調製に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に従ったプロセス全体の流れ図を示す。
【図2】本発明のプロセスを実施するための装置を示す。
【図3】本発明のプロセスの調製および第1段反応の流れ図を示す。
【図4】本発明のプロセスの第2の分離段の流れ図を示す。
【図5】本発明のプロセスの第3段反応の流れ図を示す。
【図6】本発明のプロセスの第3段を実施するための装置を示す。
【図7】流体から細かい懸濁固体を分離するための装置を示す。
【図8A】本発明に従ったプロセスと併せた第3段反応器および冷却器/凝縮器の使用を表わす。
【図8B】本発明に従ったプロセスと併せた第3段反応器および冷却器/凝縮器の使用を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明のプロセスは、通常の家事または商業運転のいずれかに由来する社会全体によって生成された低価値生成物または廃棄物から1つ以上の有用な材料を生産することに向けられている。通常、本発明のプロセスは、実質的な割合の有機材料を含有する、たとえば、油脂といったような廃棄物またはその他の低価値生成物に応用される。しかしながら、本発明は、通常、低価値とみなされないその他の生成物をより高価値の生成物に転換させるために応用することもできる。
【0048】
有機材料は、当業者が一般に理解している有機材料である。特に、本発明で使用される有機材料は、その構成要素が、特に、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素といったハロゲン元素および水素、酸素、窒素、硫黄およびリンといったような1つ以上のその他の元素と組合せた形での炭素を含むような材料である。本発明の目的では、有機材料には、ヒ素、セレンおよびケイ素といった元素ならびに有機分子の塩、およびマグネシウム、水銀、鉄、亜鉛、クロム、銅、鉛、アルミニウムおよび錫といったような(ただし、これに制限されるわけではない)金属との有機分子の錯体と組合せた状態で炭素を含有する化合物も含まれる。本発明で使用される数多くの有機材料は、生物学的供給源に由来しており、タンパク質、脂質、でんぷん、核酸、炭水化物、セルロース、リグニンおよびキチンならびに全細胞を含む。本発明と共に使用するためのその他の有機材料は、プラスチックおよびその他の石油派生製品といったように人工的または合成的起源を有する。
【0049】
本発明のプロセスにおいては、供給原料の長分子鎖を破断するのに必要とされるレベルで熱および圧力が供給原料に加えられる。かくして、供給原料材料は、分子レベルで1つ以上の構成材料に分解される。プロセス中、供給原料は経費から利益へ、あるいは低価値から有意な経費削減つまりはより高価値へと変換される。重要なことに、該プロセスは病原体を破壊することができる。
【0050】
本発明の基本的プロセスは、食品製造販売の副産物、たとえば、七面鳥臓物、フライ油、トウモロコシの茎、モミ殻、廃棄物スクラップ、最終搾り食用油、たとえば、カノーラ油、大豆油、ヤシ油、ココナッツ油、ナタネ油、綿実油、コーン油およびオリーブ油その他の油、食品加工廃棄物、および海産物産業廃棄物;製紙およびその他の木工業の副産物、たとえば、セルロースおよびリグニン副産物および製紙用パルプ廃液;葉および刈り取られた芝といった庭園廃棄物;タイヤ;プラスチックボトル;港湾浚渫堆積物;使用済みプラスチックおよび電子部品、たとえば、古いコンピュータ;都市固体廃棄物;石油精製残留物;産業汚泥;バガス;海草;製粉廃棄物;黒液;石油精製廃棄物;オイルサンド;シェール油;ボーリング泥水;綿クズ;家畜糞尿といった農業加工廃棄物;感染性医療廃棄物;生物病原体;そしてさらには、生物兵器を作るために使用可能と思われる炭素菌の胞子といったような材料さえ含めた、あらゆる廃棄物または低価値生成物を潜在的に取扱かうように設計されている。以上の材料リストは、網羅的なリストでないということを理解すべきである。以上のリスト中、バカスは、サトウキビ加工由来の副産物であり、黒液は、木材チップを溶解させ、リグニンを遊離させ繊維を解放させてリグニンおよび半セルロース溶液を発生させた結果として得られる化学的木材パルプ製造の副産物である。
【0051】
本発明で使用するための廃棄物は、通常、その他の即座の用途をもたないおよび/または通常は処分されるその他の工業プロセスの最終生成物、市販の調製物および家庭用または都市用品である。低価値生成物は同様に、その他の工業プロセスの最終生成物、市販の調製物および家庭用または都市用品であるが、通常、非常に低い転売価値しかもたず および/または 何か役立つものに転換するには何らかのさらなる処理を必要とする材料である。
【0052】
本発明のプロセスで使用された場合、廃棄物および低価値生成物は、通常、供給原料または未処理供給物と呼ばれる。本発明で使用される該供給物には、一定数の供給源からのそして一定数の異なるタイプの廃棄物および/または低価値生成物が含まれ得るということも理解すべきである。たとえば、食品加工廃棄物は、適切である場合、農業加工廃棄物と組合せ同時処理することができる。
【0053】
本発明で使用するためのさらにその他の未処理供給物材料の例としては、都市下水汚泥、都市再生利用集積所から得ることができるような(ポリ塩化ビニル(「PVC」)を含めた)混合プラスチックおよびタイヤが含まれる。
【0054】
ポリ塩化ビニル(PVC)は、プラスチック製サイディングおよびプラスチック製配管用パイプに見られる。PVCは、約55重量%の塩素を含有し、したがって劣化した場合有毒な塩素含有化合物を発生させる傾向をもつ。たとえば、PVCを燃焼させると、既知の最も有毒な化合物の1つであるダイオキシンを生成する。本発明のプロセスの早い時期で水を使用することのもつ1つの利点は、水中の水素イオンがPVCからの塩素イオンと組合わさって、洗浄剤および溶剤にとって有用な比較的良性で産業的に貴重な化学物質である塩酸といったような可溶化された生成物を生成する。
【0055】
タイヤは、通常、自動車、バス、トラック、航空機およびその他の大型輸送機ならびに軍用およびその他の商用車といったような車両から得られる。本発明のプロセスをタイヤに応用する場合、生成された油の一部分が、好ましくは入口まで再循環させられて、流入供給原料中のタイヤを溶解させる一助となる。
【0056】
本発明の実施形態により処理された廃棄物および低価値材料は、一般に、全て貴重であると共に環境に対し本質的に有害でない3つのタイプの有用な材料、すなわち、上質油;クリーン燃焼ガス;そして燃料、肥料または加工用原料として使用可能な炭素固体および鉱物を含む精製済み固体へと転換される。さらに、一部のケースでは「フィッシュソリュブル」に似た濃縮物を含めたさまざまなサイドストリームが本発明のプロセスの間に生成される。通常、有用な材料は、供給原料として役立った廃棄物、低価値材料またはその他の材料よりも高い経済的価値をもつ材料であるとみなされている。かかる有用な材料は、たとえば、より高い含熱量を有することができ、そうでなければ、それらの材料が由来した供給原料よりもさらに広い範囲の利用分野を有する可能性がある。
【0057】
本発明のプロセスは、図1および2に示されている通り、数多くの段を含んでいる。図1は、本発明のプロセスの一実施形態の主たる特長を概略的に示している。図2は、本発明に従ったプロセスを実施するための装置の一例200を示している。
【0058】
図1に示されている未処理供給物100は、潜在的に、あらゆる廃棄物または低価値の有機および/または無機流でありうる。好ましくは、未処理供給物は実質的な量の炭素含有材料を含有している。
【0059】
未処理供給物100は、調製段110に付される。調製段の1つの態様は、パルプ化およびその他の技術を用いて未処理供給物のサイズを圧送向けに適したサイズに縮小することにある。該調製段は、1つ以上の段を含むことができ、未処理供給物に材料を加えることまたは未処理供給物から材料を除去することを含む可能性があり、結果として、第1段120に移送されるスラリーをもたらす。スラリー化には、未処理供給物100に対し、その初期含水量に応じて、水(またはその他の適切な流体)を添加する作業が関与する。スラリーの使用は、調製段110にあるような湿式粉砕が摩擦およびエネルギー消費を削減することおよびスラリーが1つの装置からもう1つの容器までポンプにより容易に移送され得ることから、有益である。適切なスラリー化装置としては、パルプ化装置、インライン研削機または浸軟装置がある。スチームおよびガスの混合物121が調製段110から外に提供される。
【0060】
第1段120では、スラリーは熱および上昇した圧力に付され、ここでスラリーは、第1段反応とも呼ばれる第1の反応を受ける。このような熱および圧力条件は、スラリーの生物学的成分の細胞構造の化学変化を導き、タンパク質、脂肪、核酸および炭水化物といったような構成分子を放出する。さらに、数多くの重合体有機材料がスラリー内の水により加水分解されてより単純な有機生成物となる。特に、脂肪は部分的に分割されて、(カルボン酸基を含有する)脂肪酸といったような浮動性有機材料および水溶性グリセロール(すなわち、3個のヒドロキシル基を含有する分子)を提供し得る。タンパク質は、通常、より単純なポリペプチド、ペプチドおよび成分アミノ酸に分解される。炭水化物は、より単純な水溶性糖へと分割される。さらに、第1段の水の存在は、それが供給原料に熱を運ぶのを助けることから有利である。
【0061】
本発明の実施形態と併せて用いられている「反応する」、「反応性」および「反応」という語は、数多くの異なるタイプの化学変化を包含し得るものとして理解すべきである。特に、「反応」という語は、1つ以上の生成物を発生させる2つ以上の種の組合せまたは会合から生じる化学的変化を包含することができ、温度、圧力または電磁放射線の衝撃、の条件により誘発されるような単一の種の化学変化または変換が関与するその他のタイプの分解または転換を包含でき、さらには加水分解といったような溶剤が関与する変換をも包含し得る。本書で1つのプロセスを描写するために「反応」または「反応する」という語が使用されている場合には、2つ以上の化学的変化が同時に起こっている可能性があるということをさらに理解すべきである。かくして、1つの反応には、たとえば、加水分解および分解が同時に関与し得る。
【0062】
スチームと気体生成物の混合物126は、通常、第1段120内でスラリーから遊離させられる。第1段の結果得られた反応済み供給物122は、通常、反応済み固体生成物の混合物および反応済み液体生成物混合物で構成されている。これらのさまざまな生成物は、通常、油相、水相および湿潤鉱物相として特徴づけされる。水相および油相は、通常、さまざまな溶解済み有機材料を含有している。第1段120で生成されたスチームと気体の混合物126は、好ましくは凝縮器により分離され、スチームは流入スラリーを予熱するために用いられる。
【0063】
反応済み供給物122はこのとき、スチームおよび気体のさらなる混合物132が除去されその他の材料が分離される分離段130に付される。好ましくは、この段で得た固体材料は、炭素固体が流入供給原料内に存在したのでないかぎり、炭素固体を含んでいない。分離段130は2回以上の個別の分離を含み得る。
【0064】
分離段130からの残留材料は、有機液500および生成された水138(可溶性物質を伴う水)を含む液体生成物の混合物を含む。有機液500は、通常、第1の反応からの反応済み液体生成物といったような炭素含有種の混合物を含有する液体である。好ましくは、生成された水138の大部分が分離され、有機液500といったような液体生成物が第3段140へと導かれる。かくして、有機液は、好ましくは、水から分離され大部分のケースでは同じく反応済み固体生成物からも分離された反応済み液体生成物を含む。生成された水138は、硫黄および塩素含有材料を含む数多くの化合物を含有し、好ましくは濃縮のため迂回させられる139。かかる化合物を分離することが望ましく、好ましい実施形態では、濃縮が凝縮物151(その純度は都市濃度の廃水よりも通常優れたものである)および濃縮物153(これは数多くのケースにおいてフィッシュソリュブルと類似した液体肥料として使用可能である)。
