説明

有機水素シリコン化合物から得られる分岐ポリマー

(i)白金族金属含有触媒存在下に、1分子につき少なくとも1つのシリコン結合水素原子を含有する少なくとも1つの有機水素シリコン化合物と、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持つ少なくとも1つの化合物とを混合することにより得られる反応生成物;
(ii)少なくとも1つの末端封鎖剤;ならびに任意に
(iii)加水分解物もしくはシクロシロキサンから選ばれる、少なくとも1つの有機シロキサン
を含む混合物を、触媒存在下に加熱して、成分(i)、(ii)、および任意に(iii)の重合を起こさせ、分岐ポリマーを形成させることを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は:
(i)白金族金属含有触媒存在下に、1分子につき少なくとも1つのシリコン結合水素原子を含有する少なくとも1つの有機水素シリコン化合物と、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持つ少なくとも1つの化合物とを混合することにより得られる反応生成物;
(ii)少なくとも1つの末端封鎖剤;ならびに任意に
(iii)加水分解物もしくはシクロシロキサンから選ばれる、少なくとも1つの有機シロキサン
を含む混合物を、触媒存在下に加熱して、成分(i)、(ii)、および任意に(iii)の重合を起こさせ、分岐ポリマーを形成させることを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分岐を有するポリマーおよびこれの調製方法が知られている。しかしながら、一般的に使用される出発原料の影響で、ポリマー構築物の多くのパラメーターを独立にコントロールすることは難しく、望まれない末端官能基を持つポリマー種をしばしば結果的に与えてしまう。加えて、シリコン−アルキレン結合を含有する成分を使用する分岐ポリマー合成に関する文献中で報告された方法論は結果的に、低粘度、低重合度(Dp)、低分岐含量、あるいは、高粘度、高重合度(Dp)、高分岐含量を呈する生成物を与える。本発明の目的の1つは、末端基なしの環状分岐中間体を使用して、分岐、末端基割合、末端基の同一性、およびDpのような特性を、独立にコントロールすることである。もう1つ別の目的は、低粘度、高重合度(Dp)、高分岐のポリマーを生産することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は:
(i)白金族金属含有触媒存在下に、1分子につき少なくとも1つのシリコン結合水素原子を含有する少なくとも1つの有機水素シリコン化合物と、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持つ少なくとも1つの化合物とを混合することにより得られる反応生成物であって、ここで該有機水素シリコン化合物が、式(I)により記述され:
【0004】
【化1】

【0005】
式中、各Rは独立に、水素原子、および脂肪族不飽和部分のない1〜20炭素原子を含む1価の炭化水素基から選択され、aは1〜18の整数であり、bは1〜19の整数であり、a+bは3〜20の整数であり、各Xは独立に、ハロゲン原子、エーテル基、アルコキシ基、アルコキシエーテル基、アシル基、もしくはシリル基、または−Z−R基から選択される官能基であり、ここで各Zは独立に、酸素、および2〜20炭素原子を含む2価の炭化水素基から選択され、各R基は独立に、−BR2−u、−SiR3−v、または式(II):
(Y3−nSiO1/2(Y2−oSiO2/2(Y1−pSiO3/2(SiO4/2(CR1−q(CR2−r(O(CR2−s))(CR3−t
により記述される基から選択され、ここでBはボロン(ホウ素)であり、各Rは前に定義された通りであり、c+d+e+f+g+h+i+jの合計は少なくとも2であり、nは0〜3の整数であり、oは0〜2の整数であり、pは0〜1の整数であり、qは0〜1の整数であり、rは0〜2の整数であり、sは0〜2の整数であり、tは0〜3の整数であり、uは0〜2の整数であり、vは0〜3の整数であり、各Yは独立に、ハロゲン原子、エーテル基、アルコキシ基、アルコキシエーテル基、アシル基、もしくはシリル基、またはZ−G基から選択された官能基であり、ここでZは前に定義した通りであり、各Gは式(III):
【0006】
【化2】

