説明

有機薄膜トランジスタ

【課題】
【解決手段】有機薄膜トランジスタは、基板と、前記基板上に設けられるソース電極及びドレイン電極と、前記電極間に設けられるチャネル領域と、前記チャネル領域に設けられる有機半導体層と、ゲート電極と、前記有機半導体層と前記ゲート電極との間に設けられるゲート誘電体とを備え、前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーとフッ素含有ポリマーとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機薄膜トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタは主に、バイポーラ接合トランジスタと電界効果トランジスタの2つのタイプに分類することができる。これら2つのタイプは、3つの電極と、これら電極間においてチャネル領域に設けられる半導体材料とを備えた共通の構造を有している。バイポーラ接合トランジスタの3つの電極は、エミッタ、コレクタ、ベースとして知られている。一方、電界効果トランジスタでは、ソース、ドレイン、ゲートとして知られている。バイポーラ接合トランジスタは、エミッタ−コレクタ間電流がベース−エミッタ間電流によって制御されるため、電流制御素子と呼称されることもある。これに対し、電界効果トランジスタは、ソース−ドレイン間電流がゲート−ソース間電圧によって制御されるため、電圧制御素子と呼称されることもある。
【0003】
また、トランジスタは、正電荷担体(正孔)を伝導させる半導体材料から構成されるか、又は負電荷担体(電子)を伝導させる半導体材料から構成されるかによって、p型とn型に分類することができる。半導体材料は、電荷を受容し、伝導させ、供与する能力によって選択される。半導体材料の正孔又は電子を受容し、伝導させ、供与する能力は、半導体材料にドーピングを行うことによって増大させることができる。ソース電極及びドレイン電極に使用される材料もまた、正孔又は電子を受容し、注入する能力によって選択される。例えば、p型トランジスタ素子の場合は、正孔を受容し、伝導させ、供与することに優れた半導体材料を選択し、且つ正孔を注入すること、また該半導体材料から正孔を受容することに優れたソース/ドレイン電極材料を選択することによって形成することができる。電極のフェルミ準位と半導体材料のHOMO準位を可及的に整合させることによって、正孔注入及び受容能力を増大させることができる。一方、n型トランジスタ素子の場合は、電子を受容し、伝導させ、供与することに優れた半導体材料を選択し、且つ該半導体材料に電子を注入し、また該半導体材料から電子を受容することに優れたソース/ドレイン電極材料を選択することによって形成することができる。電極のフェルミ準位と半導体材料のLUMO準位を可及的に整合させることによって、電子注入及び受容能力を増大させることができる。
【0004】
複数の構成要素を薄膜状に積層してトランジスタを形成することで薄膜トランジスタが形成される。そのような素子において、半導体材料として有機材料を使用したものは、有機薄膜トランジスタ(OTFT)として知られる。OTFTは、例えば、溶液を用いる成膜法(溶液法)のような低コスト且つ低温で実施可能な方法によって作製してもよい。さらに、OTFTは可撓性プラスチック基板に対して適合性があるので、ロール・ツー・ロール製法によって、可撓性基板上にOTFTを大量生産することが可能となると考えられる。
【0005】
有機薄膜トランジスタにおいては、様々な構成が知られている。そのような素子の1つとして、絶縁ゲート型電界効果トランジスタが挙げられる。このトランジスタは、ソース電極及びドレイン電極と、それら電極間のチャネル領域に設けられた半導体材料と、該半導体材料の近傍に設けられたゲート電極と、チャネル領域において該ゲート電極と該半導体材料との間に設けられた絶縁層とを備える。
【0006】
そのような有機薄膜トランジスタの一例が、図1に示されている。図示された構造は基板1上に積層される。該構造は、ソース電極及びドレイン電極2、4を有し、これら電極は、電極間に位置するチャネル領域によって互いに離間している。有機半導体(OSC)8はチャネル領域に形成され、ソース及びドレイン電極2、4の少なくとも一部を覆うように延在してもよい。誘電体材料からなる絶縁層10は、有機半導体8の上に形成され、ソース及びドレイン電極2、4の少なくとも一部を覆うように延在してもよい。最後に、ゲート電極12が、絶縁層10の上に積層される。ゲート電極12は、チャネル領域の上方に位置し、ソース及びドレイン電極2、4の少なくとも一部を覆うように延在してもよい。
【0007】
上述の構造は、ゲートが素子の最上部に位置するトップゲート型有機薄膜トランジスタとして知られている。ソース/ドレイン接点をOSC層の下に配置する場合は、より詳細には、トップゲート型ボトムコンタクト構造素子という。また、トップゲート型トップコンタクト構造素子も可能であり、その場合は、ソース/ドレイン接点はOSC層の上に配置される。
【0008】
又は、素子の底部にゲートを設ける、いわゆるボトムゲート型有機薄膜トランジスタも知られている。
【0009】