【0065】
有機液500の一部分は、たとえば、有機液の分留を介して脂肪酸またはアミノ酸といったような有機スペシャルティーケミカルズ143を形成するために任意の分離137へと迂回させることができる。スペシャルティーケミカルとして有用でない画分を含む往々にして「重液」と呼ばれる分画済み液145である残留画分は、第3段140へと再度導かれ得る。
【0066】
供給原料が都市下水汚泥である場合、第1段反応からの反応済み供給物122は、生成された水、有機および無機材料の固体マトリクス、および少量の有機液を含む。都市下水汚泥からの生成された水は、その後、肥料として応用される生成物を形成するべく濃縮のために迂回させられる。
【0067】
第3段140においては、有機液500は、それが第2の反応を受ける条件に付される。該有機液が、同じく第3段に移される反応済みの固体生成物を幾分かの数量だけ含有していることも可能である。有機液および反応済み固体生成物を合わせて固体マトリクスと呼ぶことができる。第2の反応では、有機液は、通常、炭素固体142を含む有用な材料の混合物および通常の炭化水素蒸気およびガス148として放出される炭化水素混合物へと転換させられる。かかる転換には、有機液内の1つ以上の材料の化学変化が関与し得る。第3段における適切な条件は、通常、第1段と比べて上昇した温度を用い、かつ、第1段に比べて減少した圧力を使用する。第3段には、通常、付加水の使用が関与していない。
【0068】
炭素固体142は、通常、コークス、すなわち燃料として用いるのに適した高い熱量値をもつ通常硬質の炭素質材料である。炭素固体142は好ましくは、酸素欠乏雰囲気中での炭素含有材料の焼却の結果として、通常にもたらされる、あったとしてもごくわずかな不燃性鉱物を含有している。炭素固体142の鉱物含有量は、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、さらに一層好ましくは2重量%未満、そして最も好ましくは1重量%未満である。炭素固体142が鉱物を含有する場合、これらは同様に、炭素−鉱物マトリクスとしても記述され得る。
【0069】
炭化水素蒸気およびガス148は、生体材料が本発明のプロセスに対する供給原料である場合、つねに「生体由来炭化水素」と呼ばれる。炭化水素蒸気およびガスは、未加工供給原料がタイヤ、ゴム、またはプラスチックをそれぞれ含む場合に、「タイヤ由来」、「ゴム由来」または「プラスチック由来」としてさまざまに呼称され得る。炭化水素蒸気およびガス148は、通常、場合によっては非炭化水素ガスの幾分かの微量不純物を伴う炭化水素ガスを含む。該炭化水素ガスは燃焼ガス146といった気体を含み、炭化水素蒸気は、#2ディーゼル油の軽量成分といったような液体または油144へと容易に凝縮され得る。当業者であれば、#2ディーゼル油が、比較的低い粘度または密度をもつ油であることがわかる。
【0070】
供給原料が都市下水汚泥である場合、第3段からの固体生成物は、通常、固体形態で、炭素を伴う鉱物混合物、燃料ガス、炭化水素油の混合物を含む。
【0071】
本発明のプロセスの運転パラメータを、1つ以上ケースにおいて、異なるタイプの未処理供給物材料に対応するように調整することが可能である。たとえば、七面鳥臓物といった未処理供給物の状況においては、主要な成分は、動物性脂肪、タンパク質、炭水化物および鉱物である。かくして、主要成分の平衡は本発明の運転条件の幾つかの様相を決定し得る。さらに、第1および第3段反応器の温度範囲は、特定の生成物を生成するように制御可能であり、かくして、さまざまな生成物の収量から得ることのできる経済的価値を最大限にすることができる。
【0072】
本発明によるプロセスを実施するための装置200が、図2に示されている。本発明の教示に基づいて、装置200のさまざまな構成要素の組立ては、プロセスエンジニアリングまたはケミカルエンジニアリングの当業者の技能範囲内に入るものであると思われる。従って、当業者にとっては見慣れたこのような技術的詳細は、本明細書では省略される。
【0073】
供給原料の調製およびスラリー化は、供給原料調製装置210内で実施可能である。供給物調製および供給物スラリー化の後、スラリーは、供給物貯蔵タンクと呼ばれる低圧排出式容器220へと移行させられる。好ましくは、供給物は、任意には第1段反応器に入る前に加圧される、加熱済みスラリーを生成するべく、供給物貯蔵タンクの中でまたはその前に加熱される。このような加熱および加圧は、通常、スラリーを保持するための容器、スラリーの圧力を増大させるためのポンプおよびスラリーを加熱するための熱交換器を含む機器の中で行なわれる。供給物スラリーを液体状態に保ち生物学的活性を制限するために、約140°Fおよび1PSIという条件が通常に利用される。好ましい実施形態においては、供給物貯蔵タンクは第1のタンクと第2のタンクを含んでいる。このような好ましい実施形態においては、第1のタンクは、約140°F(約60℃)の温度まで加熱され、約1psiの圧力に付される。第1のタンク内のこのような条件は、事実上生物活動の停止をもたらす。1つの実施例では、このような第1のタンクは、約100万USガロンの容量を有し得る;かくして、100〜150ガロン/分の処理量について、かかるタンク内の有効滞留時間は約700分である。かかる実施形態における第2のタンクは、約300°Fの温度に維持され得、中味を最高約100psiの圧力に付す。圧力は、一般に、一定の与えられた温度で混合物の飽和圧力よりわずかに高いものである。たとえば、混合物の飽和圧力は、約300°F(約150℃)で66psiである。第2のタンク内の条件は、通常、スラリー内のタンパク性材料を分解し、スラリーを緩め、アンモニアを除去するのに充分厳しいものである。第2のタンクの容量は第1のタンクのものよりも通常少なく、2500USガロンという少量のものであり得る。かくして1つの実施形態においては、毎分約40ガロンの流量が、第2のタンク内での約1時間の滞留時間を与える。第2のタンク内での、たとえば、数時間という特定の供給原料についてのより長い好ましい滞留時間は、より低い流量で達成可能である。
【0074】
本発明の第1段は、スラリーの構成材料の滞留時間の分布が狭くなるような形で、好ましくは多重チャンバ容器を含む第1段反応器230の中で実施される。1つの変形形態においては、第1段反応器は同様に、オーガー付き反応器でもあり得る。好ましくは、容器にはバッフルおよびチャンバの各々の中にスラリーを同時に撹拌できる多重ブレード式電動攪拌機が備わっている。好ましい実施形態においては、かかる容器内には4つのチャンバが存在する。もう1つの好ましい実施形態においては、スラリーの加熱はこの容器の前のいくつかの段で行なわれる。
【0075】
第1の反応後の反応済み供給物のフラッシングは、通気孔付きのフラッシュ容器240(「第2段分離器」)の中で達成可能である。好ましくは、フラッシュ容器240内の圧力は、第1段反応器230内のものよりも著しく低い。1つの実施形態においては、第1段反応器内の圧力が600psi前後である場合に、フラッシュ容器内の圧力は約300psiである。
【0076】
第1段反応器230由来の供給物のさまざまな第2段分離を達成するために、さまざまな機器を使用することができる。好ましくは、かかる分離は、スチームおよび気体132、有機液500、鉱物134および可溶性物質を伴う生成された水138の混合物を提供する。スチームおよび気体132は、好ましくは調製段に戻るように迂回されて供給物の加熱を補助する。
【0077】
有機液および水からの鉱物の分離は、遠心分離器、ハイドロサイクロンまたは静止タンクで達成可能である。鉱物134の乾燥は、たとえば、乾燥窯または「リング」乾燥器といった、その他の鉱物乾燥器(図2には図示せず)を用いて達成可能である。(一の変形形態においては、分離は、エマルジョンを破壊する化学物質を添加することによって容易になる)。
【0078】
水から有機液を分離した結果得られる可溶性物質を伴う生成された水138は、業界で標準的に入手可能なタイプの蒸発器250の中で濃縮可能である。鉱物および水から分離された有機液500は、第3段反応器260への移送に先立ち有機液保持容器252内に収納され得る。このような保持容器は、業界で通常に用いられているような普通の貯蔵容器であってよい。
【0079】
有機液500の一部を迂回させて1つ以上のスペシャルティーケミカルを得ることができる。通常、これには、有機液を分留に付すことが関与する。分留に付される有機液は、通常、蒸留塔254内で蒸留される。有機液は、蒸留塔に移行させる前に微量アミノ酸を分離するよう酸洗いに付され得る。脂肪酸といったような有機液からのより揮発性の高い材料が蒸留され収集される。蒸留塔の底部に見られる不揮発脂肪および脂肪誘導体といったようなさらに重い材料はことごとく第3段反応器260上に移行させられる。
【0080】
第2段分離に由来する有機液は同様に第3段反応器260まで移行させられ、ここで、有機液が炭素固体142および油といった1つ以上の有用な材料へと転換させられる第2の反応が起こる。第3段反応器に由来する油は、油144と燃料ガス146を生成するべく、分離器270内でのさらなる分離に付されてもよい。該分離には、油をさまざまな段で凝縮させることそして貯蔵容器内の油貯蔵庫280へとそれを迂回させることが含まれる。第3段反応器に由来する炭素固体142は冷却され、同じく貯蔵されてもよく、そうでなければさらに加熱され、次に当業者にとって既知のものである方法に従って活性化するように処理されてもよい。たとえば、炭素固体は追加の反応器内で加熱し、過熱スチームの注入により活性化させることができる。
【0081】
以上で論述した通り、未処理供給物材料の一例としては、農業および食品加工業からの廃棄物が含まれる。かかる廃棄物は、翼、骨、羽毛、器官、皮ふ、頭、血液および首、軟組織、つめおよび毛といったような動物の一部分を含み得る。標準的な動物の一部分は、食肉処理場からの七面鳥臓物および死がいの残物中に見られるものである。本発明の方法で処理するのに適している食品加工業由来のその他の廃棄物としては、バーガーフランチャイズなどのファーストフード組織からの未使用油脂、および食品加工工場からの気泡浮上分離法(「DAF」)汚泥といった材料が含まれる。農業廃棄物には、羊、豚および畜牛からの糞、ならびに鶏の残物および作物残留物などのその他の材料も含まれる可能性がある。図3〜5に例示されている実施例では、未処理供給物100は、七面鳥臓物といったような食品加工副産物である。
【0082】
図3に示されているように、未処理供給物100は、最初に、スチームおよび気体121が伴う供給物スラリー112を生成するべく、調製およびスラリー化110に付される。スラリー112は、熱交換器114を介して、供給物貯蔵タンク(「FST」またはホモジナイザ)内の貯蔵庫320まで移送され得る。FST内では、中味は、粘度を低下させ、スラリーを生物学的に不活性化し混合を助けるために、通常、約60℃〜約150℃の温度まで予熱される。中味はFST内で混合されて、第1段反応器へと移行させるのに適した比較的均質の供給物であるコンディショニングされた供給物スラリー322を生成する。貯蔵中、スチームおよび気体不純物338は、好ましくは排出される336。かくして、本発明の1つの利点は、本発明のプロセス全体の中の早期段で望まれていない気体不純物が除去されるようにFST内で脱気が起こるという点にある。供給物スラリー112は、本発明の方法によりさらに処理されるのに充分なものとなるまで、任意の適切な時間、供給物貯蔵庫320内にとどまることができる。好ましくは、FSTは、供給物を加圧しそれを第1段反応器まで輸送する高圧スラリーポンプに一定の供給原料流を供給する。
【0083】
