説明

有機酸塩の水分散体の製造法

【課題】 有機酸塩の水分散体、特に脂肪酸金属塩の微粒子の水分散体で、経日安定性に優れた水分散体を提供すること。
【解決手段】 下記の工程1および2からなる有機酸塩の水分散体の製造法である。
工程1:有機酸塩(B)を、分散剤(D)の存在下、炭化水素系潤滑剤(a)に分散する工程
工程2:工程1で得られる有機酸塩分散体(A)を、乳化分散剤(C)を用いて水中に分散する工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機酸塩の水分散体の製造法に関する。さらに詳しくは、有機酸塩の微粒子の水分散体の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機酸塩、例えば、脂肪酸のアルカリ土類金属塩は滑剤、潤滑剤および平滑剤等として繊維用途や製紙用途で広く使われている。しかし、これらの金属塩は溶剤や水に難溶性であるため、粒子径の小さな分散体を得ることが困難であり、そのため、滑剤、潤滑剤および平滑剤等としての性能が十分発揮されなかった。これらの性能向上のために、界面活性剤の存在下で、機械分散することにより、粒子径の小さな分散体を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−309366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記提案の方法では平均粒子径が0.05〜0.7μmの微粒子の脂肪酸金属塩分散液が得られるものの、得られた脂肪酸金属塩分散液の分散安定性が悪く、保管中に、脂肪酸金属塩同士の合着がおこり、その結果、滑剤、潤滑剤および平滑剤等としての性能が十分発揮されない、あるいは脂肪酸塩が沈降する等の問題がある。平均粒子径の小さい脂肪酸金属塩の微粒子の分散体であり、かつ分散安定性の良好な分散体が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果本発明に到達した。
すなわち本発明は、
下記の工程1および2からなる有機酸塩の水分散体の製造法である。
工程1:有機酸塩(B)を、分散剤(D)の存在下、炭化水素系潤滑剤(a)に分散する工程
工程2:工程1で得られる有機酸塩分散体(A)を、乳化分散剤(C)を用いて水中に分散する工程

【発明の効果】
【0005】
本発明の製造法により、有機酸塩の微粒子の水分散体が容易に得られ、得られた水分散体は分散安定性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の有機酸塩の水分散体の製造法は、有機酸塩(B)を分散剤(D)の存在下、炭化水素系潤滑剤(a)に分散させて有機酸塩分散体(A)を得る工程(工程1)と、
(A)を乳化分散剤(C)を用いて水中に分散させ、有機酸塩の水分散体を得る工程(工程2)とからなる。
【0007】
有機酸塩(B)を構成する有機酸(b)としては、炭素数が8〜24の脂肪酸(b1)
、および樹脂酸(b2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機酸が挙げられる。
有機酸塩(B)としては、(b)の金属塩およびアミン塩が挙げられる。
【0008】
(b1)として好ましいのは炭素数10〜22、さらに好ましいのは炭素数16〜20の飽和または不飽和の脂肪酸である。
脂肪酸(b1)の具体例としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、およびリシノレイン酸等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、<<炭素数10〜22の脂肪酸>>カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸およびベヘン酸等であり、さらに好ましいものはパルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸であり、特に好ましいのはステアリン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸であり、最も好ましいものはステアリン酸である。これらの脂肪酸は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(b1)の炭素数が10以上であると潤滑性、撥水性がさらに優れ、22以下であると分散安定性がさらに良好となる。
【0009】
樹脂酸(b2)としては、脂環族系樹脂酸(例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、d−ピマル酸、イソ−d−ピマル酸およびマガテンジカルボン酸等)、並びに芳香族系樹脂酸(安息香酸、ケイ皮酸およびp−オキシケイ皮酸等)などが挙げられる。
【0010】
本発明における有機酸(b)の金属塩の金属としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウムおよびカリウムなど)、アルカリ土類金属(バリウム、カルシウムおよびマグネシウムなど)、IIB族金属(例えば、亜鉛など)、遷移金属(ニッケル、鉄、銅、マンガン、コバルト、銀、金、白金、パラジウム、チタン、ジルコニウムおよびカドミウムなど)、IIIB族金属(例えば、アルミニウムなど)、IVB族金属(錫および鉛など)、並びにランタノイド金属(ランタンおよびセリウムなど)などが挙げられる。分散安定性の観点から好ましいのはアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびIIIB族金属、さらに好ましいのはアルカリ土類金属である。
【0011】
有機酸(b)のアミン塩のアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−エチルヘキシルアミン等のアミンが挙げられる。
【0012】
脂肪酸(b1)の金属塩の好ましい具体例としては、例えば、カプリン酸リチウム塩、カプリン酸ナトリウム塩、カプリン酸カリウム塩;ラウリン酸リチウム塩、ラウリン酸ナトリウム塩、ラウリン酸カリウム塩;ミリスチン酸リチウム塩、ミリスチン酸ナトリウム塩、ミリスチン酸カリウム塩;パルミチン酸リチウム塩、パルミチン酸ナトリウム塩、パルミチン酸カリウム塩、ステアリン酸リチウム塩、ステアリン酸ナトリウム塩、ステアリン酸カリウム塩;イソステアリン酸リチウム塩、イソステアリン酸ナトリウム塩、イソステアリン酸カリウム塩;ベヘン酸リチウム塩、ベヘン酸ナトリウム塩、ベヘン酸カリウム塩;ジカプリン酸マグネシウム塩、ジカプリン酸カルシウム塩、ジカプリン酸バリウム塩;ジラウリン酸マグネシウム塩、ジラウリン酸カルシウム塩、ジラウリン酸バリウム塩;ジミリスチン酸マグネシウム塩、ジミリスチン酸カルシウム塩、ジミリスチン酸酸バリウム塩;ジパルミチン酸マグネシウム塩、ジパルミチン酸カルシウム塩、ジパルミチン酸バリウム塩;ジステアリン酸マグネシウム塩、ジステアリン酸カルシウム塩、ジステアリン酸バリウム塩;ジイソステアリン酸マグネシウム塩、ジイソステアリン酸カルシウム塩、ジイソステアリン酸バリウム塩;ジベヘン酸マグネシウム塩、ジベヘン酸カルシウム塩、ジベヘン酸バリウム塩;パルミチン酸ステアリン酸マグネシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸カルシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸バリウム塩;トリカプリン酸アルミニウム、トリラウリン酸アルミニウム、トリミリスチン酸アルミニウム、トリステアリン酸アルミニウム、トリイソステアリン酸アルミニウム、トリベヘン酸アルミニウム等が挙げられる。これらのうち、特に好ましいものはステアリン酸のアルカリ土類金属塩であり、最も好ましいのはジステアリン酸マグネシウム塩である。なお、市販のジステアリン酸マグネシウム塩などは、一部未反応の水酸化ステアリン酸アグネシウム塩が不純物として混じっているが、差し支えない。
【0013】
樹脂酸(b2)の金属塩の具体例としては、アビエチン酸リチウム塩、アビエチン酸ナトリウム塩、アビエチン酸カリウム塩;ネオアビエチン酸リチウム塩、ネオアビエチン酸ナトリウム塩、ネオアビエチン酸カリウム塩;安息香酸リチウム塩、安息香酸ナトリウム塩、安息香酸カリウム塩;ジアビエチン酸マグネシウム塩、ジアビエチン酸カルシウム塩、ジアビエチン酸バリウム塩;ジネオアビエチン酸マグネシウム塩、ジネオアビエチン酸カルシウム塩、ジネオアビエチン酸バリウム塩;ジ安息香酸マグネシウム塩、ジ安息香酸カルシウム塩、ジ安息香酸バリウム塩等が挙げられる。
【0014】
有機酸(b)のアミン塩としては、上記脂肪酸(b1)および樹脂酸(b2)のモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよび2−エチルヘキシルアミン塩が挙げられる。
【0015】
有機酸塩(B)のうち、分散安定性と潤滑性や撥水性の観点からより好ましいのは脂肪酸金属塩であり、さらに好ましいものは脂肪酸のアルカリ土類金属塩、特に好ましいものはステアリン酸のアルカリ土類金属塩である。最も好ましいものは、ジステアリン酸マグネシウムである。
【0016】
脂肪酸金属塩の合成方法としては、公知の方法が挙げられる。例えば、脂肪酸の水分散液に、30〜50℃攪拌下、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を滴下し、脂肪酸金属塩を生成させる方法がある。このとき、脂肪酸に対するアルカリの当量は、1.0〜1.2倍が好ましく、一部未反応の脂肪酸が混じる場合があるが、差し支えない。