【0007】
により記述されるシクロシロキサンであり、式中、RおよびXは前に記載した通りであり、kは0〜18の整数であり、mは0〜18の整数であり、k+mは2〜20の整数であり、但し、式(II)において、Y基の内の1つは、R基に結合しているZ基により式(I)のシクロシロキサンへと置き換えられ、更に、式(I)の少なくとも1つのX基が−Z−R基であり;
(ii)式(IV)R’SiO(MeR’SiO)SiR’により記述される、少なくとも1つの末端封鎖剤であって、式中、zが0〜150であり、各R’が独立に、アルキル、アリール、アルケニル、ジエニル、もしくは官能基を有するアルキルから選ばれ、ここで、該官能基が、フルオロ、フルオロエーテル、ポリエーテル、エーテル、アリール、シリル、シロキシ、カルボキシ、グリコシジル、もしくはアクリレートであってよく;ならびに任意に
(iii)式(V)HO(MeR’SiO)y’Hにより記述される加水分解物もしくは式(VI)(MeR’SiO)により記述されるシクロシロキサンから選ばれる、少なくとも1つの有機シロキサン(式中、yは3〜30の整数であり、y’は1〜500の整数であり、各R’は前に定義された通りである)
を含む混合物を、触媒存在下に加熱して、成分(i)、(ii)、および任意に(iii)の重合を起こさせ、分岐ポリマーを形成させることを含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本方法の成分(i)は、白金族金属含有触媒存在下に、上記式(I)により記述されるような、1分子につき少なくとも1つのシリコン結合水素原子を含有する少なくとも1つの有機水素シリコン化合物と、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持つ少なくとも1つの化合物とを混合することにより得られる反応生成物を含む。
【0009】
本方法用の成分(i)を調製するのに使用される有機水素シリコン化合物に関して、式(I)、(II)、および(III)における各R基は、水素原子、および、脂肪族不飽和部分がなく1〜20炭素原子を含む1価の炭化水素基から、独立に選択される。Rの1価の各炭化水素基は、直鎖、分岐、または環状であり得る。Rの1価の各炭化水素基は、非置換であるかまたはハロゲン原子により置換され得る。Rの1価の各炭化水素基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ノナフルオロブチルエチル、クロロメチル、およびデシルのようなアルキル基、シクロヘキシルのような脂環式基、フェニル、トリル、キシリル、およびクロロフェニルのようなアリール基、ベンジル、スチリル、およびα−メチルスチリルのようなアラルキル基により例示され得る。各R基は、水素原子、1〜8炭素原子を含むアルキル基、または6〜9炭素原子を含むアリール基から独立に選択されることが好ましい。各R基が、水素、メチル、α−メチルスチリル、3,3,3−トリフルオロプロピル、およびノナフルオロブチルエチルから独立に選択されることが最も好ましい。各R基は、望まれれば、同一であるかまたは異なり得る。
【0010】
式(I)において、aは1〜18の整数であり、bは1〜19、好ましくは2〜19の整数であり、a+bは3〜20の整数である。
【0011】
式(II)および(III)の有機水素シリコン化合物において、各Xは、ハロゲン原子、エーテル基、アルコキシ基、アルコキシエーテル基、アシル基、もしくはシリル基、または−Z−R基から独立に選択される官能基である。
【0012】
Xにより表される官能基は、ハロゲン原子、エーテル基、アルコキシ基、アルコキシエーテル基、アシル基、またはシリル基から選択される。有用なハロ基(ハロゲン基)の例は、クロロ、フルオロ、およびブロモを包含する。有用なアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、およびイソプロポキシを包含する。有用なアルコキシエーテル基の例は、エチレングリコールモノプロピルエーテルおよびエチレングリコールモノヘキシルエーテルを包含する。他の有用な官能基の例は、メチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、アクリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、デカン酸ビニル、メタクリル酸ビニル、トリメチルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルビニルエーテル、フェニルビニルケトン、および、アリルアルデヒド由来のビニル基の、式(I)もしくは(III)の前駆体のシロキサン由来のSi−Hとのヒドロシリル化に由来するものである。
【0013】
Xが官能基である場合、各Xが独立に、クロロ、メトキシ、またはイソプロポキシから選択されることが好ましい。式(I)および(III)の各Xはまた、−Z−R基をも含んでよい。Xが−Z−R基であることが、より好ましい。
【0014】
各Zは独立に、酸素、および、2〜20炭素原子を含む2価の炭化水素基から選択される。Zにより表される2〜20炭素原子を含む2価の該炭化水素基の例は、メチレン、エチレン、メチルメチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、およびオクタデシレンのようなアルキレンラジカル;ビニレン、アリレン、ブテニレン、およびヘキセニレンのようなアルケニレンラジカル;フェニレンおよびキシリレンのようなアリーレンラジカル;ベンジレンのようなアラルキレンラジカル;ならびにトリレンのようなアルカリーレンラジカルを包含する。好ましくはZは、2〜18炭素原子を含む2価の炭化水素基である。Zがアルキレン基であることがより好ましく、アルキレン基が2〜8炭素原子を含むのが最も好ましい。
【0015】
各R基は、−BR2−u、−SiR3−v、または式(II):(Y3−nSiO1/2(Y2−oSiO2/2(Y1−pSiO3/2(SiO4/2(CR1−q(CR2−r(O(CR2−s))(CR3−tにより記述される基から選択され、式中、R、Y、c、d、e、f、g、h、i、j、n、o、p、q、r、s、t、u、vは前記の通りであり、但し、式(II)において、これらY基の内の1つが、R基に結合しているZ基により、式(I)のシクロシロキサンへと置き換えられる。
【0016】
前記有機水素シリコン化合物の式(II)において、c+d+e+f+g+h+i+jの和は少なくとも2であり、好ましくは2〜5300であり、より好ましくは2〜1000である。好ましくは、cは0〜50の整数であり、2〜15であることがより好ましく、2〜10であることが最も好ましい。好ましくは、dは0〜5000の整数であり、0〜1000であることがより好ましく、1〜50であることが最も好ましい。好ましくは、eは0〜48の整数であり、0〜13であることがより好ましく、0〜8であることが最も好ましい。好ましくは、fは0〜24の整数であり、0〜6であることがより好ましく、0〜4であることが最も好ましい。好ましくは、gは0〜50の整数であり、0〜20であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。好ましくは、hは0〜50の整数であり、0〜20であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。好ましくは、iは0〜50の整数であり、0〜20であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。好ましくは、jは0〜50の整数であり、0〜15であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。
【0017】
前記有機水素シリコン化合物の式(II)において、nは0〜3の整数であり、好ましくは2〜3であり;oは0〜2の整数であり、好ましくは1〜2であり;pは0〜1の整数であり、好ましくは1であり;qは0〜1の整数であり、好ましくは1であり;rは0〜2の整数であり、好ましくは1〜2であり;sは0〜2の整数であり、好ましくは1〜2であり;ならびに、tは0〜3の整数であり、好ましくは2〜3である。上記に関わらず、式(II)により記述されるR基は、Z基を介して、式(I)により記述されるシクロシロキサンへと接続されるので、式(II)により記述されるR基中に存在するY基の内の1つは、Z基により置き換えられるであろう。
【0018】
式(II)により記述される基に加えて、各R基は独立に、−BR2−uおよび−SiR3−vから選択され、ここでBはボロン(ホウ素)であり、uは0〜2の整数であり、好ましくは1〜2であり、vは0〜3の整数であり、好ましくは2〜3である。これらのR基の例は、例えば、トリビニルボラン、ジアリルジメチルシラン、ジビニルジメチルシラン、およびビニルトリメチルシランのようなボランまたはシランに由来する。
【0019】
の各Yは、ハロゲン原子、エーテル基、アルコキシ基、アルコキシエーテル基、アシル基、シリル基、または−Z−G基から選択される、独立に選択される官能基である。これらの官能基は、Xに関して前記の通り例示される。Z基もまた、前記の通りである。
【0020】
各Gは、式(III):
【0021】
【化3】

【0022】
により記述されるシクロシロキサンであり、式中、RおよびXは前記した通りであり、kは0〜18の整数であり、mは0〜18の整数であり、k+mは2〜20の整数である。
【0023】
前記有機水素シリコン化合物の式(III)において、各kは0〜18の整数であり、好ましくは1〜3である。
【0024】
前記有機水素シリコン化合物の式(III)において、各mは0〜18の整数であり、好ましくは1〜10であり、最も好ましくは2〜4である。
【0025】
k+mの和は2〜20の整数であり、好ましくは2〜6であり、最も好ましくは2〜5である。
【0026】
式(II)のY基は、好ましくは−Z−G基である。全ての−Z−G基が本方法において有用な該有機水素シリコン化合物中に存在することは要求されないが、該有機水素シリコン分子が、平均して少なくとも1つの−Z−G基を含有することが好ましく、少なくとも2つの−Z−G基を有することがより好ましい。
【0027】
式(II)により記述されるR基は、直鎖、環状、分岐、または樹脂状であり得る。式(II)により記述されるR基はシロキサン材料であり得、ここでそのポリマー鎖単位はシロキサン単位のみを含有するか、あるいは、炭化水素単位またはオキシ炭化水素単位とのシロキサン単位の混合であり得、ここでオキシ炭化水素とは、少なくとも1つの酸素原子をも包含する炭化水素基のことを言い、あるいは、炭化水素材料であり得、ここでそのポリマー鎖単位は炭化水素単位またはオキシ炭化水素単位のみを含有する。R基が、炭化水素単位、オキシ炭化水素単位、またはシロキサン単位を含むことが好ましく、より好ましくは、シロキサン単位である。
【0028】
式(II)により記述される好ましいR基の例は、−CHCH−、−CHCHCHCH−、−O(CHCHO)z’−(式中、z’=1〜100)、−O(CHCHCHO)z’’−(式中、z’’=1〜100)、ならびに、−RSiO(RSiO)SiR−Z−G、−RSiOSiR、−RSiOSiR−Y、−RSi(OSiRにより記述されるシロキサン基(式中、dは1〜50の整数であり、Z、G、およびRは前記した通りである)を包含する。より好ましいR基は前記した通りのシロキサン基であり、この場合、Rはメチルであり、dは平均8である。
【0029】
本方法において有用な該有機水素シリコン化合物に関しては、式(I)の少なくとも1つのX基が−Z−R基であることが、好ましい。
【0030】
該有機水素シリコン化合物が、5〜50,000mPa.s、より好ましくは10〜10,000mPa.s、最も好ましくは25〜2,000mPa.sの粘度を持つことも、好ましい。
【0031】
本方法の成分(i)を調製するのに有用な該有機水素シリコン化合物は、1分子につき少なくとも1つのシリコン結合水素原子を含有する。好ましくは、該有機水素シリコン化合物は、1分子につき少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含有する。最も好ましくは、該有機水素シリコン化合物が、1分子につき少なくとも3つのシリコン結合水素原子を含有する。
【0032】
本発明の範囲に包含されるこれらのタイプの有機水素シリコン化合物の例は以下の通りであり、ここで、Meはメチルであり、d(d+dに等しい)は前記した通りであり、xは1〜100の範囲であり得、好ましくは1〜20である。
【0033】
【化4】