七面鳥臓物といったような著しい量のアンモニア(NH)を含有する未処理供給物材料については、遊離アンモニアがスチームおよび気体121の1成分である調製の間か、または、それがスチームおよび気体不純物338と共に排出される貯蔵320の間に、この遊離アンモニアを除去することが有利である。1つのアンモニア供給源は、動物の身体部分の集合体の中に往々にして存在する尿残留物中に見出される尿酸の化学反応にある。アンモニア除去方法は、当業者の知識範囲内にあり、スラリー化に先立つ尿含有量の分離、酵素分解の使用および加熱を含むが、これらに制限されるわけではない。さらに、アンモニアは、硫酸アンモニウムまたはリン酸アンモニウムといった塩へと酸性化により転換可能である。好ましい実施形態においては、FSTは、異なる条件に維持された2つの容器を含んでいる。第1のこのような容器は、貯蔵の役目を果たし、第2の容器はタンパク質の破壊をもたらし、アンモニアを放出する。
【0084】
供給物貯蔵庫320から現われるコンディショニングされた供給物スラリー322は、第1の反応330に付され、ここで、コンディショニングされた供給物スラリー322内の含水量が、存在する生体高分子の多くを加水分解する。固体が懸濁状態に保たれるように、(ミキサーおよび/または再循環装置により提供される)充分な撹拌が、提供される。第1の反応は、通常、約5〜約60分かかる。第1の反応からの産出物は、反応済み供給物122である。通常、スチームおよび気体339が、同様に第1の反応から放出される。
【0085】
第1の反応330において、窒素および硫黄化合物の部分的除去が起こる幾分かの脱ガスが行なわれ、著しい量のタンパク質もアンモニアおよび潜在的には二酸化炭素といった生成物へと解離する脱アミノ化および脱炭酸反応が起こり得る。実際には、本発明のプロセスのためには、二酸化炭素以外の生成物が、水溶性および揮発性である傾向をもつアミンであることから、脱炭酸反応は望ましくない。かくして、一般的には、脱炭酸反応よりも脱アミノ化反応が好まれ、第1段から得た反応済み液体生成物は、通常、該供給原料がタンパク質および脂肪といった材料を内含する場合カルボン酸を含む。したがって、脱炭酸反応は脱アミノ反応よりも高い温度で起こることから、第1の反応は好ましくは、脂肪分子が分割させられる考えられる最低の温度で実行される。1変形形態としては、酸を加えかくして脱炭酸反応を阻止することにより第1段のpHを変化させることができる。
【0086】
この段および先行する予熱段での窒素および硫黄化合物の除去は、第3段反応器を通して処理済み状態となり得た場合結果として得られる生物由来の炭化水素の望ましくない成分となり得る有機窒素化合物、アンモニアおよびさまざまな硫黄化合物の形成を防止する。
【0087】
この例の中で第1の反応を実施するための通常の条件は、第1段反応器内で得ることができるように150℃〜330℃の間であるが、好ましくは、250℃前後であり、50気圧前後または約600psiである。一般に、第1段反応器内の圧力は、20〜120気圧の範囲内にある。合計予熱および第1段加熱時間は最長120分前後である。かかる条件は、使用すべき供給物に応じて変動し得る。PVCを含有する供給原料に応用される通りの本発明の1形態においては、第1段での運転温度は充分に高いものであり、その後洗浄段が続いており、かくして、塩素含有生成物が除去されるようになっている。
【0088】
一般に、第1の反応は、以下の3つの変換のうちの少なくとも1つが実施され得るような形で約150℃〜約330℃の範囲内の温度で実施される。第1に、タンパク質は、それらを構成する個々のアミノ酸残基まで変換される。これは、約150〜220℃の範囲内の温度でタンパク質の主鎖内でアミノ酸残基の各対の間のペプチドアミドリンケージを加水分解させることにより達成可能である。第2に脂肪分子を脂肪酸分子まで化学変化させることができ、これは、200〜290℃の範囲内で起こり得るプロセスである。脂肪は、遊離脂肪酸およびグリセロールを形成するべくグリセリドを分割するように加水分解される。第3に、第1段でアミノ酸の脱アミノ化および脱炭酸反応が発生し得る。カルボン酸基は、そのそれぞれのアミノ酸部分になおも付着した状態で、第3段反応器まで進むことができる場合、すべて比較的穏やかな運転条件で炭化水素へと転換されることになる。さらに、一部のアミノ酸が脱アミノ化を受けてもよく、これは、210〜320℃の温度範囲内で通常に発生するプロセスである。かくして、第1段だけで、スラリー内に存在する事実上すべてのタンパク質が、比較的低い第1段運転温度でアミノ酸に転換されることになる。さらに、アミノ酸脱アミノ化の程度は、第1段運転温度を賢明に選択することにより制御可能である。
【0089】
当業者であれば理解できるように、第1段反応器が作動する実際の条件は、利用される供給原料に応じて変動することになる。たとえば、動物の臓物は、通常、約200℃〜約250℃の範囲内の第1の反応温度を利用する。都市下水汚泥は、通常、約170℃〜約250℃の範囲内の第1の反応温度を利用する。混合プラスチックを含む供給原料は、通常、約200℃〜約250℃の範囲内の第1の反応温度を利用する。タイヤは、通常、約250℃〜約400℃の範囲内の第1の反応温度を利用する。本発明のプロセスの第1段反応器内のタイヤ処理用の通常の運転条件は、重量比で1:1以下の溶剤対タイヤ比で、275℃、300psiとなるだろう。一定の与えられた温度についてのこのような処理圧力は、その他のタイヤ処理方法において報告されたものよりもはるかに低く、したがってより経済的である。
【0090】
タイヤ処理の第1段には同様に、塩素といったような元素を含有する材料の除去のための水も関与し得る。好ましくは、このような材料は、通常の運転条件下でほぼ完全に除去される。タイヤ材料、溶剤および水は、第1段のために混合され得、そうでなければ、タイヤを溶剤および水と逐次的に接触させることもできる。
【0091】
第1段反応器内の圧力は、通常、問題の運転温度での水の飽和圧力に近い圧力になるよう選択される。該飽和圧力は、水を沸騰させないように保つために一定の与えられた温度で加える必要のある圧力であり、同様に、精製済み供給物スラリー内のその他の気体の存在および数量によって左右される。反応器内の合計圧力は、スラリー混合物内の水の蒸気圧よりも高く、かくして、水が煮沸しないようになっている。圧力は、好ましくは45〜55気圧の範囲内にあり、40〜60気圧の範囲であってよく、また30〜70気圧の範囲内にあってもよい。通常、圧力は、供給物調製、供給物貯蔵または第1段反応器から望ましくない気体を排出できる(336)ように飽和より上最高0〜100psiおよび0〜100psiの範囲内の量だけ調整される。
【0092】
本発明の1つの利点は、供給物調製110、供給物貯蔵320および第1反応中の排出により、アンモニア、二酸化炭素および硫黄含有ガスといったような気体不純物を除去することができるという点にある。通常、第1の反応330は、さまざまな生体材料中の硫黄含有部分の化学変化に由来する硫黄含有ガスを発生させる。主な硫黄供給源は、その多くがシステイン残基間の硫黄架橋を有するタンパク質分子である。硫黄含有ガスは、通常、硫化水素(HS)およびメチルメルカプタンといったようなメルカプタン(アルキル−硫黄化合物)である。さらに、硫化カルシウム(CaS)といった一部分の塩を生成することができる。これらは、通常、その後の段の間に分離される。
【0093】
第1の反応の後、通常、少なくとも1つの反応済み液体生成物および少なくとも1つの反応済み固体生成物および水を含む反応済み供給物122は、さらに低い圧力にフラッシングされ(340)、第1の反応に先立つ加熱段まで戻るように余剰の熱を放出できるようになる。通常、フラッシングは、好ましくは2段〜3段の多重減圧を通して達成される。フラッシングの効果は、反応済み供給物に付随する残留スチームおよび気体132を換気することにある。減圧を介した脱水は、水が熱を用いずに除去されることから効率の良いものである。余剰の熱の効果的な使用は、熱回収として知られ、本発明のプロセスのさらなる進歩を表わしている。第1の反応が、その他の気体339と共にスチームとして排出可能である水を用いるという事実は、効率の良いエネルギー回収と結びつく。水およびスチームは熱交換において有効であり、1つ以上の凝縮器を用いて第1の反応の前の加熱段に再度導かれ得る。凝縮器は、かなりコンパクトで効率を促進する。かくして、反応済み供給物122から排出されたスチームおよび気体132は同様に、好ましくは流入する供給物を加熱し第1の反応の温度を維持する上で一助となるように用いられ、かくして本発明のプロセスのエネルギー損失を減少させる。スチームおよび気体339は、供給物貯蔵庫320の前に設置された1つ以上の熱交換器まで移行され得る。蒸気は、同様に、一部のケースで流入供給物100内に直接戻すように注入されてもよい。好ましくは、第1の反応330からのスチームおよび気体339は、熱交換器114への移行に先立ちスチームおよび気体132と組合わされる。
【0094】
熱交換器114内では、スチームおよび気体は互いに分離される。スチームの大部分は凝縮して、凝縮物151を提供する。好ましくは、この凝縮物は、以下でさらに記述する本発明のプロセスのその後の段の結果としてもたらされる「生成された水」と組合わされるように再度誘導される。残留する少量のスチームが気体と共に排出される116。好ましくは、これらの排出された気体は、燃料ガスを提供するべく本発明のプロセスのその後の段によって生成されるその他の気体と組合わされる。
【0095】
反応済み供給物がフラッシングされ340、熱が回収された後、中間供給物400は、通常、少なくとも1つの反応済み液体生成物、少なくとも1つの反応済み固体生成物および水を含む。少なくとも1つの反応済み液体生成物は、通常、有機液の一成分であり、少なくとも1つの反応済み固体生成物は、通常には鉱物を含む。中間供給物は、好ましくは実質的に気体生成物を含まない。
【0096】
図4は、中間供給物に適用される一連の分離を示している。第1の反応の結果もたらされる中間供給物が、第3段反応内での処理の前に鉱物および水を除去する1つ以上の分離段に付されるということが、本発明のプロセスのもう1つの利点である。分離段は、遠心分離機、ハイドロサイクロン、蒸留塔、ろ過装置およびスクリーンといった分離用機器を使用し、中間供給物400から非常に細かい炭素固体を除去するために蒸留を用いることもできる。一般的には、さらなる減圧によってより多くのスチームが回収され、鉱物およびその他の固体を回収するための固体/液体分離が容易になる。
【0097】
通常、有機液、水および鉱物を含む中間供給物400は、好ましくは大部分の鉱物412を除去し灰分の少ない有機液と水の混合物414を生成する第1の分離410に付される。かかる分離は固体/液体分離として特徴づけされ、たとえば、重力沈降といったような機械的または非機械的方法により、第1の遠心分離機を用いてまたは液体/固体分離装置を介して達成可能である。分離された鉱物412は、通常、湿潤で、かくして、乾式鉱物貯蔵庫430に移行させる前に乾燥段420に付される。乾燥段は、標準的には、通常の大気条件下で行なわれる。結果として得られた乾燥鉱物には、土壌改良またはその他の工業前駆物質として多大な商業的利用分野が考えられる。
【0098】
有機液/水混合物414は、水を除去し有機液500を残すため第2の分離440に付される。かかる第2の分離は、第2の液体/液体遠心分離機(または、その他の分離装置)を用いて達成し得る。重量差により、生成された水および有機液の遠心分離が可能となる。除去された生成された水138は、タンパク質の化学変化に由来する一部の水溶性アミノ酸およびグリセロールといった溶解した小さな有機分子を著しい量含有している。生成された水は、同様に、通常、塩化物不純物を内含している。第3段反応に先立ちこのような不純物を分離することは、こうしてその後の生成物が汚染されなくなるため、本発明のさらなる利点を表わしている。
【0099】