【0017】
工程1で用いられる分散剤(D)としては、アニオン界面活性剤およびカチオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の界面活性剤が挙げられる。
【0018】
アニオン界面活性剤としては、カルボン酸(塩)[一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸アニオン界面活性剤]、スルホン酸(塩)[炭素数1〜24のアルコールのスルホコハク酸(モノ、ジ)エステル(塩)、炭素数8〜24のα−オレフィンのスルホン酸化物(塩)、炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(塩)、石油スルホネート(塩)など]、硫酸エステル(塩)[高級アルコール硫酸エステル(塩)(炭素数8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル(塩))、高級アルキルエーテル硫酸エステル(塩)(炭素数8〜18の脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物の硫酸エステル(塩))、硫酸化油(天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和したもの)および硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)など]、並びに燐酸エステル(塩)[炭素数8〜24の高級アルコールの燐酸(モノ、ジ)エステル(塩)、炭素数8〜24の高級アルコールのAO付加物の燐酸(モノ、ジ)エステル(塩)など]が挙げられる。
【0019】
カチオン界面活性剤としては、一般式(2)で表される第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤が挙げられる。
【0020】
分散剤(D)として、より好ましいものは、一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸アニオン界面活性剤(D1)および一般式(2)で表される第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(D2)である。(D1)、(D2)を単独使用、または併用すると、分散安定性がさらに優れる。
【0021】
(D)は、溶解度パラメーター(以下、SP値と略す)が、通常7.5〜10.5、好ましくは7.7〜10.2、さらに好ましくは8.0〜9.9のものである。これらの範囲であると、炭化水素系潤滑剤(a)、および有機酸塩(B)との相溶性がさらに良くなり、分散体(A)の経日安定性が向上する。
【0022】
上記SP値とは、下記に示したように凝集エネルギー密度と分子容の比の平方根で表される値である。
[SP値]=(△E/V)1/2
ここで△Eは凝集エネルギー密度を表す。Vは分子容を表し、その値は、ロバート エフ.フェドールス(Robert F.Fedors)らの計算によるもので、例えばポリマー エンジニアリング アンド サイエンス(Polymer engineering and science)第14巻、147〜154頁(1974)に記載されている。
【0023】
一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸アニオン界面活性剤(D1)において、これらを構成する脂肪酸およびアルコールは天然物由来のものでも合成されたものでも、どちらでもよく、さらにはカルボキシル基または水酸基の結合位置は炭化水素基の末端でも側鎖でもどちらでもよい。
−O−(AO)−CHCOOM (1)
式中、Rは炭素数1〜24のアルキル基、アリル基、炭素数2〜24のアルケニル基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数:2〜4)、および式R−T−R−で示される基(Rは炭素数1〜24の脂肪酸からCOOH基を除いた残基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基またはヒドロキシアルキレン基、Tは−COO−または−CONH−を表す。)から選ばれる基を表わす。Aは炭素数2〜4のアルキレン基であり、pは平均が0〜10、好ましくは1〜6の0または1以上の整数である。Mは水素原子、アルカリ金属原子またはアミンを表す。pがこれらの範囲であると、炭化水素系潤滑油(a)との相溶性が良い。
【0024】
の炭素数1〜24のアルキル基としては、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘキコシル基、ドコシル基および2−エチルデシル基等が挙げられる。
【0025】
の炭素数2〜24のアルケニル基としては、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、n−およびi−のプロペニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基およびノナデセニル基ならびに2−エチルデセニル基などが挙げられる。
【0026】
の炭素数2〜24のヒドロキシアルキル基としては、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、n−ヒドロキシプロピル基、イソヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシテトラデシル基、ヒドロキシヘキサデシル基およびヒドロキシオクタデシル基等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数3〜24のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基である。
【0027】
残基Rを構成する炭素数1〜24の脂肪酸としては、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ベラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸および2−エチルヘキサン酸等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数6〜24の脂肪酸である。
【0028】
の炭素数1〜4のアルキレン基としては、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基およびブチレン基など;炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基としては、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基、n−ヒドロキシプロピレン基、イソヒドロキシプロピレン基およびヒドロキシブチレン基等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、より好ましいものは炭素数2または3のアルキレン基である。
【0029】
一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸アニオン界面活性剤(D1)の具体例としては、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、デシルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ドバノール23カルボキシメチル化ナトリウム塩およびトリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩、オクチルアルコールエチレンオキサイド(以下、エチレンオキサイドを、EOと略記する)3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールEO4モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、イソトリデシルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ドバノール23EO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールEO5モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールカルボキシメチル化物およびラウリルアルコールEO2.5モル付加物カルボキシメチル化物等が挙げられる。
【0030】
これらの好ましいものの具体例として、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、デシルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩、オクチルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールEO4モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、イソトリデシルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、およびラウリルアルコールEO2.5モル付加物カルボキシメチル化物などが挙げられる。
【0031】
一般式(2)で表される4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(D2)において、 式中、R、R、RはRで例示したものと同じであり、Rは炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基またはポリオキシアルキレン基;RとRとRとのいずれか2つが結合してNとともに複素環を形成していてもよい;Qは無機酸アニオンまたは有機酸アニオンを表す。
【0032】