そのようなボトムゲート型有機薄膜トランジスタの一例が、図2に示される。図1の構造と図2の構造との関係を明確にするため、対応する構成要素については同一の参照符号を用いている。図2に示されるボトムゲート構造は、基板1上に形成されたゲート電極12と、該ゲート電極12上に形成された誘電体材料の絶縁層10とを備える。ソース及びドレイン電極2、4は、誘電体材料の該絶縁層10上に形成される。ソース及びドレイン電極2、4は、ゲート電極の上方において電極間に位置するチャネル領域を介して離間している。有機半導体(OSC)8は、チャネル領域に形成される。有機半導体8は、ソース及びドレイン電極2、4の少なくとも一部の上に延在してもよい。
【0010】
ソース/ドレイン接点をOSC層の下に配置する場合は、より詳細には、ボトムゲート型ボトムコンタクト構造素子という。また、ボトムゲート型トップコンタクト構造素子も可能であり、その場合は、ソース/ドレイン部分はOSC層の上に配置される。
【0011】
チャネルの導電率は、ゲートに電圧を印加することによって変化させることができる。従って、トランジスタは、印加するゲート電圧によって、スイッチオン/オフを行うことができる。
【0012】
誘電体層は、高い抵抗率を有する絶縁材料から選択された誘電体材料からなる。OTFTにおいて実現可能な容量は誘電体の誘電率kに正比例し、またドレイン電流Iは容量に正比例するため、原理上は、kの値が高い材料が望まれるが、該誘電体の誘電率kは、一般に2〜3である。しかしながら、研究では、以下で述べるフッ化物材料の場合のように、多くの場合において、誘電率kの低い誘電体材料を用いてOTFTの特性が改善されることが示されている。
【0013】
有機薄膜トランジスタにおいて実現可能なドレイン電流は、素子の活性領域における誘電体(ソース・ドレイン電極間のチャネル)の厚みに反比例する。従って、有機薄膜トランジスタにおいて、低動作電圧で高いドレイン電流を実現するためには、チャネル領域における誘電体層を薄くする必要がある。
【0014】
上記から明らかなように、有機薄膜トランジスタにおける誘電体、すなわち該誘電体とOSCとで形成される界面は、有機薄膜トランジスタの動作特性を決定する重要な因子となる。従って、該誘電体に対して様々な材料や構造が従来から提案されてきた。
【0015】
2001年に登録された米国特許第6,265,243号では、誘電体をフッ化シランのようなフッ化有機材料によって表面処理したOTFTが開示されている。そのような誘電体に適した材料としては、二酸化ケイ素、ポリイミド、ポリビニルフェノール(PVP)が挙げられている。また、フッ化シランのようなフッ化有機材料による誘電体の表面処理に代るものとして、該誘電体材料を、フルオロアルキル鎖を多く含む誘電体ポリマー材料に変更してよいことも開示している。この代替する誘電体ポリマー材料の例は挙げられていない。
【0016】
アプライド・フィジックス・レターズ第85巻第12号第2283頁(2004年)には、2層誘電体が開示されている。この文献では、PVPとポリ酢酸ビニルとを2層とした2層誘電体が用いられている。
【0017】
前記米国特許第6,265,243号を背景技術の項で引用している、2007年に登録された米国特許第7,279,777号では、誘電体層として、フッ化されていないシアノ官能性ポリマー(cyano−functional polymers)を開示している。この場合、該高分子は架橋可能な基を有することが好ましいとしている。また、フッ化されていないシアノ官能性ポリマーと共に、フッ化されていないスチレンを含む表面修飾ポリマーを使用することも開示している。米国特許第6,265,243号に開示されているフッ化された誘電体よりも、著しく高い移動度が実現されることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的の1つは、上述した1以上の問題を解決する手段を提供することにある。
【0019】
本出願人は、OTFTのゲート誘電体が具備することで有利となるであろう物理特性、化学特性及び電気特性のいくつかを特定した。
【0020】
物理特性では、低動作電圧において高いドレイン電流を実現するため、誘電体が薄いこと、同時に、ピンホール欠陥のない強固で連続した層にすることで、誘電体が、空気、水分、その他の化学汚染物質に対して低い透過率を有すること、さらに、OTFTにおいて有機半導体との間で良好で欠陥のない境界を提供できることが、有利となるであろう。また、層間剥離を防止するため、誘電体は、ゲートに対して良好な接着性を有すること、同時に、表面に対する有機半導体分子のピニング(pinning)を防止するため、誘電体は、有機半導体に対して低接触角表面(low contact angle surface)を有することが、有利となるであろう。その結果、有機半導体分子は、結晶化に対する自由度が拡がり、移動度を増加させることができる。さらに、下側の層にダメージを与えることなく、上記の特性を有する膜を形成するために、誘電体は成膜し易ければ、有利になるであろう。
【0021】
化学特性では、誘電体は、空気、水分、その他の化学汚染物質に対して化学的に不活性であれば、また、OTFTにおける有機半導体を化学汚染しなければ、有利となるであろう。
【0022】
電気特性では、誘電体は、電流の漏れを防ぐために高い抵抗率を有すること、また、高いゲート容量を維持し、高いドレイン電流を実現するために高い誘電率kを有することが有利となるであろう。同時に、誘電率kの低い誘電体は、有機半導体のモフォロジ(morphology)を改善し、また、誘電率kの高い誘電体の表面と比較して、電荷トラップの数を減少させることが明らかになってきているように、有機半導体との境界において、誘電体が、誘電率kの低い表面を有すれば、有利となるであろう。