生成された水138は、蒸発などによる濃縮139に付されてよく、かくして、本発明のプロセス内で再循環され得る水凝縮物151および濃縮物貯蔵庫460に送り出される濃縮物153を生成する。蒸発は、通常、わずかな真空を適用することによって達成される。主としてアミノ酸、グリセロールおよび潜在的には硫酸アンモニウムまたはリン酸塩といったようなアンモニウム塩のスラリーを含む凝縮物は、通常、たとえば、ガーデニング用品店で販売されている「フィッシュソリュブル」として知られる肥料などとして商業的価値を有することになる。
【0100】
本発明は、2つの段階を含む分離段に制限されないということを理解すべきであるまた、本発明は、いずれかの分離段階が実施される順序によっても制限されるものではない。かくして、有機液、鉱物および水といったような生成物への中間供給物400の分離が単一段階でまたは3つ以上の段階で起こったとしても、そのことは本発明と矛盾しない。さらに、一部のケースでは、設計上、有機供給物内に鉱物が残されていてもよく、かくして、第3段処理に先立ってその分離が行なわれる必要はない。
【0101】
本発明の一実施形態でタイヤを処理する場合、有機液の一部分を、ゴム製品製造用の脱硫されたタイヤ供給原料である最終生成物として使用することができる。
【0102】
図5は、図4の分離段の結果として得られる有機液500か、1つ以上の有用な製品を生成する目的で第3段140に付される本発明のプロセスの一段を示している。有機液500は、通常、それがさらに加工される前に保持用容器まで進む。
【0103】
有機液500の一部分または全ては、任意には、1つ以上のスペシャルティーケミカル143を生成するべく第3段140に先行する処理をするため誘導され得る。このような任意のプロセスに従うと、有機液500の所望の一部分が、通常、分留510といったような分離プロセスに付されるか、または、当業者であればわかるように、もう1つの化合物を形成するべくアルコールといったような化合物と反応させられる。かかる分離プロセスは、スペシャルティーケミカル143を生成し、トリグリセリド油といったようなさらに高分子量の有機分子を含む「重液」と往々にして呼ばれている分留された液145を残留させる。分留液145は、有機液500へと類似の要領で処理するため第3段140へ再度導かれ得る。
【0104】
スペシャルティーケミカル143は、通常、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドまたは一定範囲のアミノ酸といったような有機化合物である。好ましくは、スペシャルティーケミカル143は、脂肪酸である。より好ましくは、スペシャルティーケミカル143は、C12−20範囲内の脂肪酸である。より一層好ましくは、スペシャルティーケミカル143はC16−20範囲内の脂肪酸である。スペシャルティーケミカル143が脂肪酸アミドおよび脂肪酸エステルである場合、これらは通常、脂肪酸との反応により形成される。七面鳥臓物といったような供給原料から結果として得られるスペシャルティーケミカル143は、潤滑油およびコーティングおよび塗料として利用され得る。
【0105】
第3段140では、有機液500の含水量はほぼゼロであり、そのため、第3段の条件は、余剰のまたは付加された水またはスチームによる加水分解によってではなく、むしろ高温の付加によって残りの有機分子が大部分化学変化されることになるようなものとなっている。第3段を実施するための標準的条件は、第3段反応器内で得ることができるように、400℃前後である。第3段は、通常、約5分〜約120分かかる。実際には、液のさまざまな相が第3段反応器内で異なる時間量を必要とする。たとえば、蒸気は、比較的迅速に通過し、液体はさらに長い時間を必要とする。第3段からの産出物は、別々に、二酸化炭素、COおよび窒素および硫黄含有化合物などの気体、および炭化水素蒸気の混合物148および炭素固体142を含む。炭素固体142は好ましくは上質コークスに似たものである。炭化水素蒸気およびガスの混合物148は、通常、油蒸気を含有する。第3段の条件は、好ましくは、炭素固体142および炭化水素蒸気およびガス混合物148の純度を最適化するように選択される。炭化水素蒸気およびガス混合物148といったような高温蒸気の急冷は、反応を停止させ、第3段の後の炭素炭化物の形成を最小限におさえる。好ましい実施形態においては、蒸気の急冷は、ドラム一杯の水の中に蒸気を導くことによってか、または熱流体および冷却媒体を用いた多重急冷段階によって達成できる。かかる多重急冷段階が利用される場合、さまざまな画分を別々の商業的利用分野へと迂回させ得るように油から多数の留分(ディーゼル、ガソリン、など)を取り出すことが有利である。代替的には、もう1つの実施形態において、油蒸気を流入有機液の存在下で急冷し、かくしてエネルギー回収をも容易にすることが可能である。
【0106】
一般に、第3段は、約310℃〜約510℃の範囲内の温度で実施され、以下の2つの変換のうちの少なくとも1つを実施できるようになっている。第1に、脂肪酸が炭化水素に化学変化される。これは、約316〜400℃の範囲内の温度で各々の脂肪酸分子からカルボキシル基を除去することによって達成可能である。第2に、炭化水素分子自体が、「クラッキング」されて、より低い分子量の分子の分布を形成し、このプロセスは、約450〜510℃の範囲内で起こり得る。しかしながら、通常、炭化水素クラッキングは約480℃を超える温度で発生する。好ましくは、第3段は、第1段の温度よりも高い温度で実施される。第3段に適用可能な本書で記述されている温度は、本発明の原理から著しく逸脱することなく変動させることが可能である。たとえば、第3段は、約300〜525℃の温度範囲内ならびに400°〜600℃の範囲内で有効に実施可能である。一部の実施形態では、第3段反応器の温度は、約400℃〜約510℃の間である。
【0107】
さらに、少なくとも1つの実施形態においては、第3段反応器は、約15psig〜約70psigの間、すなわち、大気圧より約15psi高い圧力から大気圧より約70psi高い圧力までの圧力までわずかに加圧されている。好ましくは、第3段反応器内の圧力は、第1段反応器内のものよりも低い。
【0108】
第3段から生成された炭素固体142は、通常、まず最初に、炭素がその余熱を失なうことのできる炭素固体冷却器630へと移行させられる。冷却後、炭素固体142は、炭素貯蔵庫540まで移行させられ、数多くの有用な利用分野のために販売され得る。たとえば、炭素は、土壌中のバクテリアの多くが炭素供給源を必要としていることから、家庭園芸で使用するための「土壌改良」として販売され得る。特に、生成される炭素は、数多くの形態の「活性炭」に類似した品質をもち、かくして、自動車における排出蒸気を吸収するための材料として、または家庭用浄水器内での用途のために利用される。さらに、炭素は、その純度レベルのため、石炭といったような固形燃料としても利用できるが、石炭製品において、通常に見られる汚染物質の燃焼から生じる有毒排気を生成するという欠点は無い。同様に、本発明のプロセスの結果得られる炭素固体のような炭素添加物の使用により、土壌基盤内で数多くの環境毒物を中和することができる。
【0109】
炭素固体142の代りに、または炭素固体142に加えて、本発明のプロセスによって生成される有用な生成物は、精炭であり得る。精炭は、未処理供給物が未加工石炭である場合に生成される。本発明のプロセスにより生成される石炭微粉が有利にも、標準的に入手可能な未加工石炭よりも少ない硫黄および塩素含有汚染物質しか含まないということが発見された。本発明のプロセスによって生成された石炭のこれらの特性により、この石炭は、きれいに燃える燃料の供給源として特に魅力あるものとなっている。
【0110】
第3段反応器により生成された炭化水素蒸気およびガスの混合物148は、通常、燃料ガス146と炭化水素油144へと該混合物を分離する冷却器/凝縮器850まで導かれる。燃料ガス146は、発熱量を有し、それ自体、さまざまな段での加熱のためのエネルギーを提供する目的で本発明のプロセス内で内部的に再分配され得、そうでなければ、外部または内部で使用するための電気またはその他の形態のエネルギーを生成するために使用することもできる。油144は、通常、20以下の炭素原子しかもたない炭素鎖を有する炭化水素を含む。この点において、該混合物は、#2グレードのディーゼル油といったような燃料油の軽量成分と似ている。このような製品は同様に市販されている。しかしながら、油144の精確な組成は、供給原料により左右されるということを理解すべきである。かくして、供給原料がタイヤからなる場合に得られる油の組成は、該供給原料が七面鳥臓物である場合の組成とは異なっている。高い脂肪含有量をもつ供給原料の結果としての油が、オレフィンおよびジオレフィンを富有している、ということが発見された。望ましくない場合、かかるオレフィンは再飽和または分離方法によって油から除去され得る。
【0111】
未加工供給原料がタイヤである場合、(この場合はタイヤ由来の炭化水素である)炭化水素油144から得られる最終段の油は、当該技術分野において現在利用されているその他の溶剤と比べてタイヤにとってさらに優れた溶剤であることが発見されている。「似たもの同士が溶解する」という一般的化学原理にしたがうと、最終段の油は究極的にタイヤに由来することから、その化学的性質は、もとのタイヤに類似しており、したがって、それはタイヤにとって優れた溶剤である。本発明のプロセスで使用された未処理供給物がタイヤを含んでいる場合、タイヤ由来の炭化水素の少なくとも一部分は、投入された未処理供給物へと再度導かれて、スラリーの調製に先立ちまたはその間のその溶解を補助する。通常、タイヤ由来の炭化水素は、約100℃〜約350℃の沸騰範囲を有する。好ましい実施形態においては、タイヤ由来の炭化水素は、タイヤへの適用に先立って加熱される。もう1つの実施形態においては、タイヤ由来の炭化水素はタイヤに適用され、混合物は約200℃〜350℃の間の温度まで加熱される。最終段の油生成物を使用することにより、その他の溶剤の反復的に発生するコストおよびその補給量が削除される。
【0112】
本発明のさまざまな実施形態において、最終段油の全範囲の成分またはこれらの成分の一部分のみを使用してタイヤを溶解させることができる。好ましくは、タイヤ由来の炭化水素の全てが、投入された未処理供給物に再び導かれる。もう1つの実施形態においては、最終段の重油生成物のみがこの要領で再度導かれる。成分の一部分が用いられる場合、溶剤の各部分への分離は、最終段処理または第1段処理のいずれかの間に起こり得る。溶剤としての最終的油生成物の使用により、本発明のプロセスは、その他のアプローチに比べてはるかに経済的なものとなっている。この油は、通常任意の与えられた機会に処理すべき第1のタイヤバッチのために利用可能とはならないことから、タイヤの初期化学変化を助けるために、もう1つの溶剤を付加的に利用することができる。かかる溶剤はトルエンである;その他のものも当業者には既知である。
【0113】
未処理供給物が都市下水汚泥である場合、無機材料からの有機材料の分離を容易にすることが好ましい。したがって、好ましい実施形態においては、炭化水素油144の一部分、この場合生体由来の炭化水素が、材料を浮遊させる一助となる目的で、未処理供給物または第1の反応の生成物に対して再度導かれる。その他の実施形態では、たとえば、ファーストフードアウトレットから得られるような阻集油脂といったような材料を使用することができる。材料の浮遊の背後にある原理は、水より軽い材料が、水より重い有機材料の浮遊を補助するために未処理供給物または第1の反応の生成物に導入され、かくして無機材料からの有機材料の分離が容易になる、というものである。その結果、そうでない場合に比べ遠心分離が容易な汚泥が得られる。
【0114】
本発明のプロセスのさらなる利点は、生成物の全てがDNAおよび病原体を含んでいないという点にある。すなわち、それらは、動物の細胞、バクテリア、ウイルスまたはプリオンに由来する病理材料を含まない。かかる材料は、本発明のプロセス内を無傷で生き延びることはない。このような分子が食物連鎖内に再度入り得る危険性が存在すると思われる農業利用分野に本発明のプロセスの生成物のいずれかを使用してもリスクが一切ないことから、このことは重要な成果である。