【化2】



【0033】
、R、Rの炭素数1〜24のアルキル基、ヒドロキシアルキル基としては、いずれもRで例示したものと同じである。また好ましいものも同じである。
【0034】
の炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、ヒドロキシアルキル基またはポリオキシアルキレン基としては、R、R、Rで挙げたものと同様のものが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数1〜4のアルキル基およびヒドロキシアルキル基である。
とRとRとのいずれか2つが結合してNとともに複素環、脂環式化合物を形成しているものとしては、例えばイミダゾリン環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピペリジン環およびモルホリン環が挙げられる。
【0035】
一般式(2)において、アニオンQを形成する酸QHとしては次のものが挙げられる。
(q1)無機酸
ハロゲン化水素酸(塩酸、臭素酸、沃素酸等)、硝酸、炭酸、燐酸等;
(q2)有機酸
(q2−a)アルキル硫酸エステル
メチル硫酸、エチル硫酸等の炭素数1〜4のアルキル硫酸エステル;
(q2−b)アルキル燐酸エステル
ジメチル燐酸、ジエチル燐酸等の炭素数1〜8のモノおよび/またはジアルキル燐酸エステル;
【0036】
(q2−c)炭素数1〜30の脂肪族モノカルボン酸
飽和モノカルボン酸(残基がRを構成する脂肪酸として挙げたもの等)、不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸等)、および脂肪族オキシカルボン酸(グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、オキシカプロン酸、リシノール酸、オキシステアリン酸、グルコン酸等);
(q2−d)炭素数7〜30の芳香族または複素環モノカルボン酸
芳香族モノカルボン酸(安息香酸、ナフトエ酸、ケイ皮酸等)、芳香族オキシカルボン酸(サリチル酸、p−オキシ安息香酸、マンデル酸等)、および複素環モノカルボン酸(ピロリドンカルボン酸等);
【0037】
(q2−e)2〜4価のポリカルボン酸
炭素数2〜30の直鎖状または分岐状の脂肪族ポリカルボン酸[飽和ポリカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸等)、炭素数4〜30の不飽和ポリカルボン酸(マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等)];炭素数4〜20の脂肪族オキシポリカルボン酸(リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等);炭素数8〜30の芳香族ポリカルボン酸[ジカルボン酸〔フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびビフェニルジカルボン酸(2,2’−、3,3’−および/または2,7−体)等〕、トリもしくはテトラカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)];硫黄を含有する炭素数4〜30のポリカルボン酸(チオジプロピオン酸等);
(q2−f)炭素数2〜30のアミノ酸
アスパラギン酸、グルタミン酸、システィン酸等のアミノ酸;
(q2−g)有機酸変性シリコーン
ジオルガノポリシロキサンのメチル基の一部が、−RCOOH基および/または−RSOH基で置換した有機酸。Rは炭素数2〜5のアルキレン基であり、残りはメチル基、フェニル基、炭素数2〜20のアルキル基または−(CH)p−Ph(Phはフェニル基、pは1〜4の整数を示す)基でもよい。
【0038】
(q2−h)脂肪族アルコール(炭素数8〜24)のカルボキシメチル化物
オクチルアルコールのカルボキシメチル化物、デシルアルコールのカルボキシメチル化物、ラウリルアルコールのカルボキシメチル化物、のカルボキシメチル化物およびトリデカノール(協和発酵製)のカルボキシメチル化物等;
(q2−i)脂肪族アルコール(炭素数8〜24)のEOおよび/またはPO1〜20モル付加物のカルボキシメチル化物、オクチルアルコールEO3モル付加物のカルボキシメチル化物、ラウリルアルコールEO2.5モル付加物のカルボキシメチル化物、イソステアリルアルコールEO3モル付加物のカルボキシメチル化物、およびトリデカノールEO2モル付加物のカルボキシメチル化物等;
【0039】
これらの有機酸(q2)のうちで、好ましいものは、メチル硫酸、エチル硫酸、アジピン酸、グルコン酸、イソステアリン酸、25℃における粘度が10〜8,000mPa・sで、カルボキシ当量が300〜8,000のカルボキシ変性シリコーン、およびラウリルアルコールEO1〜5モル付加物のカルボキシメチル化物である。
【0040】
第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(D2)として好ましいものは、アルキル(炭素数1〜30)トリメチルアンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムイソステアリン酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムカルボキシ変性シリコーン塩等)、ジアルキル(炭素数1〜30)ジメチルアンモニウム塩[例えば、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ジデシルジメチルアンモニウムイソステアレート、ジ(ジデシルジメチルアンモニウム)アジペート、ジデシルジメチルアンモニウムカルボキシ変性シリコーン塩、ジデシルジメチルアンモニウムラウリルアルコールEO1〜5モル付加物のカルボキシメチル化物の塩等]、窒素環含有第4級アンモニウム塩(例えば、セチルピリジニウムクロライド等)、ポリ(付加モル数2〜15)オキシアルキレン(炭素数2〜4)鎖含有第4級アンモニウム塩[例えば、ポリ(付加モル数3)オキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド等]、アルキル(炭素数1〜30)アミドアルキル(炭素数1〜10)ジアルキル(炭素数1〜4)メチルアンモニウム塩(例えば、ステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等)等が挙げられる。
これらのうちさらに好ましいのはアルキルトリメチルアンモニウムの有機酸塩、およびジアルキルジメチルアンモニウムの有機酸塩である。
【0041】
工程1で使用される炭化水素系潤滑剤(a)としては、鉱物油およびその精製油、水添油、分解油等のうち、25℃における粘度が1〜1000mm/sのものが挙げられる。好ましくは2〜500mm/s、さらに好ましくは3〜200mm/s、特に好ましくは3〜50mm/sの鉱物油とその精製油である。
【0042】
工程1で有機酸塩分散体(A)を得る方法としては、例えば、ステンレス製のU字型攪拌棒を取り付けた撹拌装置のある槽に、炭化水素系潤滑剤(a)および分散剤(D)を入れ、液温を50〜150℃に調製した後、攪拌しながら、有機酸塩(B)を槽に投入し、濁度が20mg/L以下になるまで撹拌し、(B)の微粒子を含む有機酸塩分散体(A)を得る方法が挙げられる。
【0043】
有機塩分散体(A)中に含まれる有機酸塩(B)の体積平均粒子径は、分散安定性、滑剤、潤滑剤および平滑剤として用いたときの性能発揮の観点から、好ましくは0.01〜1μm、さらに好ましくは0.01〜0.5μm、特に好ましくは0.01〜0.3μmである。
上記体積平均粒子径は、(A)を長さ10mmのセルに入れて、大塚電子株式会社製のELS−800を使って、動的光散乱法で測定した値である。
【0044】
有機酸塩分散体(A)において、(B)の含有量(質量%)は、(A)の質量に基づき、好ましくは0.05〜40、さらに好ましくは0.2〜20である。
【0045】
また、(D)の含有量(質量%)は、(A)の質量に基づき、好ましくは0.01〜10、さらに好ましくは0.05〜8である。
【0046】
工程1で得られた有機酸塩分散体(A)は、工程2において、乳化分散剤(C)を用いて水中に分散され、有機酸塩の水分散体が得られる。
【0047】
本発明において、有機酸塩(B)の微粒子を含有する有機酸塩分散体(A)を水中に分散するための乳化分散剤(C)は、有機酸塩(B)を除く界面活性剤であって、乳化分散剤(C)のSP値は、好ましくは7.7〜10.5、さらに好ましくは8.1〜10.1、特に好ましくは8.5〜9.7である。これらの範囲であると、分散体(A)の分散安定性がさらに向上する。
【0048】
乳化分散剤(C)は、有機酸塩(B)を除くアニオン界面活性剤(C1)、非イオン界面活性剤(C2)、カチオン界面活性剤(C3),および両性界面活性剤(C4)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である。
【0049】
アニオン界面活性剤(C1)としては、カルボン酸(塩)(C1−a)、スルホン酸(塩)(C1−b)、硫酸エステル(塩)(C1−c)および燐酸エステル(塩)(C1−d)が挙げられる。
【0050】
(C1−a)としては、炭素数5〜24のアルキルエーテルアルキル(炭素数1〜3)カルボン酸(塩)が挙げられる。構成する高級アルコールは天然物由来のものでも合成されたものでも、どちらでもよく、さらには水酸基の結合位置は炭化水素基の末端でも側鎖でもどちらでもよい。また(C1−a)は、前記一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸型アニオン界面活性剤(D1)を含む。これらのうち好ましいものは炭素数8〜24のアルキルエーテルアルキル(炭素数1〜3)カルボン酸(塩)である。
【0051】