【0023】
本出願人は、誘電体が具備することが望ましいと考えられる特性を特定し、さらに従来技術の構成を検討した結果、上記した全ての要求に完全に応えている従来技術構成はないと結論した。上記の背景技術において記載した従来技術のうちで最良の誘電体は、米国特許第7,279,777号において開示されたものであろう。上述したように、米国特許第7,279,777号では、誘電体層として、実質的にフッ化されていないシアノ官能性ポリマーを開示している。この場合、該高分子は架橋基を有することが好ましいとしている。また、フッ化されていないシアノ官能性ポリマーと共に、種々のフッ化されていないスチレンを含む表面修飾ポリマーを使用することも開示している。さらに、米国特許第6,265,243号に開示されているフッ化された誘電体よりも、高い移動度が実現されることが記載されている。
【0024】
本出願人は、米国特許第7,279,777号に開示されている好ましい架橋可能ポリマーは、本出願人が特定した望ましい基準の多くを満たすであろうと認識した。
【0025】
一般に、架橋可能ポリマーは、非架橋材料と比べて、物理的、化学的及び熱的に頑強である。架橋可能ポリマーは、溶媒から容易に形成することができるが、架橋により、該層は、別の溶媒への暴露に対して不溶性を示すようになる。架橋された高分子は、良好な絶縁性を有する場合もありうる。
【0026】
米国特許第6,265,243号に開示されているフッ化された誘電体もまた、上述の望ましい特性の多くを有する。従って、本出願人が考えた1つの可能性としては、これら文献の教示を組み合わせること、すなわち米国特許第7,279,777号に開示されている架橋可能ポリマーにフッ化シラン表面処理を施すことが挙げられる。しかしながら、本出願人は、このような変形を行ったとしても、上述の全ての要求を完全に満たすことはないと認識した。それよりも、米国特許第7,279,777号に開示されているような架橋されたポリマーの有利な特性と、フッ化ポリマーの有利な特性とを結びつけることの方が良いと、本出願人は認識した。
【0027】
フッ化ポリマーは、米国特許第6,265,243号に開示されているフッ化シランよりも溶液から形成しやすく、例えば、スピンコーティング法や、インクジェット印刷法によって、下側の層にダメージを与えないで、溶液から容易に成膜することができる。フッ化高分子は、大部分の有機半導体を溶解する溶媒に対して直交するフッ化溶媒のような溶媒から成膜することができる。従って、トップゲート型構造において、フッ化ポリマーを成膜し、明確で高品質なOSC/誘電体境界を形成する際、有機半導体が再度溶解することがない。さらに、フッ化ポリマーは、有機半導体との間で良好な境界を提供することで、優れた表面特性を示す。特に、極性表面基が無いことや、極性表面基を誘発するであろう水蒸気に対する耐性によって、OTFT特性は改善される。
【0028】
米国特許第6,265,243号は、フルオロアルキル鎖を多く含む誘電体ポリマー材料について言及しており、誘電体表面をフッ化シランで処理する代替案として、該誘電体を、フルオロアルキル鎖を多く含む誘電体ポリマー材料に交換してもよいことを示唆している。従って、上記文献は、本出願人の発明概念である、フッ化ポリマーの特徴と架橋されたポリマーの特徴とを結合することについては教示していない。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の第1の態様に係る有機薄膜トランジスタは、基板と、前記基板上に設けられるソース電極及びドレイン電極と、前記電極間に画定されるチャネル領域と、前記チャネル領域に設けられる有機半導体層と、ゲート電極と、前記有機半導体層と前記ゲート電極との間に設けられるゲート誘電体と、を備え、前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーとフッ素含有ポリマーとを備える。
【0030】
前記架橋されたポリマーと前記フッ素含有ポリマーは、別々の層で設けられ、前記フッ素含有ポリマーは、前記有機半導体層と前記架橋されたポリマー層との間に配置されてもよい。前記架橋されたポリマー層は、前記フルオロポリマー層よりも厚いことが好ましい。しかしながら、それら層の厚さは、使用される材料の誘電率に依存する。従って、ある実施形態では、フルオロポリマー層は、架橋されたポリマー層より厚くてもよい。フルオロポリマー層の厚さは、50〜300nmの範囲にあればよい。架橋されたポリマー層の厚さは、100〜300nmの範囲にあればよい。
【0031】
又は、架橋とフッ素の両方を備えた単一層を設けてもよい。この単一層の厚さは、50〜400nmの範囲にあればよい。この単一層の実施形態では、架橋とフッ素は、別々のポリマーを混合した形態で設けてもよいし、又は、架橋したフルオロポリマーのように、同一のポリマーの形態で設けてもよい。架橋されたポリマーとフルオロポリマーとを別々に設ける場合、有機半導体近傍のフルオロポリマーの濃度が高くなるように、架橋されたポリマーとフルオロポリマーの濃度が誘電体において変化するようにしてもよい。これは、混合状態の溶液からポリマーを堆積し、溶媒を蒸発させることでポリマーを少なくとも部分的に相分離させることによって実現できる。部分的に相分離させた場合は、ポリマー成分の濃度が変化した単一層が形成される。全体を相分離させた場合は、2つの分離した層が形成される。又は、2つのポリマーを、一方が他方の上になるように、別々の工程で堆積してもよい。