【0034】
【化5】

【0035】
【化6】

【0036】
式(I)により記述される最も好ましい有機水素シリコン化合物は以下のものであり、ここで、Meはメチルであり、dは平均8であり、xは0〜15の整数である。
【0037】
【化7】

【0038】
該有機水素シリコン化合物は、例えば、20〜150℃の温度における、1分子につき少なくとも2つのSi−H基を持つ有機水素シクロシロキサン(A)の、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分、水酸基、もしくは両方ともを含有する反応剤(B)との、白金により触媒されるカップリングを介して、直進的に調製され得る。一般的に、本方法において有用な該有機水素シリコン化合物を調製するに有用な、脂肪族不飽和部分に対するSi−Hの、または、水酸基に対するSi−Hの比は、少なくとも2.5:1である。
【0039】
種々の有機水素シリコン化合物およびこれら有機水素シリコン化合物を調製する方法も、米国特許出願第60/377,425号およびPCT出願第US03/13203号に記載され、これらは本明細書において援用される。望ましい生成物は、これらの反応剤だけでなく、これらの反応化学量論量が機能化されたものでもある。該反応は、これらの反応剤を前もって混合することにより実施され得、次いで触媒反応され、または、これらの反応剤の内の1つが制御剤として使用される。脂肪族不飽和基もしくは水酸基を、できるだけ多くのSi−H含有分子とランダムに反応させることが望ましいので、該反応は、前記のように成分(A)および(B)を前もって混合し、次いでこの前もって混合されたものを触媒することにより実施されてもよく、成分(A)を前もって触媒し、次いで成分(B)を制御しながら導入することにより実施されてもよく、成分(B)を前もって触媒し、次いでこの前もって混合されたものを成分(A)へと加えることにより実施されてもよく、あるいは、これら3極の間の何らかにより実施されてもよい。
【0040】
該有機水素シリコン化合物は単一化学種でもよく、または、異なる化学種の混合物であってもよい。
【0041】
成分(i)を調製するのに使用される、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持つ該化合物は、直鎖状、分岐状、樹脂状、もしくは環状であり得、モノマーもしくはポリマー(コポリマー、ターポリマー等を包含する)であり得るが、但し、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分が存在する。脂肪族不飽和部分を含有する該化合物は、アルケニル(オレフィンとしても記載される)不飽和部分またはアルキニル(アセチレンとしても記載される)不飽和部分を持つ。これらの化合物は、ヒドロシリル化業界においてよく知られ、米国特許第3,159,662号明細書(Ashby)、米国特許第3,220,972号明細書(Lamoreaux)、および米国特許第3,410,886号明細書(Joy)のような特許において開示されるものであり、該化合物に関するこれらの開示は、本明細書において援用される。これらの不飽和化合物が炭素および水素以外の元素を含有する場合、これらの元素は、酸素、窒素、ケイ素、ハロゲン、またはこれらの組み合わせであることが好ましい。
【0042】
該脂肪族不飽和化合物は、1つ以上の炭素−炭素多重結合を含有し得る。用いられる該脂肪族不飽和炭化水素の代表例は、モノオレフィン、例えば、エテン(エチレン)、プロペン、1−ペンテン、および1−ヘキセン、ジオレフィン、例えば、ジビニルベンゼン、ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、および1−ブテン−3−イン、シクロオレフィン、例えば、シクロヘキセンおよびシクロヘプテン、ならびに、モノアルキン、例えば、アセチレン、プロピン、および1−ヘキシンを包含する。
【0043】
酸素含有脂肪族不飽和化合物も、該不飽和部分が特に、メチルビニルエーテル、ジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルアルデヒド、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸アリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸アリル、ビニル酢酸、酢酸ビニル、およびリノレン酸のようなエチレンである場合、使用され得る。
【0044】
ジヒドロフランやジヒドロピランのような、その環中に脂肪族不飽和部分を有する複素環化合物も、前記有機水素シリコン化合物と反応させるのに適している。
【0045】
前記した脂肪族不飽和化合物のハロゲン化誘導体が用いられ得、これは、アシルクロリド、ならびに、カルボニル炭素原子以外の炭素原子上にハロゲン置換基を含有する化合物をも包含する。このようなハロゲン含有化合物は例えば、塩化ビニルおよびビニルクロロフェニルエステル類を包含する。
【0046】
アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、アルキルシアン化物、およびニトロエチレンのような窒素置換基を含有する不飽和化合物も、有用である。
【0047】
成分(i)を調製するのに有用な他の化合物は、前記した種々の化合物のポリマー(コポリマー、ターポリマー等を包含する)を包含するが、但し、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分がある。例は、1つもしくは2つのアリルオキシもしくはビニルオキシ末端封鎖基を有するポリ(アルキレングリコール)ポリマーのような、オキシ炭化水素の繰り返し単位由来のポリマーを包含する。汎用例は、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールのポリマーおよびコポリマーである。
【0048】
該有機水素シリコン化合物と反応され得るもう1つ別の有用なタイプの化合物は、有機シリコン化合物としてよく言及される化合物のような、シリコンを含有するものである。有用な該有機シリコン化合物は、1分子につき、シリコンに付いた少なくとも1つの脂肪族不飽和基を持つ。該脂肪族不飽和有機シリコン化合物は、シラン、シロキサン、シラザン、ならびに、アルキレンもしくはポリアルキレン基またはアリーレン基のような炭化水素基により一緒に繋げられたシリコン原子を含有するモノマー材料もしくはポリマー材料を包含する。成分(i)を調製するのに有用なシリコン修飾有機化合物は、シランもしくはシロキサン部分として取り付けられた少なくとも1つのシリコン原子を持つ、前記したような有機モノマーもしくは有機ポリマーを包含する。これらのシリコン含有単位は脂肪族不飽和部分を含有し得、該有機ポリマー鎖末端および/または途中の位置において、あるいは、コポリマーとして、取り付けられ得る。
【0049】
本発明において有用なシランは、式(VII):
4−wSi
により記述され得、式中、各Rは、脂肪族不飽和部分のない、1〜20炭素原子を含む、独立に選択された1価の炭化水素ラジカルであり、各Qは、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持ち2〜20炭素原子を含む1価の炭化水素基、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持ち2〜20炭素原子を含む1価のオキシ炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、またはアシル基から独立に選択され、但し、少なくとも1つのQ基が少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持ち、wは0〜3の整数である。
【0050】
式(VII)において、各Rは、脂肪族不飽和部分のない、1〜20炭素原子を含む、独立に選択された1価の炭化水素基である。各R基は、直鎖状、分岐状、または環状であり得る。Rは、ハロゲン原子により置換されていなくても、置換されていてもよい。Rの1価の該炭化水素基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、クロロメチル、およびデシルのようなアルキル基、シクロヘキシルのような脂環式基、フェニル、トリル、キシリル、およびクロロフェニルのようなアリール基、ベンジル、スチリル、およびα−メチルスチリルのようなアラルキル基により、例示され得る。各Rが、1〜8炭素原子を含む独立に選択されるアルキル基、または、6〜9炭素原子を含むアリール基であることが、好ましい。各Rが、メチル、α−メチルスチリル、3,3,3−トリフルオロプロピル、およびノナフルオロブチルエチルから独立に選択されることが、最も好ましい。各Rは、所望の場合、同一であるか、または、異なり得る。
【0051】
式(VII)において、各Qは、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持ち2〜20炭素原子を含む1価の炭化水素基、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持ち2〜20炭素原子を含む1価のオキシ炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、またはアシル基から独立に選択され、但し、少なくとも1つのQ基が、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持つ。
【0052】
Qの脂肪族不飽和部分は、その炭化水素鎖の途中、該炭化水素鎖の末端、またはこれら両方において見出され、末端位置が好ましい。各1価の炭化水素基およびオキシ炭化水素基は、直鎖状、分岐状、または環状であり得る。
【0053】
Qの、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持ち2〜20炭素原子を含む1価の炭化水素基の例は、ビニル、アリル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、シクロヘキセニル、6−ヘプテニル、7−オクテニル、8−ノネニル、9−デセニル、10−ウンデセニルのようなアルケニル基、ならびに、4,7−オクタジエニル、5,8−ノナジエニル、5,9−デカジエニル、6,11−ドデカジエニル、4,8−ノナジエニル、および7,13−テトラデカジエニルのような、4〜20炭素原子を含むジエン基を包含する。
【0054】
Qの、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持ち2〜20炭素原子を含む1価のオキシ炭化水素基の例は、オキシブチルビニルエーテルのようなアルケニルオキシ基、ならびに、プロパルギルオキシもしくはヘキシニルオキシのようなアルキニルオキシ基を包含する。
【0055】
Qのハロゲン原子の例は、クロロ、フルオロ、およびブロモ原子を包含する。Qのアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、およびイソプロポキシを包含する。Qのアシル基の例は、アセトキシである。
【0056】
好ましくは、各Qは、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持ち2〜20炭素原子を含む、独立に選択された1価の炭化水素基である。より好ましくは、各Qは、2〜20炭素原子を含む独立に選択されたアルケニル基であり、アルケニル基が2〜8炭素原子を含むのが、Qにとって最も好ましい。
【0057】
シランの例は、ビニルトリメチルシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ヘキセニルジメチルクロロシラン、ヘキセニルメチルジクロロシラン、およびビニルトリアセトキシシランを包含する。
【0058】
シラン修飾有機ポリマーの例は、米国特許第6,177,519号明細書および米国特許第5,426,167号明細書において論じられるイソモノオレフィンとビニル芳香族モノマーとのシラングラフトコポリマーのような、オレフィン、イソモノオレフィン、ジエン、エチレンもしくはプロピレンオキシド、および、2〜20炭素原子を持つビニル芳香族モノマー由来のシリル化ポリマーである。他の代表的なシリコン修飾有機ポリマーは、ビニルシロキシ−、アリルシロキシ−、およびヘキセニルシロキシ−有機ポリマーおよびシロキサン有機ブロックコポリマーのようなアルケニルシロキシ官能基を有するポリマーにより例示されるが、これらに限定されない。
【0059】
有機シリコンポリマーおよびシリコン修飾有機ポリマーの例は、トリメチルシロキシ末端化ポリジメチルシロキサン−ポリメチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端化ポリジメチルシロキサン−ポリメチルヘキセニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端化ポリメチルビニルシロキサンポリマー、トリメチルシロキシ末端化ポリメチルヘキセニルシロキサンポリマー、1つもしくは2つのビニルもしくはヘキセニル末端を有するポリジメチルシロキサンポリマー、1つもしくは多数のビニルもしくはヘキセニル末端を有するポリ(ジメチルシロキサン−モノメチルシルセスキオキサン)ポリマー、トリメチルシロキシ末端化ポリ(ジメチルシロキサン−ビニルメチルシロキサン−メチルシルセスキオキサン)ポリマー、トリメチルシロキシ末端化ポリ(ジメチルシロキサン−ヘキセニルメチルシロキサン−メチルシルセスキオキサン)ポリマー、1つもしくは多数のビニルもしくはヘキセニル末端を有するポリ(ジメチルシロキサン−シリケート)コポリマー、トリメチルシロキシ末端化ポリ(ジメチルシロキサン−ビニルメチルシロキサン−シリケート)コポリマー、トリメチルシロキシ末端化ポリ(ジメチルシロキサン−ヘキセニルメチルシロキサン−シリケート)コポリマー、1つもしくは2つのビニルもしくはヘキセニル末端を有するポリ(ジメチルシロキサン−炭化水素)コポリマー、1つもしくは2つのビニルもしくはヘキセニル末端を有するポリ(ジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン)ブロックコポリマー、1つもしくは2つのアルケニル末端を有するポリイソブチレンとポリジメチルシロキサンとのブロックコポリマーを包含する。
【0060】
少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持つ少なくとも1つの化合物は、前記した有機水素シリコン化合物と反応させられ、本方法における成分(i)を形成する。これ故に、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持つ1つの化合物または異なる化合物の混合物が、使用されてもよい。加えて、該化合物は、1つ以上の脂肪族不飽和部分をも持ち得る。好ましい実施形態では、該化合物は、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持つ少なくとも1つの化合物を含む。最も好ましいのは、1つの脂肪族不飽和部分を持つ単一のタイプの化合物のみが使用される場合である。
【0061】
少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を含む該化合物は、単一化学種または異なる化学種の混合物であってもよい。それらは市販のものか、または、当業界において既知の方法により調製されてもよい。
【0062】
前記有機水素シリコン化合物と、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を含む該化合物との間のヒドロシリル化反応を触媒するのに有用な白金族金属含有触媒は、ヒドロシリル化反応に典型的に用いられる如何なる触媒をも含む。白金族により、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金、ならびにこれらの錯体が意味される。本発明の組成物を調製するのに有用な白金族金属含有触媒は、Willingの米国特許第3,419,593号明細書およびBrownらの米国特許第5,175,325号明細書により記述されるように調製される白金錯体であり、これらの各々が本明細書において援用され、このような錯体およびそれらの調製を示す。有用な白金族金属含有触媒の他の例は、Leeらの米国特許第3,989,668号明細書;Changらの米国特許第5,036,117号明細書;Ashbyの米国特許第3,159,601号明細書;Lamoreauxの米国特許第3,220,972号明細書;Chalkらの米国特許第3,296,291号明細書;Modicの米国特許第3,516,946号明細書;Karstedtの米国特許第3,814,730号明細書;ならびにChandraらの米国特許第3,928,629号明細書において見出され、これら全てが本明細書において援用され、有用な白金族金属含有触媒およびそれらの調製方法を示す。該白金含有触媒は、白金金属、シリカゲルもしくは粉末化木炭のような担体上に載せられた白金金属、または白金族金属化合物もしくは錯体であり得る。好ましい白金含有触媒は、6水和物の形態もしくは無水の形態の塩化白金酸、塩化白金酸をジビニルテトラメチルジシロキサンのような脂肪族不飽和有機シリコン化合物と反応させることを含む方法により得られる白金含有触媒、および2001年12月7日に出願された米国特許出願第10/017229号明細書に記載の(COD)Pt(SiMeClのようなアルケン−白金−シリル錯体を包含し、式中、CODは1,5−シクロオクタジエンであり、Meはメチルである。これらのアルケン−白金−シリル錯体は例えば、0.015モルの(COD)PtClを、0.045モルのCODおよび0.0612モルのHMeSiClと混合することにより、調製されてもよい。
【0063】