(C1−a)の好ましいものの具体例としては、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、デシルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールEO2モル付加物のカルボキシメチル化物のナトリウム塩、ミリスチルアルコールEO3モル付加物のカルボキシメチル化物のナトリウム塩などが挙げられる。
【0052】
(C1−b)としては、炭素数8〜24のα−オレフィンのスルホン酸化物(塩)(C1−b1)、炭素数1〜24のアルコールのスルホコハク酸(モノ、ジ)エステル(塩)(C1−b2)、炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(塩)(C1−b3)、石油スルホネート(塩)(C1−b4)が挙げられる。尚、(C1−b1)、(C1−b2)を構成する疎水基は、天然物由来のものでも合成されたものでもどちらでもよい。これらのうち好ましいものは炭素数8〜18のα−オレフィンのスルホン酸化物(塩)、炭素数8〜18のアルコールのスルホコハク酸(モノ、ジ)エステル(塩)、炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(塩)である。
【0053】
(C1−b)の好ましいものの具体例としては、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等のスルホン酸化物のナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジトリデシルスルホコハク酸ナトリウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩などが挙げられる。
【0054】
(C1−c)としては、高級アルコール硫酸エステル(塩)[炭素数8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル(塩)](C1−c1)、高級アルキルエーテル硫酸エステル(塩)[炭素数8〜18の脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物の硫酸エステル(塩)](C1−c2)、硫酸化油(天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)(C1−c3)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和したもの)(C1−c4)および硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)(C1−c5)が挙げられる。 これらのうち好ましいものは(C1−c3)、(C1−c4)である。
【0055】
(C1−c)の好ましいものの具体例としては、ロート油、硫酸化牛脂、硫酸化落花生油、硫酸化オレイン酸ブチル塩、硫酸化リシノレイン酸ブチル塩などが挙げられる。
【0056】
(C1−d)としては、炭素数8〜24の高級アルコールの燐酸(モノ、ジ)エステル(塩)(C1−d1)、炭素数8〜24の高級アルコールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)付加物の燐酸(モノ、ジ)エステル(塩)(C1−d2)が挙げられる。なお、これらを構成する高級アルコールは天然物由来のものでも合成されたものでもどちらでもよい。これらのうち、好ましいものは炭素数8〜18の高級アルコールのAO付加物の燐酸(モノ、ジ)エステル(塩)である。
(C1−d2)に使用されるAOとしては、EO、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)およびブチレンオキサイドが挙げられる。これらのうち好ましいものはEOおよびPOである。また、高級アルコール1モルに対するAOの付加モル数としては、通常1〜50モルであり、好ましくは1〜20モルである。
【0057】
(C1−d)の好ましいものの具体例としては、オクチルアルコールリン酸モノエステルカリウム塩、オクチルアルコールリン酸ジエステルジカリウム塩、ラウリルアルコールリン酸モノエステルモノカリウム塩、ラウリルアルコールリン酸ジエステルジカリウム塩、イソステアリルアルコールのE05モル付加物のリン酸モノエステルカリウム塩、イソステアリルアルコールのE05モル付加物のリン酸ジエステルジカリウム塩などが挙げられる。
【0058】
アニオン界面活性剤(C1)が塩の形をとる場合、通常ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)塩である。これらのうち好ましいものは、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノール塩である。
【0059】
非イオン界面活性剤(C2)としては、炭素数1〜24のアルコールAO付加物(C2−a)、脂肪酸エステル化合物(C2−b)などが挙げられる。
【0060】
(C2−a)を構成する炭素数1〜24のアルコールとしては合成アルコール、天然アルコールなどは特に限定しないが、以下のものが挙げられる。
(x1)炭素数1〜24肪族1価アルコ−ル[脂肪族飽和1価アルコール(例えば、メタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、イソステアリルアルコールなど)、脂肪族不飽和1価アルコール(例えば、オレイルアルコールなど)];これらアルコールを構成するアルキル基は、パーム油、牛脂、なたね油、米糠油、魚油などの天然油脂由来のものでも、合成系のものでもよい。
(x2)炭素数1〜24の脂肪族多価(2〜6価)アルコ−ルまたはその縮合物[例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタンなど]
【0061】
(C2−a)を構成するAOとしては、炭素数2〜8のAO(EO、PO、およびブチレンオキサイドなど)が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、EO、POであり。付加形式はランダム、ブロックのいずれでもよいが、付加モル数は、好ましくは1〜50モルであり、より好ましくは1〜30モルであり、さらに好ましくは1〜20モルである。付加モル数が50以上であると有機酸塩分散体(A)への溶解性が低下するため好ましくない。
【0062】
脂肪酸エステル化合物(C2−b)を構成するカルボン酸としては、以下のものが挙げられる。
(a1)炭素数1〜24の脂肪族モノカルボン酸[脂肪族飽和モノカルボン酸(例えば、蟻酸、エタン酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸など)、脂肪族不飽和モノカルボン酸(例えば、オレイン酸、エルシン酸など)];
(a2)炭素数1〜24の脂肪族ジカルボン酸[脂肪族炭化水素系飽和ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、エライジン酸など)];が挙げられる。
【0063】
また、(C2−b)を構成する炭素数8〜32の高級アルコールとしては以下のものが挙げられる。
(xx1)炭素数8〜32の脂肪族1価アルコ−ル[脂肪族飽和1価アルコール(例えば、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、イソステアリルアルコールなど)、脂肪族不飽和1価アルコール(例えば、オレイルアルコールなど)]
(xx2)炭素数3〜24の脂肪族多価(2〜6価)アルコ−ルまたはその縮合物[例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタンなど)]
(xx3)脂肪族アルコール(x1)AO付加物
(xx4)脂肪族多価アルコール(x2)AO付加物
(xx5)ポリアルキレングリコール
【0064】
これら非イオン界面活性剤(C2)のうち、好ましいものの具体例としては、多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物(例えば、ポリオキシエチレングリセリンジオレエ−ト、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエ−ト等)、ヒマシ油EO付加物、硬化ヒマシ油EO付加物;(a1)と(xx1)からなるエステル(例えば、2−エチルヘキシルステアレート、イソデシルステアレート、イソステアリルオレート、イソエイコシルステアレート、イソエイコシルオレート、イソテトラコシルオレート、イソアラキジルオレート、イソステアリルパルミテート、オレイルオレートなど);(a1)と(xx2)からなるエステル(例えば、グリセリンジオレエート、ペンタエリスリトールテトラオレエートなど);(a2)と(x1)からなるエステル(例えば、ジオレイルアジペート、ジイソトリデシルアジペート等のアジピン酸エステルなど);(a1)と(xx3)からなるエステル[例えば、EO2モル付加したドバノ−ル23(三菱化学株式会社製の合成アルコ−ル)とラウリン酸とのエステル、PO2モル付加したイソトリデシルアルコ−ルとラウリン酸とのエステル、EO2モル付加したドバノ−ル23とアジピン酸とのジエステル];(a1)と(xx5)からなるエステル[例えば、ポリエチレングリコールモノ(ジ)ステアレート、ポリエチレングリコールのモノ(ジ)オレエートなど];(xx3)(例えば、イソトリデシルアルコールのEO5モル付加物など);などが挙げられる。
【0065】
カチオン界面活性剤(C3)としては、例えば4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(C3−a)、下記一般式(3)で示されるアミン塩型カチオン界面活性剤(C3−b)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。(C3−a)は、前記で示した一般式(2)で表される(D2)と同じである。また、好ましいものも同じである。
【0066】
【化3】