【0032】
フルオロポリマーは、1.9〜2.3の範囲にあるkを有してもよい。
【0033】
一実施形態によれば、前記有機薄膜トランジスタは、ボトムゲート型トランジスタであり、前記ゲート電極は、前記基板上に設けられ、前記ゲート誘電体は、前記ゲート電極上に設けられ、前記ソース電極と前記ドレイン電極及び前記有機半導体層は、前記ゲート誘電体上に設けられる。
【0034】
他の実施形態によれば、前記有機薄膜トランジスタは、トップゲート型トランジスタであり、前記ソース電極と前記ドレイン電極は、前記基板上に設けられ、前記有機半導体は、前記ソース電極と前記ドレイン電極の上に設けられ、前記ゲート誘電体は、前記有機半導体上に設けられ、前記ゲート電極は、前記ゲート誘電体上に設けられる。
【0035】
誘電体は、例えば、発光ディスプレイにおいては、ゲートメタライゼーション及びソースドレインメタライゼーションとによって画定される行と列との間の絶縁スペーサとして機能させなければならない場合もある。この場合、本発明の実施形態に係る誘電体は、寄生容量やリーク、更には行/列の交差する点における短絡の可能性を抑えることができる。さらに、ある領域では、本発明の実施形態に係る誘電体によって、発光ディスプレイのカソード電極層のような後から形成するメタライゼーションと、基板上のメタライゼーションとを分離することができる。
【0036】
本発明の第2の態様に係るトップゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法は、ソース電極とドレイン電極と前記電極間に画定されたチャネル領域とを備えた基板を設ける工程と、前記チャネル領域に有機半導体層を堆積する工程と、前記有機半導体層上にゲート誘電体を堆積する工程と、前記ゲート誘電体上にゲート電極を形成する工程とを備え、前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーとフッ素含有ポリマーとを備える。
【0037】
本発明の第3の態様に係るボトムゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法は、ゲート電極を備えた基板を設ける工程と、前記ゲート電極上にゲート誘電体を堆積する工程と、前記ゲート誘電体上にソース電極とドレイン電極とを形成し、前記電極間にチャネル領域を設ける工程と、前記チャネル領域に有機半導体層を堆積する工程と、を備え、前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーとフッ素含有ポリマーとを備える。
【0038】
本発明の第4の態様に係る有機薄膜トランジスタは、基板と、前記基板上に設けられるソース電極及びドレイン電極と、前記電極間に画定されるチャネル領域と、前記チャネル領域に設けられる有機半導体層と、ゲート電極と、前記有機半導体層と前記ゲート電極との間に設けられるゲート誘電体と、を備え、前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーと、誘電率kが1.9〜2.3の間にあるポリマーとを備える。
【0039】
本発明の第5の態様に係るトップゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法は、ソース電極とドレイン電極と前記電極間に画定されたチャネル領域とを備えた基板を設ける工程と、前記チャネル領域に有機半導体層を堆積する工程と、前記有機半導体層上にゲート誘電体を堆積する工程と、前記ゲート誘電体上にゲート電極を形成する工程と、を備え、前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーと誘電率kが1.9〜2.3の間にあるポリマーとを備える。
【0040】
本発明の第6の態様に係るボトムゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法は、ゲート電極を備えた基板を設ける工程と、前記ゲート電極上にゲート誘電体を堆積する工程と、前記ゲート誘電体上にソース電極とドレイン電極とを形成し、前記電極間にチャネル領域を設ける工程と、前記チャネル領域に有機半導体層を堆積する工程と、を備え、前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーと誘電率kが1.9〜2.3の間にあるポリマーとを備える。
【0041】
第2〜第6の態様における実施形態は、第1の態様の実施形態に関連して記載された特徴のうちの1以上の特徴を有してもよい。
【0042】
以下、本発明の例が添付の図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、従来技術の構成に係るトップゲート型有機薄膜トランジスタ構造の図である。
【図2】図2は、従来技術の構成に係るボトムゲート型有機薄膜トランジスタ構造の図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係るトップゲート型有機薄膜トランジスタ構造の図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係るボトムゲート型有機薄膜トランジスタ構造の図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図3に示されたトップゲート型有機薄膜トランジスタ構造は、誘電体が、有機半導体8近傍の第1誘電体層10aと、第1誘電体層10aとゲート電極12との間の第2誘電体層10bとを備えている点を除いて、図1に示されたものと基本的に同一である。第1誘電体層10aは、フッ素含有ポリマーであり、第2誘電体層10bは、架橋されたポリマーである。