該白金族金属含有触媒の適切な量は、使用されるその特定の触媒に依存するであろう。該白金触媒は、本組成物中の全固形分(溶媒でない全成分)の重量%に基づいて、少なくとも2ppm、好ましくは5〜200ppmの白金を与えるのに充分な量にて存在するべきである。該白金が同基準に基づいて5〜150重量ppmの白金を与えるのに充分な量にて存在することが、非常に好ましい。該触媒は、単一化学種として、または、2つ以上の異なる化学種の混合物として、加えられてもよい。該触媒を単一化学種として加えるのが、好ましい。該白金族金属含有触媒は市販のものか、または、当業界において既知の方法により調製されてもよい。
【0064】
本方法の成分(i)は、白金族含有触媒存在下に、前記したような少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持つ少なくとも1つの化合物と、前記したような有機水素シリコン化合物を混合することにより、調製される。Si−Hに対する脂肪族不飽和部分の比は、100〜1、好ましくは1.5〜1であり得る。最も好ましいのは、Si−Hに対して充分な比の脂肪族不飽和部分が加えられ、該有機水素シリコン化合物上の全てのシリコン結合水素結合が反応させられることである。これらの材料は、スパーテル、ドラム・ローラー、メカニカル・スターラー、3ロール・ミル、σブレード・ミキサー、パン粉用ミキサー、および2ロール・ミルのような如何なる適切な混合手段を使用しても、一緒に混合され得る。この反応の温度は厳密には特定されないが、一般的には約20℃〜150℃の範囲内にある。反応時間の長さも決定的ではなく、一般的には調節剤の添加速度により決まる。該反応は任意に、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、およびヘプタンのような汎用溶媒を使用して行われる。
【0065】
本方法の成分(ii)は、式(IV)R’SiO(MeR’SiO)SiR’により記述される少なくとも1つの末端封鎖剤を含み、式中、zは0〜150の範囲であり、R’は独立に、アルキル、アリール、アルケニル、ジエニル、または官能基を有するアルキルから選ばれ、ここで該官能基は、フルオロ、フルオロエーテル、ポリエーテル、エーテル、アリール、シリル、シロキシ、カルボキシ、グリコシジル、またはアクリレートであってもよい。
【0066】
R’のアルキル基の例は、式C2n+1を持つ基(式中、nは1〜30の整数);シクロヘキシルのような脂環式基、トリビニルシクロヘキサンまたは2回反応したジエン由来のもののような多価アルキル架橋を包含する。アルケニル基の例は、ビニル、ならびに、5−ヘキセニル、6−ヘプテニル、7−オクテニル、8−ノネニル、9−デセニル、10−ウンデセニル、およびシクロヘキセニルエチルのような高級アルケニルを包含する。ジエニル置換基の例は、4,7−オクタジエニル、5,8−ノナジエニル、5,9−デカジエニル、6,11−ドデカジエニル、および4,8−ノナジエニルを包含する。アリール基の例は、フェニル、トリル、およびキシリルを包含する。官能基を有するアルキルの例は、クロロメチル、トリフルオロプロピル、ヘキサフルオロブチルエチルのようなフルオロアルキル;CHCHCHO(CH(CFCF(式中、nは1〜10の整数)のようなフルオロアルキルエーテル;ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル、ポリアルキレングリコールモノビニルエーテル、ポリアルキレングリコールアリルメチルエーテル、ポリアルキレングリコールビニルメチルエーテル、ポリアルキレングリコールアリルアセテート、およびポリアルキレングリコールビニルアセテートのようなポリエーテル;ベンジル、スチリル、およびα−メチルスチリルのようなアラルキル;メチルトリメチルシランおよびヘキシルトリメチルシランのようなアルキルシリル;エチルペンタメチルジシロキサンまたはヘキシルペンタメチルジシロキサンのようなアルキルシロキサン;アリルメタクリレートのようなアクリレート;ビニルフェニルエーテルのようなエーテル;ビニルアセテートのようなアセテート;一般式Allyl−C(OR)を有するアリルグルコシドのようなグリコシジルを包含する。好ましいのは、各R’が独立に、アルキル、アリール、フルオロアルキル、フルオロアルキルエーテル、アルケニル、またはポリアルケニルグリコールから選ばれることである。より好ましいのは、各R’が独立に、アルキル、フルオロアルキル、またはアルケニルから選ばれることである。各R’は、所望される場合、同一でもまたは異なっていてもよい。
【0067】
zは0〜150の整数である。好ましくは、zは0〜50の整数である。より好ましくは、zは0〜8の整数である。
【0068】
成分(ii)は、成分(i)100重量部につき0.5〜5000重量部、好ましくは同基準に基づいて3〜1000重量部、最も好ましくは同基準に基づいて10〜150重量部の量で加えられてもよい。成分(ii)は、単一化学種または異なる化学種の混合物であってもよい。成分(ii)は市販のものか、または、当業界において既知の方法により調製されてもよい。
【0069】
本方法の任意成分(iii)は、式(V)HO(MeR’SiO)y’Hにより記述される加水分解物または式(VI)(MeR’SiO)により記述されるシクロシロキサンから選ばれる少なくとも1つの有機シロキサンを含み、式中、yは3〜30の整数であり、y’は1〜500の整数であり、各R’は独立に、アルキル、アリール、アルケニル、ジエニル、または官能基を有するアルキルから選ばれ、ここで該官能基は、フルオロ、フルオロエーテル、ポリエーテル、エーテル、アリール、シリル、シロキシ、カルボキシ、グリコシジル、またはアクリレートであってもよい。この成分は、更なるシリコーンが必要とされる場合加えられ得、分子量を増やしたり、重合化度を増加させたりする。
【0070】
式(V)および(VI)の各R’は独立に、アルキル、アリール、アルケニル、ジエニル、または官能基を有するアルキルから選ばれ、ここで該官能基は、フルオロ、フルオロエーテル、ポリエーテル、エーテル、アリール、シリル、シロキシ、カルボキシ、グリコシジル、またはアクリレートであってもよい。有用なR’基の例は、前記の通りである。
【0071】
yは3〜30の整数であり、好ましくは3〜10である。y’は1〜500の整数であり、好ましくは1〜200である。
【0072】
成分(iii)は、成分(i)100重量部につき0〜45,000重量部、好ましくは同基準で0〜1,000重量部、より好ましくは同基準で100〜1,000重量部の量において加えられてもよい。成分(iii)は、単一化学種または異なる化学種の混合物であってもよい。それは、式(V)もしくは式(VI)単独により、または、これらの組み合わせにより記述される材料をも含んでよい。成分(iii)は市販のものか、または、当業界において既知の方法により調製されてもよい。
【0073】
特定の官能基について述べられたが、一般的に、該官能基に関する唯一の限定は、特定の該官能基が、用いられる所望の平衡化条件に耐え得る能力である。当業界において知識として得ることが可能なものは、反応を確実に行うための官能基、触媒、および条件の適切な組み合わせの選択を可能にせしめる。
【0074】
本発明において使用される触媒は、当業界において既知の広範な触媒のいずれでもあり得、これらは、シクロシロキサンの開環重合反応に有用なものである。幾つかの適切なタイプの触媒の例は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属シラノレート、硫酸、塩酸、三フッ化ホウ素(ボロントリフルオリド)、および塩化アルミニウムのようなルイス酸、水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラブチルホスホニウムシラノレート、4級アンモニウムおよびホスホニウム+ボロン錯体、リン酸4級アンモニウム、ホウ酸4級アンモニウム、炭酸4級アンモニウム、ケイ酸4級アンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(トリフリック・アシッド、triflic acid)、ハロゲン化ホスホニトリル(酸性ホスファゼン)、ならびに塩基性ホスファゼンであり、これらは、米国特許第5,344,906号明細書;米国特許第5,670,596号明細書;米国特許第5,830,969号明細書;および米国特許第5,883,215号明細書に記載されるものである。
【0075】
特定の例としては、使用され得る幾つかの適切なアルカリ金属シラノレートおよびアルカリ金属シロキサノレートは、ナトリウムトリメチルシラノレート(CHSi(ONa)、ナトリウムトリフェニルシラノレート(CSi(ONa)、二ナトリウムジフェニルシラノレート(CSi(ONa)、二ナトリウムジメチルシラノレート(CHSi(ONa)、二ナトリウムメチルアミノプロピルシラノレート(CH)[HNCHCHCH]Si(ONa)、それらのカリウム等価体、二カリウムジメチルシラノレートKO[(CHSiO]K、二カリウムジメチルシロキサノレートKO[(CHSiO]K(式中、nは4〜8)、二カリウムフェニルメチルシラノレートKO[(C)(CH)SiO]K、および二カリウムフェニルメチルシロキサノレートKO[(C)(CH)SiO]K(式中、nは4〜8)である。
【0076】
好ましい触媒は、トリフリック・アシッド、二カリウムジメチルシラノレート、塩基性ホスファゼン、酸イオン交換樹脂、および酸性粘土である。
【0077】
有用な触媒の活性本体の量は、如何なる不活性支持材料をも除いて、本組成物中の全固形分(溶媒以外の全成分)重量%に基づいて、約10ppm〜2重量部の範囲である。重合化は、これらの量より多い量または少ない量を使用することにより達成され得るが、これは実際的ではなく、前者の場合、過剰量の酸が、この反応終結時に該触媒の中和に必要とされ、一方、後者の場合、僅か痕跡量の触媒の使用により、該反応初期において該触媒の効果が消失してしまうであろう。
【0078】
該触媒は、単一化学種、または、異なる化学種の混合物であってもよい。該触媒は市販のものか、または、当業界において既知の方法により調製されてもよい。
【0079】
成分(i)の反応生成物を調製するのに使用される前記有機水素シリコン化合物の存在を除いては、本明細書中で用いられる平衡化方法は一般的に、当業界において既知である。米国特許第2,868,766号明細書、米国特許第2,994,684号明細書、および米国特許第3,002,951号明細書の各々が本明細書中において援用され、これらは、所望の重合状態を得るのに充分な時間、触媒の存在下に、上昇された温度において、環状タイプのシロキサン化学種を(共)重合させることにより、種々のタイプのポリマーを調製する方法に関するものである。
【0080】
従って、例えば、成分(i)、(ii)、および任意に(iii)の重合化は、5分〜3日の範囲の時間、30〜250℃の範囲の温度において、実施され得る。
【0081】
この反応を溶媒非存在下に実施することが好ましいが、一方、所望であれば、該反応は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、デカヒドロナフタレン、トルエン、p−クロロ−トルエン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、キシレン、ジメチルスルホキシド、またはジブチルエーテルのような溶媒の存在下に、実施され得る。
【0082】
該重合化反応を実施するのに使用されるこれら必須成分および任意成分のいずれもが、このポリマー組成物のポリマー鎖中の繰り返し単位の所望の分布を達成するに必要な化学量論量において組み合わされ得る。
【0083】
本発明のもう1つ別の実施形態は、本願方法により調製される分岐ポリマーを含む。もう1つ別の実施形態は、本願方法により調製される分岐ポリマーを含む組成物を包含する。特に好ましい組成物は、本願方法により調製される分岐ポリマー、Si−H架橋剤、白金族含有触媒、阻害剤、ならびに任意に、放出調節剤および添加剤、例えばアンカー剤を含む。本願方法により調製される分岐ポリマー以外のこれらの成分は全て、当業界においてよく知られている。
【0084】
本願方法により調製される該分岐ポリマーは特に有用であり、これは、それらが、低粘度、高ポリマー重合化度(Dp)の分岐ポリマー生産を可能ならしめるからである。加えて、末端基を持たない環状分岐中間体の使用により、分岐、末端基密度、末端基の同一性、およびDpといった特性を、独立にコントロールすることが可能である。他の使用においても、これらポリマーは、液体、架橋剤、放出ポリマー、アンカー添加剤、屈折率改変剤等として、使用され得る。
【実施例】
【0085】
29Si核磁気分光(29SiNMR)データが、クロロホルムD溶媒を使用して、Varian Mercury 300で収集された。この実験は、5mmの交換可能なPFGプローブを使用して、デカップリングされた開閉パルス・シークェンスによる60秒の緩和時間を用いて実施された。あるいは、このサンプルはMercury400で測定され、Nalorac16mm無シリコンPulsetune(登録商標)プローブを使用し、緩和試薬として0.03MのCr(acac)を用い、開閉デカップリング用いて、定量的な条件を確実化した。両者とも、90°のパルス幅を使用し、該Mercury400は、12秒の緩和時間を使用した。
【0086】
Si−H測定−所定の材料が、推定Si−H含量に従って、125mLエーレンマイヤーフラスコに、0.01グラムの桁まで量り採られ、サンプル重量を記録した。これに、調製された酢酸水銀溶液(4%酢酸水銀粉末、96%メタノール/クロロホルム(1:1混合物))20mLが加えられ、該フラスコは次いで遮蔽され、混合するために攪拌された。ブランクのサンプル(Si−H含有材料無添加)も、比較用に調製された。サンプルが30分間放置された後、該サンプルは調製された塩化カルシウム溶液(25%塩化カルシウム、75%メタノール)20mLによりクウェンチされた。その後、調製されたフェノールフタレイン溶液(エタノール中フェノールフタレイン1%)10滴が、小さなピペットから滴下された。該サンプルは次いで、0.1Nのメタノール性水酸化カリウムを用いて滴定され、測定値が採られた。
【0087】
ビニル滴定:サンプルが0.01gの桁まで、250mLの褐色フラスコに量り採られた。塩化メチレン(50.0mL)が加えられ、該サンプルを溶解させ、ICl(20.0mL)が加えられた。該サンプルは2時間、暗所に置かれた。2時間後、KI溶液(DI水中KI10%;15.0mL)、次いでDI水(50.0mL)が加えられた。該フラスコの中身が攪拌されてよく混合され、次いで結果的に遊離したヨウ素が、チオ硫酸ナトリウム溶液(DI水中0.1N)を用いて滴定された。
【0088】
ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)−Waters515ポンプ、Waters717オート・サンプラー、およびWaters2410示差屈折率計を使用して、GPCデータが収集された。この分離は、Plgel 5μm ガードカラムに通した後、300mm×7.5mmのPolymer Laboratories Plgel 5μm Mixed−Cカラム2つを用いて実施された。HPLCグレードのトルエン溶出液が、1.0mL/分の流速にて使用され、カラムおよび検出器が45℃まで加温された。50μLの注入容積が使用され、このサンプルは0.45μmのPTFEシリンジ・フィルターに通して、前濾過された。1,300〜850,000の範囲の分子量をカバーするポリジメチルシロキサン(PDMS)標準を使用して発生させた4次較正曲線に照らし合わせて、平均分子量が求められた。
【0089】
硬化測定−抽出可能なシリコーンのパーセンテージ(%)に基づいて硬化測定するために、シリコーンによりコーティングされた基板サンプルが、円盤の形態で採取された。Oxford Lab−X3000BenchtopXRF分析機でX線蛍光(XRF)により該サンプルに関する初期コーティング重量測定を行った後、該サンプルは30分間、攪拌しながらメチルイソブチルケトン(MIBK)中に没入された。MIBK抽出後、該サンプルは該MIBK溶媒から除去され、風乾させられ、第2回目のコーティング重量測定が実施された。この抽出可能なシリコーンのパーセンテージ(%)は、シリコーンコーティング重量における損失(%)として、定義される。
【0090】
有機水素シリコン化合物の調製
反応容器に、約4.4の平均Dp(49.1モルのSi−H)を持つポリ(メチル水素)環状シロキサン(MeH環状物)(A−1)2947gおよび約8の平均Dp(14.4モルのビニル)を持つジメチルビニルシロキシ末端封鎖ポリジメチルシロキサンポリマー(B−1)5053gを加え、3.4:1のSi−H/SiVi比とした。これらのポリマーはよく混合され、ビニルシロキサンにより稀釈された白金(Pt)触媒が加えられ、約12ppmのPt含量を与えた。発熱反応が始まり、10分間に亘って、該容器の内容物の温度が、25℃から137℃へと上昇した。2時間の冷却後、ビス(2−メトキシ−1−メチルエチル)マレエート(80g、1重量%)が加えられ、更なる作用から該Ptを安定化させた。結果得られたポリマーから不純物は除去されず、GCにより、約4%の残留未反応MeH環状物含量を持っていることが示された。この単離された生成物は、78mPa.sの粘度、滴定により測定されたところ、0.42重量%のSi−H量(Hとして)ならびにポリジメチルシロキサン(PDMS)標準に対してMn=2810およびMw=8115のGPCを持っていた。該生成物の29SiNMR解析が、全ビニル基が消費されてシレチレン架橋を与え、開環が全く起こっておらず、結果得られた分子構造が下記のメチル水素環状シロキサンにより末端封鎖された直鎖シロキサンポリマーに一致していることを実証したが、下記式中、Meがメチル、xがMwに関して平均6.5、Mnに関して平均1.5、dが平均約8である。
【0091】
【化8】