【0115】
有機液といったような分離段から炭化水素混合物および炭素固体への反応済み液体生成物の転換用装置が、本発明のプロセスと共に使用するための適切な第3段反応器である。図6に示されているように、本発明の実施形態に従った第3段反応器600は、有機液を加熱しかくして液体および気化油の混合物を生成するための加熱器610;液体および気化油を固体炭素142および炭化水素蒸気およびガスの混合物148に転換するための反応器620;炭素固体142を受容するための第1の冷却器630;および炭化水素蒸気およびガスを受容するための第2の冷却器640を含む。第3段反応器600は、炭化水素蒸気およびガス148を炭素固体142から分離するための反応器620と連通する流体−固体分離器624を含み得る。
【0116】
加熱器610は、好ましくは、熱交換のための大きな表面積を作り出す多数の内部管を含む効率の良いコンパクトなものである。加熱器610は、通常には「加熱炉」である。加熱器610は、通常、有機液およびスチーム602を受容するための入口および反応器620へと加熱済み有機液/スチーム混合物を導くための出口を有している。約2〜5重量%の量のスチーム602が、加熱器610内に入る時点で有機液に随伴する。このような量のスチームは、加熱を助け、加熱器内側での残渣の蓄積を防止する。好ましい一の実施形態においては、スチームとの混合および/または加熱器610への移送に先だって有機液500を加熱するために1つ以上の予熱器が用いられる。第3段用の圧力が、貯蔵500の後にポンプシステムによって付与される。
【0117】
反応器620は、好ましくは、少なくとも1つの加熱済みオーガーを含み、それぞれ加熱器610からの液体および気化油の加熱済み混合物を受容するように、および炭素固体および気体および炭化水素混合物を流体−固体分離器内に導くように構成された入口および出口を有する。液体および気化油とスチームの加熱済み混合物は、反応器620内に移され、ここでそれは、炭素固体および、好ましくは燃料ガスおよび油の成分を含有する炭化水素ガス混合物へと分かれる。通常、生成された炭素固体は、液体および気化油の混合物の約10重量%に達する。その他の実施形態では、未加工供給原料の成分に応じて、生成された炭素固体は、液体および気化油の混合物の約5〜約20重量%である。本発明の一部の実施形態では、反応器620内に余剰の炭素固体が蓄積するのを避けるため、加工される供給原料の量は調整される。
【0118】
オーガーは、流入する有機液の滞留時間および温度の制御を可能にし、炭素固体および揮発性生成物の効率の良い分離を可能にすることから、炭素固体および炭化水素混合物を生成するために適している。好ましくは、オーガーの寸法は、結果として得られる炭化水素混合物および炭素固体の純度が最適化されるような形で選択される。たとえば、オーガーの横断面直径は主としてそれを通る蒸気の流量を決定する。流量は、蒸気と共に塵埃がその中を運ばれて純粋でない炭化水素混合物を生成するほどに高くないことが好ましい。有機液、蒸気およびスチームの加熱済み混合物の、反応するにつれての滞留時間も同様に、オーガーのサイズを決定する。
【0119】
好ましくは、第3段反応器600は、反応器620の出口と連通する流体−固体分離器を内含する。流体−固体分離器は、好ましくは、炭化水素および気体用の第1の出口、および炭素固体用の第2の出口を有する。炭化水素および気体の混合物からの燃料ガスの一部分は、好ましくは、加熱器610に戻るように再度導かれ、加熱器内の温度を維持するのを助けるために燃やされ、かくして本発明のプロセスの全体的効率を促進する。
【0120】
往々にして約500℃といった高い温度にある炭素固体は、第1の冷却器、すなわちエアロック装置または任意には流体−固体分離器を通って反応器と連通する冷却用オーガーである炭素固体冷却器630内へ導かれる。本発明の一部の実施形態においては、2つ以上の冷却用オーガー630を利用することができる。冷却プロセスを補助するために水632を炭素固体冷却器630内に導入することが好ましい。炭素固体は、任意には移送オーガーまたはバケットエレベータ654といったようなその他の一部の搬送装置を介して完成品貯蔵システム650まで移送されるかまたは炭素固体を活性化するためのもう1つの加熱器/反応器まで移送される。
【0121】
炭化水素蒸気およびガスの混合物を受容するための第2の冷却器640は、残留炭素固体をことごとく分離し、それを反応器620まで戻すための炭素微粒子分離器を含む。
【0122】
本発明のプロセスの修正版を用いて、地下オイルサンド埋蔵物内にスチームを注入し、次に埋蔵物を表面で軽油へと精製し、豊富ではあるがアクセスの困難なこの資源をはるかに利用しやすいものにすることができる。実験により同様に、本発明のプロセスが、石炭から硫黄、水銀、ナフサおよびオレフィン(全て商品化可能な産物)を抽出し、かくして石炭をより高温できれいに燃やすことができる、ということも示されている。本発明のプロセスを介した前処理は、同様に、一部の石炭をより脆いものにし、したがって、発電所内での燃焼に先立ちこれらを圧壊するのに必要なエネルギーは少なくなる。
【0123】
一部の供給原料については、本発明のプロセスは、供給物調製段の一部として流体から細かい懸濁固体を分離するための装置を利用している。さらに、その他の数多くの工業的および商業的利用分野では、懸濁固体を液体から分離させることが要求される。図7は、このような分離にとって有用な本発明の好ましい実施形態に従った分離装置700を例示している。固体懸濁液の分離を必要とする利用分野のもう1つの例は、全血からの赤血球および白血球の分離である。懸濁固体粒子のサイズが大きいかまたはその密度が流体のものと著しく異なっている場合、それらを分離できる数多くの異なるタイプの装置が存在する。たとえば、懸濁固体粒子よりも小さい開口部を伴う数多くの異なる構成のフィルタを、ひずみの下で著しく変形しない固体材料のために使用することができる。固体粒子と流体の間に著しい密度差が存在する場合には、除濁装置、沈降室および単純なサイクロンを有効に用いることができる。サイズまたは密度差がより小さくなるにつれて、遠心力を用いた能動的装置が有効であり得る。ただし、これらの分離装置全ての効率は、懸濁用流体の密度とはわずかしか違わない密度を有する変形可能な材料の場合、非常に小さい粒度について劇的に低下する。
【0124】
本発明の好ましいプロセスに関しては、懸濁固体が小さく、変形可能で小さい密度差を有する1つの利用分野は、都市下水汚泥(MSS)である。MSS中の懸濁材料は主としてバクテリア由来の細胞材料および細胞残屑から成り、通常、約1マイクロメートルの寸法を有する。この材料は変形可能で、懸濁用水媒質のものの10%以内の有効密度を有する。この固体材料の水からの分離は、本発明のプロセスのための供給原料としてMSSを調製する上で好ましい段階である。かかる分離は、遠心分離機を用いて達成し得るが、好ましい実施形態では、分離用装置700が利用される。
【0125】
本発明の好ましい実施形態に従うと、本発明の方法によるさらなる加工に先立ち、MSSといったような未処理供給物の固体成分と液体成分を分離するため、図7に例示されているような分離用装置700を利用することが好ましい。かかる装置は、同様に、その固体微粒子が変形可能であるまたはその有効密度が液相のものの約10%以内である場合に、その他の工業的または商業的廃水汚泥にも応用可能である。
【0126】
装置700は、好ましくは、円錐台形状をもつ内部チャンバ706内に取付けられた旋回アセンブリ704を収納するハウジング702を含んでいる。内部チャンバ706の形状は、通常、旋回アセンブリ704の他の部品を収納する錐台の基部および/または頂部の付加的な断面を伴う、テーパ角を有する円錐台形断面を含んでいる。ハウジング702は好ましくは、互いに接合され旋回アセンブリ704を閉じ込めているスピナーケース底部714およびスピナーケース上部716を含む。分離用装置700はさらに、入口710および内部チャンバと連通する第1の出口730および第2の出口750を含む。入口710によって、内部チャンバの静止内部壁720と旋回アセンブリの間の環状空間712内の中へ、懸濁固体を含有する流体を導入することが可能となる。
【0127】
旋回アセンブリは、好ましくは、それ自体スピナー上部718に連結されているテーパのついた円筒形壁724に連結されたスピナー底部722から作られている中空内部を伴う円錐台形シリンダを含んでいる。旋回アセンブリは、通常、約1000rpm〜約50,000rpmの範囲内の速度で回転する中空スピンドル726の長手方向軸736上に同心的に取付けられている。MSSの分離用の好ましい実施形態においては、回転速度は約1000rpmである。好ましくは、回転速度は、混沌とした流れを最小限におさえるように選択される。旋回アセンブリは、幅が狭まるにつれて有効横断面積が減少するような形でテーパがついている。通常、テーパ角度は約1°〜約10°の間にある。好ましい実施形態においては、テーパ角は、約2°〜約2.5°の間であり、より一層好ましくは約2.25°である。旋回アセンブリの中空内部は、第2の出口750と連通している。
【0128】
好ましくは、分離器装置700の内部と入口710の間には差圧が存在する。通常、この圧力差は約3〜150psiの間であり、2基のポンプ(図7には図示せず)によって制御される。
【0129】
異なるサイズの分離器についての流量は、回転シリンダの表面積に対応することになる。好ましくは、毎分約1〜約200ガロンの間の流量を提供するように構成されている。より好ましくは、該流量は毎分約1〜約20ガロンの間にある。MSSを取扱うためにさらに一層好ましくは、該流量は分あたり約10ガロンである。
【0130】
旋回アセンブリの壁724は有孔である。壁724の中の孔径は、通常、約1〜約200マイクロメートルの間である。好ましくは、孔径は約50マイクロメートルである。壁724は、好ましくは、HDPEまたは、運転中の気孔の閉鎖を回避するべく吸湿性でないその他のあらゆる材料で作られている。
【0131】
流体の一部分が有孔回転壁724を通ってシリンダの中空内部728の中に流れる一方で、流体および懸濁した材料は、一般に軸方向に環状通路712に沿って流れる。中空内部728は、スピンドル入口732を通って中空スピンドル726と連通している。懸濁粒子の大部分は、回転シリンダの表面におけるせん断および遠心力に起因して、有孔シリンダを通して流体と共に流れないようになっている。シリンダの回転速度は、懸濁粒子上のせん断力および遠心力を有効に設定し、したがって、有孔シリンダを通って流体に追従するのを妨げられ得る粒子の最小サイズを制御するのに使用可能である。シリンダ728の内部に流れ込む水および粒子は、その後スピンドル入口732を通って中空スピンドル726の中心に流れ込み、第2の出口750を通って放出される前にスピンドルの出口734に向かって流れる。
【0132】
環状通路712内の材料は、回転シリンダの運動に応答して、気密ならせん流路をたどる。好ましくは、環状経路712の厚みは、全長にわたり一定である。一部の利用分野については、この環状空間は上部から底部へと変動し得る。環状空間の変動が、有孔スピナー表面近くに流れ条件を付与することができる。ここで濃縮された流体流を放出するための第1の出口730は、入り口から離れた環状通路の端部に具備されている。
【0133】
図7の装置の運転は、好ましくは方向性と無関係である。好ましい実施形態においては、テーパ付きシリンダの軸は底部にある第1の出口730と垂直に方向づけされている。
【0134】
当該技術分野において既知の、その他の分離装置に優る図7の装置の利点は、特に、1マイクロメートル未満のサイズ範囲内の変形可能な懸濁固体を伴うものまたは懸濁用流体の10%以内の密度をもつものを含めた広範囲の粒子特性をもつ汚泥を加工できるという点にある。好ましい実施形態においては、壁724の中の孔径および環状空隙は、都市下水汚泥の懸濁液を分離するように構成される。本発明のプロセスの一部の実施形態では、数多くのこのような分離器が、未加工供給原料の高生産性分離を達成するために並行して使用される。