[式中、R、R、R、Qは前記の一般式(2)で例示したものと同じである。]
【0067】
一般式(3)で示される(C3−b)としては、3級アミンを無機酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ヨウ化水素酸等)または有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、蓚酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、アルキル硫酸等)で中和して得られるものが使用できる。炭素数3〜90の脂肪族3級アミン(例えば、トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、ジデシルメチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ラウラミドプロピルジメチルアミン等)、炭素数3〜90の脂環式(含窒素ヘテロ環を含む)3級アミン(例えば、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール、4,4’−ジピリジル等)、炭素数3〜90のヒドロキシアルキル基含有3級アミン(例えば、トリエタノールアミンモノステアリン酸エステル、N−ステアラミドエチルジエタノールアミン等)等の無機酸塩または有機酸塩等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、脂肪族アミンの無機酸塩および有機酸塩である。
【0068】
両性界面活性剤(C4)としては、ベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤および硫酸エステル型両性界面活性剤等が使用でき、例えば米国特許第4,331,447号および同第3,929,678号各明細書に記載のものが挙げられる。
これらの両性界面活性剤(C4)のうち好ましいものとしては、例えば下記一般式(4)で表されるベタイン型両性界面活性剤(C4−a)、下記一般式(5)で表されるアミノ酸型両性界面活性剤(C4−b)、下記一般式(6)で表されるスルホン酸塩型両性界面活性剤(C4−c)、後述の一般式(7)で表されるアミノアルコールのリン酸エステル(C4−d)、該アミノアルコールの硫酸エステル(C4−e)、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0069】
【化4】