【0045】
同様に、図4に示されるボトムゲート型有機薄膜トランジスタ構造は、誘電体が、有機半導体8近傍の第1誘電体層10aと、第1誘電体層10aとゲート電極12との間に第2誘電体層10bとを備えている点を除いて、図2に示されたものと基本的に同一である。第1誘電体層10aは、フッ素含有ポリマーであり、第2誘電体層10bは、架橋されたポリマーである。
【0046】
本発明の実施形態において、有機TFT用の2層誘電体システムが提供される。該2層誘電体システムは以下を有する。
【0047】
1.OSCと接する第1フルオロポリマー誘電体層。OTFTチャネルは、OSCと低い誘電率kを有する該誘電体層との間の界面に形成される。フルオロポリマー層はまた、水分及び他の化学汚染物質(例えば、第2誘電体層の架橋の副生成物)に対して良好な耐性を示し、OSCに対して直交するフルオロ溶媒によって成膜される。
【0048】
2.第1誘電体層とゲート金属との間に設けられる第2誘電体層。この層は、架橋された材料であり、優れた薄膜絶縁特性を示す。この層によって、ゲートリークが抑制され、また物理的な堅牢性が改善される。第2誘電体層は、フルオロポリマーよりも高い表面エネルギを有するように選択され、これにより、誘電体表面に対するゲート金属の接着性が向上する。
【0049】
本発明の実施形態によれば、フルオロポリマーの特徴(安定性、直交溶媒、低いk)と架橋した材料の特徴(高い低効率、堅牢性)とを結びつけることが可能となる。同時に、本発明は、フルオロポリマー誘電体の欠点(ゲートリークの増加、ゲートに対する接着性の劣悪性)や架橋した材料の欠点(架橋による副生成物とOSCとの相互作用)を軽減する。
【0050】
フルオロポリマーは、以下の理由により、有機TFT用の誘電体として非常に効果がある。
【0051】
1.kが低い表面によって、安定性が改善され、また、例えばOTFT性能にダメージを与える可能性のある大気中の水分に対する感受性を抑える。
【0052】
2.フルオロポリマーは、大部分のOSCが溶解する溶媒に対して直交するフッ素化溶媒に溶解するので、OSCを再度溶解させることなく、トップゲート型OTFTを容易に作製でき、それによって、高品質のOSC/誘電体境界を形成することが可能となる。
【0053】
3.特にボトムゲート型に対しては、kが低い誘電体により、該誘電体の上に形成されるOSC材料のモフォロジが改善される。また、低接触角表面によって、OSC分子の表面へのピニングを防ぎ、該分子を結晶化する自由度がより拡がる。
【0054】
しかしながら、フルオロポリマー誘電体を使用することにより、以下の問題を伴う。
【0055】
1.フルオロポリマーは一般に、高い抵抗率で知られているが、本出願人は、あるフルオロポリマー誘電体を使用する場合、ゲートリークが増加することを見出した。これは、フルオロポリマー誘電体薄膜にピンホールが存在するため、或いは流し込み成形工程 からフルオロ溶媒が残留しているためと考えられる。
【0056】
2.フルオロポリマーの表面エネルギが低いことにより、ゲート誘電体の表面に対するゲート金属の接着性の問題が生じる。
【0057】
一方、本出願人は、架橋した誘電体によってゲートリークが抑制されることを見出した。架橋された誘電体は、ボトムゲート型素子において一般に使用されている。その場合、OSCを堆積する前に誘電体が処理される。これは、誘電体をトップゲート型素子、特にOSC誘電体境界に使用する場合、架橋反応の副生成物がOSCにダメージを与える可能性があるということが理由の1つとして挙げられる。
【0058】
本発明の実施形態における2層誘電体システムによれば、上記の問題を回避し、同時に上記の全ての利点をもたらすことができる。トップゲート構成によるOTFTの形成方法は以下のステップを有する。
【0059】
1.OSCを、ソース/ドレイン部分が形成された基板上に堆積する。該基板は、テストセル或いはバックプレーンアレイ(backplane array)を有してもよい。あるOSCに対して必要な場合は、乾燥・アニールを行う。
【0060】
2.第1誘電体層を、例えば、スピンコーティング法或いはインクジェット印刷法によって、OSC上に堆積する。第1誘電体は、フッ化溶媒から形成されるテフロンやCYTOPのようなフッ化ポリマーが好ましい。乾燥工程は、溶媒を除去するために必要な場合がある。
【0061】
3.接着促進中間層を、第1誘電体と第2誘電体との間に配置してもよい。接着促進層の例としては、PVB(ポリビニル・ブチラール)が挙げられる。
【0062】
4.第2誘電体層を第1誘電体層の上に堆積する。この層は、架橋された層であり、例えば、BCB(ベンゾシクロブテン)、架橋されたPVP(例えば、ジクロロシラン又はポリメラミンホルムアルデヒドで架橋したもの)、或いはポリノルボネン系システムがある。第1フルオロポリマー層により、架橋工程の副生成物によるダメージからOSCが保護される。架橋は、熱的に(OSC及びフルオロポリマー誘電体へのダメージを抑えるため低温が好ましい)、又は化学的に、或いはUVやIRのような電磁放射によって引き起こされる。
【0063】
5.ゲート金属は、第2誘電体層の上に堆積される。