【0135】
図7に描かれている分離器700が精確に一定の比例で拡大縮小されたものでないものの、さまざまな要素が互いにおおよその割合にあるということは理解されよう。かくして、分離器700は、機械工学および設計の当業者にとっては親しみ深い通常の原理に従って構築され得る。
【0136】
好ましい実施形態においては、スピナー底部722の外径は、約2″であり、スピナー上部718の外径は、約2.2″である。スピナーケース底部714の好ましい長さは、約7″〜約8″である。スピナー壁724の好ましい長さは約4″〜約6″の間であり、その好ましい厚みは好ましくはその長さに沿って一定であり、約1.5″である。かかるスピナーと併せて出口730の好ましい直径は、約0.8″であり、スピナーケース底部の外径は、好ましくは、約3″である。スピナーケース上部の外径は、このとき好ましくは約4″である。スピンドル726は中空であり、好ましくは、約0.25″の内径を有する。スピンドル726の外径は、その長さに沿って変動でき、約0.5″〜約0.75″の間であり得る。スピンドル入口732とスピンドル出口734の間の距離は、かかる実施形態において約6″であり得る。環状通路712の厚みは、好ましくは約0.05〜約0.50インチである。
【0137】
本書で提示されている好ましい寸法は、単なる一例としてとり上げられるべきであり、設計の選択および所望の処理量に応じて、当業者である機械技師であれば、運転効率を達成するため分離器700のさまざまな要素のサイズを拡大または縮小できることだろう。
【0138】
本発明のプロセスを実施するための全体的装置には、好ましくは、バルブ、ポンプおよび温度用の単純なコントローラを含むコンピュータ化された制御システムが付随している。かかるシステムの開発は、コンピュータプロセス制御工学の当業者の能力範囲内に入るものである。
【0139】
本発明の装置は、ニーズに従って拡大縮小可能である。たとえば、一日に何千トンもの廃棄物を処理する工場を想定することができ、一方平床トラックの背に載せて輸送でき一日あたりわずか1トンの廃棄物しか処理できない移動式設備もまた構築可能である。
【実施例】
【0140】
実施例
例1:パイロットプラント
本発明の装置およびプロセスを利用してパイロットプラントが建設された。該パイロットプラントは、一日に約7トンの廃棄物を処理することができる。
【0141】
該パイロットプラントの1つの応用例に従うと、実験的供給原料は七面鳥加工工場の廃棄物すなわち、羽毛、骨、皮、血液、脂肪、内臓であった。この材料を10,044ポンドの量だけ装置の第1段、すなわち材料を灰褐色スラリーに変える350馬力のグラインダに入れた。そこから材料は、混合物を加熱し改質する一連のタンクおよびパイプ内に流入した。
【0142】
2時間後、きわめて高温で高純度の薄褐色の油が連続的に生成された。このプロセスによって生成された油は非常に軽量である。最長の炭素鎖はC20である。生成された油は、燃料油とガソリン半々のミックスに類似している。
【0143】
本発明のプロセスは、七面鳥臓物といったような複合供給原料について85%のエネルギー効率をもつことが証明されている。このことは、すなわち、プラント内に入る供給原料中の100B.t.u.(イギリス熱単位)毎に、プロセスを実行するのに使用されるのはわずか15B.t.u.にすぎないということを意味している。効率は、プラスチックといったような炭素が重いかまたは水分が軽い原料などの比較的乾燥した材料について、さらに良好なものとなる。
【0144】
第1段反応器は、高さ約20フィート、幅3フィートでかつ高レベル絶縁の、電気加熱コイルが巻きついたタンクを含む。第1段反応器内では、供給原料は熱および圧力を用いて加水分解されている。温度および圧力は、ともに、水が供給原料内に熱を搬送する一助となっていることから、非常に極端なものでもまた生産するのにエネルギー集約的なものでもない。このプロセスがパイロットプラント内で行なわれるのにかかる時間は、通常、わずか約15分である。
【0145】
有機材料が反応容器内で加熱され部分的に解重合された後、第2段が開始する。この段階で、スラリーは、より低い圧力まで降下させられる。急速な減圧が、スラリーの自由水の約半分を瞬時に放出する。減圧を介した脱水は、特にいかなる熱も浪費されないことから、水を加熱し沸騰して除去するよりもはるかに効率が良い。「フラッシュされた」水は、パイプを通って上流へ送られ、このパイプがプロセスの最初に戻るよう導いて流入プロセス流を加熱する。
【0146】
この第2段では、鉱物が沈降し、貯蔵タンクまで分路される。七面鳥廃棄物では、これらの鉱物は大部分が骨に由来している。鉱物は、カルシウムおよびリンを富有する乾燥した褐色粉末として出現する。それは、微量栄養素のバランスが良いことから、肥料として使用可能である。特に、それは、有用な範囲の微量および粗大栄養素を有している。鉱物は、健全な植物の成長および発達に必要なカルシウム、およびリンといった元素を適正量含有している。
【0147】
パイロットプラント内では、残留濃縮有機材料が第3段反応器内に流入し、以上で記述された通り第3段加工に付される。該加工の結果もたらされた気体は、本発明のプロセスを加熱するためプラント内でオンサイト使用された。油および炭素は、有用なより価値の高い生成物として貯蔵庫内に流入した。
【0148】
供給原料および、第1および第3段処理時間に応じて、本発明のプロセスは、プロセスのさまざまな区分で抽出されるその他のスペシャルティーケミカルを作ることができる。たとえば、七面鳥臓物は、石けん、タイヤ、塗料および潤滑油で使用するための脂肪酸を作ることができる。
【0149】
例2:運転プラント
毎日200トンを超える七面鳥廃棄物を処理することが意図された原寸の商業用設備が建設中である。該プラントは、一日約10トンの気体を生成するように設計されており、これはシステムに戻ってシステムに動力供給するための熱を生成する。プラントは約21,000ガロンの水を生成する予定であり、これは都市下水道系に放出するのに充分な清浄度をもち、また病毒媒介動物も含んでいない。該プラントは、同様に、約25トンの鉱物、濃縮物および炭素および約500バレルの#2加熱用油と同グレードの上質油を作ることになる。
【0150】
例3:廃棄物の転換例
表1が、本発明のプロセスを用いて有用な材料に転換された場合の以下の廃棄物の各々100ポンドについての最終生成物とその割合を示している:都市下水廃棄物(75%の下水汚泥と25%の油脂阻集廃棄物を含む);タイヤ;家禽加工廃棄物(器官、骨、血液、羽毛および脂肪を含む);プラスチックボトル(炭酸飲料ボトルを製造するのに用いられるポリエチレンテレフタレート(PET)および牛乳びんを製造するのに用いられる高密度ポリエチレン(HDPE)の配合物を含む);紙;医療廃棄物(主として病院を供給源とし、プラスチック製注射器、輸液袋、ガーゼ、包装紙、および湿潤廃棄物を含む);および重油(たとえば、精油所−真空残渣およびオイルサンド)。表1中の量は、ポンド単位である。
【0151】
【表1】

【0152】
畜牛および豚加工廃棄物からの収量が家禽加工廃棄物由来のものと類似しているということは指摘に値する。
【0153】
例4:石炭微粉および高硫黄炭からの汚染物質の除去
未加工微粉、高硫黄炭および各々に適用された本発明のプロセスの生成物について、低検出水銀分析が実施された。各ケースにおいて、検出限界は、0.01ppmであった。石炭微粉未処理供給物から、水銀レベルは0.12ppmであった。水銀は加工済み炭素中では検出できなかった。
【0154】
高硫黄石炭未処理供給物から、水銀レベルは0.02ppmであった。水銀は加工済み炭素中では検出できなかった。
【0155】
例5:石炭微粉からの硫黄汚染物質の除去
未加工微粉は1.71%の硫黄を含有していた。複合炭素は1.58%の硫黄を含んでおり、これは未加工微粉から7.6%の減少であった。本発明のプロセスを1回適用して生成された炭素は、1.51%の硫黄を含有し、これは未処理供給物から11.6%の減少であった。
【0156】
例6:高硫黄炭からの硫黄汚染物質の除去
未処理供給物高硫黄炭は、2.34重量%の硫黄を含有していた。本発明のプロセスを1回適用した後、結果として得られた固体生成物は、2.11重量%の硫黄を含有していた。
【0157】
例7:低硫黄炭からの汚染物質の除去
未加工炭は1.08%の硫黄を含有していた;本発明のプロセスから得た炭素は0.49%の硫黄を含有し、それは54.6%の減少であった。同様に、生成された水の中でも非常に低濃度の硫黄(45ppm)しか検出されなかった。
【0158】
同じ試料に対し本発明のプロセスを別途適用した場合、炭素は0.57%の硫黄を含有し、これは47.2%の減少であった。この適用から生成された気体(プロセスから放出された気体)は、0.9重量%の硫黄を含有しており、かくして、除去された硫黄が大部分最終的に気体生成物となることを示した。
【0159】
初期硫黄含有量がすでに非常に低い場合、硫黄含有汚染物質の約半分をも除去できるということは、特筆すべきである。
【0160】
本発明のプロセスは、同様に、水銀の除去においても有用である。水銀は、基本的に、約10ppbまでの検出レベルが可能であった本発明のプロセスにより生成された炭素中には存在しなかった。生成された水の中では、30ppb(0.028ppm)のレベルで水銀が検出され、水銀を石炭から除去した場合それは水へと移行するということを実証した。水銀が水中にある場合、それは安全に処分しやすい。水は、炭化水素が揮散され、真空蒸留ユニットを用いて濃縮される。結果として得た水銀濃縮水は、ケイ酸塩結晶化に付され、結果として得られた不溶性の高いケイ酸塩結晶はコンテナに詰められ、有毒金属貯蔵の指定を受けた危険廃棄物サイト内に貯蔵されることになる。
【0161】
例8:生物由来油
本発明のプロセスを用いて広範囲の有機材料から生物由来油を生成することができる。このような生物由来油は七面鳥臓物に由来し、C−20およびそれより短かい炭素鎖構成要素を含み、燃料として使用された場合、事実上排出微粒子を削除する。この油は、可燃性燃料用の配合成分または代替的燃料として使用可能である狭い範囲の米国石油協会(API)40−プラス再生可能油を精油所または配合業者に提供する。この油の顕著な特性は表2に示されており、ここで仕様書方法は、ASTM(米国材料試験協会)コードで呼称されている。
【0162】
【表2】

【0163】
表2中、パラフィン、オレフィン、ナフテンおよび芳香族の重量パーセントは、13個までの炭素原子を含む分子を意味する。
【0164】
例9:第3段反応器および冷却器/凝縮器の実施形態
図8Aおよび8Bは、本発明のプロセスと共に使用するための装置の1つの実施形態を示している。図6には、いくつかの要素も示されている。
【0165】
図8Aは、本発明のプロセスの第3段で使用するための装置を示す。有機液500は貯蔵タンク812内に移行する。任意には、有機液および油を液体/液体分離器814まで導き、分留済み液/油の第1部分816および分留済み液/油の第2の部分または残留する分留済み液/油822へと分割することが可能である。分留済み液/油の第1部分は、完成品貯蔵庫818に導かれ、再循環または販売可能な分留済み液/油820として分配され得る。分留済み液/油の第2の部分822は、1つ以上の予熱器830に再度導かれる。
【0166】
加熱された後、分留済み液/油822または未分離液/油500は、好ましくは、スチーム602が随伴する状態で、加熱器610まで移行させられる。結果として得られた液体および気化液/油836は、オーガーといった反応器620まで移行させられ、炭化水素蒸気およびガス148および炭素固体142へと分離される。炭化水素蒸気およびガス148は、さらに図8Bに記述されている冷却器/凝縮器850まで移行させられる。残留炭素固体844といったような、油蒸気およびガス中に残った微粒子がある場合、それは除去され反応器620に戻される。