[式中、R、R10、R11はそれぞれ独立に炭素数1〜30のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、および式R13−T−R14−で示される基(R13は炭素数1〜30の脂肪酸からCOOH基を除いた残基、R14は炭素数1〜4のアルキレン基またはヒドロキシアルキレン基、Tは−COO−または−CONH−を表す。)から選ばれる基;R12は炭素数1〜4のアルキレン基またはヒドロキシアルキレン基;XはCOOまたはSO;R15は炭素数1〜30のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、または炭素数2〜30のアルケニル基;R16は、炭素数1〜4のアルキレン基またはヒドロキシアルキレン基;R17は水素原子または式R16COOM1/mで示される基;R18は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数2〜30のアルケニル基;Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアミンカチオンであってMが複数の場合は同一でも異なっていてもよい;mはMの価数を表し、1または2である。]
【0070】
、R10、R11、R15およびR18の炭素数1〜30のアルキル基、またはヒドロキシアルキル基としてはR、R、Rに挙げたものと同様である。
これらのうち好ましいものは、RおよびR15は炭素数6〜24のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基およびR13−CONHR14−基であり、R10、R11およびR18は炭素数1〜24のアルキル基、ヒドロキシアルキル基および炭素数2〜24のアルケニル基である。
【0071】
残基R13を構成する炭素数1〜30の脂肪酸としてはRと同様の脂肪酸であり、R12、R14およびR16の炭素数1〜4のアルキレン基としてはRと同様である。これらのうち好ましいものはR14は炭素数1〜4のアルキレン基であり、R12およびR16は炭素数1〜3のアルキレン基である。
のうち好ましいものはCOOである。
【0072】
17は水素原子またはR16COOM1/m基である。これらのうち好ましいものは、R16が水素原子のものとR17がR16COOM1/m基のものとの混合物である。
Mとしては、水素原子、アルカリ金属(例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム等)、アミンカチオン(例えば、モノ−、ジ−およびトリ−のエタノールアミンカチオン、2−エチルヘキシルアミンカチオン等)が挙げられる。これらのうち好ましいものは、水素原子およびアルカリ金属である。
【0073】
一般式(4)で示される(C4−a)としては、アルキル(炭素数1〜30)ジメチルベタイン(例えば、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジメチルベタイン等)、アルキル(炭素数1〜30)アミドアルキル(炭素数1〜4)ジメチルベタイン(例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルベタイン、ラウラミドプロピルジメチルベタイン、ステアラミドプロピルジメチルベタイン等)、アルキル(炭素数1〜30)ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)ベタイン(例えば、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等)、スルフォベタイン型両性界面活性剤(例えば、ペンタデシルジメチルタウリン等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものはアルキルジメチルベタイン、アルキルアミドアルキルジメチルベタインである。
【0074】
一般式(5)で示される(C4−b)としては、アラニン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノプロピオン酸型、アルキル(炭素数1〜30)イミノジプロピオン酸型等]両性界面活性剤(例えば、ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、N−ラウリル−β−イミノジプロピオン酸ナトリウム、N−ラウリル−β−イミノジプロピオン酸カリウム等)、グリシン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノ酢酸型等]両性界面活性剤(例えば、ラウリルアミノ酢酸ナトリウム等)が挙げられる。これらのうち好ましいのは、アルキルアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルイミノジプロピオン酸型両性界面活性剤である。
【0075】
一般式(6)で示される(C4−c)としては、例えば、アルキル(炭素数1〜30)タウリン型(C1531NHCHCHSONa、C1735NHCHCHCHSONa等)両性界面活性剤等が挙げられる。
【0076】
(C4−d)および(C4−e)は、下記一般式(7)で与えられるアミノアルコールのリン酸および硫酸(モノまたはジ)エステルである。
【0077】
【化5】