【0064】
他の構成において、架橋されたフルオロポリマーが、上述した2層の機能の両方を行ってもよい。適した材料としては、ペンタフルオロスチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体がある。
【0065】
【化1】

【0066】
有機半導体材料は、例えばスピンコーティング法やインクジェット印刷法によって溶液から直接或いは前駆体の形態で堆積できる溶液形成可能なものでもよい。有機半導体材料は、ポリマーやオリゴマー又はデンドリマーから構成されてもよい。これらは良好な溶液形成可能な材料であることがわかっているからである。可溶性ペンタセン誘導体のような低分子OSC材料を用いてもよい。このような多くの半導体材料、例えば、有機発光デバイスで利用される共役ポリマーは、当分野では周知である。OSCは、ペンタセンを堆積するために用いられる真空蒸着によって堆積してもよい。
【0067】
ゲート電極は、当分野で周知である他の簡単なパターニング技術を用いて印刷或いは堆積することができる。
【0068】
2層誘電体は、ディスプレイ(例えば、アクティブマトリックス型有機発光ディスプレイ)のような素子において下部メタライゼーションと上部メタライゼーションとの間のトラックリークを減少させるために利用してもよい。
【0069】
本発明に適用可能な材料及びプロセスの更なる詳細を以下で述べる。
【0070】
基板
基板は剛性であってもよいし、可撓性であってもよい。剛性基板としては、ガラス又はシリコンから選択することができる。可撓性基板としては、薄いガラス又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリイミドのようなプラスチックが挙げられる。
【0071】
有機半導体材料としては、好適な溶媒の使用によって溶液法で形成可能なものが挙げられる。溶媒の例としては、トルエンやキシレンのような単又は多アルキルベンゼン、又はテトラリン、クロロホルムが挙げられる。好ましい溶液法(溶液からの成膜法)としては、スピンコーティング法、インクジェット印刷法が挙げられる。その他の溶液法としては、ディップコーティング法、ロール印刷法、スクリーン印刷法が挙げられる。溶液をノズルから供給する場合、印刷プロセスは、連続式でも非連続式でもよい。例えば、連続プロセスにおいては、有機半導体材料をノズルから細い帯状に連続的に供給し、一方、非連続プロセスにおいては、有機半導体材料をノズルから液滴として断続的に供給する。
【0072】
有機半導体材料
好ましい有機半導体材料としては、任意に置換されたペンタセン等の低分子、ポリアリレーン、特にポリフルオレンやポリチオフェン等の任意に置換されたポリマー、或いはオリゴマーが挙げられる。異なるタイプの材料(例えば、ポリマーと低分子との混合)を混合してもよい。
【0073】
ソース及びドレイン電極
p−チャネルOTFTでは、ソース及びドレイン電極は、仕事関数の高い材料が好ましく、3.5eVより大きい仕事関数を有する金属が好ましい。そのような金属としては、例えば、金、白金、パラジウム、モリブデン、タングステン、クロム等が挙げられる。仕事関数が、4.5eV〜5.5eVの範囲内である金属が一層好ましい。その他の好適な化合物、合金又は三酸化モリブデンや酸化インジウムスズ等の酸化物を用いてもよい。ソース及びドレイン電極は、当該分野で知られているように、熱蒸着を行い、標準的なフォトリソグラフィ技術及びリフトオフ技術を用いてパターニング加工することによって形成することができる。電荷注入を改善するために、自己組織化単分子層や他の表面処理をソースドレイン部分に適用してもよい。
【0074】
又は、導電性ポリマーをソース及びドレイン電極として形成してもよい。当該分野では種々の導電性ポリマーが知られているが、上述の導電性ポリマーの例としては、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)が挙げられる。そのような導電性ポリマーは、例えば、上述したスピンコーティング法、インクジェット印刷法、又はその他の溶液法によって溶液から成膜される。
【0075】
n−チャネルOTFTでは、ソース及びドレイン電極としては、例えばカルシウムやバリウムのような3.5eV未満の仕事関数を有する金属や、又は金属化合物の薄膜、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物又はフッ化物、例えばフッ化リチウム、フッ化バリウム、酸化バリウムの薄膜が挙げられる。又は、導電性ポリマーをソース及びドレイン電極として形成してもよい。
【0076】
ソース及びドレイン電極は、製造の容易さを考慮して、同一の材料から形成されることが好ましい。当然のことながら、ソース及びドレイン電極は、電荷注入及び抽出をそれぞれ最適化するために、異なる材料で形成してもよい。
【0077】
ソース電極−ドレイン電極間のチャネル長は500μmまでがよく、好ましくは200μm未満、より好ましくは100μm未満、最も好ましくは20μm未満がよい。
【0078】
ゲート電極
ゲート電極は、広範囲に及ぶ導電性材料、例えば金属(例えば、金)や金属化合物(例えば、インジウム−スズ酸化物)等から選ぶことができる。又は、導電性ポリマーをゲート電極として形成してもよい。そのような導電性ポリマーは、例えば、上述したスピンコーティング法、インクジェット印刷法、又はその他の溶液法によって溶液から成膜される。