【0167】
炭素固体142は、エアロック846を通って炭素固体冷却器630内に導かれ、ここでそれらは水632と混合される。結果として得られる水および炭素固体の混合物は、もう1つのエアロック854を通って完成品貯蔵システム650内に移行させられる。最終生成物の炭素固体142は、1つ以上の商業的利用分野へと分配できる。
【0168】
図8Aに示されている装置800と併せて用いるため、図8Bに示された冷却器/凝縮器850が存在する。冷却器/凝縮器850は、水および微粒子をも含有しうる油蒸気およびガスの混合物が一定数の異なる分離段階に付される一定数の分離サイクルを容易にする。反応器620からの炭化水素蒸気およびガス148は、炭素微粒子分離器842内に移行し、この分離器は、残留炭素固体844といったような残留固体微粒子を分離し、かかる固体を反応器620まで戻るように再度導く。
【0169】
炭素微粒子分離器から出現する炭化水素蒸気およびガスは、当業者であれば理解すると思われる一般的原則に従って実施される蒸気急冷システム860内に移行する。蒸気急冷システムから、油および気体870は、油/水/気体分離器872内に移行し、これがさらに油862、廃油876、気体およびLPG874および油/炭素スラリー881といったさまざまな成分を分離する。
【0170】
油862は熱交換器864に移行し、その後、完成品貯蔵システム866内に移行し、油144として販売される。
【0171】
気体および液体石油ガス(「LPG」)874が、その他の気体成分からLPG898を分離する凝縮器890内に移行する。気体894が過熱器892まで移行して、燃料ガス146を生成し、これを、エネルギー源として1つ以上の装置に送り出すことができる。LPG898は、次の要領で再循環される。まず最初に、LPG898は、液体/固体分離器884の中を通され、いかなる残留する炭素固体886をも除去される。次に、油/炭素スラリー881から分離された油と混合された分離済みLPGは、油/水/気体分離器872に戻され、さらなる分離が起こる。気体およびLPGの混合物が分離され凝縮されるサイクルは、所望の回数だけ反復可能である。
【0172】
油/固体混合物、通常、油/炭素スラリー881は、同様に、残留炭素固体886を除去するため、油/水/気体分離器872から液体/固体分離器884まで導かれ得る。LPGと混合された分離済み油は、好ましくは、適宜さらなる再誘導のため、油/水/気体分離器まで戻される。
【0173】
油/水/気体分離器872からの廃油876は、油/水分離器878に移行させられ、水880が放出されるか、または再循環され得る。油/水分離器からの油882は、分離サイクルをさらに反復するため、油/水/気体分離器まで戻される。
【0174】
以上の記述は、本発明のさまざまな態様を例示するよう意図されている。本書で提示された実施例は本発明の範囲を制限することを意図したものではない。ここで本発明を完全に記述してきたが、当業者にとっては、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、数多くの変更および修正をこれに加えることができるということが明白となるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給原料を少なくとも1つの有用な材料へと転換させるための方法において、
供給原料からスラリーを調製する工程と、
少なくとも1つの反応済み固体生成物、少なくとも1つの反応済み液体生成物および水を含む反応済み供給物を生成するように、第1の反応において前記スラリーを反応させる工程と、
前記反応済み供給物から前記少なくとも1つの反応済み固体生成物、前記水および前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を分離する工程と、
第2の反応において前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を少なくとも1つの有用な材料へと転換させる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの有用な材料は、炭素固体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの有用な材料は、炭化水素混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記炭化水素混合物は、燃料ガスおよび油を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの有用な材料は、無菌である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記調製工程には、前記供給原料からアンモニアを除去することが含まれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の反応は、約20〜120気圧の圧力で起こる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記圧力は、約50気圧である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の反応は、約150℃〜約330℃の範囲内の温度で起こる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記反応工程で、硫黄含有材料、水銀含有材料およびハロゲン含有化合物からなる群から選択された少なくとも1つの汚染物質が除去される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの液体生成物は、少なくとも1つの脂肪誘導体または脂肪酸を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの固体生成物は、少なくとも1つの無機化合物を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記転換工程に先立ち、前記少なくとも1つの液体生成物の一部分を転用し、前記部分を少なくとも1つのスペシャルティーケミカルへと個別に転換させる工程をさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の反応は、約400℃〜約600℃の範囲内の温度で起こる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記供給原料は、ゴム材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記供給原料は、1つ以上のタイヤを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記調製工程の前に、前記タイヤを溶剤中で溶解させる工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記溶剤は、前記転換工程から得た油である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の反応は、約250℃〜約400℃の間の温度で起こり、前記第2の反応は、約300℃〜約525℃の間の温度で起こる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記供給原料は、都市下水汚泥を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の反応は、約170℃〜約250℃の間の温度で起こり、前記第2の反応は、約300℃〜約525℃の間の温度で起こる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記供給原料は、食品加工廃棄物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記食品加工廃棄物は、七面鳥臓物を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の反応は、約150℃〜約330℃の間の温度で起こり、前記第2の反応は、約300℃〜約525℃の間の温度で起こる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の反応は、約250℃および20〜120気圧の圧力で起こる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の反応は、約50気圧の圧力で起こる、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記供給原料は、プラスチックの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の反応は、約200℃〜約250℃の間の温度で起こり、前記第2の反応は、約300℃〜約525℃の間の温度で起こる、請求項28に記載の方法。
【請求項29】
前記供給原料は、PVCを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の反応は、少なくとも1つの塩素含有汚染物質を除去する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記供給原料は、家畜糞尿を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記供給原料は、食品製造販売の副産物または製紙その他の木工業製造の副産物である1つ以上の材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記供給原料は、七面鳥臓物、フライ油、トウモロコシの茎、モミ殻、廃棄物スクラップ、最終搾り食用油、製紙用パルプ廃液、黒液、葉、刈り取られた芝、バガス、海草、綿くず、動物排せつ物、プラスチックびん、古いコンピュータ、都市固体廃棄物、石油精製残留物、シェール油、ボーリング泥水、港湾浚渫堆積物、産業汚泥、製粉廃棄物、石炭精製廃棄物、オイルサンド、炭素菌の胞子、感染性医療廃棄物および生物病原体からなる群から選択される1つ以上の材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記最終搾り食料油は、カノーラ油、大豆油、ヤシ油、ココナッツ油、ナタネ油、綿実油、コーン油およびオリーブ油からなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項1に記載の方法によって製造される燃料油。
【請求項36】
前記方法が、
炭素含有供給原料からスラリーを調製する工程と、
少なくとも1つの反応済み固体生成物、少なくとも1つの反応済み液体生成物および水を含む反応済み供給物を生成するように、第1の反応においてスラリーを反応させる工程と、
前記反応済み供給物から前記少なくとも1つの反応済み固体生成物、前記水および前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を分離する工程と、
第2の反応において前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を前記燃料油へと転換させる工程と、
を含む、請求項35に記載の燃料油。
【請求項37】
供給原料を少なくとも1つの有用な材料へと転換させるための装置であって、
前記供給原料から加熱済みスラリーを生成するための前処理ユニットと、
前記加熱済みスラリーを収容するように、前記容器と連通し、前記加熱済みスラリーを第1の上昇した温度および第1の上昇した圧力に付して、少なくとも1つの反応済み固体生成物、少なくとも1つの反応済み液体生成物および水を含む反応済み供給物を生成するように構成されている第1段反応器と、