[式中、R19は炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、および式R22−T−R23−で示される基(R22は炭素数1〜30の脂肪酸からCOOH基を除いた残基、R20は式R24−(AO)n−OHで表される基;R24は炭素数1〜4のアルキレン基;R21はR19で挙げたものと同様であるか水素、またはR20で表される基である。]
【0078】
一般式(7)においてR19を構成する炭化水素としてはR、R、R、Rに挙げたものと同様であり、残基R22を構成する炭素数1〜30の脂肪酸としてはRと同様の脂肪酸であり、R23の炭素数1〜4のアルキレン基としてはRと同様である。
【0079】
式R24−(AO)n−OHにおいて、nは、通常0または1〜10であり、AOの炭素数は、通常2、3および/または4、好ましくは2および/または3である。
【0080】
(C4−d)としては、例えば、エチルアミノエタノールモノホスフェート、ベンジルアミノエタノールモノホスフェート、ブチルアミノエタノールジホスフェートおよびベンジルアミノエタノールジホスフェート、ブチルアミノプロパノールモノホスフェート、ブチルアミノエタノールEO6モル付加物のモノホスフェート、ベンジルアミノエタノールEO2モル付加物のジホスフェート、ジメチルアミノエタノールモノホスフェート、ジエチルアミノプロパノールモノホスフェート、ジブチルアミノエタノールモノホスフェート、ジメチルアミノエタノールジホスフェート、ジエチルアミノプロパノールジホスフェートおよびジブチルアミノエタノールジホスフェート、ジエチルアミノプロパノールEO2モルPO2モルブロック付加物のモノホスフェート、ジブチルアミノプロパノールEO2モルPO2モルランダム付加物のモノホスフェート、ジエチルアミノプロパノールEO2モル付加物のモノホスフェート等が挙げられる。
【0081】
(C4−e)としては、例えばブチルアミノエタノールモノサルフェート、ベンジルアミノエタノールモノサルフェート、ブチルアミノエタノールジサルフェートおよびベンジルアミノエタノールジサルフェート、ブチルアミノエタノールEO6モル付加物のモノサルフェート、ベンジルアミノエタノールEO2モル付加物のジサルフェート、ジメチルアミノエタノールモノサルフェート、ジエチルアミノプロパノールモノサルフェート、ジメチルアミノエタノールジサルフェート、ジエチルアミノプロパノールジサルフェートおよびジブチルアミノエタノールジサルフェート、ジブチルアミノプロパノールEO2モルPO2モルランダム付加物のモノサルフェート、ジブチルアミノエタノールEO10モル付加物のモノサルフェート、ジエチルアミノプロパノールEO2モル付加物のモノサルフェート等が挙げられる。
【0082】
これらの両性界面活性剤(C4)のうち、好ましいのは(C4−a)および(C4−b)である。
好ましいものの具体例としては、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジメチルベタインアルキルジメチルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルベタイン、ラウラミドプロピルジメチルベタイン、ステアラミドプロピルジメチルベタインアルキルアミドアルキルジメチルベタイン、ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、N−ラウリル−β−イミノジプロピオン酸ナトリウム、N−ラウリル−β−イミノジプロピオン酸カリウムなどが挙げられる。
【0083】
乳化分散剤(C)として、特に好ましいものは、アニオン界面活性剤(C1)および非イオン界面活性剤(C2)であり、これらは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。
これらを使用すると、分散安定性がさらに向上する。
好ましいものの具体例としては、ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールEO2モル付加物のカルボキシメチル化物のナトリウム塩、ミリスチルアルコールEO3モル付加物のカルボキシメチル化物のナトリウム塩、スルホコハク酸ラウリルジナトリウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ロート油、硫酸化牛脂、硫酸化落花生油、硫酸化オレイン酸ブチル塩、硫酸化リシノレイン酸ブチル塩、ラウリルアルコールリン酸モノエステルモノカリウム塩、ラウリルアルコールリン酸ジエステルジカリウム塩、イソステアリルアルコールのEO5モル付加物のリン酸モノエステルカリウム塩、イソステアリルアルコールのEO5モル付加物のリン酸ジエステルジカリウム塩、ステアリルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、イソステアリルアルコールのオレイン酸エステル、ソルビタンのステアリン酸エステル(例えば、ソルビタントリステアレート等)、ソルビタンのラウリル酸エステル(例えば、ソルビタンモノラウレート等)、ソルビタンのオレイン酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート等)、ソルビタンのパルミチン酸エステル(例えば、ソルビタンモノパルミテート等)、ペンタエリスリトールのオレイン酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールテトラオレエート等)、ペンタエリスリトールのカプリル酸エステル、ソルビタンモノオレエートEO20モル付加物、ソルビタンモノパルミテートEO20モル付加物、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエート、イソトリデシルアルコールEO5モル付加物などが挙げられる。

【0084】
工程1で得られた有機分散体(A)を、工程2で、上記の乳化分散剤(C)を用いて水中に分散することにより、本発明の有機酸塩の水分散体が得られる。
【0085】
有機酸塩(B)の微粒子を含む分散体(A)を水中に分散させる方法としては、公知の乳化方法が挙げられる。例えば、乳化機を用いて、50〜70℃に温調した有機酸塩分散体(A)に乳化分散剤(C)を加え、温水を添加しながら転相乳化する方法がある。乳化機としては、攪拌機を備えた乳化槽やボールミル、ガウリンホモジナイザー、ホモディスパーおよびビーズミル等を用いることができる。
【0086】
乳化分散剤(C)の量(質量%)は、(C)、(B)、(D)および(a)の合計質量に基づいて、通常0.01〜15で、好ましくは0.05〜10で、さらに好ましくは、0.07〜8である。
有機酸塩の分散体(A)の含有量(質量%。以下%と略記。)は、水分散体の全質量に基づいて、通常60%以下、好ましくは0.01〜50%、さらに好ましくは0.2〜35%である。これらの範囲であると、潤滑性、撥水性に優れる。
【0087】
このようにして得られた、水分散体の分散粒子の、株式会社堀場製作所製のレーザ散乱式粒度分布測定装置LA−750にて測定した体積平均粒子径は、分散安定性の観点から、2μm以下、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.01〜0.7μm、特に好ましくは0.01〜0.5μmである。
【0088】
[実施例]
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、文中および表中の部は質量部を表す。
【0089】
製造例1〜6
表1記載の配合処方で各成分を配合して、本発明の有機酸塩分散体(A)を調製した。
【0090】
製造例1
モーターにSUS製のU字型攪拌棒を取り付けた撹拌装置のあるSUS製セパラブルフラスコに、ジステアリン酸マグネシウム5部、イソトリデシルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩0.5部、ラウリルアルコールEO2.5モル付加物カルボキシメチル1.0部、および流動パラフィン93.5部を入れ、約600rpmで攪拌下、80〜90℃で1時間混合し、製造例1の有機酸塩分散体を作成した。
【0091】
製造例2〜4および比較製造例1〜2
表1の組成で、製造例1と同様にして製造例2〜4および比較製造例1〜2の有機酸塩分散体を作成した。
【0092】
日本電色工業株式会社製のWater Analyzer−2000にて測定した有機酸塩分散体の濁度、および大塚電子株式会社製のELS−800にて測定した有機酸塩分散体の体積平均粒子径を表1に示す。
【0093】
【表1】