【0092】
分岐中間体Aの調製
2Lの3頚フラスコに、濃縮器、スターラー、温度計、窒素導入管、および更なる漏斗が備え付けられた。平均Dp=8のビニル末端化ポリジメチルシロキサン(547.3g、1.74モルのVi)と共に、平均Dp=4.4のメチル水素環状物(319.2g、5.3モルのSi−H)が該フラスコへと加えられ、よく混合された。シロキサンと錯体化したPt触媒が加えられて、12ppmのPt濃度を与えた。発熱反応が始まり、これらの反応剤の温度が、約10分で速やかに132℃まで上昇した。該発熱がおさまった後、この混合物は45℃まで冷却され、1−ヘキセン(331.4g、3.9モルのVi)が滴下され、該発熱を35〜50℃の間に制御して保った。添加完結後、該反応混合物は25℃まで冷却され、150℃/1mmHgにおいて、揮発性材料を除去した。該反応生成物(中間体A)は透明であり、僅かに粘稠であり、琥珀色をしていた。生成した該分岐ポリマーの分析に基づけば、所望のヘキシル末端封鎖中間体の合成が達成された。
【0093】
分岐中間体Bの調製
500mLの3頚フラスコに、スターラー、温度計、窒素導入管、および更なる漏斗が備え付けられた。平均Dp=8のビニル末端化ポリマー(101.0g、0.29モルのVi)と共に、平均Dp=4.4のメチル水素環状物(58.9g、0.98モルのSi−H)が該フラスコへと加えられ、よく混合された。シロキサンと錯体化したPt触媒が加えられ、10ppmのPt濃度を与えた。発熱反応が始まり、これらの反応剤の温度が、約15分で115℃まで上昇した。冷却後、この生成物は更なる該漏斗中に入れられ、ビニルシクロヘキセン(74.5g、0.69モルの末端ビニル)へと滴下され、86℃まで加熱された。発熱反応が始まり、添加速度により制御されて、その温度を115℃以下に保った。添加完結後、該反応混合物は更に2時間、115℃において加熱された。該反応生成物(中間体B)は冷却され、100℃/2mmHgにおいて揮発性の化学種を除去し、960cPの僅かに曇った液体を与えた。NMRによる分析は、Si−Hが残存していないことを示し、所望の生成物に一致したスペクトルを与えた。
【0094】
実施例1〜7:分岐ポリマーの合成
2Lの3頚フラスコに、濃縮器、スターラー、窒素導入管、および温度計が備え付けられた。該フラスコに、分岐中間体(中間体AまたはB)、所望の末端封鎖剤、およびジメチル環状シロキサン(DおよびDの混合物)が加えられた。これらの内容物が混合され、40℃まで加熱され、次いでカリウムシラノレート触媒が加えられた。この平衡化反応は終夜150℃において実施され、次いで50℃まで冷却され、その後酢酸が添加され、該カリウム触媒を中和した。これらの内容物は25℃まで冷却され、ワイプフィルム(wiped film)エバポレーターを使用して、150℃/1mmHgにおいて揮発性材料を除去した。この揮発性物質除去処理されたポリマーは、圧力フィルターに通されて濾過された。GPC、29SiNMR、および13CNMRデータが、各分岐ポリマーに関して収集され、これらは表1において指し示されるポリマー構造を裏付けるものである。
【0095】
実施例8および9:分岐ポリマーの合成
2Lの3頚フラスコに、濃縮器、スターラー、窒素導入管、および温度計が備え付けられた。該フラスコに、分岐中間体A、所望の末端封鎖剤、およびジメチル環状シロキサン(DおよびDの混合物)が加えられた。これらの内容物が混合され、40℃まで加熱され、次いでカリウムシラノレート触媒が加えられた。この平衡化反応は終夜150℃において実施され、次いで50℃まで冷却され、その後酢酸が添加され、該カリウム触媒を中和した。これらの内容物が25℃まで冷却され、ワイプフィルム(wiped film)エバポレーターを使用して、150℃/1mmHgにおいて揮発性材料を除去した。この揮発性物質除去処理を施されたポリマーは、圧力フィルターに通されて濾過された。GPC、29SiNMR、および13CNMRデータが、各分岐ポリマーに関して収集され、これらは表2において指し示されるポリマー構造を裏付けるものである。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
分岐ポリマーコーティング
実施例1〜7において調製された分岐ポリマーが、下記の量のSi−H架橋剤、触媒、および阻害剤と共に混合された。コントロールサンプル(A)は、160Dpのビニルジメチルシロキシ末端化ポリ(ジメチルシロキサン−シリケート)コポリマーを使用し、(B)は、Dp=130の直鎖ビニルジメチルシロキシ末端化ポリジメチルシロキサンを使用したが、両者ともに市販品である。このコーティング組成物が、圧力ブレードコーティング機を使用して、シート形態の特定の基板へと適用され、可動ウェブを備え付けられたオーブン中において直ちに硬化された。この硬化/放出データが、表3にまとめられる。
実施例1〜7のポリマー 10.00g
架橋剤(Dp約20のSi−Hホモポリマー) 0.33g
ビス(2−メトキシ−1−メチルエチルマレエート)阻害剤 0.04g
シロキサンに溶解したPt 0.19g
硬化温度/時間 149℃(300°F)/6秒
Si−H/SiVi比 1.6
基板 SCK紙
【0099】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)白金族金属含有触媒存在下に、1分子につき少なくとも1つのシリコン結合水素原子を含有する少なくとも1つの有機水素シリコン化合物と、少なくとも1つの脂肪族不飽和部分を持つ少なくとも1つの化合物とを混合することにより得られる反応生成物であって、ここで該有機水素シリコン化合物は、式(I)により記述され:
【化1】