【0079】
ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の厚さは、例えば原子間力顕微鏡(AFM)によって測定されるように典型的には50nmであるが、5nm〜200nmの範囲であればよい。
【0080】
その他の層
上述の素子構造には、他の層が含まれてもよい。例えば、結晶化度の向上、接触抵抗の抑制、表面特性の修復、及び接着性の向上を実現するため、必要に応じて、自己組織化単分子層(SAM)をゲート、ソース又はドレイン電極、基板、誘電体層、又は有機半導体材料の上に形成してもよい。そのような単分子層材料の例としては、長いアルキル鎖を有するクロロシラン又はアルコキシシラン、例えば、オクタデシルトリクロロシランが挙げられる。
【0081】
OTFTの応用例
本発明の実施形態に係るOTFTには幅広い応用範囲がある。応用例の1つには、光学素子、好ましくは有機光学素子における画素の駆動がある。OTFTは、アクティブマトリックス型有機発光素子における使用に対して、例えば、ディスプレイ用途における使用に対して特に適している。有機発光素子は、アノードと、カソードと、両電極間の有機発光材料から構成される層とを有する。この有機発光材料は、アノードとカソードとの間に電位差を加えると発光する。発光材料の層の他に、電荷輸送又は阻止層や励起子素子層をアノードとカソードとの間に設けてもよい。
【0082】
また、OTFTを、有機光応答性素子を用いて、アクティブマトリックス型フォトディテクタアレイに使用してもよい。このようなアレイは、シンチレータ材料と組み合わせることで、イメージスキャナやX線撮像素子として使用することができる。
【0083】
本発明の実施形態に係る有機薄膜トランジスタは、有機発光ディスプレイと共通する多くの構造的特徴を有し、同様な技術及び材料を用いて形成可能である。例えば、本発明の誘電体層は、有機発光ディスプレイの画素を画成するバンク構造に用いる誘電体層と同一の材料で形成してもよく、共通の層として形成することができる。従って、有利な一構成によれば、有機薄膜トランジスタとアクティブマトリックス型有機発光ディスプレイの有機発光画素は、共通の基板上に形成され、ここで説明した誘電体が有機発光画素のバンク構造を形成する。
【0084】
当然ながら、OTFTと光学活性画素領域(例えば、発光画素領域又は光検知画素領域)とを有する画素回路はその他の要素を備えてもよい。特に、OLED画素回路は、駆動トランジスタとして、本発明に係るOTFTを備えてもよい。また、OLED画素回路は一般に、駆動トランジスタの他に、少なくとも1つのトランジスタ(有機又は無機)と、少なくとも1つのコンデンサとを備えるであろう。
【0085】
本発明を好適な実施形態を参照して説明してきたが、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能なことは当業者であれば理解できよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられるソース電極及びドレイン電極と、
前記電極間に画定されるチャネル領域と、
前記チャネル領域に設けられる有機半導体層と、
ゲート電極と、
前記有機半導体層と前記ゲート電極との間に設けられるゲート誘電体と、
を備えた有機薄膜トランジスタであって、
前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーとフッ素含有ポリマーとを備え、
前記ゲート誘電体は、前記架橋されたポリマーと前記フッ素含有ポリマーの両方を備える単一層であり、
前記架橋されたポリマーと前記フッ素含有ポリマーは、別々のポリマーとして設けられることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【請求項2】
請求項1記載の有機薄膜トランジスタにおいて、前記有機半導体の近傍では、前記フッ素含有ポリマーの濃度は高く、前記有機半導体層から離れるにしたがって、前記フッ素含有ポリマーの濃度が低くなるように、前記架橋されたポリマーと前記フッ素含有ポリマーの濃度は前記ゲート誘電体において変化することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、前記有機薄膜トランジスタは、ボトムゲート型トランジスタであり、前記ゲート電極は、前記基板上に設けられ、前記ゲート誘電体は、前記ゲート電極上に設けられ、前記ソース電極と前記ドレイン電極及び前記有機半導体層は、前記ゲート誘電体上に設けられることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、前記有機薄膜トランジスタは、トップゲート型トランジスタであり、前記ソース電極と前記ドレイン電極は前記基板上に設けられ、前記有機半導体は、前記ソース電極と前記ドレイン電極の上に設けられ、前記ゲート誘電体は、前記有機半導体上に設けられ、前記ゲート電極は、前記ゲート誘電体上に設けられることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【請求項5】
ソース電極とドレイン電極と前記電極間に画定されたチャネル領域とを備えた基板を設ける工程と、
前記チャネル領域に有機半導体層を堆積する工程と、
前記有機半導体層上にゲート誘電体を堆積する工程と、
前記ゲート誘電体上にゲート電極を形成する工程と、