流動パラフィン(a1):流パン60S(三光化学株式会社製:粘度15mm/s(25℃))
D−1:イソトリデシルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩(SP値=8.1)
D−2:ラウリルアルコールEO2.5モル付加物カルボキシメチル(SP値=9.4)
D−3:ラウリルアルコールEO2.5モル付加物カルボキシメチル化ジデシルジメチルアンモニウム塩(SP値=8.2)
D−4:パーフルオロオクチルスルホネートナトリウム塩(SP値=7.2)
【0094】
製造例1〜4および比較製造例1〜2で得られた有機酸塩分散体の濁度の測定方法、体積平均粒子径の測定方法は以下の通りである。
【0095】
<濁度の測定方法>
有機酸塩分散体を長さ10mmのセルに入れて、日本電色工業株式会社製のWater Analyzer−2000を使って、積分球式光電光度法で測定した。
【0096】
<有機酸塩分散体中の有機酸塩の体積平均粒子径の測定方法>
有機酸塩分散体を長さ10mmのセルに入れて、大塚電子株式会社製のELS−800を使って、動的光散乱法で測定した。

【0097】
実施例1〜6および比較例1〜5
製造例1〜4および比較製造例1〜2で調整した有機酸塩分散体と、乳化分散剤を表2記載の配合処方で配合して、本発明の実施例および比較例の有機酸塩分散体の水分散体を調製した。
【0098】
実施例1
製造例1で作成した有機酸塩分散体19.3部に、イソトリデシルアルコールEO5モル付加物0.4部とイソステアリルアルコールのEO5モル付加物のリン酸ジエステルジカリウム塩0.3部を加え、70〜80℃で、800rpm攪拌下、約70℃の温水80部を2時間かけて滴下し、転相乳化することにより実施例1の水分散体を作成した。
【0099】
実施例2〜6、比較例1〜5
表2の組成で、実施例1と同様にして実施例2〜6および比較例1〜5の水分散体を作成した。
【0100】
株式会社堀場製作所製のレーザ散乱式粒度分布測定装置LA−750にて測定した有機酸塩の水分散体の分散粒子の体積平均粒子径、および作成後30日経過した水分散体の同様にして測定した体積平均粒子径を併せて表2に示す。
【0101】
【表2】


C−1:イソトリデシルアルコールEO5モル付加物(SP値=9.7)
C−2:イソステアリルアルコールのEO5モル付加物のリン酸ジエステルジカリウム塩(SP値=8.9)
C−3:ラウリン酸モノエタノールアミドEO2モル付加物(SP値=10.7)
【0102】
実施例および比較例で得られた水分散体の体積平均粒子径の測定方法は以下の通りである。
【0103】
<体積平均粒子径の測定方法>
水分散体の約0.001%のイオン交換水希釈液を長さ4mmのセルに入れて、株式会社堀場製作所製のレーザ散乱式粒度分布測定装置LA−750を使って、測定した。
【0104】
表2から明らかなように、本発明の有機酸塩の水分散体(実施例1〜6)は、経日安定性に優れている。

【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の有機酸塩の水分散体は、撥水性、潤滑性および離型性に優れ、また経日安定性が優れていることから、香粧品・無機顔料分野、塗料・非極性溶剤改質分野および電子情報分野等で使用できる。




































【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程1および2からなる有機酸塩の水分散体の製造法。
工程1:有機酸塩(B)を、分散剤(D)の存在下、炭化水素系潤滑剤(a)に分散する工程
工程2:工程1で得られる有機酸塩分散体(A)を、乳化分散剤(C)を用いて水中に分散する工程
【請求項2】
前記水分散体の分散粒子の平均粒子径が0.01−1μmである請求項1記載の水分散体の製造法。
【請求項3】
前記(D)が、一般式(1)および一般式(2)で表される界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の水分散体の製造法。

−O−(AO)−CHCOOM (1)

【化1】


[式中、R,R,RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜24のアルキル基、アリル基、炭素数2〜24のアルケニル基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基(アルキレン基の炭素数:2〜4)、および式R−T−R−で示される基(Rは炭素数1〜24の脂肪酸からCOOH基を除いた残基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基またはヒドロキシアルキレン基、Tは−COO−または−CONH−を表す。)から選ばれる基を表す。Rは炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、ヒドロキシアルキル基またはポリオキシアルキレン基;RとRとRは、いずれか2つが結合してNとともに複素環を形成していてもよい;Aは炭素数2〜4のアルキレン基、Mは水素原子、アルカリ金属原子またはアミン、Qは無機酸アニオンまたは有機酸アニオンを表わす。pは平均が0〜10の0または1以上の整数を表わす。]

【請求項4】
前記(B)が炭素数10〜22の脂肪酸の金属塩である請求項1〜3のいずれか記載の水分散体の製造法。
【請求項5】
前記(C)が、アニオン界面活性剤および非イオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種からなり、7.7〜10.5の溶解度パラメーターを有する乳化分散剤である請求項1〜4のいずれか記載の水分散体の製造法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の製造法で製造した有機酸塩の水分散体。









【公開番号】特開2007−8998(P2007−8998A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189170(P2005−189170)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】