式中、各Rは独立に、水素原子、および、脂肪族不飽和部分がなく1〜20炭素原子を含む1価の炭化水素基から選択され、aは1〜18の整数であり、bは1〜19の整数であり、a+bは3〜20の整数であり、各Xは、ハロゲン原子、エーテル基、アルコキシ基、アルコキシエーテル基、アシル基、もしくはシリル基、または−Z−R基から独立に選択される官能基であり、ここで各Zは独立に、酸素、および、2〜20炭素原子を含む2価の炭化水素基から選択され、各R基は独立に、−BR2−u、−SiR3−v、または式(II):
(Y3−nSiO1/2(Y2−oSiO2/2(Y1−pSiO3/2(SiO4/2(CR1−q(CR2−r(O(CR2−s))(CR3−t
により記述される基から選択され、ここでBはボロン(ホウ素)であり、各Rは前記の通りであり、c+d+e+f+g+h+i+jの合計は少なくとも2であり、nは0〜3の整数であり、oは0〜2の整数であり、pは0〜1の整数であり、qは0〜1の整数であり、rは0〜2の整数であり、sは0〜2の整数であり、tは0〜3の整数であり、uは0〜2の整数であり、vは0〜3の整数であり、各Yは、ハロゲン原子、エーテル基、アルコキシ基、アルコキシエーテル基、アシル基、もしくはシリル基、またはZ−G基から独立に選択される官能基であり、ここでZは前記の通りであり、各Gは式(III):
【化2】