を備えるトップゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーとフッ素含有ポリマーとを備え、
前記ゲート誘電体は、前記架橋されたポリマーと前記フッ素含有ポリマーの両方を備える単一層であり、
前記架橋されたポリマーと前記フッ素含有ポリマーは、別々のポリマーとして設けられるトップゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項6】
ゲート電極を備えた基板を設ける工程と、
前記ゲート電極上にゲート誘電体を堆積する工程と、
前記ゲート誘電体上にソース電極とドレイン電極とを形成し、前記電極間にチャネル領域を設ける工程と、
前記チャネル領域に有機半導体層を堆積する工程と、
を備えるボトムゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーとフッ素含有ポリマーとを備え、
前記ゲート誘電体は、前記架橋されたポリマーと前記フッ素含有ポリマーの両方を備える単一層であり、
前記架橋されたポリマーと前記フッ素含有ポリマーは、別々のポリマーとして設けられるボトムゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法において、架橋可能ポリマーと前記フッ素含有ポリマーは、混合した状態で溶液から堆積されることを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の有機薄膜トランジスタの製造方法において、前記架橋可能ポリマーと前記フッ素含有ポリマーは、堆積後は部分的に相分離していることを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法において、前記架橋可能ポリマーは、堆積された後に架橋されて、前記架橋されたポリマーを形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法において、前記フッ素含有ポリマーと前記有機半導体は、直交溶媒から堆積されることを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項11】
基板と、
前記基板上に設けられるソース電極及びドレイン電極と、
前記電極間に画定されるチャネル領域と、
前記チャネル領域に設けられる有機半導体層と、
ゲート電極と、
前記有機半導体層と前記ゲート電極との間に設けられるゲート誘電体と、
を備えた有機薄膜トランジスタであって、
前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーと、誘電率kが1.9〜2.3の間にあるポリマーとを備え、
前記ゲート誘電体は、前記架橋されたポリマーと誘電率kが1.9〜2.3の間にある前記ポリマーの両方を備えた単一層であり、
前記架橋されたポリマーと誘電率kが1.9〜2.3の間にある前記ポリマーは、別々のポリマーとして設けられる有機薄膜トランジスタ。
【請求項12】
ソース電極とドレイン電極と前記電極間に画定されたチャネル領域とを備えた基板を設ける工程と、
前記チャネル領域に有機半導体層を堆積する工程と、
前記有機半導体層上にゲート誘電体を堆積する工程と、
前記ゲート誘電体上にゲート電極を形成する工程と、
を備えるトップゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーと誘電率kが1.9〜2.3の間にあるポリマーとを備え、
前記ゲート誘電体は、前記架橋されたポリマーと誘電率kが1.9〜2.3の間にある前記ポリマーの両方を備えた単一層であり、
前記架橋されたポリマーと誘電率kが1.9〜2.3の間にある前記ポリマーは、別々のポリマーとして設けられるトップゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項13】
ゲート電極を備えた基板を設ける工程と、
前記ゲート電極上にゲート誘電体を堆積する工程と、
前記ゲート誘電体上にソース電極とドレイン電極とを形成し、前記電極間にチャネル領域を設ける工程と、
前記チャネル領域に有機半導体層を堆積する工程と、
を備えるボトムゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記ゲート誘電体は、架橋されたポリマーと誘電率kが1.9〜2.3の間にあるポリマーとを備え、
前記ゲート誘電体は、前記架橋されたポリマーと誘電率kが1.9〜2.3の間にある前記ポリマーの両方を備えた単一層であり、
前記架橋されたポリマーと誘電率kが1.9〜2.3の間にある前記ポリマーは、別々のポリマーとして設けられるボトムゲート型有機薄膜トランジスタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−517075(P2011−517075A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502312(P2011−502312)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052227
【国際公開番号】WO2009/121672
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(599046298)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】