前記少なくとも1つの固体生成物、少なくとも1つの液体生成物および水を収容するように前記第1段反応器と連通し、前記少なくとも1つの反応済み固体生成物、前記水および前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を分離するように構成されている少なくとも1つの第2段分離ユニットと、
前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を収容するように、前記分離ユニットと連通し、前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を第2の上昇した圧力および第2の上昇した温度に付し、かくして前記少なくとも1つの反応済み液体生成物を少なくとも1つの有用な材料へと転換させるように構成された第3段反応器と、
を備える装置。
【請求項38】
前記前処理ユニットは、
前記供給原料から供給原料スラリーを作り出すためのスラリー化装置を備える供給原料調製ユニットと、
前記供給原料調製ユニットからの前記供給原料スラリーを収容するように、前記供給原料調製ユニットと連通している容器と、
前記スラリーに加圧するように構成されたポンプと、
加熱済みスラリーを生成するべく前記スラリーを加熱するように構成された熱交換器と
を備える、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記第1の上昇した圧力は、約20〜120気圧であり、前記第1の反応は、約150℃〜約330℃の範囲内の温度で起こる、請求項37または38に記載の装置。
【請求項40】
前記第1の上昇した圧力は、約50気圧である、請求項37〜39のいずれか1項に記載の装置。
【請求項41】
前記少なくとも1つの反応済み液体生成物の一部分を収容し、前記部分を少なくとも1つのスペシャルティーケミカルへと転換させるためのユニットをさらに備える、請求項37〜40のいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
前記第2の上昇した温度は、約400℃〜約600℃の間にあり、前記第2の上昇した圧力は、大気圧よりも約15〜約50psi高い、請求項37〜41のいずれか1項に記載の装置。
【請求項43】
ゴム材料;1つ以上のタイヤ;食品加工廃棄物;混合プラスチックおよび都市下水汚泥からなる群から選択された供給原料を受容するように構成された、請求項37〜42のいずれか1項に記載の装置。
【請求項44】
前記少なくとも1つの有用な材料は、炭素固体を含む、請求項37〜43のいずれか1項に記載の装置。
【請求項45】
前記少なくとも1つの有用な材料は、炭化水素混合物を含む、請求項37〜44のいずれか1項に記載の装置。
【請求項46】
前記第3段反応器は、
液体および気化油の混合物を生成するように、前記反応済み液体生成物を収容し加熱するように構成された加熱容器と、
前記液体および気化油の混合物を収容し、それを炭素固体および炭化水素蒸気およびガスの混合物へと転換させるように構成された反応器と、
前記炭素固体を受容するための第1の冷却器と、
炭化水素蒸気およびガスの前記混合物を受容するための第2の冷却器と、
を備える、請求項37に記載の装置。
【請求項47】
前記反応器は、オーガーである、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記オーガーは、約400℃〜約600℃の間の温度まで加熱される、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記第1の冷却器は、オーガーである、請求項46〜48のいずれか1項に記載の装置。
【請求項50】
前記加熱器は、スチームならびに液体および気化油の混合物を受容するように、さらに構成されている、請求項46〜49のいずれか1項に記載の装置。
【請求項51】
前記第2の冷却器は、炭素微粒子分離器をさらに備える、請求項46〜50のいずれか1項に記載の装置。
【請求項52】
前記分離ユニットは、懸濁液中の流体から微粒子を分離するための機器をさらに備え、
内壁を伴う、円錐台形の内部チャンバ、前記チャンバと連通している入口および第1の出口、および第2の出口を画定するハウジングと、
前記チャンバ内に取付けられた、中空内部を伴う旋回アセンブリであって、前記チャンバの内壁と環状空隙を画定するように整形され、前記中空内部が前記第2の出口と連通しており、かつ前記中空内部が前記空隙から前記内部へおよび前記第2の出口から外へ該旋回アセンブリの回転に応答して流体材料が流れるように前記環状空隙とも連通している、旋回アセンブリと、
を備える請求項37に記載の装置。
【請求項53】
前記旋回アセンブリは、
スピンドル入口およびスピンドル出口を画定し、前記スピンドル出口が前記ハウジングの第2の出口と連通している、中空スピンドルと、
前記スピンドル入口を通して前記中空スピンドルと連通している前記中空内部を画定するように、前記中空スピンドル上に取付けられている、テーパのついた多孔質の円筒形壁と
を備える、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
前記旋回アセンブリは、約10,000rpmの速度で回転する、請求項52または53に記載の装置。
【請求項55】
前記旋回アセンブリは、約1000rpm〜約50,000rpmの間の速度で回転する、請求項52〜54のいずれか1項に記載の装置。
【請求項56】
前記テーパのついた多孔質円筒形壁が約1〜約200ミクロンの間の細孔径を有する、請求項52〜55のいずれか1項に記載の装置。
【請求項57】
前記細孔径は、約50ミクロンである、請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記環状空隙および前記多孔質壁の細孔は、都市下水汚泥の懸濁液を分離するようなサイズである、請求項52〜57のいずれか1項に記載の装置。
【請求項59】
前記円筒形内壁は、約1°〜約10°の角度で先細になる、請求項52〜58のいずれか1項に記載の装置。
【請求項60】
前記角度は、約2°〜約2.5°の間である、請求項59に記載の装置。
【請求項61】
前記入口と前記環状空隙の間に約3〜4psiの圧力差が存在する、請求項52〜60のいずれか1項に記載の装置。
【請求項62】
前記入口および環状空隙が、毎分約1〜20ガロンの間の流量用に構成され寸法決定されている、請求項52〜61のいずれか1項に記載の装置。
【請求項63】
前記流量は、毎分約10ガロンである、請求項62に記載の装置。
【請求項64】
炭化水素混合物および炭素固体へと有機液を転換させるための装置であって、
液体および気化油の混合物を生成するように、前記有機液を収容し加熱するように構成された加熱用容器と、
前記液体および気化油の混合物を収容し、これを炭素固体および炭化水素蒸気およびガスの混合物へと転換するように構成された反応器と、
前記炭素固体を受容するための第1の冷却器と、
前記炭化水素蒸気およびガスの混合物を受容するための第2の冷却器と、
を備える装置。
【請求項65】
前記反応器は、オーガーである、請求項64に記載の装置。
【請求項66】
前記オーガーは、約400℃〜約600℃の間の温度まで加熱される、請求項65に記載の装置。
【請求項67】
前記第1の冷却器は、オーガーである、請求項64〜66のいずれか1項に記載の装置。
【請求項68】
前記加熱器は、スチームならびに前記液体および気化油の混合物を受容するように、さらに構成されている、請求項64〜67のいずれか1項に記載の装置。
【請求項69】
前記第2の冷却器は、付加的に炭素微粒子分離器を備える、請求項64〜68のいずれか1項に記載の装置。
【請求項70】
炭化水素および炭素固体の混合物へと有機液を転換させるための方法であって、
液体および気化油の混合物を生成するべく前記有機液を加熱する工程と、
前記液体および気化油の混合物を炭素固体および炭化水素と気体との混合物へと転換させる工程と、
前記炭化水素と気体との混合物から炭素固体を分離する工程と、
を含む方法。
【請求項71】
前記分離工程の後に前記炭素固体を冷却する工程をさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記有機液は、第1段でスチームと混合させられる、請求項70または71に記載の方法。
【請求項73】
前記転換工程は、オーガー内で実施される、請求項70〜72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
加熱に先立ち、スチームと前記有機液を混合する工程をさらに含む、請求項70〜73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
懸濁液中の液体から微粒子を分離するための装置において、
内壁を伴う、円錐台形の内部チャンバ、前記チャンバと連通している入口および第1の出口、および第2の出口を画定するハウジングと、
前記チャンバ内に取付けられた、中空内部を伴う旋回アセンブリであって、前記チャンバの内壁と環状空隙を画定するように整形され、前記中空内部が前記第2の出口と連通しており、かつ、前記中空内部が前記空隙から前記内部へおよび前記第2の出口から外へ該旋回アセンブリの回転に応答して流体材料が流れるように前記環状空隙とも連通している、旋回アセンブリと
を備える装置。
【請求項76】
前記旋回アセンブリは、
スピンドル入口およびスピンドル出口を画定し、前記スピンドル出口が前記ハウジングの第2の出口と連通している、中空スピンドルと、
前記スピンドル入口を通して前記中空スピンドルと連通している前記中空内部を画定するように、前記中空スピンドル上に取付けられている、テーパのついた多孔質の円筒形壁と、
を備える、請求項75に記載の装置。
【請求項77】
前記旋回アセンブリは、約10,000rpmの速度で回転する、請求項75または76に記載の装置。
【請求項78】
前記旋回アセンブリは、約1,000rpm〜約50,000rpmの間の速度で回転する、請求項75〜77のいずれか1項に記載の装置。
【請求項79】
前記テーパのついた多孔質円筒形壁は、約1〜約200ミクロンの間の細孔径を有する、請求項75〜78のいずれか1項に記載の装置。
【請求項80】
前記細孔径は、約50ミクロンである、請求項79に記載の装置。
【請求項81】
前記環状空隙および前記多孔質壁の細孔は、都市下水汚泥の懸濁液を分離するようなサイズになっている、請求項75〜80のいずれか1項に記載の装置。
【請求項82】
前記円筒形内壁は、約1°〜約10°の角度で先細になる、請求項75〜81のいずれか1項に記載の装置。
【請求項83】
前記角度は、約2°〜約2.5°の間である、請求項82に記載の装置。
【請求項84】
前記入口と前記環状空隙の間に約3〜4psiの圧力差が存在する、請求項75〜83のいずれか1項に記載の装置。
【請求項85】
前記入口および環状空隙が、毎分約1〜約20ガロンの間の流量用に構成され寸法決定されている請求項75〜84のいずれか1項に記載の装置。
【請求項86】
前記流量は、毎分約10ガロンである、請求項85に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2012−82434(P2012−82434A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−268778(P2011−268778)
【出願日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【分割の表示】特願2006−509261(P2006−509261)の分割
【原出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(505357247)エービー−シーダブリューティー,エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】