により記述されるシクロシロキサンであり、式中、RおよびXは前記の通りであり、kは0〜18の整数であり、mは0〜18の整数であり、k+mは2〜20の整数であり、但し、式(II)において、Y基の内の1つは、R基に結合しているZ基により式(I)のシクロシロキサンへと置き換えられ、更に、式(I)の少なくとも1つのX基が−Z−R基であり;
(ii)式(IV)R’SiO(MeR’SiO)SiR’により記述される、少なくとも1つの末端封鎖剤であって、式中、zが0〜150であり、各R’が独立に、アルキル、アリール、アルケニル、ジエニル、もしくは官能基を有するアルキルから選ばれ、ここで、該官能基が、フルオロ、フルオロエーテル、ポリエーテル、エーテル、アリール、シリル、シロキシ、カルボキシ、グリコシジル、もしくはアクリレートであってよく;ならびに任意に
(iii)式(V)HO(MeR’SiO)y’Hにより記述される加水分解物および式(VI)(MeR’SiO)により記述されるシクロシロキサンから選ばれる、少なくとも1つの有機シロキサン(式中、yは3〜30の整数であり、y’は1〜500の整数であり、各R’は前記の通りである)
を含む混合物を、触媒存在下に加熱して、成分(i)、(ii)、および任意に(iii)の重合化を起こさせ、分岐ポリマーを形成させることを含む方法。
【請求項2】
bが2〜19の整数であり、cが0〜50の整数であり、dが0〜5000の整数であり、eが0〜48の整数であり、fが0〜24の整数であり、gが0〜50の整数であり、hが0〜50の整数であり、iが0〜50の整数であり、jが0〜50の整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各Rは独立に、水素原子、1〜8炭素原子を含むアルキル基、または6〜9炭素原子を含むアリール基から選択され、各XはZ−R基または独立に、クロロ、メトキシ、イソプロポキシから選択され、ここでZは2価の炭化水素基であり、Rが、−CHCH−、−CHCHCHCH−、−O(CHCHO)z’−(式中、z’=1〜100)、O(CHCHCHO)z’’−(式中、z’’=1〜100)、ならびに−RSiO(RSiO)SiR−Z−G、−RSiOSiR、−RSiOSiR−Y、および−RSi(OSiRにより記述されるシロキサン基から選択され、ここで、dは1〜50の整数であり、Z、G、およびRが前記の通りである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機水素シリコン化合物が、以下の構造式:
【化3】

【化4】

【化5】

から選択され、式中、Meがメチルであり、d+d=dであり、xが1〜100の範囲であり得る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記有機水素シリコン化合物が、以下の構造式:
【化6】

により記述され、式中、Meがメチルであり、dが平均8であり、xが1〜15の整数である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
各R’が独立に、アルキル、フルオロアルキル、またはアルケニルから選ばれ、成分(ii)が、成分(i)100重量部に基づき3〜1000重量部の量で加えられ、成分(iii)が、0〜1000重量部の量で加えられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
各R’が独立に、アルキル、フルオロアルキル、またはアルケニルから選ばれ、成分(ii)が、成分(i)100重量部に基づき3〜1000重量部の量で加えられ、成分(iii)が、0〜1000重量部の量で加えられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
Si−Hに対して充分な比の脂肪族不飽和部分が使用され、前記有機シリコン化合物上の全てのシリコン結合水素結合が反応させられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により調製される分岐ポリマー。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により調製される分岐ポリマーを含む組成物。
【請求項11】
請求項8に記載の方法により調製される分岐ポリマー、Si−H架橋剤、白金族含有触媒、および阻害剤を含む組成物。

【公表番号】特表2006−511646(P2006−511646A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563710(P2004−563710)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/040277
【国際公開番号】WO2004/058857
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】